(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109476
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】タッチパネルシステム、およびタッチパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240806BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 490
G06F3/041 495
G06F3/044 122
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014286
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】512093491
【氏名又は名称】株式会社アスコ
(71)【出願人】
【識別番号】393019436
【氏名又は名称】株式会社デイ・エム・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】木曾 基裕
(72)【発明者】
【氏名】碓氷 啓義
(57)【要約】
【課題】製造工程を減少させるとともに、タッチパネルの用途を広げる。
【解決手段】タッチパネルシステム(1)は、絶縁基板上に設けられたセンサ電極であるITO電極(11)、およびITO電極(11)とFPC(13)とを電気接続する引き出し配線(12)を含むタッチパネル(10)と、駆動電圧としてタッチパネル(10)に所定値以上の電圧を印加するタッチパネルコントローラ(20)とを含み、ITO電極(11)および引き出し配線(12)は、ITOで形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量方式のタッチパネルと、該タッチパネルへ駆動電圧を印加するタッチパネルコントローラと、を含むタッチパネルシステムであって、
前記タッチパネルは、絶縁基板上に設けられたセンサ電極、および前記タッチパネルコントローラと電気接続された外部接続部と前記センサ電極とを電気接続する引き出し配線を含み、
前記センサ電極、および前記引き出し配線は、ITO(indium tin oxide)で形成されている、タッチパネルシステム。
【請求項2】
前記タッチパネルコントローラは、前記駆動電圧として、ITOで形成された前記引き出し配線を備える前記タッチパネルが動作する所定値以上の電圧を印加する、請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項3】
前記センサ電極および前記引き出し配線は、膜厚が第1範囲にあるITO膜により形成されている、請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項4】
前記センサ電極および前記引き出し配線は、ともにレーザトリミングにより同層のITO膜に形成される、請求項3に記載のタッチパネルシステム。
【請求項5】
前記タッチパネルの辺を覆う枠体を備え、
前記枠体は、前記外部接続部と重なる部分が不透明である、請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項6】
静電容量方式のタッチパネルの製造方法であって、
ITO膜が成膜されたガラス基板に対し、レーザトリミングによりITO膜を取り除いて、センサ電極および引き出し配線を形成する工程と、
前記引き出し配線と、前記タッチパネルへ駆動電圧を印加するタッチパネルコントローラとを電気接続するための外部接続部を前記引き出し配線の端部に圧着する工程と、を含むタッチパネルの製造方法。
【請求項7】
前記のセンサ電極および引き出し配線を形成する工程では、該センサ電極および該引き出し配線を、同じ波長、出力、周波数、および走査数を有するレーザによりトリミングして形成する、請求項6に記載のタッチパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルシステム、およびタッチパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、タッチ領域に接近または接触する指等の操作体の操作位置を検出して処理装置へ出力する入力デバイスである。タッチパネルは、内方に配置される液晶パネルなどの表示装置とともに用いられるものであり、ユーザは、表示装置の表示を見ながらタッチパネルへの入力操作を行う。
【0003】
そして、例えば、静電容量方式のタッチパネルであれば、透明なガラス基板上に、透明導電製材料であるITO(indium tin oxide:酸化インジウム錫)で形成されたセンサ電極が設けられ、センサ電極間に発生する静電容量の変化を検知して、入力操作を検知する構成となっている。ただし、入力操作によりセンサ電極に発生し、引き出し配線に流れる電気信号は微弱であるので、引き出し配線には、透明性が要求されるセンサ電極より単位長さあたりの抵抗値が低い銀等の導電性金属材料が用いられている(特許文献1)。
【0004】
このように、引き出し配線には、金属材料が用いられているため、通常のタッチパネルでは、外部から引き出し配線が見えないように、有色のベゼル等の枠体を用いて、引き出し配線部分を覆うことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来技術では、引き出し配線部分が外部から見えないようにするため、着色された不透明のベゼル等の枠体を用いて、引き出し配線部分を覆う必要がある。このため、タッチパネルの用途が限定されたものとなってしまっている。
【0007】
また、センサ電極と引き出し配線とが異なる材料で形成されるため、製造工程が増え、コストも増大している。
【0008】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造工程を減少させるとともに、タッチパネルの用途を広げるタッチパネルシステム等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るタッチパネルシステムは、静電容量方式のタッチパネルと、該タッチパネルへ駆動電圧を印加するタッチパネルコントローラと、を含むタッチパネルシステムであって、前記タッチパネルは、絶縁基板上に設けられたセンサ電極、および該センサ電極と外部接続部とを電気接続する引き出し配線を含み、前記センサ電極、および前記引き出し配線は、ITO(indium tin oxide)で形成されている。
【0010】
また、前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るタッチパネルの製造方法は、静電容量方式のタッチパネルの製造方法であって、ITO膜が成膜されたガラス基板に対し、レーザトリミングによりITO膜を取り除いて、ITO電極および引き出し配線を形成する工程と、前記引き出し配線と、前記タッチパネルへ駆動電圧を印加するタッチパネルコントローラとを電気接続するための外部接続部を前記引き出し配線の端部に圧着する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、引き出し配線がITOにより形成されるので、引き出し配線を透明とすることができる。これにより、従来であれば、引き出し配線部分を覆うために、有色の枠部材等が必要であったところ、当該枠部材を透明にすることができ、タッチパネルの用途を広げることができる。また、ITO電極と引き出し配線とを同じITOで形成できるので、製造工程の削減、製造コストの減少にもつなげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムの全体概要を示す図である。
【
図2】
図1に示すタッチパネルシステムのAで示す部分の詳細を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るタッチパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図4】従来技術におけるタッチパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図5】タッチパネルの枠部に備えられるベゼルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るタッチパネルシステム1の全体概要を示す。
図1に示すように、タッチパネルシステム1は、タッチパネル10およびタッチパネルコントローラ20を含む。
【0014】
タッチパネル10は、静電容量方式のタッチパネルであり、ユーザの指等による接近または接触を検知する検知領域101、および、検知領域101の外側に配される枠領域102からなる。なお、本明細書では、検知領域101にユーザの指等が接近または接触することをまとめて検知領域101へのタッチと呼ぶ。また、以下では、タッチパネル10は相互容量方式のタッチパネルを例に挙げて説明するが、自己容量方式のタッチパネルであっても実現可能である。
【0015】
検知領域101には、センサ電極として、絶縁基板であるガラス基板(図示せず)上に複数のITO電極11が配置されている。ITO電極11は、X方向に電気接続しているITO電極11xと、Y方向に電気接続しているITO電極11yとからなる。
【0016】
また、枠領域102には、ITO電極11と外部接続部であるFPC(Flexible Printed Circuits)13とを電気接続する引き出し配線12が配置されている。
【0017】
ITO電極11および引き出し配線12は、何れもITOにより形成されている。引き出し配線12をITOにより形成することにより、引き出し配線12が透明となるので、タッチパネル10の美感を良くすることができ、すっきりとしたタッチパネル10を実現することができる。すなわち、従来であれば、引き出し配線12は、銀等の有色の材料で形成されていたため、引き出し配線12が外部から見えないように有色のベゼル等で覆う必要があったところ、タッチパネル10ではこの必要がなくなる。これにより、従来であれば、有色のベゼル等があることにより用いることができなかった場面、状況、場所、用途等についても、用いることが可能となる。
【0018】
FPC13は、ITO電極11とタッチパネルコントローラ20と電気接続するプリント基板である。
【0019】
タッチパネルコントローラ20は、ITO電極11に電圧を印加するとともに、ITO電極11x、ITO電極11y間の静電容量の変化を取得して、タッチパネル10に対するタッチを検知するものである。本実施形態では、タッチパネルコントローラ20は、所定値以上、例えば、十数V以上の電圧を駆動電圧としてITO電極11に印加している。なお、タッチパネルコントローラ20を用いて、タッチパネルに対するタッチを検知する方法は公知であるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
【0020】
ITOは、銀と比較して単位長の抵抗値が高い。よって、タッチパネルのサイズが大きくなるに従って引き出し配線12の抵抗値も大きくなる。そして、引き出し配線12の抵抗値が大きくなりすぎると、タッチの判定が正確にできなくなる。そこで、本実施形態では、所定値以上の駆動電圧を印加することにより、引き出し配線12に、銀よりも高抵抗であるITOを用いても、正確にタッチの判定ができる構成となっている。
【0021】
一例として、タッチパネルコントローラ20は、18Vと3.3Vの2系統で電圧を印加できるものであってよい。この場合、18Vの駆動電圧をタッチパネル10に印加するものであってよい。一般的に、タッチパネルの駆動電圧は3.3V前後であることが多いところ、18Vで駆動することにより、上述した、引き出し配線12に高抵抗のITOを用いることによる弊害を除去することができる。なお、18Vは一例であり、+18Vに限らず、一般的にロジック回路に印加される電圧(例えば、3.3V)よりも高い電圧(マイナス電圧を含む)を印加するものであってもよい。これにより、18Vの電圧を印加する場合と同様の効果を奏することができる。
【0022】
なお、ノイズ対策としてタッチパネルの駆動電圧を18Vとする例は存在するが、引き出し配線12の抵抗値を考慮して、タッチパネルの駆動電圧を18Vとする例は知られていない。
【0023】
図2に、
図1のAで示す部分の詳細を示す。
図2に示すように、検知領域101には、ITO電極11が配置されている。より詳細には、X方向に電気接続されたITO電極11xと、Y方向に電気接続されたITO電極11yとが配置されている。
図2に示す例では、ITO電極11xには、引き出し配線12x(12xa、12xb、12xc、12xd)がそれぞれ接続し、ITO電極11xとFPC13とを電気接続している。また、ITO電極11yには、引き出し配線12y(12ya、12yb、12yc、12yd)がそれぞれ接続し、ITO電極11yとFPC13とを電気接続している。
【0024】
そして、引き出し配線12x、引き出し配線12yは、それぞれ枠領域102に配置されている。
【0025】
以上のように、本実施形態に係るタッチパネルシステム1は、静電容量方式のタッチパネル10と、タッチパネル10へ駆動電圧を印加するタッチパネルコントローラ20とを含む。タッチパネル10は、絶縁基板であるガラス基板上に設けられたセンサ電極としてのITO電極11、およびITO電極11と外部接続部であるFPC13とを電気接続する引き出し配線12を含む。そして、ITO電極11および引き出し配線12は、ITOで形成されている。また、タッチパネルコントローラ20は、駆動電圧として、ITOで形成された引き出し配線12を備えるタッチパネル10が動作する所定値以上の電圧を印加する。
【0026】
〔タッチパネルの製造方法〕
次に、
図3を参照して、タッチパネル10の基板部分の製造工程について説明する。
図3に示すように、タッチパネル10の製造する場合、まず、
図3の301に示すように、ITO膜が成膜されたガラス基板(ITOガラス)の洗浄を行う。次に、
図3の302に示すように、ITOガラスの四隅にマーカを付す。なお、マーカを付す処理は必須ではない。
【0027】
そして、
図3の303に示すように、レーザを用いて、トリミングを行う。レーザトリミングにより、ITOガラスにITO電極11および引き出し配線12を生成することができる。ITO電極11および引き出し配線12は、同層のITO膜に形成される。より詳細には、ITO電極11xと引き出し配線12xとは同層のITO膜に形成され、ITO電極11yと引き出し配線12yとは同層のITO膜に形成される。
【0028】
なお、単にレーザトリミングを行うのみでは、ITOガラスにITO電極11および引き出し配線12を形成することはできない。レーザのスペックとITOガラスにおけるITO膜とが適切な関係にある必要がある。一例として、本実施形態では、トリミングに用いるレーザは、波長が1062nmまたは、この近傍である赤外線レーザであり、出力は8~15W、周波数は400~600kHz、走査数は1Passのものを用いることができる。操作数とは、レーザを照射するサイクル数であり、1Passとは、1サイクルで加工が完了することを示す。
【0029】
また、ITO膜は、膜厚が20~40nm(第1範囲)、シート抵抗値が50~500Ω/□のものを用いることができる。
【0030】
レーザトリミングにより、ITO電極11および引き出し配線12の生成が完了すると、引き出し配線12の端部にFPC13を圧着して、タッチパネル10の基板部分が完成する。
【0031】
一方、従来技術では、
図4に示す工程となる。まず、
図4の401に示すように、ITO膜が成膜されたガラス基板(ITOガラス)の洗浄を行う。次に、
図4の402に示すようにエッチングレジスト(ER)を印刷し、紫外線(UV)による完成を行う。その後、
図4の403に示すように、ITOのエッチングを行い、ITO電極11を生成する。
図4の404に示すように、銀(Ag)インクのスクリーン印刷をおこなって引き出し配線12gを生成する。最後に、
図4の405に示すように、引き出し配線12gの端部にFPC13を圧着する。
【0032】
このように、従来技術では、ITO電極11と引き出し配線12gとで異なる材料を用いているため、製造工程が多くなるところ、本実施形態に係るタッチパネル10では、製造工程を減少させることができる。これにより、従来よりも製造効率を上げ、製造コストを下げることができる。さらに、高価な銀を用いることなく引き出し配線12を形成することができるので、この点でも製造コストを下げることができる。
【0033】
〔ベゼル例〕
次に、
図5を参照して、タッチパネル10に用いることができるベゼルについて説明する。上述したように、本実施形態にかかるタッチパネル10は、引き出し配線12がITOにより形成されているので、透明である。よって、引き出し配線12が外部から見えないように、不透明のベゼル等で引き出し配線12を覆う必要がない。
【0034】
よって、例えば、タッチパネル10が矩形であれば、
図5の501に示すように、上辺、右辺、左辺の3辺を透明にし、下辺301のみを有色にしたベゼル30Aを用いることができる。すなわち、FPC13と重なる下辺301のみを不透明にし、上辺、右辺、左辺の3辺を透明にすることにより、当該部分についても映像等を表示することが可能となり、タッチパネル10の用途を広げることができる。
【0035】
また、
図5の502に示すように、下辺のうち、FPC13と重なる部分302のみを不透明(有色)とし、それ以外の部分も透明にしたベゼル30Bとしてもよい。これにより、ベゼル30Aよりも透明となる部分を広げることができ、より、タッチパネル10の用途を広げることができる。
【0036】
例えば、従来技術では、ベゼル等の枠体が有色のため用いることができなかった自動車のヘッドアップディスプレイに用いることができる。また、アミューズメントセンタの大型ゲーム機等に用いることにより、迫力のある映像、違和感の少ない映像等を提供することが可能となる。また、デジタルサイネージ、医療機器等にも用いることが可能となる。
【0037】
なお、ベゼルの使用は任意であり、タッチパネル10のタッチ側に配置されるガラス板のうち、下辺に相当する部分、または下辺のうちFPC13と重なる部分にのみ、FPC13が外部から見えないように、色が付けられている構成であってもよい。
【0038】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るタッチパネルシステムは、静電容量方式のタッチパネルと、該タッチパネルへ駆動電圧を印加するタッチパネルコントローラと、を含むタッチパネルシステムであって、前記タッチパネルは、絶縁基板上に設けられたセンサ電極、および該センサ電極と外部接続部とを電気接続する引き出し配線を含み、前記センサ電極、および前記引き出し配線は、ITO(indium tin oxide)で形成されている。
【0039】
前記の構成によれば、引き出し配線がITOにより形成されるので、引き出し配線を透明とすることができる。これにより、従来であれば、引き出し配線部分を覆うために、有色の枠部材等が必要であったところ、当該枠部材を透明にすることができ、美感を損ねずにタッチパネルの使用バリエーションを増やすことができる。これにより、タッチパネルの用途を広げることができる。
【0040】
また、センサ電極と引き出し配線との両方をITOで形成することができるので、それぞれを別の材料で形成する場合と比較して、製造工程を減少させることができる。
【0041】
本発明の態様2に係るタッチパネルシステムは、前記態様1において、前記タッチパネルコントローラは、前記駆動電圧として、ITOで形成された前記引き出し配線を備える前記タッチパネルが動作する所定値以上の電圧を印加する。
【0042】
前記の構成によれば、タッチパネルコントローラからの駆動電圧を所定値以上とするので、引き出し配線にITOを用いることにより、配線の抵抗値が上がる場合でも、適切にタッチパネルにおけるタッチ位置の検出を行うことができる。
【0043】
本発明の態様3に係るタッチパネルシステムは、前記態様1または2において、前記センサ電極および前記引き出し配線は、膜厚が第1範囲にあるITO膜により形成されている。
【0044】
本願発明者らは、ITO膜を膜厚の第1範囲とすることにより、タッチパネルとしての機能を失うことなく、引き出し配線をITOにより形成することができることを発見した。よって、ITO膜を膜厚の第1範囲とすることにより、タッチパネルとしての機能を失うことなく、引き出し配線をITOにより形成することができる。ここで、第1範囲とは、20~40nmである。
【0045】
本発明の態様4に係るタッチパネルシステムは、前記態様1~3の何れかにおいて、前記センサ電極および前記引き出し配線は、ともにレーザトリミングにより同層のITO膜に形成されている。
【0046】
センサ電極および引き出し配線をともにレーザトリミングにより形成することにより、同じ工程でセンサ電極および引き出し配線の両方を形成することができる。また、エッチングと比較して少ない工程でセンサ電極および引き出し配線を形成することができる。
【0047】
本発明の態様5に係るタッチパネルシステムは、前記態様1~4の何れかにおいて、前記タッチパネルの辺を覆う枠体を備え、前記枠体は、前記外部接続部と重なる部分が不透明である。
【0048】
前記の構成によれば、外部接続部と重なる部分以外は不透明ではない、すなわち、透明とすることができるので、従来の有色のベゼルを使用する場合と比較して、タッチパネルの用途を広げることができる。
【0049】
本発明の態様6に係るタッチパネルの製造方法は、静電容量方式のタッチパネルの製造方法であって、ITO膜が成膜されたガラス基板に対し、レーザトリミングによりITO膜を取り除いて、ITO電極および引き出し配線を形成する工程と、前記引き出し配線と、前記タッチパネルへ駆動電圧を印加するタッチパネルコントローラとを電気接続するための外部接続部を前記引き出し配線の端部に圧着する工程と、を含む。
【0050】
前記の方法によれば、引き出し配線がITOにより形成されるので、引き出し配線を透明とすることができる。これにより、従来であれば、引き出し配線部分を覆うために、有色の枠部材等が必要であったところ、当該枠部材を透明にすることができ、美感を損ねずにタッチパネルの使用バリエーションを増やすことができる。これにより、タッチパネルの用途を広げることができる。
【0051】
また、センサ電極と引き出し配線との両方をITOで形成することができるので、それぞれを別の材料で形成する場合と比較して、製造工程を減少させることができる。
【0052】
本発明の態様7に係るタッチパネルの製造方法は、前記態様6において、前記のセンサ電極および引き出し配線を形成する工程では、該センサ電極および該引き出し配線を、同じ波長、出力、周波数、および走査数を有するレーザによりトリミングして形成する。
【0053】
本願発明者らは、レーザの波長、出力、周波数、および走査数を特定すれば、レーザトリミングにより、適切に引き出し配線を形成できることを発見した。よって、特定の波長、出力、周波数、および走査数のレーザによりレーザトリミングを行うことで、ITO膜に、適切に引き出し配線およびセンサ電極を形成できる。ここで、特定の波長とは1062nmまたはこの近傍であり、特定の出力とは8~15Wであり、特定の周波数とは400~600kHzであり、特定の走査数とは1Passである。
【0054】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 タッチパネルシステム
10 タッチパネル
11 ITO電極(センサ電極)
12 引き出し配線
13 FPC(外部接続部)
20 タッチパネルコントローラ