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特開2024-109389表面検査装置、表面検査方法、及び表面検査プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109389
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】表面検査装置、表面検査方法、及び表面検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014148
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】椛島 治樹
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AB01
2G051AB02
2G051BA02
2G051BA06
2G051BA20
2G051BC01
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB01
2G051EA17
2G051EB01
(57)【要約】
【課題】 表面にある検査の目的となる異常を検知することができ、検査の目的以外の検知を抑制することができる。
【解決手段】 表面検査装置は、光源部と撮像部と光源部の光線の照射を制御するとともに撮像した画像を取得する制御部とを備え、制御部は、光源から照射される光線の基準となる照射方向を第1照射方向として設定するとともに、第1照射方向と異なる第2照射方向に光線の照射方向を可変する可変部と、光線の照射方向が第1照射方向であるときに表面を撮像して第1画像を取得し、かつ、光線の照射方向が第2照射方向であるときに表面を撮像して第2画像を取得する取得部と、第1画像と第2画像とを比較し、第1画像と第2画像との輝度値の差異が生じる部位を可視化した検査画像を生成する生成部と、検査画像における部位の輝度値が閾値を越えた場合に部位を異常部位と判定する判定部とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の表面に光線を照射する光源を備え、前記光源から照射される光線の前記表面に対する照射方向を可変させる光源部と、
前記表面を撮像する撮像部と、
前記光源部の光源からの光線の照射を制御するとともに前記撮像部が撮像した画像を取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記光源から照射される光線の基準となる照射方向を第1照射方向として設定するとともに、前記第1照射方向と異なる第2照射方向に光線の照射方向を可変する可変部と、
光線の照射方向が前記第1照射方向であるときに前記表面を撮像して第1画像を取得し、かつ、光線の照射方向が前記第2照射方向であるときに前記表面を撮像して第2画像を取得する取得部と、
前記第1画像と前記第2画像とを比較し、前記第1画像と前記第2画像との輝度値の差異が生じる部位を可視化した検査画像を生成する生成部と、
前記検査画像における前記部位の輝度値が閾値を越えた場合に前記部位を異常部位と判定する判定部と、
を備えることを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記光源部は光源を弧状に配置し、前記光源部は光源の点灯位置を可変させて前記第1照射方向及び前記第2照射方向の光線の照射方向を作出することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記第2照射方向は複数あり、前記取得部は、それぞれの前記第2照射方向に対応して前記第2画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記第1画像の中の任意のピクセルの各色相の輝度値を用いて、前記第2画像の中の前記第1画像の当該ピクセルに対応するピクセルの各色相の輝度値を除算して求めた各色相の輝度値を、前記第1画像の当該ピクセルに対応するピクセルの各色相の輝度値とする除算処理画像を生成し、当該除算処理画像をグレースケール化した後に輝度反転して前記検査画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記光線は、近赤外光であることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記光源部は照射方向を0度から180度の間で可変させることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項7】
前記異常部位は前記検査対象の前記表面における加傷であることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項8】
検査対象の表面に光線を照射する光源を備え、前記光源から照射される光線の前記表面に対する照射方向を可変させる光源部と、
前記表面を撮像する撮像部と、
前記光源部の光源からの光線の照射を制御するとともに前記撮像部が撮像した画像を取得する制御部と、を備える表面検査装置に用いる表面検査方法であって、
前記制御部が、
前記光源から照射される光線の基準となる照射方向を第1照射方向として設定するとともに、前記第1照射方向と異なる第2照射方向に光線の照射方向を可変する可変ステップと、
光線の照射方向が前記第1照射方向であるときに前記表面を撮像して第1画像を取得し、かつ、光線の照射方向が前記第2照射方向であるときに前記表面を撮像して第2画像を取得する取得ステップと、
前記第1画像と前記第2画像とを比較し、前記第1画像と前記第2画像との輝度値の差異が生じる部位を可視化した検査画像を生成する生成ステップと、
前記検査画像における前記部位の輝度値が閾値を越えた場合に前記部位を異常部位と判定する判定ステップと、
を実行することを特徴とする表面検査方法。
【請求項9】
検査対象の表面に光線を照射する光源を備え、前記光源から照射される光線の前記表面に対する照射方向を可変させる光源部と、
前記表面を撮像する撮像部と、
前記光源部の光源からの光線の照射を制御するとともに前記撮像部が撮像した画像を取得する制御部と、を備える表面検査装置に用いる表面検査プログラムであって、
前記制御部に、
前記光源から照射される光線の基準となる照射方向を第1照射方向として設定するとともに、前記第1照射方向と異なる第2照射方向に光線の照射方向を可変する可変機能と、
光線の照射方向が前記第1照射方向であるときに前記表面を撮像して第1画像を取得し、かつ、光線の照射方向が前記第2照射方向であるときに前記表面を撮像して第2画像を取得する取得機能と、
前記第1画像と前記第2画像とを比較し、前記第1画像と前記第2画像との輝度値の差異が生じる部位を可視化した検査画像を生成する生成機能と、
前記検査画像における前記部位の輝度値が閾値を越えた場合に前記部位を異常部位と判定する判定機能と、
を発揮させることを特徴とする表面検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査装置、表面検査方法、及び表面検査プログラムに関し、特に検査対象の表面に光を照射して異常の有無を検知する表面検査装置、表面検査方法、及び表面検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、機械関連などの製品の金属の表面、及び、プラスチック、セラミックスなどの非金属の表面の加傷などによる異常の有無を検知する検査工程では自働化による全数検査が行われるようになってきた。このような検査工程に用いられる検査には、検査対象となる表面を撮像した画像に基づいて行う画像検査が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、このような画像検査では、加傷などの異常の検知のみならず、容易に除去が可能な異常、又は悪い影響を及ぼさない汚れ、模様などが検知される場合があり、検査の目的となる異常のみを検知できない場合があるという課題があった。また、このような画像検査では、検査対象となる表面の光の当たり方によって、検査の目的となる異常が画像に写らず当該異常を検知できない場合があるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-139942号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するものであり、本開示は、検査対象となる表面にある検査の目的となる異常を検知することができ、検査の目的以外の検知を抑制することができる表面検査装置、表面検査方法、及び表面検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、第1の態様に表面検査装置は、検査対象の表面に光線を照射する光源を備え、光源から照射される光線の表面に対する照射方向を可変させる光源部と、表面を撮像する撮像部と、光源部の光源からの光線の照射を制御するとともに撮像部が撮像した画像を取得する制御部と、を備え、制御部は、光源から照射される光線の基準となる照射方向を第1照射方向として設定するとともに、第1照射方向と異なる第2照射方向に光線の照射方向を可変する可変部と、光線の照射方向が第1照射方向であるときに表面を撮像して第1画像を取得し、かつ、光線の照射方向が第2照射方向であるときに表面を撮像して第2画像を取得する取得部と、第1画像と第2画像とを比較し、第1画像と第2画像との輝度値の差異が生じる部位を可視化した検査画像を生成する生成部と、検査画像における部位の輝度値が閾値を越えた場合に部位を異常部位と判定する判定部と、を備える。
【0007】
第2の態様は、第1の態様に係る表面検査装置において、光源部は光源を弧状に配置し、光源部は光源の点灯位置を可変させて第1照射方向及び第2照射方向の光線の照射方向を作出することとしてもよい。
【0008】
第3の態様は、第1の態様に係る表面検査装置において、第2照射方向は複数あり、取得部は、それぞれの第2照射方向に対応して第2画像を取得することとしてもよい。
第4の態様は、第1の態様に係る表面検査装置において、生成部は、第1画像の中の任意のピクセルの各色相の輝度値を用いて、第2画像の中の第1画像の当該ピクセルに対応するピクセルの各色相の輝度値を除算して求めた各色相の輝度値を、第1画像の当該ピクセルに対応するピクセルの各色相の輝度値とする除算処理画像を生成し、当該除算処理画像をグレースケール化した後に輝度反転して検査画像を生成することとしてもよい。
【0009】
第5の態様は、第1の態様に係る表面検査装置において、光線は、近赤外光であることとしてもよい。
【0010】
第6の態様は、第1の態様に係る表面検査装置において、光源部は照射方向を0度から180度の間で可変させることとしてもよい。
【0011】
第7の態様は、第1の態様に係る表面検査装置において、異常部位は検査対象の表面における加傷であることとしてもよい。
【0012】
第8の態様に係る表面検査方法は、検査対象の表面に光線を照射する光源を備え、光源から照射される光線の表面に対する照射方向を可変させる光源部と、表面を撮像する撮像部と、光源部の光源からの光線の照射を制御するとともに撮像部が撮像した画像を取得する制御部と、を備える表面検査装置に用いる表面検査方法であって、制御部が、光源から照射される光線の基準となる照射方向を第1照射方向として設定するとともに、第1照射方向と異なる第2照射方向に光線の照射方向を可変する可変ステップと、光線の照射方向が第1照射方向であるときに表面を撮像して第1画像を取得し、かつ、光線の照射方向が第2照射方向であるときに表面を撮像して第2画像を取得する取得ステップと、第1画像と第2画像とを比較し、第1画像と第2画像との輝度値の差異が生じる部位を可視化した検査画像を生成する生成ステップと、検査画像における部位の輝度値が閾値を越えた場合に部位を異常部位と判定する判定ステップと、を実行する。
【0013】
第9の態様に係る表面検査プログラムは、検査対象の表面に光線を照射する光源を備え、光源から照射される光線の表面に対する照射方向を可変させる光源部と、表面を撮像する撮像部と、光源部の光源からの光線の照射を制御するとともに撮像部が撮像した画像を取得する制御部と、を備える表面検査装置に用いる表面検査プログラムであって、制御部に、光源から照射される光線の基準となる照射方向を第1照射方向として設定するとともに、第1照射方向と異なる第2照射方向に光線の照射方向を可変する可変機能と、光線の照射方向が第1照射方向であるときに表面を撮像して第1画像を取得し、かつ、光線の照射方向が第2照射方向であるときに表面を撮像して第2画像を取得する取得機能と、第1画像と第2画像とを比較し、第1画像と第2画像との輝度値の差異が生じる部位を可視化した検査画像を生成する生成機能と、検査画像における部位の輝度値が閾値を越えた場合に部位を異常部位と判定する判定機能と、を発揮させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係る表面検査装置等は、検査対象の表面に光線を照射する光源を備え、光源から照射される光線の表面に対する照射方向を可変させる光源部と、表面を撮像する撮像部と、光源部の光源からの光線の照射を制御するとともに撮像部が撮像した画像を取得する制御部と、を備え、制御部は、光源から照射される光線の基準となる照射方向を第1照射方向として設定するとともに、第1照射方向と異なる第2照射方向に光線の照射方向を可変する可変部と、光線の照射方向が第1照射方向であるときに表面を撮像して第1画像を取得し、かつ、光線の照射方向が第2照射方向であるときに表面を撮像して第2画像を取得する取得部と、第1画像と第2画像とを比較し、第1画像と第2画像との輝度値の差異が生じる部位を可視化した検査画像を生成する生成部と、検査画像における部位の輝度値が閾値を越えた場合に部位を異常部位と判定する判定部と、を備えるので、検査対象となる表面にある検査の目的となる異常を検知することができ、検査の目的以外の検知を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本実施形態に係る表面検査装置の概要について説明するための図である。
図2図2は本実施形態に係る表面検査装置の光源部の下面図である。
図3図3は本実施形態に係る表面検査装置の光源部の断面図である。
図4図4は本実施形態に係る表面検査装置の光源部の動作について説明するための図である。
図5図5は本実施形態に係る表面検査装置の構成について説明するためのブロック図である。
図6図6は本実施形態に係る表面検査装置の機能的構成について説明するためのブロック図である。
図7図7は本実施形態に係る表面検査装置に採用されている原理について説明するためのイメージ図である。
図8図8は本実施形態に係る表面検査装置に採用されている原理について説明するためのイメージ図である。
図9図9は本実施形態に係る表面検査装置の制御部の検査画像の合成について説明するための図である。
図10図10は本実施形態に係る表面検査装置の光源部に用いられる光線の波長を説明するための図である。
図11図11は本実施形態に係る表面検査プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(表面検査装置20の概要)
先ず図1を参照して、表面検査装置20の概要について説明する。
表面検査装置20は、光源部11からの光線12aを検査対象10の表面10aに照射し、撮像部13によって撮像した画像に基づいて検査対象10の表面10aを検査する(図3参照)。
【0017】
光源部11は、検査対象10の表面10aに光線12aを照射する光源12を備え、光源12から照射される光線12aの表面10aに対する照射方向12cを可変させる。
光源部11は、円環形状の外形を持ち、検査対象10の上方に配置される。光源部11は、表面検査装置20に対して有線又は無線で接続されている。
【0018】
撮像部13は検査対象10の表面10aを撮像する。
撮像部13は、いわゆるデジタルカメラであり、検査対象10に対して光源部11のさらに上方に設置されて、光源部11に形成された開口部12dを通して検査対象10の表面10aを撮像する。
【0019】
表面検査装置20は、パーソナルコンピュータ(以下、PC)、ノート型PC、およびタブレット型PCなどのいわゆる情報処理装置であり、周辺機器となる出力装置26としてモニター26aを備え、周辺機器となる入力装置27としてキーボード27a及びマウス27bを備える。
表面検査装置20は、鋼板などの金属板、及び、プラスチック板、セラミックス板などの非金属板の板材等の部材表面を検査対象10として、その表面10aの傷、凹み、線条、不純物の付着などの有無を検査する。
【0020】
(光源部11について)
図2図3、及び図4を参照して、光源部11について説明する。図2は本実施形態に係る表面検査装置20の光源部11の下面図であり、図3は光源部11の断面図である。図4は光源部11の動作について説明するための図である。
【0021】
光源部11は、すり鉢状(下方に開口する半球状)に形成された下面に光源12となる複数個のLED12bを備えている。本実施形態の光源部11は、光源12として3段のLED12bが径方向12eに沿って並べられ、この3段のLED12bが周方向12fの所定角度(本実施形態では15°)毎に配置される。光源部11は、光源12となるLED12bを72個備える。
【0022】
光源部11は、図4に示すように、72個のLED12bへの通電状況を制御することで、点灯させるLED12bを選択することができる。点灯状態のLED12bは、検査対象10に向けて光線12aを照射する。
【0023】
光源部11の下面部はすり鉢状に形成され、すり鉢状の中心部に検査対象10が設置される。光源部11の下面部の所定高さにおける断面は円形となっており、LED12bは取り付けられる位置によって、LED12bの光線12aの検査対象10に対する照射方向12cが異なる。光源部11は、点灯させるLED12bを周方向12fに移動させることで、検査対象10の表面10aを照射する光線12aの照射方向を変化させることができる。
【0024】
光源部11は、検査対象10に対する同一の照射方向12cとなるように並べられた3個のLED12bを備え、検査対象10に照射する光線の必要となる光量に合わせて同時に点灯させるLED12bを1個、2個、及び3個の中から選択することができる。
【0025】
本実施形態では、表面10aに傷14a~傷14dを有する検査対象10を用いて、異なる照射方向12cから検査対象10に対して光線12aを照射することで傷14a~傷14dを発見しようとするものである。
【0026】
(表面検査装置20の構成)
図5を参照して、表面検査装置20の構成について説明する。図5は本実施形態に係る表面検査装置20の構成について説明するためのブロック図である。表面検査装置20は、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、記憶部23、制御部24、入出力インターフェース25などを備えている。
【0027】
記憶部23は、記憶装置として利用でき、表面検査装置20が動作する上で必要となる各種アプリケーション及び当該アプリケーションによって利用される各種データなどが記録される。
【0028】
制御部24は、光源部11の光源12からの光線12aの照射を制御するとともに撮像部13が撮像した画像を取得する。
表面検査装置20は、後述する表面検査プログラムをROM21若しくは記憶部23に保存し、RAM22などで構成されるメインメモリに当該表面検査プログラムを取り込む。制御部24は、表面検査プログラムを取り込んだメインメモリにアクセスして、表面検査プログラムを実行する。
【0029】
入出力インターフェース25は、表面検査装置20の外部装置に対してデータなどの送受信を行う。外部装置は、表面検査装置20に対してデータなどの入出力を行う光源部11、撮像部13、入力装置27及び出力装置26のことである。入力装置27はキーボード27a、マウス27b、及びスキャナ(不図示)などのことであり、出力装置26はモニター26a、プリンタ(不図示)及びスピーカ(不図示)などのことである。
【0030】
(表面検査装置20の機能的構成)
次に、図6図7、及び図8を参照して、表面検査装置20の機能的構成の一例について説明する。図6は本実施形態に係る表面検査装置20の機能的構成について説明するためのブロック図であり、図7及び図8は表面検査装置20に採用されている原理について説明するためのイメージ図である。
【0031】
表面検査装置20は、表面検査プログラムを実行することで、制御部に可変部30、取得部31、生成部32、判定部33などを機能部として備える。
可変部30は、光源12から照射される光線12aの基準となる照射方向12cを第1照射方向16として設定するとともに、第1照射方向16と異なる第2照射方向17に光線12aの照射方向12cを可変する。
【0032】
光源部11は光源12を弧状に配置し、光源部11は光源12の点灯位置を可変させて第1照射方向16及び第2照射方向17の光線12aの照射方向12cを作出する。
【0033】
取得部31は、光線12aの照射方向12cが第1照射方向16であるときに表面10aを撮像して第1画像40を取得し、かつ、光線12aの照射方向12cが第2照射方向17であるときに表面を撮像して第2画像41を取得する。
【0034】
生成部32は、第1画像40と第2画像41とを比較し、第1画像40と第2画像41との輝度値の差異が生じる部位を可視化した検査画像42を生成する。
生成部32は、第1画像40を用いて第2画像41を除算処理して得られた除算処理画像をグレースケール化した後に輝度反転して検査画像42として生成する。
【0035】
(除算処理画像について)
以下、除算処理画像について説明する。
除算処理画像について、第1画像40及び第2画像41がRGBカラーモデルで表現されている場合を例にして説明する。RGBカラーモデルは、画像のピクセル(部位に相当。以下同じ。)毎に各色相(赤色、緑色、青色)の輝度値が割り当てられている。
【0036】
すなわち、除算処理画像の中の任意のピクセルの各色相の輝度値は、第1画像40の中の除算処理画像の当該ピクセルに対応するピクセルの各色相の輝度値を用いて、第2画像41の中の除算処理画像の当該ピクセルに対応するピクセルの各色相の輝度値を除算して求める。
具体的には、除算処理画像の中の任意のピクセルの赤色の輝度値は、第1画像40の中の対応するピクセルの赤色の輝度値を用いて、第2画像41の中の対応するピクセルの赤色の輝度値を除算して求める。除算処理画像の中の任意のピクセルの緑色の輝度値は、第1画像40の中の対応するピクセルの緑色の輝度値を用いて、第2画像41の中の対応するピクセルの緑色の輝度値を除算して求める。除算処理画像の中の任意のピクセルの青色の輝度値は、第1画像40の中の対応するピクセルの青色の輝度値を用いて、第2画像41の中の対応するピクセルの青色の輝度値を除算して求める。
除算処理画像は、第1画像40と第2画像41とで同じ見え方をする模様、汚れ15などは消えて、傷、凹み、凸部、線条などは明瞭化されて表示される。
【0037】
(輝度反転について)
以下、輝度反転について説明する。
第1画像40及び第2画像41との輝度値が8ビットで表現されている場合を例にして説明する。輝度値が8ビットで表現されている場合、各ピクセルの輝度値は0から255の間の整数値となる。一番明るいピクセル(真っ白の場所)の輝度値が255、一番暗いピクセル(真っ黒い場所)の輝度値が0で表現される。この状態から全てのピクセルの輝度値を255から引き算することによって輝度反転を行う。輝度反転を行う前に輝度値0だったピクセルは輝度値255に変換され、輝度反転を行う前に輝度値255だったピクセルは輝度値0に変換される。従って、輝度反転を行えば、白(輝度値255)と黒(輝度値0)を反転させることができ、除算処理画像をグレースケール化して輝度反転することによって、抽出したい傷、凹み、凸部、線条などの輝度値を高くすることができる。
【0038】
判定部33は、検査画像42における部位の輝度値が閾値を越えた場合に部位を異常部位と判定する。
判定部33は、生成部32によって生成された検査画像42の中のピクセルのうち、閾値を越える輝度値を有するピクセル(部位)に傷、凹み、凸部、線条などの異常があると判定する。
【0039】
(第2照射方向17が複数であること)
第2照射方向17は複数あり、取得部31は、それぞれの第2照射方向17に対応して第2画像41を取得する。
この場合、光源部11は照射方向を0度から180度の間で可変させる。
【0040】
光源部11は、LED12bの点灯位置を15°の間隔で反時計方向に移動させて光源12を移動させる(図4参照)。そして、撮像部13は点灯位置が移り変わる度に検査対象10の表面10aを撮像する。取得部31は、LED12bの点灯位置の移り変わりに伴って撮像された画像を撮像部13から取得する。
なお、LED12bの点灯位置の移動間隔は15°に限定されるものではなく、例えば、10°、30°、及び45°などでもよい。
【0041】
生成部32は、第1画像40を用いて第2画像41を除算処理して得られた除算処理画像をグレースケール化した後に輝度反転して検査画像42として生成する。
生成部32は、LED12bの点灯位置を0°として光源12から第1照射方向12c(1)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を15°として光源12から第2照射方向12c(2)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Aを生成する。
【0042】
生成部32は、LED12bの点灯位置を15°として光源12から第1照射方向12c(2)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を30°として光源12から第2照射方向12c(3)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Bを生成する。
【0043】
生成部32は、LED12bの点灯位置を30°として光源12から第1照射方向12c(3)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を45°として光源12から第2照射方向12c(4)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Cを生成する。
【0044】
生成部32は、LED12bの点灯位置を45°として光源12から第1照射方向12c(4)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を60°として光源12から第2照射方向12c(5)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Dを生成する。
【0045】
生成部32は、LED12bの点灯位置を60°として光源12から第1照射方向12c(5)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を75°として光源12から第2照射方向12c(6)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Eを生成する。
【0046】
生成部32は、LED12bの点灯位置を75°として光源12から第1照射方向12c(6)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を90°として光源12から第2照射方向12c(7)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Fを生成する。
【0047】
生成部32は、LED12bの点灯位置を90°として光源12から第1照射方向12c(7)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を105°として光源12から第2照射方向12c(8)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Gを生成する。
【0048】
生成部32は、LED12bの点灯位置を105°として光源12から第1照射方向12c(8)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を120°として光源12から第2照射方向12c(9)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Hを生成する。
【0049】
生成部32は、LED12bの点灯位置を120°として光源12から第1照射方向12c(9)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を135°として光源12から第2照射方向12c(10)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Iを生成する。
【0050】
生成部32は、LED12bの点灯位置を135°として光源12から第1照射方向12c(10)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を150°として光源12から第2照射方向12c(11)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Jを生成する。
【0051】
生成部32は、LED12bの点灯位置を150°として光源12から第1照射方向12c(11)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を165°として光源12から第2照射方向12c(12)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Kを生成する。
【0052】
生成部32は、LED12bの点灯位置を165°として光源12から第1照射方向12c(12)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第1画像とし、LED12bの点灯位置を180°として光源12から第2照射方向12c(13)の光線12aのもと撮像部13が撮像した画像を第2画像として、検査画像Lを生成する。
【0053】
上記した検査画像A~Lと第1照射方向と第2照射方向との対応関係を表1に纏めた。
【0054】
【表1】
判定部33は、生成部32によって生成された検査画像A-Lを1枚の合成画像に重ね合わせて、合成画像の中のピクセルのうち、閾値を越える輝度値を有するピクセル(部位)に傷、凹み、線条、不純物の付着などがあると判定する(図9参照)。
【0055】
表面検査装置20は、検査対象10に対する光源12の照射方向12cを0°から15°間隔で180°まで変化する光線12aに基づいて生成された検査画像A-Lを重ね合わせることによって、あらゆる方向の傷、凹み、線条、不純物の付着などを抽出することができる。
【0056】
光源部11の光源12の光線12aは近赤外光を用いる。
近赤外光は、図10に示す様に、工場などに設置される室内灯にはほとんど含まれていないため、検査画像に侵入するノイズを低減することができる。
【0057】
(表面検査方法及び表面検査プログラム)
次に、図11を参照して、本実施形態に係る表面検査装置20に用いられる表面検査方法について、表面検査装置20に用いられる表面検査プログラムとともに説明する。図11は本実施形態に係る表面検査プログラムのフローチャートである。
【0058】
図11に示す様に、表面検査装置20に用いられる表面検査プログラムは、可変ステップS30、取得ステップS31、生成ステップS32、及び判定ステップS33などを含む。
表面検査装置20は、ROM21若しくは記憶部23に保存された表面検査プログラムをメインメモリに取り込み、制御部24により当該表面検査プログラムを実行する。
【0059】
表面検査装置20に用いられる表面検査プログラムは、制御部24に対して、可変機能、取得機能、生成機能、及び判定機能などを実現させる。
これらの機能は図11に示す順序で処理を行う場合を例示したが、これに限らず、これらの順番を適宜入れ替えて表面検査装置20は当該表面検査プログラムを実行しても良い。なお、上記した各機能は、前述の表面検査装置20の可変部30、取得部31、生成部32、及び判定部の説明と重複するため、その詳細な説明は省略する。
【0060】
可変機能は、光源12から照射される光線12aの基準となる照射方向12cを第1照射方向16として設定するとともに、第1照射方向16と異なる第2照射方向17に光線12aの照射方向を可変する(S30:可変機能)。
【0061】
取得機能は、光線12aの照射方向12cが第1照射方向16であるときに表面10aを撮像して第1画像40を取得し、かつ、光線12aの照射方向12cが第2照射方向17であるときに表面10aを撮像して第2画像41を取得する(S31:取得ステップ)。
【0062】
生成機能は、第1画像40と第2画像41とを比較し、第1画像40と第2画像41との輝度値の差異が生じる部位を可視化した検査画像42を生成する(S32:生成ステップ)。
【0063】
判定機能は、検査画像42における部位の輝度値が閾値を越えた場合に部位を異常部位と判定する(S33:判定ステップ)。
【0064】
上記した本実施形態に係る表面検査装置20によれば、除算処理画像は、第1画像40と第2画像41とで同じ見え方をする模様、汚れ15などは消えて、傷、凹み、凸部、線条などは明瞭化されて表示されるので、表面検査装置20は、検査対象10の表面10aにある模様、汚れ15を検出することなく、検査の目的となる異常を検出することができる。
【0065】
さらに、上記した本実施形態に係る表面検査装置20によれば、表面検査装置20は、検査対象10に対する光源12の照射方向12cを0°から15°間隔で180°まで変化する光線12aに基づいて生成された検査画像A-Lを重ね合わせることによって合成画像を生成し、この合成画像に基づいて、検査対象10の表面10aの異常の有無を判定するので、例えば、異常となる傷、凸部、凹み、線条があらゆる方向に伸びていても検出することができる。
【0066】
さらに、上記した本実施形態に係る表面検査装置20によれば、光源12の光線12aは近赤外光である。近赤外光は工場などに広く用いられる室内灯にはほとんど含まれていないので、検査画像42に侵入するノイズを低減することができる。従って、表面検査装置20は、周囲の室内灯などの照明の影響を抑制して、検査対象10の表面10aの異常の有無を判定することができる。
【0067】
本開示は上記した本実施形態に係る表面検査装置20、表面検査方法、及び表面検査プログラムに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、若しくは応用例により実施可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 検査対象
10a 表面
11 光源部
12 光源
12a 光線
12b LED
12c 照射方向
12d 開口部
12e 径方向
12f 周方向
12g 高さ方向
13 撮像部(カメラ)
14 傷
14a 傷
14b 傷
14c 傷
14d 傷
15 汚れ
16 第1照射方向
17 第2照射方向
20 表面検査装置
21 ROM(Read Only Memory)
22 RAM(Random Access Memory)
23 記憶部
24 制御部
25 入出力インターフェース
26 出力装置
26a モニター
27 入力装置
27a キーボード
27b マウス
30 可変部
31 取得部
32 生成部
33 判定部
40 第1画像
41 第2画像
42 検査画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11