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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109475
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車載機器取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240806BHJP
   F16B 21/08 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60R11/02 C
F16B21/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014285
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523036465
【氏名又は名称】ティーエムエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 匡人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 寛大
(72)【発明者】
【氏名】岡井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 優一
(72)【発明者】
【氏名】羽月 弘之
(72)【発明者】
【氏名】福山 喬
【テーマコード(参考)】
3D020
3J037
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BC02
3D020BD01
3D020BD02
3J037AA05
3J037BA02
3J037DA01
3J037DA11
3J037DC02
(57)【要約】
【課題】車載機器をブラケットに取り付ける作業を容易にする。
【解決手段】車載機器取付構造は、車室内に設けられるブラケットに車載機器を取り付けるための車載機器取付構造であって、前記車載機器に設けられ、互いに逆方向に突出する一対の第一突起と、前記ブラケットの対向配置された壁部にそれぞれ取り付けられ、前記第一突起を受ける受け部を有し、前記受け部に対して前記第一突起を出し入れ可能な第一位置と前記受け部からの前記第一突起の抜け出しを阻止可能な第二位置との間をスライド移動する移動部材と、各々の前記壁部にそれぞれ設けられ、前記移動部材のスライド移動をガイドするガイド部と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に設けられるブラケットに車載機器を取り付けるための車載機器取付構造であって、
前記車載機器に設けられ、互いに逆方向に突出する一対の第一突起と、
前記ブラケットの対向配置された壁部にそれぞれ取り付けられ、前記第一突起を受ける受け部を有し、前記受け部に対して前記第一突起を出し入れ可能な第一位置と前記受け部からの前記第一突起の抜け出しを阻止可能な第二位置との間をスライド移動する移動部材と、
各々の前記壁部にそれぞれ設けられ、前記移動部材のスライド移動をガイドするガイド部と、
を有する車載機器取付構造。
【請求項2】
前記車載機器には、一対の前記第一突起とそれぞれ同じ方向に突出する一対の第二突起が設けられ、
各々の前記壁部には、各々の前記第二突起と接することで、前記移動部材とともに移動する前記車載機器の移動姿勢を保持する保持部がそれぞれ設けられている、請求項1に記載の車載機器取付構造。
【請求項3】
前記保持部は、互いに対向する前記壁部の対向面に設けられた溝部の溝壁面によって構成されている、請求項2に記載の車載機器取付構造。
【請求項4】
前記車載機器には当接部が設けられ、
前記ブラケットには、前記車載機器とともに前記移動部材が第二位置へスライド移動した状態で、前記当接部が当接する被当接部が設けられている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車載機器取付構造。
【請求項5】
前記被当接部は、前記壁部にそれぞれ設けられており、
前記当接部は、前記車載機器の両方の前記第一突起側にそれぞれ設けられている、請求項4に記載の車載機器取付構造。
【請求項6】
前記ブラケットは、樹脂製であり、車両のフロントガラスに接着され、
前記車載機器は、車両前方を撮影するカメラである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車載機器取付構造。
【請求項7】
各々の前記移動部材の前記受け部は、一対の前記第一突起が車両上側からそれぞれ入り込むように構成され、
前記移動部材は、前記第二位置から該第二位置よりも車両前方側の前記第一位置へスライド移動可能に構成されている、請求項6に記載の車載機器取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載機器取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の構造では、車載機器としてのカメラに設けられた係合突起をブラケットに設けられた係合凹部と付勢部材との間にスライド挿入したあと、押圧部材をスライド移動させて付勢部材を押し下げることによって係合突起を係合凹部内に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-091338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の構造では、上記したように、カメラの係合突起をブラケットの係合凹部と付勢部材との間にスライド挿入したあと、押圧部材をスライド移動させて付勢部材を押し下げることによって係合突起の係合凹部からの抜け出しを抑制している。このように特許文献1の構造の場合、カメラの係合突起を所定の位置までスライド挿入する操作のあと、押圧部材をスライド移動させる操作が必要であり、カメラをブラケットに取り付ける作業が煩雑な傾向がある。
【0005】
本開示は上記事実を考慮し、車載機器をブラケットに取り付ける作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様の車載機器取付構造は、車室内に設けられるブラケットに車載機器を取り付けるための車載機器取付構造であって、前記車載機器に設けられ、互いに逆方向に突出する一対の第一突起と、前記ブラケットの対向配置された壁部にそれぞれ取り付けられ、前記第一突起を受ける受け部を有し、前記受け部に対して前記第一突起を出し入れ可能な第一位置と前記受け部からの前記第一突起の抜け出しを阻止可能な第二位置との間をスライド移動する移動部材と、各々の前記壁部にそれぞれ設けられ、前記移動部材のスライド移動をガイドするガイド部と、を有する。
【0007】
第1態様の車載機器取付構造では、第一位置にある移動部材の受け部に車載機器の第一突起を入れて該第一突起を受けさせ、その状態で車載機器を押して移動部材を第一位置から第二位置へスライド移動させる。このとき移動部材のスライド移動がガイド部によってガイドされる。移動部材が第二位置へスライド移動すると、受け部からの第一突起の抜け出しが阻止される。このようにしてブラケットに移動部材を介して車載機器が取り付けられる。
【0008】
ここで、上記車載機器取付構造では、車載機器を持ち上げて第一突起を移動部材の受け部に入れた後、車載機器を押すことで移動部材のスライド移動によって第一突起が受け部から抜け出るのが阻止される。このように上記車載機器取付構造では、車載機器をブラケットに取り付けるために車載機器の操作と別に専用部品の操作が必要な構成と比べて、車載機器の操作のみでブラケットに車載機器を取り付けることができるため、車載機器をブラケットに取り付ける作業が容易になる。
【0009】
本開示の第2態様の車載機器取付構造は、第1態様の車載機器取付構造において、前記車載機器には、一対の前記第一突起とそれぞれ同じ方向に突出する一対の第二突起が設けられ、各々の前記壁部には、各々の前記第二突起と接することで、前記移動部材とともに移動する前記車載機器の移動姿勢を保持する保持部がそれぞれ設けられている。
【0010】
第2態様の車載機器取付構造では、車載機器の一対の第一突起を各移動部材に受けさせた状態で車載機器を押し込む際に、車載機器の各々の第二突起が各々の保持部に接することで、車載機器の移動姿勢が保持される。すなわち、車載機器の第二突起が保持部に接することで、車載機器の第一突起を中心とする回転が阻止され、移動時における車載機器の姿勢が保持される。
【0011】
本開示の第3態様の車載機器取付構造は、第2態様の車載機器取付構造において、前記保持部は、互いに対向する前記壁部の対向面に設けられた溝部の溝壁面によって構成されている。
【0012】
第3態様の車載機器取付構造では、保持部を壁部の対向面に設けられた溝部の溝壁面としていることから、例えば、保持部を壁部に設けたスリットの壁面とする構成と比べて、ブラケットの一対の壁部間に異物等が入り込むのを抑制できる。
【0013】
本開示の第4態様の車載機器取付構造は、第1態様~第3態様のいずれか一態様の車載機器取付構造において、前記車載機器には当接部が設けられ、前記ブラケットには、前記車載機器とともに前記移動部材が第二位置へスライド移動した状態で、前記当接部が当接する被当接部が設けられている。
【0014】
第4態様の車載機器取付構造では、車載機器の当接部がブラケットの被当接部に当接するまで車載機器を押し込むことで、車載機器を所定位置に配置することができる。
【0015】
本開示の第5態様の車載機器取付構造は、第4態様の車載機器取付構造において、前記被当接部は、前記壁部にそれぞれ設けられており、前記当接部は、前記車載機器の両方の前記第一突起側にそれぞれ設けられている。
【0016】
第5態様の車載機器取付構造では、被当接部を一対の壁部にそれぞれ設けていることから、例えば、被当接部を片側の壁部のみに設ける構成と比べて、ブラケットに対して車載機器を姿勢よく取り付けられる。
【0017】
本開示の第6態様の車載機器取付構造は、第1態様~第5態様のいずれか一態様の車載機器取付構造において、前記ブラケットは、樹脂製であり、車両のフロントガラスに接着され、前記車載機器は、車両前方を撮影するカメラである。
【0018】
第6態様の車載機器取付構造では、ブラケットを樹脂製としていることから、ブラケットが軽量であり、フロントガラスに接着により固定できる。ここで、車両前方を撮影するカメラを、ブラケットを介してフロントガラスに固定するため、車両前方の情報をより正確に得ることが可能になる。
【0019】
本開示の第7態様の車載機器取付構造は、第6態様の車載機器取付構造において、各々の前記移動部材の前記受け部は、一対の前記第一突起が車両上側からそれぞれ入り込むように構成され、前記移動部材は、前記第二位置から該第二位置よりも車両前方側の前記第一位置へスライド移動可能に構成されている。
【0020】
第7態様の車載機器取付構造では、一対の第一突起を各々の移動部材の受け部に車両上側から入れ、車載機器を車両前方側へ押すことで、車載機器がブラケットに取り付けられる。すなわち、簡単な操作で車載機器をブラケットに取り付けることができる。また、フロントガラスにブラケットを接着した状態でも、車載機器を車両前方側へ押すことで、車載機器をブラケットに取り付けられるため、ブラケットをフロントガラスに位置精度よく接着することができる。これにより、ブラケットに取り付けられるカメラの位置精度もよくなり、車両前方の情報をより正確に得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、車載機器をブラケットに取り付ける作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の一実施形態に係る車載機器取付構造においてブラケットから車載機器を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図2図1で示すブラケットに車載機器を載せた状態を示す分解斜視図である。
図3図2の矢印3Xで指し示す部分の拡大斜視図である。
図4図3で示すブラケットから移動部材を取り外した状態を示す拡大斜視図である。
図5図2で示すブラケットの平面図である。
図6図5の6X-6X線に沿った断面図であり、移動部材が第一位置にある状態を示している。
図7図6で示す移動部材を第二位置に移動した状態を示す断面図である。
図8図5の8X-8X線に沿った断面図であり、移動部材が第一位置にある状態を示している。
図9図8で示す移動部材を第二位置に移動した状態を示す断面図である。
図10図4の矢印10Xで指し示す部分の側断面図である。
図11図3の11X-11X線に沿った断面図であり、移動部材が第一位置にある状態を示している。
図12】本開示のその他の実施形態に係る車載機器取付構造の要部の拡大斜視図(図3に対応する拡大斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図面を用いて本開示の一実施形態に係る車載機器取付構造を説明する。
【0024】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の車載機器取付構造S1(以下、適宜「取付構造S1」と記載する。)は、車室内に設けられるブラケット30に車載機器20を取り付けるための取付構造である。この取付構造S1は、一対の第一突起24と、一対の移動部材40と、一対のガイド部36を備えている。
【0025】
図1に示されるように、一対の第一突起24は、車載機器20に設けられている。一対の移動部材40は、ブラケット30に取り付けられている。また一対のガイド部36は、ブラケット30に設けられている。
【0026】
まず、一対の第一突起24を有する車載機器20について説明し、次に一対の移動部材40及びガイド部36を有するブラケット30について説明する。
【0027】
<車載機器20>
車載機器20は、図1及び図2に示されるように、ブラケット30を介して車室内に固定される電子機器である。本実施形態では、車載機器20として、車両前方を撮影するステレオカメラを用いている。なお、本開示は上記構成に限定されず、車載機器として運転支援用の各種センサー(例えば、モノカメラ、ライダ)を用いてもよいし、ドライブレコーダや電波を受信するアンテナ(例えば、GPSアンテナ、ラジオアンテナ、テレビアンテナ)を用いてもよい。また、車載機器として、上記各種センサー、ドライブレコーダ及びアンテナを種々組み合わせた複合機器を用いてもよい。
【0028】
また、本実施形態の車載機器20は、センサー類が取り付けられるハウジング22と、ハウジング22に設けられる一対の第一突起24と、を備えている。
【0029】
ハウジング22は、センサー類が取り付けられる板部22Aと、板部22Aの後端部から立ち上がる後壁22Bと、を備えている。また、ハウジング22は、長手方向(図1では矢印EL方向)の両端部からそれぞれ立ち上がる一対の側壁22Cと、を備えている。なお、本実施形態では、センサー類が板部22Aに取り付けられるが、本開示はこの構成に限定されず、一部又は全部のセンサー類が後壁22Bに取り付けられてもよいし、側壁22Cに取り付けられてもよい。またセンサー類のハウジング22への取り付けには、他の部材を介した取り付けも含まれる。なお、車室内に設けられたブラケット30にハウジング22を取り付けた状態では、ステレオカメラが車両前方を向く。これにより、ステレオカメラで車両前方を撮影可能となる。本実施形態のハウジング22は、例えば、樹脂材料によって構成されている。
【0030】
(第一突起24)
図1に示されるように、第一突起24は、ハウジング22をブラケット30へ取り付けるための部位である。
【0031】
一対の第一突起24は、それぞれピン状の突起であり、ハウジング22の両側壁22Cから長手方向の外側へ向けてそれぞれ突出している。言い換えると、一対の第一突起24は、ハウジング22の両側壁22Cから互いに逆方向にそれぞれ突出している。また、一対の第一突起24は、互いに同軸となるように両側壁22Cに設けられている。一対の第一突起24は、後述する一対の移動部材40のそれぞれの受け部42で受けられる(図6及び図7参照)。
【0032】
本実施形態の車載機器20は、一対の第二突起26を更に備えている。
【0033】
(第二突起26)
図1に示されるように、一対の第二突起26は、それぞれピン状の突起であり、ハウジング22の板部22Aの長手方向の両端部から長手方向の外側へ向けてそれぞれ突出している。言い換えると、一対の第二突起26は、ハウジング22の板部22Aの両端部から一対の第一突起24とそれぞれ同じ方向に突出している。また、一対の第二突起26は、互いに同軸となるように板部22Aの両端部に設けられている。一対の第二突起26は、一対の第一突起24よりもハウジング22の前方側に設けられている。一対の第二突起26は、後述するブラケット30の両壁部34に設けられる保持部38で受けられる(図6及び図7参照)。
【0034】
本実施形態の車載機器20は、一対の第二突起26を備えているが、本開示は上記の構成に限定されない。車載機器20は、一対の第二突起26を備えなくてもよい。
【0035】
<ブラケット30>
図2及び図7に示されるように、ブラケット30は、車両用のフロントガラス100に車載機器20を固定するための部材である。なお、本実施形態では、ブラケット30がウインドガラスの一例であるフロントガラス100に接着される。
【0036】
図1及び図5に示されるように、ブラケット30は、樹脂製であり、長尺な板状に形成されている。以下では、ブラケット30の長手方向を矢印BLで示し、ブラケット30の幅方向を矢印BWで示し、ブラケット30の厚み方向を矢印BTで示す。また、ブラケット30に車載機器20を取り付けた状態では、ブラケット30の長手方向(以下、適宜「長手方向BL」と記載する。)がハウジング22の長手方向ELと略一致(製造誤差によるずれを含む)する。さらに、ブラケット30をフロントガラス100に取り付けた状態では、ブラケット30の長手方向BLが車両幅方向と略一致し、ブラケット30の幅方向BWが車両前後方向と略一致する。なお、ブラケット30の幅方向BWの一方側が車両前方(図6図11における矢印FR方向)にあたる。また、図6図10における矢印UPは車両上方を示している。
【0037】
図1及び図3に示されるように、ブラケット30は、ブラケット本体32と、一対の壁部34と、移動部材40と、ガイド部36とを有している。
【0038】
(ブラケット本体32)
図1及び図3に示されるように、ブラケット本体32は、ブラケット30の本体部分であり、長尺な板状に形成されている。ブラケット本体32の裏面32Aには、接着剤が付与されており、フロントガラス100の内面(車室内側の面)100Aに押し付けることで、ブラケット本体32がフロントガラス100に接着されている(図6参照)。この接着剤は、ブラケット本体32の裏面全体に付与してもよいし、裏面に部分的に付与してもよい。なお、本実施形態では、接着剤をブラケット本体32の裏面に部分的(詳細には、間隔をあけて複数の位置)に付与している。
【0039】
(壁部34)
図1に示されるように、一対の壁部34は、ブラケット本体32にそれぞれ設けられている。具体的には、一対の壁部34は、ブラケット本体32に長手方向BLに間隔をあけて設けられている。また、一対の壁部34は、互いに対向して配置されている。すなわち、一対の壁部34は、それぞれ幅方向BW方向に延在している。なお、壁部34は、ブラケット本体32の表面32Bから突き出た壁である。ブラケット本体32の表面32Bは、裏面32Aと反対側の面である。
【0040】
(移動部材40)
図1図3及び図6に示されるように、移動部材40は、一対の壁部34にそれぞれ移動可能に取り付けられている。移動部材40は、第一突起24を受ける受け部42を有している。本実施形態の受け部42は、移動部材40の第一突起24が入り込む凹状部分である。本実施形態では、各々の移動部材40の受け部42に、一対の第一突起24が車両上側からそれぞれ入り込むようになっている。移動部材40は、受け部42に対して第一突起24を出し入れ可能な第一位置と、受け部42からの第一突起24の抜け出しを阻止可能な第二位置との間をスライド移動するように構成されている。なお、移動部材40の第一位置は、例えば、図1及び図6に示す位置である。また、移動部材40の第二位置は、例えば、図2及び図7に示す位置である。なお、本実施形態では、第二位置よりも第一位置が車両前方側に位置する。すなわち、移動部材40は、第二位置から該第二位置よりも車両前方側の第一位置へスライド移動する。
【0041】
移動部材40の壁部34側の側面には、係止部43が設けられている。係止部43は、第二位置でブラケット30の壁部34に設けられる後述する第一被係止部50に係止され、第一位置で壁部34に設けられる後述する第二被係止部52に係止される。係止部43が第一被係止部50に係止されることで、移動部材40の抜け出しを抑えられる。すなわち、移動部材40をブラケット30の壁部34に保持することができる。
【0042】
(ガイド部36)
図3及び図4に示されるように、ガイド部36は各々の壁部34にそれぞれ設けられている。ガイド部36は、移動部材40のスライド移動をガイドする。具体的には、ガイド部36は、一対の壁部34の互いに対向する面(以下適宜「内面」という)34Aにそれぞれ設けられた溝部35によって構成されている。溝部35は、壁部34の幅方向BWの他端(図10では右端)から一端側(図10では左端側)へ向けて延びている。溝部35の溝幅は、移動部材40の本体部44を嵌められる幅である。すなわち、溝部35の両側の溝壁面35Aによって本体部44が支持された状態で、移動部材40がスライド移動する(図6及び図7参照)。なお、本実施形態では、溝部35の両溝壁面35Aがガイド部36に当たる。
【0043】
また図4図10及び図11に示されるように、溝部35の溝底35Bには、第一被係止部50と、第二被係止部52とが設けられている。第一被係止部50は、第二被係止部52よりも車両前方側に位置する。上記したように、移動部材40が第一位置にあるとき、第二被係止部52に係止部43が係止され、移動部材40が第二位置にあるとき、第一被係止部50に係止部43が係止される。
【0044】
図4図6及び図7に示されるように、本実施形態のブラケット30は、保持部38を更に備えている。
【0045】
(保持部38)
図4及び図6に示されるように、保持部38は、各々の壁部34にそれぞれ設けられている。それぞれの保持部38は、それぞれの第二突起26と接することで、移動部材40とともに移動する車載機器20の移動姿勢を保持する。具体的には、保持部38は、壁部34の内面34Aに設けられた溝部37の溝壁面37Aによって構成されている。溝部37は、壁部34の幅方向BWの他端(図10では右端)から一端側(図10では左端側)へ向けて延びている。溝部37の溝幅は、第二突起26が挿入可能な幅である。溝部37の両側の溝壁面37Aによって第二突起26が溝部37内に保持された状態で、移動部材40がスライド移動する(図6及び図7参照)。なお、本実施形態では、溝部37の両溝壁面37Aが保持部38に当たる。
【0046】
本実施形態では、ブラケット30を構成するブラケット本体32と一対の壁部34とガイド部36とが樹脂の一体成形品である。具体的には、ブラケット30を構成するブラケット本体32と一対の壁部34とガイド部36と保持部38とが樹脂の一体成形品である。一方、一対の移動部材40はブラケット30に対して着脱可能な部材である。すなわち、移動部材40は交換可能な部品である。
【0047】
以下、車両に車載機器20を取り付ける方法について説明する。
【0048】
まず、フロントガラス100に接着されたブラケット30の各移動部材40が第一位置にあるか確認する。移動部材40が第一位置から移動している場合は、移動部材40を第一位置へ移動させる。
【0049】
次に、車載機器20を持ち上げ、図6及び図8に示されるように、各移動部材40の受け部42に車載機器20の第一突起24を車両上側からそれぞれ入れて、各移動部材40に各第一突起24を受けさせる。このとき、車載機器20の各第二突起26をブラケット30の各壁部34の溝部37にそれぞれ入れる。この状態で、図7及び図9に示されるように、車載機器20を車両前方側へ押して移動部材40を第一位置から第二位置へスライド移動させる。このとき移動部材40のスライド移動がガイド部36によってガイドされる。また、第二突起26が各々の保持部38に接することで、車載機器20の移動姿勢が保持される。移動部材40が第二位置へスライド移動すると、受け部42からの第一突起24の抜け出しが阻止される。具体的には、図7に示されるように、第二位置では、移動部材40の凹状の受け部42の開放部分が溝壁面35Aによって一部又は全部塞がれるため、受け部42からの第一突起24の抜け出しが阻止される。このようにしてブラケット30に移動部材40を介して車載機器20が取り付けられる。
【0050】
このようにして、ブラケット30に車載機器20が取り付けられることで、車載機器20がブラケット30を介してフロントガラス100に固定される。言い換えると、車両に車載機器20が取り付けられる。
【0051】
なお、車載機器20のブラケット30への取付は、車体にフロントガラス100を取り付けた後で実施してもよいし、車体にフロントガラス100を取り付ける前に実施してもよいが、車載機器20の搬送時の不具合等も考慮し、車体にフロントガラス100を取り付けた後でブラケット30へ車載機器20を取り付けることが好ましい。
【0052】
次に、本実施形態の作用について説明する。
取付構造S1では、前述の通り、車載機器20を持ち上げて各第一突起24を各移動部材40の受け部42でそれぞれ受けた状態で、車載機器20を車両前方側へ押して、各移動部材40を第一位置へ移動させる。各移動部材40が第一位置へ移動すると、第一突起24が受け部42から抜け出るのが阻止されて、移動部材40を介して車載機器20がブラケット30に取り付けられる。このように取付構造S1では、車載機器20をブラケット30に取り付けるために車載機器20の操作とは別に専用部品の操作が必要な構成と比べて、車載機器20の操作のみでブラケット30に車載機器20を取り付けることができるため、車載機器20をブラケット30に取り付ける作業が容易になる。
【0053】
また本実施形態の取付構造S1では、車載機器20の一対の第一突起24を各移動部材40の受け部42で受けさせた状態で車載機器20を押し込む際に、車載機器20の各々の第二突起26が各々の保持部38に接することで、車載機器20の移動姿勢が保持される。すなわち、車載機器20の第二突起26が保持部38に接することで、車載機器20の第一突起24を中心とする回転が阻止され、移動時(車両走行時)における車載機器20の姿勢が保持される。
【0054】
本実施形態の取付構造S1では、保持部38を壁部34の内面34Aに設けられた溝部37の溝壁面37Aとしていることから、例えば、保持部38を壁部34に設けたスリットの壁面とする構成と比べて、ブラケット30の一対の壁部34間に異物等が入り込むのを抑制できる。
【0055】
本実施形態の取付構造S1では、ブラケット30を樹脂製としていることから、ブラケット30が軽量であり、フロントガラス100に接着により固定できる。ここで、車載機器20が車両前方を撮影するカメラ等のセンサーの場合、ブラケット30を介してフロントガラス100に固定することで、車両前方の情報をより正確に得ることが可能になる。
【0056】
本実施形態の取付構造S1では、一対の第一突起24を各移動部材40の受け部42に車両上側からそれぞれ入れ、車載機器20を車両前方側へ押すことで、車載機器20がブラケット30に取り付けられる。すなわち、簡単な操作で車載機器20をブラケット30に取り付けることができる。また、フロントガラス100にブラケット30を接着した状態でも、車載機器20を車両前方側へ押すことで、車載機器20をブラケット30に取り付けられるため、予めブラケット30をフロントガラス100に接着しておくことができる。これにより、ブラケット30をフロントガラス100に位置精度よく接着することができる。これにより、ブラケットに取り付けられるカメラの位置精度もよくなり、車両前方の情報をより正確に得ることが可能になる。
【0057】
[その他の実施形態]
本開示のその他の実施形態の車載機器取付構造では、図12に示されるように、車載機器20が当接部28を備え、ブラケット30が被当接部39を備えていてもよい。
【0058】
(当接部28)
車載機器20の当接部28は、ブラケット30の被当接部39と当接する部分である。当接部28が被当接部39に当接することで、ブラケット30の所定位置に車載機器20を固定することが可能になる。本実施形態の当接部28は、一対の側壁22Cにそれぞれ設けられている(例えば、図1参照)。具体的には、当接部28は、側壁22Cの後壁22Bと反対側の端部によって構成されている。
【0059】
(被当接部39)
被当接部39は、車載機器20とともに移動部材40が第二位置へスライド移動した状態で、当接部28が当接する部分である。被当接部39は、各々の壁部34にそれぞれ設けられている。具体的には、被当接部39は、各々の壁部34の内面34Aからそれぞれ突出した部分である。突出した部分の壁面に車載機器20の側壁22Cの当接部28が当接する(図12参照)。なお、ブラケット30を構成するブラケット本体32と一対の壁部34とガイド部36と保持部38と被当接部39とを樹脂の一体成形品としてもよい。
【0060】
その他の実施形態の車載機器取付構造S1では、図12に示されるように、車載機器20の当接部28がブラケット30の被当接部39に当接するまで車載機器20を押し込むことで、車載機器20を所定位置に配置することができる。これにより、車両に対する車載機器20の取り付け位置の精度が向上し、車載機器(本実施形態ではステレオカメラ)20が備える機能を効果的に発揮することができる。
【0061】
本実施形態の取付構造S1では、被当接部39を一対の壁部34にそれぞれ設けていることから、例えば、被当接部39を片側の壁部34のみに設ける構成と比べて、ブラケット30に対して車載機器20を姿勢よく取り付けられる。
【0062】
また、前述の実施形態では、フロントガラス100に接着されたブラケット30に車載機器20を取り付けているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、リアガラスに接着されたブラケット30に車載機器20を取り付けてもよい。この場合には、車載機器20であるステレオカメラが車両後方を撮影する。また、ブラケット30をフロントガラス及びリアガラス以外のウインドガラス(開閉できないウインドガラス)に接着してもよい。この場合には、車載機器20であるステレオカメラが開閉できないウインドガラスから車両外側を撮影する。
【0063】
また、前述の実施形態では、フロントガラス100にブラケット30を接着しているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、車体を構成するフロントヘッダ、又は他の部材を介してフロントヘッダにブラケット30を締結固定してもよい。また、フロントヘッダ又は他の部材を介してフロントヘッダにブラケット30を締結固定する場合、ブラケット30を軽量金属(例えば、アルミニウム)で形成してもよい。
【0064】
また、前述の実施形態では、ガイド部36を壁部34に設けられた溝部35の溝壁面35Aとしているが本開示はこの構成に限定されない。例えば、ガイド部36は壁部34の内面34Aから突出し、幅方向BWに延びる一対のリブの互いに対向する面としてもよい。このような一対のリブ間に移動部材40の本体部44が嵌まることで、本体部44が一対のリブの互いに対向する面によってガイドされる。
【0065】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
20 車載機器
24 第一突起
26 第二突起
28 当接部
30 ブラケット
34 壁部
34A 内面(対向面)
35 溝部
35A 溝壁面
36 ガイド部
37 溝部
37A 溝壁面
38 保持部
39 被当接部
40 移動部材
42 受け部
100 フロントガラス
S1 取付構造(車載機器取付構造)
図1
図2
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図12