(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109400
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】爪の装飾具およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A45D 31/00 20060101AFI20240806BHJP
A45D 29/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A45D31/00
A45D29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014170
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】500129030
【氏名又は名称】株式会社 リフレプロジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110003915
【氏名又は名称】弁理士法人岡田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 雅文
(57)【要約】
【課題】使用者自身が何時でも何処でも簡単に短時間で爪に着脱自在で、且つ、使用者の要望により装飾体のデザインを容易に変更可能な爪の装飾具およびその使用方法を提供することである。
【解決手段】人の爪を装飾する装飾体が保持される雄部材12と、爪の表面に接着され、雄部材が着脱自在に係止される雌部材14とを有し、雄部材12は、雄折返し部17を介して折り曲げられた対向する第1の雄弾性片部22および第2の雄弾性片部24を含み、雌部材14は、第1の雄弾性片部22が抜き差し自在となる差込み部20を含み、第1の雄弾性片部22が差込み部20に差し込まれたときに、雄部材12と雌部材14とは、少なくともその一部が付勢した状態で当接して係止される、爪の装飾具10である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄部材および前記雄部材に着脱自在に係止される雌部材を含み、
人の手又は足の爪を装飾する装飾体が前記雄部材および前記雌部材の一方に保持され、前記爪に前記雄部材および前記雌部材のもう一方が固定される、爪の装飾具であって、
前記雄部材は、雄折返し部を介して対向する弾性変形可能な第1の雄弾性片部および第2の雄弾性片部を含み、
前記雌部材は、前記第1の雄弾性片部と抜き差し自在となる差込み部を含み、
前記第1の雄弾性片部が前記差込み部に差し込まれたときに、前記雄部材と前記雌部材とは、少なくともその一部が付勢した状態で係止されること、
を特徴とする、爪の装飾具。
【請求項2】
前記雄部材は、断面U字状に折曲げられた弾性変形可能な雄折曲プレートで形成され、
前記雌部材は、雌折返し部を介して対向する第1の雌弾性片部および第2の雌弾性片部を含み、断面U字状に折曲げられた弾性変形可能な雌折曲プレートで形成され、
前記差込み部は、前記第1の雌弾性片部および前記第2の雌弾性片部間に配設されること、
を特徴とする、請求項1に記載の爪の装飾具。
【請求項3】
前記雄折曲プレートおよび前記雌折曲プレートの両方ともまたはいずれか一方は、内側に向いて突設し、対向面との間に狭窄部を形成する突設部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の爪の装飾具。
【請求項4】
前記差込み部に前記第1の雄弾性片部が差し込まれたときに、前記雄部材および前記雌部材間には、凹凸部の嵌合による嵌合部が配設されることを特徴とする、請求項2に記載の爪の装飾具。
【請求項5】
前記雄部材および前記雌部材の両方ともまたはいずれか一方は、前記差込み部からの前記雄折曲プレートの抜けを防止する抜け止め部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の爪の装飾具。
【請求項6】
前記第1の雄弾性片部には、前記第2の雄弾性片部側に向かって突き出る雄屈曲片が配設され、
前記第1の雌弾性片部には、前記雄屈曲片が係止可能となる雌係止孔が具備され、
前記第1の雄弾性片部が前記差込み部に差し込まれると、前記第1の雄弾性片部は、前記第1の雌弾性片部によって前記雄屈曲片をその弾性付勢力に抗して弾性変形させながら進入し、前記雄屈曲片が前記雌係止孔に嵌入されることで前記雄屈曲片が前記雌係止孔の端縁部に係止されること、
を特徴とする、請求項2に記載の爪の装飾具。
【請求項7】
前記第1の雌弾性片部は、前記雌折返し部から前記第2の雌弾性片部の先端部に亘って、前記第2の雌弾性片部との間の間隔が漸次狭まる態様を有するようにして、前記第1の雌弾性片部および前記第2の雌弾性片部の先端部側が当接され、且つ、前記第1の雌弾性片部の先端部には、前記雌折曲プレートの厚み方向でみて、前記第2の雌弾性片部の先端部から遠ざかる方向に湾曲または屈曲して、前記第1の雌弾性片部および前記第2の雌弾性片部の先端間に、前記第1の雄弾性片部の先端部を案内する案内部が配設されることを特徴とする、請求項2に記載の爪の装飾具。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の爪の装飾具の使用方法であって、
人の手または足の指の爪を装飾する装飾体を前記雄折曲プレートの前記第2の雄弾性片部の外面側に接着して保持する装飾体保持工程、
前記爪の表面に前記雌部材を接着する雌部材接着工程、および
前記雄折曲プレートの前記第1の雄弾性片部を前記雌部材の前記差込み部に着脱自在に差し込む差込み工程を含み、
前記第1の雄弾性片部が前記差込み部に抜き差し自在に差し込まれたときに、前記雄部材と前記雌部材とは、少なくともその一部が付勢した状態で当接して係止されること、
を特徴とする、爪の装飾具の使用方法。
【請求項9】
断面U字状に折り曲げられた弾性変形可能な別の雄折曲プレートを含み、前記雄折曲プレートは、別の雄折返し部を介して対向する別の第1の雄弾性片部および別の第2の雄弾性片部を含み、前記装飾体を保持していない別の雄部材を準備する工程、および
前記装飾体を保持する前記雄部材の不使用時には、前記別の雄部材を前記雌部材の前記差込み部に前記別の第1の雄弾性片部を着脱自在に差し込む別の差込み工程を含むこと、
を特徴とする、請求項8に記載の爪の装飾具の使用方法。
【請求項10】
別の差込み工程の前または後に、少なくとも前記別の雄部材の前記別の第2の雄弾性片部の外面を覆うように保前記護部材が被覆される保護部材覆工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の爪の装飾具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪の装飾具およびその使用方法に関し、特にたとえば、手の爪、足の爪、付け爪等に適用される爪の装飾具およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景となる手や足の指の爪に対する従来の装飾技術には、一般的にマニキュアが知られている。マニュキュアには、例えば、ベース・カラー・トップの3層のマニュキュア素材のフィルムを爪に貼着するフィルムタイプのものがある。
ところが、このマニュキュアによる爪への装飾は、手作業で行うため、時間がかかり、初心者と熟練者との技量の差が大きく装飾の出来ばえに大きな差が生じることが多々あった。また、マニキュアは、塗料を直接爪に塗布するので、塗料が塗布された部分の皮膚呼吸が妨げられる。しかも、当該塗料を剥がすときには有機溶剤を用いるために、皮膚に炎症等が生じることがあった。
また、手や足の指の爪に対する従来の装飾技術には、流動性のある粘液状のウレタン樹脂を爪に塗布し紫外線を照射して硬化する反応を、ネイル材料として利用した「ジェルネイル」と呼ばれるものもある。装飾は、通常、爪の上面で硬化したカラージェルにネイリスト等の施術者が手作業で行うものである。
ところが、この「ジェルネイル」の装飾技術は、流動性のある粘液状のウレタン樹脂は、元来、衛生上の点で好ましくない問題点を有しており、その上、施術者が手作業で実施するため作業時間が長くなると共に、初心者と熟練者との技量の差が大きく装飾の出来ばえに大きな差が生じることがあった。
また、手や足の爪に対する従来の装飾技術には、ネイルアートと称される技術分野で、爪の装飾具として、アクリル樹脂等の合成樹脂を使用した「人工爪(所謂、付け爪)」がある。この装飾技術の施術手順は、先ず、ボンド等の接着剤で透明の合成樹脂製の付け爪を使用者の爪に貼付する。次に、使用者の所望する長さに付け爪を切断し、切断した付け爪の上にプライマーを塗布する。さらに、アクリルのパウダーをモノマーに付け固体化し、爪の上に塗布し整形して人工爪を作成する。そして、当該人工爪に使用者の好みの装飾を施して仕上げるものであり、例えば両手の指を仕上げるのに概ね2時間程の時間を要する。
ところが、この人工爪では、2週間位で、爪とアクリルの人工爪の隙間から水が入ると、アクリルと爪との密着が悪いため、爪の上にカビが生えるなど、衛生面で問題が生じる虞があった。
一方で、この装飾技術のような「付け爪」では、通常、予め、数種類の大きさや形状の付け爪が準備されている。
ところが、人の爪の大きさや形状は千差万別であり、数種類の大きさに収まるものとはなっていない。つまり、付け爪では大きさや形状が使用者にフィットするものを選択することは実際上、困難なものとなっている。
そこで、この付け爪を爪に固定するためには、例えば特開2004-209062号公報に記載された付け爪用両面粘着テープを用いることが多く、両面粘着テープを付け爪と爪の間に配設して、その粘着力により付け爪を爪に固定している。この付け爪は着脱して繰り返し使用できる(例えば、特許文献1)。
さらに、手や足の爪に対する従来の装飾技術において、例えば、特開2005-230501号公報には、透明部材で湾曲した爪状のネイルチップと、ネイルチップの内部に、装着可能な装飾板を設けた付け爪が開示されている(例えば、特許文献2)。
さらに、手や足の爪に対する従来の装飾技術としては、予め種々の装飾技術が施された付け爪を爪の表面部に取着することで爪を装飾する方法がある。この場合、当該付け爪には、宝石、人工石、ビーズ、造形物等の多種多様の立体的な装飾物が取着されたものがある。
その一例として、例えば、特開2018-75465号公報には、爪又は人工爪に予め固定又は接着する爪側固定部材と、装飾物であり、装飾をなす部分の爪又は人工爪側に、爪側固定部材に嵌合するネイルパーツ側固定部を有するネイルパーツ本体を備え、爪側固定部材とネイルパーツ本体のネイルパーツ側固定部とを嵌合することにより、ネイルパーツ本体が、爪側固定部材を介して、爪又は人工爪に着脱自在に固定されることを特徴とする、ネイルパーツが開示されている(例えば、特許文献3)。
また、他の例として、例えば、実用新案登録第3210022号公報には、底面に係止用溝を形成した土台パーツと、該土台パーツの係止用溝に差込・装着しかつ装飾パーツを固定した挿入用磁石棒とでなり、前記土台パーツの上方又は下方から前記挿入用磁石棒を差込・装着したことを特徴とする、ネイルの装飾具が開示されている。土台パーツは磁力で吸着されるように鉄、その他の鋼材でなる金属製品で形成され、土台パーツの係止用溝への挿入用磁石棒の挿入操作が完了すれば、磁力により挿入用磁石棒は係止用溝の内壁に吸着されて固定されるものである(例えば、特許文献4)。
さらに他の例として、例えば、実用新案登録第3147879号公報において、付け爪は、手足の指の爪上に固定され螺刻された軸部が突設された台座と、当該台座の軸部に螺着可能な螺子孔が形成された装飾体とを備えており、装飾体は台座に着脱可能に設けられていることを特徴とし、また、付け爪は、手足の指の爪に取り付けられるチップと、当該チップ上に固定され、螺刻された軸部が突設された台座と、当該台座の軸部に螺着可能な螺子孔が形成された装飾体とを、備えており、装飾体は台座に着脱可能に設けられていることを特徴とする、付け爪が開示されている(例えば、特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-209062号公報
【特許文献2】特開2005-230501号公報
【特許文献3】特開2018-75465号公報
【特許文献4】実用新案登録第3210022号公報
【特許文献5】実用新案登録第3147879号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、たとえば特許文献1に示す従来の技術では、薄い合成樹脂製のシートで形成された両面粘着テープを用いて付け爪を爪に固定しているので、爪と付け爪との大きさの違いによって生じた隙間を埋めることはできない。そのため、付け爪が爪から外れ易いという不具合があった。また、強力な接着剤を用いて付け爪を爪に接着してしまうと、付け爪を外す場合には付け爪を壊すことになり、再使用できないという虞があった。
しかも、通常、付け爪はネイルサロンでネイリストによって取付けているのが一般的であり、使用者自らが付け爪を取付けることは殆どないものである。すなわち、付け爪は、ネイリストなどの専門的な知識と技術を持つ有資格者によって施術されるのが一般的であったため、。
また、特許文献2に示す従来の技術では、ネイルチップの内部空間と表面部材上でアートに多面性を創り、付加価値をプラスすることができるものの、使用者の爪につけ爪を取着するのは接着剤を用いた接着等によるものであり、一度、使用者の爪につけ爪を取着すると、使用者が家事を行うときなど、つけ爪が邪魔になるようなときにも、使用者の爪からつけ爪を取り外し、当該つけ爪を再び取り付けることができず、不便なものであった。
一方、たとえば特許文献3に示す従来の技術では、ナット状の爪側固定部材とボルト状のネイルパーツ側固定部とを、回転動作により螺合する構造によって両者を固定するので、固定方法に時間を要し、装飾部全体を他の装飾部と取り替えることが容易ではないという不具合を有するものであった。また、爪側固定部材が予め人工爪(所謂、付け爪)に固定又は接着されているため、装飾部および付け爪のデザインを変更しようとする場合には、付け爪をその都度爪から剥がす必要があり、手軽にデザイン変更をすることができないものであった。
また、特許文献4に示す従来の技術では、挿入用磁石棒を係止用溝に挿入して挿入用磁石棒を係止用溝の内壁に吸着・固定する構成としているが、装飾パーツを容易に交換することができるように、挿入用磁石棒の磁力を比較的弱くする必要があるため、挿入用磁石棒の基端に固定された単一又は複数個の組合せからなる装飾パーツに不用意に外力が掛かったときに、挿入用磁石棒が係止用溝から抜け落ちてしまう虞があった。
そして、特許文献5に示す従来の技術では、台座に対して装飾体が着脱可能に設けられているため、使用状況に応じて装飾体を比較的簡単に取り替えることができるものの、手足の指の爪上に固定される台座に螺刻された軸部が突設されているため、装飾体を台座から取り外した後で、この付け爪の使用者が家事などの日常の作業をした場合に、軸部が邪魔となり、また、当該軸部が何かに引っ掛かって軸部が破損する虞、延いては付け爪自体が損傷する虞があった。その上、軸部自体が嵩高となり、装飾体を軸部に螺着したときの装飾体全体の可及的低背化が困難となる不具合もあった。
【0005】
それゆえに、本発明の主たる目的は、このような問題点に鑑みてなされたもので、使用者自身が何時でも何処でも簡単に短時間で爪に着脱自在で、且つ、使用者の要望により装飾体のデザインを容易に変更可能で、不用意に外力が掛かっても爪から外れ難く、装飾体を取外した状態で家事や日常業務に支障の無い、爪の装飾具およびその使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る本発明の爪の装飾具は、雄部材および雄部材に着脱自在に係止される雌部材を含み、人の手又は足の爪を装飾する装飾体が雄部材および雌部材の一方に保持され、爪に雄部材および雌部材のもう一方が固定される、爪の装飾具であって、雄部材は、雄折返し部を介して折り曲げられて対向する弾性変形可能な第1の雄弾性片部および第2の雄弾性片部を含み、雌部材は、第1の雄弾性片部と抜き差し自在となる差込み部を含み、第1の雄弾性片部が差込み部に差し込まれたときに、雄部材と雌部材とは、少なくともその一部が付勢した状態で係止されること、を特徴とする、爪の装飾具である。
請求項2に係る本発明の爪の装飾具は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、雌部材は、雄部材は、断面U字状に折曲げられた弾性変形可能な雄折曲プレートで形成され、雌部材は、雌折返し部を介して対向する第1の雌弾性片部および第2の雌弾性片部を含み、断面U字状に折曲げられた弾性変形可能な雌折曲プレートで形成され、差込み部は、第1の雌弾性片部および第2の雌弾性片部間に配設されることを特徴とする、爪の装飾具である。
請求項3に係る本発明の爪の装飾具は、請求項2に係る発明に従属する発明であって、雄折曲プレートおよび雌折曲プレートの両方ともまたはいずれか一方は、内側に向いて突設し、対向面との間に狭窄部を形成する突設部を含むことを特徴とする、爪の装飾具である。
請求項4に係る本発明の爪の装飾具は、請求項2に係る発明に従属する発明であって、差込み部に第1の雄弾性片部が差し込まれたときに、雄部材および雌部材間には、凹凸部の嵌合による嵌合部が配設されることを特徴とする、爪の装飾具である。
請求項5に係る本発明の爪の装飾具は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、雄部材および雌部材の両方ともまたはいずれか一方は、差込み部からの雄折曲プレートの抜けを防止する抜け止め部を含むことを特徴とする、爪の装飾具である。
請求項6に係る本発明の爪の装飾具は、請求項2に係る発明に従属する発明であって、第1の雄弾性片部には、第2の雄弾性片部側に向かって突き出る雄屈曲片が配設され、第1の雌弾性片部には、雄屈曲片が係止可能となる雌係止孔が具備され、第1の雄弾性片部が差込み部に差し込まれると、第1の雄弾性片部は、第1の雌弾性片部によって雄屈曲片をその弾性付勢力に抗して弾性変形させながら進入し、雄屈曲片が雌係止孔に嵌入されることで雄屈曲片が前記雌係止孔の端縁部に係止されること、を特徴とする、爪の装飾具である。
請求項7に係る本発明の爪の装飾具は、請求項2に係る発明に従属する発明であって、第1の雌弾性片部は、雌折返し部から第2の雌弾性片部の先端部に亘って、第2の雌弾性片部との間の間隔が漸次狭まる態様を有するようにして、第1の雌弾性片部および第2の雌弾性片部の先端部側が当接され、且つ、第1の雌弾性片部の先端部には、雌折曲プレートの厚み方向でみて、第2の雌弾性片部の先端部から遠ざかる方向に湾曲または屈曲して、第1の雌弾性片部および第2の雌弾性片部の先端間に、第1の雄弾性片部の先端部を案内する案内部が配設されることを特徴とする、爪の装飾具である。
請求項8に係る本発明の爪の装飾具の使用方法は、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の爪の装飾具の使用方法であって、人の手または足の指の爪を装飾する装飾体を雄折曲プレートの第2の雄弾性片部の外面側に接着して保持する装飾体保持工程と、爪の表面に雌部材を接着する雌部材接着工程と、雄折曲プレートの第1の雄弾性片部を雌部材の差込み部に着脱自在に差し込む差込み工程を含み、第1の雄弾性片部が差込み部に抜き差し自在に差し込まれたときに、雄部材と雌部材とは、少なくともその一部が付勢した状態で当接して係止されること、を特徴とする、爪の装飾具の使用方法である。
請求項9に係る本発明の爪の装飾具の使用方法は、請求項8に係る発明に従属する発明であって、断面U字状に折り曲げられた弾性変形可能な別の雄折曲プレートを含み、雄折曲プレートは、別の雄折返し部を介して対向する別の第1の雄弾性片部および別の第2の雄弾性片部を含み、装飾体を保持していない別の雄部材を準備する工程と、装飾体を保持する雄部材の不使用時には、別の雄部材を雌部材の差込み部に別の第1の雄弾性片部を着脱自在に差し込む別の差込み工程とを含むこと、を特徴とする、爪の装飾具の使用方法である。
請求項10に係る本発明の爪の装飾具の使用方法は、請求項9に係る発明に従属する発明であって、別の差込み工程の前または後に、少なくとも別の雄部材の別の第2の雄弾性片部の外面を覆うように保護部材が被覆される保護部材被覆工程を含むことを特徴とする、爪の装飾具の使用方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用者自身が何時でも何処でも簡単に短時間で爪に着脱自在で、且つ、使用者の要望により装飾体のデザインを容易に変更可能で、不用意に外力が掛かっても爪から外れ難く、装飾体を取外した状態で家事や日常業務に支障の無い、爪の装飾具およびその使用方法が得られる、という効果がある。
【0008】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施例1を示す図であって、
図1の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの平面図であり、
図1の(B)はその右側面図である。
【
図2】本発明に係る実施例1を示す図であって、
図2の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの展開平面図であり、
図2の(B)はその右側面図である。
【
図3】本発明に係る実施例1を示す図であって、
図3の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの平面図であり、
図3の(B)はその右側面図である。
【
図4】本発明に係る実施例1を示す図であって、
図4の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの展開平面図であり、
図4の(B)はその右側面図である。
【
図5】本発明に係る実施例1を示す図であって、
図5は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の斜視図である。
【
図6】本発明に係る実施例1を示す図であって、
図6は
図5の右側面図である。
【
図7】本発明に係る実施例1を示す図であって、
図7はその使用状態の一例を爪の側面から見た説明図である。
【
図8】
図8は、実施例1に係る爪の装飾具の別の雄部材の一例を示すと共に、保護層被覆工程を施した状態の一例を断面的に見た説明図である。
【
図9】
図9は、実施例1に係る爪の装飾具の別の雄部材の一例を示すと共に、保護層被覆工程を施した状態の一例を平面的に見た説明図である。
【
図10】
図10は、実施例1に係る爪の装飾具の雄部材に、保護層被覆工程を施した状態の他の例を断面的に見た説明図である。
【
図11】本発明に係る実施例2を示す図であって、
図11は爪の装飾具の分解斜視図である。
【
図12】本発明に係る実施例2を示す図であって、
図12は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の中央断面図である。
【
図13】本発明に係る実施例2の変形例を示す図であって、
図13は爪の装飾具の雌部材の他の例を示す斜視図である。
【
図14】本発明に係る実施例3を示す図であって、
図14は爪の装飾具の分解斜視図である。
【
図15】本発明に係る実施例3を示す図であって、
図15は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の右側面図である。
【
図16】本発明に係る実施例3を示す図であって、
図16は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の中央断面図である。
【
図17】本発明に係る実施例4を示す図であって、
図17は爪の装飾具の分解斜視図である。
【
図18】本発明に係る実施例4を示す図であって、
図18は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の右側面図である。
【
図19】本発明に係る実施例4を示す図であって、
図19は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の中央断面図である。
【
図20】本発明に係る実施例5を示す図であって、
図20は爪の装飾具の分解斜視図である。
【
図21】本発明に係る実施例5を示す図であって、
図21は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の中央端面図である。
【
図22】本発明に係る実施例5を示す図であって、
図22は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の雄部材および雌部材間に配設された凹凸部の嵌合による嵌合部の中央端面図である。
【
図23】本発明に係る実施例6を示す図であって、
図23は爪の装飾具の分解斜視図である。
【
図24】本発明に係る実施例6を示す図であって、
図24は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の斜視図である。
【
図27】本発明に係る実施例7を示す図であって、
図27の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの平面図であり、
図27の(B)はその右側面図である。
【
図28】本発明に係る実施例7を示す図であって、
図28は爪の装飾具の雄折曲プレートの展開平面図である。
【
図29】本発明に係る実施例7を示す図であって、
図29の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの平面図であり、
図29の(B)はその右側面図である。
【
図30】本発明に係る実施例7を示す図であって、
図30は爪の装飾具の雌折曲プレートの展開平面図である。
【
図31】本発明に係る実施例7を示す図であって、
図31は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の右側面図である。
【
図32】本発明に係る実施例7を示す図であって、
図32はその使用状態の一例を爪の側面から見た説明図である。
【
図33】本発明に係る実施例8を示す図であって、
図33の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの平面図であり、
図33の(B)はその右側面図である。
【
図34】本発明に係る実施例8を示す図であって、
図34の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの展開平面図であり、
図34の(B)はその右側面図である。
【
図35】本発明に係る実施例8を示す図であって、
図35の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの平面図であり、
図35の(B)はその右側面図である。
【
図36】本発明に係る実施例8を示す図であって、
図36の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの展開平面図であり、
図36の(B)はその右側面図である。
【
図37】本発明に係る実施例8を示す図であって、
図37は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の右側面図である。
【
図38】本発明に係る実施例8を示す図であって、
図38はその使用状態の一例を爪の側面から見た説明図である。
【
図39】本発明に係る実施例9を示す図であって、
図39の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの平面図であり、
図39の(B)はその右側面図である。
【
図40】本発明に係る実施例9を示す図であって、
図40の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの平面図であり、
図40の(B)はその右側面図である。
【
図41】本発明に係る実施例9を示す図であって、
図41は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の右側面図である。
【
図42】本発明に係る実施例9を示す図であって、
図42はその使用状態の一例を爪の側面から見た説明図である。
【
図43】本発明に係る実施例10を示す図であって、
図43の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの平面図であり、
図43の(B)はその右側面図である。
【
図44】本発明に係る実施例10を示す図であって、
図44の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの展開平面図であり、
図44の(B)はその右側面図である。
【
図45】本発明に係る実施例10を示す図であって、
図45の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの展開平面図であり、
図45の(B)はその右側面図である。
【
図46】本発明に係る実施例10を示す図であって、
図46の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの平面図であり、
図46の(B)はその右側面図である。
【
図47】本発明に係る実施例10を示す図であって、
図47は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の右側面図である。
【
図48】本発明に係る実施例10を示す図であって、
図48はその使用状態の一例を爪の側面から見た説明図である。
【
図49】本発明に係る実施例10を示す図であって、
図49はその使用状態の一例を爪の平面から見た説明図である。
【
図50】
図50は、実施例10に係る爪の装飾具の雄部材に、保護層被覆工程を施した状態の一例を断面的に見た説明図である。
【
図51】
図51は、実施例10に係る爪の装飾具の雄部材に、保護層被覆工程を施した状態の一例を平面的に見た説明図である。
【
図52】本発明に係る実施例10の変形例を示す図であって、
図52の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの平面図であり、
図52の(B)はその右側面図である。
【
図53】本発明に係る実施例10の変形例を示す図であって、
図53の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの展開平面図であり、
図53の(B)はその右側面図である。
【
図54】本発明に係る実施例10の変形例を示す図であって、
図54の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの平面図であり、
図54の(B)はその右側面図である。
【
図55】本発明に係る実施例10の変形例を示す図であって、
図55の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの展開平面図であり、
図55の(B)はその右側面図である。
【
図56】本発明に係る実施例10の変形例を示す図であって、
図56は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の右側面図である。
【
図57】本発明に係る実施例10の他の変形例を示す図であって、
図57の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの平面図であり、
図57の(B)はその右側面図である。
【
図58】本発明に係る実施例10の他の変形例を示す図であって、
図58の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの平面図であり、
図58の(B)はその右側面図であり、
図58の(C)は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の右側面図である。
【
図59】本発明に係る実施例11を示す図であって、
図59の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの平面図であり、
図59の(B)は爪の装飾具の雌折曲プレートの平面図である。
【
図60】本発明に係る実施例11を示す図であって、
図60は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の右側面図である。
【
図61】本発明に係る実施例12を示す図であって、
図61の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの平面図であり、
図61の(B)は爪の装飾具の雌折曲プレートの平面図である。
【
図62】本発明に係る実施例12を示す図であって、
図62は、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る爪の装飾具は、使用者自身が何時でも何処でも簡単に短時間で爪に着脱自在で、且つ、使用者の要望により装飾体のデザインを容易に変更可能で、不用意に外力が掛かっても爪から外れ難く、装飾体を取外した状態で家事や日常業務に支障の無い、爪の装飾具およびその使用方法を提供するという目的を、人の手または足の指の爪を装飾する装飾体が保持される雄部材と、爪の表面に接着され、雄部材が着脱自在に係止される雌部材とを含み、雄部材は、断面U字状に折り曲げられた弾性変形可能な雄折曲プレートを含み、雄折曲プレートは、雄折返し部を介して対向する第1の雄弾性片部および第2の雄弾性片部を含み、雌部材は、第1の雄弾性片部が抜き差し自在となる差込み部を含み、第1の雄弾性片部が差込み部に差し込まれたときに、雄部材と雌部材とは、少なくともその一部が付勢した状態で当接して係止されることを特徴とすることによって実現した。
【実施例0011】
図1は本発明に係る実施例1を示す図であって、
図1の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの平面図であり、
図1の(B)はその右側面図である。
図2は本発明に係る実施例1を示す図であって、
図2の(A)は爪の装飾具の雄折曲プレートの展開平面図であり、
図2の(B)はその右側面図である。
図3は本発明に係る実施例1を示す図であって、
図3の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの平面図であり、
図3の(B)はその右側面図である。
図4は本発明に係る実施例1を示す図であって、
図4の(A)は爪の装飾具の雌折曲プレートの展開平面図であり、
図4の(B)はその右側面図である。
図5は本発明に係る実施例1を示す図であって、雄部材と雌部材を組み合わせた状態の爪の装飾具の斜視図である。
図6は本発明に係る実施例1を示す図であって、
図5の右側面図である。
【0012】
この爪の装飾具10は、たとえば
図7に示すように、人の手または足の指の爪Nを装飾する装飾体Dが保持される雄部材12と、爪Nの表面に接着され、雄部材12が着脱自在に係止される雌部材14とを含み、雄部材12は、
図1、
図5、
図6に示すように、断面U字状に折り曲げられた弾性変形可能な雄折曲プレート16を含む。雄折曲プレート16は、雄折返し部17を介して対向する第1の雄弾性片部22および第2の雄弾性片部24を含む。雄部材12は、
図2に示すように、平面視矩形板状の雄プレート基材16Aがその長手方向に半折りに折り曲げられて、
図1の(A)に示す断面U字状の雄折曲プレート16が形成される。
【0013】
この雄折曲プレート16の第1の雄弾性片部22には、
図1および
図6に示すように、たとえば断面略台形状の雄屈曲片28を含む。雄屈曲片28は、
図2に示すように、雄プレート基材16Aの長手方向の一方側で且つ幅方向の中間部に、たとえば平面視逆U字状の切込み部26を設け、当該切込み部26に囲繞された部位を引き起こすことにより形成される。雄屈曲片28は、切込み部26の基端縁部26Aから斜め上方に立上る上向き撓み辺30を含む。また、上向き撓み辺30の端部から第1の雄弾性片部22の長手方向に平行で、且つ、雄折曲プレート16の開放部側に延び設けられる延設撓み辺32が形成される。さらに、延設撓み辺32の端部には、当該延設撓み辺の端部から斜め下方に延びる下向き撓み辺34が形成される。
【0014】
一方、雌部材14は、
図3、
図5、
図6に示すように、断面U字状に折曲げられた弾性変形可能な雌折曲プレート18を含み、雌折曲プレート18は、雌折返し部19を介して対向する第1の雌弾性片部36および第2の雌弾性片部38を含む。雌部材14は、
図4に示すように、平面視矩形板状の雄プレート基材18Aがその長手方向に半折りに折り曲げられて、
図3の(A)に示す断面U字状の雌折曲プレート18が形成される。雌折曲プレート18は、その長手方向の一方側で且つ幅方向の中間部において貫通する、たとえば平面視方形状の雌係止孔40を具備している。この雌係止孔40の大きさは、雄屈曲片28の大きさよりも僅かに小さく形成されている。雌部材14は、第1の雌弾性片部36および第2の雌弾性片部38間に差込み部20を有するものである。
【0015】
第1の雌弾性片部36は、雌折返し部19から第2の雌弾性片部38の先端部に亘って、第2の雌弾性片部38との間の間隔が漸次狭まる態様を有するようにして、第1の雌弾性片部36および第2の雌弾性片部38の先端部側が当接され、且つ、第1の雌弾性片部36の先端部には、雌折曲プレート18の厚み方向でみて、第2の雌弾性片部38の先端部から遠ざかる方向に湾曲または屈曲して、第1の雌弾性片部36および第2の雌弾性片部38の先端間に、第1の雄弾性片部36の先端部を案内する案内片42が配設されている。案内片42は、第1の雌弾性片部36の先端部が斜め上方に僅かに湾曲または屈曲するアール(R)状に形成されている。そのため、第1の雌弾性片部36および第2の雌弾性片部38の先端間には、
図3の(B)、
図5に示すように、第2の雌弾性片部38の先端側と案内片42との間に僅かな差込み部20としての例えば導入開放部が構成されるものとなり、この導入開放部が差込み部20として構成されるものである。
【0016】
雌折曲プレート18の第2の雌弾性片部38の外面側は、
図7に示すように、接着材Aにより爪Nの表面に接着・固定される。接着材としては、たとえばスカルプ等のネイル用接着剤が用いられている。
一方で、雄部材12は、その第2の雄弾性片部24の外面側に、たとえばビジュー等の装飾体Dが接着材Aにより接着・固定される。接着材Aとしては、スカルプ等のネイル用接着剤、その他の接着剤でもよく、また、それ以外にも、例えば、ジェルネイルが用いられ得る。ジェルネイルは、ジェル状のネイルコートを第2の雄弾性片部24の外面側に重ね塗り、UV(紫外線)照射によって樹脂硬化させるものである。
【0017】
この実施例1では、雄部材12および雌部材14がそれぞれ弾性材で形成される。弾性材としては、弾性金属材料、弾性プラスチック材料等で形成され得る。弾性材としては、特に、たとえば非磁性超硬度金属材料として、エルジロイ[ELGILOY(商標名)]等のコバルトクロム合金、MP35N(商標名)等のCo-Ni-Cr-Mo合金、その他適宜の剛性とバネ性に優れた金属材料で形成されることが好ましい。
【0018】
また、この実施例1では、爪の装飾具10において、雄部材12を雌部材14に装着したときの厚み方向の長さ(高さ)が、たとえば0.5mm~0.8mmの超薄型の厚みに形成され、爪Nの表面に対して、たとえば略5mm×5mmの小型の大きさに形成され得るものとなっている。
【0019】
この実施例1では、雄部材12の第1の雄弾性片部22が差込み部20に差し込まれたときに、雄部材12と雌部材14とは、付勢した状態で当接して係止される。雄部材12の雄屈曲片28の弾性力によって、雌部材14の雌係止孔28の基端縁部28Aに係止される。すなわち、第1の雄弾性片部22が差込み部20に差し込まれていくときに、雄屈曲片28をその弾性付勢力に抗して弾性変形させながら進入し、雄屈曲片28の下向き撓み辺34、延設撓み辺32および上向き撓み辺30の順で、雄屈曲片28は、順次、雌部材14の第2の雌弾性片部38の内面側に弾性変形して撓み、さらに当該第1の雄弾性片部22が雌折曲プレート18の雌折返し部19側に進入していく。そして、雄屈曲片28の下向き撓み辺34が雌係止孔40に到達すると、雄屈曲片28の弾性復元力により雄屈曲片28が当該雌係止孔40の基端縁部26Aに付勢した状態で当接して係止されるものとなる。
【0020】
この実施例1に係る雄部材12と雌部材14の弾性係止構造では、雄部材12の第1の雄弾性片部22が差込み部20に差し込まれたときに、第1の雌弾性片部36に作用する弾性復元力により、第1の雄弾性片部22は、第1の雌弾性片部36および第2の雌弾性片部38間に挟持され、且つ、上記した雄屈曲片28と雌係止孔40との係止作用によって、雄部材12が雌部材14に係止されるため、
図5に示すように、爪Nの表面で見て、爪Nの表面からx,y,z方向への雄部材12の不用意な離脱を防止することが可能となっている。
【0021】
さらに、この実施例1の爪の装飾具10では、装飾体Dとして、複数の種類の異なる装飾体Dを準備しておけば、「TPO(時・場所・場合)」に応じて、使用者の好みの別の装飾体Dを雄部材12に接着・固定することができるので、使用者の服装や髪型、仕事やプライベートに応じた使い分けが可能となるものである。
【0022】
また、雄部材12が雌部材14に対して簡便に交換自由となるため、装飾体Dとして使用できる素材の種類が多様となる。すなわち、例えば一般的に使用期間の短い紙製の素材、生花などの植物素材、さらに長期間、何回も繰り返し使用できる宝石類等の高価なアクセサリーを装飾体Dとして使用することができるため、装飾体Dの活用幅が広がるものとなる。さらに、プラスチック製素材等の比較的安価な装飾体Dも近い捨てることなく、長時間、何回も繰り返し使用することが可能となるし、装飾体Dの交換も使用者自身でできるので、ネイリスト等の第三者に装飾体Dの爪Nへの装着作業を行ってもらう必要もなく、それに対する費用も不要となるので、対費用効果について経済的なものである。
【0023】
ここで、実施例1に係る爪の装飾具10において、装飾体Dが保持された雄部材12を使用しない場合用いられる別の雄部材44の一例について説明する。
図8は、実施例1に係る爪の装飾具の別の雄部材の一例を示すと共に、保護部材被覆工程を施した状態の一例を断面的に見た説明図であり、
図9は、それを平面的に見た説明図である。
この別の雄部材44は、
図8に示すように、断面U字状に折り曲げられた弾性変形可能な別の雄折曲プレート16を含む。この別の雄折曲プレート16は、別の雄折返し部17を介して対向する別の第1の雄弾性片部22および別の第2の雄弾性片部24を含み、第2の雄弾性片部24の外面側には、装飾体Dが保持されていないものである。
【0024】
この別の雄部材44は、実施例1に係る爪の装飾具10において、装飾体Dが保持された雄部材12を使用しないときに、この別の雄部材12の別の第1の雄弾性片部22を雌部材14の差込み部20に、着脱自在に差し込むものである。
そのため、使用者は、従来技術のように、装飾体Dが邪魔となり、また、装飾体Dが何かに引っ掛かって装飾体Dが破損する虞や、延いては爪N自体が損傷することを防止することが可能となっている。しかも、従来技術のように、装飾体D自体が嵩高となり、取付具を介して爪Nに装飾体Dを取付けたときの装飾部全体の可及的低背化が困難となる不具合も解消することが可能となっている。
【0025】
さらに、この別の雄部材44において、別の雄折曲プレート16の第2の雄弾性片部24の外側面には、
図8に示すように、保護部材としてのたとえば保護層46が被覆・形成されている。保護層46は、たとえばスカルプ等のネイル用接着剤が、第2の雄弾性片部24の外側面に塗布された後、UV(紫外線)照射によって樹脂硬化させることによって形成されている。また、保護層46としては、スカルプ等のネイル用接着剤が第2の雄弾性片部24の外側面に塗布・乾燥させることによって形成され得る。
さらに、保護部材としては、たとえば
図10に印すように、保護層46に変えて、プラスチック材料で形成されたドーム状の保護カバー48を爪の装飾具10の上側から当該装飾具10全体を被覆するようにしてもよい。この場合、保護カバー48は、その主面部の下面側が接着剤Aで第2の雄弾性片部24の上面に接着・固定される。
【0026】
次に、実施例1に係る爪の装飾具10の使用方法の一例について、
図5~
図7を参照しながら、以下、説明する。
先ず、爪Nの表面に雌部材12がたとえば接着材Aにより接着される(雌部材接着工程)。一方で、人の手または足の指の爪Nを装飾する装飾体Dが、雄折曲プレート18の第2の雄弾性片部24の外面側に、たとえば接着材Aにより接着して保持・固定される(装飾体保持工程)。
次に、雄折曲プレート18の第1の雄弾性片部22が、雌部材14の差込み部20に着脱自在に差し込まれる(差込み工程)。
この使用方法により、第1の雄弾性片部22が差込み部20に抜き差し自在に差し込まれたとき、雄部材12と雌部材14とは、第1の雄弾性片部22の雄屈曲片28の上向き撓み辺30が第2の雌弾性片部38の雌係止孔40の基端縁部26Aに付勢した状態で当接して係止される。
【0027】
さらに、実施例1に係る爪の装飾具10の使用方法において、装飾体Dが保持された雄部材12を使用しない場合、あるいは装飾体Dが保持された雄部材12を雌部材14から取外した状態で、たとえば家事や日常業務を行う場合に、上記した別の雄部材44が準備される工程をさらに含む。次に、別の雄部材44の別の第1の雄弾性片部22を雌部材14の差込み部20に、着脱自在に差し込まれる(別の差込み工程)。また、別の差込み工程の前または後に、別の雄部材44の別の第2の雄弾性片部24の外面を覆うように保護部材としての保護層46が被覆される(保護部材被覆工程)。
【0028】
上記した実施例1に係る爪の装飾具10およびその使用方法によれば、使用者自身が何時でも何処でも簡単に短時間で爪に着脱自在で、且つ、使用者の要望により装飾体のデザインを容易に変更可能で、不用意に外力が掛かっても爪から外れ難く、装飾体を取外した状態で家事や日常業務に支障の無い、爪の装飾具およびその使用方法が得られる。