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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109396
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014166
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】黒田 展久
(72)【発明者】
【氏名】台蔵 外茂也
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA38
5E316AA43
5E316BB13
5E316CC09
5E316CC32
5E316CC33
5E316CC37
5E316CC38
5E316DD23
5E316DD24
5E316EE01
5E316FF04
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH33
5E316JJ12
5E316JJ13
(57)【要約】
【課題】上下の両面に電極を有する電子部品を配線基板に内蔵し、各電極に配線基板の回路を接続するための技術を開示する。
【解決手段】本開示の配線基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上面を部分的に覆う第1導電層と、前記第1導電層を挟んで前記第1絶縁層上に積層される第2絶縁層と、前記第2絶縁層を貫通し、前記第1導電層を露出するキャビティと、前記キャビティに収容されると共に、上面に第1電極を有しかつ下面に第2電極を有する電子部品と、前記第2絶縁層上に積層され、前記キャビティを埋める第3絶縁層と、前記第3絶縁層を貫通し、前記第1電極に接続されると共にビア導体と、前記第1導電層に含まれ、前記キャビティ内で前記第2電極に接続されるパッドと、を有する配線基板であって、前記第2電極と前記パッドとの間には、それらの間を導通接続するビア導体以外の導電性の接続部が含まれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上面を部分的に覆う第1導電層と、
前記第1導電層を挟んで前記第1絶縁層上に積層される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層を貫通し、前記第1導電層を露出するキャビティと、
前記キャビティに収容されると共に、上面に第1電極を有しかつ下面に第2電極を有する電子部品と、
前記第2絶縁層上に積層され、前記キャビティを埋める第3絶縁層と、
前記第3絶縁層を貫通し、前記第1電極に接続されるビア導体と、
前記第1導電層に含まれ、前記キャビティ内で前記第2電極に接続されるパッドと、を有する配線基板であって、
前記第2電極と前記パッドとの間には、それらの間を導通接続するビア導体以外の導電性の接続部が含まれる。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記接続部には、複数の粒体と、絶縁樹脂体とが含まれる。
【請求項3】
請求項2に記載の配線基板であって、
前記絶縁樹脂体は、前記第2電極を除く前記電子部品の下面と、前記第1絶縁層の上面との間にも備えられ、その略全体に前記複数の粒体が分散配置されている。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板であって、
互いに接続される前記第2電極及び前記パッドのペアが複数備えられ、
異なる前記ペアの間が絶縁樹脂体によって絶縁されている。
【請求項5】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記接続部は異方性導電膜である。
【請求項6】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記第1電極は前記ビア導体を介して複数の実装部品と接続される。
【請求項7】
請求項6に記載の配線基板であって、
前記電子部品は、前記複数の実装部品間を接続する配線構造体である。
【請求項8】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記電子部品はコンデンサ、またはインダクタである。
【請求項9】
請求項1に記載の配線基板であって
前記電子部品の前記上面は、前記第2絶縁層の上面と面一になっている。
【請求項10】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記第3絶縁層は、配線基板のうち最外の絶縁層である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品が収容されるキャビティを内部に備える配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の配線基板では、電子部品のうち電極を有しない下面が接着材にてキャビティの底面に固定されている。そして、キャビティを上方から覆う絶縁層に複数のビアが形成され、それらビア内にメッキ金属で形成されるビア導体により、電子部品の上面の電極に、配線基板の電気回路と接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-192730号公報(段落[0027]、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の配線基板に対し、本願では、上下の両面に電極を有する電子部品を配線基板に内蔵し、各電極に配線基板の回路を接続するための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の配線基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上面を部分的に覆う第1導電層と、前記第1導電層を挟んで前記第1絶縁層上に積層される第2絶縁層と、前記第2絶縁層を貫通し、前記第1導電層を露出するキャビティと、前記キャビティに収容されると共に、上面に第1電極を有しかつ下面に第2電極を有する電子部品と、前記第2絶縁層上に積層され、前記キャビティを埋める第3絶縁層と、前記第3絶縁層を貫通し、前記第1電極に接続されるビア導体と、前記第1導電層に含まれ、前記キャビティ内で前記第2電極に接続されるパッドと、を有する配線基板であって、前記第2電極と前記パッドとの間には、それらの間を導通接続するビア導体以外の導電性の接続部が含まれる。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る配線基板によれば、上下の両面に電極を有する電子部品を配線基板に内蔵し、各電極に配線基板の回路を接続することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態に係る配線基板の拡大断面図
図2】電子部品の斜視図
図3】電子部品とパッドとの接続部分の拡大断面図
図4】粒体の断面図
図5】配線基板の製造方法を示す断面図
図6】配線基板の製造方法を示す断面図
図7】配線基板の製造方法を示す断面図
図8】配線基板の製造方法を示す断面図
図9】第2実施形態に係る配線基板の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1~8を参照して本開示の一実施形態について説明する。図1に示された本実施形態の配線基板10は、コア基板40とその表裏の両面に積層されるビルドアップ部12(図1には一方のビルドアップ部12のみが示されている)とを備える。コア基板40は、絶縁性基材40Kと、その表裏の両面に積層されるコア導電層40Dとを備えている。
【0009】
ビルドアップ部12には、コア基板40側から順番に、第1絶縁層14Aと、第1導電層13Aと、第2絶縁層14Bと、第3絶縁層14Cと、第2導電層13Bと、ソルダーレジスト層11とが順次積層されている。以下では、図1に示されるビルドアップ部12のうちソルダーレジスト層11が設けられている側を上方、コア基板40側を下方とする。
【0010】
なお、第1及び第2,第3絶縁層14A,14B,14Cとしては、プリプレグや絶縁フィルムなどを用いることができる。第1及び第2導電層13A,13Bとしてはメッキ等が用いられるが、これに限定されない。
【0011】
第2絶縁層14Bには、キャビティ20が形成されている。キャビティ20は、開口形状が四角形になっている。キャビティ20の内側壁20Aは、開口縁部から第1絶縁層14Aにかけて窄むように傾斜している。
【0012】
そして、キャビティ20の内部には、内側壁20Aとの間に隙間20Bを挟んだ状態で、電子部品100が収容されている。電子部品100は例えばコンデンサであって、図2に示すように、正面視四角形のチップ状になっている。電子部品100は、本体部100Cと、その上面に備えられる複数の第1電極100Aと、下面に備えられる複数の第2電極100Bとを有している。また、第1及び第2電極100A,100Bは、本体部100Cから突出し、その突出方向の端部が平坦面100Dになっている。また、図1に示されるように、第1電極100Aの平坦面100Dは、第2絶縁層14Bの上面と面一になっている。なお、本実施形態の電子部品100では、左右方向の端部に設けられる第1及び第2電極100A,100Bが接続している。
【0013】
また、キャビティ20の底部には複数のパッド15が露出している。複数のパッド15は、第1導電層13Aの一部であって、第1絶縁層14Aから突出し、上面は平坦面15Dになっている。そして、複数のパッド15が電子部品100の第2電極100Bに接続されている。パッド15と第2電極100Bの接続構造については、後に詳説する。
【0014】
なお、電子部品100はコンデンサに限定されず、ICチップ、半導体素子、電気抵抗、インダクタなどであってもよいし、それ以外であってもよい。
【0015】
第3絶縁層14Cは、第2絶縁層14Bの上面と電子部品100の上面を覆い、かつキャビティ20の隙間20Bを埋めている。また、第2導電層13Bと第1導電層13Aとは、第1ビア導体17Aによって接続されている。第1ビア導体17Aは、第3絶縁層14Cと第2絶縁層14Bとに亘って貫通形成されている。
【0016】
また電子部品100の第1電極100Aと第2導電層13Bとは、第2ビア導体17Bによって接続されている。第1及び第2ビア導体17A,17Bは、テーパー状に縮径するビアホール17Hの内部に、メッキ金属が充填されて形成される。
【0017】
ソルダーレジスト層11の上面には、金属ポスト19が形成されている。金属ポスト19には、銅メッキ膜19Aと、その上面に積層されるニッケルメッキ膜(図示せず)、ニッケルメッキ膜の上面に積層される錫メッキ膜19Bとが含まれている。
【0018】
また、金属ポスト19は、ソルダーレジスト層11に貫通形成される第3ビア導体17Cによって、第2導電層13Bと接続されている。なお、第3ビア導体17Cは、第1及び第2ビア導体17A,17Bと同様に、ビアホール17Hの内部にメッキ金属が充填されたものである。
【0019】
また、金属ポスト19には、実装部品110が搭載されている。実装部品110は、電子部品100を介して互いに接続される。本実施形態の実装部品110としては、CPUやメモリなどがあげられる。
【0020】
以下、前述した第2電極100Bとパッド15との接続構造について説明する。図3に示すように、第2電極100Bとパッド15とは、上下方向で互いに重ね合わされ、これにより、電子部品100の本体部100Cの下面とキャビティ20の底面との間には隙間が形成されている。そして、その隙間には、熱可塑性の絶縁樹脂体32に複数の粒体31が混合している混合体が受容されている。
【0021】
粒体31は、例えば、図4に示されるように、外側を絶縁層31Cで覆われ、その内側に導電層31Bを備える。そして、上述した隙間においては、混合体の複数の粒体31は、導体として機能せず、混合体の絶縁樹脂体32がホットメルト接着材として機能して、隣り合う第2電極100B同士及びパッド15同士間を絶縁させた状態で電子部品100の本体部100Cをキャビティ20の底面に固定する。
【0022】
混合体は、上下方向で互いに重なる第2電極100Bとパッド15との間にも備えられている。図3に示されるように、その混合体の粒体31は、第2電極100Bとパッド15とに挟まれて絶縁層31Cを破壊され、導電層31Bが露出する状態で第2電極100Bとパッド15とに押し付けられている。これにより、第2電極100Bとパッド15との間においては、混合体の複数の粒体31は、導体として機能し、第2電極100Bとパッド15とを接続する回路の一部になっている。また、絶縁樹脂体32は、第2電極100Bとパッド15とを固定するホットメルト接着材として機能している。
【0023】
なお、絶縁樹脂体32としては融点が110℃~180℃程度のものが好ましく、例としては、熱硬化性のエポキシ樹脂などが挙げられる。また、粒体31の導電層31Bとしては、金やニッケルなどが挙げられるが、その他の金属であってもよい。
【0024】
第2電極100Bとパッド15との接続構造についての説明は以上である。次に、本実施形態の配線基板10の製造方法について説明する。
(1)公知の方法により形成されたコア基板40の上面に、第1絶縁層14Aとしての絶縁フィルムが積層される。次いで、第1絶縁層14Aの所定の位置に、レーザー等でビアホール17Hが形成され、ビアホール17H内部のデスミア処理が行われる。次いで、化学メッキ処理が行われ、第1絶縁層14A上とビアホール17H内部に化学メッキ膜(図示せず)が形成される。次いで、化学メッキ膜上に所定パターンのメッキレジスト26が形成される(図5(A))。
【0025】
(2)次いで、電解メッキ処理が施された後、メッキレジスト26及び化学メッキ膜が除去されると、パッド15を含む第1導電層13Aと、ビア導体17が得られる(図5(B))。
【0026】
なお、第1絶縁層14Aとして、プリプレグが使用されてもよい。これであれば、銅箔が積層されてから絶縁フィルムの表面に無電解メッキ処理、メッキレジスト処理、電解メッキ処理が行われる。
【0027】
(3)第1導電層13A上に、第2絶縁層14Bとしての絶縁フィルムが積層される。そして、図5(C)に示すように、パッド15と対応する位置にレーザーが照射され、キャビティ20が形成される。
【0028】
(4)キャビティ20内部のデスミア処理が行われる。次いで、キャビティ20の底部に、シート状の絶縁樹脂体32に粒体31が含まれる異方性導電膜30が、パッド15が覆われるようにして配置される(図5(D))。次いで、異方性導電膜30を、剥離フィルム30Aが張り付いた状態で加熱圧着し、キャビティ20の底部に固定する。なお、本実施形態の異方性導電膜30はシート状になっているが、液状の樹脂であってもよい。
【0029】
(5)次いで、剥離フィルム30Aが剥がされてから、マウンタによって電子部品100がキャビティ20内部に収容される(図6(A))。この時、パッド15と第2電極100Bとが対応するように重ねられる。次いで、ボンディングツールを用いて、第1電極100Aの上面と第2絶縁層14Bとが同じ高さになるように、電子部品100を加熱圧着する。
【0030】
詳細には、第2電極100Bとパッド15の間に異方性導電膜30が挟まれて加熱プレスされると、粒体31が平坦面100Dと平坦面15Dとに押しつぶされる。すると、粒体の最外の絶縁層31Cが破壊されて導電層31Bが露出し、その導電層31Bによって平坦面100Dと平坦面15Dとが接続される。
【0031】
一方で、平坦面100Dと平坦面15Dとの間に挟み込まれなかった粒体31は、一対になった第2電極100Bとパッド15との間に配置される。
【0032】
(6)第2絶縁層14B、電子部品100及びキャビティ20の上面に、第3絶縁層14Cとしての絶縁フィルムが積層される。この時、溶解した樹脂がキャビティ20の隙間20Bに流れ込む。次いで、第3絶縁層14Cの所定の位置にレーザーが照射され、第3絶縁層14Cと第2絶縁層14Bとにわたってビアホール17Hが貫通形成される(図6(B))。
【0033】
(7)デスミア処理が行われた後、化学メッキ処理が行われ、第3絶縁層14C上及びビアホール17Hの内部に化学メッキ膜(図示せず)が形成される。次いで、化学メッキ膜上に所定パターンのメッキレジスト26が形成される(図6(C))。
【0034】
(8)次いで、電解メッキ処理が施された後、メッキレジスト及び化学メッキ膜が除去されると、第2導電層13B及びビア導体17が得られる(図7(A))。この時、第1導電層13Aに接続されるビア導体17が第1ビア導体17A、第1電極100Aに接続されるビア導体17が第2ビア導体17Bになる。
【0035】
(9)第2導電層13B上に、ソルダーレジスト層11が積層される。次いで、ソルダーレジスト層11に、レーザー加工やフォトリソグラフィ処理等が施され、開口11Hが形成される(図7(B))。
【0036】
(10)化学メッキ処理が行われ、ソルダーレジスト層11上及び開口11Hの内部に化学メッキ膜(図示せず)が形成された後、化学メッキ膜上にメッキレジスト26が形成される。次いで、電解メッキ処理によって、開口11Hの内部に銅メッキが充填されて第3ビア導体17Cが形成され、メッキレジスト26から露出する部分には銅メッキ膜19Aが形成される(図7(C))。次いで、電解メッキ処理が行われ、銅メッキ膜19A上にニッケルメッキ膜(図示せず)が形成される。
【0037】
(11)次いでニッケルメッキ膜上に、電解メッキ処理によって錫メッキ膜19Bが形成された後、化学メッキ膜及びメッキレジスト26を除去する。これにより、銅メッキ膜19A、ニッケルメッキ膜、錫メッキ膜19Bからなる金属ポスト19が得られる(図8(A))。
【0038】
(12)マウンタによって金属ポスト19上に実装部品110が搭載される(図8(B))。以上により、配線基板10が完成する。
【0039】
本実施形態の配線基板10の構造及び製造方法の説明は以上である。次に配線基板10の作用効果について説明する。本実施形態の配線基板10では、電子部品100の上面の第1電極100Aと第2導電層13Bとが、第2ビア導体17Bで接続される。また、電子部品100の下面の第2電極100Bと第1導電層13Aとは、それらの間に挟まれる複数の粒体31によって接続されている。これらにより、電子部品100の上面と下面の各電極と、配線基板10の回路とが導通接続される。
【0040】
また、電子部品100の上面の第1電極100Aの接続にはビア導体が使用され、電子部品100の下面の第2電極100Bの接続にはビア導体以外の導電性の接続部が使用されることで、キャビティ20をコア基板40ではなく、ビルドアップ部12内に設けることができる。具体的には、電子部品100の下面の第2電極100Bにも、上面の第1電極100Aと同様にビア導体が接続されるようにするには、コア基板40を貫通するキャビティを設ける必要があるが、本実施形態の配線基板10の構造によれば、その必要がなくなり、上述の通りキャビティをビルドアップ部12内に設けることができる。また、これにより、電子部品100の下面の第2電極100Bと、ビルドアップ層12上の実装部品110とを接続する回路を短くすることができる。さらには、電子部品100の上下の両面の電極にビア導体が接続されるには、ビア導体を形成するための一対の絶縁層で電子部品100を挟む必要があるが、本実施形態の配線基板10の構造によれば、そのようなビア導体を形成するための絶縁層は1つだけでよいので、その分、配線基板10全体を薄くすることができる。
【0041】
なお、コア基板40を貫通するキャビティに電子部品100が収容されるものにおいて、電子部品100の表裏(上下)の一方の電極の接続に、ビア導体が使用され、表裏(上下)の他方の電極の接続にビア導体以外の導電性の接続部が使用される構造にしてもよい。
【0042】
また、第2電極100Bとパッド15との接続部分には、絶縁樹脂体32が含まれている。絶縁樹脂体32は第2電極100Bを除く電子部品100の下面と第1導電層13Aの上面との間に、複数の粒体31が分散配置された状態で配置されている。これによれば、左右方向で隣り合う第2電極100Bと粒体31のペアの間に配される粒体31は、絶縁樹脂体32とともに絶縁体として機能するため、第2電極100B及びパッド15のペア間の短絡を抑制することができる。
【0043】
また、第2電極100Bとパッド15を含む第1導電層13Aとの接続部分は異方性導電膜30になっている。これによれば、電子部品100の接着、第2電極100Bとパッド15との導通、第2電極100B及びパッド15のペア間の絶縁を異方性導電膜30のみで行うことが可能になるため、作業が簡略化される。
【0044】
[第2実施形態]
本実施形態の配線基板10Vは、前述の電子部品100が図9に示されるような配線構造体200になっている点で第1実施形態と異なる。配線構造体200は積層構造になっていて、複数の配線層201と、複数の層間絶縁層202とを含んでいる。
【0045】
配線層201には複数のパッド204が含まれ、下側に配される下側パッド204Bはパッド15と接続され、上側に配される上側パッド204Aは第2ビア導体17Bを介して第2導電層13Bと接続されている。また、層間絶縁層202を挟んで隣り合う配線層201同士は、ビア導体203によって接続されている。配線層201は、実装部品110間を接続する配線204Cを含んでいる。そして、配線層204およびビア導体は、配線基板10Vよりも配線幅及び配線間距離の小さい配線になっている。
【0046】
[他の実施形態]
(1)本実施形態の配線基板10では、異方性導電膜30に含まれる粒体31によって第2電極100Bとパッド15とが導通接続されていたが、半田によって導通接続されていてもよい。この場合、パッド15または第2電極100Bにクリーム半田が印刷され、電子部品100がキャビティ20内部に収容された後、リフロー工程を経て接続される。
【0047】
なお、半田によって接続される場合は200℃~260℃程度で実装されるが、本実施形態のように異方性導電膜30を用いて接続するのであれば、110℃から180℃程度の低温で電子部品100を実装することができる。
【0048】
(2)本実施形態の配線基板10では、電子部品100は正面視四角形状になっていたが、円形や他の多角形状になっていてもよい。また、キャビティ20の開口形状も、電子部品100の形状に合わせて変更されてもよい。
【0049】
(3)また、キャビティ20の内側壁20Aは、第1絶縁層14Aに向かって窄むように傾斜していたが、これに限定されず、例えばキャビティ20が立方体形状の凹部になっていてもよい。
【0050】
(4)本実施形態の配線基板10では、コア基板40の直上に第1絶縁層14Aが積層されていたが、複数の絶縁層と導電層をコア基板40上に交互に積層した後に、第1絶縁層14Aが積層されていてもよい。
【0051】
(5)本実施形態の配線基板10では、実装部品110が複数設けられていたが、1つだけ設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0052】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が示されているが、特許請求の範囲に記載の技術はこれら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10 配線基板
13A 第1導電層
13B 第2導電層
14A 第1絶縁層
14B 第2絶縁層
14C 第3絶縁層
15 パッド
17B 第2ビア導体
20 キャビティ
30 異方性導電膜
31 粒体
32 絶縁樹脂体
100 電子部品
100A 第1電極
100B 第2電極
110 実装部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9