(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109386
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】表面状態判定装置、表面状態判定方法、及び表面状態判定プログラム
(51)【国際特許分類】
B23K 31/00 20060101AFI20240806BHJP
B23K 37/08 20060101ALI20240806BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240806BHJP
【FI】
B23K31/00 L
B23K37/08 D
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014145
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】椛島 治樹
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA03
5L096BA05
5L096CA02
5L096DA03
5L096FA69
5L096GA51
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】 スパッタが付着するなどの異常部位と単に変色しただけの変色部位とをより正確に識別することができる。
【解決手段】 表面状態判定装置は、照射光を照射する光源部と、対象物の表面を撮像して撮像画像を取得する撮像部と、撮像画像から撮像画像情報を生成して異常部位の判定の処理を行う処理部とを備え、処理部は、撮像画像情報を生成して第1波長の照射光に係る撮像画像情報から第1波長の照射光による反射光の画素毎の第1反射率と、第2波長の照射光に係る撮像画像情報から第2波長の照射光による反射光の画素毎の第2反射率を取得する取得部と、撮像画像情報において画素毎に第1反射率と第2反射率との差分量を算出する差分量算出部と、差分量算出部によって算出された差分量を画素毎の反射率とする判定画像情報を生成する生成部と、判定画像情報に基づいて異常部位の存在を判定する判定部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる波長の照射光を溶接後の対象物の表面に照射する光源部と、
照射光の照射の元で、前記対象物の表面を撮像して撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像から撮像画像情報を生成して前記対象物の表面に生じた異常部位の判定の処理を行う処理部と、
を備え、
前記処理部は、
前記撮像画像から前記撮像画像情報を生成して、前記異なる波長における一の波長である第1波長の照射光に係る前記撮像画像情報から前記第1波長の照射光による反射光の画素毎の第1反射率と、前記第1波長と異なる第2波長の照射光に係る前記撮像画像情報から前記第2波長の照射光による反射光の画素毎の第2反射率を取得する取得部と、
前記撮像画像情報において画素毎に前記第1反射率と前記第2反射率との差分量を算出する差分量算出部と、
前記差分量算出部によって算出された差分量を画素毎の反射率とする判定画像情報を生成する生成部と、
前記判定画像情報に基づいて前記異常部位の存在を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする表面状態判定装置。
【請求項2】
溶接に伴って変色した変色部位において反射される、前記第1波長の照射光の反射光の反射率値と前記第2波長の照射光の反射光の反射率値との差分量を、第1反射率差とし、
溶接に伴って変色しなかった非変色部位において反射される、前記第1波長の照射光の反射光の反射率値と前記第2波長の照射光の反射光の反射率値との差分量を、第2反射率差とし、
前記処理部は、
前記第1反射率差と前記第2反射率差との差分量が所定値以下となるように、前記第1波長と前記第2波長とを予め決定する波長決定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の表面状態判定装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記生成部が生成した前記判定画像情報に基づいて、前記判定画像情報における前記異常部位の位置を特定する位置特定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の表面状態判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記異常部位の存在と前記判定画像情報との対応関係を予め学習した判定学習モデルを用いて、前記生成部が生成した前記判定画像情報に基づいて、前記異常部位の存在を判定することを特徴とする請求項1に記載の表面状態判定装置。
【請求項5】
前記位置特定部は、前記異常部位の位置と前記判定画像情報との対応関係を予め学習した位置学習モデルを用いて、前記生成部が生成した前記判定画像情報に基づいて、前記異常部位の位置を特定することを特徴とする請求項3に記載の表面状態判定装置。
【請求項6】
前記溶接は、アーク溶接であって、
前記異常部位は、前記アーク溶接によって生じたスパッタが前記対象物の表面に付着した部位であることを特徴とする請求項1に記載の表面状態判定装置。
【請求項7】
前記処理部は、
先端部に前記異常部位を除去するための爪部を備えたロボットの動作を制御する動作制御部を備え、
前記動作制御部は、前記位置特定部によって特定された前記異常部位の位置に係る位置情報を取得して、前記異常部位を除去する際に前記位置情報に基づいて前記ロボットの動作を制御することを特徴とする請求項3に記載の表面状態判定装置。
【請求項8】
異なる波長の照射光を溶接後の対象物の表面に照射する光源部と、
照射光の照射の元で、前記対象物の表面を撮像して撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像から撮像画像情報を生成して前記対象物の表面に生じた異常部位の判定の処理を行う処理部と、
を備えた表面状態判定装置に用いられる表面状態判定方法であって、
前記処理部は、
前記撮像画像から前記撮像画像情報を生成して、前記異なる波長における一の波長である第1波長の照射光に係る前記撮像画像情報から前記第1波長の照射光による反射光の画素毎の第1反射率と、前記第1波長と異なる第2波長の照射光に係る前記撮像画像情報から前記第2波長の照射光による反射光の画素毎の第2反射率を取得する取得ステップと、
前記撮像画像情報において画素毎に前記第1反射率と前記第2反射率との差分量を算出する差分量算出ステップと、
前記差分量算出ステップにおいて算出された差分量を画素毎の反射率とする判定画像情報を生成する生成ステップと、
前記判定画像情報に基づいて前記異常部位の存在を判定する判定ステップと、
を実施することを特徴とする表面状態判定方法。
【請求項9】
異なる波長の照射光を溶接後の対象物の表面に照射する光源部と、
照射光の照射の元で、前記対象物の表面を撮像して撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像から撮像画像情報を生成して前記対象物の表面に生じた異常部位の判定の処理を行う処理部と、
を備えた表面状態判定装置に用いられる表面状態判定プログラムであって、
前記処理部は、
前記撮像画像から前記撮像画像情報を生成して、前記異なる波長における一の波長である第1波長の照射光に係る前記撮像画像情報から前記第1波長の照射光による反射光の画素毎の第1反射率と、前記第1波長と異なる第2波長の照射光に係る前記撮像画像情報から前記第2波長の照射光による反射光の画素毎の第2反射率を取得する取得機能と、
前記撮像画像情報において画素毎に前記第1反射率と前記第2反射率との差分量を算出する差分量算出機能と、
前記差分量算出機能において算出された差分量を画素毎の反射率とする判定画像情報を生成する生成機能と、
前記判定画像情報に基づいて前記異常部位の存在を判定する判定機能と、
を発揮することを特徴とする表面状態判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接時に生じるスパッタの付着などの異常の有無を判定する表面状態判定装置、表面状態判定方法、及び表面状態判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接、ガス溶接などの溶接時に発生するスパッタは、溶融金属の微粒子であり高温状態で飛散し周囲の部材に付着する場合が有り、当該付着の位置によっては後の工程で問題を引き起こす虞がある。
【0003】
一方で、溶接時に発生するスパッタなどの飛散により、周囲の部材の表面が焦げるなど変色する場合がある。表面にスパッタが付着することなく、単に表面が変色する場合は、後の工程で問題となる虞はスパッタの付着ほどではなかった。
【0004】
従来、溶接後の表面状態の異常の有無を、溶接個所の画像データを画像解析することにより判定することが行われてきた(例えば、特許文献1参照)。このような画像解析では、スパッタが付着した部位と、スパッタの付着には至らず単に表面が溶接に伴って変色しただけの部位とを識別することが困難な場合があった。その要因の一つとして、スパッタが付着した部位と溶接に伴って変色した部位とでは色味がよく似ていることが挙げられる。スパッタが付着するなどの異常部位と単に変色しただけの変色部位とを正確に識別することは、溶接工程の自働化を進めるうえでの課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スパッタが付着するなどの異常部位と単に変色しただけの変色部位とをより正確に識別することができる表面状態判定装置、表面状態判定方法、及び表面状態判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、第1の態様に係る表面状態判定装置は、異なる波長の照射光を溶接後の対象物の表面に照射する光源部と、照射光の照射の元で、対象物の表面を撮像して撮像画像を取得する撮像部と、撮像画像から撮像画像情報を生成して対象物の表面に生じた異常部位の判定の処理を行う処理部と、を備え、処理部は、撮像画像から撮像画像情報を生成して、異なる波長における一の波長である第1波長の照射光に係る撮像画像情報から第1波長の照射光による反射光の画素毎の第1反射率と、第1波長と異なる第2波長の照射光に係る撮像画像情報から第2波長の照射光による反射光の画素毎の第2反射率を取得する取得部と、撮像画像情報において画素毎に第1反射率と第2反射率との差分量を算出する差分量算出部と、差分量算出部によって算出された差分量を画素毎の反射率とする判定画像情報を生成する生成部と、判定画像情報に基づいて異常部位の存在を判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る表面状態判定装置において、溶接に伴って変色した変色部位において反射される、第1波長の照射光の反射光の反射率値と第2波長の照射光の反射光の反射率値との差分量を、第1反射率差とし、溶接に伴って変色しなかった非変色部位において反射される、第1波長の照射光の反射光の反射率値と第2波長の照射光の反射光の反射率値との差分量を、第2反射率差とし、処理部は、第1反射率差と第2反射率差との差分量が所定値以下となるように、第1波長と第2波長とを予め決定する波長決定部を備えることとしてもよい。
【0009】
第3の態様は、第1の態様に係る表面状態判定装置において、処理部は、生成部が生成した判定画像情報に基づいて、判定画像情報における異常部位の位置を特定する位置特定部を備えることとしてもよい。
【0010】
第4の態様は、第1の態様に係る表面状態判定装置において、判定部は、異常部位の存在と判定画像情報との対応関係を予め学習した判定学習モデルを用いて、生成部が生成した判定画像情報に基づいて、異常部位の存在を判定することとしてもよい。
【0011】
第5の態様は、第3の態様に係る表面状態判定装置において、位置特定部は、異常部位の位置と判定画像情報との対応関係を予め学習した位置学習モデルを用いて、生成部が生成した判定画像情報に基づいて、異常部位の位置を特定することとしてもよい。
【0012】
第6の態様は、第1の態様に係る表面状態判定装置において、溶接は、アーク溶接であって、異常部位は、アーク溶接によって生じたスパッタが対象物の表面に付着した部位であることとしてもよい。
【0013】
第7の態様は、第3の態様に係る表面状態判定装置において、処理部は、先端部に異常部位を除去するための爪部を備えたロボットの動作を制御する動作制御部を備え、動作制御部は、位置特定部によって特定された異常部位の位置に係る位置情報を取得して、異常部位を除去する際に位置情報に基づいてロボットの動作を制御することとしてもよい。
【0014】
第8の態様に係る表面状態判定方法は、異なる波長の照射光を溶接後の対象物の表面に照射する光源部と、照射光の照射の元で、対象物の表面を撮像して撮像画像を取得する撮像部と、撮像画像から撮像画像情報を生成して対象物の表面に生じた異常部位の判定の処理を行う処理部と、を備えた表面状態判定装置に用いられる表面状態判定方法であって、処理部は、撮像画像から撮像画像情報を生成して、異なる波長における一の波長である第1波長の照射光に係る撮像画像情報から第1波長の照射光による反射光の画素毎の第1反射率と、第1波長と異なる第2波長の照射光に係る撮像画像情報から第2波長の照射光による反射光の画素毎の第2反射率を取得する取得ステップと、撮像画像情報において画素毎に第1反射率と第2反射率との差分量を算出する差分量算出ステップと、差分量算出ステップにおいて算出された差分量を画素毎の反射率とする判定画像情報を生成する生成ステップと、判定画像情報に基づいて異常部位の存在を判定する判定ステップと、を実施することを特徴とする。
【0015】
第9の態様に係る表面状態判定プログラムは、異なる波長の照射光を溶接後の対象物の表面に照射する光源部と、照射光の照射の元で、対象物の表面を撮像して撮像画像を取得する撮像部と、撮像画像から撮像画像情報を生成して対象物の表面に生じた異常部位の判定の処理を行う処理部と、を備えた表面状態判定装置に用いられる表面状態判定プログラムであって、処理部は、撮像画像から撮像画像情報を生成して、異なる波長における一の波長である第1波長の照射光に係る撮像画像情報から第1波長の照射光による反射光の画素毎の第1反射率と、第1波長と異なる第2波長の照射光に係る撮像画像情報から第2波長の照射光による反射光の画素毎の第2反射率を取得する取得機能と、撮像画像情報において画素毎に第1反射率と第2反射率との差分量を算出する差分量算出機能と、差分量算出機能において算出された差分量を画素毎の反射率とする判定画像情報を生成する生成機能と、判定画像情報に基づいて異常部位の存在を判定する判定機能と、を発揮することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る表面状態判定装置等は、異なる波長の照射光を溶接後の対象物の表面に照射する光源部と、照射光の照射の元で、対象物の表面を撮像して撮像画像を取得する撮像部と、撮像画像から撮像画像情報を生成して対象物の表面に生じた異常部位の判定の処理を行う処理部と、を備え、処理部は、撮像画像から撮像画像情報を生成して、異なる波長における一の波長である第1波長の照射光に係る撮像画像情報から第1波長の照射光による反射光の画素毎の第1反射率と、第1波長と異なる第2波長の照射光に係る撮像画像情報から第2波長の照射光による反射光の画素毎の第2反射率を取得する取得部と、撮像画像情報において画素毎に第1反射率と第2反射率との差分量を算出する差分量算出部と、差分量算出部によって算出された差分量を画素毎の反射率とする判定画像情報を生成する生成部と、判定画像情報に基づいて異常部位の存在を判定する判定部と、を備えることを特徴とするので、スパッタが付着するなどの異常部位と単に変色しただけの変色部位とを正確に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る表面状態判定装置の対象物について説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係る表面状態判定装置の概要について説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係る表面状態判定装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る表面状態判定装置の対象物の表面状態別における、照射光の波長と相対反射率との相関関係を比較するためのグラフである。
【
図5】本実施形態に係る表面状態判定装置の対象物の表面の非変色部位における、第1波長の相対反射率と第2波長の相対反射率との差分量について説明するためのグラフである。
【
図6】本実施形態に係る表面状態判定装置の対象物の表面の変色部位における、第1波長の相対反射率と第2波長の相対反射率との差分量について説明するためのグラフである。
【
図7】本実施形態に係る表面状態判定装置の対象物の表面の異常部位における、第1波長の相対反射率と第2波長の相対反射率との差分量について説明するためのグラフである。
【
図8】本実施形態に係る表面状態判定装置の対象物の表面の画像のサンプルである。
【
図9】本実施形態に係る表面状態判定装置の対象物の表面を第1波長の照射光の照射のもと撮像した画像のサンプルである。
【
図10】本実施形態に係る表面状態判定装置の対象物の表面を第2波長の照射光の照射のもと撮像した画像のサンプルである。
【
図11】本実施形態に係る表面状態判定装置の対象物の表面に係る判定画像情報のサンプルである。
【
図12】本実施形態に係る表面状態判定プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(表面状態判定装置10の判定の対象物1)
図1を参照して表面状態判定装置10の判定の対象物1について説明する。
対象物1は、溶接母材1aに溶接部材1bをアーク溶接、ガス溶接などの溶接により溶接して形成されたものである。スパッタ3は溶接時に溶融された金属の微粒子であり飛散する(
図1(a)参照)。溶接母材1aの表面に飛来したスパッタ3は、冷却とともに溶接母材1aの表面に付着する。特に経験上、溶接によって生じるビード2付近にスパッタ3が付着することが分かっている(
図1(b)参照)。溶接後の工程において、スパッタ3が付着した溶接母材1aなどの周辺部材の表面に他部品4を取り付ける際、スパッタ3の凹凸が干渉し精度よく周辺部材に取り付けられない等の問題が生じる(
図1(c)参照)。このような問題を解消するために、表面状態判定装置10は凹凸を伴うスパッタ3が周辺部材の表面に有るか否かの判定を行う。
【0019】
(表面状態判定装置10の概要)
図2、
図3を参照して本実施形態に係る表面状態判定装置10の概要について説明する。
表面状態判定装置10は、
図2、
図3に示す様に、本体9、キーボード16、ディスプレイ17、マウス18、光源部25、ロボット26、撮像部27、及び爪部28などを備える。光源部25、ロボット26、撮像部27は、有線若しくは無線により表面状態判定装置10に接続され、表面状態判定装置10により操作などの制御が行われる。
【0020】
本体9は、パーソナルコンピュータ(以下、PC)、ノートPC、タブレットPCなどに代表される情報処理装置であり、汎用の情報処理装置に後述する表面状態判定プログラムを追加して使用可能にすることができる。また、本体9は、表面状態判定プログラムを実行可能とし表面状態判定装置10の機能に特化した専用の情報処理装置としてもよい。
【0021】
光源部25は、異なる波長の照射光6を溶接後の対象物1の表面に照射する。
照射光6の波長は、後述の波長決定部31により決定される。光源部25は、波長決定部31によって決定された2種類の波長(以下、第1波長、及び第2波長)の照射光6をそれぞれ異なるタイミングで対象物1の溶接後の表面に照射する。
【0022】
撮像部27は、照射光6の照射の元で、対象物1の表面を撮像して撮像画像を取得する。
撮像部27は、第1波長の照射光6の照射の元で、対象物1の表面を撮像して取得する撮像画像を第1撮像画像として取得する。
【0023】
撮像部27は、第2波長の照射光6の照射の元で、対象物1の表面を撮像して取得する撮像画像を第2撮像画像として取得する。
【0024】
ロボット26は、多関節ロボットである。ロボット26は、表面状態判定装置10によって位置が特定された異常部位であるスパッタ3の付着した部位からスパッタ3を除去する際に、先端部29に爪部28が装着される(
図2参照)。なお、ロボット26は、多関節ロボットに限定されるものではなく、パラレルリンクロボット、スカラロボット、及び直交ロボットを含む各種産業用ロボットを用いてもよい。
実施形態における異常部位42は、アーク溶接によって生じたスパッタ3が対象物1の表面に付着した部位である。以降、スパッタ3を例に説明する。なお、他に加傷に伴う突出した部位も含まれる。
【0025】
(表面状態判定装置10の機能)
図3を参照して、本実施形態に係る表面状態判定装置10の機能について説明する。
図3は本実施形態に係る表面状態判定装置10の機能を説明するためのブロック図である。
【0026】
表面状態判定装置10の本体9は、
図3に示す様に、処理部11、Read Only Memory(ROM)12、Random Access Memory(RAM)13、記憶部14、入出力インターフェース15等を備えて構成されている。本体9の内部において、処理部11、ROM12、RAM13、記憶部14、入出力インターフェース15等は、バス20によって相互に接続され、データの双方向の伝送を可能にしている。
【0027】
処理部11は、Micro Processing Unit(MPU)、Central Processing Unit(CPU)などで構成され、後述の表面状態判定プログラムを実行することで、内蔵する各種機能部の機能を制御し、各種機能部のそれぞれの機能を実現させる。
【0028】
ROM12及び記憶部14は、記憶装置として利用でき、表面状態判定プログラム、及び表面状態判定プログラムを利用するための各種データ並びにアプリケーションなどが記憶される。
【0029】
表面状態判定装置10は、表面状態判定プログラムをROM12若しくは記憶部14に保存し、RAM13などで構成されるメインメモリに表面状態判定プログラムを取り込む。そして、処理部11は、表面状態判定プログラムを取り込んだメインメモリにアクセスして、表面状態判定プログラムを実行する。
【0030】
表面状態判定装置10は、入出力インターフェース15を介してキーボード16、ディスプレイ17、マウス18、光源部25、ロボット26、撮像部27、爪部28などに接続される。
【0031】
光源部25は、波長可変光源を用い、照射光6の波長を1nmごとに変えることができる。光源部25の照射光の波長を変化させる方式としては、固定波長の光源の光から回折格子を用いて特定の波長の光のみを照射光として出力する方式、若しくは光源の光そのものの波長を変化させる方式があるが、何れの方式を用いてもよい。
【0032】
撮像部27は、光源部25から照射された照射光6の対象物1の表面からの反射光を撮像する。撮像部27はRGBカメラであり、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどの撮像素子を用いて、光を電気信号に変換しデータを取得する。
【0033】
爪部28は、対象物1の表面に付着したスパッタ3を削り、こそげとる刃状、へら状の器具のことを言い、スクレーパー(scraper)とも呼ばれ、ロボット26の先端部29に装着して用いられる。
【0034】
処理部11は、撮像画像から撮像画像情報を生成して対象物1の表面に生じた異常部位42(
図8参照)の判定の処理を行う。
第1撮像画像から生成された撮像画像情報を第1撮像画像情報とし、第2撮像画像から生成された撮像画像情報を第2撮像画像情報として説明する。
【0035】
反射光の画像は、光源部25から照射された照射光6が対象物1の表面において反射されて反射光となり、当該反射光を撮像部27で撮像して得た像のことである。
撮像画像情報は、撮像部27が撮像した撮像画像から処理部11が生成する画像データのことであり、少なくとも画素毎の、光源部25の照射光6の対象物1の表面において反射された反射光の反射率を含む。
【0036】
表面状態判定装置10は、処理部11によって表面状態判定プログラムを実行することにより、処理部11に波長決定部31、取得部32、差分量算出部33、生成部34、判定部35、位置特定部36、及び動作制御部37などを機能部として備える。
【0037】
波長決定部31は、第1反射率差と第2反射率差との差分量が所定値以下となるように、第1波長と第2波長とを予め決定する。
【0038】
(第1波長43と第2波長44の決定方法)
図4乃至
図7を参照して、第1波長43と第2波長44の決定方法について説明する。
図4は表面状態判定装置10の対象物1の表面状態別(非変色部位40、変色部位41、異常部位42)における照射光6の波長と相対反射率との相関関係を比較するためのグラフであり、
図5は表面状態判定装置10の対象物1の表面の非変色部位40(
図8参照)における第1波長43の相対反射率と第2波長44の相対反射率との差分量について説明するためのグラフである。
【0039】
図4は、対象物1の表面の何れの状態においても、即ち、非変色部位40、変色部位41、異常部位42の何れの部位で反射した反射光であっても、照射光6の波長が450nmから950nmの範囲において、照射光6の波長が長くなるほど反射光の相対反射率は増加傾向にあることを示す。
【0040】
さらに、
図4は、非変色部位40における反射光の相対反射率(
図4の符号40参照)は、照射光6の波長の450nmから950nmまでの全範囲において、変色部位41及び異常部位42における反射光の相対反射率(
図4の符号41及び42参照)より大きい値をとることを示す。
【0041】
さらに、
図4は、変色部位41における反射光の相対反射率(
図4の符号41参照)は、照射光6の波長の450nmから840nm付近までにおいて、異常部位42における反射光の相対反射率(
図4の符号42)より大きく、照射光6の波長の840nm付近から950nmまでにおいて、異常部位42における反射光の相対反射率(
図4の符号42)より小さいことを示す。
【0042】
図6は表面状態判定装置10の対象物1の表面の変色部位41(
図8参照)における第1波長43の相対反射率と第2波長44の相対反射率との差分量について説明するためのグラフであり、
図7は表面状態判定装置10の対象物1の表面の異常部位42(
図8参照)における第1波長43の相対反射率と第2波長44の相対反射率との差分量について説明するためのグラフである。
本実施形態において、反射率に相対反射率を用いる例を示すが、これに限定されるものではなく反射率の例として絶対反射率を用いてもよい。
【0043】
溶接に伴って変色した変色部位41(
図8参照)において反射される、第1波長43の照射光6の反射光の反射率値53と第2波長44の照射光6の反射光の反射率値54との差分量を第1反射率差46とする(
図6参照)。
【0044】
溶接に伴って変色しなかった非変色部位40(
図8参照)において反射される、第1波長43の照射光6の反射光の反射率値51と第2波長44の照射光6の反射光の反射率値52との差分量を第2反射率差45とする(
図5参照)。
【0045】
異常部位42(
図8参照)において反射される、第1波長43の照射光6の反射光の反射率値55と第2波長44の照射光6の反射光の反射率値56との差分量を第3反射率差47とする(
図7参照)。
【0046】
波長決定部31は、第1反射率差46と第2反射率差45とがほぼ等しくなるように(双方の反射率差が所定の範囲内となるように)、第1波長43と第2波長44とを予め決定する。第1反射率差46と第2反射率差45とは、実際に測定した結果得られた値(実測値)であるため、第1反射率差46と第2反射率差45とが完全に一致することはなく、第1反射率差46と第2反射率差45との差分量が0に近ければ近いほど良い。なぜなら、当該差分量が0に近いほど、後述する生成部34が生成する判定画像情報において、変色部位41は非変色部位40に同化し埋没することで、非変色部位40の中にあって変色部位41が目立たなくなるからである。
【0047】
さらに好ましくは、波長決定部31は、第1反射率差46と第2反射率差45とがほぼ等しくなり、且つ、第3反射率差47が第1反射率差46及び第2反射率差45に対してより大きくなるように第1波長43と第2波長44とを予め決定する。なぜなら、第3反射率差47が第1反射率差46及び第2反射率差45に対して大きければ大きいほど、後述する生成部34が生成する判定画像情報において、異常部位42は非変色部位40に対して顕在化し、非変色部位40の中にあって異常部位42が目立つようになるからである。
【0048】
波長決定部31の第1波長43及び第2波長44の具体的な決定方法について以下に述べる。第1波長43と第2波長44は、450nmから950nmまでの5nm間隔の値をとることが出来る。第1波長43と第2波長44のとり得る値の全ての組み合わせの第1波長43と第2波長44において、第1反射率差46、第2反射率差45、及び第3反射率差47を
図4のグラフに基づいて導出し、第1反射率差46と第2反射率差45とがほぼ等しくなるように、より好ましくは、第1反射率差46と第2反射率差45とがほぼ等しくなり、且つ、第3反射率差47が第1反射率差46及び第2反射率差45に対してより大きくなるような第1波長43と第2波長44との組み合わせを選択して、第1波長43と第2波長44とを決定する。
【0049】
取得部32は、撮像画像から撮像画像情報を生成して、異なる波長における一の波長である第1波長43の照射光6に係る撮像画像情報から第1波長43の照射光6による反射光の画素毎の第1反射率と、第1波長43と異なる第2波長44の照射光に係る撮像画像情報から第2波長44の照射光による反射光の画素毎の第2反射率を取得する。
【0050】
取得部32は、撮像部27が対象物1の表面を撮像して取得した第1撮像画像及び第2撮像画像を取得する。取得部32は、第1撮像画像から第1撮像画像情報を生成し、画素毎の第1波長43の照射光6の反射光の相対反射率を第1反射率として取得する。取得部32は、第2撮像画像から第2撮像画像情報を生成し、画素毎の第2波長44の照射光6の反射光の相対反射率を第2反射率として取得する。
【0051】
差分量算出部33は、撮像画像情報において画素毎に第1反射率と第2反射率との差分量を算出する。
差分量算出部33は、第1撮像画像情報の画素毎の第1反射率と第2撮像画像情報の画素毎の第2反射率とに基づいて、画素毎の第1反射率と第2反射率との差分量を算出する。
差分量算出部33は、第1波長43の照射光6の反射光と第2波長44の照射光6の反射光との反射率差を数値化する。
【0052】
生成部34は、差分量算出部33によって算出された差分量を画素毎の反射率とする判定画像情報を生成する。
生成部34は、差分量算出部33によって数値化された第1波長43の照射光6の反射光と第2波長44の照射光6の反射光との画素毎の反射率差に基づいて、判定画像情報を生成することで第1反射率と第2反射率との差分量を画像化するものである。
判定画像情報は、変色部位41を非変色部位40の中で目立たなくして異常部位42を検出しやすくするものである。
【0053】
判定部35は、判定画像情報に基づいて異常部位の存在を判定する。
判定部35は、判定画像情報の中に異常部位が有るか否かの判定を行う。
判定部35は、異常部位42の存在と判定画像情報との対応関係を予め学習した判定学習モデルを用いて、生成部34が生成した判定画像情報に基づいて、異常部位42の存在を判定することとしてもよい。
【0054】
判定部35は、生成部34が生成した判定画像情報を判定学習モデルに入力することで、判定画像情報の中に異常部位42が有るか否かの判定を行うこととしてもよい。
【0055】
判定部35は、変色部位41を非変色部位40の中で目立たなくされた判定画像情報に基づいて異常部位42の有無の判定を行うので、変色部位41を異常部位42と認識してしまう誤検出を抑制することができて、精度よく異常部位42の有無の判定を行うことができる。
【0056】
さらに、第1波長43と第2波長44とが、第1反射率差46と第2反射率差45とがほぼ等しくなり、且つ、第3反射率差47が第1反射率差46及び第2反射率差45に対してより大きくなるように決定された場合では、変色部位41が目立たなくなるとともに異常部位42を顕在化した判定画像情報を判定学習モデルに入力することで、変色部位41を異常部位42と認識してしまう誤検出をさらに抑制することができるので、より精度よく異常部位42の有無の判定を行うことができる。
【0057】
判定学習モデルの学習には機械学習が用いられ、その機械学習の手法として、サポートベクター(Support Vector Machine:SVM)、モデルツリー、決定ツリー、ニューラルネットワーク、多重線形回帰、局部的重み付け回帰、確立サーチ方法等が用いられる。
【0058】
位置特定部36は、生成部34が生成した判定画像情報に基づいて、判定画像情報における異常部位42の位置を特定する。
位置特定部36は、異常部位42の位置と判定画像情報との対応関係を予め学習した位置学習モデルを用いて、生成部34が生成した判定画像情報に基づいて、異常部位42の位置を特定することとしてもよい。
【0059】
位置特定部36は、生成部34が生成した判定画像情報を位置学習モデルに入力することで、判定画像情報の中の異常部位42の位置の特定を行うこととしてもよい。
位置特定部36は、変色部位41を非変色部位40の中で目立たなくされた判定画像情報に基づいて異常部位42の位置の特定を行うので、変色部位41を異常部位42と認識してしまう誤検出を抑制することができて、精度よく異常部位42の位置の特定を行うことができる。
【0060】
さらに、第1波長43と第2波長44とが、第1反射率差46と第2反射率差45とがほぼ等しくなり、且つ、第3反射率差47が第1反射率差46及び第2反射率差45に対してより大きくなるように決定された場合では、変色部位41が目立たなくなるとともに異常部位42を顕在化した判定画像情報を判定学習モデルに入力することで、変色部位41を異常部位42と認識してしまう誤検出をさらに抑制することができるので、より精度よく異常部位42の位置の特定を行うことができる。
【0061】
位置学習モデルの学習には、判定学習モデルの学習の場合と同様に、機械学習が用いられ、その機械学習の手法として、サポートベクター(Support Vector Machine:SVM)、モデルツリー、決定ツリー、ニューラルネットワーク、多重線形回帰、局部的重み付け回帰、確立サーチ方法等が用いられる。
【0062】
動作制御部37は、先端部29に異常部位42を除去するための爪部28を備えたロボット26の動作を制御する。
動作制御部37は、位置特定部36によって特定された異常部位42の位置に係る位置情報を取得して、異常部位42を除去する際に位置情報に基づいてロボット26の動作を制御する。
【0063】
図8乃至
図11を参照して、本実施形態の表面状態判定装置10の一実施例について説明する。
図8は表面状態判定装置10の対象物1の表面の画像のサンプルであり、
図9は表面状態判定装置10の対象物1の表面を第1波長43の照射光6の照射のもと撮像した画像のサンプルであり、
図10は表面状態判定装置10の対象物1の表面を第2波長44の照射光6の照射のもと撮像した画像のサンプルであり、
図11は表面状態判定装置10の対象物1の表面に係る判定画像情報のサンプルである。
【0064】
本実施例では、第1波長43を540nmとし、第2波長を950nmとした。
図8乃至
図11の符号40は非変色部位を示し、符号41は変色部位を示し、符号42は異常部位42を示す。
【0065】
図8は通常の室内光若しくは自然光の照射の元、撮像部27が対象物1の表面を撮像した撮像画像であり、変色部位41において変色した表面状態が視認でき、異常部位42において表面へのスパッタ3の付着が視認でき、非変色部位40において対象物1の表面状態が素地のままであることが視認できる。
【0066】
図9は540nmの波長の照射光6の照射の元、撮像部27が対象物1の表面を撮像した撮像画像であり、変色部位41において変色した表面状態が視認でき、異常部位42において表面へのスパッタ3の付着が視認でき、非変色部位40において対象物1の表面状態が素地のままであることが視認できる。
【0067】
図10は950nmの波長の照射光6の照射の元、撮像部27が対象物1の表面を撮像した撮像画像であり、変色部位41において変色した表面状態が視認でき、異常部位42において表面へのスパッタ3の付着が視認でき、非変色部位40において対象物1の表面状態が素地のままであることが視認できる。
【0068】
図11は、生成部34が540nmの波長の照射光6の反射光と950nmの波長の照射光6の反射光との画素毎の反射率差に基づいて生成した判定画像情報であり、変色部位41において変色した表面状態が目立たなくなっていることが視認できる。なお、
図11に示すように、異常部位42において表面へのスパッタ3の付着は、
図8乃至
図10と同様に視認することができ、非変色部位40において対象物1の表面状態が素地のままであることが、
図8乃至
図10と同様に視認することができる。
【0069】
図11に示す様に、判定画像情報においては、異常部位42と変色部位41とで対象物1の表面の表面状態が異なることが明確となり、変色部位41を異常部位42と認識してしまう誤認を抑制することができる。
【0070】
さらには、
図11に示す様に、判定画像情報においては、変色部位41と非変色部位40とでは、対象物1の表面の表面状態は同じ様に視認されるので、非変色部位40の中で異常部位42はより目立つ存在となり異常部位42の検出の精度を向上させることができる。
【0071】
本実施例に示す様に、判定画像情報では異常部位42を顕在化することができるので、当該判定画像情報を用いてAI(人工知能)などの画像解析を行うことで、異常部位42の存在の判定、及び異常部位42の位置の特定をより正確に行うことができる。
【0072】
(表面状態判定方法及び表面状態判定プログラム)
次に
図12を参照して、本実施形態の表面状態判定装置10における表面状態判定方法について、表面状態判定装置10によって実行される表面状態判定プログラムとともに説明する。
図12は本実施形態に係る表面状態判定プログラムのフローチャートである。
【0073】
表面状態判定プログラムは、波長決定ステップS31、取得ステップS32、差分量算出ステップS33、生成ステップS34、判定ステップS35、位置特定ステップS36、動作制御ステップS37などを含む。
【0074】
表面状態判定プログラムは、RAM13などで構成されるメインメモリに取り込まれて、当該メインメモリにアクセスする処理部11によって実行される。表面状態判定プログラムは、処理部11に対して、波長決定機能、取得機能、差分量算出機能、生成機能、判定機能、位置特定機能、動作制御機能など実現させる。
【0075】
これらの機能は
図12に示す順序で処理を行う場合を例示したが、これに限らず、これらの順番を適宜入れ替えて表面状態判定プログラムを実行しても良い。なお、上記した各機能は、前述の表面状態判定装置10の波長決定部31、取得部32、差分量算出部33、生成部34、判定部35、位置特定部36、及び動作制御部37の説明と重複するため、その詳細な説明は省略する。
【0076】
波長決定機能は、第1反射率差と第2反射率差との差分量が所定値以下となるように、第1波長43と第2波長44とを予め決定する(S31:波長決定ステップ)。
【0077】
取得機能は、撮像画像から撮像画像情報を生成して、異なる波長における一の波長である第1波長43の照射光6に係る撮像画像情報から第1波長43の照射光6による反射光の画素毎の第1反射率と、第1波長43と異なる第2波長44の照射光に係る撮像画像情報から第2波長44の照射光6による反射光の画素毎の第2反射率を取得する(S32:取得ステップ)。
【0078】
差分量算出機能は、撮像画像情報において画素毎に第1反射率と第2反射率との差分量を算出する(S33:差分量算出ステップ)。
【0079】
生成機能は、差分量算機能によって算出された差分量を画素毎の反射率とする判定画像情報を生成する(S34:生成ステップ)。
【0080】
判定機能は、判定画像情報に基づいて異常部位42の存在を判定する(S35:判定ステップ)。
【0081】
位置特定機能は、生成機能において生成した判定画像情報に基づいて、判定画像情報における異常部位42の位置を特定する(S36:位置特定ステップ)。
【0082】
動作制御機能は、先端部29に異常部位42を除去するための爪部28を備えたロボット26の動作を制御する(S37:動作制御ステップ)。
【0083】
上記した本実施形態によれば、判定部35は、変色部位41を非変色部位40の中で目立たなくされた判定画像情報に基づいて異常部位42の有無の判定を行うので、変色部位41を異常部位42と認識してしまう誤検出を抑制することができて、精度よく異常部位42の有無の判定を行うことができる。
【0084】
さらに、上記した本実施形態によれば、第1波長43と第2波長44とが、第1反射率差46と第2反射率差45とがほぼ等しくなり、且つ、第3反射率差47が第1反射率差46及び第2反射率差45に対してより大きくなるように決定された場合では、判定部35は、変色部位41が目立たなくなるとともに異常部位42を顕在化した判定画像情報に基づいて異常部位42の有無の判定を行うので、変色部位41を異常部位42と認識してしまう誤検出をさらに抑制することができるので、より精度よく異常部位42の有無の判定を行うことができる。
【0085】
さらに、上記した本実施形態によれば、位置特定部36は、変色部位41を非変色部位40の中で目立たなくされた判定画像情報に基づいて異常部位42の位置の特定を行うので、変色部位41を異常部位42と認識してしまう誤検出を抑制することができて、精度よく異常部位42の位置の特定を行うことができる。
【0086】
さらに、上記した本実施形態によれば、第1波長43と第2波長44とが、第1反射率差46と第2反射率差45とがほぼ等しくなり、且つ、第3反射率差47が第1反射率差46及び第2反射率差45に対してより大きくなるように決定された場合では、位置特定部36は、変色部位41が目立たなくなるとともに異常部位42を顕在化した判定画像情報に基づいて異常部位42の位置を特定するので、変色部位41を異常部位42と認識してしまう誤検出をさらに抑制することができるので、より精度よく異常部位42の位置の特定を行うことができる。
【0087】
本開示は上記した実施形態に係る表面状態判定装置10、表面状態判定方法、及び表面状態判定プログラムに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、若しくは応用例により実施可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 対象物
1a 溶接母材
1b 溶接部材
2 ビード
3 スパッタ
4 他部品
6 照射光
9 本体
10 表面状態判定装置
11 処理部
12 ROM
13 RAM
14 記憶部
15 入出力インターフェース
16 キーボード
17 ディスプレイ
18 マウス
20 バス
25 光源部
26 ロボット
27 撮像部
28 爪部
29 先端部
31 波長決定部
32 取得部
33 差分量算出部
34 生成部
35 判定部
36 位置特定部
37 動作制御部
40 非変色部位
41 変色部位
42 異常部位
43 第1波長
44 第2波長
45 矢印(第1反射率差)
46 矢印(第2反射率差)
47 矢印(第3反射率差)
51~56 反射率値