(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109483
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0225 20060101AFI20240806BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61B5/0225 Z
A61B5/022 300F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014296
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡西 孝晃
(72)【発明者】
【氏名】東狐 義秀
(72)【発明者】
【氏名】照山 美咲
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA12
4C017AA19
4C017AC04
4C017AD01
4C017EE15
4C017FF30
(57)【要約】
【課題】流路板ユニットを大きくすることなく、流路板ユニットに設けた部品を個別に検査することができる血圧測定装置を提供すること。
【解決手段】血圧測定装置1は、筐体11と、筐体11内に設けられるポンプ14、筐体11内に設けられる弁16、筐体11内に設けられる圧力センサ17を含む複数の部品と、一端が複数の部品にそれぞれ接続されるとともに、他端が複数のカフ52、54、62の少なくとも1つ及び複数の部品をそれぞれ検査する複数の検査機401~405に選択的に接続される複数の内部流路241~246が形成された流路板ユニット24と、を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられるポンプ、前記筐体内に設けられる弁、前記筐体内に設けられる圧力センサを含む複数の部品と、
一端が前記複数の部品にそれぞれ接続されるとともに、他端が複数のカフの少なくとも1つ及び前記複数の部品をそれぞれ検査する複数の検査機に選択的に接続される複数の内部流路が形成された流路板ユニットと、
を備える血圧測定装置。
【請求項2】
前記複数のカフは、押圧カフ及びセンシングカフを含み、
前記流路板ユニットは、第1流路抵抗及び第2流路抵抗を有し、
前記複数の内部流路は、前記押圧カフ及び前記第1流路抵抗を接続する内部流路、前記第1流路抵抗及び前記センシングカフを接続する内部流路、前記センシングカフ及び前記第2流路抵抗を接続する内部流路、並びに、前記第2流路抵抗及び大気を接続する内部流路を含む、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項3】
前記押圧カフ及び前記第1流路抵抗を接続する前記内部流路は、さらに前記ポンプを接続し、
前記第1流路抵抗及び前記センシングカフを接続する前記内部流路、並びに、前記センシングカフ及び前記第2流路抵抗を接続する前記内部流路は連続して一体に形成される、請求項2に記載の血圧測定装置。
【請求項4】
前記流路板ユニットは、前記複数のカフ及び前記複数の検査機をそれぞれ接続可能な、前記複数の内部流路にそれぞれ連続する複数のポートを有する、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療施設においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば、生体の手首等に巻き付けたカフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。
【0003】
また、血圧測定装置として、手首に装着するウェアラブル血圧計が知られている。このような血圧測定装置は、サイズを小さくするために流路板ユニットを用いている(例えば、特許文献1参照)。流路板ユニットには、圧力センサ、開閉弁、流路抵抗等の部品が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した血圧測定装置では、各部品を接続した後で各部品の検査を行うには、不要な流路を塞ぐ必要がある。しかしながら、流路板ユニットに不要な流路を塞ぐ機構を設けると、流路板ユニットが大きくなり、流路板ユニットのサイズを変えなければ検査ができないという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、流路板ユニットを大きくすることなく、流路板ユニットに設けた部品を個別に検査することができる血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、筐体と、前記筐体内に設けられるポンプ、前記筐体内に設けられる弁、前記筐体内に設けられる圧力センサを含む複数の部品と、一端が前記複数の部品にそれぞれ接続されるとともに、他端が複数のカフの少なくとも1つ及び前記複数の部品をそれぞれ検査する複数の検査機に選択的に接続される複数の内部流路が形成された流路板ユニットと、を備える血圧測定装置が提供される。
【0008】
この態様によれば、流路板ユニットの複数の内部流路は、それぞれ、いずれかの部品とカフ及び検査機の一方とを接続できる。これにより、流路板ユニットの各部品に接続された内部流路は、それぞれ独立する。よって、血圧測定装置が使用可能状態時において、流路板ユニットは、部品及びカフを接続できる。また、血圧測定装置の製造時やメンテナンス時における検査状態時において、部品及び検査機を接続できるとともに、検査を行わない場合には、封止することもできる。よって、血圧測定装置は、流路板ユニットのサイズを増加させることなく、流路板ユニットに設けた部品を個別に検査することができる。
【0009】
上記一態様の血圧測定装置であって、前記複数のカフは、押圧カフ及びセンシングカフを含み、前記流路板ユニットは、第1流路抵抗及び第2流路抵抗を有し、前記複数の内部流路は、前記押圧カフ及び前記第1流路抵抗を接続する内部流路、前記第1流路抵抗及び前記センシングカフを接続する内部流路、前記センシングカフ及び前記第2流路抵抗を接続する内部流路、並びに、前記第2流路抵抗及び大気を接続する内部流路を含む。
【0010】
この態様によれば、血圧測定装置は、押圧カフ及び第1流路抵抗、第1流路抵抗及びセンシングカフ、センシングカフ及び第2流路抵抗、並びに、第2流路抵抗及び大気をそれぞれ接続できる内部流路を含むことから、検査機を第1流路抵抗及び第2流路抵抗に接続される内部流路に接続することで、第1流路抵抗及び第2流路抵抗の検査も可能となる。
【0011】
上記一態様の血圧測定装置であって、前記押圧カフ及び前記第1流路抵抗を接続する前記内部流路は、さらに前記ポンプを接続し、前記第1流路抵抗及び前記センシングカフを接続する前記内部流路、並びに、前記センシングカフ及び前記第2流路抵抗を接続する前記内部流路は連続して一体に形成される。
【0012】
この態様によれば、血圧測定装置は、ポンプ、押圧カフ及び第1流路抵抗を接続する内部流路に押圧カフに変えて検査機を接続し、第1流路抵抗、第2流路抵抗及びセンシングカフを接続する内部流路にセンシングカフに変えて検査機を接続する。よって、血圧測定装置は、第1流路抵抗、及び、第2流路抵抗を検査することが可能となる。
【0013】
上記一態様の血圧測定装置は、前記流路板ユニットは、前記複数のカフ及び前記複数の検査機をそれぞれ接続可能な、前記複数の内部流路にそれぞれ連続する複数のポートを有する。
【0014】
この態様によれば、血圧測定装置は、複数のポートを介して、流路板ユニットに各カフ及び検査機を選択的に接続できる。よって、血圧測定装置は、カフ及び検査機の着脱、並びに、ポートの封止が容易となり、各種部品の検査を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、流路板ユニットを大きくすることなく、流路板ユニットに設けた部品を個別に検査することができる血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
【
図3】同血圧測定装置の構成を、手首に装着した状態で示す側面図。
【
図6】同血圧測定装置の要部構成を装置本体の裏面側から示す平面図。
【
図7】同血圧測定装置の要部構成を、一部の構成を省略して装置本体の裏面側から示す平面図。
【
図10】同血圧測定装置の流路板ユニットの一例を概略的に示す斜視図。
【
図11】同血圧測定装置の流体回路の一例を示すブロック図。
【
図12】同血圧測定装置の流路板ユニットに設けた部品の検査時の一例を示すブロック図。
【
図13】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の流路板ユニットの一例を概略的に示す斜視図。
【
図14】同血圧測定装置の流体回路の一例を示すブロック図。
【
図15】同血圧測定装置の流路板ユニットに設けた部品の検査時の一例を示すブロック図。
【
図16】同血圧測定装置の流路板ユニットに設けた部品の検査時の一例を示すブロック図。
【
図17】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の流路板ユニットの一例を概略的に示す斜視図。
【
図18】同血圧測定装置の流体回路の一例を示すブロック図。
【
図19】同血圧測定装置の流路板ユニットに設けた部品の検査時の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、
図1乃至
図12を用いて以下説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を示す斜視図である。
図2は、血圧測定装置1の構成を示す側面図であり、
図3は、血圧測定装置1の構成を、手首300に装着した状態で示す側面図である。
図4は、血圧測定装置1の構成を示すブロック図である。
図5は、血圧測定装置1の装置本体3、第1カフ構造体4の一部及び第2カフ構造体5の一部の構成を示す断面図である。
図6は、血圧測定装置1の装置本体3、第1カフ構造体4の一部及び第2カフ構造体5の一部の構成を示す平面図であり、
図7は、血圧測定装置1の装置本体3、第1カフ構造体4の一部及び第2カフ構造体5の一部の構成を、カフカバー33を省略して示す平面図である。
【0019】
図8は、装置本体3の構成を分解して上面側から示す斜視図であり、
図9は、装置本体3の構成を分解して下面側から示す斜視図である。
図10は、血圧測定装置1の流路板ユニット24の一例を概略的に示す斜視図であり、
図11は、血圧測定装置1の流体回路24の一例を示すブロック図であり、
図12は、血圧測定装置1の流路板ユニット24に設けた部品の検査時の一例を示すブロック図である。
【0020】
図1乃至
図3に示すように、血圧測定装置1は、例えば、装置本体3と、第1カフ構造体4と、第2カフ構造体5と、バンド6と、を備える。血圧測定装置1は、装置本体3から第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5が、装置本体3の相対する方向に延びるとともに、バンド6が第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を覆い、バンド6によって生体である手首300に固定可能に形成される。
【0021】
図1乃至
図5、
図8及び
図9に示すように、装置本体3は、例えば、筐体11と、表示部12と、操作部13と、ポンプ14と、加速度センサ15と、弁16と、圧力センサ17と、電池18と、通信部19と、生体センサ20と、充電回路部21と、メモリ22と、プロセッサ23と、流体回路24と、基板25と、を備える。
【0022】
筐体11は、装置本体3の構成要素を収容するケースである。筐体11は、例えば、表示部12、操作部13、ポンプ14、加速度センサ15、弁16、圧力センサ17、電池18、通信部19、生体センサ20、充電回路部21、メモリ22、プロセッサ23、流体回路24及び基板25を収容する。
【0023】
図5乃至
図7に示すように、筐体11は、例えば、外郭ケース31と、外郭ケース31の上部開口を覆う風防32と、外郭ケース31の下方に設けられるカフカバー33と、を備えている。
【0024】
外郭ケース31は、有底筒状、例えば底部を有する円筒状、矩形筒状、又は多角形筒状等に形成される。本実施形態において、外郭ケース31は、有底矩形筒状に形成される例を示す。具体例として、外郭ケース31は、矩形筒状の周壁部31aと、周壁部31aに設けられた底部31bと、周壁部31aの四方の外周面のうち、一対の面に設けられた一対のループ部31cと、を有する。
【0025】
周壁部31aには、例えば、操作部13の一部が配置される開口31dが形成される。例えば、開口31dは、周壁部31aのうち、一対のループ部31cが設けられる二面とは異なる一面に形成される。また、例えば、開口31dは、周壁部31aの一面に2つ形成される。
【0026】
底部31bは、筐体11(外郭ケース31)の裏面(底部31b)を構成する。底部31bは、例えば、一部が手首300に接触可能に突出する。例えば、底部31bは、外面側の中央側が矩形状に突出し、そして、底部31bの内面側の中央側が矩形状に窪むことで形成される突出部31b1を有する。また、底部31bには、生体センサ20を配置する複数の窓部31b2と、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5とポンプ14とを流体的に接続する部材としての後述する接続部73、83を配置する複数の孔部31b3とが形成される。
【0027】
突出部31b1の内面側には、生体センサ20が配置される。突出部31b1は、筐体11の裏面に配置される生体センサ20及び充電端子214の少なくとも1つを含むセンサ部を構成する。ここで、筐体11の裏面に配置される生体センサ20及び充電端子214とは、生体センサ20を構成する部品の一部が筐体11の裏面に露出するか又は筐体11の裏面に第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5以外の部材(例えば、後述するカバー31b5)を介して配置されることを意味する。
【0028】
窓部31b2は、突出部31b1に形成される。窓部31b2は、例えば、
図5に示すように、突出部31b1の複数箇所に形成された複数の開口31b4と、これら開口31b4を覆う、ガラスや樹脂材料等の透光性を有するカバー31b5と、により形成される。カバー31b5は、例えば、突出部31b1の外面を覆う。
【0029】
複数の孔部31b3は、底部31bのうち、突出部31b1と各ループ部31cとの間にそれぞれ形成される。本実施形態において、突出部31b1と一方のループ部31cとの間に、複数の孔部31b3が形成され、そして、突出部31b1と他方のループ部31cとの間に、複数の孔部31b3が形成される。各ループ部31cに隣接して設けられる複数の孔部31b3は、一方向、例えば、一対のループ部31cの対向方向に直交する方向に並ぶ。即ち、筐体11の裏面である底部31bは、一方向における一方の端部に第1カフ構造体4の一部構成が固定される複数の孔部31b3が、突出部31b1と離れた位置に配置され、そして、該一方向における他方の端部に第1カフ構造体4の他の一部の構成及び第2カフ構造体5が固定される複数の孔部31b3が、突出部31b1と該一方向で他方に離れて配置される。なお、孔部31b3の数及び配置は、流路板24aに形成される後述する複数のポート24cの数及び配置に応じて、適宜設定される。
【0030】
また、底部31bには、一方向に長いスリット状の通気口31b6が形成され、底部31bは、この通気口31b6を覆う防水透湿シート31b7を備える。防水透湿シート31b7は、底部31bの通気口31b6を介して外部から筐体11内へ水が浸入することを防止するとともに、筐体11内と外部とを通気可能に形成される。ここで、通気口31b6及び防水透湿シート31b7は、底部31bに固定される第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5と重ならない位置、即ち、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5と離れた位置に設けられる。例えば、一対のループ部31cの対向方向に直交する方向において、突出部31b1の一方側に隣接して第1カフ構造体4の後述する第1押圧カフ52の流路体72が設けられ、そして、突出部31b1の他方側に隣接して通気口31b6及び防水透湿シート31b7が設けられる。
【0031】
ループ部31cは、バンド6を通し、バンド6を固定又はバンド6を折り返すことが可能に形成される。例えば、ループ部31cは、バンド6を挿通可能な一方向に長い開口を有する矩形環状の部材である。ループ部31cは、外郭ケース31の外側面に一体に形成される。一対のループ部31cのうち、一方のループ部31cには、バンド6の一端が固定され、そして、他方のループ部31cには、バンド6が折り返される。
【0032】
風防32は、外郭ケース31の外周縁形状と同様の形状、本実施形態においては矩形状のガラス板である。なお、風防32は、透明又は透光性を有する材料であれば、ガラス板に限定されない。
【0033】
カフカバー33は、外郭ケース31の底部31bを覆う。カフカバー33には、底部31bの突出部31b1が配置され、外部に突出部31b1を露出させる開口33aが形成される。例えば、カフカバー33は、底部31bに固定されたときに、突出部31b1がカフカバー33の手首300と対向する主面から突出する厚さ及び形状に形成される。また、例えば、カフカバー33は、四隅に螺子が配置される孔33bが形成され、筐体11の外郭ケース31の底部31bに螺子等により着脱可能に固定される。
【0034】
カフカバー33は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の底部31bに配置される端部を覆い、底部31bとの間に生じる隙間に、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の端部を配置するとともに、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を底部31bに固定する。具体例として、カフカバー33は、後述する第1押圧カフ52の流路体72の一部及び接続部73、センシングカフ54の流路体82及び複数の接続部83、並びに、第2押圧カフ62の流路体92及び複数の接続部93を覆う。そして、カフカバー33は、第1押圧カフ52の一部、センシングカフ54及び第2押圧カフ62の覆った部位が底部31bから離れる方向の移動を規制することで、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を固定する。なお、カフカバー33は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5との間に、緩衝材を有する構成としても良い。
【0035】
表示部12は、風防32の直下に配置される。表示部12は、電気的にプロセッサ23に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。具体例として、表示部12は、OLED(Organic Light Emitting Diode)である。表示部12は、日時、最高血圧及び最低血圧などの血圧値、心拍数等の測定結果、電池18の充電状況や残量等の情報を含む各種情報を表示する。表示部12は、例えば、平面視で、風防32と同形状か、又は、風防32よりも若干小さい形状に形成される。
【0036】
操作部13は、ユーザからの指令を入力可能に構成される。操作部13は、例えば、筐体11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサと、表示部12又は風防32に設けられたタッチパネル43と、を備えている。操作部13は、ユーザが操作することで、指令を電気信号に変換する。センサ及びタッチパネル43は、電気的にプロセッサ23に接続され、操作に対応する電気信号をプロセッサ23へ出力する。
【0037】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、例えば流体としての空気を圧縮し、流体回路24を介して圧縮空気を第1カフ構造体4の後述する第1押圧カフ52の空気袋71及びセンシングカフ54の空気袋81、及び、第2カフ構造体5の後述する第2押圧カフ62の空気袋91に供給する。ポンプ14は、電気的にプロセッサ23に接続される。ポンプ14は、内部に、流路板24aと接続される流路を開閉する弁機構を有する。
【0038】
加速度センサ15は、例えば、3軸加速度センサである。加速度センサ15は、例えば、加速度を測定し、アナログ信号を出力する。加速度センサ15は、例えば、A/D変換回路を介して、プロセッサ23に接続される。
【0039】
弁16は、例えば、開閉弁である。弁16は、流体回路24のうちポンプ14と第1カフ構造体4及び/若しくは第2カフ構造体5とを接続する流体回路、並びに/又は、第1カフ構造体4と外部(大気)とを接続する流体回路を開閉する。本実施形態において、弁16は、第2カフ構造体5の後述する第2押圧カフ62に接続される流体回路(後述する第2内部流路242)を開閉する。弁16は、プロセッサ23に電気的に接続される。例えば、弁16は、プロセッサ23の制御によって開閉される。
【0040】
具体例として、弁16は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5に供給された空気を大気に開放する弁である。弁16は、例えば、血圧測定時に第1押圧カフ52、第2押圧カフ62及びセンシングカフ54へ空気を供給するときにおいて、プロセッサ23に制御されることで閉状態に切り替えられる。また、弁16は、第1押圧カフ52、第2押圧カフ62及びセンシングカフ54を排気するときにおいて、プロセッサ23に制御されることで閉状態から開状態へ切り替えられる。また、弁16は、開度の調整が可能に形成されていてもよい。
【0041】
圧力センサ17は、例えば、流体回路24に設けられる。圧力センサ17は、第1押圧カフ52及び/又はセンシングカフ54の圧力を検出する。例えば、圧力センサ17は、センシングカフ54の圧力を検出する。圧力センサ17は、例えば、A/D変換回路を介して、電気的にプロセッサ23に接続され、検出した圧力を電気信号に変換し、プロセッサ23へ出力する。
【0042】
電池18は、例えば、充放電可能なリチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電池18は、プロセッサ23に電気的に接続される。電池18は、プロセッサ23に電力を供給する。電池18は、プロセッサ23の各構成、並びに、プロセッサ23を介して表示部12、操作部13、ポンプ14、加速度センサ15、弁16、圧力センサ17、通信部19及び生体センサ20に、駆動用の電力を供給する。
【0043】
通信部19は、外部の装置と無線及び/又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部19は、例えば、無線通信の規格に準拠した無線通信モジュールである。通信部19は、例えば、プロセッサ23によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、外部の装置へ送信し、また、外部の装置からソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。本実施形態において、外部の装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等の外部端末である。
【0044】
本実施形態において、通信部19及び外部端末は、直接接続されてもよく、ネットワークを介して接続されてもよい。通信部19及び外部端末は、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimax、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信回線を介して接続されてもよい。また、通信部19及び外部の装置は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、NFC(Near Filed Communication)、赤外線通信といった無線通信手段により接続されてもよい。また、通信部19は、例えば、無線通信モジュールに加え、マイクロUSB(Universal Serial Bus)等の汎用コネクタや血圧測定装置1用の専用コネクタを有し、USBケーブル等の各種ケーブルにより、外部端末と、直接、又は、LAN(Local Area Network)接続といった有線通信回線を介して接続されてもよい。このため、通信部19は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数の通信手段を含む構成であってもよい。なお、有線通信用のコネクタは、血圧測定装置1用の専用のコネクタであってもよい。
【0045】
生体センサ20は、手首300と接触又は対向することで、生体の情報を検出可能に形成されたセンサである。生体センサ20は、検出した生体の情報を電気信号に変換し、プロセッサ23へ出力する。生体センサ20は、例えば、心拍数、体温等の物理量を計測するセンサであってもよく、また、血糖値や血中酸素濃度などの化学的な値を計測するセンサであってもよい。本実施形態において、生体センサ20は、例えば、PPGセンサ20a、SpO2センサ20b及びECGセンサ20cを備える。
【0046】
例えば、PPGセンサ20aは、光電式容積脈波記録法(Photoplethysmography)によって心拍数を測定する。例えば、PPGセンサ20aは、第1LED20dと、第2LED20eと、第1PD(Photodiode)20fと、を備える。
【0047】
例えば、SpO2センサ20bは、サチュレーション(経皮的動脈血酸素飽和度)を測定する。SpO2センサ20bは、第2LED20eと、第2PD20gと、を備える。ここで、例えば、PPGセンサ20a及びSpO2センサ20bは、第2LED20eを共有する。
【0048】
例えば、ECGセンサ20cは、心臓内の電気の流れを測定し、心電図波形を取得する。例えば、ECGセンサ20cは、一対の心電電極20c1を有する。
【0049】
充電回路部21は、例えば、アンテナ部211と、受電部212と、充電部213と、充電端子214と、を備える。充電回路部21は、ワイヤ給電及び/又はワイヤレス給電により電池18を充電する。例えば、充電回路部21は、アンテナ部211により外部に設けられる送電装置100のアンテナ部103から送電される送電電力を受電し、電池18を充電する。また、例えば、充電回路部21は、充電端子214により外部に設けられる送電装置100の送電端子104から送電される送電電力を受電し、電池18を充電する。即ち、充電回路部21は、アンテナ部211及び充電端子214を選択的に使用することで、送電装置100から受電することで、電池18を充電する。なお、充電回路部21は、ワイヤ給電及びワイヤレス給電の双方が可能に形成されていてもよく、また、ワイヤ給電及びワイヤレス給電の一方のみが可能に形成されていてもよい。
【0050】
アンテナ部211は、送電装置100のアンテナ部103からの送電電力を受電する。アンテナ部211は、例えば、受電共振回路としての受電コイルである。アンテナ部211は、受電した電力を受電部212へ供給する。アンテナ部211の受電面は、平面状に形成される。アンテナ部211は、例えば、筐体11内に配置される。具体例として、アンテナ部211は、筐体11内であって、表示部12の風防32とは反対側に、表示部12と隣接して設けられる。アンテナ部211は、例えば、共振用コンデンサを含み、受電共振回路を構成する。
【0051】
受電部212は、アンテナ部211又は充電端子214で受電した電力を整流し、充電部213へ供給する。具体例として、受電部212は、アンテナ部211から供給される受電電力を整流し、交流から直流に変換する。例えば、受電部212は、整流回路及び制御回路を含み、制御回路により整流回路の動作を制御し、整流した直流電力を充電部213へ出力する。
【0052】
充電部213は、受電部212から供給される電力を充電用の電力として、電池18へ供給する。例えば、充電部213は、受電部212から供給された電力を、所定の電流値及び電圧値に変換して電池18に供給する。また、例えば、充電部213は、電池18の充電状態を受電部212及び/又はプロセッサ23に出力する回路を有していても良い。
【0053】
充電端子214は、例えば、一対の端子214aを有し、この一対の端子214aを介して送電装置100の送電端子104からの送電電力を受電する。
【0054】
メモリ22は、例えば、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含む。メモリ22は、各種データを記憶する。例えば、メモリ22は、血圧測定装置1全体及びポンプ14を制御するためのプログラム及びアプリケーション等の各種プログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、圧力センサ17で計測された圧力から血圧値を算出するための算出データ、生体センサ20で計測された情報から心拍数、サチュレーション、心電図波形等の生体情報を算出するための算出データ等を変更可能に予め格納される。
【0055】
プロセッサ23は、メモリ22に格納されたプログラムに基づいて血圧測定装置1全体の動作、並びに、ポンプ14及び弁16の動作を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。また、プロセッサ23は、読み込んだプログラムに従い、所定の演算、解析、処理等を実行する。プロセッサ23は、CPU等の演算装置である。プロセッサ23は、例えば、メインCPUに加え、サブCPUを含み得る。また、プロセッサ23は、実行した各種動作及び演算、解析、処理等の状況や結果をプログラム又はアプリケーションにより表示部12に表示する。
【0056】
流体回路24は、筐体11内に設けられる、ポンプ14、弁16、圧力センサ17、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の少なくとも2以上を流体的に接続する。流体回路24は、例えば、ポンプ14から第1カフ構造体4へ供給する流体の流路を形成する管や流路板24a、第1カフ構造体4及び/又は第2カフ構造体5へ供給する流体の供給量や圧力を制御する流路抵抗である単数又は複数のオリフィス24b等の構成部品、流体の流れ方向を制御するチェックバルブを含み得る。本実施形態において、流体回路24は、流路板24a及び複数のオリフィス24bを有する流路板ユニットである。
【0057】
流路板24aは、樹脂材料又は金属材料で形成された複数の板と、隣り合う板の間に配置される、流路となるスリットが形成されたシートや両面テープとを接合することで形成される。複数のオリフィス24bは、流路板24a内に設けられる。本実施形態において、第1カフ構造体4の後述する第1押圧カフ52及びセンシングカフ54の間に接続されるオリフィス24bを第1流路抵抗24b1とし、センシングカフ54の二次側に接続されるオリフィス24bを第2流路抵抗24b2として、以下説明する。
【0058】
基板25は、例えば、制御基板25aと、センサメイン基板25bと、センササブ基板25cと、を備える。
【0059】
制御基板25aには、例えば、加速度センサ15、弁16、圧力センサ17、通信部19、充電回路部21の回路構成、メモリ22及びプロセッサ23が実装さる。
【0060】
センサメイン基板25bには、PPGセンサ20a及びSpO2センサ20bに用いられる第1LED20d、第2LED20e、第1PD20f及び第2PD20gが実装される。
【0061】
センササブ基板25cには、PPGセンサ20a、SpO2センサ20b及びECGセンサ20cを構成するための各種回路や電子部品が実装される。例えば、制御基板25a、センサメイン基板25b及びセンササブ基板25cは、電気的に接続される。
【0062】
以下、第1カフ構造体4の具体例を
図1乃至
図3、
図5を用いて説明する。
図1乃至
図3、
図5に示すように、第1カフ構造体4は、第1カーラ51と、第1押圧カフ52と、背板53と、センシングカフ54と、を備える。第1カフ構造体4は、例えば、第1カーラ51と、第1押圧カフ52と、背板53と、センシングカフ54と、を備える。第1カフ構造体4は、第1カーラ51、第1押圧カフ52、背板53、及びセンシングカフ54が手首300に向かって順次積層されることで構成される。なお、第1カフ構造体4は、第1カーラ51及び/背板53を有さない構成であってもよい。
【0063】
第1カーラ51は、例えば、一端側が筐体11の手首300側に設けられる底部31bに固定される。第1カーラ51は、手首300の周方向に倣う形状に湾曲する帯状に形成される。第1カーラ51は、樹脂材料で構成される。第1カーラ51は、可撓性及び形状保持性を有する、低硬度の材料で形成される。ここで、可撓性とは、第1カーラ51にバンド6からの外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。形状保持性とは、外力が印加されないときに、第1カーラ51が予め賦形された形状を維持できることをいう。即ち、第1カーラ51は、圧縮変形しないか又は圧縮変形を略しないが、形状、特に、湾曲する部位の曲率が変わる曲げ変形等の弾性変形が可能な硬さの樹脂材料で形成される。よって、第1カーラ51は、外力が印加されることで、曲げ変形し、装着する手首の形状に倣って、その手首300が配置される内部空間が大きく、又は、小さくなるように、弾性変形可能に形成される。例えば、第1カーラ51は、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic Polyurethane、以下TPUと表記する)や、ポリプロピレン樹脂により形成される。
【0064】
また、第1カーラ51は、一端側が筐体11に固定される。また、第1カーラ51は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が長い手首300に装着したときに、2つの動脈311、312のうち少なくとも一方の動脈と対向する長さに形成される。好ましくは、第1カーラ51は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が長い手首300に装着したときに、2つの動脈311、312と対向する長さに形成される。また、第1カーラ51は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が短い手首300に装着したときに、他端が装置本体3に接触しない長さに設定される。第1カーラ51は、例えば、装置本体3の筐体11から延出する部位が、手首300の左右の一方の手首300の側方及び手首300手の平側の形状に倣うように所定の曲率半径で湾曲する。
【0065】
第1押圧カフ52は、第1カーラ51の内周面に、両面テープ、接着剤及び熱溶着等により固定される。第1押圧カフ52は、流体回路24を介して、ポンプ14に流体的に接続される。第1押圧カフ52は、一方の主面が第1カーラ51の内面に固定される。第1押圧カフ52は、膨張することで、手首300の手の甲側を押圧するとともに、背板53及びセンシングカフ54を手首300側に向かって押圧する。
【0066】
第1押圧カフ52は、例えば、単数又は複数の空気袋71と、空気袋71の端部に設けられた流路体72と、流路体72に設けられ、流体回路24に接続されるニップル等の接続部73と、を備えている。ここで、空気袋71とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。空気袋71は、一方向に長い矩形袋状に形成される。
【0067】
空気袋71は、複数のシート部材を熱溶着等によって袋状に形成される。例えば、第1押圧カフ52が複数の空気袋71を有する構成であるときは、複数の空気袋71は、積層され、溶着等により一体に形成されるとともに、流体的に連続する。空気袋71を形成するシート部材は、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成される。ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、TPUである。
【0068】
流路体72は、例えば、空気袋71の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。流路体72は、空気袋71を形成する複数のシート部材のうち、二枚のシート部材の一部によって形成される。また、流路体72は、空気袋71の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成されている。流路体72は、先端に接続部73が一体に設けられる。流路体72は、接続部73を介して流体回路24に接続され、流体回路24と空気袋71との間の流路を構成する。膨張時の流路体72の厚さは、膨張時の空気袋71の厚さよりも小さい。
【0069】
接続部73は、例えば、1つ設けられる。1つの接続部73は、底部31bに形成された1つの孔部31b3を介して、流体回路24に接続される。
【0070】
なお、例えば、流路体72は、底部31bに形成される突出部31b1を避けるべく、突出部31b1に隣接して、一対のループ部31cの対向方向で底部31bの一端側から他端側に延び、そして、第2カフ構造体5が突出する側の底部31bの端部に形成された複数の孔部31b3のうち1つの孔部31b3に接続部73が接続される。
【0071】
背板53は、第1押圧カフ52の手首300側の面に、両面テープや接着剤等により固定される。背板53は、樹脂材料により形成される。背板53は、例えば、一方向に長い矩形板状に形成される。なお、背板53は、例えば、分割される構成、即ち、複数の矩形状の小片を一方向に並べて形成されていてもよい。背板53は、形状追従性を有する。
【0072】
ここで、形状追従性とは、配置される手首300の被接触箇所の形状を倣うように背板53が変形可能な機能であり、手首300の被接触箇所とは、手首300の背板53と接触する領域であり、ここでの接触とは、背板53の直接的な接触及び背板53のセンシングカフ54を介した間接的な接触の双方を含む。
【0073】
センシングカフ54は、背板53の手首側の主面に固定される。センシングカフ54は、手首300の動脈311、312が存する領域に直接、又は、カバー等を介して間接的に接触する。センシングカフ54は、一方向に長い矩形状に形成される。なお、センシングカフ54は、手首300の一方の動脈311、312が存する領域に接触する構成であってもよい。センシングカフ54は、長手方向において、第1押圧カフ52と同じか、又は、第1押圧カフ52よりも小さい。また、センシングカフ54は、短手方向において、第1押圧カフ52と同じか、又は、第1押圧カフ52よりも小さい。センシングカフ54は、背板53の長手方向及び幅方向で、背板53と同一形状か、又は、背板53よりも小さいか、又は、背板53よりも大きい。センシングカフ54は、膨張することで手首の手の平側の動脈が存する領域を圧迫する。センシングカフ54は、膨張した第1押圧カフ52により、背板53を介して生体側に押圧される。
【0074】
具体例として、センシングカフ54は、空気袋81と、空気袋81に流体的に接続される流路体82と、流路体82に設けられるニップル等の接続部83と、を備えている。空気袋81及び流路体82は、複数のシート部材を熱溶着等によって袋状に形成される。空気袋81及び流路体82を形成するシート部材は、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成される。ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、TPUである。
【0075】
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋等であってもよい。空気袋81は、一方向に長い矩形状に構成される。
【0076】
流路体82は、例えば、空気袋81の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。流路体82は、空気袋81を形成する複数のシート部材のうち、二枚のシート部材の一部によって形成される。また、流路体82は、空気袋81の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成されている。流路体82は、先端に接続部83が一体に設けられる。流路体82は、接続部83を介して流体回路24に接続され、流体回路24と空気袋81との間の流路を構成する。膨張時の流路体82の厚さは、膨張時の空気袋81の厚さよりも小さい。
【0077】
接続部83は、複数設けられる。複数の接続部83は、第1カフ構造体4が突出する側の底部31bの端部に形成された複数の孔部31b3に接続される。複数の接続部83は、流体回路24に接続される。
【0078】
以下、第2カフ構造体5の具体例を
図1乃至
図3、
図5を用いて説明する。
図1乃至
図3、
図5に示すように、第2カフ構造体5は、第2カーラ61と、第2押圧カフ62と、を備える。第2カフ構造体5は、第2カーラ61及び第2押圧カフ62が手首300に向かって順次積層されることで構成される。
【0079】
第2カーラ61は、例えば、一端側が筐体11の手首300側に設けられる底部31bに固定される。第2カーラ61は、手首300の周方向に倣う形状に湾曲する帯状に形成される。第2カーラ61は、樹脂材料で構成される。第2カーラ61は、可撓性及び形状保持性を有する、低硬度の材料で形成される。ここで、可撓性とは、第2カーラ61にバンド6からの外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。形状保持性とは、外力が印加されないときに、第2カーラ61が予め賦形された形状を維持できることをいう。即ち、第2カーラ61は、圧縮変形しないか又は圧縮変形を略しないが、形状、特に、湾曲する部位の曲率が変わる曲げ変形等の弾性変形が可能な硬さの樹脂材料で形成される。よって、第2カーラ61は、外力が印加されることで、曲げ変形し、装着する手首の形状に倣って、その手首300が配置される内部空間が大きく、又は、小さくなるように、弾性変形可能に形成される。例えば、第2カーラ61は、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic Polyurethane、以下TPUと表記する)や、ポリプロピレン樹脂により形成される。
【0080】
また、第2カーラ61は、一端側が筐体11に固定される。また、第2カーラ61は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が長い手首300に装着したときに、2つの動脈311、312のうち少なくとも一方の動脈と対向し、且つ、端部側が第1カフ構造体4と重なる長さに形成される。ここで、2つの動脈311、312のうち、一方が橈骨動脈311であり、他方が尺骨動脈312である。好ましくは、第2カーラ61は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が長い手首300に装着したときに、2つの動脈311、312と対向する長さに形成される。また、第2カーラ61は、血圧測定装置1を、装着が想定される使用者のうち、最も周長が短い手首300に装着したときに、他端が装置本体3に接触しない長さに設定される。第2カーラ61は、例えば、装置本体3の筐体11から延出する部位が、手首300の左右の一方の手首300の側方及び手首300手の平側の形状に倣うように所定の曲率半径で湾曲する。
【0081】
第2押圧カフ62は、第2カーラ61の内周面に、両面テープ、接着剤及び熱溶着等により固定される。第2押圧カフ62は、流体回路24を介して、ポンプ14に流体的に接続される。第2押圧カフ62は、一方の主面が第2カーラ61の内面に固定される。第2押圧カフ62は、膨張することで、対向する手首300を押圧するとともに、オーバーラップした第1カフ構造体4を手首300側に向かって押圧する。第2押圧カフ62の膨張時の厚さは、第1押圧カフ52の膨張時の厚さと同じか、又は、第1押圧カフ52の膨張時の厚さよりも大きい。
【0082】
第2押圧カフ62は、例えば、単数又は複数の空気袋91と、空気袋91の端部に設けられた流路体92と、流路体92に設けられ、流体回路24に接続されるニップル等の接続部93と、を備えている。ここで、空気袋91とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。空気袋91は、一方向に長い矩形袋状に形成される。
【0083】
空気袋91は、複数のシート部材を熱溶着等によって袋状に形成される。例えば、第2押圧カフ62が複数の空気袋91を有する構成であるときは、複数の空気袋91は、積層され、溶着等により一体に形成されるとともに、流体的に連続する。空気袋91を形成するシート部材は、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成される。ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、TPUである。
【0084】
流路体92は、例えば、空気袋91の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。流路体92は、空気袋91を形成する複数のシート部材のうち、二枚のシート部材の一部によって形成される。また、流路体92は、空気袋91の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成されている。流路体92は、先端に接続部93が一体に設けられる。流路体92は、接続部93を介して流体回路24に接続され、流体回路24と空気袋71との間の流路を構成する。膨張時の流路体92の厚さは、膨張時の空気袋91の厚さよりも小さい。
【0085】
接続部93は、例えば、複数設けられる。複数の接続部93は、底部31bに形成された複数の孔部31b3を介して、流体回路24に接続される。
【0086】
なお、例えば、接続部93は、第2カフ構造体5が突出する側の底部31bの端部に形成された複数の孔部31b3のうちいずれか1以上の孔部31b3に接続部93が接続される。
【0087】
このように構成された第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62は、最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着したときに、第1押圧カフ52の空気袋71の膨張する部位が、2つの動脈311、312のうち少なくとも一方の動脈を覆い、そして、空気袋71に第2押圧カフ62の空気袋91がオーバーラップできる長さに形成される。また、第2押圧カフ62の空気袋91は、最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着し、第1押圧カフ52の空気袋71にオーバーラップしたときに、空気袋91の流路体92とは反対側の端縁が第1押圧カフ52の空気袋71が覆う動脈上において第1押圧カフ52の空気袋71と重ならない長さに形成される。即ち、第2押圧カフ62の空気袋91は、最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着し、第1押圧カフ52の空気袋71にオーバーラップしたときに、第1押圧カフ52の空気袋71が覆う動脈上において、第2押圧カフ62の空気袋91の膨張する部位が第1押圧カフ52の空気袋71と重なる長さに設定される。
【0088】
バンド6は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5に対して手首300と反対側の外周側に帯状に形成される。バンド6は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5に固定されない。バンド6は、一方の端部が一方のループ部31cに固定される。また、バンド6は、一方にフックが、他方にループが形成された一対の面ファスナー6aを有し、これらが互いに係合することで、他方のループ部31cに端部側が挿入されたバンド6を固定する。また、バンド6は、他方の端部に使用者が掴みやすいように、つまみ6bを有する。
【0089】
例えば、バンド6は、第2カフ構造体5が延出する側に形成されるループ部31cに固定され、第1カフ構造体4が延出する側に形成されるループ部31cに挿入され、そして、折り返される。バンド6は、装着が想定される最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着するときに、外郭ケース31に設けられたループ部31cに挿入されうる長さである。また、面ファスナー6aは、装着が想定される最大周長及び最小周長の手首300において、バンド6を折り返して締結できる長さ及び配置でバンド6に設けられる。ループ部31cで折り返されたバンド6の端部がループ部31cから離れる向きに引っ張られることで、
図3に示すように、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5が手首300に巻き付いた状態で血圧測定装置1が手首300に装着される。バンド6が面ファスナー6aによって固定されることで、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62が膨張した際に手首と反対側の外側に膨らもうとする動きが規制されるため、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62が手首を圧迫することができる。これにより、血圧測定装置1は、公知のオシロメトリック法による血圧測定が可能となる。
【0090】
次に、このように構成された血圧測定装置1の流体回路24の流体的な構成の一例を、
図10乃至
図12を用いて説明する。なお、この例において、第1押圧カフ52の接続部73は1つ設けられ、センシングカフ54の接続部83は3つ設けられ、第2押圧カフ62の接続部93は3つ設けられる。
【0091】
先ず、流路板ユニット(流体回路)24の構成を、
図10乃至
図12を用いて説明する。流路板ユニット24は、流路板24a及び流路板24a内に設けられた2つの流路抵抗24b1、24b2を有する。
【0092】
流路板24aには、複数の内部流路が形成される。具体例として、流路板24aは、第1内部流路241と、第2内部流路242と、第3内部流路243と、第4内部流路244と、第5内部流路245と、第6内部流路246と、第7内部流路247と、を含む。
【0093】
第1内部流路241は、ポンプ14と、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62と、を接続する。第1内部流路241は、三方に分岐する流路である。第2内部流路242は、第1押圧カフ52及び弁16を接続する。第3内部流路243は、第1押圧カフ52及び第1流路抵抗24b1を接続する。第4内部流路244は、第1流路抵抗24b1及びセンシングカフ54を接続する。第5内部流路245は、センシングカフ54及び圧力センサ17を接続する。第6内部流路246は、センシングカフ54及び第2流路抵抗24b2を接続する。第7内部流路247は、第2流路抵抗24b2と大気と接続し、第2流路抵抗24b2の二次側を大気開放とする。
【0094】
これら複数の内部流路241~247は、それぞれ独立した流路として、流路板24a内に形成される。
【0095】
流路板24aは、例えば、ポンプ14を接続する第1ポート24a1、弁16を接続する第2ポート24a2、圧力センサ17を接続する第3ポート24a3、及び、大気開放される第4ポート24a4を有する。例えば、第1ポート24a1~第4ポート24a4は、流路板24aの上面、即ち、流路板24aの風防32側の主面に設けられる。
【0096】
第1ポート24a1は、第1内部流路241の3つの端部のうち、1つの端部に形成される。第2ポート24a2は、第2内部流路242の一方の端部に形成される。第3ポート24a3は、第5内部流路245の一方の端部に形成される。第4ポート24a4は、第7内部流路247の一方の端部に形成される。
【0097】
流路板24aは、例えば、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5の各カフ、及び、検査機に選択的に接続されか、又は、封止される複数のポート24cを有する。複数のポート24cは、外郭ケース31の底部31bに形成される複数の孔部31b3と対向して配置される。
【0098】
例えば、複数のポート24cは、第1押圧カフ52の接続部73を接続可能な1つの第5ポート24c1と、第2押圧カフ62の3つの接続部93に接続可能な3つの第6ポート24c2と、センシングカフ54の3つの接続部83に接続可能な3つの第7ポート24c3と、を含む。例えば、第5ポート24c1~第7ポート24c3は、流路板24aの下面、即ち、流路板24aの底部31b側の主面に設けられる。
【0099】
第5ポート24c1は、第1内部流路241の3つの端部のうち、第1ポート24a1が接続される端部とは異なる端部に形成される。3つの第6ポート24c2は、第1内部流路241の3つの端部のうち、第1ポート24a1及び第5ポート24c1が接続される端部とは異なる端部、第2内部流路242の他方の端部、並びに、第3内部流路243の他方の端部に、それぞれ形成される。3つの第7ポート24c3は、第4内部流路244の他方の端部、第5内部流路245の他方の端部、及び、第6内部流路246の他方の端部に形成される。
【0100】
これら複数のポート24cは、各カフ52、54、62の接続部73、83、93、及び、各種検査機に選択的に接続可能に形成される。また、複数のポート24cは、封止可能に形成される。
【0101】
次に、血圧測定装置1として、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5が接続される流体回路24の構成について
図11を用いて説明する。第1押圧カフ52は、第5ポート24c1に接続部73が固定され、第2押圧カフ62は、1つの第6ポート24c2に接続部93が固定される。これにより、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62は、流路板24aの第1内部流路241を介してポンプ14に接続される。
【0102】
第2押圧カフ62は、1つの第6ポート24c2に接続部93が固定されることで、流路板24aの第2内部流路242を介して、弁16に接続される。また、第2押圧カフ62は、1つの第6ポート24c2に接続部93が固定されることで、流路板24aの第3内部流路243を介して、第1流路抵抗24b1に接続される。
【0103】
センシングカフ54は、1つの第7ポート24c3に接続部83が固定されることで、流路板24aの第4内部流路244を介して第1流路抵抗24b1に接続される。これにより、センシングカフ54は、第1流路抵抗24b1を介して第2押圧カフ62に接続される。また、センシングカフ54は、1つの第7ポート24c3に接続部83が固定されることで、流路板24aの第5内部流路245を介して圧力センサ17に接続される。また、センシングカフ54は、1つの第7ポート24c3に接続部83が固定されることで、流路板24aの第6内部流路246を介して、第2流路抵抗24b2に接続され、これにより、センシングカフ54は、大気に第2流路抵抗24b2を介して接続される。ここで、第1押圧カフ52及びセンシングカフ54の間の第1流路抵抗24b1と、センシングカフ54及び大気の間の第2流路抵抗24b2とは、第1押圧カフ52及びセンシングカフ54が所望の圧力差となる流路抵抗に設定される。
【0104】
次に、各部品の検査を行う場合に、血圧測定装置1及び検査機が接続される流体回路24の構成について
図12を用いて説明する。
【0105】
第1内部流路241に接続された第5ポート24c1及び1つの第6ポート24c2の一方は、封止され、他方は、ポンプ14の性能を検査するポンプ検査機401に接続される。なお、
図12の例において、第5ポート24c1が封止され、第6ポート24c2にポンプ検査機401が接続される例を示す。これにより、ポンプ検査機401は、第1内部流路241を介してポンプ14にのみ接続されることから、ポンプ14の検査が可能となる。
【0106】
第2内部流路242に接続された第6ポート24c2は、弁16を検査する弁検査機402に接続される。これにより、弁検査機402は、第2内部流路242を介して弁16にのみ接続されることから、弁16の検査が可能となる。
【0107】
第3内部流路243に接続された第6ポート24c2は、第1流路抵抗24b1を検査する第1流路抵抗検査機403に接続され、そして、第4内部流路244に接続された第7ポート24c3は、大気に開放される。これにより、第1流路抵抗検査機403は、第3内部流路243及び第4内部流路244により、第1流路抵抗24b1を介して大気に接続されることから、第1流路抵抗24b1を検査可能となる。
【0108】
第5内部流路245に接続された第7ポート24c3は、圧力センサ17を検査するセンサ検査機404に接続される。これにより、センサ検査機404は、第5内部流路245を介して圧力センサ17にのみ接続されることから、圧力センサ17の検査が可能となる。
【0109】
第6内部流路246に接続された第7ポート24c3は、第2流路抵抗24b2を検査する第2流路抵抗検査機405に接続され、そして、第7内部流路247に接続された第4ポート24a4は大気に開放される。これにより、第2流路抵抗検査機405は、第6内部流路246及び第7内部流路247により、第2流路抵抗24b2を介して大気に接続されることから、第2流路抵抗24b2を検査可能となる。
【0110】
これらのように、各種検査機401~405は、検査対象に、各内部流路241~247を介してそれぞれ接続されることから、独立して検査対象を検査可能となる。また、各種検査機401~405は、各カフ52、54、62を接続する複数のポート24cに接続すればよく、接続が容易となる。即ち、複数のポート24cは、各カフ52、54、62及び各検査機401~405を選択的に接続可能であり、血圧測定及び検査において各カフ52、54、62及び各検査機401~405の着脱及び封止が容易となる。
【0111】
次に、装置本体3の充電回路部21に送電する送電装置100の一例を説明する。
図4に示すように、送電装置100は、電源101と、送電部102と、アンテナ部103と、送電端子104と、を備える。なお、送電装置100は、アンテナ部103及び送電端子104の一方を備える構成であってもよい。電源101は、例えば、商用電源等に接続されるACアダプタ等である。電源101は、商用電源から入力される交流電力を直流電力に変換し、直流電力を送電部102に供給する。
【0112】
送電部102は、電源101から供給される直流電力を、送電電力としての交流電力を生成し、アンテナ部103に供給する。送電部102は、例えば、アンテナ部103による送電共振回路の共振周波数と同一、あるいは略同一の周波数の交流電力を生成する。
【0113】
アンテナ部103は、例えば、送電共振回路としての送電コイルである。アンテナ部103の送電面は、平面状に形成される。アンテナ部103は、装置本体3のアンテナ部211へ送電する。アンテナ部103は、例えば、共振用コンデンサを含み、送電共振回路を構成する。
【0114】
送電端子104は、装置本体3に設けられた充電端子214に接触し、そして、充電端子214に固定可能に形成される。
【0115】
このように構成される血圧測定装置1は、流路板ユニット(流体回路)24の流路板24a内に形成される複数の内部流路241~247が、それぞれ、ポンプ14と第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62、弁16と第2押圧カフ62、第2押圧カフ62と第1流路抵抗24b1、第1流路抵抗24b1とセンシングカフ54、圧力センサ17とセンシングカフ54、センシングカフ54と第2流路抵抗24b2、並びに、第2流路抵抗24b2と大気、をそれぞれ接続する。また、内部流路241~247は、それぞれ独立する。よって、血圧測定装置1が血圧を測定可能な使用可能状態時において、流路板ユニット24は、部品であるポンプ14、弁16及び圧力センサ17と、各カフ52、54、62を接続できる。また、血圧測定装置1の製造時やメンテナンス時において、各部品14、16、17を検査する検査状態時において、部品14、16、17及び各検査機401~405を接続できるとともに、検査を行わない場合には、封止か大気開放とすることができる。よって、血圧測定装置1は、流路板ユニット24である、内部に流路抵抗24b1、24b2が設けられた流路板24aのサイズを増加させることなく、流路板ユニット24に設けたポンプ14、弁16及び圧力センサ17を個別に検査することができる。
【0116】
また、血圧測定装置1は、第3内部流路243、第4内部流路244、第6内部流路246及び第7内部流路247により、第2押圧カフ62及び第1流路抵抗24b1、第1流路抵抗24b1及びセンシングカフ54、センシングカフ54及び第2流路抵抗24b2、並びに、第2流路抵抗24b2及び大気、をそれぞれ接続できる。よって、血圧測定装置1は、第1流路抵抗検査機403及び第2流路抵抗検査機405を第3内部流路243及び第6内部流路246にそれぞれ接続し、第4内部流路244を大気開放とすることで、第1流路抵抗24b1及び第2流路抵抗24b2の検査も可能となる。
【0117】
また、流路板24aは、各カフ52、54、62の接続部73、83、93、及び、検査機401~405を選択的に接続できる複数のポート24cを有する構成とした。即ち、流路板24aは、各カフ52、54、62及び検査機401~405をそれぞれ接続させるポートを設けることなく、複数のポート24cを血圧測定及び検査において兼用とすることができるため、形状が大きくなることを防止できるとともに、封止や大気開放も容易となる。即ち、血圧測定装置1は、カフカバー33を取り外した状態で、各ポート24cに、孔部31b3からカフ52、54、62、検査機401~405及び封止用の栓を選択的に接続できるため、内部流路241~247を簡素化することができるとともに、高い作業性を有する。
【0118】
また、血圧測定装置1は、装置本体3の一方向における両側に、それぞれ装置本体3から延出する、流体的に接続される第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を配置する。また、装置本体3は、裏面側である筐体11の底部31bに、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5と離れた位置、例えば、底部31bの中央側に、生体センサ20及び充電端子214の少なくとも一方を配置するスペースとしての突出部(センサ部)31b1を有する。これにより、装置本体3の裏面側に、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5と、生体センサ20及び充電端子214の少なくとも一方とを、それぞれ配置できる。
【0119】
また、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、流路板24aを含む流体回路24を介して流体的に接続される。なお、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62を直接流体的に接続してもよい。これらの構成により、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を設け、一方向において離れて筐体11に固定されたとしても、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を流体的に連続させることができる。
【0120】
また、装着が想定される最大周長の手首300に血圧測定装置1を装着したときに、2つの動脈311、312のうち、少なくとも一方の動脈が存する領域を第1押圧カフ52の空気袋71が覆い、そして、第2押圧カフ62の空気袋91は、第1押圧カフ52の空気袋71の少なくとも一部にオーバーラップできる。
【0121】
よって、手首300を第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62により押圧できるため、装置本体3の裏面に第1押圧カフ52の空気袋71及び第2押圧カフ62の空気袋91が配置されなくても、動脈を圧迫するために十分な押圧力が確保できる。
【0122】
このように、血圧測定装置1は、装着が想定される最大周長の手首300に装着されたときに、第1押圧カフ52の空気袋71及び第2押圧カフ62の空気袋91は、所定の長さだけオーバーラップできる。また、最小周長の手首300に血圧測定装置1が装着されたときに、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、装置本体3に接触しない長さである。また、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、バンド6と直接接合されない。
【0123】
これらの構成により、血圧測定装置1は、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62の空気袋71、91がオーバーラップして膨張することから、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62により好適に動脈を押圧できる。よって、血圧測定装置1は、装置本体3の裏面側に生体センサ20を配置できるとともに、装置本体3の裏面に第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62の空気袋71、91が配置されなくても、精度の良い血圧測定が可能となる。
【0124】
また、筐体11は、底部31bに防水透湿シート31b7で覆われた通気口31b6を有することで、筐体11内の通気が可能となる。また、通気口31b6と第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5とを、底部31bの突出部31b1以外の部位において、離れた位置に配置することで、通気口31b6が第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5に塞がれることを防止できる。また、底部31bと隙間を空けて配置されるカフカバー33で覆われる位置に通気口31b6を設けることで、通気口31b6がカフカバー33により保護される。よって、血圧測定装置1は、通気口31b6及び防水透湿シート31b7に汚れが付着することを防止でき、通気機能を損ねることを防止できる。
【0125】
また、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5は、筐体11の底部31bに配置される端部がカフカバー33に覆われることから、カフカバー33によって底部31bから離れる方向の移動が規制される。よって、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5が装置本体3から容易に外れることを防止できる。
【0126】
また、血圧測定装置1は、生体センサ20としての各種センサ20a~20c及び充電端子214を装置本体3の底部31bに設ける構成である。よって、装置本体3は、筐体11の内部に設けられる基板25から生体センサ20及び充電端子214を装置本体から遠い位置に設ける必要がなく、配線を簡素にすること等が可能となり、配置の自由度が高い。また、生体センサ20は、剛性が高い筐体11に設けられることになり、手首300に血圧測定装置1を装着したときに、手首300に安定して接触できることから、生体センサ20により、好適に生体情報を取得することができる。また、充電端子214を底部31bに設けることで、手首300から血圧測定装置1を取り外したときに、充電端子214が外部に露出することから、充電端子214を用いた充電が容易となる。
【0127】
また、血圧測定装置1は、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62が装置本体3内に設けられた流体回路24を介して流体的に接続されることで、底部31bにおいて、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62の配置を簡素化できる。
【0128】
このように構成された血圧測定装置1は、流路板ユニット24を大きくすることなく、流路板ユニット24に設けた部品であるポンプ14、弁16、圧力センサ17、第1流路抵抗24b1及び第2流路抵抗24b2を検査機401~405により個別に検査することができる。
【0129】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、流体回路である流路板ユニット24は、ポンプ14、第1押圧カフ52及び第2押圧カフ62を接続する第1内部流路241、並びに、第2押圧カフ62及び第1流路抵抗24b1を接続する第3内部流路243を独立した流路とし、第1流路抵抗24b1及びセンシングカフ54を接続する第4内部流路244、並びに、センシングカフ54及び第2流路抵抗24b2を接続する第6内部流路246を独立した流体とした例を説明した。
【0130】
しかしながら、
図13乃至
図16に示すように、流路板ユニット24は、第1内部流路241及び第3内部流路243を一体とした第8内部流路241,243、第4内部流路244及び第6内部流路246を一体とした第9内部流路244、246とする構成としてもよい。
【0131】
このような構成の血圧測定装置1は、第1押圧カフ52の接続部73は1つ設けられ、センシングカフ54の接続部83は2つ設けられ、第2押圧カフ62の接続部93は2つ設けられる。即ち、
図14に示すように、センシングカフ54の接続部83を2つ、第2押圧カフ62の接続部93を2つとし、そして、
図13及び
図14に示すように、第6ポート24c2及び第7ポート24c3を2つとすることができる。
【0132】
例えば、
図14に示すように、第8内部流路241、243は、第1ポート24a1、第5ポート24c1及び第6ポート24c2を介してポンプ14、第1押圧カフ52、第2押圧カフ62及び第1流路抵抗24b1に接続される。また、
図14に示すように、第9内部流路244、246は、第7ポート24c3を介して第1流路抵抗24b1、第2流路抵抗24b2及びセンシングカフ54に接続される。
【0133】
また、ポンプ14の検査時においては、
図15に示すように、第8内部流路241、243に接続された第5ポート24c1及び第6ポート24c2の一方にポンプ検査機401を接続し、第6ポート24c2のもう一方と、第9内部流路244、246に接続される第7ポート24c3及び大気開放されていた第4ポート24a4を封止すればよい。また、第1流路抵抗24b1及び第2流路抵抗24b2の検査時においては、
図16に示すように、第8内部流路241、243に接続された第5ポート24c1及び第6ポート24c2の一方に第1流路抵抗検査機403を接続し、第6ポート24c2のもう一方と、第9内部流路244、246に接続される第7ポート24c3に第2流路抵抗検査機405を接続し、ポンプ14により第1ポート24a1から圧力を印加し、第4ポート24a4を大気開放すればよい。
【0134】
このような構成の血圧測定装置1によれば、流路板ユニット24及びカフ54、62との接続箇所を低減させることができるとともに、ポンプ14、弁16、圧力センサ17を検査することができる。また、第1流路抵抗検査機403及び第2流路抵抗検査機405で測定した圧力差から、第1流路抵抗24b1及び第2流路抵抗24b2による抵抗値を求めることができる。
【0135】
また、上述した例では、ポンプ14は開閉弁としての弁機構を有する構成を有する例を説明したがこれに限定されず、ポンプ14は、弁機構を有さない構成としてもよい。例えば、ポンプ14が弁機構を有さない構成とする場合における流路板ユニット24の例を、
図17乃至
図19に示す。
【0136】
例えば、ポンプ14が弁機構を有さない構成とする場合には、血圧測定装置1は、例えば、2つの弁16と、2つの圧力センサ17を備える。また、
図17及び
図18に示すように、流路板ユニット24は、2つの第2ポート24a2及び2つの第3ポート24a3を有し、独立する2つの第2内部流路242と、独立する2つの第5内部流路245を含み、そして、4つの第6ポート24c2及び4つの第7ポート24c3を有する。また、センシングカフ54は、4つの接続部83を有し、第2押圧カフ62は、4つの接続部93を有する。
【0137】
また、検査時には、血圧測定装置1は、2つの第2内部流路242にそれぞれ弁検査機402が接続され、2つの第5内部流路245にセンサ検査機404が接続される。このように、ポンプ14が弁機構を有さない構成の血圧測定装置1としてもよい。
【0138】
また、上述した例では、流路板24aに、各カフ52、54、62及び検査機401~405が選択的に接続される複数のポート24cを有する構成を説明したが、複数のポート24cの配置は、適宜設定できる。但し、接続するカフ52、54、62毎に複数のポート24cをまとめて配置した方が、カフ52、54、62の流路体72、82、92の形状を簡素化できるため、好ましい。
【0139】
また、上述した例では、バンド6は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5に固定されない例を説明した。しかしながら、バンド6は、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5がオーバーラップしたときに外側となる第2カフ構造体5に固定される構成としてもよい。即ち、バンド6が第2カフ構造体5に固定されていたとしても、第2カフ構造体5よりも手首300側となる第1カフ構造体4がバンド6に固定されていなければ、バンド6を締め付けたときに、第1カフ構造体4及び第2カフ構造体5を手首300に締め付けて密着させることができる。
【0140】
また、上述した例では、装置本体3は、筐体11の裏面側を形成する外郭ケース31の底部31bに生体センサ20としてPPGセンサ20a、SpO2センサ20b及びECGセンサ20cを設ける構成とした。しかし、生体センサ20は、PPGセンサ20a、SpO2センサ20b及びECGセンサ20cのうちいずれかであってもよく、またこれらのセンサ20a~20cに加え、又は、これらのセンサ20a~20cに変えて、他の生体情報を取得するセンサを有する構成としてもよい。
【0141】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0142】
1…血圧測定装置
3…装置本体
4…第1カフ構造体
5…第2カフ構造体
6…バンド
6a…面ファスナー
6b…つまみ
11…筐体
12…表示部
13…操作部
14…ポンプ
15…加速度センサ
16…弁
17…圧力センサ
18…電池
19…通信部
20…生体センサ
20a…PPGセンサ
20b…SpO2センサ
20c…ECGセンサ
20c1…心電電極
20d…第1LED
20e…第2LED
20f…第1PD
20g…第2PD
21…充電回路部
22…メモリ
23…プロセッサ
24…流路板ユニット(流体回路)
24a…流路板
24a1…第1ポート
24a2…第2ポート
24a3…第3ポート
24a4…第4ポート
24b…流路抵抗(オリフィス)
24b1…第1流路抵抗
24b2…第2流路抵抗
24c1…第5ポート
24c2…第6ポート
24c3…第7ポート
25…基板
25a…制御基板
25b…センサメイン基板
25c…センササブ基板
31…外郭ケース
31a…周壁部
31b…底部(裏面)
31b1…突出部(センサ部)
31b1…センサ部
31b2…窓部
31b3…孔部
31b4…開口
31b5…カバー
31b6…通気口
31b7…防水透湿シート
31c…ループ部
31d…開口
32…風防
33…カフカバー
33a…開口
33b…孔
41…釦
43…タッチパネル
51…第1カーラ
52…第1押圧カフ
53…背板
54…センシングカフ
61…第2カーラ
62…第2押圧カフ
71…空気袋
72…流路体
73…接続部
81…空気袋
82…流路体
83…接続部
91…空気袋
92…流路体
93…接続部
100…送電装置
101…電源
102…送電部
103…アンテナ部
104…送電端子
211…アンテナ部
212…受電部
213…充電部
214…充電端子
214a…端子
241…第1内部流路
242…第2内部流路
243…第3内部流路
244…第4内部流路
245…第5内部流路
246…第6内部流路
247…第7内部流路
300…手首
311…橈骨動脈
312…尺骨動脈
401…ポンプ検査機
402…弁検査機
403…第1流路抵抗検査機
404…センサ検査機
405…第2流路抵抗検査機