(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109503
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】モータ制御装置およびモータ制御装置の検出位相ズレ判定方法
(51)【国際特許分類】
H02P 21/06 20160101AFI20240806BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240806BHJP
【FI】
H02P21/06
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068943
(22)【出願日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2023013825
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】米山 嵩人
(72)【発明者】
【氏名】藤曲 央武
【テーマコード(参考)】
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5H505DD08
5H505EE41
5H505GG04
5H505HA09
5H505HB01
5H505LL22
5H505LL41
5H505MM19
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770HA02Y
5H770HA05Z
5H770HA19Z
5H770LB10
(57)【要約】
【課題】モータ制御装置において、モータの検出位相と実位相の乖離を検出することで意図しないトルク印加による危険事象を回避する。
【解決手段】パルス電圧発生器1が、電圧ベクトルV1~V12の中からモータの回転子位相γに最も近いものを電圧ベクトル指令V+*としてパルス電圧印加時間出力する。電流検出器4が、電圧ベクトル指令V+*に基づいて電力変換器2の第1~第6スイッチング素子をオンオフさせた際の電力変換器2の三相の出力電流Iu,Iv,Iwを検出する。検出位相ズレ判定器6が、前記出力電流に基づいて演算した前記パルス電圧印加時間経過後の電流に基づいて回転子の検出位相ズレが発生しているか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の一端と他端との間に順次直列接続された第1,第2スイッチング素子と、前記直流電源の一端と他端との間に順次直列接続された第3,第4スイッチング素子と、前記直流電源の一端と他端との間に順次直列接続された第5,第6スイッチング素子と、を備えた電力変換器と、
前記第1,第2スイッチング素子の接続点に接続された第1巻線と、前記第3,第4スイッチング素子の接続点に接続された第2巻線と、前記第5,第6スイッチング素子の接続点に接続された第3巻線と、を有するモータと、
以下の表1に示す電圧ベクトルV1~V12の中から前記モータの回転子位相に最も近いものを電圧ベクトル指令としてパルス電圧印加時間出力するパルス電圧発生器と、
前記電圧ベクトル指令に基づいて前記電力変換器の前記第1~第6スイッチング素子を表1に従ってオンオフさせた際の前記電力変換器の三相の出力電流を検出する電流検出器と、
前記出力電流に基づいて演算した前記パルス電圧印加時間経過後の電流に基づいて回転子の検出位相ズレが発生しているか否かを判定する検出位相ズレ判定器と、
を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
【表1】
【請求項2】
前記検出位相ズレ判定器は、
位相ズレが0の時の電流正常値に基づいて位相ズレ判定閾値を設定し、前記パルス電圧印加時間経過後の電流が前記位相ズレ判定閾値以下となったときに回転子の検出位相ズレが発生していると判定することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記検出位相ズレ判定器は、
前記パルス電圧印加時間経過後の電流が前記位相ズレ判定閾値よりも大きく、かつ、前記出力電流のd軸電流が0よりも小さいときも、回転子の検出位相ズレが発生していると判定することを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記電流正常値は以下の(5)式に基づいて算出することを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
【数5】
ΔI1:パルス電圧印加時間に対する電流変動値(電流正常値)
ΔId:パルス電圧印加時間に対するd軸電流変動値
ΔIq:パルス電圧印加時間に対するq軸電流変動値
Δt:パルス電圧印加時間
VDC:電力変換器入力直流電圧
Ld:モータインダクタンスのd軸成分
Lq:モータインダクタンスのq軸成分
θ:回転子位相γと電圧ベクトル指令の位相との差
【請求項5】
直流電源の一端と他端との間に順次直列接続された第1,第2スイッチング素子と、前記直流電源の一端と他端との間に順次直列接続された第3,第4スイッチング素子と、前記直流電源の一端と他端との間に順次直列接続された第5,第6スイッチング素子と、を備えた電力変換器と、
前記第1,第2スイッチング素子の接続点に接続された第1巻線と、前記第3,第4スイッチング素子の接続点に接続された第2巻線と、前記第5,第6スイッチング素子の接続点に接続された第3巻線と、を有するモータと、
を備えたモータ制御装置の検出位相ズレ判定方法であって、
パルス電圧発生器が、以下の表1に示す電圧ベクトルV1~V12の中から前記モータの回転子位相に最も近いものを電圧ベクトル指令としてパルス電圧印加時間出力し、
電流検出器が、前記電圧ベクトル指令に基づいて前記電力変換器の前記第1~第6スイッチング素子を表1に従ってオンオフさせた際の前記電力変換器の三相の出力電流を検出し、
検出位相ズレ判定器が、前記出力電流に基づいて演算した前記パルス電圧印加時間経過後の電流に基づいて回転子の検出位相ズレが発生しているか否かを判定することを特徴とするモータ制御装置の検出位相ズレ判定方法。
【表1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置の検出位相ズレ判定に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータを用いるPMモータの制御では、PMモータの回転子の検出位相に基づいてインバータを制御する方法が広く用いられている。回転子の位置センサの故障等により検出位相ズレ(実位相と検出位相の乖離)が発生すると、インバータは正しい位相にモータ電流を流すことができず、意図しないトルクの発生につながる恐れがある。
【0003】
この問題を解決するために、回転子の位相検出器の異常判定を行う技術として特許文献1が開示されている。
【0004】
一方、PMモータを制御するインバータにおいて、モータ回転子の永久磁石の減磁を診断する技術として特許文献2が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-83977号公報
【特許文献2】特開2021-93894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、有効電力検出のためのセンサを必要とするため、装置が高コストとなる、大型化するという問題がある。
【0007】
以上示したようなことから、モータ制御装置において、装置の高コスト化と大型化を回避しつつ、モータの検出位相と実位相の乖離を検出することで意図しないトルク印加による危険事象を回避することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、直流電源の一端と他端との間に順次直列接続された第1,第2スイッチング素子と、前記直流電源の一端と他端との間に順次直列接続された第3,第4スイッチング素子と、前記直流電源の一端と他端との間に順次直列接続された第5,第6スイッチング素子と、を備えた電力変換器と、前記第1,第2スイッチング素子の接続点に接続された第1巻線と、前記第3,第4スイッチング素子の接続点に接続された第2巻線と、前記第5,第6スイッチング素子の接続点に接続された第3巻線と、を有するモータと、以下の表1に示す電圧ベクトルV1~V12の中から前記モータの回転子位相に最も近いものを電圧ベクトル指令としてパルス電圧印加時間出力するパルス電圧発生器と、前記電圧ベクトル指令に基づいて前記電力変換器の前記第1~第6スイッチング素子を表1に従ってオンオフさせた際の前記電力変換器の三相の出力電流を検出する電流検出器と、前記出力電流に基づいて演算した前記パルス電圧印加時間経過後の電流に基づいて回転子の検出位相ズレが発生しているか否かを判定する検出位相ズレ判定器と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
【0010】
また、その一態様として、前記検出位相ズレ判定器は、位相ズレが0の時の電流正常値に基づいて位相ズレ判定閾値を設定し、前記パルス電圧印加時間経過後の電流が前記位相ズレ判定閾値以下となったときに回転子の検出位相ズレが発生していると判定することを特徴とする。
【0011】
また、その一態様として、前記検出位相ズレ判定器は、前記パルス電圧印加時間経過後の電流が前記位相ズレ判定閾値よりも大きく、かつ、前記出力電流のd軸電流が0よりも小さいときも、回転子の検出位相ズレが発生していると判定することを特徴とする。
【0012】
また、その一態様として、前記電流正常値は以下の(5)式に基づいて算出することを特徴とする。
【0013】
【0014】
ΔI1:パルス電圧印加時間に対する電流変動値(電流正常値)
ΔId:パルス電圧印加時間に対するd軸電流変動値
ΔIq:パルス電圧印加時間に対するq軸電流変動値
Δt:パルス電圧印加時間
VDC:電力変換器入力直流電圧
Ld:モータインダクタンスのd軸成分
Lq:モータインダクタンスのq軸成分
θ:回転子位相γと電圧ベクトル指令の位相との差。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モータ制御装置において、装置の高コスト化と大型化を回避しつつ、モータの検出位相と実位相の乖離を検出することで意図しないトルク印加による危険事象を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1におけるモータ制御装置の検出位相ズレ診断を示すブロック図。
【
図5】位相ズレΔθと電流I1、d軸電流Idの関係を示す図。
【
図6】実施形態2におけるモータ制御装置の検出位相ズレ診断を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
特許文献2の技術を回転子の検出位相の異常判定に応用したのが、本願発明である。以下、本願発明におけるモータ制御装置の実施形態1、2を
図1~
図6に基づいて詳述する。
【0018】
[実施形態1]
図1に、本実施形態1におけるモータ制御装置の検出位相ズレ診断のブロック図を示す。本実施形態1の検出位相ズレ診断は、PMモータの停止中に行う。通常のPMモータの回転動作は、
図1とは異なる制御ブロックで行う。通常のPMモータの回転動作については本願発明と直接関係ないため説明を省略する。
【0019】
図1に基づいて本実施形態1のモータ制御装置の検出位相ズレ診断について説明する。パルス電圧発生器1はPMモータ3の回転子位相γを入力する。回転子位相γは、回転子のN極の軸(d軸)とU相巻線軸との位相差である。パルス電圧発生器1は、回転子位相γに基づいて、
図2に示す12種類の電圧ベクトルV1~V12の中で、最もd軸に近い電圧ベクトルを選択し、電圧ベクトル指令V+*として所定時間Tonだけ出力する。例えば-15°<γ<+15°の場合、電圧ベクトル指令V+*にはV1が選択される。所定時間Tonは、後述のパルス電圧印加時間Δtである。
【0020】
インバータ(電力変換器)2は、入力された電圧ベクトル指令V+*の電圧ベクトルに応じたスイッチング素子をオンオフし、パルス状の出力電圧をPMモータ3に印加する。
【0021】
ここで、
図3に基づいて、本実施形態1におけるモータ制御装置の検出位相ズレ診断が適用されるインバータ2とPMモータ3の構成を説明する。
【0022】
インバータ2は直流電源DCの一端と他端との間に順次直列接続された第1,第2スイッチング素子U+,U-と、直流電源DCの一端と他端との間に順次直列接続された第3,第4スイッチング素子V+,V-と、直流電源DCの一端と他端との間に順次直列接続された第5,第6スイッチング素子W+、W-と、を有する。
【0023】
PMモータ3は、第1,第2スイッチング素子U+,U-の接続点に接続されたU相巻線(第1巻線)3Uと、第3,第4スイッチング素子V+,V-の接続点に接続されたV相巻線(第2巻線)3Vと、第5,第6スイッチング素子W+,W-の接続点に接続されたW相巻線(第3巻線)3Wと、を備える。U相巻線3U,V相巻線3V,W相巻線3Wはスター結線で接続される。
【0024】
以下の表1は、電圧ベクトルと各スイッチング素子U+,U-,V+,V-,W+,W-のオンオフ指令との関係である。インバータ2は電圧ベクトル指令V+*に基づいて、表1に示すように、第1~第6スイッチング素子U+,U-,V+,V-,W+,W-をオンオフする。
【0025】
【0026】
電流検出器4は、電圧ベクトル指令V+*に基づいてインバータ2の第1~第6スイッチング素子U+~W-をオンオフさせた際のPMモータ3のUVW相の巻線電流(インバータ2の三相の出力電流)Iu、Iv、Iwをそれぞれ検出する。
【0027】
なお、U相巻線3U,V相巻線3V,W相巻線3Wはスター結線で接続されているので、三相の出力電流は、Iu+Iv+Iw=0となる。よって、三相各々の相に電流検出器を用いて各相の出力電流を検出してもよいし、二相の電流検出器を用いて二相の出力電流を検出し、残りの一相については上式を用いての演算によって出力電流を検出してもよい。後者の場合は電流検出器の個数が少なくなる利点がある。
【0028】
三相/二相変換器5は、三相の出力電流Iu、Iv、Iw(iu,iv,iw)と回転子位相γに基づいて、以下の(1)式,(2)式により二相の出力電流であるd軸電流id,q軸電流iqに変換する。このd軸電流id,q軸電流iqに基づいて(3)式により、パルス電圧印加時間Δt(Ton)経過後の電流i1(I1)を演算する。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
検出位相ズレ判定器6は、入力された回転子位相γと電圧ベクトル指令V+*と後述に基づいて、電流正常値を求める。さらに電流正常値と三相/二相変換器5が出力する電流I1に基づいて、回転子の位置センサの異常(実位相と検出位相の乖離)が発生しているか否かを診断する。
【0033】
次に、位置センサが正常である場合の動作原理を説明する。
【0034】
電圧ベクトル指令V+*にはd軸に最も近い電圧ベクトルを選択しているため、q軸電流Iq≒0となる。よって巻線電流によるトルクはほとんど発生しないため、回転子は停止したままとなる。
【0035】
パルス電圧印加時間に対するd軸電流変動値ΔId,q軸電流変動値ΔIqの近似式は以下の(4)式となる。
【0036】
【0037】
(4)式より、パルス電圧印加時間に対する電流変動値ΔI1は以下の(5)式となる。
【0038】
【0039】
LdとLqの比率によってθに伴う電流I1の変化量が決まる。(4)式、(5)式のVd,Vqは、インバータ出力電圧のd軸成分,q軸成分である。Ld,Lqは、モータインダクタンスのd軸成分,q軸成分であり、既知の固定値とする。Δtは、前述の電圧ベクトル指令を出力する所定時間(パルス電圧印加時間)Tonに相当する。VDCはインバータ入力直流電圧(直流電源DCの直流電圧)である。θは、回転子位相γと電圧ベクトル指令の位相との差である。なお、このθは特許文献2の(6)式のΔθと対応しており、特許文献2に詳細が記載されている。
【0040】
ここまでが、位置センサが正常である場合の動作原理の説明である。
【0041】
モータインダクタンスのd軸成分、q軸成分Ld、Lqを固定値(例としてLd/Lq=0.3,0.4)とした場合の位相ズレΔθと電流I1の関係を
図4に示す。
【0042】
本実施形態1の検出位相ズレ診断は電流が流れていない状態でパルス電圧印加を開始するため、電流I1は(5)式のパルス電圧印加時間に対する電流変動値ΔI1と同値となる。そのため、(5)式のΔI1が位相ズレΔθ=0のときの電流I1の正常値(以下、電流正常値と称する)となる。また、
図4では、位相ズレΔθ=0のときの電流正常値をI1=1として正規化している。
【0043】
図4よりLd/Lq≠1であれば位相ズレΔθ≒0以外の時には同じパルス電圧印加時の電流I1の値(三相/二相変換器5の出力値)と電流正常値(
図4のΔθ=0の時の値)に差が生じるため、検出位相ズレ判定器6では電流I1が位相ズレ判定閾値以下となった時に回転子位相γの正常値からのズレが発生していると診断することが可能となる。電流正常値は(5)式を用いてθやVDCごとに予めテーブル化によって求めておくものとする。またはパルス電圧印加直前に(5)式を用いた演算で求めてもよい。位相ズレ判定閾値は電流正常値に基づいて設計者が適宜設定するものとし、ここでの具体的な数値は省略する。
【0044】
以上示したように、本実施形態1によれば、回転子検出位相の異常があった場合には、パルス電圧印加時のインバータの電流I1と電流正常値との間に差が生じるため、インバータの回転子検出位相ズレの検出が可能になる。
【0045】
また、特許文献1と比較して、有効電力検出が不要であるため、装置の小型化・低コスト化を行いやすい。
【0046】
[実施形態2]
図4から分かるように、実施形態1の方法だけでは回転子位相γの位相ズレΔθが180°付近の場合に電流I1が正常時(位相ズレΔθ=0°)付近と近い値となってしまい検出位相ズレを検出できない問題があった。この問題を解決したのが、本実施形態2である。
【0047】
モータインダクタンスのd軸成分、q軸成分Ld、Lqを固定値(例としてLd/Lq=0.4)とした場合の位相ズレΔθと電流I1及びd軸電流Idの関係を
図5に示す。
【0048】
電流I1だけでは回転子位相γの位相ズレΔθが0°付近と180°付近の違いを検出できないが、
図5に示すようにd軸電流Idは回転子位相γの位相ズレΔθが0°付近と180°付近で符号が逆転する。
【0049】
そこで本実施形態2では、電流I1が位相ズレ判定閾値以上となった時には(2)式によって演算される出力電流のd軸電流Idの符号をチェックする。電流I1が位相ズレ判定閾値よりも大きく、かつ、Id<0であれば回転子位相γのズレが発生していると診断する。
【0050】
図6は本実施形態2におけるモータ制御装置の検出位相ズレ診断を示すブロック図である。
図6に示すように、検出位相ズレ判定器6は電流I1、電圧ベクトル指令V+*、回転子位相γに加えて、d軸電流Idも入力している。その他は実施形態1と同様である。
【0051】
以上示したように、本実施形態2によれば、実施形態1と同様の作用効果を奏する。加えて、本実施形態2ではd軸電流Idの検出値を位相ズレの判定に使用することで、実施形態1で検出の難しかった位相ズレΔθ=180°付近のケースでも回転子検出位相ズレの検出が可能になる。これにより装置の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0052】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【符号の説明】
【0053】
1…パルス電圧発生器
2…インバータ(電力変換器)
3…PMモータ(モータ)
3U,3V,3W…U相巻線,V相巻線,W相巻線(第1巻線,第2巻線,第3巻線)
4…電流検出器
5…三相/二相変換器
6…検出位相ズレ判定器