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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109482
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
A61B5/022 300Z
A61B5/022 300F
A61B5/022 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014294
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅規
(72)【発明者】
【氏名】ブリガム ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】佐野 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】東狐 義秀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 元
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA12
4C017AA19
4C017AB02
4C017AC04
4C017AD14
4C017EE15
4C017FF08
(57)【要約】
【課題】カフ及びバンドの相対的な位置を容易に調整できるとともに、カフの幅方向におけるずれを防止できる血圧測定装置を提供すること。
【解決手段】血圧測定装置1は、装置本体3と、装置本体3に設けられ、生体30を押圧する第1カフ4と、第1カフ4の外面側に設けられ、生体300に巻き付けられるバンド6と、第1カフ4及びバンド6の幅方向の相対的な移動を規制し、且つ、第1カフ4及びバンド6の長手方向の相対的な移動が可能な規制部材7と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に設けられ、生体を押圧する第1カフと、
前記第1カフの外面側に設けられ、前記生体に巻き付けられるバンドと、
前記第1カフ及び前記バンドの幅方向の相対的な移動を規制し、且つ、前記第1カフ及び前記バンドの長手方向の相対的な移動が可能な規制部材と、
を備える、血圧測定装置。
【請求項2】
前記規制部材は、
前記第1カフの前記装置本体側に固定され、前記第1カフの先端側と離間可能なシートと、
前記シート及び前記第1カフの対向する一部に設けられ、前記シート及び前記第1カフを固定する固定部材と、
前記バンドに設けられ、前記シートを挿入可能、且つ、前記シートの幅方向の移動を規制する第1規制部と、
を備える、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項3】
前記シート、前記固定部材及び前記第1規制部は、装着を想定した最小周長及び最大周長の前記生体に前記バンドを巻き付けたときに、前記第1規制部に前記シートを挿入し、前記シート及び前記第1カフを前記固定部材で固定できる長さ及び/又は位置に形成される、請求項2に記載の血圧測定装置。
【請求項4】
前記第1カフの外側で、前記第1カフとオーバーラップできる第2カフを備え、
前記規制部材は、前記第2カフと前記第1カフ及び前記バンドの少なくとも一方との幅方向の相対的な移動を規制する、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項5】
前記規制部材は、
前記第1カフの前記装置本体側に固定され、前記第1カフの先端側と離間可能なシートと、
前記シート及び前記第1カフの対向する一部に設けられた固定部材と、
前記バンドの内面に設けられ、前記シートを挿入可能、且つ、前記シートの幅方向の移動を規制する第1規制部と、
前記第2カフの内面に設けられ、前記シートを挿入可能、且つ、前記シートの幅方向の移動を規制する第2規制部と、
を備える、請求項4に記載の血圧測定装置。
【請求項6】
前記シート、前記固定部材、前記第1規制部及び前記第2規制部は、装着を想定した最小周長及び最大周長の前記生体に前記バンドを巻き付けたときに、前記第1規制部及び前記第2規制部に前記シートを挿入し、前記シート及び前記第1カフを前記固定部材で固定できる長さ及び/又は位置に形成される、請求項5に記載の血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療施設においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば、生体の手首等に巻き付けたカフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。
【0003】
また、血圧測定装置として、カフ部の両端部分を重ねたときに、端部がずれないように、カフの表面に面ファスナーを設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、血圧装置として、バンドをスライド移動させてバンド位置を調整した後に、カフに設けたピンをバンドの長穴に挿し込むことで、カフをバンドに配置する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/018029号公報
【特許文献2】国際公開第2022/111377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された血圧測定装置では、生体に血圧測定装置を装着した後にカフの巻付け強さを調整することが困難である。また、特許文献2に記載された血圧測定装置では、カフ裏にバンドを固定する構成であることから、バンドに対してカフが固定されるため、長手方向におけるカフ及びバンド相対的な位置関係を調整することができない、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、カフ及びバンドの相対的な位置を容易に調整できるとともに、カフの幅方向におけるずれを防止できる血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、装置本体と、前記装置本体に設けられ、生体を押圧する第1カフと、前記第1カフの外面側に設けられ、前記生体に巻き付けられるバンドと、前記第1カフ及び前記バンドの幅方向の相対的な移動を規制し、且つ、前記第1カフ及び前記バンドの長手方向の相対的な移動が可能な規制部材と、を備える、血圧測定装置が提供される。
【0008】
この態様によれば、規制部材がバンド及び第1カフの幅方向の相対的な移動を規制するとともに、第1カフ及びバンドの長手方向の相対的な移動を可能とする。血圧測定装置は、血圧測定装置を生体に装着するとき、及び、第1カフが膨張するときに、第1カフ及びバンドが幅方向にずれることがなく、また、長手方向における第1カフ及びバンドの相対的な位置を容易に調整することができる。このため、血圧測定装置は、第1カフの膨張によって生体を好適に圧迫することができるため、測定精度が良好となる。
【0009】
上記一態様の血圧測定装置であって、前記規制部材は、前記第1カフの前記装置本体側に固定され、前記第1カフの先端側と離間可能なシートと、前記シート及び前記第1カフの対向する一部に設けられ、前記シート及び前記第1カフを固定する固定部材と、前記バンドに設けられ、前記シートを挿入可能、且つ、前記シートの幅方向の移動を規制する第1規制部と、を備える。
【0010】
この態様によれば、血圧測定装置は、第1規制部に挿入されたシートと第1カフとを固定部材で固定することで、第1カフがバンドから離れる方向の移動を規制できる。
【0011】
上記一態様の血圧測定装置であって、前記シート、前記固定部材及び前記第1規制部は、装着を想定した最小周長及び最大周長の前記生体に前記バンドを巻き付けたときに、前記第1規制部に前記シートを挿入し、前記シート及び前記第1カフを前記固定部材で固定できる長さ及び/又は位置に形成される。
【0012】
この態様によれば、血圧測定装置は、装着が想定される生体に血圧測定装置を装着したとしても、第1規制部に挿入したシートを第1カフに固定できるため、装着が想定される生体において、高い測定精度で血圧測定が可能となる。
【0013】
上記一態様の血圧測定装置であって、前記第1カフの外側で、前記第1カフとオーバーラップできる第2カフを備え、前記規制部材は、前記第2カフと前記第1カフ及び前記バンドの少なくとも一方との幅方向の相対的な移動を規制する。
【0014】
この態様によれば、血圧測定装置は、血圧測定装置を生体に装着するとき、並びに、第1カフ及び第2カフが膨張するときに、第1カフ、第2カフ及びバンドが幅方向にずれることがなく、また、長手方向における第1カフ、第2カフ及びバンドの相対的な位置を容易に調整することができる。このため、血圧測定装置は、第1カフ及び第2カフの膨張によって生体を好適に圧迫することができるため、測定精度が良好となる。また、第1カフ及び第2カフがオーバーラップすることで、膨張したときに、オーバーラップした第1カフ及び第2カフにより、生体をより好適に圧迫できる。
【0015】
上記一態様の血圧測定装置であって、前記規制部材は、前記第1カフの前記装置本体側に固定され、前記第1カフの先端側と離間可能なシートと、前記シート及び前記第1カフの対向する一部に設けられた固定部材と、前記バンドの内面に設けられ、前記シートを挿入可能、且つ、前記シートの幅方向の移動を規制する第1規制部と、前記第2カフの内面に設けられ、前記シートを挿入可能、且つ、前記シートの幅方向の移動を規制する第2規制部と、を備える。
【0016】
この態様によれば、血圧測定装置は、装着が想定される生体に血圧測定装置を装着したとしても、第1規制部及び第2規制部に挿入したシートを第1カフに固定できるため、装着が想定される生体において、高い測定精度で血圧測定が可能となる。
【0017】
上記一態様の血圧測定装置は、前記シート、前記固定部材、前記第1規制部及び前記第2規制部は、装着を想定した最小周長及び最大周長の前記生体に前記バンドを巻き付けたときに、前記第1規制部及び前記第2規制部に前記シートを挿入し、前記シート及び前記第1カフを前記固定部材で固定できる長さ及び/又は位置に形成される。
【0018】
この態様によれば、血圧測定装置は、装着が想定される生体に血圧測定装置を装着したとしても、第1規制部及び第2規制部に挿入したシートを第1カフに固定できるため、装着が想定される生体において、高い測定精度で血圧測定が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カフ及びバンドの相対的な位置を容易に調整できるとともに、カフの幅方向におけるずれを防止できる血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図2】同血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図3】同血圧測定装置の構成を示す側面図。
図4】同血圧測定装置の構成を、手首に装着した状態で示す側面図。
図5】同血圧測定装置の構成を示すブロック図。
図6】同血圧測定装置の要部構成を示す断面図。
図7】同血圧測定装置の要部構成を装置本体の裏面側から示す平面図。
図8】同血圧測定装置の要部構成を、一部の構成を省略して装置本体の裏面側から示す平面図。
図9】同装置本体の構成を分解して示す斜視図。
図10】同装置本体の構成を分解して示す斜視図。
図11】同血圧測定装置の流体回路の一例を示すブロック図。
図12】同血圧測定装置の規制部材の構成を概略的に示す斜視図。
図13】同血圧測定装置の規制部材の構成を概略的に示す斜視図。
図14】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の要部構成を、装置本体の裏面側から示す平面図。
図15】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す側面図。
図16】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の要部構成を装置本体の裏面側から示す平面図。
図17】同血圧測定装置の流体回路の一例を示すブロック図。
図18】同血圧測定装置の流体回路の一例を示すブロック図。
図19】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の規制部材の構成を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、図1乃至図10を用いて以下説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を示す斜視図である。図2は、血圧測定装置1の構成を、規制部材7を露出させた状態で示す斜視図である。図3は、血圧測定装置1の構成を示す側面図であり、図4は、血圧測定装置1の構成を、手首300に装着した状態で示す側面図である。図5は、血圧測定装置1の構成を示すブロック図である。図6は、血圧測定装置1の装置本体3、第1カフ構造体4の一部及び第2カフ構造体5の一部の構成を示す断面図である。図7は、血圧測定装置1の装置本体3、第1カフ構造体4の一部及び第2カフ構造体5の一部の構成を示す平面図であり、うは、血圧測定装置1の装置本体3、第1カフ構造体4の一部及び第2カフ構造体5の一部の構成を、カフカバー33を省略して示す平面図である。
【0023】
図9は、装置本体3の構成を分解して上面側から示す斜視図であり、図10は、装置本体3の構成を分解して下面側から示す斜視図である。図11は、血圧測定装置1の流体回路24の一例を示すブロック図である。図12及び図13は、血圧測定装置1の規制部材7の構成を概略的に示す斜視図である。
【0024】
図1乃至図4に示すように、血圧測定装置1は、例えば、装置本体3と、第1カフ構造体(第1カフ)4と、第2カフ構造体5(第2カフ)と、バンド6と、規制部材7と、を備える。血圧測定装置1は、装置本体3から第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5が、装置本体3の相対する方向に延びるとともに、バンド6が第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を覆い、バンド6によって生体である手首300に固定可能に形成される。また、血圧測定装置1は、第1カフ構造体4及び/又は第2カフ構造体5及びバンド6の幅方向の相対的な移動を規制部材7により規制する。
【0025】
図1乃至図10に示すように、装置本体3は、例えば、筐体11と、表示部12と、操作部13と、ポンプ14と、加速度センサ15と、弁16と、圧力センサ17と、電池18と、通信部19と、生体センサ20と、充電回路部21と、メモリ22と、プロセッサ23と、流体回路24と、基板25と、を備える。
【0026】
筐体11は、装置本体3の構成要素を収容するケースである。筐体11は、例えば、表示部12、操作部13、ポンプ14、加速度センサ15、弁16、圧力センサ17、電池18、通信部19、生体センサ20、充電回路部21、メモリ22、プロセッサ23、流体回路24及び基板25を収容する。
【0027】
筐体11は、例えば、外郭ケース31と、外郭ケース31の上部開口を覆う風防32と、外郭ケース31の下方に設けられるカフカバー33と、を備えている。
【0028】
外郭ケース31は、有底筒状、例えば底部を有する円筒状、矩形筒状、又は多角形筒状等に形成される。本実施形態において、外郭ケース31は、有底矩形筒状に形成される例を示す。具体例として、外郭ケース31は、矩形筒状の周壁部31aと、周壁部31aに設けられた底部31bと、周壁部31aの四方の外周面のうち、一対の面に設けられた一対のループ部31cと、を有する。
【0029】
周壁部31aには、例えば、操作部13の一部が配置される開口31dが形成される。例えば、開口31dは、周壁部31aのうち、一対のループ部31cが設けられる二面とは異なる一面に形成される。また、例えば、開口31dは、周壁部31aの一面に2つ形成される。
【0030】
底部31bは、筐体11(外郭ケース31)の裏面(底部31b)を構成する。底部31bは、例えば、一部が手首300に接触可能に突出する。例えば、底部31bは、外面側の中央側が矩形状に突出し、そして、底部31bの内面側の中央側が矩形状に窪むことで形成される突出部31b1を有する。また、底部31bには、生体センサ20を配置する複数の窓部31b2と、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5とポンプ14とを流体的に接続する部材としての後述する接続部73、83を配置する複数の孔部31b3とが形成される。
【0031】
突出部31b1の内面側には、生体センサ20が配置される。突出部31b1は、筐体11の裏面に配置される生体センサ20及び充電端子214の少なくとも1つを含むセンサ部を構成する。ここで、筐体11の裏面に配置される生体センサ20及び充電端子214とは、生体センサ20を構成する部品の一部が筐体11の裏面に露出するか又は筐体11の裏面に第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5以外の部材(例えば、後述するカバー31b5)を介して配置されることを意味する。
【0032】
窓部31b2は、突出部31b1に形成される。窓部31b2は、例えば、図6乃至図8に示すように、突出部31b1の複数箇所に形成された複数の開口31b4と、これら開口31b4を覆う、ガラスや樹脂材料等の透光性を有するカバー31b5と、により形成される。カバー31b5は、例えば、突出部31b1の外面を覆う。
【0033】
図8に示すように、複数の孔部31b3は、底部31bのうち、突出部31b1と各ループ部31cとの間にそれぞれ形成される。本実施形態において、突出部31b1と一方のループ部31cとの間に、3つの孔部31b3が形成され、そして、突出部31b1と他方のループ部31cとの間に、3つの孔部31b3が形成される。これら3つの孔部31b3は、一方向、例えば、一対のループ部31cの対向方向に直交する方向に並ぶ。即ち、筐体11の裏面である底部31bは、一方向における一方の端部に第1カフ構造体4の一部構成が固定される3つの孔部31b3が、突出部31b1と離れた位置に配置され、そして、該一方向における他方の端部に第1カフ構造体4の他の一部の構成及び第2カフ構造体5が固定される3つの孔部31b3が、突出部31b1と該一方向で他方に離れて配置される。
【0034】
また、底部31bには、一方向に長いスリット状の通気口31b6が形成され、底部31bは、この通気口31b6を覆う防水透湿シート31b7を備える。防水透湿シート31b7は、底部31bの通気口31b6を介して外部から筐体11内へ水が浸入することを防止するとともに、筐体11内と外部とを通気可能に形成される。ここで、通気口31b6及び防水透湿シート31b7は、底部31bに固定される第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5と重ならない位置、即ち、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5と離れた位置に設けられる。例えば、一対のループ部31cの対向方向に直交する方向において、突出部31b1の一方側に隣接して第1カフ構造体4の後述する第1押圧カフ52の流路体72が設けられ、そして、突出部31b1の他方側に隣接して通気口31b6及び防水透湿シート31b7が設けられる。
【0035】
ループ部31cは、バンド6を通し、バンド6を固定又はバンド6を折り返すことが可能に形成される。例えば、ループ部31cは、バンド6を挿通可能な一方向に長い開口を有する矩形環状の部材である。ループ部31cは、外郭ケース31の外側面に一体に形成される。一対のループ部31cのうち、一方のループ部31cには、バンド6の一端が固定され、そして、他方のループ部31cには、バンド6が折り返される。
【0036】
風防32は、外郭ケース31の外周縁形状と同様の形状、本実施形態においては矩形状のガラス板である。なお、風防32は、透明又は透光性を有する材料であれば、ガラス板に限定されない。
【0037】
カフカバー33は、外郭ケース31の底部31bを覆う。カフカバー33には、底部31bの突出部31b1が配置され、外部に突出部31b1を露出させる開口33aが形成される。例えば、カフカバー33は、底部31bに固定されたときに、突出部31b1がカフカバー33の手首300と対向する主面から突出する厚さ及び形状に形成される。また、例えば、カフカバー33は、四隅に螺子が配置される孔33bが形成され、筐体11の外郭ケース31の底部31bに螺子等により着脱可能に固定される。
【0038】
カフカバー33は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の底部31bに配置される端部を覆い、底部31bとの間に生じる隙間に、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の端部を配置するとともに、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を底部31bに固定する。具体例として、カフカバー33は、後述する第1押圧カフ52の流路体72の一部及び接続部73、センシングカフ54の流路体82及び3つの接続部83、並びに、第2押圧カフ62の流路体92及び2つの接続部93を覆う。そして、カフカバー33は、第1押圧カフ52の一部、センシングカフ54及び第2押圧カフ62の覆った部位が底部31bから離れる方向の移動を規制することで、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を固定する。なお、カフカバー33は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5との間に、緩衝材を有する構成としても良い。
【0039】
表示部12は、風防32の直下に配置される。表示部12は、電気的にプロセッサ23に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。具体例として、表示部12は、OLED(Organic Light Emitting Diode)である。表示部12は、日時、最高血圧及び最低血圧などの血圧値、心拍数等の測定結果、電池18の充電状況や残量等の情報を含む各種情報を表示する。表示部12は、例えば、平面視で、風防32と同形状か、又は、風防32よりも若干小さい形状に形成される。
【0040】
操作部13は、ユーザからの指令を入力可能に構成される。操作部13は、例えば、筐体11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサと、表示部12又は風防32に設けられたタッチパネル43と、を備えている。操作部13は、ユーザが操作することで、指令を電気信号に変換する。センサ及びタッチパネル43は、電気的にプロセッサ23に接続され、操作に対応する電気信号をプロセッサ23へ出力する。
【0041】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、例えば流体としての空気を圧縮し、流体回路24を介して圧縮空気を第1カフ構造体4の後述する第1押圧カフ52の空気袋71及びセンシングカフ54の空気袋81、及び、第2カフ構造体5の後述する第2押圧カフ62の空気袋91に供給する。ポンプ14は、電気的にプロセッサ23に接続される。
【0042】
加速度センサ15は、例えば、3軸加速度センサである。加速度センサ15は、例えば、加速度を測定し、アナログ信号を出力する。加速度センサ15は、例えば、A/D変換回路を介して、プロセッサ23に接続される。
【0043】
弁16は、例えば、開閉弁である。弁16は、流体回路24のうちポンプ14と第1カフ構造体4及び/若しくは第2カフ構造体5とを接続する流体回路、並びに/又は、第1カフ構造体4と外部(大気)とを接続する流体回路を開閉する。弁16は、プロセッサ23に電気的に接続される。例えば、弁16は、プロセッサ23の制御によって開閉される。
【0044】
具体例として、弁16は、第1カフ構造体4の後述する第1押圧カフ52、第2押圧カフ62及びセンシングカフ54に供給された空気を大気に開放する安全用の弁である。弁16は、例えば、血圧測定時に第1押圧カフ52及びセンシングカフ54へ空気を供給するときにおいて、プロセッサ23に制御されることで閉状態に切り替えられる。また、弁16は、第1押圧カフ52及びセンシングカフ54を排気するときにおいて、プロセッサ23に制御されることで閉状態から開状態へ切り替えられる。また、弁16は、開度の調整が可能に形成されていてもよい。なお、弁16は、流体回路24上に設けられていても良く、また、ポンプ14の筐体の内部に一体的に設けられてもよい。
【0045】
圧力センサ17は、例えば、流体回路24に設けられる。圧力センサ17は、第1押圧カフ52及び/又はセンシングカフ54の圧力を検出する。例えば、圧力センサ17は、センシングカフ54の圧力を検出する。圧力センサ17は、例えば、A/D変換回路を介して、電気的にプロセッサ23に接続され、検出した圧力を電気信号に変換し、プロセッサ23へ出力する。
【0046】
電池18は、例えば、充放電可能なリチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電池18は、プロセッサ23に電気的に接続される。電池18は、プロセッサ23に電力を供給する。電池18は、プロセッサ23の各構成、並びに、プロセッサ23を介して表示部12、操作部13、ポンプ14、加速度センサ15、弁16、圧力センサ17、通信部19及び生体センサ20に、駆動用の電力を供給する。
【0047】
通信部19は、外部の装置と無線及び/又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部19は、例えば、無線通信の規格に準拠した無線通信モジュールである。通信部19は、例えば、プロセッサ23によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、外部の装置へ送信し、また、外部の装置からソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。本実施形態において、外部の装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等の外部端末である。
【0048】
本実施形態において、通信部19及び外部端末は、直接接続されてもよく、ネットワークを介して接続されてもよい。通信部19及び外部端末は、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimax、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信回線を介して接続されてもよい。また、通信部19及び外部の装置は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、NFC(Near Filed Communication)、赤外線通信といった無線通信手段により接続されてもよい。また、通信部19は、例えば、無線通信モジュールに加え、マイクロUSB(Universal Serial Bus)等の汎用コネクタや血圧測定装置1用の専用コネクタを有し、USBケーブル等の各種ケーブルにより、外部端末と、直接、又は、LAN(Local Area Network)接続といった有線通信回線を介して接続されてもよい。このため、通信部19は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数の通信手段を含む構成であってもよい。なお、有線通信用のコネクタは、血圧測定装置1用の専用のコネクタであってもよい。
【0049】
生体センサ20は、手首300と接触又は対向することで、生体の情報を検出可能に形成されたセンサである。生体センサ20は、検出した生体の情報を電気信号に変換し、プロセッサ23へ出力する。生体センサ20は、例えば、心拍数、体温等の物理量を計測するセンサであってもよく、また、血糖値や血中酸素濃度などの化学的な値を計測するセンサであってもよい。本実施形態において、生体センサ20は、例えば、PPGセンサ20a、SpO2センサ20b及びECGセンサ20cを備える。
【0050】
例えば、PPGセンサ20aは、光電式容積脈波記録法(Photoplethysmography)によって心拍数を測定する。例えば、PPGセンサ20aは、第1LED20dと、第2LED20eと、第1PD(Photodiode)20fと、を備える。
【0051】
例えば、SpO2センサ20bは、サチュレーション(経皮的動脈血酸素飽和度)を測定する。SpO2センサ20bは、第2LED20eと、第2PD20gと、を備える。ここで、例えば、PPGセンサ20a及びSpO2センサ20bは、第2LED20eを共有する。
【0052】
例えば、ECGセンサ20cは、心臓内の電気の流れを測定し、心電図波形を取得する。例えば、ECGセンサ20cは、一対の心電電極20c1を有する。
【0053】
充電回路部21は、例えば、アンテナ部211と、受電部212と、充電部213と、充電端子214と、を備える。充電回路部21は、ワイヤ給電及び/又はワイヤレス給電により電池18を充電する。例えば、充電回路部21は、アンテナ部211により外部に設けられる送電装置100のアンテナ部103から送電される送電電力を受電し、電池18を充電する。また、例えば、充電回路部21は、充電端子214により外部に設けられる送電装置100の送電端子104から送電される送電電力を受電し、電池18を充電する。即ち、充電回路部21は、アンテナ部211及び充電端子214を選択的に使用することで、送電装置100から受電することで、電池18を充電する。なお、充電回路部21は、ワイヤ給電及びワイヤレス給電の双方が可能に形成されていてもよく、また、ワイヤ給電及びワイヤレス給電の一方のみが可能に形成されていてもよい。
【0054】
アンテナ部211は、送電装置100のアンテナ部103からの送電電力を受電する。アンテナ部211は、例えば、受電共振回路としての受電コイルである。アンテナ部211は、受電した電力を受電部212へ供給する。アンテナ部211の受電面は、平面状に形成される。アンテナ部211は、例えば、筐体11内に配置される。具体例として、アンテナ部211は、筐体11内であって、表示部12の風防32とは反対側に、表示部12と隣接して設けられる。アンテナ部211は、例えば、共振用コンデンサを含み、受電共振回路を構成する。
【0055】
受電部212は、アンテナ部211又は充電端子214で受電した電力を整流し、充電部213へ供給する。具体例として、受電部212は、アンテナ部211から供給される受電電力を整流し、交流から直流に変換する。例えば、受電部212は、整流回路及び制御回路を含み、制御回路により整流回路の動作を制御し、整流した直流電力を充電部213へ出力する。
【0056】
充電部213は、受電部212から供給される電力を充電用の電力として、電池18へ供給する。例えば、充電部213は、受電部212から供給された電力を、所定の電流値及び電圧値に変換して電池18に供給する。また、例えば、充電部213は、電池18の充電状態を受電部212及び/又はプロセッサ23に出力する回路を有していても良い。
【0057】
充電端子214は、例えば、一対の端子214aを有し、この一対の端子214aを介して送電装置100の送電端子104からの送電電力を受電する。
【0058】
メモリ22は、例えば、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含む。メモリ22は、各種データを記憶する。例えば、メモリ22は、血圧測定装置1全体及びポンプ14を制御するためのプログラム及びアプリケーション等の各種プログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、圧力センサ17で計測された圧力から血圧値を算出するための算出データ、生体センサ20で計測された情報から心拍数、サチュレーション、心電図波形等の生体情報を算出するための算出データ等を変更可能に予め格納される。
【0059】
プロセッサ23は、メモリ22に格納されたプログラムに基づいて血圧測定装置1全体の動作、並びに、ポンプ14及び弁16の動作を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。また、プロセッサ23は、読み込んだプログラムに従い、所定の演算、解析、処理等を実行する。プロセッサ23は、CPU等の演算装置である。プロセッサ23は、例えば、メインCPUに加え、サブCPUを含み得る。また、プロセッサ23は、実行した各種動作及び演算、解析、処理等の状況や結果をプログラム又はアプリケーションにより表示部12に表示する。
【0060】
流体回路24は、筐体11内に設けられる、ポンプ14、弁16、圧力センサ17、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の少なくとも2以上を流体的に接続する。流体回路24は、例えば、ポンプ14から第1カフ構造体4へ供給する流体の流路を形成する管や流路板24a、第1カフ構造体4及び/又は第2カフ構造体5へ供給する流体の供給量や圧力を制御する流量抵抗である単数又は複数のオリフィス24b等の構成部品、流体の流れ方向を制御するチェックバルブを含み得る。流路板24aは、樹脂材料又は金属材料で形成された複数の板と、隣り合う板の間に配置される、流路となるスリットが形成されたシートや両面テープとを接合することで形成される。なお、複数のオリフィス24bは、流路板24a内に設けられていても良く、また、第1カフ構造体4や第2カフ構造体5の一部に設けられていても良い。
【0061】
基板25は、例えば、制御基板25aと、センサメイン基板25bと、センササブ基板25cと、を備える。
【0062】
制御基板25aには、例えば、加速度センサ15、弁16、圧力センサ17、通信部19、充電回路部21の回路構成、メモリ22及びプロセッサ23が実装さる。
【0063】
センサメイン基板25bには、PPGセンサ20a及びSpO2センサ20bに用いられる第1LED20d、第2LED20e、第1PD20f及び第2PD20gが実装される。
【0064】
センササブ基板25cには、PPGセンサ20a、SpO2センサ20b及びECGセンサ20cを構成するための各種回路や電子部品が実装される。例えば、制御基板25a、センサメイン基板25b及びセンササブ基板25cは、電気的に接続される。
【0065】
以下、第1カフ構造体4の具体例を図1乃至図4図6乃至図8を用いて説明する。図1乃至図4図6乃至図8に示すように、第1カフ構造体4は、第1カーラ51と、第1押圧カフ52と、背板53と、センシングカフ54と、を備える。第1カフ構造体4は、例えば、第1カーラ51と、第1押圧カフ52と、背板53と、センシングカフ54と、を備える。第1カフ構造体4は、第1カーラ51、第1押圧カフ52、背板53、及びセンシングカフ54が手首300に向かって順次積層されることで構成される。なお、第1カフ構造体4は、第1カーラ51及び/背板53を有さない構成であってもよい。
【0066】
第1カーラ51は、例えば、一端側が筐体11の手首300側に設けられる底部31bに固定される。第1カーラ51は、手首300の周方向に倣う形状に湾曲する帯状に形成される。第1カーラ51は、樹脂材料で構成される。第1カーラ51は、可撓性及び形状保持性を有する、低硬度の材料で形成される。ここで、可撓性とは、第1カーラ51にバンド6からの外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。形状保持性とは、外力が印加されないときに、第1カーラ51が予め賦形された形状を維持できることをいう。即ち、第1カーラ51は、圧縮変形しないか又は圧縮変形を略しないが、形状、特に、湾曲する部位の曲率が変わる曲げ変形等の弾性変形が可能な硬さの樹脂材料で形成される。よって、第1カーラ51は、外力が印加されることで、曲げ変形し、装着する手首の形状に倣って、その手首300が配置される内部空間が大きく、又は、小さくなるように、弾性変形可能に形成される。例えば、第1カーラ51は、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic Polyurethane、以下TPUと表記する)や、ポリプロピレン樹脂により形成される。
【0067】
また、第1カーラ51は、一端側が筐体11に固定される。また、第1カーラ51は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が長い手首300に装着したときに、2つの動脈311、312のうち少なくとも一方の動脈と対向する長さに形成される。好ましくは、第1カーラ51は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が長い手首300に装着したときに、2つの動脈311、312と対向する長さに形成される。また、第1カーラ51は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が短い手首300に装着したときに、他端が装置本体3に接触しない長さに設定される。第1カーラ51は、例えば、装置本体3の筐体11から延出する部位が、手首300の左右の一方の手首300の側方及び手首300手の平側の形状に倣うように所定の曲率半径で湾曲する。
【0068】
第1押圧カフ52は、第1カーラ51の内周面に、両面テープ、接着剤及び熱溶着等により固定される。第1押圧カフ52は、流体回路24を介して、ポンプ14に流体的に接続される。第1押圧カフ52は、一方の主面が第1カーラ51の内面に固定される。第1押圧カフ52は、膨張することで、手首300の手の甲側を押圧するとともに、背板53及びセンシングカフ54を手首300側に向かって押圧する。
【0069】
第1押圧カフ52は、例えば、単数又は複数の空気袋71と、空気袋71の端部に設けられた流路体72と、流路体72に設けられ、流体回路24に接続されるニップル等の接続部73と、を備えている。ここで、空気袋71とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。空気袋71は、一方向に長い矩形袋状に形成される。
【0070】
空気袋71は、複数のシート部材を熱溶着等によって袋状に形成される。例えば、第1押圧カフ52が複数の空気袋71を有する構成であるときは、複数の空気袋71は、積層され、溶着等により一体に形成されるとともに、流体的に連続する。空気袋71を形成するシート部材は、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成される。ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、TPUである。
【0071】
流路体72は、例えば、空気袋71の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。流路体72は、空気袋71を形成する複数のシート部材のうち、二枚のシート部材の一部によって形成される。また、流路体72は、空気袋71の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成されている。流路体72は、先端に接続部73が一体に設けられる。流路体72は、接続部73を介して流体回路24に接続され、流体回路24と空気袋71との間の流路を構成する。膨張時の流路体72の厚さは、膨張時の空気袋71の厚さよりも小さい。
【0072】
接続部73は、例えば、1つ設けられる。1つの接続部73は、底部31bに形成された1つの孔部31b3を介して、流体回路24に接続される。
【0073】
なお、例えば、流路体72は、底部31bに形成される突出部31b1を避けるべく、突出部31b1に隣接して、一対のループ部31cの対向方向で底部31bの一端側から他端側に延び、そして、第2カフ構造体5が突出する側の底部31bの端部に形成された3つの孔部31b3のうち1つの孔部31b3に接続部73が接続される。
【0074】
背板53は、第1押圧カフ52の手首300側の面に、両面テープや接着剤等により固定される。背板53は、樹脂材料により形成される。背板53は、例えば、一方向に長い矩形板状に形成される。なお、背板53は、例えば、分割される構成、即ち、複数の矩形状の小片を一方向に並べて形成されていてもよい。背板53は、形状追従性を有する。
【0075】
ここで、形状追従性とは、配置される手首300の被接触箇所の形状を倣うように背板53が変形可能な機能であり、手首300の被接触箇所とは、手首300の背板53と接触する領域であり、ここでの接触とは、背板53の直接的な接触及び背板53のセンシングカフ54を介した間接的な接触の双方を含む。
【0076】
センシングカフ54は、背板53の手首側の主面に固定される。センシングカフ54は、手首300の動脈311、312が存する領域に直接、又は、カバー等を介して間接的に接触する。センシングカフ54は、一方向に長い矩形状に形成される。なお、センシングカフ54は、手首300の一方の動脈311、312が存する領域に接触する構成であってもよい。センシングカフ54は、長手方向において、第1押圧カフ52と同じか、又は、第1押圧カフ52よりも小さい。また、センシングカフ54は、短手方向において、第1押圧カフ52と同じか、又は、第1押圧カフ52よりも小さい。センシングカフ54は、背板53の長手方向及び幅方向で、背板53と同一形状か、又は、背板53よりも小さいか、又は、背板53よりも大きい。センシングカフ54は、膨張することで手首の手の平側の動脈が存する領域を圧迫する。センシングカフ54は、膨張した第1押圧カフ52により、背板53を介して生体側に押圧される。
【0077】
具体例として、センシングカフ54は、空気袋81と、空気袋81に流体的に接続される流路体82と、流路体82に設けられるニップル等の接続部83と、を備えている。空気袋81及び流路体82は、複数のシート部材を熱溶着等によって袋状に形成される。空気袋81及び流路体82を形成するシート部材は、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成される。ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、TPUである。
【0078】
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋等であってもよい。空気袋81は、一方向に長い矩形状に構成される。
【0079】
流路体82は、例えば、空気袋81の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。流路体82は、空気袋81を形成する複数のシート部材のうち、二枚のシート部材の一部によって形成される。また、流路体82は、空気袋81の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成されている。流路体82は、先端に接続部83が一体に設けられる。流路体82は、接続部83を介して流体回路24に接続され、流体回路24と空気袋81との間の流路を構成する。膨張時の流路体82の厚さは、膨張時の空気袋81の厚さよりも小さい。
【0080】
接続部83は、例えば、3つ設けられる。3つの接続部83は、第1カフ構造体4が突出する側の底部31bの端部に形成された3つの孔部31b3に接続される。3つの接続部83は、流体回路24に接続される。
【0081】
以下、第2カフ構造体5の具体例を図1乃至図4図6乃至図8を用いて説明する。図1乃至図4図6乃至図8に示すように、第2カフ構造体5は、第2カーラ61と、第2押圧カフ62と、を備える。第2カフ構造体5は、第2カーラ61及び第2押圧カフ62が手首300に向かって順次積層されることで構成される。
【0082】
第2カーラ61は、例えば、一端側が筐体11の手首300側に設けられる底部31bに固定される。第2カーラ61は、手首300の周方向に倣う形状に湾曲する帯状に形成される。第2カーラ61は、樹脂材料で構成される。第2カーラ61は、可撓性及び形状保持性を有する、低硬度の材料で形成される。ここで、可撓性とは、第2カーラ61にバンド6からの外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。形状保持性とは、外力が印加されないときに、第2カーラ61が予め賦形された形状を維持できることをいう。即ち、第2カーラ61は、圧縮変形しないか又は圧縮変形を略しないが、形状、特に、湾曲する部位の曲率が変わる曲げ変形等の弾性変形が可能な硬さの樹脂材料で形成される。よって、第2カーラ61は、外力が印加されることで、曲げ変形し、装着する手首の形状に倣って、その手首300が配置される内部空間が大きく、又は、小さくなるように、弾性変形可能に形成される。例えば、第2カーラ61は、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic Polyurethane、以下TPUと表記する)や、ポリプロピレン樹脂により形成される。
【0083】
また、第2カーラ61は、一端側が筐体11に固定される。また、第2カーラ61は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が長い手首300に装着したときに、2つの動脈311、312のうち少なくとも一方の動脈と対向し、且つ、端部側が第1カフ構造体4と重なる長さに形成される。ここで、2つの動脈311、312のうち、一方が橈骨動脈311であり、他方が尺骨動脈312である。好ましくは、第2カーラ61は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が長い手首300に装着したときに、2つの動脈311、312と対向する長さに形成される。また、第2カーラ61は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が短い手首300に装着したときに、他端が装置本体3に接触しない長さに設定される。第2カーラ61は、例えば、装置本体3の筐体11から延出する部位が、手首300の左右の一方の手首300の側方及び手首300手の平側の形状に倣うように所定の曲率半径で湾曲する。
【0084】
第2押圧カフ62は、第2カーラ61の内周面に、両面テープ、接着剤及び熱溶着等により固定される。第2押圧カフ62は、流体回路24を介して、ポンプ14に流体的に接続される。第2押圧カフ62は、一方の主面が第2カーラ61の内面に固定される。第2押圧カフ62は、膨張することで、対向する手首300を押圧するとともに、オーバーラップした第1カフ構造体4を手首300側に向かって押圧する。第2押圧カフ62の膨張時の厚さは、第1押圧カフ52の膨張時の厚さと同じか、又は、第1押圧カフ52の膨張時の厚さよりも大きい。
【0085】
第2押圧カフ62は、例えば、単数又は複数の空気袋91と、空気袋91の端部に設けられた流路体92と、流路体92に設けられ、流体回路24に接続されるニップル等の接続部93と、を備えている。ここで、空気袋91とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。空気袋91は、一方向に長い矩形袋状に形成される。
【0086】
空気袋91は、複数のシート部材を熱溶着等によって袋状に形成される。例えば、第2押圧カフ62が複数の空気袋91を有する構成であるときは、複数の空気袋91は、積層され、溶着等により一体に形成されるとともに、流体的に連続する。空気袋91を形成するシート部材は、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成される。ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、TPUである。
【0087】
流路体92は、例えば、空気袋91の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。流路体92は、空気袋91を形成する複数のシート部材のうち、二枚のシート部材の一部によって形成される。また、流路体92は、空気袋91の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成されている。流路体92は、先端に接続部93が一体に設けられる。流路体92は、接続部93を介して流体回路24に接続され、流体回路24と空気袋71との間の流路を構成する。膨張時の流路体92の厚さは、膨張時の空気袋91の厚さよりも小さい。
【0088】
接続部93は、例えば、2つ設けられる。2つの接続部93は、底部31bに形成された2つの孔部31b3を介して、流体回路24に接続される。
【0089】
なお、例えば、接続部93は、第2カフ構造体5が突出する側の底部31bの端部に形成された3つの孔部31b3のうち2つの孔部31b3に接続部93が接続される。
【0090】
このように構成された第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62は、最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着したときに、第1押圧カフ52の空気袋71の膨張する部位が、2つの動脈311、312のうち少なくとも一方の動脈を覆い、そして、空気袋71に第2押圧カフ62の空気袋91がオーバーラップできる長さに形成される。また、第2押圧カフ62の空気袋91は、最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着し、第1押圧カフ52の空気袋71にオーバーラップしたときに、空気袋91の流路体92とは反対側の端縁が第1押圧カフ52の空気袋71が覆う動脈上において第1押圧カフ52の空気袋71と重ならない長さに形成される。即ち、第2押圧カフ62の空気袋91は、最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着し、第1押圧カフ52の空気袋71にオーバーラップしたときに、第1押圧カフ52の空気袋71が覆う動脈上において、第2押圧カフ62の空気袋91の膨張する部位が第1押圧カフ52の空気袋71と重なる長さに設定される。
【0091】
バンド6は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5に対して手首300と反対側の外周側に帯状に形成される。バンド6は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5に固定されない。バンド6は、一方の端部が一方のループ部31cに固定される。また、バンド6は、一方にフックが、他方にループが形成された一対の面ファスナー6aを有し、これらが互いに係合することで、他方のループ部31cに端部側が挿入されたバンド6を固定する。また、バンド6は、他方の端部に使用者が掴みやすいように、つまみ6bを有する。
【0092】
例えば、バンド6は、第2カフ構造体5が延出する側に形成されるループ部31cに固定され、第1カフ構造体4が延出する側に形成されるループ部31cに挿入され、そして、折り返される。バンド6は、装着が想定される最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着するときに、外郭ケース31に設けられたループ部31cに挿入されうる長さである。また、面ファスナー6aは、装着が想定される最大周長及び最小周長の手首300において、バンド6を折り返して締結できる長さ及び配置でバンド6に設けられる。ループ部31cで折り返されたバンド6の端部がループ部31cから離れる向きに引っ張られることで、図3に示すように、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5が手首300に巻き付いた状態で血圧測定装置1が手首300に装着される。バンド6が面ファスナー6aによって固定されることで、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62が膨張した際に手首と反対側の外側に膨らもうとする動きが規制されるため、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62が手首を圧迫することができる。これにより、公知のオシロメトリック法による血圧測定が可能となる。
【0093】
規制部材7は、第1カフ構造体4及び/又は第2カフ構造体5とバンド6との幅方向のける相対的な移動を規制する。ここで、幅方向とは、バンド6の手首300への巻き付け方向に直交する方向であり、換言すると、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の長手方向に直交する方向である。
【0094】
本実施形態において、血圧測定装置1は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を有し、バンド6が第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5に固定されない構成であることから、規制部材7は、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の幅方向の相対的な移動を規制する例を説明する。
【0095】
図2図12及び図13に示すように、規制部材7は、シート7aと、第1面ファスナー7bと、第2面ファスナー7cと、第1規制部7dと、第2規制部7eと、を備える。
【0096】
シート7aは、一方向に長い板状に形成される。シート7aの幅は、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の幅よりも小さい。シート7aは、例えば、樹脂材料により形成される。シート7aの一端は、装置本体3側の第1カフ構造体4の端部の外面に固定される。例えば、シート7aは、第1カフ構造体4の第1カーラ51の装置本体3に隣接する部位の外面に固定される。シート7a及び第1カフ構造体4は、例えば、溶着や、両面テープ又は接着剤等による接着、面ファスナー等による接合により固定される。シート7aは、第1カフ構造体4に固定される一端を基点として、第1カフ構造体4から離間可能に形成される。
【0097】
第1面ファスナー7bは、第1カフ構造体4の装置本体3側とは反対側の端部(先端)の外面に設けられる。
【0098】
第2面ファスナー7cは、例えば、シート7aの装置本体3側とは反対側の端部(先端)の手首300側となる内面に設けられる。第1面ファスナー7b及び第2面ファスナー7cは、接合可能に形成される。第1面ファスナー7b及び第2面ファスナー7cは、シート7aと第1カフ構造体4とを固定する固定部材として機能する。なお固定部材は面ファスナーに限定されず、他の例として磁性シート、スナップフィット等がある。
【0099】
第1規制部7dは、第1カフ構造体4及びバンド6の幅方向の相対的な移動を規制し、第1カフ構造体4及びバンド6の長手方向の相対的な移動を規制せずに可能とする。また、例えば、第1規制部7dは、第1カフ構造体4及びバンド6の幅方向及び長手方向に直交する方向、即ち、第1カフ構造体4及びバンド6の対向方向に沿った方向において、第1カフ構造体4及びバンド6が離間する方向の相対的な移動を規制する。第1規制部7dは、第1カフ構造体4に固定されたシート7aと係合することで、第1カフ構造体4及びバンド6の幅方向及び離間する方向の相対的な移動を規制する。
【0100】
例えば、第1規制部7dは、環状に形成され、シート7aを挿入可能に形成される。第1規制部7dは、バンド6の内面に設けられる。例えば、第1規制部7dは、シート状の部材を環状として、バンド6の内面に固定されることで形成される。
【0101】
第2規制部7eは、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の幅方向の相対的な移動を規制し、第1カフ構造体4及びバンド6の長手方向の相対的な移動を規制せずに可能とする。また、例えば、第2規制部7eは、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の幅方向及び長手方向に直交する方向、即ち、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の対向方向に沿った方向において、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5が離間する方向の相対的な移動を規制する。第2規制部7eは、第1カフ構造体4に固定されたシート7aと係合することで、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の幅方向及び離間する方向の相対的な移動を規制する。よって、第2規制部7eは、シート7a及び第1規制部7dとともに、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の幅方向、並びに、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5とバンド6との対向方向において離れる方向の移動を規制する。
【0102】
例えば、第2規制部7eは、環状に形成され、シート7aを挿入可能に形成される。第2規制部7eは、バンド6の内面に設けられる。例えば、第2規制部7eは、シート状の部材を環状として、バンド6の内面に固定されることで形成される。
【0103】
バンド6及び第2カフ構造体5の長手方向における第1規制部7d及び第2規制部7eの長さは、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の幅方向の相対的な移動のし易さや第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の姿勢の安定性等に基づいて、適宜設定できる。即ち、バンド6及び第2カフ構造体5の長手方向における第1規制部7d及び第2規制部7eの長さを長くすると、幅方向でシート7aと当接する長さを確保できるため、幅方向において安定してシート7aを保持できる。また、バンド6及び第2カフ構造体5の長手方向における第1規制部7d及び第2規制部7eの長さを短くすると、シート7aが挿入しやすくなるとともに、シート7aとのスライド移動における摩擦力を低減できるため、安定して長手方向に第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の相対的な移動がし易くなる。
【0104】
また、第1規制部7d及び第2規制部eのシート7aが挿入される開口の幅は、シート7aの幅よりも大きい。また、第1規制部7d及び第2規制部eのシート7aが挿入される開口の幅は、シート7aの挿入のし易さ、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の幅方向の相対的な移動のし易さや第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の姿勢の安定性等に基づいて、適宜設定できる。
【0105】
即ち、幅方向におけるシート7aと規制部7d、7eとの隙間が大きいほど、シート7aの挿入及び移動が容易となり、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の幅方向の相対的な移動がし易くなるが、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の幅方向の相対的な移動可能範囲が増加する。幅方向におけるシート7aと規制部7d、7eとの隙間が小さいほど、シート7aの挿入性及び移動性が低下し、また、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の幅方向の相対的な移動がし難くなるが、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の幅方向の相対的な移動可能範囲が小さくなり、幅方向の相対的な移動を抑制できる。
【0106】
これらのことから、第1規制部7d及び第2規制部7eの長さ及び幅は、所望の機能等に応じて設定することができる。例えば、第1規制部7d及び第2規制部7eは、同じ形状であってもよく、また、第1規制部7d及び第2規制部7eのうち一方の規制部を他方の規制部よりも長さ及び/又は幅を大きくするなど、第1規制部7d及び第2規制部7eを異なる形状としてもよい。
【0107】
シート7aの長さ、一対の面ファスナー7b、7cの位置、第1規制部7dの位置及び第2規制部7eの位置が、装着が想定される最小周長及び最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着するときに、装着を想定した最小周長及び最大周長の手首300にバンド6を巻き付けたときに、第1規制部7d及び前記第2規制部7eにシート7aを挿入し、シート7a及び第1カフ構造体4を面ファスナー7b、7cで固定できる長さ及び/又は位置に設けられる。また、シート7aの長さ、一対の面ファスナー7b、7cの位置、第1規制部7dの位置及び第2規制部7eの位置は、装着が想定される最小周長及び最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着するときに、一対の面ファスナー7b、7cで接合された第1カフ構造体4及びシート7aが第2規制部7eと第1カフ構造体4の長手方向で干渉しない長さ及び/又は位置に設定される。また、第1規制部7dは、装着が想定される最小周長及び最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着するときに、第2カフ構造体5の端部と接触しない位置に配置される。
【0108】
即ち、規制部材7は、装着が想定される最小周長及び最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着するときに、手首300に装着な位置に、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を移動可能である。また、規制部材7は、バンド6に設けられた第2規制部7e及び第2カフ構造体5が干渉せず、第2カフ構造体5及びバンド6の手首300への巻き付け方向における相対的な移動を規制しない。
【0109】
このような規制部材7は、図12及び図13に示すように、第1カフ構造体4及びシート7aに設けられた面ファスナー7b及び7cの接合を解除し、第1カフ構造体4をシート7aから離間した状態で、シート7aを第1規制部7d及び第2規制部7eに挿入する。そして、第1規制部7d及び第2規制部7eに挿入されたシート7aの面ファスナー7cを、第1カフ構造体4の面ファスナー7bに接合させる。これにより、規制部材7は、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の長手方向の相対的な移動を可能としたまま、幅方向の相対的な移動を規制する。
【0110】
次に、このように構成された血圧測定装置1の装置本体3、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及び流体回路24の流体的な構成の一例を、図11を用いて説明する。
【0111】
第1押圧カフ52は、例えば、流路板24aを介してポンプ14に接続される。また、第1押圧カフ52及びポンプ14は、例えば、流路板24aを介して弁16に接続される。また、第1押圧カフ52は、例えば、流路板24aを介して第2押圧カフ62に接続される。また、第1押圧カフ52は、例えば、流路板24a及び流路板24aに設けられたオリフィス24bを介してセンシングカフ54に接続される。センシングカフ54は、例えば、流路板24aを介して圧力センサ17に接続される。また、センシングカフ54は、例えば、流路板24a及び流路板24aに設けられたオリフィス24bを介して大気に接続される。ここで、第1押圧カフ52及びセンシングカフ54の間のオリフィス24bと、センシングカフ54及び大気の間のオリフィス24bは、第1押圧カフ52及びセンシングカフ54が所望の圧力差となる流量抵抗に設定される。
【0112】
次に、装置本体3の充電回路部21に送電する送電装置100の一例を説明する。
図5に示すように、送電装置100は、電源101と、送電部102と、アンテナ部103と、送電端子104と、を備える。なお、送電装置100は、アンテナ部103及び送電端子104の一方を備える構成であってもよい。電源101は、例えば、商用電源等に接続されるACアダプタ等である。電源101は、商用電源から入力される交流電力を直流電力に変換し、直流電力を送電部102に供給する。
【0113】
送電部102は、電源101から供給される直流電力を、送電電力としての交流電力を生成し、アンテナ部103に供給する。送電部102は、例えば、アンテナ部103による送電共振回路の共振周波数と同一、あるいは略同一の周波数の交流電力を生成する。
【0114】
アンテナ部103は、例えば、送電共振回路としての送電コイルである。アンテナ部103の送電面は、平面状に形成される。アンテナ部103は、装置本体3のアンテナ部211へ送電する。アンテナ部103は、例えば、共振用コンデンサを含み、送電共振回路を構成する。
【0115】
送電端子104は、装置本体3に設けられた充電端子214に接触し、そして、充電端子214に固定可能に形成される。
【0116】
このように構成される血圧測定装置1は、規制部材7によって、第1カフ構造体4とバンド6との幅方向の移動を規制するとともに、第1カフ構造体4と第2カフ構造体5との幅方向の移動を規制できる。よって、血圧測定装置1は、手首300への装着時、及び、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の膨張時において、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の幅方向の位置ずれを防止できる。よって、バンド6が安定して第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を手首300に向かって押圧できるため、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、好適に手首300を圧迫することができる。よって、血圧測定装置1は、血圧の測定精度が良好となる。
【0117】
また、規制部材7は、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の長手方向の移動を規制しないことから、バンド6を手首300に巻き付けることで、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5も長手方向に移動し、好適に第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を手首300に巻き付けることができる。また、規制部材7は、装着を想定する最小周長及び最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着したときに、バンド6に設けられた第1規制部7dと第2カフ構造体5とが干渉しない配置としたことで、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の長手方向における相対的な移動を阻害することがない。よって、血圧測定装置1は、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の相対的な位置を容易に調整できる。
【0118】
また、血圧測定装置1は、装置本体3の一方向における両側に、それぞれ装置本体3から延出する、流体的に接続される第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を配置する。また、装置本体3は、裏面側である筐体11の底部31bに、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5と離れた位置、例えば、底部31bの中央側に、生体センサ20及び充電端子214の少なくとも一方を配置するスペースとしての突出部(センサ部)31b1を有する。これにより、装置本体3の裏面側に、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5と、生体センサ20及び充電端子214の少なくとも一方とを、それぞれ配置できる。
【0119】
また、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、流路板24aを含む流体回路24を介して流体的に接続される。なお、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62を直接流体的に接続してもよい。これらの構成により、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を設け、一方向において離れて筐体11に固定されたとしても、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を流体的に連続させることができる。
【0120】
また、装着が想定される最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着したときに、2つの動脈311、312のうち、少なくとも一方の動脈が存する領域を第1押圧カフ52の空気袋71が覆い、そして、第2押圧カフ62の空気袋91は、第1押圧カフ52の空気袋71の少なくとも一部にオーバーラップできる。
【0121】
よって、手首300を第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62により押圧できるため、装置本体3の裏面に第1押圧カフ52の空気袋71及び第2押圧カフ62の空気袋91が配置されなくても、動脈を圧迫するために十分な押圧力が確保できる。
【0122】
このように、血圧測定装置1は、装着が想定される最大周長の手首300に装着されたときに、第1押圧カフ52の空気袋71及び第2押圧カフ62の空気袋91は、所定の長さだけオーバーラップできる。また、最小周長の手首300に血圧測定装置1が装着されたときに、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、装置本体3に接触しない長さである。また、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、バンド6と直接接合されない。
【0123】
これらの構成により、血圧測定装置1は、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62の空気袋71、91がオーバーラップして膨張することから、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62により好適に動脈を押圧できる。よって、血圧測定装置1は、装置本体3の裏面側に生体センサ20を配置できるとともに、装置本体3の裏面に第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62の空気袋71、91が配置されなくても、精度の良い血圧測定が可能となる。
【0124】
また、筐体11は、底部31bに防水透湿シート31b7で覆われた通気口31b6を有することで、筐体11内の通気が可能となる。また、通気口31b6と第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5とを、底部31bの突出部31b1以外の部位において、離れた位置に配置することで、通気口31b6が第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5に塞がれることを防止できる。また、底部31bと隙間を空けて配置されるカフカバー33で覆われる位置に通気口31b6を設けることで、通気口31b6がカフカバー33により保護される。よって、血圧測定装置1は、通気口31b6及び防水透湿シート31b7に汚れが付着することを防止でき、通気機能を損ねることを防止できる。
【0125】
また、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、筐体11の底部31bに配置される端部がカフカバー33に覆われることから、カフカバー33によって底部31bから離れる方向の移動が規制される。よって、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5が装置本体3から容易に外れることを防止できる。
【0126】
また、血圧測定装置1は、生体センサ20としての各種センサ20a~20c及び充電端子214を装置本体3の底部31bに設ける構成である。よって、装置本体3は、筐体11の内部に設けられる基板25から生体センサ20及び充電端子214を装置本体から遠い位置に設ける必要がなく、配線を簡素にすること等が可能となり、配置の自由度が高い。また、生体センサ20は、剛性が高い筐体11に設けられることになり、手首300に血圧測定装置1を装着したときに、手首300に安定して接触できることから、生体センサ20により、好適に生体情報を取得することができる。また、充電端子214を底部31bに設けることで、手首300から血圧測定装置1を取り外したときに、充電端子214が外部に露出することから、充電端子214を用いた充電が容易となる。
【0127】
また、血圧測定装置1は、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62が装置本体3内に設けられた流体回路24を介して流体的に接続されることで、底部31bにおいて、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62の配置を簡素化できる。
【0128】
このように構成された血圧測定装置1は、規制部材7により、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の長手方向の移動を可能とし、且つ、幅方向の移動を規制することで、第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6の相対的な位置を容易に調整できるとともに、幅方向における第1カフ構造体4、第2カフ構造体5及びバンド6のずれを防止できる。
【0129】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、第1カフ構造体4の第1押圧カフ52及び第2カフ構造体5の第2押圧カフ62は、それぞれ形成された流路体72、92及び接続部73、93を介して流体回路24の例えば流路板24aに接続され、そして、流体回路24において流体的に接続される構成を説明した。
【0130】
しかしながら、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62は、流体的に直接接続される構成であってもよい。例えば、図14に示すように、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、第1押圧カフ52の流路体72及び第2押圧カフ62の流路体92が流体的に一体に連続し、そして、流路体72又は流路体92に形成された接続部93によって流体回路24に接続される構成であってもよい。このような構成とすることで、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62がセンサ部である突出部31b1を避けて接続されることから、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62が突出部31b1に干渉し、突出部31b1に設けられた生体センサ20及び充電端子214の機能を阻害することを防止できる。
【0131】
上述した例では、第1カフ構造体4は、第1カーラ51、第1押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54を有する構成とし、第2カフ構造体5は、第2カーラ61及び第2押圧カフ62を有する構成を説明した。
【0132】
しかしながら、第1カフ構造体4は、第1カーラ51及び背板53の少なくとも一方を有さない構成としてもよく、また、第2カフ構造体5は、第2カーラ61を有さない構成としてもよい。なお、第1カフ構造体4が第1カーラ51を有さない構成とした場合には、規制部材7のシート7a及び第1面ファスナー7bは、第1押圧カフ52の空気袋71の流路体72とは反対側の先端の外面に設ける構成とすればよい。
【0133】
また、図14及び図15に示すように、第1カフ構造体4は、センシングカフ54を有さない構成としてもよい。例えば、第1カフ構造体4がセンシングカフ54を有さない構成とする場合には、図16及び図17に示すように、圧力センサ17を少なくとも第1押圧カフ52に流体的に接続し、第1押圧カフ52の圧力から血圧を求める構成とすればよい。また、センシングカフ54を有さない構成とする場合においても、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62は、図17示すように、装置本体3内の流体回路24を介して流体的に接続してもよく、また、図18に示すように、例えば、流路体72及び流路体92を流体的に接続してもよい。
【0134】
また、上述した例では、バンド6は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5に固定されない例を説明した。しかしながら、バンド6は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5がオーバーラップしたときに外側となる第2カフ構造体5に固定される構成としてもよい。即ち、バンド6が第2カフ構造体5に固定されていたとしても、第2カフ構造体5よりも手首300側となる第1カフ構造体4がバンド6に固定されていなければ、バンド6を締め付けたときに、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を手首300に締め付けて密着させることができる。
【0135】
また、上述した例では、装置本体3は、筐体11の裏面側を形成する外郭ケース31の底部31bに生体センサ20としてPPGセンサ20a、SpO2センサ20b及びECGセンサ20cを設ける構成とした。しかし、生体センサ20は、PPGセンサ20a、SpO2センサ20b及びECGセンサ20cのうちいずれかであってもよく、またこれらのセンサ20a~20cに加え、又は、これらのセンサ20a~20cに変えて、他の生体情報を取得するセンサを有する構成としてもよい。
【0136】
また、上述した例では、血圧測定装置1は、一対のオーバーラップするカフとして、第1カフ構造体4と、第1カフ構造体4にオーバーラップできる第2カフ構造体5と、を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、血圧測定装置1は、第2カフ構造体5を有さず、装置本体3、第1カフ構造体4、バンド6及び規制部材7を有する構成としてもよい。このような血圧測定装置1とする場合には、規制部材7は、第2規制部7eを有さない構成とすればよい。
【0137】
また、上述した例では、規制部材7は、シート7a、一対の面ファスナー7b、7c、第1規制部7d及び第2規制部7eを有する構成としたがこれに限定されない。即ち、規制部材7は、第1カフ構造体4及び/又は第2カフ構造体5と、バンド6との幅方向の移動を規制し、そして、長手方向の移動を可能とできる構成であればよい。例えば、図19に示す他の例の規制部材7Aのように、第1カフ構造体4及び/又は第2カフ構造体5の第1カーラ51及び/又は第2カーラ61の幅方向の両端に、バンド6の幅方向の側面と当接する突起7fを設け、この突起7fとバンド6の側面とを当接させる構成としてもよい。なお、第1カーラ51及び/又は第2カーラ61とバンド6との一方に設けられた突起と、他方に設けられた開口により規制部材が構成されていてもよい。即ち、規制部材は、第1カフ構造体4及び/又は第2カフ構造体5と、バンド6とに、幅方向で当接する部材又は部位を設ける構成とすればよい。
【0138】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0139】
1…血圧測定装置
3…装置本体
4…第1カフ構造体
5…第2カフ構造体
6…バンド
6a…面ファスナー
6b…つまみ
7…規制部材
7a…シート
7b…第1面ファスナー(固定部材)
7c…第2面ファスナー(固定部材)
7d…第1規制部
7e…第2規制部
7f…突起
11…筐体
12…表示部
13…操作部
14…ポンプ
15…加速度センサ
16…弁
17…圧力センサ
18…電池
19…通信部
20…生体センサ
20a…PPGセンサ
20b…SpO2センサ
20c…ECGセンサ
20c1…心電電極
20d…第1LED
20e…第2LED
20f…第1PD
20g…第2PD
21…充電回路部
22…メモリ
23…プロセッサ
24…流体回路
24a…流路板
24b…オリフィス
25…基板
25a…制御基板
25b…センサメイン基板
25c…センササブ基板
31…外郭ケース
31a…周壁部
31b…底部(裏面)
31b1…突出部(センサ部)
31b1…センサ部
31b2…窓部
31b3…孔部
31b4…開口
31b5…カバー
31b6…通気口
31b7…防水透湿シート
31c…ループ部
31d…開口
32…風防
33…カフカバー
33a…開口
33b…孔
41…釦
43…タッチパネル
51…第1カーラ
52…第1押圧カフ
53…背板
54…センシングカフ
61…第2カーラ
62…第2押圧カフ
71…空気袋
72…流路体
73…接続部
81…空気袋
82…流路体
83…接続部
91…空気袋
92…流路体
93…接続部
100…送電装置
101…電源
102…送電部
103…アンテナ部
104…送電端子
211…アンテナ部
212…受電部
213…充電部
214…充電端子
214a…端子
300…手首
311…橈骨動脈
312…尺骨動脈
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図19