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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109447
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】液体噴射方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/26 20060101AFI20240806BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240806BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/14 301
B41J2/14 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014249
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 嵩貴
(72)【発明者】
【氏名】勝家 隼
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
4D075
【Fターム(参考)】
2C056EC03
2C056EC08
2C056EC11
2C056EC42
2C056FA04
2C056FA10
2C056FD20
2C056HA38
2C057AG14
2C057AG44
2C057AG75
2C057AH20
2C057AM03
2C057AM15
2C057AM18
2C057AN01
2C057BA04
2C057BA14
2C057DB03
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA04
4D075DA06
4D075DB01
4D075DB14
4D075DB31
4D075EA05
4D075EA35
(57)【要約】
【課題】液体噴射ヘッドから液体を噴射することにより液滴を形成する場合に、媒体上に液滴を形成するために要する期間を短縮すること。
【解決手段】複数のノズルが並ぶことで構成されたノズル列を備える液体噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射方法であって、前記液体噴射ヘッドは、第1媒体に対して相対移動が可能であり、前記相対移動を停止させた状態で前記ノズル列の一部を構成する複数の第1ノズルから液体を噴射することで1つの第1液滴を前記第1媒体上に形成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルが並ぶことで構成されたノズル列を備える液体噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射方法であって、
前記液体噴射ヘッドは、第1媒体に対して相対移動が可能であり、
前記相対移動を停止させた状態で前記ノズル列の一部を構成する複数の第1ノズルから液体を噴射することで1つの第1液滴を前記第1媒体上に形成する、
ことを特徴とする液体噴射方法。
【請求項2】
前記ノズル列の前記一部を構成する前記複数の第1ノズルは、互いに隣り合わない、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射方法。
【請求項3】
前記ノズル列は、互いに隣り合わない前記複数の第1ノズルから構成される第1ノズル群と、前記第1ノズル群とは異なり、互いに隣り合わない複数の第2ノズルから構成される第2ノズル群と、を含み、
前記第1ノズル群を構成する前記複数の第1ノズルから液体を噴射することで、前記第1液滴を前記第1媒体上に形成し、
前記第2ノズル群を構成する前記複数の第2ノズルから液体を噴射することで、第2液滴を前記第1媒体とは異なる第2媒体上に形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射方法。
【請求項4】
前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとは、互いに交互に並ぶ、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射方法。
【請求項5】
前記複数の第1ノズルの数は、3以上であり、
前記第1液滴を前記第1媒体上に形成するための、前記複数の第1ノズルのうち端に配置されていない第1ノズルからの噴射回数は、前記複数の第1ノズルのうち端に配置されている第1ノズルの噴射回数よりも多い、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射方法。
【請求項6】
前記複数の第1ノズルの数は、3以上であり、
前記第1液滴を前記第1媒体上に形成するための、前記複数の第1ノズルのうち端に配置されていない前記第1ノズルからの噴射回数は、前記複数の第1ノズルのうち端に配置されている前記第1ノズルの噴射回数よりも多い、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射方法。
【請求項7】
前記相対移動を停止させた状態で、前記複数の第1ノズルの夫々から、液体を複数回噴射することで前記第1液滴を前記第1媒体上に形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、接着剤等の液体をノズルから噴射し、液体によって形成される液滴を媒体上に形成する液体噴射装置が開示されている。例えば、特許文献1には、電子部品を実装基板に接着する場合に、接着剤を実装基板に噴射するディスペンサーが開示されている。また、特許文献2には、複数のノズルが並ぶことで構成された複数の液体噴射ヘッドを備えるインクジェット式の液体噴射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-85914号公報
【特許文献2】特開2014-176968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な種類の接着剤を1つの媒体上に並べて作成された標本を、様々な種類の液体に接液させることで、様々な種類の液体に対する様々な種類の接着剤の耐液性を調べるための接液検査を行いたいという要望が有る。そのため、標本を多数用意する必要が有る。標本を作成する方法として、上述した従来のディスペンサーによって、様々な種類の接着剤を液滴として媒体上に並べることが考えられる。
しかしながら、上述した従来のディスペンサーでは、1種類の接着剤を1つのノズルからしか噴射できないという制約があるため、様々な種類の接着剤の夫々により形成された液滴を有する媒体を多数用意する場合には、ディスペンサーは不向きであるという問題があった。
【0005】
そこで、特許文献1に開示されたディスペンサーの替わりに、特許文献2に開示されたインクジェット式の液体噴射ヘッドを採用することが考えられる。しかしながら、インクジェット式の液体噴射ヘッドのノズル径は、ディスペンサーのノズル径よりも比較的小さいため、インクジェット式の液体噴射ヘッドによってディスペンサーから形成されるような大きな液滴を媒体上に形成することが難しく、噴射回数も増大し、液滴を形成することに要する期間も長くなる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好適な態様に係る液体噴射方法は、複数のノズルが並ぶことで構成されたノズル列を備える液体噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射方法であって、前記液体噴射ヘッドは、第1媒体に対して相対移動が可能であり、前記相対移動を停止させた状態で前記ノズル列の一部を構成する複数の第1ノズルから液体を噴射することで1つの第1液滴を前記第1媒体上に形成する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】液体噴射装置100の構成の一例を例示する模式図。
図2】液体噴射装置100の構成例を示すブロック図。
図3】ヘッドチップ111の構成例を示す断面図。
図4】第1実施形態に係る標本作成動作によって作成された標本の一例を示す図。
図5】液滴DRの形成例を説明するための図。
図6】標本作成動作を示すフローチャートを示す図。
図7】回数CNTが1である場合にステップS4を実行した後の媒体PPの状態を示す図。
図8】回数CNTが1である場合にステップS8を実行した後の媒体PPの状態を示す図。
図9】回数CNTが2である場合にステップS4を実行した後の媒体PPの状態を示す図。
図10】回数CNTが2である場合にステップS8を実行した後の媒体PPの状態を示す図。
図11】回数CNTが3である場合にステップS4を実行した後の媒体PPの状態を示す図。
図12】回数CNTが3である場合にステップS8を実行した後の媒体PPの状態を示す図。
図13】回数CNTが4である場合にステップS4を実行した後の媒体PPの状態を示す図。
図14】回数CNTが4である場合にステップS8を実行した後の媒体PPの状態を示す図。
図15】液体噴射ヘッド110aAを示す図。
図16】第2実施形態に係る標本作成動作によって作成された標本の一例を示す図。
図17】回数CNTが1である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図18】回数CNTが1である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図19】回数CNTが2である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図20】回数CNTが2である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図21】回数CNTが3である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図22】回数CNTが3である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図23】回数CNTが4である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図24】回数CNTが4である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図25】回数CNTが5である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図26】回数CNTが5である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図27】回数CNTが6である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図28】回数CNTが6である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図29】回数CNTが7である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図30】回数CNTが7である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図。
図31】第1変形例に係る標本作成動作を説明するための図。
図32】第3変形例に係る標本作成動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
1.第1実施形態
1-1.液体噴射装置100の概要
図1は、液体噴射装置100の構成の一例を例示する模式図である。図2は、液体噴射装置100の構成例を示すブロック図である。以下の説明では、相互に直交するX軸とY軸とZ軸とを想定する。任意の地点からみてX軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向の反対の方向をX2方向と表記する。同様に、任意の地点からY軸に沿って相互に反対の方向をY1方向及びY2方向と表記し、任意の地点からZ軸に沿って相互に反対の方向をZ1方向及びZ2方向と表記する。X軸とY軸とを含むX-Y平面は水平面に相当する。Z軸は鉛直方向に沿う軸線であり、Z2方向は鉛直方向の下方に相当する。
【0010】
第1実施形態に係る液体噴射装置100は、インクジェットヘッドを使用して、液体の一例である接着剤を媒体PPに噴射する。
【0011】
液体を媒体PPに噴射する装置としては、インクジェットヘッドの他にディスペンサーが挙げられる。ディスペンサーは、インクジェットヘッドで一般的に噴射される液体の噴射量と比較して、大きな噴射量の液体をノズルから噴射できる。また、様々な種類の液体を噴射して、複数の種類の液滴が形成された媒体を標本とし、この標本に対して何らかの検査、例えば接液検査を行うことがある。接液検査は、特定の環境下に所定期間標本を存在させた後に、媒体に対する複数の液滴の夫々の状態を検査することである。複数の液滴の夫々の状態を検査するとは、例えば、媒体に対する複数の液滴の夫々の接着の程度を検査してもよいし、複数の接着剤の夫々の変色の程度を検査してもよいし、接着剤の変形度合いを検査してもよい。検査の態様は、例えば、複数の液滴の夫々を撮像し、撮像して得られた画像を示す情報を解析することにより検査を行う。特定の環境は、例えば、所定の溶液に標本を浸すことである。所定の溶液は1種類に限らず、複数の種類の溶液が存在することがある。また、特定の環境は、所定の溶液に標本を浸すことに限定されず、高温、低温、高圧、低圧、高湿、及び、低湿のうちいずれか1つ又は複数の環境下に標本が存在することも含む。また、所定期間も1種類の期間に限らず、複数の期間存在することがある。1つの環境に対して1つ以上の標本が用いられるため、接液検査を実行する場合には、多数の標本が必要になる。
【0012】
このような標本を、ディスペンサーによって作成することが考えられる。しかしながら、ディスペンサーには、1種類の接着剤を1つのノズルからしか噴射できないという制約がある。従って、ディスペンサーは、標本を多数作成することに対して不向きであるという問題があった。不向きである理由として、1つの媒体上に多くの種類の接着剤を噴射する場合には、接着剤の種類の数だけディスペンサーを用意することになり、標本を作成することのコストの増大及び標本を作成するシステムの大型化の問題が存在するためである。標本を多数作成することに対してディスペンサーが不向きである問題は、標本に噴射する液体が接着剤である態様以外の態様でも発生する。例えば、前述の問題は、標本に噴射する液体が樹脂を含むUVインクである態様でも発生する。UVは、Ultra Violetの略称である。UVインクは、例えば、立体物を形成する三次元造形用の3Dプリンターに用いられる。
【0013】
そこで、本実施形態では、複数の種類の液体を噴射可能なインクジェットヘッドを用いて、多数の標本を効率良く作成する。
【0014】
但し、インクジェットヘッドを用いて標本を作成する場合、液体噴射ヘッドのノズルの径は、ディスペンサーのノズルの径よりも比較的小さいため、液体噴射ヘッドによってディスペンサーから噴射されるような大きな液滴を媒体上に噴射することは、ショット数が増大して時間もかかるため困難である。
【0015】
本実施形態では、複数のノズルNzから接着剤GLを噴射することで1つの液滴を形成することにより、標本を作成することに要する時間を短縮する。
【0016】
図1に示すように、液体噴射装置100は、インクジェットヘッドである液体噴射ヘッド110aをX1方向に移動させつつ、複数のノズルNzから「液体」の一例である液状の接着剤GLを媒体PPに噴射することにより標本を作成する標本作成動作を実行する。図1では、液体噴射ヘッド110aが有する複数のノズルNzのうちの一部のノズルNzが代表的に図示される。以下の記載において、液体噴射ヘッド110aが、液体噴射ヘッド110aがX軸方向に移動可能な範囲のうちX2方向の端部からX1方向の端部に移動することを、主走査方向の走査と記載することがある。主走査方向の1回の走査が終了、即ち、1回の標本作成動作が終了した場合、例えば、媒体PPを配置する配置機構等が、標本として作成し終えた媒体PPを回収し、新たな媒体PPを配置する。
【0017】
図1に示すように、液体噴射装置100は、複数の媒体PPに対して接着剤GLを噴射する。図1の例では、複数の媒体PPは、Y軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶ媒体列LP1と媒体列LP2とに区分される。媒体列LP1及び媒体列LP2は、X軸に沿って延在する。図1の例では、複数の媒体PPが、2つの媒体列LP1及び媒体列LP2に区分されるが、これに限らず、複数の媒体PPが、1つの媒体列を形成してもよいし、3つ以上の媒体列に区分されてもよい。また、液体噴射装置100は、複数の媒体PPに限らず、1つの媒体PPに対して接着剤GLを噴射してもよい。また、図1の例では、複数の媒体PPは、Y軸に沿う方向に互いに間隔をあけて配置されるが、間隔を空けず、媒体列LP1に区分される媒体PPと、媒体列LP2に区分される媒体PPとが接していてもよい。
【0018】
複数の媒体PPは、例えば、金属、セラミックス、又は、樹脂等のいずれかで形成されたプレート、フィルム、又は、シートである。本実施形態では、複数の媒体PPは、金属で形成されたプレートであるとして説明する。
【0019】
図1及び図2に示すように、液体噴射装置100は、液体噴射ヘッド110aと、制御モジュール110bと、液体容器120と、移動機構130と、記憶回路160と、制御回路170と、を有する。
【0020】
なお、図1では、液体噴射装置100が複数の液体噴射ヘッド110aを有することを示しているが、1つの液体噴射ヘッド110aを有してもよい。以下では、液体噴射装置100が、複数の液体噴射ヘッド110aを有する場合を例として説明する。図1に示すように、複数の液体噴射ヘッド110aは、X軸に沿って配置される。複数の液体噴射ヘッド110aの夫々は、複数のノズル列LNを備える。
【0021】
液体噴射ヘッド110aは、ヘッドチップ111と駆動回路112とを有するアセンブリーである。制御モジュール110bは、電源回路113と駆動信号生成回路114とを有するアセンブリーである。但し、液体噴射ヘッド110aと制御モジュール110bとは、図2に示す態様に限られず、例えば、制御モジュール110bの一部又は全部が液体噴射ヘッド110aに組み込まれてもよい。図2では、ヘッドチップ111の構成要素のうち、複数の駆動素子111fが代表的に図示される。なお、ヘッドチップ111の詳細の一例については、後に図3に基づいて説明する。
【0022】
図1及び図2に示す例では、液体噴射ヘッド110aが有するヘッドチップ111の数が2個であるが、当該数は、1個でもよいし、3個以上でもよい。媒体PPの幅方向の一部にわたり複数のノズルNzが分布するように、1個以上のヘッドチップ111が配置される。
【0023】
また、本実施形態では、1個のヘッドチップ111は、Y軸に沿う方向に配列される複数のノズルNzを有する。図1に示すように、当該複数のノズルNzは、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶノズル列LAとノズル列LBとに区分される。以下では、ノズル列LAとノズル列LBとを特に区別しない場合、ノズル列LNと記載することがある。ノズル列LA及びノズル列LBの夫々は、Y軸に沿う方向に直線状に配列されるMn個のノズルNzの集合である。従って、1個のヘッドチップ111は、2×Mn個のノズルNzを有する。なお、本実施形態に係るヘッドチップ111は、2つのノズル列LNを有するが、1つのノズル列LNを有してもよいし、3つ以上のノズル列LNを有していてもよい。
【0024】
図1に示すように、1個のヘッドチップ111が有する2つのノズル列LNは、X軸に沿って並ぶ。更に、1個の液体噴射ヘッド110aが有する2個のヘッドチップ111も、X軸に沿って並ぶ。液体噴射装置100が有する複数の液体噴射ヘッド110aもX軸に沿って並ぶため、液体噴射装置100が有する全てのノズル列LNは、X軸に沿って並ぶ。
【0025】
本実施形態では、複数のノズル列LNの夫々で種類の異なる接着剤GLが噴射される。複数の種類の接着剤GLは、どのような接着剤でもよく、例えば、ウレタン系接着剤、シリコン系接着剤、及び、エポキシ系接着剤等である。
【0026】
駆動回路112は、制御回路170による制御のもと、ヘッドチップ111の有する複数の駆動素子111fの夫々について、駆動信号生成回路114から出力される駆動信号Comを供給するか否かを切り替える。駆動回路112は、例えば、当該切り替えのためのトランスミッションゲート等のスイッチ群を含む。
【0027】
電源回路113は、図示しない商用電源から電力の供給を受け、所定の各種電位を生成する。生成した各種電位は、液体噴射装置100の各部に適宜に供給される。図2に示す例では、電源回路113は、電源電位VHVとオフセット電位VBSとを生成する。オフセット電位VBSは、ヘッドチップ111等に供給される。また、電源電位VHVは、駆動信号生成回路114等に供給される。
【0028】
駆動信号生成回路114は、ヘッドチップ111の有する各駆動素子111fを駆動するための駆動信号Comを生成する回路である。具体的には、駆動信号生成回路114は、例えば、DA変換回路と増幅回路とを有する。駆動信号生成回路114では、当該DA変換回路が制御回路170からの後述の波形指定信号dComをデジタル信号からアナログ信号に変換し、当該増幅回路が電源回路113からの電源電位VHVを用いて当該アナログ信号を増幅することにより駆動信号Comを生成する。ここで、駆動信号Comに含まれる波形のうち、駆動素子111fに実際に供給される波形の信号が駆動パルスPDである。
【0029】
図1に例示される通り、液体噴射装置100には、液状の接着剤GLを貯留する液体容器120が設置される。例えば、可撓性のフィルムで形成された袋状のパックが、液体容器120として利用される。液体容器120は、複数の種類の接着剤GLの夫々を貯留する液体容器121_1~液体容器121_Gを有する。本実施形態のGは、液体噴射装置100が備える複数のノズル列LNの個数に一致する。なお、どのような標本を作成するかによってGの値は変動するため、標本作成動作で使用しないノズル列LN、換言すれば、標本作成動作で使用しないヘッドチップ11や液体噴射ヘッド110aが発生する場合もある。以降の説明では、1からGまでの任意の整数gについて、液体容器121_gに貯留された接着剤GLを、接着剤GL_gと記載する。また、以下では、接着剤GL_1から接着剤GL_Gまでを区別せずに接着剤GLと記載することがある。
【0030】
移動機構130は、制御回路170の制御のもと、複数の媒体PPと複数の液体噴射ヘッド110aとの相対的な位置を移動させる。以下、複数の媒体PPと複数の液体噴射ヘッド110aとの相対的な位置の移動を、「相対移動」と記載することがある。相対移動とは、複数の媒体PPの位置を固定したまま複数の液体噴射ヘッド110aを移動させてもよいし、複数の液体噴射ヘッド110aの位置を固定したまま複数の媒体PPを移動させてもよい。本実施形態では、複数の媒体PPの位置を固定したまま複数の液体噴射ヘッド110aを移動させる。液体噴射ヘッド110aが移動することにより、液体噴射ヘッド110aが有するノズル列LNも移動する。
【0031】
移動機構130は、制御回路170の制御のもと、液体噴射ヘッド110aをX軸に沿って往復させる。図1に示すように、移動機構130は、液体噴射ヘッド110aを収容する略箱型のキャリッジ131と、液体噴射ヘッド110aが固定された無端ベルト132とを具備する。なお、液体容器120を液体噴射ヘッド110aとともにキャリッジ131に搭載した構成も採用され得る。
【0032】
記憶回路160は、制御回路170が実行する各種プログラムと、制御回路170が処理する各種データと、を記憶する。記憶回路160は、例えば、RAM等の揮発性の1又は複数のメモリーとROM、EEPROM又はPROM等の1又は複数の不揮発性メモリーとの一方又は両方の半導体メモリーを含む。なお、記憶回路160は、制御回路170の一部として構成されてもよい。
【0033】
制御回路170は、液体噴射装置100の各部の動作を制御する機能と、各種データを処理する機能と、を有する。制御回路170は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路170は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0034】
制御回路170は、記憶回路160に記憶されるプログラムを実行することにより、液体噴射装置100の各部の動作を制御する。ここで、制御回路170は、液体噴射装置100の各部の動作を制御するための信号として、制御信号Sk1、制御信号SI及び波形指定信号dCom等の信号を生成する。
【0035】
制御信号Sk1は、移動機構130の駆動を制御するための信号である。制御信号SIは、駆動回路112の駆動を制御するための信号である。具体的には、制御信号SIは、駆動回路112が駆動信号生成回路114からの駆動信号Comを駆動素子111fに対して供給するか否かを所定の単位期間ごとに指定する。この指定により、ヘッドチップ111から噴射される接着剤GLの量等が指定される。波形指定信号dComは、駆動信号生成回路114で生成される駆動信号Comの波形を規定するためのデジタル信号である。
【0036】
標本作成動作が実行される場合、制御回路170は、まず、媒体PPに噴射する複数の接着剤GLによって形成される液滴の配置のパターンを示すパターン情報PtIを、パーソナルコンピューター等のホストコンピューターから受信する。制御回路170は、受信したパターン情報PtIを、記憶回路160に記憶させる。次に、制御回路170は、記憶回路160に記憶されているパターン情報PtI等の各種データに基づいて、制御信号SI、波形指定信号dCom、及び、制御信号Sk1等の各種制御信号を生成する。そして、制御回路170は、各種制御信号と、記憶回路160に記憶されている各種データに基づいて、複数の媒体PPに対して液体噴射ヘッド110aが相対移動するように移動機構130を制御しつつ、駆動素子111fが駆動されるように液体噴射ヘッド110aを制御する。但し、本実施形態では、制御回路170は、相対移動を停止させた状態で駆動素子111fを駆動することにより、相対移動を停止させた状態で接着剤GLを媒体PPに噴射することにより、媒体PPに液滴を形成させる。
【0037】
1-2.ヘッドチップ111の構成
図3は、ヘッドチップ111の構成例を示す断面図である。図3に示すように、ヘッドチップ111は、X軸に沿う方向で互いに略対称な構成である。ただし、ノズル列LAのMn個のノズルNzとノズル列LBのMn個のノズルNzとのY軸に沿う方向での位置は、互いに一致してもよいし異なってもよい。図3では、ノズル列LAのMn個のノズルNzとノズル列LBのMn個のノズルNzとのY軸に沿う方向での位置が互いに一致する構成が例示される。図3では、X軸に沿う方向に関して、ノズル列LAとノズル列LBとの配置間隔であるノズル列配置間隔DNxを示してある。換言すれば、ノズル列配置間隔DNxは、1つのノズルプレート110cに形成された隣り合うノズル列LNのX軸に沿う方向に関する配置間隔である。なお、X軸に沿う方向は、「第2方向」の一例である。本明細書において、2つの要素の配置間隔とは、一方の要素の重心から、他方の要素の重心までの距離をいう。重心とは、対象の形状において断面1次モーメントの総和がゼロになる地点である。例えば、対象の形状が円形である場合、重心は、円の中心であり、対象の形状が平行四辺形である場合、重心は、平行四辺形が有する2つの対角線の交点である。また、2つの要素の配置間隔は、2つの要素が並ぶ並び方向に関して、一方の要素の並び方向の中心位置と他方の要素の並び方向の中心位置との距離とも換言できる。また、2つの要素の配置間隔は、一方の要素のうち並び方向に関して他方の要素に近い方の端部と、他方の要素のうち並び方向に関して一方の要素に近い方の端部との距離とも換言できる。
【0038】
図3に示すように、ヘッドチップ111は、流路基板111aと圧力室基板111bとノズルプレート111cと吸振体111dと振動板111eと複数の駆動素子111fと保護板111gとケース111hと配線基板111iとを有する。
【0039】
流路基板111a及び圧力室基板111bは、この順でZ1方向に積層されており、2×Mn個のノズルNzに接着剤GLを供給するための流路を形成する。流路基板111a及び圧力室基板111bからなる積層体よりもZ1方向に位置する領域には、振動板111eと複数の駆動素子111fと保護板111gとケース111hと配線基板111iとが設置される。他方、当該積層体よりもZ2方向に位置する領域には、ノズルプレート111cと吸振体111dとが設置される。ヘッドチップ111の各要素は、概略的にはY軸に沿う方向に長尺な板状部材であり、互いに接合される。以下、ヘッドチップ111の各要素を順に説明する。
【0040】
ノズルプレート111cは、ノズル列LA及びノズル列LBの夫々併せて2×Mn個のノズルNzが設けられた板状部材である。2×Mn個のノズルNzの夫々は、接着剤GLを通過させる貫通孔である。ここで、ノズルプレート111cのZ2方向を向く面がノズル面FNである。ノズルの断面形状は、典型的には円形状であるが、これに限定されず、例えば、多角形又は楕円形等の非円形状であってもよい。
【0041】
流路基板111aには、ノズル列LA及びノズル列LBの夫々について、空間R1とMn個の供給流路RaとMn個の連通流路Naとが設けられる。空間R1は、Z軸に沿う方向でみた平面視で、Y軸に沿う方向に延びる長尺状の開口である。供給流路Ra及び連通流路Naの夫々は、ノズルNzごとに形成された貫通孔である。各供給流路Raは、空間R1に連通する。
【0042】
圧力室基板111bは、ノズル列LA及びノズル列LBの夫々について、Mn個の圧力室CVが設けられた板状部材である。複数の圧力室CVは、Y軸に沿う方向に配列される。各圧力室CVは、ノズルNzごとに形成され、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状の空間である。
【0043】
圧力室CVは、流路基板111aと振動板111eとの間に位置する空間である。ノズル列LA及びノズル列LBの夫々について、Mn個の圧力室CVがY軸に沿う方向に配列される。また、圧力室CVは、連通流路Na及び供給流路Raの夫々に連通する。従って、圧力室CVは、連通流路Naを介してノズルNzに連通し、かつ、供給流路Raを介して空間R1に連通する。
【0044】
圧力室基板111bのZ1方向を向く面には、振動板111eが配置される。振動板111eは、弾性的に振動可能な板状部材である。振動板111eのZ1方向を向く面には、ノズル列LA及びノズル列LBの夫々について、互いにノズルNzに対応するMn個の駆動素子111fが配置される。各駆動素子111fは、駆動信号Comの供給により変形する受動素子である。各駆動素子111fは、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状をなす。Mn個の駆動素子111fは、複数の圧力室CVに対応するようにY軸に沿う方向に配列される。駆動素子111fは、平面視で圧力室CVに重なる。
【0045】
各駆動素子111fは、圧電素子であり、図示しないが、第1電極と圧電体層と第2電極とを有し、この順でこれらがZ1方向に積層される。第1電極及び第2電極のうちの一方の電極は、駆動素子111fごとに互いに離間して配置される個別電極であり、当該一方の電極には、駆動パルスPDが供給される。第1電極及び第2電極のうちの他方の電極は、複数の駆動素子111fにわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状の共通電極であり、当該他方の電極には、オフセット電位VBSが供給される。圧電体層は、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)等の圧電材料で構成されており、例えば、複数の駆動素子111fにわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状をなす。ただし、圧電体層は、複数の駆動素子111fにわたり一体でもよい。この場合、圧電体層には、互いに隣り合う各圧力室CVの間隙に平面視で対応する領域に、当該圧電体層を貫通する貫通孔がX軸に沿う方向に延びて設けられる。以上の駆動素子111fの変形に連動して振動板111eが振動すると、圧力室CV内の圧力が変動することで、接着剤GLがノズルNzから噴射される。但し、ヘッドチップ111は、圧電素子の替わりに発熱素子を有してもよい。
【0046】
保護板111gは、振動板111eのZ1方向を向く面に設置される板状部材であり、2×Mn個の駆動素子111fを保護するとともに振動板111eの機械的な強度を補強する。ここで、保護板111gと振動板111eとの間には、2×Mn個の駆動素子111fが収容される。保護板111gは、例えば、樹脂材料で構成される。
【0047】
ケース111hは、2×Mn個の圧力室CVに供給される接着剤GLを貯留するための部材である。ケース111hは、例えば、樹脂材料で構成される。ケース111hには、ノズル列LA及びノズル列LBの夫々について、空間R2が設けられる。1つの空間R2は、前述の空間R1に連通する空間であり、空間R1とともに、Mn個の圧力室CVに供給される接着剤GLを貯留するリザーバーRとして機能する。ケース111hには、各リザーバーRに接着剤GLを供給するための導入口IHが設けられる。各リザーバーR内の接着剤GLは、各供給流路Raを介して圧力室CVに供給される。
【0048】
吸振体111dは、リザーバーRの壁面を構成する可撓性の樹脂フィルムであり、リザーバーR内の接着剤GLの圧力変動を吸収する。吸振体111dは、流路基板111aに接合される。
【0049】
配線基板111iは、振動板111eのZ1方向を向く面に実装されており、ヘッドチップ111と駆動回路112及び制御モジュール110b等とを電気的に接続するための実装部品である。配線基板111iは、例えば、COF等の可撓性の配線基板である。本実施形態の配線基板111iには、前述の駆動回路112が実装される。COFは、Chip On Filmの略称である。
【0050】
1-3.標本の一例
図4は、第1実施形態に係る標本作成動作によって作成された標本の一例を示す図である。図4では、1つの媒体PPを、X軸及びY軸に沿った方向に夫々4分割した16個の領域CEに分割し、夫々の領域CEに夫々種類が異なる接着剤GLが噴射されて、媒体PP上に液滴DRが形成されることにより作成された標本を示してある。領域CEは、1つの液滴DRが形成される領域であるともいえる。媒体PPの分割の態様は、図4の例に限らない。例えば、図4の例では、Z2方向に見て、媒体PPの形状が略正方形であるが、Y軸又はX軸に沿って長尺な矩形でもよい。また、図4の例では、1つの媒体PPを、X軸及びY軸に沿った方向に同数で分割しているが、X軸に沿った方向に分割する数と、Y軸に沿った方向に分割する数とが異なってもよい。また、図4の例では、領域CEは略正方形であるが、Y軸又はX軸に沿って長尺な矩形でもよい。
【0051】
図4では、形成される液滴DRが、夫々種類が異なる接着剤GLにより形成されたことを、種類の異なる網掛けを付与することにより表現してある。図面の煩雑化を防ぐため、図4に示す全ての液滴DRの一部にのみ符号を付してある。図4から理解されるように、1つの媒体PPを分割した16個の領域CEに形成された液滴DRの種類は、全て異なる。更に、図4から理解されるように、複数の媒体PPに形成される液滴DRのパターンは、全て同一である。第1実施形態において、パターン情報PtIは、図4に示す液滴DRのパターンを示す。
【0052】
以下の説明では、図4に示すように、媒体列LP1に沿って配置された4つの媒体PPを、X1方向に向かう順に、媒体PP11、媒体PP12、媒体PP13、媒体PP14と記載することがある。同様に、媒体列LP2に沿って配置された4つの媒体PPを、X1方向に向かう順に、媒体PP21、媒体PP22、媒体PP23、媒体PP24と記載することがある。以下の記載では、媒体PP11~媒体PP14、媒体PP21~媒体PP24を特に区別しない場合、単に媒体PPと記載する。
【0053】
また、1つの媒体PPを16分割した各領域CEを、領域CE[x,y]と記載することがある。xは、Y軸に沿った方向に1つの媒体PPを4分割した列のうち、X2方向の端から数えた列の値を示す。yは、X軸に沿った方向に1つの媒体PPを4分割した行のうち、Y2方向の端から数えた列の値を示す。
【0054】
更に、図4に示すように、媒体PP11を16分割した各領域CEを、領域CE11[x,y]と記載することがある。媒体PP11以外の媒体PPを16分割した領域CEも領域CE11[x,y]と同様に、領域CEXY[x,y]というように添え字XYを付して表現することがある。添え字XYは、11、12、13、14、21、22、23、及び、24のいずれか1つである。図4の例では、媒体PP21に含まれ、X2方向の端から1番目に位置し、且つ、Y2方向の端から1番目に位置する領域CEが、領域CE21[1,1]であることを示す。また、媒体PP13に含まれ、X2方向の端から2番目に位置し、且つ、Y2方向の端から4番目に位置する領域CEが、領域CE13[2,4]であることを示す。
【0055】
図4では、Z2方向に見て、液滴DRの形状は真円であるが、液滴DRの形状は真円に限らず、例えば、楕円形状でもよい。但し、Z2方向に見て、液滴DRの形状は真円に近い形状であることが望ましい。液滴DRの形状が真円に近い形状である程、媒体PPに対する複数の液滴DRの夫々を撮像して得られる画像から、複数の液滴DRの夫々を検出する精度を向上させることができる。
【0056】
図4に示すように、1つの媒体PPに形成される16個の液滴DRは、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶ4つの液滴列LDに区分される。4つの液滴列LDは、Y軸に沿って延在する。図4では、1つの媒体PPに形成される複数の液滴列LDのうち隣り合う2つの液滴列LD同士のX軸に沿う方向に関する配置間隔である液滴列配置間隔DDxを示してある。
【0057】
以下では、説明の簡略化のため、液滴DRの重心と領域CEの重心が一致することとして説明する。従って、液滴列配置間隔DDxは、X軸に沿う方向において隣り合う領域CEの配置間隔と同一である。
【0058】
また、図4では、Y軸に沿う方向に関して、1つの媒体PPに形成される複数の液滴DRのうち隣り合う液滴DR同士の配置間隔DDyを示してある。第1実施形態では、配置間隔DDyは、液滴列配置間隔DDxと略同一である。
【0059】
また、図4では、X軸に沿う方向に関して、複数の媒体PPのうち隣り合う媒体PP同士の配置間隔である媒体配置間隔DPxを示してある。
【0060】
1-4.液滴DRの形成例
上述したように、複数のノズルNzから接着剤GLを領域CEに噴射することにより、1つの液滴DRを形成する。具体的な液滴DRの形成例について、図5を用いて説明する。
【0061】
図5は、液滴DRの形成例を説明するための図である。図5では、媒体PP21の領域CE21[1,1]と、媒体PP11の領域CE11[1,1]とに液滴DRを形成する場合のノズル列LBの位置関係を示してある。
【0062】
液体噴射装置100は、相対移動を停止させた状態で、ノズル列LNの一部を構成する複数のノズルNzから接着剤GLを噴射することで、1つの液滴DRを1つの領域CE内上に形成する。複数のノズルNzから1つの液滴DRを形成するとは、複数のノズルNzから噴射された接着剤GLが媒体PPに着弾する前に合体することと、複数のノズルNzから噴射された接着剤GLが媒体PPに着弾した後、媒体PP上で合体することとを含む。第1実施形態において、ノズル列LNの一部を構成する複数のノズルNzとは、Z2方向に見て、1つの領域CEに含まれるノズルNzの一部である。以降の説明では、1つのノズル列LNに含まれるMn個のノズルNzを区別するため、Y2方向の端から順番に、1番目、2番目、…、Mn番目と記載することがある。また、m番目のノズルNzを、ノズルNz[m]と記載する場合がある。変数mは、1以上Mn以下を満たす整数である。
【0063】
図5の例では、Z2方向に見て、1つのノズル列LNのうち、1つの領域CEに含まれるノズルNzの個数が15であるが、15に限らず、1つの領域CEに含まれるノズルNzの個数は、1個以上であればよい。
【0064】
図5の例では、領域CE21[1,1]に含まれるノズルNzは、ノズルNz[1]からノズルNz[15]までの15個のノズルNzである。また、領域CE11[1,1]に含まれるノズルNzは、ノズルNz[a+1]からノズルNz[a+15]までの15個のノズルNzである。aは、1以上Mn以下を満たす整数であり、第1実施形態では、15×4+媒体PP21のY1方向の端から媒体PP21のY2方向の端までに含まれるノズルNzの数である。また、ノズルNz[a]のように、また、Z2方向に見て、いずれの領域CEにも含まれないノズルNzが存在してもよい。いずれの領域CEにも含まれないノズルNzは、図5の例のように媒体PP21と媒体PP11との間に存在してもよいし、1つの媒体PP内の隣り合う領域CEの間に存在してもよい。また、Y2方向の端部に位置するノズルNz[1]が媒体PP21よりもY2方向に位置することでノズルNz[1]が領域CEに含まれていなくてもよいし、Y1方向の端部に位置するノズルNz[Mn]が媒体PP11よりもY1方向に位置することでノズルNz[Mn]が領域CEに含まれていなくてもよい。
【0065】
1つの領域CEに1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzが、Z2方向に見て1つの領域CEに含まれる複数のノズルNzのうちいずれであるかについては、以下に示す3つの態様がある。
【0066】
液滴DRを形成するノズルNzの第1の態様において、1つの領域CEに1つの液滴DRを形成するノズルNzは、Z2方向に見て1つの領域CEに含まれる1又は複数のノズルNzのうち1つのノズルNzである。液滴DRは、当該1つのノズルNzから接着剤GLを複数回、噴射することによって形成される。これにより、Z2方向に見て、液滴DRを真円に近づけることができる。
なお、液滴DRを形成するノズルNzの第1の態様は、液滴DRを形成するノズルNzの第2の態様及び第3の態様に対する比較例である。
【0067】
なお、図5の例では、領域CE21[1,1]に1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzは、1つの領域CE21[1,1]に含まれる複数のノズルNz[1]からノズルNz[15]のうち、領域CE21[1,1]のY軸に沿う方向の中心に最も近いノズルNz[8]であることが好ましい。これにより、領域CE21[1,1]に形成される液滴DRが、領域CE21[1,1]からはみ出すことを防止できる。
【0068】
液滴DRを形成するノズルNzの第2の態様において、1つの領域CEに1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzは、Z2方向に見て1つの領域CEに含まれる複数のノズルNzのうち連続して配置される複数のノズルNzである。液滴DRは、この連続して配置される複数のノズルNzの夫々から接着剤GLを複数回、噴射することによって形成される。これにより、液滴DRを形成するノズルNzの第1の態様に比べて、液滴DRを形成するのに必要な時間を短縮することができる。図5の例では、領域CE21[1,1]に1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzは、ノズルNz[4]からノズルNz[12]までの9個のノズルNzとしてもよい。
【0069】
ここで、1つの領域CEに1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzの数が3個以上の場合には、1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzのうち、Y軸に沿う方向の端に配置されていないノズルNzからの噴射回数は、Y軸に沿う方向の端に配置されているノズルNzからの噴射回数よりも多いことが好ましい。より具体的には、液滴DRを形成するノズルNzの噴射回数は、Y軸に沿う方向の中央に配置されているノズルNzからの噴射回数が最も多く、Y軸に沿う方向の中央から離れて配置されたノズルNz程噴射回数が少なくなり、Y軸に沿う方向の端に配置されたノズルNzからの噴射回数が最も少ないことが好ましい。Y軸に沿う方向の中央に配置されているノズルNzとは、1つの領域CEのY軸に沿う方向の幅の中央に最も近くに位置する1個又は2個のノズルNzである。ノズルNz[4]からノズルNz[12]までの9個のノズルNzで液滴DRを形成する例では、領域CE21[1,1]のY軸に沿う方向の中心に最も近いノズルNz[8]からの噴射回数が、Y軸に沿う方向の端部に配置されたノズルNz[4]及びノズルNz[12]の夫々の噴射回数よりも多いことが好ましい。これにより、Z2方向に見て、液滴DRを真円に近づけることができる。
【0070】
なお、1つの領域CEに1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzは、Y軸に沿う方向に関する領域CEの中心に最も近い1個又は2個のノズルNz、及び、そのノズルNzに隣り合うノズルNzのみとしてもよい。図5の例では、Y軸に沿う方向に関する領域CE21[1,1]の中心に最も近いノズルNz[8]、及び、ノズルNz[8]に隣り合うノズルNz[7]、ノズルNz[9]の3個のノズルNzによって液滴DRを形成することで、前述のノズルNz[4]からノズルNz[12]までの9個のノズルNzで液滴DRを形成する場合に比べて、Z2方向に見て、液滴DRを真円に近づけることができる。勿論、この場合でも、液滴DRを真円に近づけるために、ノズルNz[8]からの噴射回数を、ノズルNz[7]及びノズルNz[9]の夫々からの噴射回数よりも多くすることが更に好ましい。
【0071】
さらに、Y軸に沿う方向に関する領域CEの中心が隣り合うノズルNzの間にある場合、換言すればY軸に沿う方向に関する領域CEの中心に最も近いノズルNzが2個ある場合には、当該2個のノズルNzを、液滴DRを形成するための連続して配置された複数ノズルとしてもよく、この場合でも、Z2方向に見て、液滴DRを真円に近づけることができる。
【0072】
液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様において、1つの領域CEに1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzは、互いに隣り合わない複数のノズルNzである。
【0073】
液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様についてより詳細に説明する。図5の例であれば、領域CE21[1、1]に1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzは、ノズル群GP1又はノズル群GP2である。ノズル群GP1は、ノズルNz[4]、ノズルNz[6]、ノズルNz[8]、ノズルNz[10]、及び、ノズルNz[12]から構成される。ノズル群GP2は、ノズルNz[5]、ノズルNz[7]、ノズルNz[9]、及び、ノズルNz[11]から構成される。同様に、領域CE11[1、1]に1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzは、ノズル群GP3又はノズル群GP4である。ノズル群GP3は、ノズルNz[a+4]、ノズルNz[a+6]、ノズルNz[a+8]、ノズルNz[a+10]、及び、ノズルNz[a+12]から構成される。ノズル群GP4は、ノズルNz[a+5]、ノズルNz[a+7]、ノズルNz[a+9]、及び、ノズルNz[a+11]から構成される。
【0074】
図5から理解されるように、ノズル群GP1を構成する5つのノズルNzと、ノズル群GP2を構成する4つのノズルNzとは、互いに交互に並ぶ。同様に、ノズル群GP3を構成する5つのノズルNzと、ノズル群GP4を構成する4つのノズルNzとは、互いに交互に並ぶ。
【0075】
図5の例では、1つの領域CE21[1,1]に1つの液滴DRを形成するノズル群GP1又はノズル群GP2を構成する複数のノズルNzの夫々から、接着剤GLを複数回噴射することで液滴DRを媒体PP21上に形成する。ノズル群GP1によって1つの領域CE21[1,1]に1つの液滴DRを形成する場合には、ノズルNz[4]、ノズルNz[6]、ノズルNz[8]、ノズルNz[10]、及び、ノズルNz[12]の夫々から接着剤GLを複数回噴射することで液滴DRを形成する。ノズル群GP2によって1つの領域CE21[1,1]に1つの液滴DRを形成する場合には、ノズルNz[5]、ノズルNz[7]、ノズルNz[9]、及び、ノズルNz[11]の夫々から接着剤GLを複数回噴射することで液滴DRを形成する。
【0076】
ここで、1つの領域CEに1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzの数が3個以上の場合には、1つの領域CEに1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzのうち、Y軸に沿う方向の端に配置されていないノズルNzからの噴射回数は、Y軸に沿う方向の端に配置されているノズルNzからの噴射回数よりも多いことが好ましい。より具体的には、液滴DRを形成するノズルNzの噴射回数は、Y軸に沿う方向の中央に配置されているノズルNzからの噴射回数が最も多く、Y軸に沿う方向の中央から離れて配置されたノズルNz程噴射回数が少なくなり、Y軸に沿う方向の端に配置されたノズルNzからの噴射回数が最も少ないことが好ましい。Y軸に沿う方向の中央に配置されているノズルNzとは、1つの領域CEのY軸に沿う方向の幅の中央に最も近くに位置する1個又は2個のノズルNzである。
【0077】
例えば、図5においてノズル群GP1によって領域CE21[1,1]に液滴DRを形成する場合には、ノズル群GP1においてY軸に沿う方向の中央に配置されているノズルNzは、ノズルNz[8]である。そして、ノズル群GP1を構成するノズルNzの夫々の噴射回数のうち、ノズルNz[8]からの噴射回数が最も多く、次に、ノズルNz[6]からの噴射回数及びノズルNz[10]からの噴射回数が多く、ノズルNz[4]からの噴射回数及びノズルNz[12]からの噴射回数が最も少ない。これにより、Z2方向に見て、液滴DRを真円に近づけることができる。
また、例えば、図5においてノズル群GP2によって領域CE21[1,1]に液滴DRを形成する場合には、ノズル群GP2においてY軸に沿う方向の中央に配置されているノズルNzは、ノズルNz[7]及びノズルNz[9]である。そして、ノズル群GP2を構成するノズルNzが1つの液滴DRを形成する場合、ノズル群GP2を構成するノズルNzの夫々の噴射回数のうち、ノズルNz[7]からの噴射回数及びノズルNz[9]からの噴射回数が最も多く、ノズルNz[5]からの噴射回数及びノズルNz[11]からの噴射回数が最も少ない。これにより、Z2方向に見て、液滴DRを真円に近づけることができる。
【0078】
領域CE21[1,1]に液滴DRを生成する場合、液体噴射ヘッド110aは、ノズル群GP1及びノズル群GP2のいずれに属するノズルNzから接着剤GLを噴射してもよいが、媒体PPごとに変更することが好ましい。例えば、液体噴射ヘッド110aは、ノズル群GP1を構成するノズルNzから接着剤GLを領域CE21[1,1]に噴射し、ノズル群GP2を構成するノズルNzから接着剤GLを領域CE22[1,1]に噴射してもよい。又は、液体噴射ヘッド110aは、主走査方向の走査を行うたびに、1つの領域CEに1つの液滴DRを形成する複数のノズルNzを変更、具体的には1つの領域CEに1つの液滴DRを形成するノズル群GP1とノズル群GP2とを切り替えてもよい。
【0079】
1-5.標本作成動作
図6から図14までを用いて標本作成動作について説明する。図6から図14では、液体噴射装置100が、4個の液体噴射ヘッド110aを有し、4個の液体噴射ヘッド110aは、2個のヘッドチップ111を有することとして説明する。即ち、液体噴射装置100は、16個のノズル列LNを有する。4個の液体噴射ヘッド110aを区別するため、X1方向の端に配置された液体噴射ヘッド110aからX2方向に向かう順に、液体噴射ヘッド110a1、液体噴射ヘッド110a2、液体噴射ヘッド110a3、液体噴射ヘッド110a4と記載することがある。更に、16個のノズル列LNを区別するため、iを1から4までの整数として、液体噴射ヘッド110aiのX1方向に配置されたヘッドチップ111が有するノズル列LAをノズル列LAi1と記載し、ノズル列LBをノズル列LBi1と記載することがある。同様に、液体噴射ヘッド110aiのX2方向に配置されたヘッドチップ111が有するノズル列LAをノズル列LAi2と記載し、ノズル列LBをノズル列LBi2と記載することがある。
【0080】
更に、図7から図14まででは、図面の煩雑化を防ぐため、領域CEに液滴DRが形成されたことを、領域CEに網掛けを付与することによって示す。また、説明を簡略化するため、iを1から4までの整数として、ノズル列LBi2の各ノズルNzから噴射される接着剤GLを接着剤GL_i×4-3とし、ノズル列LBi1の各ノズルNzから噴射される接着剤GLを接着剤GL_i×4-2とし、ノズル列LAi2の各ノズルNzから噴射される接着剤GLを接着剤GL_i×4-1とし、ノズル列LAi1の各ノズルNzから噴射される接着剤GLを接着剤GL_i×4とする。例えば、iが1である場合、ノズル列LB12の各ノズルNzから噴射される接着剤GLを接着剤GL_1×4-3=接着剤GL_1とする。
【0081】
また、図7から図14まででは、図面の煩雑化を防ぐため、便宜上の表示として、平面視において、1つのノズル列LNが媒体PPに重なる場合に、媒体PPに含まれる複数の領域CEのうち、ある1つの領域CEに重なる複数のノズルNzを、1つのノズル群Ngとして表示してある。本実施形態では、1つの媒体PPに対して、1つのノズル列LNに含まれる複数のノズル群Ngのうち1つのノズル群Ngに属する複数のノズルNzから接着剤GLを噴射することにより、当該1つのノズル群Ngと平面視において重なる領域CEに液滴DRが形成される。つまり、本実施形態における標本作成動作の以降の説明は、液滴DRを形成するノズルNzの第2の態様又は第3の態様である場合として説明をする。但し、本実施形態における標本作成動作の以降の説明は、液滴DRを形成するノズルNzの第1の態様である場合でもよく、その場合には、領域CEに1つの液滴DRを形成する1つのノズル群Ngを1つのノズルNzとして読み替えることができる。
【0082】
本実施形態では、図4に示すように、Y軸に沿う方向に2つの媒体PPが配置されており、1つの媒体PPには4行の領域CEが配置されている。従って、Y軸に沿う方向には、2×4=8つの領域CEが配置されている。そこで、本実施形態では、1つのノズル列LNには、8つのノズル群Ngを有する。この8つのノズル群Ngを区別するため、Y1方向に向かって順番に、1番目、2番目、…、8番目と記載することがある。また、n番目のノズル群Ngを、ノズル群Ng[n]と記載する場合がある。変数nは、1以上8以下を満たす整数である。但し、図7から図14まででは、図面の煩雑化を防ぐため、ノズル列LB11のみノズル群Ng[1]~Ng[8]を付与してあり、他のノズル列LNの符号を省略してある。図5の例を用いると、ノズル群Ng[1]は、ノズルNz[1]からノズルNz[15]までの15個のノズルNzであり、ノズル群Ng[5]は、ノズルNz[a+1]からノズルNz[a+15]までの15個のノズルNzである。本実施形態では、平面視において、1つのノズル列LNには同時に2つの媒体PPが重なるため、1つのノズル列LNが有する8つのノズル群Ngのうち、2つのノズル群Ngに属するノズルNzから接着剤GLを噴射する。2つのノズル群Ngに属するノズルNzについて、2つのノズル群Ngの一方のノズル群Ngの複数のノズルNzから2つの媒体PPの一方の媒体PPに接着剤GLを噴射し、他方のノズル群Ngの複数のノズルNzから他方の媒体PPに接着剤GLを噴射する。また、液滴DRを形成するノズルNzの第2の態様又は第3の態様では、1つのノズル群Ngを構成する全てのノズルNzのうち、一部又は全部のノズルNzから接着剤GLを噴射する。但し、説明を簡略化するため、以下の記載では、ノズル群Ngから接着剤GLを噴射すると記載することがある。
【0083】
更に、図7から図14までにおいて、各ノズル列LNの8つのノズル群Ngのいずれかと、領域CEとを結ぶ線分は、この線分の一端で示されるノズル群Ngから、線分の他端で示される領域CE内に接着剤GLを噴射することを意味する。また、本来であれば、Z2方向に見て、液体噴射ヘッド110aと媒体PPの一部又は全部とが重なるが、媒体PP内の各領域CEに液滴DRが形成されているか否かを理解しやすくするため、図7から図14まででは、便宜上の表示として、媒体PPをY2方向にずらして表示してある。
【0084】
図6は、標本作成動作を示すフローチャートである。図6に示すように、標本作成動作では、ステップS2からステップS8までの一連の処理を複数回繰り返し実行する。以下では、説明を容易にするために、ステップS2からステップS8までの一連の処理の実行回数を、回数CNTと記載することがある。
【0085】
図6に示す標本作成動作では、各媒体PPのX2方向の端から数えて奇数番目の液滴列LDの領域CEには、ノズル列LBのノズル群Ngから接着剤GLを噴射することにより液滴DRを形成し、各媒体PPのX2方向の端から数えて偶数番目の液滴列LDの領域CEには、ノズル列LAのノズル群Ngから接着剤GLを噴射することにより液滴DRを形成する。
【0086】
制御回路170は、ステップS2において、液体噴射装置100が有する8つのノズル列LBのうち一部のノズル列LB又は全部のノズル列LBが噴射する位置となるように、液体噴射ヘッド110aをX1方向に移動させる。ノズル列LBが噴射する位置とは、Z2方向に見て、いずれかの領域CE内にノズル列LBの一部のノズルNzが含まれる位置である。ステップS2の処理終了後、制御回路170は、ステップS4において、媒体PPと液体噴射ヘッド110aとの相対移動を停止させた状態で、液体噴射装置100が有する8つのノズル列LBのうち一部のノズル列LB又は全部のノズル列LBを構成する一部のノズル群Ngから接着剤GLを同じ期間に噴射する。同じ期間とは、ステップS4及びステップS8において、相対移動を停止させた期間である。すなわち、同じ期間とは、1つの媒体PPに液滴DRを形成する間に相対移動を停止させた1回又は複数回の期間のうち、同じ回の期間であることを意味する。以下、同じ期間を、「同じ停止期間」と記載することがある。1回の停止期間の具体的な長さは、液体噴射装置100の製造者等によって設定される。ステップS4の停止期間は、図6に記載したように、(回数CNT×2-1)回目の停止期間である。液体噴射装置100が有する8つのノズル列LBのうち、Z2方向に見て媒体PPと重ならないノズルNzからは接着剤GLを噴射しない。従って、ステップS4において、液体噴射装置100が有する8つのノズル列LBのうちZ2方向に見て媒体PPと重ならないノズルNzがある場合、液体噴射装置100が有する8つのノズル列LBのうち一部のノズル列LBを構成するノズルNzから接着剤GLを、(回数CNT×2-1)回目の停止期間に噴射する。更に、本実施形態では、上述したように、Z2方向に見て媒体PPと重なるノズルNzであっても全てのノズルNzから接着剤GLを噴射するのではなく、1つのノズル列LNに含まれる8つのノズル群Ngのうち2つのノズル群Ngから接着剤GLを噴射する。図7を用いて、回数CNTが1である場合にステップS4を実行した後の媒体PPの状態を説明する。
【0087】
図7は、回数CNTが1である場合にステップS4を実行した後の媒体PPの状態を示す図である。回数CNTが1である場合、液体噴射ヘッド110a1は、ステップS4において、ノズル列LB12のノズル群Ng[1]から接着剤GL_1を噴射することで領域CE21[1,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LB12のノズル群Ng[5]から接着剤GL_1を噴射することで領域CE11[1,1]に液滴DRを形成する。更に、液体噴射ヘッド110a1は、ノズル列LB11のノズル群Ng[3]から接着剤GL_2を噴射することで領域CE21[3,3]に液滴DRを形成し、ノズル列LB11のノズル群Ng[7]から接着剤GL_2を噴射することで領域CE11[3,3]に液滴DRを形成する。液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様である場合、液体噴射ヘッド110a1は、ノズル群Ng[1]のうちノズル群GP1又はノズル群GP2から接着剤GL_1を噴射し、ノズル群Ng[5]のうちノズル群GP3又はノズル群GP4から接着剤GL_1を噴射する。
【0088】
なお、ノズル列LB12及びノズル列LB11が媒体PPに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110a1は、ステップS4において、ノズル列LB12のノズル群Ng[1]及びノズル群Ng[5]から接着剤GL_1を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[1,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LB11のノズル群Ng[3]及びノズル群Ng[7]から接着剤GL_2を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[3,3]に液滴DRを形成する。
【0089】
各領域CEに付与した網掛けから理解されるように、1つのノズル列LNから形成される2つの液滴DRは、互いに同一の種類である。具体的には、領域CE21[1,1]に形成される液滴DRと領域CE11[1,1]に形成される液滴DRとは、互いに同一の種類である。また、領域CE21[3,3]に形成される液滴DRと領域CE11[3,3]に形成される液滴DRとは、互いに同一の種類である。
【0090】
1つの媒体PPである媒体PP21において、領域CE21[1,1]に形成される液滴DRと、領域CE21[3,3]に形成される液滴DRとは、互いに異なる種類である。また、領域CE21[1,1]と領域CE21[3,3]とは互いに異なる領域であるから、領域CE21[1,1]と領域CE21[3,3]との夫々に形成される液滴DRも互いに重ならない。従って、液体噴射装置100は、1つの媒体PPである媒体PP21に対して互いに種類の異なる接着剤GLを噴射することで、媒体PP21に対して互いに種類の異なる接着剤GLの液滴DRを1つずつ互いに重ならないように2次元上に形成する。
【0091】
図7に示すように、ノズル列配置間隔DNxは、液滴列配置間隔DDxより短い。即ち、ノズル列配置間隔DNxは、液滴列配置間隔DDxの一倍未満であるから、液滴列配置間隔DDxの整数倍ではない。従って、同じ停止期間にノズル列LB及びノズル列LAから接着剤GLを噴射することで、ノズル列LB及びノズル列LAの双方に対応する各領域CE内に液滴DRを同時に形成することはできない。
【0092】
また、図7に示すように、複数の液体噴射ヘッド110aの夫々は、略等間隔に配置されている。図7では、隣り合う液体噴射ヘッド110aのX軸に沿う方向に関する配置間隔であるヘッド配置間隔DHxを示してある。第1実施形態において、ヘッド配置間隔DHxは、媒体配置間隔DPxの整数倍である。本実施形態では、ヘッド配置間隔DHxは、媒体配置間隔DPxと略同一である。
【0093】
また、下記(1)式を満たす場合、1つの液体噴射ヘッド110aから同じ停止期間に噴射するノズル列LNの数を増やすことができ、標本を作成することに要する期間を短縮できる。
J=ROUND(DLx/DDx) (1)
【0094】
但し、Jは、1つの媒体PPのX2方向の端に位置する液滴列LDに含まれる液滴DRを形成している停止期間と同じ停止期間に形成されている液滴DRを含む複数の液滴列LDのうちX1方向の端に位置する液滴列LDから、1つの媒体PPのX1方向の端に位置する液滴列LDまでの数である。第1実施形態では、1つの媒体PPのX2方向の端に位置する液滴列LDに含まれる液滴DRを形成している停止期間と同じ停止期間に形成されている液滴DRを含む複数の液滴列LDのうちX1方向の端に位置する液滴列LDは、媒体PPのX1方向の端から2つ目の液滴列LDであるから、J=2である。DLxは、X軸に沿う方向において、隣り合うヘッドチップ111において同じ停止期間に噴射するノズル列LNの配置間隔である。ROUND(α)は、実数であるαの小数点第一位を四捨五入した整数を出力する関数である。説明の簡略化のため、以下、ROUND(DLx/DDx)をLと記載する。第1実施形態では、Lは2である。
【0095】
Jは、下記(2)式で示される。
J=CntY-L×(E-1) (2)
【0096】
但し、CntYは、1つの媒体PPに形成される液滴列LDの数である。CntYは、1つの媒体PPに形成される液滴DRがY軸に沿う方向に並んだ列の数ともいえる。Eは、1つの媒体PPに対して同じ停止期間に噴射する複数のノズル列LNの数である。第1実施形態において、CntYは、4であり、Eは、2である。第1実施形態において、(2)式に各値を代入すると、(3)式となる。
2=4-2×(2-1) (3)
【0097】
(1)式に(2)式を代入し、整理すると、下記(4)式が得られる。
CntY=L×E (4)
【0098】
CntYは、下記(5)式で示される。
CntY=Cnt/CntX (5)
【0099】
但し、Cntは、1つの媒体PPに形成する液滴DRの数である。CntXは、1つの媒体PPに形成される液滴DRの行の数である。CntXは、1つの媒体PPに形成される液滴DRがX軸に沿う方向に並んだ行の数ともいえる。第1実施形態において、Cntは16であり、CntXは4である。
【0100】
(4)式に(5)式を代入すると、下記(6)式が得られる。
Cnt/CntX=L×E (6)
【0101】
また、(6)式は、下記(7)式に変形できる。
Cnt/CntX=ROUND(DLx/DDx)×E (7)
【0102】
説明を図6に戻す。ステップS4の処理終了後、制御回路170は、ステップS6において、液体噴射装置100が有する8つのノズル列LAのうち一部のノズル列LA又は全部のノズル列LAが噴射する位置となるように、液体噴射ヘッド110aをX1方向に移動させる。ノズル列LAが噴射する位置とは、Z2方向に見て、いずれかの領域CE内にノズル列LAの一部のノズルNzが含まれる位置である。ステップS6の処理終了後、制御回路170は、ステップS8において、媒体PPと液体噴射ヘッド110aとの相対移動を停止させた状態で、液体噴射装置100が有する8つのノズル列LAのうち一部のノズル列LA又は全部のノズル列LAを構成するノズルNzから接着剤GLを同じ停止期間に噴射する。ステップS8の停止期間は、図6に記載したように、(回数CNT×2)回目の停止期間である。但し、この8つのノズル列LAのうち、Z2方向に見て媒体PPと重ならないノズルNzからは接着剤GLを噴射しない。従って、ステップS8において、液体噴射装置100が有する8つのノズル列LAのうちZ2方向に見て媒体PPと重ならないノズルNzがある場合、液体噴射装置100が有する8つのノズル列LAのうち一部のノズル列LAを構成するノズルNzから接着剤GLを、(回数CNT×2)回目の停止期間に噴射する。図8を用いて、回数CNTが1である場合にステップS8を実行した後の媒体PPの状態を説明する。
【0103】
図8は、回数CNTが1である場合にステップS8を実行した後の媒体PPの状態を示す図である。図7の状態から図8の状態までの間に、液体噴射ヘッド110aは、液滴列配置間隔DDxとノズル列配置間隔DNxとの合計分、X1方向に移動している。なお、回数CNTの値に関わらず、ステップS4からステップS8までの液体噴射ヘッド110aの移動量は、液滴列配置間隔DDxとノズル列配置間隔DNxとの合計分であるから、ステップS4からステップS8までの液体噴射ヘッド110aの移動量について説明を省略する。
【0104】
回数CNTが1である場合、液体噴射ヘッド110a1は、ステップS8において、ノズル列LA12のノズル群Ng[2]から接着剤GL_3を噴射することで領域CE21[2,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LA12のノズル群Ng[6]から接着剤GL_3を噴射することで領域CE11[2,2]に液滴DRを形成する。更に、液体噴射ヘッド110a1は、ノズル列LA11のノズル群Ng[4]から接着剤GL_4を噴射することで領域CE21[4,4]に液滴DRを形成し、ノズル列LA11のノズル群Ng[8]から接着剤GL_4を噴射することで領域CE11[4,4]に液滴DRを形成する。
【0105】
なお、ノズル列LA12及びノズル列LA11が媒体PPに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110a1は、ステップS8において、ノズル列LA12のノズル群Ng[2]及びノズル群Ng[6]から接着剤GL_3を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[2,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LA11のノズル群Ng[4]及びノズル群Ng[8]から接着剤GL_4を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[4,4]に液滴DRを形成する。従って、ステップS8におけるノズル列LA12及びノズル列LA11の動作については以降説明を省略する。
【0106】
図8では、ステップS4において領域CE21[1,1]に液滴DRを形成したノズル群Ng[1]と、ステップS4において領域CE21[3,3]に液滴DRを形成したノズル群Ng[3]とのY軸に沿う方向の間隔Dy13を示してある。2つのノズル群Ngの間隔とは、一方のノズル群Ngの中央の位置から、他方のノズル群Ngの中央の位置までの距離である。ノズル群Ngの中央の位置とは、ノズル群NgのうちY1方向の端に位置するノズルNzからY2方向の端に位置するノズルNzまでの線分の中心の位置である。そして、図8から理解されるように、間隔Dy13は、Y軸に沿う方向に隣り合う液滴DR同士の配置間隔DDyよりも長い。言い換えれば、ノズル群Ng[1]とノズル群Ng[3]とは、配置間隔DDyよりも離れている。
【0107】
また、図8では、ステップS4において領域CE21[1,1]に液滴DRを形成したノズル群Ng[1]と、ステップS8において領域CE21[2,2]に液滴DRを形成したノズル群Ng[2]とのY軸に沿う方向の間隔Dy12を示してある。間隔Dy12は、配置間隔DDy以上である。但し、第1実施形態では、間隔Dy12は、配置間隔DDyと略同一であるが、間隔Dy12は、配置間隔DDyよりも長いことが好ましい。
【0108】
説明を図6に戻す。ステップS8の処理終了後、制御回路170は、ステップS10において、全ての媒体PPの各領域CEに液滴DRを形成したか否かを判定する。ステップS10の判定結果が否定である場合、制御回路170は、処理をステップS2に戻す。ステップS10の判定結果が肯定である場合、制御回路170は、図6に示す一連の処理を終了する。以降、回数CNTが2、3、4の夫々の場合において、ステップS4を実行した後の媒体PPの状態と、ステップS4を実行した後の媒体PPの状態とを、図9から図14までを用いて説明する。
【0109】
図9は、回数CNTが2である場合にステップS4を実行した後の媒体PPの状態を示す図である。図8の状態から図9の状態までの間に、液体噴射ヘッド110aは、媒体配置間隔DPxから液滴列配置間隔DDx及びノズル列配置間隔DNxを減じた分、X1方向に移動している。なお、回数CNTの値に関わらず、ステップS8からステップS4までの液体噴射ヘッド110aの移動量は、媒体配置間隔DPxから液滴列配置間隔DDx及びノズル列配置間隔DNxを減じた分であるから、ステップS8からステップS4までの液体噴射ヘッド110aの移動量について説明を省略する。
【0110】
回数CNTが2である場合、液体噴射ヘッド110a2は、ステップS4において、ノズル列LB22のノズル群Ng[2]から接着剤GL_5を噴射することで領域CE21[1,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LB22のノズル群Ng[6]から接着剤GL_5を噴射することで領域CE11[1,2]に液滴DRを形成する。更に、液体噴射ヘッド110a2は、ノズル列LB21のノズル群Ng[4]から接着剤GL_6を噴射することで領域CE21[3,4]に液滴DRを形成し、ノズル列LB21のノズル群Ng[8]から接着剤GL_6を噴射することで領域CE11[3,4]に液滴DRを形成する。
【0111】
なお、ノズル列LB22及びノズル列LB21が媒体PPに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110a2は、ステップS4において、ノズル列LB22のノズル群Ng[2]及びノズル群Ng[6]から接着剤GL_5を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[1,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LB21のノズル群Ng[4]及びノズル群Ng[8]から接着剤GL_6を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[3,4]に液滴DRを形成する。従って、ステップS4におけるノズル列LB22及びノズル列LB21の動作については以降説明を省略する。
【0112】
図10は、回数CNTが2である場合にステップS8を実行した後の媒体PPの状態を示す図である。回数CNTが2である場合、液体噴射ヘッド110a2は、ステップS8において、ノズル列LA22のノズル群Ng[3]から接着剤GL_7を噴射することで領域CE21[2,3]に液滴DRを形成し、ノズル列LA22のノズル群Ng[7]から接着剤GL_7を噴射することで領域CE11[2,3]に液滴DRを形成する。更に、液体噴射ヘッド110a2は、ノズル列LA21のノズル群Ng[1]から接着剤GL_8を噴射することで領域CE21[4,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LA21のノズル群Ng[5]から接着剤GL_8を噴射することで領域CE11[4,1]に液滴DRを形成する。
【0113】
なお、ノズル列LA22及びノズル列LA21が媒体PPに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110a2は、ステップS8において、ノズル列LA22のノズル群Ng[3]及びノズル群Ng[7]から接着剤GL_7を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[2,3]に液滴DRを形成し、ノズル列LA21のノズル群Ng[1]及びノズル群Ng[5]から接着剤GL_8を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[4,1]に液滴DRを形成する。従って、ステップS8におけるノズル列LA22及びノズル列LA21の動作については以降説明を省略する。
【0114】
図11は、回数CNTが3である場合にステップS4を実行した後の媒体PPの状態を示す図である。回数CNTが3である場合、液体噴射ヘッド110a3は、ステップS4において、ノズル列LB32のノズル群Ng[3]から接着剤GL_9を噴射することで領域CE21[1,3]に液滴DRを形成し、ノズル列LB32のノズル群Ng[7]から接着剤GL_9を噴射することで領域CE11[1,3]に液滴DRを形成する。更に、液体噴射ヘッド110a3は、ノズル列LB31のノズル群Ng[1]から接着剤GL_10を噴射することで領域CE21[3,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LB31のノズル群Ng[5]から接着剤GL_10を噴射することで領域CE11[3,1]に液滴DRを形成する。
【0115】
なお、ノズル列LB32及びノズル列LB31が媒体PPに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110a3は、ステップS4において、ノズル列LB32のノズル群Ng[3]及びノズル群Ng[7]から接着剤GL_9を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[1,3]に液滴DRを形成し、ノズル列LB31のノズル群Ng[1]及びノズル群Ng[5]から接着剤GL_10を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[3,1]に液滴DRを形成する。従って、ステップS4におけるノズル列LB32及びノズル列LB31の動作については以降説明を省略する。
【0116】
図12は、回数CNTが3である場合にステップS8を実行した後の媒体PPの状態を示す図である。回数CNTが3である場合、液体噴射ヘッド110a3は、ステップS8において、ノズル列LA32のノズル群Ng[4]から接着剤GL_11を噴射することで領域CE21[2,4]に液滴DRを形成し、ノズル列LA32のノズル群Ng[8]から接着剤GL_11を噴射することで領域CE11[2,4]に液滴DRを形成する。更に、液体噴射ヘッド110a3は、ノズル列LA31のノズル群Ng[2]から接着剤GL_12を噴射することで領域CE21[4,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LA31のノズル群Ng[6]から接着剤GL_12を噴射することで領域CE11[4,2]に液滴DRを形成する。
【0117】
なお、ノズル列LA32及びノズル列LA31が媒体PPに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110a3は、ステップS8において、ノズル列LA32のノズル群Ng[4]及びノズル群Ng[8]から接着剤GL_11を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[2,4]に液滴DRを形成し、ノズル列LA31のノズル群Ng[2]及びノズル群Ng[6]から接着剤GL_12を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[4,2]に液滴DRを形成する。従って、ステップS8におけるノズル列LA32及びノズル列LA31の動作については以降説明を省略する。
【0118】
図13は、回数CNTが4である場合にステップS4を実行した後の媒体PPの状態を示す図である。回数CNTが4である場合、液体噴射ヘッド110a4は、ステップS4において、ノズル列LB42のノズル群Ng[4]から接着剤GL_13を噴射することで領域CE21[1,4]に液滴DRを形成し、ノズル列LB42のノズル群Ng[8]から接着剤GL_13を噴射することで領域CE11[1,4]に液滴DRを形成する。更に、液体噴射ヘッド110a4は、ノズル列LB41のノズル群Ng[2]から接着剤GL_14を噴射することで領域CE21[3,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LB41のノズル群Ng[6]から接着剤GL_14を噴射することで領域CE11[3,2]に液滴DRを形成する。
【0119】
なお、ノズル列LB42及びノズル列LB41が媒体PPに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110a4は、ステップS4において、ノズル列LB42のノズル群Ng[4]及びノズル群Ng[8]から接着剤GL_13を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[1,4]に液滴DRを形成し、ノズル列LB41のノズル群Ng[2]及びノズル群Ng[6]から接着剤GL_14を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[3,2]に液滴DRを形成する。従って、ステップS4におけるノズル列LB42及びノズル列LB41の動作については以降説明を省略する。
【0120】
図14は、回数CNTが4である場合にステップS8を実行した後の媒体PPの状態を示す図である。回数CNTが4である場合、液体噴射ヘッド110a4は、ステップS8において、ノズル列LA42のノズル群Ng[1]から接着剤GL_15を噴射することで領域CE21[2,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LA42のノズル群Ng[5]から接着剤GL_15を噴射することで領域CE11[2,1]に液滴DRを形成する。更に、液体噴射ヘッド110a4は、ノズル列LA41のノズル群Ng[3]から接着剤GL_16を噴射することで領域CE21[4,3]に液滴DRを形成し、ノズル列LA41のノズル群Ng[7]から接着剤GL_16を噴射することで領域CE11[4,3]に液滴DRを形成する。
【0121】
なお、ノズル列LA42及びノズル列LA41が媒体PPに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110a4は、ステップS8において、ノズル列LA42のノズル群Ng[1]及びノズル群Ng[5]から接着剤GL_15を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[2,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LA41のノズル群Ng[3]及びノズル群Ng[7]から接着剤GL_16を噴射することでY軸に沿う方向に並ぶ媒体PPの各領域CE[4,3]に液滴DRを形成する。従って、ステップS8におけるノズル列LA42及びノズル列LA41の動作については以降説明を省略する。
【0122】
回数CNTが4であり、且つ、ステップS8の処理を終了した時点で、媒体PP11及び媒体PP21の16個の領域CEの全てに液滴DRを形成したため、液体噴射装置100は、媒体PP11及び媒体PP21を標本として作成し終える。以降、液体噴射装置100は、媒体PP12、媒体PP22、媒体PP13、媒体PP23、媒体PP14、及び、媒体PP24を標本として作成し終えるまでステップS2からステップS8までの一連の処理を繰り返す。
【0123】
1-6.第1実施形態のまとめ
1-6-1.多数の標本を作成することに関するまとめ
以下の説明では、図6から図14までに示した標本作成動作において、ノズル列LB12と、ノズル列LB11と、ノズル列LA12とを用いて、多数の標本を作成することに関するまとめを記載する。
なお、1-6-1節において、説明を簡略化するため、接着剤GL_1によって領域CE21[1,1]に形成された液滴DRを液滴DR_1と記載することがある。同様に、接着剤GL_2によって領域CE21[3,3]に形成された液滴DRを液滴DR_2と記載することがある。また、接着剤GL_3によって領域CE21[2,2]に形成された液滴DRを、液滴DR_3と記載することがある。また、接着剤GL_1によって領域CE11[1,1]に形成された液滴DRを液滴DR_4と記載することがある。
【0124】
以上説明したように、第1実施形態に係る液体噴射方法は、複数のノズル列LNを夫々が有する複数の液体噴射ヘッド110aから複数の種類の接着剤GLを噴射する。そして、複数の液体噴射ヘッド110aのうち1つの液体噴射ヘッド110a1のノズル列LB12から接着剤GL_1を噴射させ、液体噴射ヘッド110a1のノズル列LB11から接着剤GL_1とは種類の異なる接着剤GL_2を噴射させ、複数の液体噴射ヘッド110aが複数の媒体PPに対して相対移動が可能であり、液体噴射ヘッド110a1は、当該相対移動を停止させた状態で、ノズル列LB12から噴射された接着剤GL_1によって形成される液滴DR_1と、ノズル列LB11から噴射された接着剤GL_2によって形成される液滴DR_2とを、互いに重ならないように複数の媒体PPのうち1つの媒体PP21上に同じ停止期間に形成する。
第1実施形態に係る液体噴射方法は、液体噴射ヘッド110aが備える複数のノズル列LNから夫々異なる種類の接着剤GLの液滴DRを同じ停止期間に媒体PP上に形成できるため、標本の作成時間を短縮できる。更に、相対移動を停止させた状態で接着剤GLを噴射するため、相対移動している間に接着剤GLを噴射する態様と比較して、液滴DRを安定して媒体PPに定着できる。また、第1実施形態に係る液体噴射方法は、1つの液体噴射ヘッド110aによって複数の種類、具体的には4種類の接着剤GLを噴射することができるため、接着剤GLの種類が増えたとしても、接着剤GLの種類の数に対応する複数のディスペンサーによって標本を作成する場合に比べて、標本を作成するために必要な液体噴射ヘッド110aの数を低減し、標本を作成するためのシステムの大型化を抑制できる。従って、第1実施形態に係る液体噴射方法は、標本を多数作成することに対して好適であるといえる。
但し、第1実施形態に係る液体噴射方法は、複数の液体噴射ヘッド110aから複数の種類の接着剤GLを噴射するが、1つの液体噴射ヘッド110aから複数の種類の接着剤GLを噴射してもよい。また、第1実施形態における液体噴射方法は、複数の媒体PPに液滴DRを形成するが、1つの媒体PPに液滴DRを形成してもよい。
【0125】
また、第1実施形態に係る液体噴射方法は、相対移動を停止させた状態で、ノズル列LB12を構成する少なくとも1つのノズルNzから、接着剤GL_1を複数回噴射することで液滴DR_1を媒体PP21上に形成する。
【0126】
また、液体噴射ヘッド110aが有する全ての複数のノズル列LNの夫々は、1つの媒体PPに対して複数の種類の接着剤GLのうち互いに種類の異なる接着剤GLを噴射することで、1つの媒体PPに対して互いに種類の異なる接着剤GLの液滴DRを1つずつ互いに重ならないように2次元上に形成する。
媒体PP上に接着剤GLを2次元上に配列することで、1つの媒体PP内に多くの種類の液滴DRを並べることができ、標本のサイズを小さくできる。標本のサイズを小さくできた結果、本実施形態に係る液体噴射方法は、媒体PP上に液滴DRを一列に沿って配列する態様と比較して、一度に複数の標本を作成できる。
但し、液体噴射ヘッド110aが有する一部の複数のノズル列LNの各々が、1つの媒体PPに対して複数の種類の接着剤GLのうち互いに種類の異なる接着剤GLを噴射することで、1つの媒体PPに対して互いに種類の異なる接着剤GLの液滴DRを1つずつ互いに重ならないように2次元上に形成してもよい。すなわち、上述したように、標本作成動作で使用しないノズル列LNがあってもよい。
【0127】
また、液体噴射ヘッド110aは、複数のノズル列LNのうち夫々が2以上のノズル列LNを含む複数のノズルプレート111cを含み、複数のノズル列LNの夫々は、複数のノズルNzがY軸に沿う方向に並ぶことで構成され、複数のノズルプレート111cは、Y軸に沿う方向に直交するX軸に沿う方向に並んで配置される。複数のノズルプレート111cの夫々に含まれる2以上のノズル列LNのうち隣り合うノズル列LN同士のX軸に沿う方向に関するノズル列配置間隔DNxは、1つの媒体PPに形成される複数の液滴列LDのうち隣り合う液滴列LD同士のX軸に沿う方向に関する液滴列配置間隔DDxの整数倍ではない。液体噴射装置100は、媒体PP21に対して隣り合うノズル列LB12及びノズル列LA12のうち一方のノズル列LNであるノズル列LB12から複数の接着剤GLのうち接着剤GL_1を噴射することで液滴DR_1を形成した後に相対移動を行う。そして、液体噴射装置100は、相対移動の後、媒体PP21に対して他方のノズル列LNであるノズル列LA12から複数の接着剤GLのうち接着剤GL_3を噴射することで液滴DR_3を形成する。
本実施形態に係る液体噴射方法は、1つのノズルプレート111c内のノズル列配置間隔DNxに合わせて相対移動するため、ノズル列配置間隔DNxに依らず、2次元上に液滴DRを配置できる。
【0128】
また、複数の液体噴射ヘッド110aの各ノズル列LNから1つの媒体PPに対して複数の種類の接着剤GLのうち互いに種類の異なる接着剤GLを噴射することで、1つの媒体PPに対して互いに種類の異なる接着剤GLの液滴DRを1つずつ互いに重ならないように2次元上に形成し、1つの媒体PPに形成する液滴の数をCntとし、1つの媒体PPに形成される液滴行の数をCntXとし、1つの媒体PPに対して同じ停止期間に噴射する複数のノズル列LNのうち隣り合うノズル列LN同士の配置間隔をDLxとし、1つの媒体PPに形成される2つの液滴列LD同士の配置間隔をDDxとし、1つの媒体PPに対して同時に噴射する複数のノズル列LNの数をEとし、DLxをDDxで除算した値の小数点第一位を四捨五入した整数をLとしたとき、Cnt/CntX=L×E、即ち(6)式を満たす。
(6)式を満たす場合、(6)式を満たさない場合と比較して、1つの液体噴射ヘッド110aから同じ停止期間に噴射するノズル列LNの数を増やすことができ、標本を作成することに要する期間を短縮できる。
【0129】
複数の液体噴射ヘッド110aは、液体噴射ヘッド110a1と、液体噴射ヘッド110a1とは異なる液体噴射ヘッド110a2とを含み、複数のノズル列LNの夫々は、複数のノズルNzがY軸に沿う方向に並ぶことで構成され、複数の液体噴射ヘッド110aが有する複数のノズル列LNは、Y軸に沿う方向に直交するX軸に沿う方向に並び、複数の液体噴射ヘッド110aは、X軸に沿う方向に並び、複数の媒体PPは、Y軸に沿う方向に直交するX軸に沿う方向に並び、複数の液体噴射ヘッド110aから複数の媒体PPの夫々に複数の種類の接着剤GLを噴射することで複数の液滴DRを形成し、液体噴射ヘッド110a1と液体噴射ヘッド110a2とは、互いに隣り合い、液体噴射ヘッド110a1と液体噴射ヘッド110a2とのX軸に沿う方向に関するヘッド配置間隔DHxは、媒体配置間隔DPxの整数倍である。
ヘッド配置間隔DHxが媒体配置間隔DPxの整数倍であることにより、複数の液体噴射ヘッド110aから複数の媒体PPに同じ停止期間に接着剤GLを噴射できる。具体的には、図9に示すように、同じ停止期間に、液体噴射ヘッド110a1が媒体PP22及び媒体PP12に接着剤GLを噴射するとともに、液体噴射ヘッド110a2が媒体PP21及び媒体PP11に接着剤GLを噴射できる。複数の液体噴射ヘッド110aから複数の媒体PPに同じ停止期間に接着剤GLを噴射できることにより、複数の標本を作成することに要する時間を短縮できる。
【0130】
また、複数のノズル列LNの夫々は、複数のノズルNzがY軸に沿う方向に並ぶことで構成され、複数のノズル列LNは、X軸に沿う方向に並び、ノズル列LB12とノズル列LB11とは、同じ停止期間に接着剤GLを噴射する複数のノズル列LNのうち互いに隣り合うノズル列LNであり、液滴DR_1を形成するために接着剤GL_1を噴射するノズル列LB12のノズル群Ng[1]と、液滴DR_2を形成するために接着剤GL_2を噴射するノズル列LB11のノズル群Ng[3]とは、Y軸に沿う方向に関して、媒体PP21に形成される複数の液滴DRのうちY軸に沿う方向に隣り合う液滴DR同士の配置間隔である配置間隔DDyよりも離れている。
ノズルNzから接着剤GLを噴射すると、接着剤GLの尾引きに起因した霧状の微細な液滴、いわゆるミストが発生することがある。ミストが発生すると、ある接着剤GLのミストが、他の接着剤GLに混入するという、いわゆるコンタミネーションが発生してしまう。コンタミネーションが発生すると、ある接着剤GLのミストが混入された他の接着剤GLによって形成された液滴DRの特性が変化し、接液検査の結果が不正確になる可能性がある。本実施形態に係る液体噴射方法は、Y軸に沿う方向に関して、ノズル列LB12のノズル群Ng[1]とノズル列LB11のノズル群Ng[3]とは、配置間隔DDyよりも離れているため、配置間隔DDyよりも離れていない態様と比較して、コンタミネーションの発生を抑制でき、接液検査の結果を正確にできる。
【0131】
また、液体噴射ヘッド110a1は、接着剤GL_1及び接着剤GL_2とは種類の異なる接着剤GL_3を噴射するノズル列LA12を含み、ノズル列LB12とノズル列LA12とは、互いに隣り合うノズル列LNであり、ノズル列LB12のノズル群Ng[1]と、液滴DR_3を形成するために接着剤GL_3を噴射するノズル列LA12のノズル群Ng[2]とは、Y軸に沿う方向に関して、媒体PP21に形成される複数の液滴DRのうちY軸に沿う方向に隣り合う液滴同士の配置間隔DDy以上離れている。
本実施形態に係る液体噴射方法は、Y軸に沿う方向に関して、ノズル列LB12のノズル群Ng[1]とノズル列LA12のノズル群Ng[2]とは、配置間隔DDy以上離れているため、配置間隔DDyよりも離れていない態様と比較して、コンタミネーションの発生を抑制して、接液検査の結果を正確にすることができる。また、Y軸に沿う方向に関して、ノズル列LB12のノズル群Ng[1]とノズル列LA12のノズル群Ng[2]とは、配置間隔DDyよりも離れていることが好ましい。ノズル群Ng同士の間隔が離れているほど、ミストの影響を小さくできるためである。
【0132】
また、複数のノズルNzがY軸に方向に並ぶことで構成されたノズル列LB12から、複数の媒体PPのうちY軸に沿う方向に並ぶ媒体PP21及び媒体PP11の夫々に対して同じ停止期間に接着剤GL_1を噴射することで、媒体PP21及び媒体PP11の夫々に1つの液滴DRを形成する。具体的には、ノズル列LB12のノズル群Ng[1]から接着剤GL_1を媒体PP21に噴射することで、媒体PP21に液滴DR_1を形成し、ノズル列LB12のノズル群Ng[5]から接着剤GL_1を媒体PP11に噴射することにより、媒体PP11に液滴DR_4を形成する。
第1実施形態に係る液体噴射方法は、同じ停止期間に、1つのノズル列LNにより1つの液滴DRを形成する態様と比較して、1回の標本作成動作によって作成される標本の個数を増加させることができる。
【0133】
1-6-2.液滴DRの形状に関するまとめ
以下の説明では、ノズル列LB12を用いて、液滴DRを形成するノズルNzの第2の態様又は第3の態様である場合の液滴DRの形状に関するまとめを記載する。説明の簡略化のため、接着剤GL_1によって領域CE21[1,1]に形成された液滴DRを液滴DR_1と記載することがある。同様に、接着剤GL_1によって領域CE11[1,1]に形成された液滴DRを液滴DR_4と記載することがある。
なお、1-6-2節において、ノズル列LB12が、「ノズル列」に相当する。媒体PP21が「第1媒体」に相当する。媒体PP22が「第2媒体」に相当する。液滴DR_1が「第1液滴」に相当し、液滴DR_4が「第2液滴」に相当する。
【0134】
液滴DRを形成するノズルNzの第2の態様又は第3の態様において、複数のノズルNzが並ぶことで構成されたノズル列LB12を備える液体噴射ヘッド110aから接着剤GLを噴射する液体噴射方法であって、液体噴射ヘッド110aは、媒体PP21に対して相対移動が可能であり、相対移動を停止させた状態でノズル列LB12の一部を構成するノズル群Ng[1]から接着剤GLを噴射することで1つの液滴DRである液滴DR_1を媒体PP21上に形成する。ノズル群Ng[1]は、複数のノズルNzを有する。
なお、液滴DRを形成するノズルNzの第2の態様において、ノズル群Ng[1]を構成する全部のノズルNzのうち一部又は全部の複数のノズルNzが、「複数の第1ノズル」に相当する。液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様において、ノズル群Ng[1]のうちノズル群GP1に含まれる複数のノズルNzが、「複数の第1ノズル」に相当する。
液滴DRを形成するノズルNzの第2の態様又は第3の態様は、複数のノズルNzから接着剤GLを噴射することにより、1つのノズルNzからのショット数を低減できるので、1つのノズルNzのみから接着剤GLを噴射する態様と比較して、液滴DRを形成するために要する期間を短縮できる。更に、相対移動を停止させた状態で接着剤GLを噴射するため、相対移動している間に接着剤GLを噴射する態様と比較して、液滴DRを安定して媒体PPに定着できる。
【0135】
液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様において、ノズル列LB12の一部を構成するノズル群GP1は、互いに隣り合わない。
液滴DRを形成するノズルNzの第2の態様では、液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様と比較して、隣り合うノズルNz同士から噴射された接着剤GLが、媒体PP上に着弾した後、液滴DR同士が互いに接触する可能性が高くなる。液滴DR同士が互いに接触すると、互いをY軸に沿う方向に押し合う力が発生し、Z2方向に見て、媒体PP上に形成された液滴DRが楕円形状に近づく虞がある。一方、液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様は、ノズル群GP1を構成する複数のノズルNzのうち隣り合うノズルNzの間隔が比較的広いため、ノズル群GP1を構成する複数のノズルNzのうち隣り合うノズルNzから噴射された接着剤GLが当該間隔に入り込みやすくなるため、液滴DRを形成するノズルNzの第2の態様と比較して、Z2方向に見て液滴DRを真円に近づけることができる。
【0136】
液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様において、ノズル列LNは、互いに隣り合わない複数のノズルNzから構成されるノズル群GP1と、ノズル群GP2とは異なり、互いに隣り合わない複数のノズルNzから構成されるノズル群GP2と、を含み、ノズル群GP1を構成する複数のノズルNzから接着剤GL_1を噴射することで、液滴DR_1を媒体PP21上に形成し、ノズル群GP2を構成する複数のノズルNzから接着剤GL_1を噴射することで、液滴DR_4を媒体PP21とは異なる媒体PP22上に形成してもよい。
なお、ノズル群GP1が、「第1ノズル群」に相当し、ノズル群GP2が、「第2ノズル群」に相当する。ノズル群GP2に含まれる複数のノズルNzが、「複数の第2ノズル」に相当する。
ノズル群GP1を構成する複数のノズルNzから接着剤GL_1を噴射することで、液滴DR_4を媒体PP22上に形成する態様も可能である。しかしながら、ノズルNzから接着剤GLを噴射させるために駆動素子111fの駆動を繰り返すと、駆動素子111fが劣化しやすい。従って、液体噴射装置100が有する複数の駆動素子111fの駆動回数は均一に近い程好ましい。上記の液体噴射方法は、媒体PP21に接着剤GL_1を噴射するノズル群GP1と、媒体PP22に接着剤GL_1を噴射するノズル群GP2とが異なることにより、ノズル群GP1が媒体PP21及び媒体PP22に接着剤GL_1を噴射する態様と比較して、駆動素子111fの長寿命化を図ることができる。
【0137】
液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様において、ノズル群GP1を構成する複数のノズルNzと、ノズル群GP2を構成する複数のノズルNzとは、互いに交互に並んでいてもよい。
この液体噴射方法は、ノズル群GP1を構成するノズルNzとノズル群GP2を構成するノズルNzとが等間隔に並ぶため、ノズル群GP1を構成する複数のノズルNzとノズル群GP2を構成する複数のノズルNzとが交互に並ばない態様と比較して、Z2方向に見て液滴DRを真円に近づけることができる。
【0138】
また、液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様において、ノズル群GP1を構成する複数のノズルNzの数は、3個以上であり、液滴DR_1を媒体PP21上に形成するための、ノズル群GP1を構成する複数のノズルNzのうち端に配置されていないノズルNzからの噴射回数は、ノズル群GP1を構成する複数のノズルNzのうち端に配置されているノズルNzの噴射回数よりも多くしてもよい。
これにより、Z2方向に見て液滴DR_1を真円に近づけることができる。
【0139】
また、液滴DRを形成するノズルNzの第3の態様において、相対移動を停止させた状態で、ノズル群GP1を構成する複数のノズルNzの夫々から、接着剤GL_1を複数回噴射することで液滴DR_1を媒体PP21上に形成する。
【0140】
2.第2実施形態
第1実施形態では、複数の液体噴射ヘッド110aの夫々は、略等間隔に配置されているが、これに限らない。以下、第2実施形態について説明する。
【0141】
2-1.第2実施形態に係る液体噴射ヘッド110aAの配置関係
図15は、液体噴射ヘッド110aAを示す図である。第2実施形態に係る液体噴射装置100Aは、4個の液体噴射ヘッド110aの替わりに4個の液体噴射ヘッド110aAを有する点で、液体噴射装置100と相違する。図15に示すように、4個の液体噴射ヘッド110aAは、液体噴射ヘッド110aA1と、液体噴射ヘッド110aA2と、液体噴射ヘッド110aA3と、液体噴射ヘッド110aA4とである。4個の液体噴射ヘッド110aAの夫々の間隔は異なる。具体的には、液体噴射ヘッド110aA1と液体噴射ヘッド110aA2との配置間隔、及び、液体噴射ヘッド110aA3と液体噴射ヘッド110aA4との配置間隔は、共に、ヘッド配置間隔DH1xである。一方、液体噴射ヘッド110aA2と液体噴射ヘッド110aA3との配置間隔は、ヘッド配置間隔DH2xである。そして、ヘッド配置間隔DH2xは、ヘッド配置間隔DH1xより長い。
【0142】
2-2.第2実施形態に係る標本の一例
図16は、第2実施形態に係る標本作成動作によって作成された標本の一例を示す図である。液体噴射装置100Aは、媒体PPの替わりに媒体PPAに接着剤GLを噴射することにより、標本を作成する。
【0143】
図16では、1つの媒体PPAを、X軸に沿った方向に2分割し、Y軸に沿った方向に8分割した16個の領域CEAに分割し、夫々の領域CEAに夫々種類が異なる接着剤GLが噴射されて、媒体PPA上に液滴DRが形成されることにより作成された標本を示してある。
【0144】
また、図16では、X軸に沿う方向に関して、複数の媒体PPAのうち隣り合う媒体PPA同士の配置間隔である媒体配置間隔DPAxを示してある。第2実施形態では、媒体配置間隔DPAxは、液滴列配置間隔DDxの略5倍である。
【0145】
以下の説明では、1つの媒体PPAを16分割した各領域CEAを、領域CEA[x,y]と記載することがある。xは、Y軸に沿った方向に1つの媒体PPAを8分割した列のうち、X2方向の端から数えた列の値を示す。yは、Y軸に沿った方向に1つの媒体PPAを2分割した行のうち、Y2方向の端から数えた列の値を示す。更に、図16に示すように、媒体PPA1を16分割した各領域CEAを、領域CEA1[x,y]と記載することがある。媒体PPA1以外の媒体PPAを16分割した領域CEAも領域CEA1[x,y]と同様に、領域CEAX[x,y]というように添え字Xを付して表現することがある。添え字Xは、1、2、3、4、5、6、及び、7のいずれか1つである。図16の例では、媒体PPA1に含まれ、X2方向の端から1番目に位置し、且つ、Y2方向の端から1番目に位置する領域CEAが、領域CEA1[1,1]であることを示す。また、媒体PPA3に含まれ、X2方向の端から3番目に位置し、且つ、Y2方向の端から2番目に位置する領域CEAが、領域CEA3[3,2]であることを示す。
【0146】
2-3.標本作成動作
図17から図30までを用いて第2実施形態に係る標本作成動作について説明する。第2実施形態に係る標本作成動作を示すフローチャートは、図6に示す第1実施形態に係る標本作成動作を示すフローチャートと同一であるため、説明を省略する。
【0147】
液体噴射装置100Aも、液体噴射装置100と同様に、16個のノズル列を有する。16個のノズル列LNを区別するため、iを1から4までの整数として、液体噴射ヘッド110aAiのX1方向に配置されたヘッドチップ111が有するノズル列LAをノズル列LAi1と記載し、ノズル列LBをノズル列LBi1と記載することがある。同様に、液体噴射ヘッド110aAiのX2方向に配置されたヘッドチップ111が有するノズル列LAをノズル列LAi2と記載し、ノズル列LBをノズル列LBi2と記載することがある。
【0148】
更に、図17から図30まででは、図7から図14までと同様に、図面の煩雑化を防ぐため、領域CEに液滴DRが形成されたことを、領域CEに網掛けを付与することによって示す。また、説明を簡略化するため、iを1から4までの整数として、ノズル列LBi2の各ノズルNzから噴射される接着剤GLを接着剤GL_i×4-3とし、ノズル列LBi1の各ノズルNzから噴射される接着剤GLを接着剤GL_i×4-2とし、ノズル列LAi2の各ノズルNzから噴射される接着剤GLを接着剤GL_i×4-1とし、ノズル列LAi1の各ノズルNzから噴射される接着剤GLを接着剤GL_i×4とする。
【0149】
第2実施形態では、平面視において、1つのノズル列LNに対して同時に複数の媒体PPAは重ならず、1つの媒体PPAのみが重なるため、1つのノズル列LNが有する8つのノズル群Ngのうち、1つのノズル群Ngから接着剤GLを噴射する。
【0150】
図17は、回数CNTが1である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。回数CNTが1である場合、液体噴射ヘッド110aA1は、ステップS4において、ノズル列LB12のノズル群Ng[1]から接着剤GL_1を噴射することで領域CEA1[3,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LB11のノズル群Ng[1]から接着剤GL_2を噴射することで領域CEA1[7,1]に液滴DRを形成する。
【0151】
なお、ノズル列LB12及びノズル列LB11が媒体PPAに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110aA1は、ステップS4において、ノズル列LB12のノズル群Ng[1]から接着剤GL_1を噴射することで領域CEA[3,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LB11のノズル群Ng[1]から接着剤GL_2を噴射することで領域CEA[7,1]に液滴DRを形成する。
【0152】
図18は、回数CNTが1である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。図17の状態から図18の状態までの間に、液体噴射ヘッド110aAは、液滴列配置間隔DDxとノズル列配置間隔DNxとの合計分、X1方向に移動している。なお、回数CNTの値に関わらず、ステップS4からステップS8までの液体噴射ヘッド110aAの移動量は、液滴列配置間隔DDxとノズル列配置間隔DNxとの合計分であるから、ステップS4からステップS8までの液体噴射ヘッド110aAの移動量について説明を省略する。
【0153】
回数CNTが1である場合、液体噴射ヘッド110aA1は、ステップS8において、ノズル列LA12のノズル群Ng[1]から接着剤GL_3を噴射することで領域CEA1[4,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LA11のノズル群Ng[1]から接着剤GL_4を噴射することで領域CEA1[8,1]に液滴DRを形成する。
【0154】
なお、ノズル列LA12及びノズル列LA11が媒体PPAに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110aA1は、ステップS8において、ノズル列LA12のノズル群Ng[1]から接着剤GL_3を噴射することで領域CEA[4,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LA11のノズル群Ng[1]から接着剤GL_4を噴射することで領域CEA[8,1]に液滴DRを形成する。従って、ステップS8におけるノズル列LB11及びノズル列LA11の動作については以降説明を省略する。
【0155】
図19は、回数CNTが2である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。図18の状態から図19の状態までの間に、液体噴射ヘッド110aAは、媒体配置間隔DPAxから液滴列配置間隔DDx及びノズル列配置間隔DNxを減じた分、X1方向に移動している。なお、回数CNTの値に関わらず、ステップS8からステップS4までの液体噴射ヘッド110aAの移動量は、媒体配置間隔DPAxから液滴列配置間隔DDx及びノズル列配置間隔DNxを減じた分であるから、ステップS8からステップS4までの液体噴射ヘッド110aAの移動量について説明を省略する。
【0156】
図20は、回数CNTが2である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。図21は、回数CNTが3である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。
【0157】
回数CNTが3である場合、液体噴射ヘッド110aA2は、ステップS4において、ノズル列LB22のノズル群Ng[2]から接着剤GL_5を噴射することで領域CEA1[3,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LB21のノズル群Ng[2]から接着剤GL_6を噴射することで領域CEA1[7,2]に液滴DRを形成する。
【0158】
なお、ノズル列LB22及びノズル列LB21が媒体PPAに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110aA2は、ステップS4において、ノズル列LB22のノズル群Ng[2]から接着剤GL_5を噴射することで領域CEA[3,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LB21のノズル群Ng[2]から接着剤GL_6を噴射することで領域CEA[7,2]に液滴DRを形成する。従って、ステップS4におけるノズル列LB22及びノズル列LB21の動作については以降説明を省略する。
【0159】
図22は、回数CNTが3である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。回数CNTが3である場合、液体噴射ヘッド110aA2は、ステップS8において、ノズル列LA22のノズル群Ng[2]から接着剤GL_7を噴射することで領域CEA1[4,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LA21のノズル群Ng[2]から接着剤GL_8を噴射することで領域CEA1[8,2]に液滴DRを形成する。
【0160】
なお、ノズル列LA22及びノズル列LA21が媒体PPAに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110aA2は、ステップS8において、ノズル列LA22のノズル群Ng[2]から接着剤GL_7を噴射することで領域CEA[4,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LA21のノズル群Ng[2]から接着剤GL_8を噴射することで領域CEA[8,2]に液滴DRを形成する。従って、ステップS8におけるノズル列LA22及びノズル列LA21の動作については以降説明を省略する。
【0161】
図23は、回数CNTが4である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。図24は、回数CNTが4である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。
【0162】
図25は、回数CNTが5である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。回数CNTが5である場合、液体噴射ヘッド110aA3は、ステップS4において、ノズル列LB32のノズル群Ng[1]から接着剤GL_9を噴射することで領域CEA1[1,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LB31のノズル群Ng[1]から接着剤GL_10を噴射することで領域CEA1[5,1]に液滴DRを形成する。
【0163】
なお、ノズル列LB32及びノズル列LB31が媒体PPAに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110aA3は、ステップS4において、ノズル列LB32のノズル群Ng[1]から接着剤GL_9を噴射することで領域CEA[1,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LB31のノズル群Ng[1]から接着剤GL_10を噴射することで領域CEA[5,1]に液滴DRを形成する。従って、ステップS4におけるノズル列LB32及びノズル列LB31の動作については以降説明を省略する。
【0164】
第2実施形態でも、(1)式から(7)式までを満たす。第2実施形態において、J=L=4である。また、例えば、第2実施形態では、Cntが16であり、CntXが2であり、Lが4であり、Eが2であるから、(6)式に代入すると、(6)式を満たすことがわかる。
16/2=4×2=8
【0165】
また、ヘッド配置間隔DH1xは、第1実施形態と同様に、媒体配置間隔DPAxの整数倍である。第2実施形態では、ヘッド配置間隔DH1xは、媒体配置間隔DPAxの2倍である。
【0166】
また、ノズル列LB32のノズル群Ng[1]から接着剤GL_9を噴射することで領域CEA1[1,1]に液滴DRを形成するため、ヘッド配置間隔DH2xは、下記(8)式が成り立つ。
DH2x=2×DPAx+2×DDx (8)
【0167】
ヘッド配置間隔DH1xとヘッド配置間隔DH2xとを包含したヘッド配置間隔DHxは、下記(9)式が成り立つ。
DHx=a×DPAx+n×DDx (9)
【0168】
但し、aは、1以上の整数である。nは、0からL-1までの整数である。ヘッド配置間隔DHxがヘッド配置間隔DH1xである場合、aが2であり、nが0である。ヘッド配置間隔DHxがヘッド配置間隔DH2xである場合、a及びnが2である。
【0169】
図26は、回数CNTが5である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。回数CNTが5である場合、液体噴射ヘッド110aA3は、ステップS8において、ノズル列LA32のノズル群Ng[1]から接着剤GL_11を噴射することで領域CEA1[2,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LA31のノズル群Ng[1]から接着剤GL_12を噴射することで領域CEA1[6,1]に液滴DRを形成する。
【0170】
なお、ノズル列LA32及びノズル列LA31が媒体PPAに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110aA3は、ステップS8において、ノズル列LA32のノズル群Ng[1]から接着剤GL_11を噴射することで領域CEA[2,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LA31のノズル群Ng[1]から接着剤GL_12を噴射することで領域CEA[6,1]に液滴DRを形成する。従って、ステップS8におけるノズル列LA32及びノズル列LA31の動作については以降説明を省略する。
【0171】
図27は、回数CNTが6である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。図28は、回数CNTが6である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。
【0172】
図29は、回数CNTが7である場合にステップS4を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。回数CNTが7である場合、液体噴射ヘッド110aA4は、ステップS4において、ノズル列LB42のノズル群Ng[2]から接着剤GL_13を噴射することで領域CEA1[1,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LB41のノズル群Ng[2]から接着剤GL_14を噴射することで領域CEA1[5,2]に液滴DRを形成する。
【0173】
なお、ノズル列LB42及びノズル列LB41が媒体PPAに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110aA4は、ステップS4において、ノズル列LB42のノズル群Ng[2]から接着剤GL_13を噴射することで領域CEA[1,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LB41のノズル群Ng[2]から接着剤GL_14を噴射することで領域CEA[5,2]に液滴DRを形成する。従って、ステップS4におけるノズル列LB42及びノズル列LB41の動作については以降説明を省略する。
【0174】
図30は、回数CNTが7である場合にステップS8を実行した後の媒体PPAの状態を示す図である。回数CNTが7である場合、液体噴射ヘッド110aA4は、ステップS8において、ノズル列LA42のノズル群Ng[2]から接着剤GL_15を噴射することで領域CEA1[2,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LA41のノズル群Ng[2]から接着剤GL_16を噴射することで領域CEA1[6,2]に液滴DRを形成する。
【0175】
なお、ノズル列LA42及びノズル列LA41が媒体PPAに対向していない場合を除き回数CNTの値に関わらず、液体噴射ヘッド110aA4は、ステップS8において、ノズル列LA42のノズル群Ng[2]から接着剤GL_15を噴射することで領域CEA[2,2]に液滴DRを形成し、ノズル列LA41のノズル群Ng[2]から接着剤GL_16を噴射することで領域CEA[6,2]に液滴DRを形成する。従って、ステップS8におけるノズル列LA42及びノズル列LA41の動作については以降説明を省略する。
【0176】
回数CNTが7であり、且つ、ステップS8の処理を終了した時点で、媒体PPA1の16個の領域CEA1の全てに液滴DRを形成したため、液体噴射装置100Aは、媒体PPA1を標本として作成し終える。以降、液体噴射装置100は、媒体PP12、媒体PPA2、媒体PPA3、媒体PPA4、媒体PPA5、媒体PPA6、及び、媒体PPA7を標本として作成し終えるまでステップS2からステップS8までの一連の処理を繰り返す。
【0177】
2-4.第2実施形態のまとめ
第2実施形態に係る液体噴射方法において、ヘッド配置間隔DH1xとヘッド配置間隔DH2xとを包含したヘッド配置間隔DHxは、(9)式、即ち、複数の媒体PPのうち隣り合う媒体PP同士のX軸に沿う方向に関する媒体配置間隔DPAxの整数倍+n×液滴列配置間隔DDxであり、nは、0からL-1までの任意の整数である。
(9)式を満たす場合、(9)式を満たさない場合と比較して、1つの液体噴射ヘッド110aから同じ停止期間に噴射するノズル列LNの数を増やすことができ、標本を作成することに要する期間を短縮できる。また、第1実施形態では、ヘッド配置間隔DHxは、媒体配置間隔DPxの整数倍である必要があるが、第2実施形態では、ヘッド配置間隔DHxは、媒体配置間隔DPxの整数倍でなくてもよい。従って、第2実施形態では、(9)式を満たす範囲でヘッド配置間隔DHxを調整することにより、標本を作成することに要する期間を短縮しつつ、標本の形状の自由度を向上できる。
【0178】
3.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0179】
3-1.第1変形例
上述の各態様において、ノズル列配置間隔DNxは、液滴列配置間隔DDxの整数倍ではないが、整数倍であってもよい。
【0180】
図31は、第1変形例に係る標本作成動作を説明するための図である。第1変形例に係る液体噴射装置100Bは、液体噴射ヘッド110aの替わりに液体噴射ヘッド110aBを有し、媒体PPの替わりに媒体PPBを有する点で、液体噴射装置100と相違する。液体噴射ヘッド110aBは、ノズル列配置間隔DNBxが液滴列配置間隔DDxの2倍である点で、液体噴射ヘッド110aと相違する。媒体PPBは、X軸に沿った方向に4分割し、Y軸に沿った方向に8分割した32個の領域CEBに分割し、夫々の領域CEBに夫々種類が異なる接着剤GLが噴射される点で、媒体PPと相違する。
【0181】
図31に示すように、ノズル列配置間隔DNBxが液滴列配置間隔DDxの2倍であるため、液体噴射ヘッド110aBは、ノズル列LA12のノズル群Ng[1]から領域CEB[1,1]に接着剤GLを噴射するとともに、ノズル列LB12のノズル群Ng[1]から接着剤GLを領域CEB[3,1]に噴射する。図31の例では、更に、液体噴射ヘッド110aBは、ノズル列LA11のノズル群Ng[1]から領域CEB[5,1]に接着剤GLを噴射するとともに、ノズル列LB11のノズル群Ng[1]から領域CEB[3,1]に接着剤GLを噴射する。
【0182】
以上、第1変形例に係る液体噴射方法において、複数のノズルプレート111cの夫々に含まれる2以上のノズル列LNのうち隣り合うノズル列同士のX軸に沿う方向に関するノズル列配置間隔DNBxは、1つの媒体PPBに形成される複数の液滴列LDのうち隣り合う液滴列LD同士のX軸に沿う方向に関する液滴列配置間隔DDxの整数倍であり、1つの媒体PPBに対して隣り合うノズル列LNの双方から同じ停止期間に複数の接着剤GLのうちいずれかの接着剤GLを噴射することで液滴DRを形成する。
第1変形例に係る液体噴射方法は、同じ停止期間に、隣り合うノズル列LNの双方から接着剤GLを噴射できるため、標本を作成することに要する期間を短縮できる。
【0183】
3-2.第2変形例
上述の各態様では、液体噴射ヘッド110aと媒体PPは、X軸に沿って相対移動したが、これに限らない。例えば、液体噴射ヘッド110aと媒体PPとは、Y軸に沿って相対移動してもよい。具体的には、液体噴射装置100は、主走査方向への1回の走査が終了して媒体PPに液滴DRを形成し終えた後、新たに配置された媒体PPに対して液滴DRを形成する前に、媒体PPに噴射可能な範囲で液体噴射ヘッド110aをY軸に沿って移動させてもよい。Y軸に沿って移動させた後に、液体噴射装置100は、再び主走査方向の走査を行って、媒体PPに対して液滴DRを形成する。第2変形例によれば、Y軸に沿って移動する前後で使用する駆動素子111fが変わるため、使用される駆動素子111fを分散されるので、駆動素子111fの長寿命化を図ることができる。更に、Y軸に沿って移動する前後で、媒体PPに形成される液滴DRのパターンを同一にできる。
【0184】
3-3.第3変形例
第2変形例では、液体噴射ヘッド110aと媒体PPとは、Y軸に沿って相対移動することを記載したが、これに限らない。例えば、液体噴射ヘッド110aは、媒体PPに対してZ軸を中心として180度回転可能であってもよい。
【0185】
図32は、第3変形例に係る標本作成動作を説明するための図である。図32に示す液体噴射装置100Cは、Z2方向に見て液体噴射ヘッド110aの重心HGを通り、Z軸に平行な回転軸に沿って180度回転可能である点で、液体噴射装置100と相違する。例えば、液体噴射装置100Cは、キャリッジ131を180度回転させる機構を有する。
【0186】
図32では、第1実施形態の図6から図14に示す1回の標本作成動作が終了した後に、新たな媒体PPを配置するとともに、液体噴射ヘッド110aを180度回転した状態を示してある。
【0187】
図32に示すように、液体噴射装置100Cは、ノズル列LA41のノズル群Ng[8]から接着剤GL_16を噴射することで領域CE21[1,1]に液滴DRを形成し、ノズル列LA42のノズル群Ng[5]から接着剤GL_16を噴射することで領域CE11[1,1]に液滴DRを形成する。更に、液体噴射装置100は、ノズル列LA11のノズル群Ng[5]から接着剤GL_15を噴射することで領域CE21[3,3]に液滴DRを形成し、ノズル列LB11のノズル群Ng[2]から接着剤GL_15を噴射することで領域CE11[3,3]に液滴DRを形成する。
【0188】
第3変形例によれば、液体噴射ヘッド110aを180度回転させた前後で使用する駆動素子111fが変わるため、使用される駆動素子111fを分散されるので、駆動素子111fの長寿命化を図ることができる。
【0189】
また、図32では示していないが、液体噴射装置100Cは、液体噴射ヘッド110aを180度回転する前後で、媒体PPに形成される液滴DRのパターンを同一にすることも可能である。例えば、液体噴射ヘッド110aを180度回転した後で、液体噴射装置100Cは、ノズル列LA41のノズル群Ng[6]から領域CE21[4,3]に接着剤GL_16を噴射し、ノズル列LA42のノズル群Ng[8]から領域CE21[2,1]に接着剤GL_15を噴射すればよい。
【0190】
3-4.第4変形例
主走査方向の1回の走査が終了した場合、第2変形例では、液体噴射ヘッド110aと媒体PPとをY軸に沿って相対移動させ、第3変形例では、液体噴射ヘッド110aを180度回転させていたが、駆動素子111fの長寿命化を図る点では、これらの態様に限らない。例えば、液体噴射装置100は、主走査方向の走査が終了するたびに、接着剤GLを噴射するノズル群Ngを変更してもよい。例えば、第1実施形態の図6から図14に示す1回の標本作成動作が終了した後に、新たな媒体PPが配置された後、液体噴射ヘッド110a1は、回数CNTが1である場合、ステップS4において、ノズル列LB12のノズル群Ng[2]から接着剤GL_1を噴射することで領域CE21[1,2]に液滴DRを形成する。そして、液体噴射ヘッド110a2は、回数CNTが2である場合、ステップS4において、ノズル列LB22のノズル群Ng[1]から接着剤GL_5を噴射することで領域CE22[1,1]に液滴DRを形成する。
【0191】
3-5.第5変形例
第1実施形態では、コンタミネーションの対策として、iを1から4までの整数として、ノズル列LBi2から噴射するノズル群Ngと、ノズル列LBi1から噴射するノズル群NgとのY軸に沿う方向の位置が互いに異なっていたが、同一であってもよい。同様に、iを1から4までの整数として、ノズル列LAi2から噴射するノズル群Ngと、ノズル列LAi1から噴射するノズル群NgとのY軸に沿う方向の位置が互いに異なっていたが、同一であってもよい。
【0192】
3-6.第6変形例
上述の各態様では、(1)式から(7)式を満たしていたが、満たさなくてもよい。
【0193】
3-7.第7変形例
上述の各態様では、同じ停止期間に2つのノズル列LNから接着剤GLを噴射することにより2つの液滴DRを媒体PPに形成していたが、1つの停止期間に1つのノズル列LNから接着剤を噴射することにより1つの液滴DRを媒体PPに形成してもよい。
【0194】
3-8.その他の変形例
上述の各態様の液体噴射装置100を、上述の各態様における液体噴射方法を実行させるように構成されたコンピュータプログラム又は当該コンピュータプログラムを記録した記録媒体として捉えることもできる。記録媒体は例えば非一過性の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体の他、半導体記録媒体や磁気記録媒体等の公知の任意の記録媒体を含み得る。
【0195】
4.付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0196】
好適な態様である第1態様に係る液体噴射方法は、複数のノズルが並ぶことで構成されたノズル列を備える液体噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射方法であって、前記液体噴射ヘッドは、第1媒体に対して相対移動が可能であり、前記相対移動を停止させた状態で前記ノズル列の一部を構成する複数の第1ノズルから液体を噴射することで1つの第1液滴を前記第1媒体上に形成する。
第1態様によれば、複数の第1ノズルから液体を噴射することにより、1つのノズルからの噴射回数を低減できるので、1つのノズルから液体を噴射する態様と比較して、液滴を形成するための要する期間を短縮できる。更に、相対移動を停止させた状態で液体を噴射するため、相対移動している間に液体を噴射する態様と比較して、液滴を安定して媒体に定着できる。
【0197】
第1態様の具体例である第2態様において、前記ノズル列の前記一部を構成する前記複数の第1ノズルは、互いに隣り合わない。
第2態様は、1つのノズルから液滴を噴射する態様と比較して、液滴を形成するための要する期間の短縮を図ることができる。更に、液滴を形成する複数のノズルが互いに隣り合う態様では、第2態様と比較して、隣り合うノズル同士から噴射された液体が、媒体上に着弾した後、液滴同士が互いに接触する可能性が高くなる。液滴同士が互いに接触すると、互いをノズル列の延在方向に押し合う力が発生し、噴射方向に見て、媒体上に形成された液滴が楕円形状に近づく虞がある。以上により、第2態様は、1つのノズルから液体を噴射する態様と比較して、液滴を形成するための要する期間の短縮を図り、且つ、液滴を形成する複数のノズルが互いに隣り合う態様と比較して、噴射方向に見て液滴を真円に近づけることができる。
【0198】
第1態様の具体例である第3態様において、前記ノズル列は、互いに隣り合わない前記複数の第1ノズルから構成される第1ノズル群と、前記第1ノズル群とは異なり、互いに隣り合わない複数の第2ノズルから構成される第2ノズル群と、を含み、前記第1ノズル群を構成する前記複数の第1ノズルから液体を噴射することで、前記第1液滴を前記第1媒体上に形成し、前記第2ノズル群を構成する前記複数の第2ノズルから液体を噴射することで、第2液滴を前記第1媒体とは異なる第2媒体上に形成する。
第3態様によれば、第1ノズル群が第1媒体及び第2媒体に液体を噴射する態様と比較して、液体をノズルから噴射するための駆動素子の長寿命化を図ることができる。更に、第1ノズル群及び第2ノズル群は、互いに隣り合わない複数のノズルから構成されているため、液滴を形成する複数のノズルが互いに隣り合う態様と比較して、噴射方向に見て液滴を真円に近づけることができる。
【0199】
第3態様の具体例である第4態様において、前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとは、互いに交互に並ぶ。
第4態様では複数の第1ノズルと複数の第2ノズルとが等間隔に並ぶため、複数の第1ノズルと複数の第2ノズルとが交互に並ばない態様と比較して、噴射方向に見て液滴を真円に近づけることができる。
【0200】
第1態様の具体例である第5態様において、前記複数の第1ノズルの数は、3以上であり、前記第1液滴を前記第1媒体上に形成するための、前記複数の第1ノズルのうち端に配置されていない第1ノズルからの噴射回数は、前記複数の第1ノズルのうち端に配置されている第1ノズルの噴射回数よりも多い。
第5態様によれば、複数の第1ノズルのうち端に配置されていない第1ノズルからの噴射回数が前記複数の第1ノズルのうち端に配置されている第1ノズルの噴射回数よりも少ない態様と比較して、噴射方向に見て液滴を真円に近づけることができる。
【0201】
第2態様の具体例である第6態様において、前記複数の第1ノズルの数は、3以上であり、前記第1液滴を前記第1媒体上に形成するための、前記複数の第1ノズルのうち端に配置されていない前記第1ノズルからの噴射回数は、前記複数の第1ノズルのうち端に配置されている前記第1ノズルの噴射回数よりも多い。
第6態様によれば、第5態様と同一の効果が得られる。
【0202】
第1態様の具体例である第7態様において、前記相対移動を停止させた状態で、前記複数の第1ノズルの夫々から、液体を複数回噴射することで前記第1液滴を前記第1媒体上に形成する。
【符号の説明】
【0203】
100,100A,100B,100C…液体噴射装置、110a,110aA,110aB,…液体噴射ヘッド、110b…制御モジュール、111…ヘッドチップ、111a…流路基板、111b…圧力室基板、111c…ノズルプレート、111d…吸振体、111e…振動板、111f…駆動素子、111g…保護板、111h…ケース、111i…配線基板、112…駆動回路、113…電源回路、114…駆動信号生成回路、120,121_1,121_G,121_g…液体容器、130…移動機構、131…キャリッジ、132…無端ベルト、160…記憶回路、170…制御回路、CE,CEA,CEB…領域、CNT…回数、CV…圧力室、Com…駆動信号、DDx…液滴列配置間隔、DDy…配置間隔、DH1x,DH2x,DHx…ヘッド配置間隔、DNBx,DNx…ノズル列配置間隔、DPAx,DPx…媒体配置間隔、DR,DR_1,DR_2,DR_3,DR_4…液滴、FN…ノズル面、GL,GL_1,GL_10,GL_11,GL_12,GL_13,GL_14,GL_15,GL_16,GL_2,GL_3,GL_4,GL_5,GL_6,GL_7,GL_8,GL_9,GL_G,GL_m…接着剤、GP1,GP2,GP3,GP4…ノズル群、HG…重心、IH…導入口、LA,LB…ノズル列、LD…液滴列、LN…ノズル列、LP1,LP2…媒体列、Na…連通流路、Ng…ノズル群、Nz…ノズル、PD…駆動パルス、PP,PPA,PPB…媒体、PtI…パターン情報、R…リザーバー、R1,R2…空間、Ra…供給流路、S10,S2,S4,S6,S8…ステップ、SI,Sk1…制御信号、VBS…オフセット電位、VHV…電源電位、dCom…波形指定信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図32