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特開2024-109490音波探査装置および音波探査データ処理方法
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  • 特開-音波探査装置および音波探査データ処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109490
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】音波探査装置および音波探査データ処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/00 20240101AFI20240806BHJP
【FI】
G01V1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014314
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】517152047
【氏名又は名称】総合地質調査株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154195
【弁理士】
【氏名又は名称】丸林 敬子
(74)【代理人】
【識別番号】100171826
【弁理士】
【氏名又は名称】丸林 啓介
(72)【発明者】
【氏名】古谷 昌明
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB02
2G105CC01
2G105DD03
2G105EE02
2G105GG03
2G105GG05
2G105LL01
2G105LL07
(57)【要約】
【課題】調査船の航行による調査段階では等間隔信号と受振波信号とを同じデータ収録装置で収録することによって反射点間隔と共通反射点重合数との選択の自由度を増すことのできる音波探査装置および音波探査データ処理方法を提供する。
【解決手段】調査船の航行による調査段階ではデータ収録装置10が連続波信号発生装置7からの連続波信号と受振器6からの受振波信号と等間隔信号発生装置からの等間隔信号とGPS時刻信号発生装置14からのGPS時刻信号とを記録し、調査船による調査後にはデータ処理装置11が目的とする水平分解能に対応する時間長の連続波信号とそれに対応する受振波信号をデータ収録装置10から選択してそれらの相互相関処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続波を使用して海底の地層構造を画像化する音波探査装置において、調査船に搭載される連続波信号発生装置と、前記調査船に曳航されて前記連続波信号発生装置から出力された連続波信号による連続波を探査開始位置から探査終了位置まで連続的に繰り返し発振する音源と、前記調査船に曳航されて前記音源から出力された連続波の直達波と海底および海底下の地層境界からの反射波とを受振する受振器と、調査船に搭載されてGPS衛星から出力されているGPS信号を受信するGPS受信装置と、前記調査船に搭載されて前記GPS受信装置から出力されたGPS信号中の位置データをもとに計算された位置座標としてのX-Y座標位置とGPS信号中のGPS時刻とから調査船の移動距離とそれに要した時間とを求めて調査後のデータ処理での相互相関処理するための起点となる等間隔信号を作成して出力する等間隔信号発生装置と、前記調査船に搭載されて前記GPS衛星から出力されているGPS信号からGPS時刻信号を抽出して出力するGPS時刻信号発生装置と、前記調査船に搭載されて前記調査船の航行による調査段階では前記データ収録装置が前記連続波信号発生装置から出力された連続波信号と前記受振器から出力された受振波信号と前記等間隔信号発生装置から出力された等間隔信号と前記GPS時刻信号発生装置から出力されたGPS時刻信号とを記録するデータ収録装置と、前記調査船による調査後には目的とする水平分解能に対応する時間長の連続波信号とそれに対応する受振波信号を前記データ収録装置から選択してそれらの相互相関処理を行うデータ処理装置とを備えたことを特徴とする音波探査装置。
【請求項2】
連続波を使用して海底の地層構造を画像化する音波探査データ処理方法であって、調査船の航行による調査段階ではデータ収録装置が連続波信号発生装置から出力された連続波信号と受振器から出力された受振波信号と等間隔信号発生装置から出力された等間隔信号とGPS時刻信号発生装置から出力されたGPS時刻信号とを記録し、前記調査船による調査後には目的とする水平分解能に対応する時間長の連続波信号とそれに対応する受振波信号を前記データ収録装置から選択してそれらの相互相関処理を行うことを特徴とする音波探査データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疑似ランダム波による連続波を使用して海底下の地層構造を画像化する音波探査装置および音波探査データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水平分解能を高めるために、2個の振動源からの発振を時間的にずらす音波探査装置が開示されている。特許文献2は、同じ振源において同じ信号を時間的に遅延させて発振する音波探査装置が開示されている。しかしながら、特許文献1の段落番号0068から段落番号0076に記載されているように、また、特許文献2の第4頁第8欄第31行から第5頁第9欄第39行に記載されているように、連続波を使用した音波探査装置では、調査時に発振間隔が決められていることにより、反射点間隔の選択の自由度が限られてしまうという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6849999号公報
【特許文献2】特公平6-5300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、調査船の航行による調査段階では等間隔信号と受振波信号とを同じデータ収録装置で収録することによって反射点間隔と共通反射点重合数との選択の自由度を増すことのできる音波探査装置および音波探査データ処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る音波探査装置は、調査船に搭載される連続波信号発生装置と、前記調査船に曳航されて前記連続波信号発生装置から出力された連続波信号による連続波を探査開始位置から探査終了位置まで連続的に繰り返し発振する音源と、前記調査船に曳航されて前記音源から出力された連続波の直達波と海底および海底下の地層境界からの反射波とを受振する受振器と、調査船に搭載されてGPS衛星から出力されているGPS信号を受信するGPS受信装置と、前記調査船に搭載されて前記GPS受信装置から出力されたGPS信号中の位置データをもとに計算された位置座標としてのX-Y座標位置を記録するGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置と、GPS信号中のGPS時刻とから調査船の移動距離とそれに要した時間とを求めて調査後のデータ処理での相互相関処理するための起点となる等間隔信号を作成して出力する等間隔信号発生装置と、前記調査船に搭載されて前記GPS衛星から出力されているGPS信号からGPS時刻信号を抽出して出力するGPS時刻信号発生装置と、前記調査船に搭載されて前記調査船の航行による調査段階では前記データ収録装置が前記連続波信号発生装置から出力された連続波信号と前記受振器から出力された受振波信号と前記等間隔信号発生装置から出力された等間隔信号と前記GPS時刻信号発生装置から出力されたGPS時刻信号とを記録するデータ収録装置と、前記調査船による調査後には目的とする水平分解能に対応する時間長の連続波信号とそれに対応する受振波信号を前記データ収録装置から選択してそれらの相互相関処理を行うデータ処理装置とを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明に係る音波探査データ処理方法は、調査船の航行による調査段階ではデータ収録装置が連続波信号発生装置から出力された連続波信号と受振器から出力された受振波信号と等間隔信号発生装置から出力された等間隔信号とGPS時刻信号発生装置から出力されたGPS時刻信号とを記録し、前記調査船による調査後には目的とする水平分解能に対応する時間長の連続波信号とそれに対応する受振波信号を前記データ収録装置から選択してそれらの相互相関処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、調査船の航行による調査段階では等間隔信号と連続波発生装置から出力された連続波信号と受信器から出力された受振波信号とを同じデータ収録装置で収録し、前記調査船の航行による調査の終了した調査後には反射点間隔と共通反射点重合数との選択の自由度を増すことのできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】発明を実施するための形態に係る音波探査装置を示す構成図。
図2】発明を実施するための形態に係るデータ処理装置によるデータ処理方法を示すフローチャート。
図3】発明を実施するための形態に係る発振点の距離間隔を変えた時の反射点の距離間隔と重合数とを示す図表。
図4】発明を実施するための形態に係る発振点の距離間隔を変えた時の反射点の距離間隔と共通反射点重合数とを示す上記と異なる図表。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を用いて発明を実施するための形態に係る音波探査装置の構造について説明する。図1の音波探査装置は、曳航装置1と観測装置2とを備える。曳航装置1は、調査船によって水中および海面に曳航される装置であって、音源曳航器3と音源4と受振ケーブル5と複数の受振器6とを備える。音源4は、音源曳航器3に取り付けられ、疑似ランダム波による連続波を探査開始位置から探査終了位置まで連続的に繰り返して探査海域の水中に発振する。
【0010】
複数の受振器6は受振ケーブル5内に所定間隔だけ離れて直線状に取り付けられCH1、CH2、CH3、CH4と表記した4チャンネルを例示したが、1本の受振ケーブル5に設けられる受振器6の個数は4チャンネルに限定されるものでなく2チャンネルまたは3チャンネルまたは5チャンネル以上であっても適用可能であり、受振ケーブル5の本数は単数に限定されるものではく複数であっても適用可能である。1本の受振ケーブル5に設けられる受振器6の個数が多いほど、または、受振ケーブル5の本数が多いほど、音源4からの音波発振に対する反射点数が増え、水平解像度の良好な画像が得られる。
【0011】
観測装置2は、調査船上に搭載される装置であって、連続波信号発生装置7と連続波信号増幅器8と受振波信号増幅器9とデータ収録装置10とデータ処理装置11とGPS受信装置12と等間隔信号発生装置13とGPS時刻信号発生装置14とGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15を備える。
【0012】
連続波信号発生装置7には、連続波信号が調査開始前に予め記録されている。連続波信号発生装置7の出力部と連続波信号増幅器8の入力部とが電気ケーブル16で接続され、連続波信号増幅器8の出力部と音源4の入力部とが電気ケーブル17で接続され、連続波信号増幅器8の出力部とデータ収録装置10の入力部とが電気ケーブル18で接続され、複数の受振器6の出力部と受振波信号増幅器9の入力部とが複数の電気ケーブル19で別々に接続され、受振波信号増幅器9の出力部とデータ収録装置10の入力部とが電気ケーブル20で接続されている。
【0013】
また、GPS受信装置12の出力部と等間隔信号発生装置13の入力部とが電気ケーブル21で接続され、等間隔信号発生装置13の出力部とデータ収録装置10の入力部とが電気ケーブル22で接続され、GPS受信装置12の出力部とGPS時刻信号発生装置14の入力部とが電気ケーブル23で接続され、GPS時刻信号発生装置14の出力部とデータ収録装置10の入力部が電気ケーブル24で接続され、GPS受信装置12の出力部とGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15の入力部が電気ケーブル25で接続され、データ処理装置11の入力部がデータ収録装置10の出力部に電気ケーブル26で接続され、データ処理装置11の入力部がGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15の出力部に電気ケーブル27で接続されている。データ処理装置11はGPS時刻で動くコンピュータにより構成されている。データ処理装置11に用いられるGPS時刻は、GPS時刻信号発生装置14からデータ収録装置に供給さるGPS時刻としてのGPS時刻信号と同様なGPS時刻信号を用いることが可能である。
【0014】
次に、音波探査装置の動作について説明する。観測装置2が調査船上に搭載され、曳航装置1が調査船に曳航可能に接続され、音源4と複数の受振器6と連続波信号発生装置7と連続波信号増幅器8と受振波信号増幅器9とデータ収録装置10とデータ処理装置11とGPS受信装置12と等間隔信号発生装置13とGPS時刻信号発生装置14とGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15とが電力の供給で動作可能に起動した状態において、調査船が探査開始位置から探査終了位置に向けて航行し、連続波信号発生装置7が連続波信号を探査開始位置から探査終了位置まで連続的に繰り返して出力する。
【0015】
連続波信号発生装置7から出力された連続波信号は、電気ケーブル16を経由して連続波信号増幅器8に供給されて連続波信号増幅器8で電圧が高められる。この電圧が高められた連続波信号は、連続波信号増幅器8から電気ケーブル17を経由して音源4に出力され、かつ、連続波信号増幅器8から電気ケーブル18を経由してデータ収録装置10に入力される。データ収録装置10は、入力されたアナログデータとしての連続波信号をアナログデータからディジタルデータに変換し、この変換されたディジタルデータとしての連続波信号を収録する。
【0016】
音源4は、連続波信号増幅器8から入力された連続波信号による連続波を探査開始位置から探査終了位置まで連続的に繰り返して探査海域の水中に発振する。この音源4から発振された連続波は、水中を伝搬し、直達波、海底反射波および海底下の地層境界からの反射波として複数の受振器6ごとによって受振されて受振波信号増幅器9に電気ケーブル19を介して出力される。
【0017】
受振波信号増幅器9は、入力された直達波、海底反射波および海底下の地層境界からの反射波による信号の電圧を高めてデータ収録装置10に電気ケーブル20を経由して伝送される。データ収録装置10は、入力された直達波、海底および海底下の地層境界からの反射波によるアナログデータとしての信号をアナログデータからディジタルデータに変換し、この変換された直達波、海底および海底下の地層境界からの反射波としてのディジタルデータを受振波信号として収録する。
【0018】
一方、GPS受信装置12は、図示のされていないGPS衛星から出力されているGPS信号を受信し、この受信したGPS信号を等間隔信号発生装置13に電気ケーブル21を経由して出力すると共にGPS時刻信号発生装置14に電気ケーブル23を経由して出力する。等間隔信号発生装置13は、GPS受信装置12からのGPS信号中の位置データをもとに計算された位置座標としてのX-Y座標位置とGPS信号中のGPS時刻とから調査船の移動距離とそれに要した時間とを求め、調査後のデータ処理での相互相関処理するための起点となる等間隔信号を作成し、この作成した等間隔信号をデータ収録装置10に電気ケーブル22を経由して出力する。データ収録装置10は、等間隔信号発生装置13から入力された等間隔信号をディジタルデータに変換し、この変換された等間隔信号としてのディジタルデータを収録する。等間隔信号の等間隔は、時間であっても距離であってもよい。
【0019】
また、GPS時刻信号発生装置14は、GPS受信装置12から入力されたGPS時刻からGPS時刻コードを生成し、その生成したGPS時刻コードをパルス信号として出力する。このパルス信号は、電気ケーブル24を経由してデータ収録装置10に出力される。これによって、データ収録装置10はGPS時刻信号発生装置14から出力されたパルス信号としてのディジタルデータを収録する。加えて、データ収録装置10は、GPS時刻信号発生装置14から入力されたGPS時刻によってGPS時刻に校正される。
【0020】
つまり、連続波信号発生装置7で作られた連続波信号、複数の受振器6で受振された受振波信号、等間隔信号発生装置13で作られた等間隔信号、GPS時刻信号発生装置14で作られたGPS時刻コードとしてのパルス信号がデータ収録装置10に収録される。このデータ収録装置10に収録されたディジタルデータとしての4つの信号は、音波探査装置による調査終了後にデータ処理装置11による相互相関処理に使用される。データ処理装置11による相互相関処理については図2の処理方法で説明する。
【0021】
前記した等間隔信号発生装置13による等間隔信号を発生する方法について詳述する。例として調査船の船速を1.8m/秒とすると、調査船が50m移動する移動時間は27.778秒≒27.8秒となる。そして、調査船が1.25m移動するごとに等間隔信号を発生させるとすると、等間隔信号を発生するための時間間隔は、1.25m/50m×27.8秒=0.694秒となる。この調査船の移動距離とそれに要した時間は、GPS受信装置12の位置データをもとに等間隔信号発生装置13において計算されたX-Y座標位置とそのGPS時刻とから求められる。調査船が次の50mを移動するまで、この0.694秒間隔の等間隔信号としてのパルス信号が等間隔信号発生装置13で作られてデータ収録装置10に出力される。
【0022】
また、例えば、調査船の船速が2m/秒とすると、調査船が50m移動する移動時間は25秒となる。そして、調査船が1.25m移動するごとに等間隔信号を発生させるとすると、等間隔信号を発生するための時間間隔は、1.25m/50m×25秒=0.625秒となる。この調査船の移動距離とそれに要した時間は、等間隔信号発生装置13において、GPS受信装置12の位置データをもとに計算されたX-Y座標位置とそのGPS時刻とから求められる。調査船が次の50mを移動するまで、この0.625秒間隔の等間隔信号としてのパルス信号が等間隔信号発生装置13で作られてデータ収録装置10に出力される。
【0023】
図2を用いてデータ処理装置11による相互相関処理のデータ処理方法について説明する。
【0024】
図2のデータ処理方法では、ステップ101において、等間隔信号と反射信号とがデータ収録装置10に記録され、調査船上のGPSアンテナX-Y座標位置がGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15に記録された調査後に、作業者がデータ処理装置11の入力装置を操作することにより、連続波信号、受振波信号、等間隔信号、GPS時刻信号の収録されたディジタルデータファイルをデータ収録装置10からデータ処理装置11に読み取り、調査船上のGPSアンテナX-Y座標位置をGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15からデータ処理装置11に読み取りステップ102に進む。
【0025】
ステップ102からステップ109までの処理はデータ処理装置11に予め格納された処理ソフトにより実行される。
【0026】
ステップ102では、ステップ101で読み取ったディジタルデータファイルから等間隔信号を抽出し、ステップ103に進む。ステップ103では、データ収録装置10の収録開始時サンプル点番号値を0として、ステップ102で抽出した等間隔信号のサンプル点番号値Mをすべての等間隔信号について算出し、ステップ104に進む。
【0027】
ステップ104では、サンプル点番号M値の時刻を算出し、この方法には104Aと104Bの2つの方法がある。ステップ104Aの方法では、ステップ101で読み取ったディジタルデータからGPS時刻コードとしてのパルス信号を抽出し、103で算出されたサンプル点番号値Mの時刻を、GPS時刻コードからサンプル点番号値Mの時刻としての時/分/秒を算出する。第2の方法のステップ104Bの方法では、サンプル点番号M値の時刻をGPS時刻で校正されたデータ収録装置10の収録開始時刻を起点としてサンプル点番号M値とサンプリング時間とから算出しステップ105に進む。
【0028】
第2の方法のステップ104Bの方法では、サンプル点番号M値の時刻を、GPS時刻で校正されたデータ収録装置10の収録開始時刻を起点として、サンプル点番号M値とサンプリング時間とから算出しステップ105に進む。
【0029】
前記ステップ104Bでサンプル点番号値Mの時刻をサンプル点番号M値とサンプリング時間とから算出するには、ディジタルデータの記録開始点値M=0からN番目の等間隔信号のサンプル点番号値Mを算出し、この算出されたサンプル点番号値Mの時刻=サンプル点番号値M×サンプリング時間(秒)を算出し、この算出されたサンプル点番号値Mの時刻(秒)を時/分/秒に変換し、この変換された時/分/秒をサンプル点番号値Mの時刻として読み取り、ステップ105に進む。
【0030】
ステップ105では、GPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15に収録された調査船上のGPSアンテナX-Y座標位置とその収録時刻とステップ104で算出された各等距離信号の時刻から各等距離信号時刻に対する調査船上のGPSアンテナX-Y座標位置を算出し、ステップ106に進む。
【0031】
ステップ106では、ステップ105で算出した各等間隔信号時刻に対する調査船上のGPSアンテナX-Y座標位置と図1の音源3と図1の複数の受振器6との配置の相対的位置関係からステップ103の等間隔信号点に対する共通反射点のX-Y座標位置を算出し、ステップ107に進む。
【0032】
ステップ107では、ステップ103で算出した等間隔信号のサンプル点番号値Mを起点としてステップ101で読み取ったデータに含まれる連続波信号と複数の受振器6で受振された反射信号から相関処理に必要なサンプル数分を抽出し、ステップ108に進む。
【0033】
ステップ108では、ステップ107で抽出した連続波信号と複数の受振器6で受振された反射信号の相互相関処理を行いパルス圧縮処理し、直達波、海底反射波および地層境界反射波を算出し、ステップ109に進む。
【0034】
ステップ109では、ステップ106で算出した等間隔信号点に対する共通反射点のX-Y座標位置とステップ108で算出した反射波から、SEG-Y形式のデータを作成し、この作成されたSEG-Y形式のデータをデータ処理装置に収録する。
【0035】
発明を実施するための形態に係る音波探査装置およびデータ処理方法によれば、図1の音源4から連続波を探査開始位置から探査終了位置まで連続的に繰り返し発振し、等間隔信号とGPS時刻信号と連続波受振号と受振波信号とがデータ収録装置10に収録されるので、共通反射点間隔と共通反射点重合数との選択自由度が増す。
【0036】
発明を実施するための形態に係るデータ処理方法によれば、データ収録装置10に収録された等間隔信号を基準として、音源4に入力される連続波信号、複数の受振器6からの反射信号としての受振波信号を一定時間長分それぞれ切り出す。これらの切り出される連続波信号および受振波信号は、すべて同期している。前記切り出された連続波信号と受振波信号との間でそれぞれ相互相関処理を行うことによって、切り出された時間長範囲に含まれるエネルギーのパルス圧縮効果で海底、地層境界からの受振波信号の振幅が大きくなり、パルス波音源で得られるような受振波信号による反射波形が得られる。
【0037】
図3および図4を用いて、データ収録装置10に収録される等間隔信号の間隔が2.5m、1.25m、0.625m、0.3125m毎となっている場合において、受振ケーブルチャンネル数が8、受振ケーブルチャンネル間隔が2.5mの場合において、等間隔信号の間隔を変えた時の共通反射点間隔と共通反射点重合数との関係について説明する。
【0038】
図3のA図は、等間隔信号の間隔が受振器間隔としてのチャンネル間隔と同じ2.5mの時の共通反射点間隔と共通反射点重合数とを示す。この図3のA図では、共通反射点間隔は1.25mであり、共通反射点重合数は4となる。図3のB図は、等間隔信号の間隔が図3のA図の1/2の1.25mの場合を示す。この図3のB図の場合では、共通反射点間隔は、図3のA図と同じ1.25mであるが、共通反射点重合数は図3のA図の2倍の8となる。地質構造の画像は、受振波信号としての計測データを共通反射点重合数個分足し合わせて得られるものであることから、共通反射点重合数が多ければ少ないものよりも海底、地層境界からの受振波信号の振幅がより大きくなり、より深部の地質構造の画像が得られる。
【0039】
図4のA図は、等間隔信号の間隔がチャンネル間隔2.5mの1/4としての0.625mの場合を示す。図4のB図は、等間隔信号の間隔が図4のA図の1/2としての0.3125mの場合を示す。図4のA図および図4のB図において共通反射点重合数は8であるものの、図4のA図の共通反射点間隔が0.625m、図4のB図の共通反射点間隔が0.3125mとなり、図3のA図と図3のB図の共通反射点間隔の1.25mより狭くなることで、より水平解像度の高い地質構造の画像が得られる。
【0040】
図3および図4について考察すると、データ収録装置10に収録される等間隔信号の間隔が0.3125m毎となっている場合において、データ処理装置11によるデータ処理段階で、等間隔信号の間隔が0.3125mの整数倍の間隔で選択して、共通反射点重合数を求める重合処理が可能となる。等間隔信号の間隔が1.25m以上では、共通反射点間隔が1.25mと変わらないが、等間隔信号の間隔が1.25mより小さくなると共通反射点間隔が音源発振点間隔と同じになることが分かる。
【0041】
図1ではデータ処理装置11を調査船上に搭載される装置として例示したが、データ処理装置11が調査船以外の場所に設置されても適用可能である。データ処理装置11が調査船とは別の場所に設置された場合には、データ処理装置11がGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15に電気ケーブル27で接続されると共にデータ収録装置10に電気ケーブル26で接続されても良いが、データ処理装置11がデータ収録装置10とGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15とのいずれか一方又は両方に無線で接続されるかまたはデータ収録装置10に収録された連続波信号、受振波信号、等間隔信号、GPS時刻信号とGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15に収録されたGPSアンテナX-Y座標位置とをUSBメモリ等の携帯可能な記録媒体でデータ収録装置10とGPSアンテナ位置X-Y座標収録装置15のいずれか一方又は両方からデータ処理装置11に読み取ることで、データ収録装置10によるデータ処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 曳航装置
2 観測装置
3 音源曳航器
4 音源
5 受振ケーブル
6 受振器
7 連続波信号発生装置
8 連続波信号増幅器
9 受振波信号増幅器
10 データ収録装置
11 データ処理装置
12 GPS受信装置
13 等間隔信号発生装置
14 GPS時刻信号発生装置
15 GPSアンテナX-Y座標収録装置
16~27 電気ケーブル
図1
図2
図3
図4