(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109366
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】発注管理装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240806BHJP
【FI】
G06Q30/0601
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014117
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成井 智祐
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB58
5L049BB58
(57)【要約】
【課題】在宅勤務およびフリーアドレス制の導入された施設において、好適に従業員の弁当の発注を管理することができる発注管理装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】発注予定情報DB81には、従業員10の弁当の発注有無および従業員10が弁当を受け取るための施設内の弁当の配送場所が記録されている。CPU41は、従業員10を識別可能な端末62,携帯端末60から取得した情報に基づき、従業員10の当日の作業場所を特定する。CPU41は、特定された作業場所に基づき、発注予定情報を変更する。CPU41は、弁当の当日の発注予定時刻における発注予定情報に基づき、当日分の弁当の発注処理を行う。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内で勤務する従業員の弁当の発注を管理する発注管理装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記メモリは、当日分の前記弁当の発注予定情報を記憶し、
前記発注予定情報には、前記従業員の前記弁当の発注有無および前記従業員が前記弁当を受け取るための前記施設内の前記弁当の配送場所が記録されており、
前記プロセッサは、
前記従業員を識別可能な識別装置から取得した情報に基づき、前記従業員の当日の作業場所を特定し、
特定された前記作業場所に基づき、前記発注予定情報を変更し、
前記弁当の当日の発注予定時刻における前記発注予定情報に基づき、当日分の前記弁当の発注処理を行う、発注管理装置。
【請求項2】
前記識別装置は、前記従業員が使用する端末であり、
前記端末へのログインにより前記従業員が識別可能であり、
前記端末は、前記従業員が前記施設内で使用する第1の端末と、前記従業員が前記施設外で使用する第2の端末とを含み、
前記プロセッサは、
前記発注予定時刻までに前記第1の端末にログインした第1の従業員の前記作業場所が前記施設内であると判断し、
前記発注予定時刻までに前記第2の端末にログインした第2の従業員の前記作業場所が前記施設外であると判断し、
前記第2の従業員および前記発注予定時刻までに前記端末へのログインがなかった第3の従業員の前記発注有無を発注無に変更する、請求項1に記載の発注管理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1の端末が接続する前記施設内のネットワークに応じて、前記第1の従業員の前記作業場所を特定し、
特定された前記作業場所に応じて、前記第1の従業員の前記配送場所を変更する、請求項2に記載の発注管理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第2の従業員が使用する前記第2の端末に対して、前記弁当の発注がキャンセルされた旨を通知し、
前記第1の従業員の前記配送場所が変更された場合、前記第1の従業員が使用する前記第1の端末に対して、前記配送場所を通知する、請求項3に記載の発注管理装置。
【請求項5】
前記識別装置は、前記従業員を識別可能であって、前記従業員が携帯する携帯端末であり、
前記施設には、前記携帯端末と通信可能な通信装置が設けられており、
前記作業場所は、第1作業場所と第2作業場所とを含み、
前記通信装置は、前記第1作業場所に設置された第1通信装置と、前記第2作業場所に設置された第2通信装置とを含み、
前記プロセッサは、
前記発注予定時刻までに前記第1通信装置と通信した前記携帯端末を携帯する前記従業員の前記作業場所が前記第1作業場所であると判断し、
前記発注予定時刻までに前記第2通信装置と通信した前記携帯端末を携帯する前記従業員の前記作業場所が前記第2作業場所であると判断し、
判断された前記作業場所に応じて、前記従業員の前記配送場所を変更する、請求項1に記載の発注管理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記発注予定時刻までに前記通信装置と通信しなかった前記携帯端末を携帯する前記従業員の前記発注有無を発注無に変更する、請求項5に記載の発注管理装置。
【請求項7】
前記通信装置は、空調機である、請求項5または請求項6に記載の発注管理装置。
【請求項8】
施設内で勤務する従業員の弁当の発注を管理する発注管理装置の制御方法であって、
当日分の前記弁当の発注予定情報を記憶するステップを備え、
前記発注予定情報には、前記従業員の前記弁当の発注有無および前記従業員が前記弁当を受け取るための前記施設内の前記弁当の配送場所が記録されており、
前記従業員を識別可能な識別装置から取得した情報に基づき、前記従業員の当日の作業場所を特定するステップと、
特定された前記作業場所に基づき、前記発注予定情報を変更するステップと、
前記弁当の当日の発注予定時刻における前記発注予定情報に基づき、当日分の前記弁当の発注処理を行うステップとをさらに備える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施設内で勤務する従業員の弁当の発注を管理する発注管理装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスがある施設内において、従業員の福利厚生の一環として昼食を補助することが広く行われている。この実施形態の一つとして、発注された数の弁当を従業員が勤務する各フロアに業者が配送し、従業員が各自これを取りに行って自席で食べる方式がある。
【0003】
弁当を発注するシステムとして、特開2008-225990号公報(特許文献1)には、弁当を必要とする日付および弁当の種別を含む予約注文を社員が端末装置に入力すると、予約注文が弁当発注管理サーバに送信されるという弁当発注管理システムが開示されている。
【0004】
ところで、上述した自席で食べる方式では、従業員が作業するフロアが固定されていることが前提になっている。一方、近年、新型コロナウイルス感染症の対策としての在宅勤務、あるいは、従業員の生産性向上を意図したフリーアドレス制の導入が一部のオフィスで進められている。フリーアドレス制においては、従業員が固定席を持たず、自由な座席を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
在宅勤務、フリーアドレス制といった勤務形態は、上記の前提を崩すものである。たとえば、在宅勤務による発注取り消し漏れによるフードロスの発生、あるいは、フリーアドレス性によるフロアごとの発注数と配送数の不一致により、席を移動した従業員が他のフロアまで弁当を取りにいかなければならないといった不都合が生じ得る。
【0007】
上記弁当発注管理システムでは、このような発注内容の流動的な変化に自動的に対応するといったことは想定されておらず、弁当の発注管理において未だ改良の余地があった。
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、在宅勤務およびフリーアドレス制の導入された施設において、好適に従業員の弁当の発注を管理することができる発注管理装置およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る発注管理装置は、施設内で勤務する従業員の弁当の発注を管理する装置である。発注管理装置は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備える。メモリは、当日分の弁当の発注予定情報を記憶する。発注予定情報には、従業員の弁当の発注有無および従業員が弁当を受け取るための施設内の弁当の配送場所が記録されている。プロセッサは、従業員を識別可能な識別装置から取得した情報に基づき、従業員の当日の作業場所を特定する。プロセッサは、特定された作業場所に基づき、発注予定情報を変更する。プロセッサは、弁当の当日の発注予定時刻における発注予定情報に基づき、当日分の弁当の発注処理を行う。
【0010】
本開示に係る制御方法は、施設内で勤務する従業員の弁当の発注を管理する発注管理装置の制御方法である。制御方法は、当日分の弁当の発注予定情報を記憶するステップを備える。発注予定情報には、従業員の弁当の発注有無および従業員が弁当を受け取るための施設内の弁当の配送場所が記録されている。制御方法は、従業員を識別可能な識別装置から取得した情報に基づき、従業員の当日の作業場所を特定するステップと、特定された作業場所に基づき、発注予定情報を変更するステップと、弁当の当日の発注予定時刻における発注予定情報に基づき、当日分の弁当の発注処理を行うステップとをさらに備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、在宅勤務およびフリーアドレス制の導入された施設において、好適に従業員の弁当の発注を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る発注管理システムの構成を示す図である。
【
図2】発注管理装置等のハードウェア構成を示す図である。
【
図6】フロアと弁当の配送を説明するための図である。
【
図8】フロアと弁当の配送を説明するための図である。
【
図9】4階の居室Aにおけるログイン状況および弁当の発注を説明するための図である。
【
図10】3階の居室Bにおけるログイン状況および弁当の発注を説明するための図である。
【
図11】発注管理装置が実行するメイン処理のフローチャートである。
【
図12】発注管理装置が実行するメイン処理のフローチャートである。
【
図13】第2実施形態に係る発注管理システムの構成を示す図である。
【
図14】発注管理装置等のハードウェア構成を示す図である。
【
図17】発注管理装置が実行するメイン処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る発注管理システム100の構成を示す図である。
図2は、発注管理装置50等のハードウェア構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、発注管理システム100は、発注管理装置50と、機器管理装置40と、識別装置としての端末62a,62bとを含む。ここで、端末62a,62bを総称して、端末62とも称する。
【0016】
端末62(端末62a,62b)は、施設内で勤務する従業員10が使用する端末である。本実施の形態における施設は、会社Aが保有するオフィスビルである。ここで、従業員10は「ユーザ」とも称し、従業員10(ユーザ)は、後述するユーザN1~N13を含む。
【0017】
発注管理装置50は、従業員10の弁当の発注を管理する装置である。弁当の発注は、会社Aの毎営業日に行われる。発注管理装置50は、弁当の発注を行う当日の朝から発注確定時刻までの端末62のネットワーク接続状況に基づき、従業員10の作業場所を識別する。
【0018】
そして、発注管理装置50は、識別した各従業員10の作業場所をフロア(居室)ごとに集計し、発注数を確定する。さらに、発注管理装置50は、基本発注内容からの変更(在宅勤務による発注取消)や受取場所を従業員10に通知する。
【0019】
施設内には、たとえば、4階に居室A、3階に居室Bが設けられている。各居室には、通信装置としてルータ201が設けられている。端末62aは、従業員10が施設内で使用する端末である。出勤すると、従業員10は、施設内に設置された端末62aにログインする。端末62aは、ルータ201を介して施設内のネットワークに接続可能である。端末62aと施設内のネットワークとは、無線で接続するようにしてもよいし、有線で接続するようにしてもよい。
【0020】
機器管理装置40は、ルータ201等の施設内に設置された機器類を管理するとともに、端末62からアクセス可能なサーバ装置である。端末62aは、ルータ201を介して機器管理装置40と接続する。機器管理装置40は、端末62aがいずれの居室のルータ201を介して機器管理装置40にアクセスしているかを把握している。
【0021】
また、従業員10は、在宅勤務を行ってもよい。端末62bは、従業員10が施設外である自宅で使用する端末である。在宅勤務において、従業員10は、自宅に設置された端末62bにログインする。この場合、端末62bは、自宅からのVPN(Virtual Private Network)接続によって機器管理装置40にアクセスするものとする。これにより、端末62aと同様に、端末62bも機器管理装置40にアクセス可能となる。なお、外部からA社内のネットワークに接続可能なものであれば、どのような方式によって接続を行ってもよい。
【0022】
端末62(端末62a,62b)には、カードリーダ63が接続されている。従業員10は、従業員専用のICカード64を所持している。このICカード64は、社員証と兼用であってもよい。本実施の形態においては、カードリーダ63にICカード64を読み込ませることで、端末62にログイン可能に構成されている。なお、カードリーダ63を用いずに、端末62にユーザIDおよびパスワードを入力して、端末62にログインするようにしてもよい。このように、従業員10は、端末62(端末62a,62b)へのログインにより識別可能である。
【0023】
本実施の形態においては、施設内において、従業員10が固定席を持たず自由な座席を使用することができるフリーアドレス制が採用されているものとする。従業員10は、どの階のどの居室で作業してもよい。
【0024】
たとえば、4階の居室Aで作業を行う場合、従業員10は、居室Aに設置された端末62aにログインする。この場合、端末62aは、居室Aに設置されたルータ201を介して機器管理装置40にアクセスする。ユーザAが端末62aにログインした場合、発注管理装置50または機器管理装置40において、ユーザAが居室Aで作業していることを把握可能である。
【0025】
3階の居室Bで作業を行う場合、従業員10は、居室Bに設置された端末62aにログインする。この場合、端末62aは、居室Bに設置されたルータ201を介して機器管理装置40にアクセスする。これにより、発注管理装置50または機器管理装置40において、従業員10が居室Bで作業していることを把握可能である。ユーザBが端末62aにログインした場合、発注管理装置50または機器管理装置40において、ユーザBが居室Bで作業していることを把握可能である。
【0026】
図2に示すように、機器管理装置40は、通信網NWに接続されている。通信網NWには、機器管理装置40、発注管理装置50、端末62が接続されている。発注管理装置50は、機器管理装置40を介して、端末62のログイン情報およびアクセス情報等を取得可能である。
【0027】
端末62は、たとえば、ノートパソコンやパーソナルコンピュータ等である。端末62は、各種情報を表示する表示部61を備える。表示部61は、たとえば、液晶表示部、ディスプレイ等である。
【0028】
発注管理装置50は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)41と、通信装置としてのI/F(Interface)装置44と、記憶装置としての、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43および記憶装置45とを含んで構成される。CPU41、RAM42、ROM43、I/F装置44、および記憶装置45は、通信バス46を通じて各種データをやり取りする。
【0029】
CPU41は、ROM43に格納されているプログラムをRAM42に展開して実行する。ROM43に格納されているプログラムには、発注管理装置50によって実行される処理が記述されている。
【0030】
I/F装置44は、機器管理装置40等と通信する。I/F装置44は、機器管理装置40および端末62とデータをやり取りするための入出力装置である。発注管理装置は、I/F装置44を介して、機器管理装置40が検出した端末62のログイン情報およびアクセス情報等を受信する。
【0031】
記憶装置45は、各種情報を記憶するストレージである。記憶装置45には、後述するユーザテーブル71、ネットワークテーブル72、発注予定情報DB(データベース)881等が記憶されている。
【0032】
なお、図示しないが、機器管理装置40および端末62も、発注管理装置50と同様に、CPU、RAM、ROM、I/F装置および記憶装置を含んで構成される。
【0033】
図3は、ユーザテーブル71の一例である。上述のように、記憶装置45は、ユーザテーブル71を記憶する。ユーザテーブル71は、施設内で勤務する従業員(ユーザ)の情報を記録したテーブルである。
【0034】
ユーザテーブル71には、従業員(ユーザ)に割り振られたユーザID、ユーザIDに対応するユーザ名、通常時に勤務(作業)している居室、組織内での所属部門等が記録されている。
【0035】
たとえば、ユーザID「ID0001」のユーザ名は「N1(「ユーザN1」とも表記する)」であり、通常は「居室A」で作業をしている。たとえば、ユーザN1の所属部門は開発部であり、開発部の居室として居室Aが割当てられているような状況が想定される。ユーザN1は、居室A以外の居室でも自由に作業することができる。
【0036】
ユーザID「ID0002」のユーザ名は「N2(「ユーザN2」とも表記する)」であり、通常は「居室A」で作業をしている。ユーザID「ID0005」のユーザ名は「N5(「ユーザN5」とも表記する)」であり、通常は「居室B」で作業をしている。
【0037】
図4は、ネットワークテーブル72の一例である。上述のように、記憶装置45は、ネットワークテーブル72を記憶する。ネットワークテーブル72は、施設内でアクセス可能なネットワークの情報を記録したテーブルである。
【0038】
ネットワークテーブル72には、施設内のネットワークとその接続場所が記録されている。たとえば、ネットワークAの接続場所は居室A(4階)である。ネットワークBの接続場所は居室B(3階)である。ネットワークCの接続場所は居室C(2階)である。
【0039】
図1において、端末62aが4階の居室Aに設置されたルータ201を介してネットワークに接続した場合、端末62aはネットワークAに接続される。端末62aが3階の居室Bに設置されたルータ201を介してネットワークに接続した場合、端末62aはネットワークBに接続される。
【0040】
機器管理装置40あるいは発注管理装置50は、端末62aがどのネットワークに接続しているかを検出することが可能である。そして、ネットワークテーブル72を用いれば、端末62aがどの居室からアクセスしているかを把握することができる。
【0041】
たとえば、端末62aがネットワークAに接続している場合、端末62aを利用するユーザが4階の居室Aで作業していることが分かる。端末62aがネットワークBに接続している場合、端末62aを利用するユーザが3階の居室Bで作業していることが分かる。
【0042】
図5は、発注予定情報DB81の一例である。発注予定情報DB81は、当日分の弁当の発注予定情報が記録されたデータベースである。発注予定情報DB81は、基本となる発注情報が記録されたDBがあり、このDBをコピーすることで生成される。その後、発注予定情報DB81は、ユーザの作業場所に応じて書き換えられる。
【0043】
発注予定情報DB81に記録された発注予定情報には、ユーザの弁当の発注有無およびユーザが弁当を受け取るための施設内の弁当の配送場所等が記録されている。発注予定情報は、ユーザIDに対応する、ユーザ名、所属、配送場所、発注有無、発注内容、作業場所等を含む。
【0044】
弁当は、各居室に配送されるものとする。たとえば、ユーザの作業場所が4階の居室Aである場合、弁当の配送場所として居室Aが設定される。
【0045】
発注予定情報の、ユーザID、ユーザ名および所属は、
図3のユーザテーブル71の内容が転記されたものである。また、ユーザテーブル71の「居室」はユーザが通常作業する居室であるが、発注予定情報DB81の「配送場所」にはユーザテーブル71の「居室」が転記される。
【0046】
発注予定情報の「発注有無」は、弁当の発注有無であり、「有」が設定されている場合は弁当が配送され、「無」が設定されている場合は弁当が配送されない。「発注内容」には、注文する弁当の種類(弁当A、弁当B、弁当C等)が設定される。
【0047】
これらのデータは、事前に設定されており、設定変更しない限り、発注予定情報DB81に基づいて弁当が毎日配送される。たとえば、ユーザID「ID0001」のユーザN1は、通常は居室Aで作業しているため、原則として居室Aに弁当が配送される。ユーザID「ID0008」のユーザN8は、通常は居室Bで作業しているが、発注有無が「無」に設定されているため、ユーザN8の分の弁当は配送されない。
【0048】
図6は、フロアと弁当の配送を説明するための図である。
図6に示すように、4階のフロア1には、居室Aが設けられている。3階のフロア2には、居室Bが設けられている。居室Aおよび居室Bにはそれぞれ12個のデスクが用意されており、各ユーザは好きなデスクを選択して作業することができる。
【0049】
図5の発注予定情報DB81に示したように、ユーザN1~N4は、通常、4階の居室Aで作業を行っている。ユーザN5~N10は、通常は3階の居室Bで作業を行っている。
【0050】
居室Aにおいては、ユーザN1~N4(4人)の発注有無が「有」に選択されているため、居室Aには、通常であれば4つの弁当が配送される予定である。一方、居室Bにおいては、ユーザN5~N10(6人)のうち、ユーザN8以外のユーザの発注有無が「有」に選択されているため、居室Bには、通常であれば5つの弁当が配送される予定である。
【0051】
発注管理装置50は、ユーザを識別可能な識別装置(端末62)から取得した情報に基づき、ユーザの当日の作業場所を特定する。そして、発注管理装置50は、特定された作業場所に基づき、発注予定情報を変更する。以下、
図7,
図8を用いて、発注予定情報の変更の具体例を説明する。
【0052】
図7は、発注予定情報DB81の一例である。
図8は、フロアと弁当の配送を説明するための図である。ユーザの作業場所が特定された場合、
図5の発注予定情報DB81のデータにおいて、「作業場所」の項目が設定される。
【0053】
図6の状態からの変更として、
図8に示すように、ユーザN2およびユーザN10は、在宅勤務(VPN接続)を行い、ユーザN4は欠勤したとする。さらに、ユーザN5は、通常の作業場所である居室Bでなく、居室Aに移動して作業をしているとする。
【0054】
この場合、
図7に示す発注予定情報DB81において、ユーザN2,N10の作業場所は「在宅勤務(VPN接続)」が設定され、ユーザN5の作業場所は「居室A」に設定される。ユーザN4は欠勤しているため、作業場所には「-」が設定されている。その他のユーザは、通常の作業場所からの変更がない。
【0055】
発注予定情報DB81の「配送場所」および「発注有無」は、「作業場所」の設定に基づき変更される。ユーザN2,N10の作業場所は「在宅勤務(VPN接続)」が設定されており、弁当が不要となるため、「発注有無」が「有」から「無」に変更される。ユーザN4の作業場所は「-」(欠勤)が設定されており、弁当が不要となるため、「発注有無」が「有」から「無」に変更される。ユーザN5の作業場所は「居室A」に設定されているため、「配送場所」は「居室B」から「居室A」に変更されている。
【0056】
その結果、居室Aでの弁当の発注数は「4個」から「3個」に変更される。また、居室Bでの弁当の発注数は「5個」から「3個」に変更される。
【0057】
弁当の発注は、当日朝(たとえば、午前4時)から、発注時刻(たとえば、午前10)までの間のユーザのログイン状況に基づいて行われる。
図9は、4階の居室Aにおけるログイン状況および弁当の発注を説明するための図である。
図10は、3階の居室Bにおけるログイン状況および弁当の発注を説明するための図である。
【0058】
図9に示すように、居室Aから接続可能なネットワークAにおいて、午前4時以降、まず、ユーザN1がログインし、次にユーザN5がログインしている。ユーザN2は、自宅からVPN接続を行っている。さらに、ネットワークA(居室A)にユーザN3がログインし、その後、発注時刻(午前10時)に至り、発注が行われる。
【0059】
これにより、
図7,
図8を用いて説明したように、ネットワークA(居室A)においてログインしたN1,N5,N3の分の3つの弁当が発注されている。弁当の注文がキャンセルされたユーザN2に対しては、弁当発注がキャンセルされた旨が通知される。たとえば、
図9に示すように、ユーザN2が使用する端末62bには「弁当の注文がキャンセルされました」というメッセージ111が送信される。
【0060】
また、弁当の配送場所が居室Bから居室Aに変更されたユーザN5に対しては、配送場所が通知される。ユーザN5が使用する端末62aには「受け取り場所は居室Aです」というメッセージ113が送信される。
【0061】
受け取り場所に変更がないユーザN1,N3に対しては通知を行わなくてもよいが、
図9に示すように、ユーザN1,N2が使用する端末62aに「受け取り場所は居室Aです」というメッセージ112,114が送信するようにしてもよい。
【0062】
図10に示すように、居室Bから接続可能なネットワークBにおいて、午前4時以降、ユーザN9,N8,N6,N7の順にログインしている。ユーザN10は、自宅からVPN接続を行っている。その後、発注時刻(午前10時)に至り、発注が行われる。
【0063】
これにより、
図7,
図8を用いて説明したように、ネットワークB(居室B)においてログインし、かつ弁当が発注予定であるN9,N6,N7の分の3つの弁当が発注されている。
【0064】
弁当の注文がキャンセルされたユーザN10に対しては、ユーザN10が使用する端末62bに「弁当の注文がキャンセルされました」というメッセージ115が送信される。
【0065】
受け取り場所に変更がないユーザN9,N6,N7に対しては通知を行わなくてもよいが、
図10に示すように、ユーザN9,N6,N7が使用する端末62aに「受け取り場所は居室Bです」というメッセージ116~118が送信するようにしてもよい。
【0066】
以下、発注管理装置50が実行するメイン処理についてフローチャートを用いて説明する。
図11,
図12は、発注管理装置50が実行するメイン処理のフローチャートである。メイン処理では、発注管理装置50は、弁当の当日の発注予定時刻における発注予定情報に基づき、当日分の弁当の発注処理を行う。本処理は、たとえば、早朝の定められた時間(たとえば、午前4時)に起動すればよい。以下、「ステップ」を単に「S」とも称する。
【0067】
図11に示すように、メイン処理が開始すると、発注管理装置50は、S101において、機器管理装置40から端末62の情報を取得する。機器管理装置40では、端末62のログイン情報(アクセスしたユーザのユーザID等)およびアクセス情報(どのネットワークを利用してアクセスしているか等)が管理されている。
【0068】
発注管理装置50は、端末62へのユーザのログインがあったと判定した場合(S102でYES)、S103以下の処理を実行する。一方、発注管理装置50は、端末62へのユーザのログインがあったと判定しなかった場合(S102でNO)、S101へ処理を戻す。発注管理装置50は、S103において、ユーザテーブル71からログインしたユーザを特定する。
【0069】
発注管理装置50は、S104において、VPN接続であるか否かを判定する。発注管理装置50は、S104でYESと判定した場合、作業場所を施設外である在宅(VPN)に設定し(S105)、S106に処理を進める。一方、発注管理装置50は、S104でNOと判定した場合、そのままS106に処理を進める。
【0070】
このように、発注管理装置50は、端末62bがVPN接続した場合、端末62bにログインしたユーザ(
図3~
図10に示した例(以下、「本例」と記載する)においては、ユーザN2,N10)の作業場所を在宅(VPN)に設定する。
【0071】
発注管理装置50は、S106において、施設内のネットワークで接続されているか否かを判定する。発注管理装置50は、S106でYESと判定した場合、ネットワークテーブル72に基づき施設内の接続場所を作業場所に設定し(S107)、S108に処理を進める。一方、発注管理装置50は、S106でNOと判定した場合、そのままS108に処理を進める。
【0072】
このように、発注管理装置50は、端末62aが接続する施設内のネットワークに応じて、端末62aにログインしたユーザ(本例においては、ユーザN1,N3,N5~N9)の作業場所を特定する。
【0073】
発注管理装置50は、発注予定時刻になった場合(S108でYES)、S109以下の処理を実行する。一方、発注管理装置50は、発注予定時刻になっていない場合(S108でNO)、S101へ処理を戻す。これにより、発注予定時刻になるまでS101~S107の処理が繰り返される。
【0074】
このようにして、発注管理装置50は、発注予定時刻までに施設内に設置された端末62aにログインしたユーザ(本例においては、ユーザN1,N3,N5~N9)の作業場所が施設内であると判断する。また、発注管理装置50は、発注予定時刻までに施設外(自宅)に設置された端末62bにログインしたユーザ(本例においては、ユーザN2,N10)の作業場所が施設外(自宅)であると判断する。
【0075】
発注管理装置50は、S109において、端末62aでVPN接続したユーザおよび端末62へのログインがなかったユーザの、発注予定情報DB81の発注有無を「無」に変更する。
【0076】
このように、発注管理装置50は、端末62aにログインしたユーザ(本例においては、ユーザN2,N10等)および発注予定時刻までに端末62へのログインがなかったユーザ(本例においては、ユーザN4)の発注有無を発注無に変更する。
【0077】
図12に示すように、発注管理装置50は、S110において、施設内のネットワークに接続されたユーザにおいて、作業場所と発注予定情報DB81の配送場所が異なる場合、配送場所を作業場所に変更する。
【0078】
このように、発注管理装置50は、特定された作業場所に応じて、端末62aにログインしたユーザの配送場所を変更する。具体的には、ユーザN1,N3,N5~N9のうち作業場所を変更したユーザN5の配送場所が変更される。
【0079】
発注管理装置50は、S111において、当日分の弁当の発注処理を実行する。発注管理装置50は、S112において、配送場所が変更されたユーザの端末62に対して弁当の発注がキャンセルされた旨を通知する。発注管理装置50は、S113において、VPN接続したユーザの端末62に対して配送場所を通知し、メイン処理を終了する。
【0080】
このように、発注管理装置50は、ログインされた端末62b(本例においては、ユーザN2,N10)に対して、弁当の発注がキャンセルされた旨を通知する。また、発注管理装置50は、端末62aにログインしたユーザの配送場所が変更された場合、そのユーザ(本例においては、ユーザN5)が使用する端末62aに対して、配送場所を通知する。
【0081】
以上、第1実施形態によれば、発注管理装置50は、施設内で勤務する従業員10(ユーザN1~N13等)の弁当の発注を管理する装置である。発注管理装置50は、プロセッサとしてのCPU41と、CPU41によって実行可能なプログラムを記憶するメモリ(RAM42、ROM43、記憶装置45)とを備える。記憶装置45は、当日分の弁当の発注予定情報が記録された発注予定情報DB81を記憶する。発注予定情報DB81には、従業員10(ユーザ)の弁当の発注有無および従業員10が弁当を受け取るための施設内の弁当の配送場所が記録されている。CPU41は、従業員10を識別可能な識別装置(端末62,携帯端末60)から取得した情報に基づき、従業員10の当日の作業場所を特定する。CPU41は、特定された作業場所に基づき、発注予定情報を変更する。CPU41は、弁当の当日の発注予定時刻における発注予定情報に基づき、当日分の弁当の発注処理を行う。
【0082】
このように、従業員10の作業場所が特定され、作業場所に応じて自動的に発注予定情報が変更される。これにより、在宅勤務およびフリーアドレス制の導入された施設において、好適に従業員10の弁当の発注を管理することができる。
【0083】
識別装置は、従業員10が使用する端末62である。端末62(端末62a,62b)へのログインにより従業員10が識別可能である。端末62は、従業員10が施設内で使用する第1の端末としての端末62aと、従業員10が施設外で使用する第2の端末としての端末62bとを含む。CPU41は、発注予定時刻までに端末62aにログインした第1の従業員10(ユーザN1,N3,N5~N9等)の作業場所が施設内であると判断する。CPU41は、発注予定時刻までに端末62bにログインした第2の従業員10(ユーザN2,N10等)の作業場所が施設外であると判断する。CPU41は、第2の従業員10(ユーザN2,N10等)および発注予定時刻までに端末62へのログインがなかった第3の従業員10(ユーザN4等)の発注有無を発注無に変更する。
【0084】
このように、施設外の端末62にログインした場合および端末62へのログインがなかった場合に弁当の発注をキャンセルするため、正確な発注数を自動的に集計して弁当を発注することができる。
【0085】
CPU41は、端末62aが接続する施設内のネットワークに応じて、第1の従業員10(ユーザN1,N3,N5~N9等)の作業場所を特定する。CPU41は、特定された作業場所に応じて、第1の従業員10(ユーザN1,N3,N5~N9等のうちユーザN5)の配送場所を変更する。このようすることで、作業場所を変更しても、自動的に変更先に弁当が配送されるため、わざわざ変更前の配送場所まで弁当を取りに行く手間が省け、利便性が向上する。
【0086】
CPU41は、第2の従業員10(ユーザN2,N10等)が使用する端末62bに対して、弁当の発注がキャンセルされた旨を通知する。CPU41は、第1の従業員10(ユーザN5)の配送場所が変更された場合、第1の従業員10(ユーザN5)が使用する端末62aに対して、配送場所を通知する。これにより、弁当のキャンセルを知ることができるとともに、作業場所を変更した場合に、どこで弁当を受け取ればよいかを知ることができる。
【0087】
<第2実施形態>
図13は、第2実施形態に係る発注管理システム101の構成を示す図である。
図14は、発注管理装置50等のハードウェア構成を示す図である。以下の説明において、第1実施形態と異なる点のみについて説明し、第1実施形態と同じ点については説明を省略する。第1実施形態において説明した構成および変形例は、第2実施形態において説明するいずれの構成および変形例にも適用可能である。
【0088】
第2実施形態においては、ユーザは、社員用携帯電話などユーザ個人を識別できる携帯端末を所持しているものとする。さらに、施設内には携帯端末と通信可能な空調機が複数設置されており、携帯端末と空調機の通信状態からユーザの作業場所を特定するように構成する。
【0089】
図13に示すように、発注管理システム101は、発注管理装置50と、識別装置としての携帯端末60と、機器管理装置40と、複数の空調機31とを備える。従業員10(ユーザ)の作業場所である4階の居室Aには複数の空調機31aが設置され、3階の居室Bには複数の空調機31bが設置されている。空調機31a,31bを総称して、「空調機31」と称する。
【0090】
携帯端末60は、従業員10を識別可能であって、施設内で勤務する従業員10が携帯する端末である。空調機31(空調機31a,31b)は、携帯端末60と通信可能な通信装置でもある。
【0091】
図14に示すように、携帯端末60には、無線通信機11が設けられている。無線通信機11は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy、「Bluetooth」は登録商標)通信規格に従う通信方式を用いて、携帯端末60の位置が検出可能となる信号を出力する。BLE通信規格に代えて、UWB(Ultra Wide Band)通信規格に従う通信方式を用いてもよい。
【0092】
複数の空調機31(空調機31a,31b)には、それぞれ無線通信機30が設けられている。
図13に戻り、複数の空調機31は、例えば、天井35に適当な距離を置いて設置されている。各無線通信機30は、携帯端末60の無線通信機11と同じ通信規格に従う通信方式を用いて、携帯端末60から発信される信号を受信するとともにその受信強度を検知する。各無線通信機30における受信強度から、施設内における携帯端末60の位置を検出することができる。各無線通信機30は、携帯端末60から受信した信号の受信強度を機器管理装置40へ出力する。
【0093】
機器管理装置40は、施設内に設置された空調機31および無線通信機30等の機器を制御する。機器管理装置40は、無線通信機30において受信される信号の受信強度を無線通信機30から受信し、各無線通信機30における受信強度から施設内における携帯端末60の位置を検出する。
【0094】
機器管理装置40は、通信網NWに接続されている。通信網NWには、機器管理装置40、発注管理装置50、および通信端末である携帯端末60が接続されている。発注管理装置50は、機器管理装置40を介して、携帯端末60の位置情報を取得可能である。
【0095】
携帯端末60は、たとえば、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末である。携帯端末60は、ノートパソコンやパーソナルコンピュータ等であってもよい。携帯端末60は、各種情報を表示する表示部61を備える。表示部61は、たとえば、モバイル端末の液晶表示部、ディスプレイ等である。
【0096】
図14に戻り、発注管理装置50は、処理装置としてのCPU41と、通信装置としてのI/F装置44と、記憶装置としての、RAM42、ROM43および記憶装置45とを含んで構成される。CPU41、RAM42、ROM43、I/F装置44、および記憶装置45は、通信バス46を通じて各種データをやり取りする。
【0097】
CPU41は、ROM43に格納されているプログラムをRAM42に展開して実行する。ROM43に格納されているプログラムには、発注管理装置50によって実行される処理が記述されている。
【0098】
I/F装置44は、機器管理装置40および携帯端末60と通信する。I/F装置44は、機器管理装置40および携帯端末60と信号やデータをやり取りするための入出力装置である。発注管理装置50は、I/F装置44を介して、機器管理装置40が検出した携帯端末60の情報を受信する。
【0099】
記憶装置45は、各種情報を記憶するストレージである。記憶装置45には、ユーザテーブル71、機器テーブル73、発注予定情報DB81等が記憶されている。
【0100】
図15は、機器テーブル73の一例である。上述のように、記憶装置45は、機器テーブル73を記憶する。機器テーブルの73は、施設内に設置された機器の情報を記録したテーブルである。
【0101】
機器テーブル73には、施設内に設置された機器に割り振られた機器ID、機器IDに対応する機器の種別および機器の設置場所等が記録されている。たとえば、機器ID「ID0001」の種別は「空調機」であり、設置場所は「居室A(4階)」である。機器ID「ID0005」の種別は「空調機」であり、設置場所は「居室B(3階)」である。
【0102】
ユーザテーブル71および発注予定情報DB81については、第1実施形態と同じである。本例においても、第1実施形態の
図5,
図6,
図8を用いて説明した状況と同じであったとする。
【0103】
第2実施形態においては、空調機31と携帯端末60との通信状況に応じて、発注予定情報DB81の作業場所が設定される。
図8で示したように、ユーザN2が在宅勤務、ユーザN4は欠勤であり、ユーザN1とユーザN2が居室Aに出勤している。また、ユーザN10が在宅勤務であり、ユーザN6~N9が居室Bに出勤している。ただし、N8は弁当の発注は行わない。ユーザN5は居室Bから居室Aに移動している。
【0104】
これにより、ユーザN1,N3,N5が使用する携帯端末60は、居室Aの空調機31の無線通信機と通信する。ユーザN6~N9が使用する携帯端末60は、居室Bの空調機31の無線通信機30と通信する。
【0105】
図16は、発注予定情報DB81の一例である。上記通信により、
図16の発注予定情報DB81において、ユーザN1,N3,N5の作業場所は「居室A」に設定され、ユーザN6~N9の作業場所は「居室B」に設定される。在宅勤務のユーザN2,N10および欠勤のユーザN4については、空調機31の無線通信機30により携帯端末60が検出されないため、作業場所には「-」が設定される。
【0106】
発注予定情報DB81の「配送場所」および「発注有無」は、「作業場所」の設定に基づき変更される。ユーザN2,N4,N10の作業場所は「-」が設定されており、弁当が不要となるため、「発注有無」が「有」から「無」に変更される。ユーザN5の作業場所は「居室A」に設定されているため、「配送場所」は「居室B」から「居室A」に変更されている。
【0107】
その結果、居室Aでの弁当の発注数は「4個」から「3個」に変更される。また、居室Bでの弁当の発注数は「5個」から「3個」に変更される。
【0108】
図17は、発注管理装置50が実行するメイン処理のフローチャートである。メイン処理が開始すると、発注管理装置50は、S201において、機器管理装置40から携帯端末60の情報を取得する。
【0109】
発注管理装置50は、空調機31が新たに携帯端末60を検出したと判定した場合(S202でYES)、S203以下の処理を実行する。一方、発注管理装置50は、空調機31が新たに携帯端末60を検出したと判定しなかった場合(S202でNO)、S201へ処理を戻す。
【0110】
発注管理装置50は、S203において、ユーザテーブル71からユーザを特定する。発注管理装置50は、S204において、機器テーブル73に基づき空調機31の設置場所を作業場所に設定する。本例においては、
図16に示した通りである。
【0111】
発注管理装置50は、発注予定時刻になった場合(S205でYES)、S206以下の処理を実行する。一方、発注管理装置50は、発注予定時刻になっていない場合(S205でNO)、S201へ処理を戻す。これにより、発注予定時刻になるまでS201~S204の処理が繰り返される。
【0112】
これにより、たとえば、発注管理装置50は、発注予定時刻までに居室Aに設置された空調機31aと通信した携帯端末60を携帯するユーザの作業場所が、居室Aであると判断する。また、発注管理装置50は、発注予定時刻までに居室Bに設置された空調機31bと通信した携帯端末60を携帯するユーザの作業場所が、居室Bであると判断する。
【0113】
発注管理装置50は、S206において、空調機31と通信しなかった携帯端末60のユーザの、発注予定情報DB81の発注有無を「無」に変更する。このように、発注管理装置50は、発注予定時刻までに空調機31と通信しなかった携帯端末60を携帯するユーザ(本例においては、ユーザN2,N4,N10)の発注有無を発注無に変更する。
【0114】
発注管理装置50は、S207において、空調機31との通信があったユーザにおいて、作業場所と発注予定情報DB81の配送場所が異なる場合、配送場所を作業場所に変更する。このように、発注管理装置50は、判断された作業場所に応じて、ユーザ(本例においては、ユーザN5)の配送場所を変更する。
【0115】
発注管理装置50は、S208において、当日分の弁当の発注処理を実行する。発注管理装置50は、S209において、配送場所が変更されたユーザの携帯端末60に対して弁当の発注がキャンセルされた旨を通知し、メイン処理を終了する。
【0116】
以上、第2実施形態によれば、識別装置は、従業員10(ユーザ)を識別可能であって、従業員10が携帯する携帯端末60である。施設には、携帯端末60と通信可能な通信装置としての空調機31(空調機31a,31b)が設けられている。通信装置は、空調機31(空調機31a,31b)である。作業場所は、4階の居室Aと3階の居室Bとを含む。空調機31は、4階の居室Aに設置された第1通信装置としての空調機31aと、3階の居室Bに設置された第2通信装置としての空調機31bとを含む。CPU41は、発注予定時刻までに空調機31aと通信した携帯端末を携帯する従業員10の作業場所が4階の居室Aであると判断する。CPU41は、発注予定時刻までに空調機31bと通信した携帯端末を携帯する従業員10の作業場所が3階の居室Bであると判断する。CPU41は、判断された作業場所に応じて、従業員10(ユーザN1,N3,N5~N9等のうちユーザN5)の配送場所を変更する。
【0117】
このように、従業員10が携帯する携帯端末60の位置情報に基づき作業場所が特定され、作業場所に応じて自動的に発注予定情報が変更される。これにより、在宅勤務およびフリーアドレス制の導入された施設において、好適に従業員10の弁当の発注を管理することができる。
【0118】
CPU41は、発注予定時刻までに空調機31と通信しなかった携帯端末60を携帯する従業員10(ユーザN2,N4,N10)の発注有無を発注無に変更する。これにより、正確な発注数を自動的に集計して弁当を発注することができる。
【0119】
また、本実施の形態においては、施設内に設置された既存の設備である空調機31を流用して、ユーザの位置を計測している。これにより、ユーザの位置を計測するための専用の装置を施設内に設置する場合に比べて、設備の設置コストを削減することができる。なお、空調機に限らず、ユーザの位置を計測可能な装置であれば、どのような装置を利用してもよい。
【0120】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0121】
1,2 フロア、10 従業員(ユーザ)、11,30 無線通信機、31,31a,31b 空調機、35 天井、36 床、40 機器管理装置、41 CPU、42 RAM、43 ROM、44 I/F装置、45 記憶装置、46 通信バス、50 発注管理装置、60 携帯端末、62,62a,62b 端末、61 表示部、63 カードリーダ、64 ICカード、71 ユーザテーブル、72 ネットワークテーブル、73 機器テーブル、81 発注予定情報DB、91~97 画像、100,101 発注管理システム、111~118 メッセージ、201 ルータ、N1~N10 従業員(ユーザ)、NW 通信網。