(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109370
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】座席推奨サーバ、座席推奨システムおよび座席推奨方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240806BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20240806BHJP
【FI】
G06Q10/10
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014121
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成井 智祐
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L010AA11
5L049AA06
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】フリーアドレス制が導入された施設において、他の従業員から受けるストレスを極力低減できる座席を提示可能な技術を提供する。
【解決手段】CPU41は、従業員に推奨する推奨座席を決定する。I/F装置44は、推奨座席を表示可能であって座席に関する従業員の評価情報を入力可能な端末60と通信する。記憶装置45は、端末60から取得した評価情報を蓄積する評価DB81を記憶する。CPU41は、座席に座っている従業員の位置情報を取得する。CPU41は、蓄積された評価情報および位置情報に基づき推奨座席を決定する。I/F装置44は、決定した推奨座席を端末60に送信する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内で勤務する従業員が当日に作業する座席を推奨する座席推奨サーバであって、
前記従業員に推奨する推奨座席を決定する処理装置と、
前記推奨座席を表示可能であって前記座席に関する前記従業員の評価情報を入力可能な端末装置と通信する通信装置と、
前記端末装置から取得した前記評価情報を蓄積する評価データベースを記憶する記憶装置とを備え、
前記処理装置は、
前記座席に座っている前記従業員の位置情報を取得し、
蓄積された前記評価情報および前記位置情報に基づき前記推奨座席を決定し、
前記通信装置は、決定した前記推奨座席を前記端末装置に送信する、座席推奨サーバ。
【請求項2】
前記評価情報は、評価を行う評価従業員が評価対象となる評価対象従業員に対して感じたストレスの要因を含む、請求項1に記載の座席推奨サーバ。
【請求項3】
前記処理装置は、前記評価情報として、第1の評価従業員が第1の評価対象従業員に対して行った評価が前記評価データベースに記録されている場合、前記第1の評価従業員と前記第1の評価対象従業員との距離が所定の距離以下とならないように、前記第1の評価従業員および前記第1の評価対象従業員の前記推奨座席を決定する、請求項2に記載の座席推奨サーバ。
【請求項4】
前記処理装置は、前記第1の評価従業員が前記第1の評価対象従業員に対して評価を行ったときの、前記第1の評価従業員と前記第1の評価対象従業員との距離である評価距離に基づいて、前記所定の距離を決定する、請求項3に記載の座席推奨サーバ。
【請求項5】
前記所定の距離は、前記評価距離に係数を乗じて算出され、
前記係数は、前記第1の評価従業員が前記第1の評価対象従業員に対して評価を行ったときの前記要因が第1の要因であるときと第2の要因であるときとで異なる、請求項4に記載の座席推奨サーバ。
【請求項6】
前記処理装置は、第1の要因による第1の評価従業員の第1の評価対象従業員に対する評価が前記評価データベースに記録され、かつ、前記第1の要因による第2の評価従業員の第2の評価対象従業員に対する評価が前記評価データベースに記録されている場合、前記第1の評価従業員と前記第1の評価対象従業員との距離が第1の距離以下にならず、前記第2の評価従業員と前記第2の評価対象従業員との距離が第2の距離以下にならず、前記第1の評価従業員と前記第2の評価対象従業員との距離が第3の距離以下にならず、前記第2の評価従業員と前記第1の評価対象従業員との距離が第4の距離以下にならないように、前記第1の評価従業員、前記第1の評価対象従業員、前記第2の評価従業員および前記第2の評価対象従業員の前記推奨座席を決定する、請求項2に記載の座席推奨サーバ。
【請求項7】
前記要因は、たばこの臭い、香水の臭い、打鍵音、咀嚼音、および、視線のうちの少なくともいずれかによるものを含む、請求項2~請求項6のいずれか1項に記載の座席推奨サーバ。
【請求項8】
前記処理装置は、前記推奨座席以外の座席に座った前記従業員を検出した場合、座席に座っていない前記従業員の前記推奨座席を再決定し、
前記通信装置は、再決定によって前記推奨座席が変更された前記従業員が使用する前記端末装置に対して、前記推奨座席の変更を通知する、請求項2~請求項6のいずれか1項に記載の座席推奨サーバ。
【請求項9】
前記処理装置は、前記評価データベースに蓄積された前記評価情報の数が予め規定された上限数を超えた場合、最も古い前記評価情報を前記評価データベースから削除する、請求項2~請求項6のいずれか1項に記載の座席推奨サーバ。
【請求項10】
請求項1に記載の座席推奨サーバと、
前記端末装置とを備える、座席推奨システム。
【請求項11】
前記端末装置は、前記評価情報を入力するための入力画面を表示し、
前記入力画面には、前記従業員を識別可能な情報が表示されない、請求項10に記載の座席推奨システム。
【請求項12】
施設内で勤務する従業員が当日に作業する座席を推奨する座席推奨方法であって、
前記従業員に推奨する推奨座席を決定するステップと、
前記推奨座席を表示可能であって前記座席に関する前記従業員の評価情報を入力可能な端末装置と通信するステップと、
前記端末装置から取得した前記評価情報を評価データベースに蓄積するステップとを備え、
前記決定するステップは、
前記座席に座っている前記従業員の位置情報を取得するステップと、
蓄積された前記評価情報および前記位置情報に基づき前記推奨座席を決定するステップとを含み、
前記通信するステップは、決定した前記推奨座席を前記端末装置に送信するステップを含む、座席推奨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施設内で勤務する従業員が当日に作業する座席を推奨する座席推奨サーバ、座席推奨システムおよび座席推奨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス等が入居する施設内において、近い座席に座っている職場の従業員からなんらかのストレスを与えられる場合がある。たとえば、近い座席に座っている従業員のたばこの臭い、キーボードの強すぎる打鍵音、向かいの座席に座る従業員からの視線など、相手方の従業員から与えられるストレスの要因には様々なものが存在する。ところが、職場での人間関係の悪化を避けるため、面と向かって相手方にこの事実が伝えられることは少ない。
【0003】
一方、近年では、一部のオフィスにおいて、従業員の生産性向上を意図して、従業員が固定席を持たず、自由な座席を使用することができるフリーアドレス制の導入が進められている。フリーアドレス制において、自分の好きな座席を選択して働けるため、同一の従業員からのストレスに長期間晒されることはないものの、たまたま近くの席に座った従業員からストレスを与えられるリスクはどうしても残る。
【0004】
特開2022-79348号公報(特許文献1)には、このようなフリーアドレス制が導入された執務室等において、従業員の選好傾向を特定し、選好傾向が高い座席を優先的に推薦する情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記情報処理装置では、従業員同士の距離との関係においてどのようなストレスが生じたかといった実情等については考慮されておらず、推奨する座席の決定において未だ改良の余地があった。
【0007】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、フリーアドレス制が導入された施設において、他の従業員から受けるストレスを極力低減できる座席を提示可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る座席推奨サーバは、施設内で勤務する従業員が当日に作業する座席を推奨するサーバである。座席推奨サーバは、処理装置と、通信装置と、記憶装置とを備える。処理装置は、従業員に推奨する推奨座席を決定する。通信装置は、推奨座席を表示可能であって座席に関する従業員の評価情報を入力可能な端末装置と通信する。記憶装置は、端末装置から取得した評価情報を蓄積する評価データベースを記憶する。処理装置は、座席に座っている従業員の位置情報を取得する。処理装置は、蓄積された評価情報および位置情報に基づき推奨座席を決定する。通信装置は、決定した推奨座席を端末装置に送信する。
【0009】
本開示に係る座席推奨システムは、座席推奨サーバと、端末装置とを備える。
【0010】
本開示に係る座席推奨方法は、施設内で勤務する従業員が当日に作業する座席を推奨する方法である。座席推奨方法は、従業員に推奨する推奨座席を決定するステップと、推奨座席を表示可能であって座席に関する従業員の評価情報を入力可能な端末装置と通信するステップと、端末装置から取得した評価情報を評価データベースに蓄積するステップとを備える。決定するステップは、座席に座っている従業員の位置情報を取得するステップと、蓄積された評価情報および位置情報に基づき推奨座席を決定するステップとを含む。通信するステップは、決定した推奨座席を端末装置に送信するステップを含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、フリーアドレス制が導入された施設において、他の従業員から受けるストレスを極力低減できる座席を提示可能である。ストレスの低減により、従業員の生産性の向上に資する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る座席推奨システムの構成を示す図である。
【
図2】座席推奨サーバ等のハードウェア構成を示す図である。
【
図8】推奨座席候補の決定を説明するための図である。
【
図9】推奨座席候補の決定を説明するための図である。
【
図10】推奨座席候補の決定を説明するための図である。
【
図11】推奨座席候補の決定を説明するための図である。
【
図12】推奨座席候補の決定を説明するための図である。
【
図13】推奨座席候補の決定を説明するための図である。
【
図16】推奨座席決定処理のフローチャートである。
【
図19】第2実施形態に係る評価DBを説明するための図である。
【
図20】第2実施形態に係る近傍判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る座席推奨システム100の構成を示す図である。
図2は、座席推奨サーバ50等のハードウェア構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、座席推奨システム100は、座席推奨サーバ50と、施設内で勤務する従業員10(以下、「ユーザ」とも称する)が携帯する端末60と、機器管理装置40と、複数の空調機(空調室内機)31とを備える。
【0016】
本実施の形態においては、施設内において、従業員10(ユーザ)が固定席を持たず自由な座席を使用することができるフリーアドレス制が採用されているものとする。座席推奨サーバ50は、従業員間の評価を反映した座席のレコメンド機能を有し、従業員10が当日に作業するおすすめの座席を推奨座席として決定する。
【0017】
決定された推奨座席は、従業員10が携帯する端末60上で表示させることができる。これにより、キーボードを叩く音が大きい従業員やたばこの臭いが気になる従業員など、過去にストレスを感じた従業員から離れた座席に座ることができる。
【0018】
図2に示すように、端末60には、無線通信機11が設けられている。無線通信機11は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy、「Bluetooth」は登録商標)通信規格に従う通信方式を用いて、端末60の位置が検出可能となる信号を出力する。BLE通信規格に代えて、UWB(Ultra Wide Band)通信規格に従う通信方式を用いてもよい。
【0019】
複数の空調機31には、それぞれ無線通信機30が設けられている。
図1に戻り、複数の空調機31は、例えば、天井35に適当な距離を置いて設置されている。各無線通信機30は、端末60の無線通信機11と同じ通信規格に従う通信方式を用いて、端末60から発信される信号を受信するとともにその受信強度を検知する。各無線通信機30における受信強度から、施設内における端末60の位置を検出することができる。各無線通信機30は、端末60から受信した信号の受信強度を機器管理装置40へ出力する。
【0020】
機器管理装置40は、施設内に設置された空調機31および無線通信機30等の機器を制御する。機器管理装置40は、無線通信機30において受信される信号の受信強度を無線通信機30から受信し、各無線通信機30における受信強度から施設内における端末60の位置を検出する。
【0021】
機器管理装置40は、通信網NWに接続されている。通信網NWには、機器管理装置40、座席推奨サーバ50、および通信端末である端末60が接続されている。座席推奨サーバ50は、機器管理装置40を介して、端末60の位置情報を取得可能である。
【0022】
端末60は、たとえば、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末である。端末60は、ノートパソコンやパーソナルコンピュータ等であってもよい。端末60は、各種情報を表示する表示部61を備える。表示部61は、たとえば、モバイル端末の液晶表示部、ディスプレイ等である。端末60を使用する従業員10(ユーザ)は、座席推奨サーバ50が決定した推奨座席の情報を表示部61で確認することができる。
【0023】
端末60には、予め専用のソフトウェアがインストールされ、本ソフトウェアが座席推奨サーバ50と通信し、推奨座席の情報を表示部61に表示させるようにしてもよい。あるいは、端末60上でブラウザを起動し、ブラウザ経由で座席推奨サーバ50と通信し、ブラウザ上に推奨座席の情報を表示させるようにしてもよい。
【0024】
図2に戻り、座席推奨サーバ50は、処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)41と、通信装置としてのI/F(Interface)装置44と、記憶装置としての、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43および記憶装置45とを含んで構成される。CPU41、RAM42、ROM43、I/F装置44、および記憶装置45は、通信バス46を通じて各種データをやり取りする。
【0025】
CPU41は、ROM43に格納されているプログラムをRAM42に展開して実行する。ROM43に格納されているプログラムには、座席推奨サーバ50によって実行される処理が記述されている。
【0026】
I/F装置44は、機器管理装置40および端末60と通信する。I/F装置44は、機器管理装置40および端末60と信号やデータをやり取りするための入出力装置である。座席推奨サーバ50は、I/F装置44を介して、機器管理装置40が検出した端末60の位置情報等を受信する。
【0027】
記憶装置45は、各種情報を記憶するストレージである。記憶装置45には、後述するユーザテーブル71、機器テーブル72、係数テーブル73、評価DB(データベース)81等が記憶されている。
【0028】
なお、図示しないが、機器管理装置40および端末60も、座席推奨サーバ50と同様に、CPU、RAM、ROM、I/F装置および記憶装置を含んで構成される。
【0029】
図3は、ユーザテーブル71の一例である。上述のように、記憶装置45は、ユーザテーブル71を記憶する。ユーザテーブル71は、施設内で勤務する従業員(ユーザ)の情報を記録したテーブルである。
【0030】
ユーザテーブル71には、従業員(ユーザ)に割り振られたユーザID、ユーザIDに対応するユーザ名、組織内での所属部門等が記録されている。たとえば、ユーザID「ID0001」のユーザは「ユーザA」であり、ユーザID「ID0002」のユーザは「ユーザB」であり、ユーザID「ID0003」のユーザは「ユーザC」である。
【0031】
図4は、機器テーブルの72一例である。上述のように、記憶装置45は、機器テーブル72を記憶する。機器テーブルの72は、施設内に設置された機器の情報を記録したテーブルである。
【0032】
機器テーブル72には、施設内に設置された機器に割り振られた機器ID、機器IDに対応する機器の、機器名称、種別および設置場所等が記録されている。
【0033】
たとえば、機器ID「ID0001」の機器名称は「空調機A」であり、種別は「空調機」であり、設置場所は「居室A」である。機器ID「ID0005」の機器名称は「空調機E」であり、種別は「空調機」であり、設置場所は「居室B」である。なお、図示しないが、機器テーブル72を用いれば、各機器が居室内のどの位置に設置されているかが特定可能であるものとする。
【0034】
図5は、評価情報の入力画面の表示例である。座席に関するユーザ(従業員)の評価情報は、端末60上で入力可能である。
図5に示す画像91は、ユーザAが使用する端末60の表示部61表示された、評価情報を入力するための入力画面である。
【0035】
ユーザは、評価情報として、ストレスを感じた時の日付、時間帯、対象(相手方)、ストレスの要因を入力する。
図5に示すように、ユーザAは、日付「2022/9/30」および時間帯「13:15」を入力している。
【0036】
この入力により、画面上には、2022年9月30日13時15分の座席状態を示す画像が表示される。なお、「日付」、「時間帯」を入力しない場合は、現在時刻の座席状態を示す画像が表示されるようにすればよい。
【0037】
「対象」と記載された画像部分には、施設内のフロアの平面図が示される。フロア内には、従業員(ユーザ)が使用可能なデスクS11~S16、S21~S26、S31~S36、S41~S46が設けられている。
【0038】
各デスクに対応する座席は、丸印で示される。灰色の丸印(自分)は、端末60を使用しているユーザの着席状態を示している。この例では、端末60を使用しているユーザAは、指定された日時において、デスクS24に対応する座席に座っていることが示されている。
【0039】
白色の丸印は、端末60を使用するユーザ以外のユーザ(他のユーザ)の着席状態を示している。この例では、ユーザA以外のユーザが、デスクS12,S14,S15,S21,S23,S25,S41,S43,S45のそれぞれに対応する座席に座っていることが示されている。その他の座席は空席である。
【0040】
この入力画面には、ユーザを識別可能な情報(ユーザの個人情報)は表示されない。たとえば、デスクS24の座席に座っているのはユーザAであり、デスクS25の座席に座っているのはユーザBである。しかしながら、画面上では丸印が表示されているだけであり、座席に座っているのが誰であるのかを特定できないように表示されている。その他の座席においても、個人情報は表示されない。
【0041】
本例では、デスクS24の座席に座るユーザA(評価ユーザ)は、2022年9月30日13時15分において、デスクS25の座席に座るユーザB(評価対象ユーザ)にストレスを感じていたとする。ユーザBは、パソコンのキーボードを叩く音(打鍵音)が大きく、ユーザAはユーザBの打鍵音にストレスを感じていた。
【0042】
ユーザAは、画像91において、デスクS25に対応する白丸の座席をクリックすることで、ユーザBをストレスを感じる対象として指定(入力)することができる。
【0043】
さらに、ユーザは、ストレスの要因を「要因」から選択する。要因として、「たばこ」、「香水」、「打鍵音」、「咀嚼音」、「視線」のうちから選択可能である。その他の要因を入力したい場合は、「その他」の項目に要因を文字入力する。本例では、ユーザAは、「打鍵音」を選択している。
【0044】
「たばこ」は、評価ユーザが評価対象ユーザのたばこの臭いにストレスを感じていることを示す。「香水」は、評価ユーザが評価対象ユーザの香水の臭いにストレスを感じていることを示す。「打鍵音」は、評価ユーザが評価対象ユーザの端末のキーボードを叩く音にストレスを感じていることを示す。
【0045】
「咀嚼音」は、評価ユーザが評価対象ユーザが座席で食事をした際の咀嚼音にストレスを感じていることを示す。「視線」は、評価ユーザが評価対象ユーザの視線(目が合う等)にストレスを感じていることを示す。
【0046】
画面上で「送信」ボタンをクリックすると、評価情報が端末60から座席推奨サーバ50に送信される。本例では、評価情報として、日付「2022/9/30」、時間帯「13:15」、評価ユーザ「ユーザA」、評価対象ユーザ「ユーザB」、要因「打鍵音」が端末60から座席推奨サーバ50に送信される。
【0047】
評価情報を受信した座席推奨サーバ50は、フロアのレイアウト情報から、評価ユーザと評価対象ユーザとの距離(以下、「評価距離」と称する)を算出する。本例では、ユーザA(S24)とユーザB(S25)との評価距離が「1.4m」と算出されたものとする。
【0048】
図6は、評価DB81を説明するための図である。評価DB81は、端末60から取得した評価情報を蓄積するデータベースである。評価情報には、評価を行う評価従業員(評価ユーザ)が評価対象となる評価対象従業員(評価対象ユーザ)に対して感じたストレスの要因が含まれる。要因は、嗅覚情報、聴覚情報、視覚情報等を含む。具体的には、たばこの臭い、香水の臭い、打鍵音、咀嚼音、および、視線のうちの少なくともいずれかによるものを含む。
【0049】
座席推奨サーバ50は、端末60から受信した評価情報を評価DB81に蓄積する。評価DB81には、日付および時間帯ごとに、評価ユーザ、評価対象ユーザ、要因および評価距離が記録される。
【0050】
上述の例では、評価情報として、日付「2022/9/30」、時間帯「13:15」、評価ユーザ「ユーザA」、評価対象ユーザ「ユーザB」、要因「打鍵音」、評価距離(単位:m)「1.4」が評価DB81に記録されている。
【0051】
図6の例では、他にも、評価情報として、日付「2022/10/3」、時間帯「15:20」、評価ユーザ「ユーザC」、評価対象ユーザ「ユーザD」、要因「打鍵音」、評価距離「2.0」が評価DB81に記録されている。
【0052】
また、評価情報として、日付「2022/10/5」、時間帯「12:30」、評価ユーザ「ユーザE」、評価対象ユーザ「ユーザF」、要因「咀嚼音」、評価距離「1.4」が評価DB81に記録されている。
【0053】
このように、
図6の例においては、ユーザAはユーザBの打鍵音にストレスを感じ、ユーザCはユーザDの打鍵音にストレスを感じ、ユーザEはユーザFの打鍵音にストレスを感じていることが示されている。
【0054】
第1実施形態においては、まず、座席推奨サーバ50は、座席に座っているユーザ(従業員)の位置情報を取得する。そして、座席推奨サーバ50は、評価DB81に蓄積された評価情報および、座席に座っているユーザの位置情報に基づき推奨座席を決定するように構成する。座席推奨サーバ50のI/F装置44は、決定した推奨座席を端末60に送信する。端末60は、推奨座席を表示する。
【0055】
具体的には、否定的な評価があったユーザ同士の座席が近くならないように、推奨座席が決定される。上記例においては、ユーザAとユーザBの座席が近くならないように推奨座席が決定される。同様に、ユーザCとユーザDの座席が近くならないように推奨座席が決定される。また、ユーザEとユーザFの座席が近くならないように推奨座席が決定される。
【0056】
より具体的には、推奨座席は、上記ユーザ同士が、評価DBに記録された評価距離×重み係数以下となる距離にならないように決定される。重み係数(以下、単に「係数」とも称する)は、係数テーブル73に記憶されている。
【0057】
図7は、係数テーブル73の一例である。上述のように、記憶装置45は、係数テーブル73を記憶する。係数は、要因に応じて異なる。係数テーブル73は、各要因に対応する係数を記録したテーブルである。
【0058】
たとえば、要因「タバコ」の係数は「K1」である。要因「香水」の係数は「K2」である。要因「打鍵音」の係数は「K3」である。要因「咀嚼音」の係数は「K4」である。要因「視線」の係数は「K5」である。
【0059】
図8~
図13は、推奨座席候補の決定を説明するための図である。以下の例では、ユーザAの推奨座席およびユーザBの推奨座席を決定する例について説明する。ユーザAおよびユーザBは、いずれもまだ出社していないものとする。
【0060】
上述の
図6で示したように、評価DB81において、ユーザAがユーザBに対して、互いの距離が「1.4m」であるときに、要因「打鍵音」についての否定的な評価を行っている。この場合、係数テーブル73に記録された要因「打鍵音」の重み係数「K3」が使用される(
図7)。
【0061】
推奨座席の決定において、ユーザAおよびユーザBに関し、重み係数「K3」×距離「1.4m」以下となる距離にならないように互いの推奨座席が決定される。本例では、互いの距離が重み係数「K3」×距離「1.4m」以下となる座席とは、ユーザAおよびユーザBの座席が隣同士または真正面になる場合であるものとする。
【0062】
たとえば、
図5の例において、ユーザAの推奨座席がデスクS24の座席である場合は、その隣のデスクS23,S24の座席およびその真正面のデスクS14の座席はユーザBの推奨座席として決定されない。
【0063】
図8では、ユーザAの推奨座席の候補が選出されている。この場合、空いている全ての座席の中からランダムに複数の座席(本例では、5つ)が選出される。
図8の画像92に示すように、デスクS14,S22,S24,S43,S46の座席がユーザAの推奨座席の候補として選出されている。
【0064】
図9では、ユーザBの推奨座席の候補が選出されている。この場合も、空いている全ての座席の中からランダムに複数の座席(5つ)が選出される。
図9の画像93に示すように、デスクS21,S23,S31,S33,S44の座席がユーザBの推奨座席の候補として選出されている。
【0065】
図8,
図9で示した例では、ユーザAの候補S22の隣にユーザBの候補S21,S23が選択されており、ユーザAの候補S24の隣にユーザBの候補S23が選択されており、ユーザAの候補S43の隣にユーザBの候補S44が選択されており、ユーザAの候補S43の真正面にユーザBの候補S33が選択されている。
【0066】
このように、ユーザAおよびユーザBの候補が隣同士または真正面同士となっているため、ユーザAの推奨座席の候補の選出およびユーザBの推奨座席の候補の選出がやり直される。
【0067】
複数回の推奨座席の候補の選出が実行されて、最終的に決定されたユーザAおよびユーザBの推奨候補は、
図10,
図11に示す通りである。
【0068】
図10の画像94に示すように、デスクS11,S15,S24,S41,S43の座席がユーザAの推奨座席として決定されている。一方で、
図11の画像95に示すように、デスクS13,S22,S26,S36,S45の座席がユーザBの推奨座席として決定されている。最終的に決定された推奨座席においては、ユーザAの推奨座席およびユーザBの推奨座席は、隣同士または真正面同士となっていない。
【0069】
このように、座席推奨サーバ50は、評価情報として、第1の評価ユーザ(たとえば、ユーザA)が第1の評価対象ユーザ(たとえば、ユーザB)に対して行った評価が評価DB81に記録されている場合、第1の評価ユーザ(ユーザA)と第1の評価対象ユーザ(ユーザB)との距離が所定の距離以下(たとえば、重み係数「K3」×評価距離「1.4m」)とならないように、第1の評価ユーザ(ユーザA)および第1の評価対象ユーザ(ユーザB)の推奨座席を決定している。
【0070】
座席推奨サーバ50は、第1の評価ユーザ(ユーザA)が第1の評価対象ユーザ(ユーザB)に対して評価を行ったときの、第1の評価ユーザ(ユーザA)と第1の評価対象ユーザ(ユーザB)との距離である評価距離(1.4m)に基づいて、所定の距離(K3×1.4m)を決定している。
【0071】
所定の距離(K3×1.4m)は、評価距離(1.4m)に重み係数(K3)を乗じて算出される。係数は、第1の評価ユーザ(ユーザA)が第1の評価対象ユーザ(ユーザB)に対して評価を行ったときの要因が第1の要因(たとえば、打鍵音)であるときと第2の要因(たとえば、咀嚼音)であるときとで異なる。
【0072】
たとえば、施設内において咀嚼音よりも打鍵音の方が音が響きやすいのであれば、打鍵音の係数「K3」>咀嚼音の係数「K4」と設定すればよい。このようにすることで、咀嚼音が大きいユーザよりも、打鍵音が大きいユーザをより遠ざけることができる。音よりも臭いの方が伝搬しやすいのであれば、臭いに関する、タバコの係数「K1」、香水の係数「K2」を大きく設定すればよい。また、要因が視線である場合は、方向も加味して評価対象ユーザとの距離を決定してもよい。たとえば、要因が視線である場合、評価ユーザが評価対象ユーザと横並びになる場合よりも真正面となる場合の方が、両者の距離をより遠ざけるように推奨座席を決定すればよい。
【0073】
なお、ユーザによる座席の指定条件がある場合は、指定された条件に従って座席を優先的に選択する。たとえば、ユーザAが大型のモニタの使用を条件として指定している場合は、大型のモニタが設置されたデスクの座席の中から優先的に座席を選択するようにすればよい。その他、モニタの台数、座席の温度(たとえば、暖かい席を希望する)等が指定される条件として想定される。また、推奨座席の決定方法は、上記で説明した方法に限らず、どのようなアルゴリズムを用いて推奨座席を決定するようにしてもよい。
【0074】
次に、
図10,
図11のように推奨座席が決定された後に、ユーザが推奨座席以外の席に座った場合について、
図12,
図13を用いて説明する。
【0075】
ユーザによっては推奨座席を確認しない、あるいは無視して推奨座席以外の場所で作業する可能性が考えられる。また、時差通勤などでユーザ間で業務を開始するタイミングが異なるような場合、先に着席したユーザの位置情報を反映し、それ以外のユーザの推奨座席を調整する。
【0076】
本実施の形態では、座席推奨サーバ50は、推奨座席以外の座席に座ったユーザを検出した場合、座席に座っていないユーザの推奨座席を再決定するように構成する。座席推奨サーバ50のI/F装置44は、再決定によって推奨座席が変更されたユーザが使用する端末60に対して、推奨座席の変更を通知する。
【0077】
図12には、
図10で示したユーザAに対する推奨座席が示されている。この状態において、ユーザBがデスクS23の座席に座ったとする。デスクS23の座席は、
図11に示したユーザBへの推奨座席ではない。そして、これにより、仮にユーザAがデスクS24の座席に座った場合に、ユーザAとユーザBとの座席が隣り合わせになってしまう(互いの距離が、重み係数「K3」×距離「1.4m」以下になる)。
【0078】
このような状態を避けるために、ユーザAの推奨座席を再決定する。この場合、再度、ランダムにユーザAの推奨座席候補を選出する。そして、ユーザAの推奨座席およびユーザBの座席が隣同士または真正面同士とならないように、ユーザAの推奨座席候補の選出を繰り返す。
【0079】
最終的に決定されたユーザAの推奨座席の推奨座席は、
図13の画像97に示す通りである。ユーザAの推奨座席として、デスクS11,S15,S26,S41,S43の座席が決定されている。これらの座席は、ユーザBのデスクS23の座席と隣同士または真正面にはならない。
【0080】
このように推奨座席が変更された場合、ユーザに対して推奨座席の変更が通知される。本例では、たとえば、ユーザAが使用する端末60に対して、「推奨座席が変更されました」というメッセージ101が送信される。
【0081】
メッセージ101は、たとえば、端末60で受信可能なユーザAのメールとして送信するようにすればよい。あるいは、座席推奨サーバ50から送信された情報をリアルタイムで通知可能な何らかのソフトウェアが端末60にインストールされており、本ソフトウェアにより、リアルタイムで端末60上にメッセージ101を表示させるようにすればよい。この通知を見たユーザAは、新たに決定された推奨座席を端末60上で確認する。
【0082】
以下、座席推奨システム100が実行する処理をフローチャートを用いて説明する。
図14は、評価情報処理のフローチャートである。以下、「ステップ」を単に「S」とも称する。評価情報処理には、座席推奨サーバ50が実行する評価情報処理(サーバ)と、端末60が実行する評価情報処理(端末)とがある。いずれの処理も周期的(たとえば、100msecごと)に起動すればよい。
【0083】
評価情報処理(端末)が開始すると、端末60は、S201において、評価情報の送信リクエストあったか否かを判定する。端末60は、S201でYESと判定した場合は、S202に処理を進め、S201でNOと判定した場合は、評価情報処理(端末)を終了する。
【0084】
端末60は、S202において、座席推奨サーバ50に評価情報を送信し、評価情報処理(端末)を終了する。
図5に示した画面において、「送信」ボタンが押された場合に、評価情報の送信リクエストが発生し(S201でYES)、これにより、画面上で設定された評価情報が座席推奨サーバ50に送信される(S202)。
【0085】
一方、評価情報処理(サーバ)が開始すると、座席推奨サーバ50は、S101において、端末60から評価情報を受信したか否かを判定する。座席推奨サーバ50は、S101でYESと判定した場合は、S102に処理を進め、S101でNOと判定した場合は、S103に処理を進める。
【0086】
座席推奨サーバ50は、S102において、評価DB81を更新する。これにより、
図5で示した画面上で設定された評価情報が、
図6で示した評価DB81に追加される。
【0087】
座席推奨サーバ50は、S103において、蓄積された評価情報の数が予め規定された上限数(たとえば、1000件)を超えたか否かを判定する。座席推奨サーバ50は、S103でYESと判定した場合は、S104に処理を進め、S103でNOと判定した場合は、評価情報処理(サーバ)を終了する。座席推奨サーバ50は、S104において、評価DB81から最も古い評価情報を削除し、評価情報処理(サーバ)を終了する。
【0088】
このように、座席推奨サーバ50は、評価DB81に蓄積された評価情報の数が予め規定された上限数(1000件)を超えた場合、最も古い評価情報を評価DB81から削除する。たとえば、現在、評価DB81には1000件の評価情報が記録されており、評価情報の追加によって1001件になったときは、最も古い評価情報が1件削除される。
【0089】
図15は、推奨座席処理のフローチャートである。推奨座席処理には、座席推奨サーバ50が実行する推奨座席処理(サーバ)と、端末60が実行する推奨座席処理(端末)とがある。いずれの処理も周期的(たとえば、100msecごと)に起動すればよい。
【0090】
図示しないが、ユーザは、端末60を用いて推奨座席の表示リクエストを座席推奨サーバ50に対して送信することで、端末60上で推奨座席を表示させることができる。
【0091】
推奨座席処理(端末)が開始すると、端末60は、S401において、推奨座席の表示リクエストがあったか否かを判定する。たとえば、端末60の画面に表示された「推奨座席を表示する」のボタンをクリックすると、推奨座席の表示リクエストが発生する。
【0092】
端末60は、S401でYESと判定した場合は、S402に処理を進め、S401でNOと判定した場合は、S403に処理を進める。端末60は、S402において、座席推奨サーバ50に対して推奨座席の表示リクエストを送信する。
【0093】
一方、推奨座席処理(サーバ)が開始すると、座席推奨サーバ50は、S301において、端末60から推奨座席の表示リクエストを受信したか否かを判定する。座席推奨サーバ50は、S301でYESと判定した場合は、S302に処理を進め、S301でNOと判定した場合は、S303に処理を進める。
【0094】
座席推奨サーバ50は、S302において、推奨座席決定処理(
図16参照)を実行する。これにより、表示リクエストがあった端末60を使用するユーザの推奨座席表示情報を生成する。座席推奨サーバ50は、S303において、表示リクエストがあった端末60に対して推奨座席表示情報を送信し、推奨座席処理(サーバ)を終了する。
【0095】
一方、端末60は、S403において、座席推奨サーバ50から推奨座席表示情報を受信したか否かを判定する。端末60は、S403でYESと判定した場合は、S404に処理を進め、S403でNOと判定した場合は、推奨座席処理(端末)を終了する。
【0096】
端末60は、S404において、推奨座席表示情報の表示処理を実行し、推奨座席処理(端末)を終了する。これにより、
図10,
図11に示したような推奨座席が端末60上に表示される。
【0097】
図16は、推奨座席決定処理のフローチャートである。推奨座席決定処理が開始すると、座席推奨サーバ50は、S701において、座席に座っているユーザの位置情報を取得する。たとえば、
図8の例において、既に出社したユーザXがデスクS11の座席に座っている場合、位置情報としてユーザXが座るデスクS11の座席の位置情報が取得される。
【0098】
座席推奨サーバ50は、S702において、評価DB81から全ての評価情報を取得する。たとえば、本例では、ユーザAのユーザBに対する評価情報、ユーザCのユーザDに対する評価情報、ユーザEのユーザFに対する評価情報等が取得されたものとする(
図6参照)。
【0099】
座席推奨サーバ50は、S703において、座席に座っていないユーザを決定対象ユーザとして抽出する。上記例においては、ユーザテーブル71から、座席に座っているユーザX以外のユーザ(ユーザA~F等)を決定対象ユーザとして抽出する。
【0100】
座席推奨サーバ50は、S704において、決定対象ユーザの推奨座席候補を決定する。たとえば、
図8で示したようにユーザAの推奨座席候補が決定され、
図9で示したようにユーザBの推奨座席候補が決定される。
【0101】
座席推奨サーバ50は、S705において、近接判定処理(
図17参照)を実行する。上記例においては、ユーザAの推奨座席候補とユーザBの推奨座席候補との間で近接座席が存在するか否かが判定される。また、本例では、ユーザCの推奨座席候補とユーザDの推奨座席候補との間で近接座席が存在するか否か、および、ユーザEの推奨座席候補とユーザFの推奨座席候補との間で近接座席が存在するか否かも判定される。
【0102】
座席推奨サーバ50は、S706において、近接座席が存在しないか否かを判定する。座席推奨サーバ50は、S706でYESと判定した場合は、S707に処理を進め、S707でNOと判定した場合は、S704に処理を戻す。
【0103】
上記
図8,
図9で示した例では、たとえば、ユーザAのS22の座席は、ユーザBのS21の座席の近接座席である。この場合、近接座席がなくなるまで、S704~S706の処理を繰り返す。その結果、
図10,11の例のようにユーザAの推奨座席候補とユーザBの推奨座席候補との間で近接座席が存在しなくなったものとする。また、ユーザCの推奨座席候補とユーザDの推奨座席候補との間、および、ユーザEの推奨座席候補とユーザFの推奨座席候補との間でも近接座席が存在しなくなったものとする。これにより、処理がS707に進む。
【0104】
座席推奨サーバ50は、S707において、推奨座席候補を推奨座席として設定し、推奨座席決定処理を終了する。本例では、ユーザAの推奨座席が
図10で示したように決定され、ユーザBの推奨座席が
図10で示したように決定される。
【0105】
図17は、近傍判定処理のフローチャートである。近接判定処理が開始すると、座席推奨サーバ50は、S801において、未判定の決定対象ユーザを1人選択する。本例では、未判定の決定対象ユーザとしてユーザA~ユーザFが順に選択されるものとする。
【0106】
座席推奨サーバ50は、S802において、選択されたユーザが評価DB81に評価ユーザとして記録されているか否かを判定する。座席推奨サーバ50は、S802でYESと判定した場合は、S803に処理を進め、S802でNOと判定した場合は、S806に処理を進める。たとえば、ユーザAが選択されている場合、評価DB81には、ユーザAが評価ユーザとして記録されている(
図6)と判定する。
【0107】
座席推奨サーバ50は、S803において、対応する評価対象ユーザを抽出する。ユーザAが選択されている場合、評価DB81には、ユーザAに対応する評価対象ユーザとしてユーザBが記録されている(
図6)。
【0108】
座席推奨サーバ50は、S804において、評価ユーザと評価対象ユーザとの距離が評価距離×重み係数以下となる座席が推奨座席候補にあるか否かを判定する。座席推奨サーバ50は、S804でYESと判定した場合は、S805に処理を進め、S804でNOと判定した場合は、S806に処理を進める。
【0109】
上記例において、ユーザA(評価ユーザ)のユーザB(評価対象ユーザ)に対する評価の要因は「打鍵音」であり、評価距離は、「1.4m」である(
図6)。また、打鍵音の重み係数は「K3」である(
図7)。この場合、ユーザAとユーザBとの距離が1.4m×K3以下となる座席が推奨座席候補にあるか否かを判定する。
【0110】
座席推奨サーバ50は、S805において、評価ユーザと評価対象ユーザとの間で近接座席ありと判定し、近接判定処理を終了する。本例では、座席が隣同士または真正面同士であるときにユーザAとユーザBとの距離が1.4m×K3以下となる。
図8,
図9の例においては、ユーザAとユーザBとの間で近接座席ありと判定される。
図10,
図11の例においては、ユーザAとユーザBとの間で近接座席ありと判定されない。
【0111】
座席推奨サーバ50は、S806において、全ての判定対象ユーザを判定したか否かを判定する。座席推奨サーバ50は、S806でYESと判定した場合は、近接判定処理を終了し、S806でNOと判定した場合は、S801に処理を戻す。
【0112】
図18は、再決定処理のフローチャートである。再決定処理には、座席推奨サーバ50が実行する再決定処理(サーバ)と、端末60が実行する再決定処理(端末)とがある。いずれの処理も周期的(たとえば、100msecごと)に起動すればよい。
【0113】
再決定処理(サーバ)が開始すると、座席推奨サーバ50は、S501において、推奨座席以外の座席に座ったユーザがいるか否かを判定する。たとえば、
図12の例においては、ユーザBが推奨座席以外の座席に座っている。
【0114】
座席推奨サーバ50は、S501でYESと判定した場合は、S502に処理を進め、S501でNOと判定した場合は、S503に処理を進める。座席推奨サーバ50は、S502において、推奨座席決定処理(
図16)を実行する。
【0115】
上記例では、ユーザBが推奨座席以外の座席に座ったことで、推奨座席決定処理が再実行されて、ユーザBがデスクS23の座席に座ったことを前提として、少なくともユーザAの推奨座席が再決定される。本例では、
図13のようにユーザAの推奨座席が再決定されている。座席推奨サーバ50は、S503において、推奨座席が変更されたユーザに推奨座席の変更情報を通知し、再決定処理(サーバ)を終了する。
【0116】
一方、再決定処理(端末)が開始すると、端末60は、S601において、推奨座席の変更情報を受信したか否かを判定する。端末60は、S601でYESと判定した場合は、S602に処理を進め、S601でNOと判定した場合は、再決定処理(端末)を終了する。端末60は、S602において、推奨座席の変更情報の表示処理を実行し、再決定処理(端末)を終了する。
【0117】
本例では、座席推奨サーバ50からユーザAの端末60に推奨座席の変更情報として「推奨座席が変更されました」というメッセージ101が送信される(
図13参照)。ユーザAは、端末60でメッセージ101を受信する。そして、ユーザAは、再決定された推奨座席を端末60で確認することができる。
【0118】
以上、第1実施形態によれば、座席推奨システム100は、座席推奨サーバ50と端末60とを含む。座席推奨サーバ50は、施設内で勤務する従業員10(ユーザ)が当日に作業する座席を推奨するサーバである。座席推奨サーバ50は、処理装置としてのCPU41と、通信装置としてのI/F装置44と、記憶装置45とを備える。CPU41は、ユーザに推奨する推奨座席を決定する。I/F装置44は、推奨座席を表示可能であって座席に関するユーザの評価情報を入力可能な端末60と通信する。記憶装置45は、端末60から取得した評価情報を蓄積する評価DB81を記憶する。CPU41は、座席に座っているユーザの位置情報を取得する。CPU41は、蓄積された評価情報および位置情報に基づき推奨座席を決定する。I/F装置44は、決定した推奨座席を端末60に送信する。
【0119】
第1実施形態においては、ユーザ(従業員)間の評価を当事者のみへ反映するようにしている。具体的には、ユーザAからユーザBに対する否定的な評価があった場合、ユーザAの座席とユーザBの座席とが近くにならないように推奨座席を決定している。このようにすることで、フリーアドレス制が導入された施設において、他のユーザから受けるストレスを極力低減できる座席を推奨座席として提示可能である。ストレスの低減により、ユーザの生産性の向上に資する。
【0120】
端末60は、評価情報を入力するための入力画面を表示する。入力画面には、ユーザを識別可能な情報(個人情報)が表示されない。これにより、ユーザが端末60から他のユーザに対する否定的な評価を入力しようとしている場合であっても、その内容を第3者に知られることがない。
【0121】
評価情報は、評価を行う評価ユーザ(評価従業員)が評価対象となる評価対象ユーザ(評価対象従業員)に対して感じたストレスの要因を含む。これにより、ストレスを感じるユーザを遠ざけることができる。
【0122】
要因は、たばこの臭い、香水の臭い、打鍵音、咀嚼音、および、視線のうちの少なくともいずれかによるものを含む。これにより、たばこの臭い、香水の臭い、打鍵音、咀嚼音、視線の、各要因によるストレスを確実に低減することができる。
【0123】
CPU41は、評価情報として、ユーザA(評価ユーザ)がユーザB(評価対象ユーザ)に対して行った評価が評価DB81に記録されている場合、ユーザAとユーザBとの距離が所定の距離(1.4m×K3)以下とならないように、ユーザAおよびユーザBの推奨座席を決定する。これにより、過去にストレスを感じたユーザを確実に遠ざけることができる。
【0124】
CPU41は、ユーザA(評価ユーザ)がユーザB(評価対象ユーザ)に対して評価を行ったときの、ユーザAとユーザBとの距離である評価距離(1.4m)に基づいて、所定の距離(1.4m×K3)を決定する。これにより、実際に過去にストレスを感じた距離を考慮して、過去にストレスを感じたユーザを遠ざけることができる。
【0125】
所定の距離(1.4m×K3)は、評価距離(1.4m)に重み係数(係数:K3)を乗じて算出される。重み係数(K3)は、ユーザA(評価ユーザ)がユーザB(評価対象ユーザ)に対して評価を行ったときの要因が第1の要因(打鍵音)であるときと第2の要因(咀嚼音)であるときとで異なる。これにより、遠ざけるべき距離を要因に応じて適切に調整することができる。
【0126】
CPU41は、推奨座席以外の座席に座った従業員を検出した場合、座席に座っていない従業員の推奨座席を再決定する。I/F装置44は、再決定によって推奨座席が変更された従業員が使用する端末60に対して、推奨座席の変更を通知する。これにより、推奨座席の変更があった場合でも、その変更を確実に把握することができる。
【0127】
CPU41は、評価DB81に蓄積された評価情報の数が予め規定された上限数を超えた場合、最も古い評価情報を評価DB81から削除する。これにより、座席推奨サーバ50において記憶容量の負荷を低減することができる。
【0128】
また、本実施の形態においては、施設内に設置された既存の設備である空調機31を流用して、ユーザの位置を計測している。これにより、ユーザの位置を計測するための専用の装置を施設内に設置する場合に比べて、設備の設置コストを削減することができる。なお、空調機に限らず、ユーザの位置を計測可能な装置であれば、どのような装置を利用してもよい。
【0129】
<第2実施形態>
図19は、第2実施形態に係る評価DB81を説明するための図である。以下の説明において、第1実施形態と異なる点のみについて説明し、第1実施形態と同じ点については説明を省略する。第1実施形態において説明した構成および変形例は、第2実施形態において説明するいずれの構成および変形例にも適用可能である。
【0130】
図19に示す評価DB81の例では、
図6で示した評価DB81の例と同じデータが記録されている。
図6の例と同様に、ユーザAはユーザBの打鍵音にストレスを感じ、ユーザCはユーザDの打鍵音にストレスを感じ、ユーザEはユーザFの咀嚼音にストレスを感じていることが示されている。
【0131】
第1実施形態においては、否定的な評価があったユーザ同士の座席が近くならないように、推奨座席が決定される。これに対して、第2実施形態においては、否定的な評価を行ったユーザの評価情報を他のユーザと共有する点で、第1実施形態と異なる。
【0132】
第2実施形態において、座席推奨サーバ50は、第1の要因による第1の評価ユーザの第1の評価対象ユーザに対する評価が評価DB81に記録され、かつ、第1の要因による第2の評価ユーザの第2の評価対象ユーザに対する評価が評価DB81に記録されている場合、第1の評価ユーザと第1の評価対象ユーザとの距離が第1の距離以下にならず、第2の評価ユーザと第2の評価対象ユーザとの距離が第2の距離以下にならず、第1の評価ユーザと第2の評価対象ユーザとの距離が第3の距離以下にならず、第2の評価ユーザと第1の評価対象ユーザとの距離が第4の距離以下にならないように、第1の評価ユーザ、第1の評価対象ユーザ、第2の評価ユーザおよび第2の評価対象ユーザの推奨座席を決定するように構成される。以下、詳細に説明する。
【0133】
第1実施形態においては、評価DB81に記録された評価ユーザと、評価ユーザが評価を行った評価対象ユーザとの距離を考慮して(ある一定の距離以下とならないように)、両者の推奨座席を決定していた。具体的には、ユーザAとユーザBとの距離を考慮してユーザA,Bの推奨座席を決定し、ユーザCとユーザDとの距離を考慮してユーザC,Dの推奨座席を決定し、ユーザEとユーザFとの距離を考慮してユーザE,Fの推奨座席を決定していた。
【0134】
これに対して、第2実施形態において、同一の要因により否定的な評価が行われた場合に、この評価情報を共有して推奨座席が決定される。たとえば、本例において、ユーザAがユーザBに感じるストレスの要因およびユーザCがユーザDに感じるストレスの要因は、いずれも打鍵音である。このことからすれば、ユーザAはユーザDの打鍵音に対してもストレスを感じる可能性があり、ユーザCはユーザBの打鍵音に対してストレスを感じる可能性がある。
【0135】
このため、第2実施形態においては、さらに、ユーザAとユーザDとの距離を考慮してユーザA,Dの推奨座席を決定し、ユーザCとユーザBとの距離を考慮してユーザC,Bの推奨座席を決定する。このようにすれば、評価DB81に記録された評価情報が少ない場合であっても、ストレスを低減可能な推奨座席を好適に決定することができる。
【0136】
図19の例では、要因「打鍵音」に関し、ユーザAの座席がユーザB,Dのいずれの座席とも一定以下の距離とならないように推奨座席を決定し、ユーザCの座席がユーザB,Dのいずれの座席とも一定以下の距離とならないように推奨座席を決定する。
【0137】
なお、
図19の例において、ストレスの要因が異なる場合は、ユーザの評価情報は共有されない。たとえば、咀嚼音に関し、ユーザEとユーザFとの距離を考慮してユーザE,Fの推奨座席が決定される。しかし、ユーザE,Fの推奨座席が決定において、要因が異なる(打鍵音である)ユーザA~Dとの距離は考慮されない。
【0138】
以下、第2実施形態における処理をフローチャートを用いて説明する。
図14~
図16,
図18に示したフローチャートの処理は、第1実施形態と第2実施形態とで同じである。
図17で示した近傍判定処理のフローチャートは、第2実施形態において以下のようになる。
【0139】
図20は、第2実施形態に係る近傍判定処理のフローチャートである。近傍判定処理を開始すると、座席推奨サーバ50は、S901において、未判定の決定対象ユーザを1人選択する。本例では、未判定の決定対象ユーザとしてユーザA~ユーザFが順に選択されるものとする。
【0140】
座席推奨サーバ50は、S902において、選択されたユーザは評価ユーザとして記録されているか否かを判定する。座席推奨サーバ50は、S902でYESと判定した場合は、S903に処理を進め、S902でNOと判定した場合は、S907に処理を進める。
【0141】
たとえば、ユーザAが選択されている場合、評価DB81には、選択されたユーザA(評価ユーザ)のユーザB(評価対象ユーザ)に対する評価として、要因「打鍵音」、評価距離「1.4m」が記録されている(
図19)。なお、打鍵音の重み係数は「K3」である(
図7)。
【0142】
座席推奨サーバ50は、S903において、選択されたユーザが評価ユーザとして行った評価における要因と、要因が一致する評価情報を全て抽出する。本例では、要因が「打鍵音」である評価情報が全て抽出される。その結果、
図19の例において、さらに、ユーザC(評価ユーザ)のユーザD(評価対象ユーザ)に対する評価として、要因「打鍵音」、評価距離「2.0m」が抽出される。
【0143】
座席推奨サーバ50は、S904において、抽出した評価情報に対応する評価対象ユーザを全て抽出する。上記例においては、評価対象ユーザとしてユーザBおよびユーザDが抽出される。
【0144】
座席推奨サーバ50は、S905において、評価ユーザと、抽出した全ての評価対象ユーザのうちのいずれかとの距離が評価距離×重み係数以下となる座席(推奨座席候補)があるか否かを判定する。
【0145】
本例では、ユーザA(評価ユーザ)とユーザB(評価対象ユーザ)との距離が1.4m(評価距離)×K3(重み係数)以下となる推奨座席候補があるか否かが判定される。さらに、ユーザA(評価ユーザ)とユーザD(評価対象ユーザ)との距離が1.4m(評価距離)×K3(重み係数)以下となる推奨座席候補があるか否かが判定される。なお、後者に演算おいて、評価距離は、ユーザCとユーザDとの間で記録された「2,0m」を使用してもよい。
【0146】
座席推奨サーバ50は、S905でYESと判定した場合は、S906に処理を進め、S905でNOと判定した場合は、S907に処理を進める。座席推奨サーバ50は、S906において、近接座席ありと判定し、近傍判定処理を終了する。上記例においては、ユーザAとユーザBとの間で近接座席ありと判定された場合、または、ユーザAとユーザDとの間で近接座席ありと判定された場合に、「近接座席あり」と判断される。
【0147】
座席推奨サーバ50は、S907において、全ての判定対象ユーザを判定したか否かを判定する。座席推奨サーバ50は、S907でYESと判定した場合は、近傍判定処理を終了し、S907でNOと判定した場合は、S901に処理を戻す。
【0148】
S901において、ユーザCが選択された場合は、ユーザCとユーザBとの間で近接座席ありと判定された場合、または、ユーザCとユーザDとの間で近接座席ありと判定された場合に、「近接座席あり」と判断される。
【0149】
このように、第2実施形態では、座席推奨サーバ50は、要因「打鍵音」によるユーザAのユーザBに対する評価が評価DB81に記録され、かつ、同一の要因「打鍵音」によるユーザCのユーザDに対する評価が評価DB81に記録されている場合、ユーザAとユーザBとの距離が1.4m×K3以下にならず、ユーザAとユーザDとの距離が1.4m×K3(2.0m×K3でもよい)以下にならず、ユーザCとユーザDとの距離が2.0m×K3以下にならず、ユーザCとユーザBとの距離が2.0m×K3(1.4m×K3でもよい)以下にならないように、ユーザA~Dの推奨座席を決定している。
【0150】
このようにすることで、フリーアドレス制が導入された施設において、評価DB81に記録された評価情報が少ない場合であっても、他のユーザから受けるストレスを極力低減できる座席を推奨座席として提示可能である。ストレスの低減により、ユーザの生産性の向上に資する。
【0151】
[付記]
上述した実施形態は、以下の付記の具体例である。
【0152】
(付記1)
施設内で勤務する従業員が当日に作業する座席を推奨する座席推奨サーバであって、
前記従業員に推奨する推奨座席を決定する処理装置と、
前記推奨座席を表示可能であって前記座席に関する前記従業員の評価情報を入力可能な端末装置と通信する通信装置と、
前記端末装置から取得した前記評価情報を蓄積する評価データベースを記憶する記憶装置とを備え、
前記処理装置は、
前記座席に座っている前記従業員の位置情報を取得し、
蓄積された前記評価情報および前記位置情報に基づき前記推奨座席を決定し、
前記通信装置は、決定した前記推奨座席を前記端末装置に送信する、座席推奨サーバ。
【0153】
(付記2)
前記評価情報は、評価を行う評価従業員が評価対象となる評価対象従業員に対して感じたストレスの要因を含む、付記1に記載の座席推奨サーバ。
【0154】
(付記3)
前記処理装置は、前記評価情報として、第1の評価従業員が第1の評価対象従業員に対して行った評価が前記評価データベースに記録されている場合、前記第1の評価従業員と前記第1の評価対象従業員との距離が所定の距離以下とならないように、前記第1の評価従業員および前記第1の評価対象従業員の前記推奨座席を決定する、付記2に記載の座席推奨サーバ。
【0155】
(付記4)
前記処理装置は、前記第1の評価従業員が前記第1の評価対象従業員に対して評価を行ったときの、前記第1の評価従業員と前記第1の評価対象従業員との距離である評価距離に基づいて、前記所定の距離を決定する、付記3に記載の座席推奨サーバ。
【0156】
(付記5)
前記所定の距離は、前記評価距離に係数を乗じて算出され、
前記係数は、前記第1の評価従業員が前記第1の評価対象従業員に対して評価を行ったときの前記要因が第1の要因であるときと第2の要因であるときとで異なる、付記3または付記4に記載の座席推奨サーバ。
【0157】
(付記6)
前記処理装置は、第1の要因による第1の評価従業員の第1の評価対象従業員に対する評価が前記評価データベースに記録され、かつ、前記第1の要因による第2の評価従業員の第2の評価対象従業員に対する評価が前記評価データベースに記録されている場合、前記第1の評価従業員と前記第1の評価対象従業員との距離が第1の距離以下にならず、前記第2の評価従業員と前記第2の評価対象従業員との距離が第2の距離以下にならず、前記第1の評価従業員と前記第2の評価対象従業員との距離が第3の距離以下にならず、前記第2の評価従業員と前記第1の評価対象従業員との距離が第4の距離以下にならないように、前記第1の評価従業員、前記第1の評価対象従業員、前記第2の評価従業員および前記第2の評価対象従業員の前記推奨座席を決定する、付記2に記載の座席推奨サーバ。
【0158】
(付記7)
前記要因は、たばこの臭い、香水の臭い、打鍵音、咀嚼音、および、視線のうちの少なくともいずれかによるものを含む、付記2~付記6のいずれかに記載の座席推奨サーバ。
【0159】
(付記8)
前記処理装置は、前記推奨座席以外の座席に座った前記従業員を検出した場合、座席に座っていない前記従業員の前記推奨座席を再決定し、
前記通信装置は、再決定によって前記推奨座席が変更された前記従業員が使用する前記端末装置に対して、前記推奨座席の変更を通知する、付記2~付記7のいずれかに記載の座席推奨サーバ。
【0160】
(付記9)
前記処理装置は、前記評価データベースに蓄積された前記評価情報の数が予め規定された上限数を超えた場合、最も古い前記評価情報を前記評価データベースから削除する、付記2~付記8のいずれかに記載の座席推奨サーバ。
【0161】
(付記10)
付記1に記載の座席推奨サーバと、
前記端末装置とを備える、座席推奨システム。
【0162】
(付記11)
前記端末装置は、前記評価情報を入力するための入力画面を表示し、
前記入力画面には、前記従業員を識別可能な情報が表示されない、付記10に記載の座席推奨システム。
【0163】
(付記12)
施設内で勤務する従業員が当日に作業する座席を推奨する座席推奨方法であって、
前記従業員に推奨する推奨座席を決定するステップと、
前記推奨座席を表示可能であって前記座席に関する前記従業員の評価情報を入力可能な端末装置と通信するステップと、
前記端末装置から取得した前記評価情報を評価データベースに蓄積するステップとを備え、
前記決定するステップは、
前記座席に座っている前記従業員の位置情報を取得するステップと、
蓄積された前記評価情報および前記位置情報に基づき前記推奨座席を決定するステップとを含み、
前記通信するステップは、決定した前記推奨座席を前記端末装置に送信するステップを含む、座席推奨方法。
【0164】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0165】
10 従業員、11,30 無線通信機、31 空調機、35 天井、36 床、40 機器管理装置、41 CPU、42 RAM、43 ROM、44 I/F装置、45 記憶装置、46 通信バス、50 座席推奨サーバ、60 端末、61 表示部、71 ユーザテーブル、72 機器テーブル、73 係数テーブル、81 評価DB、91~97 画像、100 座席推奨システム、101 メッセージ、S11~S16,S21~S26,S31~S36,S41~S46 デスク、NW 通信網。