(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109531
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】医薬品バイアルのための係止キャップの二重射出成形ハウジング
(51)【国際特許分類】
B65D 51/00 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
B65D51/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024008477
(22)【出願日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】2300929
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505003193
【氏名又は名称】アー レイモンド エ シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソフィアン ハマデン
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA32
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB08
3E084DC03
3E084EA02
3E084EC03
3E084FD02
3E084GA08
3E084GB12
3E084HA10
3E084HC03
3E084KB01
3E084LB02
(57)【要約】
【課題】医薬品バイアルのための係止キャップの二重射出成形ハウジングの提供。
【解決手段】本発明は、医薬品バイアルのための係止キャップの二重射出成形ハウジングであって、- 上部リングと、その上端が上部リングに堅固に接続される脚部と、脚部の下端を対で接続するブリッジであって、少なくともいくつかのブリッジが、バイアルのフランジの下に係合するように意図された可撓性タブを備える、ブリッジと、を形成する第1の材料と、から構成され、- 可撓性タブがフランジの下に係合したときにバイアルを封止するように構成されたストッパを形成する第2のエラストマー材料と、第1の材料で作られた上部リングの少なくとも1つの内面が、第2の材料で作られたストッパに堅固に接続されている、二重射出成形ハウジングに関する。
【選択図】
図2c
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品バイアルのための係止キャップ(100)の二重射出成形ハウジング(20)であって、
- 上部リング(21)と、上端が前記上部リング(21)に堅固に接続される脚部(22)と、前記脚部(22)の下端を対で接続するブリッジ(23)であって、少なくともいくつかのブリッジ(23)が、前記バイアル(200)のフランジ(202)の下に係合するように意図された可撓性タブ(24)を備える、ブリッジ(23)と、を形成する第1の材料と、
- 前記可撓性タブ(24)が前記フランジ(202)の下に係合したときに前記バイアル(200)を封止するように構成されたストッパ(25)を形成する第2のエラストマー材料と、から構成され、
前記第1の材料で作られた前記上部リング(21)の少なくとも1つの内面が、前記第2の材料で作られた前記ストッパ(25)に堅固に接続されている、二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項2】
前記ストッパ(25)が、前記バイアル(200)の首部(201)に挿入されるように寸法決めされた基部(252)と、前記上部リング(21)の内面に堅固に接続され、有利には、各脚部(22)の内面の一部にも堅固に接続された頭部(251)と、を備える、請求項1に記載の二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項3】
前記基部(252)が、略円筒形状を有し、前記基部(252)の円筒壁に、前記円筒壁の自由端側に開口する窓(252f)を備える、請求項2に記載の二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項4】
前記基部(252)が、V字形の輪郭を有し、スロットが配置された矩形の自由端(252b)を備える、請求項2に記載の二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項5】
前記ストッパ(25)が、前記上部リング(21)の内面に堅固に接続され、有利には、各脚部(22)の内面の一部にも堅固に接続された頭部(251)のみからなる、請求項1に記載の二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項6】
前記ストッパ(25)の前記頭部(251)が、中心孔を画定する前記上部リング(21)の外面(21a)と面一になるまで、前記上部リング(21)の前記中心孔内に延在する、請求項2~5のいずれか一項に記載の二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項7】
前記ストッパ(25)の前記基部(252)が、略円筒形状を有し、窪んでおり、前記ハウジング(20)の主軸(z)に沿って通過される前記頭部(251)の中心厚さを制限するように前記頭部(251)内にも延在する空洞を備える、請求項2に記載の二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項8】
前記ストッパ(25)の前記頭部(251)が、前記上部リング(21)及び/又は前記脚部(22)の前記内面上に画定された少なくとも1つの肩部(Ev2)及び少なくとも1つの凹部(Ev2、Ev2’)に相補的な少なくとも1つの凹部(Ev1)及び少なくとも1つの肩部(Ep1、Ep1’)を備える、請求項2に記載の二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項9】
前記第1の材料が、ポリカーボネートで作られる、請求項1に記載の二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項10】
前記第2の材料が、シリコーン及び熱可塑性エラストマー材料の中から選択される、請求項1に記載の二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項11】
前記第2の材料が、20ショアA~45ショアAの硬度を有する、請求項1に記載の二重射出成形ハウジング(20)。
【請求項12】
医薬品バイアルのための係止キャップ(100)であって、
- 請求項1に記載の二重射出成形ハウジング(20)と、
- 前記ハウジング(20)を取り囲み、前記ハウジング(20)に固定された外側本体(30)であって、前記外側本体(30)の上面(31)に開口部を備え、前記開口部が、前記ハウジング(20)の前記上部リング(21)の中心孔を中心として取り囲む、外側本体(30)と、
- 前記開口部を閉鎖し、前記ストッパ(25)へのアクセスを防止するために、前記外側本体(30)の上面(31)上に保持されたカプセル(40)と、を備える、係止キャップ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首部を備えるバイアルのための係止キャップに関し、当該キャップは、首部又はバイアルのフランジ上のストッパをブロックするように意図されている。本発明は、特に、当該キャップの一部を形成し、ストッパの機能を統合するように2つの材料から形成された二重射出成形ハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
医療又は薬学的使用のためのバイアルは、通常、特許文献1明細書又は特許文献2明細書に記載され、
図1a及び
図1bに示されるように、係止キャップによって当該バイアル上に固定されるエラストマー材料製のキャップによって封止される。係止キャップ100’は、外側本体30、ハウジング20’及び上部カプセル40を備える。ストッパ10’の基部11は、バイアル200の首部201内に押し込まれ、バイアルのフランジ202の下で把持されるハウジング20’によってこの位置に押圧されて保持される。外側本体30は、ハウジング20’に固定され、ハウジング20’へのいかなるアクセスも防止し、したがってバイアル200の閉鎖を確実にする。上部カプセル40は、ストッパ10’へのアクセスを可能にし、例えば注射器を使用してバイアル200内に収容された医薬溶液の収集を可能にするために取り外し可能である。ストッパ10’へのアクセスを可能にするために、係止キャップ100’の外側本体30及びハウジング20’は各々、それらのそれぞれの上面に開口部を備え、開口部は、カプセル40が取り外されるまでカプセル40によって閉鎖される。
【0003】
ストッパ10’と共にバイアル200に取り付けられる前に、係止キャップ100’は、単独で提供されてもよく、又はストッパ10’と関連付けられてもよい。ハウジング20’は、上部リングと、上部リングに接続され、上部リングと共に略円筒形状を画定する複数の脚部と、を備え、ハウジング20’はまた、各々が2つの隣接する脚部を接続する複数のブリッジを備える。いくつかのブリッジは、可撓性で、ハウジング20’の内側に向かって、上部リングの方向に、脚部に対して傾斜したタブ24’と当接する。これらのタブ24’は、ストッパ10がキャップ100’に接続されるときに、上部リング21に対してハウジング20’の内側でストッパ10をブロックするように意図されている。タブ24’は、当該ストッパ10’がハウジング20’内に導入されるときにストッパ10’の頭部12が通過することを可能にするように屈曲し、ストッパ10が当該ハウジング20’から引き抜かれることを防止するために頭部12の下でブロックされるようになる。
【0004】
このプラグ-ハウジングの関連付けに関連するリスクは、タブ24’がその潜在的に突出した縁部に起因してストッパ10’のエラストマー材料を損傷することである。
【0005】
別の欠点は、プラグ10’の寸法の公差、又は供給業者ごとのプラグ10’の寸法若しくは硬度の変動が、係止キャップのハウジング20’によるバイアルのフランジ202に対するストッパ10’の圧縮を変更し、したがってクロージャの封止に影響を及ぼす可能性があるという事実による可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2464577(A1)号
【特許文献2】仏国特許出願公開第3098504(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、述べられた問題の全部又は一部を改善することを目的とする解決策を提案する。本発明は、2つの異なる材料から構成され、ストッパの機能を統合する、係止キャップのための二重射出成形ハウジングに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、医薬品バイアルのための係止キャップの二重射出成形ハウジングであって、
- 上部リングと、その上端が上部リングに堅固に接続された脚部と、脚部の下端を対で接続するブリッジであって、少なくともいくつかのブリッジが、バイアルのフランジの下に係合するように意図された可撓性タブを備える、ブリッジと、を形成する第1の材料と、
- 可撓性タブがフランジの下に係合したときにバイアルを封止するように構成されたストッパを形成する第2のエラストマー材料と、から構成され、
第1の材料で作られた上部リングの少なくとも1つの内面は、第2の材料で作られたストッパに堅固に接続されている、二重射出成形ハウジングに関する。
【0009】
本発明の有利で非限定的な特徴によれば、個々に又は任意の技術的に実行可能な組み合わせにおいて、
- ストッパは、バイアルの首部内に挿入されるような寸法決めされた基部と、上部リングの内面に堅固に接続され、有利には、各脚部の内面の一部にも堅固に接続された頭部と、を備え、
- 基部は、略円筒形状を有し、その円筒壁に、その自由端側に開口する窓を備え、
- 基部は、V字形状を有し、スロットが配置された矩形の自由端を備え、
- ストッパは、上部リングの内面に堅固に接続され、有利には、各脚部の内面の一部にも堅固に接続された頭部のみからなり、
- ストッパの頭部は、中心孔を画定する上部リングの外面と面一になるまで、当該リングの中心孔内に延在し、
- ストッパの基部は、略円筒形状を有し、窪んでおり、ハウジングの主軸に沿って通過する頭部の中心厚さを制限するように頭部内にも延在する空洞を備え、
- ストッパの頭部は、上部リング及び/又は脚部の内面上に画定された少なくとも1つの肩部及び少なくとも1つの凹部と相補的な少なくとも1つの凹部及び少なくとも1つの肩部を備え、
- 第1の材料はポリカーボネート製であり、
- 第2の材料は、シリコーン及び熱可塑性エラストマー材料の中から選択され、
- 第2の層は、20ショアA~45ショアAの硬度を有する。
【0010】
本発明はまた、医薬品バイアルのための係止キャップであって、
- 上記のような二重射出成形ハウジングと、
- ハウジングを取り囲み、ハウジングに固定された外側本体であって、外側本体は、その上面に開口部を備え、当該開口部は、ハウジングの上部リングの中心孔を中心とし、中心孔を取り囲む、外側本体と、
- 開口部を閉鎖し、ストッパへのアクセスを防止するために外側本体の上面に保持されたカプセルと、を備える、係止キャップに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1a】
図1aは、従来技術による、中間保持位置(a)におけるバイアル上の係止キャップを示す。
【
図1b】
図1bは、従来技術による、係止位置(b)におけるバイアル上の係止キャップを示す。
【
図2a】
図2aは、本発明による係止キャップの全部又は一部を示す斜視図(a)である。
【
図2b】
図2bは、本発明による係止キャップの外側本体及びカプセルのみを含む断面図(b)である。
【
図2c】
図2cは、本発明による二材料ハウジングのみを含む斜視図(c)である。
【
図3a】
図3aは、本発明による二材料ハウジングの第1の変形例を示す側面図(a)である。
【
図3b】
図3bは、本発明による二材料ハウジングの第1の変形例を示す断面図(b)である。
【
図4】
図4は、下からの斜視図で見た、本発明による二材料ハウジングの第2の変形例を示す。
【
図5】
図5は、側面からの斜視図で見た、本発明による二材料ハウジングの第3の変形例を示す。
【
図6】
図6は、本発明による二材料ハウジングの一部の第4の変形例を示す図であり、斜視図は、その形状の視認を容易にするためにハウジングのストッパのみを含む。
【0012】
図中の同じ参照番号は、同じタイプの要素に対して使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、首部を有するバイアル200用の係止キャップ100に関する。バイアル200は、従来技術の
図1a及び
図1bに示されるように、円形開口部の首部201を有し、首部201の外周に対して広がったカラー202で終端する。医薬用途の分野では、バイアル200の首部201の内径に関して規格があり、13mm及び20mmがこの例である。キャップ100は、当該バイアル200を密封するために、首部201内で、又はフランジ202に対してストッパ25をブロックするように意図されている。
【0014】
係止キャップ100は、バイアル200と関連付けられると、それ自体知られているように、当該バイアル上で2つの位置をとることができ、第1の位置は、中間保持位置と呼ばれ、
図1aの図と同様に取り外し可能なままである。また、係止位置と呼ばれる第2の位置をとることもでき、係止位置では、
図1bの図と同様にバイアル200上に係止され、バイアル200を密封する。
【0015】
係止キャップ100は、カプセル40と、外側本体30と、ハウジング20とを備える(
図2a、
図2b、
図2c)。従来技術の係止キャップに対する係止キャップ100の独自性は、そのハウジング20に由来する。これは、上部リング21と、その上端が上部リング21に堅固に接続された脚部22と、脚部22の下端を2つずつ接続するブリッジ23とを画定する第1の材料から形成される。これらの要素は、ハウジング20に、主軸zを中心とする略円筒形状を与える。上部リング21は、通常は円形の外面21aによって画定された中心孔を有する。
【0016】
図2cに見られるように、少なくともいくつかのブリッジ23は、可撓性であり、上部リング21の方向に20°~60°、有利には約30°の角度で、脚部22に対してハウジング20の内側に向かって傾斜するタブ24を備える。これらのタブ24は、キャップ100が中間保持位置にあるとき、フランジ202の上方に留まり、わずかに持ち上げられるか、又はフランジと接触する。それらは、キャップ100が係止位置にあるとき、バイアル200の首部201のフランジ202の下を当接するように意図されている。
【0017】
ハウジング20は、可撓性タブ24がフランジ202の下で把持されたとき、すなわちバイアル上のキャップ100の係止位置において、バイアル200を封止するように構成されたストッパ25を画定する第2の材料、エラストマーで更に形成される。第1の材料で作られた上部リング21の少なくとも1つの内面(すなわち、ハウジングの内部に向けられた面)は、第2の材料で作られたストッパ25に堅固に接続される。有利には、
図3a、
図3b、
図5に示すように、上部リング21の内面に加えて、脚部22の内面の一部もストッパ25に堅固に接続される。
【0018】
以下に説明するように、二材料ハウジング20は、プラスチックの二重射出成形によって形成される。
【0019】
第1の変形例(
図3a、
図3b)によれば、ハウジング20のストッパ25は、バイアル200の首部201に入って閉鎖するようにサイズ決めされた略円筒形状の基部252を備える。ストッパ25はまた、上部リング21の内面に固定され、好ましくは各脚部22の内面の一部に堅固に接続された頭部251を備える。
【0020】
一例として、首部201の内径が13mmである従来のバイアル200の場合、基部252の直径は13.2mmであり得る。基部252が係止位置で首部201内に完全に押し込まれると、頭部251は、あるレベルの圧縮でバイアル200のフランジ202上に当接されて保持され、クロージャの封止に関与する。基部252は、主軸zに沿って、例えば2.5mm~7.5mmの異なる長さを有することができる。
【0021】
第2の変形例(
図4)によれば、ストッパ25はまた、基部252及び頭部251を備え、後者は、上部リング21の内面に堅固に接続され、有利には、各脚部22の内面の一部にも堅固に接続される。
【0022】
この変形例は、バイアル200の内容物が封止前に凍結乾燥されることが意図されている場合に特に適している。実際、ストッパ25の基部252は、その円筒壁に、その自由端側に開口する窓252fを有し、当該基部252が首部201内に完全に押し込まれない限り、すなわち係止キャップ100の中間保持位置にある限り、バイアル200の内側から外側への蒸発器の流れの通過を可能にする。任意選択的に、少なくともこの窓252fの反対側のブリッジ23は、蒸発流を更に容易にするように、開放空間を含み得る。例えば、開放空間は、特許文献2明細書において提案されているものと同様であってもよい。ハウジング20の少なくとも1つのブリッジ23内に開放空間を配置することからなる選択肢はまた、係止キャップ100が中間保持位置にある状態でバイアル200の内容物を凍結乾燥させるために提供されるとき、後述する第1の変形例又は第3の変形例の範囲内で実施することができることに留意されたい。
【0023】
第3の変形例によれば、ストッパ25は、基部252を有さず、頭部251のみを備える。頭部251は、上部リング21の内面に堅固に接続され、有利には、
図5に示すように、各脚部22の内面の一部にも堅固に接続される。
【0024】
この構成では、封止を確実にするのは、キャップ100の係止位置におけるバイアル200のフランジ202に対する頭部251の圧縮のみである。
【0025】
第4の変形例(
図6)によれば、ストッパ25は、頭部251と、V字形の輪郭を有する基部252と、を備える。ストッパ25の視認を容易にするためにハウジング20の他の要素(リング21、脚部22、ブリッジ23、タブ24)が
図6に示されていない場合でも、それらは明らかにこの変形例によるハウジング20の一部であり、頭部251はここでも上部リング21の内面に堅固に接続され、有利には、各脚部22の内面の一部に堅固に接続される。基部252の自由端252bは矩形であり、スロットを備え、係止キャップ100の全部又は一部を取り外した後に、例えばピペットを挿入してバイアル200内に収容された溶液をサンプリングすることができる。基部252の特定の構成は、ピペットが取り外されるときに封止を維持することを可能にする。
【0026】
上述した様々な変形例において、バイアル200の封止は、基部252を首部201に挿入し(基部が存在する場合)、ハウジング20のタブ24がフランジ202の下で把持されるときにストッパ25の頭部251を当該フランジ202に対して圧縮することによって確実にされる。したがって、ハウジング20の上部リング21に沿った頭部251の厚さ(主軸zに沿った)は、キャップ100の係止位置においてフランジ202に沿った厚さであり、タブ24の位置決めによって正確に調整されなければならない。ストッパ25の頭部251を形成する第2の材料の硬度も重要なパラメータである。頭部251の厚さ及び硬度は、バイアル200のフランジ202の厚さ公差を吸収することができなければならず、また、ハウジング20の上部リング21は、フランジ202に対して頭部251を圧縮させ、タブ24が当該フランジの下で把持されたときに封止を保証することを確実にしなければならない。
【0027】
有利には、第2の材料の硬度は、20ショアA~45ショアAである。
【0028】
したがって、二材料ハウジング20の特徴は、バイアル200を封止するストッパ25と、バイアル200上に当該キャップを係止するための部材との2つの機能をハウジング20に与える。
【0029】
上述したように、ハウジング20の第1の材料及び第2の材料は、二重射出され、すなわち、二重射出成形又は二材料プラスチック射出成形の既知の方法から製造される。このような方法は、異なる特性を有する2つの材料から構成される部品(ハウジング20)を単一の工具を用いて単一のプレス上で製造することを可能にする。
2つの材料が二重射出されるという事実は、ハウジング20を構成する様々な要素、すなわちストッパ25と、他方では上部リング21、脚部22、ブリッジ23及びタブ24との間の寸法の完全な調整及び優れた固定を保証する。
【0030】
第2の材料は、シリコーン又は熱可塑性エラストマー材料(TPE)、低い抽出性輪郭を有する(すなわち、バイアル200内に収容された医薬溶液に移動する可能性がある成分がほとんど又は全くない)材料から選択され得る。第1の材料は、その機械的強度により、ポリカーボネートであることが有利である。第1の材料と第2の材料との間の固定は、化学的及び/又は機械的性質のものであってもよい。使用される2つの材料が、二重射出成形中に互いに接着することができる場合、それは化学的性質のものである。一般に、機械的固定は、接触している2つの材料の表面に保持手段及び相補的なノッチを画定することによって(固定への化学的寄与を伴って又は伴わずに)実施される。典型的には、ストッパ25の頭部251は、上部リング21の内面又は脚部22の内面に画定された少なくとも1つの第2の肩部Ep2及び少なくとも1つの第2の凹部Ev2、Ev2’に相補的な、少なくとも1つの第1の凹部Ev1及び少なくとも1つの第1の肩部Ep1、Ep1’を備える(
図3a、
図3b)。凹部及び肩部は、
図6に見られるように、円形であってもよく、又は接触する面上に局所的にのみ延在してもよい。
【0031】
有利には、ストッパ25の頭部251は、当該リング21の外面21aが面一になるまで(
図2c、
図3b)、上部リング21の中心孔内に延在する。頭部251の上面251aは、主軸zに沿って外面21aと同じ高さにあるので、中心孔内の液体又は粒子のための保持ゾーン、すなわち、最新技術の係止キャップ内に存在する保持ゾーンZRは存在しない(
図1a及び
図1b)。このような領域は、上部リング21の中心孔において、ストッパ25を通して収集針を挿入することによってバイアル200の内容物が除去されるとき、汚染の問題を引き起こす可能性がある。
【0032】
また、有利には、ストッパ25の基部252(存在し、略円筒形状を有する場合)は、くり抜かれ、特に当該頭部251の上面251aが上部リング21の外面21aと面一である場合、サンプル収集注射器によって主軸zに沿って通過される中心厚さを制限するように、頭部251内に延在することもできる空洞を備える(
図3b)。通過されるべきこの中心厚さは、従来技術のストッパの通過されるべき通常の厚さ(典型的には1mm~5mm)と同一であることが意図され、その結果、使用者は、ストッパ及び/又は係止キャップのタイプにかかわらず、収集中に差を知覚しない。
【0033】
したがって、係止キャップ100は、前述した二重射出成形ハウジング20、並びに外側本体30及びカプセル40を備える。外側本体30は、キャップ100が容器20を係止したときに外部からハウジング20へのいかなるアクセスも防止するように、当該ハウジング200を完全に取り囲むように構成される。外側本体30は、略円筒形状を有する。これは、上面31と主軸zを中心とする円筒壁32とによって画定される(
図2b)。円筒壁32の自由端は、バイアル200の首部201上にキャップ100を位置決めする前に、ハウジング20を収容するように適合された開口部を画定する。上部開口部と呼ばれる別の開口部が上面31に設けられている。
外側本体30は、例えば、本体30の円筒壁32の内面に配置された相補的な溝321とラグ221との協働によって、ハウジング20に取り付けられる(
図2b、
図2c)。上部開口部は、ハウジング20の上部リング21の中心孔を中心とし、それを取り囲む。
【0034】
カプセル40は、外側本体30の上面31に保持され、上部開口部を閉鎖し、ストッパ25の頭部251へのアクセスを防止する。
図2bに示すように、カプセル40は、本体30の上部開口部に配置された複数のタブ41を備えてもよい。次いで、これらのタブ41は、上面31の内面に対して押圧されるように、すなわち実質的に平面(x,y)内に延在するように変形される。カプセル40は、成形によって本体30に取り付けることができる。このステップの後、ハウジング20を本体30に挿入して、ラグ221と相補的な溝321との協働によって本体30に軸方向に固定することができる。このように組み立てられた係止キャップ100は、次いで、中間保持位置に配置され、次いで、封止されるバイアル200上の係止位置に配置され得る。
【0035】
外側本体30及びカプセル40は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)などの材料で作られてもよい。有利には、カプセル40は、把持をより容易にするために、ポリプロピレン(PP)などの可撓性プラスチック材料から形成される。実際、使用者が係止キャップ100によって封止されたバイアル200の内容物を取り出したい場合、使用者はカプセル40に力を加えてカプセル40を取り外し、本体30の上部開口部を介してストッパ25にアクセスすることが想起される。
【0036】
本発明による係止キャップ100の特徴によって、特に、二重機能を有する二重射出成形ハウジング20の特徴によって、キャップ100を形成するために組み立てられる要素の数が制限され、要素間、特に独立したストッパと従来のハウジングとの間の寸法の不確実性又は変動性に関する問題が解決され、最後に、従来のハウジングにおけるキャップの機械的関連付けによって、キャップを損傷する欠点及びリスクが排除される。
【0037】
当然ながら、本発明は、説明された実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、変形実施形態をそれに追加することができる。