(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109399
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】真空包装装置の袋口整形密封シール機構
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20240806BHJP
B65B 7/06 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B65B51/10 320
B65B7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014169
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】597123870
【氏名又は名称】株式会社トーヨー
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 均
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 祐輔
【テーマコード(参考)】
3E049
3E094
【Fターム(参考)】
3E049AA06
3E049DB01
3E094AA12
3E094CA02
3E094DA01
3E094EA12
3E094FA04
3E094FA17
(57)【要約】
【課題】本発明は、柔軟な剛性を有する包装袋の開口部の左右側縁シール部を上グリッパーの押圧部材とシール受台で押さえて、前記押圧部材の伸展部材を左右移動させて引っ張って扁平にし、この偏平状態で開口部をシールする真空包装装置の袋口整形密封シール機構を提供する。
【解決手段】真空密封シール位置までスラットコンベアにより横置き状態で移送されてきた包装袋1の開口部を拡開バー2により扁平状態にし、この扁平状態のまま、上グリッパー4で開口部の左右側縁シール部3を押圧し、前記拡開バー2を抜き出した後、押圧部材5の伸展部材7を押しつぶして左右に拡げて緊張させて扁平状態にしたまま、シールバー8で真空密封シールするため、包装袋1の開口部は確実に扁平状態に伸ばされて皺を生じることなくシールすることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を充填した包装袋をスラットコンベアで横置き状態に移送する搬入供給装置と、該搬入供給装置の途中の真空密封シール位置で包装袋の開口部に挿入した拡開バーで開口部を横に広げて扁平状態にする拡開バー装置と、該拡開バー装置で扁平状態にされた包装袋の開口部の左右側縁シール部をシール受台と上グリッパーの押圧部材で押さえて、前記押圧部材の伸展部材を押しつぶして左右に押し拡げて緊張力により扁平状態にする扁平整形装置と、前記伸展部材の緊張力により偏平状態にされた包装袋の開口部をシールバーとシール受台で上下に挟んでシールする密封シール装置とからなることを特徴とする真空包装装置の袋口整形密封シール機構。
【請求項2】
前記扁平整形装置は、前記搬入供給装置と前記拡開バー装置との間に設けられ、前記上グリッパーは、包装袋の開口部の左右側縁シール部に対応する位置にそれぞれ押圧部材を向かい合って配置し、それぞれの押圧部材は、押圧部材に取り付けられた伸展部材と一緒に左右に開くように一対となっていることを特徴とする請求項1記載の真空包装装置の袋口整形密封シール機構。
【請求項3】
前記押圧部材は、支軸を介して左右方向へ揺動回転するように上グリッパーに固定されており、前記上グリッパーに角度をつけて揺動自在に連結された押圧部材を押圧バネに連結固定し、該押圧バネを調節止めネジによりバネ圧を調節できるようにすることを特徴とする請求項2記載の真空包装装置の袋口整形密封シール機構。
【請求項4】
前記上グリッパーの下降動作により前記押圧部材がシール受台に向かって移動して、拡開バーにより扁平状態にされた包装袋の開口部の左右側縁シール部を上グリッパーの押圧部材とシール受台で押さえ、前記上グリッパーをさらに下降させると、前記押圧部材の伸展部材が押しつぶされて左右に押し拡げられて緊張力により包装袋の開口部を扁平状態にすることを特徴とする請求項2記載の真空包装装置の袋口整形密封シール機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟な剛性を有する包装袋の開口部の左右側縁シール部を押さえて横に引っ張って扁平にし、この偏平状態で開口部をシールする真空包装装置の袋口整形密封シール機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薄手で腰の弱いプラスチック袋に被包装物を充填した後、その開口部をシールしようとしても、その袋が柔らかで腰が弱いため皺の無い状態で開口部をきれいにシールすることが極めて困難であった。そのため、被包装物を充填された薄いプラスチック製の袋の開口端部を皺のない状態でシールすることを可能とした「袋による包装方法」が知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
この公知技術は、被包装物を充填した袋を搬送ベルト上に横置きにして、その開口端部に上方からエアを吹き付けて袋開口端部を搬送ベルトに対して扁平状態にさせた後、開口した前記袋内に2本の拡開バーを挿入しそれを横に広げて袋の口を横に広げ、横に広げられた前記袋の開口端部を上下に挟んでシールするようにした、「袋による包装方法」である。この包装方法によれば、極薄くて腰の弱いプラスチック袋であっても、その開口が確実に開かれ、開口端部に挿入した拡開バーにより袋の開口端部は確実に扁平状態に伸ばされて皺を生じることなくシールすることができる。
【0004】
本出願人は、柔軟な剛性を有する包装袋のシール不良皺を防ぐために、柔軟な剛性を有する包装袋の開口部を拡開バーで拡げつつ左右開口側縁を上下グリッパーで挟んで横に引っ張って扁平にし、偏平状態の開口部を上下に挟んでシールする袋口整形密封シール装置を開発した(特許文献2を参照)。
この公知技術は、密封シール位置までスラットコンベアにより横置き状態で移送されてきた包装袋の開口部を左右拡開バーにより予備的に扁平状態にし、この予備的扁平状態のまま、上下グリッパーで開口部の左右側縁を挟持し、前記拡開バーを抜き出した後、上下グリッパーを左右に広げて完全に扁平状態にした後、シールバーで密封シールすることができる袋口整形密封シール装置である。
しかし、この従来の袋口整形密封シール装置では、長期保存に利用される食品等の真空包装装置には使用できない欠点があったため、本発明により真空包装装置の袋口整形密封シール機構の改良を行った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3098897号公報
【特許文献2】特開2021-187518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、柔軟な剛性を有する包装袋の開口部の左右側縁シール部を上グリッパーの押圧部材とシール受台で押さえて、前記押圧部材の伸展部材を押しつぶして左右移動させて引っ張って扁平にし、この偏平状態で開口部をシールする真空包装装置の袋口整形密封シール機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の真空包装装置の袋口整形密封シール機構は、被包装物を充填した包装袋をスラットコンベアで横置き状態に移送する搬入供給装置と、該搬入供給装置の途中の真空密封シール位置で包装袋の開口部に挿入した拡開バーで開口部を横に広げて扁平状態にする拡開バー装置と、該拡開バー装置で扁平状態にされた包装袋の開口部の左右側縁シール部をシール受台と上グリッパーの押圧部材で押さえて、前記押圧部材の伸展部材を押しつぶして左右に押し拡げて緊張力により扁平状態にする扁平整形装置と、前記伸展部材の緊張力により偏平状態にされた包装袋の開口部をシールバーとシール受台で上下に挟んでシールする密封シール装置とからなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の真空包装装置の袋口整形密封シール機構は、搬入供給装置の途中の真空密封シール位置で横置き状態に移送されてきた包装袋の開口部を拡開バーにより扁平状態にし、この扁平状態のまま、上グリッパーの押圧部材とシール受台で包装袋の開口部の左右側縁シール部を押えて、前記拡開バーを抜き出した後、前記押圧部材の伸展部材を押しつぶして左右に押し拡げて緊張力により扁平状態にしたままシールバーとシール受台で密封シールするため、包装袋の開口部は確実に扁平状態に伸ばされて皺を生じることなくシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の真空包装装置の袋口整形密封シール機構の真空密封シール位置へ移送されてきた包装袋の斜視図である。
【
図2】本発明の真空包装装置の袋口整形密封シール機構の拡開バーにより扁平された状態の包装袋の拡大斜視図である。
【
図3】本発明の真空包装装置の袋口整形密封シール機構の包装袋の開口部の左右側縁シール部をシール受台と上グリッパーの伸展部材で押さえた状態の正面図である。
【
図4】本発明の真空包装装置の袋口整形密封シール機構の上グリッパーの伸展部材を左右に押し拡げて緊張力により扁平にした状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の真空包装装置の袋口整形密封シール機構の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の斜視図に示すように、本発明の真空包装装置の袋口整形密封シール機構は、被包装物を充填した包装袋1をスラットコンベア(図示省略)で横置き状態に移送する搬入供給装置と、該搬入供給装置の途中の真空密封シール位置で包装袋1の開口部を拡開バー2で横に広げて扁平状態にする拡開バー装置と、該拡開バー装置で扁平状態にされた包装袋1の開口部の左右側縁シール部3を上グリッパー4の押圧部材5とシール受台6で押さえて、前記押圧部材5の進展部材7(
図3,4を参照)を押しつぶして左右に押し拡げて緊張力により扁平状態にする扁平整形装置と、前記押圧部材5の伸展部材7の緊張力により偏平状態にされた包装袋1の開口部をシール受台6とシールバー8で上下に挟んでシールする密封シール装置とからなる。
【0011】
前記搬入供給装置は、調味液を含んだ煮物等の被包装物の場合には、水平状態に設置したスラットコンベア(図示省略)を包装袋1の開口部側を高く、底部側を低くした状態で搬送するように5°~7°位に傾斜角度を付けて設置する。
図2の拡大斜視図に示すように、前記スラットコンベア(図示省略)で移送された包装袋1は、本実施例では、1袋ずつ処理するように拡開バー装置が1基配置されているが、複数列であっても良くこれに限定されない。
前記拡開バー装置は、噴射ノズル9のエアにより開口された包装袋1の開口部を横に広げて扁平状態にする左右の拡開バー2を設け、それぞれの左拡開バー及び右拡開バーは、左右方向へ水平移動するように左連結杆及び右連結杆に固定され、さらに前記左連結杆及び右連結杆は、左ブロック体及び右ブロック体に固定されている。
そして、前記拡開バー装置は、図示しないが、シリンダーヘッドに角度を付けて連結された左レバー及び右レバーを前記左ブロック体及び右ブロック体に連結し、拡開シリンダーの進退動作により前記左レバー及び右レバーがガイドレールに沿って移動して前記左拡開バー及び右拡開バーが左右移動するようになっており、これにより、前記左右の拡開バー2が左右に拡げられるようになっている。
また、図示しないが、架台に載せられた移動シリンダーの往復作動により基台が移動し、該基台に載せられている拡開シリンダー、ガイドレールが前進後退して包装袋1の開口部へ前記拡開レバー2を前進後退させる。
【0012】
前記扁平整形装置は、
図1に示すように搬入供給装置と拡開バー装置との間に設けられ、
図3、
図4の正面図に示すように、主シリンダーロッド10により上グリッパー4全体が包装袋1の開口部に向かって上下動するようになっている。
前記上グリッパー4は、包装袋1の開口部の左右側縁シール部3に対応する位置にそれぞれ押圧部材5を向かい合って配置する。それぞれの押圧部材5は、押圧部材5に取り付けられた伸展部材7と一緒に左右に開くように一対となっている。
前記各押圧部材5は、支軸16を介して左右方向へ揺動回転するように上グリッパー4に固定されており、前記上グリッパー4に角度を付けて連結された押圧部材5を押圧バネ11に連結固定し、該押圧バネ11を調節止めネジ12によりバネ圧を調節できるようにする。
【0013】
前記伸展部材7は、円柱棒状の弾性シリコン部材から形成され、弾性力により包装袋1の左右側縁シール部3の接合点14を押圧することができるようになっている。
図6の包装袋1の接合点14間の距離が、
図5の間隔Rに相当する。
前記上グリッパー4の下降動作により前記押圧部材5がシール受台6に向かって移動して、前記拡開バー2により扁平状態にされた包装袋1の開口部の左右側縁シール部3を上グリッパー4の押圧部材5とシール受台6で押さえる。
前記上グリッパー4をさらに下降させると、前記押圧部材5の進展部材7が押しつぶされて左右に押し拡げられて緊張力により包装袋1の開口部を扁平状態にする。
【0014】
前記密封シール装置は、
図1に示すように前記上グリッパー4と拡開バー2との間に設けられ、シール受台6は表面にフッ素樹脂加工(テフロン(登録商標)加工)を施して滑りやすくし、シールバー8は従シリンダーロッド13により上下動する加熱棒部材からなる。前記上グリッパー4の更なる下降により押圧部材5の伸展部材7の押しつぶされた緊張力により偏平状態にされた包装袋1の開口部をシール受台6とシールバー8で上下に挟んでシールする。
【0015】
次に、本発明の真空包装装置の袋口整形密封シール機構の操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すように、被包装物を充填された包装袋1は、傾けられたスラットコンベアで真空密封シール位置まで移送されて停止すると、噴射ノズル9のエアにより開口された包装袋1の開口部へ閉じた状態の拡開バー4が前進して包装袋1の開口部内に挿入され、開口部が左右方向に拡げられる。この時、前記拡開バー2は、包装袋1の開口部の左右側縁シール部3まで移動して扁平状態にまで拡げる。
【0016】
前記拡開バー2が、包装袋1の開口部の左右側縁シール部3まで移動して扁平状態にまで拡げると、
図3に示すように、上グリッパー4を下降作動させて包装袋1の左右側縁シール部3をシール受台6と押圧部材5の伸展部材7で押えると間隔Pの扁平状態となる。 その時、伸展部材7は、三方シールした包装袋1の左右側縁シール部3の
図6に示す接合点14を押さえている。
前記拡開バー2を抜き出した後、真空チャンバー14を下降させて真空密封空間を形成し、上グリッパー4の押圧部材5の包装袋1の左右側縁シール部3を押圧した緊張状態で、さらに前記押圧部材5を押し下げて、前記伸展部材7を押しつぶして左右方向へ水平移動させて包装袋1の開口部を間隔Qの扁平状態にする。
前記真空チャンバー15に負圧を発生させると、包装袋1内のエアは緊張状態で偏平状態にされた包装袋1の開口部を押圧部材5の押圧力に逆らって緊張状態を緩ませ、開口部に空気流通の隙間を形成させてエアを排気する。
そして、伸展部材7で押えている緊張状態のまま偏平状態にされた包装袋1の開口部をシール受台6とシールバー8で上下に挟んでシールする。シールが終了すると、真空チャンバー14は上昇動作を行い、真空包装動作が完了する。
【0017】
このように、横置き状態で移送されてきた包装袋1の開口部を拡開バー2により扁平状態にし、この扁平状態のまま、上グリッパー4で開口部の左右側縁シール部3を押圧しつつ左右に拡げて緊張させて扁平状態にしたまま、シールバー8で真空密封シールするため、包装袋1の開口部は確実に扁平状態に伸ばされて皺を生じることなくシールすることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 包装袋
2 拡開バー
3 左右側縁シール部
4 上グリッパー
5 押圧部材
6 シール受台
7 伸展部材
8 シールバー
9 噴射ノズル
10 主シリンダーロッド
11 押圧バネ
12 調節止めネジ
13 従シリンダーロッド
14 接合点
15 真空チャンバー
16 支軸