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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109477
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】基板検査設定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
G01N21/956 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014287
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】390000594
【氏名又は名称】株式会社レクザム
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】兼田 昌伸
(72)【発明者】
【氏名】山下 聡
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051AA65
2G051AB02
2G051AC04
2G051CA04
2G051EA12
2G051EB01
2G051EB09
2G051ED04
2G051ED11
2G051ED21
(57)【要約】
【課題】2次元の撮影画像を用いて基板の外観検査の設定を自動的に行う基板検査設定装置を提供する。
【解決手段】基板検査設定装置1は、基板の撮影画像を取得する撮影画像取得部11と、部品の種類及びその部品の種類の検査対象に応じた外観検査の内容を示す情報である検査内容情報が記憶される記憶部12と、学習済みの第1の学習モデルに撮影画像を適用することによって、撮影画像における部品領域と部品の種類とを特定する第1の特定部13と、学習済みの第2の学習モデルに、部品領域に対応する部品領域画像を適用することによって、部品領域における検査対象の領域である検査対象領域を検査対象ごとに特定する第2の特定部14と、検査対象領域ごとに、検査対象領域に対応する部品の種類と検査対象とに対応する外観検査の内容を用いて、検査対象領域の外観検査に関する設定を行う設定部17とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装された基板の撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
部品の種類及び当該部品の種類の検査対象に応じた外観検査の内容を示す情報である検査内容情報が記憶される記憶部と、
学習済みの第1の学習モデルに前記撮影画像を適用することによって、当該撮影画像における部品が装着されている領域である部品領域と、当該部品の種類とを特定する第1の特定部と、
学習済みの第2の学習モデルに、前記撮影画像における部品領域に対応する画像である部品領域画像を適用することによって、当該部品領域における検査対象の領域である検査対象領域を検査対象ごとに特定する第2の特定部と、
前記撮影画像において特定された検査対象領域ごとに、当該検査対象領域に対応する部品の種類と検査対象とに対応する外観検査の内容を用いて、当該検査対象領域の外観検査に関する設定を行う設定部と、を備えた基板検査設定装置。
【請求項2】
前記部品領域画像の少なくとも一部を用いて、前記第1の特定部によって特定された部品の種類より細かい部品の種類を特定する第3の特定部をさらに備え、
前記設定部は、前記第3の特定部によって特定された部品の種類を用いて、外観検査に関する設定を行う、請求項1記載の基板検査設定装置。
【請求項3】
前記記憶部では、基板における部品ごとの装着位置を含む部品位置情報も記憶されており、
前記第1の特定部は、前記部品位置情報によって示される部品の装着位置に対応する部品領域のみを特定する、請求項1記載の基板検査設定装置。
【請求項4】
前記記憶部では、基板における部品ごとに、部品を識別する部品識別子と当該部品の装着位置とを対応付ける部品位置情報も記憶されており、
前記外観検査に関する設定は、部品ごとに行われており、
前記設定部は、前記外観検査に関する設定に対応する部品について、前記部品位置情報を用いて、同じ部品識別子に対応する部品をグループ化し、
外観検査に関する設定の変更を受け付ける受付部をさらに備え、
前記設定部は、受け付けられた設定の変更に応じて外観検査に関する設定を変更する際に、同じグループに属する部品に対応する同じ検査内容については同様の変更を行う、請求項1記載の基板検査設定装置。
【請求項5】
前記第2の特定部は、前記撮影画像における部品領域を拡張した領域の画像である部品領域画像を前記第2の学習モデルに適用する、請求項1から請求項4のいずれか記載の記載の基板検査設定装置。
【請求項6】
前記第1の特定部は、前記撮影画像をリサイズした1以上のリサイズ後の撮影画像を取得し、リサイズ後の撮影画像を少なくとも含む複数の撮影画像を前記第1の学習モデルに適用することによって、部品領域と部品の種類とを特定すると共に、部品領域ごとのスコアを取得し、前記撮影画像に含まれる各部品について、当該スコアに基づいて最終的な部品領域を取得する、請求項1から請求項4のいずれか記載の基板検査設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に実装される部品の外観検査に関する設定を行う基板検査設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査基板(プリント基板)に実装された部品に関する外観検査を行う基板検査装置が知られている。また、その基板検査装置において行われる基板の外観検査に関する設定を、3次元の撮影画像における基板の高さ方向の情報も用いて行う装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-138871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、3次元の撮影画像を取得するには特殊な装置が必要であり、それに応じてコストが向上する。そのため、2次元の撮影画像を用いて基板の外観検査の設定を行うことが考えられるが、2次元の画像では、高さ方向の情報がないことから、通常、手作業での設定が行われていた。その手作業での設定では作業者の負担が大きく、また、作業ミスによる設定漏れや、設定間違いが発生する可能性もあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、2次元の撮影画像を用いて、被検査基板の外観検査に関する設定を自動的に行うことができる基板検査設定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による基板検査設定装置は、部品が実装された基板の撮影画像を取得する撮影画像取得部と、部品の種類及び部品の種類の検査対象に応じた外観検査の内容を示す情報である検査内容情報が記憶される記憶部と、学習済みの第1の学習モデルに撮影画像を適用することによって、撮影画像における部品が装着されている領域である部品領域と、部品の種類とを特定する第1の特定部と、学習済みの第2の学習モデルに、撮影画像における部品領域に対応する画像である部品領域画像を適用することによって、部品領域における検査対象の領域である検査対象領域を検査対象ごとに特定する第2の特定部と、撮影画像において特定された検査対象領域ごとに、検査対象領域に対応する部品の種類と検査対象とに対応する外観検査の内容を用いて、検査対象領域の外観検査に関する設定を行う設定部と、を備えたものである。
このような構成により、2次元の撮影画像を用いて、基板の外観検査の設定を自動的に行うことができるようになる。その結果、例えば、基板の外観検査の設定漏れが発生したり、不適切な検査内容が設定されたりすることを防止できる。また、その検査の設定を行う作業者の負担が軽減されることになる。
【0007】
また、本発明の一態様による基板検査設定装置では、部品領域画像の少なくとも一部を用いて、第1の特定部によって特定された部品の種類より細かい部品の種類を特定する第3の特定部をさらに備え、設定部は、第3の特定部によって特定された部品の種類を用いて、外観検査に関する設定を行ってもよい。
このような構成により、機械学習に用いる訓練用情報の量を増やすことなく、より細かい部品の種類の特定を実現することができる。
【0008】
また、本発明の一態様による基板検査設定装置では、記憶部では、基板における部品ごとの装着位置を含む部品位置情報も記憶されており、第1の特定部は、部品位置情報によって示される部品の装着位置に対応する部品領域のみを特定してもよい。
このような構成により、第1の特定部による部品領域の特定間違いを低減することができる。
【0009】
また、本発明の一態様による基板検査設定装置では、記憶部では、基板における部品ごとに、部品を識別する部品識別子と部品の装着位置とを対応付ける部品位置情報も記憶されており、外観検査に関する設定は、部品ごとに行われており、設定部は、外観検査に関する設定に対応する部品について、部品位置情報を用いて、同じ部品識別子に対応する部品をグループ化し、外観検査に関する設定の変更を受け付ける受付部をさらに備え、設定部は、受け付けられた設定の変更に応じて外観検査に関する設定を変更する際に、同じグループに属する部品に対応する同じ検査内容については同様の変更を行ってもよい。
このような構成により、同じ部品に対応する同じ設定については、一括して設定の変更を行うことができるようになり、個別に変更を行う場合と比較して、作業者の負担が軽減されることになる。
【0010】
また、本発明の一態様による基板検査設定装置では、第2の特定部は、撮影画像における部品領域を拡張した領域の画像である部品領域画像を第2の学習モデルに適用してもよい。
このような構成により、例えば、第1の特定部によって特定された部品領域に、部品の一部が含まれていない場合でも、検査対象領域を適切に特定することができるようになる。
【0011】
また、本発明の一態様による基板検査設定装置では、第1の特定部は、撮影画像をリサイズした1以上のリサイズ後の撮影画像を取得し、リサイズ後の撮影画像を少なくとも含む複数の撮影画像を第1の学習モデルに適用することによって、部品領域と部品の種類とを特定すると共に、部品領域ごとのスコアを取得し、撮影画像に含まれる各部品について、スコアに基づいて最終的な部品領域を取得してもよい。
このような構成により、精度の高い部品領域の特定を実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様による基板検査設定装置によれば、2次元の撮影画像を用いて、基板の外観検査の設定を自動的に行うことができるようになる。その結果、その外観検査の設定を行う作業者の負荷が軽減されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態による基板検査設定装置の構成を示すブロック図
図2】同実施の形態による基板検査設定装置の動作を示すフローチャート
図3】同実施の形態における検査内容情報の一例を示す図
図4】同実施の形態における部品位置情報の一例を示す図
図5A】同実施の形態における撮影画像の一例を示す図
図5B】同実施の形態における特定された部品領域の一例を示す図
図5C】同実施の形態における各部品の装着位置の一例を示す図
図6】同実施の形態における特定された検査対象領域の一例を示す図
図7】同実施の形態における基板の外観検査に関する設定の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による基板検査設定装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による基板検査設定装置は、複数の学習モデルを用いて、基板の外観検査の設定を自動的に行うものである。
【0015】
図1は、本実施の形態による基板検査設定装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による基板検査設定装置1は、撮影画像取得部11と、記憶部12と、第1の特定部13と、第2の特定部14と、第3の特定部15と、受付部16と、設定部17とを備え、必要に応じて、出力部18をさらに備えてもよい。なお、基板検査設定装置1は、例えば、基板の外観検査も行う装置であってもよく、または、そうでなくてもよい。前者の場合には、基板の外観検査も行う基板検査装置における外観検査の設定を行う構成が、図1で示されていると考えてもよい。また、基板検査設定装置1において基板の外観検査が行われない場合には、基板検査設定装置1は、例えば、パーソナルコンピューターなどの汎用の情報処理装置であってもよい。
【0016】
撮影画像取得部11は、部品が実装された基板の撮影画像を取得する。撮影画像は、高さ方向の情報を有しない2次元の画像である。撮影画像は、例えば、カラー画像であってもよく、グレースケール画像であってもよく、白黒画像であってもよいが、より適切な基板の外観検査に関する設定を行うため、カラー画像であることが好適である。本実施の形態では、撮影画像がカラー画像である場合について主に説明する。撮影画像取得部11は、例えば、カメラ等の光学機器によって撮影画像を撮影してもよく、カメラ等の光学機器によって撮影された撮影画像を受け付けてもよい。後者の場合に、その受け付けは、例えば、通信回線や記録媒体を介して行われてもよい。また、撮影画像取得部11が取得する撮影画像は、例えば、カメラ等の光学機器によって撮影されたオリジナルの撮影画像であってもよく、そのオリジナルの撮影画像がリサイズされた撮影画像であってもよい。リサイズされた撮影画像は、例えば、オリジナルの撮影画像が拡大または縮小された撮影画像であってもよい。
【0017】
また、取得された撮影画像上の位置と基板上の位置との対応関係が分かるようになっていることが好適である。基板上のある位置に対応する撮影画像上の位置の特定、または、その逆の特定ができるようになるためである。その対応関係は、例えば、撮影画像と、基板の座標系との対応付けによって行われてもよい。撮影画像と基板との対応付けは、手動で行われてもよく、または自動で行われてもよい。前者の場合には、例えば、基板上のあらかじめ決められた位置に対応する撮影画像上の位置を、作業者が手作業で入力することによって両者の対応付けが行われてもよい。後者の場合には、例えば、撮影画像上のあらかじめ決められた特徴点が特定され、その特定された特徴点を用いて両者の対応付けが行われてもよい。
【0018】
部品は、例えば、チップ抵抗、チップコンデンサ、電解コンデンサ、IC(集積回路)、トランジスタ、ダイオード等の種類の電子部品であってもよい。撮影対象の基板は、例えば、良品基板であってもよく、そうでない基板であってもよい。良品基板は、例えば、チップマウンタ(表面実装機)によって部品の実装された基板であって、検査者によるマニュアル検査によって合格と判断された基板であってもよい。すなわち、良品基板においては、各部品があらかじめ決められた位置に、良好な状態で実装されていることになる。良品基板ではない基板は、例えば、マニュアル検査の行われていない基板であってもよい。本実施の形態では、撮影対象の基板が良品基板である場合について主に説明する。
【0019】
記憶部12では、検査内容情報が記憶されている。検査内容情報は、部品の種類、及びその部品の種類の検査対象に応じた外観検査の内容を示す情報である。検査内容情報は、例えば、部品の種類と、検査対象と、外観検査内容情報とを対応付ける情報であってもよい。すなわち、検査内容情報を用いることによって、部品の種類、及び検査対象に対応する外観検査内容情報を特定できてもよい。検査内容情報に含まれる部品の種類や、検査対象は、厳密には、部品の種類を示す情報や、検査対象を示す情報であるが、説明の便宜上、単に部品の種類や、検査対象と呼ぶものとする。他の情報についても同様であるとする。検査対象は、部品において外観検査が行われる部分であり、例えば、ボディ、リード、はんだなどであってもよい。ボディは、部品の本体の部分である。リードは、部品の端子の部分である。はんだは、部品が基板にはんだ付けされた部分である。外観検査内容情報は、外観検査の内容を示す情報であり、一例として、外観検査で用いられる閾値などの設定値を含んでいてもよい。ボディに関する外観検査は、一例として、ボディの位置や角度の実装ずれの検査であってもよい。また、リードに関する外観検査は、一例として、リードのずれ、リードのショート等に関する検査であってもよい。また、はんだに関する外観検査は、一例として、はんだの状態に関する検査であってもよい。外観検査内容情報は、すでに公知の情報であるため、その詳細な内容の説明を省略する。
【0020】
記憶部12では、例えば、基板における部品ごとの装着位置を含む部品位置情報も記憶されていてもよい。部品位置情報は、例えば、基板における部品ごとに、部品を識別する部品識別子と、その部品の装着位置とを対応付ける情報であってもよい。部品識別子は、例えば、部品の品番などであってもよい。装着位置は、部品が装着される基板の位置である。装着位置は、例えば、基板上の部品の中心位置を示す情報であってもよい。装着位置は、基板上における位置であり、例えば、基板の座標系によって示される位置であってもよい。なお、部品位置情報は、良品基板に対応する情報であるとする。例えば、この部品位置情報に基づいてチップマウンタによって部品の装着された基板のうち、合格と判断された基板が良品基板であってもよい。この部品位置情報によって、各部品が基板のどこに装着されるのかを知ることができる。なお、部品位置情報では、部品識別子等に装着角度も対応付けられていてもよい。装着角度は、基板に部品が装着される角度であってもよい。
【0021】
記憶部12では、これら以外の情報が記憶されてもよい。例えば、第1から第3の特定部13,14,15の特定結果が記憶されてもよく、設定部17による設定結果が記憶されてもよい。記憶部12に検査内容情報や部品位置情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して検査内容情報や部品位置情報が記憶部12で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された検査内容情報や部品位置情報が記憶部12で記憶されるようになってもよく、または、入力デバイスを介して入力された検査内容情報や部品位置情報が記憶部12で記憶されるようになってもよい。記憶部12は、不揮発性の記録媒体によって実現されることが好適であるが、揮発性の記録媒体によって実現されてもよい。記録媒体は、例えば、半導体メモリや磁気ディスクなどであってもよい。また、記憶部12は、一例として、複数の記録媒体によって実現されてもよい。この場合には、記憶部12で記憶されている複数の情報は、それぞれ別の記録媒体で記憶されていてもよい。例えば、検査内容情報と、部品位置情報とは、それぞれ別の記録媒体で記憶されていてもよい。
【0022】
第1の特定部13は、学習済みの第1の学習モデルに撮影画像を適用することによって、撮影画像における部品が装着されている領域である部品領域と、その部品の種類とを特定する。第1の学習モデルについては後述する。例えば、第1の特定部13によって、部品領域と部品の種類との1以上の組が特定されてもよい。撮影画像に複数の部品が含まれる場合には、各部品について、部品領域と、部品の種類との組が特定されることが好適である。
【0023】
なお、撮影画像は、2次元の画像であるため、基板上の配線や、スルーホール、シルク印刷された内容などを部品と誤認識する可能性もあり得る。そのような誤認識を回避するため、第1の特定部13は、部品位置情報によって示される部品の装着位置に対応する部品領域のみを特定してもよい。より具体的には、第1の特定部13は、撮影画像を第1の学習モデルに適用することによって特定した部品領域のうち、部品位置情報によって示される部品の装着位置に対応していない部品領域を、特定結果から除外するようにしてもよい。装着位置が基板上の部品の中心位置を示す情報である場合には、部品位置情報によって示される部品の装着位置に対応していない部品領域とは、例えば、部品位置情報に含まれる装着位置が領域内に存在しない部品領域であってもよい。なお、部品領域の特定などにおいて発生し得る誤差を補償するため、第1の特定部13は、例えば、部品領域を拡張した領域内に装着位置が存在しない場合に、その部品領域を特定結果から除外してもよい。拡張の程度は、発生し得る誤差に応じた程度であることが好適であり、あらかじめ決まっていてもよい。
【0024】
第2の特定部14は、学習済みの第2の学習モデルに、撮影画像における部品領域に対応する画像である部品領域画像を適用することによって、その部品領域における検査対象の領域である検査対象領域を検査対象ごとに特定する。第2の特定部14は、例えば、撮影画像をトリミングすることによって、部品領域に対応する部品領域画像を取得してもよい。第2の学習モデルについては後述する。例えば、第2の特定部14によって、検査対象と検査対象領域との1以上の組が特定されてもよい。撮影画像において、複数の部品領域が特定された場合には、各部品領域について、検査対象ごとの検査対象領域が特定されることが好適である。また、1個の部品領域に2以上の検査対象が含まれている場合には、各検査対象について、検査対象領域が特定されることが好適である。
【0025】
部品領域画像は、例えば、撮影画像における部品領域の画像であってもよく、撮影画像における部品領域を拡張した領域の画像であってもよい。後者の場合には、部品領域画像は、部品領域よりも広い範囲の画像となり、第2の特定部14は、その部品領域画像を第2の学習モデルに適用してもよい。例えば、部品領域の特定などにおいて発生し得る誤差のために、第1の特定部13によって特定された部品領域に部品の一部が含まれていない可能性がある場合には、撮影画像における部品領域が拡張された領域の画像である部品領域画像が第2の学習モデルに適用されることが好適である。拡張の程度は、例えば、拡張後の領域に部品の全体が含まれるようになる最低限の程度、すなわち発生し得る誤差を補償する程度に設定されることが好適であり、あらかじめ決まっていてもよい。
【0026】
第2の特定部14は、例えば、第1の特定部13によって特定された部品の種類ごとに異なる第2の学習モデルを用いてもよく、または、第1の特定部13によって特定されたすべての部品の種類について、同じ第2の学習モデルを用いてもよい。前者の場合には、第2の特定部14は、ある部品領域画像を第2の学習モデルに適用する際に、その部品領域画像を、その部品領域画像に対応する部品の種類に応じた第2の学習モデルに適用してもよい。
【0027】
なお、第2の学習モデルを用いて直接、特定されるのは、部品領域画像において特定された検査対象領域の位置であるが、撮影画像と部品領域画像との位置関係は既知であるため、第2の特定部14は、部品領域画像において検査対象領域の位置を示す情報を、撮影画像において検査対象領域の位置を示す情報に変換することができる。したがって、第2の特定部14は、例えば、最終的に撮影画像における検査対象領域の位置を特定してもよい。
【0028】
第1及び第2の学習モデルは、例えば、ニューラルネットワークを用いた教師ありの機械学習モデルであってもよい。そのニューラルネットワークは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)であってもよく、その他のニューラルネットワークであってもよい。また、第1及び第2の学習モデルは、一例として、物体検出用の学習モデルであってもよい。第1の学習モデルが物体検出用の学習モデルである場合には、第1の学習モデルに撮影画像を適用することによって、領域を示す情報(例えば、バウンディングボックスなど)と、物体の検出結果との1以上の組が取得されてもよい。その領域を示す情報によって示されるのが部品領域であり、物体の検出結果が部品の種類であってもよい。第2の学習モデルが物体検出用の学習モデルである場合には、第2の学習モデルに部品領域画像を適用することによって、領域を示す情報(例えば、バウンディングボックスなど)と、物体の検出結果との1以上の組が取得されてもよい。その領域を示す情報によって示されるのが検査対象領域であり、物体の検出結果が検査対象であってもよい。物体検出用の学習モデルは公知であるため、その詳細な説明を省略する。物体検出用の学習モデルは特に限定されないが、例えば、R-CNN(Region Based Convolutional Neural Networks)や、R-CNNから派生したFast R-CNNなどであってもよく、YOLO(You Only Look Once)であってもよく、SSD(Single Shot MultiBox Detector)であってもよく、その他の物体検出用の学習モデルであってもよい。
【0029】
第1の学習モデルは、部品の画像である訓練用入力情報と、部品の種類である訓練用出力情報との組である複数の訓練用情報を用いて学習されてもよい。この学習によって、学習済みの第1の学習モデルを生成することができる。部品の画像は、例えば、基板を撮影した画像において、部品の領域をトリミングした画像であってもよい。
【0030】
第2の学習モデルは、検査対象の画像である訓練用入力情報と、検査対象である訓練用出力情報との組である複数の訓練用情報を用いて学習されてもよい。この学習によって、学習済みの第2の学習モデルを生成することができる。なお、部品の種類ごとに異なる第2の学習モデルが用いられる場合には、第2の学習モデルの学習は、部品の種類ごとに用意された複数の訓練用情報を用いて、部品の種類ごとに行われてもよい。一方、すべての部品の種類について1つの学習モデルが用いられる場合には、第2の学習モデルの学習は、すべての部品の種類について用意された複数の訓練用情報を用いて行われてもよい。検査対象の画像は、例えば、基板を撮影した画像において、部品の検査対象の領域をトリミングした画像であってもよい。
【0031】
なお、第1の学習モデルに適用される撮影画像や、第2の学習モデルに適用される部品領域画像は、リサイズされた画像であってもよい。学習モデルに適用する画像のサイズについては、好適なサイズが決まっていることもあるため、このようなリサイズ後の画像が学習モデルに適用されてもよい。なお、リサイズされた画像が用いられる場合に、例えば、部品領域や検査対象領域などは、ある座標系において各領域の位置が示されてもよい。その座標系は、一例として、オリジナルの撮影画像における座標系であってもよい。
【0032】
第3の特定部15は、部品領域画像の少なくとも一部を用いて、第1の特定部13によって特定された部品の種類より細かい部品の種類を特定してもよい。第3の特定部15は、例えば、第1の特定部13によって特定された部品領域画像の全体を用いてもよく、または、一部を用いてもよい。部品領域画像の一部を用いる場合には、例えば、部品領域画像のうち、第2の特定部14によって特定された、あらかじめ決められた検査対象に対応する検査対象領域の画像を用いてもよい。一例として、検査対象「ボディ」の検査対象領域の画像を用いて、より細かい部品の種類が特定されてもよい。画像を用いて部品の種類を特定するとは、例えば、画像の属性を用いて部品の種類を特定することであってもよい。画像の属性は、例えば、画像の色に関する属性であってもよく、サイズに関する属性であってもよく、画像に関するその他の属性であってもよい。画像の色に関する属性を用いる場合には、色と部品の種類とがあらかじめ対応付けられており、第3の特定部15は、部品領域画像の少なくとも一部の色に応じたより細かい部品の種類を特定してもよい。画像のサイズに関する属性を用いる場合には、サイズと部品の種類とがあらかじめ対応付けられており、第3の特定部15は、部品領域画像の少なくとも一部のサイズに応じたより細かい部品の種類を特定してもよい。第3の特定部15による細かい部品の種類の特定は、例えば、第1の特定部13によって特定された、あらかじめ決められた部品の種類についてのみ行われてもよい。具体的には、第3の特定部15は、部品の種類「チップ抵抗」に対応する部品領域画像において特定された検査対象「ボディ」に対応する検査対象領域の画像の色が茶色に近い場合には、その部品領域画像に対応するより細かい部品の種類「茶色チップ抵抗」を特定し、その検査対象領域の画像の色が青色に近い場合には、その部品領域画像に対応するより細かい部品の種類「青色チップ抵抗」を特定してもよい。
【0033】
受付部16は、外観検査に関する設定の変更を受け付けてもよい。外観検査に関する設定の変更と共に、その設定の変更を行う検査対象領域を指定する情報も受け付けられてもよい。外観検査に関する設定の変更は、一例として、外観検査で用いる閾値などの設定値の変更であってもよく、その他の設定内容の変更であってもよい。
【0034】
受付部16は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された情報を受け付けてもよく、有線または無線の通信回線を介して送信された情報を受信してもよい。なお、受付部16は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、入力デバイスや通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、受付部16は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0035】
設定部17は、撮影画像において特定された検査対象領域ごとに、その検査対象領域に対応する部品の種類と検査対象とに対応する外観検査の内容を用いて、その検査対象領域の外観検査に関する設定を行う。なお、第3の特定部15によって、より細かい部品の種類が特定された場合には、設定部17は、その第3の特定部15によって特定された部品の種類を用いて、外観検査に関する設定を行ってもよい。検査対象領域に対応する部品の種類とは、検査対象領域が特定された部品領域画像に対応する部品の種類である。部品領域画像に対応する部品の種類とは、例えば、その部品領域画像に対応する部品領域と同じ組に含まれる部品の種類であってもよい。また、検査対象領域に対応する検査対象とは、例えば、その検査対象領域と同じ組に含まれる検査対象であってもよい。外観検査に関する設定は、例えば、検査対象領域ごとに検査内容を設定することによって行われてもよい。設定部17は、例えば、ある検査対象領域に対応する部品の種類、及び検査対象を特定し、その特定した部品の種類、及び検査対象に対応する外観検査内容情報を、記憶部12で記憶されている検査内容情報を用いて特定し、その検査対象領域について、その外観検査内容情報を外観検査の内容として設定してもよい。設定部17は、このような設定を、各検査対象領域について行ってもよい。また、設定部17による外観検査に関する設定は、部品ごとに行われていてもよい。この場合には、例えば、外観検査に関する設定である検査対象領域と外観検査内容情報との組が、部品ごとに管理されていてもよい。検査対象領域と外観検査内容情報との組が、部品ごとに管理されているとは、例えば、検査対象領域と外観検査内容情報との組が、部品ごとにグループ化されていることであってもよい。
【0036】
また、設定部17は、例えば、外観検査に関する設定に対応する部品について、記憶部12で記憶されている部品位置情報を用いて、その部品を識別する部品識別子を特定し、同じ部品識別子に対応する部品をグループ化してもよい。外観検査に関する設定に対応する部品の部品識別子は、例えば、その外観検査に関する設定である外観検査領域と外観検査内容情報との組に含まれる外観検査領域に対応する部品識別子であってもよい。検査対象領域に対応する部品識別子は、例えば、検査対象領域が含まれる部品領域の領域内に装着位置が存在する部品の部品識別子であってもよい。このグループ化は、部品に関するグループ化であるが、部品と外観検査に関する設定とは対応付けられているため、外観検査に関する設定のグループ化であると考えてもよい。グループ化は、例えば、同じグループに属する部品に、同じグループ識別子を付与することによって行われてもよく、同じグループに属する部品に対応する外観検査に関する設定に、同じグループ識別子を付与することによって行われてもよく、同じグループに属する部品に対応する外観検査に関する設定を識別する識別子が、同じ集合に含まれるようにその識別子をグルーピングすることによって行われてもよい。
【0037】
また、設定部17は、受付部16によって、外観検査に関する設定の変更が受け付けられた場合に、その受け付けられた設定の変更に応じた変更を行ってもよい。例えば、検査対象領域を指定する情報と、その検査対象領域に関する検査内容の変更内容が受け付けられた場合に、設定部17は、その検査対象領域を指定する情報によって示される検査対象領域に対応する検査内容を、受け付けられた変更内容に応じて変更してもよい。検査内容は、例えば、外観検査内容情報であってもよい。なお、設定部17は、受け付けられた設定の変更に応じて外観検査に関する設定を変更する際に、同じグループに属する部品に対応する同じ検査内容については同様の変更を行ってもよい。すなわち、受け付けられた設定の変更に応じて、ある部品に対応する検査内容を変更する際に、その部品がグループ化されている場合には、設定部17は、その同じグループに属する部品に対応する、受け付けられた変更対象の検査内容と同じ検査内容についても、同様の変更を行ってもよい。このようにすることで、同じグループに属する部品に対応する同じ検査内容については、一括した変更が可能になる。例えば、基板に同じ部品識別子で識別される2個のチップコンデンサが含まれており、その一方のチップコンデンサの検査対象「はんだ」の1個の検査対象領域に対応する外観検査内容情報について、設定の変更が受け付けられた場合には、設定部17は、その2個のチップコンデンサの検査対象「はんだ」のすべての検査対象領域に対応する外観検査内容情報を、受け付けられた設定の変更に応じて同様に変更してもよい。なお、設定部17において、外観検査に関する自動設定と、受け付けられた設定の変更に応じた手動設定とは異なる構成において行われてもよい。この場合には、設定部17は、例えば、外観検査に関する自動設定を行う第1の設定部と、外観検査に関する手動設定を行う第2の設定部とを有していてもよい。
【0038】
出力部18は、検査対象領域ごとの外観検査に関する設定を示す情報を出力してもよい。ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、出力部18は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスや通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部18は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0039】
次に、基板検査設定装置1の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)撮影画像取得部11は、基板の撮影画像を取得したかどうか判断する。そして、撮影画像を取得した場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS108に進む。なお、撮影画像取得部11が撮影を行う場合には、例えば、撮影の指示が受け付けられた際に、基板を撮影することによって撮影画像を取得して、撮影画像を取得したと判断してもよい。また、他の装置において撮影が行われる場合には、例えば、他の装置から送信された撮影画像を受け付けた際に、撮影画像を取得したと判断してもよい。なお、撮影画像は、所定の記録媒体で一時的に記憶されてもよい。
【0040】
(ステップS102)第1の特定部13は、撮影画像を第1の学習モデルに適用することによって、部品領域と部品の種類との1以上の組を特定する。
【0041】
(ステップS103)第2の特定部14は、ステップS102で特定された各部品領域について、部品領域に対応する部品領域画像を第2の学習モデルに適用することによって、検査対象領域と検査対象との1以上の組を特定する。
【0042】
(ステップS104)第3の特定部15は、ステップS102で特定された部品領域に対応する部品領域画像の少なくとも一部を用いて、その部品領域に対応する部品の種類より細かい部品の種類を特定する。このより細かい部品の種類の特定は、例えば、所定の部品の種類についてのみ行われてもよい。したがって、その所定の部品の種類がステップS102で特定されなかった場合には、このステップの処理は行われなくてもよい。
【0043】
(ステップS105)設定部17は、特定された各検査対象領域について、検査対象領域に対応する部品の種類及び検査対象に対応する外観検査の内容を用いて、その検査対象領域の外観検査に関する設定を行う。
【0044】
(ステップS106)設定部17は、外観検査に関する設定に対応する部品について、同じ部品識別子に対応する部品をグループ化する。
【0045】
(ステップS107)出力部18は、設定部17によって設定された、検査対象領域ごとの設定内容を示す情報を出力する。そして、ステップS101に戻る。
【0046】
(ステップS108)受付部16は、外観検査の設定の変更を受け付けたかどうか判断する。そして、設定の変更を受け付けた場合には、ステップS109に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。
【0047】
(ステップS109)設定部17は、変更対象の検査対象領域について、ステップS108で受け付けられた外観検査の設定の変更を行う。
【0048】
(ステップS110)設定部17は、ステップS109で設定の変更を行った外観検査に関する設定に対応する部品がグループ化されているかどうか判断する。そして、グループ化されている場合には、ステップS111に進み、そうでない場合には、ステップS112に進む。
【0049】
(ステップS111)設定部17は、ステップS109で設定の変更を行った外観検査に関する設定に対応する部品と同じグループに属する部品に対応する、変更対象と同じ検査内容についても、ステップS109で行った変更と同様の変更を行う。
【0050】
(ステップS112)出力部18は、設定の変更後の検査対象領域ごとの設定内容を示す情報を出力する。そして、ステップS101に戻る。
なお、図2のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。また、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0051】
次に、本実施の形態による基板検査設定装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例において、図3で示される検査内容情報が記憶部12で記憶されているものとする。図3で示される検査内容情報は、部品の種類と、検査対象と、その部品の種類、及びその検査対象に対応する外観検査の内容を示す外観検査内容情報とを対応付ける情報である。例えば、1番目のレコードによって、部品の種類「IC」における検査対象「ボディ」の外観検査の内容が「検査内容001」によって示されることが分かる。なお、例えば、部品の種類「茶色チップ抵抗」の検査対象「はんだ」に対応する外観検査内容情報、及び部品の種類「青色チップ抵抗」の検査対象「はんだ」に対応する外観検査内容情報のように、異なる部品の種類の検査対象について、同じ外観検査内容情報が対応付けられていてもよい。
【0052】
また、この具体例では、図4で示される部品位置情報が記憶部12で記憶されているものとする。図4で示される部品位置情報は、部品識別子と、その部品識別子で識別される部品の装着位置とを対応付ける情報である。装着位置は、基板の座標系における位置を示す座標値である。例えば、1番目のレコードによって、部品識別子「IC101」で識別される部品が、基板の(X11,Y11)の位置に装着されることが示されている。
【0053】
まず、作業者が良品基板を用意し、その良品基板の撮影画像を基板検査装置において撮影し、その撮影画像を基板検査設定装置1に入力したとする。すると、その撮影画像は、撮影画像取得部11によって受け付けられ、第1から第3の特定部13,14,15にそれぞれ渡される(ステップS101)。図5Aは、その撮影画像P1を示す図である。第1の特定部13は、撮影画像P1を受け取ると、第1の学習モデルに撮影画像P1を適用することによって、図5Bで示される部品領域A1~A5と、部品領域ごとの部品の種類とを特定する。なお、部品領域A1~A5は、例えば、それぞれ撮影画像P1における各部品領域の位置を示す情報であってもよい。また、図5Bでは、説明の便宜上、各部品よりも少し広い領域を部品領域として示しているが、実際には、各部品領域は、部品の外縁に沿った矩形状の領域であってもよい。部品領域の位置を示す情報は、一例として、矩形状の部品領域の対角の2個の頂点の座標値であってもよい。ここでは、部品領域A1~A5に対応する部品の種類はそれぞれ、「IC」「チップ抵抗」「チップ抵抗」「チップコンデンサ」「電解コンデンサ」であったとする。
【0054】
また、第1の特定部13は、第1の学習モデルを用いて特定した各部品領域A1~A5の領域内に、図4で示される部品位置情報に含まれるいずれかの装着位置が存在するかどうか判断する。ここで、図4で示される部品位置情報に含まれる各装着位置を撮影画像P1においてプロットすると、図5Cのようになるものとする。図5B図5Cから分かるように、部品領域A5の領域内に含まれる装着位置は存在しないため、第1の特定部13は、部品領域A5を除外した部品領域A1~A4と、それらに対応する部品の種類とを、特定結果として第2の特定部14に渡す(ステップS102)。
【0055】
部品領域A1~A4と、それらに対応する部品の種類とを受け取ると、第2の特定部14は、まず、撮影画像P1から部品領域A1に対応する部品領域画像を取得し、その部品領域画像を第2の学習モデルに適用することによって、検査対象ごとの検査対象領域を特定する。その特定結果は、例えば、図6(a)で示される、検査対象「ボディ」に対応する検査対象領域A1-1と、検査対象「リード」に対応する検査対象領域A1-2,A1-3と、検査対象「はんだ」に対応する検査対象領域A1-4~A1-15であってもよい。なお、図6(a)では、説明の便宜上、各検査対象よりも少し広い領域を検査対象領域として示しているが、実際には、各検査対象領域は、検査対象の外縁に沿った領域であってもよい。図6(b)についても同様であるとする。また、第2の特定部14は、検査対象領域A1-1~A1-15のそれぞれについて、部品領域画像における領域を示す情報から、撮影画像における領域を示す情報に変換するものとする。他の検査対象領域についても同様であるとする。
【0056】
次に、第2の特定部14は、撮影画像P1から部品領域A2に対応する部品領域画像を取得し、その部品領域画像を第2の学習モデルに適用することによって、検査対象ごとの検査対象領域を特定する。その特定結果は、例えば、図6(b)で示される、検査対象「ボディ」に対応する検査対象領域A2-1と、検査対象「はんだ」に対応する検査対象領域A2-2,A2-3であってもよい。同様にして、第2の特定部14は、部品領域A3,A4に対応する検査対象と、検査対象領域との各組も特定する(ステップS103)。そして、第2の特定部14は、特定された部品領域ごとに、部品領域と、その部品領域に対応する部品の種類と、その部品領域において特定された検査対象及び検査対象領域の各組とを設定部17に渡すと共に、特定された部品領域ごとに、部品領域と、その部品領域に対応する部品の種類と、その部品領域において特定された検査対象「ボディ」に対応する検査対象領域とを第3の特定部15に渡す。
【0057】
本具体例では、第3の特定部15によって、部品の種類「チップ抵抗」について、検査対象「ボディ」に対応する検査対象領域の画像の色を用いて、より細かい部品の種類「茶色チップ抵抗」または「青色チップ抵抗」が特定されるものとする。具体的には、第3の特定部15は、第1の特定部13から受け取った撮影画像P1を用いて、第2の特定部14から受け取った部品の種類のうち、部品の種類「チップ抵抗」の検査対象「ボディ」に対応する2個の検査対象領域の画像を取得し、その取得した画像の色に基づいて、その2個の検査対象領域に対応する、より細かい部品の種類「茶色チップ抵抗」を特定したとする(ステップS104)。すると、第3の特定部15は、部品領域と、その部品領域に対応するより細かい部品の種類「茶色チップ抵抗」とを設定部17に渡す。
【0058】
設定部17は、第2及び第3の特定部14,15からそれぞれ情報を受け取ると、第2の特定部14から受け取った部品の種類を、その部品の種類に対応する第3の特定部15から受け取った部品の種類で上書きする。すなわち、部品の領域A2,A3に対応する部品の種類「チップ抵抗」が「茶色チップ抵抗」に変更されることになる。このようにして、設定部17は、部品領域ごとに、部品領域と、その部品領域に対応する部品の種類と、その部品領域において特定された検査対象と検査対象領域との各組とを特定することができる。そして、設定部17は、検査対象領域ごとに、検査対象領域に対応する部品の種類と、検査対象とを特定し、図3で示される検査内容情報を用いて、その特定した部品の種類と検査対象とに対応する外観検査内容情報を特定する。その結果、設定部17は、部品領域と、その部品領域に対応する部品の種類と、その部品領域において特定された検査対象と検査対象領域と外観検査内容情報との各組とを特定することができる(ステップS105)。この特定結果が、検査対象領域ごとの外観検査に関する設定の結果である。
【0059】
また、設定部17は、図4の部品位置情報を用いて、各部品領域に対応する部品識別子を特定し、同じ部品識別子に対応する部品をグループ化する。この具体例では、部品領域A2,A3に対応する部品識別子が同じであるため、設定部17は、部品領域A2と、部品領域A3とにグループ識別子「G001」を付与することによってグループ化を行う(ステップS106)。そして、設定部17は、グループ化後の検査対象領域ごとの外観検査に関する設定結果を出力部18に渡す。すると、出力部18は、その設定結果を出力する(ステップS107)。例えば、出力部18は、その設定結果を記憶部12に蓄積してもよく、基板検査装置に送信してもよく、ディスプレイに表示してもよい。例えば、設定結果が表示された場合には、作業者は、基板検査設定装置1によって自動的に行われた外観検査に関する設定内容について確認することができる。なお、部品領域と部品とは一対一に対応しているため、部品領域にグループ識別子を付与することは、部品にグループ識別子を付与することであると考えてもよい。
【0060】
出力された設定結果は、例えば、図7で示されるものであってもよい。なお、図7で示される設定結果では、部品領域と、部品の種類と、検査対象と、検査対象領域と、外観検査内容情報と、グループ識別子とが対応付けられているが、設定結果は、例えば、検査対象領域と、外観検査内容情報と、グループ識別子とを対応付ける情報であってもよい。この場合であっても、1個の部品に対応する検査対象領域と外観検査内容情報との組を特定できるようになっていてもよい。図7で示される設定結果では、例えば、検査対象領域A1-1に対応する外観検査内容情報が「検査内容001」であることが示されている。したがって、基板検査装置では、例えば、被検査基板の撮影画像における検査対象領域A1-1について、「検査内容001」を用いた外観検査が行われてもよい。なお、良品基板ではない基板の撮影画像を用いて外観検査に関する設定が行われた場合には、その設定結果について、検査者等による検査が行われてもよい。その検査の際に、適宜、基板の撮影画像も参照されてもよい。そして、不適切な点があれば、例えば、手作業で修正されてもよい。
【0061】
その後、作業者が、検査対象領域A2-2に対応する閾値の設定の変更内容を入力したとする。すると、その変更内容は、受付部16で受け付けられ、設定部17に渡される(ステップS108)。そして、設定部17は、受け取った変更内容に応じて、検査対象領域A2-2に対応する検査内容を示す外観検査内容情報「検査内容005」を変更する(ステップS109)。また、変更対象の外観検査内容情報「検査内容005」に対応する部品領域A2には、グループ識別子「G001」が対応付けられているため、設定部17は、同じグループ識別子「G001」が対応付けられている部品領域A3に対応する、同じ検査内容を示す外観検査内容情報「検査内容005」も同様に変更する(ステップS110,S111)。その結果、検査対象領域A2-3,A3-2,A3-3に対応する外観検査内容情報「検査内容005」も、同様の変更が行われることになる。そして、設定部17は、変更後の検査対象領域ごとの外観検査に関する設定結果を出力部18に渡す。すると、出力部18は、その設定結果を出力する(ステップS112)。このようにして、同じグループに属する検査対象領域に対応する変更対象と同じ設定については、一括して変更を行うことができるようになる。なお、例えば、部品領域A2について、新たな検査対象領域と、それに対応する外観検査内容情報とが受け付けられた場合には、設定部17は、その外観検査に関する設定を追加すると共に、部品領域A2と同じグループに属する部品領域A3についても、部品領域A2について追加した設定と同様の設定を追加してもよい。この場合に、部品領域A2と、新たな検査対象領域との位置関係が、部品領域A3と、新たな検査対象領域との位置関係となるように、部品領域A3に対応する新たな検査対象領域が追加されてもよい。
【0062】
以上のように、本実施の形態による基板検査設定装置1によれば、第1及び第2の学習モデルを用いることによって、2次元の撮影画像に基づいて、基板の外観検査に関する自動的な設定を行うことができる。そのため、3次元の撮影画像を用いる場合と比較して、撮影画像を取得するための構成を小型化することができ、また、より安価に外観検査に関する設定を行うことができるようになる。また、自動的に外観検査に関する設定を行うことができるため、新たな基板に関する生産立ち上げまでの時間を短縮することができる。さらに、基板の外観検査の設定漏れが発生したり、不適切な検査内容が設定されたりすることを防止できると共に、その検査の設定を行う作業者の負担が軽減されることになる。また、1個の学習モデルによって検査対象領域を特定する場合には、仮に、学習モデルの精度が低いときに、訓練用情報の量を増やすことしかできず、精度を向上させるためのコストが大きくなる。学習モデルの中身はブラックボックスであり、何が原因で精度が低いのかについては、通常、わからないからである。一方、部品領域の特定と、検査対象領域の特定とをそれぞれ別の学習モデルを用いて行う場合には、2個の学習モデルのうち、精度の低い学習モデルを特定することができ、例えば、第1の学習モデルの精度が低いのであれば、第1の学習モデルについてのみ訓練用情報を増やせばよいことになる。したがって、精度の低い学習モデルのみを適切に改善することができるようになり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0063】
また、第3の特定部15によって、より細かい部品の種類を特定することによって、第1の学習モデルの学習で用いる訓練用情報の量を増加させることなく、より細かい部品の種類を特定することができるようになる。また、第1の特定部13が、部品位置情報を用いて、部品の装着位置に対応する部品領域のみを特定することによって、部品領域の特定の精度を向上させることができる。また、撮影画像における部品領域を拡張した領域の画像である部品領域画像を第2の学習モデルに適用することによって、例えば、部品領域の特定時に発生し得る誤差を補償した検査対象領域の特定が可能となり、より精度の高い検査対象領域の特定を実現することができる。
【0064】
また、外観検査に関する設定に対応する部品について、部品位置情報を用いて、同じ部品識別子に対応する部品をグループ化し、あるグループに属する1つの部品について外観検査に関する設定が変更された際に、そのグループに属する部品に対応する、変更対象と同じ検査内容についても同じ変更を行うことによって、グループ単位での一括した設定の変更を行うことができるようになり、外観検査に関する設定を1つずつ変更する場合と比較して、作業者の負担が軽減されることになる。
【0065】
なお、本実施の形態において、第1の特定部13は、撮影画像をリサイズした1以上のリサイズ後の撮影画像を取得し、リサイズ後の撮影画像を少なくとも含む複数の撮影画像を第1の学習モデルに適用することによって、その複数の撮影画像のそれぞれについて、部品領域と部品の種類とを特定すると共に、部品領域ごとのスコアを取得してもよい。この場合には、第1の特定部13は、一例として、あらかじめ決められた縮小率で撮影画像を縮小することによって、1以上のリサイズ後の撮影画像を取得してもよい。また、第1の学習モデルに適用される複数の撮影画像は、例えば、撮影画像取得部11によって取得された撮影画像と、リサイズ後の撮影画像とを含んでいてもよく、リサイズ後の複数の撮影画像を含んでいてもよい。また、スコアは、例えば、第1の学習モデルを用いた部品領域と部品の種類との組の特定に関する確信度であってもよい。また、第1の特定部13は、撮影画像に含まれる各部品について、そのスコアに基づいて最終的な部品領域を取得してもよい。第1の特定部13は、一例として、撮影画像に含まれるある部品について、部品領域とスコアとの複数の組を特定し、最も高いスコアに対応する部品領域を、最終的な部品領域としてもよい。最終的な部品領域とは、第2の学習モデルに適用される部品領域画像に対応する部品領域のことであってもよい。第1の特定部13は、例えば、撮影画像や、リサイズ後の撮影画像において特定された部品領域のうち、部品位置情報に含まれる同じ装着位置に対応する部品領域を、同じ部品に対応する部品領域としてもよい。また、第1の特定部13は、撮影画像に含まれる他の部品についても、同様な処理を行ってもよい。この処理は部品ごとに行われるため、例えば、部品ごとに、最終的な部品領域の特定に用いられた撮影画像またはリサイズ後の撮影画像のサイズが異なっていてもよい。一例として、撮影画像に含まれる第1の部品については、撮影画像取得部11によって取得された撮影画像そのものを用いて特定された部品領域が最終的な部品領域となり、撮影画像に含まれる第2の部品については、1/3に縮小されたリサイズ後の撮影画像を用いて特定された部品領域が最終的な部品領域となってもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、基板検査設定装置1が第3の特定部15を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。より細かい部品の種類の特定を行わない場合には、基板検査設定装置1は、第3の特定部15を備えていなくてもよい。また、本実施の形態では、基板検査設定装置1が受付部16を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。基板の外観検査に関する設定の変更を受け付けない場合には、基板検査設定装置1は、受付部16を備えていなくてもよい。この場合には、一例として、基板検査設定装置1以外の装置において、基板の外観検査に関する設定の変更が行われてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、基板検査設定装置1がスタンドアロンである場合について説明したが、基板検査設定装置1は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、通信回線を介して入力を受け付けたり、情報を出力したりしてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0071】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、基板検査設定装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
【0073】
また、上記実施の形態で説明した各構成要素のうち、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、磁気ディスクや半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。
【0074】
また、以上の実施の形態は、本発明を具体的に実施するための例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲及び均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
1 基板検査設定装置
11 撮影画像取得部
12 記憶部
13 第1の特定部
14 第2の特定部
15 第3の特定部
16 受付部
17 設定部
18 出力部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7