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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109365
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】配電システム及び配電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/10 20060101AFI20240806BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240806BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240806BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H02J1/10
H02J1/00 304G
H02J1/00 304H
H02J1/00 306B
H02J1/00 306L
H02J7/35 K
H02J3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014116
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】加茂 章太郎
(72)【発明者】
【氏名】秦野 秀稔
(72)【発明者】
【氏名】蓑輪 義文
【テーマコード(参考)】
5G066
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G165BB01
5G165BB02
5G165DA01
5G165EA02
5G165EA03
5G165EA06
5G165GA09
5G165HA01
5G165HA16
5G165JA09
5G165LA01
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA11
5G503DA04
5G503DA19
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】通信回線が不通となることによるシステム全体の運転停止を回避でき、直流電力の効率的な配電を行うことができる配電システムを実現する。
【解決手段】配電システム(100)は、DCバス(10)と、発電装置(1)と、蓄電装置(2)と、を備え、発電装置(1)は、第1バス電圧(Vbus1)がPV上限バス電圧(V_HP)よりも高い場合に供給する電力を抑制し、第1バス電圧(Vbus1)がPV下限バス電圧(V_LP)よりも低い場合に供給する電力を増加させ、蓄電装置(2)は、第2バス電圧(Vbus2)が蓄電池上限バス電圧(V_HB)より高い場合に充電を行い、第2バス電圧(Vbus2)が蓄電池下限バス電圧(V_LB)よりも低い場合に放電を行い、PV上限バス電圧(V_HP)、蓄電池上限バス電圧(V_HB)、蓄電池下限バス電圧(V_LB)及びPV下限バス電圧(V_LP)は、この順に低くなるように定められている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DCバスと、
前記DCバスの電圧を検出し、前記DCバスに対して電力を供給する発電装置と、
前記DCバスの電圧を検出し、前記DCバスに対する充放電を行う蓄電装置と、を備えている配電システムであって、
前記発電装置は、
当該発電装置が検出した前記DCバスの電圧である第1バス電圧が第1上限バス電圧よりも高い場合に、前記DCバスに供給する電力を抑制し、
前記第1バス電圧が第1下限バス電圧よりも低い場合に、前記DCバスに供給する電力を増加させ、
前記蓄電装置は、
当該蓄電装置が検出した前記DCバスの電圧である第2バス電圧が第2上限バス電圧より高い場合に、前記DCバスからの充電を行い、
前記第2バス電圧が第2下限バス電圧よりも低い場合に、前記DCバスへの放電を行い、
前記第1上限バス電圧、前記第2上限バス電圧、前記第2下限バス電圧及び前記第1下限バス電圧は、この順に低くなるように定められている、配電システム。
【請求項2】
前記蓄電装置は、
前記蓄電装置が備える蓄電池の充電率が所定の充電率上限値以下であり、かつ、前記蓄電池の電圧である電池電圧が所定の上限電池電圧以下である限りにおいて、前記DCバスへの充電を行い、
前記充電率が所定の充電率下限値以上であり、かつ、前記電池電圧が所定の下限電池電圧以上である限りにおいて、前記DCバスへの放電を行う、請求項1に記載の配電システム。
【請求項3】
商用電源から受電する電力を前記DCバスに供給する受電装置を更に備えており、
前記蓄電装置は、
前記DCバスが前記受電装置を通じて前記商用電源から受け入れる電流である連系点電流を検出し、
前記第2バス電圧が前記第2下限バス電圧以上前記第2上限バス電圧以下であり、前記連系点電流が所定の連系点電流閾値よりも高い場合、
前記蓄電装置が備える蓄電池の充電率が所定の充電率下限値以上であり、かつ、前記蓄電池の電圧である電池電圧が所定の下限電池電圧以上である限りにおいて、前記DCバスへの放電を行う、請求項1に記載の配電システム。
【請求項4】
前記蓄電装置は、前記第2バス電圧が前記第2下限バス電圧以上前記第2上限バス電圧以下であり、前記連系点電流が前記連系点電流閾値以下の場合、前記充電率が、前記充電率下限値よりも高く所定の充電率上限値よりも低い、所定の定常充電率範囲になるように、前記DCバスに対する充放電を制御する、請求項3に記載の配電システム。
【請求項5】
商用電源から受電する電力を前記DCバスに供給する受電装置を更に備えており、
前記蓄電装置は、前記受電装置に前記商用電源からの受電がない場合には、前記第2バス電圧が第2下限バス電圧以上前記第2上限バス電圧未満の場合にも、前記DCバスへの放電を行う、請求項1または2に記載の配電システム。
【請求項6】
前記DCバスの電圧を検出し、前記DCバスから充電を行う電気自動車蓄電装置をさらに備え、
前記電気自動車蓄電装置は、
当該電気自動車蓄電装置が検出した前記DCバスの電圧である第3バス電圧が第3下限バス電圧よりも低い場合に、前記DCバスから充電する電力を抑制し、
前記第3下限バス電圧は、前記第1下限バス電圧よりも低く定められている、請求項1または2に記載の配電システム。
【請求項7】
前記DCバスの電圧を検出し、前記DCバスから電力が供給される一般電力消費装置をさらに備え、
前記一般電力消費装置は、
当該一般電力消費装置が検出した前記DCバスの電圧である第4バス電圧が第4下限バス電圧より低い場合に、前記DCバスから当該一般電力消費装置を遮断し、
前記第4下限バス電圧は、前記第3下限バス電圧よりも低く定められている、請求項6に記載の配電システム。
【請求項8】
DCバスに対して電力を供給する発電装置と、前記DCバスに対する充放電を行う蓄電装置と、を備えている配電システムの配電方法であって、
前記発電装置が、
当該発電装置が検出した前記DCバスの電圧である第1バス電圧が第1上限バス電圧よりも高い場合に、前記DCバスに供給する電力を抑制し、
前記第1バス電圧が第1下限バス電圧よりも低い場合に、前記DCバスに供給する電力を増加させる、発電装置制御ステップと、
前記蓄電装置が、
当該蓄電装置が検出した前記DCバスの電圧である第2バス電圧が第2上限バス電圧より高い場合に、前記DCバスからの充電を行い、
前記第2バス電圧が第2下限バス電圧よりも低い場合に、前記DCバスへの放電を行う、蓄電装置制御ステップと、を含み、
前記第1上限バス電圧、前記第2上限バス電圧、前記第2下限バス電圧及び前記第1下限バス電圧は、この順に低くなるように定められている、配電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電システム及び配電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーの利用拡大により、電力負荷に対する直流電力の効率的な配電を行うことができる配電システムが求められている。特許文献1には、電力バスに接続された、電力バスに電力を供給する入力型電源と、電力バスから電気自動車電池へ電力を供給する出力型電源と、入力型電源及び出力型電源の2つの機能を併せもつ双方向電源と、に対して運転指令し、電力バスへの電力の入出力制御を行う電力制御手段を備えた電力融通システムが記載されている。特許文献1では、複数の電力装置間の制御順位を付けて、電力制御手段により、優先順位の高い方から入出力制御を実施するとともに、電力バス内の電力不足及び余剰分については、優先順位の低い電力装置が過不足分を小さくするように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6847604号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、電力制御手段が電力バスに接続されている複数の電力装置の集中管理を行うため、システムの制御のために各装置をつなぐ通信回路が必要になり、何らかのトラブルで各装置をつなぐ通信回路が不通になると、システムの運転継続が困難になるという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、通信回線が不通となることによるシステム全体の運転停止を回避でき、直流電力の効率的な配電を行うことができる配電システムを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る配電システムは、DCバスと、前記DCバスの電圧を検出し、前記DCバスに対して電力を供給する発電装置と、前記DCバスの電圧を検出し、前記DCバスに対する充放電を行う蓄電装置と、を備えている配電システムであって、前記発電装置は、当該発電装置が検出した前記DCバスの電圧である第1バス電圧が第1上限バス電圧よりも高い場合に、前記DCバスに供給する電力を抑制し、前記第1バス電圧が第1下限バス電圧よりも低い場合に、前記DCバスに供給する電力を増加させ、前記蓄電装置は、当該蓄電装置が検出した前記DCバスの電圧である第2バス電圧が第2上限バス電圧より高い場合に、前記DCバスからの充電を行い、前記第2バス電圧が第2下限バス電圧よりも低い場合に、前記DCバスへの放電を行い、前記第1上限バス電圧、前記第2上限バス電圧、前記第2下限バス電圧及び前記第1下限バス電圧は、この順に低くなるように定められている。
【0007】
本発明の一態様に係る配電方法は、DCバスに対して電力を供給する発電装置と、前記DCバスに対する充放電を行う蓄電装置と、を備えている配電システムの配電方法であって、前記発電装置が、当該発電装置が検出した前記DCバスの電圧である第1バス電圧が第1上限バス電圧よりも高い場合に、前記DCバスに供給する電力を抑制し、前記第1バス電圧が第1下限バス電圧よりも低い場合に、前記DCバスに供給する電力を増加させる、発電装置制御ステップと、前記蓄電装置が、当該蓄電装置が検出した前記DCバスの電圧である第2バス電圧が第2上限バス電圧より高い場合に、前記DCバスからの充電を行い、前記第2バス電圧が第2下限バス電圧よりも低い場合に、前記DCバスへの放電を行う、蓄電装置制御ステップと、を含み、前記第1上限バス電圧、前記第2上限バス電圧、前記第2下限バス電圧及び前記第1下限バス電圧は、この順に低くなるように定められている。
【0008】
本発明の各態様に係る蓄電装置及び発電装置における制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記蓄電装置及び前記発電装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記蓄電装置及び前記発電装置をコンピュータにて実現させる各装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、通信回線が不通となることによるシステム全体の運転停止を回避でき、直流電力の効率的な配電を行うことができる配電システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る配電システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
図2】上記配電システムの構成の一例を示す概念図である。
図3】上記配電システムにおけるシステム設定例の設定条件を示す図表である。
図4】蓄電装置の動作処理の一例を示すフロー図の一部である。
図5】上記蓄電装置の動作処理の一例を示すフロー図の他の一部である。
図6】発電装置の動作処理の一例を示すフロー図である。
図7】電気自動車蓄電装置の動作処理の一例を示すフロー図である。
図8】一般電力消費装置の動作処理の一例を示すフロー図である。
図9】上記配電システムの動作処理の一例を示すフロー図の一部である。
図10】上記配電システムの動作処理の一例を示すフロー図の他の一部である。
図11】上記配電システムの動作処理の一例を示すフロー図のさらに他の一部である。
図12】本発明の実施形態2に係る配電システムの蓄電装置の動作処理の一例を示すフロー図の一部である。
図13】上記蓄電装置の動作処理の一例を示すフロー図の他の一部である。
図14】上記配電システムの動作処理の一例を示すフロー図の一部である。
図15】上記配電システムの動作処理の一例を示すフロー図の他の一部である。
図16】上記配電システムの動作処理の一例を示すフロー図のさらに他の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、詳細に説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る配電システムの一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0012】
<配電システムの概要>
図1は、本発明の実施形態1に係る配電システム100の概略構成を示す機能ブロック図であり、図2は、配電システム100の構成の一例を示す概念図である。図1及び図2に示すように、配電システム100は、直流配電バス10(以降、DCバス10と称する)と、受電装置60と、発電装置1と、蓄電装置2と、電気自動車蓄電装置3と、一般電力消費装置4と、を備えている。
【0013】
配電システム100では、DCバス10に接続された各装置がそれぞれ検出したバス電圧等に基づいて各装置が自立的に自装置の動作を決定する。言い換えると、配電システム100では、DCバス10に接続される各装置は、各装置から独立して装置ごとに自律制御する。これにより、配電システム100では配電システム100の制御に各装置をつなぐ通信回路が不要となり、通信回線の不通によるシステムの運転停止を回避することができる。
【0014】
<各装置の制御の設定条件>
配電システム100では、図3に示すように各装置の制御の設定条件を定めることで、効率的な配電を行う。ここで、図3は、配電システム100におけるシステム設定例の設定条件情報200を示す図表である。図3に示すように、設定条件情報200は、PV上限バス電圧V_HP(第1上限バス電圧)、蓄電池上限バス電圧V_HB(第2上限バス電圧)、蓄電池下限バス電圧V_LB(第2下限バス電圧)、PV下限バス電圧V_LP(第1下限バス電圧)、EV蓄電池下限バス電圧V_LE(第3下限バス電圧)及び一般負荷下限バス電圧V_LL(第4下限バス電圧)が、この順で低くなるように規定されている。
【0015】
<配電システムの構成>
図1及び図2に示すように、配電システム100は、DCバス10と、DCバス10に接続されている各装置と、を備えている。DCバス10は、受電装置60を介して商用電源50から受電する。
【0016】
受電装置60は、商用電源50から受電する電力をDCバス10に供給する装置であり、商用電源50からの交流電力を直流電力に変換して、DCバス10へ電力を供給する。受電装置60が生成する直流電圧は、「蓄電池下限バス電圧V_LB」≦「受電装置60が生成する直流電圧」≦「蓄電池下限バス電圧V_LB」となるように設定される。そのため、バス電圧計測値(バス電圧)Vbusが、受電装置60が生成する直流電圧を下回ると商用電源50からDCバス10への電力供給が開始される。
【0017】
受電装置60は、ダイオード整流器61を備え、商用電源50からDCバス10へと一方向にのみ電力を供給できる。
【0018】
DCバス10に接続される各装置として配電システム100は、発電装置1と、蓄電装置2と、電気自動車蓄電装置3と、一般電力消費装置4と、を備えている。なお、電気自動車蓄電装置3及び一般電力消費装置4は配電システム100において必須の構成ではなく、配電システム100には、各装置として、少なくとも発電装置1及び蓄電装置2が備えられていればよい。
【0019】
(蓄電装置)
蓄電装置2はDCバス10の電圧を検出し、検出したDCバス10の電圧に基づきDCバス10に対して蓄電池28の充放電を行う。蓄電装置2は、制御部21と、DC/DCコンバータ22と、バス電圧検出部23と、停電検出部24と、連系点電流検出部25と、電池電圧検出部26と、充電率検出部27と、蓄電池28と、記憶部29と、を備えている。
【0020】
蓄電池28は、再充電可能な電力貯蔵要素であり、代表的にリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池で構成される。蓄電池28は、例えば、複数の電池セルを直列接続して構成される。蓄電池28から放電された電力は、DCバス10へ供給される。蓄電池28はDCバス10から充電を行う。
【0021】
DC/DCコンバータ22は、DCバス10と蓄電池28との間に配置される。DC/DCコンバータ22は、蓄電池28の放電時に、蓄電池28から供給される直流電圧の電圧変換を行う。また、DC/DCコンバータ22は、蓄電池28の充電時に、DCバス10から供給される直流電圧の電圧変換を行う。
【0022】
バス電圧検出部23は、点T12のバス電圧の値であるバス電圧計測値Vbusを検出する。バス電圧検出部23は、検出したバス電圧計測値Vbusを制御部21に出力する。なお、以降では、蓄電装置2が検出したバス電圧計測値Vbusを第2バス電圧Vbus2と称する場合がある。
【0023】
停電検出部24は、商用電源50の停電を検出する。停電検出部24は、例えば、点T1において受電装置60における商用電源50からの受電の有無を検出することにより商用電源50の停電を検出する。停電検出部24は、商用電源50の停電を検出すると制御部21に当該停電を示す信号を出力する。
【0024】
連系点電流検出部25は、点T2において、DCバス10が受電装置60を通じて商用電源50から受け入れる電流である連系点電流の値を示す連系点電流計測値Igを検出する。連系点電流検出部25は、検出した連系点電流計測値Igを制御部21に出力する。
【0025】
電池電圧検出部26は、蓄電池28の電圧の値である電池電圧計測値Vbat(電池電圧)を検出する。電池電圧検出部26は、検出した電池電圧計測値Vbatを制御部21に出力する。
【0026】
充電率検出部27は、蓄電池28の充電率の値である充電率SOCを検出する。充電率検出部27は、検出した充電率SOCを制御部21に出力する。
【0027】
制御部21は蓄電装置2の各部を統括して制御する。制御部21は、一例において、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。制御部21は、記憶部29に記憶されているソフトウェアである制御プログラムを読み取ってRAM(Random Access Memory)等のメモリに展開して各種機能を実行する。
【0028】
記憶部29は、蓄電装置2が使用する各種データを記憶する。記憶部29は図3に示す設定条件情報200を記憶する。記憶部29は、設定条件情報200のうち、蓄電装置2の動作に必要な情報のみ(蓄電池上限バス電圧V_HB及び蓄電池下限バス電圧V_LB)を記憶していてもよい。
【0029】
また、記憶部29は、図3に示すように、設定条件情報201として、蓄電池28の充電率について、順に低くなるように予め定められた、充電率上限値SOC_H、定常SOC上限値SOC_SH、定常SOC下限値SOC_SL及び充電率下限値SOC_Lを記憶する。更に記憶部29は、設定情報202として、予め定められた、蓄電池28の電圧の値についての上限電池電圧Vbat_H、下限電池電圧Vbat_L、及び、連系点電流についての連系点電流閾値Ig_Hを記憶する。
【0030】
制御部21は、蓄電装置2の各検出部の検出結果及び設定条件情報200、設定条件情報201及び設定情報202に基づき、蓄電池28のDCバス10への充放電を制御する。
【0031】
(蓄電装置の動作)
図4及び図5は蓄電装置2の動作処理の一例を示すフロー図である。図4及び図5に基づき、蓄電装置2の動作処理について説明する。
【0032】
図4に示すように、まず、バス電圧検出部23が点T12における第2バス電圧Vbus2を検出する。制御部21は、第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBよりも高いか否かを判定する(ステップS1)。
【0033】
第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBよりも高い場合(ステップS1でYES)、制御部21は、蓄電池28にDCバス10からの充電を行う(ステップS2)。DCバス10に供給される電力が余剰となっていると判断され、蓄電装置2で余剰電力を吸収するためである。
【0034】
次に、蓄電池28にDCバス10からの充電を行っている状態において、電池電圧検出部26が電池電圧計測値Vbat検出し、充電率検出部27が蓄電池28の充電率SOCを検出する。制御部21は、蓄電池28の充電率SOCが所定の充電率上限値SOC_Hより高いか、または、電池電圧計測値Vbatが所定の上限電池電圧Vbat_Hより高いか否かを判定する(ステップS3)。
【0035】
蓄電池28の充電率SOCが所定の充電率上限値SOC_Hより高い、または、電池電圧計測値Vbatが所定の上限電池電圧Vbat_Hより高い場合(ステップS3でYES)、制御部21は、蓄電池28のDCバス10からの充電電力を抑制または蓄電池28のDCバス10からの充電を停止する(ステップS4)。これにより、制御部21は、蓄電池28の充電率SOCを充電率上限値SOC_H以下とする、または、電池電圧計測値Vbatを上限電池電圧Vbat_H以下とすることができるので、蓄電池28の過充電を防ぐことができる。
【0036】
蓄電池28の充電率SOCが所定の充電率上限値SOC_H以下であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の上限電池電圧Vbat_H以下である場合(ステップS3でNO)、蓄電池28の充電率SOCが所定の充電率上限値SOC_H以下であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の上限電池電圧Vbat_H以下である限りにおいて、制御部21は蓄電池28のDCバス10からの充電を継続する(ステップS5)。これにより、蓄電池28の過充電を防ぎつつ、蓄電池28のDCバス10からの充電を継続することができる。
【0037】
続いて、図5に示すように、第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HB以下の場合(図4のステップS1でNO、P1)、制御部21は、第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LBよりも低いか否かを判定する(ステップS11)。
【0038】
第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LB以上の場合(ステップS11でNO)、連系点電流検出部25が連系点電流計測値Igを検出し、制御部21は、連系点電流計測値Igが所定の連系点電流閾値Ig_Hより高いか否かを判定する(ステップS12)。連系点電流閾値Ig_Hは、例えば、商用電源50における契約電力により設定される。
【0039】
第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LB以上蓄電池上限バス電圧V_HB以下であり、連系点電流計測値Igが所定の連系点電流閾値Ig_Hより高い場合(ステップS12でYES)、制御部21は、蓄電池28からDCバスへの放電を行う(ステップS13)。商用電源50からの買電を抑制し、配電システム100を効率的に運用するためである。
【0040】
その後、電池電圧検出部26が電池電圧計測値Vbat検出し、充電率検出部27が蓄電池28の充電率SOCを検出する。制御部21は、充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_Lよりも小さいか、または、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_Lよりも小さいか否かを判定する(ステップS14)。
【0041】
充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_Lよりも小さい、または、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_Lよりも小さい場合(ステップS14でYES)、制御部21は、蓄電池28のDCバス10への放電電力を抑制、または、蓄電池28のDCバス10への放電を停止する(ステップS15)。これにより、制御部21は、蓄電池28の充電率SOCを充電率下限値SOC_L以上とする、または、電池電圧計測値Vbatを下限電池電圧Vbat_L以上とすることができるので、蓄電池28の過放電を防ぐことができる。
【0042】
充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_L以上であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_L以上となる場合(ステップS14でNO)、充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_L以上であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_L以上である限りにおいて、制御部21は蓄電池28のDCバス10への放電を継続する(ステップS16)。これにより、蓄電池28の過放電を防ぎつつ、蓄電池28のDCバス10への放電を継続することができる。
【0043】
つまり、第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LB以上蓄電池上限バス電圧V_HB以下であり、連系点電流計測値Igが所定の連系点電流閾値Ig_Hより高い場合(ステップS12でYES)、充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_L以上であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_L以上である限りにおいて、制御部21は、蓄電池28からDCバスへの放電を行う(ステップS16)。これにより、連系点電流計測値Igが連系点電流閾値Ig_H以下にすることができるため、例えば、商用電源50から供給される電力を契約電力以内に抑えることができる。
【0044】
第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HB以下であり、蓄電池下限バス電圧V_LB以上の範囲において、連系点電流計測値Igが連系点電流閾値Ig_H以下である場合(ステップS12でNO)、充電率検出部27が蓄電池28の充電率SOCを検出し、制御部21は、充電率SOCが定常SOC上限値SOC_SHより高いか否かを判定する(ステップS17)。
【0045】
充電率SOCが定常SOC上限値SOC_SHより高い場合(ステップS17でYES)、制御部21は、蓄電池28からDCバス10への放電を行い(ステップS21)、充電率SOCを定常SOC上限値SOC_SH以下とする。
【0046】
充電率SOCが定常SOC上限値SOC_SH以下の場合(ステップS17でNO)、制御部21は、充電率SOCが定常SOC下限値SOC_SLより低いか否かを判定する(ステップS18)。
【0047】
制御部21は、充電率SOCが定常SOC下限値SOC_SLより低い場合(ステップS18でYES)、制御部21は、蓄電池28にDCバス10から充電を行い(ステップS20)、充電率SOCを定常SOC下限値SOC_SL以上とする。
【0048】
充電率SOCが定常SOC下限値SOC_SL以上の場合(ステップS18でNO)、制御部21は蓄電池28を待機させる。または、制御部21は、外部指令により蓄電池28にDCバス10に対して充放電を行わせる(ステップS19)。
【0049】
すなわち、蓄電池下限バス電圧V_LB以上蓄電池上限バス電圧V_HB以下であり、連系点電流計測値Igが連系点電流閾値Ig_H以下の場合、ステップS17からステップS21において、制御部21は、充電率SOCが、所定の定常充電率範囲である、定常SOC下限値SOC_SLよりも高く、定常SOC上限値SOC_SHよりも低い範囲内となるように、DCバス10に対する蓄電池28の充放電を制御する。所定の定常充電率範囲は、充電率下限値SOC_Lよりも高く充電率上限値SOC_Hよりも低い範囲であり、図3の設定条件情報201に示すように、充電率上限値SOC_H、定常SOC上限値SOC_SH、定常SOC下限値SOC_SL、充電率下限値SOC_Lの順に低くなるように予め定められている。
【0050】
このように、連系点電流計測値Igが連系点電流閾値Ig_H以下の場合は、蓄電池28の充電率SOCが定常SOC上限値SOC_SH以下、定常SOC下限値SOC_SL以上の所定の定常充電率範囲となるように充放電が実施される。所定の定常充電率範囲は例えば、充電率SOC50%近辺の範囲である。
【0051】
連系点電流閾値Ig_Hが契約電力基づき設定されている場合、連系点電流計測値Igが連系点電流閾値Ig_H以下であることは、つまり、現在の商用電源50からの受電が契約電力内であることを示し、配電システム100内での配電を蓄電装置2の充放電制御に頼らなくてよい。そのため、このような状況下では、蓄電池28を最適な充電率SOCに保つ制御を行うことが望ましい。定常SOC上限値SOC_SH及び定常SOC下限値SOC_SLを蓄電池28の充電率SOCが最適になるように設定することで、蓄電池28の寿命を長くすることができる。また、充電率SOCを所定の定常充電率範囲とすることで、DCバス10からの蓄電池28への充電を要する状況、あるいは蓄電池28からDCバス10への放電を要する状況のいずれが生じても対応できるようになる。
【0052】
第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LBより低い場合(ステップS11でYES)、制御部21は蓄電池28からDCバス10への放電を行う(ステップS22)。
【0053】
その後、蓄電池28をDCバス10に放電させている状態で、電池電圧検出部26が電池電圧計測値Vbat検出し、充電率検出部27が蓄電池28の充電率SOCを検出する。制御部21は、充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_Lよりも小さいか、または、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_Lよりも小さいか否かを判定する(ステップS23)。
【0054】
充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_Lよりも小さい、または、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_Lよりも小さい場合(ステップS23でYES)、制御部21は、蓄電池28のDCバス10への放電電力を抑制、または、蓄電池28のDCバス10への放電を停止する(ステップS24)。これにより、制御部21は、蓄電池28の充電率SOCを充電率下限値SOC_L以上とする、または、電池電圧計測値Vbatを下限電池電圧Vbat_L以上とすることができるので、蓄電池28の過放電を防ぐことができる。
【0055】
充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_L以上であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_L以上となる場合(ステップS23でNO)、充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_L以上であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_L以上となる限りにおいて、制御部21は蓄電池28のDCバス10への放電を継続する(ステップS25)。これにより、蓄電池28の過放電を防ぎつつ、蓄電池28のDCバス10への放電を継続することができる。
【0056】
(発電装置)
発電装置1は、DCバス10の電圧を検出し、検出したDCバス10の電圧に基づき、DCバス10に対して発電機14で発電した発電電力を供給する。発電装置1は、制御部11と、DC/DCコンバータ12と、バス電圧検出部13と、発電機14と、記憶部15と、を備えている。
【0057】
発電機14は、例えば、太陽電池等を備えた再生可能エネルギーを利用した発電機であり、制御部11により発電量を制御される。なお、以降では、発電機をPVと称する場合がある。
【0058】
DC/DCコンバータ12は、発電機14とDCバス10との間に配置される。DC/DCコンバータ12は、制御部11の指示に従って太陽電池の動作点を設定し、発電機14の出力制御を行う。
【0059】
バス電圧検出部13は、点T11のバス電圧の値であるバス電圧計測値Vbusを検出する。バス電圧検出部13は、検出したバス電圧計測値Vbusを制御部11に出力する。なお、以降では、発電装置1が検出したバス電圧計測値Vbusを第1バス電圧Vbus1と称する場合がある。
【0060】
制御部11は発電装置1の各部を統括して制御する。制御部11は、一例において、CPUであってもよい。制御部11は、記憶部15に記憶されているソフトウェアである制御プログラムを読み取ってRAM等のメモリに展開して各種機能を実行する。
【0061】
記憶部15は、発電装置1が使用する各種データを記憶する。記憶部15は特に図3に示す設定条件情報200を記憶する。記憶部15は、設定条件情報200のうち、発電装置1の動作に必要な情報のみを記憶していてもよい。
【0062】
制御部11は、発電装置1のバス電圧検出部13の検出結果及び設定条件情報200に基づき、発電機14の発電電力及び発電機14が発電した電力のDCバス10への供給等の制御を行う。
【0063】
(発電装置単独の動作)
図6は発電装置1の動作処理の一例を示すフロー図である。図6に基づき、発電装置1の動作処理について説明する。
【0064】
まず、配電システム100で発電装置1からDCバス10への電力の供給が行われている状態において、バス電圧検出部13が点T11における第1バス電圧Vbus1を検出する。制御部11は、第1バス電圧Vbus1がPV上限バス電圧V_HPよりも高いか否かを判定する(ステップS31)。
【0065】
第1バス電圧Vbus1がPV上限バス電圧V_HPよりも高い場合(ステップS31でYES)、制御部11は、発電機14の発電電力を抑制し、発電機14からDCバス10に供給する電力を抑制する(ステップS32)。DCバス10に供給される電力が余剰となっていると判断されるからである。
【0066】
第1バス電圧Vbus1がPV上限バス電圧V_HP以下の場合(ステップS31でNO)、制御部11は、第1バス電圧Vbus1がPV下限バス電圧V_LPよりも低いか否かを判定する(ステップS33)。
【0067】
第1バス電圧Vbus1がPV下限バス電圧V_LPよりも低い場合(ステップS33でYES)、制御部11は、発電機14の発電電力を増加させ(ステップS34)、発電機14からDCバス10に供給する電力を増加させる。DCバス10に供給される電力が不足となっていると判断されるからである。
【0068】
第1バス電圧Vbus1がPV下限バス電圧V_LP以上の場合(ステップS33でNO)、制御部11は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御等で発電機14の発電をそのまま継続する(ステップS35)。
【0069】
なお、図3の設定条件情報200に示すように、PV下限バス電圧V_LPが蓄電池下限バス電圧V_LBよりも低くなるように規定されていることにより、配電システム100においてバス電圧を主に蓄電装置2の充放電で維持し、蓄電装置2の充放電でバス電圧を適切な範囲内に維持できなくなった場合に、発電装置1の制御でバス電圧が適切な範囲となるように調整することができる。
【0070】
(電気自動車蓄電装置)
電気自動車蓄電装置3は、DCバス10の電圧を検出し、検出したDCバス10の電圧に基づきDCバス10から電気自動車に搭載される電気自動車蓄電池34への充電を行う。電気自動車蓄電装置3は、制御部31と、DC/DCコンバータ32と、バス電圧検出部33と、電気自動車蓄電池34と、記憶部35と、を備えている。
【0071】
電気自動車蓄電池34、例えば、電気自動車の電気モータを供給するための電力を蓄える蓄電池であり、再充電可能な電力貯蔵要素である。電気自動車蓄電池34はDCバス10から充電を行う。
【0072】
DC/DCコンバータ32は、電気自動車蓄電池34とDCバス10との間に配置される。DC/DCコンバータ32は、電気自動車蓄電池34の充電時に、DCバス10から供給される直流電圧の電圧変換を行う。
【0073】
バス電圧検出部33は、点T13のバス電圧の値であるバス電圧計測値Vbusを検出する。バス電圧検出部33は、検出したバス電圧計測値Vbusを制御部31に出力する。なお、以降では、電気自動車蓄電装置3が検出したバス電圧計測値Vbusを第3バス電圧Vbus3と称する場合がある。
【0074】
制御部31は電気自動車蓄電装置3の各部を統括して制御する。制御部31は、一例において、CPUであってもよい。制御部31は、記憶部35に記憶されているソフトウェアである制御プログラムを読み取ってRAM等のメモリに展開して各種機能を実行する。
【0075】
記憶部35は、電気自動車蓄電装置3が使用する各種データを記憶する。記憶部35は特に図3に示す設定条件情報200を記憶する。記憶部35は、設定条件情報200のうち、電気自動車蓄電装置3の動作に必要な情報のみを記憶していてもよい。
【0076】
制御部31は、バス電圧検出部33の検出結果及び設定条件情報200に基づき、電気自動車蓄電池34へのDCバス10からの充電を制御する。
【0077】
(電気自動車蓄電装置の動作)
図7は電気自動車蓄電装置3の動作処理の一例を示すフロー図である。図7に基づき、電気自動車蓄電装置3の動作処理について説明する。
【0078】
まず、配電システム100でDCバス10から電気自動車蓄電池34への充電が行われている状態において、バス電圧検出部33が点T13における第3バス電圧Vbus3を検出する。制御部31は、第3バス電圧Vbus3がEV蓄電池下限バス電圧V_LEよりも低いか否かを判定する(ステップS41)。
【0079】
第3バス電圧Vbus3がEV蓄電池下限バス電圧V_LEよりも低い場合(ステップS41でYES)、制御部31は、DCバス10から電気自動車蓄電池34に充電する電力を抑制する(ステップS42)。配電システム100内の電力が不足した場合に、負荷である一般電力消費装置4への電力供給をできる限り維持するようにするためである。
【0080】
第3バス電圧Vbus3がEV蓄電池下限バス電圧V_LE以上の場合(ステップS41でNO)、制御部31は、電気自動車蓄電池34へのDCバス10からの充電をそのまま継続する。
【0081】
(一般電力消費装置)
一般電力消費装置4は、DCバス10の電圧を検出し、検出したDCバス10の電圧に基づきDCバス10から供給される電力により負荷機器本体45を運転する。一般電力消費装置4は、制御部41と、変換器42と、バス電圧検出部43と、スイッチ44と、負荷機器本体45と、記憶部46と、を備えている。一般電力消費装置4は重要一般電力消費装置4Aと非重要一般電力消費装置4Bとに分けることができる。
【0082】
負荷機器本体45は、電力を消費して稼働する電気機器である。重要一般電力消費装置4Aは生活に不可欠な最低限の負荷機器本体45A(45)を含む。負荷機器本体45Aは例えば電球等である。非重要一般電力消費装置4Bは、負荷機器本体45A以外の負荷機器本体45Bを含む。負荷機器本体45Bは例えばエアコン等である。変換器42は、DCバス10と負荷機器本体45との間に配置される。変換器42はDCバス10から供給される直流電力を交流電力に変換する。一般電力消費装置4が直流駆動の場合には変換器42は、DCバス10から供給される直流電力を一般電力消費装置4に入力可能な直流電圧に変換する。
【0083】
バス電圧検出部43は、点T14のバス電圧の値であるバス電圧計測値Vbusを検出する。バス電圧検出部43は、検出したバス電圧計測値Vbusを制御部41に出力する。なお、以降では、一般電力消費装置4が検出したバス電圧計測値Vbusを第4バス電圧Vbus4と称する場合がある。
【0084】
スイッチ44は、DCバス10と変換器42との間に配置され、DCバス10と一般電力消費装置4とを接続または遮断する。なお、スイッチ44は変換器42に含まれていてもよい。
【0085】
制御部41は一般電力消費装置4の各部を統括して制御する。制御部41は、一例において、CPUであってもよい。制御部41は、記憶部46に記憶されているソフトウェアである制御プログラムを読み取ってRAM等のメモリに展開して各種機能を実行する。
【0086】
記憶部46は、一般電力消費装置4が使用する各種データを記憶する。記憶部46は特に図3に示す設定条件情報200を記憶する。記憶部46は、設定条件情報200のうち、一般電力消費装置4の動作に必要な情報のみを記憶していてもよい。
【0087】
制御部41は、一般電力消費装置4のバス電圧検出部43の検出結果及び設定条件情報200に基づき、スイッチ44を制御することで、DCバス10と一般電力消費装置4とを接続または遮断する。
【0088】
(一般電力消費装置の動作)
図8は一般電力消費装置4の動作処理の一例を示すフロー図である。図8に基づき、一般電力消費装置4の動作処理について説明する。
【0089】
まず、配電システム100でDCバス10から負荷機器本体45へ電力の供給が行われている状態において、バス電圧検出部43が点T14における第4バス電圧Vbus4を検出する。制御部41は、第4バス電圧Vbus4が一般負荷下限バス電圧V_LLよりも低いか否かを判定する(ステップS411)。
【0090】
第4バス電圧Vbus4が一般負荷下限バス電圧V_LLよりも低い場合(ステップS411でYES)、制御部41は、DCバス10から一般電力消費装置4を開放(遮断)する(ステップS412)。つまり、一般電力消費装置4へのDCバス10からの電力の供給は、電力が大幅に不足した場合のみ遮断される。これにより、一般電力消費装置4への電力供給は最終段階まで維持されるため、配電システム100において安定して一般電力消費装置4へ電力を供給することができる。
【0091】
第4バス電圧Vbus4が一般負荷下限バス電圧V_LL以上の場合(ステップS411でNO)、制御部41は一般電力消費装置4の運転を継続する(ステップS413)。
【0092】
(配電システムの動作処理)
図9から図11は配電システム100の動作処理の一例を示すフロー図である。図3で説明した設定に従って、図9から図11に基づき、各装置が上記の動作を実行したときの、配電システム100全体の動作処理の一例を説明する。前提として、配電システム100で、発電機14の発電(発電装置1からDCバス10への電力の供給)、電気自動車蓄電池34の充電(電気自動車蓄電装置3へのDCバス10からの電力の供給)、及び、負荷機器本体45の運転(一般電力消費装置4へのDCバス10から電力の供給)が行われているものとする。
【0093】
図9に示すように、まず、バス電圧検出部23が点T12における第2バス電圧Vbus2を検出する。制御部21は、第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBよりも高いか否かを判定する(ステップS51)。
【0094】
第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBよりも高い場合(ステップS51でYES)、制御部21は、「発電機14の発電電力」=「蓄電池28の充電電力」+「負荷」となるように、蓄電池28にDCバス10から充電を行う(ステップS52)。これにより、蓄電装置2で余剰電力を吸収する。
【0095】
ここで、「発電機14の発電電力」は「発電装置1からDCバス10に供給される電力」を示し、「蓄電池28の充電電力」は「DCバス10から蓄電装置2に供給される電力」を示す。また、「負荷」は「DCバス10から電気自動車蓄電装置3に供給する電力」及び「DCバス10から一般電力消費装置4に供給する電力」を示す。なお、以下において「負荷」は特記しない限り上記と同様の内容を示す。
【0096】
次に、蓄電池28にDCバス10からの充電を行っている状態において、電池電圧検出部26が電池電圧計測値Vbatを検出し、充電率検出部27が蓄電池28の充電率SOCを検出する。制御部21は、蓄電池28の充電率SOCが所定の充電率上限値SOC_Hより高いか、または、電池電圧計測値Vbatが所定の上限電池電圧Vbat_Hより高いか否かを判定する(ステップS53)。
【0097】
蓄電池28の充電率SOCが所定の充電率上限値SOC_Hより高い、または、電池電圧計測値Vbatが所定の上限電池電圧Vbat_Hより高い場合(ステップS53でYES)、制御部21は、蓄電池28のDCバス10からの充電電力を抑制または蓄電池28のDCバス10からの充電を停止する(ステップS54)。
【0098】
続いて、蓄電池28のDCバス10からの充電電力を抑制または蓄電池28のDCバス10からの充電を停止している状態において、バス電圧検出部13が点T11における第1バス電圧Vbus1を検出する。制御部11は、第1バス電圧Vbus1がPV上限バス電圧V_HPよりも高いか否かを判定する(ステップS55)。
【0099】
第1バス電圧Vbus1がPV上限バス電圧V_HPよりも高い場合(ステップS55でYES)、制御部11は、「抑制した発電機14の発電電力」=「負荷」+「蓄電池28の充電電力」となるように、発電機14の発電電力を抑制する(ステップS56)。なお、ステップ54において、制御部21が、蓄電池28のDCバス10からの充電を停止した場合は、ステップS56において、制御部11は、「抑制した発電機14の発電電力」=「負荷」となるように、発電機14の発電電力を抑制する。これにより、制御部11は、余剰となっているDCバス10に供給される電力を抑える。
【0100】
第1バス電圧Vbus1がPV上限バス電圧V_HP以下の場合(ステップS55でNO)、制御部11は、第1バス電圧Vbus1がPV下限バス電圧V_LPよりも低いか否かを判定する(ステップS58)。
【0101】
第1バス電圧Vbus1がPV下限バス電圧V_LPよりも低い場合(ステップS58でYES)、制御部11は、発電機14の発電電力を増加させ(ステップS59)、発電機14からDCバス10に供給する電力を増加させる。これにより、制御部11は、不足となっているDCバス10に供給される電力を増加させる。
【0102】
第1バス電圧Vbus1がPV下限バス電圧V_LP以上PV上限バス電圧V_HP以下の場合(ステップS58でNO)、制御部11は、現状の状態で発電機14の発電を継続させる(ステップS60)。
【0103】
なお、発電装置1が発電した電力が、一般電力消費装置4に必要な電力及び電気自動車蓄電池34への充電に必要な電力の合計よりも小さい場合、第1バス電圧Vbus1は蓄電池上限バス電圧V_HBよりも小さくなる。言い換えると、蓄電池上限バス電圧V_HBは、一般電力消費装置4に必要な電力及び電気自動車蓄電池34への充電に必要な電力の合計により設定される。そのため、ステップS60では、発電装置1が発電した電力は蓄電池28に充電されることなく、電気自動車蓄電装置3及び一般電力消費装置4に供給される。
【0104】
蓄電池28の充電率SOCが所定の充電率上限値SOC_H以下であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の上限電池電圧Vbat_H以下である場合(ステップS53でNO)、蓄電池28の充電率SOCが所定の充電率上限値SOC_H以下であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の上限電池電圧Vbat_H以下である限りにおいて、制御部21は、蓄電池28のDCバス10からの充電を継続する。具体的には、制御部21は、「発電機14の発電電力」=「蓄電池28の充電電力」+「負荷」の状態でシステム運転を継続する(ステップS57)。
【0105】
続いて、図10に示すように、図9のステップS51において、第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HB以下であった場合(ステップS51でNO、M1)、制御部21は、第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LBより低いか否かを判定する(ステップS61)。
【0106】
第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LBより低い場合(ステップS61でYES)、「発電機14の発電電力」+「蓄電池28の放電電力」+「AC」=「負荷」となるように、制御部21は蓄電池28からDCバス10への放電を行う(ステップS62)。ここで、「蓄電池28の放電電力」は「蓄電装置2からDCバス10に供給される電力」を示し、「AC」は商用電源50からDCバス10へ供給される電力を示す。
【0107】
その後、蓄電池28をDCバス10に放電させている状態で、電池電圧検出部26が電池電圧計測値Vbat検出し、充電率検出部27が蓄電池28の充電率SOCを検出する。制御部21は、充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_Lよりも小さいか、または、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_Lよりも小さいか否かを判定する(ステップS63)。
【0108】
充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_L以上であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_L以上となる場合(ステップS63でNO)、充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_L以上であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_L以上となる限りにおいて、制御部21は、配電システム100の運転を継続する(ステップS69)。具体的には、制御部21は、「発電機14の発電電力」+「蓄電池28の放電電力」+「AC」=「負荷」となる状態で、配電システム100の運転を継続する。これにより、蓄電池28の過放電を防ぎつつ、蓄電池28のDCバス10への放電を継続することができる。
【0109】
充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_Lよりも小さい、または、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_Lよりも小さい場合(ステップS63でYES)、制御部21は、蓄電池28のDCバス10への放電電力を抑制または蓄電池28のDCバス10への放電を停止する(ステップS64)。これにより、制御部21は、蓄電池28の過放電を防ぐことができる。
【0110】
次に、蓄電池28のDCバス10からの放電電力を抑制または蓄電池28のDCバス10への放電を停止している状態において、バス電圧検出部13が点T11における第1バス電圧Vbus1を検出する。制御部11は、第1バス電圧Vbus1がPV下限バス電圧V_LPよりも低いか否かを判定する(ステップS65)。
【0111】
第1バス電圧Vbus1がPV下限バス電圧V_LP以上の場合(ステップS65でNO)、制御部11は、現状の状態で発電機14の発電を継続させる(ステップS77)。
【0112】
第1バス電圧Vbus1がPV下限バス電圧V_LPよりも低い場合(ステップS65でYES)、制御部11は、発電機14の発電電力を可能な範囲で増加させる(ステップS66)。これによりDCバス10に供給される電力が不足を補うことができる。
【0113】
続いて、蓄電池28のDCバス10からの放電電力を抑制または蓄電池28のDCバス10への放電を停止し、発電機14の発電電力を可能な範囲で増加させている状態で、バス電圧検出部33が点T13における第3バス電圧Vbus3を検出する。制御部31は、第3バス電圧Vbus3がEV蓄電池下限バス電圧V_LEよりも低いか否かを判定する(ステップS67)。
【0114】
第3バス電圧Vbus3がEV蓄電池下限バス電圧V_LE以上の場合(ステップS67でNO)、制御部31は、電気自動車蓄電池34へのDCバス10からの充電を継続し、配電システム100の運転を継続させる(ステップS68)。具体的には、制御部31は、「増加させた発電機14の発電電力」+「蓄電池28の放電電力」+「AC」=「負荷」となるように、配電システム100の運転を継続させる。なお、ここでの「負荷」は、上述したように「DCバス10から電気自動車蓄電装置3に供給する電力」及び「DCバス10から一般電力消費装置4に供給する電力」である。
【0115】
また、ステップS64で蓄電池28の放電を停止している場合は、ステップS68では、制御部31は、「増加させた発電機14の発電電力」+「AC」=「負荷」となるように、配電システム100の運転を継続させる。
【0116】
第3バス電圧Vbus3がEV蓄電池下限バス電圧V_LEよりも低い場合(ステップS67でYES)、制御部31は、電気自動車蓄電池34へのDCバス10からの充電電力を抑制、または、電気自動車蓄電池34へのDCバス10からの充電を停止する(ステップS70)。これにより、DCバス10に供給される電力の不足を補うことができる。
【0117】
次に、電気自動車蓄電池34へのDCバス10からの充電電力を抑制または停止した状態で、バス電圧検出部43が点T14における第4バス電圧Vbus4を検出する。制御部41は、第4バス電圧Vbus4が一般負荷下限バス電圧V_LLよりも低いか否かを判定する(ステップS71)。
【0118】
第4バス電圧Vbus4が一般負荷下限バス電圧V_LL以上である場合(ステップS71でNO)、電気自動車蓄電池34へのDCバス10からの充電電力を抑制または停止した状態で、「発電機14の発電電力」+「AC」=「負荷」となるように配電システム100の運転を継続させる(ステップS75)。ここで、ステップS70で電気自動車蓄電池34へのDCバス10からの充電が停止されている場合、ステップS75で示す「負荷」は「DCバス10から一般電力消費装置4に供給する電力」のみとなる。
【0119】
第4バス電圧Vbus4が一般負荷下限バス電圧V_LLよりも低い場合(ステップS71でYES)、制御部41は、DCバス10から一般電力消費装置4を開放する(ステップS72)。
【0120】
DCバス10から一般電力消費装置4を開放した状態で、制御部41は、再度、第4バス電圧Vbus4が一般負荷下限バス電圧V_LLよりも低いか否かを判定する(ステップS73)。
【0121】
第4バス電圧Vbus4が一般負荷下限バス電圧V_LLよりも低く、第4バス電圧Vbus4を一般負荷下限バス電圧V_LL以上とすることができない場合(ステップS73でYES)、配電システム100を停止する(ステップS74)。
【0122】
第4バス電圧Vbus4が一般負荷下限バス電圧V_LL以上となる場合(ステップS73でNO)、制御部41は、重要一般電力消費装置4Aのみ稼働させ、「発電機14の発電電力」+「AC」=「重要負荷」として配電システム100の運転を継続させる(ステップS76)。ここでの重要負荷は、「重要一般電力消費装置4Aが消費する電力」を示す。
【0123】
続いて、図11に示すように、図10においてステップS61で、第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LB以上であった場合(ステップS61でNO、M2)、連系点電流検出部25が連系点電流計測値Igを検出し、制御部21は、連系点電流計測値Igが連系点電流閾値Ig_Hより高いか否かを判定する(ステップS81)。
【0124】
第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LB以上蓄電池上限バス電圧V_HB以下であり、連系点電流計測値Igが連系点電流閾値Ig_Hより高い場合(ステップS81でYES)、制御部21は、蓄電池28のDCバス10への放電を行い(ステップS82)、連系点電流計測値Igを連系点電流閾値Ig_H以下とし、商用電源50からの買電を抑制する。
【0125】
その後、充電率検出部27が蓄電池28の充電率SOCを検出し、電池電圧検出部26が電池電圧計測値Vbat検出する。制御部21は、充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_Lよりも小さいか、または、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_Lよりも小さいか否かを判定する(ステップS83)。
【0126】
充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_Lよりも小さい、または、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_Lよりも小さい場合(ステップS83でYES)、制御部21は、蓄電池28のDCバス10への放電電力を抑制して、配電システム100の運転を継続する(ステップS84)。具体的には、制御部21は、「発電機14の発電電力」+「抑制した蓄電池28の放電電力」+「AC」=「負荷」の状態で、配電システム100の運転を継続する。なお、ステップS84において、制御部21は、蓄電池28のDCバス10への放電を停止して、「発電機14の発電電力」+「AC」=「負荷」となるように配電システム100の運転を継続してもよい。
【0127】
これにより、制御部21は、蓄電池28の充電率SOCを充電率下限値SOC_L以上とする、または、電池電圧計測値Vbatを下限電池電圧Vbat_L以上とすることができるので、蓄電池28の過放電を防ぐことができる。
【0128】
充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_L以上であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_L以上となる場合(ステップS83でNO)、充電率SOCが所定の充電率下限値SOC_L以上であり、かつ、電池電圧計測値Vbatが所定の下限電池電圧Vbat_L以上の限りにおいて、制御部21は蓄電池28のDCバス10への放電電力を抑制せずに、配電システム100の運転を継続する(ステップS90)。具体的には、制御部21は、連系点電流計測値Igを連系点電流閾値Ig_H以下の範囲内において、「発電機14の発電電力」+「蓄電池28の放電電力」+「AC」=「負荷」の状態で配電システム100の運転を継続する。これにより、蓄電池28の過放電を防ぎつつ、蓄電池28のDCバス10への放電を継続することができる。
【0129】
第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LB以上蓄電池上限バス電圧V_HB以下であり、連系点電流計測値Igが連系点電流閾値Ig_H以下である場合(ステップS81でNO)、充電率検出部27が蓄電池28の充電率SOCを検出し、制御部21は、充電率SOCが定常SOC上限値SOC_SHより高いか否かを判定する(ステップS85)。
【0130】
充電率SOCが定常SOC上限値SOC_SHより高い場合(ステップS85でYES)、制御部21は、充電率SOCを低下させるために蓄電池28からDCバス10への放電を行い、配電システム100の運転を継続する(ステップS88)。具体的には、制御部21は、「発電機14の発電電力」+「AC」+「蓄電池28の放電電力」=「負荷」となるように配電システム100の運転を継続する。
【0131】
充電率SOCが定常SOC上限値SOC_SH以下の場合(ステップS85でNO)、制御部21は、充電率SOCが定常SOC下限値SOC_SLより低いか否かを判定する(ステップS86)。
【0132】
制御部21は、充電率SOCが定常SOC下限値SOC_SLより低い場合(ステップS86でYES)、制御部21は、充電率SOCを上昇させるために蓄電池28にDCバス10から充電を行い、配電システム100の運転を継続する(ステップS89)。具体的には、制御部21は、「発電機14の発電電力」+「AC」=「蓄電池28の充電電力」+「負荷」となるように配電システム100の運転を継続する。
【0133】
充電率SOCが定常SOC下限値SOC_SL以上定常SOC上限値SOC_SH以下の場合(ステップS86でNO)、制御部21は蓄電池28を待機させ、「発電機14の発電電力」+「AC」=「負荷」となるように配電システム100の運転を継続する(ステップS87)。このとき、蓄電池28は外部指令により充放電を行ってもよい。
【0134】
これにより、所定の定常充電率範囲になるように、DCバス10に対する充放電を制御することができ、蓄電池28の寿命を長くすることができる。また、DCバス10からの蓄電池28への充電を要する状況、あるいは蓄電池28からDCバス10への放電を要する状況のいずれが生じても対応できるようになる。
【0135】
電気自動車蓄電装置3及び一般電力消費装置4は配電システム100において必須の構成ではなく、配電システム100には、各装置として、蓄電装置2及び発電装置1を備えていればよい。
【0136】
その場合、配電システム100における配電方法は、例えば、DCバス10に対して電力を供給する発電装置1と、DCバス10に対する充放電を行う蓄電装置2と、を備えている配電システム100の配電方法である場合、発電装置1が、当該発電装置1が検出したDCバス10の電圧である第1バス電圧Vbus1がPV上限バス電圧V_HPよりも高い場合に、DCバス10に供給する電力を抑制し、第1バス電圧Vbus1がPV下限バス電圧V_LPよりも低い場合に、DCバス10に供給する電力を増加させる、発電装置制御ステップと、蓄電装置2が、当該蓄電装置2が検出したDCバス10の電圧である第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBより高い場合に、DCバス10からの充電を行い、第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LBよりも低い場合に、DCバス10への放電を行う、蓄電装置制御ステップと、を含み、PV上限バス電圧V_HP、蓄電池上限バス電圧V_HB、蓄電池下限バス電圧V_LB及びPV下限バス電圧V_LPは、この順に低くなるように定められている。
【0137】
このように、配電システム100では、配電システム100の各構成である発電装置1及び蓄電装置2はDCバス10に接続され、各装置がそれぞれ検出したバス電圧Vbusに基づいて制御される。すなわち、DCバス10に接続される各装置は、各装置から独立して制御される。そのため、配電システム100の制御に各装置をつなぐ通信回路が不要となるため、通信回線の不通によるシステムの運転停止を回避することができる。
【0138】
また、発電装置1の制御では第1バス電圧Vbus1に対して、PV上限バス電圧V_HP及びPV下限バス電圧V_LPが参照され、蓄電装置2の制御では第2バス電圧Vbus2に対して、蓄電池上限バス電圧V_HB及び蓄電池下限バス電圧V_LBが参照され、PV上限バス電圧V_HP、蓄電池上限バス電圧V_HB、蓄電池下限バス電圧V_LB及びPV下限バス電圧V_LPはこの順で低くなる。つまり、配電システム100では、主にバス電圧Vbusを蓄電装置2の充放電で維持し、蓄電装置2の充放電でバス電圧Vbusを適切な範囲内に維持できなくなった場合に、発電装置1の制御でバス電圧Vbusが適切な範囲となるように調整する。これにより、配電システム100において直流電力の効率的な配電を行うことができる。
【0139】
その結果、通信回線が不通となることによるシステム全体の運転停止を回避でき、直流電力の効率的な配電を行うことができる配電システムを実現することができる。
【0140】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0141】
実施形態2に係る配電システム100は、商用電源50の停電を検知した際の処理が含まれる点が実施形態1に係る配電システム100と異なり、他の点は同じである。
【0142】
蓄電装置2は、受電装置60に商用電源50からの受電がない場合には、第2バス電圧Vbus2が蓄電池下限バス電圧V_LB以上蓄電池上限バス電圧V_HB未満の場合にも、DCバス10への放電を行う。これにより、商用電源50が停電から復帰した際の配電システム100及び商用電源50への影響を小さくすることができる。
【0143】
(蓄電装置の動作処理)
図12及び図13は、本発明の実施形態2に係る配電システム100の蓄電装置2の動作処理の一例を示すフロー図である。図12及び図13に基づき、配電システム100の蓄電装置2の動作処理について説明する。
【0144】
図12に示すように、まず、制御部21は停電検出部24により商用電源50の停電が検出されたか否かを判定する(ステップS100)。停電検出部24が商用電源50の停電を検出した場合(ステップS100でYES)、制御部21は、蓄電池28の充放電を制御し、バス電圧検出部23が検出した第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBとなるように配電システム100を自立運転させる(ステップS130)。
【0145】
その後、制御部21は、第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBよりも高いか否かを判定する(ステップS131)。第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBよりも高い場合(ステップS131でYES)、制御部21はステップS102の処理を行う。第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HB以下の場合(ステップS131でNO、P12)、図13に示すステップS122の処理を行う。
【0146】
停電検出部24が商用電源50の停電を検出しない場合(ステップS100でNO)、制御部21は、ステップS101の処理を行う。
【0147】
なお、図12のステップS101からステップS105及び図13のステップS111からステップS125の処理は、図4のステップS1からステップS5及び図5のステップS11からステップS25と同じ処理となる。
【0148】
(配電システムの動作処理)
図14から図16は、本発明の実施形態2に係る配電システム100の蓄電装置2の動作処理の一例を示すフロー図である。図14から図16に基づき、配電システム100の蓄電装置2の動作処理について説明する。
【0149】
図14に示すように、まず、制御部21は停電検出部24により商用電源50の停電が検出されたか否かを判定する(ステップS200)。停電検出部24が商用電源50の停電を検出した場合(ステップS200でYES)、制御部21は、蓄電池28の充放電を制御し、バス電圧検出部23が検出した第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBとなるように配電システム100を自立運転させる(ステップS201)。
【0150】
その後、制御部21は、第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBよりも高いか否かを判定する(ステップS202)。第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HBよりも高い場合(ステップS202でYES)、ステップS252の処理を行う。第2バス電圧Vbus2が蓄電池上限バス電圧V_HB以下の場合(ステップS202でNO、M13)、図15に示すステップS262の処理を行う。
【0151】
停電検出部24が商用電源50の停電を検出しない場合(ステップS200でNO)、制御部21は、ステップS251の処理を行う。
【0152】
なお、図14のステップS251からステップS260、図15のステップS261からステップS277及び図16のステップS281からステップS290の処理は、図9のステップS51からステップS60、図10のステップS61からステップS77及び図11のステップS81からステップS90と同じ処理となる。ただし、実施形態2は商用電源50の停電の検出が含まれる場合の処理のため、商用電源50の停電が検出された場合、図9から図11で示す「AC」は図14から図16では「0(ゼロ)」となる。そのため、図14から図16では図9から図11で示す「AC」を「(AC)」として示している。
【0153】
また、本発明は、災害時等における停電での配電システムへの被害を抑えることにつながり、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標11の「包摂的で安全かつ強靭で持続可能な都市および人間居住を実現する」等の達成にも貢献するものである。
【0154】
〔ソフトウェアによる実現例〕
蓄電装置2、発電装置1、電気自動車蓄電装置3及び一般電力消費装置(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部11・21・31・41に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0155】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0156】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0157】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0158】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0159】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る配電システム(100)は、DCバス(10)と、前記DCバスの電圧を検出し、前記DCバスに対して電力を供給する発電装置(1)と、前記DCバスの電圧を検出し、前記DCバスに対する充放電を行う蓄電装置(2)と、を備えている配電システムであって、前記発電装置は、当該発電装置が検出した前記DCバスの電圧である第1バス電圧(Vbus1)が第1上限バス電圧(PV上限バス電圧V_HP)よりも高い場合に、前記DCバスに供給する電力を抑制し、前記第1バス電圧が第1下限バス電圧(PV下限バス電圧V_LP)よりも低い場合に、可能であれば前記DCバスに供給する電力を増加させ、前記蓄電装置は、当該蓄電装置が検出した前記DCバスの電圧である第2バス電圧(Vbus2)が第2上限バス電圧(蓄電池上限バス電圧V_HB)より高い場合に、前記DCバスからの充電を行い、前記第2バス電圧が第2下限バス電圧(蓄電池下限バス電圧V_LB)よりも低い場合に、前記DCバスへの放電を行い、前記第1上限バス電圧、前記第2上限バス電圧、前記第2下限バス電圧及び前記第1下限バス電圧は、この順に低くなるように定められている。
【0160】
上記構成によれば、配電システムの各構成である発電装置及び蓄電装置はDCバスに接続され、各装置がそれぞれ検出したバス電圧に基づいて制御される。すなわち、DCバスに接続される各装置は、各装置から独立して制御される。そのため、配電システムの制御に各装置をつなぐ通信回路が不要となるため、通信回線の不通によるシステムの運転停止を回避することができる。
【0161】
また、発電装置の制御では第1バス電圧に対して、第1上限バス電圧及び第1下限バス電圧が参照され、蓄電装置の制御では第2バス電圧に対して、第2上限バス電圧及び第2下限バス電圧が参照され、第1上限バス電圧、第2上限バス電圧、第2下限バス電圧及び第1下限バス電圧はこの順で低くなる。つまり、本配電システムでは、主にバス電圧を蓄電装置の充放電で維持し、蓄電装置の充放電でバス電圧を適切な範囲内に維持できなくなった場合に、発電装置の制御でバス電圧が適切な範囲となるように調整する。これにより、配電システムにおいて直流電力の効率的な配電を行うことができる。
【0162】
その結果、通信回線が不通となることによるシステム全体の運転停止を回避でき、直流電力の効率的な配電を行うことができる配電システムを実現することができる。
【0163】
本発明の態様2に係る配電システム(100)は、上記態様1において、前記蓄電装置(1)は、前記蓄電装置が備える蓄電池(24)の充電率(SOC)が所定の充電率上限値(SOC_H)以下であり、かつ、前記蓄電池の電圧である電池電圧(電池電圧計測値Vbat)が所定の上限電池電圧(Vbat_H)以下である限りにおいて、前記DCバス(10)への充電を行い、前記充電率が所定の充電率下限値(SOC_L)以上であり、かつ、前記電池電圧が所定の下限電池電圧(Vbat_L)以上である限りにおいて、前記DCバスへの放電を行ってもよい。
【0164】
上記構成によれば、充電率及び電池電圧を考慮して配電システム内の配電を行うことができるので、蓄電装置の過充電及び過放電を防ぎつつ、充放電を行うことができる。
【0165】
本発明の態様3に係る配電システム(100)は、上記態様1において、商用電源(50)から受電する電力を前記DCバス(10)に供給する受電装置(60)を更に備えており、前記蓄電装置(2)は、前記DCバスが前記受電装置を通じて前記商用電源から受け入れる電流である連系点電流(連系点電流計測値Ig)を検出し、前記第2バス電圧(Vbus2)が前記第2下限バス電圧(蓄電池下限バス電圧V_LB)以上前記第2上限バス電圧(蓄電池上限バス電圧V_HB)以下であり、前記連系点電流が所定の連系点電流閾値(Ig_H)よりも高い場合、前記蓄電装置が備える蓄電池(28)の充電率(SOC)が所定の充電率下限値(SOC_L)以上であり、かつ、前記蓄電池の電圧である電池電圧(電池電圧計測値Vbat)が所定の下限電池電圧(Vbat_L)以上である限りにおいて、前記DCバスへの放電を行ってもよい。
【0166】
上記構成によれば、所定の範囲内において蓄電装置からの放電により商用電源から供給される電力を少なくすることができるため、例えば、可能な限り蓄電装置からの放電により、商用電源からの電力の供給を契約範囲内に収めることができる。
【0167】
本発明の態様4に係る配電システム(100)は、上記態様3において、前記蓄電装置(2)は、前記第2バス電圧(Vbus2)が前記第2下限バス電圧(蓄電池下限バス電圧V_LB)以上前記第2上限バス電圧(蓄電池上限バス電圧V_HB)以下であり、前記連系点電流(連系点電流計測値Ig)が前記連系点電流閾値(連系点電流閾値Ig_H)以下の場合、前記充電率(SOC)が、前記充電率下限値(SOC_L)よりも高く所定の充電率上限値(SOC_H)よりも低い、所定の定常充電率範囲になるように、前記DCバス(10)に対する充放電を制御してもよい。
【0168】
上記構成によれば、連系点電流が連系点電流閾値以下の場合は、蓄電池の充電率が定常充電率上限値以下、定常充電率下限値以上の範囲となるように充放電が実施される。連系点電流閾値が契約電力基づき設定されている場合、連系点電流が連系点電流閾値以下であることは、つまり、現在の商用電源からの受電が契約電力内であることを示す。すなわち、配電システム内では蓄電装置の充放電制御に頼らなくてよい状況となる。そのため、このような状況下では、蓄電池を最適な充電率に保つ制御を行うことが望ましい。よって、定常充電率上限値及び定常充電率下限値を蓄電池の充電率が最適になるように設定することで、蓄電池の寿命を長くすることができる。
【0169】
本発明の態様5に係る配電システム(100)は、上記態様1から4のいずれかにおいて、商用電源(50)から受電する電力を前記DCバス(10)に供給する受電装置(60)を更に備えており、前記蓄電装置(2)は、前記受電装置に前記商用電源からの受電がない場合には、前記第2バス電圧(Vbus2)が第2下限バス電圧(蓄電池下限バス電圧V_LB)以上前記第2上限バス電圧(蓄電池上限バス電圧V_HB)未満の場合にも、前記DCバスへの放電を行ってもよい。
【0170】
上記構成によれば、商用電源が停電した際は、第2バス電圧に関係なくDCバスへの放電を行うことができ、停電でなければ得られていた商用電源からの電力の供給を、可能な限り蓄電装置の放電で補うことができる。これにより、商用電源が停電から復帰した際の配電システム及び商用電源への影響を小さくすることができる。
【0171】
本発明の態様6に係る配電システム(100)は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記DCバス(10)の電圧を検出し、前記DCバスから充電を行う電気自動車蓄電装置(3)をさらに備え、前記電気自動車蓄電装置は、当該電気自動車蓄電装置が検出した前記DCバスの電圧である第3バス電圧(Vbus3)が第3下限バス電圧(EV蓄電池下限バス電圧V_LE)よりも低い場合に、前記DCバスから充電する電力を抑制し、前記第3下限バス電圧は、前記第1下限バス電圧(PV下限バス電圧V_LP)よりも低く定められていてもよい。
【0172】
上記構成によれば、蓄電装置、発電装置及び電気自動車蓄電装置を備える配電システムにおいて、蓄電装置及び発電装置の電力の調整によりバス電圧を適切な範囲内に維持できなくなった場合に、電気自動車蓄電装置への充電を抑制することで、可能な限りバス電圧を正常な範囲内に維持することができる。その結果、配電システムにおいてより安定した配電を行うことができる。また、DCバスに一般電力消費装置が接続されており、配電システム内の電力が不足した場合に、負荷である一般電力消費装置負荷への電力供給をできる限り維持することができる。
【0173】
本発明の態様7に係る配電方法は、上記態様6において、前記DCバス(10)の電圧を検出し、前記DCバスから電力が供給される一般電力消費装置(4)をさらに備え、前記一般電力消費装置は、当該一般電力消費装置が検出した前記DCバスの電圧である第4バス電圧(Vbus4)が第4下限バス電圧(一般負荷下限バス電圧V_LL)より低い場合に、前記DCバスから当該一般電力消費装置を遮断し、前記第4下限バス電圧は、前記第3下限バス電圧(EV蓄電池下限バス電圧V_LE)よりも低く定められていてもよい。
【0174】
上記構成によれば、蓄電装置、発電装置、電気自動車蓄電装置及び一般電力消費装置を備える配電システムにおいて、蓄電装置、発電装置及び電気自動車蓄電装置による電力の調整によりバス電圧を維持できなくなった場合にのみ、一般電力消費装置がDCバスから遮断される。つまり、一般電力消費装置への電力供給は最終段階まで維持される。そのため、配電システムにおいて安定して一般電力消費装置へ電力を供給することができる。
【0175】
本発明の態様8に係る配電方法は、DCバス(10)に対して電力を供給する発電装置(1)と、前記DCバスに対する充放電を行う蓄電装置(2)と、を備えている配電システム(100)の配電方法であって、前記発電装置が、当該発電装置が検出した前記DCバスの電圧である第1バス電圧(Vbus1)が第1上限バス電圧(PV上限バス電圧V_HP)よりも高い場合に、前記DCバスに供給する電力を抑制し、前記第1バス電圧が第1下限バス電圧(PV下限バス電圧V_LP)よりも低い場合に、前記DCバスに供給する電力を増加させる、発電装置制御ステップと、前記蓄電装置(2)が、当該蓄電装置が検出した前記DCバスの電圧である第2バス電圧(Vbus2)が第2上限バス電圧(蓄電池上限バス電圧V_HB)より高い場合に、前記DCバスからの充電を行い、前記第2バス電圧が第2下限バス電圧(蓄電池下限バス電圧V_LB)よりも低い場合に、前記DCバスへの放電を行う、蓄電装置制御ステップと、を含み、前記第1上限バス電圧、前記第2上限バス電圧、前記第2下限バス電圧及び前記第1下限バス電圧は、この順に低くなるように定められている。上記構成によれば、態様1と同様の効果を奏する。
【0176】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0177】
1 発電装置
2 蓄電装置
3 電気自動車蓄電装置
4 一般電力消費装置
10 DCバス
28 蓄電池
50 商用電源
60 受電装置
100 配電システム
Ig 連系点電流計測値(連系点電流)
Ig_H 連系点電流閾値
SOC 充電率
SOC_H 充電率上限値
SOC_L 充電率下限値
Vbat 電池電圧計測値(電池電圧)
Vbat_H 上限電池電圧
Vbat_L 下限電池電圧
Vbus バス電圧計測値(バス電圧)
Vbus1 第1バス電圧(バス電圧)
Vbus2 第2バス電圧(バス電圧)
Vbus3 第3バス電圧(バス電圧)
Vbus4 第4バス電圧(バス電圧)
V_HP PV上限バス電圧(第1上限バス電圧)
V_LP PV下限バス電圧(第1下限バス電圧)
V_HB 蓄電池上限バス電圧(第2上限バス電圧)
V_LB 蓄電池下限バス電圧(第2下限バス電圧)
V_LE EV蓄電池下限バス電圧(第3下限バス電圧)
V_LL 一般負荷下限バス電圧(第4下限バス電圧)
図1
図2
図3
図4
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図16