(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109524
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】取扱説明書作成システム、サーバ装置、および取扱説明書の作成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240806BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005516
(22)【出願日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2023014160
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510020929
【氏名又は名称】株式会社コシダアート
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越田 英喜
(72)【発明者】
【氏名】正木 秀樹
(57)【要約】
【課題】多様な製品の取扱説明書を効率よく作成することが可能な取扱説明書作成システムの提供。
【解決手段】データベースに基づいて取扱説明書を作成するシステムであって、データベースは、取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目と、識別子とが関連付けられた項目データベースと、複数の項目のそれぞれに対応する説明事項を含む説明事項データベースとを含み、項目データベースの複数の項目は、複数の機械製品および複数の構成要素に対応する項目を含み、項目データベースは、複数の機械製品の複数の構成要素に対応する複数の識別子に対して、取扱説明書に必要な項目を関連付けており、システムは、入力された型式を構成する複数の識別子に基づいて複数の項目を選択し、選択された複数の項目に基づいて対応する説明事項を抽出し、選択された複数の項目および抽出された説明事項が所定の順序に組み合わされた取扱説明書を作成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取扱説明書の作成に用いられるデータベースが記憶された記憶部と、前記記憶部に記憶された前記データベースに基づいて取扱説明書を作成する処理部とを備えた取扱説明書作成システムであって、
前記データベースは、
仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書を前記処理部が前記機械製品の型式に基づいて作成する際に、前記処理部によって参照されるデータベースであって、
前記機械製品群は、前記機械製品を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも一部の構成要素の仕様が互いに異なる複数の機械製品を有し、
前記型式は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子によって構成され、
前記データベースは、
前記取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目と、前記識別子とが関連付けられた項目データベースと、前記複数の項目のそれぞれに対応する説明事項を含む説明事項データベースとを含み、
前記項目データベースの複数の項目は、前記機械製品群を構成する複数の機械製品および前記複数の構成要素に対応する項目を含み、前記項目データベースは、前記機械製品群を構成する複数の機械製品の前記複数の構成要素に対応する複数の識別子に対して、前記複数の項目のうち、どの項目が前記取扱説明書に必要な項目であるかを関連付けており、
前記処理部は、
入力された前記型式を構成する複数の識別子に基づいて、前記項目データベースを参照して、前記取扱説明書を構成する複数の項目を選択し、選択された前記複数の項目に基づいて、前記説明事項データベースを参照して、対応する説明事項を抽出し、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項に基づいて、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項が所定の順序に組み合わされたデータファイルである前記取扱説明書を作成する、取扱説明書作成システム。
【請求項2】
前記説明事項は、仕様の安全性に関する情報である安全説明情報を含み、
前記取扱説明書作成システムは、前記安全説明情報に加えて、前記識別子に対応する情報であって仕様の安全性に関して基準となる安全基準情報が記憶された記憶部を備え、
前記処理部は、前記型式の入力に応じて、入力された前記型式を構成する前記識別子に対応する前記安全基準情報を出力するように構成され、
前記安全基準情報は、前記識別子を介して前記安全説明情報と対応付けられており、
前記処理部は、作成した前記取扱説明書を出力するように構成され、
前記処理部は、前記識別子に基づいて前記安全基準情報と前記安全説明情報とを対応付けた態様で、前記安全基準情報および前記取扱説明書を出力するように構成されている、請求項1に記載の取扱説明書作成システム。
【請求項3】
前記取扱説明書作成システムは、外部からの入力によって新たな前記安全基準情報である追加情報を受け付け、前記追加情報と前記識別子とを関連付けて前記記憶部に記憶するように構成され、
前記処理部は、前記安全基準情報を、前記追加情報の内容に更新できるように構成されている、請求項2に記載の取扱説明書作成システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記安全基準情報が同一の属性の前記仕様間で異なる場合、前記取扱説明書作成システムのユーザに対して前記安全基準情報の確認を促すための確認表示を出力するように構成され、
前記確認表示は、前記識別子を介して前記安全基準情報と対応付けられ、
前記処理部は、前記識別子に基づいて前記前記確認表示と前記安全基準情報と対応付けた態様で、前記前記確認表示および前記安全基準情報を出力するように構成されている、請求項2に記載の取扱説明書作成システム。
【請求項5】
前記処理部は、(i)前記安全基準情報が前記記憶部に新たに記憶された場合、または(ii)前記安全基準情報が前記追加情報の内容に更新された場合、前記取扱説明書作成システムのユーザに対して前記安全基準情報の確認を促すための確認表示を出力するように構成され、
前記確認表示は、前記識別子を介して前記安全基準情報と対応付けられており、
前記処理部は、前記識別子に基づいて、前記前記確認表示を前記安全基準情報と対応付けた態様で出力するように構成されている、請求項3に記載の取扱説明書作成システム。
【請求項6】
前記処理部は、作成した前記取扱説明書に含まれるべき前記項目が、作成した前記取扱説明書において抜けている場合、前記取扱説明書作成システムのユーザに対して確認を促すための表示を出力する、請求項2または3に記載の取扱説明書作成システム。
【請求項7】
前記安全性に関する情報は、機械製品の使用および/または取り扱いに関する安全面での注意事項を含む、請求項2に記載の取扱説明書作成システム。
【請求項8】
取扱説明書の作成に用いられるデータベースが記憶された記憶部と、前記記憶部に記憶された前記データベースに基づいて取扱説明書を作成する処理部とを備えたサーバ装置であって、
前記データベースは、
仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書を前記処理部が前記機械製品の型式に基づいて作成する際に、前記処理部によって参照されるデータベースであって、
前記機械製品群は、前記機械製品を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも一部の構成要素の仕様が互いに異なる複数の機械製品を有し、
前記型式は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子によって構成され、
前記データベースは、
前記取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目と、前記識別子とが関連付けられた項目データベースと、前記複数の項目のそれぞれに対応する説明事項を含む説明事項データベースとを含み、
前記項目データベースの複数の項目は、前記機械製品群を構成する複数の機械製品および前記複数の構成要素に対応する項目を含み、前記項目データベースは、前記機械製品群を構成する複数の機械製品の前記複数の構成要素に対応する複数の識別子に対して、前記複数の項目のうち、どの項目が前記取扱説明書に必要な項目であるかを関連付けており、
前記処理部は、
入力された前記型式を構成する複数の識別子に基づいて、前記項目データベースを参照して、前記取扱説明書を構成する複数の項目を選択し、選択された前記複数の項目に基づいて、前記説明事項データベースを参照して、対応する説明事項を抽出し、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項に基づいて、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項が所定の順序に組み合わされたデータファイルである前記取扱説明書を作成し、作成した前記取扱説明書を前記サーバ装置と接続された端末装置へ送信する、サーバ装置。
【請求項9】
取扱説明書の作成に用いられるデータベースが記憶された記憶部を備えたサーバ装置であって、
前記サーバ装置は、前記記憶部に記憶された前記データベースに基づいて取扱説明書を作成する処理部と通信可能に接続され、
前記データベースは、
仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書を前記処理部が前記機械製品の型式に基づいて作成する際に、前記処理部によって参照されるデータベースであって、
前記機械製品群は、前記機械製品を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも一部の構成要素の仕様が互いに異なる複数の機械製品を有し、
前記型式は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子によって構成され、
前記データベースは、
前記取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目と、前記識別子とが関連付けられた項目データベースと、前記複数の項目のそれぞれに対応する説明事項を含む説明事項データベースとを含み、
前記項目データベースの複数の項目は、前記機械製品群を構成する複数の機械製品および前記複数の構成要素に対応する項目を含み、前記項目データベースは、前記機械製品群を構成する複数の機械製品の前記複数の構成要素に対応する複数の識別子に対して、前記複数の項目のうち、どの項目が前記取扱説明書に必要な項目であるかを関連付けており、
前記データベースは、
前記処理部に入力された前記型式を構成する複数の識別子に基づいて、前記処理部が前記項目データベースを参照して、前記取扱説明書を構成する複数の項目を選択し、選択された前記複数の項目に基づいて、前記処理部が前記説明事項データベースを参照して、対応する説明事項を抽出し、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項に基づいて、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項が所定の順序に組み合わされたデータファイルである前記取扱説明書を前記処理部が作成する処理に用いられる、サーバ装置。
【請求項10】
取扱説明書の作成に用いられるデータベースに基づいて、コンピュータにより取扱説明書を作成する方法であって、
前記データベースは、
仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書をコンピュータが前記機械製品の型式に基づいて作成する際に、前記コンピュータによって参照されるデータベースであって、
前記機械製品群は、前記機械製品を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも一部の構成要素の仕様が互いに異なる複数の機械製品を有し、
前記型式は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子によって構成され、
前記データベースは、
前記取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目と、前記識別子とが関連付けられた項目データベースと、前記複数の項目のそれぞれに対応する説明事項を含む説明事項データベースとを含み、
前記項目データベースの複数の項目は、前記機械製品群を構成する複数の機械製品および前記複数の構成要素に対応する項目を含み、前記項目データベースは、前記機械製品群を構成する複数の機械製品の前記複数の構成要素に対応する複数の識別子に対して、前記複数の項目のうち、どの項目が前記取扱説明書に必要な項目であるかを関連付けており、
前記コンピュータは、
入力された前記型式を構成する複数の識別子に基づいて、前記項目データベースを参照して、前記取扱説明書を構成する複数の項目を選択し、選択された前記複数の項目に基づいて、前記説明事項データベースを参照して、対応する説明事項を抽出し、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項に基づいて、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項が所定の順序に組み合わされたデータファイルである前記取扱説明書を作成する、取扱説明書の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取扱説明書作成システム、サーバ装置、および取扱説明書の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の取扱説明書を作成する装置が提案されている。たとえば、特許文献1に記載の取扱説明書作成システムは、記憶部に記憶されている取扱説明書の項目と、ユーザによって入力された文字情報とを互いに対応付けることにより、取扱説明書を作成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は製品の多様化が進んでいるが、特許文献1に記載の取扱説明書作成システムは、1つの製品の取扱説明書の作成を想定したものであり、製品の多様化に対応することは想定されていない。
【0005】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、多様な製品の取扱説明書を効率よく作成することが可能な、取扱説明書作成システム、サーバ装置、および取扱説明書の作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る取扱説明書作成システムは、取扱説明書の作成に用いられるデータベースが記憶された記憶部と、前記記憶部に記憶された前記データベースに基づいて取扱説明書を作成する処理部とを備えた取扱説明書作成システムであって、前記データベースは、仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書を前記処理部が前記機械製品の型式に基づいて作成する際に、前記処理部によって参照されるデータベースであって、前記機械製品群は、前記機械製品を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも一部の構成要素の仕様が互いに異なる複数の機械製品を有し、前記型式は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子によって構成され、前記データベースは、前記取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目と、前記識別子とが関連付けられた項目データベースと、前記複数の項目のそれぞれに対応する説明事項を含む説明事項データベースとを含み、前記項目データベースの複数の項目は、前記機械製品群を構成する複数の機械製品および前記複数の構成要素に対応する項目を含み、前記項目データベースは、前記機械製品群を構成する複数の機械製品の前記複数の構成要素に対応する複数の識別子に対して、前記複数の項目のうち、どの項目が前記取扱説明書に必要な項目であるかを関連付けており、前記処理部は、入力された前記型式を構成する複数の識別子に基づいて、前記項目データベースを参照して、前記取扱説明書を構成する複数の項目を選択し、選択された前記複数の項目に基づいて、前記説明事項データベースを参照して、対応する説明事項を抽出し、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項に基づいて、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項が所定の順序に組み合わされたデータファイルである前記取扱説明書を作成する。
【0007】
本発明に係るサーバ装置は、取扱説明書の作成に用いられるデータベースが記憶された記憶部と、前記記憶部に記憶された前記データベースに基づいて取扱説明書を作成する処理部とを備えたサーバ装置であって、前記データベースは、仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書を前記処理部が前記機械製品の型式に基づいて作成する際に、前記処理部によって参照されるデータベースであって、前記機械製品群は、前記機械製品を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも一部の構成要素の仕様が互いに異なる複数の機械製品を有し、前記型式は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子によって構成され、前記データベースは、前記取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目と、前記識別子とが関連付けられた項目データベースと、前記複数の項目のそれぞれに対応する説明事項を含む説明事項データベースとを含み、前記項目データベースの複数の項目は、前記機械製品群を構成する複数の機械製品および前記複数の構成要素に対応する項目を含み、前記項目データベースは、前記機械製品群を構成する複数の機械製品の前記複数の構成要素に対応する複数の識別子に対して、前記複数の項目のうち、どの項目が前記取扱説明書に必要な項目であるかを関連付けており、前記処理部は、入力された前記型式を構成する複数の識別子に基づいて、前記項目データベースを参照して、前記取扱説明書を構成する複数の項目を選択し、選択された前記複数の項目に基づいて、前記説明事項データベースを参照して、対応する説明事項を抽出し、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項に基づいて、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項が所定の順序に組み合わされたデータファイルである前記取扱説明書を作成し、作成した前記取扱説明書を前記サーバ装置と接続された端末装置へ送信する。
【0008】
本発明に係るサーバ装置は、取扱説明書の作成に用いられるデータベースが記憶された記憶部を備えたサーバ装置であって、前記サーバ装置は、前記記憶部に記憶された前記データベースに基づいて取扱説明書を作成する処理部と通信可能に接続され、前記データベースは、仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書を前記処理部が前記機械製品の型式に基づいて作成する際に、前記処理部によって参照されるデータベースであって、前記機械製品群は、前記機械製品を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも一部の構成要素の仕様が互いに異なる複数の機械製品を有し、前記型式は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子によって構成され、前記データベースは、前記取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目と、前記識別子とが関連付けられた項目データベースと、前記複数の項目のそれぞれに対応する説明事項を含む説明事項データベースとを含み、前記項目データベースの複数の項目は、前記機械製品群を構成する複数の機械製品および前記複数の構成要素に対応する項目を含み、前記項目データベースは、前記機械製品群を構成する複数の機械製品の前記複数の構成要素に対応する複数の識別子に対して、前記複数の項目のうち、どの項目が前記取扱説明書に必要な項目であるかを関連付けており、前記データベースは、前記処理部に入力された前記型式を構成する複数の識別子に基づいて、前記処理部が前記項目データベースを参照して、前記取扱説明書を構成する複数の項目を選択し、選択された前記複数の項目に基づいて、前記処理部が前記説明事項データベースを参照して、対応する説明事項を抽出し、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項に基づいて、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項が所定の順序に組み合わされたデータファイルである前記取扱説明書を前記処理部が作成する処理に用いられる。
【0009】
本発明に係る方法は、取扱説明書の作成に用いられるデータベースに基づいて、コンピュータにより取扱説明書を作成する方法であって、前記データベースは、仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書をコンピュータが前記機械製品の型式に基づいて作成する際に、前記コンピュータによって参照されるデータベースであって、前記機械製品群は、前記機械製品を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも一部の構成要素の仕様が互いに異なる複数の機械製品を有し、前記型式は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子によって構成され、前記データベースは、前記取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目と、前記識別子とが関連付けられた項目データベースと、前記複数の項目のそれぞれに対応する説明事項を含む説明事項データベースとを含み、前記項目データベースの複数の項目は、前記機械製品群を構成する複数の機械製品および前記複数の構成要素に対応する項目を含み、前記項目データベースは、前記機械製品群を構成する複数の機械製品の前記複数の構成要素に対応する複数の識別子に対して、前記複数の項目のうち、どの項目が前記取扱説明書に必要な項目であるかを関連付けており、前記コンピュータは、入力された前記型式を構成する複数の識別子に基づいて、前記項目データベースを参照して、前記取扱説明書を構成する複数の項目を選択し、選択された前記複数の項目に基づいて、前記説明事項データベースを参照して、対応する説明事項を抽出し、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項に基づいて、選択された前記複数の項目および抽出された前記説明事項が所定の順序に組み合わされたデータファイルである前記取扱説明書を作成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多様な製品の取扱説明書を効率よく作成することが可能な、取扱説明書作成システム、サーバ装置、および取扱説明書の作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る取扱説明書作成システムの構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る取扱説明書作成システムにおける入力画面の一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る取扱説明書作成システムにおける処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る取扱説明書作成システムにおける項目データベースの一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る取扱説明書作成システムにおける説明事項データベースの一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る取扱説明書作成システムにおける、仕様の安全性に関する情報の出力および確認を促すための表示の出力の一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る取扱説明書作成システムの構成の一例を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る取扱説明書作成システムにおける記憶部の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る取扱説明書作成システムについて図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部同士を任意に組み合わせてもよい。また、以下に示す実施形態はあくまで例にすぎず、本発明の取扱説明書作成システムは、以下の例に限定されることはない。
【0013】
図1に示される取扱説明書作成システム1は、仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書を、機械製品の型式に基づいて作成するシステムである。本明細書における「取扱説明書」は、機械製品のライフサイクルの全局面を通じた機械製品の使用に関する指示事項および助言が記載された書面である。また、「取扱説明書」は、取扱説明書作成システム1のユーザ(以下、システムユーザとも称する)が、機械製品のユーザ(以下、製品ユーザとも称する)へ提供する使用上の情報が記載された書面である。本実施形態では、システムユーザは、主として、機械製品の製造業者(機械メーカ)である。
【0014】
本明細書において、「機械製品」とは、動力を受けて、目的に応じた一定の運動および仕事をするものである。「機械製品」は、動力を受けて、目的に応じた一定の運動および仕事をするものであれば、電気的に制御されるかどうかは問わないが、パーソナルコンピュータ(PC)や通信機器のように、情報処理または通信を主目的とする機器(動力を受けて、目的に応じた一定の運動および仕事をすることを主目的としない機器)を除く製品とすることができる。「目的に応じた一定の運動および仕事」とは、力学的(流体力学、熱力学を含む)または電磁気学的な運動および仕事を意味する。「機械製品」は、たとえば、産業機械のように、化学工業、建設業などを含む産業現場で、人にとって苦痛、困難、不可能な作業を補助、代行するものを含む。具体的には、「機械製品」は、たとえば、工作機械、製造機械、運搬機械、建設機械等の、比較的大型の機械を含む。また、「機械製品」は、「目的に応じた一定の運動および仕事」をする原動機、たとえば、風車等の風水力原動機、エンジン等の熱機関、モータ等の電動機を含む。また、「機械製品」は、「目的に応じた一定の運動および仕事」をするのであれば、家電製品等の比較的小型の機械を含む。家電製品としては、たとえば、モータを備えた自動洗濯機、コンプレッサを備えた冷蔵庫、等を含む。
【0015】
本明細書において、機械製品の「仕様」とは、機械製品の機能、性能、特性、寸法、材質など、当該機械製品の要件を定めたものをいう。「仕様の異なる複数の種類の機械製品」とは、用途が同一または類似であり、かつ、仕様の異なる機械製品を意味する。たとえば、ポンプという機械製品において、第1の種のポンプと、第1の種とは異なる第2の種のポンプとは、圧力の作用によって液体や気体を吸い上げたり送ったりするという用途は同じであるが、構成要素の種類または仕様が異なる(たとえば、構成要素の種類、大きさ、材質等が異なる)ことによって、たとえば、性能、機能、役割、大きさ、重量、消費エネルギー、運搬方法、使用方法、安全性、リスク、注意事項等が異なり得る。具体的には、たとえば、ポンプという機械製品において、口径が第1の値(たとえば8mm)の吐出部を有するポンプと、口径が第2の値(たとえば80mm)の吐出部を有するポンプとは、吐出部の仕様が異なる(口径が異なる)ことによって、たとえば、ポンプの吐出量、大きさ、機能、役割、重量、消費エネルギー、運搬方法、使用方法、安全性、リスク、注意事項等が異なり得る。なお、本明細書における「仕様」は、後述する型式を構成する識別子IDに対応し、識別子IDによって機械製品の仕様が特定される。
【0016】
本明細書において、「機械製品群」とは、用途が同一または類似であり、かつ、仕様の異なる機械製品を意味する。「機械製品群」は、機械製品を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも一部の構成要素の仕様が互いに異なる複数の機械製品を有する。「機械製品群」は、機械製品を構成する複数の構成要素のうちの一部の構成要素の仕様が互いに異なっていてもよいし、全部の構成要素の仕様が互いに異なっていてもよい。なお、本実施形態の取扱説明書作成システムは、1つの機械製品群のみを扱ってもよいし、複数の機械製品群をまとめて扱っても構わない。取扱説明書作成システムが複数の機械製品群を扱う場合、1つの機械製品群と他の機械製品群の用途が互いに類似するものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。機械製品を構成する構成要素は、たとえば、機械製品を構成する、部品、部位、ユニット等とすることができる。
【0017】
本明細書において、「型式」とは、機械製品において、その仕様によって分類される特定の型を意味する。「型式」は、用途が同一または類似であることを前提としていてもよいし、用途が同一または類似である機械製品と、用途が同一または類似ではない(用途が異なる)機械製品との双方を対象としていてもよい。「型式」は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子IDによって構成されている。すなわち、「型式」は、複数の識別子によって構成されており、各識別子IDは、対応する構成要素の仕様を示している。識別子IDは、ユーザが視認可能であれば、その態様は特に限定されないが、たとえば、数字、アルファベット等の文字、図形、符号等の記号で表すことができる。1つの識別子IDは、1つの記号で表されてもよいし、複数の記号で表されてもよい。また、「型式」は、たとえば、複数の記号が一列に並んだ記号列として表すことができる。また、「型式」を構成する識別子IDの数は、機械製品の仕様を特定できる数であれば、特に限定されない。また、「型式」における各識別子IDの位置は、識別子IDが機械製品におけるどの構成要素に対応するのかを示している。
【0018】
本明細書において、構成要素の「仕様」とは、機械製品の構成要素の機能、性能、特性、寸法、材質など、当該構成要素の特徴を定めたものをいう。本実施形態では、型式の一部によって特定される、構成要素の仕様によって、構成要素の特徴が一義的に定められ得る。たとえば、ポンプという機械製品の吐出部(構成要素)において、口径を示す型式の一部となる識別子IDが特定されると、その吐出部の口径が第1の値(たとえば8mm)であることが特定され、口径を示す型式の一部となる他の識別子IDが特定されると、その吐出部の口径が第1の値とは異なる第2の値(たとえば80mm)であることが特定される。このように、型式の識別子IDが異なると、構成要素の仕様も異なる。
【0019】
次に、取扱説明書作成システム1の構成について、
図1~
図8を参照して説明する。
図1に示される取扱説明書作成システム1は、ユーザが所望する型式に対応する取扱説明書を作成する処理装置2を備えている。ここでいう「ユーザ」とは、取扱説明書作成システム1を使用して取扱説明書の作成サービスを受ける者(以下、システムユーザとも称する)である。システムユーザは、たとえば、機械製品を製造する製造業者(機械メーカ)であり、具体的には、製造業者における、取扱説明書の作成担当者である。システムユーザは、処理装置2に対して取扱説明書の作成指示を与えることにより、処理装置2から取扱説明書の作成サービスを受ける。「取扱説明書の作成指示」は、取扱説明書の作成対象である機械製品の型式を指定する情報を含む。すなわち、処理装置2は、システムユーザに指定された型式に基づいて、システムユーザが所望する型式に対応する機械製品の取扱説明書を作成し、作成した取扱説明書をシステムユーザへ提供する。
【0020】
処理装置2は、システムユーザからの指示を受けて取扱説明書を作成し、作成した取扱説明書をシステムユーザへ提供できるのであれば、その態様は特に限定されないが、
図1に示される例では、インターネット等のネットワーク4上に設けられたサーバ装置である。
図1に示される処理装置2は、ネットワーク上に設けられたコンピュータの中で、他のコンピュータ(クライアント端末装置3、以下、端末装置3とも称する)から指示を受け、取扱説明書の作成に関する情報を端末装置3へ送信する機能、取扱説明書の作成に関する処理を行う機能、および、処理結果を端末装置3へ送信する機能を有する。なお、処理装置2は、インターネットを介して接続されるサーバ装置に限定されるものではなく、インターネットを経由せずにシステムユーザからの指示を受けて取扱説明書を作成し、作成した取扱説明書をシステムユーザへ提供する機能を有する図示しないオンプレミス型の装置(たとえばPCなど)であってもよい。このようなオンプレミス型の装置は、表示部、操作入力部、処理部および通信部を有する情報機器である。この場合、当該装置は、処理装置2の機能を有する。
【0021】
なお、
図1に示される例では、処理装置2(サーバ装置)は、後述の記憶部21、作成部22および制御部23を備えているが、これに限定されるものではない。たとえば、
図7および
図8に示されるように、処理装置2が有する複数の機能のうち、記憶部21が有する機能を別のサーバ装置(データベースサーバ)に移動させてもよい。
図7に示される例では、
図1における処理装置2が有する複数の機能が、サーバ装置(アプリケーションサーバ)2Aと、サーバ装置(データベースサーバ)2Bとに分けて実装されている。具体的には、サーバ装置2Aは、
図1の処理装置2が有する作成部22および制御部23を備えている。サーバ装置2Bは、
図1の処理装置2が有する記憶部21を備えている。また、サーバ装置2Bは、サーバ装置2Aとの間で情報の送受信を行うための図示しない通信部と、記憶部21に対して情報の書き込みおよび読み出しを行うための制御部24とを備えている。
図7に示される例では、サーバ装置2Aとサーバ装置2Bとは通信回線を介して接続されている。サーバ装置2Aは、サーバ装置2Bに記憶されている情報を用いて取扱説明書を作成することができる。
図8に示されるサーバ装置2Aおよびサーバ装置2Bは、全体として、
図1に示される処理装置2と同様の処理を行うことができる。
【0022】
図1に示される端末装置3は、システムユーザによって操作される装置であり、画面32を有する表示部31(
図2参照)と、図示しない操作入力部および通信部とを有する情報機器である。端末装置3は、たとえば、携帯電話やスマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、ウェアラブルデバイス、またはディスプレイを備えたPC等の情報端末である。端末装置3は、システムユーザによる型式の指定操作(たとえば選択操作)を、マウスまたはタッチパネル等の操作入力部を介して行うことが可能に構成されている。また、端末装置3は、処理装置2にアクセスすることにより、型式を入力するための型式の入力フォーマットFを表示部31に表示することが可能に構成されている。また、端末装置3は、システムユーザによる型式の指定操作に応じて、当該型式に対応する取扱説明書の作成指示を処理装置2に対して行うように構成されている。また、端末装置3は、処理装置2が取扱説明書の作成指示を受けて作成した取扱説明書を、処理装置2から受信するように構成されている。また、端末装置3は、受信した取扱説明書を表示部31に表示する等の出力が可能に構成されている。また、端末装置3は、処理装置2が作成した取扱説明書を、必要に応じて修正する指示を処理装置2に対して与えるように構成されている。また、端末装置3は、処理装置2が修正指示を受けて修正した取扱説明書を受信して、表示部31等に出力するように構成されている。
【0023】
次に、処理装置2の構成について詳細に説明する。
図3に示されるように、処理装置2は、コンピュータ可読記憶媒体21と、作成部22とを備えている。また、処理装置2は、制御部23をさらに備えている。
【0024】
コンピュータ可読記憶媒体(以下、記憶部とも称する)21には、作成部22の動作に必要な各種プログラムおよびデータが記憶される。記憶部21の種類は、特に限定されるものではなく、たとえば、HDD、CD-ROMなどの記憶装置、RAMやROMなどのメモリとすることができる。また、記憶部21に記憶される各種情報は、1つの記憶装置またはメモリに纏めて記憶されてもよいし、複数の記憶装置またはメモリに分散して記憶されてもよい。本実施形態では、
図3に示されるように、記憶部21には、データベース210が記憶されている。本実施形態では、データベース210は、項目データベース211を含む。また、データベース210は、さらに、説明事項データベース212を含む。また、データベース210は、さらに、取扱説明書データベース213を含む。また、データベース210は、さらに、安全性情報データベース214を含む。
【0025】
データベース210は、仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書をコンピュータが機械製品の型式に基づいて作成する際に、当該コンピュータによって参照される。本実施形態では、データベース210を参照するコンピュータは、たとえば作成部22および制御部23である。
【0026】
項目データベース211は、取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目ITと、識別子IDとを関連付けている(
図4参照)。本明細書において、「取扱説明書の記載事項」とは、機械製品を使用する製品ユーザが機械製品を取り扱う際に必要な情報であり、取り扱いの手引きとなる情報である。製品ユーザは、取扱説明書作成システム1を使用する上述のシステムユーザ(たとえば、機械製品の製造業者等、取扱説明書の作成者)とは異なる。取扱説明書の記載事項の項分けは、製品ユーザが情報の場所を速やかに見つけられるようになされていることが好ましい。
【0027】
項目データベース211を構成する複数の項目ITは、所定の順序で配置されている。項目データベース211の各項目ITおよび各項目ITの配置の順序は、取扱説明書の目次を構成する見出しおよび当該見出しの配置の順序に対応し得る。なお、
図4に示される例では、項目データベース211は、縦軸に沿って複数の項目ITが配置され、横軸に沿って複数の識別子IDが配置された構成であるが、この例に限定されるものではない。たとえば、項目データベース211は、横軸に沿って複数の項目ITが配置され、縦軸に沿って複数の識別子IDが配置された構成であってもよい。
【0028】
本実施形態では、取扱説明書の記載事項の項分けは、章(大項目)、節(中項目)、および項(小項目)により構成される。すなわち、複数の項目IT(
図4参照)は、章、節、項のいずれかに項分けされる。「章」の項目ITは、たとえば、「安全」、「機械の概要」、「輸送、取扱い、保管」、「組立、設置」、「運転」、「不具合発見、トラブルシューティング、修理」などの見出しである。
図4に示される例では、「A」を含む箇所が「章」に対応し、「B」を含む箇所が「節」に対応し、「C」を含む箇所が「項」に対応している。
【0029】
「章」の項目ITは、「節」の項目ITよりも上位の項目である。すなわち、各章の項目ITには、1つまたは複数の「節」の項目ITが含まれている。たとえば、「安全」の章には、機械製品を取り扱う際のリスクに対する注意事項に関する「節」および警告に関する「節」の項目ITがそれぞれ含まれている。リスクに対する注意事項としては、たとえば、「安全指示事項」、リスクに対する警告としては、たとえば、「危険状態についての警告」などの見出しである節が含まれている。リスクに対する注意事項および警告は、機械製品のライフサイクルおよび機械製品の構成要素のライフサイクルの全局面を考慮した内容である。「機械の概要」の章には、「機械の説明」、「設置レイアウト」などの見出しである節が含まれている。「輸送、取扱い、保管」の章には、「機械の輸送」などの見出しである節が含まれている。「組立、設置」の章には、「機械の位置決め」などの見出しである節が含まれている。「運転」の章には、「使用すべき個人用保護具」、「非常事態への対応」などの見出しである節が含まれている。「不具合発見、トラブルシューティング、修理」の章には、「トラブルシューティング手順」などの見出しである節が含まれている。
【0030】
「節」の項目ITは、「項」の項目ITよりも上位の項目である。すなわち、各節の項目ITには、1つまたは複数の「項」の項目ITが含まれている。たとえば、「安全指示事項」の節には、「機械の使用中に発生する可能性のある危険状態についての警告」などの見出しである項が含まれている。「機械の輸送」の節には、「必要とされる技能および機器」などの見出しである項が含まれている。「機械の位置決め」の節には、「機械の位置決めおよび固定に関する最低要求事項」などの見出しである項が含まれている。なお、ここに挙げた「章」、「節」、「項」の具体例は、項目ITの例の一部であり、他にも項目があり得る。なお、取扱説明書の記載事項の項分けは、章(大項目)、節(中項目)、項(小項目)、および目(細項目)により構成されてもよい。「項」の項目ITは、「目」の項目よりも上位の項目である。すなわち、各項の項目ITには、1つまたは複数の目(細項目)が含まれ得る。
【0031】
本実施形態では、識別子IDと項目ITとは、1対1の関係で対応付けられていてもよいし、識別子IDと項目ITとは、複数対1の関係(複数の識別子IDに対して1つの項目ITが対応する関係)で対応付けられていてもよいし、識別子IDと項目ITとは、1対複数の関係(1つの識別子IDに対して複数の項目ITが対応する関係)で対応付けられていてもよい。いずれの場合も、構成要素の仕様を示す識別子IDがシステムユーザによって指定されることにより、取扱説明書に記載される項目ITが決まる。
【0032】
項目データベース211の複数の項目ITは、機械製品群を構成する複数の機械製品および複数の構成要素に対応する項目を含む。たとえば、ポンプというカテゴリに着目した場合を想定する。この場合、項目データベース211の複数の項目ITは、ポンプというカテゴリ(ポンプ群)を構成する複数の仕様のポンプおよび複数の構成要素(たとえば、ポンプを構成する部品またはユニット)に対応する項目を含む。すなわち、項目データベース211に記憶されている複数の項目ITは、様々な仕様のポンプにおける各構成要素に対応している(ポンプ群に関する項目データベース211には、或る仕様のポンプAの取扱説明書に記載されるべき項目、当該ポンプAには不要な項目であるが、別の仕様のポンプBには必要な項目、ポンプA、Bには不要な項目であるが、さらに別の仕様のポンプCには必要な項目など、様々なポンプに記載される可能性のある項目がまとめて格納されている)。したがって、項目データベース211に記憶されている複数の項目ITのうちのいずれかを組み合わせることにより、様々な仕様のポンプに関して、取扱説明書の作成に必要な複数の項目ITが揃うことになる。なお、ここに挙げたポンプは、機械製品のカテゴリの一例であり、他のカテゴリの機械製品についても同様である。
【0033】
また、項目データベース211は、機械製品群を構成する複数の機械製品の複数の構成要素に対応する複数の識別子IDに対して、複数の項目ITのうち、どの項目ITが取扱説明書に必要な項目ITであるかを関連付けている。たとえば、ポンプというカテゴリに着目した場合、項目データベース211は、ポンプ群を構成する複数のポンプの複数の構成要素(たとえば、ポンプを構成する部品またはユニット)に対応する複数の識別子IDに対して、複数の項目ITのうち、どの項目ITが取扱説明書に必要な項目ITであるかを関連付けている。すなわち、項目データベース211は、様々な種類のポンプに関して、取扱説明書に必要な項目ITを、ポンプの構成要素の識別子IDに対応付けている。したがって、様々な種類のポンプに関して、ポンプを構成する複数の構成要素の識別子IDがシステムユーザによって指定されることにより、取扱説明書の作成対象となるポンプの仕様と、当該仕様のポンプの取扱説明書に必要な項目ITが決まる。なお、項目データベース211には、1つの機械製品群に関する項目ITと識別子IDとが関連付けられた1つのデータ(テーブル)のみが格納されていてもよいし、1つの機械製品群とは異なる別の機械製品群のデータがさらに格納されていてもよい。
【0034】
本実施形態では、項目データベース211は、機械製品の取扱説明書の作成に必要な項目ITを、機械製品群に含まれる複数の種類の機械製品のすべてについて含んでいる。すなわち、項目データベース211は、機械製品群(所定のカテゴリに属する複数の種類の機械製品、たとえばポンプ群)における当該複数の種類の機械製品のすべてについて、取扱説明書の作成に必要な項目ITを含んでいる。したがって、本実施形態では、所定のカテゴリに属する様々な種類の機械製品の取扱説明書を作成することが可能となる。
【0035】
また、本実施形態では、項目データベース211は、機械製品の取扱説明書の作成に必要な構成要素に対応する識別子IDを、機械製品群に含まれる複数の種類の機械製品のすべてについて含んでいる。すなわち、項目データベース211は、機械製品群(所定のカテゴリに属する複数の種類の機械製品、たとえばポンプ群)における当該複数の種類の機械製品のすべてについて、取扱説明書の作成に必要な識別子IDを含んでいる。したがって、本実施形態では、所定のカテゴリに属する様々な種類の機械製品の取扱説明書を作成することが可能となる。
【0036】
本実施形態では、項目ITは、1つまたは複数の章「A1」・・・を有する(
図4では、1つの章のみを示す)。また、項目ITは、1つまたは複数の節「B1」・・・を有する(
図4では、1つの節のみを示す)。また、項目ITは、1つまたは複数の項「C1」、項「C2」、・・・を有する(
図4では複数の項を示す)。なお、複数の機械製品を含む機械製品群用に必要な項目の数は、実際には100以上となることもあるが、
図4においては、簡略化して示しており、章「C8」より後の項目の図示を省略している。なお、
図4に示した項目ITの数は一例であり、他の数であってもよい。
【0037】
図4に示される例では、機械製品群を構成する複数の機械製品の複数の構成要素に対応する複数の識別子IDに対して、複数の項目ITのうち、どの項目ITが取扱説明書に必要な項目ITであるかが、「○」の記号により示されている。
図4に示される例では、構成要素(1)の仕様S1(
図4において「(1)-S1」と示す)には2種類の仕様があり、2つの仕様にそれぞれ対応する2つの識別子IDが「a1」および「b1」とされている。項目データベース211がポンプ群を対象としている場合、
図4に示される構成要素(1)の仕様S1は、たとえば、モータ(構成要素)の段数(仕様)である。そして、モータの段数における2つの仕様は、たとえば、「2段」および「4段」である。2段および4段にそれぞれ対応する識別子IDは、「2」および「4」である。すなわち、2つの識別子IDが「a1」および「b1」は、それぞれ、具体的には「2」および「4」である。以下、各構成要素を総称して、構成要素ELとも称する。また、
図4に示される例では、各構成要素の仕様を総称してEL-Sと表記している。
【0038】
構成要素(2)の仕様S2(
図4において「(2)-S2」と示す)には2種類の仕様があり、2つの仕様にそれぞれ対応する2つの識別子IDが「a2」および「b2」とされている。項目データベース211がポンプ群を対象としている場合、
図4に示される構成要素(2)の仕様S2は、たとえば、ロータ(構成要素)の呼び径(仕様)である。そして、ロータの呼び径における2つの仕様は、たとえば、「20mm」および「50mm」である。「20mm」および「50mm」にそれぞれ対応する識別子IDは、「20」および「50」である。すなわち、2つの識別子ID「a2」および「b2」は、それぞれ、具体的には「20」および「50」である。構成要素(3)の仕様S3「(3)-S3」、構成要素(4)の仕様S4「(4)-S4」、構成要素(5)の仕様S5「(5)-S5」および構成要素(6)の仕様S6「(6)-S6」についても同様に、複数の仕様がある。
【0039】
さらに、
図4に示される例では、識別子「a1」は、記号「○」によって、項「C1」に対応付けられ、識別子「b1」は、記号「○」によって、項「C2」に対応付けられている。項目データベース211がポンプ群を対象としている場合、項「C1」は、たとえば、モータの段数が2段である場合の、「安全指示事項」についての見出し「安全指示事項(モータの段数が2段)」である。また、項「C2」は、たとえば、モータの段数が4段である場合の、「安全指示事項」についての見出し「安全指示事項(モータの段数が4段)」である。さらに、
図4に示される例では、識別子「a1」は、記号「○」によって、項「C3」に対応付けられ、識別子「b1」は、記号「○」によって、項「C4」に対応付けられている。項目データベース211がポンプ群を対象としている場合、項「C3」は、たとえば、モータの段数が2段である場合の、「危険状態についての警告」についての見出し「危険状態についての警告(モータの段数が2段)」である。また、項「C4」は、たとえば、モータの段数が4段である場合の、「危険状態についての警告」についての見出し「危険状態についての警告(モータの段数が4段)」である。機械製品の構成要素の仕様が異なることで(たとえば、モータの段数が2段であるか4段であるかによって)、取扱説明書において記載すべき事項を異ならせる必要がある場合がある。そのような場合、項目の内容(たとえば、安全指示事項の具体的内容、および、危険状態についての警告の具体的内容)が異なる。本実施形態では、項C1に対応する安全指示事項の内容と、項C2に対応する安全指示事項の内容とは異なる。さらに、項C3に対応する危険状態についての警告の内容と、項C4に対応する危険状態についての警告の内容とは異なる。
【0040】
また、識別子「a2」は、記号「○」によって、項「C5」に対応付けられ、識別子「b2」は、記号「○」によって、項「C6」に対応付けられている。項目データベース211がポンプ群を対象としている場合、項「C5」は、たとえば、ロータの呼び径が20mmである場合の、「安全指示事項」についての見出し「安全指示事項(ロータの呼び径が20mm)」である。また、項「C6」は、たとえば、ロータの呼び径が50mmである場合の、「安全指示事項」についての見出し「安全指示事項(ロータの呼び径が50mm)」である。さらに、
図4に示される例では、識別子「a2」は、記号「○」によって、項「C7」に対応付けられ、識別子「b2」は、記号「○」によって、項「C8」に対応付けられている。項目データベース211がポンプ群を対象としている場合、項「C7」は、たとえば、モータの段数が2段である場合の、「危険状態についての警告」についての見出し「危険状態についての警告(モータの段数が2段)」である。また、項「C8」は、たとえば、モータの段数が4段である場合の、「危険状態についての警告」についての見出し「危険状態についての警告(モータの段数が4段)」である。本実施形態では、項C5に対応する安全指示事項の内容と、項C6に対応する安全指示事項の内容とは異なる。さらに、項C7に対応する危険状態についての警告の内容と、項C8に対応する危険状態についての警告の内容とは異なる。識別子「a3」、識別子「b3」、識別子「a4」、識別子「b4」、識別子「a5」、識別子「b5」、識別子「a6」および識別子「b6」についても同様に対応付けがなされている。
【0041】
さらに、
図4に示される例では、識別子「a1」~「a6」および「b1」~「b6」は、記号「○」によって、章「A1」、項「B1」に対応付けられている。項目データベース211がポンプ群を対象としている場合、章「A1」は、たとえば、「安全」という見出しの章である。また、項「B1」は、たとえば、「安全に関する規則」という見出しの節である。なお、
図4に示した構成要素ELの数、各構成要素ELにおける仕様の数は一例であり、他の数であってもよい。また、
図4に示した記号「○」の位置は一例であり、
図4とは異なる位置に付されていてもよい。
【0042】
説明事項データベース212は、複数の項目ITのそれぞれに対応する説明事項DE(
図5参照)を含む。本明細書において、「説明事項」とは、項目ITに対応する仕様の構成要素ELに関連する説明事項である。したがって、識別子IDがシステムユーザによって指定されて構成要素ELの仕様が決まることにより、当該仕様に対応して取扱説明書に記載される説明事項DEが決まる。
【0043】
本明細書における「説明事項DE」は、インターネット等による情報サービスにおいて提供され得る文字、図形等の情報である。「説明事項DE」は、インターネット等による情報サービスにおいて提供され得る文字、図形等の情報であれば、その具体的な態様は特に限定されない。本明細書おける「説明事項DE」は、説明事項を示す文字、図形等の情報である。「説明事項DE」は、説明事項データベース212に記憶された、端末装置3に表示可能な情報である。「説明事項DE」は、たとえば、Web上で公開される、文字や図形といった情報である。「説明事項DE」がWeb上で公開される情報である場合、「説明事項DE」は、たとえば、WebページにおいてHTML等のマークアップ言語によって記述されており、Webブラウザを用いて閲覧することができる。また、同じドメイン内のWebページ群が、Webサイトとして記憶部21に記憶されている。Webサイト内の各Webページには他のページへのハイパーリンクが設置され、このハイパーリンクを辿ってWebページ間を互いに行き来できるようになっている。また、「説明事項DE」は、HTML等のマークアップ言語による記述に加えて、または、当該記述に代えて、たとえば、ワード(Microsoft Word:登録商標)、エクセル(Microsoft Excel:登録商標)、およびパワーポイント(Microsoft PowerPoint:登録商標)等のソフトウェアにより作成されたドキュメント(文書ファイル)の情報、PDF(Portable Document Format)等のソフトウェアにより作成された画像、写真、その他の静止した状態で表示される画像の情報を含んでいてもよい。
【0044】
本実施形態では、説明事項DEは、仕様の安全性に関する情報である安全説明情報を含む。説明事項DEは、仕様を示す識別子ITに関連付けて説明事項データベース212に記憶されている。本明細書において、「安全性」とは、安全(リスクが許容可能な水準に抑えられている状態)の度合いのことである。また、本明細書において、「安全説明情報」とは、説明事項DEに含まれる情報であって、安全性に関してシステムユーザおよび製品ユーザが留意すべき事項を示す情報である。「安全説明情報」は、機械製品の使用および/または取り扱いに関する安全面での注意事項を含む。「安全面での注意事項」とは、機械製品を安全に使用および/または取り扱うための注意事項である。すなわち、「安全説明情報」とは、機械製品を安全に使用および/または取り扱うためにシステムユーザおよび製品ユーザが留意すべき事項を示す情報である。安全性は、仕様毎に異なり得る。したがって、安全性の異なる仕様間では、安全性に関する注意事項が異なり得る。たとえば、仕様に応じて機械製品の重量、大きさ、形状等の少なくともいずれか1つが異なる場合に、複数の仕様間で安全性に関する注意事項が異なり得る。安全性に関する注意事項は、たとえば、機械製品を使用する際の安全面での注意事項、および、機械製品を取り扱う(たとえば、機械製品を運搬する、機械製品を洗浄する等のメンテナンスを行う、機械製品を点検する等)際の安全面での注意事項を含む。本明細書における「注意事項」は、「危険」「警告」「注意」といった各リスクレベルに応じた注意事項を含む。「危険」「警告」および「注意」は、機械製品の使用および/または取扱いの際の危険性の度合いを高い方から順に示すシグナルワードである。「危険」「警告」および「注意」といった各リスクレベルにおいて、安全性を確保するための禁止事項、厳守事項等が存在し得る。
【0045】
しかしながら、機械製品の取扱説明書に記載された安全説明情報は、必ずしも当該機械製品に合致していない場合もあり正確であるとは限らない。具体的には、たとえば、安全説明情報は、安全性に関する最新の情報(たとえば新たな法規やユーザからの指摘事項等に起因する情報)が反映されていない場合があり得る。また、安全説明情報は、何等かの原因で安全性に関して誤った記載となっている場合があり得る。また、用途および機能が同一または類似であって仕様の異なる機械製品を同一の取扱説明書に掲載する場合もあり、たとえば、仕様に応じて機械製品の重量が異なる場合において、本来の取り扱い方法(たとえば運搬方法)が、重量が小さい場合と重量が大きい場合とで相違する場合がある。具体的には、たとえば、重量が小さい場合には人が機械製品を手に持って運搬できるのに対し、重量が大きい場合には重機等の機械または専用工具を用いて機械製品を運搬しなければならない場合がある。これに対し、安全説明情報が正確でない(誤っている)場合には、重量が大きい場合であっても人が手に持って機械製品を運搬してよい旨の記載となっている場合があり得る。このように安全説明情報が正確でない場合には、機械製品の使用および/または取り扱いの安全性が大きく低下する可能性がある。上述のように安全説明情報が安全性に関して誤った記載となるのは、従来の取扱説明書は、仕様の異なる機械製品毎に安全説明情報書を書き分けられなかったり、人が手作業で項目および説明事項を組み合わせることによって作成されることが多かったため、人為的なミス等に起因することが挙げられる。機械製品の取扱説明書において安全性に関する記載に誤りがある場合、人命等に関わる可能性があるため、記載の誤りを防ぐ必要性は他の種類の記載の誤りと比べてかなり大きい。
【0046】
「説明事項DE」は、仕様に応じて異なっていてもよいし、同じであってもよい。たとえば、或る構成要素ELに関して、複数の仕様が存在する場合に、複数の仕様のうちの一のグループについては説明事項が同じであり、他のグループについては一のグループとは説明事項が異なっていてもよい。また、或る構成要素ELに関して、複数の仕様が存在する場合に、すべての仕様について説明事項が異なっていてもよいし、すべての仕様について説明事項が同じであってもよい。なお、機械製品を構成する複数の構成要素ELのうち、少なくとも一部の構成要素ELについては、複数の仕様の間で説明事項が異なる。説明事項データベース212は、複数の項目ITのそれぞれに対応する説明事項DEを含んでいるため、システムユーザによって構成要素EL毎に識別子IDが指定されることにより、構成要素EL毎に説明事項DEが決まる。なお、取扱説明書の説明事項DEは、システムユーザによって修正可能であってもよい。この場合、識別子IDがシステムユーザに指定されて、取扱説明書の説明事項DEが決まった後、必要に応じて説明事項DEを修正することが可能になる。
【0047】
図5に示される例では、説明事項データベース212は、項目IT毎に説明事項DEを含んでいる。具体的には、説明事項データベース212は、各章毎に説明事項DEを含み、各節毎に説明事項DEを含み、各項毎に説明事項DEを含んでいる。また、項目データベース211が「目」の項目を含む場合には、各目毎に説明事項DEを含んでいる。なお、説明事項DEは、見出しまたはタイトルのように短い文言であってもよいし、文章であってもよいし、図面または表であってもよいし、文章、図面および表のうちのいずれかの組み合わせであってもよい。章の説明事項DEおよび節の説明事項DEは、たとえば、見出しまたはタイトルのように短い文言、または、文章により構成される。項の説明事項DEおよび目の説明事項は、構成要素ELの具体的な仕様に対応する説明事項であり、章および項の説明事項DEよりも具体的である必要性が高いため、たとえば、文章(たとえば、章および項の説明事項DEよりも具体的な文章)、図面および表のうちのいずれか、または、それらの組み合わせにより構成される。また、説明事項DEは、書き換え可能に構成されていてもよいし、書き換えできないように構成されていてもよい。説明事項DEが書き換え可能に構成されている場合、システムユーザによる修正が可能となる。また、説明事項DEの完成度は、特に限定されない。すなわち、説明事項DEは、修正されることを前提とした一定の形式の内容(雛型)であってもよいし、必ずしも修正を必要としない完成度の高い内容であってもよい。
【0048】
安全性情報データベース214は、識別子ID(仕様を示す)に対応する情報であって安全性に関して基準となる安全基準情報SAを含む。本明細書において、「安全基準情報SA」とは、仕様本来の安全性に関する情報であって、仕様の安全性に関してシステムユーザおよび製品ユーザが留意すべき事項を示す情報である。すなわち、「安全基準情報SA」は、機械製品を安全に使用および/または取り扱うためにシステムユーザおよび製品ユーザが留意すべき事項を示す正確な情報である。機械製品の安全性は、仕様毎に異なり得る。安全基準情報SAは、説明事項DE等、説明事項データベース214に格納された内部情報とは異なり、たとえば、安全性に関する法規(たとえば、労働安全衛生法)、および、製品ユーザからの指摘事項(たとえば、ヒヤリ・ハットの情報)に基づく情報(外部情報)である。安全基準情報SAは、その内容を基に分類されて識別子IDが割り当てられ、識別子IDに対応付けて安全性情報データベース214に記憶される。また、本実施形態において、「安全基準情報SA」は、機械製品の使用および/または取り扱いに関する安全面での注意事項を含む。安全基準情報SAが、機械製品の使用および/または取り扱いに関する安全面での注意事項を含むことにより、取扱説明書作成システム1は、作成部22によって作成された取扱説明書の記載(機械製品の使用および/または取り扱いに関する安全性の記載)が正しいかどうかを確認するための表示を行うことができる。これにより、システムユーザは取扱説明書において機械製品の使用および/または取り扱いに関する安全性の記載が正しいかどうかを確認することができる。安全性の記載が正しくない場合には、必要な対応(説明事項DEの修正)を採ることにより、安全性に関する記載の正しい取扱説明書を作成することができる。このように、安全基準情報SAおよび上述の説明事項DEは、情報の内容に応じて(仕様に関連して)識別子IDが割り当てられるとともに、関連する情報を含む安全基準情報SAおよび説明事項DEは識別子IDによって対応付けられて記憶部21に記憶されている。すなわち、安全基準情報SAと上述の説明事項DEとは、識別子IDを介して対応付けられている。したがって後述のように、安全基準情報SAおよび説明事項DEは、互いが対応付けられた態様で出力(たとえば、
図6に示される表示部31に表示)され得る。
【0049】
安全基準情報SAは正確であるか、または、説明事項DEに含まれる安全説明情報よりも正確性が高い。具体的には、たとえば、安全基準情報SAは、安全性に関する最新の情報が反映されている。また、安全基準情報SAは、安全性に関して正確な記載となっている。たとえば、仕様に応じて機械製品の重量が異なる場合において、本来の取り扱い方法(たとえば運搬方法)が、重量が小さい場合と重量が大きい場合とで相違する場合がある。識別子IDに対応する仕様の安全基準情報SAは、このような場合において、本来の取り扱い方法(たとえば運搬方法)が重量に応じて正確に反映され、または高い正確性で反映されている。後述するように、本実施形態では、取扱説明書作成システム1は、安全基準情報SAに基づいて、説明事項DEに含まれる安全説明情報を検証(正しいかどうかを確認)できるように構成されている。
【0050】
作成部22は、データベース210を参照し、システムユーザが所望する取扱説明書の作成に必要な情報をデータベース210から取得することにより、システムユーザが所望する取扱説明書を作成する。本実施形態では、作成部22は、入力された型式を構成する複数の識別子IDに基づいて、項目データベース211を参照して、取扱説明書を構成する複数の項目ITを選択する。作成部22は、たとえば、集中演算処理装置(CPU)等により構成することができる。本明細書において、「入力された型式」とは、システムユーザによる型式の入力操作に応じて、作成部22に入力された型式である。システムユーザによる型式の入力操作に応じて、作成部22に型式が入力されるのであれば、型式の入力操作がどのような態様で行われるかは特に限定されない。
図2に示される例では、型式を構成する識別子IDを機械製品の構成要素EL毎に入力可能な入力フォーマットFを有する画面32が、端末装置3の表示部31に表示されている。
図2に示される例では、入力フォーマットFは、機械製品の構成要素EL毎に区分けされた複数の第1領域F1を有している。複数の第1領域F1は、それぞれ、機械製品の複数の構成要素ELに対応している。
【0051】
なお、入力フォーマットFは、複数の第1領域F1に加えて、型式を指定するための他の領域である第2領域F2を有していてもよい。
図2に示される例では、入力フォーマットFは、機械製品のカテゴリを指定するための第2領域F2を有している。なお、機械製品のカテゴリは、機械製品の型式の一部である。たとえば、第2領域F2に、機械製品のカテゴリを指定する識別子IDを入力することにより、機械製品のカテゴリを指定することができる。
【0052】
また、
図2に示される例では、画面32において、取扱説明書作成ボタンBT1と、取扱説明書検索ボタンBT2とが表示されている。画面32において、型式を構成する複数の識別子IDが入力フォーマットFに入力された状態で、取扱説明書作成ボタンBT1が操作されることにより、作成部22は、入力された識別子IDに基づいて取扱説明書を作成する。作成された取扱説明書は、記憶部21において取扱説明書データベース213に対応する領域に記憶される。また、作成された取扱説明書が、記憶部21において取扱説明書データベース213に対応する領域に記憶され、かつ、型式を構成する複数の識別子IDが入力フォーマットFに入力された状態で、画面32において、取扱説明書検索ボタンBT2が操作されることにより、記憶されている取扱説明書のうち、入力された複数の識別子ID(型式)に対応する取扱説明書が読み出されて、表示部31に表示される。取扱説明書データベース213に記憶されている取扱説明書を修正する場合には、取扱説明書検索ボタンBT2を操作して、修正対象の取扱説明書を読み出して表示部31に表示させた状態で、取扱説明書を修正することができる。
【0053】
本明細書における「機械製品のカテゴリ」とは、機械製品の分類であり、分類の内容は特に限定されない。分類の内容は、たとえば、取扱説明書作成システム1のシステムユーザが扱う機械製品のカテゴリに応じて決めることができる。たとえば、扱う機械製品のカテゴリが少ない企業がシステムユーザである場合には、機械製品のカテゴリは、その企業が扱う特定のカテゴリに絞り込まれる。具体的には、たとえば、ポンプの専門メーカがシステムユーザである場合には、機械製品のカテゴリを、第2領域F2において、ポンプまたは所定の種類のポンプに指定することができる。そして、第2領域F2において指定されたポンプまたは所定の種類のポンプのうちの細かい仕様を、第1領域F1において指定することができる。また、扱う機械製品のカテゴリが多い企業がシステムユーザである場合には、機械製品のカテゴリは、その企業が扱う多様なカテゴリの中から指定され得る。具体的には、たとえば、総合機械メーカがシステムユーザである場合には、機械製品のカテゴリを、第2領域F2において多様なカテゴリの中から指定することができる。そして、第2領域F2において指定されたカテゴリの機械製品のうちの細かい仕様を、第1領域F1において指定することができる。なお、第2領域F2は必ずしも必要ではない。たとえば、システムユーザが扱う機械製品のカテゴリが少ない(たとえば1つ。所定の種類のポンプのみなど)である場合には、第1領域F1のみで機械製品の仕様を指定することができる。
【0054】
図2に示される例では、入力フォーマットFの第1領域F1および第2領域F2は、識別子IDを直接入力できるような空欄(入力欄)である入力ボックスにより構成されている。また、入力フォーマットFは、複数の識別子IDを区切って入力できるように、複数の入力ボックスにより分割されて構成されている。入力フォーマットFが、複数の識別子IDを区切って入力できるように構成されることで、システムユーザは、自己が入力する複数の識別子IDを個別かつ明確に認識しながら入力することができ、入力ミスの可能性を低減することができる。
【0055】
なお、入力フォーマットFは、機械製品の構成要素EL毎に識別子IDの選択肢を有し、システムユーザが識別子IDを選択肢の中から選択可能に構成されていてもよい。たとえば、入力フォーマットFの複数の第1領域F1および第2領域F2は、各々、識別子IDを複数の選択肢の中から選択して入力できるように構成されていてもよい。具体的には、入力フォーマットFは、複数の第1領域F1および第2領域F2の各々において、図示しないプルダウンメニュー(ドロップダウンリスト)が設けられ、各領域毎に複数の選択肢の中から任意の識別子IDを選択可能に構成されていてもよい。入力フォーマットFが、システムユーザによって識別子IDを選択肢の中から選択可能に構成されることにより、識別子IDの入力操作が容易になるとともに、入力ミスの可能性を低減することができる。
【0056】
なお、ドロップダウンメニューが設けられる場合、表示部31に選択肢が表示されるとともに、表示部31に当該選択肢に対応する仕様が表示されるように構成されてもよい。たとえば、ロータの呼び径に2つの仕様「20mm」および「50mm」がある場合には、「20」および「50」という2つの選択肢が表示されるとともに、選択肢「20」が「20mm」という仕様に対応し、選択肢「50」が「50mm」という仕様に対応することを示す表示が行われてもよい。このような表示が行われることにより、システムユーザによる入力ミスの可能性を低減することができる。選択肢と、当該選択肢に対応する仕様とは、たとえば、ドロップダウンメニューにおいて並んで表示される。選択肢と、当該選択肢に対応する仕様とが並んで表示されることにより、システムユーザは、選択肢と仕様との対応関係を容易かつ速やかに把握することができる。
【0057】
上述の「入力された型式を構成する複数の識別子IDに基づいて、項目データベース211を参照して、取扱説明書を構成する複数の項目ITを選択する」とは、各構成要素ELにおいて指定された識別子IDに対応する項目ITを、
図4に例示されるような予め定められた対応関係(「○」の位置によって、対応関係が予め定められている)に基づいて決めることを意味する。なお、
図4に示される対応関係は、一例であって、識別子IDおよび項目ITの数、および、識別子IDおよび項目ITの対応関係は、機械製品のカテゴリ等に応じて適宜に設定される。
【0058】
具体的には、たとえば、入力された型式が、構成要素(1)についての識別子「a1」(
図4参照)と、構成要素(2)についての識別子「b2」とを含んでいる場合には、作成部22は、「a1」に対応する項目「A1」、「B1」、「C1」および「C3」と、「b2」に対応する項目「A1」、「B1」、「C6」および「C8」とを選択する。なお、ここでは、入力された型式を構成する一部の識別子IDについての項目の選択について説明しているが、実際には、作成部22は、入力された型式を構成するすべての識別子IDについて項目ITを選択する。
【0059】
また、作成部22は、選択された複数の項目ITに基づいて、説明事項データベース212を参照して、対応する説明事項DEを抽出し、選択された複数の項目ITおよび抽出された説明事項DEに基づいて、選択された複数の項目ITおよび抽出された説明事項DEが所定の順序に組み合わされたデータファイルである取扱説明書を作成する。すなわち、作成部22は、入力された型式を構成する複数の識別子IDにそれぞれ対応する複数の項目ITを項目データベース211から選択し、選択した項目ITに対応する複数の説明事項DEを説明事項データベース212から抽出し、選択した項目ITおよび抽出した複数の説明事項DEを所定の順序に組み合わせることにより、データファイルである取扱説明書を作成する。本実施形態において作成される取扱説明書は、章、節および項の各々に対応する説明事項DEが記載された取扱説明書となる。
【0060】
本明細書において、「選択された複数の項目ITおよび抽出した複数の説明事項DEを所定の順序に組み合わせる」とは、選択された複数の項目ITおよび抽出した複数の説明事項DEが所定の順序で並ぶように、複数の項目ITおよび複数の説明事項DEを互いに関連付けることを意味する。本明細書において、「所定の順序」とは、取扱説明書を構成する複数の項目ITおよび複数の説明事項DEの配置の予め定められた順序である。選択された複数の項目ITおよび抽出した複数の説明事項DEが所定の順序で並ぶように、複数の項目ITおよび複数の説明事項DEを互いに関連付けるのであれば、複数の項目ITおよび抽出された複数の説明事項DEは、1つのデータファイルにまとめられた状態に組み合わされてもよいし、2つ以上のデータファイルに分けられた状態に組み合わされてもよい。具体的には、作成部22は、たとえば、抽出した複数の説明事項DEを、ワード、エクセル、パワーポイント、またはPDF等の1つまたは複数のデータファイルとして組み合わせることができる。また、作成部22は、抽出した複数の説明事項DEを、ハイパーリンクを辿ってWebページ間を互いに行き来できるように構成された複数のWebページとして組み合わせることができる。制御部23は、作成された取扱説明書の複数の項目ITおよび複数の説明事項DEを、所定の順序(予め定められた配置の順序、目次に沿った順序)で出力(表示、印刷等)するように構成されている。本実施形態では、取扱説明書が1つのデータファイルにまとめられた状態で作成された場合でも、または、2つ以上のデータファイルにまとめられた状態で作成された場合でも、取扱説明書を構成するすべての項目ITおよび説明事項DEは、出力の際に全体を通して所定の順序で並ぶように互いに関連付けられている。したがって、制御部23は、取扱説明書を構成するすべてのデータファイルが選択された1回の出力指示を受けるだけで、取扱説明書の全体を所定の順序で出力することができる。したがって、システムユーザは、出力された取扱説明書の複数のページを目次に沿って並び替える等の煩雑な作業を行う必要がなく、複数の項目ITおよび複数の説明事項DEが目次の通りに並んだ取扱説明書を容易かつ速やかに出力することができる。
【0061】
なお、作成される取扱説明書の完成度は、特に限定されない。すなわち、作成される取扱説明書は、システムユーザによって修正されることを前提とした説明書案であってもよいし、修正を必ずしも必要としない完成度の高い説明書であってもよい。本実施形態において作成される取扱説明書の完成度は、説明事項データベース212に記憶されている説明事項DEの完成度に応じたものとなる。また、作成された取扱説明書の完成度が高くない場合であっても、その後の修正により、完成度の高い取扱説明書に仕上げることが可能である。
【0062】
本実施形態では、作成部22は、作成部22が作成した取扱説明書の説明事項DEを、入力された修正指示に応じて修正するように構成されている。すなわち、作成部22は、自己が先に作成した取扱説明書の説明事項DEを、入力された修正指示に応じて修正するように構成されている(修正機能)。本明細書において、「入力された修正指示」とは、先に作成された取扱説明書の説明事項DEを修正するために、システムユーザによる入力操作に応じた修正内容を含む、作成部22に入力された指示である。システムユーザによる修正指示の入力操作に応じて、作成部22に修正指示が入力されるのであれば、修正指示の入力操作がどのような態様で行われるかは特に限定されない。本実施形態では、修正内容を含む修正指示は、端末装置3において入力される。なお、システムユーザによる修正指示の入力操作に応じて、作成部22に修正指示が入力されるのであれば、処理装置2に設けられた、図示しない入力操作部を介して入力されてもよい。作成部22が修正機能を有することにより、取扱説明書の完成度を高めることができる。
【0063】
上述のように、作成部22が、取扱説明書の説明事項DEを、入力された修正指示に応じて修正するように構成されている場合において、説明事項DEは、説明事項DEの雛型を含んでいてもよい。説明事項DEが雛型を含んでいる場合、作成部22は、選択された複数の項目ITに基づいて、説明事項データベース212を参照して、対応する説明事項DEの雛型を抽出し、選択された複数の項目ITおよび抽出された説明事項DEの雛型に基づいて、取扱説明書の案文を作成する。作成部22は、作成部22が作成した取扱説明書の案文を、入力された修正指示に応じて修正するように構成されていてもよい。このような構成によれば、作成部22は、説明事項DEの雛型に基づいて取扱説明書の案文を作成し、その後、入力された修正指示に基づいて案文を修正して、完成度の高い取扱説明書を作成することができる。したがって、当初から完成度の高い説明事項DEを説明事項データベース212に記憶させておく必要がなく、システムユーザが所望する型式に対応する説明事項DEを修正するだけで、完成度の高い取扱説明書を作成することができる。
【0064】
制御部23は、システムユーザが視認可能な画面を表示する表示部31(
図2参照)を制御するように構成されている。システムユーザが視認可能であれば、表示部31が取扱説明書作成システム1のどこに設けられるかは特に限定されない。本実施形態では、たとえば、表示部31は、端末装置3に設けられている。なお、システムユーザが視認可能であれば、表示部31は処理装置2に設けられていてもよい。制御部23は、システムユーザが識別子IDを機械製品の構成要素EL毎に入力可能な入力フォーマットFを有する画面32を、表示部31に表示させる制御を行うように構成されている。制御部23が表示部31の画面32に入力フォーマットFを表示させることにより、システムユーザは、入力フォーマットFに、所望の型式を構成する複数の識別子IDを入力することができる。制御部23は、たとえば、集中演算処理装置(CPU)等により構成することができる。
【0065】
また、本実施形態では、制御部23は、型式の入力に応じて、入力された型式を構成する識別子IDに対応する安全基準情報SAを、当該識別子IDに対応する説明事項DEとともに出力するように構成されている。具体的には、制御部23は、型式の入力に応じて、入力された型式を構成する識別子IDに対応する安全基準情報SAを、当該識別子IDに対応する説明事項DEとともに表示部31(
図6参照)に表示させる制御を行うように構成されている。制御部23が表示部31の画面32に説明事項DEとともに安全基準情報SAを表示させることにより、システムユーザは、安全基準情報SAに基づいて、説明事項DEに含まれる安全説明情報が正しいかどうかを確認することができる。たとえば、本実施形態では、説明事項DEと安全基準情報SAは共に識別子IDが関連付けて記憶されている。制御部23は、作成部22によって作成された取扱説明書を表示部31(
図6参照)に表示させる制御を行うように構成されている。制御部23は、作成した取扱説明書を表示する際、取扱説明書の各説明事項DEに割り当てられた(関連付けられた)識別子IDを抽出する。制御部23は、説明事項データベース212を参照して、抽出した識別子IDに対応する安全基準情報SAを安全性情報データベース214から選択する。制御部23は、選択した安全基準情報SAを、対応する説明事項DEとともに表示する。すなわち、制御部23は、識別子IDを介して対応付けられた説明事項DEおよび安全基準情報SAを表示部31に表示する。制御部23は、安全基準情報SAに基づいて説明事項DEの安全性に関する記載(安全説明情報)が正しいかどうかを確認できる表示形態で表示する。たとえば、
図6に示されるように、識別子IDを介して対応付けられた説明事項DEおよび安全基準情報SAを横並びで表示することができる。なお、安全基準情報SAに基づいて説明事項DEの安全性に関する記載が正しいかどうかを確認できるのであれば、他の表示態様であってもよい。
【0066】
このように、取扱説明書における説明事項DEの安全説明情報と、安全基準情報SAとが並べて表示されることにより、システムユーザはこれらの情報を容易かつ速やかに対比することができる。従来は、別々に管理された取扱説明書と様々な注意事項とを手作業で見比べる必要があり、どこが修正すべき箇所なのか、どの法令および指摘事項を考慮すべきかわからなかった。しかしながら、特に安全基準情報SAは、説明事項DEの識別子IDと対応する識別子IDが割り当てられているため、法令や製品ユーザからの指摘事項等の注意すべき事項が、修正すべき取扱説明書の記載となる説明事項DEであるとすぐに把握することができる。これにより、取扱説明書における説明事項DEの安全説明情報が正確であるかどうかの確認作業を容易かつ速やかに行うことが可能となる。
【0067】
本実施形態では、取扱説明書作成システム1は、外部からの入力によって新たな安全基準情報である追加情報を受け付け、追加情報と識別子IDとを関連付けて記憶部21に記憶するように構成されている。本明細書において、「新たな安全基準情報」とは、更新すべき新たな内容を含む安全基準情報である。たとえば、「新たな安全基準情報」は、安全性に関する法規(たとえば、労働安全衛生法)の法改正による新たな内容に基づく情報、および、製品ユーザからの新たな指摘事項(たとえば、ヒヤリ・ハットの情報)に基づく情報である。「安全性に関する法規の法改正による新たな内容に基づく情報および製品ユーザからの新たな指摘事項に基づく情報」とは、たとえば、安全性に関する法規の法改正による新たな内容の要点となる情報および製品ユーザからの新たな指摘事項の要点となる情報である。また、本明細書において、「外部からの入力」とは、取扱説明書作成システム1の処理装置2に対する入力である。具体的には、たとえば、端末装置3の操作入力部からの処理装置2に対する入力である。取扱説明書作成システム1は、追加情報と識別子IDとを関連付けて、たとえば、安全性情報データベース214に記憶する。
【0068】
本実施形態では、処理装置2は、安全基準情報SAを、追加情報の内容に更新できるように構成されている。記憶部21に記憶されている安全基準情報SAは、追加情報の受け付け前に予め記憶部21に記憶された情報であってもよいし、追加情報の内容に更新された情報であってもよい。更新前に既に記憶されている安全基準情報SAは、追加情報によって上書きされてもよいし、追加情報とは別に残しておいてもよい。安全基準情報SAが追加情報の内容に更新される場合、安全基準情報SAが新しい情報に更新される。したがって、たとえば、安全性に関する法規の法改正や、製品ユーザからの新たな指摘があった場合において、そのような法改正や新たな指摘に適応した、安全基準情報SAを出力することができる。したがって、そのような法改正や新たな指摘に適応するように、取扱説明書における説明事項DEの安全説明情報が正確であるかどうかを確認することができる。一方、既に記憶されている安全基準情報SAを残しておく場合には、たとえば、必要に応じて表示部31に表示させて、その内容を確認することができる。
【0069】
本実施形態では、処理装置2は、安全基準情報SAが同一の属性の仕様間で異なる場合、取扱説明書作成システム1のユーザ(システムユーザ)に対して安全基準情報の確認を促すための表示である確認表示ALを出力するように構成されている。本明細書において、「確認表示AL」とは、システムユーザに対して注意喚起することにより、取扱説明書における説明事項DEの安全説明情報が正確であるかどうかの確認(具体的には、安全説明情報と安全基準情報とを対比する作業)を促す表示である。確認表示ALは、システムユーザに対して注意喚起することにより、取扱説明書における説明事項DEの安全説明情報が正確であるかどうかの確認を促すことができれば、その態様は特に限定されない。本実施形態では、確認表示ALは、たとえば、視覚的に注意喚起する文字および/または図形を含む。
図6に示される例では、たとえば、確認表示ALとして、注意喚起を促す文字および/または図形が吹き出し状に表示されている。注意喚起を促す文字の内容は、特に限定されるものではないが、たとえば、「確認してください!」、「注意!」などである。また、確認表示ALには、黄色や赤色など、注意喚起を促す色を好適に使用することができる。また、確認表示ALは、確認を促す理由を含む表示とすることができる。たとえば、確認表示ALは、「安全性に関する情報が仕様によって異なります。確認してください!」、「安全性に関する情報が重量に応じて異なります。確認してください!」、「使用方法および取り扱い方法が重量に応じて異なります。確認してください!」などの表示とすることができる。
【0070】
本実施形態では、たとえば、機械製品における同一の属性の構成要素(たとえばモータ)において、一部の特徴(重量、大きさ、材質等)が異なる複数の仕様がある場合に、その特徴の違いによって安全説明情報として記載すべきものが異なる場合がある。たとえば、重量が小さい仕様の構成要素を有する機械製品では、人が機械製品を手に持って運搬できる旨を説明事項DEに記載すればよいのに対し、重量が大きい仕様の構成要素を有する機械製品では、重機等の機械または専用工具を用いて機械製品を運搬すべき旨を説明事項DEに記載しなければならない場合がある。このような場合に、制御部23は、確認表示ALを出力する制御を行う。具体的には、たとえば、安全情報データベース214には、同一の属性の構成要素の安全基準情報が、安全基準情報の違いによってグループ分けされた状態で安全情報データベース214に記憶されている。各グループには、グループを識別するための識別子(以下、グループ識別子とも称する)が付与されている。また、グループ識別子は、グループ分けによるグループ数の情報を含む。したがって、グループ数が1つの場合には、仕様が異なっても安全基準情報SAは共通(同一)である。一方、グループ数が複数である場合には、グループ間で安全基準情報SAが異なる。安全性情報データベース214には、たとえば、グループ識別子に関連付けられた確認表示ALの情報が記憶されている。制御部23は、型式の入力によって指定された識別子IDに対応する確認表示ALを表示する。安全基準情報SAは識別子IDに関連付けられているため、識別子IDが指定されると、制御部23は、指定された識別子IDに対応する安全基準情報SAを特定する。制御部23は、安全基準情報SAに付与されたグループ識別子に基づいて、仕様に応じて安全基準情報SAが異なる場合があるかを判定する。仕様に応じて安全基準情報SAが異ならない場合には、制御部23は、確認表示ALを出力しない。一方、仕様に応じて安全基準情報SAが異なる場合には、制御部23は確認表示ALを出力する。
【0071】
本実施形態では、処理装置2は、(i)安全基準情報が記憶部21に新たに記憶された場合、または(ii)安全基準情報が追加情報の内容に更新された場合、取扱説明書作成システム1のユーザ(システムユーザ)に対して確認表示ALを出力するように構成されている。確認表示ALは、たとえば、確認を促す理由を含む表示とすることができる。たとえば、確認表示ALは、「安全性に関する法規が変更されています。確認してください!」、「製品ユーザからの新たな指摘事項があります。確認してください!」などの表示とすることができる。本実施形態では、たとえば、安全基準情報SAは、安全基準情報SAのバージョン番号または更新回数(以下、バージョン番号等とも称する)の情報が付与されて、安全情報データベース214に記憶されている。また、安全基準情報SAのバージョン番号は、バージョン番号のカウントアップの際に、安全基準情報SAにどのような種類の内容の追加または変更があったのかを示す情報を含む。安全基準情報SAのバージョン番号は、たとえば、安全基準情報SAに安全性に関する法規の変更に基づく内容の変更があったことを示す情報、および/または、製品ユーザからの新たな指摘事項があったことに基づく内容の変更があったことを示す情報を含む。したがって、制御部23は、バージョン番号等を認識することにより、安全基準情報SAに安全性に関する法規の変更に基づく内容の変更があったこと、および/または、製品ユーザからの新たな指摘事項があったことを認識することができる。制御部23は、安全基準情報SAのバージョン番号等を定期的に読み込んで、バージョン番号等に変化(たとえば、バージョン番号等のカウントアップ)があるかどうかを確認する。また、制御部23は、バージョン番号等に変化があると判断した場合、安全基準情報SAにどのような種類の内容の追加または変更があったのかを認識する。制御部23は、安全基準情報SAにバージョン番号等の変化(たとえば、バージョン番号等のカウントアップ)があったと判定した場合、表示部31に確認表示ALを出力する。制御部23は、安全基準情報SAにおいて追加または変更された内容に応じた確認表示ALを出力する。
【0072】
本実施形態では、処理装置2は、作成した取扱説明書に含まれるべき項目が、作成した取扱説明書において抜けている(脱落している)場合、取扱説明書作成システム1のユーザ(システムユーザ)に対して確認を促すための表示である確認表示(図示せず)を出力するように構成されている。本明細書において、「作成した取扱説明書に含まれるべき項目が、作成した取扱説明書において抜けている場合」とは、たとえば、作成部22によって作成された取扱説明書において、本来必要な項目の一部が何等かの理由により抜けている(項目ITおよび当該項目ITに対応する説明事項DEの記載がない)場合を意味する。このような場合、必要な項目ITおよび説明事項DEそのものが欠落しているので、重大な不備となり得る。このような不備をなくすために、本実施形態では、取扱説明書作成システム1がシステムユーザに対して確認を促すための確認表示を出力するように構成されている。確認表示は、確認を促す理由を含む表示とすることができる。たとえば、確認表示は、「〇〇〇の項目および説明事項の記載がありません。確認してください!」などの表示とすることができる。また、確認表示は、作成部22によって作成された取扱説明書において本来必要な項目が抜けている位置または当該位置と対応する領域(たとえば当該位置の近傍)に配置することができる。作成した取扱説明書に含まれるべき項目が、作成した取扱説明書において抜けている(脱落している)場合に、システムユーザに対して確認を促すことにより、システムユーザは項目の抜けに気付いて必要な対応(項目ITおよび説明事項DEの追加)を採ることにより、必要な項目ITおよび説明事項DEの抜けのない取扱説明書を作成することができる。
【0073】
本実施形態では、安全性情報データベース214には、機械製品の取扱説明書に必要な項目の情報(以下、必須項目情報とも称する)が、上述の項目ITとは別に記憶されている。本明細書において、「必須項目情報」とは、たとえば、産業規格等において予め定められている必須の項目の情報である。たとえば、項目データベース211に記憶されている項目ITに抜けがある(必須項目の一部が記載されていない)場合には、作成部22によって作成された取扱説明書において、本来必要な項目の一部が何等かの理由により抜けることになる。本実施形態では、制御部23は、安全性情報データベース214の必須項目情報を参照して、取扱説明書に含まれるべき項目が、作成した取扱説明書において抜けている(脱落している)かどうかを判断する。制御部23は、作成した取扱説明書において項目の抜けがあると判断した場合には、表示部31に確認表示(図示せず)を出力する。また、本実施形態では、「必須項目情報」の各項目には、取扱説明書における当該項目の位置を示す位置情報が付与されている。制御部23は、作成した取扱説明書において項目の抜けがあると判断した場合、取扱説明書において項目の抜けがある位置を特定する。制御部23は、表示部31において、取扱説明書における項目の抜けがあると判断した位置または当該位置に対応する領域に、確認表示を出力(表示)する。
【0074】
なお、本実施形態に係る取扱説明書作成システム1は、上述の機能以外に、以下の機能を有するように構成されてもよい。たとえば、取扱説明書作成システム1は、作成部22によって作成された取扱説明書を端末装置3の表示部31に表示し、複数のシステムユーザ(たとえば、取扱説明書の作成者、および、作成者の上司等)が説明事項DEの内容確認を順に行い、各人が必要に応じて取扱説明書を修正できるように構成されてもよい。また、取扱説明書作成システム1は、各人の修正履歴を記憶部21に保存し、各人の修正履歴を表示部31に表示できるように構成されてもよい。これにより、複数の者によって取扱説明書の内容をチェックして、より正確な取扱説明書を作成することができる。また、取扱説明書作成システム1は、各人の修正した日時を修正履歴とともに記憶部21に保存するように構成されてもよい。また、取扱説明書作成システム1は、取扱説明書を修正した理由を記憶部21に保存し、修正した理由を表示部31に表示できるように構成されてもよい。また、取扱説明書作成システム1は、作成された取扱説明書をシステムユーザの他、製品ユーザの端末装置(図示せず)に配信して、製品ユーザが取扱説明書を閲覧できるように構成されてもよい。
【0075】
次に、取扱説明書作成システム1の動作の一例について、
図1~
図8を参照しつつ説明する。ここでは、システムユーザが取扱説明書の作成を所望する対象の機械製品が、ポンプ群に属する所定の種類のポンプのうちの所定の仕様のポンプである場合について説明する。たとえば、所定の種類のポンプが容積式ポンプにおける回転ポンプであり、所定の様式のポンプが回転ポンプにおける所定の型式(モータ段数が所定の段数(たとえば4段)であり、かつ、ロータの呼び径が所定の値(たとえば50mm)であるなど)のもの(以下、対象ポンプとも称する)である場合を想定する。また、説明事項データベース212には、説明事項DEの雛型が記憶されている場合を想定する。
【0076】
まず、システムユーザの操作により、端末装置3(
図1参照)が処理装置2にアクセスする。処理装置2の制御部23(
図3参照)は、端末装置3の表示部31(
図2参照)の画面32に、入力フォーマットF、取扱説明書作成ボタンBT1、および取扱説明書検索ボタンBT2を表示させる。
【0077】
システムユーザの入力操作により、対象ポンプの型式を構成する複数の識別子IDが入力フォーマットFに入力される。
図2に示される例では、入力フォーマットFの第2領域F2に所定の種類のポンプ(回転ポンプ)の識別子IDが入力され、複数の第1領域F1に、それぞれ、複数の構成要素ELの識別子IDが入力される。対象ポンプの型式を構成する複数の識別子IDが入力フォーマットFに入力された状態で、取扱説明書作成ボタンBT1が操作されると、複数の識別子IDを含む取扱説明書作成指示が、端末装置3から処理装置2へ送信されて、作成部22(
図3参照)に入力される。
【0078】
作成部22は、入力された型式を構成する複数の識別子IDに基づいて、項目データベース211(
図4参照)を参照して、取扱説明書を構成する複数の項目IT(取扱説明書を構成するのに必要なすべての項目IT)を選択する。具体的には、入力された型式が、識別子「a1」(
図4参照)および識別子「b2」を含んでいる場合には、作成部22は、「a1」に対応する項目「A1」、「B1」、「C1」および「C3」と、「b2」に対応する項目「A1」、「B1」、「C6」および「C8」とを選択する。同様に、作成部22は、入力された型式を構成するすべての識別子IDにそれぞれ対応する複数の項目ITを選択する。
【0079】
作成部22は、選択された複数の項目ITに基づいて、説明事項データベース212(
図5参照)を参照して、対応する説明事項DEを抽出し、選択された複数の項目ITおよび抽出された説明事項DEに基づいて、取扱説明書を作成する。具体的には、作成部22は、選択された複数の項目ITに基づいて、説明事項データベース212を参照して、対応する説明事項DEの雛型を抽出し、選択された複数の項目ITおよび抽出された説明事項DEの雛型に基づいて、選択された複数の項目ITおよび抽出された説明事項DEが所定の順序に組み合わされたデータファイルである取扱説明書の案文を作成する。これにより、システムユーザが所望する型式に対応するポンプの取扱説明書の案文が作成される。
【0080】
作成部22は、作成した取扱説明書の案文を、記憶部21において取扱説明書データベース213に対応する領域に記憶させる。制御部23は、自動的に、または、システムユーザの操作による端末装置3からの表示指示に応じて、記憶部21において取扱説明書データベース213に対応する領域に記憶されている取扱説明書の案文を端末装置3の表示部31に表示させる。
【0081】
制御部23は、型式の入力に応じて、入力された型式を構成する識別子IDに対応する安全基準情報SAを、端末装置3の表示部31に出力する(
図6参照)。具体的には、たとえば、
図6に示されるように、取扱説明書の案文と並べて、安全基準情報SAを、端末装置3の表示部31に表示する。また、制御部23は、安全基準情報SAが仕様によって異なる場合、システムユーザに対して確認を促すための確認表示ALを、端末装置3の表示部31に出力する(
図6参照)。具体的には、たとえば、安全基準情報SAと対応する位置(たとえば情報SAの近傍)に、確認表示ALを表示する。システムユーザは、取扱説明書における説明事項DEと、確認表示ALが付されている安全基準情報SAとを見比べる。これにより、システムユーザは、取扱説明書の説明事項DEにおける安全説明情報が正しいかどうかを確認することができる。たとえば、取扱説明書の説明事項DEにおける安全説明情報が正しくない場合には、以下のように取扱説明書の記載を修正することができる。
【0082】
システムユーザによる修正内容を含む修正指示が、端末装置3から作成部22へ送信され、作成部22に入力される。作成部22は、入力された修正指示に応じて、取扱説明書データベース213に記憶されている取扱説明書の案文を修正して更新する。作成部22は、修正後の取扱説明書を、自動的に、または、システムユーザの操作による端末装置3からの表示指示に応じて、取扱説明書データベース213に記憶されている取扱説明書の修正された案文を端末装置3の表示部31に表示させる。これにより、作成部22は、完成度の高い取扱説明書を作成し、作成した完成度の高い取扱説明書をシステムユーザに提供することができる。
【0083】
以下、再度
図1~
図8を参照して、本発明の一実施形態に係る取扱説明書作成方法について図面を用いて説明する。本実施形態の取扱説明書作成方法は、上述した取扱説明書作成システム1を用いて実施することもできるし、上述した取扱説明書作成システム1以外のシステムまたは装置を用いて実施することもできる。以下では、上述した取扱説明書作成システム1を用いて取扱説明書作成方法を実施する場合について説明する。なお、以下で説明する取扱説明書作成方法は一例にすぎず、本発明の取扱説明書作成方法は以下の例に限定されることはない。
【0084】
本実施形態に係る取扱説明書作成方法は、仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書を、機械製品の型式に基づいて作成する方法である。また、本実施形態に係る取扱説明書作成方法は、システムユーザが所望する型式に対応する取扱説明書を作成する方法である。
【0085】
本実施形態に係る取扱説明書作成方法では、機械製品群は、機械製品を構成する複数の構成要素のうちの少なくとも一部の構成要素の仕様が互いに異なる複数の機械製品を有している。また、機械製品の型式は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子IDによって構成されている。
【0086】
本実施形態に係る取扱説明書作成方法では、取扱説明書の記載事項が項分けして記載された複数の項目IT(
図4参照)と、識別子IDとが関連付けられた項目データベース211(
図3参照)と、複数の項目ITのそれぞれに対応する説明事項DE(
図5参照)を含む説明事項データベース212とを準備する(準備ステップ)。具体的には、たとえば、
図4に例示される項目データベース211および説明事項データベース212を、記憶部21に記憶させる。
【0087】
項目データベース211の複数の項目IT(
図4参照)は、機械製品群を構成する複数の機械製品および複数の構成要素に対応する項目を含む。項目データベース211は、機械製品群を構成する複数の機械製品の複数の構成要素に対応する複数の識別子IDに対して、複数の項目ITのうち、どの項目が取扱説明書に必要な項目であるかを関連付けている。
【0088】
また、本実施形態に係る取扱説明書作成方法では、システムユーザが視認可能な画面32(
図2参照)を表示部31に表示させる(表示ステップ)。具体的には、たとえば、取扱説明書作成システム1の制御部23(
図3参照)が、システムユーザが視認可能な画面32(
図2参照)を表示部31に表示させる。制御部23(
図3参照)は、システムユーザが機械製品の識別子IDを機械製品の構成要素毎に入力可能な入力フォーマットF(
図2参照)を有する画面32を、表示部31に表示させる。本実施形態では、入力フォーマットFは、機械製品の構成要素毎に識別子IDの選択肢を有し、システムユーザが識別子IDを選択肢の中から選択可能に構成されている。
【0089】
また、本実施形態に係る取扱説明書作成方法では、型式が入力されることで、入力された型式に基づいて取扱説明書を作成する(作成ステップ)。具体的には、たとえば、取扱説明書作成システム1の表示部31に表示される入力フォーマットF(
図2参照)に機械製品の型式が入力されることで、入力された型式に基づいて取扱説明書を作成する。より具体的には、取扱説明書作成システム1の作成部22(
図3参照)が、入力された型式を構成する複数の識別子IDに基づいて、項目データベース211を参照して、取扱説明書を構成する複数の項目IT(
図4参照)を選択し、選択された複数の項目ITに基づいて、説明事項データベース212(
図5参照)を参照して、対応する説明事項DEを抽出する。さらに、作成部22は、選択された複数の項目ITおよび抽出された説明事項DEに基づいて、選択された複数の項目ITおよび抽出された説明事項DEが所定の順序に組み合わされたデータファイルである取扱説明書を作成する。
【0090】
また、本実施形態に係る取扱説明書作成方法では、型式の入力に応じて、入力された型式を構成する識別子IDに対応する安全基準情報SAを、端末装置3の表示部31に出力する(安全性情報出力ステップ、
図6参照)。また、本実施形態に係る取扱説明書作成方法では、安全基準情報SAが仕様によって異なる場合、システムユーザに対して確認を促す確認表示ALを、端末装置3の表示部31に出力する(確認表示ステップ、
図6参照)。
【0091】
また、本実施形態に係る取扱説明書作成方法では、作成した取扱説明書の説明事項DEを、入力された修正指示に応じて修正する(修正ステップ)。説明事項DEは、説明事項の雛型を含んでいる。選択された複数の項目に基づいて、説明事項データベース211を参照して、対応する説明事項DEの雛型を抽出し、選択された複数の項目ITおよび抽出された説明事項DEの雛型に基づいて、取扱説明書の案文を作成する。具体的には、たとえば、作成部23(
図3参照)は、作成した取扱説明書の説明事項DEを、入力された修正指示に応じて修正する。作成部23は、選択された複数の項目ITに基づいて、説明事項データベース212を参照して、対応する説明事項DEの雛型を抽出する。作成部23は、選択された複数の項目ITおよび抽出された説明事項DEの雛型に基づいて、取扱説明書の案文を作成する。さらに、作成部23は、作成した取扱説明書の案文を、入力された修正指示に応じて修正する。
【0092】
本実施形態に係るコンピュータ・プログラムは、本実施形態に係る取扱説明書作成方法を、コンピュータに実行させるように構成されている。具体的には、本実施形態に係るコンピュータ・プログラムは、上述の準備ステップおよび作成ステップを、コンピュータに実行させるように構成されている。また、本実施形態に係るコンピュータ・プログラムは、さらに、上述の表示ステップを、コンピュータに実行させるように構成されている。また、本実施形態に係るコンピュータ・プログラムは、さらに、上述の修正ステップを、コンピュータに実行させるように構成されている。
【0093】
コンピュータ・プログラムは、上述のコンピュータ可読記憶媒体(記憶部)21に記憶されている。制御部23は、必要に応じて、記憶部21からコンピュータ・プログラムおよびデータベース210内のデータを読み出して、コンピュータ・プログラムを実行することにより、上述した各ステップの処理を実行する。
【0094】
データベース210は、仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書をコンピュータが機械製品の型式に基づいて作成する際に、当該コンピュータによって参照される。本実施形態では、データベース210を参照するコンピュータは、たとえば作成部22および制御部23である。なお、
図3に示される例では、データベース210と、データベース210を参照するコンピュータ(たとえば作成部22および制御部23)とは、共通の処理部2内に設けられているが、これに限定されない。たとえば、データベース210と、データベース210を参照するコンピュータとは、ネットワーク(たとえば、インターネットまたはLAN(Local Area Network))を介して接続された別々の装置内にそれぞれ設けられてもよい。
【0095】
以上説明したように、本実施形態に係る取扱説明書作成システム1の作成部22(
図3参照)は、仕様の異なる複数の種類の機械製品が存在し得る機械製品群のうち、少なくとも1つの機械製品の取扱説明書を、自己に入力された機械製品の型式(型式は、それぞれが複数の構成要素のうちの1つの仕様を示す複数の識別子ID(
図4参照)によって構成されている)に基づいて作成するように構成されている。すなわち、作成部22は、システムユーザが指定した機械製品の型式(複数の識別子ID)に基づいて、当該型式に対応する機械製品の取扱説明書を作成する。したがって、システムユーザが、取扱説明書の作成を所望する機械製品の型式(複数の識別子ID)の入力操作(たとえば、
図2に示される入力フォーマットFへの入力操作)を行うだけで、作成部22は、所望の型式に対応する機械製品の取扱説明書を容易かつ速やかに(効率的に)作成することができる。また、システムユーザは、記憶部21に記憶されている識別子ID(識別子IDは、項目データベース211内の取扱説明書の項目IT(
図4参照)、および、説明事項データベース212内の取扱説明書の説明事項DE(
図5参照)と対応付けて記憶されている)を任意に組み合わせ、任意の型式を指定することが可能である。このため、作成部22は、仕様の異なる様々な種類の機械製品の取扱説明書を作成することができる。また、項目データベース211(
図4参照)の複数の項目ITは、機械製品群を構成する複数の機械製品および複数の構成要素に対応する項目ITを含み、項目データベース211(
図4参照)は、機械製品群を構成する複数の機械製品の複数の構成要素に対応する複数の識別子IDに対して、複数の項目ITのうち、どの項目ITが取扱説明書に必要な項目であるかが関連付けて(
図4における記号「○」参照)記憶されている。したがって、システムユーザが、取扱説明書の作成を所望する機械製品の型式(複数の識別子ID)の入力操作(たとえば、
図2に示される入力フォーマットFへの入力操作)を行うだけで、作成部22は、所望の型式に対応する機械製品の取扱説明書の作成に必要な項目ITおよび説明事項DEを、それぞれ、項目データベース211および説明事項データベース212から抽出し、抽出した項目ITおよび説明事項DEに基づいて、所望の型式に対応する機械製品の取扱説明書を作成することができる。したがって、システムユーザが、所望の型式の入力操作を行うだけで、当該型式に対応する正確な取扱説明書を作成することができる。このため、記載項目の見落としや誤記等による不正確な取扱説明の作成を防止することができる。また、本実施形態では、安全性に関する法規の法改正や、製品ユーザからの新たな指摘があった場合等において、そのような法改正や新たな指摘に適応した、識別子IDに対応する安全基準情報SAを出力することができる。したがって、システムユーザは、そのような法改正や新たな指摘に適応するように、取扱説明書の説明事項DEにおける安全説明情報が正確であるかどうかを確認することができる。そして、取扱説明書の説明事項DEにおける安全説明情報が正確でない場合には、取扱説明書を修正することができる。よって、本実施形態に係る機械製品の取扱説明書作成システム1を用いて作成された機械製品の取扱説明書を見て機械製品を取り扱うことにより、製品ユーザは、機械製品を安全に取り扱うことができる。このように、本実施形態に係る機械製品の取扱説明書作成システム1によれば、システムユーザの立場からは、仕様の異なる様々な種類の機械製品の取扱説明書の作成効率を高めることができるとともに、当該取扱説明書の作成の正確性を高めることができる。さらに、製品ユーザの立場からは、仕様に正確に適合した取扱説明書を見て、機械製品の取り扱いの安全性を高めることができる。また、本実施形態に係る取扱説明書作成方法は、取扱説明書作成システム1と同様の効果を奏することができる。
【0096】
また、産業分野で使用される機械製品(産業機械)のような大きなモジュールにおいては、外観上のリスクと、運転操作上のリスクと、操作ミスや不注意などで引き起こされる事故とによる、作業者へのインパクトと危害損害内容は重大である。機械製品の取扱説明書は、そのような問題の発生を回避するための項目および説明事項、たとえば、操作説明、操作手順、および注意書き(リスク情報)などの情報の構成データは膨大にあり、かつ、それらの情報の書き方には、機械製品への安全指令に紐づいた国際規格やJIS規格で要求される取扱説明書の記載上のルールや制約がある。従来は、このような重要な機械製品の取扱説明書が、正確な記述では作成されておらず、このような不完全な取扱説明書を見て機械製品を取り扱う製品ユーザには、リスク上の大きな問題があった。また、機械製品の様々な構成要素の不具合に対処するための情報(清掃、点検、部品交換、修理など)やトラブルシューティング、FAQなどライフサイクル上の安全情報を含めると、取扱説明書としては膨大なページ数となるため、そのような機械製品の取扱説明書を正確に作成するのは従来困難であった。
【0097】
また、一般的に、システムユーザ(たとえば機械メーカ)による機械製品の開発現場および設計現場では、機械製品の正しい操作説明と、製品リスクとを回避する指示警告文章からなる注意書き等を含む取扱説明書の作成には様々な作成ツールを用いて作成業務が行われている。しかしながら、機械製品は機能の異なる様々な構成要素(たとえば部品やユニット)で構成されており、また、システムユーザでは同じ属性(カテゴリ)を有する機械製品群にも沢山のシリーズ品が展開されており、なおかつ、型式で構成された機械製品には大きさや重量や外観形状違いなどによって多様な仕様(バリエーション)が発生し、機械製品の運び方ひとつとっても、人の手で運べる軽い機種もあれば、クレーンで移動させなければいけない重い機種もあり、その都度の操作説明で、操作手順と注意書き(指示警告情報)が多岐にわたることがあり、機械製品の取扱説明書の作成方法の確立と機械製品の取扱説明書の作成業務は非常に困難であった。たとえば、構成要素の仕様が異なっていると、機械製品の重さも違ってくる(たとえば、構成要素の寸法(たとえばロータの径など)が小さいと機械製品は軽いが、構成要素の寸法が大きいと機械製品が重い)。そのような場合に、仕様に基づく、1つの記載事項(構成要素の寸法の違いに関する取扱の違い)とは別に、重量の違いによる運搬方法などの安全性に関する他の記載事項が必要となる場合がある。また、構成要素の仕様が異なると、1つの項目以外に、複数の項目が必要になる場合がある。また、人が過去の取扱説明書を参考にして取扱説明書を作成した場合、仕様の違いから生じる安全性の問題に気付くことができず(たとえば、ロータの径の違いによる運搬方法の違いに気付かず)、取扱説明書の記載項目に抜けが生じる可能性がある。また、1つの項目については修正したとしても、その仕様に2つ以上の項目が必要な場合に、その記載事項を取扱説明書に入れ忘れる可能性がある。また、取扱説明書に対して、作成時に注意を払っても、様々な仕様に関する説明事項が併記された取扱説明書になってしまう(たとえば、径の異なる複数のロータに関する記載事項が併記される)など、機械製品の多様な機種に対応できるような取扱説明書を作成しようとすると、製品ユーザにとっては不要な記載事項が混在する取扱説明書となってしまい、非常に見づらく、見るべき箇所の誤認を招き得るとう問題もあった。
【0098】
これに対し、本実施形態に係る取扱説明書作成システム1は、上述のように、仕様の異なる様々な種類の機械製品の取扱説明書の作成効率と、作成の正確性と、機械製品の取り扱いの安全性とを高めることができる。しかも、製品ユーザにとって不要な記載(不要な仕様に対応する項目および説明事項)を掲載せずに済むとともに、取扱説明書の作成効率、および作成の正確性は、記載量が多くても確保することができる。したがって、本実施形態に係る取扱説明書の作成システム1は、上述のリスク上の問題および取扱説明書作成の困難性の問題を解決することができる。また、本実施形態に係る取扱説明書作成方法は、取扱説明書作成システム1と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 取扱説明書作成システム
2 処理装置
2A サーバ装置(アプリケーションサーバ)
2B サーバ装置(データベースサーバ)
21 コンピュータ可読記憶媒体(記憶部)
210 データベース
211 項目データベース
212 説明事項データベース
213 取扱説明書データベース
214 安全性情報データベース
22 作成部
23 制御部
3 クライアント端末装置(端末装置)
31 表示部
32 画面
4 ネットワーク
AL 確認表示
BT1 取扱説明書作成ボタン
BT2 取扱説明書検索ボタン
DE 説明事項
EL 構成要素
F 入力フォーマット
F1 第1領域
F2 第2領域
ID 識別子
IT 項目
SA 安全基準情報