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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109368
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】シェアリングシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240806BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014119
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三浦 寿久
(72)【発明者】
【氏名】高平 正光
(72)【発明者】
【氏名】近馬 亮二
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 仁美
(72)【発明者】
【氏名】東川 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】高須 広治
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭二
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC13
5L050CC13
(57)【要約】
【課題】共用される車両をより効率的に運用することができるシェアリングシステムを提供する。
【解決手段】シェアリングシステム20は、ユーザに対する車両11の貸し出しを管理する配車管理装置21と、カーシェアリングサービスを定期的に利用する固定客の予約情報を管理する固定客管理装置22と、カーシェアリングサービスを一時的に利用する一時客の予約情報を管理する一時客管理装置23と、を有する。車両11は、自動運転機能を有し、自律的に走行することが可能である。配車管理装置21は、固定客管理装置22から固定客の予約情報を取得し、取得される固定客の予約情報に基づき利用予定のない車両11を回送対象として決定する。配車管理装置21は、決定された回送対象の車両11に対して、現在位置からカーシェアリングサービスを提供する場所である回送先までの自律的な走行を指示する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザが車両を共同で利用するカーシェアリングサービスを提供するシェアリングシステムであって、
前記ユーザに対する前記車両の貸し出しを管理する配車管理装置と、
前記カーシェアリングサービスを定期的に利用する前記ユーザである固定客の予約情報を管理する固定客管理装置と、
前記カーシェアリングサービスを一時的に利用する前記ユーザである一時客の予約情報を管理する一時客管理装置と、を有し、
前記車両は、自動運転機能を有し、前記配車管理装置からの指示に基づき自律的に走行することが可能であって、
前記配車管理装置は、前記固定客管理装置から前記固定客の予約情報を取得し、取得される前記固定客の予約情報に基づき利用予定のない前記車両を回送対象として決定し、決定された回送対象の前記車両に対して、現在位置から前記カーシェアリングサービスを提供する場所である回送先までの自律的な走行を指示するシェアリングシステム。
【請求項2】
前記配車管理装置は、前記車両の運行状態を監視し、回送対象の前記車両の現在位置から前記回送先までの回送ルートを設定し、
回送対象の前記車両は、前記配車管理装置から取得される前記回送ルートに従って、現在位置から前記回送先まで自律的に走行する請求項1に記載のシェアリングシステム。
【請求項3】
前記配車管理装置は、前記固定客の予約情報に基づき回送対象の前記車両の回送予定時刻を決定し、前記回送予定時刻になるのを待って、回送対象の前記車両に対して現在位置から前記回送先までの自律的な走行を指示する請求項1または請求項2に記載のシェアリングシステム。
【請求項4】
前記配車管理装置は、回送対象の前記車両が割り当てられている前記固定客に対して、前記車両を回送することを事前に通知する請求項1または請求項2に記載のシェアリングシステム。
【請求項5】
前記配車管理装置は、前記固定客が次に前記車両を利用する時刻までに、回送対象の前記車両が前記回送先から回送元まで戻れるように、回送対象の前記車両に対して、前記回送先から前記回送元までの自律的な走行を指示する請求項1または請求項2に記載のシェアリングシステム。
【請求項6】
前記配車管理装置は、貸し出していた前記車両が乗り捨てられたとき、乗り捨てられた前記車両を回収する回収場所を指定し、乗り捨てられた前記車両に対して、乗り捨て位置から前記回収場所までの自律的な走行を指示する請求項1または請求項2に記載のシェアリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェアリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユーザが車両を共同で利用するシェアリングシステムが知られている。たとえば、特許文献1のシェアリングシステムは、複数のユーザによって共用される複数の共用車両と、共用車両の貸出し、および返却を行うポートを備えている。共用車両は、たとえば、超小型の1人乗りまたは2人乗りの電気自動車である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-110997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シェアリングシステムには、共用車両をより効率的に運用することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのシェアリングシステムの各態様を記載する。
[態様1]複数のユーザが車両を共同で利用するカーシェアリングサービスを提供するシェアリングシステムであって、
前記ユーザに対する前記車両の貸し出しを管理する配車管理装置と、
前記カーシェアリングサービスを定期的に利用する前記ユーザである固定客の予約情報を管理する固定客管理装置と、
前記カーシェアリングサービスを一時的に利用する前記ユーザである一時客の予約情報を管理する一時客管理装置と、を有し、
前記車両は、自動運転機能を有し、前記配車管理装置からの指示に基づき自律的に走行することが可能であって、
前記配車管理装置は、前記固定客管理装置から前記固定客の予約情報を取得し、取得される前記固定客の予約情報に基づき利用予定のない前記車両を回送対象として決定し、決定された回送対象の前記車両に対して、現在位置から前記カーシェアリングサービスを提供する場所である回送先までの自律的な走行を指示するシェアリングシステム。
【0006】
この構成によれば、固定客が車両を利用しない時間帯において、一時客が車両を利用することが可能となる。固定客が車両を利用しない時間帯に、車両を一時客に貸し出すことによって、共用される車両の稼働率を向上させることができる。また、自動運転で回送が行われることによって、車両の稼働率がさらに向上する。
【0007】
[態様2]前記配車管理装置は、前記車両の運行状態を監視し、回送対象の前記車両の現在位置から前記回送先までの回送ルートを設定し、
回送対象の前記車両は、前記配車管理装置から取得される前記回送ルートに従って、現在位置から前記回送先まで自律的に走行する[態様1]に記載のシェアリングシステム。
【0008】
この構成によれば、回送対象の車両を、回送ルートに従って適切に自動回送することができる。
[態様3]前記配車管理装置は、前記固定客の予約情報に基づき回送対象の前記車両の回送予定時刻を決定し、前記回送予定時刻になるのを待って、回送対象の前記車両に対して現在位置から前記回送先までの自律的な走行を指示する請求項[態様1]または[態様2]に記載のシェアリングシステム。
【0009】
この構成によれば、回送予定時刻に、回送対象の車両に自律的な回送走行を開始させることができる。
[態様4]前記配車管理装置は、回送対象の前記車両が割り当てられている前記固定客に対して、前記車両を回送することを事前に通知する[態様1]~[態様3]のうちいずれか一つに記載のシェアリングシステム。
【0010】
この構成によれば、固定客は、車両が回送されることを事前に知ることができる。
[態様5]前記配車管理装置は、前記固定客が次に前記車両を利用する時刻までに、回送対象の前記車両が前記回送先から回送元まで戻れるように、回送対象の前記車両に対して、前記回送先から前記回送元までの自律的な走行を指示する[態様1]~[態様4]のうちいずれか一つに記載のシェアリングシステム。
【0011】
この構成によれば、固定客が次に車両を使用するまでに、車両が回送元に戻ってくる。固定客は、予定通り車両を利用することができる。
[態様6]前記配車管理装置は、貸し出していた前記車両が乗り捨てられたとき、乗り捨てられた前記車両を回収する回収場所を指定し、乗り捨てられた前記車両に対して、乗り捨て位置から前記回収場所までの自律的な走行を指示する[態様1]~[態様5]のうちいずれか一つに記載のシェアリングシステム。
【0012】
この構成によれば、乗り捨てられた車両を、指定される回収場所に簡単に回収することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシェアリングシステムによれば、共用される車両をより効率的に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】シェアリングシステムの利用形態の一例を示す模式図である。
図2】第1の実施の形態にかかるシェアリングシステムのブロック図である。
図3】第1の実施の形態にかかるクライアント端末のブロック図である。
図4】第1の実施の形態にかかる車両のブロック図である。
図5】第1の実施の形態にかかる配車管理装置、固定客管理装置、一時客管理装置、および充電管理装置のブロック図である。
図6】第1の実施の形態にかかる充電装置の斜視図である。
図7】第1の実施の形態にかかる充電装置のブロック図である。
図8】第1の実施の形態にかかるバッテリのブロック図である。
図9】(a),(b)は、第1の実施の形態にかかる配車計画の一例を示す図である。
図10】第1の実施の形態にかかるバッテリの交換を説明するための図である。
図11】第1の実施の形態にかかるバッテリの充電管理の一例を示す図である。
図12】第1の実施の形態にかかる車両の未返却を示す図である。
図13】第2の実施の形態にかかる固定客の利用予定の一例を示す図である。
図14】第2の実施の形態にかかる回送処理の手順を示すフローチャートである。
図15】第3の実施の形態にかかるシェアリングステーションの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
以下、シェアリングシステムの第1の実施の形態を説明する。
シェアリングシステムは、複数のユーザが車両を共同で利用するカーシェアリングサービスを提供するシステムである。ユーザは、あらかじめ利用者として登録を行った会員である。車両は、たとえば、超小型モビリティである。超小型モビリティは、1人乗り、または2人乗り程度の車両であって、たとえば、モータを動力源として走行する電気自動車である。超小型モビリティは、電力源としてバッテリを有している。超小型モビリティは、バッテリの電力を消費して走行する。超小型モビリティは、自動車よりもコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れるため、地域の手軽な移動の足となる。超小型モビリティは、近距離の日常的な交通手段として利用される。
【0016】
<カーシェアリングサービスの利用例>
カーシェアリングサービスは、たとえば、つぎのように利用される。
図1に示すように、ユーザは、たとえばクライアント端末10を使用して、カーシェアリング事業者に車両11の借り受けを申し込む。カーシェアリング事業者は、たとえば、車両11の提供会社からの委託を受けてカーシェアリングサービスを提供する。ユーザは、申し込んだ車両11をカーシェアリング事業者から借り受ける。ユーザには、固定客と、一時客とが含まれる。固定客は、カーシェアリングサービスを定期的に、あるいは長期的に利用する顧客である。一時客は、何らかの理由でカーシェアリングサービスを一度利用したものの、その後繰り返し利用していない顧客である。
【0017】
なお、クライアント端末10は、据え置き型であってもよいし、携帯型であってもよい。据え置き型は、パーソナルコンピュータを含む。携帯型は、多機能携帯電話、およびタブレット型端末などの携帯端末を含む。本実施の形態では、クライアント端末10は、携帯型であって、ユーザに所持される。
【0018】
固定客は、たとえば、朝、通勤のために車両11を利用する。出勤する際、固定客は、車両11に乗り込み、車両11で自宅12から最寄りの駅13まで移動する。駅13に到着した固定客は、たとえば、駅13の近傍に設けられたシェアリングステーション14に車両11を駐車する。この後、固定客は、電車で駅13から会社の最寄りの駅15まで移動する。夕方に帰宅する際、固定客は出勤時とは逆の経路で自宅12に帰る。シェアリングステーション14は、複数の地点に設けられている。
【0019】
固定客が車両11を使用しない時間帯、たとえば昼間は、一時客が、シェアリングステーション14に駐車されている車両11を利用することが可能である。一時客は、車両11に乗り込み、車両11でシェアリングステーション14から目的地16まで移動する。目的地16は、たとえば、小売店を含む。一時客は、固定客が車両11を再び利用する時刻までに、車両11をシェアリングステーション14に返却する。
【0020】
<シェアリングシステム20の構成>
つぎに、シェアリングシステム20の構成について説明する。
図2に示すように、シェアリングシステム20は、クライアント端末10、および車両11を含む。また、シェアリングシステム20は、配車管理装置21、固定客管理装置22、一時客管理装置23、充電管理装置24、および充電装置25を有している。クライアント端末10、車両11、配車管理装置21、固定客管理装置22、一時客管理装置23、充電管理装置24、および充電装置25は、インターネットなどのネットワーク26を介して相互に通信可能である。クライアント端末10と、車両11と、充電装置25とは、各々、シェアリングシステム20の規模に応じて、適宜の数だけ設けられる。
【0021】
クライアント端末10は、ユーザに所持される携帯端末である。クライアント端末10は、カーシェアリング事業者に対する会員登録、車両11の予約処理、および車両11の返却処理などを行うために使用される。クライアント端末10には、カーシェアリングサービスを利用するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。アプリケーションプログラムは、カーシェアリングサービスを利用する際に起動される。クライアント端末10は、アプリケーションプログラムに従って、定められた動作を行う。
【0022】
クライアント端末10の操作を通じて、たとえば、会員情報、および予約情報などがネットワーク26を介して、固定客管理装置22または一時客管理装置23に送信される。固定客の情報は、ネットワーク26を介して固定客管理装置22に送信される。一時客の情報は、ネットワーク26を介して一時客管理装置23に送信される。
【0023】
会員情報は、会員登録に必要とされる情報である。会員情報には、たとえば、ユーザの氏名、年齢、住所、運転免許証情報、およびクレジットカード情報などの個人情報が含まれる。会員登録の完了に伴い、クライアント端末10には、ネットワーク26を介してユーザIDなどの固有の識別情報が付与される。
【0024】
予約情報は、車両11の予約に必要とされる情報である。予約情報には、たとえば、貸し出しを希望する車両11の車両番号などの識別情報、車両11の利用時間帯、車両11の利用エリア、および予定走行距離などの情報が含まれる。車両11の利用時間帯は、たとえば、車両11の利用開始時刻と、車両11の利用終了時刻とによって指定される。予約の完了に伴い、ネットワーク26を介して、クライアント端末10に予約番号などを付与するようにしてもよい。
【0025】
配車管理装置21は、車両11の配車を管理する。配車は、たとえば、ユーザに応じて車両11を割り当てることである。配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、固定客管理装置22および一時客管理装置23から車両11の予約情報を取得する。配車管理装置21は、車両11の予約情報に基づき、車両11の配車計画を策定する。配車管理装置21は、予約情報のうち、たとえば車両11の利用開始時刻と、車両11の利用終了時刻とに基づき、車両11の配車計画を策定する。配車管理装置21は、車両11の状態を考慮して、配車計画を策定するようにしてもよい。車両11の状態には、バッテリ11Eの充電状態が含まれる。
【0026】
固定客管理装置22は、シェアリングサービスの利用者として登録される会員のうち、固定客の会員情報、予約情報、および利用情報などの各種情報を管理する。固定客管理装置22は、固定客が所持するクライアント端末10からネットワーク26を介して送信される会員情報および予約情報などの各種情報を、たとえばユーザIDなどの固有の識別情報と関連付けて格納する。
【0027】
一時客管理装置23は、シェアリングサービスの利用者として登録される会員のうち、一時客の会員情報、予約情報、および利用情報などの各種情報を管理する。一時客管理装置23は、一時客が所持するクライアント端末10からネットワーク26を介して送信される会員情報および予約情報などの各種情報を、たとえばユーザIDなどの固有の識別情報と関連付けて格納する。
【0028】
充電管理装置24は、複数のバッテリ11Eの充電を個別に管理する。充電管理装置24は、たとえば、充電装置25に保管されているバッテリ11Eの状態に関する情報を、ネットワーク26を介して取り込む。充電管理装置24は、充電装置25から取得される情報と、充電管理装置24が記憶している情報とに基づき充電装置25に対する指令を生成し、生成される指令を、ネットワーク26を介して充電装置25に送信する。
【0029】
充電装置25は、たとえば、シェアリングステーション14に設けられる。充電装置25は、バッテリ11Eの充電を行う。充電装置25は、複数のバッテリ11Eの充電を個別に制御可能である。充電装置25は、ネットワーク26を介して、充電管理装置24との間で各種の情報を授受する。情報には、たとえば、充電管理装置24により生成される指令が含まれる。充電装置25は、たとえば、充電管理装置24からの指令に基づき、各バッテリ11Eの充電を制御する。
【0030】
<クライアント端末10>
つぎに、クライアント端末10の構成について詳細に説明する。
図3に示すように、クライアント端末10は、通信装置10A、近距離通信装置10B、記憶装置10C、および制御装置10Dを有している。また、クライアント端末10は、入力装置10E、出力装置10F、およびGPS受信回路10Gを有している。
【0031】
通信装置10Aは、制御装置10Dとネットワーク26との間のインターフェースである。通信装置10Aは、ネットワーク26を介して情報の送信と、情報の受信とを行う。通信装置10Aは、制御装置10Dからの命令に従って、ネットワーク26に接続される外部装置との間で情報を授受する。
【0032】
近距離通信装置10Bは、クライアント端末10と車両11との間のインターフェースである。近距離通信装置10Bは、ブルートゥース(登録商標)などを利用した無線PAN(Personal Area Network)を介して、情報の送信と、情報の受信とを行う。無線PANは、数メートル~数十メートルの近距離で無線通信を行うための規格である。近距離通信装置10Bは、制御装置10Dからの命令に従って、無線PANに接続される車両11との間で情報を授受する。クライアント端末10と車両11とは、近距離無線通信を利用したペアリングの実行を通じて、互いに1対1で関連付けられる。
【0033】
記憶装置10Cは、制御装置10Dが実行するコンピュータプログラム、および制御装置10Dが処理するデータなどを記憶している。記憶装置10Cは、カーシェアリングサービスを利用するためのアプリケーションプログラムも記憶している。また、記憶装置10Cは、通信装置10A、あるいは近距離通信装置10Bを介して受信される情報を一時的に格納する。情報には、ユーザIDなどの固有の識別情報が含まれる。
【0034】
入力装置10Eは、たとえば、文字などの記号を入力するためのタッチパネルあるいは押しボタン、音声入力のためのマイクロフォン、ならびに動画像あるいは静止画像を撮影するためのカメラなどを含む。
【0035】
出力装置10Fは、たとえば、音を出力するためのスピーカ、および文字あるいは画像を表示する表示装置などを含む。
GPS受信回路10Gは、クライアント端末10の現在の位置情報を取得する。GPS受信回路10Gは、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの測位信号を受信する。GPS受信回路10Gは、受信される測位信号に基づきクライアント端末10の位置を検出する。検出される位置の情報には、たとえば緯度、経度および高度が含まれる。
【0036】
制御装置10Dは、つぎの3つの構成A1,A2,A3のうち、いずれか一つを含む処理回路を有している。
A1.ソフトウェアであるコンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含む。
【0037】
A2.各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ以上の専用のハードウェア回路。ASICは、CPUおよびメモリを含む。
【0038】
A3.構成A1,A2を組み合わせたハードウェア回路。
メモリは、コンピュータで読み取り可能とされた媒体であって、コンピュータに対する処理あるいは命令を記述したプログラムを記憶している。本実施の形態では、コンピュータは、CPUである。メモリは、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を含む。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを、定められた演算周期で実行することによって各種の制御を実行する。
【0039】
制御装置10Dは、近距離通信装置10Bを介した近距離無線通信を通じて、ユーザが利用する車両11との間でペアリングを行う。入力装置10Eを介して解錠操作が行われたとき、制御装置10Dは、たとえば、車両11の電子錠に対する解錠指令を生成し、生成される解錠指令を、近距離通信装置10Bを介して車両11に送信する。電子錠には、たとえば車両11のドアの錠が含まれる。入力装置10Eを介して施錠操作が行われたとき、制御装置10Dは、たとえば、車両11の電子錠に対する施錠指令を生成し、生成される施錠指令を、近距離通信装置10Bを介して車両11に送信する。
【0040】
なお、車両11には、たとえば、メカニカルキーが収容されるキーケースが設置されることがある。メカニカルキーは、たとえば、運転席に設けられるキーシリンダに差し込んで、車両の電源ポジションを切り替えるために使用される。この場合、解錠指令および施錠指令は、キーケースに対する指令であってもよい。
【0041】
<車両11>
つぎに、車両11の構成について詳細に説明する。
図4に示すように、車両11は、通信装置11A、近距離通信装置11B、記憶装置11C、および制御装置11Dを有している。通信装置11A、近距離通信装置11B、記憶装置11C、および制御装置11Dは、バス11Lを介して相互に接続されている。
【0042】
通信装置11Aは、制御装置11Dとネットワーク26との間のインターフェースである。通信装置11Aは、ネットワーク26を介して情報の送信と、情報の受信とを行う。通信装置11Aは、制御装置11Dからの命令に従って、ネットワーク26に接続される外部装置との間で情報を授受する。
【0043】
近距離通信装置11Bは、制御装置11Dとクライアント端末10との間のインターフェースである。近距離通信装置11Bは、無線PANを介して情報の送信および受信を行う。近距離通信装置11Bは、制御装置11Dからの命令に従って、無線PANに接続されるクライアント端末10との間で情報を授受する。
【0044】
記憶装置11Cは、制御装置11Dが実行するコンピュータプログラム、および制御装置11Dが処理するデータなどを記憶する。また、記憶装置11Cは、通信装置11A、あるいは近距離通信装置11Bを介して受信される情報を一時的に格納する。
【0045】
制御装置11Dは、先の3つの構成A1,A2,A3のうち、いずれか一つを含む処理回路を有している。制御装置11Dは、記憶装置11Cに記憶されたプログラムに従って各種の処理を実行する。制御装置11Dは、記憶装置11Cの作業領域に展開されるコンピュータプログラムの実行を通じて車両11の全体を統括的に制御する。
【0046】
車両11は、バッテリ11E、第1のインバータ11F、走行用モータ11G、第2のインバータ11H、操舵用モータ11I、センサ類11J、およびGPS受信回路11Kを有している。
【0047】
バッテリ11Eは、たとえばリチウムイオン電池である。バッテリ11Eは、カセット式であって、車両11に対して着脱可能に装着される。バッテリ11Eは、たとえば、1つの車両11に1つ装着される。ただし、仕様によっては、1つの車両11に複数のバッテリ11Eを装着するようにしてもよい。
【0048】
第1のインバータ11Fは、制御装置11Dに制御されることによって、バッテリ11Eから供給される直流電力を三相交流電力に変換する。三相交流電力は、三相各相の給電経路を介して、走行用モータ11Gに供給される。
【0049】
走行用モータ11Gは、走行用の駆動源である。走行用モータ11Gは、たとえば三相のブラシレスモータである。走行用モータ11Gの動力は、車両11の左右の前輪あるいは後輪に伝達される。
【0050】
第2のインバータ11Hは、制御装置11Dに制御されることによって、バッテリ11Eから供給される直流電力を三相交流電力に変換する。三相交流電力は、三相各相の給電経路を介して、操舵用モータ11Iに供給される。
【0051】
操舵用モータ11Iは、たとえば三相のブラシレスモータであって、たとえば、アシスト力を発生する。アシスト力は、ステアリングホイールの操舵を補助するための力である。操舵用モータ11Iのトルクは、減速機構を介して転舵機構に付与される。転舵機構は、ステアリングホイールの操舵に応じて、車両11の転舵輪を転舵させる機構部分である。転舵輪は、たとえば前輪である。
【0052】
センサ類11Jには、たとえば、トルクセンサが含まれる。トルクセンサは、操舵トルクを検出する。操舵トルクは、ステアリングホイールを操作する際、ステアリングホイールに加えられるトルクである。
【0053】
GPS受信回路11Kは、車両11の現在の位置情報を取得する。GPS受信回路11Kは、GPS用の人工衛星からの測位信号を受信する。GPS受信回路11Kは、受信される測位信号に基づき車両11の位置を検出する。検出される位置の情報には、たとえば緯度、経度および高度が含まれる。
【0054】
制御装置11Dは、たとえば、アクセルペダルの操作状態に応じて、走行用モータ11Gに対する給電を制御する。制御装置11Dは、第1のインバータ11Fの制御を通じて、走行用モータ11Gに供給される電力を制御する。
【0055】
制御装置11Dは、ステアリングホイールの操舵状態に応じて、操舵用モータ11Iに対する給電を制御する。操舵状態には、たとえば、トルクセンサを通じて検出される操舵トルクが含まれる。制御装置11Dは、第2のインバータ11Hの制御を通じて、操舵用モータ11Iに供給される電力を制御する。
【0056】
制御装置11Dは、近距離通信装置11Bを介した近距離無線通信を通じて、ユーザが所持するクライアント端末10との間でペアリングを行う。制御装置11Dは、近距離通信装置11Bを介して、クライアント端末10からの解錠指令を受信すると、解錠処理を実行する。これにより、車両11に乗り込んだり、車両11を走行させるための操作を行ったりすることが可能となる。制御装置11Dは、近距離通信装置11Bを介して、クライアント端末10からの施錠指令を受信すると、施錠処理を実行する。車両11は、施錠指令を受信すると、施錠処理を実行する。これにより、車両11に乗り込んだり、車両11を走行させるための操作を行ったりすることが規制される。
【0057】
なお、解錠指令および施錠指令が、キーケースに対する指令であることがある。制御装置11Dは、キーケースに対する解錠指令を受信すると、キーケースの解錠処理を実行する。これにより、キーケースからメカニカルキーを取り出すことが可能となる。制御装置11Dは、キーケースに対する施錠指令を受信すると、キーケースの施錠処理を実行する。これにより、キーケースからメカニカルキーを取り出すことができなくなる。
【0058】
制御装置11Dは、車両11の運行状態に関する情報を生成し、生成される運行状態に関する情報を、通信装置11Aを介して、配車管理装置21に送信する。運行状態に関する情報には、たとえば、車両11の識別情報、車両11の位置情報、車両11の位置に関連付けられた時刻情報、および車両11にペアリングされたクライアント端末10の識別情報などが含まれる。識別情報には、ユーザIDなどが含まれる。車両11の位置情報は、GPS受信回路11Kを通じて受信される測位信号に基づき生成される。
【0059】
<配車管理装置21>
つぎに、配車管理装置21の構成について詳細に説明する。
図5に示すように、配車管理装置21は、通信装置21A、記憶装置21B、および制御装置21Cを有している。通信装置21A、記憶装置21B、および制御装置21Cは、たとえば、バス21Dを介して相互に接続されている。
【0060】
通信装置21Aは、制御装置21Cとネットワーク26との間のインターフェースである。通信装置21Aは、ネットワーク26を介して、情報の送信と、情報の受信とを行う。通信装置21Aは、制御装置21Cからの命令に従って、ネットワーク26に接続される外部装置との間で情報を授受する。
【0061】
記憶装置21Bは、たとえば、制御装置21Cが実行するコンピュータプログラム、および制御装置21Cが処理するデータを記憶している。
制御装置21Cは、先の3つの構成A1,A2,A3のうち、いずれか一つを含む処理回路を有している。制御装置21Cは、通信装置21Aを介して、車両11から運行状態に関する情報を取得可能である。制御装置21Cは、通信装置21Aを介して、固定客管理装置22から車両11の予約情報を取得可能である。制御装置21Cは、通信装置21Aを介して、一時客管理装置23から車両11の予約情報を取得可能である。制御装置21Cは、通信装置21Aを介して、充電管理装置24からバッテリ11Eの充電状態を取得可能である。充電状態は、充電装置25に保管されているバッテリ11Eの充電状態である。
【0062】
制御装置21Cは、車両11の予約情報に基づき、車両11の配車計画を作成する。制御装置21Cは、たとえば、車両11の状態を考慮して、車両11の配車計画を作成するようにしてもよい。配車計画には、ユーザに対する車両11の割り当てが含まれる。制御装置21Cが実行する配車処理については、後に詳述する。
【0063】
<固定客管理装置22>
つぎに、固定客管理装置22の構成について詳細に説明する。
図5に示すように、固定客管理装置22は、配車管理装置21と同様に、通信装置22A、記憶装置22B、および制御装置22Cを有している。通信装置22A、記憶装置22B、および制御装置22Cは、たとえば、バス22Dを介して相互に接続されている。制御装置22Cは、先の3つの構成A1,A2,A3のうち、いずれか一つを含む処理回路を有している。
【0064】
記憶装置22Bには、シェアリングサービスの利用者として登録される会員のうち、固定客の会員情報、予約情報、および利用情報などの各種情報が記憶されている。情報は、たとえばユーザIDなどの固有の識別情報と関連付けられている。制御装置22Cは、たとえば、配車管理装置21からの要求に応じて、記憶装置22Bに記憶されている情報を、通信装置22Aを介して配車管理装置21に送信可能である。
【0065】
<一時客管理装置23>
つぎに、一時客管理装置23の構成について詳細に説明する。
図5に示すように、一時客管理装置23は、配車管理装置21と同様に、通信装置23A、記憶装置23B、および制御装置23Cを有している。通信装置23A、記憶装置23B、および制御装置23Cは、たとえば、バス23Dを介して相互に接続されている。制御装置23Cは、先の3つの構成A1,A2,A3のうち、いずれか一つを含む処理回路を有している。
【0066】
記憶装置23Bには、シェアリングサービスの利用者として登録される会員のうち、一時客の会員情報、予約情報、および利用情報などの各種情報が記憶されている。情報は、たとえばユーザIDなどの固有の識別情報と関連付けられている。制御装置23Cは、たとえば、配車管理装置21からの要求に応じて、記憶装置23Bに記憶されている情報を、通信装置23Aを介して配車管理装置21に送信可能である。
【0067】
<充電管理装置24>
つぎに、充電管理装置24の構成について詳細に説明する。
図5に示すように、充電管理装置24は、配車管理装置21と同様に、通信装置24A、記憶装置24B、および制御装置24Cを有している。通信装置24A、記憶装置24B、および制御装置24Cは、たとえば、バス24Dを介して相互に接続されている。制御装置24Cは、先の3つの構成A1,A2,A3のうち、いずれか一つを含む処理回路を有している。
【0068】
制御装置24Cは、通信装置24Aを介して、充電装置25からバッテリ11Eの状態に関する情報を取得可能である。情報には、バッテリ11Eの充電状態が含まれる。制御装置24Cは、たとえば、配車管理装置21からの要求に応じて、バッテリ11Eの状態に関する情報を、通信装置23Aを介して配車管理装置21に送信可能である。制御装置24Cは、バッテリ11Eの充電状態に応じて貸出対象となるバッテリ11Eを選択し、選択されるバッテリ11Eを貸し出すための貸出指令を生成する。制御装置24Cは、ネットワーク26を介して、貸出指令を充電装置25に送信する。
【0069】
なお、貸し出されるバッテリ11Eの充電率は、100%に限らない。たとえば、充電率が100%を下回るバッテリ11Eが貸し出されることもある。貸し出されるバッテリ11Eの充電率は、たとえば、ユーザが予定する車両11の利用状態に応じて異なる。たとえば、50%の充電率を有するバッテリ11Eが貸し出されることもあれば、100%の充電率を有するバッテリ11Eが貸し出されることもある。
【0070】
制御装置24Cは、たとえば、配車管理装置21から取得されるユーザの予約情報に基づき、適切な充電状態を有するバッテリ11Eを貸出対象として選択する。予約情報には、たとえば、予定走行距離、予定利用時間、あるいは車両11の利用目的などの情報が含まれる。制御装置24Cは、ユーザの予定走行距離、予定利用時間、あるいは車両11の利用目的に応じた充電状態を有するバッテリ11Eを貸出対象として選択する。
【0071】
<充電装置25>
つぎに、充電装置25の構成について詳細に説明する。
図6に示すように、充電装置25は、筐体25Aを有している。筐体25Aは、複数のスロット25B、および表示装置25Cを有している。スロット25Bは、たとえば、バッテリ11Eの外形に対応する直方体状の収容空間を有している。スロット25Bは、筐体25Aの前面に開口している。前面は、ユーザが向き合う筐体25Aの面である。スロット25Bには、バッテリ11Eを出し入れすることが可能である。スロット25Bの数は、製品仕様などに応じて、適宜の値に設定される。各スロット25Bには、スロットIDなどの識別情報が割り振られている。表示装置25Cは、たとえば、液晶ディスプレイ、あるいは有機ELディスプレイ(Organic ElectroLuminescence Display)である。表示装置25Cは、各種の情報を表示する。情報には、たとえば、貸し出し可能なバッテリ11Eが収容されているスロット25Bの番号が含まれる。
【0072】
図7に示すように、充電装置25は、さらに、接続部25D、充電器25E、通信装置25F、制御装置25G、および記憶装置25Hを有している。
接続部25Dは、各スロット25Bに設けられる。接続部25Dは、バッテリ11Eがスロット25Bに装着された際、バッテリ11Eの接続部と電気的に接続される。接続部25Dは、たとえば、バッテリ11Eの装着方向におけるスロット25Bの最奥部に設けられる。最奥部は、スロット25Bの入り口である開口部から最も遠いスロット25Bの部分である。接続部40Cは、たとえば、電力経路の接続部と、信号経路の接続部とを含む。充電装置25からの充電用の電力は、接続部25Dを介してバッテリ11Eに供給される。また、充電装置25は、接続部25Dを介して、バッテリ11Eとの間で情報の授受を行う。情報は、バッテリIDなどの識別情報、充電回数、および検出部40B1の検出結果などを含む。検出結果は、蓄電部40Aの状態を示す情報である。
【0073】
充電器25Eは、各スロット25Bに対応して設けられる。充電器25Eは、スロット25Bにバッテリ11Eが収容された状態、すなわち接続部25Dがバッテリ11Eの接続部と接続された状態であるとき、制御装置25Gに制御されることによって、バッテリ11Eを充電する。充電器25Eは、たとえば、交流である商用電力を直流電力に変換し、変換される直流電力をバッテリ11Eへ供給する。
【0074】
通信装置25Fは、制御装置25Gとネットワーク26との間のインターフェースである。通信装置25Fは、ネットワーク26を介して情報の送信と、情報の受信とを行う。通信装置25Fは、制御装置25Gからの命令に従って、ネットワーク26に接続される外部装置との間で情報を授受する。
【0075】
記憶装置25Hは、充電装置25に関する各種の情報を記憶する。記憶装置25Hは、制御装置25Gが実行するコンピュータプログラム、および制御装置25Gが処理するデータなどを記憶している。記憶装置25Hは、たとえば、各スロット25Bにバッテリ11Eが収容されているかどうかを示す情報を記憶する。また、記憶装置25Hは、各スロット25Bに収容されているバッテリ11Eの識別情報を、各スロット25Bの識別情報と関連付けて記憶する。記憶装置25Hは、バッテリ11Eの充電回数、および充電率などの情報を記憶するようにしてもよい。
【0076】
制御装置25Gは、先の3つの構成A1,A2,A3のうち、いずれか一つを含む処理回路を有している。制御装置25Gは、充電装置25の全体を制御する。制御装置25Gは、各スロット25Bに収容されているバッテリ11Eの充電と、バッテリ11Eの貸し出しとを制御する。
【0077】
制御装置25Gは、検出部25G1を有している。検出部25G1は、充電器25Eがバッテリ11Eを充電しているときの状態を検出する。検出部25G1は、たとえば、電圧センサ、電流センサ、および温度センサを含む。電圧センサは、バッテリ11Eを充電しているときに蓄電部40Aに印加される電圧を検出する。電流センサは、バッテリ11Eを充電しているときに蓄電部40Aに流れる電流を検出する。温度センサは、バッテリ11Eを充電しているときの蓄電部40Aの温度を検出する。検出部25G1の検出結果は、バッテリ11Eの状態に関する情報である。
【0078】
制御装置25Gは、各スロット25Bに収容されたバッテリ11Eの状態に関する情報を、接続部25Dを介して取得する。バッテリ11Eの状態に関する情報には、バッテリ11Eの識別情報が含まれる。スロット25B毎にバッテリ11Eの識別情報とスロット25Bの識別情報とが関連付けられる。ただし、バッテリ11Eの状態に関する情報には、たとえば、バッテリ11Eの充電回数、および検出部25G1の検出結果が含まれていてもよい。制御装置25Gは、取得される情報を記憶装置25Hに格納する。
【0079】
制御装置25Gは、定められたタイミングで、スロット25Bに保管されているバッテリ11Eに関する情報を、通信装置25Fを介して、充電管理装置24に送信する。タイミングは、たとえば、使用済みのバッテリ11Eが返却されたとき、定められた時刻毎、あるいは、定められた期間毎である。
【0080】
制御装置25Gは、バッテリ11Eの充電を制御する。制御装置25Gは、検出部25G1の検出結果に基づき充電器25Eを制御することによって、バッテリ11Eの充電を制御する。
【0081】
制御装置25Gは、検出部25G1の検出結果に基づき、バッテリ11Eの現在の充電率、すなわちバッテリ11Eの蓄電部40Aの現在の充電率を演算する。制御装置25Gは、バッテリ11Eの充電が完了したとき、充電が完了したことを示す情報を、通信装置25Fを介して充電管理装置24に送信する。
【0082】
制御装置25Gは、バッテリ11Eの貸し出しを制御する。制御装置25Gは、通信装置25Fを介して、充電管理装置24からの貸出指令が受信されるとき、受信される貸出指令に基づきバッテリ11Eを貸し出す。貸出指令には、貸出対象であるバッテリ11Eの識別情報が含まれている。バッテリ11Eの識別情報は、スロット25Bの識別情報と関連付けられている。
【0083】
<バッテリ11E>
つぎに、バッテリ11Eの構成について詳細に説明する。
図8に示すように、バッテリ11Eは、蓄電部40A、制御部40B、および接続部40Cを有している。
【0084】
蓄電部40Aは、蓄電池を含んで構成される。蓄電池は、充電した電力の蓄電と、蓄電した電力の放電とを行う。蓄電池は、充電によって繰り返し使用可能である。蓄電池は、たとえば、リチウムイオン電池である。
【0085】
制御部40Bは、蓄電部40Aの充電と放電とを制御する。制御部40Bは、たとえば、CPUなどのプロセッサを含み、単一のICチップとして集積化されていてもよい。制御部40Bは、検出部40B1、および記憶部40B2を有している。
【0086】
検出部40B1は、蓄電部40Aの状態を検出する。検出部40B1は、たとえば、電圧センサ、電流センサ、および温度センサを含む。電圧センサは、蓄電部40Aの電圧を検出する。電流センサは、蓄電部40Aが流す電流を検出する。温度センサは、蓄電部40Aの温度を検出する。
【0087】
記憶部40B2は、各種の情報を記憶している。情報には、たとえば、バッテリ11Eに対して割り当てられるバッテリIDなどの識別情報、充電回数、製造日、初期状態の容量、充電率などの情報が含まれる。制御部40Bは、たとえば、検出部40B1の検出結果に基づき、蓄電部40Aの異常を判定し、その判定結果を示す情報を記憶部40B2に格納するようにしてもよい。制御部40Bは、蓄電部40Aに対して行った制御内容などの情報を記憶部40B2に格納するようにしてもよい。記憶部40B2は、RAMおよびROMを有している。
【0088】
接続部40Cは、バッテリ11Eが車両11に装着された際、車両11に設けられる接続部に接続される。接続部40Cは、たとえば、電力経路の接続部と、信号経路の接続部とを含む。蓄電部40Aに蓄電された電力は、接続部40Cを介して、車両11の各部に供給される。制御部40Bは、接続部40Cを介して、車両11との間で情報の授受を行う。情報は、バッテリIDなどの識別情報、充電回数、および検出部40B1の検出結果などを含む。検出結果は、蓄電部40Aの状態を示す情報である。
【0089】
接続部40Cは、バッテリ11Eが充電装置25のスロット25Bに装着された際、スロット25Bの内部に設けられる接続部と接続される。充電装置25からの充電用の電力は、接続部40Cを介して、蓄電部40Aに供給される。制御部40Bは、接続部40Cを介して、充電装置25との間で情報を授受する。情報は、バッテリIDなどの識別情報、充電回数、および検出部40B1の検出結果などを含む。検出結果は、蓄電部40Aの状態を示す情報である。
【0090】
<配車処理>
つぎに、配車管理装置21が実行する配車処理について詳細に説明する。
配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、固定客管理装置22から車両11の貸出情報と、車両11の返却情報とを取得する。また、配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、一時客管理装置23から車両11の貸出情報と、車両11の返却情報とを取得する。配車管理装置21は、たとえば、固定客の予約情報と、一時客の予約情報とに基づき、車両11の配車計画を作成する。
【0091】
配車管理装置21は、固定客と車両11とのマッチングを行う。マッチングは、固定客に特定の車両11を割り当てる処理を含む。配車管理装置21は、車両11を利用する固定客の隙間時間に、一時客の予約可能な時間を設定する。配車管理装置21は、たとえば、固定客の車両11の利用開始時刻の所定時間後から、車両11の利用終了時刻の所定時間前までの期間を、一時客の予約可能な時間帯として設定するようにしてもよい。
【0092】
配車管理装置21は、配車情報を生成し、生成される配車情報を、ネットワーク26を介して一時客管理装置23に送信する。配車情報には、たとえば、車両11の配車計画、および一時客の予約可能な時間帯などの情報が含まれている。一時客管理装置23は、ネットワーク26を介して配車情報を取得し、取得される配車情報に基づき一時客の予約を管理する。一時客管理装置23は、車両11を利用する固定客の隙間時間、すなわち一時客の予約可能な時間帯のみ、一時客による予約を許可する。
【0093】
図9(a),(b)に示すように、たとえば、第1の固定客UAと、第2の固定客UBとに、第1の車両11_1が割り当てられる。第1の固定客UAと、第2の固定客UBとが第1の車両11_1を利用する時間帯は異なる。第1の固定客UAが第1の車両11_1を利用する時間帯は、たとえば「6:00~6:30」である。第2の固定客UBが第1の車両11_1を利用する時間帯は、たとえば「17;30~18:00」である。この場合、配車管理装置21は、「7:00~17:00」の時間帯を、一時客の予約可能な時間帯として設定する。たとえば、第1の一時客Uaは、「7:00~17:00」の時間帯に第1の車両11_1の利用を予約可能である。
【0094】
時間帯によっては、第1の固定客UAと、第2の固定客UBとに、第2の車両11_2が割り当てられる。第1の固定客UAが第2の車両11_2を利用する時間帯は、たとえば「18:00~19:00」である。第2の固定客UBが第2の車両11_2を利用する時間帯は、たとえば「7;00~7:30」である。この場合、配車管理装置21は、「8:00~17:30」の時間帯を、一時客の予約可能な時間帯として設定する。たとえば、第2の一時客Ubは、「8:00~17:30」の時間帯に第2の車両11_2の利用を予約可能である。
【0095】
また、たとえば第3の固定客UCに、第3の車両11_3が割り当てられる。第3の固定客UCが第3の車両11_3を利用する時間帯は、たとえば「8:00~9:00」および「17:00~18:00」である。この場合、配車管理装置21は、「9:30~16:30」の時間帯を、一時客の予約可能な時間帯として設定する。たとえば、第3の一時客Ucは、「9:30~16:30」の時間帯に第3の車両11_3の利用を予約可能である。図9の例では、第3の一時客Ucは、「9:30~16:00」の時間帯に第3の車両11_3の利用を予約している。
【0096】
このように、固定客が車両11を利用しない時間帯、すなわち車両11を利用する固定客の隙間時間に、一時客の予約可能な時間を設定することにより、固定客と、一時客とに対して、適切に車両11を割り当てることが可能である。このため、共用される車両11の稼働率を向上させることが可能である。
【0097】
<バッテリ11Eの交換>
つぎに、バッテリ11Eの交換について説明する。
図10に示すように、たとえば、第1の固定客UAは、車両11の利用を終了する際、車両11から第1のバッテリ11E_1を取り外し、取り外した第1のバッテリ11E_1を充電装置25のスロット25Bに収容することによって返却する。充電装置25は、返却された第1のバッテリ11E_1の充電を開始する。
【0098】
この後、たとえば、第1の一時客Uaが車両11を利用する。第1の一時客Uaは、たとえば、充電済みの第2のバッテリ11E_2をスロット25Bから取り出し、取り出した第2のバッテリ11E_2を車両11に装着する。これにより、車両11は走行可能となる。第1の一時客Uaは、車両11の利用を終了する際、車両11から第2のバッテリ11E_2を取り外し、取り外した第2のバッテリ11E_2を充電装置25のスロット25Bに収容することによって返却する。充電装置25は、返却された第2のバッテリ11E_2の充電を開始する。
【0099】
この後、たとえば、第1の固定客UAが再び車両11を使用する際、第1の固定客UAは、たとえば、充電済みの第1のバッテリ11E_1をスロット25Bから取り出し、取り出した第1のバッテリ11E_1を車両11に装着する。これにより、車両11は走行可能となる。このように、ユーザは、バッテリ11Eを交換するだけで、車両11を利用可能である。バッテリ11Eの充電完了を待つ必要がない。
【0100】
<充電管理>
つぎに、充電管理装置24によるバッテリ11Eの充電管理について説明する。
図11に示すように、充電管理装置24は、複数のバッテリ11Eの充電状態を個別に管理する。充電管理装置24は、配車管理装置21が生成する配車情報を、ネットワーク26を介して取得し、取得される配車情報に基づきバッテリ11Eの充電状態を管理する。充電管理装置24は、たとえば、バッテリ11Eの利用者、バッテリ11Eの充電率、バッテリ11Eの貸出予定時刻、バッテリ11Eの回収予定時刻、バッテリ11Eの充電開始予定時刻、バッテリ11Eの充電完了予定時刻、およびバッテリ11Eの次回貸出予定時刻を管理する。
【0101】
充電管理装置24は、バッテリ11Eの充電状態に応じて貸出対象となるバッテリ11Eを選択する。充電管理装置24は、たとえば、車両11の予定走行距離を考慮して、貸出対象となるバッテリ11Eを選択するようにしてもよい。この場合、貸出対象となるバッテリ11Eの充電率は、100%でないことがある。車両11が予定走行距離だけ走行するために必要とされる電力が供給できればよい。予定走行距離は、車両11の予約情報の一つである。充電管理装置24は、ネットワーク26を介して、固定客管理装置22および一時客管理装置23から車両11の予約情報を取得する。充電管理装置24は、ネットワーク26を介して、配車管理装置21から車両11の予約情報を取得するようにしてもよい。充電管理装置24は、予定走行距離の他にも、たとえば、予定利用時間あるいは車両11の利用目的を考慮して、貸出対象となるバッテリ11Eを選択するようにしてもよい。予定利用時間、および車両11の利用目的も、予約情報の一つである。
【0102】
なお、図11の例では、第1のバッテリ11E_1は、第1の固定客UAに割り当てられている。第2のバッテリ11E_2は、第1の一時客Uaに割り当てられている。第3のバッテリ11E_3は、第2の固定客UBに割り当てられている。第4のバッテリ11E_4は、第2の一時客Ubに割り当てられている。第5のバッテリ11E_5は、第3の固定客UCに割り当てられている。第6のバッテリ11E_6は、第3の一時客Ucに割り当てられている。
【0103】
このように、充電管理装置24がバッテリ11Eの充電状態を管理することにより、ユーザは、バッテリ11E、ひいては車両11を即時に利用可能となる。ユーザは、充電装置25のスロット25Bからバッテリ11Eを取り出し、取り出したバッテリ11Eを車両11に装着するだけでよい。バッテリ11Eの充電完了を待つ必要がない。また、車両11の予定される利用状態に応じて、適切な充電状態を有するバッテリ11Eを貸し出すことが可能である。利用状態は、たとえば、予定走行距離、予定利用時間、および車両11の利用目的などが含まれる。たとえば、車両11の予定走行距離に応じた充電状態を有するバッテリ11Eを貸し出すことによって、車両11が予定走行距離だけ走行する前に、バッテリ11Eが消耗することを抑制できる。
【0104】
なお、充電管理装置24は、充電装置25に保管されているバッテリ11Eの充電停止、あるいはバッテリ11Eの充電禁止を、ネットワーク26を介して充電装置25に指示するようにしてもよい。充電管理装置24は、たとえば、バッテリ11Eの制御部40Bによって蓄電部40Aの異常が検出されるとき、異常が検出されたバッテリ11Eの充電停止、あるいは充電禁止を充電装置25に指示する。車両11に搭載されたバッテリ11Eの異常の有無は、ネットワーク26を介して、車両11と充電管理装置24との間で共有される。また、充電装置25に保管されているバッテリ11Eの異常の有無は、ネットワーク26を介して、充電装置25と充電管理装置24との間で共有される。
【0105】
<配車変更処理>
つぎに、配車管理装置21が実行する配車変更処理について説明する。
[第1の変更処理]配車管理装置21が作成した配車計画通りに車両11が返却されないおそれがある。たとえば、いわゆる車両11の乗り捨てが考えられる。乗り捨ては、たとえば、出発したシェアリングステーション14とは異なるシェアリングステーション14に車両11を返却することである。また、車両11の返却が返却予定時刻に間に合わない返却遅延が発生するおそれがある。また、返却予定時刻よりも早く車両11が返却される早期返却が発生するおそれもある。
【0106】
配車管理装置21は、貸し出した車両11が配車計画通りに返却されないおそれがあるとき、配車計画を変更する。ユーザは、クライアント端末10の操作を通じて、車両11の返却場所の変更処理、あるいは車両11の返却時刻の変更処理を行う。配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、変更された車両11の返却場所、あるいは変更された車両11の返却時刻を取得可能である。配車管理装置21は、たとえば、当初の配車計画通りに車両11が返却されないことを認識した時点の各車両11の貸出情報と、各車両11の返却情報とに基づき、車両11の配車計画を変更する。配車計画の変更処理は、代替車を手配する処理を含む。
【0107】
[第2の変更処理]配車管理装置21は、つぎのようにして、車両11の配車計画を変更するようにしてもよい。すなわち、配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、車両11から運行状態に関する情報を取得し、取得される情報に基づき車両11の運行状態を監視する。運行状態に関する情報には、たとえば、車両11の識別情報、車両11の位置情報、車両11の位置に関連付けられた時刻情報などが含まれる。配車管理装置21は、たとえば、車両11の位置と、車両11の返却予定時刻とに基づき、車両11が返却予定時刻までに返却されるかどうかを予測する。配車管理装置21は、車両11が返却予定時刻までに返却されないおそれがあると予測されるとき、各車両11の貸出情報と、各車両11の返却情報とに基づき、車両11の配車計画を変更する。配車計画の変更処理は、代替車を手配する処理を含む。
【0108】
[第3の変更処理]配車管理装置21は、つぎのようにして、車両11の配車計画を変更するようにしてもよい。配車管理装置21は、車両11の運行状態と、バッテリ11Eの状態とを監視する。すなわち、配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、車両11の位置情報と、バッテリ11Eの状態に関する情報とを車両11から取得する。バッテリ11Eの状態に関する情報には、たとえば、バッテリ11Eの電圧が含まれる。配車管理装置21は、バッテリ11Eの電圧に基づき、バッテリ11Eの残量を演算する。ただし、車両11の制御装置11Dがバッテリ11Eの残量を演算する機能を有する場合、配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、車両11からバッテリ11Eの残量に関する情報を取得してもよい。配車管理装置21は、車両11の位置と、バッテリ11Eの残量とに基づき、車両11の走行可能時間を演算する。配車管理装置21は、車両11の返却前に車両11が走行できなくなるおそれがあるとき、代替車を手配する。代替車は、たとえば、車両11の走行可能範囲内のシェアリングステーション14に駐車されている予備車両である。ユーザは、バッテリ11Eの消耗により車両が走行できなくなる前に、代替車に乗り換えることが可能である。
【0109】
[第4の変更処理]配車管理装置21は、つぎのようにして、車両11の配車計画を変更するようにしてもよい。配車管理装置21は、車両11の状態を監視する。たとえば、配車管理装置21は、貸出中の車両11に異常が発生したことが認識されるとき、代替車を手配する。異常には、車両11の損傷などが含まれる。代替車は、たとえば、車両11の現在位置の近傍のシェアリングステーション14に駐車されている予備車両である。配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、クライアント端末10あるいは車両11から、車両11の異常に関する情報を取得することにより、車両11の異常を認識する。異常に関する情報には、たとえば、車両11に異常が発生したことを示す情報、および異常の内容を示す情報が含まれる。異常の内容には、車両11の外観画像が含まれていてもよい。ユーザは、車両11に異常が発生したとき、代替車に乗り換えることが可能となる。
【0110】
このように、様々な状況に応じて柔軟に配車計画を変更することにより、ユーザの利便性を確保することが可能である。また、共用される車両11の稼働率を向上させることが可能である。
【0111】
<車両返却の確実性を高めるための処理>
つぎに、車両11の返却の確実性を高めるための処理について説明する。
図12に示すように、たとえば、固定客の隙間時間に一時客が車両11を利用する場合、一時客が車両11を予定通りにシェアリングステーション14に返却しないと、固定客は次の利用予定時刻に車両11を利用することができない。そこで、配車管理装置21は、車両11の返却の確実性を高めるために、つぎの処理を実行するようにしてもよい。
【0112】
配車管理装置21は、貸し出した車両11の返却の態様に応じて、車両11のユーザにインセンティブ、あるいはペナルティを与えるための処理を実行する。返却の態様には、たとえば、返却された車両11の状態、および車両の返却タイミングなどが含まれる。インセンティブは、たとえば、車両11を予定通りに返却する意欲を引き出すことを目的として、ユーザに与えられる報酬である。ペナルティは、車両11を予定通りに返却する意欲を引き出すことを目的として、ユーザに与えられる罰則である。
【0113】
配車管理装置21は、たとえば、つぎの2つの事柄(B1),(B2)のうちいずれか一方が確認されるとき、車両11のユーザに特典を付与する。特典は、たとえばカーシェアリング事業者が車両11の利用に対して提供するクーポン、ポイント、あるいは割引である。車両11のユーザは、たとえばアプリケーションが実行された状態のクライアント端末10を介して、配車管理装置21から特典を受け取る。特典の付与は、ユーザが車両11を予定通りに返却することを動機付けるインセンティブとなり得る。
【0114】
(B1)車両11を返却したとき、車両11を貸し出したときのバッテリ11Eの残量を上回っていること。配車管理装置21は、たとえば、ネットワーク26を介して貸出時のバッテリ11Eの充電状態を充電管理装置24から取得し、取得される充電状態を記憶している。また、配車管理装置21は、充電装置25のスロット25Bに返却されたバッテリ11Eの残量を、充電装置25あるいは充電管理装置24からネットワーク26を介して取得可能である。
【0115】
(B2)ユーザが予定よりも早く車両11を返却したこと。配車管理装置21は、たとえば、車両11の予約情報に基づき、ユーザが予定よりも早く車両11を返却したかどうかを判定可能である。
【0116】
配車管理装置21は、たとえば、つぎの事柄(C1)が確認されるとき、車両11のユーザに罰則を課す。罰則は、たとえば、車両11の利用に対して追加料金あるいは割増料金を課すことである。追加料金あるいは割増料金を課すことは、ユーザが車両11を予定通りに返却することに対する動機付けとなり得る。
【0117】
(C1)車両11が乗り捨てられたこと。
乗り捨ては、たとえば、出発したシェアリングステーション14とは異なるシェアリングステーション14に車両11を返却することである。配車管理装置21は、たとえば、配車計画に基づき、車両11を貸し出したシェアリングステーション14を認識可能である。また、配車管理装置21は、たとえば、車両の返却処理が行われたときの車両11の位置などに基づき、車両11が乗り捨てられたかどうかを判定可能である。
【0118】
このように、車両11の返却の態様に応じて、車両11のユーザにインセンティブ、あるいはペナルティを与えることにより、ユーザによる車両11の返却の確実性を高めることが可能である。
【0119】
<第1の防犯対策>
車両11の防犯性を高めるために、車両11の制御装置11Dは、つぎのような処理を実行するようにしてもよい。
【0120】
制御装置11Dは、たとえば、バッテリ11Eの認証処理を実行する。車両11には、自車両用のバッテリ11Eが登録されている。より具体的には、車両11の記憶装置11Cには、自車両用のバッテリ11Eの識別番号が格納されている。自車両用のバッテリ11Eは、単数であってもよいし、複数であってもよい。制御装置11Dは、車両11にバッテリ11Eが装着されたとき、バッテリ11Eの接続部40Cを介して、バッテリ11Eの識別情報を取得する。また、制御装置11Dは、車両11にバッテリ11Eが装着されたとき、記憶装置11Cに格納されている自車両用のバッテリ11Eの識別情報を読み込む。
【0121】
制御装置11Dは、バッテリ11Eの認証処理として、バッテリ11Eから取得される識別情報と、記憶装置11Cから読み込まれる識別情報とを照合する。制御装置11Dは、照合が成立するとき、車両11に装着されたバッテリ11Eが自車両に対応する正規のバッテリ11Eであると判定し、車両11の走行を許可する。走行の許可には、たとえば、走行用モータ11Gに対する給電を許可すること、あるいはステアリングホイールのロックを解除することが含まれる。制御装置11Dは、照合が成立しないとき、車両11に装着されたバッテリ11Eが自車両に対応する正規のバッテリ11Eではないと判定し、車両11の走行を許可しない。
【0122】
このようにすれば、車両11に登録されている正規のバッテリ11Eを使用しなければ、車両11を走行させることができない。このため、車両11の防犯性が高められる。
なお、この場合、配車管理装置21は、たとえば、ユーザの予定走行距離と、バッテリ11Eの充電状態とに応じて、貸し出す車両11を決定するようにしてもよい。配車管理装置21は、車両11とバッテリ11Eとの対応関係を把握している。より具体的には、配車管理装置21は、車両11の識別情報と、バッテリ11Eの識別情報とを、互いに関連付けて記憶している。配車管理装置21は、バッテリ11Eの充電状態に基づき、予定走行距離だけ走行するために必要とされる電力を供給可能なバッテリ11Eを選択し、選択されるバッテリ11Eに対応する車両11をユーザに割り当てる。充電管理装置24は、ネットワーク26を介して、貸出対象となるバッテリ11Eを認識する。
【0123】
予定走行距離は、車両11の予約情報の一つである。配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、固定客管理装置22および一時客管理装置23から車両11の予約情報を取得可能である。また、配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、充電装置25あるいは充電管理装置24からバッテリ11Eの充電状態に関する情報を取得可能である。
【0124】
<第2の防犯対策>
車両11の防犯性を高めるために、車両11の制御装置11Dは、つぎのような処理を実行するようにしてもよい。
【0125】
配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、車両11から運行状態に関する情報を取得し、取得される情報に基づき車両11の運行状態を監視する。運行状態に関する情報には、たとえば、車両11の識別情報、車両11の位置情報、車両11の位置に関連付けられた時刻情報などが含まれる。
【0126】
配車管理装置21は、たとえば、車両11の配車計画に基づき、車両11の利用が予定されていないにもかかわらず、車両11が移動している場合、ユーザに車両11が移動していることを通知する。ユーザは、カーシェアリングサービスの契約者であって、たとえば固定客である。これは、車両11の盗難などのおそれがあるためである。
【0127】
配車管理装置21は、たとえば、ネットワーク26を介して、ユーザが所持するクライアント端末10にメッセージを送信する。通知を受けることによって、ユーザは、車両11の状態を確認するなどの行動を起こすことが可能である。このため、車両11の防犯性が高められる。
【0128】
<第1の実施の形態の効果>
第1の実施の形態は、以下の効果を奏する。
(1-1)配車管理装置21は、固定客管理装置22から固定客の予約情報を取得するとともに、一時客管理装置23から一時客の予約情報を取得する。配車管理装置21は、固定客の予約情報と、一時客の予約情報とに基づき、ユーザに貸し出す車両11を決定する。このため、配車管理装置21は、固定客の予約情報と、一時客の予約情報とに基づき、ユーザに対して適切に車両を割り当てることが可能である。したがって、共用される車両11をより効率的に運用することができる。すなわち、共用される車両11の稼働率を向上させることができる。また、車両11の稼働率が向上することにより、予備車両の台数を減らすことが可能である。
【0129】
(1-2)配車管理装置21は、固定客が車両11を利用しない時間帯を一時客の予約可能な時間帯として設定する。一時客管理装置23は、配車管理装置21により設定される一時客の予約可能な時間帯のみ、一時客による車両11の予約を許可する。このため、固定客が車両11を利用しない時間帯に、車両11を一時客に貸し出すことによって、共用される車両11の稼働率を向上させることができる。
【0130】
(1-3)配車管理装置21は、車両11が予定通り返却されないおそれがあるとき、配車計画を変更する。状況に応じて配車計画を変更することにより、ユーザの利便性を確保することができる。配車計画は、車両の貸し出しの計画である。
【0131】
(1-4)配車管理装置21は、車両11の運行状態を監視する。配車管理装置21は、車両11の位置と、車両11の返却予定時刻とに基づき、車両11が予定通り返却されないおそれがあると予測されるとき、配車計画を変更する。状況に応じて配車計画を変更することにより、ユーザの利便性を確保することができる。
【0132】
(1-5)配車管理装置21は、車両11の運行状態と、バッテリ11Eの状態とを監視する。配車管理装置21は、車両11の位置と、バッテリ11Eの残量とに基づき、車両11の返却前に車両11が走行できなくなるおそれがあるとき、代替車を手配する。このため、ユーザは、バッテリ11Eの消耗により車両11が走行できなくなる前に、代替車に乗り換えることが可能である。したがって、ユーザの利便性を確保することができる。
【0133】
(1-6)配車管理装置21は、車両11の状態を監視し、車両11に異常が発生したことが認識されるとき、代替車を手配する。ユーザは、車両に異常が発生したとき、代替車に乗り換えることが可能である。このため、ユーザの利便性を確保することができる。
【0134】
(1-7)配車管理装置21は、車両11の返却の態様に応じて、ユーザに報酬、あるいは罰則を与えるための処理を実行する。これにより、ユーザによる車両の返却の確実性を高めることができる。
【0135】
(1-8)車両11の制御装置11Dは、車両11にバッテリ11Eが装着された場合、バッテリ11Eの認証処理を実行する。制御装置11Dは、バッテリ11Eの認証が成立するときのみ、車両11の走行を許可する。このため、車両11の防犯性が高められる。
【0136】
(1-9)配車管理装置21は、車両11の運行状態を監視する。配車管理装置21は、車両11の利用が予定されていないにもかかわらず、車両11が移動している場合、ユーザに車両11が移動していることを通知する。このため、車両11の防犯性が高められる。
【0137】
(1-10)充電管理装置24は、充電装置25から取得されるバッテリ11Eの充電状態に応じて貸出対象となるバッテリ11Eを選択し、選択されるバッテリ11Eの貸し出しを充電装置25に指示する。充電管理装置24がバッテリ11Eの充電状態を管理することにより、ユーザは、バッテリ11E、ひいては車両11を即時に利用可能となる。ユーザは、充電装置25からバッテリ11Eを取り出し、取り出したバッテリ11Eを車両11に装着するだけでよい。バッテリ11Eの充電完了を待つ必要がないため、共用される車両11の稼働率を向上させることができる。
【0138】
(1-11)充電管理装置24は、たとえば、配車管理装置21、または固定客管理装置22および一時客管理装置23からユーザの予約情報を取得する。充電管理装置24は、取得されるユーザの予約情報に含まれる車両11の予定される利用状態に応じて、貸出対象となるバッテリ11Eを選択する。このため、車両の予定される利用状態に応じて、適切な充電状態を有するバッテリを貸し出すことができる。
【0139】
<第2の実施の形態>
つぎに、シェアリングシステムの第2の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には先の図1図12に示される第1の実施の形態と同様の構成を有している。したがって、第1の実施の形態と同様の部材および構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を割愛する。
【0140】
たとえば、固定客が車両11を利用しない時間帯には、車両11が、たとえば固定客の自宅12に駐車されていることがある。このような利用されない車両11を有効に利用することが求められる。
【0141】
そこで、車両11を、つぎのように活用することが考えられる。すなわち、固定客が車両11を利用しない時間帯において、車両11を自宅12からシェアリングステーション14に回送し、回送した車両11を一時客に貸し出す。車両11は、固定客が次に車両11を利用する時刻までに、シェアリングステーション14から自宅12に回送する。このようにすれば、固定客が車両11を利用しない時間帯において、車両11を有効に活用することができる。
【0142】
配車管理装置21は、ネットワーク26を介して、固定客管理装置22から固定客の予約情報を取得する。配車管理装置21は、固定客の予約情報に基づき、車両11の回送計画を策定する。配車管理装置21は、固定客の予約情報のうち、たとえば車両11の利用開始時刻と、車両11の利用終了時刻とに基づき、車両11の回送計画を策定する。
【0143】
図13に示すように、たとえば、第1の固定客UAには、第1の車両11_1が割り当てられている。第1の固定客UAは、第1の車両11_1を使用する予定がない。第2の固定客UBには、第2の車両11_2が割り当てられている。第2の固定客UBは、第2の車両11_2を使用する予定がある。第3の固定客UCには、第3の車両11_3が割り当てられている。第3の固定客UCには、第3の車両11_3を使用する予定がある。この場合、第1の車両11_1が回送対象であって、貸し出し対象となる。配車管理装置21は、たとえば、第1の車両11_1が割り当てられた第1の固定客UAの次回の利用予定などに基づき、第1の車両11_1の回送予定時刻を設定する。
【0144】
配車管理装置21は、回送予定時刻を深夜の時間帯に設定するようにしてもよい。深夜は、夜深くの時間帯であって、たとえば、午前0時から午前2時までの時間帯である。図13の例では、第1の車両11_1の回送予定時刻が「0:00」に設定されている。
【0145】
車両11は、自動運転機能を有し、たとえば、配車管理装置21からの指示に基づき自律的に走行することが可能である。車両11は、配車管理装置21からの指令に基づき自動運転で回送される。車両11の制御装置11Dは、車両11の自律走行制御を実行する。自律走行制御は、各種のセンサを通じて自車両の周囲環境を認識しながら所定の走行ルートを追従して自律的に走行するための制御である。自律走行制御の実行を通じて、車両11は監視センサを通じて検出される障害物を避けながら、決められた走行ルートを自律的に走行する。
【0146】
センサ類11Jには、たとえば、前方監視センサ、後方監視センサ、および側方監視センサが含まれる。前方監視センサは、車両11の前部に設けられて、自車両の前方を監視する。後方監視センサは、車両の後部に設けられて、車両11の後方を監視する。側方監視センサは、車両の側部に設けられて、車両11の側方を監視する。これら監視センサは、たとえば、レーザーレーダ、ミリ波レーダ、あるいはカメラであってもよい。
【0147】
車両11の制御装置11Dは、自動運転機能がオンされているとき、車両11の各部を制御する。制御装置11Dは、たとえば、アクセルペダルの踏み込み量に応じて、走行用モータ11Gの出力を制御する。制御装置11Dは、ブレーキペダルの踏み込み量に応じて、車両11の制動力を制御する。制御装置11Dは、操舵用モータ11Iを通じて、車両11の転舵角を制御する。転舵角は、車両11の直進状態を基準とするタイヤの切れ角である。
【0148】
<車両11の回送処理手順>
つぎに、配車管理装置21の制御装置21Cが実行する車両11の回送処理の手順について説明する。
【0149】
図14のフローチャートに示すように、制御装置21Cは、ネットワーク26を介して、固定客管理装置22から固定客の予約情報を取得する(ステップS101)。制御装置21Cは、固定客の予約情報に基づき、回送対象の車両11と、回送予定時刻とを決定する。また、制御装置21Cは、ネットワーク26を介して、回送対象の車両11から位置情報を取得する(ステップS102)。
【0150】
つぎに、制御装置21Cは、回送対象の車両11の現在位置から回送先までの回送ルートを設定する(ステップS103)。回送ルートは、回送対象の車両11の走行経路である。回送対象の車両11の現在位置は、たとえば自宅12である。回送先は、たとえば自宅12の最寄りのシェアリングステーション14である。
【0151】
つぎに、制御装置21Cは、ネットワーク26を介して、回送対象の車両11に回送指令を送信し(ステップS104)、処理を終了する。制御装置21Cは、回送予定時刻になるのを待って、回送指令を送信する。回送指令には、回送ルートと、回送対象の車両11の自動運転機能をオンにするための指示が含まれる。
【0152】
以上で、制御装置21Cによる回送処理が完了となる。
車両11は、ネットワーク26を介して配車管理装置21からの回送指令を受信すると、起動して自動運転機能をオンにする。車両11は、回送ルートに従って、現在位置から回送先まで自律的に走行する。車両11は、回送先に到着すると、自動運転機能をオフにして、その後、車両電源をオフにする。
【0153】
制御装置21Cは、固定客が次に車両11を利用する時刻までに、車両11を固定客に戻すための回送処理を実行する。回送処理の手順は、先の図14のフローチャートに示される手順と同様である。制御装置21Cは、固定客が次に車両11を利用する時刻までに、回送対象の車両11が回送元まで戻れるように回送計画を策定し、策定される回送計画に基づき、回送対象の前記車両に対して、前記回送先から前記回送元までの自律的な走行を指示する。回送対象の車両11は、回送指令に従い、たとえば、回送先のシェアリングステーション14から、回送元の自宅12まで自律的に走行する。
【0154】
なお、制御装置21Cは、回送対象の車両11が割り当てられている固定客に対して、車両11を回送すること、および回送予定時刻を事前に通知するようにしてもよい。制御装置21Cは、たとえば、ネットワーク26を介して、固定客が所持するクライアント端末10にメッセージを送信する。通知を受けることによって、固定客は、車両11が回送されること、および回送予定時刻を事前に知ることが可能である。
【0155】
また、制御装置21Cは、貸し出した車両11が乗り捨てられた場合、乗り捨てられた車両11を回収するための回送処理を実行するようにしてもよい。回送処理の手順は、先の図14のフローチャートに示される手順と同様である。制御装置21Cは、たとえば、車両11の乗り捨て位置に基づき、乗り捨てられた車両11の回収場所を回送先に指定する。回収場所は、たとえば、車両11の乗り捨て位置の最寄りのシェアリングステーション14である。制御装置21Cは、乗り捨てられた車両11を、指定の回収場所に回収するための回送計画を策定し、策定される回送計画に基づき、乗り捨てられた車両に対して、乗り捨て位置から指定の回収場所までの自律的な走行を指示する。車両11は、回送指令に基づき、乗り捨て位置から指定の回収場所まで自律的に走行する。
【0156】
回送指令には、車速制限値が含まれていてもよい。車速制限値は、たとえば、低速域に属する速度である。低速域は、たとえば、5km/h以上40km/h未満である。車両11の制御装置11Dは、車両11の回送時の車速が車速制限値を超えないように、走行用モータ11Gの出力、および車両11の制動力を制御する。
【0157】
<第2の実施の形態の効果>
したがって、第2の実施の形態は、第1の実施の形態の(1-1)~(1-11)の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0158】
(2-1)配車管理装置21は、固定客管理装置22から固定客の予約情報を取得し、取得される固定客の予約情報に基づき利用予定のない車両11を回送対象として決定する。配車管理装置21は、決定された回送対象の車両11に対して、現在位置からカーシェアリングサービスを提供する場所である回送先までの自律的な走行を指示する。
【0159】
この構成によれば、固定客が車両11を利用しない時間帯において、一時客が車両11を利用することが可能となる。固定客が車両11を利用しない時間帯に、車両11を一時客に貸し出すことによって、共用される車両11の稼働率を向上させることができる。また、自動運転で回送が行われることによって、車両11の稼働率がさらに向上する。
【0160】
(2-2)配車管理装置21は、車両11の運行状態を監視する。配車管理装置21は、回送対象の車両11の現在位置から回送先までの回送ルートを設定する。回送対象の車両11は、配車管理装置21から取得される回送ルートに従って、現在位置から回送先まで自律的に走行する。このため、回送対象の車両11を、回送ルートに従って適切に自動回送することができる。
【0161】
(2-3)配車管理装置21は、固定客の予約情報に基づき回送対象の車両11の回送予定時刻を決定し、回送予定時刻になるのを待って、回送対象の車両11に対して現在位置から回送先までの自律的な走行を指示する。このため、回送予定時刻に、回送対象の車両11に自律的な回送走行を開始させることができる。
【0162】
(2-4)配車管理装置21は、回送対象の車両11が割り当てられている固定客に対して、車両11を回送することを事前に通知する。このため、固定客は、車両が回送されることを事前に知ることができる。
【0163】
(2-5)配車管理装置21は、固定客が次に車両11を利用する時刻までに、回送対象の車両11が回送先から回送元まで戻れるように、回送対象の車両11に対して、回送先から回送元までの自律的な走行を指示する。このため、固定客が次に車両11を使用するまでに、車両11が回送元に戻ってくる。固定客は、予定通りに車両11を利用することができる。
【0164】
(2-6)配車管理装置21は、貸し出していた車両11が乗り捨てられたとき、乗り捨てられた車両11を回収する回収場所を指定する。配車管理装置21は、乗り捨てられた車両11に対して、乗り捨て位置から回収場所までの自律的な走行を指示する。このため、乗り捨てられた車両を回収場所に簡単に回収することができる。また、乗り捨てられた車両11の回収の確実性が高められる。
【0165】
(2-7)たとえば、夜間に車両11の回送を行うことにより、夜間の時間を有効に利用することができる。また、深夜は交通量が少ないため、より安全に自動運転による回送を行うことができる。
【0166】
(2-8)回送中の車両11の走行速度が低速域の速度に制限される。このため、より安全に自動回送を行うことができる。
<第3の実施の形態>
つぎに、シェアリングシステムの第3の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には先の図1図12に示される第1の実施の形態と同様の構成を有している。したがって、第1の実施の形態と同様の部材および構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を割愛する。
【0167】
近年では、二酸化炭素の排出量を抑えることが求められている。二酸化炭素は、温室効果ガスである。そこで、走行時に二酸化炭素を排出しない電気自動車である車両11を使用することに加え、車両11を走行させるためのエネルギである電力として、再生可能エネルギ由来の電力を使用することが考えられる。再生可能エネルギは、たとえば太陽光である。
【0168】
図15に示すように、シェアリングステーション14は、太陽光パネル14A、パワーコンディショナ14B、蓄電池14C、および充放電制御装置14Dを有している。太陽光パネル14Aと充電装置25とは、第1の電力線L1を介して接続されている。パワーコンディショナ14Bは、第1の電力線L1上に設けられている。太陽光パネル14Aと蓄電池14Cとは、第2の電力線L2を介して接続されている。第2の電力線L2の第1の端部は、第1の電力線L1上の接続点P1に接続されている。接続点P1は、太陽光パネル14Aとパワーコンディショナ14Bとの間に配置されている。第2の電力線L2の第2の端部は、蓄電池14Cに接続されている。充放電制御装置14Dは、第2の電力線L2上に設けられている。第1の電力線L1において、太陽光パネル14Aと接続点P1との間には、逆流防止用のダイオード14Eが設けられている。シェアリングステーション14は、たとえば、電力系統から完全に独立している。
【0169】
太陽光パネル14Aは、太陽光で発電を行うためのパネル状の設備である。太陽光パネルは、ソーラーパネル、あるいは太陽電池モジュールなどとも呼ばれる。太陽光パネル14Aは、複数の太陽電池を連結して、大きなパネル状とした製品である。太陽電池は、光起電力効果を利用して、光エネルギを電気エネルギに変換する半導体素子である。太陽光パネル14Aは、日射強度に応じて光エネルギを電気エネルギに変換する。
【0170】
パワーコンディショナ14Bは、太陽光パネル14Aが発電する直流電力を、交流電力に変換する。交流電力は、充電装置25の充電器25Eによって直流電力に変換される。変換される直流電力が、バッテリ11Eに供給される。
【0171】
蓄電池14Cは、たとえば、リチウムイオン電池である。蓄電池14Cは、太陽光パネル14Aにより発電される電力を蓄える。蓄電池14Cは、充電によって繰り返し使用可能である。
【0172】
充放電制御装置14Dは、蓄電池14Cの充電と放電とを制御する。充放電制御装置14Dは、たとえば、太陽光パネル14Aの発電状態に応じて、蓄電池14Cの充電と放電とを制御する。昼間など、太陽光パネル14Aの発電が期待される場合、充放電制御装置14Dは、太陽光パネル14Aから充電装置25への給電を最優先し、余剰分の電力を蓄電池14Cに充電する。夜間など、太陽光パネル14Aの発電が期待できない場合、充放電制御装置14Dは、蓄電池14Cに蓄えられた電力を、充電装置25に向けて放電させる。
【0173】
このように、バッテリ11Eの充電を再生可能エネルギのみで行うことにより、二酸化炭素の排出量を抑えることが可能である。
なお、仕様によっては、商用電力を使用してバッテリ11Eを充電可能であってもよい。ただし、充放電制御装置14Dは、商用電力よりも、太陽光パネル14Aの発電電力、および蓄電池14Cの蓄電電力を優先的に使用する。充放電制御装置14Dは、電力系統と充電装置25とを接続する電力線上のスイッチの開閉を制御する。充放電制御装置14Dは、たとえば、太陽光パネル14Aの発電電力、あるいは蓄電池14Cの蓄電電力が十分であるとき、スイッチを開く。これにより、電力系統から充電装置25への給電が遮断される。充放電制御装置14Dは、たとえば、太陽光パネル14Aの発電電力、あるいは蓄電池14Cの蓄電電力が不足するとき、スイッチを閉じる。これにより、電力系統から充電装置25へ給電される。
【0174】
また、仕様によっては、シェアリングステーション14は、太陽光パネル14Aを有していなくてもよい。この場合、充電装置25は、再生可能エネルギ発電事業者から購入した電力を使用して、バッテリ11Eの充電を行うようにしてもよい。再生可能エネルギには、太陽光、風力、地熱、および水力などが含まれる。このようにしても、二酸化炭素の排出量を抑制することが可能である。
【0175】
<第3の実施の形態の効果>
第3の実施の形態は、第1の実施の形態の(1-1)~(1-11)の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0176】
(3-1)充電装置25は、自然エネルギ由来の電力のみを使用して、バッテリ11Eの充電を行う。自然エネルギ由来の電力は、たとえば、太陽光パネル14Aの発電電力である。このため、二酸化炭素の排出量を抑えることができる。
【0177】
(3-2)充放電制御装置14Dは、太陽光パネル14Aの発電が期待される場合、太陽光パネル14Aから充電装置25への給電を最優先し、余剰分の電力を蓄電池14Cに充電する。これに対し、充放電制御装置14Dは、太陽光パネル14Aの発電が期待できない場合、蓄電池14Cに蓄えられた電力を、充電装置25に向けて放電させる。このため、充電装置25に対して、バッテリ充電用の電力を、適切に供給することができる。
【0178】
<他の実施の形態>
なお、各実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。また、各実施の形態ならびに以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施してもよい。
【0179】
・固定客管理装置22と、一時客管理装置23とを統合して、単一の顧客管理装置を構築してもよい。
・配車管理装置21が、固定客管理装置22および一時客管理装置23としての機能を兼ね備えていてもよい。この場合、配車管理装置21は、顧客管理装置でもある。
【符号の説明】
【0180】
11…車両
20…シェアリングシステム
21…配車管理装置
22…固定客管理装置
23…一時客管理装置
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