(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109487
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0484 20220101AFI20240806BHJP
【FI】
G06F3/0484
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014309
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】519363649
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】鷲見 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】植野 健一
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA04
5E555AA76
5E555BA01
5E555BA70
5E555BB01
5E555BC18
5E555CB44
5E555CB45
5E555CB46
5E555DB41
5E555DB53
5E555DB56
5E555DC11
5E555FA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】所定の提出書類として提出予定の第1の図面データを、第1のオブジェクト以外のオブジェクトを視認不能とした第2の図面データに変換する情報処理方法、情報処理システム及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理方法は、次の各ステップを含む。取得ステップでは、第1の図面データを取得する。第1の図面データは、第1のオブジェクトと第1のオブジェクト以外の第2のオブジェクトとを含む複数のオブジェクトが配置される。第1のオブジェクトは、所定の手続にて提出される画像を構成し、第2のオブジェクトは、画像に対する注釈又は画像の作成を支援する情報を含む。変換ステップでは、第1の図面データを、第2のオブジェクトを視認不能として第1の図面データとファイル形式が異なる第2の図面データに変換する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の場面において、図面作成ソフトウェア等を用いた図面の作成が行われている。一例として、特許文献1には、図面作成支援装置が開示されている。この図面作成支援装置は、知識元の事例から提示条件と照合条件が入力され、照合条件は有向グラフで表現される知識ルールに変換する知識入力部と、変換された知識ルールを記憶する知識ルール記憶部と、文書または図面作成アプリケーションにより作成中の文書または図面内容から知識ルールと同構造の有向グラフを求め、有向グラフの状態に応じて算出した照合スコアが閾値以上の場合に信号を出力する知識ルール照合部と、出力信号によりガイダンス情報を生成・提示するガイダンス生成部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では図面データに関し、より有益な情報処理方法等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、情報処理方法が提供される。この情報処理方法は、次の各ステップを含む。取得ステップでは、第1の図面データを取得する。第1の図面データは、第1のオブジェクトと第1のオブジェクト以外の第2のオブジェクトとを含む複数のオブジェクトが配置される。第1のオブジェクトは、所定の手続にて提出される画像を構成し、第2のオブジェクトは、画像に対する注釈又は画像の作成を支援する情報を含む。変換ステップでは、第1の図面データを、第2のオブジェクトを視認不能として第1の図面データとファイル形式が異なる第2の図面データに変換する。
【0006】
本発明の一つによれば、より有益な情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】情報処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】表示部14に表示されるユーザインターフェース2の一例を示すイメージ図である。
【
図3】情報処理装置1によって実行される情報処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。
【
図4】表示部14に表示されるユーザインターフェース2の一例を示すイメージ図である。
【
図5】情報処理装置1に表示される画面3の一例を示すイメージ図である。
【
図6】情報処理装置1の表示部14に表示される画面4の一例を示すイメージ図である。
【
図7】オブジェクトObの外縁の包含値fを説明するためのイメージ図である。
【
図8】情報処理装置1による情報処理の別の一例を示すアクティビティ図である。
【
図9】2つの閉領域を備えるユーザインターフェース2の一例を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-ReaDable MeDium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0010】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0011】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific IntegrateD Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FielD Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0012】
1.ハードウェア構成
本節では、ハードウェア構成について説明する。
【0013】
<情報処理装置1>
図1は、情報処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、表示部14と、入力部15とを備え、これらの構成要素が情報処理装置1の内部において通信バス10を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0014】
通信部11は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、情報処理装置1は、通信部11及びネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0015】
記憶部12は、情報処理装置1の動作に必要な様々な情報を記憶する。記憶部12は、例えば、制御部13によって実行される情報処理装置1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部13によって実行される情報処理装置1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0016】
制御部13は、情報処理装置1に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部13は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部13は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、情報処理装置1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部13によって具体的に実現されることで、制御部13に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部13は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部13を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0017】
表示部14は、情報処理装置1の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部14は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、情報処理装置1の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0018】
入力部15は、情報処理装置1の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部15は、表示部14と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部15がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バス10を介して制御部13に転送され、制御部13が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0019】
2.情報処理装置1の機能構成
本実施形態では、記憶部12に記憶されたソフトウェアによる情報処理がハードウェア(具体的には、制御部13)によって具体的に実現されることで、各ステップに例示される機能が実現される。換言すると、少なくとも1つの装置を備える情報処理システムは、情報処理方法の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備える。プロセッサの一例が制御部13である。
【0020】
具体的には、情報処理装置1の制御部13は、取得ステップと、変換ステップと、抽出ステップと、変更ステップと、表示制御ステップと、選択受付ステップとを実行するように構成される。
【0021】
制御部13は、取得ステップとして、記憶部12の少なくとも一部であるストレージ領域に記憶されている種々の情報を読み出し、読み出された情報を記憶部12の少なくとも一部である作業領域に書き込むことで、種々の情報を取得するように構成されている。ストレージ領域とは、例えば、記憶部12のうち、SSD等のストレージデバイスとして実施される領域である。作業領域とは、例えば、RAM等のメモリとして実施される領域である。一例として、制御部13は、取得ステップとして、第1の図面データを取得する。詳細は後述する。
【0022】
制御部13は、変換ステップとして、取得ステップで取得した様々な情報を変換するように構成されている。一例として、制御部13は、変換ステップとして、第1の図面データを第2の図面データに変換する。詳細は後述する。
【0023】
制御部13は、抽出ステップとして、種々の情報を抽出するように構成されている。一例として、制御部13は、取得ステップで取得した第1の図面データから所定の条件のオブジェクトObを抽出する。詳細は後述する。
【0024】
制御部13は、変更ステップとして、種々の情報を変更するように構成される。一例として、制御部13は、変更ステップとして、抽出ステップで抽出された情報の表示態様を変更する。詳細は後述する。
【0025】
制御部13は、表示制御ステップとして、種々の表示情報を生成して、ユーザが視認可能な表示内容を制御するように構成される。表示情報とは、画面、画像、アイコン、テキスト等といった、ユーザが視認可能な態様で生成された視覚情報そのものでもよいし、例えば表示部14に画面、画像、アイコン、テキスト等を表示させるためのレンダリング情報であってもよい。例えば、制御部13は、ユーザが視認可能な態様で第1の図面データのユーザインターフェース2を表示部14に表示させる。一例として、制御部13は、表示制御ステップとして、オブジェクトObの中で抽出された第2のオブジェクトであることをユーザに分かるように、表示部14に表示させる。詳細は後述する。
【0026】
制御部13は、選択受付ステップとして、通信部11又は記憶部12を介して選択された情報を受け付け、これを作業メモリに読出可能に構成される。特に、制御部13は、入力部15を介した、ユーザによる種々の選択を受け付ける。一例として、制御部13は、選択受付ステップとして、ユーザによる指令の選択を受け付ける。詳細は後述する。
【0027】
3.情報処理の流れ
本節では、情報処理装置1が実行する情報処理方法の流れについての概要を説明する。下記に示す通り、情報処理方法は、次の各ステップ(アクティビティ)を備える。なお、処理の順番は適宜入れ替えることができ、複数の処理が同時に実行されてもよいし、一部の処理が省略されてもよい。
【0028】
3.1 条件例示
一例として、第1の図面データがMicrosoft(登録商標)社のVISIO(登録商標)のファイルである場合を想定する。以後、第1の図面データの一例として、VISIOファイルD1を用いて説明する。VISIOファイルD1の内容は、特許庁に提出する特許出願用の図面の草稿である。VISIOファイルD1は、複数のページを有し、各ページに提出用の各図面が配置される。VISIOファイルD1の編集は、ユーザインターフェース2を介して実行される。VISIOには、予め設定された種々の形態の、主にベクトルデータであるオブジェクトObが含まれ、各オブジェクトObを任意に組み合わせることで、特許出願用の図面が作図される。かかる作業は、例えば特許事務所に所属する弁理士によって行われる。
【0029】
図2は、表示部14に表示されるユーザインターフェース2の一例を示すイメージ図である。ユーザインターフェース2には、VISIOファイルD1に含まれる複数のページのうちの1ページが表示されている。
【0030】
VISIOファイルD1のユーザインターフェース2は、枠外領域21と、所定の閉領域22とを備える。枠外領域21は、ユーザインターフェース2の中の閉領域22の外部の領域である。閉領域22は、特許庁が指定する提出図面のサイズに基づき、予め設定された領域である。
【0031】
ユーザインターフェース2は、オブジェクトObとして、オブジェクト24~27を含む。オブジェクト24~27のそれぞれは、それぞれの中心Cとして、中心241と中心251と中心261と中心271を備える。中心241は、オブジェクト24の中心Cであり、中心251は、オブジェクト25の中心Cであり、中心261は、オブジェクト26の中心Cであり、中心271は、オブジェクト27の中心Cである。
【0032】
ユーザは、特許庁に提出する図面を作成する場合に、ユーザインターフェース2にオブジェクトObを配置することにより、図面を作成することができる。図面を作成する段階において、ユーザは、特許庁に提出される画像を構成する図面要素Ob1(第1のオブジェクトの一例)と、画像に対する注釈を含むコメントOb2(第2のオブジェクトの一例)とをユーザインターフェース2に配置する。ここで、画像に対する注釈とは、例えば、ユーザがユーザ自身又はチェックする人に向けて記載した、画像に関連する注釈である。換言すると、ユーザインターフェース2には、図面要素Ob1に例示される第1のオブジェクトと、コメントOb2に例示される第1のオブジェクト以外の第2のオブジェクトとを含む複数のオブジェクトObが配置される。図面要素Ob1は、所定の手続にて提出される画像を構成し、コメントOb2は、画像に対する注釈を含む。
【0033】
3.2 流れの概要
図3は、情報処理装置1によって実行される情報処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。以下、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、説明するものとする。
【0034】
まず、アクティビティA101において、制御部13は、取得ステップとして、VISIOファイルD1に例示される第1の図面データを取得する。すなわち、制御部13が、記憶部12に記憶されたVISIOファイルD1を読み出す。これにより、制御部13は、ユーザインターフェース2を表示部14に表示させてもよい。ここで、VISIOファイルD1は、記憶部12から読み出された後に編集されたファイルであってもよいし、記憶部12から読み出されたファイルではなく新規に作成されたファイルであってもよい。
【0035】
次に、アクティビティA102において、制御部13は、VISIOファイルD1を構成する1つ又は複数のページのうち1つ(今回は最初の1ページ)を取得し、取得したページの閉領域22を取得する。具体的には、制御部13は、最初の1ページを選択し、選択されたページのユーザインターフェース2に設定された閉領域22の範囲の情報を取得する。
【0036】
次に、アクティビティA103において、制御部13は、取得したページのユーザインターフェース2に配置された1つ又は複数のオブジェクトObのうちの1つを取得する。例えば、制御部13は、ユーザインターフェース2に配置された複数のオブジェクトObのうち、一番左上に表示されるオブジェクト24を選択し、オブジェクト24に係るデータを取得する。
【0037】
次に、アクティビティA104において、制御部13は、アクティビティA103において取得したオブジェクトObに係るデータと、記憶部12に記憶された閉領域22の範囲の情報とを比較し、取得したオブジェクトObが閉領域22の外部に位置するか否かを判定する。オブジェクトObが閉領域22の内部に位置すると判定されると、制御部13による情報処理がA105に進む。オブジェクトObが閉領域22の外部に位置すると判定されると、制御部13による情報処理がアクティビティA106に進む。
【0038】
なお、さらに好ましくは、制御部13は、第1の抽出ステップとして、オブジェクトObの位置を示すものとして予め定められた代表位置が閉領域22の外部に位置する場合、当該オブジェクトObをコメントOb2に例示される第2のオブジェクトとして抽出してもよい。
【0039】
ここで、予め定められた代表位置がオブジェクトObの中心Cである場合について説明する。アクティビティA104において、制御部13は、オブジェクトObが閉領域22の外部に位置するか否かの判定を中心Cの位置により判定する。オブジェクトObの中心Cが閉領域22の内部にあると判定された場合には、制御部13による情報処理がA105に進み、制御部13は、オブジェクトObを図面要素Ob1として抽出する。オブジェクトObの中心Cが閉領域22の外部であると判定された場合には、制御部13による情報処理がアクティビティA106に進み、制御部13は、オブジェクトObをコメントOb2として抽出する。
図2に示される例においては、オブジェクト24は、中心241の位置が閉領域22の外部にあると判定され、コメントOb2として抽出される。換言すると、第1の図面データは、所定の閉領域を備え、第1の抽出ステップでは、オブジェクトObの少なくとも一部が閉領域22の外部に位置する場合に、オブジェクトObをコメントOb2(第2のオブジェクトの一例)として抽出する。
【0040】
次に、制御部13は、ユーザインターフェース2に配置された次のオブジェクトObがあるかを判定し、次のオブジェクトObがあればアクティビティA103~A106の処理を繰り返す。オブジェクト25とオブジェクト27とは、中心251と中心271とが閉領域22の内部にあると判定され、いずれも図面要素Ob1として抽出される。オブジェクト26は、中心261が閉領域22の外部にあると判定され、コメントOb2として抽出される。制御部13が全てのオブジェクトObについての処理を完了すると、制御部13による情報処理がアクティビティA107に進む。
【0041】
次に、アクティビティA107において、制御部13は、ユーザインターフェース2に配置されたオブジェクトObのうち、コメントOb2として抽出されたオブジェクトObを削除する。換言すると、制御部13は、VISIOファイルD1(第1の図面データ)に含まれるコメントOb2(第2のオブジェクト)を視認不能とする。ここで、削除は、視認不能の一態様である。換言すると、制御部13は、コメントOb2に例示される第2のオブジェクトをVISIOファイルD1(第1の図面データ)から削除することにより、視認不能とする。
【0042】
次に、アクティビティA108において、制御部13は、ユーザインターフェース2に残された図面要素Ob1を1つの画像ファイルD2a(第2の図面データの一例)に変換する。例えば、
図2において、制御部13は、図面要素Ob1として抽出された、オブジェクト25とオブジェクト27とによって構成される図形等を1つのJPEGデータに変換する。換言すると、制御部13は、変換ステップとして、VISIOファイルD1を、画像ファイル形式を有する画像ファイルD2aに変換する。すなわち、制御部13は、作図を行うソフトウェアのファイル形式を有するVISIOファイルD1を、特許庁が指定する画像ファイル形式を有する画像ファイルD2aに変換する。画像ファイルD2aの形式は、PNGデータ、GIFデータ、BMPデータ等であってもよい。換言すると、制御部13は、変換ステップとして、第1の図面データを第1の図面データとファイル形式が異なる第2の図面データに変換する。
【0043】
次に、VISIOファイルD1に複数のページがある場合には、制御部13は、次の1つのページについてアクティビティA102~A108の情報処理を実行し、最後の1つのページまで繰り返すと処理を完了する。このような構成によれば、適切な場面において、所定の提出書類として提出予定の図面要素Ob1以外のコメントOb2を視認不能とした画像ファイルD2aに、VISIOファイルD1を変換することができる。
【0044】
以上をまとめると、この情報処理方法は、次の各ステップを含む。取得ステップは、第1の図面データを取得する。第1の図面データのユーザインターフェース2には、第1のオブジェクトと第1のオブジェクト以外の第2のオブジェクトとを含む複数のオブジェクトが配置される。第1のオブジェクトは、所定の手続にて提出される画像を構成し、第2のオブジェクトは、画像に対する注釈又は画像の作成を支援する情報を含む。変換ステップでは、第1の図面データを、第2のオブジェクトを視認不能として第1の図面データとファイル形式が異なる第2の図面データに変換する。
【0045】
ユーザは、所定の手続にて提出される画像を含む図面データを作成する場合にVISIO等の作図用のソフトウェアを用い編集を行う。その際に、図面作成段階のVISIOファイルD1には、所定の手続にて提出される図面要素Ob1とともにコメントOb2が配置される。一方、特許庁に提出する画像ファイルD2aは、図面要素Ob1を含みコメントOb2を含まないものが求められる。上記のような態様によれば、VISIOファイルD1(第1の図面データ)を、予め定められた代表位置が閉領域22の外部に位置するコメントOb2(第2のオブジェクト)を視認不能とした画像ファイルD2a(第2の図面データ)に変換することができる。
【0046】
本実施形態では、閉領域22の位置とオブジェクトObの位置の関係により、図面要素Ob1かコメントOb2かが判定される。すなわち、ユーザは、作図をする際に閉領域22の位置が分かっていることが好ましい。すなわち、少なくとも閉領域22の境界近傍が視認可能に構成されていることが好ましい。このような態様によれば、ユーザは、閉領域22の境界が分かるため、所定の提出書類として提出予定の第1のオブジェクトを閉領域22内に配置することができる。換言すると、ユーザが作図時に、閉領域22の外部に配置したオブジェクトは、第2のオブジェクトとして抽出される。したがって、ユーザは、作図をする際に、閉領域22の内部に図面要素Ob1を配置し、閉領域22の外部に画像に対する注釈を含むコメントOb2を配置することができる。
【0047】
本実施形態では、アクティビティA104において、オブジェクトObの位置を示すものとして予め定められた代表位置をオブジェクトObの中心Cとしたが、代表位置はオブジェクトOb全体としてもよい。換言すると、第1の抽出ステップでは、オブジェクトObの全体が閉領域22の外部に位置する場合、当該オブジェクトObをコメントOb2に例示される第2のオブジェクトとして抽出してもよい。このような構成によれば、全体が閉領域22の外部に位置するオブジェクトObを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0049】
4.変形例
上記の実施形態に係る情報処理装置1に関して、以下のような態様を採用してもよい。
【0050】
制御部13は、コメントOb2を視認不能とする前に、コメントOb2として抽出されたオブジェクトObをユーザが確認可能に表示させてもよい。
図4は、表示部14に表示されるユーザインターフェース2の一例を示すイメージ図である。制御部13は、ユーザインターフェース2において、オブジェクト24~27のうち、オブジェクト24と、オブジェクト26とを太枠で強調する態様で表示させている。換言すると、制御部13は、表示制御ステップとして、コメントOb2に例示される第2のオブジェクトを抽出した後、オブジェクトObの中で抽出されたコメントOb2であることをユーザに分かるように表示させてもよい。このような態様により、ユーザは、オブジェクト24とオブジェクト26とがコメントOb2として抽出されたことを把握することができる。
【0051】
図5は、情報処理装置1に表示される画面3の一例を示すイメージ図である。画面3は、「コメントとして抽出されたオブジェクトを削除してもよいですか?」と記載された領域31と、「はい」と記載されたボタン32と、「いいえ」と記載されたボタン33とを含む。ボタン32が押下されると、抽出されたコメントOb2が削除され、その後VISIOファイルD1を画像ファイルD2aに変換する処理が実行される。一方、ボタン33が押下されると、抽出されたコメントOb2が削除されないまま処理を終了する。好ましくは、
図4に示される態様に続いて、
図5に示される画面3が表示されるとよい。
【0052】
換言すると、制御部13は、選択受付ステップとして、ユーザによる指令を受け付け、ユーザによる指令を受け付けた場合に、変換ステップとして、VISIOファイルD1を画像ファイルD2a等に変換する。このような構成によれば、第1のオブジェクト以外のオブジェクトを視認不能とする際に、誤って第2のオブジェクトと判定された第1のオブジェクトを視認不能としてしまうリスクを低減することができる。
【0053】
上記の実施形態では、コメントOb2を強調した態様で表示させることで、ユーザがコメントOb2の存在を把握できるようにしたが、ユーザがコメントOb2を含むページを把握できるようにしてもよい。例えば、情報処理装置1は、不図示のチェックボタンを備える。ユーザがチェックボタンを押下すると、制御部13は、アクティビティA101~A106の情報処理を実行し、VISIOファイルD1の中に、コメントOb2を含むページがあるか否かを判定する。制御部13は、表示部14に画面4をユーザが視認可能な態様で表示させる。
図6は、情報処理装置1の表示部14に表示される画面4の一例を示すイメージ図である。画面4は、「以下の図面で枠外にオブジェクトが存在する可能性があります」と記載された領域41と、「
図1・
図3」と記載された領域42とを含む。ここで、領域42には、コメントOb2を含むページの識別符号が記載されている。識別符号には、ページ番号やページ名、図の番号等が含まれる。換言すると、制御部13は、表示制御ステップとして、コメントOb2に例示される第2のオブジェクトが含まれるページの識別符号をユーザが視認可能な態様で表示させる。このような構成により、ユーザは、コメントOb2を含むページを把握することができる。
【0054】
上記の実施形態では、オブジェクトObの位置を示すものとして予め定められた代表位置が閉領域22の外部に位置する場合に、制御部13が当該オブジェクトObをコメントOb2として抽出したが、制御部13は、第1の抽出ステップとして、オブジェクトObの外縁の包含値fが所定の閾値Xを越えた場合に、当該オブジェクトObをコメントOb2に例示される第2のオブジェクトとして抽出してもよい。ここで、包含値fは、オブジェクトObの外縁がどれだけ閉領域22に含まれているかを示す値である。このような構成によれば、オブジェクトObの外縁の包含値fが所定の閾値Xを越えた場合に、オブジェクトObをコメントOb2として抽出し、コメントOb2を視認不能とした、第2の図面データに変換することができる。
【0055】
図7は、オブジェクトObの外縁の包含値fを説明するためのイメージ図である。例えば、オブジェクト27の横の長さをa、縦の長さをbとすると、オブジェクト27の外縁は2a+2bとなる。ここで、横の長さのうち、閉領域22の外部にある部分の長さをa1とした場合、閉領域22に含まれるオブジェクト27の外縁は2a1+bとなる。この場合、包含値fは、(2a1+b)/(2a+2b)により計算される値となる。所定の閾値Xは0以上1以下の任意の値が定められる。所定の閾値Xは好ましくは0.5以下である。すなわち、制御部13は、第1の抽出ステップとして、オブジェクトObが2次元オブジェクトの場合、オブジェクトObの外縁を構成する線の長さと外縁のうち閉領域22に含まれる部分の長さとに基づいて、そのオブジェクトObをコメントOb2に例示される第2のオブジェクトとして抽出してもよい。このような構成によれば、オブジェクトObの外縁を構成する線の長さと、外縁のうち閉領域22に含まれる部分の長さとに基づいて、オブジェクトObの外縁の包含値fが所定の閾値Xを越えたオブジェクトObを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
【0056】
前述の実施形態では、第2のオブジェクトの一例として画像に関する注釈であるコメントOb2が挙げられているが、特許庁に提出される画像を構成しないオブジェクトObであれば、注釈以外の用途であってもよい。不図示であるが、例えば、補助線や参考とした図形等といった、特許庁に提出される画像の作成を支援する情報が挙げられる。
【0057】
例えば、VISIOでは、直線や曲線のオブジェクトObを黒以外の色で描画することができる。少なくとも特許出願では、図面に使用される画像はモノクロ画像であるため、黒以外の色で描画されたオブジェクトObが第2のオブジェクトとして抽出されるように実施してもよい。換言すると、制御部13は、第3の抽出ステップとして、オブジェクトObが予め定められた規定の表示態様以外の表示態様を有する場合に、そのオブジェクトObを第2のオブジェクトとして抽出してもよい。このような構成によれば、第1のオブジェクトとは異なる表示態様のオブジェクトを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。ひいては、作図時のユーザビリティを向上させることと、不要な第2のオブジェクトを視認不要とする需要とを両立させることができる。
【0058】
上記の実施形態では、制御部13は、オブジェクトObの少なくとも一部が閉領域22の外部に位置する場合に、当該オブジェクトObをコメントOb2として抽出したが、所定の識別子を有するオブジェクトObをコメントOb2として抽出するようにしてもよい。換言すると、制御部13は、第2の抽出ステップとして、オブジェクトObが所定の識別子を含む場合に、コメントOb2に例示される第2のオブジェクトとして抽出してもよい。このような構成によれば、ユーザは、所定の識別子を用いて意図的に第2のオブジェクトを配置することができる。
【0059】
さらに、場面によっては、コメントOb2を視認不能とせずに、敢えて強調して示す態様が採用されてもよい。例えば、特許庁へ提出する前に弁理士から出願人に図面が納品される際に、出願人に図面に関する注釈等を分かりやすく参照させたい場面等が想定されうる。このような場面について、前述した識別子を含む場合を例に、
図8を用いて説明する。
図8は、情報処理装置1による情報処理の別の一例を示すアクティビティ図である。
【0060】
まず、アクティビティA201において、制御部13は、VISIOファイルD1に例示される第1の図面データを読み出す。
【0061】
次に、アクティビティA202において、制御部13は、VISIOファイルD1を構成する1つ又は複数のページのうち1つ(今回は最初の1ページ)を取得する。
【0062】
次に、アクティビティA203において、制御部13は、取得したページのユーザインターフェース2に配置された1つ又は複数のオブジェクトObのうちの1つを取得する。
【0063】
次に、アクティビティA204において、制御部13は、アクティビティA203において取得したオブジェクトObが識別子を有するか否かを判定する。当該判定において、制御部13によりオブジェクトObが所定の識別子を含まないと判定された場合に、処理がアクティビティA205に進み、制御部13は、オブジェクトObを図面要素Ob1に例示される第1のオブジェクトとして抽出する。当該判定において、制御部13によりオブジェクトObが所定の識別子を含むと判定された場合に、処理がアクティビティA206に進み、制御部13は、オブジェクトObをコメントOb2に例示される第2のオブジェクトとして抽出する。ここで、所定の識別子は、通常の文章で使うことがない記号や特殊文字から選択されることが好ましい。特に好ましくは、所定の識別子によって囲まれる文字列のオブジェクトObがコメントOb2として判定されるとよい。
【0064】
また、アクティビティA206においてオブジェクトObがコメントOb2として抽出された場合、続けて、アクティビティA207において、制御部13は、そのオブジェクトObに含まれる文字列の表示態様を変更する。制御部13は、例えば、フォントの色を赤色に変更するとともにフォントのスタイルを太字に変更する。換言すると、制御部13は、変更ステップとして、コメントOb2に例示される第2のオブジェクトが抽出されると、コメントOb2に例示される第2のオブジェクトに含まれるテキスト情報を所定の表示態様に変更する。
【0065】
次に、制御部13は、ユーザインターフェース2に配置された次のオブジェクトObがあるか否かを判定し、次のオブジェクトObがあればアクティビティA203~A207の処理を繰り返す。制御部13が全てのオブジェクトObについての処理を完了すると、制御部13による情報処理が次に進む。
【0066】
次に、制御部13は、VISIOファイルD1に次のページがあるか否かを判定し、次のページがあればアクティビティA202~A207の処理を繰り返す。制御部13が全てのページについて処理を完了すると、制御部13による情報処理がアクティビティA208に進む。
【0067】
最後に、アクティビティA208において、制御部13は、VISIOファイルD1を、PDF形式を有するPDFファイルD2bに変換する。このようなPDFファイルD2bが、出願前の図面のドラフトとして、弁理士から出願人に納品される。すなわち、出願人は、表示態様の変更により図面要素Ob1と容易に区別可能なコメントOb2を確認しながら、図面要素Ob1によって構成される提出されるべき画像、すなわち図面のドラフトを検討することができる。
【0068】
さらに、その後の当該図面を特許庁に出願書類として提出する場面等、コメントOb2を視認不能とすべき場面においても、上記の情報処理によってコメントOb2が目立つように配置されているため、出願前の確認の際にも、ユーザがコメントOb2を見落としにくい。すなわち、次に記載の態様で提供されてもよい。情報処理方法であって、次の各ステップを含み、取得ステップでは、第1の図面データを取得する。ここで、第1の図面データは、第1のオブジェクトと第1のオブジェクト以外の第2のオブジェクトとを含む複数のオブジェクトが配置され、第1のオブジェクトは、所定の手続にて提出される画像を構成し、第2のオブジェクトは、画像に対する注釈又は画像の作成を支援する情報を含み、変換ステップでは、第1の図面データを、第2のオブジェクトの視認性を高める表示態様とし、第1の図面データとファイル形式が異なる第2の図面データに変換してもよい。
【0069】
また、上記の実施形態では、強調した態様のコメントOb2が記載されたPDFファイルD2bに変換したが、さらに、場面によっては、コメントOb2のフォントを白色等の背景色と同一の色にした態様のPDFファイルD2bに変換する構成が採用されてもよい。例えば、複数名でVISIOファイルD1を作成する場合に、事務所内での確認用のコメントOb2が視認可能に記載された状態で確認を行い、顧客提出の際には、コメントOb2を視認不能としたPDFファイルD2bにVISIOファイルD1を変換した上で提出する場面が想定される。
【0070】
さらに、第2の図面データは、紙に印刷した形式で出力されてもよい。この場合に、第2のオブジェクトを削除するものに限られず、第2のオブジェクトの色を背景色と同一とすることにより視認不能としてもよい。
【0071】
ここで、強調した態様のコメントOb2が記載されたPDFファイルD2bに変換した後に、さらに、コメントOb2を視認不能とした画像ファイルD2aに変換してもよい。換言すると、制御部13は、第1の変換ステップとして、第1の図面データを、第2のオブジェクトを強調した態様に変更したPDFファイルD2bに例示される第2の図面データに変換し、第2の変換ステップとして、第2の図面データを、第2のオブジェクトを視認不能とした、画像ファイルD2aに例示される第3の図面データに変換してもよい。このような構成によれば、ユーザは、PDFファイルD2bでコメントOb2を確認した上で、コメントOb2を含まない画像ファイルD2aを提出することができる。
【0072】
さらに、ユーザインターフェース2は、第2の閉領域として、印刷領域を備えてもよい。印刷領域は、印刷する際の紙面のサイズに合わせて設定される領域である。例えば、A4サイズが指定された場合、印刷領域はA4サイズで印刷可能な領域となる。例えば、制御部13は、オブジェクトObの少なくとも一部が印刷領域の外部に位置する場合に、当該オブジェクトObをコメントOb2に例示される第2のオブジェクトとして抽出してもよい。このような構成により、ユーザが作図時に印刷領域の外部に配置したオブジェクトObは、コメントOb2として抽出され、画像ファイルD2aやPDFファイルD2bへの変換を行う場合には、視認不能とすることができる。
【0073】
さらに、ユーザインターフェース2は、2つの閉領域を備えてもよい。
図9は、2つの閉領域を備えるユーザインターフェース2の一例を示すイメージ図である。ユーザインターフェース2には、VISIOファイルD1に含まれる複数のページのうちの1ページが表示されている。ユーザインターフェース2は、枠外領域51と印刷領域52と提出領域53と余白領域54とを備える。ユーザインターフェース2は、オブジェクトObとして、オブジェクト55~58を含む。
【0074】
枠外領域51は、ユーザインターフェース2の内部であって、印刷領域52の外部の領域である。印刷領域52と提出領域53とは、いずれも閉領域である。印刷領域52は、A4サイズで印刷可能な領域となるように設定されている。印刷領域52は、所定の提出領域53と余白領域54とを備える。提出領域53は、特許庁が指定する提出図面のサイズに基づき、予め設定された領域である。余白領域54は、印刷領域52の内部にあり且つ提出領域53の外部にある領域である。オブジェクト55~58は、ユーザインターフェース2を介して、ユーザに配置されたオブジェクトObである。
【0075】
制御部13は、オブジェクト55~58が提出領域53の外部に位置するか否かを判定する。オブジェクト55が提出領域53の外部に位置すると判定されると、制御部13は、次の判定に進む。次に、制御部13は、オブジェクト55が印刷領域52の外部に位置するか否かを判定する。オブジェクト55が印刷領域52の外部に位置すると判定されると、制御部13は、オブジェクト55をメモOb3として抽出する。次に、オブジェクト56について判定を行う。オブジェクト56が提出領域53の外部に位置すると判定されると、制御部13は、次の判定に進む。次に、制御部13は、オブジェクト56が印刷領域52の外部に位置するか否かを判定する。オブジェクト56が印刷領域52の内部に位置すると判定されると、制御部13は、オブジェクト56をコメントOb2として抽出する。次に、オブジェクト57について判定を行う。オブジェクト57が提出領域53の内部に位置すると判定されると、制御部13は、オブジェクト57を図面要素Ob1として抽出する。オブジェクト58も同様に図面要素Ob1として抽出される。換言すると、制御部13は、提出領域53の内部にあるオブジェクトObを図面要素Ob1(第1のオブジェクト)として抽出し、余白領域54にあるオブジェクトObをコメントOb2(第2のオブジェクト)として抽出し、枠外領域51にあるオブジェクトObをメモOb3(第3のオブジェクト)として抽出してもよい。ここで、メモOb3はユーザの作図を行う際に使用するメモや参考画像などである。
【0076】
図9において、制御部13は、ユーザからのPDFへの変換指示を受け付けると、VISIOファイルD1をPDFファイルD2bに変換してもよい。ここで、PDFファイルD2bは、VISIOファイルD1に配置されたオブジェクト55~58のうち、メモOb3として抽出されたオブジェクト55を含まず、図面要素Ob1とコメントOb2を含む。PDFファイルD2bにおいて、コメントOb2として抽出されたオブジェクト56は、視認性の高い表示態様に変更されていてもよい。換言すると、制御部13は、ユーザからのPDFへの変換指示を受け付けると、VISIOファイルD1を第3のオブジェクトを視認不能としたPDFファイルD2bに変換する。ここで、好ましくは第2のオブジェクトは視認性の高い表示態様に変更されていてもよい。
【0077】
図9において、制御部13は、ユーザから提出用の画像ファイルD2aへの変換指示を受け付けると、VISIOファイルD1を画像ファイルD2aに変換してもよい。制御部13は、画像ファイルD2aに変換する際に、メモOb3として抽出されたオブジェクト55と、コメントOb2として抽出されたオブジェクト56とを削除し、図面要素Ob1として抽出されたオブジェクト57とオブジェクト58とによって構成される図形等を1つの画像ファイルD2aに変換する。換言すると、制御部13は、ユーザから提出用の画像ファイルD2aへの変換指示を受け付けると、VISIOファイルD1を第2のオブジェクトと第3のオブジェクトとを視認不能とした画像ファイルD2aに変換してもよい。
【0078】
上記の実施形態では、第2のオブジェクトを視認不能としてファイル形式を変換したが、制御部13は、図面要素Ob1として抽出されたオブジェクト57とオブジェクト58とを選択し、選択したオブジェクトによって構成される図形等を1つの画像ファイルに変換してもよい。
【0079】
上記の実施形態では、第1の図面データをVISIOファイルD1としたが、第1の図面データは、VISIO等の二次元作図ソフトにより作図される図面データに限られず、CAD等の三次元作画ソフトにより作図された図面データに適用されていてもよい。
【0080】
上記の実施形態では、第2の図面データを画像ファイル形式又はPDF形式のデータとしているが、これらに限定されるものではない。第2の図面データは、手続に適した形式であればよい。好ましくは、第1の図面データにおいて編集可能なオブジェクトOb(例えば、図面要素Ob1、コメントOb2)をオブジェクトとして編集不能な形式であるとよい。編集不能な形式とは、例えば、ラスタ形式のデータである。換言すると、ベクタ形式の第1の図面データをラスタ形式の第2の図面データに変換する。このような構成により、ユーザが作図した図面データを提出図面に適した形式のデータとすることができる。
【0081】
上記の実施形態では、種々の機能を情報処理装置1の制御部13によって実現されるものとして説明しているが、この少なくとも一部を、他の装置において実施することで、情報処理システムを実現してもよい。すなわち、情報処理システムは、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態の情報処理システムとしては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上記の機能や処理が提供されてもよい。
【0082】
実施形態の別の一態様は、プログラムであってもよい。この情報処理プログラムは、コンピュータに、情報処理方法の各ステップを実行させる。
【0083】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0084】
(1)情報処理方法であって、次の各ステップを含み、取得ステップでは、第1の図面データを取得し、ここで前記第1の図面データは、第1のオブジェクトと前記第1のオブジェクト以外の第2のオブジェクトとを含む複数のオブジェクトが配置され、前記第1のオブジェクトは、所定の手続にて提出される画像を構成し、前記第2のオブジェクトは、前記画像に対する注釈又は前記画像の作成を支援する情報を含み、変換ステップでは、前記第1の図面データを、前記第2のオブジェクトを視認不能として前記第1の図面データとファイル形式が異なる第2の図面データに変換する、方法。
【0085】
このような構成によれば、適切な場面において、所定の提出書類として提出予定の第1のオブジェクト以外のオブジェクトを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
【0086】
(2)上記(1)に記載の情報処理方法において、前記第1の図面データは、所定の閉領域を備え、さらに、第1の抽出ステップでは、前記オブジェクトの少なくとも一部が前記閉領域の外部に位置する場合に、当該オブジェクトを前記第2のオブジェクトとして抽出する、方法。
【0087】
このような構成によれば、ユーザが、閉領域外に配置したオブジェクトは、第2のオブジェクトとして抽出される。したがって、ユーザは、作図をする際に、閉領域外に画像に対する注釈を含むコメントOb2を配置することができる。
【0088】
(3)上記(2)に記載の情報処理方法において、前記第1の抽出ステップでは、前記オブジェクトの外縁の包含値が所定の閾値を越えた場合に、当該オブジェクトを前記第2のオブジェクトとして抽出し、ここで、前記包含値は、前記オブジェクトの前記外縁がどれだけ前記閉領域に含まれているかを示す値である、方法。
【0089】
このような構成によれば、オブジェクトの外縁の包含値が所定の閾値を越えたオブジェクトを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
【0090】
(4)上記(3)に記載の情報処理方法において、前記第1の抽出ステップでは、前記オブジェクトが2次元オブジェクトの場合、前記オブジェクトの前記外縁を構成する線の長さと前記外縁のうち前記閉領域に含まれる部分の長さとに基づいて、当該オブジェクトを前記第2のオブジェクトとして抽出する、方法。
【0091】
このような構成によれば、オブジェクトの外縁を構成する線の長さと外縁のうち閉領域に含まれる部分の長さとに基づいて、オブジェクトの外縁の包含値が所定の閾値を越えたオブジェクトを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
【0092】
(5)上記(2)に記載の情報処理方法において、前記第1の抽出ステップでは、前記オブジェクトの位置を示すものとして予め定められた代表位置が前記閉領域の外部に位置する場合、当該オブジェクトを前記第2のオブジェクトとして抽出する、方法。
【0093】
このような構成によれば、予め定められた代表位置が閉領域の外部に位置するオブジェクトを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
【0094】
(6)上記(2)に記載の情報処理方法において、前記第1の抽出ステップでは、前記オブジェクトの全体が前記閉領域の外部に位置する場合、当該オブジェクトを前記第2のオブジェクトとして抽出する、方法。
【0095】
このような構成によれば、全体が閉領域の外部に位置するオブジェクトを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
【0096】
(7)上記(2)~(6)のいずれか1つに記載の情報処理方法において、少なくとも前記閉領域の境界近傍が視認可能に構成されている、方法。
【0097】
このような構成によれば、ユーザは、閉領域の境界近傍を視覚的に把握することができるため、ユーザにとってより直感的に第1のオブジェクトを閉領域内に配置しやすい情報処理方法を提供することができる。
【0098】
(8)上記(1)~(7)のいずれか1つに記載の情報処理方法において、さらに、第2の抽出ステップでは、前記オブジェクトが所定の識別子を含む場合に、当該オブジェクトを前記第2のオブジェクトとして抽出する、方法。
【0099】
このような構成によれば、ユーザは、所定の識別子を用いて、意図的に第2のオブジェクトを配置することができる。
【0100】
(9)上記(8)に記載の情報処理方法において、さらに、変更ステップでは、前記第2のオブジェクトが抽出されると、前記第2のオブジェクトに含まれるテキスト情報を所定の表示態様に変更する、方法。
【0101】
このような構成によれば、所定の識別子を含む第2のオブジェクトが目立つように表示されるため、ユーザは、第2のオブジェクトとして記載された注釈等を容易に把握することができる。
【0102】
(10)上記(1)~(9)のいずれか1つに記載の情報処理方法において、さらに、第3の抽出ステップでは、前記オブジェクトが予め定められた規定の表示態様以外の表示態様を有する場合に、当該オブジェクトを前記第2のオブジェクトとして抽出する、方法。
【0103】
このような構成によれば、第1のオブジェクトとは異なる表示態様のオブジェクトを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
【0104】
(11)上記(1)~(10)のいずれか1つに記載の情報処理方法において、さらに、表示制御ステップでは、前記第2のオブジェクトをユーザに分かるように表示させ、選択受付ステップでは、前記ユーザによる指令を受け付け、前記変換ステップでは、前記指令を受け付けた場合に、前記第1の図面データを前記第2の図面データに変換する、方法。
【0105】
このような構成によれば、第1のオブジェクト以外のオブジェクトを視認不能とする際に、誤って第1のオブジェクトを視認不能としてしまうリスクを低減することができる。
【0106】
(12)上記(1)~(11)のいずれか1つに記載の情報処理方法において、前記変換ステップでは、前記第2のオブジェクトを前記第1の図面データから削除することにより、視認不能とする、方法。
【0107】
このような構成によれば、適切な場面において、所定の提出書類として提出予定の第1のオブジェクト以外のオブジェクトを削除した第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
【0108】
(13)上記(1)~(12)のいずれか1つに記載の情報処理方法において、前記第2の図面データは、PDF形式又は画像ファイル形式を有する、方法。
【0109】
このような構成によれば、PDF形式又は画像ファイル形式の第2の図面データに変換することができる。
【0110】
(14)少なくとも1つの装置を備える情報処理システムであって、上記(1)~(13)のいずれか1つに記載の情報処理方法の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備える、システム。
【0111】
このような構成によれば、適切な場面において、所定の提出書類として提出予定の第1のオブジェクト以外のオブジェクトを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
【0112】
(15)情報処理プログラムであって、コンピュータに、上記(1)~(13)のいずれか1つに記載の情報処理方法の各ステップを実行させる、プログラム。
【0113】
このような構成によれば、適切な場面において、所定の提出書類として提出予定の第1のオブジェクト以外のオブジェクトを視認不能とした第2の図面データに、第1の図面データを変換することができる。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0114】
1 :情報処理装置
10 :通信バス
11 :通信部
12 :記憶部
13 :制御部
14 :表示部
15 :入力部
2 :ユーザインターフェース
21 :枠外領域
22 :閉領域
24 :オブジェクト
241 :中心
25 :オブジェクト
251 :中心
26 :オブジェクト
261 :中心
27 :オブジェクト
271 :中心
3 :画面
31 :領域
32 :ボタン
33 :ボタン
4 :画面
41 :領域
42 :領域
51 :枠外領域
52 :印刷領域
53 :提出領域
54 :余白領域
55 :オブジェクト
56 :オブジェクト
57 :オブジェクト
58 :オブジェクト
C :中心
Ob1 :図面要素
Ob2 :コメント
Ob3 :メモ