(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109509
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】見積もり作成システム及び見積もり作成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240806BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109288
(22)【出願日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2023014045
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523005162
【氏名又は名称】GC-PF株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】舩橋 達治
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】充電設備の設置に対する見積書を、施工業者でなくとも誰でも作成できる見積もり作成システムを提供する。
【解決手段】情報端末機と、地図・写真情報提供サーバと、情報端末機及び地図・写真情報提供サーバを相互に接続するインターネットとを備えている見積もり作成システムにおいて、情報端末機20は、入力装置22と、航空写真を表示することが可能な表示装置25と、入力装置の操作を受けて、表示装置に表示される航空写真上に、移動車両に搭載された電池に対する充電を行う充電設備のレイアウトを作成するレイアウト部と、作成された充電設備のレイアウトに基づいて、充電設備の設置に係る費用明細表を作成するデータ作成部37と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作部と、
航空写真を表示することが可能な表示部と、
前記入力操作部の操作を受けて、前記表示部に表示される前記航空写真上に、移動車両に搭載された電池に対する充電を行う充電設備のレイアウトを作成するレイアウト部と、
作成された前記充電設備のレイアウトに基づいて、前記充電設備の設置に係る費用明細表を作成する見積もり作成部と、
を備えることを特徴とする見積もり作成システム。
【請求項2】
前記航空写真を記憶するサーバと、
前記表示部、前記入力操作部及び前記見積もり作成部を有するとともに、インターネットを介して前記サーバと通信可能な情報端末機と、
を有し、
前記情報端末機は、前記サーバから前記航空写真を取得することで、取得した前記航空写真を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の見積もり作成システム。
【請求項3】
前記レイアウト部は、前記充電設備を構成する構成要素を、前記航空写真上に配置するとともに、前記航空写真上に配置した前記構成要素のうち、2つの構成要素間の配線を行うことで、前記充電設備のレイアウトを作成する
ことを特徴とする請求項2に記載の見積もり作成システム。
【請求項4】
前記構成要素や前記配線の単価をまとめた第1データと、前記構成要素の設置や前記配線に係る工事費用をまとめた第2データとを記憶する記憶部を有し、
前記見積もり作成部は、前記第1データ及び第2データを参照して、作成された前記充電設備のレイアウトに基づく前記費用明細表を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の見積もり作成システム。
【請求項5】
前記2つの構成要素間の配線を行ったときに、当該2つの構成要素間の距離情報を、前記サーバから取得する情報取得部を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の見積もり作成システム。
【請求項6】
前記充電設備を構成する前記構成要素は、前記移動車両に搭載された電池に対する充電を行う充電器、前記充電器に電気を供給する受電盤、分電盤、及び前記充電器と前記分電盤との配線時に用いるケーブルを分岐又は集合させる中継ボックスを含む
ことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の見積もり作成システム。
【請求項7】
前記表示部は、前記航空写真の表示から、前記見積もり作成部により生成した費用明細表の表示に切り替えることが可能であり、
前記表示部に表示された前記費用明細表の内容は、前記入力操作部の操作により変更可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の見積もり作成システム。
【請求項8】
航空写真を表示部に表示する工程と、
入力操作部の操作に基づいて、前記表示部に表示される前記航空写真上に、移動車両に搭載された電池に対する充電を行う充電設備のレイアウトを作成する工程と、
作成された前記充電設備のレイアウトに基づいて、前記充電設備の設置に係る費用明細表を作成する工程と、
を有する
ことを特徴とする見積もり作成方法。
【請求項9】
前記2つの構成要素間の配線を行ったときに、当該2つの構成要素間の必要配線本数を演算する配線本数演算部を備え、
前記見積もり作成部は、前記2つの構成要素間の前記距離情報および前記必要配線本数に基づいて前記費用明細表を作成する
ことを特徴とする請求項5に記載の見積もり作成システム。
【請求項10】
前記2つの構成要素間の配線を行ったときに、当該2つの構成要素間の必要配線本数を演算する配線本数演算部を備え、
前記配線本数演算部は、
前記2つの構成要素の一方が前記充電器であるとき、当該2つの構成要素間の配線本数が1本であると演算し、
前記2つの構成要素の一方が受電盤であるとき、当該2つの構成要素間の配線本数が、前記構成要素全体における前記充電器の数と同一の数であると演算し、
前記2つの構成要素のいずれもが前記充電器および受電盤でないとき、当該2つの構成要素間の配線本数が、当該2つの構成要素のうち電源から遠い側に配設される構成要素より負荷側に配設される前記充電器の数と同一の数であると演算する
ことを特徴とする請求項6に記載の見積もり作成システム。
【請求項11】
前記配線本数演算部は、
前記2つの構成要素がいずれも前記充電器であるときアラートを発出する
ことを特徴とする請求項10に記載の見積もり作成システム。
【請求項12】
前記配線本数演算部は、
前記受電盤に接続される配線の本数が、前記レイアウト内に配置されるすべての前記充電器の数と異なるとき、アラートを発出する
ことを特徴とする請求項10に記載の見積もり作成システム。
【請求項13】
2つの構成要素間の配線を行ったときに、当該2つの構成要素間の必要配線本数を演算する配線本数演算プログラムであって、
前記2つの構成要素の一方が充電器であるとき、当該2つの構成要素間の配線本数が1本であると演算するステップと、
前記2つの構成要素の一方が受電盤であるとき、当該2つの構成要素間の配線本数が、前記構成要素全体における前記充電器の数と同一の数であると演算するステップと、
前記2つの構成要素のいずれもが前記充電器および受電盤でないとき、当該2つの構成要素間の配線本数が、当該2つの構成要素のうち電源から遠い側に配設される構成要素より負荷側に配設される前記充電器の数と同一の数であると演算するステップと
を有することを特徴とする配線本数演算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見積もり作成システム及び見積もり作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド車などの車両や、これら車両に搭載した車両側電池に充電を行う充電ステーションが普及している(特許文献1参照)。電気自動車やハイブリッド車などの購入を検討する場合には、その充電設備についても検討する必要がある。
【0003】
ところで、電気自動車やハイブリッド車などの車両の販売と、その充電設備の設置とは、異なる業者が行っている。したがって、電気自動車やハイブリッド車などの車両の購入時、又はその検討時に充電設備の設置に対する見積もりを、車両を販売する業者(以下、販売業者)に問い合わせた場合、販売業者は、充電設備の設置を行う施工業者に見積もりについて問い合わせを行うことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、施工業者は、購入された車両が駐車する場所まで実際に足を運んで、どのように充電設備を設置するかを検討した上で見積書を作成している。しかしながら、施工業者側では、充電設備の設置を実際に受注できるかわからないため、販売業者に対して見積書の費用請求ができない場合が多い。このように、見積書の作成においては、施工業者に多くの負担がかかるため、充電設備の設置に対する見積書を、施工業者でなくとも誰でも作成できるシステムが望まれている。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、充電設備の設置に対する見積書を、施工業者でなくとも誰でも作成することができるようにした見積もり作成システム及び見積もり作成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の見積もり作成システムは、入力操作部と、航空写真を表示することが可能な表示部と、入力操作部の操作を受けて、表示部に表示される航空写真上に、移動車両に搭載された電池に対する充電を行う充電設備のレイアウトを作成するレイアウト部と、作成された充電設備のレイアウトに基づいて、充電設備の設置に係る費用明細表を作成する見積もり作成部と、を備える。
【0008】
また、航空写真を記憶するサーバと、表示部、入力操作部及び見積もり作成部を有するとともに、インターネットを介してサーバと通信可能な情報端末機と、を有し、情報端末機は、サーバから航空写真を取得することで、取得した航空写真を表示する。
【0009】
また、レイアウト部は、充電設備を構成する構成要素を、航空写真上に配置するとともに、航空写真上に配置した構成要素のうち、2つの構成要素間の配線を行うことで、充電設備のレイアウトを作成する。
【0010】
また、構成要素や配線の単価をまとめた第1データと、構成要素の設置や配線に係る工事費用をまとめた第2データとを記憶する記憶部を有し、見積もり作成部は、第1データ及び第2データを参照して、作成された充電設備のレイアウトに基づく費用明細表を生成する。
【0011】
また、2つの構成要素間の配線を行ったときに、当該2つの構成要素間の距離情報を、サーバから取得する情報取得部を備える。
【0012】
また、充電設備を構成する構成要素は、移動車両に搭載された電池に対する充電を行う充電器、充電器に電気を供給する受電盤、分電盤、及び充電器と分電盤との配線時に用いるケーブルを分岐又は集合させる中継ボックスを含む。
【0013】
また、表示部は、航空写真の表示から、見積もり作成部により生成した費用明細表の表示に切り替えることが可能であり、表示部に表示された費用明細表の内容は、入力操作部の操作により変更可能である。
【0014】
本発明の一側面の見積もり作成方法は、航空写真を表示部に表示する工程と、入力操作部の操作に基づいて、表示部に表示される航空写真上に、移動車両に搭載された電池に対する充電を行う充電設備のレイアウトを作成する工程と、作成された充電設備のレイアウトに基づいて、充電設備の設置に係る費用明細表を作成する工程と、を有する。
【0015】
また、2つの構成要素間の配線を行ったときに、当該2つの構成要素間の必要配線本数を演算する配線本数演算部としてのレイアウト部を備え、見積もり作成部は、2つの構成要素間の距離情報および必要配線本数に基づいて費用明細表を作成する。
【0016】
また、2つの構成要素間の配線を行ったときに、当該2つの構成要素間の必要配線本数を演算する配線本数演算部としてのレイアウト部を備え、レイアウト部は、2つの構成要素の一方が充電器であるとき、当該2つの構成要素間の配線本数が1本であると演算し、2つの構成要素の一方が受電盤であるとき、当該2つの構成要素間の配線本数が、構成要素全体における充電器の数と同一の数であると演算し、2つの構成要素のいずれもが充電器および受電盤でないとき、当該2つの構成要素間の配線本数が、当該2つの構成要素のうち電源から遠い側に配設される構成要素より負荷側に配設される充電器の数と同一の数であると演算する。
【0017】
また、配線本数演算部としてのレイアウト部は、2つの構成要素がいずれも充電器であるときアラートを発出する。
【0018】
また、配線本数演算部としてのレイアウト部は、受電盤に接続される配線の本数が、レイアウト内に配置されるすべての充電器の数と異なるとき、アラートを発出する。
【0019】
本発明の一側面の配線本数演算プログラムは、2つの構成要素間の配線を行ったときに、当該2つの構成要素間の必要配線本数を演算し、2つの構成要素の一方が充電器であるとき、当該2つの構成要素間の配線本数が1本であると演算するステップと、2つの構成要素の一方が受電盤であるとき、当該2つの構成要素間の配線本数が、構成要素全体における充電器の数と同一の数であると演算するステップと、2つの構成要素のいずれもが充電器および受電盤でないとき、当該2つの構成要素間の配線本数が、当該2つの構成要素のうち電源から遠い側に配設される構成要素より負荷側に配設される充電器の数と同一の数であると演算するステップとを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、充電設備の設置に対する見積書を、施工業者でなくとも誰でも作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本実施の形態の見積もり作成システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、情報端末機の一構成を示す図である。
【
図3】
図3は、情報端末機の表示装置に表示される航空写真P1の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、操作ボックスの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、情報端末機の表示装置に並置して表示される航空写真P1と設置一覧との一例を示す図である。
【
図8】
図8は、充電器の設置を検討する上で必要となる情報の一例をまとめた図である。
【
図9】
図9は、
図3に示す領域A1に、充電設備を構成する設置物のマークを配置した状態を示す。
【
図10】
図10は、充電設備のレイアウトを変更した場合の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、充電設備のレイアウトから明細表の表示までの流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、情報端末機の表示装置に表示される地図上で、充電設備をレイアウトした場合の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、レイアウトされた充電設備に基づいて配線本数演算部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、情報端末機の表示装置に表示される航空写真上で、充電設備をレイアウトした場合の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、充電設備の設置物間の必要配線本数の演算例を説明するために用いられるテーブルである。
【
図16】
図16は、情報端末機の表示装置に並置して表示される航空写真と設置一覧との一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施の形態に係る見積もり作成システムについて説明する。
図1は、本実施の形態の見積もり作成システム10を示す図である。
図2は、情報端末機20の一構成を示す図である。
図1に示すように、見積もり作成システム10は、情報端末機20と、地図・写真情報提供サーバ40と、情報端末機20及び地図・写真情報提供サーバ40を相互に接続するインターネット50とを備えている。情報端末機20は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)20aの他、タブレット型の携帯情報端末機20bなどが挙げられる。
【0023】
(情報端末機20の構成)
図2に示すように、情報端末機20は、主制御部21を備えている。図示は省略するが、主制御部21は、マイクロプロセッサ(MPU:microprocessor)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを備えている。マイクロプロセッサは、図示を省略したオペレーティングシステム(OS: Operating System)を実行するとともに、入力装置22による入力指示を受けて、オペレーションシステムの実行中に、後述する記憶部26に記憶された1又は2以上のアプリケーションプログラムを実行することが可能である。
【0024】
入力装置22は、情報端末機20が例えばパーソナルコンピュータ(PC)20aである場合には、キーボードやマウスである。また、入力装置22は、情報端末機20が例えばタブレット型の携帯情報端末機20bの場合には、後述する表示装置25に設けたタッチパネルである。なお、入力装置22は、請求項に記載の入力操作部に相当する。
【0025】
通信部23は、インターネット50を介して地図・写真情報提供サーバ40に要求信号を送信するとともに、地図・写真情報提供サーバ40から送信される地図情報や写真情報を受信する。
【0026】
表示制御部24は、主制御部21にて実行されるオペレーティングシステムに基づいた画像を表示装置25に表示する他、主制御部21によるアプリケーションプログラムの実行に伴った画像を表示装置25に表示する。また、表示制御部24は、入力装置22の操作が行われたときに、主制御部21から出力される指令に基づいて、表示装置25を制御する。ここで、表示装置25は、請求項に記載の表示部に相当する。
【0027】
記憶部26は、主制御部21にて実行されるオペレーティングシステム上で実行可能な複数のアプリケーションプログラムを記憶している。複数のアプリケーションプログラムには、地図表示プログラム27や、見積もり作成プログラム28を含む。また、記憶部26は、見積もり作成プログラム28を実行したときに用いられる単価データ29や工事費データ30を記憶している。さらに、記憶部26は、見積もり作成プログラム28を実行することで得られるレイアウトデータ31や明細表データ32を記憶する。
【0028】
地図表示プログラム27は、例えばGoogle(Google:登録商標)によって提供される、Googleマップ(Googleマップ:登録商標)などのアプリケーションプログラムである。
【0029】
また、見積もり作成プログラム28は、地図表示プログラム27の実行とともに実行されるアプリケーションプログラムである。見積もり作成プログラム28は、例えば、地図表示プログラム27の実行により表示装置25に表示される航空写真P1や地図を利用して、電気自動車やハイブリッド車などに搭載される電池を充電する充電設備を設置する場合の概算費用(見積もり)を示す見積書を作成するプログラムである。
【0030】
単価データ29や工事費データ30は、見積もり作成プログラム28の実行時に使用されるデータである。単価データ29は、例えば、受電盤、分電盤、充電器及び中継ボックスなど、充電設備を構成する構成要素(以下、設置物とも称する場合がある)の単価や、設置物間を繋ぐケーブルやケーブルの配線に用いる配管などの単価などをまとめたデータである。また、工事費データ30は、分電盤、充電器及び中継ボックスなどの設置物を設置する場合の工事費や、配線に係る工事費をまとめたデータである。なお、単価データ29が請求項に記載の第1データに、工事費データ30が請求項に記載の第2データに相当する。
【0031】
レイアウトデータ31は、見積もり作成プログラム28を実行して充電設備のレイアウトを行ったときに、後述するデータ作成部37にて生成されるデータである。なお、レイアウトデータ31は、充電設備として設置する設置物の位置情報や設置物間の配線に対する情報(距離情報)をまとめたデータである。なお、設置物の位置情報や設置物間の配線に対する情報(距離情報)は、地図・写真情報提供サーバ40により取得される。また、明細表データ32は、見積もり作成プログラム28を実行して充電設備のレイアウトを行ったときに、後述するデータ作成部37にて生成されるデータである。なお、明細表データ32は、充電設備の設置に関する概算費用をまとめたデータであり、レイアウトデータ31と対応付けられている。なお、レイアウトデータ31や明細表データ32は、情報端末機20に記憶されるようにしているが、地図・写真情報提供サーバ40や、当該地図・写真情報提供サーバ40と連携する他のサーバに記憶させることも可能である。
【0032】
(主制御部21の構成)
主制御部21は、見積もり作成プログラム28を実行することで、レイアウト部35、情報取得部36、データ作成部37として機能する。なお、データ作成部37は、請求項に記載の見積もり作成部に相当する。
【0033】
レイアウト部35は、入力装置22の入力信号に基づいて、表示制御部24に対して、表示装置25に表示された航空写真P1上に、充電設備を構成する設置物のマークを配置して表示する指示を行うとともに、航空写真P1上に配置した2つの設置物を示すマーク間を接続する配線を表示する指示を行う。
【0034】
情報取得部36は、設置物を示すマークを配置したときに、当該マークが配置された位置の位置情報を、通信部23を介して、地図・写真情報提供サーバ40から取得する。また、情報取得部36は、2つの設置物を示すマーク間に配線を行った際に、2つの設置物間の距離の情報を、通信部23を介して、地図・写真情報提供サーバ40から取得する。
【0035】
データ作成部37は、レイアウト部35による指示により実行された充電設備のレイアウトにより取得される設置物の位置情報や、設置物間の配線の情報(距離情報)をまとめたレイアウトデータ31を生成する。また、データ作成部37は、レイアウトデータ31に基づいて、充電設備に係る設置物や配線などの一覧をまとめた設置一覧データや、充電設備の設置工事に係る明細表データ32を生成する。ここで、明細表は、請求項に記載の費用明細表に相当する。
【0036】
図1に戻り、地図・写真情報提供サーバ40は、CPU(Central Processing Unit)又はMPUと、RAMと、ROMとの他、不揮発メモリ等を備えており、複数台の情報端末機20からの要求信号に基づいた処理を行う装置である。地図・写真情報提供サーバ40は、例えば、地図情報41と写真情報42とを記憶しており、情報端末機20からの要求信号に基づいて、地図情報41又は写真情報42を情報端末機20に送信する。
【0037】
ここで、写真情報42は、上空からカメラによって撮影した写真の他、走行する車両の屋根に配設したカメラ、または、人が持ち込んだカメラによって撮影した360°のパノラマ写真が含まれる。これら写真を用いることで、表示装置25に、地図に対応する航空写真P1や、対象地点の周辺の写真を表示させることができる。
【0038】
次に、見積もり作成プログラム28を実行したときに、表示装置25に表示される種々の画面について説明する。以下、ボタンの操作としては、例えば入力装置22がパーソナルコンピュータ20aであれば、例えばマウスの左ボタンの1クリック操作が挙げられる。また、タブレット型の携帯情報端末機20bであれば、タッチパネルのタッチ操作が挙げられる。
【0039】
(航空写真の表示)
地図表示プログラム27が実行されると、情報端末機20の表示装置25には、航空写真P1又は地図のいずれか一方が表示される。
図3は、表示装置25に航空写真P1が表示されている場合の一例を示している。表示装置25に表示される航空写真P1の左上端部には、切替ボタン51が表示される。この切替ボタン51は、航空写真P1から地図に表示を切り替える際に操作されるボタン51aと、地図から航空写真P1に表示を切り替える際に操作されるボタン51bとを備えている。なお、表示装置25に航空写真P1が表示されている場合には、ボタン51bの操作が無効となる。また、表示装置25に地図が表示されている場合には、ボタン51aの操作が無効となる。
【0040】
上述したように地図表示プログラム27が実行されると、見積もり作成プログラム28も実行される。
図3に示すように、表示装置25に航空写真P1が表示されると、当該航空写真P1の下端部に、操作ボックス52が表示される。また、航空写真P1の右上端部には、確認ボタン53が表示される。なお、操作ボックス52や確認ボタン53は、表示装置25に地図が表示されている場合にも表示される。
【0041】
(操作ボックス52)
操作ボックス52に表示されるボタン52a,52b,52c,52d,52e,52fは、
図4に示すように、例えば表示装置25に表示される航空写真P1又は地図に、充電設備を構成する設置物に対応したマークを配置する際に操作されるボタンである。これらボタン52a,52b,52c,52d,52e,52fには、設置物を示す絵柄が付されている。
【0042】
ボタン52aは、例えば受電盤を示すマークを航空写真P1上に配置する際に操作されるボタンである。受電盤は、供給される高圧の電力を、低圧の電力に変換して、引込盤や分電盤などに送電する基盤である。なお、ボタン52aの絵柄の色として、例えば黒色が用いられる。
【0043】
ボタン52bは、例えば引込盤を示すマークを航空写真P1上に配置する際に操作されるボタンである。引込盤は、受電盤から送られる電力を、例えば車両を駐車させる駐車場とは異なる場所や用途に供給するための基盤である。なお、充電設備におけるケーブルの配線などにおいて、引込盤は必要に応じて使用される場合も想定されるため、操作ボックス52に表示されるボタンの1つとして設けられている。なお、ボタン52bの絵柄の色として、例えば灰色が用いられる。
【0044】
ボタン52cは、例えば既設分電盤を示すマークを航空写真P1上に配置する際に操作されるボタンである。既設分電盤は、配電盤から送られる電力を、駐車場に設置された機器(照明や車止め)に供給するための基盤である。なお、ボタン52cの絵柄の色として、例えば灰色が用いられる。
【0045】
ボタン52dは、例えば新設分電盤を示すマークを航空写真P1上に配置する際に操作されるボタンである。新設分電盤は、既設分電盤と同一の機能を有しており、駐車場に設置された機器に対して電力を供給するために、既設分電盤とは別に、新規に設置する基盤である。なお、ボタン52dの絵柄の色として、例えば水色が用いられる。
【0046】
ボタン52eは、例えば充電器を示すマークを航空写真P1上に配置する際に操作されるボタンである。充電器は、駐車場に駐車した電気自動車やハイブリッド車に搭載された電池を充電するための機器である。なお、ボタン52eの絵柄の色として、例えば黄色が用いられる。
【0047】
ボタン52fは、例えば中継ボックスを示すマークを航空写真P1上に配置する際に操作されるボタンである。中継ボックスは、例えばプルボックスと称され、駐車場に配線されるケーブルを分岐させる、又はケーブルを集合させる機器である。なお、ボタン52fの絵柄の色として、例えば緑色が用いられる。
【0048】
操作ボックス52には、上述したボタン52a,52b,52c,52d,52e,52fの他に、航空写真P1に配置された2つのマーク間を繋ぐ、すなわち、設置物間の配線を行うためのボタン52gも含む。なお、ボタン52gの絵柄の色として、例えば赤色が用いられる。
【0049】
確認ボタン53は、操作ボックス52の各ボタンを操作して、航空写真P1上に配置したマークに対応する設置物の種類やその設置個数の他、設置物間に配線したケーブルの長さや配管の長さなどの設置一覧61を表示装置25に表示するために設けられる。表示装置25に航空写真P1が表示されているときに、確認ボタン53を操作すると、表示装置25には、航空写真P1と設置一覧61とが並列して表示される(
図5参照)。
【0050】
(設置一覧)
設置一覧61には、
図5に示すように、設置物の種類やその設置個数、また、配線を行う区間における配管・配線長さや、全配管・配線長さなどが表示される。また、この他に、設置物の設置工事における概算費が表示される。なお、配線を行う区間における配管・配線長さや、全配管・配線長さは、実際に配線したときに配線長が足りない事象を考慮して、実際の距離に対して例えば2~4m長く見積もられる。なお、配線長については、2~4m長く見積もるのではなく、2つの設置物間の長さの1~2割増しで見積もるようにしてもよい。
【0051】
さらに、設置一覧61の上端部には、明細表を表示するために操作される明細表表示ボタン62や、設置一覧61を閉じる際に操作される「戻る」ボタン63が表示される。例えば、明細表表示ボタン62を操作すると、表示装置25には、明細表64が表示される(
図6参照)。また、「戻る」ボタン63を操作すると、航空写真P1のみが表示される。
【0052】
(明細表)
図6に示すように、明細表64は、充電設備に係る概算費の明細を示すものである。明細表64には、例えば配線距離の合計や、配線経路に対する工事内容、及び工事費などを含む。
【0053】
図7は、充電設備の設置の一例を示す図である。例えば充電器は、壁掛け、自立基礎設置、自立直接設置のいずれかによって設置される。なお、自立基礎設置は、例えば、コンクリートやアスファルト埋め込みなどの基礎工事を行った後、自立式の充電器を設置する方法である。また、自立直接設置は、上述した基礎工事を行わずに、自立式の充電器を設置する方法である。
【0054】
また、配線の種類としては、例えば埋設配線、露出配線、架空配線及び室内配線などが挙げられる。埋設配線は、例えばケーブル又はケーブルを内包した配管を地中に埋設して、2つの設置物の間を配線するものである。詳細は図示を省略するが、埋設配線としては、例えば地面を掘り起こして、掘り起こした土砂を用いて、ケーブルを埋設する地面埋設の他、ケーブル又はケーブルを内包した配管を地中に配線して、コンクリートやアスファルトを用いて埋設するコンクリート埋設やアスファルト埋設が挙げられる。
【0055】
露出配線は、ケーブル又は当該ケーブルを内包した配管を地面表面に露出して、2つの設置物の間を配線するものである。架空配線は、例えば2つの支柱間に跨ってケーブル又は当該ケーブルを内包した配管を配線するものである。また、室内配線は、ケーブル又は当該ケーブルを内包した配管を建物の内部に配線するものである。
【0056】
なお、明細表64では、上述した配線工事の種類毎に、配線長さを入力または変更することが可能である。これら配線長さを入力または配線長さを変更することで、配線区間における工事費用や、充電設備全体の概算費用が自動的に変更される。
【0057】
また、明細表64においては、設置する充電器の種類や、充電器の設置方法や、充電器の出力などのオプションの設定項目も表示される。オプションの設定項目は、明細表が表示されたときに選択することが可能である。オプションの設定項目を選択すると、充電器の設置費や、充電設備全体の概算費が自動的に変更される。なお、設置する充電器の種類、充電器の出力及び充電器の設置方法は、例えば購入する車両に搭載される電池の種類や、車両の駐車スペースなどに基づいて選択されるものである。
【0058】
(必要情報)
図8は、充電器の設置を検討する上で必要となる情報の一例をまとめた図である。例えば駐車場に充電設備を設置するときには、設置する充電器を用いて充電を行う車両の台数と、車両の走行距離や充電時間とを検討する必要がある。
図8に示すように、例えば2台の車両に対して充電を行う場合を想定した場合を考慮する。また、設置する充電器の出力を3.2kWとした場合、2台の車両のそれぞれに充電を行う場合の消費電力の合計は6.4kW、充電時におけるピーク電流値は32アンペアである。
【0059】
一方、2台の車両の各々において、例えば1kWの出力で6km走行する場合を考慮する。車両Aにおいて、走行距離の平均は例えば60kmであり、また、車両Aの平均充電時間は3.3時間である。また、車両Aにおいて、最長走行距離は例えば120kmであり、そのときの車両Aの最大充電時間は6.7時間である。
【0060】
また、車両Bにおいて、走行距離の平均は例えば80kmであり、また、車両Bの平均充電時間は4.4時間である。また、車両Bにおいて、最長走行距離は例えば90kmであり、そのときの車両Bの最大充電時間は5時間である。
【0061】
なお、これら車両A,Bの走行距離の平均の合計は140km、最長走行距離の合計は210kmである。また、平均充電時間の合計は7.7時間、最大充電時間の合計は11.7時間である。
【0062】
例えば充電器の機能によっては、1台の充電器において、2台の車両に対する充電を交互に行うことができるものや、1台の車両に対する充電しかできないものがある。つまり、車両A及び車両Bのそれぞれに充電を行う場合、2台の車両に対する充電を交互に行うことができる充電器であれば、当該充電器を1台設置すればよいことが分かる。また、1台の車両に対する充電しかできない充電器であれば、当該充電器を2台設置すればよいことが分かる。したがって、充電器を使用する車両の台数や、車両の走行距離などを考慮して、上述したオプションを選択することができる。
【0063】
明細表64の上端部には、明細表64を閉じる際に操作される「戻る」ボタン65が表示される。「戻る」ボタン65を操作すると、表示装置25には、航空写真P1と設置一覧61とが並列して表示される(
図5参照)。
【0064】
(レイアウト処理)
次に、表示装置25に表示される航空写真P1上で、充電設備をレイアウトする手順について説明する。なお、充電設備のレイアウトとしては、例えば、充電設備に必要となる分電盤、充電器及び中継ボックスなどの設置物を示すマークを航空写真P1上に配置することの他に、航空写真上P1上に配置した2つの設置物を示すマーク間を繋ぐ(配線する)ことも含まれる。また、充電設備のレイアウトには、航空写真P1上に配置した設置物を示すマークの位置を変更する、設置物を示すマークを新たに追加する、配置した設置物を示すマークを削除する、また、配線をし直すことも含まれる。
【0065】
図3に示すように、表示装置25には、地図・写真情報提供サーバ40から送信された写真情報42に基づき、航空写真P1が表示されている。また、航空写真P1の下端部には、操作ボックス52が表示されている。
【0066】
この状態で、情報端末機20を操作する人物(以下、作業者と称する)が、入力装置22に対して、充電設備を構成する引込盤、既設分電盤、新設分電盤、充電器及び中継ボックスのいずれかに相当するマークを航空写真P1上に配置する操作を行うと、レイアウト部35は、その操作を受けて、航空写真P1上に各マークを配置する。なおこのように、航空写真P1上への各マークの配置は、レイアウト部35が、作業者の入力装置22に対する操作に応じて行うが、以下では、説明を簡潔にするために、「作業者が、入力装置22を操作して、マークを航空写真P1上に配置する」などと記載し、レイアウト部35についての記載を適宜省略する。後述する配線する場合も同様である。以下、
図3に示す領域A1に充電設備を設置する場合を考慮する。
【0067】
航空写真P1上にマークを配置する操作は、例えば入力装置22がマウスであれば、マウスの操作により表示装置25に表示されるポインタ(不図示)を操作ボックス52に表示されるボタン52a,52b,52c,52d,52eのいずれかに重畳される位置まで移動させて左ボタンをクリックした後、マウスの操作によりポインタを航空写真P1上の意図した位置まで移動させてマウスの左ボタンを1クリックする動作で行われる。また、入力装置22がタッチパネルであれば、表示装置25に表示される操作ボックス52に表示されるボタン52a,52b,52c,52d,52eのいずれかの位置で、タッチパネルをタッチした後、航空写真P1上の意図した位置で、タッチパネルを再度タッチする動作で行われる。
【0068】
ここで、航空写真P1上に配置する引込盤、既設分電盤のマークは、依頼者から得られる情報に基づいて配置することが好ましい。また、新設分電盤、充電器及び中継ボックスのマークは、依頼者から得られる情報に基づいて配置してもよいし、作業者の過去に行った充電設備の設置工事の情報に基づいて配置してもよい。
【0069】
図9のAは、
図3に示す領域A1に、充電設備を構成する設置物のマークを配置した状態を示す。なお、
図9のAにおいては、既設分電盤を示すマーク71、新設分電盤を示すマーク72、充電器を示すマーク73,74及び中継ボックスを示すマーク75を配置した状態を示している。なお、航空写真P1上に配置されるマークは、航空写真P1上で設置物を識別できるように、操作ボックス52の各ボタンに付された絵柄を表示してもよいし、絵柄に用いた色で着色した、例えば円形状のマークとしてもよい。
【0070】
作業者は、設置物のマークを配置した後、設置物間の配線を行う。配線は、例えば操作ボックス52のボタン52fを操作した後、作業者が、航空写真P1に配置した2つのマークを選択することで行われる。作業者は、例えば、既設分電盤を示すマーク71と、新設分電盤を示すマーク72との間で配線を行う場合には、操作ボックス52のボタン52fを操作した後、航空写真P1に配置したマークのうち、既設分電盤を示すマーク71と、新設分電盤を示すマーク72と、を選択する。
図9のBに示すように、作業者が、既設分電盤を示すマーク71と、新設分電盤を示すマーク72とを選択すると、マーク71及びマーク72が直線L1により接続(配線)される。このとき、マーク71の近傍に、区間の始点を示す「1」が表示され、マーク72の近傍に区間の終点を示す「2」が表示される。
【0071】
また、新設分電盤を示すマーク72と、充電器を示すマーク73との間で配線を行う場合には、作業者は、操作ボックス52のボタン52fを操作した後、航空写真P1に配置したマークのうち、新設分電盤を示すマーク72と、充電器を示すマーク73とを選択する。
図9のAに示すように、航空写真P1において、新設分電盤を示すマーク72と、充電器を示すマーク73との間には、中継ボックスを示すマーク75が配置されている。このような場合には、マーク72及びマーク73を直線により接続(配線)するのではなく、マーク72及び中継ボックスを示すマーク75が直線L2により接続(配線)され、同時に、中継ボックスを示すマーク75及びマーク73が直線L3により接続(配線)される。このときも、マーク72の近傍に、区間の始点を示す「3」が表示され、マーク73の近傍に区間の終点を示す「4」が表示される。
【0072】
同様にして、新設分電盤を示すマーク72と、充電器を示すマーク74との間で配線を行う場合には、作業者は、操作ボックス52のボタン52fを操作した後、航空写真P1に配置したマークのうち、新設分電盤を示すマーク72と、充電器を示すマーク74とを選択する。このときも、マーク72及び中継ボックスを示すマーク75が直線L4により接続(配線)され、同時に、中継ボックスを示すマーク75及びマーク74が直線L5により接続(配線)される。このときも、マーク72の近傍に、区間の始点を示す「5」が表示され、マーク74の近傍に区間の終点を示す「6」が表示される。
【0073】
なお、充電設備をレイアウトした後、航空写真P1上に配置した設置物のマークを変更する場合もある。このような場合には、図示を省略した消去ボタンを操作して、航空写真P1上に配置したマークを選択することで、航空写真P1上に配置した設置物のマークを消去させることができる。作業者が、例えば、
図9のBに示す充電設備のレイアウトから、新設分電盤を示すマーク72を消去した場合には、
図10のAに示すように、航空写真P1上に配置した設置物のマークのみの表示となる。すなわち、配線に対する表示が削除される。この場合、作業者は、航空写真P1上に配置した設置物のマーク間を接続(配線)する操作を行う。これにより、設置物のマーク間が接続された表示となる。
図10のBに示すように、新設分電盤を示すマーク72を消去した後、配線を行った場合には、既設分電盤を示すマーク71と中継ボックスを示すマーク75とが例えば屈曲線L6により接続(配線)され、中継ボックスを示すマーク75と充電器を示すマーク73とが直線L7により接続(配線)される。このとき、既設分電盤を示すマーク71の近傍には、区間の始点を示す「1」が表示され、充電器を示すマーク73の近傍には、区間の終点を示す「2」が表示される。
【0074】
また、既設分電盤を示すマーク71と中継ボックスを示すマーク75とが例えば屈曲線L8により接続(配線)され、中継ボックスを示すマーク75と充電器を示すマーク74とが例えば直線L9により接続(配線)される。このとき、既設分電盤を示すマーク71の近傍には、区間の始点を示す「3」が表示され、充電器を示すマーク74の近傍には、区間の終点を示す「4」が表示される。
【0075】
(見積作成処理)
次に、見積もり作成プログラム28を用いて、見積書を作成する手順について、
図11のフローチャートに基づいて説明する。以下、情報端末機20を操作する人物を作業者と称する。また、
図11に示すフローチャートでは、作業者が、情報端末機20を用いて地図表示プログラム27を実行し、表示装置25に航空写真P1が表示された状態であることを前提に説明する。
【0076】
上述したように、情報端末機20により、地図表示プログラム27が実行されると、見積もり作成プログラム28が実行される。したがって、
図3に示すように、表示装置25には、例えば航空写真P1とともに、操作ボックス52や確認ボタン53などが表示されている。
【0077】
ステップS101において、作業者は入力装置22を操作して、航空写真P1上に充電設備を構成する設置物を示すマークや、配線を行う設置物に相当する2つのマーク間を接続(配線)する操作を行うと、その操作内容に応じて、主制御部21のレイアウト部35は、表示制御部24を介して、表示装置25に表示された航空写真P1上に、充電設備を構成する設置物のマークを表示し、2つの設置物を示すマーク間を接続(配線)する直線を表示する。すなわちレイアウト部35は、充電設備をレイアウトする。充電設備がレイアウトされると、主制御部21は、航空写真P1上にレイアウトされた設置物のレイアウトデータ31を生成する。生成されたレイアウトデータ31は、記憶部26に記憶される。また、主制御部21は、設置物の位置情報や、配線を行った各区間の距離の情報を、地図・写真情報提供サーバ40から取得する。なお、充電設備のレイアウトを変更した場合、主制御部21は、変更されたレイアウトデータを、元のレイアウトデータとは別のデータとして、記憶部26に記憶する。
【0078】
ステップS102において、主制御部21は、航空写真P1上に表示された確認ボタン53が操作されたと判断した場合(ステップS102:Yes)、ステップS103に進む。一方、主制御部21は、航空写真P1上に表示された確認ボタン53が操作されていないと判断した場合(ステップS102:No)、ステップS101に戻る。
【0079】
ステップS103において、主制御部21は、生成されたレイアウトデータ31から設置物の個数や配線区間ごとの配管・配線長及び概算費用をまとめた設置一覧データを生成する。
【0080】
ステップS104において、主制御部21は、表示制御部24に、生成した設置一覧データと、表示開始信号とを出力する。表示制御部24は、表示装置25に、航空写真P1と設置一覧とを並列して表示する(
図5参照)。
【0081】
ステップS105において、主制御部21は、設置一覧61に表示された明細表表示ボタン62が操作されたと判断した場合(ステップS105:Yes)、ステップS106に進む。ステップS106において、主制御部21は、レイアウトデータを参照して、明細表データを生成する。そして、ステップS109に進む。
【0082】
一方、ステップS105において、主制御部21は、設置一覧61に表示された明細表表示ボタン62が操作されていないと判断した場合(ステップS105:Yes)、ステップS107に進む。
【0083】
ステップS107において、主制御部21は、設置一覧に表示された「戻る」ボタン63が操作されたと判断した場合(ステップS107:Yes)、表示制御部24に、設置一覧61の表示を停止する信号を出力する。ステップS108において、表示制御部24は、当該信号を受けて、設置一覧61の表示を停止して、航空写真P1を表示装置25に表示する(
図3参照)。このとき、表示装置25には、航空写真P1の他に、S101において配置したマークや配線なども表示される。主制御部21は、ステップS108の後、ステップS101に戻る。したがって、作業者は、航空写真P1上に表示される充電設備のレイアウトを再確認できる。また、作業者は、同時に、例えば航空写真P1上に配置された設置物を示すマークの位置を変更する、設置物を示すマークを航空写真P1上に新たに配置する、航空写真P1上に配置された設置物を示すマークを削除するなど、充電設備のレイアウトを変更することができる。
【0084】
一方、設置一覧61に表示された「戻る」ボタン63が操作されていないと判断した場合(ステップS107:No)、主制御部21は、ステップS104に戻る。
【0085】
ステップS105において、主制御部21は、設置一覧に表示された明細表表示ボタン62が操作されたと判断した場合(ステップS105:Yes)、ステップS109に進む。
【0086】
ステップS109において、主制御部21は、表示制御部24に、生成した明細表データと、表示信号とを出力する。これを受けて、表示制御部24は、表示装置25に明細表64を表示する(
図6参照)。
【0087】
明細表64が表示装置25に表示されたときには、配線長さ及び配線工事の種類などの設定の他、充電器の種類、配設する箇所などをオプションとして設定することが可能である。
【0088】
ステップS110において、主制御部21は、入力装置22を用いたオプションの設定操作があるか否かを判定する。作業者が、入力装置22を用いて、配線長さ及び配線工事の種類などの設定の他、充電器の種類、配設方法などのオプションを設定した場合には、主制御部21は、入力装置22を用いたオプションの設定操作があると判断し(ステップS110:Yes)、ステップS111に進む。
【0089】
ステップS111において、主制御部21は、設定されたオプションに合わせて明細表データを更新し、主制御部21は、更新した明細表データを表示制御部24に送信する。ステップS112において、表示制御部24は、更新した明細表データを用いて、明細表64を表示装置25に表示する。これにより、更新された明細表64が表示装置25に表示される。
【0090】
一方、ステップS110において、主制御部21が、入力装置22を用いたオプションの設定操作がないと判断した場合(ステップS110:No)、ステップS113に進む。
【0091】
ステップS113において、主制御部21は、明細表64に表示された「戻る」ボタン65が操作されたと判断した場合(ステップS113:Yes)、主制御部21は、表示制御部24に、航空写真P1と設置一覧61とを並列して表示する信号を出力する。したがって、表示装置25の表示が、明細表64の表示から、航空写真P1と設置一覧61との並列表示となる(
図5参照)。一方、主制御部21は、明細表64に表示された「戻る」ボタン65が操作されていないと判断した場合(ステップS113:No)、ステップS109に戻る。この場合、表示装置25には、引き続き明細表64が表示される。
【0092】
なお、見積もり作成プログラム28は、図示を省略した終了ボタンを操作することで終了させてもよいし、地図表示プログラム27の終了とともに終了させてもよい。
【0093】
また、図示は省略するが、過去に作成した充電設備のレイアウトの配置を変更する場合には、見積もり作成プログラム28を実行したときに、記憶部26に記憶されたレイアウトデータ31を読み出すことで、レイアウトデータ31に基づいた充電設備のレイアウトが航空写真P1上に表示される。したがって、作業者は、充電設備を構成する設置物のマークを移動したり、マークを削除したり、新たに設置物のマークを配置することで、過去に作成した充電設備のレイアウトを変更する。この場合、変更された充電設備のレイアウトに基づくレイアウトデータを新たに作成してもよいし、過去のレイアウトデータを更新してもよい。
【0094】
このように、本実施の形態で説明した見積もり作成プログラム28では、地図表示プログラム27の実行により表示装置25に表示した航空写真P1に充電設備を構成する設置物を示すマークを配置し、また、2つのマーク間を接続(配線)する操作を行うだけで、誰でも充電設備の設置に対する見積書(明細表)を作成することができる。なお、航空写真P1は現場の状態を示しているので、実際に現場に移動せずに現場の状況を把握でき、充電設備を構成する各設置物の配置をイメージしやすいという効果もある。
【0095】
また、航空写真P1上に配置した設置物を示すマークの位置を変更する、設置物を示すマークを航空写真P1上に新たに設置する、航空写真P1上に配置した設置物を示すマークを削除するなどの操作を行うだけで、充電設備のレイアウトを簡単に変更することができる。また、充電設備のレイアウトを変更することで、充電設備のレイアウトごとの見積もりを確認することができる。さらに、事前に航空写真上に充電設備のレイアウトを行うことで、充電設備の設置工事を速やかに行うことができる。
【0096】
なお、本実施の形態では、充電設備のレイアウトにおいて、航空写真P1を利用しているが、
図12に示すように、地
図P2を利用して、充電設備のレイアウトを行ってもよい。また、航空写真P1と地
図P2との間で表示を切り替えながら、充電設備のレイアウトを行ってもよい。
【0097】
また、本実施の形態では、航空写真P1を利用して、充電設備のレイアウトを行う場合を説明している。ところで、実際に建築物に設置される既設分電盤は、地上近くに設置されているとは限らない。また、充電設備を設置する場所が、複数階からなる駐車スペースとなる場合もある。このような場合には、地上近くで配線を行う場合に比べて、配線距離を長く設定する必要がある。したがって、このような場合に対応できるように、例えば航空写真P1を使用するのではなく、例えば地図や航空写真を3D(three dimensional、又はthree dimensions)表示して、3D表示される地図や航空写真を利用して、充電設備のレイアウトを行うことも可能である。
【0098】
本実施の形態では、情報端末機20の記憶部26に、設置物や配線の単価をまとめた単価データや、設置物の設置工事や、配線工事の工事費をまとめた工事費データを記憶させているが、これらデータを、地図・写真情報提供サーバとは異なるサーバに記憶させておき、複数台の情報端末機で、共有して使用することも可能である。この場合、情報端末機20において例えば見積もりを作成したときに、設置物や配線の単価や工事費が変更(修正)された場合に、情報端末機から、サーバに、変更されたデータを送信して、サーバ内に記憶された単価データや工事費データを更新する。
【0099】
(配線本数演算処理)
上述したレイアウト処理では、各設置物間の配線が複数存在する場合においても、配線は航空写真P1上に1本の直線で示される。例えば
図9のAにおいて、新設分電盤を示すマーク72と中継ボックスを示すマーク75との間には1本の直線が示されているが、上述したように、実際には、直線L2の配線および直線L4の2本の配線が設定されている。直線L2の配線は、新設分電盤を示すマーク72と充電器を示すマーク73とを接続する配線(直線L2の配線および直線L3の配線)の一つである。直線L4の配線は、新設分電盤を示すマーク72と充電器を示すマーク74とを接続する配線(直線L4の配線および直線L5の配線)の一つである。
【0100】
情報端末機20のレイアウト部35は、見積作成のために、各設置物間の配線の本数を演算する。ここでこのレイアウト部35の配線本数演算処理を、
図13のフローチャートを参照して説明する。この処理は、例えば、
図11のステップS101のレイアウト作成処理の中で実行される。はじめに処理の流れを説明し、その具体例を
図14に基づいて説明する。
【0101】
配線は、以下の5つの配線条件に基づいて設定されるものとし、その配線条件に基づいてレイアウト部35は、各設置物間の配線の本数を演算する。レイアウト部35は、作業者が設置物間の配線作業を行った後に、各設置物間に必要な配線本数を自動的に演算する。なお、配線本数の演算は、作業者が配線作業を行った後でなくても、配線作業とほぼ同時に並行して行われてもよい。
【0102】
配線条件R1:充電器同士は接続しない
配線条件R2:接続される設置物の一方が充電器であるとき、必要配線本数は1本である
配線条件R3:接続される設置物のいずれもが充電器および受電盤でないとき、当該設置物のうち受電盤から遠い側に設置される設置物より負荷側に設置されるすべての充電器の数と同一の数である
配線条件R4:接続される設置物の一方が受電盤であるとき、必要配線本数は設置物全体における充電器の数と同一の数である
配線条件R5:受電盤から出ていく配線本数はレイアウト内のすべての充電器の数と同一である
【0103】
上述したように、作業者は入力装置22を操作して、航空写真P1上に充電設備を構成する設置物を示すマークを配置する操作や、マークが示す設置物間を配線する操作を行うと、その操作内容に応じて、主制御部21のレイアウト部35は、表示制御部24を介して、表示装置25に表示された航空写真P1上に、設置物のマークを配置し、マークで示される2つの設置物の配線を示す直線を表示する。すなわちレイアウト部35は、充電設備をレイアウトする。その際、
図13の配線本数演算処理が実行される。なお、この配線本数演算処理は各設置物のマークが選択されるたびに毎回行われる。
【0104】
レイアウト部35は、ステップS201において、航空写真P1上にレイアウトされたマークを一つ選択し、選択したマークに接続される直線のうち、まだ配線本数演算処理を行っていない直線(以下、選択直線と称する)についてステップS202~ステップS208の処理を実行する。なお、選択直線が複数ある場合はより負荷側に配設される直線を選択直線とする。また、充電器は電気的に最も負荷側であるため、充電器に接続される配線は1本である。そこで、本ステップで充電器以外のマークを選択するようにして、本ステップから後述するステップS206へ直接処理を進めてもよい。
【0105】
ステップS202において、レイアウト部35は、選択直線により充電器のマーク同士が接続されているか否かを判定する(配線条件R1を満たすか否かを判定する)。航空写真P1上においては、設置物を示すマークが直線により接続されているが、説明を簡潔にするために、例えば「充電器が接続されている」など、マークの記載を適宜省略する。選択直線により充電器同士が接続されていると判定した場合、ステップS203において、レイアウト部35は、表示制御部24を介して表示装置25にアラートを表示させる。充電器同士の配線は作業者の配線ミスであるため、アラートが発出される。アラートは例えば、航空写真P1上において、当該充電器間を接続する直線を点滅させることで行われる。このとき、パソコンまたはタブレット端末から警告音を発するようにしてもよい。これにより、作業者は誤って接続した充電器間の配線を修正することができ、誤見積もりを防止することができる。また、直線の点滅に代えて、直線の色を変えたり、誤接続されている2つの充電器のマークを点滅させたりしてもよい。
【0106】
ステップS202で、充電器同士の接続ではないと判定した場合、ステップS204において、レイアウト部35は、選択直線により接続されている2つの設置物(以下、対象設置物と称する)の一方が充電器であるか否かを判定する(配線条件R2を満たすか否かを判定する)。ステップS204で、対象設置物の一方が充電器であると判定した場合(配線条件R2を満たす場合)、ステップS205において、レイアウト部35は、対象設置物間の配線本数を1本とし、設置物間の配線の情報に含める。
【0107】
ステップS204で、対象設置物の一方が充電器ではないと判定した場合(配線条件R2を満たさない場合)、ステップS206において、レイアウト部35は、対象設置物の一方が受電盤であるか否かを判定する(配線条件R3を満たすか否かを判定する)。ステップS206で、対象設置物の一方が受電盤ではないと判定した場合、すなわち対象設置物が充電器および受電盤でないとき(配線条件R3を満たす場合)、レイアウト部35は、ステップS207において、対象設置物のうち、受電盤から遠い側の設置物より負荷側のすべての充電器数と同一数を、対象設置物間の配線の本数とし、その本数情報を設置物間の配線の情報に含める。
【0108】
ステップS206で、対象設置物の一方が受電盤であると判定した場合(配線条件R4を満たす場合)、ステップS208において、レイアウト部35は、選択設置物の配線の本数を、航空写真P1に配置された充電器数と同一の数とし、その本数情報を設置物間の配線の情報に含める。
【0109】
ステップS205、ステップS207またはステップS208で、設置物間の配線数を決定すると、レイアウト部35は、ステップS209において、航空写真P1上にレイアウトされた、充電器を示すマーク以外のマークをすべて選択したか否かを判定する。ステップS209で、まだ選択していないマーク(設置物)が存在すると判定した場合、ステップS201に戻り、レイアウト部35は、次のマーク(設置物)を選択し、ステップS202以降の処理を同様に実行する。
【0110】
ステップS209で、航空写真P1上にレイアウトされた充電器を示すマーク以外のマークをすべて選択したと判定した場合、レイアウト部35は、ステップ210において、受電盤に接続される配線本数がすべての充電器数と同一であるか否かを判定し、同一であると判定した場合(配線条件R5を満たす場合)、処理を終了する。ステップ210で、受電盤に接続される配線本数がすべての充電器数と同一ではないと判定した場合、ステップS211において、レイアウト部35は、アラートを発出する。その後処理は終了する。レイアウト上の設置物を適切に配線で接続した場合、電源側の受電盤に接続される配線本数は、レイアウト上のすべての充電器数と等しくなる。よって、この条件を満たさない場合、どこかに設置物の種類や配線箇所の誤りがあるということになる。アラートの種類としては、航空写真P1上の設置物または配線を点滅させてもよいし、これに加えてまたはこれに代えて、パソコンまたはタブレット端末から警告音を発するようにしてもよい。
【0111】
上述したようにレイアウト部35により航空写真P1における設置物間の配線本数が演算されると、データ作成部37は、その情報を含む設置物間の配線の情報、設置物の位置情報をまとめたレイアウトデータ31を生成する。
【0112】
なお以上においては、航空写真P1上にレイアウトされた設置物のマークが作業者によって選択された場合に、レイアウト部35が行う配線本数演算処理について説明した。
【0113】
(具体例:配線本数演算)
以下、このような配線本数演算処理を実際のレイアウトへ適用する手順について具体例を示して説明する。
図14は、情報端末機20の表示装置25に表示される航空写真P1上で、充電設備をレイアウトした場合の一例を示す図である。
【0114】
図14中において丸で囲まれている数字は、設置物がレイアウトされた場合に付される設置物を識別するための数字であり、
図9のBの例における、丸で囲まれていない数字に相当する。例えば、
図14の丸で囲まれた「13」は設置物の受電盤を指す(以下、「受電盤13番」と称する。他のマークにおいても同様である)。但し、
図9のBと
図14との間で数字の異同に意味はない。
【0115】
上述したステップS201の処理においては、配線本数演算処理を適用する設置物の順番については触れていないが、最も負荷側である充電器から電気的に最上流側である受電盤へと向けて番号を振ると、配線本数演算によって確定される配線本数が徐々に多くなるので理解が容易となる。
【0116】
なお、
図14の中継ボックス7番のような分岐点では、配線終末(分電盤8番、充電器9番、充電器10番)がある方に先に番号を振り、配線終末がある分岐方向の配番が終了すると最上流側である受電盤へ向けて番号を配すればよい。
【0117】
図14中、設置物のマークの絵柄が意味するものは
図4に示すとおりである。なお、設置物間の必要な配線本数は既設分電盤52cと新設分電盤52dとで相違しないため、ここでは、既設分電盤52cと新設分電盤52dとを区別せず分電盤として示し、以下でも区別することなく分電盤として説明する。
【0118】
設置物の番号が最も小さい充電器1番から順に昇順に説明する。
【0119】
まず、充電器1番が選択される。充電器1番に繋がる直線(充電器1番と中継ボックス2番を繋ぐ直線)では、一方が充電器であることから、ステップS202:NO、そしてステップS204:YESとなり、充電器1番と中継ボックス2番を接続する配線の本数は、1本となる(ステップS205)。
【0120】
次に、中継ボックス2番が選択される。中継ボックス2番と充電器3番とを繋ぐ直線が選択される。中継ボックス2番と充電器3番とを繋ぐ直線については、ステップS202:NO、S204:YESとなり、中継ボックス2番と充電器3番を接続する配線の本数は、1本となる(ステップS205)。
【0121】
次に、充電器3番については、上述のように既に配線本数を特定しているので、中継ボックス4番が選択される。中継ボックス4番には分電盤2番と繋がれる直線と中継ボックス5番と繋がれる直線が接続されるが、番号の小さい分電盤2番と中継ボックス4番とを繋ぐ直線が選択される。中継ボックス2番と中継ボックス4番とを繋ぐ直線については、ステップS202:NO、S204:NO、そしてS206:NOとなり、中継ボックス2番と中継ボックス4番を接続する配線の本数は、受電盤13番から遠い側の設置物である分電盤2番より負荷側に設置される充電器の数が、分電盤2番と中継ボックス4番を接続する配線の数となる。具体的には、分電盤2番と中継ボックス4番において、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス2番より負荷側に設置される充電器の数は、分電盤2番に接続される充電器1番および充電器2番の2台である。これにより、分電盤2番と中継ボックス4番を接続する配線の本数は、2本となる。
【0122】
次に、中継ボックス4番については、上述のように既に分電盤2番と繋がれる直線について配線本数を特定しているので、中継ボックス4番と中継ボックス5番とを繋ぐ直線が選択される。中継ボックス4番と中継ボックス5番とを繋ぐ直線については、ステップS202:NO、S204:NO、そしてS206:NOとなり、中継ボックス4番と中継ボックス5番を接続する配線の本数は、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス4番より負荷側に設置される充電器の数が、中継ボックス4番と中継ボックス5番を接続する配線の数となる。具体的には、中継ボックス4番と中継ボックス5番において、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス4番より負荷側に設置される充電器の数は、充電器1番および充電器2番の2台である。これにより、中継ボックス4番と中継ボックス5番を接続する配線の本数は、2本となる。
【0123】
次に、中継ボックス5番については、上述のように既に中継ボックス4番と繋がれる直線について配線本数を特定しているので、中継ボックス5番と中継ボックス6番とを繋ぐ直線が選択される。中継ボックス5番と中継ボックス6番とを繋ぐ直線については、ステップS202:NO、S204:NO、そしてS206:NOとなり、中継ボックス5番と中継ボックス6番を接続する配線の本数は、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス5番より負荷側に設置される充電器の数が、中継ボックス5番と中継ボックス6番を接続する配線の数となる。具体的には、中継ボックス5番と中継ボックス6番において、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス5番より負荷側に設置される充電器の数は、充電器1番および充電器2番の2台である。これにより、中継ボックス5番と中継ボックス6番を接続する配線の本数は、2本となる。
【0124】
次に、中継ボックス6番については、上述のように既に中継ボックス5番と繋がれる直線について配線本数を特定しているので、中継ボックス6番と中継ボックス7番とを繋ぐ直線が選択される。中継ボックス6番と中継ボックス7番とを繋ぐ直線については、ステップS202:NO、S204:NO、そしてS206:NOとなり、中継ボックス6番と中継ボックス7番を接続する配線の本数は、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス6番より負荷側に設置される充電器の数が、中継ボックス6番と中継ボックス7番を接続する配線の数となる。具体的には、中継ボックス6番と中継ボックス7番において、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス6番より負荷側に設置される充電器の数は、充電器1番および充電器2番の2台である。これにより、中継ボックス6番と中継ボックス7番を接続する配線の本数は、2本となる。
【0125】
次に、中継ボックス7番については、上述のように既に中継ボックス6番と繋がれる直線について配線本数を特定している。中継ボックス7番にはさらに、分電盤8番に繋がれる直線と中継ボックス11番に繋がれる直線が接続されるが、番号の小さい分電盤8番が選択される。中継ボックス7番と分電盤8番とを繋ぐ直線については、ステップS202:NO、S204:NO、そしてS206:NOとなり、中継ボックス7番と分電盤8番を接続する配線の本数は、受電盤13番から遠い側の設置物である分電盤8番より負荷側に設置される充電器の数が、中継ボックス7番と分電盤8番を接続する配線の数となる。具体的には、中継ボックス7番と分電盤8番において、受電盤13番から遠い側の設置物である分電盤8番より負荷側に設置される充電器の数は、充電器9番および充電器10番の2台である。これにより、中継ボックス7番と分電盤8番を接続する配線の本数は、2本となる。
【0126】
次に、分電盤8番については、上述のように既に中継ボックス7番と繋がれる直線について配線本数を特定している。分電盤8番にはさらに、充電器9番に繋がれる直線と充電器10番に繋がれる直線が接続されるが、番号の小さい充電器9番が選択される。分電盤8番と充電器9番を繋ぐ直線については、ステップS202:NO、そしてS204:YESとなり、分電盤8番と充電器9番を接続する配線の本数は、1本となる(ステップS205)。
【0127】
次に、再度分電盤8番について、充電器10番に繋がれる直線が選択される。分電盤8番と充電器10番を繋ぐ直線については、ステップS202:NO、そしてS204:YESとなり、分電盤8番と充電器10番を接続する配線の本数は、1本となる(ステップS205)。
【0128】
次に、中継ボックス7番に戻って、まだ配線本数を特定していない分電盤11番と繋がれる直線が選択される。中継ボックス7番と中継ボックス11番とを繋ぐ直線については、ステップS202:NO、S204:NO、そしてS206:NOとなり、中継ボックス7番と中継ボックス11番を接続する配線の本数は、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス7番より負荷側に設置される充電器の数が、中継ボックス7番と中継ボックス11番を接続する配線の数となる。具体的には、中継ボックス7番と中継ボックス11番において、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス7番より負荷側に設置される充電器の数は、充電器1番、充電器2番、充電器9番および充電器10番の4台である。これにより、中継ボックス7番と中継ボックス11番を接続する配線の本数は、4本となる。
【0129】
次に、中継ボックス11番については、上述のように既に中継ボックス7番と繋がれる直線について配線本数を特定しているので、中継ボックス11番と中継ボックス12番とを繋ぐ直線が選択される。中継ボックス11番と中継ボックス12番とを繋ぐ直線については、ステップS202:NO、S204:NO、そしてS206:NOとなり、中継ボックス11番と中継ボックス12番を接続する配線の本数は、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス11番より負荷側に設置される充電器の数が、中継ボックス11番と中継ボックス12番を接続する配線の数となる。具体的には、中継ボックス11番と中継ボックス12番において、受電盤13番から遠い側の設置物である中継ボックス11番より負荷側に設置される充電器の数は、充電器1番、充電器2番、充電器9番および充電器10番の4台である。これにより、中継ボックス11番と中継ボックス12番を接続する配線の本数は、4本となる。
【0130】
次に、中継ボックス12番については、上述のように既に中継ボックス11番と繋がれる直線について配線本数を特定しているので、中継ボックス12番と受電盤13番とを繋ぐ直線が選択される。中継ボックス12番と受電盤13番とを繋ぐ直線については、ステップS202:NO、S204:NO、そしてS206:YESとなり、中継ボックス12番と受電盤13番を接続する配線の本数は、全充電器の数が中継ボックス12番と受電盤13番を接続する配線の数となる。具体的には、本レイアウト上にあるすべての充電器は、充電器1番、充電器2番、充電器9番および充電器10番の4台である。これにより、中継ボックス12番と受電盤13番を接続する配線の本数は、4本となる。
【0131】
ここまでで、レイアウトされた設置物のマークを全て選択したので(ステップS209)、受電盤13番に接続される配線本数4本が、レイアウト内の全ての充電器の数である4台と、数が一致していることを確認後、数が一致していれば配線本数の特定手順は終了である(S210)。
【0132】
上記においては、最後に受電盤13番の配線本数が全充電器の数と一致していることをチェック後に手順を終了としているが、受電盤13番と中継ボックス12番の間の配線本数は最後にカウントしているので、最後のチェックのステップ(S210)は省略してもよい。
【0133】
以上のようにして、配線本数を特定すると、
図14の例の場合には、
図15のテーブルに示すように本数情報がレイアウトデータ31として記憶部26に記憶される。
図15は、充電設備の設置物間の必要配線本数を説明するためのテーブルである。
【0134】
図15に示すテーブルでは、左端に電力を消費する負荷側である充電器を記載し、右端に電力の供給源側である受電盤を記載している。縦軸は1、3、9、10番の各充電器を示しており、横軸は充電器側から電源側となる受電盤に向けて設置される設置物を充電器側から順に示している。
【0135】
また、必要配線本数欄以外の数字(例えば、1、2、3、・・・)は
図14に示される設置物の番号を示しており、ハイフンで接続される数字(例えば、1-2、2-3・・・)は設置物の接続の組み合わせを示している。例えば、1-2は1番の設置物と2番の設置物との接続区間を意味している。さらに、テーブルにおける黒塗り部分は当該接続区間に配線があることを示し、白塗り部分は当該接続区間に配線がないことを示している。
【0136】
上記した
図14のレイアウトにおける配線本数は、以下のようになる。
【0137】
充電器1番と中継ボックス2番を接続する配線の本数:1本
中継ボックス2番と充電器3番を接続する配線の本数:1本
分電盤2番と中継ボックス4番を接続する配線の本数:2本
中継ボックス4番と中継ボックス5番を接続する配線の本数:2本
中継ボックス5番と中継ボックス6番を接続する配線の本数:2本
中継ボックス6番と中継ボックス7番を接続する配線の本数:2本
中継ボックス7番と分電盤8番を接続する配線の本数:2本
分電盤8番と充電器9番を接続する配線の本数:1本
分電盤8番と充電器10番を接続する配線の本数:1本
中継ボックス7番と中継ボックス11番を接続する配線の本数:4本
中継ボックス11番と中継ボックス12番を接続する配線の本数:4本
中継ボックス12番と受電盤13番を接続する配線の本数:4本
【0138】
これを
図15で表すと、例えば、充電器1番と分電盤2番とを接続する配線本数は最も左側の列において1本であり、中継ボックス5番と中継ボックス6番とを接続する配線本数は2本であり、中継ボックス7番と中継ボックス8番とを接続する配線本数は2本であり、中継ボックス11番と中継ボックス12番とを接続する配線本数は4本である。
【0139】
各設置物間の必要配線本数はこのように記憶部26に保存され、主制御部21が後述する概算工事費用を算出する際に参照される。
【0140】
(概算工事費用算出)
次に、必要配線本数を考慮して概算工事費用を算出する手順について説明する。
【0141】
図14の図において、作業者が確認ボタン53を操作すると(
図11のステップS102)、表示装置25には、
図16に示すように、航空写真P1と設置一覧とが並列して表示される。
図16は
図5に対応する図である。なお、この時点で各配線の必要配線本数はレイアウト部35に含まれる配線本数演算部によって演算されているが、航空写真P1の表示上は配線がすべて1本として表示される。これは、配線本数が、特に多い場合に見た目が煩雑になって接続状態が不明瞭になることを防止するためである。
【0142】
設置一覧には、航空写真P1に設置された設置物の種類および個数と、設置物間の配線区間および全配管・配線長とが示されている。配線欄には、配線区間と、区間に対応する長さ、本数および全長が示されている。なお、配線欄では、一部の配線区間のデータを示し、他の区間については省略している。
【0143】
例えば、航空写真P1において、配線区間1-2では、配線距離が2(m)であり、配線本数が1本であるので、必要な配線の全長は2(m)×1(本)で2(m)となる。また、配線区間2-4では、配線距離が5(m)であり、配線本数が2本であるので、必要な配線の全長は5(m)×2(本)で10(m)となる。このように、全配線長を算出する際には、配線距離の合計を多めに見積もる場合と比べて、配線本数を考慮して区間ごとに正確な配線距離を算出し、積算して全配線長を算出した方が、より正確な全配線長を算出することができる。
【0144】
なお、本件のように設置物が13台もある場合には、一つの表示装置に一度にすべての配線区間を表示させると文字が小さく判読しにくくなるおそれがある。よって、例えば、設置一覧全体または配線欄だけをスクロールして、他の配線区間を表示できるようにしてもよい。また、パソコンのディスプレイの場合はマウスのクリックにより、タブレットの場合にはタッチパネルのタップにより、表示される配線区間が切り替わるようにしてもよい。
【0145】
図16の図において、作業者が明細表表示ボタン62を操作すると、表示装置には、
図17に示すように、明細表64が表示される。
図17は
図6に対応する図である。明細表64は、充電設備に係る概算費の明細を示すものである。明細表64には、例えば配線距離の合計や、配線経路に対する工事内容、及び工事費などを含む。
【0146】
明細表64の配線区間および全配線長の欄は、
図16の配線欄と同様の記載を含み、ここでは、配線長だけでなく、地面埋設工事などの工事箇所の長さなども表示される。しかし、埋設工事では一般的に複数の配線を束ねて一本のケーブルに通した状態で埋設されるため、ケーブルの長さは配線の本数に依存しない。よって、明細表で配線本数が影響を与えるのは全配線長である。
【0147】
なお、
図17の明細表において、作業者が「戻る」ボタン65を押すと
図16へ戻る。
図16の図において、作業者が「戻る」ボタン63を押すと
図14へ戻る。
【0148】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0149】
例えば、上記実施形態では、配線本数を特定する対象として、電気自動車やハイブリッド車などに搭載される電池を充電する充電設備のレイアウトを例示したが、メガソーラーなどの産業用の発電設備についても適用することができる。
【0150】
また、風力発電、中小水力発電、地熱発電、バイオマス発電など、発電された電力を複数の充電器へ供給して充電器から蓄電装置に蓄電するものなど、航空写真上で電気設備のレイアウトを行うため、大規模であるほどその効果がより大きくなる。
【0151】
[効果のまとめ]
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0152】
(1)本実施の形態の見積もり作成システムは、入力装置22と、航空写真P1を表示することが可能な表示装置25と、入力装置22の操作を受けて、表示装置25に表示される航空写真P1上に、移動車両に搭載された電池に対する充電を行う充電設備のレイアウトを作成するレイアウト部35と、作成された充電設備のレイアウトに基づいて、充電設備の設置に係る費用明細表を作成するデータ作成部37と、を備えることを特徴としている。
【0153】
これによれば、表示装置25に表示した航空写真P1に充電設備を構成する設置物を示すマークを配置し、また、2つのマーク間を接続(配線)する動作を行うだけで、充電設備の設置に対する見積書(明細表)を作成することができる。なお、航空写真P1は現場の状態を示しているので、実際に現場に移動せずに現場の状況を把握でき、充電設備を構成する各設置物の配置をイメージしやすいという効果もある。
【0154】
(2)また、航空写真P1を記憶する地図・写真情報提供サーバ40と、表示装置25、入力装置22及びデータ作成部37を有するとともに、インターネット50を介して地図・写真情報提供サーバ40と通信可能な情報端末機20と、を有し、情報端末機20は、地図・写真情報提供サーバ40から航空写真P1を取得することで、取得した航空写真P1を表示するものである。
【0155】
これによれば、航空写真P1を提供する地図・写真情報提供サーバ40を有する既存の地図提供サービスを用いて、容易に充電設備のレイアウトを作成し、作成したレイアウトに基づいた見積書を容易に作成することができる。
【0156】
(3)また、レイアウト部35は、充電設備を構成する構成要素を、航空写真P1上に配置するとともに、航空写真P1上に配置した構成要素のうち、2つの構成要素間の配線を行うことで、充電設備のレイアウトを作成することができる。
【0157】
これによれば、構成要素の配置と、配置した構成要素間の配線を行うだけで、配線作業を含む見積もり(明細表)を作成することができる。
【0158】
(4)また、構成要素や配線の単価をまとめた単価データ29と、構成要素の設置や配線に係る工事費用をまとめた工事費データ30とを記憶する記憶部26を有し、データ作成部37は、単価データ29及び工事費データ30を参照して、作成された充電設備のレイアウトに基づく費用明細表を生成するものである。
【0159】
これによれば、構成要素および配線の単価と、構成要素の設置や配線に係る工事費用を含めた見積を作成することができる。また、記憶部26に記憶した単価データ29や、工事費データ30を逐次更新することができる。
【0160】
(5)また、2つの構成要素間の配線を行ったときに、当該2つの構成要素間の距離情報を、地図・写真情報提供サーバ40から取得する情報取得部36を備えるものである。
【0161】
これによれば、航空写真P1や、航空写真P1上の距離を提供する地図・写真情報提供サーバ40を有する既存の地図提供サービスを用いて、2つの構成要素間の距離情報を取得することができる。
【0162】
(6)また、充電設備を構成する構成要素は、移動車両に搭載された電池に対する充電を行う充電器、充電器に電気を供給する受電盤(引込盤)、分電盤、及び充電器と分電盤との配線時に用いるケーブルを分岐又は集合させる中継ボックスを含むものである。
【0163】
これによれば、充電設備を構成する充電器、受電盤(引込盤)、分電盤、中継ボックスを含むレイアウトを作成することができる。
【0164】
(7)また、表示装置25は、航空写真P1の表示から、データ作成部37により生成した費用明細表の表示に切り替えることが可能であり、表示装置25に表示された明細表の内容は、入力装置22の操作により変更可能であるものである。
【0165】
これによれば、充電設備のレイアウトに基づいて生成される明細表において、充電設備のレイアウト変更を行わなくとも、配線工事の内容を変更する、充電器などの仕様を変更するなどの操作を行うことができる。
【0166】
(9)また、2つの設置物間の配線を行ったときに、2つの設置物間の必要配線本数を演算する配線本数演算部としてのレイアウト部35を備え、
見積もり作成部は、2つの設置物間の距離情報および必要配線本数に基づいて費用明細表を作成する。
【0167】
これによれば、2つの設置物間の配線の総延長は、距離に本数を乗じた値であるため、距離だけに基づいて見積もりを行うよりも、必要な配線本数を考慮して見積もりを行う方が精度の高い見積もりを行うことができ、より正確な費用明細表を作成することができる。
【0168】
(10)また、配線本数演算部としてのレイアウト部35は、2つの設置物の一方が充電器であるとき、当該2つの設置物間の配線本数が1本であると演算し(ステップS14)、
2つの設置物の一方が受電盤であるとき、当該2つの設置物間の配線本数が、設置物全体における充電器の数と同一の数であると演算し(ステップS18)、
2つの設置物のいずれもが充電器および受電盤でないとき、当該2つの設置物間の配線本数が、当該2つの設置物のうち電源側から遠い側に配設される設置物より負荷側に配設される充電器の数と同一の数であると演算する(ステップS17)。
【0169】
これによれば、2つの設置物の組み合わせや充電器の設置数といった、予め設定されたアルゴリズムに基づいて必要配線本数を演算することができる。よって、複雑な演算を行うことなくレイアウト上の設置物の情報だけから演算することができるので、演算処理の負荷を低減してローコストで配線本数演算部としてのレイアウト部35を実現することができる。
【0170】
(11)また、配線本数演算部としてのレイアウト部35は、2つの構成要素がいずれも充電器であるときアラートを発出する(ステップS12)。
【0171】
これによれば、充電器同士を接続するといった作業者の配線ミスがあっても、当該配線を修正することができるので、誤った配線長で見積もりを行うことを防止でき、費用明細表の精度を向上させることができる。
【0172】
(12)配線本数演算部としてのレイアウト部35は、受電盤に接続される配線の本数が、レイアウト内に配置されるすべての充電器の数と異なるとき、アラートを発出する(ステップS20)。
【0173】
これによれば、
図15に示すテーブルのように、充電器側から配線本数を各設置物間でカウントしていった場合に、最終的に受電盤に接続される配線本数を充電器の数と照合することができる。よって、途中で演算に誤りがあった場合に配線を修正することができるので、見積もりの精度を向上させてより正確な費用明細表を作成することができる。
【0174】
これによれば、上記アルゴリズムに基づいて組まれたプログラムを実行するだけで、必要配線本数を演算することができる。よって、作業者は演算を行うことなくレイアウト上に配線を行うだけでよく、より簡易に精度よく必要な配線本数を導出することができる。
【符号の説明】
【0175】
10…見積もり作成システム
20…情報端末機
21…主制御部
22…入力装置
25…表示装置
26…記憶部
35…レイアウト部
36…情報取得部
37…データ作成部
40…地図・写真情報提供サーバ
50…インターネット