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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109429
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】植物保持具出し入れ装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/04 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
A01G31/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014220
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 政樹
(72)【発明者】
【氏名】長澤 拓也
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314PD06
(57)【要約】
【課題】連続的に植物保持具を植物栽培部に出し入れすることができる植物保持具出し入れ装置を提供する。
【解決手段】人工照明101によって植物を栽培する植物栽培部に対して植物を保持する植物保持具2を導入又は搬出する植物保持具出し入れ装置1であり、揺動部11と角度変更手段65を有し、揺動部11は、植物保持具2を直線的に移動させる搬送部23を有し、角度変更手段65によって揺動部11の角度を変更して揺動部11の一端側の高さを変更可能であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培する植物栽培部に対して植物を保持する植物保持具を導入又は搬出する植物保持具出し入れ装置において、
揺動部と角度変更手段を有し、
前記揺動部は、前記植物保持具を直線的に移動させる搬送部を有し、
前記角度変更手段によって前記揺動部の角度を変更して当該揺動部の一端側の高さを変更可能であることを特徴とする植物保持具出し入れ装置。
【請求項2】
前記揺動部は、前記搬送部の下部に設けられた受水部と、前記受水部に繋がる集水部を有し、
植物保持具からあふれ出た培養液を前記受水部で受けて集水部側に流すことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の植物保持具出し入れ装置。
【請求項3】
前記揺動部の先端に、自由回転する一時支持部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の植物保持具出し入れ装置。
【請求項4】
搬送部はコンベヤ装置であり、前記植物保持具を一個分ずつ移動させて自動停止させることを特徴とする請求項1に記載の植物保持具出し入れ装置。
【請求項5】
揺動部の角度が下方に変わることを物理的に阻止するロック手段を有することを特徴とする請求項1に記載の植物保持具出し入れ装置。
【請求項6】
前記ロック手段が揺動部の角度が変わることを阻止することができる状態であることを条件として前記搬送部を駆動することが可能となることを特徴とする請求項5に記載の植物保持具出し入れ装置。
【請求項7】
前記ロック手段が揺動部の角度が変わることを阻止することができない状態であることを条件として前記角度変更手段を駆動することが可能となることを特徴とする請求項5に記載の植物保持具出し入れ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工照明によって植物を栽培する植物栽培部に対して植物保持具を導入又は搬出する植物保持具出し入れ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農作物を建屋内で連続的に栽培する植物栽培装置が知られている。植物栽培装置は、作物工場と通称される栽培形態に使用されるものである。即ち植物栽培装置は、人工照明を使用して作物に適度の日照を与えると共に、建屋内や室内を生育に適した温度や湿度に保って作物を育成する装置である。
植物栽培装置によると、日照や温度、水分、肥料濃度等が適度に制御された環境で作物を作ることができるので、露地栽培に比べて収穫に要する期間が短い。
また植物栽培装置の多くは水耕栽培によって作物を育成するものであり、露地栽培に比べて清潔である。さらに室内で作物を栽培するので害虫が付かず、無農薬で作物を栽培することができる。そのため植物栽培装置は、レタス等の皮を剥いたりせずに食する野菜を栽培するのに好適である。
【0003】
植物栽培装置の多くは、植物保持具に植物の苗を植え付けて人工照明が設置された植物栽培部に導入して植物を成長させる。また手入れのために栽培部から植物保持具を出し入れすることもある。さらに収穫のために植物栽培部から植物保持具を排出することもある。
ところで、植物栽培装置は室内に設置されるものであるから、床面積を有効利用するために、多段構造とすることが多い。そのため植物栽培部から植物保持具を出し入れするには、植物保持具を所定の高さに持ち上げる必要がある。
特許文献1に開示された植物栽培装置の植物保持具出し入れ装置では、植物保持具を垂直方向に昇降させる昇降手段が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-136028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された植物保持具出し入れ装置は、昇降装置によって植物保持具を載せて所望の高さに乗降させるものである。即ち特許文献1に開示された植物保持具出し入れ装置は、植物保持具を一個ずつ昇降させて植物栽培部に出し入れするものである。
特許文献1に開示された植物保持具出し入れ装置によると、一台の植物保持具を昇降させている間、他の植物保持具は待機状態となっている。そのため、特許文献1に開示された植物保持具出し入れ装置は効率が悪く。単位時間あたりに出し入れすることができる植物保持具の数が少ない。
本発明は、従来技術の上記した問題に注目し、連続的に植物保持具を植物栽培部に出し入れすることができる植物保持具出し入れ装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するための態様は、植物を栽培する植物栽培部に対して植物保持具を導入又は搬出する植物保持具出し入れ装置において、揺動部と角度変更手段を有し、前記揺動部は、前記植物保持具を直線的に移動させる搬送部を有し、前記角度変更手段によって前記揺動部の角度を変更して当該揺動部の一端側に高さを変更可能であることを特徴とする植物保持具出し入れ装置である。
【0007】
本態様の植物保持具出し入れ装置は、揺動部を有し、当該揺動部には、植物保持具を直線的に移動させる搬送部がある。また本態様の植物保持具出し入れ装置では、角度変更手段によって揺動部の角度を変更して揺動部の一端側に高さを変えることができる。
そのため揺動部の一端側の高さを所望の階の植物栽培部に合わせて植物栽培部の出入り口と搬送部を繋ぐことができる。そして植物栽培部内の植物保持具を連続的に搬送部で搬出したり、地階から植物栽培部内に連続的に植物保持具を搬入することができる。
【0008】
上記した態様において、前記揺動部は、前記搬送部の下部に設けられた受水部と、前記受水部に繋がる集水部を有し、植物保持具からあふれ出た培養液を前記受水部で受けて集水部側に流すことが可能であることが望ましい。
【0009】
本態様の植物保持具出し入れ装置は、本態様の植物保持具出し入れ装置は、搬送部の下部に受水部があり、例えば植物に付着して滴る培養液を受水部で受けることができる。また本態様の植物保持具出し入れ装置は、受水部に繋がる集水部を有し、集水部側に流すことができるので、培養液を回収しやすい。
【0010】
上記した態様において、前記揺動部の先端に、自由回転する一時支持部材が設けられていることが望ましい。
【0011】
本態様によると、植物栽培部から植物保持具出し入れ装置に植物保持具を受け渡す際や、その逆の際に、植物保持具の一部をコロ又はローラ等の一時支持部材で一旦保持することができる。そしてその状態で植物保持具を移動させて植物保持具出し入れ装置又は植物栽培部に植物保持具を引き渡すことができる。
そのため、作業者が植物保持具を持ち上げておかなければならない時間が短く、作業が楽である。
【0012】
上記した態様において、搬送部はコンベヤ装置であり、前記植物保持具を一個分ずつ移動させて自動停止させることができることが望ましい。
【0013】
本態様によると、搬送部内において、植物栽培装置同士が強く衝突することを阻止することができる。
【0014】
上記した態様において、揺動部の角度が下方に変わることを物理的に阻止するロック手段を有することが望ましい。
【0015】
本態様によると、揺動部が不意に落下する事故を未然に防ぐことができる。
【0016】
上記した態様において、前記ロック手段が揺動部の角度が変わることを阻止することができる状態であることを条件として前記搬送部を駆動することが可能となることが望ましい。
【0017】
本態様によると、作業中に揺動部の角度が変わってしまうことがなく、安全性が高い。
【0018】
上記した態様において、前記ロック手段が揺動部の角度が変わることを阻止することができない状態であることを条件として前記角度変更手段を駆動することが可能となることが望ましい。
【0019】
本態様によると、揺動部がロック手段に衝突することを防ぐことができ、装置の故障を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の植物保持具出し入れ装置によると、植物栽培部内の植物保持具を連続的に搬送部で搬出したり、地階から植物栽培部内に連続的に植物保持具を搬入することができ、単位時間あたりの出し入れ可能量が多い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態の植物保持具出し入れ装置を採用した植物栽培システムの斜視図である。
図2図1の植物保持具出し入れ装置の揺動部の分解斜視図である。
図3図1の植物保持具出し入れ装置の角度変更手段近傍の斜視図である。
図4図1の植物保持具出し入れ装置のロック手段の斜視図であり、当該ロック手段がロック状態である状態を示す。
図5図1の植物保持具出し入れ装置のロック手段の斜視図であり、当該ロック手段が解除状態である状態を示す。
図6図1の植物保持具出し入れ装置の概略正面図であり、ロック手段がロック状態である状態を示す。
図7図1の植物保持具出し入れ装置の概略正面図であり、ロック手段が解除である状態を示す。
図8図1の植物保持具出し入れ装置の概略側面図であって傾斜角度が異なる状態を示すものであり、(a)は、植物保持具出し入れ装置の先端が植物栽培部の一階部にある状態であり、(b)は、植物保持具出し入れ装置の先端が植物栽培部の二階部にある状態であり、(c)は、植物保持具出し入れ装置の先端が植物栽培部の三階部にある状態であり、(d)は、植物保持具出し入れ装置の先端が植物栽培部の四階部にある状態である。
図9図1の植物保持具出し入れ装置の動作を説明する概念的な側面図であり、(a)乃至(d)は、最初の一個の植物保持具を受け入れる際の状態を示す。
図10図1の植物保持具出し入れ装置の図9に続く動作を説明する概念的な側面図であり、(e)乃至(h)は、二個目の植物保持具を受け入れる際の状態を示す。
図11図9の状態における概念的な平面図であり、(a)乃至(d)は、最初の一個の植物保持具を受け入れる際の状態を示す。
図12図10の状態における概念的な平面図であり、(e)乃至(h)は、二個目の植物保持具を受け入れる際の状態を示す。
図13図1の植物保持具出し入れ装置の動作を説明する概念的な側面図であり、(i)は、搬送部を連続運転し、下流側のセンサーが植物保持具を検知して搬送部がセンサーの位置で自動停止した状況を示し、(j)は、植物保持具がセンサーをオーバーランしてコロに当たって停止した状況を示す。
図14】(a)は、図1の植物保持具出し入れ装置の受水部の末端部の断面斜視図であり、(b)は、当該位置の断面図である。
図15図1の植物栽培システムの植物栽培装置で採用される植物保持具と養液槽の斜視図である。
図16図1の植物栽培システムの植物栽培装置で採用される養液槽に植物保持具を装着した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態の植物保持具出し入れ装置1は、図1の様に植物栽培装置100と組み合わされて植物栽培システム200を構成するものである。
【0023】
最初に植物栽培装置100について簡単に説明する。
植物栽培装置100は、4階建て構造であり、各階に照明101と、養液槽102が設けられている。そして養液槽102に植物保持具2が装着されている。
【0024】
養液槽102は、図15の様に溝状の水槽であり、上面が開放されている。
養液槽102は細長く、深さは浅い。養液槽102の内面は、防水処理が施されていて内部に水(培養液)を溜めることができる。
【0025】
植物保持具2は、比重の軽い素材で作られた板であり、複数の開口3が設けられている。開口3には植物の苗が保持される。植物保持具2は、浮力が強く、単体で水に浮くばかりでなく、植物を保持した状態であっても沈まない。
植物保持具2は、図16の様に開口3に植物が保持された状態で、養液槽102の培養液に浮かされる。
【0026】
本実施形態では、図16の様に養液槽102に植物保持具2が複数浮かべられ、植物保持具2は外力によって一定の方向に進められる。即ち養液槽102の水面を覆うように植物保持具2が敷きつめられ、植物保持具2が養液槽102の水面に浮かされている。そのため人力によって養液槽102上の植物保持具2を押すと、植物保持具2は容易に移動する。即ち植物保持具2は、筏のごとく養液槽102の水面に浮いており、上流側にある植物保持具2を押すと、植物保持具2は下流側に流れてゆく。また下流側に流れた植物保持具2は、隣接する植物保持具2を押し、当該植物保持具2も下流側に流れる。結果的に、養液槽102に浮かべられた全ての植物保持具2が下流側に流れてゆく。
【0027】
次に植物保持具出し入れ装置1について説明する。以下の説明において、使用時に植物栽培装置100に近接される側を先端側と称し、その反対側を末端側と称することとする。
植物保持具出し入れ装置1は、図1の様にフレーム10に、揺動部11が揺動可能に取り付けられたものである。
フレーム10は、鋼材によって枠組みされたものであり、本体部12と、先端側支持部15によって構成されている。
本体部12は、鋼材が直方体状に枠組みされたものであり、全高は作業者の腰程度に相当する高さである。
【0028】
先端側支持部15は、図1図3図6図7の様に、鋼材が門型に枠組みされたものである。即ち先端側支持部15は、図1図3図6図7の様に、距離をおいて配置された左右の柱部材16a、16bと、その上端同士を繋ぐ横梁部材17を有している。また柱部材16a、16bの下端は補強部材18で繋がれている。柱部材16は、いずれも断面形状が「凹」型である。左右の柱部材16a、16bは、凹面を向き合わせた姿勢で配置されている。
先端側支持部15の全高は、本体部12よりも高く、植物栽培装置100と同等の高さである。
先端側支持部15は、本体部12の先端側に設けられている。またフレーム10の下辺には、キャスター20が取り付けられている。キャスター20には図示しないブレーキがある。
フレーム10には、複数のハンドル27が設けられている。
【0029】
先端側支持部15には、後記する様に、角度変更手段65の昇降機構部66が設けられている。また先端側支持部15の一方の柱部材16bには、後記する様に、ロック手段77が設けられている。
【0030】
揺動部11は、図2の様に、揺動台21と、受水部材(受水部)22と、搬送部23によって構成されている。また揺動部11には植物保持具2を検知するセンサー32が設けられている。揺動部11は、傾斜姿勢となり、先端部側を高くすることができるものである。また揺動部11は植物保持具2を直線的に搬送することができる。
揺動台21は、長尺の鋼材によって構成された側壁部材25a、25bが間隔をあけて平行に配されたものである。側壁部材25a、25bの下面同士は、数本の接合部材26で繋がれている。
側壁部材25a、25bの断面形状は凹形であり、側壁部材25a、25bは、凹面が背中合わせとなっている。
【0031】
揺動台21の先端と末端側には、コロ30a、30b、30c、30dが設けられている。コロ30a、30b、30c、30dは、いずれも支持部材31に支持されていて自由回転可能な一時支持部材である。
コロ30a、30bは、支持部材側壁部材25a、25bの先端側の先端部であって、その上面に支持部材31を介して取り付けられており、コロ30a、30b自体の位置は、支持部材側壁部材25a、25bよりも高く、且つ支持部材側壁部材25a、25bの先端よりもさらに先端側に突出した位置にある。
コロ30c、30dは、支持部材側壁部材25a、25bの末端部であって、その上面に支持部材31を介して取り付けられており、30c、30d自体の位置は、支持部材側壁部材25a、25bよりも高く、且つ支持部材側壁部材25a、25bの先端よりもさらに末端側に突出した位置にある。
一時支持部材は、コロ30a、30b、30c、30dに変わって短尺のローラや球であってもよい。
【0032】
側壁部材25a、25bの先端近傍であって、その下面に図2図3の様に受け部材33が設けられている。
受け部材33は、図3の様に長孔35が設けられた細長い板状の部材であり、長孔35が支持部材側壁部材25a、25bに対して平行となる様な姿勢で側壁部材25a、25bに取り付けられている。
センサー32は、光電センサーであり、側壁部材25a、25bの先端部及び末端部に設けられている。
センサー32は、投光側部材と、受光側部材を有し、両者の間を遮るものがあるか否かを検知するものである。センサー32の投光側部材は、一方の側壁部材25の上面に設けられている。受光側部材は、他方の側壁部材25の上面に設けられている。
【0033】
受水部材(受水部)22は、ステンレススチール等のさびにくい素材で作られた樋状の部材である。
受水部材22は、薄板で作られており、全幅は揺動台21の側壁部材25a、25b間の幅と略等しい。また受水部材22の全長は、揺動台21の側壁部材25a、25bの長さと略等しい。
受水部材22の断面形状は、図14の様な谷状である。即ち、受水部材22は、中央に長手方向に延びる溝部40があり、その周囲に下向きの傾斜面41a、41bがある。
溝部40の断面形状は「凹」状であり、平坦な底部42があり、その両辺に垂直壁43がある。傾斜面41a、41bの下辺が溝部40の垂直壁43に繋がっている。
受水部材22の末端部は、図14(b)の様に仕切36があり、それよりも末端側に水が流れない構造となっている。
受水部材22の末端部であって、溝部40の底には開口45があり、溝部40の裏面側にはノズル46が設けられている。
【0034】
搬送部23は、コンベヤ装置であり、植物保持具2を載置して直線的に搬送するものである。
搬送部23は、左側搬送部材50aと右側搬送部材50bが並行に対向して配されたものである。
左側搬送部材50aと右側搬送部材50bの構造は同じものであり、いずれも複数のプーリ及び支持ローラと幅の狭い搬送ベルト51を有している。また左側搬送部材50aと右側搬送部材50bの搬送ベルト51は、共通のモータ内蔵ローラ53を駆動プーリとして走行する。なおモータ内蔵ローラ53は、ローラ本体の中にモータと減速機が内蔵されており、内部のモータによってローラ本体が回転するものである。
【0035】
前記した様に左側搬送部材50aと右側搬送部材50bの構造は同じであるから、左側搬送部材50aについて説明する。
左側搬送部材50aにおける搬送ベルト51の走行経路は図2の様であり、大きく横向き走行路57と、縦向き走行路58を有している。また横向き走行路57は、植物保持具2の底面と接して、植物保持具2を移動させる搬送走行路55と、搬送走行路と略平行の戻り走行路56によって構成されている。
即ち横向き走行路57は、揺動台21の全長と略等して長さを有する走行路である。搬送走行路55は上側にあり、戻り走行路56は、搬送走行路55の下にある。
搬送走行路55の下には多数の支持ローラが配されている。また搬送走行路55の複数の箇所にはテンションプーリ61が配置されている。テンションプーリ61は戻り走行路56にも設置されている。
縦向き走行路58は、横向き走行路57の先端側に繋がり、略垂直方向の下向きに延びる走行路である。縦向き走行路58は駆動プーリたるモータ内蔵ローラ53に搬送ベルト51を懸架する走行路である。
【0036】
横向き走行路57は、両端に方向変換プーリ62a、62bがある。また戻り走行路56にも方向変換プーリ62cがある。
縦向き走行路58には、モータ内蔵ローラ53との接触面を長く確保するために、補助プーリ63a、63bが配置されている。補助プーリ63a、63bは、モータ内蔵ローラ53の両脇にある。搬送ベルト51はこれらのプーリ及びモータ内蔵ローラと係合している。
【0037】
搬送ベルト51の走行経路を駆動プーリたるモータ内蔵ローラ53を起点として大まかに説明すると次の通りである。なお搬送部23は、植物保持具2を先端側に向かって搬送することもでき、逆に末尾側に向かって搬送することもできるが、説明の都合上、植物保持具2を先端側に向かって搬送する場合について説明する。
【0038】
搬送ベルト51のモータ内蔵ローラ53と接触した領域(以下単に搬送ベルト51と称する)は、末端側の補助プーリ63bによって向きを変えて上向きに走行し、横向き走行路57であって戻り走行路56の先端の方向変換プーリ62cと係合する。そして搬送ベルト51は、方向変換プーリ62cによって走行方向を横方向に変え、末端側の方向変換プーリ62bに向かって走行し、横向き走行路57の末端側の方向変換プーリ62bと係合する。搬送ベルト51は、方向変換プーリ62bによって走行方向が折り返され、搬送走行路55に入る。そして搬送走行路55の方向変換プーリ62aと係合して下向きに方向を変え、縦向き走行路58に入る。さらに搬送ベルト51は、先端側の補助プーリ63aによって向きを変えて上向きに走行し、モータ内蔵ローラ53と係合する。
【0039】
揺動部11には図示しない搬送部23の操作板がある。操作盤には、植物保持具出し入れ装置1を起動する起動スイッチと、コマ送りスイッチ(図示せず)と、寸動スイッチと、連続運転スイッチとがある。本実施形態では、操作板は、揺動部11の先端側と末端側の双方に設けられている。
【0040】
コマ送りスイッチは、搬送部23を駆動して植物保持具2をコマ送り状に動かすスイッチである。具体的には、コマ送りスイッチは、側壁部材25aに設けられたセンサー32と連携して搬送部23を駆動させるスイッチである。コマ送りスイッチを操作すると、側壁部材25aに設けられたセンサー32が植物保持具2を検知していることを条件としてモータ内蔵ローラ53が駆動して搬送ベルト51が走行する。センサー32が植物保持具2を検知しなくなると、モータ内蔵ローラ53が停止して搬送ベルト51が停止する。コマ送りスイッチを操作することにより、植物保持具2が、一個分ずつ移動して自動停止する。
【0041】
寸動スイッチは、押しボタンスイッチであり、作業者が当該寸動スイッチを押している間だけ搬送部23が駆動し搬送ベルト51が走行する。
連続運転スイッチは、搬送部23を連続的に駆動するスイッチであり、搬送ベルト51が連続的に走行して、植物保持具2を下流側に送る。
寸動スイッチを操作して植物保持具2を下流側に送る場合や、連続運転スイッチを操作して植物保持具2を下流側に送る場合は、行き先側のセンサー32が、植物保持具2を検知すると搬送部23が停止する。
例えば先端側から末端側に向かって植物保持具2を搬送する場合、先頭の植物保持具2が末端のセンサー30a、30bに検知されると、搬送部23が停止する。逆に、末端側から先端側に向かって植物保持具2を搬送する場合、先頭の植物保持具2が末端側のセンサー30a、30bに検知されると、搬送部23が停止する。
【0042】
揺動部11は、揺動台21の側壁部材25a、25bの間に受水部材22が配置され、さらに側壁部材25a、25bの間であって受水部材22の上に搬送部23が設けられている。
【0043】
次に角度変更手段65について説明する。角度変更手段65は、揺動部11の傾斜角度を変更するものであり、前記した揺動部11の受け部材33と、フレーム10の先端側支持部15に設けられた昇降機構部66によって構成されている。
昇降機構部66は、図3の様に左右一対の歯付きベルト70を利用したものである。
即ち昇降機構部66は、左側昇降部材71aと、右側昇降部材71bが並行に対向して配されたものである。
左側昇降部材71aと右側昇降部材71bの構造は同じものであり、いずれも複数のプーリと歯付きベルト70を有している。また左側昇降部材71aと右側昇降部材71bの歯付きベルト70は、共通のモータ内蔵ローラ53によって駆動される。
【0044】
左側昇降部材71a及び右側昇降部材71bは、上部側プーリ72aと下部側プーリ72bを有し、両者の間に歯付きベルト70が懸架されたものである。上部側プーリ72aと下部側プーリ72bは、いずれも歯付きプーリである。左側昇降部材71aに属する下部側プーリ72bと、右側昇降部材71bに属する下部側プーリ72bは、フレーム10の左右の柱部材16a、16bにかけ渡されたモータ内蔵ローラ53のローラ本体に装着されたものである。
また本実施形態では、下部側プーリ72bの両脇に補助プーリ73a、73bが配置されている。補助プーリ73a、73bは、歯付きベルト70が駆動側たる下部側プーリ72bから離脱することを防ぐために設けられたものであり、補助プーリ73a、73bによって歯付きベルト70が下部側プーリ72b側に押圧されている。
右側昇降部材71aの各部材は、右の柱部材16aの凹部内に収容されている。また左側昇降部材71bの各部材は、左の柱部材16bの凹部内に収容されている。
【0045】
右側昇降部材71a及び左側昇降部材71bの間には昇降バー75がかけ渡されている。昇降バー75は、一端が図示しない取り付け治具によって左側昇降部材71aの歯付きベルト70に固定されており、昇降バー75の他端は図示しない取り付け治具によって右側昇降部材71bの歯付きベルト70に固定されている。
【0046】
次に、ロック手段77について説明する。
ロック手段77は、図4乃至図8の様にフレーム10の左の柱部材16bであって、植物栽培装置100に面する側(以下正面板78)に設けられている。
ロック手段77は、安全プレート(落下阻止部材)80を有している。安全プレート80は、平面部81と折り返し部68を有して断面形状が略「L」状である。
平面部81の一辺は、柱部材16aに装着された姿勢を基準として先端側支持部15の内側に向く辺であり、第一突起82a、第二突起82b、第三突起82cがある。そして各突起82の上部が第一段部83a、第二段部83b、第三段部83cとなっている。
【0047】
また第三突起82cの下側は、一部が切り欠かれており、下方に突出する突出部93が形成されている。
安全プレート(落下阻止部材)80の平面部81には、ガイド孔85a、85bが設けられている。ガイド孔85a、85bは鉤状であり、水平部86と、円弧部87を有している。水平部86は、柱部材16aに装着された姿勢を基準として横方向に延びる長孔である。円弧部87は、水平部86の突起82が設けられた側に連続するものであり、柱部材16aに装着された姿勢を基準として上側に巻き上げられた形状となっている。
水平部86は長く、水平部86の折り返し部68側の末端は、平面部81の平面部81の中心近くに至っている。これに対して円弧部87は短く、円弧部87の折り返し部68側の末端は、折り返し部68から遠い位置で止まっている。
安全プレート80の折り返し部68には外側に向かってハンドル95が設けられている。
【0048】
一方、フレーム10の右の柱部材16aの正面板78には、ピン88a、88bと係合片90a、90bが設けられている。
安全プレート(落下阻止部材)80は、柱部材16aの正面板78に水平部86の裏面が面接触する状態で取り付けられている。そして柱部材16aのピン88a、88bが、ガイド孔85a、85bと係合している。そのため安全プレート80は、常時柱部材16aの正面板78と面接触し、ガイド孔85a、85bに沿う方向にのみ移動する。
【0049】
安全プレート80の折り返し部68と、柱部材16aの係合片90a、90bの間には、ばね91a、91bが装着されており、安全プレート80は、ばね91a、91bによって、先端側支持部15の門型の内側に突出する方向に付勢されている。
図4図6の様に、ピン88a、88bがガイド孔85a、85bの水平部86にある場合は、ばね91a、91bに引かれて、安全プレート80が柱部材16aから門型の内側に突出する。
ピン88a、88bがガイド孔85a、85bの円弧部87にある場合は、図5図7の様に、安全プレート80は柱部材16a内に収まり、門型の内側に突出しない。
【0050】
柱部材16aにはセンサー92が設けられており、安全プレート80の位置を検知する。即ち、安全プレート80が柱部材16aから門型の内側に突出する姿勢であるか、或いは安全プレート80は柱部材16a内に収まり門型の内側に突出しない姿勢であるのかを判定する。
本実施形態で採用するセンサー92は、近接センサーであり、安全プレート80の突出部93の近接・離反を検知することによって安全プレート80の姿勢を判定する。
センサー92は、近接センサーの様な非接触型のセンサーに限定されるものではなく、リミットスイッチ等の機械的センサーであってもよい。
【0051】
次に、各部材の関係について説明する。
植物保持具出し入れ装置1は、フレーム10に、揺動部11が揺動可能に取り付けられたものである。
即ち揺動部11の末端部が図示しないピンによってフレーム10の本体部12に固定されている。揺動部11の先端側は、先端側支持部15の門型の中を抜けて先端側支持部15のさらに先に突出している。揺動部11の先端側は自由端であるから、揺動部11は末端部のピンを中心として揺動可能である。
【0052】
揺動部11の下面には前記した様に受け部材33が設けられており、図3の様に、当該受け部材33の長孔35に、昇降機構部66の昇降バー75が挿通されている。そのため昇降機構部66を動作させることによって揺動部11が揺動する。
即ち前記した様に昇降バー75は昇降機構部66の歯付きベルト70に取り付けられているから、モータ内蔵ローラ53を回転することにより、歯付きベルト70が上下方向に走行し、昇降バー75が昇降する。昇降バー75は、揺動部11の受け部材33と係合しているので、昇降バー75が昇降することにより、受け部材33が昇降する。
なお揺動部11は、ピン(図示せず)を中心として揺動するので、揺動部11は円弧軌跡を描くこととなるが、受け部材33は長孔35を有し、当該長孔35に昇降バー75が挿通された構造であるから、揺動部11が円弧軌跡を描くことによる長手方向の変位が長孔35によって吸収される。
【0053】
揺動部11の先端部は、昇降機構部66のモータ内蔵ローラ53を回転することにより、昇降する。本実施形態では、図示しない検知手段によってモータ内蔵ローラ53の回転数が累積検知され、揺動部11の先端部が植物栽培装置100の特定の階に相当する高さで停止する様に制御されている。
具体的には、図8(a)の様に、揺動部11の先端部が植物栽培装置100の一階部分に相当する高さで停止することができる。また図8(b)の様に、揺動部11の先端部が植物栽培装置100の二階部分に相当する高さで停止することができる。さらに図8(c)の様に、揺動部11の先端部が植物栽培装置100の三階部分に相当する高さで停止することも、図8(d)の様に、揺動部11の先端部が植物栽培装置100の四階部分に相当する高さで停止することもできる。なお揺動部11の先端部が一階部にあるときは、揺動部11の先端側が下向きに傾斜する。
【0054】
前記したロック手段77は、揺動部11が不用意に落下することを防ぐために機能するものである。
ロック手段77の安全プレート(落下阻止部材)80の段部83は、揺動部11の先端部が、植物栽培装置100の特定の階に相当する高さで停止している際に、揺動部11の裏面のやや下の高さにある。
即ち、第一段部83aは、揺動部11の先端部が植物栽培装置100の4階にある時の揺動部11の裏面のやや下の高さの位置にあり、第二段部83bは、揺動部11の先端部が植物栽培装置100の3階にある時の揺動部11の裏面のやや下の高さの位置にあり、第三段部83cは、揺動部11の先端部が植物栽培装置100の2階にある時の揺動部11の裏面のやや下の高さの位置にある。
【0055】
使用者は、安全プレート80のハンドル95を操作して安全プレート80を移動し、ピン88a、88bがガイド孔85a、85bの円弧部87に係合させる。その結果、図5図7の様に、安全プレート80は柱部材16a内に収まり、門型の内側に突出しない。
この状態で、図示しない制御盤を操作して階を指定し、起動スイッチ等をオンすると、モータ内蔵ローラ53が起動して揺動部11の先端部が所望の階に相当する高さで停止する。このとき、安全プレート80は柱部材16a内に収まっているから、安全プレート80は揺動部11の昇降を妨げない。
【0056】
つぎに作業者は、安全プレート80のハンドル95を操作して安全プレート80を移動し、ピン88a、88bがガイド孔85a、85bの水平部86に係合させる。その結果、図4図6の様に、安全プレート80の突起82が柱部材16aから門型の内側に突出する。
そのため、仮に歯付きベルト70が切れて揺動部11が歯付きベルト70の支持を失っても、安全プレート80の段部83が揺動部11の落下を物理的に阻止する。
即ち、安全プレート80の突起82を柱部材16aから門型の内側に突出させると、突起82は揺動部11の昇降軌跡上に突出し、揺動部11の角度が下方に変わることを物理的に阻止する。
【0057】
また本実施形態では、揺動部11を意図的に昇降させる際に、揺動部11が安全プレート80と衝突しないような電気回路となっている。
具縦的には、柱部材16aに設けられたセンサー92によって安全プレート80の位置を検知しており、安全プレート80が柱部材16a内に収まっていて門型の内側に突出しない姿勢であることを条件として、昇降機構部66を駆動することができる回路となっている。
この様に、本実施形態では、ロック手段77が揺動部11の角度が変わることを阻止することができない状態であることを条件として角度変更手段65を駆動することが可能となる。
【0058】
また本実施形態では、植物保持具出し入れ装置1を使用して、植物栽培装置100から植物保持具2を出し入れする際に、揺動部11が降下しないような電気回路となっている。
具縦的には、柱部材16aに設けられたセンサー92によって安全プレート80の位置を検知しており、安全プレート80が柱部材16aから門型の内側に突出している姿勢であることを条件として、揺動部11の搬送部23を駆動することができる回路となっている。
この様に、本実施形態では、ロック手段77が揺動部11の角度が変わることを阻止することができる状態であることを条件として搬送部23を駆動することが可能となる。
【0059】
次に本実施形態の植物保持具出し入れ装置1の機能を植物栽培装置100から植物保持具2を取り出す際の作業工程に沿って説明する。
最初に、植物保持具出し入れ装置1を植物栽培装置100の近傍に移動させる。
具体的には、フレーム10に取り付けられているキャスター20のブレーキを解除し、ハンドル27やフレーム10を手で掴んで植物保持具出し入れ装置1を押し動かし、植物保持具出し入れ装置1を植物栽培装置100の近傍に移動させる。
【0060】
そして、揺動部11を昇降させて、揺動部11を植物栽培装置100の所望の階に合わせる。
図9(a)、図11(a)は、揺動部11を植物栽培装置100の所望の階に合わせた状態を模式的に表している。
そして作業者の手によって、植物栽培装置100の養液槽102から植物保持具2aを引上げ、図9(b)、図11(b)の様にコロ30a、30bに、植物保持具2aを載せる。次いで図9(c)、図11(c)の様にコロ30a、30b上で植物保持具2aを転がし、植物保持具2aを搬送部23に載せる。なお高い階から植物保持具2を搬出する場合には、脚立や作業台の上に作業者が乗って養液槽102から植物保持具2aを引上げることとなる。
この状態で作業者は、先端側の操作板のコマ送りスイッチを操作する。前記した様に、コマ送りスイッチを操作すると、側壁部材25aに設けられたセンサー32が植物保持具2aを検知している間だけモータ内蔵ローラ53が駆動して搬送ベルト51が走行する。そのため、図9(d)、図11(d)の様に植物保持具2aの全体が搬送ベルト51の上に乗り、先端部側(植物栽培装置100側)に少し隙間ができた状態で搬送ベルト51が停止する。
【0061】
続いて作業者の手によって、植物栽培装置100の養液槽102から次の植物保持具2bを引上げ、図10(e)、図12(e)の様にコロ30a、30bに、植物保持具2bを載せる。次いで図10(f)、図12(f)の様にコロ30a、30b上で植物保持具2bを転がし、植物保持具2bを搬送部23に載せる。
【0062】
この状態で作業者は、コマ送りスイッチを操作する。その結果、図10(g)、図12(g)の様に搬送ベルト51が駆動し、先の植物保持具2aが下流側に進むとともに、次の植物保持具2bの全体が搬送ベルト51の上に乗る。そして図10(h)、図12(h)の様に、植物保持具2bの先端部側(植物栽培装置100側)に少し隙間ができた状態で搬送ベルト51が停止する。
この作業を繰り返し、植物栽培装置100の養液槽102から取り出した植物保持具2を順次下流側に送り出す。
【0063】
この様に本実施形態の植物保持具出し入れ装置1によると、植物栽培装置100の高所の養液槽から取り出された植物保持具2を、次々と連続的に下におろすことができる。
また本実施形態の植物保持具出し入れ装置1によると、複数の植物保持具2が繋がった状態で搬送されていく。植物保持具2は、整然と送り出されるので下流部分で植物保持具2同士が衝突したり、間隔が開いた状態で搬送されてゆくことが少なく、作業しやすい。
なお、搬送ベルト51の停止中は、植物保持具2の重量によってモータ内蔵ローラ53が強制的に回転されることを防ぐため、モータ内蔵ローラ53に弱い逆回転方向の電流が供給されている。
【0064】
上記した作業では、植物保持具2の底の両端近傍が一対の搬送ベルト51で支持され、下流側に搬送されてゆく。
搬送に際しては、植物保持具2の底の大部分は、受水部材(受水部)22の上にある。即ち、植物の根の部分は、植物保持具2の底から受水部材(受水部)22側に垂れ下がった状態となっている。また植物栽培装置100は、植物を水耕栽培するものであるから、根には培養液が大量に付着しており、根から滴り落ちる。
本実施形態の植物保持具出し入れ装置1では、根の下方に受水部材(受水部)22があり、滴り落ちる培養液は受水部材22に落下して受けられる。
【0065】
受水部材22は、中央に長手方向に延びる溝部40があり、その周囲に下向きの傾斜面41a、41bがある。そのため滴り落ちた培養液は、傾斜面41a、41bを流れて中央の溝部40に集められる。
そして培養液は、溝部40を流れて仕切36の部分(集水部37)に集められ、開口45から排出される。具体的には裏面側に設けられたノズル46からホース等によって集水部37に集められた水がバケツ120等の収容容器に収容される。
そのため作業場の床に培養液が漏れることが少なく、作業場は清潔な環境に保たれる。
【0066】
また本実施形態の植物保持具出し入れ装置1では、養液槽102から引き上げられた植物保持具2をコロ30a、30bに仮置きして搬送部23に載せるので、作業者が植物保持具2を持ち上げておかなければならない時間が短く、作業が楽である。
【0067】
前記した使用方法は、操作板のコマ送りスイッチを使用して植物保持具2を搬送したが、寸動スイッチを使用して植物保持具2を搬送してもよい。
寸動スイッチを使用して植物保持具2を搬送する場合は、目視で植物保持具2の位置を確認して寸動スイッチを操作することとなる。
即ち図9(c)、図11(c)の様にコロ30a、30b上で植物保持具2aを転がし、植物保持具2aを搬送部23に載せた後、寸動スイッチを操作して搬送部23を駆動する。作業者は植物保持具2aの位置を目視で確認し、図9(d)、図11(d)の様に植物保持具2aの全体が搬送ベルト51の上に乗り、先端部側(植物栽培装置100側)に少し隙間ができた状態で搬送ベルト51のときに寸動スイッチから手を離して搬送部23を停止させる。
次の植物保持具2bについても同様であり、植物保持具2a、2bの位置を目視で確認しつつ、寸動スイッチを操作して下流に送り出す。
【0068】
例えば、図10(h)、図12(h)の様に、搬送部23の搬送ベルト51上に植物保持具2が乗っている状態で連続運転スイッチを操作すると、図13の様に、植物保持具2a、2bは後端側に向かって移動し、図13(i)の様に先頭の植物保持具2aが末端のセンサー30a、30bの位置に至ったところで停止する。
【0069】
何らかの事情により、センサー30a、30bが植物保持具2aを検知することができず、植物保持具2がオーバーランした場合は、植物保持具2aが末端のコロ30c、30dに当たり、植物保持具2a、2bが強制的に停止される。そのため植物保持具2a、2bが植物保持具出し入れ装置1から脱落することはない。
植物保持具2末端側から先端側に搬送する場合も同様であり、植物保持具2が植物保持具2末端側から落下することはない。
【0070】
以上、植物栽培装置100から植物保持具2を取り出して下に降ろす際の作業について説明したが、地上の植物保持具2を植物栽培装置100の上階に搬入する際にも本実施形態の植物保持具出し入れ装置1を使用することができる。
【0071】
本実施形態の植物保持具出し入れ装置1は、植物保持具2にある植物を手入れしたり、植物保持具2に苗を装着するといった作業を行う際の作業台として使用することもできる。即ち、図1の様に、揺動部11を水平に近い姿勢にし、揺動部11の上に植物保持具2を置いて作業をすることができる。このとき、揺動部11は、先端側をやや上にした姿勢にしておくと、植物から滴る水を受水部材(受水部)22で受けて集水部37に流すことができる。
【0072】
以上の実施形態で説明した植物栽培装置100は、大型の養液槽102を有し、当該養液槽102に植物保持具2を浮かべて送りだす構造のものであるが、本発明は植物栽培装置100の構造については何ら限定するものではなく、例えば内部に培養液を保有する小型の貯留槽と植物保持具がセットとなった栽培トレイを使用するものであってもよい。この構造の栽培トレイを使用する場合には、栽培トレイごと植物栽培装置からとりだすこととなる。当該栽培トレイは、傾斜姿勢にすると内部の培養液があふれ出るので、受水部材22で受けることとなる。
【0073】
以上説明した実施形態では、角度変更手段65の昇降機構部66として、歯付きベルト70を使用したものを例示したが、歯付きベルト70に代わってチェーンやワイヤーを使用したものであってもよい。
また上記した角度変更手段は、歯付きベルト70で揺動部11を吊り下げて、吊り下げ部分の高さを変更することによって揺動部11を傾斜させるものであるが、揺動部11の下部をシリンダーやモータで持ち上げることによって揺動部11を傾斜させてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 植物保持具出し入れ装置
2 植物保持具
2a、2b 植物保持具
3 開口
11 揺動部
15 先端側支持部
21 揺動台
22 受水部材
23 搬送部
30a、30b、30c、30d コロ
32 センサー
40 溝部
41a、41b 傾斜面
45 開口
65 角度変更手段
66 昇降機構部
77 ロック手段
80 安全プレート
92 センサー
100 植物栽培装置
101 照明
102 養液槽
200 植物栽培システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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