(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109391
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】貨幣処理装置、貨幣処理システム、及び貨幣処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/60 20190101AFI20240806BHJP
G07D 11/26 20190101ALI20240806BHJP
【FI】
G07D11/60
G07D11/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014155
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】木村 昭彦
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA20
3E141EA10
3E141FA01
3E141FC05
3E141FF01
3E141FJ06
3E141FJ07
(57)【要約】
【課題】払出部が払い出した貨幣のうちの操作者が交換したいと思った貨幣を同じ金種の貨幣に交換可能とする。
【解決手段】外部に貨幣を払い出す払出部と、外部から貨幣を受け入れる受入部と、払出部が払い出した払出貨幣のうちの交換前貨幣を受入部が受け入れた場合に、交換前貨幣に代えて、交換前貨幣と同じ金種の交換後貨幣を払い出す交換処理を行う処理部と、を備える、貨幣処理装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に貨幣を払い出す払出部と、
外部から貨幣を受け入れる受入部と、
前記払出部が払い出した払出貨幣のうちの交換前貨幣を前記受入部が受け入れた場合に、当該交換前貨幣に代えて、当該交換前貨幣と同じ金種の交換後貨幣を払い出す交換処理を行う処理部と、
を備える、貨幣処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記交換処理において、前記払出貨幣及び前記交換前貨幣に関する交換条件が満たされる場合に、前記交換後貨幣を払い出す、請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
貨幣を識別する識別部を更に備え、
前記交換条件は、前記識別部による前記払出貨幣の識別結果と、前記識別部による前記交換前貨幣の識別結果とが一致する、という条件である、請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記交換条件は、前記交換前貨幣の金種別枚数が、前記払出貨幣の金種別枚数以下の予め設定された金種別枚数以下である、という条件である、請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記交換処理において、一部の前記交換前貨幣について前記交換条件が満たされない場合に、当該交換条件が満たされる当該交換前貨幣に代えて、前記交換後貨幣を払い出す、請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記交換処理において、前記払出部が前記払出貨幣を払い出した後、前記受入部が所定時間以内に限り前記交換前貨幣を受け入れる、請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記交換処理を、所定回数以内に限り行う、請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、貨幣を入金する入金処理において、前記交換処理を行わない、請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、自装置の係員の操作に応じて前記払出部が前記払出貨幣を払い出した場合に、前記交換処理を行わない、請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項10】
払い出される貨幣を収納する特定収納部と、
前記交換前貨幣が前記特定収納部に収納された場合に、その旨の情報を外部装置に通知する通知部と、
を更に備える、請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項11】
貨幣を処理する貨幣処理装置と、
前記貨幣処理装置の係員が使用する端末装置と、
を備え、
前記貨幣処理装置は、
外部に貨幣を払い出す払出部と、
外部から貨幣を受け入れる受入部と、
前記払出部が払い出した払出貨幣のうちの交換前貨幣を前記受入部が受け入れた場合に、当該交換前貨幣に代えて、当該交換前貨幣と同じ金種の交換後貨幣を払い出す交換処理を行う処理部と、
前記処理部による前記交換処理の結果を送信する送信部と、
を備え、
前記端末装置は、
前記送信部が送信した前記交換処理の結果を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記交換処理の結果を表示する表示部と、
を備える、貨幣処理システム。
【請求項12】
前記貨幣処理装置は、払い出される貨幣を収納する特定収納部を更に備え、
前記送信部は、前記交換前貨幣が前記特定収納部に収納された場合に、その旨の情報を、前記交換処理の結果として、送信する、請求項11に記載の貨幣処理システム。
【請求項13】
払出部が払出貨幣を払い出すステップと、
前記払出貨幣のうちの交換前貨幣を受入部が受け入れた場合に、処理部が、当該交換前貨幣に代えて、当該交換前貨幣と同じ金種の交換後貨幣を払い出す交換処理を行うステップと、
を含む、貨幣処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置、貨幣処理システム、及び貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、出金識別部により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部から出金リジェクト部に送られ、また、出金識別部により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部によりバラ紙幣投出部に送られ、このバラ紙幣投出部に集積される、貨幣処理機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記貨幣処理機を使って出金処理を行った際に、出金識別機により正常な紙幣であると識別されてバラ紙幣投出部に払出された紙幣であっても、わずかな損傷があって操作者が交換したいと感じる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、払出部が払い出した貨幣のうちの操作者が交換したいと思った貨幣を同じ金種の貨幣に交換可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、外部に貨幣を払い出す払出部と、外部から貨幣を受け入れる受入部と、払出部が払い出した払出貨幣のうちの交換前貨幣を受入部が受け入れた場合に、交換前貨幣に代えて、交換前貨幣と同じ金種の交換後貨幣を払い出す交換処理を行う処理部と、を備える、貨幣処理装置を提供する。
処理部は、交換処理において、払出貨幣及び交換前貨幣に関する交換条件が満たされる場合に、交換後貨幣を払い出す、ものであってよい。その場合、貨幣処理装置は、貨幣を識別する識別部を更に備え、交換条件は、識別部による払出貨幣の識別結果と、識別部による交換前貨幣の識別結果とが一致する、という条件であってよい。また、交換条件は、交換前貨幣の金種別枚数が、払出貨幣の金種別枚数以下の予め設定された金種別枚数以下である、という条件であってよい。さらに、処理部は、交換処理において、一部の交換前貨幣について交換条件が満たされない場合に、交換条件が満たされる交換前貨幣に代えて、交換後貨幣を払い出す、ものであってよい。
処理部は、交換処理において、払出部が払出貨幣を払い出した後、受入部が所定時間以内に限り交換前貨幣を受け入れる、ものであってよい。
処理部は、交換処理を、所定回数以内に限り行う、ものであってよい。
処理部は、貨幣を入金する入金処理において、交換処理を行わない、ものであってよい。
処理部は、自装置の係員の操作に応じて払出部が払出貨幣を払い出した場合に、交換処理を行わない、ものであってもよい。
貨幣処理装置は、払い出される貨幣を収納する特定収納部と、交換前貨幣が特定収納部に収納された場合に、その旨の情報を外部装置に通知する通知部と、を更に備える、ものであってよい。
【0007】
また、本発明は、貨幣を処理する貨幣処理装置と、貨幣処理装置の係員が使用する端末装置と、を備え、貨幣処理装置は、外部に貨幣を払い出す払出部と、外部から貨幣を受け入れる受入部と、払出部が払い出した払出貨幣のうちの交換前貨幣を受入部が受け入れた場合に、交換前貨幣に代えて、交換前貨幣と同じ金種の交換後貨幣を払い出す交換処理を行う処理部と、処理部による交換処理の結果を送信する送信部と、を備え、端末装置は、送信部が送信した交換処理の結果を受信する受信部と、受信部が受信した交換処理の結果を表示する表示部と、を備える、貨幣処理システムも提供する。
貨幣処理装置は、払い出される貨幣を収納する特定収納部を更に備え、送信部は、交換前貨幣が特定収納部に収納された場合に、その旨の情報を、交換処理の結果として、送信する、ものであってよい。
【0008】
更に、本発明は、払出部が払出貨幣を払い出すステップと、払出貨幣のうちの交換前貨幣を受入部が受け入れた場合に、処理部が、交換前貨幣に代えて、交換前貨幣と同じ金種の交換後貨幣を払い出す交換処理を行うステップと、を含む、貨幣処理方法も提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、払出部が払い出した貨幣のうちの操作者が交換したいと思った貨幣を同じ金種の貨幣に交換可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態における貨幣処理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】本実施の形態における貨幣処理装置の外観を示す図である。
【
図3】本実施の形態における紙幣処理機の内部構成を概略的に示す構成図である。
【
図4】本実施の形態における貨幣処理装置の機能構成の概略を示すブロック図である。
【
図5】本実施の形態における係員端末の機能構成の概略を示すブロック図である。
【
図6A】本実施の形態における貨幣処理装置の顧客操作による貨幣の出金処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6B】本実施の形態における貨幣処理装置の顧客操作による貨幣の出金処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】本実施の形態で表示される出金報知画面の一例を示す図である。
【
図8】本実施の形態で表示される交換案内報知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
[本実施の形態の背景]
金融機関の省人化により、様々な取引業務は、金融機関の係員が操作する窓口機から顧客自身が操作するセルフ機へとシフトしている。後者の場合、顧客自身が貨幣処理装置を操作し、出金された貨幣を受け取ることになる。
貨幣処理装置には、払出時に損傷貨幣(汚れや破れがある貨幣)を検出すると、その損傷貨幣を出金リジェクト貨幣として別保管し、代わりの正常貨幣を払い出す機能がある。しかしながら、正常貨幣であるか損傷貨幣であるかは微妙な判断となるため、損傷貨幣が払い出されることがある。
このようにして、出金された貨幣の中に損傷貨幣があった場合、その交換処理のために係員を呼び出す必要がある。そうなると、顧客にとっては待ち時間が発生し、係員にとっては呼び出されて交換処理を行う手間が発生する。
よって、顧客が損傷貨幣と判断した貨幣をその場で自動交換する機能が望まれる。但し、無条件に交換可能とすると、損傷貨幣の回収等のために金融機関の負担が増えたり、マネーロンダリングに利用されたりする恐れがある。
そこで、本実施の形態では、出金処理後、所定の交換条件が満たされる場合に限って、貨幣の交換処理を実行する。
【0013】
[貨幣処理システムの全体構成]
図1は本実施の形態における貨幣処理システム100の全体構成例を示す図である。図示するように、貨幣処理システム100は、貨幣処理装置1と係員端末2と管理装置3とが通信回線8を介して接続されることにより構成される。通信回線8は有線回線でも無線回線でもよい。
【0014】
貨幣処理装置1は、貨幣の入出金を実行可能な所謂出納機である。本実施の形態では、主に顧客が貨幣処理装置1を操作するが、係員も貨幣処理装置1を利用することが可能となっている。貨幣処理装置1は、貨幣を処理する貨幣処理装置の一例である。
係員端末2は、係員によって使用される端末装置である。係員端末2は、例えば、PC、タブレット端末、スマートホン等であってよい。係員端末2は、貨幣処理装置の係員が使用する端末装置の一例である。また、係員端末2は、外部装置の一例である。
管理装置3は、金融機関における貨幣処理装置1の管理者によって使用される端末装置である。管理装置3は、例えば、PC等であってよい。
【0015】
[貨幣処理装置の構成]
図2は本実施の形態における貨幣処理装置1の外観を示している。貨幣処理装置1は、紙幣処理機10及び硬貨処理機110が左右に並ぶよう配置されることにより構成されている。
紙幣処理機10は、バラ紙幣の入出金処理を実行可能である。また、紙幣処理機10は、帯封紙幣の作成や、帯封紙幣の出金処理を実行可能である。帯封紙幣は、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣を帯封紙によって帯封することによって作成される。
硬貨処理機110は、バラ硬貨の入出金処理を実行可能である。硬貨処理機110はまた、包装硬貨の作成や、包装硬貨の出金処理を実行可能である。包装硬貨は、所定枚数(例えば50枚)のバラ硬貨に紙やフィルム等の包装媒体を巻くことによって作成される。
【0016】
操作表示部302は、硬貨処理機110の筐体112の上部に設けられた、例えばタッチパネル等からなる。操作表示部302は、貨幣処理装置1における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、操作者はこの操作表示部302を介して、様々な操作を行うことができる。
【0017】
印字部304は、貨幣処理装置1における紙幣や硬貨の処理状況や、貨幣処理装置1に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシート等に印刷するプリンタ等から構成されている。
【0018】
図3は紙幣処理機10の内部構成を概略的に示す構成図である。
図3において、左側が紙幣処理機10の前面側であり、左右方向が紙幣処理機10の奥行き方向である。
図2及び
図3を用いて、紙幣処理機10の構成について説明する。
【0019】
図2及び
図3に示すように、紙幣処理機10は略直方体形状の筐体12を有しており、この筐体12の前面には、バラ紙幣を入金するためのバラ紙幣投入部14、バラ紙幣を出金するためのバラ紙幣払出部24、及び、帯封紙幣を出金するための帯封紙幣払出部48がそれぞれ設けられている。なお、バラ紙幣投入部14とバラ紙幣払出部24とは、図のように別々であってもよいし、図示しないが共通であってもよい。バラ紙幣投入部14は、外部から貨幣を受け入れる受入部の一例であり、バラ紙幣払出部24は、外部に貨幣を払い出す払出部の一例である。
バラ紙幣投入部14にはシャッタ14aが設けられている。シャッタ14aは後述するシャッタ駆動部14bにより駆動される。シャッタ14aによりバラ紙幣投入部14が開口されると、操作者はバラ紙幣投入部14の内部にバラ紙幣の束を投入することができる。
バラ紙幣払出部24にはシャッタ24aが設けられている。帯封紙幣払出部48には、払出口48cを開閉するシャッタ48aが設けられている。シャッタ24a,48aは後述するシャッタ駆動部24b,48bによりそれぞれ駆動される。シャッタ24a,48aによりバラ紙幣払出部24や帯封紙幣払出部48の払出口48cが開口されると、操作者はバラ紙幣払出部24に集積されているバラ紙幣や帯封紙幣払出部48に集積されている帯封紙幣を取り出すことができる。なお、バラ紙幣払出部24は、バラ紙幣の出金処理における出金部として機能するとともに、入金処理時において識別できなかったバラ紙幣や正常ではないと識別されたバラ紙幣を排出するための入金リジェクト部としても機能する。
【0020】
また、バラ紙幣払出部24の下方には、バラ紙幣の出金処理において、バラ紙幣払出部24から出金すべきではないと判断されたバラ紙幣(つまり、リジェクト紙幣)が集積される紙幣出金リジェクト部26が設けられている。紙幣出金リジェクト部26の前カバーは、通常、閉鎖されており、紙幣出金リジェクト部26の内部にアクセスすることができない。所定の権限を有する管理者が操作をすることによって、前カバーが開放され、紙幣出金リジェクト部26の内部のリジェクト紙幣を回収することができる。
【0021】
図3に示すように、バラ紙幣投入部14には、投入されたバラ紙幣を1枚ずつ繰り出すための繰出部16が設けられている。繰出部16によりバラ紙幣投入部14から繰り出されたバラ紙幣は、紙幣搬送部18により筐体12内で搬送される。紙幣搬送部18には紙幣識別部20が設けられており、紙幣搬送部18により搬送されるバラ紙幣は紙幣識別部20によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別される。例えば、紙幣識別部20は、サイズ、厚み、イメージ、磁気情報等から、紙幣の金種、真偽、正損を識別する。ここで、正損を識別するとは、払い出してよい紙幣(正券)であるか、汚れや破れがあって払出しに適さない紙幣(損券)であるかを判定することである。紙幣識別部20は、貨幣を識別する識別部の一例である。また、紙幣搬送部18には表裏反転部22が設けられており、紙幣識別部20により識別されたバラ紙幣は表裏反転部22によりその表裏が揃うように反転させられる。
【0022】
紙幣搬送部18には、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び複数(
図3では3つ)の金種別バラ紙幣収納部34がそれぞれ接続されている。入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34にはそれぞれ、上下方向に移動可能となっているステージ30a,32a,34aが設けられており、ステージ30a,32a,34a上でバラ紙幣が積層状態で集積される。ここで、混合バラ紙幣収納部32には、各金種別バラ紙幣収納部34に割り当てられていない金種のバラ紙幣や損券、オーバーフロー紙幣等が混合状態で収納される。また、各金種別バラ紙幣収納部34には、それぞれ予め設定された特定の金種のバラ紙幣が収納される。
【0023】
入金一時保留部30の上端部の近傍には紙幣繰出部30bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰出部30bにより、入金一時保留部30から1枚ずつ紙幣搬送部18に繰り出され、また、紙幣搬送部18から入金一時保留部30に1枚ずつ繰り入れられる。
混合バラ紙幣収納部32の上端部の近傍には紙幣繰入部32bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰入部32bにより、紙幣搬送部18から混合バラ紙幣収納部32に1枚ずつ繰り入れられる。
各金種別バラ紙幣収納部34の上端部の近傍にはそれぞれ紙幣繰出部34bが設けられており、バラ紙幣は紙幣繰出部34bにより、各金種別バラ紙幣収納部34から1枚ずつ紙幣搬送部18に繰り出され、また、紙幣搬送部18から各金種別バラ紙幣収納部34に1枚ずつ繰り入れられる。バラ紙幣の出金処理が行われる際には、各金種別バラ紙幣収納部34から繰り出されたバラ紙幣が紙幣搬送部18により紙幣識別部20に送られ、紙幣識別部20により識別された後にバラ紙幣払出部24に送られる。金種別バラ紙幣収納部34は、払い出される貨幣を収納する特定収納部の一例である。
【0024】
筐体12の下部には下部扉12aが設けられており、操作者は、下部扉12aを開くことにより入金一時保留部30の内部にアクセスできる。また、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34は、手前側に(
図3における左方向に)引き出し可能となっている引出ユニット13に収容されている。操作者は、下部扉12aを開いて引出ユニット13を手前側に引き出し、混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34を引出ユニット13から取り外したり、引出ユニット13に装着したりできる。
【0025】
また、紙幣搬送部18には複数(
図3では2つ)の集積部40が接続されており、紙幣搬送部18から送られたバラ紙幣は、集積部40に積層状態で集積される。集積部40には、集積されているバラ紙幣を紙幣搬送部18に1枚ずつ繰り出す繰出部が設けられていてもよい。また、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣からなる紙幣束に帯封紙を巻くことにより帯封紙幣を作成する帯封部42が、集積部40の隣に設けられている。帯封部42の近傍にはアーム機構44が設けられている。アーム機構44は、集積部40、帯封部42及び帯封紙幣揚送部46の間で移動可能となっている。帯封紙幣揚送部46には、
図3における上下方向に移動可能となっている昇降部46aが設けられている。
【0026】
帯封処理が行われる際に、アーム機構44は、集積部40に集積された所定枚数のバラ紙幣を上下一対のアーム部により保持して、帯封部42に移動する。帯封部42において、アーム機構44に保持された所定枚数のバラ紙幣の外周面に帯封紙が巻かれる。帯封処理が行われた後、アーム機構44は帯封部42から帯封紙幣揚送部46に移動して、昇降部46a上に帯封紙幣を受け渡す。
【0027】
帯封紙幣払出部48は、帯封紙幣揚送部46の上側に位置している。帯封紙幣払出部48は、払出対象の帯封紙幣を保持する払出空間48dを有している。払出空間48dは、帯封紙幣揚送部46につながっている。払出空間48dはまた、払出口48cにつながっている。昇降部46aは、アーム機構44から昇降部46a上に帯封紙幣が受け渡された後、上方向に移動して、帯封紙幣を帯封紙幣払出部48に搬送する。
【0028】
帯封紙幣払出部48の下部には、複数の爪部48eが配設されている。爪部48eは、昇降部46aから帯封紙幣を受け取る。爪部48eは、帯封紙幣を払出空間48d内で保持する。爪部48eの上に帯封紙幣が載置されている状態でシャッタ48aが開くと、操作者は払出口48cを通じて、爪部48eの上に載置されている帯封紙幣を取り出すことができる。
【0029】
なお、硬貨処理機110に関しては、表裏反転機能や帯封機能は除き同様の機能を有するので、その構成の詳細については説明を省略する。
【0030】
図4は貨幣処理装置1の機能構成の概略を示すブロック図である。
図4に示すように、貨幣処理装置1には、各構成要素の制御を行う制御部300が設けられている。
制御部300には、紙幣処理機10の構成要素がそれぞれ接続されている。具体的には、制御部300には、バラ紙幣投入部14、繰出部16、バラ紙幣投入部14に投入されたバラ紙幣を検知するセンサ141、紙幣搬送部18、紙幣識別部20、表裏反転部22、バラ紙幣払出部24、バラ紙幣払出部24から払い出されたバラ紙幣を検知するセンサ241が接続されている。また、制御部300には、入金一時保留部30(図示しないがステージ30aの駆動機構や紙幣繰出部30bを含む)、混合バラ紙幣収納部32(図示しないがステージ32aの駆動機構や紙幣繰入部32bを含む)、金種別バラ紙幣収納部34(図示しないがステージ34aの駆動機構や紙幣繰出部34bを含む)が接続されている。さらに、制御部300には、帯封部42、アーム機構44、帯封紙幣揚送部46、帯封紙幣払出部48、シャッタ14a,24a,48aを開閉させるシャッタ駆動部14b,24b,48b等も接続されている。
【0031】
また、制御部300には、硬貨処理機110の各構成要素が接続されている。具体的には、制御部300には、バラ硬貨投入部114、バラ硬貨払出部124等が接続されている。バラ硬貨投入部114は、外部から貨幣を受け入れる受入部の一例であり、バラ硬貨払出部124は、外部に貨幣を払い出す払出部の一例である。
さらに、制御部300には、操作表示部302、印字部304、記憶部310及び通信インターフェース部306がそれぞれ接続されている。
【0032】
特に、制御部300は、紙幣処理機10の各構成要素に指令信号を送ることによりその動作を制御し、硬貨処理機110の各構成要素に指令信号を送ることによりその動作を制御する。
なお、以下では、「紙幣処理機10」及び「硬貨処理機110」を「貨幣処理機」と総称することがあるものとする。
また、紙幣処理機10及び硬貨処理機110の対応する構成要素については、「紙幣」及び「硬貨」を「貨幣」と総称することがあるものとする。つまり、「バラ紙幣投入部14」及び「バラ硬貨投入部114」は「貨幣投入部」と総称することがあり、「紙幣搬送部18」及び硬貨処理機110の対応する構成要素は「貨幣搬送部」と総称することがあり、「紙幣識別部20」及び硬貨処理機110の対応する構成要素は「貨幣識別部」と総称することがある。また、「バラ紙幣払出部24」及び「バラ硬貨払出部124」は「貨幣払出部」と総称することがあり、「紙幣出金リジェクト部26」及び硬貨処理機110の対応する構成要素は「貨幣出金リジェクト部」と総称することがある。また、「混合バラ紙幣収納部32」及び硬貨処理機110の対応する構成要素は「混合貨幣収納部」と総称することがあり、「金種別バラ紙幣収納部34」及び硬貨処理機110の対応する構成要素は「金種別貨幣収納部」と総称することがある。
【0033】
制御部300は、貨幣払出部から払い出された貨幣のうち、交換対象の貨幣が貨幣投入部に投入された場合に、投入された交換対象の貨幣に代えて、交換対象の貨幣と同じ金種の貨幣を貨幣払出部から払い出す交換処理を行う。この場合、貨幣払出部から払い出された貨幣は、払出部が払い出した払出貨幣の一例であり、交換対象の貨幣は、交換前貨幣の一例であり、交換対象の貨幣と同じ金種の貨幣は、交換前貨幣と同じ金種の交換後貨幣の一例である。そして、制御部300は、払出貨幣のうちの交換前貨幣を受入部が受け入れた場合に、交換前貨幣に代えて、交換後貨幣を払い出す交換処理を行う処理部の一例である。
【0034】
また、制御部300は、所定の交換条件が満たされる場合に、このような交換処理を行う。所定の交換条件は、貨幣払出部から払い出された貨幣や、貨幣投入部に投入された貨幣に関する条件であれば、如何なる条件でもよい。この場合、制御部300は、交換処理において、払出貨幣及び交換前貨幣に関する交換条件が満たされる場合に、交換後貨幣を払い出す処理部の一例である。
例えば、所定の交換条件は、貨幣払出部から払い出された貨幣の金種と、貨幣投入部に投入された貨幣の金種とが一致するという条件(以下、「第1の交換条件」という)であってよい。なお、制御部300は、貨幣識別部による識別結果に係る情報から金種の情報を取得する。この場合、第1の交換条件は、識別部による払出貨幣の識別結果と、識別部による交換前貨幣の識別結果とが一致する、という条件の一例である。
また、所定の交換条件は、貨幣投入部に投入された貨幣の金種別枚数が、貨幣払出部から払い出された貨幣の金種別枚数以下の所定枚数以下であるという条件(以下、「第2の交換条件」という)であってもよい。この場合、第2の交換条件は、交換前貨幣の金種別枚数が、払出貨幣の金種別枚数以下の予め設定された金種別枚数以下である、という条件の一例である。
ここで、所定枚数の第1の設定例は、貨幣払出部から払い出された貨幣の金種別枚数と同じ枚数を所定枚数とするものである。この場合、制御部300は、貨幣投入部に投入された貨幣の金種別枚数が、貨幣払出部から払い出された貨幣の金種別枚数以下であれば、交換処理を行う。
また、所定枚数の第2の設定例は、貨幣払出部から払い出された貨幣の金種別枚数の所定割合の枚数を所定枚数とするものである。この場合、所定割合を10%とすると、制御部300は、貨幣投入部に投入された貨幣の金種別枚数が、貨幣払出部から払い出された貨幣の金種別枚数の10%の枚数以下であれば、交換処理を行う。
さらに、所定枚数の第3の設定例は、貨幣払出部から払い出された貨幣の金種別枚数以下の予め設定された枚数を所定枚数とするものである。この場合、予め定められた枚数を10枚とすると、制御部300は、貨幣投入部に投入された貨幣の金種別枚数が10枚以下であれば、交換処理を行う。
【0035】
また、制御部300は、所定の交換条件が満たされない場合(金種が異なる場合や、金種別枚数がオーバーしている場合)、このような交換処理を行わない。そして、制御部300は、貨幣投入部に投入された全ての貨幣を貨幣払出部から返却する。その際、制御部300は、操作表示部302に返却メッセージを表示するとよい。
【0036】
また、制御部300は、所定の交換条件が満たされない場合に、所定の交換条件が満たされる金種の貨幣についてのみ交換処理を行い、所定の交換条件が満たされない金種の貨幣については交換処理を行わないようにしてよい。この場合、制御部300は、交換処理において、一部の交換前貨幣について交換条件が満たされない場合に、交換条件が満たされる交換前貨幣に代えて、交換後貨幣を払い出す処理部の一例である。
【0037】
また、制御部300は、交換処理を行う際に、タイマーチェックを行ってもよい。つまり、制御部300は、貨幣払出部から貨幣が払い出された後、所定時間(例えば30秒)以内に限り交換対象の貨幣を貨幣投入部で受け付けるようにしてよい。但し、制御部300は、所定時間以内であっても、次の取引が開始されれば、交換対象の貨幣を貨幣投入部で受け付けないようにする。この場合、制御部300は、交換処理において、払出部が払出貨幣を払い出した後、受入部が所定時間以内に限り交換前貨幣を受け入れる処理部の一例である。
【0038】
また、制御部300は、所定回数を上限として交換処理を行うようにしてよい。例えば、所定回数を2回とすると、制御部300は、2回まで交換処理を行い、それ以降は行員を呼び出す処理を行うとよい。この場合、制御部300は、交換処理を所定回数以内に限り行う処理部の一例である。
【0039】
また、制御部300は、出金処理においてのみ、交換処理を行う。換言すれば、制御部300は、取引を行っていない場合や、入金処理を行っている場合には、交換処理を行わない。つまり、制御部300は、交換対象の貨幣を貨幣投入部で、出金処理の完了前のみ受け付け、入金処理時等には受け付けない。この場合、制御部300は、貨幣を入金する入金処理において交換処理を行わない処理部の一例である。
【0040】
また、顧客及び係員が貨幣処理装置1を操作可能であるときは、制御部300は、顧客が操作を行って貨幣払出部から貨幣を払い出した場合のみ、交換処理を行うようにしてよい。その際、制御部300は、顧客及び係員の何れか操作したかを、図示しないカードリーダによって読み取られたカード情報や、操作表示部302上での選択操作により、判別するとよい。この場合、制御部300は、自装置の係員の操作に応じて払出部が払出貨幣を払い出した場合に、交換処理を行わない処理部の一例である。
なお、係員が貨幣処理装置1を操作することにより、交換対象となる貨幣が貨幣払出部から払い出された場合、貨幣処理装置1は、この交換対象となる貨幣を装置内に戻さずに別保管するとよい。
【0041】
また、制御部300は、貨幣交換の発生状況も取引履歴として記憶部310に記憶し、貨幣交換の発生頻度が所定基準を超えた場合に、図示しない汚損検知センサの清掃を促すメッセージを送信するよう通信インターフェース部306を制御してもよい。例えば「1日に2件以内」を所定基準として設定した場合に、1日の3件目の貨幣交換が発生すると、制御部300は、係員端末2又は保守センターに通知して、センサの清掃を促すとよい。
【0042】
なお、紙幣処理機10は帯封紙幣を取り込む機能を有していないので、制御部300は、帯封紙幣については交換処理を行うことができない。紙幣処理機10が帯封紙幣を取り込む機能を有していたとしても、顧客が帯封紙幣から中抜きを行った場合は枚数不足を検出できないため、帯封紙幣については交換処理をできないようにするとよい。
【0043】
また、制御部300は、交換対象の貨幣として装置内に取り込まれた貨幣を、以降の出金処理に使用されないように、混合貨幣収納部に収納する。この場合は、交換対象の貨幣として取り込まれた貨幣は営業終了時等に回収すればよいので、係員端末2への通知は不要である。なお、混合貨幣収納部に収納された貨幣のうち、交換対象の貨幣として取り込まれた貨幣は、再度貨幣識別部により識別された際に識別結果が正常であれば、出金処理に用いてもよい。
或いは、制御部300は、交換対象の貨幣として装置内に取り込まれた貨幣を、貨幣出金リジェクト部に収納してもよい。
一方、貨幣処理機が交換対象の貨幣として装置内に取り込まれた貨幣を収納するための収納部を備えていない場合、制御部300は、交換対象の貨幣として取り込まれた貨幣を金種別貨幣収納部に収納した後、係員に回収を促す制御を行ってもよい。例えば、制御部300は、交換対象の貨幣として取り込まれた貨幣を回収するよう係員端末2に通知する。これにより、係員は、係員モードで対象貨幣を装置外に回収する。
【0044】
記憶部310は、貨幣処理装置1における処理履歴や、貨幣処理装置1に収納されている貨幣の在高等の情報を記憶する。また、記憶部310は、上述した交換条件を記憶する。
【0045】
通信インターフェース部306は、係員端末2又は管理装置3に対して様々な信号の送受信を行う。
特に、通信インターフェース部306は、係員端末2又は管理装置3に対して、交換処理の結果に関する情報を送信する。この場合、通信インターフェース部306は、処理部による交換処理の結果を送信する送信部の一例である。
また、交換対象の貨幣として装置内に取り込まれた貨幣が金種別貨幣収納部に収納された場合、通信インターフェース部306は、その旨の情報を係員端末2に送信する。通信インターフェース部306は、交換前貨幣が特定収納部に収納された場合に、その旨の情報を外部装置に通知する通知部の一例である。また、通信インターフェース部306は、交換前貨幣が特定収納部に収納された場合に、その旨の情報を、交換処理の結果として、送信する送信部の一例である。
【0046】
[係員端末の構成]
図5は係員端末2の機能構成の概略を示すブロック図である。
図5に示すように、係員端末2には、各構成要素の制御を行う制御部200が設けられている。
制御部200には、操作表示部202、記憶部210及び通信インターフェース部206がそれぞれ接続されている。
【0047】
操作表示部202は、例えばタッチパネル等からなる。操作表示部202は、貨幣処理装置1から受信した各種情報を表示する。このような情報には、貨幣処理装置1における交換処理の結果の情報、例えば、交換対象の貨幣として装置内に取り込まれた貨幣が金種別貨幣収納部に収納された旨の情報がある。また、操作者はこの操作表示部202を介して、様々な操作を行うことができる。操作表示部202は、受信部が受信した交換処理の結果を表示する表示部の一例である。
【0048】
記憶部210は、係員端末2の処理に用いる情報を記憶する。例えば、記憶部210は、貨幣処理装置1から受信した交換処理の結果を一時的に記憶する。
【0049】
通信インターフェース部206は、貨幣処理装置1に対して様々な信号の送受信を行う。特に、通信インターフェース部206は、貨幣処理装置1から、交換処理の結果の情報、例えば、交換対象の貨幣として装置内に取り込まれた貨幣が金種別貨幣収納部に収納された旨の情報を受信する。通信インターフェース部206は、送信部が送信した交換処理の結果を受信する受信部の一例である。
【0050】
なお、管理装置3に関しては、係員端末2と同様の機能を有するので、その構成の詳細については説明を省略する。
【0051】
[貨幣処理装置の動作]
次に、
図6A及び
図6Bのフローチャートを参照しながら、貨幣処理装置1の顧客操作による貨幣の出金処理の手順を説明する。なお、この貨幣の出金処理は、貨幣の搬送が完了すると開始する。また、ここでは、貨幣の交換処理は、上限2回として実行されるものとする。
【0052】
動作が開始すると、まず、
図6Aに示すように、制御部300は、貨幣の交換処理の実行回数を示す変数iを0に設定する(ステップ401)。そして、制御部300は、出金報知画面510を操作表示部302に表示し(ステップ402)、貨幣払出部のシャッタを開く(ステップ403)。
図7に出金報知画面510の一例を示す。出金報知画面510は出金された貨幣の金種別枚数を表示し、顧客に貨幣の取り出しを促す画面である。
【0053】
次に、制御部300は、貨幣払出部からの貨幣の抜き取りが検知されたかどうかを判定する(ステップ404)。制御部300は、例えば、貨幣払出部のセンサからの信号に基づいて、貨幣払出部からの貨幣の抜き取りが検知されたかどうかを判定する。
【0054】
ステップ404で貨幣払出部からの貨幣の抜き取りが検知されたと判定されなければ、制御部300は、タイムオーバーになったかどうかを判定する(ステップ405)。
ステップ405でタイムオーバーになったと判定されなければ、制御部300は、ステップ404の処理を繰り返す。
ステップ405でタイムオーバーになったと判定すれば、制御部300は、取り忘れ対応処理を行う(ステップ406)。
【0055】
取り忘れ対応処理は、貨幣払出部のシャッタを閉じて、貨幣処理装置1を休止状態とし、係員端末2に報知する処理であってよい。これにより、駆け付けた係員が、係員モードにより、取り忘れられた貨幣を装置外へ回収する。
また、取り忘れ対応処理は、取り忘れられた貨幣を装置内に自動的に取り込む処理であってもよい。具体的には、貨幣払出部が操出部を備え、この操出部が取り忘れられた貨幣を装置内に取り込み、貨幣は所定の収納部に収納される。或いは、貨幣投入部に貨幣が払い出される場合は、貨幣投入部の繰出部(バラ紙幣投入部14では繰出部16)が取り忘れられた貨幣を装置内に取り込み、貨幣は所定の収納部に収納される。そして、貨幣処理装置1は、取引ログや取引画像を記憶部310に記憶し、顧客から問合せがあれば、状況を確認した上で返却する。
その後、制御部300は、処理を終了する。
【0056】
ステップ404で貨幣払出部からの貨幣の抜き取りが検知されたと判定されれば、制御部300は、交換案内報知画面520を操作表示部302に表示し(ステップ407)、交換指示が入力されたかどうかを判定する(ステップ408)。
図8に交換案内報知画面520の一例を示す。交換案内報知画面520は貨幣の交換案内を表示し、交換を希望する顧客に交換を促す画面である。交換案内報知画面520は、交換したい貨幣がある場合に押下される「次へ」ボタン521を含む。
【0057】
ステップ408で交換指示が入力されたと判定されなかったとする。つまり、交換案内報知画面520上で「次へ」ボタン521が押下されたと判定されなかったとする。この場合、制御部300は、タイムオーバーになったかどうかを判定する(ステップ409)。
ステップ409でタイムオーバーになったと判定されなければ、制御部300は、ステップ407~408の処理を繰り返す。
ステップ409でタイムオーバーになったと判定すれば、制御部300は、貨幣払出部のシャッタを閉じて(ステップ410)、処理を終了する。なお、ここでは、「次へ」ボタン521が押下されずにタイムオーバーになると、制御部300は処理を終了することとしたが、この限りではない。交換案内報知画面520に「完了」ボタンを設け、「完了」ボタンが押下されると、制御部300は処理を終了することとしてもよい。
【0058】
ステップ408で交換指示が入力されたと判定されたとする。つまり、交換案内報知画面520上で「次へ」ボタン521が押下されたと判定されたとする。この場合、
図6Bに示すように、制御部300は、貨幣の交換処理の実行回数を示す変数iに1を加算する(ステップ421)。そして、制御部300は、貨幣投入部への貨幣の投入が検知されたかどうかを判定する(ステップ422)。制御部300は、例えば、貨幣投入部のセンサからの信号に基づいて、貨幣投入部への貨幣の投入が検知されたかどうかを判定する。
【0059】
ステップ422で貨幣投入部への貨幣の投入が検知されたと判定されなければ、制御部300は、タイムオーバーになったかどうかを判定する(ステップ423)。
ステップ423でタイムオーバーになったと判定されなければ、制御部300は、ステップ422の処理を繰り返す。
ステップ423でタイムオーバーになったと判定されれば、制御部300は、貨幣払出部のシャッタを閉じて(
図6Aのステップ410)、処理を終了する。
【0060】
ステップ422で貨幣投入部への貨幣の投入が検知されたと判定されれば、制御部300は、貨幣投入部のシャッタを閉じ(ステップ424)、貨幣搬送部に貨幣を搬送させ(ステップ425)、貨幣識別部に貨幣を識別させる(ステップ426)。そして、制御部300は、貨幣識別部による貨幣の識別結果に基づいて、前述した交換条件が成立するかどうかを判定する(ステップ427)。
【0061】
ステップ427で交換条件が成立すると判定すれば、制御部300は、貨幣識別部により識別された金種と同一金種の貨幣を貨幣払出部から払い出す(ステップ428)。
ステップ427で交換条件が成立すると判定しなければ、制御部300は、貨幣を貨幣払出部から返却し(ステップ429)、返却メッセージを操作表示部302に表示する(ステップ430)。
【0062】
その後、制御部300は、貨幣の交換処理の実行回数を示す変数iが2未満であるかどうかを判定する(ステップ431)。
ステップ431で変数iが2未満であると判定すれば、制御部300は、処理を
図6Aのステップ402へ戻す。
ステップ431で変数iが2未満であると判定しなければ、つまり、変数iが2に達していると判定すれば、制御部300は、貨幣払出部のシャッタを閉じて(
図6Aのステップ410)、処理を終了する。
【0063】
[変形例]
上記では、顧客が損傷貨幣を装置内に投入し、同じ金種の正常貨幣を装置外に払い出すようにした。しかしながら、これとは逆に、係員が装置内の損傷貨幣を、同じ金種の正常貨幣を装置内に投入することによって回収するようにしてもよい。これにより、装置内の在高を変えずに、装置内の損傷貨幣をなくすことができる。
【0064】
上記では、本発明を出納機に適用した場合について述べたが、これには限らない。本発明は、特開2013-12136号公報に記載されたような両替機に適用してもよいし、或いは、ATM(Automatic Teller Machine)に適用してもよい。
【0065】
上記では、交換条件として、金種の一致/不一致、及び金種別枚数の大小関係をチェックしたが、これには限らない。交換条件として、紙幣については、記番号の一致/不一致をチェックしてもよい。即ち、バラ紙幣払出部24からバラ紙幣が払い出される際に紙幣識別部20が記番号を読み取って記憶し、バラ紙幣投入部14から交換対象の紙幣が投入された際に紙幣識別部20が記番号を読み取り、制御部300は、これらの記番号を比較する。そして、制御部300は、記番号が一致すれば交換処理を行い、記番号が一致しなければ紙幣を返却するとよい。
【0066】
上記では言及しなかったが、貨幣処理装置1に新券収納部を設け、
図6Aのステップ408で判定される交換指示の入力に「新券」を追加してもよい。そして、貨幣処理装置1は、手数料が追加入金されることにより、交換対象の紙幣を新券と交換するようにしてもよい。
【0067】
本実施の形態では、貨幣投入部と貨幣払出部が別々に構成された貨幣処理装置が示されていたが、貨幣投入部と貨幣払出部が一体的に構成される貨幣入出金部を備える貨幣処理装置に適用してもよい。
【0068】
[本実施の形態の効果]
本実施の形態では、出金処理後、所定の交換条件が満たされる場合に限って、貨幣の交換処理を実行するようにした。これにより、係員が対応することなく、損傷貨幣の交換が可能となり、顧客は正常貨幣を入手できるようになった。
【符号の説明】
【0069】
1…貨幣処理装置、2…係員端末、3…管理装置、10…紙幣処理機、14…バラ紙幣投入部、18…紙幣搬送部、20…紙幣識別部、24…バラ紙幣払出部、110…硬貨処理機、114…バラ硬貨投入部、124…バラ硬貨払出部、200,300…制御部、202,302…操作表示部、210,310…記憶部、206,306…通信インターフェース部