(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109527
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】複数の異なるタービンエンジンで使用するためのノズルセグメント
(51)【国際特許分類】
F01D 9/02 20060101AFI20240806BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20240806BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240806BHJP
F01D 9/04 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F01D9/02 104
F01D25/00 X
F02C7/00 D
F01D9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024007145
(22)【出願日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】18/163,079
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バレット、ノーマン アンドリュー、二世
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ジョー ティー.
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA11
3G202GA13
(57)【要約】
【課題】複数の異なるタイプのタービンエンジンで使用できるノズルセグメントを提供する。
【解決手段】ノズルセグメントは、内側バンド、外側バンド及びそれらの間に延在する1以上のノズルベーンを含む。外側バンドは、外側表面から半径方向外側に延在するフックを含んでおり、フックは、第1及び第2のタービンエンジン内の支持体に結合するように配向する。フックは周方向に外側表面を横断して延在し、複数のスロットが画成されている。第1及び第2のスロットはそれぞれ第1及び第2の周方向荷重面を含む。第1のタービンエンジン内にノズルセグメントを結合する場合、第1の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合するが、第2の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合しない。第2のタービンエンジン内にノズルセグメントを結合する場合、第2の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合するが、第1の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合しない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン(10)で使用するためのノズルセグメント(100)であって、当該ノズルセグメント(100)が、
内側バンド(104)と、
内側表面(120)及び前記内側表面(120)と反対側の外側表面(122)を含む外側バンド(106)と、
前記外側表面(122)から半径方向外側に延在し、かつ周方向に前記外側表面(122)を横断して延在するフック(126)と、
半径方向に前記内側バンド(104)と前記外側バンド(106)の間に延在する1以上のノズルベーン(102)と
を備えており、前記フック(126)が、第1のタービンエンジン(10)内の第1の支持体(17)及び第2のタービンエンジン(10)内の第2の支持体(17)に選択的に結合するように配向しており、前記フック(126)が、該フックに画成された複数のスロット(130)を含んでいて、前記スロット(130)の第1のものが第1の周方向荷重面(132)を含んでおり、前記スロット(130)の第2のものが第2の周方向荷重面(132)を含んでおり、
当該ノズルセグメント(100)を第1のタービンエンジン(10)に結合する場合、第1の周方向荷重面(132)は、第1のタービンエンジン(10)内の回転防止エレメント(48)と係合するが、第2の周方向荷重面(132)は前記回転防止エレメント(48)と係合せず、前記ノズルセグメント(100)を第2のタービンエンジン(10)に結合する場合、第2の周方向荷重面(132)は、第2のタービンエンジン(10)内の回転防止エレメント(48)と係合するが、第1の周方向荷重面(132)は前記回転防止エレメント(48)と係合しない、ノズルセグメント(100)。
【請求項2】
当該ノズルセグメント(100)が、前記内側バンド(104)と前記外側バンド(106)の間に延在する2以上のノズルベーン(102)を備えており、前記ノズルベーン(102)が、前記内側バンド(104)及び記外側バンド(106)と一体に形成されている、請求項1に記載のノズルセグメント(100)。
【請求項3】
前記フック(126)が第1のフック(126)であり、当該ノズルセグメント(100)が、前記外側表面(122)から半径方向外側に延在する第2のフック(128)を備えており、第2のフック(128)が、第1のタービンエンジン(10)内の第1の支持体(17)及び第2のタービンエンジン(10)内の第2の支持体(17)に結合するように配向している、請求項1又は請求項2に記載のノズルセグメント(100)。
【請求項4】
当該ノズルセグメント(100)を第1及び第2のタービンエンジン(10)の各々に結合するときに、第1のフック(126)が前方に配向し、第2のフック(128)が後方に配向する、請求項3に記載のノズルセグメント(100)。
【請求項5】
タービンエンジン(10)で使用するためのノズルセグメント(100)であって、当該ノズルセグメント(100)が、
内側バンド(104)と、
内側表面(120)及び前記内側表面(120)と反対側の外側表面(122)を含む外側バンド(106)と、
前記外側表面(122)から半径方向外側に延在し、かつ周方向に前記外側表面(122)を横断して延在する第1のフック(126)と、
半径方向に前記内側バンド(104)と前記外側バンド(106)の間に延在する一対のノズルベーン(102)と
を備えており、第1のフック(126)が、タービンエンジン(10)内の支持体(17)に結合するように配向しており、複数のスロット(130)が第1のフック(126)に画成されていて、前記スロット(130)の第1のものが第1の周方向荷重面(132)を含んでおり、前記スロット(130)の第2のものが第2の周方向荷重面(132)を含んでおり、前記スロット(130)の第3のものが第3の周方向荷重面(132)を含んでおり、当該ノズルセグメント(100)をタービンエンジン(10)に結合するとき、第1の周方向荷重面(132)、第2の周方向荷重面(132)及び第3の周方向荷重面(132)の少なくとも1つが回転防止エレメント(48)と係合する、ノズルセグメント(100)。
【請求項6】
前記タービンエンジン(10)が、第1の回転防止エレメント(48)構成を有する第1のタービンエンジン(10)であり、当該ノズルセグメント(100)を第1のタービンエンジン(10)に結合するとき、第1の周方向荷重面(132)は第1のタービンエンジン(10)内の回転防止エレメント(48)と係合するが、第2及び第3の周方向荷重面(132)は前記回転防止エレメント(48)と係合しない、請求項5に記載のノズルセグメント(100)。
【請求項7】
前記タービンエンジン(10)が、第1の回転防止エレメント(48)構成とは異なる第2の回転防止エレメント(48)構成を有する第2のタービンエンジン(10)であり、当該ノズルセグメント(100)を第2のタービンエンジン(10)に結合するとき、第2及び第3の周方向荷重面(132)の少なくとも一方が第2のタービンエンジン(10)内で回転防止エレメント(48)と係合するが、第1の周方向荷重面(132)は前記回転防止エレメント(48)と係合しない、請求項6に記載のノズルセグメント(100)。
【請求項8】
前記スロット(130)の第2及び第3のものが前記スロット(130)の第1のものの両側にある、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のノズルセグメント(100)。
【請求項9】
前記スロット(130)の第1及び第2のものが、各々、前記スロット(130)の第3のものよりも長い周方向距離を有する、請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載のノズルセグメント(100)。
【請求項10】
前記スロット(130)の第1及び第2のものが実質的に等しい周方向距離を有する、請求項9に記載のノズルセグメント(100)。
【請求項11】
第1のフック(126)が、前記外側表面(122)を横断して第1の周方向端部(134)と第2の周方向端部(136)の間の周方向距離を有しており、前記スロット(130)の合計周方向距離が、第1のフック(126)の周方向距離の約25%未満である、請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載のノズルセグメント(100)。
【請求項12】
タービンエンジン(10)を組み立てる方法であって、当該方法が、
前記タービンエンジン(10)内の支持体(17)にノズルセグメント(100)を結合するステップ
を含んでおり、前記ノズルセグメント(100)が、内側バンド(104)と、外側バンド(106)と、半径方向に前記内側バンド(104)と前記外側バンド(106)の間に延在する1以上のノズルベーン(102)とを含んでおり、前記外側バンド(106)が、外側表面(122)と、前記外側表面(122)から半径方向外側に延在し、かつ周方向に前記外側表面(122)を横断して延在するフック(126)とを含んでおり、前記フック(126)が、該フックに画成された複数のスロット(130)を含んでいて、前記スロット(130)の第1のものが第1の周方向荷重面(132)を含んでおり、前記スロット(130)の第2のものが第2の周方向荷重面(132)を含んでおり、前記支持体(17)にノズルセグメント(100)を結合するステップが、前記フック(126)を用いて前記支持体(17)にノズルセグメント(100)を結合すること、並びに
第1の周方向荷重面(132)を前記支持体(17)の回転防止エレメント(48)と係合させるが、第2の周方向荷重面(132)は前記支持体(17)と係合しないことと、
第2の周方向荷重面(132)を前記支持体(17)の回転防止エレメント(48)と係合させるが、第1の周方向荷重面(132)は前記支持体(17)と係合しないことと
の一方を含んでいる、方法。
【請求項13】
前記フック(126)のスロット(130)の第3のものが第3の周方向荷重面(132)を含んでおり、前記支持体(17)にノズルセグメント(100)を結合するステップが、さらに、
第1の周方向荷重面(132)を前記支持体(17)の回転防止エレメント(48)と係合させるが、第2及び第3の周方向荷重面(132)は前記支持体(17)と係合しないことと、
第2及び第3の周方向荷重面(132)の少なくとも1つを前記支持体(17)の回転防止エレメント(48)と係合させるが、第1の周方向荷重面(132)は支持体(17)と前記係合しないことと
の一方を含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1のタービンエンジン(10)及び第2のタービンエンジン(10)内でノズルセグメント(100)を交換するためのキットであって、第1のタービンエンジン(10)が、第2のタービンエンジン(10)とは異なるモデルであり、当該キットが、内側バンド(104)、外側バンド(106)及び半径方向に前記内側バンド(104)と前記外側バンド(106)の間に延在する1以上のノズルベーン(102)を含むノズルセグメント(100)を含んでおり、前記外側バンド(106)が、外側表面(122)と、前記外側表面(122)から半径方向外側に延在するフック(126)とを含んでおり、前記フック(126)が、第1のタービンエンジン(10)内の支持体(17)及び第2のタービンエンジン(10)内の支持体(17)に選択的に結合するように配向しており、前記フック(126)が、周方向に前記外側表面(122)を横断して延在しているとともに、該フックに画成された複数のスロット(130)を備えており、前記スロット(130)の第1のものが、前記ノズルセグメント(100)を第1のタービンエンジン(10)に結合できるようにし、前記スロット(130)の第2のものが、前記ノズルセグメント(100)を第2のタービンエンジン(10)に結合できるようにする、キット。
【請求項15】
第1のタービンエンジン(10)が第1のエンジン製造業者によって製造され、第2のタービンエンジン(10)が、第1のエンジン製造業者とは異なる第2のエンジン製造業者によって製造される、請求項14に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示の分野は、一般に、タービンエンジンに関し、さらに具体的には、複数の異なるタービンエンジンに適合し、複数の異なるタービンエンジンで使用できるように構成されたタービン部品に関する。
【0002】
ガスタービンエンジンは産業及び発電事業で広く用いられている。従来のガスタービンエンジンは、圧縮機セクションと、圧縮機セクションの下流側の燃焼器セクションと、燃焼器セクションの下流側のタービンセクションとを備える。周囲空気のような作動流体は圧縮機セクションに流入し、そこで圧縮されてから燃焼器セクションへと流れる。圧縮された作動流体は燃焼器セクションで燃料と混合されて燃焼し、燃焼ガスを発生し、燃焼ガスはタービンセクションを通って膨張する。タービンセクションは、ロータの周りで周方向に離間したタービンブレードに向かって燃焼ガスを導くように輪郭形成されたノズルセグメントの環状アレイを含む静止ノズルアセンブリを含む。燃焼ガスがタービンブレードに衝突して、ロータを回転させ、電気を発生させる。
【0003】
燃焼ガスを下流のタービンブレードに導く際、ノズルセグメントは燃焼ガスの機械的負荷、振動負荷及び熱負荷に耐えなければならない。各ノズルセグメントは、タービンセクション内で周方向に延在する内側支持体及び外側支持体に結合した1以上のベーンを含む。典型的には、ノズルセグメントは、各々、ベーンの半径方向外側端に形成され、外側端で延在する外側バンドを含む。外側バンドは、外側支持体のレールと係合してベーンを外側支持体のレールに結合するフック構成を含む。いくつかの公知のタービンエンジンでは、フック構成は、ノズルセグメントの周方向の動きを防止するために外側支持体に形成された回転防止エレメント(例えばブロック、ピン又はラグ)と整列するスロットを含む。スロットは、ノズルセグメントがうっかり上下逆さまに取り付けられたり、誤ったタイプのエンジンメインフレームに取り付けられたりするのを防ぎ、タービンエンジンでのノズルセグメントの設置及び操作に関連するエラー、誤用及び/又は故障の機会を低減するので、スロットはタービンアセンブリの組立ての際に「マーフィー保証機能(Murphy-proofing)」を提供する。ただし、公知のノズルセグメントのマーフィー保証機能のために、複数のタイプのタービンエンジンで作業が行われる施設では、複数のタイプのノズルセグメントの在庫を保持しておかなければならない。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、タービンエンジンで使用するためのノズルセグメントは、内側バンドと、外側バンドと、半径方向に内側バンドと外側バンドの間に延在する1以上のノズルベーンとを含む。外側バンドは、内側表面及び内側表面と反対側の外側表面を含む。ノズルセグメントは、外側表面から半径方向外側に延在し、周方向に外側表面を横断して延在するフックも含む。フックは、第1のタービンエンジン内の第1の支持体及び第2のタービンエンジン内の第2の支持体に選択的に結合するように配向している。フックは、フックに画成された複数のスロットを含む。前記スロットの第1のものは第1の周方向荷重面を含んでおり、前記スロットの第2のものは第2の周方向荷重面を含んでいる。ノズルセグメントを第1のタービンエンジンに結合する場合、第1の周方向荷重面は、第1のタービンエンジン内の回転防止エレメントと係合するが、第2の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合しない。ノズルセグメントを第2のタービンエンジンに結合する場合、第2の周方向荷重面は第2のタービンエンジン内の回転防止エレメントと係合するが、第1の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合しない。
【0005】
別の態様では、タービンエンジンで使用するためのノズルセグメントは、内側バンドと、外側バンドと、半径方向に内側バンドと外側バンドの間に延在する一対のノズルベーンとを含む。外側バンドは、内側表面及び内側表面と反対側の外側表面を含む。ノズルセグメントは、外側表面から半径方向外側に延在し、周方向に外側表面を横断して延在する第1のフックも含む。第1のフックは、タービンエンジン内の支持体に結合するように配向している。第1のフックに複数のスロットが画成される。前記スロットの第1のものは第1の周方向荷重面を含み、前記スロットの第2のものは第2の周方向荷重面を含み、前記スロットの第3のものは第3の周方向荷重面を含む。ノズルセグメントをタービンエンジンに結合するとき、第1の周方向荷重面、第2の周方向荷重面及び第3の周方向荷重面の少なくとも1つが回転防止エレメントと係合する。
【0006】
別の態様では、タービンエンジンを組み立てる方法は、タービンエンジン内の支持体にノズルセグメントを結合するステップを含む。ノズルセグメントは、内側バンドと、外側バンドと、半径方向に内側バンドと外側バンドの間に延在する1以上のノズルベーンとを含む。外側バンドは、外側表面と、外側表面から半径方向外側に延在し、かつ周方向に外側表面を横断して延在するフックとを含む。フックは、フックに画成された複数のスロットを含む。前記スロットの第1のものは第1の周方向荷重面を含み、前記スロットの第2のものは第2の周方向荷重面を含む。支持体にノズルセグメントを結合するステップは、フックを用いて支持体にノズルセグメントを結合すること、並びに第1の周方向荷重面を支持体の回転防止エレメントと係合させるが、第2の周方向荷重面は支持体と係合しないことと、第2の周方向荷重面を支持体の回転防止エレメントと係合させるが、第1の周方向荷重面は支持体と係合しないこととの一方を含む。
【0007】
別の態様では、第1のタービンエンジン及び第2のタービンエンジン内でノズルセグメントを交換するためのキットであって、第1のタービンエンジンが第2のタービンエンジンとは異なるモデルであるキットは、内側バンド、外側バンド及び半径方向に内側バンドと外側バンドの間に延在する1以上のノズルベーンを含むノズルセグメントを含む。外側バンドは、外側表面と、外側表面から半径方向外側に延在するフックとを含む。フックは、第1のタービンエンジン内の支持体及び第2のタービンエンジン内の支持体に選択的に結合するように配向している。フックは、周方向に外側表面を横断して延在しており、フックに画成された複数のスロットを含む。前記スロットの第1のものは、ノズルセグメントを第1のタービンエンジンに結合できるようにし、前記スロットの第2のものは、ノズルセグメントを第2のタービンエンジンに結合できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示的なガスタービンエンジンの概略断面図。
【
図2】
図1に示すガスタービンエンジン内の外側支持体に結合し得る例示的なノズルセグメントの側面図。
【
図5】
図2~
図4に示すノズルセグメントの
図4のセクションCで示す部分の拡大図。
【
図6】タービンエンジンの組み立て方法の例示的なフローチャート。
【0009】
別途記載されていない限り、本願に添付した図面は、本開示技術の実施形態の特徴を例示するものである。これらの特徴は、本開示技術の1以上の実施形態を包含する多種多様なシステムに適用できると思料される。そのため、図面は、本明細書で開示する実施形態の実施に必要とされる当業者に公知の慣用的特徴をすべて含んでいるわけではない。複数の図面間で同様の特徴は、同様の符号を用いて示してある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、回転機械(例えばガスタービンエンジン)で使用し得るノズルセグメントに関する。例示的なノズルセグメントは、内側バンドと外側バンドの間に延在する1以上のノズルベーンを含む。ノズルセグメントは、回転機械のタービンセクション内で周方向に延在する内側支持体に内側バンドを結合するとともに、回転機械のタービンセクション内で周方向に延在する外側支持体に外側バンドを結合することによって、回転機械に固定される。外側バンドは、外側表面から半径方向外側に延在する1以上のフックを含む。フックは、外側支持体へのノズルセグメントの結合を容易にし、各フックは、周方向に外側バンドの外側表面を横断して延在する。フックの1以上には、タービン外側支持体から延在する回転防止エレメント(例えばブロック、ピン又はラグ)と係合するように適合したスロットが画成される。各スロットは、回転防止エレメントと係合する周方向荷重面と共に形成され、作動中の回転機械内でのノズルセグメントの周方向の動きを制限又は防止する。
【0011】
異なる回転機械(例えば異なるガスタービンエンジン)は、通例、様々な設計構成の点で異なる。そうした回転機械間での差異の1つは、外側支持体の構成、特にタービン外側支持体から延在する回転防止エレメントの構成である。フックの構成並びにノズルセグメントのフックに画成されるスロットの位置、寸法及び形状は、特定の回転機械の外側支持体の構成とマッチするように設計される。特定の回転機械のためのタービン外側支持体とノズルセグメントフックとの間のマッチング構成は、その特定の回転機械のタービンセクションでのノズルセグメントの適切な周方向配置を可能するととともに、回転機械で誤ったノズルセグメントの取付け及び/又は操作で起こりかねないエラー、誤用及び/又は故障の機会の低減に資する。
【0012】
典型的には、公知のノズルセグメントは、特定の回転機械で使用するために設計及び製造されており、異なる回転機械間での互換的使用又は互換的取付けはできない。さらに具体的には、ノズルセグメントのフック構成は特定のモデルの回転機械の外側支持体構成とマッチするように特異的に設計され、そのため、公知のノズルセグメントは、異なるモデルの回転機械での結合には適していない。例えば、適切な寸法及び/又は形状を有するスロット並びに/或いは特定のモデルの回転機械の外側支持体の回転防止エレメント構成に「マッチ」するように選択されたフック上の適切な位置に画成されたスロットを含まないノズルセグメントは、異なる(すなわち予定外の)モデルの外側支持体に結合させることができず、異なるモデルの回転機械内への結合が防止される。従来のフック構成は、特定のモデルの回転機械内に適切なノズルセグメントしか取り付けられないように意図的に設計されている。これによって、特定の回転機械の組立て及び/又は修理に使用できる入手可能なノズルセグメントの数が限られる、さらには複数のモデルの回転機械で使用するために複数のタイプのノズルセグメントの在庫が必要となるなどの短所が生じる。
【0013】
本明細書に開示される例示的な実施形態は、複数の異なるモデルの回転機械での使用に適した例示的なノズルセグメントを含む。特に、本明細書に記載の例示的なノズルセグメントは、外側バンドの外側表面から延在するフックを含む。フックには、回転防止エレメント構成の異なる複数のタービン外側支持体から延在する回転防止エレメント(例えばブロック、ピン又はラグ)が入り込めるサイズ及び配向をもつ複数のスロットが画成される。各フックスロットは、ノズルセグメントを第1のタイプ(なわち第1のモデル)の回転機械(以下、第1のタービンエンジンという)に結合する場合、少なくとも第1の周方向荷重面は第1のタービンエンジン内の外側支持体の回転防止エレメントと係合するが、少なくとも第2の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合しない。同じノズルセグメントを異なる第2のタイプ(すなわち第2のモデル)の回転機械(以下、第2のタービンエンジンという)に結合する場合、第2の周方向荷重面は第2のタービンエンジンの外側支持体の回転防止エレメントと係合するが、1以上の他の(例えば第1の)周方向荷重面は第2のタービンエンジン内の回転防止エレメントと係合しない。このように、例示的なノズルセグメントは、各回転機械のタービンセクション内でのノズルセグメントの周方向位置を維持しつつ、異なるタイプの回転機械内に例示的なノズルセグメントを結合できるようにするフックに形成された複数スロットを含んでおり、しかも依然として「マーフィー保証機能」を提供して、各々の回転機械内でのノズルセグメントの設置及び操作に関連するエラー、誤用及び/又は故障の機会を低減する。
【0014】
本明細書に記載の例示的なノズルセグメントは、該ノズルセグメントとの使用に適した回転機械の数の順応性を高めるという追加の利点ももたらし、従って、回転機械の組立て及び/又は修理に利用できるノズルセグメントの数を増やすことができる。さらに、例示的なノズルセグメントは、回転機械の組立て及び/又は修理に付随するダウンタイム及びメンテナンスコスト並びに回転機械で使用し得るノズルセグメントの製造に付随する材料コストの削減に資する。
【0015】
ここで図面を参照すると、
図1は、例示的なガスタービンエンジン10の概略断面図である。ガスタービンエンジン10は圧縮機セクション12を含んでおり、圧縮機セクション12は、ガスタービンエンジン10の上流端15に画成された入口14と、圧縮機セクション12を少なくとも部分的に取り囲むケーシング16とを含んでいる。ガスタービンエンジン10は、圧縮機セクション12の下流の燃焼器20を含む燃焼セクション18及び燃焼セクション18の下流のタービンセクション22も含んでいる。外側ケーシング17が、タービンセクション22を少なくとも部分的に取り囲んでいる。ロータシャフト24が、軸方向にガスタービンエンジン10を貫通している。燃焼セクション18は、複数の燃焼器20を含んでいてもよい。ガスタービンエンジン10の構成要素及び特徴について説明するために用いられる「半径方向」、「軸方向」、「周方向」、「前方」及び「後方」のような方向に関する用語は、
図1に示す配向を参照して用いられるが、単に説明のための便宜的なものにすぎない。
【0016】
なお、ガスタービンエンジン10並びにその構成要素及び特徴は、特定の配向に限定されるものではない。なお、ガスタービンエンジン10は、本明細書では、第1のガスタービンエンジン10又は第2のガスタービンエンジン10とも呼ばれる。第1のガスタービンエンジン10は、第2のガスタービンエンジン10とは異なるモデルのガスタービンエンジンであり、及び/又は第1及び第2のガスタービンエンジン10は異なる受託製造業者(OEM)から入手可能である。好適な第1及び第2のガスタービンエンジン10として、限定されるものではないが、General Electric社(米国サウスカロライナ州グリーンビル)から市販されている501Fシリーズのガスタービンエンジン、及び別のOEMから市販されている501Fシリーズのガスタービンエンジンが挙げられる。
【0017】
作動中、空気26は、圧縮機セクション12の入口14に吸い込まれ、漸次圧縮されて、圧縮空気28が燃焼セクション18に供給される。圧縮空気28は燃焼セクション18に流入し、燃焼器20で燃料と混合されて可燃性混合物を形成する。可燃性混合物は燃焼器20で燃焼され、高温ガス30が発生し、燃焼器20からタービンノズル34とタービンブレード36の第1段32を横断してタービンセクション22に流入する。高温ガス30は、シャフト24の軸方向中心線CLに沿ってタービンセクション22内で結合したタービンブレード36とタービンノズル34の交互段落(例えば第1段32と第1段32の下流の第2段33)を流れる際に急激に膨張する。高温ガスからタービンブレード36の各段に熱エネルギー及び/又は運動エネルギーが伝達されて、シャフト24を回転させ、機械的仕事を生じる。シャフト24は、発電機(図示せず)のような負荷と結合して電気を発生し得る。加えて/或いは、シャフト24を、ガスタービンエンジン10の圧縮機セクション12の駆動に用いてもよい。
【0018】
図2は、ガスタービンエンジン10(
図1参照)に結合した例示的なノズルセグメント100の側面図である。例示的な実施形態では、ノズルセグメント100は、外側ケーシング17に結合している。外側ケーシング17は、タービンセクション22(
図1参照)を少なくとも部分的に取り囲む。
図1及び
図2に概略を示す外側ケーシング17は、タービンシェル、及びタービンシェルに結合した外側タービン部品(例えばシュラウドなど)を含んでいてもよい。ノズルセグメント100は、外側ケーシング17のタービンシェル及び/又はシュラウドに結合し得る。或いは、外側ケーシング17は、外側タービン部品なしでタービンシェルを含んでいてもよく、ノズルセグメント100は、外側ケーシング17のタービンシェルに直接結合し得る。外側ケーシング17は、本明細書では、外側支持体17又は支持体17ともいう。
【0019】
図2に示すように、外側ケーシング17は、ある軸方向距離で互いに離間した周方向に延在するレール38,40を含む。レール38,40は、各々、外側ケーシング17の内側表面42から半径方向下方に延在する。さらに具体的には、各レール38,40は、外向きに延びるレッジ44,46まで半径方向下方に延在する。レール38,40は各々外側ケーシング17に結合してもよいし、或いはレール38,40の一方又は両方は外側ケーシング17と一体に形成してもよい。レール38及び40は各々外側ケーシング17に結合した複数のレール38及び40を含んでいてもよく、複数のレール38は周方向に互いに離間し、複数のレール40は周方向に互いに離間する。例示的な実施形態では、レール38及び40は、外側ケーシング17に結合し、かつ周方向に外側ケーシング17を横断して配置される隔離リングの形態である。レール38及び40の数は、タービンノズル34の一段を形成するために外側ケーシング17に結合するノズルセグメント100の数を好適に補完し得る。他の実施形態では、レール38及び/又は40は、外側ケーシング17に結合した又は外側ケーシング17と一体に形成された単一部品であってもよく、周方向に外側ケーシング17を実質的に完全に横断するように延在する。レール38及び40の外向きに延びるレッジ44及び46は、ノズルセグメント100を外側ケーシング17に結合できるようにする。
【0020】
外側ケーシング17は、半径方向下方に延在する回転防止エレメント48(例えばブロック、ピン又はラグ)も含む。回転防止エレメント48は、外側ケーシング17に結合してもよいし、或いは外側ケーシング17と一体に形成してもよい。回転防止エレメント48は周方向に互いに離間する。例示的な実施形態では、各回転防止エレメント48は、レール40の1つに隣接して配置される。回転防止エレメント48は、付加的及び/又は代替的に、レール38の1つに隣接して配置してもよい。回転防止エレメント48の寸法、形状及び周方向間隔及び位置は、以下でさらに詳しく説明する通り、外側ケーシング17に結合するノズルセグメント100の適切な構成を決定する。回転防止エレメント48は、タービンセクション22内のノズルセグメント100の周方向位置を維持するのを容易にし、ガスタービンエンジン10内のノズルセグメント100の設置及び操作に関連するエラー、誤用及び/又は故障の機会を低減する。
【0021】
例示的なノズルセグメント100は、半径方向に内側バンド104と外側バンド106の間に延在する1以上のベーン102を含む。ノズルセグメント100は、ガスタービンエンジン10のタービンセクション22(
図1参照)内のタービンノズル34の一段落を形成するノズルセグメント100のアレイの1つとして実装し得る。例示的な実施形態では、ノズルセグメント100は、タービンノズル34第1段32及び関連するタービンブレード36の下流にあるタービンノズル34の第2段33に含まれる。付加的及び/又は代替的に、ノズルセグメント100は、燃焼セクション18のすぐ下流のタービンノズル34の第1段32、及び/又はタービンノズル34の後段(例えばタービンノズル34の第3段)に含まれていてもよい。ノズルセグメント100は、外側ケーシング17に環状アレイとして結合した複数のノズルセグメント100からなる円弧状セグメント100を形成して、ノズルセグメント100のベーン102がシャフト24(
図1参照)を取り囲み、ロータ上のタービンブレード36の列が公知の様式で静止ノズル34の両側に位置する。ノズルセグメント100は、タービンセクション22内でシャフト24の周りで周方向に延在する内側支持リング(図示せず)にも、内側バンド104を介して結合している。ノズルセグメント100の構成要素及び特徴について説明するために用いられる「半径方向」、「軸方向」、「周方向」、「前方」及び「後方」のような方向に関する用語は、ノズルセグメント100をガスタービンエンジン10に結合したときに、
図1及び
図2に示す配向を参照して用いられる。これらの用語は、単に説明のための便宜的なものにすぎない。ノズルセグメント100並びにその構成要素及び特徴は、特定の配向に限定されるものではない。
【0022】
さらに
図3を参照すると、例示的な実施形態では、ノズルセグメント100は、内側バンド104と外側バンド106の間に延在する一対の(2つの)周方向に隣接するベーン102を含んでおり、ダブレットノズルセグメント100とも呼ばれる。他の実施形態では、例えば、ノズルセグメント100はシングレットノズルセグメント100(すなわち、内側バンド104と外側バンド106の間に延在する単一の(1つの)ベーン102を含むもの)であってもよいし、或いはノズルセグメント100はトリプレットノズルセグメント100(すなわち、内側バンド104と外側バンド106の間に延在する3つの隣接するベーン102を含むもの)であってもよい。ノズルセグメント100がダブレットノズルセグメント100である実施形態では、ベーン102と内側バンド104と外側バンド106は、ノズルセグメント100がベーン102と内側バンド104と外側バンド106との間で4節リンクを画成するように一体的に形成される。同様に、トリプレットノズルセグメント100の場合、ベーン102と内側バンド104と外側バンド106は、ノズルセグメント100が5節リンク機構を画成するように一体に形成される。例えば、ベーン102、内側バンド104及び外側バンド106は、成形、鋳造、積層造形その他の適切な製造プロセスによって製造される。
【0023】
いくつかの実施形態では、ベーン102は、内側バンド104及び/又は外側バンド106と一体でなくてもよい。例えば、ベーン102と内側バンド104及び/又は外側バンド106との間の連結を分割してもよい。連結分割は、それまで一体化されていたベーン102と内側バンド104及び/又は外側バンド106とを(例えば放電加工、電極切断、数値制御加工その他の適切な技術によって)切り離すことによって達成し得る。或いは、周方向に隣接するノズルセグメント100の内側バンド104及び外側バンド106の周方向端部を包接又は団結させて、ダブレット又はトリプレットノズルセグメント100を形成してもよく、内側バンド104及び外側バンド106の隣接する周方向端部間の境界が、ダブレット又はトリプレットノズルセグメント100における分割を画成する。
【0024】
図2に示すように、ノズルセグメント100は、燃焼セクション18側の前方端又は前端108と、反対側の後方又は後端110とを有する。上述の通り、例示的な実施形態では、ノズルセグメント100はタービンノズル34の第2段33に含まれ、ガスタービンエンジン10の組立ての際に、前端108は、その上流側のタービンブレード36の第1段32に向かい合う。ノズルセグメント100のベーン102は、各々、前端108に隣接して半径方向に内側及び外側バンド104,106間に延在する前縁112と、後端110に隣接して半径方向に内側及び外側バンド104,106間に延在する後縁114とを有する。ベーン102は、前縁112と後縁114の間に延在する対向する側壁113,115も含む。側壁113は略凹状の輪郭であり、側壁115は略凸状の輪郭である。凹状側壁113及び反対側の凸状側壁115は、一緒に、前縁112と後縁114の間でベーン102の略円弧状の輪郭を画成する。ベーン102は、半径方向内側端部116及び半径方向外側端部118も含む。内側バンド104はベーン102の半径方向内側端部116から延在しており、外側バンド106はベーン102の半径方向外側端部118から延在している。
図3に示すように、内側バンド104及び外側バンド106は実質的に円弧形状であり、周方向に延在してノズルセグメント100の円弧形状を画成する。
【0025】
図2及び
図3を参照すると、外側バンド106は、ベーン102の半径方向外側端部118から延在する内側表面120と、内側表面120と反対側の外側表面122とを含む。外側バンド106は、外側表面122から半径方向外側に延在し、周方向に外側表面122を横断して延在するフックシステム124も含む。フックシステム124は、ノズルセグメント100をタービンセクション22内の外側ケーシング17に結合できるようにする。さらに具体的には、例示的な実施形態では、フックシステム124は、第1のフック126及び第2のフック128を含む。第1のフック126及び第2のフック128の各々は、外側表面122から半径方向外側に延在しおり、周方向に外側表面122を横断して延在している。第1のフック126は、レール40のレッジ46と係合するように配向し、第2のフック128は、レール38のレッジ44と係合するように配向している。第1のフック126とレッジ46との係合は、ノズルセグメント100が外側ケーシング17に対して一方の軸方向に固定された状態に維持でき、第2のフック128とレッジ44との係合は、ノズルセグメント100が外側ケーシング17に対して別の軸方向に固定された状態に維持し得る。
【0026】
例示的な実施形態では、
図2に示すように、第1のフック126は、ノズルセグメント100の前方への軸方向移動を制限するため、前方(つまり燃焼セクション18に向かって)に延在してレッジ46と係合し、第2のフック128は、ノズルセグメント100の後方への軸方向移動を制限するため、後方(すなわち、前方とは逆向き)に延在してレッジ46と係合する。第1のフック126とレッジ46との係合及び/又は第2のフック128とレッジ44との係合は、ガスタービンエンジン10の運転中の熱サイクルの際の膨張及び収縮に適応するため、外側ケーシング17に対するノズルセグメント100の若干の軸方向移動を許容し得る。
【0027】
第1のフック126及び第2のフック128は、ある軸方向距離で互いに離間して配置される。例示的な実施形態では、第1のフック126は、ノズルセグメント100の後端110に隣接して位置し、第2のフック128は、ノズルセグメント100の前端108に隣接して位置する。第1のフック126及び第2のフック128の位置及び/又は配向は、外側ケーシング17の構成に応じて、さらに具体的には、レール38及び40の構成及び軸方向間隔に応じて変更し得る。好適には、第1のフック126及び第2のフック128は、異なるモデルのガスタービンエンジン10内にノズルセグメント100を結合できるようにする。さらに具体的には、第1のフック126及び第2のフック128は、異なるタイプのガスタービンエンジン10のタービンセクション22内にノズルセグメント100を結合させるため、外側ケーシング17から延在するレール38,40と係合するように構成される。例えば、一実施形態では、ノズルセグメント100は、General Electric社製のガスタービンエンジン10の少なくとも第1のモデル及び第2のモデルに設置し得る。別の実施形態では、ノズルセグメント100は、General Electric社から市販の第1のモデルのガスタービンエンジン10(例えば501Fシリーズガスタービンエンジン)の1以上のモデル、及び別のタービンエンジンOEMから市販の第2のモデルのガスタービンエンジン10(例えば501Fシリーズガスタービンエンジン)に設置し得る。
【0028】
続けて
図2及び
図3を参照すると、例示的な実施形態では、第1のフック126は、第1のフック126に画成されたスロット130を含む。スロット130は、適当な機械加工技術(例えば放電加工、電極切断、数値制御加工その他の適切な技術)によって第1のフック126の一部を除去することによって、第1のフック126に形成される。スロット130は、ノズルセグメント100を外側ケーシング17に結合するときに、外側ケーシング17(
図2参照)の回転防止エレメント48と整列して回転防止エレメント48を受け入れるような、寸法、形状、及び第1のフック126に沿った周方向位置に構成される。上述の通り、外側ケーシング17は、周方向に互いに離間してレール40に隣接して配置される回転防止エレメント48を含んでおり、回転防止エレメント48の寸法、形状並びに周方向間隔及び位置は、外側ケーシング17に結合するノズルセグメント100の適切な構成を決定する。スロット130は、外側ケーシング17から延在する回転防止エレメント48の位置と実質的に合致し、従って係合するように、第1のフック126に画成される。第1のフック126に画成されたスロット130がないと、ノズルセグメント100は外側ケーシング17に結合できない。こうして、回転防止エレメント48及びスロット130は、例えば、外側ケーシング17とのノズルセグメント100の不適切な結合又はガスタービンエンジン10に適さないノズルセグメント100の使用による、ガスタービンエンジン10内のノズルセグメント100の設置及び操作に関連するエラー、誤用及び/又は故障の機会の低減に資する。いくつかの実施形態では、スロット130は、付加的及び/又は代替的に第2のフック128に形成し得る。例えば、いくつかの実施形態では、スロット130は、レール38に隣接して配置し得る回転防止エレメント48を受け入れるため、第2のフック128に好適に形成し得る。
【0029】
スロット130及び回転防止エレメント48は、ガスタービンエンジン10の運転中のノズルセグメント100の周方向移動の防止も役立つ。特に、各スロット130は、スロット130内に入る回転防止エレメント48と係合する周方向荷重面132と共に形成される。回転防止エレメント48と周方向荷重面132との係合は、ガスタービンエンジン10の運転中に、ベーン102(特にベーン102の凹面側壁113)を横断して流れる高温ガスによって起こりかねないノズルセグメント100の周方向の動きを制限又は防止する。例示的な実施形態では、複数のスロット130は、それらのスロット130が実質的に同じ深さH1、H2及びH3をもつように、第1のフック126に画成される(
図5参照)。各周方向荷重面132の半径方向高さは、それぞれのスロット130の深さH1、H2及びH3に対応する。このように、周方向荷重面132は、各々実質的に同じ半径方向高さで形成される。他の実施形態では、スロット130は、外側ケーシング17の回転防止エレメント48の寸法及び/又は形状に応じて、異なる深さH1、H2及びH3を有していてもよい。
【0030】
加えて、例示的な実施形態では、スロット130は、回転防止エレメント48の構成が異なる複数の外側ケーシング17にノズルセグメント100を結合できるようにする。複数のスロット130は、スロット130の少なくとも1つが第1の外側ケーシング17の回転防止エレメント48を受け入れ、スロット130の別の1以上のスロット130が、第1の外側ケーシング17とは回転防止エレメントの構成が異なる第2の外側ケーシング17の回転防止エレメント48を受け入れるように、第1のフック126の適切な周方向位置に画成される。第1の外側ケーシング17は、第1のタイプのガスタービンエンジン10に使用することができ、第2の外側ケーシング17は、異なる第2のタイプのガスタービンエンジン10に使用することができる。その結果、ノズルセグメント100は、異なる第1及び第2のタイプのガスタービンエンジン10に結合できる。
【0031】
さらに
図4及び
図5を参照すると、例示的な実施形態では、スロット130は、第1のスロット130a、第2のスロット130b及び第3のスロット130cを含む。代替的な実施形態では、スロット130の寸法、相対位置及び配向が異なっていてもよい。さらに、他の実施形態では、ノズルセグメント100は、3超のスロット130又は3未満のスロット130と共に形成し得る。第1のスロット130a、第2のスロット130b及び第3のスロット130cの各々は周方向荷重面132を含んでおり、外側ケーシング17の回転防止エレメント48を受け入れるような寸法、形状及び配向を有する。例示的な実施形態では、第1のスロット130aは、第1の回転防止エレメント構成を有する第1の外側ケーシング17の回転防止エレメント48を受け入れるような寸法、形状及び配向を有する。第2のスロット130b及び第3のスロット130cは、第1の回転防止エレメント構成とは異なる第2の回転防止エレメント構成を有する第2の外側ケーシング17の回転防止エレメント48を受け入れるような寸法、形状及び配向を有する。第1の外側ケーシング17は第1のモデルのガスタービンエンジン10に含まれ、第2の外側ケーシング17は第2のモデルのガスタービンエンジン10に含まれていてもよい。
【0032】
ノズルセグメント100を第1の外側ケーシング17に結合すると、第1のスロット130aに入り込んだ回転防止エレメント48は、第1のスロット130aの周方向荷重面132と係合する。第2のスロット130b及び第3のスロット130cは、第1の外側ケーシング17の回転防止エレメント48を受け入れないので、ノズルセグメント100を第1の外側ケーシング17に結合したときに、第2のスロット130b及び第3のスロット130cの周方向荷重面132は回転防止エレメントと係合しない。ノズルセグメント100を第2の外側ケーシング17に結合すると、第2のスロット130b及び第3のスロット130cにそれぞれ入り込んだ回転防止エレメント48が、第2のスロット130b及び第3のスロット130cの周方向荷重面132と係合する。さらに、ノズルセグメント100を第2の外側ケーシング17に結合するとき、第2のスロット130b及び第3のスロット130cの一方又は両方が回転防止エレメント48を受け入れるようにしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第2の外側ケーシング17の第2の回転防止エレメント構成は、ノズルセグメント100の第2及び第3のスロット130b及び130cの各々に2つの回転防止エレメント48が受け入れられる位置にあるものであってもよい。或いは、いくつかの実施形態では、第2の外側ケーシング17の第2の回転防止エレメント構成は、1つの回転防止エレメント48が、ノズルセグメント100の第2及び第3のスロット130b及び130cの一方に受け入れられる位置にあるものであってもよい。第2の回転防止エレメント構成が各ノズルセグメント100に対して1つの回転防止エレメント48を含む実施形態では、回転防止エレメント48の位置は、第2の外側ケーシング17に結合したノズルセグメント100の幾つかが第2のスロット130bによって回転防止エレメント48を受け入れ、第2の外側ケーシング17に結合したノズルセグメント100の他のものが第3のスロット130cによって回転防止エレメント48を受け入れるように交互であってもよい。第1のスロット130aは、外側ケーシング17の第2の回転防止エレメント48を受け入れないので、ノズルセグメント100を第2の外側ケーシング17に結合する場合には、第1のスロット130aの周方向荷重面132は回転防止エレメントと係合しない。
【0033】
上述の通り、第1のスロット130a、第2のスロット130b及び第3のスロット130cの寸法、形状及び配向は、異なるタイプのガスタービンエンジン10内にノズルセグメント100を結合できるようにするために、異なるタイプの外側ケーシング17の回転防止エレメント構成と実質的にマッチする。例示的な実施形態では、第1の外側ケーシング17の回転防止エレメント48を受け入れる第1のスロット130aは、第1のフック126において、第1のフック126の中間部分に近接して画成される。第2及び第3のスロット130b及び130cは、第1のフック126において、第1のスロット130aの両側に画成される。
図5に示すように、スロット130a~130cの各々は、それぞれ、深さH1、H2及びH3を有する。深さH1は、第1のスロット130aの周方向荷重面132の半径方向高さに相当する。深さH2は、第2のスロット130bの周方向荷重面132の半径方向高さに相当する。深さH3は、第3のスロット130bの周方向荷重面132の半径方向高さに相当する。例示的な実施形態では、スロット130a~130cの深さH1、H2及びH3は実質的に同一であり、スロット130a~130cの周方向荷重面132は各々実質的に同じ半径方向高さを有する。他の実施形態では、スロット130a~130cは、ノズルセグメント100を適切に結合できる様々なタイプの外側ケーシング17の回転防止エレメント48の寸法及び/又は形状に応じて、様々な深さ及び/又は位置を有し得る。
【0034】
図4及び
図5を参照すると、スロット130a~130cは、ノズルセグメント100を適切に結合できる外側ケーシング17の1つの回転防止エレメント48を受け入れる適切な周方向距離を有する。例示的な実施形態では、第1のスロット130a及び第2のスロット130bは、それぞれ、第3のスロット130cの周方向距離D3よりも大きい周方向距離D1及びD2を有する。第1のスロット130a及び第2のスロット130bのそれぞれの周方向距離D1及びD2は、例示的な実施形態では、ほぼ等しい。他の実施形態では、スロット130a~130cは、異なるタイプの外側ケーシング17にノズルセグメント100を結合できるようにするために、各々任意の適切な周方向距離D1、D2及びD3を有し得る。例えば、周方向距離D1、D2及びD3は、ノズルセグメント100を適切に結合できる異なるタイプの外側ケーシング17の回転防止エレメント48の寸法及び/又は形状に応じて変更し得る。
【0035】
例示的な実施形態では、スロット130a~130cの周方向距離D1、D2及びD3の合計は、好適には、第1のフック126の全周方向距離の比較的低い割合である。これによって、第1のフック126が本明細書に記載の通り機能できるように第1のフック126とレッジ46との十分な係合を維持するために、第1のフック126から除去される材料の量は最小限となる。
図4に示すように、第1のフック126は、周方向に外側表面122を横断して延在し、第1の周方向端部134と第2の周方向端部136の間の周方向距離D4を有する。好適には、スロット130a~130cの距離D1、D2及びD3の合計は、第1のフック126の周方向距離D4の約35%未満であり、例えば周方向距離D4の約30%未満、周方向距離D4の約25%未満、周方向距離D4の約20%未満、周方向距離D4の約15%未満、第1のフック126の周方向距離D4の約10%未満、或いは第1のフック126の周方向距離D4の約5%未満である。例えば、スロット130a~130cの距離D1、D2及びD3の合計は、第1のフック126の周方向距離D4の約1%~約40%であり、例えば、第1のフック126の周方向距離D4の約1%~約30%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%又は約1%~約10%である。
【0036】
図6は、ガスタービンエンジン10(
図1参照)を組み立てる例示的な方法200のフローチャートである。
図1~
図5も参照すると、ガスタービンエンジン10は、タービンセクション22内で周方向に延在する外側ケーシング又は支持体17を含む。外側ケーシング17は、外側ケーシング17の内側表面42から半径方向下方に各々延在するレール38,40を含む。各レール38及び40は、それぞれ外向きに延びるレッジ44及び46まで半径方向下方に延在する。外側ケーシング17は、半径方向下方に延在する回転防止エレメント48(例えばブロック、ピン又はラグ)であって、周方向に互いに離間し、かつレール40に隣接して位置する回転防止エレメント48も含む。本方法は、例示的なノズルセグメント100を外側ケーシング17に結合するステップ202を含む。ノズルセグメント100は、半径方向に内側バンド104と外側バンド106の間に延在する1以上のノズルベーン102を含む。外側バンド106は、外側表面122と、外側表面122から半径方向外側に延在するフックシステム124とを含む。フックシステム124は、外側表面122から半径方向外側に延在し、かつ周方向に外側表面122を横断して延在する第1のフック126を含む。第1のフック126は、第1のフック126に画成されたスロット130を含む。スロット130は、少なくとも第1のスロット130a及び第2のスロット130bを含む。第1のスロット130a及び第2のスロット130bの各々は、周方向荷重面132と共に形成される。
【0037】
例示的な方法200では、レール40のレッジ46と係合する第1のフック126を用いて、ノズルセグメント100を外側ケーシング17に結合させる(ステップ202)。第1のフック126は、好適には、レッジ46と係合するように配向している。例示的な実施形態では、ノズルセグメント100を外側ケーシング17に結合する(ステップ202)ときに、第1のフック126は前方に(すなわち、ガスタービンエンジンの燃焼セクション18に向かって)向くように配向している。ノズルセグメント100のフックシステム124は、外側表面122から半径方向外側に延在し、かつ周方向に外側表面122を横断して延在する第2のフック128も含むことができる。ノズルセグメント100は、レール38のレッジ44と係合する第2のフック128を用いて、外側ケーシング17に結合させてもよい(ステップ202)。第2のフック126は、レッジ44と係合するように配向し得る。例えば、第2のフック128は、ノズルセグメント100を外側ケーシング17に結合する(ステップ202)ときに、後方(すなわち、前方とは逆向き)に向くように配向し得る。
【0038】
例示的な方法200は、第1のスロット130a及び第2のスロット130bの一方の周方向荷重面132を外側ケーシング17の回転防止エレメント48と係合させるステップ204又は206を含む。上述の通り、第1のフック126に画成されたスロット130は、回転防止エレメント構成の異なる外側ケーシング17を有する異なるモデルのガスタービンエンジン10にノズルセグメント100を結合(202)できるように構成されている。例示的な方法200では、第1の回転防止エレメント構成を有する第1の外側ケーシング17にノズルセグメント100を結合する(ステップ202)場合、方法200は、ノズルセグメント100を外側ケーシング17に結合する際に第1のスロット130a内に第1の外側ケーシング17の回転防止エレメント48を受け入れることを含んでおり、回転防止エレメント48が第1のスロット130aの周方向荷重面132と係合する(ステップ204)。回転防止エレメント48が第1のスロット130aの周方向荷重面132と係合する(ステップ204)ように、第1のタイプの外側ケーシング17にノズルセグメント100を結合する(ステップ202)場合、第2のスロット130bは第1の外側ケーシング17と係合しない。第2のスロット130bは、異なる第2の外側ケーシング17の回転防止エレメント48を受け入れるような寸法、形状及び配向を有する。第2の外側ケーシング17は、第1の外側ケーシング17の第1の回転防止エレメント構成とは異なる第2の回転防止エレメント構成を有する。
【0039】
例示的な方法200では、第2の回転防止エレメント構成を有する第2の外側ケーシング17にノズルセグメント100を結合する場合、方法200は、回転防止エレメント48が第2のスロット130bの周方向荷重面132と係合するように、第2のスロット130b内に外側ケーシング17の回転防止エレメント48を受け入れることを含む。回転防止エレメント48が第2のスロット130bの周方向荷重面132と係合する(ステップ206)ように、第2のタイプの外側ケーシング17にノズルセグメント100を結合する(ステップ202)場合、第1のスロット130aは第2の外側ケーシング17と係合しない。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1のフック126は、周方向荷重面132を含む第3のスロット130cを含んでいてもよい。第3のスロット130cは、外側ケーシング17の第2の回転防止エレメント48を受け入れるような寸法、形状及び配向を有する。そこで、これらの実施形態では、回転防止エレメント48が第1のスロット130aの周方向荷重面132と係合する(ステップ204)ように、第1の外側ケーシング17にノズルセグメント100を結合する(ステップ202)場合、第2のスロット130b及び第3のスロット130cは、第1の外側ケーシング17と係合しない。同様に、これらの実施形態では、回転防止エレメント48が第2のスロット130bの周方向荷重面132と係合206及び/又は回転防止エレメント48が第3のスロット130cの周方向荷重面132と係合する(ステップ206)ように、第2の外側ケーシング17にノズルセグメント100を結合する(ステップ202)場合、第1のスロット130aは第2の外側ケーシング17と係合しない。
【0041】
本明細書に記載の実施形態は、回転機械(例えばガスタービンエンジン)で使用するためのノズルセグメントに関する。例示的なノズルセグメントは、複数の異なるモデルの回転機械での使用に適している。特に、例示的なノズルセグメントは、回転機械の第1のモデルのタービンセクション内の支持体にノズルセグメントを結合するためのフックを含んでおり、フックは、異なるタイプの回転機械間で構成が異なる異なるタイプの支持体に例示的なノズルセグメントを結合できるようにする。例示的なノズルセグメントのフックには、回転防止エレメント構成の異なる外側支持体から延在する回転防止エレメント(例えばブロック、ピン又はラグ)を受け入れるように適合した複数のスロットが画成される。回転防止エレメントの構成は、ノズルセグメントを支持体に結合できるようにするため、スロット付フック構成と合致していなければならない。こうして、複数の異なる回転防止エレメント構成に合致する複数のスロットがフックに形成されている例示的なノズルセグメントは、同じノズルセグメントを回転機械の異なるモデルに結合できるようにする。例示的なノズルセグメントのスロット付フックは、各回転機械のタービンセクション内のノズルセグメントの周方向位置を維持し、各回転機械内のノズルセグメントの設置及び操作に関連するエラー、誤用及び/又は故障の機会を低減する。例示的なノズルセグメントは、ノズルセグメントとの使用するのに適した回転機械の数の順応性を高めるという追加の利点をもたらし、回転機械の組立て及び/又は修理に利用できるノズルセグメントの数を増やすことができる。例示的なノズルセグメントは、回転機械の組立て及び/又は修理に付随するダウンタイム及びメンテナンスコスト並びに回転機械で使用し得るノズルセグメントの製造に付随する材料コストの削減に役立つ。
【0042】
別途記載されてない限り、本明細書で用いられる「略」、「実質的に」及び「約」のような近似的文言は、それらによって修飾される用語が、当業者には明らかなように、絶対的又は完全な度合いではなく、専ら近似的な度合いに適用されることを示す。従って、「約」、「略」及び「実質的に」のような近似的用語は、記載された厳密な数値に限定されない。少なくとも幾つかの事例では、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。さらに、本願で用いられる「第1」、「第2」などの用語は、標識にすぎず、これらの用語が付されたものに順序、位置的又は階層的要件を課すものではない。さらに、例えば、「第2」のものについて言及する場合、「第1」又はさらに小さい番号のもの或いは「第3」又はそれを超える番号のものの存在を、必須とするものでも、除外するものでもない。
【0043】
単数形で記載したものであっても、前後関係から別途明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。「任意」又は「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象が起こる場合と起こらない場合とを包含する。さらに、「一実施形態」という場合、記載された特徴を備える追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈すべきではない。さらに、別途明示しない限り、ある特性を有する1以上の構成要素を「含む」又は「有する」実施形態は、その特性を有さない追加の構成要素を含んでいてもよい。
【0044】
以上の説明は例示にすぎず、開示した発明の技術的範囲を逸脱せずに、記載された実施形態に様々な変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。本発明の技術的範囲に属する変更は、本開示内容に照らして当業者には自明であり、かかる変更も特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【0045】
本開示技術のその他の態様を、以下の実施態様項に示す。
[実施態様項1]
タービンエンジンで使用するためのノズルセグメントであって、当該ノズルセグメントが、内側バンドと、内側表面及び内側表面と反対側の外側表面を含む外側バンドと、外側表面から半径方向外側に延在し、かつ周方向に外側表面を横断して延在するフックと、半径方向に内側バンドと外側バンドの間に延在する1以上のノズルベーンとを備えており、フックが、第1のタービンエンジン内の第1の支持体及び第2のタービンエンジン内の第2の支持体に選択的に結合するように配向しており、フックが、該フックに画成された複数のスロットを含んでいて、前記スロットの第1のものが第1の周方向荷重面を含んでおり、前記スロットの第2のものが第2の周方向荷重面を含んでおり、ノズルセグメントを第1のタービンエンジンに結合する場合、第1の周方向荷重面は、第1のタービンエンジン内の回転防止エレメントと係合するが、第2の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合せず、ノズルセグメントを第2のタービンエンジンに結合する場合、第2の周方向荷重面は、第2のタービンエンジン内の回転防止エレメントと係合するが、第1の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合しない、ノズルセグメント。
[実施態様項2]
当該ノズルセグメントが、内側バンドと外側バンドの間に延在する2以上のノズルベーンを含む、実施態様項1に記載のノズルセグメント。
[実施態様項3]
ノズルベーンが外側バンド及び内側バンドと一体に形成されている、実施態様項2に記載のノズルセグメント。
[実施態様項4]
当該ノズルセグメントを第1及び第2のタービンエンジンの各々に結合するとき、フックが前方に配向する、実施態様項1乃至実施態様項3のいずれか1項に記載のノズルセグメント。
[実施態様項5]
前記フックが第1のフックであり、当該ノズルセグメントが、外側表面から半径方向外側に延在する第2のフックを備えており、第2のフックが、第1のタービンエンジン内の第1の支持体及び第2のタービンエンジン内の第2の支持体に結合するように配向している、実施態様項1乃至実施態様項4のいずれか1項に記載のノズルセグメント。
[実施態様項6]
当該ノズルセグメントを第1及び第2のタービンエンジンの各々に結合するときに、第1のフックが前方に配向し、第2のフックが後方に配向する、実施態様項5に記載のノズルセグメント。
[実施態様項7]
タービンエンジンで使用するためのノズルセグメントであって、当該ノズルセグメントが、内側バンドと、内側表面及び内側表面と反対側の外側表面を含む外側バンドと、外側表面から半径方向外側に延在し、かつ周方向に外側表面を横断して延在する第1のフックと、半径方向に内側バンドと外側バンドの間に延在する一対のノズルベーンとを備えており、第1のフックが、タービンエンジン内の支持体に結合するように配向しており、複数のスロットが第1のフックに画成されていて、前記スロットの第1のものが第1の周方向荷重面を含んでおり、前記スロットの第2のものが第2の周方向荷重面を含んでおり、前記スロットの第3のものが第3の周方向荷重面を含んでおり、当該ノズルセグメントをタービンエンジンに結合するとき、第1の周方向荷重面、第2の周方向荷重面及び第3の周方向荷重面の少なくとも1つが回転防止エレメントと係合する、ノズルセグメント。
[実施態様項8]
前記タービンエンジンが、第1の回転防止エレメント構成を有する第1のタービンエンジンであり、当該ノズルセグメントを第1のタービンエンジンに結合するとき、第1の周方向荷重面は第1のタービンエンジン内の回転防止エレメントと係合するが、第2及び第3の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合しない、実施態様項7に記載のノズルセグメント。
[実施態様項9]
前記タービンエンジンが、第1の回転防止エレメント構成とは異なる第2の回転防止エレメント構成を有する第2のタービンエンジンであり、当該ノズルセグメントを第2のタービンエンジンに結合するとき、第2及び第3の周方向荷重面の少なくとも一方が第2のタービンエンジン内の回転防止エレメントと係合するが、第1の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合しない、実施態様項8に記載のノズルセグメント。
[実施態様項10]
前記スロットの第2及び第3のものが前記スロットの第1のものの両側にある、実施態様項7乃至実施態様項9のいずれか1項に記載のノズルセグメント。
[実施態様項11]
前記タービンエンジンが、第1の回転防止エレメント構成を有する第1のタービンエンジンであり、当該ノズルセグメントを第1のタービンエンジンに結合するとき、第1の周方向荷重面は第1のタービンエンジン内の回転防止エレメントと係合するが、第2及び第3の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合しない、実施態様項10に記載のノズルセグメント。
[実施態様項12]
前記タービンエンジンが、第1の回転防止エレメント構成とは異なる第2の回転防止エレメント構成を有する第2のタービンエンジンであり、当該ノズルセグメントを第2のタービンエンジンに結合するとき、第2及び第3の周方向荷重面の少なくとも一方が第2のタービンエンジン内の回転防止エレメントと係合するが、第1の周方向荷重面は回転防止エレメントと係合しない、実施態様項11に記載のノズルセグメント。
[実施態様項13]
前記スロットの第1及び第2のものが、各々、前記スロットの第3のものよりも長い周方向距離を有する、実施態様項10乃至実施態様項12のいずれか1項に記載のノズルセグメント。
[実施態様項14]
前記スロットの第1及び第2のものが実質的に等しい周方向距離を有する、実施態様項13に記載のノズルセグメント。
[実施態様項15]
第1のフックが、外側表面を横断して第1の周方向端部と第2の周方向端部の間の周方向距離を有しており、前記スロットの合計周方向距離が、第1のフックの周方向距離の約25%未満である、実施態様項7乃至実施態様項14のいずれか1項に記載のノズルセグメント。
[実施態様項16]
タービンエンジンを組み立てる方法であって、当該方法が、タービンエンジン内の支持体にノズルセグメントを結合するステップを含んでおり、ノズルセグメントが、内側バンドと、外側バンドと、半径方向に内側バンドと外側バンドの間に延在する1以上のノズルベーンとを含んでおり、外側バンドが、外側表面と、外側表面から半径方向外側に延在し、かつ周方向に外側表面を横断して延在するフックとを含んでおり、フックが、該フックに画成されたスロットを含んでいて、前記スロットの第1のものが第1の周方向荷重面を含んでおり、前記スロットの第2のものが第2の周方向荷重面を含んでおり、支持体にノズルセグメントを結合するステップが、フックを用いて支持体にノズルセグメントを結合すること、並びに第1の周方向荷重面を支持体の回転防止エレメントと係合させるが、第2の周方向荷重面は支持体と係合しないことと、第2の周方向荷重面を支持体の回転防止エレメントと係合させるが、第1の周方向荷重面は支持体と係合しないこととの一方を含んでいる、方法。
[実施態様項17]
前記フックが第1のフックであり、外側バンドが、外側表面から半径方向外側に延在し、かつ周方向に外側表面を横断して延在する第2のフックを含んでおり、支持体にノズルセグメントを結合するステップが、第1及び第2のフックを用いて支持体にノズルセグメントを結合することを含んでいる、実施態様項16に記載の方法。
[実施態様項18]
前記フックのスロットの第3のものが第3の周方向荷重面を含んでおり、支持体にノズルセグメントを結合するステップが、第1の周方向荷重面を支持体の回転防止エレメントと係合させるが、第2及び第3の周方向荷重面は支持体と係合しないことと、第2及び第3の周方向荷重面の少なくとも1つを支持体の回転防止エレメントと係合させるが、第1の周方向荷重面は支持体と係合しないこととの一方を含んでいる、実施態様項16に記載の方法。
[実施態様項19]
第1のタービンエンジン及び第2のタービンエンジン内でノズルセグメントを交換するためのキットであって、第1のタービンエンジンが、第2のタービンエンジンとは異なるモデルであり、当該キットが、内側バンド、外側バンド及び半径方向に内側バンドと外側バンドの間に延在する1以上のノズルベーンを含むノズルセグメントを含んでおり、外側バンドが、外側表面と、外側表面から半径方向外側に延在するフックとを含んでおり、フックが、第1のタービンエンジン内の支持体及び第2のタービンエンジン内の支持体に選択的に結合するように配向しており、フックが、周方向に外側表面を横断して延在しているとともに、該フックに画成された複数のスロットを備えており、前記スロットの第1のものが、ノズルセグメントを第1のタービンエンジンに結合できるようにし、前記スロットの第2のものが、ノズルセグメントを第2のタービンエンジンに結合できるようにする、キット。
[実施態様項20]
第1のタービンエンジンが第1のエンジン製造業者によって製造され、第2のタービンエンジンが、第1のエンジン製造業者とは異なる第2のエンジン製造業者によって製造される、実施態様項19に記載のキット。
【0046】
本開示技術の様々な実施形態の特定の特徴が、ある図面には記載され、他の図面には記載されていないこともあるが、これは便宜上のものにすぎない。開示の原則に則して、ある図面に記載された特徴は、他の図面に記載されたいかなる特徴との組合せとして参照及び/又は特許請求の範囲に記載することができる。
【0047】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲と文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と非本質的な差しかない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0048】
10 ガスタービンエンジン
12 圧縮機セクション
17 外側ケーシング
18 燃焼セクション
22 タービンセクション
38,40 レール
44,46 レールのレッジ
48 回転防止エレメント
100 ノズルセグメント
102 102
104 内側バンド
106 外側バンド
120 外側バンドの内側表面
122 外側バンドの外側表面
124 フックシステム
126 第1のフック
128 第2のフック
130 スロット
132 周方向荷重面
134 第1の周方向端部
136 第2の周方向端部
【外国語明細書】