(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109465
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】弁装置、弁装置の組立て方法、及び弁装置の分解方法
(51)【国際特許分類】
F16K 5/06 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
F16K5/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014274
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】592050814
【氏名又は名称】株式会社中北製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】山本 謙二
【テーマコード(参考)】
3H054
【Fターム(参考)】
3H054AA03
3H054BB02
3H054BB17
3H054CC03
3H054CD11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シール性が高く、特殊な治具無しで容易に分解や組み立てが可能な弁装置を安価に提供すること。
【解決手段】弁装置1は、弁箱2と、弁箱2内に形成された弁室20と、弁室20内に収容された弁体10と、弁室20に連通する第一流体流路3と、弁室20に連通する第二流体流路4と、第二流体流路4との連通口22に設けられた弁座30と、弁体10から突出した軸部11と、軸部11を支持すると共に、弁箱2及び弁体10に対して着脱可能な支持部5と、弁体10が弁座30に対して近接する方向に支持部5を押圧する押圧部6とを有する。軸部11は、弁体10から突出する第一軸11A及び第二軸11Bを有し、支持部5は、第一支持部50及び第二支持部55を有する。押圧部6は、弁体10が弁座30に近接する方向に第一支持部50及び第二支持部55を押圧する第一押圧部60及び第二押圧部65を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱と、
前記弁箱の内部に形成された弁室と、
前記弁室の内部に収容された弁体と、
前記弁室に対して連通する第一流体流路と、
前記弁室に対して連通する第二流体流路と、
前記弁室と前記第二流体流路との連通口に設けられた弁座と、
前記弁体から突出するように設けられた軸部と、
前記軸部を支持すると共に、前記弁箱及び前記弁体に対して着脱可能な支持部と、
前記弁体が前記弁座に対して近接する方向に、前記支持部に対して押圧する押圧部と、
を有すること、を特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記支持部が、前記軸部を回動可能に支持する軸受であり、
前記弁体が、ボール状のものであり、前記弁座に対して当接した状態において回動することにより、前記連通口を開閉可能であること、を特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記軸部が、
前記弁体から突出するように設けられた第一軸と、
前記弁体から前記第一軸とは反対側に突出するように設けられた第二軸と、
を有するものであり、
前記支持部が、
前記第一軸を支持する第一支持部と、
前記第二軸を支持する第二支持部と、
を有するものであり、
前記押圧部が、
前記弁体が前記弁座に対して近接する方向に前記第一支持部を押圧する第一押圧部と、
前記弁体が前記弁座に対して近接する方向に前記第二支持部を押圧する第二押圧部と、
を有するものであること、を特徴とする請求項1又は2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記第二軸の先端側にテーパ状又はアール状に形成された第二軸側面取り部と、
前記第二支持部における上端側開口周囲にテーパ状又はアール状に形成された第二支持部側面取り部と、
を備え、
前記第二軸側面取り部は、前記第二支持部に前記第二軸を嵌め込む際に、前記第二支持部側面取り部と当接することで前記第二押圧部の押圧力に抗して前記第二支持部を前記弁座から離間する方向に押圧すること、を特徴とする請求項3に記載の弁装置。
【請求項5】
前記第一押圧部は、
前記第一支持部における前記第一流体流路側に形成された少なくとも1つの第一穴部と、
前記第一穴部に収容される少なくとも1つの第一バネ部材と、
を有し、
前記第二押圧部は、
前記第二支持部における前記第一流体流路側に形成された少なくとも1つの第二穴部と、
前記第二穴部に収容される少なくとも1つの第二バネ部材と、
を有し、
前記弁室から前記第一流体流路との連通口周りには、前記第一穴部及び前記第二穴部のそれぞれの開口端に対向するように壁部が設けられており、
前記第一バネ部材及び前記第二バネ部材の一端側が前記壁部と当接可能に構成されていること、を特徴とする請求項3に記載の弁装置。
【請求項6】
前記第一押圧部は、
前記第一穴部の底部と連通すると共に、前記第一穴部と交差する方向に開口形成された挿入穴部と、
前記第一穴部における前記挿入穴部側に収容されると共に、前記挿入穴部側に向く球状面を有する球状部材と、
を有しており、
前記挿入穴部は、内部に前記球状部材における前記球状面の少なくとも一部が突出すると共に、挿入部材の挿入が可能であり、
前記挿入穴部への前記挿入部材の挿入に伴って、前記挿入部材及び前記球状面が当接すると共に、前記球状部材を介して前記第一バネ部材が圧縮されること、を特徴とする請求項5に記載の弁装置。
【請求項7】
前記挿入部材は、挿入先端側がテーパ状に形成されていること、を特徴とする請求項6に記載の弁装置。
【請求項8】
前記挿入穴部にネジ溝が形成されており、
前記挿入部材は、ネジとして形成されると共に、前記ネジ溝への螺合に伴って前記挿入穴部の内部方向に捩じ込まれること、を特徴とする請求項6に記載の弁装置。
【請求項9】
前記球状部材が、砲弾状に形成されていること、を特徴とする請求項6に記載の弁装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の弁装置は、トップエントリー型、ボトムエントリー型、及びサイドエントリー型のいずれかであること、を特徴とする弁装置。
【請求項11】
前記第一バネ部材及び前記第二バネ部材が、それぞれ複数設けられると共に、それぞれが上下対称及び左右対称に配されていること、を特徴とする請求項5に記載の弁装置。
【請求項12】
前記軸部は、弁棒に対して分割形成されると共に、一端側に前記弁棒と接続するための軸側接続部を有し、
前記弁棒は、一端側に前記軸側接続部と対向する弁棒側接続部を有し、
前記軸側接続部及び前記弁棒側接続部のいずれか一方には、凹状部が形成され、前記軸側接続部及び前記弁棒側接続部の他方には、前記凹状部と係合可能な凸状部が形成されており、
前記軸部及び前記弁棒は、前記凹状部及び前記凸状部を互いに係合させることにより、一体的な回動が可能であり、
前記凹状部は、前記弁体により前記第一流体流路及び前記第二流体流路を閉塞状態とした際に、前記弁体が前記第一流体流路及び前記第二流体流路に沿う方向に移動可能なように形成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の弁装置。
【請求項13】
前記挿入部材における前記球状部材との当接面がテーパ状又はアール状に形成されており、
前記挿入部材の前記挿入穴部への挿入深さを調節することで、前記第一バネ部材の圧縮量を調節可能であること、を特徴とする請求項6に記載の弁装置。
【請求項14】
請求項3に記載の弁装置の組立て方法であって、
前記弁室の内部における前記第二軸の挿入方向先端側に前記第二支持部を配置する第二支持部配置工程と、
前記第二支持部に前記第二軸を挿入することで、前記第二支持部を前記弁座から離間させ、前記弁体と前記弁座とが干渉するのを回避しつつ、前記第二軸に前記第二支持部を装着する第二支持部装着工程と、
前記第一押圧部における押圧力を解除した状態で、前記弁体における前記第一軸に前記第一支持部を装着する第一支持部装着工程と、
前記第一押圧部における押圧力を付与する第一押圧部押圧力付与工程と、
を順次実行すること、を特徴とする弁装置の組立て方法。
【請求項15】
請求項3に記載の弁装置の分解方法であって、
前記第一押圧部における押圧力を解除する第一押圧部押圧力解除工程と、
前記第一押圧部における押圧力を解除した状態で、前記弁体における前記第一軸を前記第一支持部から取り外す第一支持部取り外し工程と、
前記第二支持部を前記弁座から離間させつつ、前記第二支持部から前記第二軸を抜去する第二軸抜去工程と、
前記弁室の内部から前記第二支持部を取り外す第二支持部取り外し工程と、
を順次実行すること、を特徴とする弁装置の分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置、弁装置の組立て方法、及び弁装置の分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種気体や液体(流体とも称する)の流体流路を開閉するために、例えばボール弁等の各種の弁装置が利用されている。弁装置には、トップエントリー型、サイドエントリー型、ボトムエントリー型などの種類があり、用途によってこれらが使い分けされている。ここで、トップエントリー型ボール弁(例えば、特許文献1及び2)は、上部のボンネットを取り外すことで、ボール弁に接続された配管から取り外すことなく弁箱内のメンテナンスを行うことができるものとされている。また、トップエントリー型ボール弁は、弁箱の配管方向に分割部を有しないため、流体の外部漏れに対して、サイドエントリー型ボール弁よりも優位なものとされている。具体的には、サイドエントリー型ボール弁は、流体が流体流路を流れる際に配管に発生する応力によって弁箱の分割部から流体が外部に漏れる懸念があるとされている。さらに、サイドエントリー型ボール弁は、メンテナンスの際に配管から取り外す必要があり、メンテナンスに手間を要する問題がある。そのため、流体の外部漏れが問題となる用途や、設置場所でのメンテナンスを必要とする用途では、主にトップエントリー型ボール弁が利用されている。
【0003】
ところで、上述したようなボール弁では、メンテナンスの際に弁箱に組み込まれたボールを取り出すことがある。かかる場合は、ボール(シール面を含む)と弁座との当接を解除する必要がある。そのため、特許文献1に記載の発明は、メンテナンスの際に、ボールと弁座との間に筒状の挿入片を挿入し、弁座を前後方向に押し広げるものとしている。また、特許文献2に記載の発明は、メンテナンスの際に、先端にテーパ部を有する調整ネジを弁箱の外部から挿入し、テーパ部によりシートリング押えを後退させている。これにより、特許文献2に記載の発明は、シートリングと共に、ボールを弁箱から取り出すものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63-266277号公報
【特許文献2】実公平4-32529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、メンテナンスの際に挿入片のような治具を要するものであり、メンテナンスの際に挿入片の準備を失念したり、挿入片の管理をしたりする必要がある。そのため、メンテナンス作業が煩雑となったり、挿入片を準備するためのコストが増大したりする懸念がある。また、特許文献2に記載の発明は、調整ネジをねじ込むためのネジ穴を弁箱に設ける必要があるため、ネジ穴周辺から外部に流体が流出する懸念がある。そのため、特許文献2に記載の発明では、ネジ穴周辺に別途シールを設ける必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、シール性が高く、特殊な治具無しで容易に分解や組立てが可能な弁装置、弁装置の組立て方法、及び弁装置の分解方法を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の弁装置は、弁箱と、前記弁箱の内部に形成された弁室と、前記弁室の内部に収容された弁体と、前記弁室に対して連通する第一流体流路と、前記弁室に対して連通する第二流体流路と、前記弁室と前記第二流体流路との連通口に設けられた弁座と、前記弁体から突出するように設けられた軸部と、前記軸部を支持すると共に、前記弁箱及び前記弁体に対して着脱可能な支持部と、前記弁体が前記弁座に対して近接する方向に、前記支持部に対して押圧する押圧部と、を有すること、を特徴とするものである。
【0008】
上述した弁装置は、弁体が弁座に対して近接する方向に、支持部に対して押圧する押圧部を有するので、弁体を弁座に圧接できる。これにより、上述した弁装置は、第一流体流路と第二流体流路との間を流れる流体が低圧状態にある場合でも安定したシール性が得られる。また、上述した弁装置は、押圧部側(上流側)の圧力が高まった際に流体による流体圧により、弁体が弁座方向に押圧されるので、より一層シール性が高められる。また、上述した弁装置は、押圧部による押圧を解除することにより、弁体や支持部を弁室から容易に取り出すことができる。具体的には、弁体は、押圧部の押圧により、弁座に圧接されているので、押圧部の押圧を解除することにより、弁体の弁座に対する圧接状態が解除され、弁体と弁座との間に隙間を形成できる。これにより、弁体及び支持部は、弁箱から容易に取り出すことができる。一方、弁装置を組み立てる場合は、押圧部の押圧を解除しながら、弁体及び支持部を弁室内に組み込むことにより容易に組立てできる。
【0009】
ここで、押圧部による押圧力は、使用する用途や弁装置の種類等により、適宜変更することができる。また、押圧部は、弁体が弁座に対して近接する方向に支持部を押圧できる各種の機構(例えば、バネ部材などの弾性体)を利用することができる。また、支持部は、弁体に対して着脱可能な軸受(例えば、すべり軸受、ボールベアリング又はローラベアリングなど)を好ましく利用できる。また、弁装置は、ボール弁などの回転型の弁に利用できる。
【0010】
また、上述した弁装置は、弁体が弁座と近接する方向に支持部が押圧される構成とされているので、弁座を、弁体に対して第二流体流路側(下流側)にのみ設ける構成とすることができる。これにより、上述した弁装置は、弁体の上流側に設けるシール(シート)を排することができるので、構成を簡素化でき、コストを低減できる。
【0011】
(2)上述した本発明の弁装置は、前記支持部が、前記軸部を回動可能に支持する軸受であり、前記弁体が、ボール状のものであり、前記弁座に対して当接した状態において回動することにより、前記連通口を開閉可能であること、を特徴とするとよい。
【0012】
上述した弁装置は、支持部が軸受として構成されているので、メンテナンスを容易に、かつ、安価に行うことができる。ここで、軸受は、例えば、すべり軸受、ボールベアリング又はローラベアリングなどの各種の軸受を利用できる。また、上述した弁装置は、弁体がボール状のものであるいわゆるボール弁として形成されているので、メンテナンスが容易で、安価に構成できる。
【0013】
(3)上述した本発明の弁装置は、前記軸部が、前記弁体から突出するように設けられた第一軸と、前記弁体から前記第一軸とは反対側に突出するように設けられた第二軸と、
を有するものであり、前記支持部が、前記第一軸を支持する第一支持部と、前記第二軸を支持する第二支持部と、を有するものであり、前記押圧部が、前記弁体が前記弁座に対して近接する方向に前記第一支持部を押圧する第一押圧部と、前記弁体が前記弁座に対して近接する方向に前記第二支持部を押圧する第二押圧部と、を有するものであること、を特徴とするとよい。
【0014】
上述した弁装置は、第一軸、及び弁体から第一軸とは反対側に突出する第二軸により弁体が回動可能に支持されるので、弁体を安定に回動させることができる。また、上述した弁装置は、第一支持部及び第二支持部が、それぞれ第一押圧部と第二押圧部によって弁体が弁座に対して近接する方向に押圧されるので、流体の低圧時においてもシール性が向上する。また、上述した弁装置は、弁体に対して第一流体流路側(上流側)にシールのためのシートを必要としないので、コスト低減効果が期待できる。
【0015】
(4)上述した本発明の弁装置は、前記第二軸の先端側にテーパ状又はアール状に形成された第二軸側面取り部と、前記第二支持部における上端側開口周囲にテーパ状又はアール状に形成された第二支持部側面取り部と、を備え、前記第二軸側面取り部は、前記第二支持部に前記第二軸を嵌め込む際に、前記第二支持部側面取り部と当接することで前記第二押圧部の押圧力に抗して前記第二支持部を前記弁座から離間する方向に押圧すること、を特徴とするとよい。
【0016】
上述した弁装置は、かかる構成とすることにより、第二支持部に第二軸を装着する際の力を、第二支持部を弁座から離間させる方向の力に変換できる。すなわち、上述した弁装置は、第二支持部に第二軸を装着する際に弁体と弁座とが干渉するのを回避できる。これにより、上述した弁装置は、第二支持部に第二軸を装着する際の抵抗を緩和できるので弁体の弁室への組み込みが容易になる。
【0017】
(5)上述した本発明の弁装置において、前記第一押圧部は、前記第一支持部における前記第一流体流路側に形成された少なくとも1つの第一穴部と、前記第一穴部に収容される少なくとも1つの第一バネ部材と、を有し、前記第二押圧部は、前記第二支持部における前記第一流体流路側に形成された少なくとも1つの第二穴部と、前記第二穴部に収容される少なくとも1つの第二バネ部材と、を有し、前記弁室から前記第一流体流路との連通口周りには、前記第一穴部及び前記第二穴部のそれぞれの開口端に対向するように壁部が設けられており、前記第一バネ部材及び前記第二バネ部材の一端側が前記壁部と当接可能に構成されていること、を特徴とするとよい。
【0018】
上述した弁装置は、第一バネ部材及び第二バネ部材による付勢力により、第一支持部及び第二支持部を押圧することができる。言い換えると、上述した弁装置は、第一バネ部材及び第二バネ部材による付勢力により、弁体が弁座に圧接される。したがって、上述した弁装置は、流体による流体圧が低圧である場合でも安定したシール性が得られる。また、上述した弁装置は、弁体の上流側のシートを排することができ、第一押圧部及び第二押圧部も簡素に構成できるので、コストを低減できる。また、上述した弁装置は、第一バネ部材及び第二バネ部材の付勢力を解除することにより、容易に分解及び組み立てることができる。
【0019】
(6)上述した本発明の弁装置において、前記第一押圧部は、前記第一穴部の底部と連通すると共に、前記第一穴部と交差する方向に開口形成された挿入穴部と、前記第一穴部における前記挿入穴部側に収容されると共に、前記挿入穴部側に向く球状面を有する球状部材と、を有しており、前記挿入穴部は、内部に前記球状部材における前記球状面の少なくとも一部が突出すると共に、挿入部材の挿入が可能であり、前記挿入穴部への前記挿入部材の挿入に伴って、前記挿入部材及び前記球状面が当接すると共に、前記球状部材を介して前記第一バネ部材が圧縮されること、を特徴とするとよい。
【0020】
上述した弁装置は、挿入穴部に挿入部材を挿入することにより、当該挿入部材と球状部材の球状面とを当接させることができる。また、挿入部材と球状部材とが当接することにより、第一バネ部材が圧縮される。言い換えると、挿入穴部に挿入部材が挿入されていない状態では、第一バネ部材による押圧力が解除されており、挿入穴部に挿入部材が挿入された状態では、第一バネ部材が対向する壁部に押し付けられて圧縮され、押圧力を発生する。したがって、上述した弁装置は、第一バネ部材による押圧力を解除した状態で、第一支持部を第一軸に装着でき、弁体を弁室内に組み込んだ後に、第一バネ部材による押圧力を付与できる。このように、上述した弁装置は、弁体の弁室内からの取り出しや弁体の弁室内への組み込みの際には、第一支持部による押圧力を解除できるので、メンテナンス作業を容易に行える。一方、弁体を弁室内に組み込んだ後は、第一支持部による押圧力を作用させることができるので、弁装置のシール性を高めることができる。ここで、挿入部材は、球状部材の球状面と当接可能なピンや棒状部材など各種のものが利用できる。なお、挿入部材は、球状部材との当接状態及び非当接状態をそれぞれ維持可能かつ切り替え可能なものとすることが望ましい。
【0021】
(7)上述した本発明の弁装置は、前記挿入部材が、挿入先端側がテーパ状又はアール状に形成されていること、を特徴とするとよい。
【0022】
上述した弁装置は、かかる構成とすることにより、挿入部材の挿入方向に掛かる力を第一バネ部材の圧縮方向の力に変換できる。したがって、上述した弁装置は、第一バネ部材を確実に圧縮できる。これにより、上述した弁装置は、組立て時に第一支持部に掛かる負荷を確実に低減できるので、組立てをより一層容易に行うことができる。
【0023】
(8)上述した本発明の弁装置は、前記挿入穴部にネジ溝が形成されており、前記挿入部材は、ネジとして形成されると共に、前記ネジ溝への螺合に伴って前記挿入穴部の内部方向に捩じ込まれること、を特徴とするとよい。
【0024】
上述した弁装置は、かかる構成とすることにより、挿入部材と球状部材との当接状態及び非当接状態を容易に切り替えることができる。また、上述した弁装置は、第一支持部に掛かる負荷を低減した状態を維持しながら、弁体を弁室内に組み込むことができる。これにより、上述した弁装置は、組立てをより一層容易に行うことができる。
【0025】
(9)上述した本発明の弁装置は、前記球状部材が、砲弾状に形成されていること、を特徴とするとよい。
【0026】
上述した弁装置は、かかる構成とすることにより、第一バネ部材の軸線方向(圧縮方向)に沿って、第一バネ部材を圧縮できる。これにより、上述した弁装置は、第一バネ部材の変形や破損を抑制できる。
【0027】
(10)上述した本発明の弁装置は、トップエントリー型、ボトムエントリー型、及びサイドエントリー型のいずれかであること、を特徴とするとよい。
【0028】
上述した弁装置は、トップエントリー型、ボトムエントリー型、及びサイドエントリー型のいずれかに好ましく利用できる。
【0029】
(11)上述した本発明の弁装置は、前記第一バネ部材及び前記第二バネ部材が、それぞれ複数設けられると共に、それぞれが上下対称及び左右対称に配されていることを特徴とするとよい。
【0030】
上述した弁装置は、かかる構成とすることにより、上下方向及び左右方向において、第一バネ部材及び第二バネ部材による付勢力を均等にすることができる。これにより、上述した弁装置は、弁体を弁座に均等に圧接できるので、シール性を向上させることができる。
【0031】
(12)上述した本発明の弁装置において、前記軸部は、弁棒に対して分割形成されると共に、一端側に前記弁棒と接続するための軸側接続部を有し、前記弁棒は、一端側に前記軸側接続部と対向する弁棒側接続部を有し、前記軸側接続部及び前記弁棒側接続部のいずれか一方には、凹状部が形成され、前記軸側接続部及び前記弁棒側接続部の他方には、前記凹状部と係合可能な凸状部が形成されており、前記軸部及び前記弁棒は、前記凹状部及び前記凸状部を互いに係合させることにより、一体的な回動が可能であり、前記凹状部は、前記弁体により前記第一流体流路及び前記第二流体流路を閉塞状態とした際に、前記弁体が前記第一流体流路及び前記第二流体流路に沿う方向に移動可能なように形成されていることを特徴とするとよい。
【0032】
上述した弁装置は、軸部が、弁棒に対して分割形成されているので、メンテナンスの際に軸部を弁棒から分離させることができる。そのため、メンテナンスが容易である。また、上述した弁装置は、軸側接続部及び弁棒側接続部のいずれか一方に凹状部が形成されており、第一流体流路及び第二流体流路を閉塞状態とした際に当該凹状部が、弁体を第一流体流路及び第二流体流路に沿う方向に移動可能なように形成されている。すなわち、弁体の第一流体流路及び第二流体流路に沿う方向への移動が拘束されていない状態となる。したがって、押圧部により支持部が押圧された際や流体の圧力が弁体に掛かった際に、弁体の弁座に対する面圧を高めることができる。これにより、上述した弁装置は、シール性を高めることができる。
【0033】
(13)前記挿入部材における前記球状部材との当接面がテーパ状又はアール状に形成されており、前記挿入部材の前記挿入穴部への挿入深さを調節することで、前記第一バネ部材の圧縮量を調節可能であること、を特徴とするとよい。
【0034】
上述した弁装置は、かかる構成とすることにより、第一バネ部材と第二バネ部材の圧縮量を均等に調整でき、上下及び左右の押圧力を均等にすることができる。そのため、弁体を弁座に均等に圧接させることができ、シール性が向上する。また、第一軸及び第二軸の傾きを補正でき、軸部を弁棒と同一直線状に配置することができるため、組立てが容易となる。
【0035】
(14)上述した課題を解決すべく提供される本発明の弁装置の組立て方法は、上述した弁装置の組立て方法であって、前記弁室における前記第二軸の挿入方向先端側に前記第二支持部を配置する第二支持部配置工程と、前記第二支持部に前記第二軸を挿入することで、前記第二支持部を前記弁座から離間させ、前記弁体と前記弁座とが干渉するのを回避しつつ、前記第二軸に前記第二支持部を装着する第二支持部装着工程と、前記第一押圧部における押圧力を解除した状態で、前記弁体における前記第一軸に前記第一支持部を装着する第一支持部装着工程と、前記第一押圧部における押圧力を付与する第一押圧部押圧力付与工程と、を順次実行すること、を特徴とするものである。
【0036】
上述した弁装置の組立て方法は、第二支持部に第二軸を挿入することで、第二支持部を弁座から離間できるので、弁体と弁座との当接を解除しつつ、第二軸に第二支持部を装着できる。また、第一支持部装着工程において、第一押圧部における押圧力を解除した状態で、第一軸に第一支持部を装着できるので、弁室内にスムーズに第一支持部を組み込むことができる。また、弁室内に弁体を組み込んだ後に、第一押圧部押圧力付与工程により、第一押圧部による押圧力が付与されるので、弁装置におけるシール性が向上する。
【0037】
(15)上述した課題を解決すべく提供される本発明の弁装置の分解方法は、上述した弁装置の分解方法であって、前記第一押圧部における押圧力を解除する第一押圧部押圧力解除工程と、前記第一押圧部における押圧力を解除した状態で、前記弁体における前記第一軸を前記第一支持部から取り外す第一支持部取り外し工程と、前記第二支持部を前記弁座から離間させつつ、前記第二支持部から前記第二軸を抜去する第二軸抜去工程と、前記弁室の内部から前記第二支持部を取り外す第二支持部取り外し工程と、を順次実行すること、を特徴とするものである。
【0038】
上述した弁装置の分解方法は、第一押圧部押圧力解除工程により、第一押圧部による押圧力を解除した状態で、第一軸を第一支持部から取り外すことができるので、容易に第一支持部を取り外すことができる。また、上述した弁装置は、第一押圧部を取り外した状態で、第二軸の第二支持部からの抜去や第二支持部の弁室からの取り出しを行うことができる。そのため、上述した弁装置の分解方法は、容易に弁装置の分解を行うことができ、メンテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、シール性が高く、特殊な治具無しで容易に分解や組み立てが可能な弁装置及び弁装置の組立て方法を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の一実施形態に係る弁装置の側面方向断面図である。
【
図3】
図1のボンネットを取り外した状態の平面図である。
【
図4】(a)~(c)は、本発明の一実施形態に係る弁装置の組立て方法の説明図である。
【
図5】(d)及び(e)は、
図4の続きの説明図である。
【
図6】本発明の弁装置を構成する第一押圧部の変形例を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、
図1~
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る弁装置1の詳細を説明する。なお、これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付していることに留意されたい。また、本実施形態では、弁装置1としてフローティング型のトップエントリー型ボール弁が用いられる場合について説明する。また、以下では、
図1における図示右側方向を流体の流れ方向の上流側(単に上流側とも称する)とし、図示左側方向を流体の流れ方向の下流側(単に下流側とも称する)と称することがある。
【0042】
図1に示すように、弁装置1(ボール弁1とも称する)は、弁箱2と、弁体10と、弁室20と、第一流体流路3と、第二流体流路4と、弁座30と、を備えている。また、弁装置1は、前記の他、軸部11と、支持部5と、押圧部6等を備えている。なお、本実施形態では、軸部11が、弁体10を介して第一軸11A及び第二軸11Bに分割形成されており、支持部5が、弁体10を介して第一支持部50及び第二支持部55に分割形成されている場合を例として説明する。また、本実施形態では、押圧部6も第一支持部50及び第二支持部55に対応して、第一押圧部60及び第二押圧部65に分割形成されている。
【0043】
弁箱2は、内部に弁室20と、第一流体流路3と、第二流体流路4等が形成されている。また、弁箱2の上部には、弁棒7を備えたボンネット40が着脱可能に取り付けられている。ボンネット40及び弁棒7の詳細は後述する。
【0044】
図1~
図3に示すように、弁室20は、弁箱2の中央付近に形成された空間であり、上方側に開口部25が形成されている。開口部25は、弁体10の取り出しが可能な大きさに形成されており、ボンネット40を弁箱2から取り外すことでアクセスできる。すなわち、弁装置1は、弁装置1に接続された配管(図示せず)から取り外すことなく、メンテナンス作業を行うことができる。また、弁室20は、弁体10(本実施形態では、ボール10)を収容するものとされている。弁室20は、弁体10の他、後述する第一支持部50及び第二支持部55、並びに、第一押圧部60及び第二押圧部65を収容するものとされている。
【0045】
図1に示すように、第一流体流路3は、弁室20に対して上流側(
図1右側)に位置し、水平方向に延びるように形成されている。第一流体流路3は、液体や気体などの各種の流体を流通させることができる。また、第一流体流路3は、弁室20の上流側における連通口21を介して連通している。したがって、第一流体流路3内に流入した流体は、弁室20内に流入させることができる。第一流体流路3は、後述する弁体10の弁体流路17と略同径に形成されている。また、連通口21の外周部分には、壁部23が立設されている。
【0046】
第二流体流路4は、弁室20に対して下流側(
図1左側)に位置し、水平方向に延びるように形成されている。第二流体流路4は、液体や気体などの各種の流体を流通させることができる。また、第二流体流路4は、弁室20の下流側における連通口22を介して連通している。したがって、弁室20内に流入した流体は、第二流体流路4から排出させることができる。第二流体流路4は、後述する弁体流路17と略同径に形成されている。
【0047】
また、弁室20から第二流体流路4との連通口22には、弁座30が設けられている。具体的には、弁座30は、連通口22の外周縁部分に形成されており、弁体10の外周に設けられたシール面18と当接できる。
【0048】
弁体10は、本実施形態では、外形がボール状(
図2及び
図3参照)に形成されている。弁体10は、中央部に円筒状の弁体流路17が形成されている。弁体10には、弁体流路17と交差する方向に突出する第一軸11Aと、弁体10から第一軸11Aとは反対側に突出する第二軸11Bと、が設けられている。第一軸11A及び第二軸11Bは、それぞれ後述する第一支持部50及び第二支持部55に対して回動可能に支持されている。したがって、弁体10は、第一軸11A及び第二軸11Bを中心として回動できる。
【0049】
弁体流路17は、第一流体流路3及び第二流体流路4に沿う方向を向くように弁体10を回動させることにより、第一流体流路3及び第二流体流路4と連通状態(開状態とも称する)にすることができる。また、弁体流路17は、弁体10を連通状態から90度回転させることにより、第一流体流路3及び第二流体流路4と非連通状態(閉状態とも称する)にすることができる。すなわち、弁体10は、弁座30に対して当接した状態において回動することにより、連通口22を開閉できる。
【0050】
また、弁体10は、第二流体流路4側(下流側)における外周面に環状のシール面18が設けられている。シール面18は、弁座30と当接することにより、弁室20と第二流体流路4との間で流体が弁座漏れすることを抑制するものとされている。
【0051】
ボンネット40は、中央部分に上下方向に沿う貫通孔41が形成されている。ボンネット40は、貫通孔41の外周に設けられた複数のボルト42を弁箱2に締結することで弁箱2に対して着脱可能に取り付けられている。ボンネット40は、弁室20における開口部25を閉塞するものとされている。ボンネット40と弁箱2との境界には、密閉するためのガスケット43が設けられている。
【0052】
貫通孔41は、下端部分が弁箱2の開口部25に連通している。貫通孔41には、軸受44を介して弁棒7が回動可能に挿通されている。弁棒7と貫通孔41との間は、パッキン45などにより密閉されており、流体の外部漏れを抑制している。
【0053】
弁棒7は、上端側が貫通孔41から突出しており、適宜の駆動モータ又はハンドル等(図示せず)が接続されている。したがって、弁棒7は、駆動モータ等により回転駆動することができる。また、弁棒7は、下端側に第一軸11Aと接続するための弁棒側接続部70を有している。
【0054】
弁棒側接続部70は、後述する第一軸11Aにおける軸側接続部12(凹状部12)と対向するように設けられている。弁棒側接続部70には、第一軸11Aの凹状部12(軸側接続部12とも称する)と係合可能な凸状部(以下、凸状部70とも称する)が設けられている。弁棒側接続部70は、凸状部70を凹状部12に係合させることにより、弁棒7と第一軸11Aとを接続するものとされている。したがって、弁棒7を回動させることにより、第一軸11Aが弁棒7と一体的に回動されると共に、弁体10が第一軸11Aと一体的に回動する。
【0055】
第一軸11Aは、弁体10の上端側に設けられ、上方側に向けて突出するように、弁体10に立設されている。第一軸11Aは、一端側(上端側)に後述する弁棒7と接続するための軸側接続部12を有している。また、第一軸11Aは、下端側(弁体10側)が、後述する第一支持部50に回動可能に支持されている。
【0056】
軸側接続部12は、凹状に形成された凹状部(以下、凹状部12とも称する)を有している。凹状部12は、後述する弁棒7の凸状部70と係合可能なものとされている。したがって、第一軸11Aは、凹状部12が凸状部70に係合することにより、弁棒7と接続される。詳細は後述するが、凹状部12は、弁体10により第一流体流路3及び第二流体流路4を閉塞状態とした際に、弁体10が第一流体流路3及び第二流体流路4に沿う方向に移動可能なように形成されている。
【0057】
第二軸11Bは、弁体10の下端側に設けられ、下方側に向けて突出するように、弁体10に立設されている。第二軸11Bは、後述する第二支持部55に回動可能に支持されている。本実施形態では、弁体10が第一軸11A及び第二軸11Bにより、弁体10の上下で回動可能に支持される構造としているため、弁体10を安定に回動させることができる。第二軸11Bは、先端側に第二軸側面取り部15が形成されている。第二軸側面取り部15は、第二軸11Bの先端側の角部にテーパ状又はアール状に形成されている。第二軸側面取り部15は、例えば、第二軸11Bの先端部を面取り加工することにより形成できる。第二軸側面取り部15は、第二軸11Bに第二支持部55を嵌め込む際に、第二支持部55における第二支持部側面取り部56と当接可能なものとされている。
【0058】
第一支持部50は、弁体10に対して着脱可能なものとされている。第一支持部50は、本実施形態では、例えば、すべり軸受、ボールベアリング又はローラベアリングなどの軸受が用いられている。第一支持部50は、第一軸11Aの外周に嵌め込まれる。また、第一支持部50における第一流体流路3側(上流側)には、後述する第一押圧部60が設けられている。第一支持部50は、第一押圧部60による押圧力が付与されることにより、弁室20上部の壁部23に当接して支持される。これにより、第一軸11Aが、第一支持部50に回動可能に支持される。なお、第一支持部50と第一軸11Aとが摺接する部分は、適宜、メッキ、溶射又は肉盛などによる硬化処理、あるいは、DLCやフッ素樹脂などのコーティングを施すとよい。これにより、第一支持部50及び第一軸11Aの摩耗やかじりの抑制効果が期待できる。
【0059】
第二支持部55は、弁室20(弁箱2)及び弁体10に対して着脱可能なものとされている。第二支持部55は、本実施形態では、例えば、すべり軸受、ボールベアリング又はローラベアリングなどの軸受が用いられている。第二支持部55は、第二軸11Bの外周に嵌め込まれる。また、第二支持部55における上端側開口周囲には、テーパ状又はアール状に形成された第二支持部側面取り部56が設けられている。
【0060】
第二軸側面取り部15は、第二支持部55に第二軸11Bを嵌め込む際に、第二支持部側面取り部56と当接することで後述する第二押圧部65の押圧力に抗して第二支持部55を弁座30から離間する方向に押圧するものとされている。
【0061】
したがって、上述した弁装置1は、第二支持部55に第二軸11Bを装着する際の力を、第二支持部55を弁座30から離間させる方向の力に変換できる。すなわち、上述した弁装置1は、第二支持部55に第二軸11Bを装着する際に弁体10と弁座30とが干渉するのを回避できる。これにより、上述した弁装置1は、第二支持部55に第二軸11Bを装着する際の抵抗を緩和できるので弁体10の弁室20への組み込みが容易になる。
【0062】
また、第二支持部55における第一流体流路3側(上流側)には、後述する第二押圧部65が設けられている。第二支持部55は、第二押圧部65による押圧力が付与されることにより、壁部23に当接して支持される。これにより、第二軸11Bが、第二支持部55に回動可能に支持される。なお、第二支持部55と第二軸11Bとが摺接する部分は、適宜、メッキや溶射などによる硬化処理、あるいは、DLCやフッ素樹脂などのコーティングを施すとよい。これにより、第二支持部55及び第二軸11Bの摩耗やかじりの抑制効果が期待できる。
【0063】
第一押圧部60は、弁体10が弁座30に対して近接する方向に、第一支持部50に対して押圧するものとされている。本実施形態では、第一押圧部60が、第一支持部50と一体的に形成されている。第一押圧部60は、第一支持部50における第一流体流路3側(上流側)に設けられている。また、第一押圧部60は、第一支持部50における第一流体流路3側に形成された2つの第一穴部61,61と、第一穴部61,61に収容される第一バネ部材62,62と、を有している。
【0064】
第一穴部61,61は、
図2及び
図3に示すように弁体10に対して左右対称となるように形成されている。第一穴部61,61は、
図1に示すように、第一流体流路3及び第二流体流路4に沿う方向に形成されている。また第一穴部61,61は、開口端が上流側の連通口21周りに形成された壁部23と向き合うように開口している。また、第一穴部61,61は、第一バネ部材62,62を収容可能な形状(本実施形態では、円形穴)に形成されている。なお、第一穴部61,61及び第一バネ部材62,62は左右対称に配されているので、以下では、一方側の第一穴部61及び第一バネ部材62について説明し、他方側については説明を省略する。
【0065】
第一バネ部材62は、例えば、コイルバネで形成されており、第一穴部61内に収容される。第一バネ部材62は、非圧縮状態において、第一穴部61内に収まる長さに形成されている。第一バネ部材62は、後述する挿入部材68を挿入穴部63に挿入することによって、第一穴部61から突出し、壁部23と当接するものとされている。これにより、第一支持部50が、第一バネ部材62により、弁体10が弁座30に対して近接する方向に付勢(押圧)される。
【0066】
また、第一押圧部60は、第一穴部61の底部と連通すると共に、第一穴部61と交差する方向に開口形成された挿入穴部63と、第一穴部61における挿入穴部63側(下流側)に収容されると共に、挿入穴部63側に向く球状面を有する球状部材64(本実施形態では球体)と、を有している。
【0067】
挿入穴部63は、内部に球状部材64における球状面の少なくとも一部が突出すると共に、挿入部材68の挿入が可能なものとされている。本実施形態では、挿入穴部63が、ネジ穴として形成されている。すなわち、挿入穴部63には、ネジ溝が形成されている。
【0068】
球状部材64は、例えば、金属製の球体で構成されている。球状部材64は、第一穴部61の底部側(下流側)に収容されている。また、第一穴部61における球状部材64の上流側には、球状部材64と当接するように第一バネ部材62が収容されている。球状部材64は、底部側から押圧されることで、第一バネ部材62を第一穴部61の開口端側(上流側)に向けて付勢できる。
【0069】
挿入部材68は、本実施形態では、ネジとして形成されており、挿入穴部63のネジ溝に螺合させることができる。また、本実施形態では、挿入部材68は、挿入先端側がテーパ状に形成されている。挿入部材68は、挿入穴部63のネジ溝に螺合させることにより、挿入穴部63の内部方向に捩じ込むことができる。また、挿入部材68は、挿入穴部63への挿入部材68の挿入(捩じ込み)に伴って、挿入部材68と球状部材64の球状面とが当接するものとされている。また、挿入部材68の挿入に伴い、球状部材64を介して第一バネ部材62が圧縮される。これにより、第一バネ部材62の一端側が、第一流体流路3側(上流側)の壁部23に当接し、第一支持部50が、第一バネ部材62により押圧される。また、これに伴い第一軸11Aが、第一支持部50に回動可能に支持される。
【0070】
このように、上述した弁装置1は、挿入穴部63に挿入部材68を挿入することにより、当該挿入部材68と球状部材64の球状面とを当接させることができる。また、挿入部材68と球状部材64とが当接することにより、第一バネ部材62が圧縮される。言い換えると、挿入穴部63に挿入部材68が挿入されていない状態では、第一バネ部材62による押圧力が解除されており、挿入穴部63に挿入部材68が挿入された状態では、第一バネ部材62が対向する壁部23に押し付けられて圧縮され、押圧力を発生する。したがって、上述した弁装置1は、第一バネ部材62による押圧力を解除した状態で、第一支持部50を第一軸11Aに装着でき、弁体10を弁室20内に組み込んだ後に、第一バネ部材62による押圧力を付与できる。
【0071】
また、挿入穴部63にネジ溝を形成し、挿入部材68を挿入穴部63に螺合させる構造とすることにより、上述した弁装置1は、挿入部材68と球状部材64との当接状態及び非当接状態を容易に切り替えることができる。また、上述した弁装置1は、第一支持部50に掛かる負荷を低減した状態を維持しながら、弁体10を弁室20内に組み込める。これにより、上述した弁装置1は、組立てをより一層容易に行うことができる。
【0072】
また、上述した弁装置1は、弁体10の弁室20内からの取り出しや弁体10の弁室20内への組み込みの際には、第一支持部50による押圧力を解除できるので、メンテナンス作業を容易に行える。一方、弁体10を弁室20内に組み込んだ後は、第一支持部50による押圧力を作用させることができるので、弁装置1のシール性を高めることができる。
【0073】
また、上述したように挿入部材68は、挿入先端側がテーパ状に形成されている。そのため、挿入部材68は、挿入方向に掛かる力を第一バネ部材62の圧縮方向の力に変換できる。したがって、上述した弁装置1は、挿入部材68の挿入穴部63への挿入により、第一バネ部材62を確実に圧縮できる。これにより、上述した弁装置1は、組立て時において、第一支持部50に掛かる負荷を確実に低減できるので、組立てをより一層容易に行うことができる。
【0074】
第二押圧部65は、弁体10が弁座30に対して近接する方向に、第二支持部55に対して押圧するものとされている。本実施形態では、第二押圧部65が、第二支持部55と一体的に形成されている。第二押圧部65は、第二支持部55における第一流体流路3側(上流側)に設けられている。また、第二押圧部65は、
図2及び
図3に示すように、第二支持部55における第一流体流路3側に形成された2つの第二穴部66,66と、第二穴部66,66に収容される第二バネ部材67,67と、を有している。
【0075】
第二穴部66,66は、
図2に示すように、弁体10に対して左右対称となるように形成されると共に、第一穴部61,61と上下対称となるように形成されている。また、第二穴部66,66は、
図1に示すように、第一流体流路3及び第二流体流路4に沿う方向に形成されている。第二穴部66,66は、開口端が上流側の連通口21周りに形成された壁部23と向き合うように開口している。また、第二穴部66,66は、第二バネ部材67,67を収容可能な形状(本実施形態では、円形穴)に形成されている。なお、第二穴部66,66及び第二バネ部材67,67は左右対称に配されているので、以下では、一方側の第二穴部66及び第二バネ部材67について説明し、他方側については説明を省略する。
【0076】
第二バネ部材67は、例えば、コイルバネで形成されており、第二穴部66内に収容される。第二バネ部材67は、非圧縮状態において、第二穴部66から一部が突出するものとされている。したがって、第二バネ部材67は、弁室20内に弁体10が収容された際に、壁部23と当接することができる。これにより、第二支持部55が、第二バネ部材67により、弁体10が弁座30に対して近接する方向に付勢(押圧)される。
【0077】
上述したように、第一バネ部材62,62及び第二バネ部材67,67は、それぞれが上下対称及び左右対称に配されている。したがって、上述した弁装置1は、上下方向及び左右方向において、第一バネ部材62,62及び第二バネ部材67,67による付勢力を均等にすることができる。これにより、上述した弁装置1は、弁体10を弁座30に均等に圧接できるので、シール性を向上させることができる。なお、第一バネ部材62,62及び第二バネ部材67,67のそれぞれの押圧力は、弁装置1に応じて適宜変更が可能であるが、弁体10を均等に弁座30に圧接させる観点から、それぞれ均等に設定することが望ましい。
【0078】
このように、上述した弁装置1は、第一バネ部材62,62及び第二バネ部材67,67による付勢力により、第一支持部50及び第二支持部55を押圧することができる。言い換えると、上述した弁装置1は、第一バネ部材62,62及び第二バネ部材67,67による付勢力により、弁体10が弁座30に圧接される。したがって、上述した弁装置1は、流体による流体圧が低圧である場合でも安定したシール性が得られる。また、上述した弁装置1は、弁体10の上流側のシートを排することができ、第一押圧部60及び第二押圧部65も簡素に構成できるので、コストを低減できる。また、上述した弁装置1は、第一バネ部材62及び第二バネ部材67の付勢力を解除することにより、容易に分解及び組み立てることができる。
【0079】
また、上述したように弁装置1は、軸部11(第一軸11A)が、弁棒7に対して分割形成されているので、メンテナンスの際に軸部11を弁棒7から分離させることができる。そのため、メンテナンスが容易である。また、上述した弁装置1は、軸側接続部12に凹状部12が形成されており、第一流体流路3及び第二流体流路4を閉塞状態とした際に凹状部12は、弁体10が第一流体流路3及び第二流体流路4に沿う方向に移動可能なように形成されている。すなわち、弁体の第一流体流路及び第二流体流路に沿う方向への移動が拘束されていない状態となる。したがって、押圧部6により支持部5が押圧された際や流体の圧力が弁体10に掛かった際に、弁体10の弁座に対する面圧を高めることができる。これにより、上述した弁装置1は、シール性を高めることができる。
【0080】
以上が、本発明の一実施形態に係る弁装置1の構成であり、次に、本発明の弁装置1による作用効果について説明する。
【0081】
上述した弁装置1は、弁体10が弁座30に対して近接する方向に、支持部5(第一支持部50及び第二支持部55)に対して押圧する押圧部6(第一押圧部60及び第二押圧部65)を有するので、弁体10を弁座30に圧接できる。これにより、上述した弁装置1は、第一流体流路3と第二流体流路4との間を流れる流体が低圧状態にある場合でも安定したシール性が得られる。また、上述した弁装置1は、流体による流体圧により、弁体10が弁座30方向に押圧されるので、シール性がより一層高められる。また、上述した弁装置1を分解する場合は、押圧部6による押圧を解除することにより、弁体10や支持部5を弁室20から容易に取り出すことができる。具体的には、弁体10は、押圧部6の押圧により、弁座30に圧接されているので、押圧部6の押圧を解除することにより、弁体10の弁座30に対する圧接状態が解除され、弁体10と弁座30との間に隙間を形成できる。これにより、弁体10及び支持部5は、弁室20から容易に取り出すことができる。一方、弁装置1を組み立てる場合は、押圧部6の押圧を解除しながら、弁体10及び支持部5を弁室20内に組み込むことにより容易に組立てできる。
【0082】
また、上述した弁装置1は、弁体10が弁座30と近接する方向に支持部5が押圧される構成とされているので、弁座30を、弁体10に対して第二流体流路4側(下流側)にのみ設ける構成とすることができる。これにより、上述した弁装置1は、弁体10の上流側に設けるシール(シール面18)を排することができるので、構成を簡素化でき、コストを低減できる。
【0083】
また、上述した弁装置1は、支持部5を弁体10及び弁箱2(弁室20)から着脱可能な軸受として構成することにより、メンテナンスを容易に、かつ、安価に行うことができる。また、上述した弁装置1は、弁体10がボール状のものであるいわゆるボール弁1として形成することにより、メンテナンスが容易で、安価に構成できる。
【0084】
以上が、本発明の一実施形態に係る弁装置1の構成及び作用効果であり、次に本発明の弁装置1の一実施形態に係る組立て方法について
図4及び
図5を参照しながら説明する。
【0085】
図4(a)に示すように、まず、第二バネ部材67,67が、第二支持部55における第二穴部66,66に収容される。続いて、第二バネ部材67,67が収容された状態で、第二支持部55が、弁室20内の弁体10における第二軸11Bの挿入方向先端側に配置される(第二支持部配置工程)。
【0086】
図4(b)に示すように、第二支持部55に第二軸11Bが挿入される(嵌め込まれる)とき、第二軸側面取り部15が、第二支持部側面取り部56と当接しながら、第二軸11Bが第二支持部55に嵌め込まれるので、第二支持部55が、第二押圧部65の押圧力に抗して第一流体流路3側(上流側)の壁部23側に押圧される。すなわち、上下方向の力が水平方向の力に変換される。
【0087】
その際、第二支持部55が弁座30から離間し、弁体10と弁座30とが干渉するのを回避した状態(第二支持部55を上流側に寄せた状態)で、
図4(c)に示すように、第二軸11Bに第二支持部55が装着される(第二支持部装着工程)。
【0088】
続いて、
図5(d)に示すように、第一押圧部60における押圧力が解除された状態とされる。すなわち、第一バネ部材62と球状部材64が第一穴部61に収容され、挿入部材68が挿入穴部63に挿入されていない状態で、弁体10における第一軸11Aに第一支持部50が装着される(第一支持部装着工程)。
【0089】
続いて、
図5(e)に示すように、挿入穴部63に挿入部材68が挿入(螺合)され、第一押圧部60における押圧力が付与される(第一押圧部押圧力付与工程)。これにより、第一バネ部材62が圧縮されて壁部23と当接することにより、第一支持部50が、弁体10が弁座30に対して近接する方向に押圧される。第一押圧部押圧力付与工程が完了することにより、弁体10が、第一押圧部60及び第二押圧部65により、上下及び左右均等に押圧力が作用する。この後、図示を省略するが、ボンネット40が弁箱2上に組み付けられ、弁装置1の組立てが完了する。なお、メンテナンス作業を行う際に、弁装置1を分解する場合は、上記組立てとは逆の工程を実行すればよい。例えば、弁装置1の分解は、次の工程を実行すればよい。
【0090】
上述した弁装置1の分解方法は、第一押圧部60における押圧力を解除する第一押圧部押圧力解除工程と、第一押圧部60における押圧力を解除した状態で、弁体10における第一軸11Aを第一支持部50から取り外す第一支持部取り外し工程と、第二支持部55を弁座30から離間させつつ、第二支持部55から第二軸11Bを抜去する第二軸抜去工程と、弁室20の内部から第二支持部55を取り外す第二支持部取り外し工程と、を順次実行すること、を特徴とすればよい。
【0091】
以上が、本発明の弁装置1の一実施形態に係る組立て方法及び分解方法であり、次に上述した弁装置1の組立て方法及び分解方法に係る作用効果について説明する。
【0092】
上述した弁装置1の組立て方法は、第二支持部55に第二軸11Bを挿入することで、第二支持部55を弁座30から離間できるので、弁体10と弁座30との干渉を解除しつつ、第二軸11Bに第二支持部55を装着できる。また、第一支持部装着工程において、第一押圧部60における押圧力を解除した状態で、第一軸11Aに第一支持部50を装着できるので、弁室20内にスムーズに第一支持部50を組み込むことができる。また、弁室20内に弁体10を組み込んだ後に、第一押圧部押圧力付与工程により、第一押圧部60による押圧力が付与されるので、弁装置1におけるシール性が向上する。
【0093】
上述した弁装置1の分解方法は、第一押圧部押圧力解除工程により、第一押圧部60による押圧力を解除した状態で、第一軸11Aを第一支持部50から取り外すことができるので、弁室20から容易に第一支持部50を取り出すことができる。また、上述した弁装置1は、第一押圧部60を取り外した状態で、第二軸11Bの第二支持部55からの抜去や第二支持部55の弁室20からの取り出しを行うことができる。そのため、上述した弁装置1の分解方法は、容易に弁装置1の分解を行うことができ、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0094】
以上が、本発明の一実施形態に係る弁装置1、弁装置1の組立て方法及び弁装置1の分解方法の構成及び作用効果であるが、本発明の弁装置1、弁装置1の組立て方法及び弁装置1の分解方法は、上記実施形態には限定されず、各種の変形を行うことができる。
【0095】
本実施形態では、弁装置1として、トップエントリー型のものを例示したが、本発明は、これには限定されず、各種の形態の弁装置1に利用できる。例えば、弁装置1が、ボトムエントリー型やサイドエントリー型として構成されていてもよい。弁装置1がボトムエントリー型である場合は、上述したトップエントリー型と上下反転させて使用すればよい。また、弁装置1が、サイドエントリー型のものである場合は、弁体10の横方向からアクセス可能なものとすればよい。また、弁装置1における弁箱2、弁体10、弁室20、第一流体流路3、及び第二流体流路4等の各部材は、各種の形状や大きさに形成できる。また、本発明の弁装置1は、ボール弁1に限定されず、各種の回転型の弁装置に利用できる。
【0096】
本実施形態では、支持部5(軸受)と押圧部6とが、一体的に形成されているが、支持部5と押圧部6とが、分離形成されていてもよい。これにより、メンテナンス性が向上する。また、本実施形態では、弁座30が弁箱2と一体的に形成されているものを例示したが、弁座30は、交換可能なように弁箱2に対して着脱可能に構成されていてもよい。また、本実施形態では、押圧部6がバネ部材で形成されているが、これには限定されず、押圧部6は、弁体10が弁座30に対して近接する方向に支持部5を押圧できる各種の機構を利用することができる。また、支持部5は、弁体10に対して着脱可能なすべり軸受、ボールベアリング又はローラベアリングなどの各種の軸受を利用することができる。
【0097】
また、本実施形態では、軸部11が、第一軸11A及び第二軸11Bに分割形成されているが、軸部11が、分割形成されていなくてもよい。例えば、弁装置1が、第一軸11Aのみで形成されていてもよい。かかる場合は、第一軸11Aに対応して支持部5や押圧部6も単一のものとして形成すればよい。
【0098】
また、本実施形態では、第一押圧部60及び第二押圧部65が、第一バネ部材62及び第二バネ部材67の付勢力により押圧力を発揮するものとしたが、第一押圧部60及び第二押圧部65は、これには限定されず、各種の機構の押圧手段を採用できる。また、第一押圧部60における押圧力解除手段も各種の手段を採用できる。また、第一押圧部60における押圧力解除手段の配置は、弁室20内に弁体10を組込んだ状態で解除できるように弁室20への弁体10の組み込み開始端側に位置するように(本実施形態では、弁室20の上部側に位置する第一押圧部60)配置することが望ましい。
【0099】
本実施形態では、挿入部材68の挿入先端側がテーパ状に形成されているが、挿入部材68は、各種の形状に形成できる。例えば、挿入部材68の挿入先端側は、テーパ状に形成されていなくてもよい。また、挿入部材68は、ネジとして形成されているものの他、球状部材64の球状面と当接可能なピンや棒状部材など各種のものが利用できる。なお、挿入部材68は、球状部材64との当接状態及び非当接状態をそれぞれ維持可能かつ切り替え可能なものとすることが望ましい。
【0100】
また、本実施形態では、球状部材64が球体として形成されているが、
図6に示すように、球状部材64が砲弾状に形成されていてもよい。上述した弁装置1は、かかる構成とすることにより、第一バネ部材62の軸線方向(圧縮方向)に沿って、第一バネ部材62を圧縮できる。これにより、上述した弁装置1は、第一バネ部材62の変形や破損を抑制できる。
【0101】
また、本実施形態では、挿入部材68の先端側が、円柱状に形成されているが、挿入部材68における先端は、例えば、テーパ状又はアール状に形成されていてもよい。かかる構成とすることにより、上述した弁装置1は、挿入部材68の挿入穴部63への挿入深さを調節することで、第一バネ部材62の圧縮量を調節することができる。これにより、上述した弁装置1は、第一バネ部材62と第二バネ部材67の圧縮量を均等に調整でき、上下及び左右の押圧力を均等にすることができる。そのため、弁体10を弁座30に均等に圧接させることができ、シール性が向上する。また、第一軸11A及び第二軸11Bの傾きを補正でき、軸部11を弁棒7と同一直線状に配置することができるため、組立てが容易となる。
【0102】
また、本実施形態では、一対の第一バネ部材62,62及び一対の第二バネ部材67,67をそれぞれ左右対称及び上下対称に配置する構成としたが、本発明は、これには限定されず、各種の組み合わせ及び配置で第一バネ部材62及び第二バネ部材67を配置できる。また、第一バネ部材62及び第二バネ部材67は、単数のものや2つ以上の複数のものなど、各種の個数のものを採用できる。
【0103】
また、本実施形態では、弁棒側接続部70が凸状部70を有しており、軸側接続部12が凹状部12を有するものとしたが、凸状部70及び凹状部12がそれぞれ逆に設けられていてもよい。また、本実施形態では、凹状部12が、弁体10により第一流体流路3及び第二流体流路4を閉塞状態とした際に、弁体10を第一流体流路3及び第二流体流路4に沿う方向に移動可能なように形成されているが、本発明は、これには限定されない。例えば、凹状部12が、弁体10により第一流体流路3及び第二流体流路4を閉塞状態とした際に、第一流体流路3及び第二流体流路4に沿う方向に移動しないものであってもよい。なお、シール性を高める観点からは、凹状部12が、弁体10により第一流体流路3及び第二流体流路4を閉塞状態とした際に、第一流体流路3及び第二流体流路4に沿う方向に移動するものとすることが望ましい。また、弁棒7と軸部11との接続は、凸状部70及び凹状部12によるものだけではなく、各種の手段で接続することができる。
【0104】
また、本実施形態では、第二支持部55に第二支持部側面取り部56が形成され、第二軸11Bの先端側に第二軸側面取り部15が形成されているが、第二支持部側面取り部56及び第二軸側面取り部15は、必要に応じて設ければよい。
【0105】
以上が、本発明に係る弁装置及び弁装置の組立て方法の各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の弁装置、弁装置の組立て方法、及び弁装置の分解方法は、高温、常温、低温(極低温含む)等の流体流路(配管)に利用することができる。また、本発明の弁装置及び弁装置の組立て方法は、トップエントリー型、ボトムエントリー型、及びサイドエントリー型等の各種の方式の弁装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 :弁装置(ボール弁)
2 :弁箱
3 :第一流体流路
4 :第二流体流路
5 :支持部
6 :押圧部
7 :弁棒
10 :弁体
11 :軸部
11A:第一軸
11B:第二軸
12 :軸側接続部(凹状部)
15 :第二軸側面取り部
20 :弁室
21 :連通口
23 :壁部
30 :弁座
50 :第一支持部
55 :第二支持部
56 :第二支持部側面取り部
60 :第一押圧部
61 :第一穴部
62 :第一バネ部材
63 :挿入穴部
64 :球状部材
65 :第二押圧部
66 :第二穴部
67 :第二バネ部材
68 :挿入部材
70 :弁棒側接続部(凸状部)