IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109537
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】生命体の感知方法と装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/52 20060101AFI20240806BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240806BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20240806BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240806BHJP
   G01V 3/12 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G01S13/52
A61B5/11 110
A61B5/113
A61B5/00 102A
A61B5/00 102C
G01V3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024011844
(22)【出願日】2024-01-30
(31)【優先権主張番号】202310108188.0
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】リ・ホォンチュヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ・チエヌ
(72)【発明者】
【氏名】シエ・リリ
(72)【発明者】
【氏名】ティアン・ジュン
【テーマコード(参考)】
2G105
4C038
4C117
5J070
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB15
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE01
2G105FF04
2G105FF13
2G105GG03
2G105HH01
2G105JJ05
4C038VA04
4C038VB32
4C038VB33
4C038VC20
4C117XA03
4C117XA04
4C117XA05
4C117XB04
4C117XC01
4C117XD22
4C117XE41
4C117XE52
5J070AB24
5J070AC02
5J070AH19
5J070AH34
5J070AH35
5J070BA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、生命体の感知方法と装置を提供する。
【解決手段】かかる感知方法は、レーダー検出範囲内のレーダー信号を取得し;前記レーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;及び、判断結果が「前記所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると確定することを含み、前記レーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、異なる距離での前記レーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することを含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生命体を感知する装置であって、
レーダー検出範囲内のレーダー信号を取得する取得ユニット;
前記レーダー信号に基づいて、所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する判断ユニット;及び
前記判断ユニットの判断結果が「前記所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると確定する確定ユニットを含み、
前記判断ユニットは、
異なる距離での前記レーダー信号の相関性に基づいて、所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する第一判断ユニットを含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第一判断ユニットは異なる距離での前記レーダー信号の相関性に基づいて、所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値を計算し;
前記レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値と、他の距離でのレーダー信号の信号差の絶対値との相関係数を計算し;及び
前記所定距離範囲内の前記相関係数の最大値が第四閾値よりも小さく、又は、前記所定距離範囲の参照距離範囲内の前記相関係数の最大値が前記所定距離範囲内の前記相関係数の最大値よりも大きい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記判断ユニットはさらに、
前記レーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する第二判断ユニット;
前記レーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する第三判断ユニット;及び
前記レーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する第四判断ユニット
のうちの少なくとも1つを含み、
前記確定ユニットは、前記第一判断ユニットの判定結果が「前記所定距離範囲内に生命体が存在する」であり、かつ前記第二判断ユニット、前記第三判断ユニット及び前記第四判断ユニットのうちの少なくとも1つの判断結果が「前記所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると確定する、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記第二判断ユニットはレーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の変動又は相対変動を計算し;
前記レーダー信号の変動又は相対変動に対してフィルタリングを行い;
前記所定距離範囲内のフィルタリング前信号とフィルタリング後信号との比を計算し;及び
前記比のうちの最大値が第一閾値よりも小さい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記レーダー信号の変動は前記レーダー信号の振幅の標準偏差又は平均差であり、
前記レーダー信号の相対変動は前記レーダー信号の変動と振幅との比である、装置。
【請求項6】
請求項3に記載の装置であって、
前記第三判断ユニットはレーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差を計算し;
前記所定距離範囲内のすべての所定距離での所定期間内のレーダー信号の信号差に対して周波数スペクトル分解を行い;
前記所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の、生命体の呼吸周波数範囲内の最大エネルギーと、ノイズエネルギーとの比を計算し;及び
前記比のうちの最大値が第二閾値よりも小さい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記ノイズエネルギーはノイズ周波数範囲内のエネルギーの平均値又は最大値である、装置。
【請求項8】
請求項2又は6に記載の装置であって、
前記レーダー信号の信号差は現在の時刻のレーダー信号と1つ前の時刻のレーダー信号との振幅差又は位相差である、装置。
【請求項9】
請求項3に記載の装置であって、
前記第四判断ユニットはレーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の振幅差及び位相差を計算し;
前記所定距離範囲内のすべての所定距離での所定期間内のレーダー信号の振幅差及び位相差の相関係数を計算し;及び
前記所定距離範囲内の前記相関係数の絶対値の平均値が第三閾値よりも大きい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
前記レーダー信号の振幅差は現在の時刻のレーダー信号と1つ前の時刻のレーダー信号との振幅差であり、
前記レーダー信号の位相差は現在の時刻のレーダー信号と1つ前の時刻のレーダー信号との位相差である、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生命体検出の技術分野に関し、特に、生命体の感知方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の生活の品質への要求が高まるにつれて、新しい応用(application)が人々のニーズを満たすようにあらゆる分野で積極的に開発されている。そのうち、多くの応用、例えば、健康監視、スマートホーム、セキュリティ監視などが生命体(例えば、人間)を中心としたものである。
【0003】
生命体が人間であることを例にとると、監視範囲内に人間がいるかの判断はこれらの応用の基本タスクである。例えば、監視のシーンに人間がいると確定した後に、後続の処理又は判断を行うことができ、例えば、その生理学的指標をさらに測定して健康状態を取得し、又は、その行為・動作の判断結果が「転んだ」などの事故であるかを監視し、又は、その身元の判定結果が侵入者であるかを確定するなどである。
【0004】
図1は健康監視のシーンにおける人物(人員)の検出を示す図である。図1に示すように、人間が存在することを検出した場合に、人物のポジショニング(位置決め)を行うことで、生理学的指標の測定及び/又は転倒の検出を行うことができる。図2はスマートホームのシーンにおいて人物の検出を行うことを示す図である。図2に示すように、人間が存在することを検出した場合に、該シーンにおけるライトをオンにし、また、人間が存在しないことを検出した場合に、該シーンにおけるライトをオフにする。図3はセキュリティ監視のシーンで人物の検出を行うことを示す図である。図3に示すように、人間が存在することを検出した場合に、人物の識別(認識)を行うことで侵入者の検出を行うことができる。
【0005】
今のところ、人物を検出する機能を実現し得る方法が多くあり、例えば、ビデオ又は画像に基づく人物検出、ウェアラブルデバイスに基づく人物検出、ミリ波レーダーに基づく人物検出などが存在する。しかし、既存の検出方法には幾つかの欠点がある。
【0006】
例えば、ビデオ又は画像に基づく人物検出では、カメラヘッドを使用してビデオ又は画像のキャプチャを行う必要があり、これは他人のプライバシーを著しく侵害する恐れがあるため、プライベートな場所、例えば、寝室、トイレなどに適用できず、また、照明条件が悪く、遮蔽物がある場合にも使用できない。
【0007】
また、例えば、ウェアラブルデバイスに基づく人物検出では、ウェアラブルデバイスが無線ポジショニングの方式で人物感知機能を提供可能であるが、このような方法は、個別のデバイスの着用が要され、かつ頻繁に充電する必要があるため、ユーザにより受け入れられ難い。
【0008】
また、例えば、ミリ波レーダーに基づく人物検出では、ミリ波レーダーを用いて生命体感知を行うときに、デバイスの着用が要されず、光の無い場所や一部遮蔽された場所でワーキングでき、また、他人のプライバシーをも侵害しないが、このような方法は、静的(静止した)目標(ターゲット)に対しての感知能力が比較的低く、有効検出面積が比較的小さく、また、微小な動きをもつ目標から人間を区別できない。
【0009】
図4はミリ波レーダーに基づく動いている人物の有無の検出を示す図である。該方法は点群を使用して移動中の人間の追跡を行い、具体的には、図4に示すように、該方法は点群クラスタリングにより人間の存在を検出し得るが、該方法は人間移動時にのみ有効であり、静的目標に対しての感知能力が比較的低い。図5はミリ波レーダーに基づく静的人物の有無の検出を示す図である。該方法はレーダー信号の変動を利用して静的人物の検出を行い、具体的には、図5に示すように、人間の胸の動き(例えば、呼吸)によって比較的大きな信号分散が生じ、該方法は該信号分散に基づいて人間の存在を検出できるが、該方法の有効検出面積は比較的小さく、図6に示すように、目標がレーダーから非常に遠く、又は、レーダーの有効検出領域外にあるときに、該方法は該目標を検出できず、目標検出率が比較的低く、また、該方法は微小な動きをもつ目標から人間を区別できず、図7に示すように、人間及び微小な動きをもつ目標(例えば、カーテン)について言えば、レーダーデータの特性が類似しているため、微小な動きをもつ目標から人間を区別できなくなる。
【0010】
なお、上述の背景技術についての紹介は、本発明の技術案を明確かつ完全に説明し、また、当業者がそれを理解しやすいためのものである。これらの技術案は、本発明の背景技術に記述されているため、当業者にとって周知であると解釈してはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の問題に鑑み、本発明の目的は、ミリ波レーダーを使用して所定距離範囲内で静的人物(静止した人物)の有無の検出を行うことができる生命体の感知方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施例の一側面によれば、生命体の感知装置が提供され、前記装置は、
レーダー検出範囲内のレーダー信号を取得する取得ユニット;
前記レーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する判断ユニット;及び
前記判断ユニットの判断結果が「前記所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると確定する確定ユニットを含み、
そのうち、前記判断ユニットは、
異なる距離での前記レーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する第一判断ユニットを含む。
【0013】
幾つかの実施例において、前記第一判断ユニットは異なる距離での前記レーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値を計算し;
前記レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値と、他の距離でのレーダー信号の信号差の絶対値との相関係数(correlation coefficient)を計算し;
前記所定距離範囲内の前記相関係数の最大値(Cneighbor)が第四閾値よりも小さく、又は、前記所定距離範囲の参照距離範囲内の前記相関係数の最大値(Cref)が前記所定距離範囲内の前記相関係数の最大値(Cneighbor)よりも大きい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む。
【0014】
幾つかの実施例において、前記判断ユニットはさらに、以下のもののうちの少なくとも1つを含み、即ち、
前記レーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する第二判断ユニット;
前記レーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する第三判断ユニット;及び
前記レーダー信号の振幅及び位相の相関性(correlation)に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する第四判断ユニット
であり、
前記確定ユニットは、前記第一判断ユニットの判定結果が「前記所定距離範囲内に生命体が存在する」であり、かつ前記第二判断ユニット、前記第三判断ユニット及び前記第四判断ユニットのうちの少なくとも1つの判断結果が「前記所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると確定する。
【0015】
幾つかの実施例において、前記第二判断ユニットはレーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の変動(variance)又は相対変動(relative variance)を計算し;
前記レーダー信号の変動又は相対変動に対してフィルタリングを行い;
前記所定距離範囲内のフィルタリング前信号とフィルタリング後信号の比(ratio)を計算し;及び
前記比のうちの最大値が第一閾値よりも小さい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む。
【0016】
幾つかの実施例において、前記レーダー信号の変動は前記レーダー信号の振幅の標準偏差(standard deviation)又は平均差(average deviation)であり、前記レーダー信号の相対変動は前記レーダー信号の変動と振幅の比である。
【0017】
幾つかの実施例において、前記第三判断ユニットはレーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差を計算し;
前記所定距離範囲内のすべての所定距離での所定期間内のレーダー信号の信号差に対して周波数スペクトル分解を行い;及び
前記所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の、生命体の呼吸周波数範囲内の最大エネルギーと、ノイズエネルギーとの比を計算し;及び
前記比のうちの最大値が第二閾値よりも小さい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む。
【0018】
幾つかの実施例において、前記ノイズエネルギーはノイズ周波数範囲内のエネルギーの平均値又は最大値である。
【0019】
幾つかの実施例において、前記レーダー信号の信号差は現在の時刻のレーダー信号と1つ前の時刻のレーダー信号との振幅差又は位相差である。
【0020】
幾つかの実施例において、前記第四判断ユニットはレーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の振幅差及び位相差を計算し;
前記所定距離範囲内のすべての所定距離での所定期間内のレーダー信号の振幅差及び位相差の相関係数を計算し;及び
前記所定距離範囲内の前記相関係数の絶対値の平均値が第三閾値よりも大きい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む。
【0021】
幾つかの実施例において、前記レーダー信号の振幅差は現在の時刻のレーダー信号と1つ前の時刻のレーダー信号との振幅差であり、前記レーダー信号の位相差は現在の時刻のレーダー信号と1つ前の時刻のレーダー信号との位相差である。
【0022】
本発明の実施例のもう1つの側面によれば、生命体の感知方法が提供され、前記方法は、
レーダー検出範囲内のレーダー信号を取得し;
前記レーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;
判断結果が「前記所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると確定することを含み、
そのうち、前記レーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
異なる距離での前記レーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することを含む。
【0023】
本発明の実施例の他の側面によれば、コンピュータ機器が提供され、前記コンピュータ機器は記憶器及び処理器を含み、前記記憶器にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記処理器は前記コンピュータプログラムを実行して前述のような方法を実現するように構成される。
【0024】
本発明の実施例の他の側面によれば、コンピュータ可読プログラムを記憶した記憶媒体が提供され、前記コンピュータ可読プログラムはコンピュータに、前述のような方法を実行させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の有利な効果は少なくとも次のとおりであり、即ち、本発明の実施例により、人体の生理的な微小動きによるレーダー信号の変化及び特性を利用して生命体が存在するかを検出することにより、静止生命体検出の感度及び正確さを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】健康監視のシーンで人物検出を行うことを示す図である。
図2】スマートホームのシーンで人物検出を行うことを示す図である。
図3】セキュリティ監視のシーンで人物検出を行うことを示す図である。
図4】ミリ波レーダーに基づく動いている人物の有無の検出を示す図である。
図5】ミリ波レーダーに基づく静止した人物の有無の検出を示す図である。
図6】レーダーの有効検出範囲を示す図である。
図7】人体及びカーテンの微小な動きを示す図である。
図8】本発明の実施例の応用シーンを示す図である。
図9】本発明の実施例における生命体の感知方法を示す図である。
図10】異なる距離でのレーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する1つの実施方式を示す図である。
図11】距離rでのレーダー信号と他の距離でのレーダー信号との相関性を示す図である。
図12】レーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する1つの実施方式を示す図である。
図13】レーダー信号の変動及びSavitzky-Golayフィルタのフィルタリング結果を示す図である。
図14】レーダー信号の変動とフィルタリング後信号との比を示す図である。
図15】レーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する1つの実施方式を示す図である。
図16】人体のレーダー信号の位相差及びその周波数スペクトルエネルギーを示す図である。
図17】非生命体のレーダー信号の位相差及びその周波数スペクトルエネルギーを示す図である。
図18】レーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する1つの実施方式を示す図である。
図19】所定期間内の各所定距離でのレーダー信号の振幅及び位相の相関性を示す図である。
図20】本発明の実施例における生命体の感知方法を示すもう1つの図である。
図21】6つのレーダーを用いて2.5メートル~5メートルの範囲内でデータを収集することを示す図である。
図22】本発明の実施例における生命体の感知装置を示す図である。
図23】本発明の実施例におけるコンピュータ機器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付した図面及び以下の説明を参照することにより、本発明の前述及び他の特徴が明らかになる。なお、明細書及び図面では本発明の特定の実施例を開示するが、それらは本発明の原理を採用し得る一部のみの実施例を示し、理解すべきは、本発明は記載される実施例に限定されず、即ち、本発明は添付する特許請求の範囲に属するすべての変更、変形及び代替によるものをも含むということである。
【0028】
図8は本発明の実施例の応用シーンを示す図である。図8に示すように、本発明の実施例における生命体の感知方法はミリ波レーダーを用いて所定距離範囲内で静的人物の存在の検出を行うことで、該所定距離範囲内に人間が存在するかを確定する。本発明の実施例では、レーダーの距離FFT(fast Fourier transform)データ又はゼロドップラーFFTデータのみを使用する。距離FFTデータとは、レーダー受信信号に対して距離FFT処理を行った後に得られたデータを指す。ゼロドップラーFFTデータとは、レーダーの距離FFTデータに対してドップラーFFT処理を行った後に得られた、ドップラー周波数点がゼロであるデータを指す。
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0030】
<第一側面の実施例>
本発明の実施例では生命体の感知方法が提供される。
【0031】
図9は本発明の実施例における生命体の感知方法を示す図である。図9に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0032】
901:レーダー検出範囲内のレーダー信号を取得し;
902:前記レーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;及び
903:判断結果が「前記所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると確定する。
【0033】
上述の実施例では、ステップ902でレーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは次のステップを含んでも良い。
【0034】
902-1:異なる距離でのレーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する。例えば、所定距離範囲内の或る距離でのレーダー信号の振幅(又は位相)と他の距離でのレーダー信号の振幅(又は位相)との相関性に基づいて、所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する。相関性が高い場合に、該所定距離範囲内に生命体が存在すると見なし、相関性が低い場合に、該所定距離範囲内生命体が存在しないと見なす。
【0035】
上述の実施例により、2つの異なる距離でのレーダー信号の相関性が高い場合に、該レーダー信号が同じ物体から反射されて来たものであることを意味する。異なる距離でのレーダー信号の相関性を分析することで、生命体が存在するかを確定できる。これにより、静止生命体検出の感度及び正確さを向上させることができる。
【0036】
上述の実施例では、所定距離範囲とは、レーダー検出範囲内の所定の距離範囲を指す。図8に示すように、レーダー検出範囲が図8に示す扇形領域であるとする場合に、該所定距離範囲は該扇形領域内のd1とd2との間の範囲であっても良く、d1及びd2はそれぞれ該扇形領域中の或る位置からレーダーまでの距離である。本発明の実施例では、該所定距離範囲の確定方式について限定せず、例えば、経験により与えられても良く、ランダムに与えられても良い。
【0037】
幾つかの実施例において、異なる距離でのレーダー信号の相関性は、異なる距離でのレーダー信号の信号差の絶対値の相関係数により表すことができ、相関係数が大きいことは、相関性が高いことを表し、相関係数が小さいことは、相関性が低いことを表し、該相関係数を利用して、所定距離範囲内に生命体が存在するかを確定する。なお、本発明はこれに限られず、異なる距離でのレーダー信号の相関性は他の方式で表すこともできる。
【0038】
図10は異なる距離でのレーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する(ステップ902-1)1つの実施方式を示す図である。図10に示すように、該方法は次のステップを含む。
【0039】
1001:レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値を計算し;
1002:レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値と、他の距離でのレーダー信号の信号差の絶対値との相関係数を計算し;
1003:所定距離範囲内の上述の相関係数の最大値(Cneighbor)が第四閾値よりも小さいか、又は、所定距離範囲の参照距離範囲内の上述の相関係数の最大値(Cref)が所定距離範囲内の上述の相関係数の最大値(Cneighbor)よりも大きいかを判断し、はいと判断された場合に、ステップ1004を実行し、そうでない場合に、ステップ1005を実行し;
1004:所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し;及び
1005:所定距離範囲内に生命体が存在すると判定する。
【0040】
上述の実施例では、レーダー信号の信号差の絶対値とは、現在の時刻レーダー信号と、1つ前の時刻レーダー信号との振幅差又は位相差の絶対値を指す。
【0041】
上述の実施例では、各所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値と他の距離でのレーダー信号の信号差の絶対値との相関係数を計算する。図11には、距離rでのレーダー信号の信号差の絶対値と他の距離でのレーダー信号の信号差の絶対値との相関係数が示されており、そのうち、距離範囲1は生命体の所在する距離範囲であり、距離範囲2は距離範囲1よりもレーダーに近い距離範囲であり、例えば、距離範囲1は図8に示す所定距離範囲であり、距離範囲2は図8に示す参照距離範囲である。また、距離rは生命体の所在する距離範囲内に位置し、距離rでのレーダー信号と、前の2つの距離(r及びr)及び後の1つの距離(距離r)でのレーダー信号との相関性が高く、かつ他の距離でのレーダー信号との相関性が低い。
【0042】
上述の実施例では、所定距離範囲内、例えば、図11に示す距離範囲1内で、上述の相関係数の最大値を取得し、Cneighborで表し、また、所定距離範囲よりもレーダーに近い距離範囲内、例えば、図11に示す距離範囲2内で、上述の相関係数の最大値を取得し、Crefで表する。Cneighborが閾値(第四閾値と呼ぶ)よりも小さく、又は、CrefがCneighborよりも大きい場合に、所定距離範囲内に生命体が存在しないと見なし、そうでない場合に、所定距離範囲内に生命体が存在すると見なす。
【0043】
幾つかの実施例において、図9に示すように、レーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することはさらに、以下の少なくとも1つを含んでも良い。
【0044】
902-2:レーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;
902-3:レーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;及び
902-4:レーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する。
【0045】
例えば、異なる距離でのレーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在すると判断した場合に、引き続き、レーダー信号の変動及び/又はレーダー信号の周波数スペクトルの特性及び/又はレーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて、所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し、ステップ903からステップ902のすべての判断の判断結果がすべて「所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、所定距離範囲内に生命体が存在すると確定する。
【0046】
また、幾つかの実施例において、ステップ902の任意の1つの判断の判断結果が「所定距離範囲内に生命体が存在しない」であるときに、他の判断を行わず、直接、所定距離範囲内に生命体が存在しないと確定する。なお、本発明はこれに限定されず、検出精度の要求に応じて、ステップ902の一部の判断(例えば、ステップ902-1及びステップ902-2~902-4のうちの任意の1つの又は2つ)の判断結果が「所定距離範囲内生命体が存在する」であるときに、所定距離範囲内に生命体が存在すると確定しても良い。
【0047】
以下、ステップ902-2~902-4の判断についてそれぞれ説明する。
【0048】
図12はレーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する(ステップ902-2)1つの実施方式を示す図である。図12に示すように、該方法は次のステップを含む。
【0049】
1201:レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の変動又は相対変動を計算し;
1202:レーダー信号の変動又は相対変動に対してフィルタリングを行い;
1203:所定距離範囲内のフィルタリング前信号とフィルタリング後信号との比を計算し;
1204:上述の比のうちの最大値が第一閾値よりも小さいかを判断し、はいと判断された場合に、ステップ1205を実行し、そうでない場合に、ステップ1206を実行し;
1205:前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し;及び
1206:前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定する。
【0050】
上述の実施例では、レーダー信号の変動は所定期間内の或る距離でのレーダー信号の振幅の変化状況を表す。
【0051】
幾つかの実施例において、レーダー信号の変動はレーダー信号の振幅の標準偏差により表されても良く、例えば、以下の公式(1)に示すとおりである。
【0052】
【数1】
そのうち、Vは距離rでのレーダー信号の変動であり、A はt時刻の距離rでのレーダー信号の振幅であり、E はT期間内の距離rでのレーダー信号の振幅の平均値である。
【0053】
幾つかの実施例において、レーダー信号の変動はレーダー信号の振幅の平均差により表すこともでき、例えば、以下の公式(2)に示すとおりである。
【0054】
【数2】
そのうち、|・|は絶対値を求まる演算であり、他の各符号の意味は公式(1)と同じである。
【0055】
上述の実施例では、上述の公式(1)又は(2)に基づいてレーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の変動を算出できる。
【0056】
図13では、実線部分はレーダー検出範囲内の各所定距離でのレーダー信号の変動の結果であり、そのうち、横軸は距離、縦軸は信号変動値である。図13から分かるように、生命体が存在する距離範囲内でレーダー信号の変動は明らかに他の領域よりも大きい。
【0057】
上述の実施例では、レーダー信号の変動のデータに対してフィルタリングを行うことで、その低周波数変化情報を得ることができる。本発明ではフィルタの選択について限定せず、例えば、Savitzky-Golayフィルタ(SGフィルタと略称する)やローパスフィルタなどを使用しても良い。図13から分かるように、レーダー信号の変動が距離に応じて緩やかに変化し、生命体が存在しない領域では、距離が大きいほど、変動が大きくなる。図13では、点線はSGフィルタのフィルタリング結果(即ち、フィルタリング後データ)であり、レーダー信号の変動が距離に応じて変化する傾向を反映している。
【0058】
上述の実施例では、レーダー信号変動フィルタリング前後のデータの比、即ち、図13における実線と点線との距離での比を計算できる。図14はレーダー信号変動フィルタリング前後のデータの比を示す図である。図14から分かるように、レーダー信号変動フィルタリング前後のデータの比を算出することで、レーダー信号の変動が距離に応じて変化することによる生命体検出への影響を無くすことができる。
【0059】
上述の実施例では、所定距離範囲内で、レーダー信号変動フィルタリング前後のデータの比の最大値が閾値(第一閾値と称する)よりも小さい場合に、該距離範囲内に生命体が含まれないと判定し、そうでない場合に、他の判断条件(あれば)を継続して実行する。
【0060】
以上、レーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することを例にとって説明しており、ここでは、レーダー信号の変動がレーダー信号の相対変動で置換されても良く、即ち、レーダー信号の相対変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断しても良い。
【0061】
上述の実施例では、レーダー信号の相対変動は所定期間内のレーダー信号の変動の振幅に対しての変化の状況を表し、レーダー信号の変動と信号振幅との比で表すことができ、例えば、以下の公式(3)に示すとおりである。
【0062】
【数3】
公式(3)では、Kは距離rでのレーダー信号の相対変動であり、Vは対応するレーダー信号の変動であり、A は距離rでのレーダー信号の参照振幅である。A は距離rでのレーダー信号の平均振幅であっても良く、距離rでの隣接領域範囲内の各所定距離でのレーダー信号の平均振幅であっても良く、又は、距離rでの各位置(空間位置)のレーダー信号の平均振幅であっても良い。
【0063】
図15はレーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する(ステップ902-3)1つの実施方式を示す図である。図15に示すように、該方法は次のステップを含む。
【0064】
1501:所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差を計算し;
1502:所定距離範囲内のすべての所定距離での所定期間内のレーダー信号の信号差に対して周波数スペクトル分解を行い;
1503:所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の、生命体の呼吸周波数範囲内の最大エネルギーと、ノイズエネルギーとの比を計算し;
1504:上述の比のうちの最大値が第二閾値よりも小さいかを判断し、はいと判断された場合に、ステップ1505を実行し、そうでない場合に、ステップ1506を実行し;
1505:所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し;及び
1506:所定距離範囲内に生命体が存在すると判定する。
【0065】
上述の実施例では、レーダー信号の周波数スペクトルの特性を分析することで、生命体が存在するかを判断する。理由は以下のとおりであり、即ち、人間が静止しているときに身体は完全に静止しているわけではなく、呼吸や心拍などの生理活動によって、身体に周期的な変化が生じ、人体から反射されたレーダー信号も周波数スペクトルの或る種の特性を示している。よって、レーダー信号の周波数スペクトルの特性を分析することで、生命体の有無を判断できる。
【0066】
上述の実施例では、まず、レーダー信号の信号差を計算する。いわゆるレーダー信号の信号差は、現在の時刻のレーダー信号と1つ前の時刻レーダー信号との位相差(又は振幅差)である。信号差を使用して周波数スペクトルの特性の分析を行うことにより、レーダー信号における低周波数信号の周波数スペクトルの漏洩の問題を解消できる。図16における(a)は所定期間内で人体から反射されたレーダー信号の位相差の結果を示しており、図17における(a)は所定期間内で非生命体から反射されたレーダー信号の位相差の結果である。
【0067】
上述の実施例では、所定期間内のレーダー信号の信号差のデータに対して周波数スペクトル分解を行う。本発明では周波数スペクトル分解方法について限定せず、例えば、フーリエ変換法、ウェーブレット解析法などを採用しても良い。図16における(b)は所定期間内で人体から反射されたレーダー信号の位相差に対してフーリエ変換を行った後に得られた周波数スペクトルエネルギーを示しており、図17における(b)は所定期間内で非生命体から反射されたレーダー信号の位相差に対してフーリエ変換を行った後に得られた周波数スペクトルエネルギーである。図16及び図17から分かるように、人体から反射されたレーダー信号の、生理活動の周波数範囲内のエネルギー割合は大きく、高周波数のノイズ周波数範囲内のエネルギー割合は小さい。
【0068】
上述の実施例では、レーダー信号の信号差の周波数スペクトル分解結果に基づいて、人体呼吸周波数範囲内の最大エネルギーと、ノイズエネルギーとの比を計算する。図16及び図17に示すように、人体の正常な呼吸周波数範囲は一般に5~30回/分であり、該周波数範囲内で周波数スペクトルエネルギーの最大値を見つけて人体の呼吸周波数範囲内の最大エネルギーとする。また、ノイズ周波数範囲は生理活動周波数の周波数範囲よりも大きく、例えば、正常心拍周波数の周波数範囲よりも大きく定義され、これによって、ノイズエネルギーはノイズ周波数範囲内の平均エネルギーで表すことができるが、本発明はこれに限られない。
【0069】
上述の実施例では、上述の周波数スペクトル分解の操作が各所定距離でのレーダー信号について行われ得るので、各所定距離で人体の呼吸周波数範囲内の最大エネルギーと、ノイズエネルギーとの比を得ることができる。所定距離範囲内で、この比の最大値が閾値よりも小さい場合に、該距離範囲内に生命体が存在しないと見なし、他の判断条件を実行する必要にあらず、そうでない場合に、他の判断条件(あれば)を実行する。
【0070】
図18はレーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する(ステップ902-4)1つの実施方式を示す図である。図18に示すように、該方法は次のステップを含む。
【0071】
1801:所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の振幅差及び位相差を計算し;
1802:所定距離範囲内のすべての所定距離での所定期間内のレーダー信号の振幅差及び位相差の相関係数を計算し;
1803:所定距離範囲内の上述の相関係数の絶対値の平均値が第三閾値よりも大きいかを判断し、はいと判断された場合に、ステップ1804を実行し、そうでない場合に、ステップ1805を実行し;
1804:所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し;及び
1805:所定距離範囲内に生命体が存在すると判定する。
【0072】
上述の実施例では、レーダー信号の振幅及び位相の相関性を分析することで、生命体が存在するかを判断する。理由は次のとおりであり、即ち、人体の呼吸や心拍などの生理活動によってレーダー信号に変化が生じ得る。レーダー信号の位相変化は通常、身体の表面の変位によるものであり、その振幅の変化は通常、身体の表面の信号反射点の変化によるものである。実験により、人体から反射されたレーダー信号の振幅及び位相の相関性が低いことが示されている。よって、レーダー信号の振幅及び位相の相関性を分析することで、生命体の有無を判断できる。
【0073】
ステップ1801では、まず、レーダー信号の振幅差及び位相差を計算する。レーダー信号の振幅差は現在の時刻のレーダー信号と、1つ前の時刻レーダー信号との振幅差であり、レーダー信号の位相差は現在の時刻のレーダー信号と、1つ前の時刻レーダー信号との位相差である。
【0074】
ステップ1802では、所定期間内のレーダー信号の振幅差及び位相差の相関係数の絶対値を計算する。所定距離範囲内で、上述の相関係数の絶対値が閾値(第三閾値という)よりも大きい場合に、該距離範囲内に生命体が存在しないと見なし、他の判断条件を実行する必要がなく、そうでない場合に、他の判断条件(あれば)を実行する。
【0075】
図19は所定期間内の各所定距離でのレーダー信号の振幅及び位相の相関性を示す図である。そのうち、横軸は距離、縦軸は相関性の相関係数を表す絶対値である。図19から分かるように、生命体の所在する距離範囲内で、レーダー信号の振幅及び位相の相関性は比較的低い。
【0076】
図20は本発明の実施例における生命体の感知方法を示すもう1つの図である。図20に示すように、該方法は次のステップを含む。
【0077】
2001:すべての所定距離でのレーダー信号の変動を計算し;
2002:SGフィルタ又はローパスフィルタを用いて信号変動データに対してフィルタリングを行い;
2003:信号変動データとフィルタリング後データとの比を計算し;
2004:上述の比が第一閾値よりも小さいかを判断し、はいの場合に、人間がいないと見なし、処理を終了し、そうでない場合に、2005を実行し;
2005:すべての所定距離でのレーダー信号の信号差を計算し;
2006:信号差に対して周波数スペクトル分解を行い;
2007:人体周波数エネルギーとノイズエネルギーとの比を計算し;
2008:上述の比が第二閾値よりも小さいかを判断し、はいの場合に、人間がいないと見なし、処理を終了し、そうでない場合に、2009を実行し;
2009:すべての所定距離でのレーダー信号の幅度差及び位相差を計算し;
2010:上述の幅度差及び位相差の相関係数の絶対値を計算し;
2011:上述の絶対値が第三閾値よりも小さいかを判断し、はいの場合に、人間がいないと見なし、処理を終了し、そうでない場合に、2012を実行し;
2012:すべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値を計算し;
2013:異なる距離のところでの信号差の絶対値の相関係数を計算し;
2014:Cneighbor及びCrefを取得し;及び
2015:Cneighborが第四閾値よりも小さいか、又は、CrefがCneighborよりも小さいかを判断し、はいの場合に、人間がいないと見なし、そうでない場合に、人間がいると見なす。
【0078】
なお、上述の図20は上述の実施例を例示的に説明するためのものに過ぎず、本発明はこれに限定されない。例えば、各操作間の実行順序を適切に調整したり、他の幾つかの操作を増減したりすることができる。当業者は、上述の図20の記載に限られずに上述の内容をもとに適切な変形を行うことができる。
【0079】
図21は本発明の実施例における方法により、6つのレーダーを用いて2.5mから5mの間の範囲(所定距離範囲)内でデータを収集することを示す図である。図21に示すように、静的人間は異なる位置及び姿勢、例えば、立つ、座る、横になるなどにあり得る。
【0080】
以下の表1には、従来方法に比べて本発明の実施例における方法の成功検出率及び失敗検出率が示されている。
【0081】
【表1】
表1に示すように、矢印前の数字は従来方法により得られた検出率であり、矢印後の数字は本発明の実施例における方法により得られた検出率である。表1から分かるように、立つ、座る、仰向けで横になる、及びうつ伏せで横になるという4つの姿勢で、従来技術の方法に比較して、本発明の実施例における方法を使用するときに、成功検出率(即ち、検出された範囲と、実際の範囲との差の絶対値が閾値よりも小さい割合)は平均で11%向上しており、誤(失敗)検出率(即ち、検出された距離範囲に人間が含まれない割合)は平均で27%降下している。
【0082】
本発明の実施例により、人体の生理的な微小動きによるレーダー信号の変化及び特性を利用して生命体が存在するかを検出することで、静止生命体検出の感度及び正確さを向上させることができる。
【0083】
<第二側面の実施例>
本発明の実施例では生命体の感知装置が提供され。該装置が問題を解決する原理は第一側面の実施例における方法と類似しているため、その具体的な実施については第一側面の実施例における方法の実施を参照でき、ここでは内容が同じ重複説明の記載を省略する。
【0084】
図22は本発明の実施例における生命体の感知装置を示す図である。図22に示すように、本発明の実施例における生命体の感知装置2200は次のようなものを含む。
【0085】
取得ユニット2201:レーダー検出範囲内のレーダー信号を取得し;
判断ユニット2202:上述のレーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;及び
確定ユニット2203:判断ユニット2202の判断結果が「所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、所定距離範囲内に生命体が存在すると見なす。
【0086】
そのうち、判断ユニット2202は以下のものを含む。
【0087】
第一判断ユニット2202-1:異なる距離での前記レーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する。
【0088】
幾つかの実施例において、判断ユニット2202は以下のもののうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0089】
第二判断ユニット2202-2:前記レーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;
第三判断ユニット2202-3:前記レーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;及び
第四判断ユニット2202-4:前記レーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断する。
【0090】
上述の実施例では、確定ユニット2203は、第一判断ユニット2202-1の判定結果が「所定距離範囲内に生命体が存在する」であり、かつ第二判断ユニット2202-2、第三判断ユニット2202-3及び第四判断ユニット2202-4のうちの少なくとも1つの判断結果が「所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、所定距離範囲内に生命体が存在すると確定する。
【0091】
幾つかの実施例において、第一判断ユニット2202-1は異なる距離での前記レーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値を計算し;
前記レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値と、他の距離でのレーダー信号の信号差の絶対値との相関係数を計算し;
前記所定距離範囲内の前記相関係数の最大値が第四閾値よりも小さく、又は、前記所定距離範囲の参照距離範囲内の前記相関係数の最大値が前記所定距離範囲内の前記相関係数の最大値よりも大きい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む。
【0092】
上述の実施例では、レーダー信号の信号差は現在の時刻のレーダー信号と、1つ前の時刻レーダー信号との振幅差又は位相差である。
【0093】
上述の実施例では、参照距離範囲は所定距離範囲よりもレーダーに近い取付位置である。
【0094】
幾つかの実施例において、第二判断ユニット2202-2はレーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の変動又は相対変動を計算し;
上述のレーダー信号の変動又は相対変動に対してフィルタリングを行い;
所定距離範囲内のフィルタリング前信号とフィルタリング後信号との比を計算し;
上述の比のうちの最大値が第一閾値よりも小さい場合に、所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む。
【0095】
上述の実施例では、レーダー信号の変動はレーダー信号の振幅の標準偏差又は平均差であっても良く、レーダー信号の相対変動はレーダー信号の変動と振幅との比であっても良い。
【0096】
上述の実施例では、Savitzky-Golayフィルタ又はローパスフィルタを用いて前記レーダー信号の変動又は相対変動に対してフィルタリングを行うことができる。
【0097】
幾つかの実施例において、第三判断ユニット2202-3はレーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差を計算し;
所定距離範囲内のすべての所定距離での所定期間内のレーダー信号の信号差に対して周波数スペクトル分解を行い;
所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の、生命体の呼吸周波数範囲内の最大エネルギーと、ノイズエネルギーとの比を計算し;及び
上述の比のうちの最大値が第二閾値よりも小さい場合に、所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む。
【0098】
上述の実施例では、レーダー信号の信号差とは、現在の時刻のレーダー信号と、1つ前の時刻のレーダー信号との振幅差又は位相差を指す。
【0099】
上述の実施例では、ノイズエネルギーはノイズ周波数範囲内のエネルギーの平均値又は最大値であり得る。
【0100】
幾つかの実施例において、第四判断ユニット2202-4はレーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の振幅差及び位相差を計算し;
所定距離範囲内のすべての所定距離での所定期間内のレーダー信号の振幅差及び位相差の相関係数を計算し;
所定距離範囲内の前記相関係数の絶対値の平均値が第三閾値よりも大きい場合に、所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む。
【0101】
なお、以上、本発明に係る各部品又はモジュールについて説明したが、本発明はこれに限定されない。生命体の感知装置2200はさらに、他の部品又はモジュールを含んでも良いが、これらの部品又はモジュールの具体的な内容については、関連技術を参照できる。
【0102】
また、便宜のため、図22では各部品又はモジュール間の接続関係又は信号方向のみが示されているが、当業者が理解できるように、バス接続などの様々な関連技術を採用しても良い。これらの各部品又はモジュールは例えば、処理器、記憶器などのハードウェアにより実現されても良いが、本発明の実施例ではこれについて限定しない。
【0103】
上述の各実施例は本発明の実施例を例示的に説明するためのものに過ぎず、本発明はこれらに限られず、さらに、上述の各実施例をもとに適切な変形を行うこともできる。例えば、上述の各実施例を単独で実行しても良く、上述の各実施例のうちの複数を組み合わせて使用しても良い。
【0104】
本発明の実施例により、人体の生理的な微小動きによるレーダー信号の変化及び特性を利用して生命体が存在するかを検出することで、静止生命体検出の感度及び正確さを向上させることができる。
【0105】
<第三側面の実施例>
本発明の実施例ではコンピュータ機器が提供され、それは第二側面の実施例に記載の生命体の感知装置2200を含み、その内容はここに合併される。該コンピュータ機器は例えば、コンピュータ、サーバー、ワークステーション、ノートパソコン、スマートフォンなどであっても良いが、本発明の実施例はこれらに限られない。
【0106】
図23は本発明の実施例におけるコンピュータ機器を示す図である。図23に示すように、コンピュータ機器2300は処理器(例えば、中央処理器CPU)2310及び記憶器2320を含んでも良く、記憶器2320は中央処理器2310に接続される。そのうち、該記憶器2320は各種のデータを記憶でき、さらに、情報処理用のプログラム2321を記憶でき、かつ、処理器310の制御下で該プログラム2321を実行できる。
【0107】
幾つかの実施例において、生命体の感知装置2200の機能は処理器2310に統合して実現される。そのうち、処理器2310は第一側面の実施例に記載の生命体の感知方法を実現するように構成される。
【0108】
幾つかの実施例において、生命体の感知装置2200は処理器2310と別々で配置されても良く、例えば、生命体の感知装置2200は処理器2310に接続されるチップとして構成され、処理器2310の制御によって生命体の感知装置2200の機能を実現しても良い。
【0109】
また、図23に示すように、コンピュータ機器2300はさらに、入出力(I/O)装置2330、表示器2340などを含んでも良く、そのうち、これらの部品の機能は従来技術と同様であるため、ここではその詳しい説明を省略する。なお、コンピュータ機器300は図23に示すすべての部品を含む必要がない。また、コンピュータ機器2300はさらに、図23に無い部品を含んでも良く、これについては関連技術を参照できる。
【0110】
本発明の実施例ではさらに、コンピュータ可読プログラムが提供され、そのうち、生命体の感知装置で前記プログラムを実行するときに、前記プログラムは前記生命体の感知装置に、第一面の実施例に記載の方法を実行させる。
【0111】
本発明の実施例ではさらに、コンピュータ可読プログラムを記憶した記憶媒体が提供され、そのうち、前記コンピュータ可読プログラムは生命体の感知装置に、第一側面の実施例に記載の方法を実行させる。
【0112】
また、上述の装置及び方法は、ソフトウェア又はハードウェアにより実現されても良く、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより実現されても良い。本発明はさらに、下記のようなコンピュータ読み取り可能なプログラムに関し、即ち、該プログラムは、ロジック部品により実行されるときに、該ロジック部品に上述の装置又は構成部品を実現させ、又は、該ロジック部品に上述の各種の方法又はステップを実現させる。ロジック部品は例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、マイクロプロセッサ、コンピュータに用いる処理器などであっても良い。本発明はさらに、上述のプログラムを記憶した記憶媒体、例えば、ハードディスク、磁気ディスク、光ハードディスク、DVD、フラッシュメモリなどにも関する。
【0113】
さらに、図面に記載の機能ブロックのうちの1つ又は複数の組み合わせ及び/又は機能ブロックの1つ又は複数の組み合わせは、本明細書に記載の機能を実行するための汎用処理器、デジタル信号処理器(DSP)、特定用途向け集積回パス(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラム可能な論理部品、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理部品、ディスクリートハードウェアアセンブリ又は他の任意の適切な組み合わせとして実現されても良い。また、図面に記載の機能ブロックのうちの1つ又は複数の組み合わせ及び/又は機能ブロックの1つ又は複数の組み合わせはさらに、計算装置の組み合わせ、例えば、DSP及びマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPと通信により接続される1つ又は複数のマイクロプロセッサ又は他の任意の構成の組み合わせとして構成されても良い。
【0114】
また、上述の実施例などに関し、さらに以下のような付記を開示する。
【0115】
(付記1)
生命体の感知方法であって、
レーダー検出範囲内のレーダー信号を取得し;
前記レーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;及び
判断結果が「前記所定距離範囲内に生命体が存在する」であるときに、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると確定することを含み、
そのうち、前記レーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
異なる距離での前記レーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することを含む、方法。
【0116】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、
異なる距離での前記レーダー信号の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値を計算し;
前記レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の絶対値と、他の距離でのレーダー信号の信号差の絶対値との相関係数を計算し;
前記所定距離範囲内の前記相関係数の最大値が第四閾値よりも小さく、又は、前記所定距離範囲の参照距離範囲内の前記相関係数の最大値が前記所定距離範囲内の前記相関係数の最大値よりも大きい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む、方法。
【0117】
(付記3)
付記2に記載の方法であって、
前記レーダー信号の信号差は現在の時刻レーダー信号と、1つ前の時刻レーダー信号との振幅差又は位相差である、方法。
【0118】
(付記4)
付記2に記載の方法であって、
前記参照距離範囲は前記所定距離範囲よりも前記レーダーに近い、方法。
【0119】
(付記5)
付記1に記載の方法であって、
前記レーダー信号に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することはさらに、以下の少なくとも1つを含み、即ち、
前記レーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;
前記レーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断し;及び
前記レーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することである、方法。
【0120】
(付記6)
付記5に記載の方法であって、
レーダー信号の変動に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記レーダー検出範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の変動又は相対変動を計算し;
前記レーダー信号の変動又は相対変動に対してフィルタリングを行い;
前記所定距離範囲内のフィルタリング前信号とフィルタリング後信号との比を計算し;及び
前記比のうちの最大値が第一閾値よりも小さい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む、方法。
【0121】
(付記7)
付記6に記載の方法であって、
前記レーダー信号の変動は前記レーダー信号の振幅の標準偏差又は平均差であり、
前記レーダー信号の相対変動は前記レーダー信号の変動と振幅との比である、方法。
【0122】
(付記8)
付記6に記載の方法であって、
Savitzky-Golayフィルタ又はローパスフィルタを用いて前記レーダー信号の変動又は相対変動に対してフィルタリングを行う、方法。
【0123】
(付記9)
付記5に記載の方法であって、
レーダー信号の周波数スペクトルの特性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差を計算し;
前記所定距離範囲内のすべての所定距離での所定期間内のレーダー信号の信号差に対して周波数スペクトル分解を行い;
前記所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の信号差の、生命体の呼吸周波数範囲内の最大エネルギーと、ノイズエネルギーとの比を計算し;及び
前記比のうちの最大値が第二閾値よりも小さい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む、方法。
【0124】
(付記10)
付記9に記載の方法であって、
前記レーダー信号の信号差は現在の時刻のレーダー信号と1つ前の時刻のレーダー信号との振幅差又は位相差である、方法。
【0125】
(付記11)
付記9に記載の方法であって、
前記ノイズエネルギーはノイズ周波数範囲内のエネルギーの平均値又は最大値である、方法。
【0126】
(付記12)
付記5に記載の方法であって、
レーダー信号の振幅及び位相の相関性に基づいて所定距離範囲内に生命体が存在するかを判断することは、
前記所定距離範囲内のすべての所定距離でのレーダー信号の振幅差及び位相差を計算し;
前記所定距離範囲内のすべての所定距離での所定期間内のレーダー信号の振幅差及び位相差の相関係数を計算し;及び
前記所定距離範囲内の前記相関係数の絶対値の平均値が第三閾値よりも大きい場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在しないと判定し、そうでない場合に、前記所定距離範囲内に生命体が存在すると判定することを含む、方法。
【0127】
(付記13)
付記12に記載の方法であって、
前記レーダー信号の振幅差は現在の時刻のレーダー信号と1つ前の時刻のレーダー信号との振幅差であり、
前記レーダー信号の位相差は現在の時刻のレーダー信号と1つ前の時刻のレーダー信号との位相差である、方法。
【0128】
(付記14)
記憶器及び処理器を含むコンピュータ機器であって、
前記記憶器にはコンピュータプログラムが記憶されており、
前記処理器は前記コンピュータプログラムを実行して付記1乃至13のうちの任意の1項に記載の方法を実現するように構成される、コンピュータ機器。
【0129】
(付記15)
コンピュータ可読プログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータ可読プログラムはコンピュータに、付記1乃至13のうちの任意の1項に記載の方法を実行させる、記憶媒体。
【0130】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこのような実施例に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の技術的範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【外国語明細書】