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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109543
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】チューブリフター
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/02 20060101AFI20240806BHJP
   B65G 7/12 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B66C1/02 A
B65G7/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024012974
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】10 2023 102 439.6
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517273548
【氏名又は名称】イョット.シュマルツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンス バート
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン アーブシャット
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥル ホッペ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ドレーアー
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004FA02
3F004FA06
(57)【要約】
【課題】エンドエフェクタのリフティングチューブへの結合を改善する。
【解決手段】本発明はチューブリフターに関する。チューブリフターは、リフティングチューブ長手方向軸に沿って延びるリフティングチューブと、エンドエフェクタ(18)を前記リフティングチューブ(12)に結合することができる結合デバイス(20)とを備えている。結合デバイスは、リフティングチューブ側の第1の結合部(32)と、エンドエフェクタ側の第2の結合部(34)とを有し、結合部のうちの一方は挿入部(36)を有し、もう一方の結合部は挿入部を収容するための収容部(38)を有する。挿入部及び収容部は、挿入部を収容部に挿入方向(40)に挿入することによってエンドエフェクタ及びリフティングチューブを互いに接続することができるように設計されている。挿入部は、挿入方向に直交するエンドエフェクタ回転軸(42)を中心とした異なる回転位置において収容部に挿入可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブリフター(10)であって、
リフティングチューブ長手方向軸(14)に沿って延びるリフティングチューブ(12)と、
エンドエフェクタ(18)、特に吸引把持デバイス(22)と、
前記エンドエフェクタ(18)を前記リフティングチューブ(12)に結合することができる結合デバイス(20)であって、リフティングチューブ側の第1の結合部(32)及びエンドエフェクタ側の第2の結合部(34)を有し、結合部のうちの一方(34)は挿入部(36)を有し、もう一方の結合部(32)は前記挿入部(36)を収容するための収容部(38)を有する前記結合デバイス(20)と、
を備え、
前記挿入部(36)及び前記収容部(38)は、好ましくは前記リフティングチューブ長手方向軸(14)に直交する挿入方向(40)に、特に前記挿入方向(40)にのみ、前記挿入部(36)を前記収容部(38)に挿入することができ、前記挿入部(36)を前記収容部(38)に前記挿入方向(40)に挿入することによって前記エンドエフェクタ(18)及び前記リフティングチューブ(12)を互いに接続することができるよう設計されており、前記挿入部(36)は、前記挿入方向(40)に直交するエンドエフェクタ回転軸(42)を中心とした異なる回転位置、特に任意の回転位置において、前記収容部(38)に前記挿入方向(40)に挿入可能であることを特徴とする、チューブリフター(10)。
【請求項2】
前記収容部(38)は、前記挿入方向(40)に沿って軸方向に延びるガイドスロット(56)を有する、請求項1に記載のチューブリフター(10)。
【請求項3】
前記ガイドスロット(56)は前記挿入部(36)を導くための開放端部(64)と閉端部(66)とを含み、前記閉端部(66)は前記挿入部(36)のための停止部(68)を形成し、前記停止部(68)は、前記収容部(38)における前記挿入部(36)の前記挿入方向(40)の終端位置を画定する、請求項2に記載のチューブリフター(10)。
【請求項4】
前記挿入部(36)が前記収容部(38)に挿入されるときに、前記挿入部(36)を前記収容部(38)に対して前記エンドエフェクタ回転軸(42)を中心に回転させることもできるように、前記挿入部(36)及び前記収容部(38)が設計されている、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のチューブリフター(10)。
【請求項5】
前記挿入部(36)は、前記エンドエフェクタ回転軸(42)を中心とした部分において少なくとも回転対称に設計されている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のチューブリフター(10)。
【請求項6】
前記挿入部(36)が、前記エンドエフェクタ回転軸(42)に沿って前記収容部(38)内にぴったり嵌まって保持されるように、前記挿入部(36)及び前記収容部(38)が設計されている、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のチューブリフター(10)。
【請求項7】
前記挿入部(36)は突出部(44)を有し、前記突出部(44)は突出方向(46)に延び、特に前記エンドエフェクタ回転軸(42)と同一線上に延び、特に前記エンドエフェクタ(18)又は前記リフティングチューブ(12)から離れるように延びている、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のチューブリフター(10)。
【請求項8】
前記挿入部(36)の挿入状態において、前記収容部(38)は、少なくとも部分的に前記突出部(44)の後方に係合するか又は前記突出部(44)を取り囲み、特に、前記挿入部(36)が前記エンドエフェクタ回転軸(42)に沿って前記収容部(38)内に嵌まって保持される、請求項7に記載のチューブリフター(10)。
【請求項9】
前記突出部(44)は半径方向張出部を有する、請求項7又は請求項8に記載のチューブリフター(10)。
【請求項10】
前記突出部(44)は、ほぼT字型の断面を有する、請求項7~請求項9のいずれか一項に記載のチューブリフター(10)。
【請求項11】
前記収容部(38)は、前記挿入方向(40)に沿って見た断面において前記挿入部(36)と相補的に設計されており、特に前記挿入部(36)のネガ形状を有する、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載のチューブリフター(10)。
【請求項12】
前記結合デバイス(20)は、前記収容部(38)における前記挿入部(36)の少なくとも1つの挿入位置において、好ましくは前記収容部(38)における前記挿入部(36)の終端位置において、前記リフティングチューブ(12)と前記エンドエフェクタ(18)との間の流体接続(74)が確立されるように設計されている、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載のチューブリフター(10)。
【請求項13】
前記挿入部(36)は、前記エンドエフェクタ回転軸(42)を中心に同心状に配置された第1の流体開口部(76)、特にボアを有し、前記収容部(38)は第2の流体開口部(78)、特にボアを有し、これにより、少なくとも前記収容部(38)における前記挿入部(36)の挿入位置において、好ましくは前記収容部(38)における前記挿入部(36)の前記終端位置において、前記第1の流体開口部(76)と前記第2の流体開口部(78)との間に流体接続が確立され、特に前記第1の流体開口部(76)及び前記第2の流体開口部(78)が互いに位置合わせされ、さらに特に互いに同軸で配置されるようになっている、請求項12に記載のチューブリフター(10)。
【請求項14】
前記結合デバイス(20)は、前記挿入部(36)が前記収容部(38)に挿入されているときに、特に終端位置にあるときに、前記エンドエフェクタ回転軸(42)を中心とする回転に抗して前記エンドエフェクタ(18)を固定するように設計された回転式ロックデバイス(88)を有する、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載のチューブリフター(10)。
【請求項15】
前記回転式ロックデバイス(88)は、前記収容部(38)に対する前記挿入部(36)の前記挿入方向(40)に沿った軸方向変位によって、回転ロックを作動させたり作動停止させたりすることができるように設計され、特に前記挿入方向(40)に抗する前記エンドエフェクタ(18)の変位を阻止しない、請求項14に記載のチューブリフター(10)。
【請求項16】
前記回転式ロックデバイス(88)は、ラッチ要素(90)と、前記ラッチ要素(90)を受けるための少なくとも1つのラッチレセプタクル(92)とを含み、前記エンドエフェクタ回転軸(42)を中心とする前記エンドエフェクタ(18)の少なくとも1つの回転位置において、前記ラッチ要素(90)を前記挿入方向(40)に沿って前記ラッチレセプタクル(92)に挿入し、よって回転式ロックを作動させることができるように、前記ラッチ要素(90)及び前記ラッチレセプタクル(92)が設計され、配置されている、請求項14又は請求項15に記載のチューブリフター(10)。
【請求項17】
前記ラッチ要素(90)は、ロック位置とリリース位置との間で、特に並進方向又は回転方向に変位可能に保持されており、前記ラッチ要素(90)は前記ロック位置に付勢され、特にばねで付勢されており、前記ラッチ要素(90)は、前記挿入方向(40)に作用されることにより、付勢に抗して前記リリース位置へ移動することができる、請求項16に記載のチューブリフター(10)。
【請求項18】
前記結合デバイス(20)は軸方向ロックデバイス(98)を有し、前記軸方向ロックデバイス(98)は、前記収容部(38)からの変位に抗して、特に前記収容部(38)内での前記挿入方向(40)と反対方向への変位に抗して前記挿入部(36)を固定するように設計されており、前記軸方向ロックデバイス(98)は、前記収容部(38)において前記挿入部(36)が所定の挿入位置に達したとき、特に終端位置に達したときに自動的にロックするように設計されている、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載のチューブリフター(10)。
【請求項19】
前記リフティングチューブ(12)を変位させるための操作ハンドル(30)を有する操作デバイス(26)をさらに備え、前記リフティングチューブ側の結合部(32)は前記操作デバイス(26)上に配置されている、請求項1~請求項18のいずれか一項に記載のチューブリフター(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前提部に記載のチューブリフターに関する。
【背景技術】
【0002】
チューブリフターは真空ハンドリングデバイスであり、真空によって荷を持ち上げ、必要に応じて移動させて再び下ろすことができる。持ち上げ力はリフティングチューブによって加えられ、リフティングチューブは、そのチューブ内部を真空にすることによって縮むことができ、場合によっては重力の作用下で、その内部に広がる真空をリリースすることによって再び伸長することができる。物体を把持するためのエンドエフェクタは、通常はリフティングチューブの一端に配置されている。これを例えば機械的把持デバイスとすることができるが、特に吸引把持デバイスとすることができる。
【0003】
エンドエフェクタをリフティングチューブに結合するための結合デバイスが設けられており、この結合デバイスによってエンドエフェクタはリフティングチューブに結合可能である。この目的のために様々な解決策が知られている。例えば、エンドエフェクタをリフティングチューブにねじで留めることが知られている。独国特許出願公開第102008028205号明細書には、吸引グリッパーが均一に配置された4つのロックピンを有し、これらのロックピンが結合器の裏面にある鍵穴状の収容開口部に係合する結合デバイスが記載されている。そして、吸引グリッパーのバヨネット(差し込みピン)式の回転により、エンドエフェクタとリフティングチューブとの接続を確立することができる。
【0004】
通常、前述の解決策では一方の接続部をもう一方の接続部に正確に挿入することが必要になり、これは、例えば、エンドエフェクタがかなり特殊な回転位置でしかリフティングチューブに接続できないため、吸引グリッパーの結合時の取扱がより困難になる。さらに、既知の設計は、比較的複雑で高構造に設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008028205号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、エンドエフェクタのリフティングチューブへの結合を改善することであり、特に、エンドエフェクタのリフティングチューブへの簡単で直感的な結合を可能にすることである。さらに、簡潔で頑強な構造設計が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有するチューブリフターにより、本発明に従って達成される。
【0008】
チューブリフターは、好ましくは垂直のリフティングチューブ長手方向軸に沿って延びるリフティングチューブを含む。特に、リフティングチューブはチューブ内部を有する。特に、チューブ内部を真空にすることによってリフティングチューブを縮めることができる。
【0009】
チューブリフターは、物体を把持するためのエンドエフェクタ、特に把持デバイスをさらに含む。チューブリフターは、吸引把持デバイス、例えば表面吸引グリッパー、エラストマー吸引カップ又は吸引スパイダーを含むことが好ましい。
【0010】
チューブリフターはまた、特に繰り返しリリース可能な態様でエンドエフェクタをリフティングチューブに結合するための結合デバイスを含む。したがって、この意味でのエンドエフェクタを、特に繰り返しリリース可能な態様で結合デバイスによってリフティングチューブに結合することが可能であるか、又は結合する。結合デバイスは、リフティングチューブに結合されるリフティングチューブ側の第1の結合部と、エンドエフェクタに連結されるエンドエフェクタ側の第2の結合部とを含む。
【0011】
2つの結合部のうちの一方、すなわち第1の結合部又は第2の結合部は挿入部を有し、もう一方の結合部、すなわち、第2の結合部又は第1の結合部は挿入部を収容するための収容部を有する。収容部及び挿入部は、好ましくは直線的な挿入方向において挿入部を収容部内に挿入、特に押し込むことができるように設計され、特に互いに連携されており、第1の結合部及び第2の結合部、したがってエンドエフェクタ及びリフティングチューブは、挿入方向における挿入部の収容部への挿入、特に押し込みによって互いに接続可能である。この意味で、挿入部及び収容部は、挿入方向において挿入部を収容部に挿入、特に押し込むことによってエンドエフェクタとリフティングチューブとの間の接続を確立することができ、特にエンドエフェクタをリフティングチューブに固定できるように特に設計されている。
【0012】
また、挿入部及び収容部はさらに、挿入方向に直交するエンドエフェクタ回転軸を中心とした異なる回転位置、特に任意の回転位置において挿入部を挿入方向に沿って収容部に挿入する、特に押し込むことができるように設計されており、特に互いに連携されている。
【0013】
エンドエフェクタとリフティングチューブとを接続するために第1の結合部及び第2の結合部のみを挿入方向に沿って互いに対して移動させるだけでよいため、このような実施形態により、エンドエフェクタをリフティングチューブに特に簡単に結合することができる。特に、挿入部を収容部に押し込んだ後は、エンドエフェクタとリフティングチューブとの間の接続を確立するための追加の動作は必要ない。エンドエフェクタ回転軸を中心とするいずれの回転位置でも挿入部を収容部に挿入できるということにより、特にリフティングチューブに対するエンドエフェクタの複雑な位置合わせが割愛され、結合がさらに簡単でより直感的なものになる。特に、このことによって逆に、エンドエフェクタ回転軸を中心とした異なる角度から、挿入方向とは反対の送り方向に沿って収容部を挿入部に押しつけることができ、こうして挿入部は収容部に挿入される。
【0014】
挿入部及び収容部は、挿入方向に沿って1つの挿入方向のみで、挿入方向に直交するエンドエフェクタ回転軸を中心とした異なる回転位置、特に任意の回転位置において挿入部を収容部に挿入する、特に押し込むことができるように設計されていることが好ましい。この点において、挿入部を、挿入方向である単一の方向に沿ってのみ収容部に押し込むことができるが、挿入軸に直交する回転軸を中心に任意の所望の方法で挿入部を回転させることができる。挿入方向は、リフティングチューブ長手方向軸に直交し、特に水平であることが好ましい。そして、エンドエフェクタ回転軸はリフティングチューブ長手方向軸に平行であることが好ましい。
【0015】
有利なことに、リフティングチューブ側の第1の結合部は収容部を含み、エンドエフェクタ側の第2の結合部は挿入部を含む。このような設計により、例えば、エンドエフェクタ回転軸を中心とする異なる回転方向からリフティングチューブと共にすぐに使用できる状態でエンドエフェクタをエンドエフェクタマガジン内に保持することが促進される。
【0016】
特に、収容部が挿入部のための停止部を有する場合に直感的な操作が可能になる。ここで、停止部は、収容部における挿入部の挿入方向への挿入経路を制限し、よって収容部における挿入部の挿入方向の終端位置を画定する。
【0017】
有利なことに、収容部は、挿入方向に沿って軸方向に延びるガイドスロットを含む。ガイドスロットは特に、挿入方向に沿った挿入部のためのリニアガイドを提供する。ガイドスロットを、第1又は第2の結合部の凹部によって形成することができる。
【0018】
ガイドスロットは、挿入部を導くための開放端部(受入開口部)と、収容部における挿入部の挿入方向への挿入経路を制限する閉端部とを含むことが好ましい。この意味で、閉端部は挿入部のための停止部を形成する。停止部は特に、収容部における挿入部の挿入方向の終端位置を画定する。操作員は、停止部による抵抗が検出されるまで、エンドエフェクタをリフティングチューブに結合するために第1の結合部及び第2の結合部を互いに対して挿入方向に動かせばよいため、このような実施形態によって結合プロセスがさらに直感的なものになる。
【0019】
前述のように、提案された結合デバイスにより、挿入方向に直交するエンドエフェクタ回転軸を中心としたいずれの回転位置でもエンドエフェクタを収容部に挿入することができる。さらに、挿入部が収容部にすでに挿入されている、特に終端位置の停止部に位置している場合でも、挿入部及び収容部、したがって第1の結合部及び第2の結合部がエンドエフェクタ回転軸を中心に互いに対して回転できるように挿入部及び収容部が設計されていると有利になりうる。この点で、エンドエフェクタを、結合状態においてリフティングチューブに対して回転可能とすることもできる。このように、例えば、エンドエフェクタ、ひいては保持された状態でエンドエフェクタに接続された物体の回転位置を変えて、例えば所定のセットダウン位置(下ろす位置)に物体を移動させることが可能である。
【0020】
これに関連して、挿入部が少なくとも部分的に、すなわち、少なくともエンドエフェクタ回転軸を中心とした角度範囲にわたり、エンドエフェクタ回転軸を中心に回転対称に設計されていると有利になりうる。
【0021】
挿入部がガイドスロットの停止部又は閉端部と接触している場合でも回転自在性を促すために、停止部がガイドスロットの壁によって提供されると有利になりうる。ここで、壁は、回転軸を中心に挿入部の範囲を定める壁と相補的に設計されており、特にそのネガ形状を有する。
【0022】
挿入部が収容部内に収容されるときに、挿入部がエンドエフェクタ回転軸に沿って、すなわち、特に垂直方向にぴったり嵌まって保持されるように、挿入部及び収容部が設計されている、特に互いに連携されていることが好ましい。したがって、例えば重力によって生じるエンドエフェクタの望ましくない落下を効果的に防止することができる。
【0023】
有利なことに、挿入部は、エンドエフェクタ(挿入部がエンドエフェクタ側の結合部上に配置されている場合)又はリフティングチューブ(挿入部がリフティングチューブ側の結合部上に配置されている場合)から突出方向に延びる突出部を有することができる。突出方向及びエンドエフェクタ回転軸は同一直線上に、すなわち同一の軸に沿って延びていることが好ましい。突出部がエンドエフェクタ上に配置されている場合、突出部はエンドエフェクタの突出方向の一方の側から離れるように延びており、この側がエンドエフェクタの把持手段、例えば吸引体を背にして延びているか又は把持手段の反対側であると特に好都合である。
【0024】
そして、挿入部の挿入状態において(すなわち、挿入部が収容部内に押し込まれている場合)、収容部は、少なくとも部分的に突出部の後方に係合するか又は突出部を取り囲み、好ましくは、挿入部がエンドエフェクタ回転軸に沿って収容部内にぴったり嵌まって保持されるように、収容部、特にガイドスロットを設計することができる。
【0025】
これに関連して、突出部は、突出方向に見て少なくとも部分的に、特に連続して又は不連続で半径方向に広がると有利になりうる。この点に関して、突出方向に沿って第2の位置の前にくる突出部の少なくとも第1の位置において、突出部の半径方向の広がりが突出部の第2の位置におけるよりも大きくなるように突出部を設計することができる。
【0026】
有利な実施形態の範囲内で、突出部は、少なくとも突出方向の一部において連続的に広がることができる。特に、突出部は少なくとも突出方向の一部において円錐状に広がることができ、これは突出部の簡潔な製造に有利である。
【0027】
また、突出部は、突出方向のその長手方向範囲に沿って少なくとも1つの半径方向張出部、又は半径方向に突出する段部を有することも可能である。例えば、突出部は、突出方向に沿って、特にエンドエフェクタ回転軸に沿って延びるベース部と、突出方向においてベース部に隣接する張出部とを有することができ、張出部における突出部は、エンドエフェクタ回転軸を中心とした角度領域に少なくとも沿って半径方向に広がっている。この点に関して、突出部は、少なくとも突出部のベース部よりも突出方向の軸方向下流側にある突出部において、突出方向のその範囲に沿って半径方向の広がりを有することができる。よってこのような実施形態では、挿入部の挿入状態において、収容部が収容部内の突出部の後方に係合するか又は突出部を取り囲むように収容部を設計すると有利になりうる。
【0028】
特に、突出部はほぼT字型の断面を有することができる。特に容易に製造することのできる実施形態は、例えば、突出部が第1のシリンダ部と、突出方向において第1のシリンダ部に軸方向に隣接する第2のシリンダ部とを有し、第2のシリンダ部の直径が第1のシリンダ部の直径よりも大きい場合に得られる。特に、挿入部の挿入状態において、収容部が第2のシリンダ部の後方に係合するか又は第2のシリンダ部を取り囲むように収容部を設計することができる。シリンダ部は、円柱シリンダとして又は円筒シリンダとして設計可能である。
【0029】
収容部及び挿入部が、挿入方向に沿った断面において相補的又はほぼ相補的になるように、好ましくは、挿入部がエンドエフェクタ回転軸に沿って収容部内にぴったり嵌まって保持されるように設計されている場合、エンドエフェクタをリフティングチューブ上にとりわけ確実に保持することができる。特に、収容部は、挿入方向に沿った断面で見たときに、挿入部のネガ形状を有することができる。
【0030】
有利な展開に関連して、結合デバイスは、収容部における挿入部の少なくとも1つの挿入位置において、好ましくは挿入部の終端位置において(すなわち、挿入部が停止部と接触しているとき、又はガイドスロットの閉端部において)、リフティングチューブとエンドエフェクタとの間の流体接続が確立されるように設計可能である。特に、エンドエフェクタが吸引把持デバイスとして設計されている場合、結合デバイスを介して負圧を吸引把持デバイスに供給することができる。これに関連して、リフティングチューブがチューブ内部を有し、流体接続がチューブ内部に流体接続され、特にチューブ内部を通してエンドエフェクタに負圧を供給できるようになっていると特に有利である。このように、追加の流体ライン、特に外部の流体ラインを省略することができるため、エンドエフェクタの結合がさらに簡単になり、また把持時に干渉する輪郭が低減される。
【0031】
これに関連して、挿入部が第1の流体開口部、特にボア(穴)を有し、収容部が第2の流体開口部、特にボアを有すると有利になりうる。これにより、少なくとも収容部における挿入部の挿入位置において、好ましくは収容部における挿入部の終端位置において、第1の流体開口部と第2の流体開口部との間に流体接続が確立され、特に第1の流体開口部及び第2の流体開口部が互いに位置合わせされ、さらに特に互いに同軸で位置合わせされ、特にエンドエフェクタ回転軸に対して同軸に位置合わせされる。第1の流体開口部は、挿入部の中心に、特にエンドエフェクタ回転軸に対して同心状に配置されることが好ましい。前述のように、突出部は円筒シリンダによって形成されることが可能である。その場合、例えば、円筒シリンダ部の軸方向シリンダ開口部が第1の流体開口部を提供することが考えられる。構成に応じて、第1又は第2の流体開口部は、吸引把持デバイスなどのエンドエフェクタ、又はリフティングチューブのいずれかに流体接続されている。挿入部がエンドエフェクタ上に配置され、第1の流体開口部がエンドエフェクタに流体接続されており、収容部がリフティングチューブ上に配置され、第2の流体開口部がリフティングチューブ、特にリフティングチューブのチューブ内部に流体接続されている場合、特に有利になりうる。
【0032】
有利な展開の範囲内で、結合デバイスは回転式ロックデバイスを有することができる。回転式ロックデバイスは特に、結合状態において(すなわち、挿入部が収容部に挿入されている場合、特に挿入部が終端位置に位置する場合に)、エンドエフェクタ回転軸を中心とする回転に抗してエンドエフェクタを固定するように設計されている。
【0033】
回転式ロックデバイスは、好ましくはエンドエフェクタをロック構成でラッチ式に固定するように設計が可能である。例えば、回転式ロックデバイスは、少なくとも1つの、特に並進方向又は回転方向に変位可能なラッチ要素と、ラッチされた状態でラッチ要素を受けるための少なくとも1つのラッチレセプタクルとを有することができる。エンドエフェクタ回転軸を中心とする挿入部の少なくとも1つの回転位置においてラッチ要素がラッチレセプタクルと係合するように、ラッチ要素及びラッチレセプタクルが設計され、配置されていることが好ましい。エンドエフェクタの回転軸を中心とするエンドエフェクタの異なる回転位置における回転式ロックを可能にするために、ラッチデバイスは複数のラッチ要素を有することができる。ラッチ要素は特に、エンドエフェクタ回転軸を中心とする円周に沿って分配されて配置されることが可能である。
【0034】
少なくとも1つのラッチ要素をリフティングチューブ側、例えば収容部に配置することができる。そして、少なくとも1つのラッチレセプタクルをエンドエフェクタ側、特に挿入部に配置することができる。例えば、少なくとも1つのラッチレセプタクルを、挿入部における局所的な凹部として設計することが考えられる。少なくとも1つのラッチ要素をエンドエフェクタ側に配置し、少なくとも1つのラッチレセプタクルをリフティングチューブ側に配置することも考えられる。
【0035】
有利な展開に関連して、回転式ロック手段を、収容部に対する挿入部の挿入方向に沿った軸方向変位によって作動させたり(エンドエフェクタ回転軸を中心とするエンドエフェクタの回転運動が阻止される)再び作動停止させたりする(エンドエフェクタ回転軸を中心とするエンドエフェクタの回転運動がリリースされる)ことができ、特に挿入方向の変位によって作動させたり、挿入方向と反対方向に再び作動停止させたりすることができるように、回転ロックデバイスを設計することができる。これは、回転式ロックデバイスをリリースするために追加のハンドルを特に必要としないため、エンドエフェクタの簡単な変更に有利である。回転式ロックデバイスが、(例えば、エンドエフェクタの結合を解除するための)挿入方向と反対方向へのエンドエフェクタの変位が阻止されないように設計されていると特に有利である。
【0036】
ラッチ要素及びラッチレセプタクルを有する回転式ロックデバイスの実施形態では、特に、挿入方向に沿ったエンドエフェクタ回転軸を中心とするエンドエフェクタの少なくとも1つの回転位置においてラッチ要素をラッチレセプタクルに挿入でき、よって回転式ロックを作動させることできるようにこれらを設計することができる。これに関連して、ラッチ要素がガイドスロット(収容部)の閉端部に配置され、少なくとも1つのラッチレセプタクルが挿入部に配置されているか、又はその逆であると特に有利になりうる。
【0037】
ラッチ要素は、特に、ラッチ要素がラッチレセプタクルに係合するロック位置と、ラッチ要素がラッチレセプタクルに係合しないリリース位置との間で、並進方向又は回転方向変位可能に、特にピボット可能に取り付けられることが好ましい。さらに、ラッチ要素がロック位置に作用され、特にプレストレスされ、特にばねで付勢されていると有利になりうる。そして、ラッチ要素をプレストレスに抗して挿入方向に作用させることによってリリース位置へ移動できるように、ラッチ要素を設計することができる。したがって、並進方向に変位可能なラッチ要素を用いる実施形態では、変位軸は挿入方向と平行に延びることができる。ピボット可能に取り付けられたラッチ要素を用いる実施形態では、ピボット軸は特に挿入方向に対して直角に延びることができる。以下により詳しく説明するように、このような実施形態はチューブリフターの簡単で直感的な動作を促す。これに関連して、ラッチ要素が、リリース位置においてガイドスロットの収容部の停止部を形成する壁と同一平面上に配置されると特に有利になりうる。
【0038】
有利な展開の範囲内で、結合デバイスは軸方向ロックデバイスを有することができる。この軸方向ロックデバイスは、挿入部が収容部に挿入されるときに、収容部からの変位に抗して、すなわち挿入方向と反対方向への変位に抗して挿入部を固定するように設計されている。この意味で、軸方向ロックデバイスは、挿入部、ひいてはエンドエフェクタのための一種の拘束固定手段を形成している。これに関連して、ロックは水平方向に生じることが好ましい。特に、収容部内での挿入方向と反対方向への変位に抗して挿入部を固定するように、軸方向ロックデバイスを設計することができる。
【0039】
軸方向ロックデバイスは、収容部における挿入部の所定の挿入位置に達したとき、特に終端位置に達したとき(すなわち、挿入部が収容部又はガイドスロットの停止部に当接したとき)に自動的にロックするように設計されていると特に有利である。これに関連して、挿入部が収容部内に押し込まれた後、挿入部は、特に操作員が追加のステップを取らなくても自動的にロックされることが可能になる。例えば、軸方向ロックデバイスは、ロック位置に負荷をかけられた、特にばねで付勢された1つ以上のラッチラグ又はスイベルバーを有することが考えられる。ロックデバイスは特に、例えばボタンを作動させることによってロックを手動でリリースできるように設計可能である。
【0040】
有利な展開の範囲内で、チューブリフターは、操作ハンドル、特にリフティングチューブを変位させるために片手で把持することができる操作ハンドルを備えた操作デバイスを有することもできる。操作デバイスは、特にリフティングチューブの一端に配置され、特に保持される。これに関連して、操作デバイスは、特にリフティングチューブとエンドエフェクタとの間に配置される。操作デバイスを有する1つの実施形態では、リフティングチューブ側の結合部、特に収容部を操作デバイス上に配置することができる。例えば、収容部、特にガイドスロットは操作デバイスのハウジングに形成されると考えられる。
【0041】
以下、図を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】チューブリフターの実施形態の概略図を示している。
図2】結合デバイスを1つの視点から説明するための概略図を示している。
図3a】エンドエフェクタ側の結合部を有するエンドエフェクタの斜視図を示している。
図3b】エンドエフェクタ側の結合部を有するエンドエフェクタの側面図を示している。
図4a】リフティングチューブ側の結合部を有する操作デバイスの概略図を斜視図で示している。
図4b】リフティングチューブ側の結合部を有する操作デバイスの概略図を断面図で示している。
図5】第1及び第2の結合部が結合状態にある結合デバイスの概略図を断面図で示している。
図6a】結合デバイスの作動原理を説明するための概略図を示している。
図6b】結合デバイスの作動原理を説明するための概略図を示している。
図7】回転式ロックデバイスを有するチューブリフターのさらなる実施形態のアセンブリの概略図を断面図で示している。
図8図7に示すチューブリフターの概略図を斜視図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の説明及び図面では、それぞれの場合において、同一の特徴又は対応する特徴に同一の参照符号を使用する。
【0044】
図1は、全体として参照符号10で示すチューブリフターの実施形態を示している。図示の例において、チューブリフター10は上位のハンドリングシステム100の一部である。ハンドリングシステム100は、チューブリフター10が保持されるマニピュレータ102を含む。マニピュレータ102は、例として、柱に取り付けられた旋回クレーンとして設計されている。
【0045】
チューブリフター10は、リフティングチューブの長手方向軸14に沿って延びるリフティングチューブ12を含む。図1からわかるように、リフティングチューブ12の長手方向軸14は垂線に相当する。リフティングチューブ12はチューブの内部を囲んでおり、このチューブ内部において、作動状態では真空の供給(詳細は図示せず)により真空が生じる。リフティングチューブ12は、チューブ内部の圧力レベルに応じて、例えば重力の作用下で可逆的に伸縮する。
【0046】
この例では、リフティングチューブ12は第1の(上)端部16においてマニピュレータ102に固定されており、したがってマニピュレータ102により変位可能である。実施形態(図示せず)では、リフティングチューブ12をその上端16において別の支持体又はフレームに接続することも考えられる。
【0047】
チューブリフター10はさらに、物体(図示せず)を把持するためのエンドエフェクタ18を含む。エンドエフェクタ18は、繰り返しリリース可能な態様で結合デバイス20を介してリフティングチューブ12に接続されている(以下に詳しく説明する)。リフティングチューブ12を縮めることにより、エンドエフェクタ18と、エンドエフェクタ18に保持された物体を持ち上げることができる。
【0048】
例として、そして好ましくは、エンドエフェクタ18は物体を吸引するための吸引把持デバイス22として設計される。具体的には、吸引把持デバイス22は、把持される物体と接触する吸引体24を有する(図3b参照)。以下に詳しく説明するように、吸引把持デバイス22には、リフティングチューブ12のチューブ内部を通して真空を供給できることが好ましい。
【0049】
リフティングチューブ12及びエンドエフェクタ18を変位させるために、リフティングチューブ12の第2の(下)端部28には、リフティングチューブ12とエンドエフェクタ18との間に配置された操作デバイス26が設けられている。図2からわかるように、操作デバイス26はハンドル30を含み、このハンドルは特に、操作員が片手で把持できるような形状をしている。
【0050】
前述のように、エンドエフェクタ18を、繰り返しリリース可能な態様で結合デバイス20を介してリフティングチューブ12に接続することができる。結合デバイス20は、リフティングチューブ側の第1の結合部32と、エンドエフェクタ側の第2の結合部34とを有する。この例では、リフティングチューブ側の第1の結合部32は操作デバイス26に配置されている。この点に関して、エンドエフェクタ18を、結合デバイス20によって操作デバイス26に(さらに、操作デバイス26を介してリフティングチューブ12に)接続することができる。
【0051】
エンドエフェクタ側の第2の結合部34は挿入部36を含み、リフティングチューブ側の第1の結合部32は挿入部36を収容するための対応する収容部38を有する。実施形態(図示せず)では、逆の配置も可能である。この意味では、エンドエフェクタ側の第2の結合部34は収容部38を含むことができ、リフティングチューブ側の第1の結合部32は挿入部36を含むことができる。
【0052】
以下に詳しく説明するように、1つの挿入方向40のみに沿っているが、挿入方向40に直交するエンドエフェクタの回転軸42を中心とする任意の回転位置において挿入部36を収容部38に挿入できるように、挿入部36及び収容部38は互いに連携している。
【0053】
挿入方向40は、例として、そして好ましくはリフティングチューブ長手方向軸14に直交して形成されており、この意味で、この例では水平に延びている。したがって、エンドエフェクタ回転軸42は、この例ではリフティングチューブ長手方向軸14と平行に、そしてこの意味で垂直に延びている(図2参照)。
【0054】
挿入部36は突出部44を有し、突出部44は、特にエンドエフェクタ回転軸42と同一直線上にある突出方向46へ、エンドエフェクタ18から離れるように延びており(図2及び図3a参照)、この例では、エンドエフェクタ18の上側48から吸引体24(吸引把持デバイス22)を背にして延びている。
【0055】
図3bからわかるように、突出部は半径方向の張出部50を有する。例として、そして好ましくは、突出部44はエンドエフェクタ回転軸42を中心に回転対称に設計されている。
【0056】
具体例において、突出部44は、第1のシリンダ部52と、突出方向において第1シリンダ部52に隣接する第2のシリンダ部54とを有し、第2のシリンダ部54の直径は第1のシリンダ部52の直径よりも大きい。第2のシリンダ部54(張出部)は半径方向の張出部50を形成している。
【0057】
図5からわかるように、挿入部36(突出部44)は、エンドエフェクタ回転軸42に沿って見てほぼT字型の断面を有する。
【0058】
実施形態(図示せず)において、例えば、突出部44が突出方向46に円錐状に広がることも考えられる。
【0059】
挿入状態において、挿入部36がエンドエフェクタ回転軸42又はリフティングチューブ長手方向軸14に沿って収容部38内にぴったり嵌まって保持されるように、収容部38は挿入部36と相補的に設計されていることが好ましい。
【0060】
例えば、図4aからわかるように、収容部38は挿入方向40に沿って延びるガイドスロット56を含む。ガイドスロット56は挿入部36のためのリニアガイドを形成し、この意味で挿入方向40を画定する。この例では、ガイドスロット56は操作デバイス26のハウジング部60の凹部58として設計されている。
【0061】
図4bに示すように、挿入部36の挿入状態において、収容部38が挿入部36の半径方向張出部50(第2のシリンダ部54)を壁62で取り囲むように、ガイドスロット56は挿入方向40に沿って見て挿入部とほぼ相補的な断面(この例ではほぼC字型)を有する。この意味で、エンドエフェクタ回転軸42又はリフティングチューブ長手方向軸14に沿って有効な、ぴったり嵌まった接続が形成される(図5参照)。
【0062】
挿入部36(突出部44)がエンドエフェクタ回転軸42を中心に回転対称に設計されていることにより、接続状態において、すなわち、挿入部36が収容部38に挿入される場合に、挿入部36、ひいてはエンドエフェクタ18を、エンドエフェクタ回転軸42を中心に回転させることもできる。
【0063】
図4aに示すように、ガイドスロット56(収容部38)は、挿入部36を挿入するための開放端部64と、閉端部66とを有する。閉端部66は挿入部36のための停止部68を形成しており、この点で、収容部38における挿入部36の終端位置を画定する。
【0064】
この例において、停止部68はガイドスロット56の壁70によって形成されている。例として、そして好ましくは、壁70は、エンドエフェクタ回転軸42を中心に、突出部44(挿入部36)の範囲を定める壁72(図3b参照)と相補的に設計されている。ガイドスロット56の壁70も、エンドエフェクタ回転軸42を中心に回転対称に設計されている(図4a及び図4bを参照)。
【0065】
図4aからわかるように、ガイドスロット56(収容部38)は特に、ガイドスロット56の開放端部64がハンドル30を把持する操作員から遠ざかる方向を向くように、すなわち操作デバイス26の前方(近位側)に位置するように、操作デバイス26に対して位置合わせされている。実施形態(図示せず)において、ガイドスロット56を、エンドエフェクタ回転軸42を中心に180°回転させることもできる。この意味で、ガイドスロット56(収容部38)を、ハンドル30(遠位側)を把持する操作員に向けることができる。
【0066】
図6a及び図6bに示すように、エンドエフェクタ18をリフティングチューブ12に結合する操作員は、例えば操作デバイス26(したがって、収容部38)をエンドエフェクタ18に対して挿入方向40とは反対の送り方向73に(図6aの左へ)移動させることにより、挿入部36を挿入方向40に沿って収容部38に押し込むだけでよい。挿入部36がエンドエフェクタ回転軸42を中心に回転対称に設計されているということにより、エンドエフェクタ回転軸42を中心とした異なる角度から収容部38を送り方向73に押して挿入部36に嵌めることができる。
【0067】
図示の実施形態において、結合デバイス20はまた、収容部38における挿入部36の終端位置において、リフティングチューブ12、特にリフティングチューブ12のチューブ内部と、エンドエフェクタ18、特に吸引体24(図5参照)との間に流体接続74が生じるように設計されている。前述のように、流体接続74により、リフティングチューブ12のチューブ内部を通してエンドエフェクタ18、特に吸引体24に真空を供給することが可能になる。
【0068】
図5からわかるように、挿入部36は第1の流体開口部76を有し、収容部38は第2の流体開口部78を有する。これにより、挿入部36が終端位置にあるとき、すなわち停止部68(壁70)に当接するとき、第1の流体開口部76と第2の流体開口部78との間に流体接続が確立される。
【0069】
この場合、第1の流体開口部76は第1の流体チャネル80を介して吸引体24に流体接続される。第1の流体開口部76は、エンドエフェクタ回転軸42を中心として同心状に配置されることが好ましい。具体例において、第1の流体開口部76及び第1の流体チャネル80は、凹部、特にボアによって突出部44に形成されている。この意味で、第1のシリンダ部52及び第2のシリンダ部54は中空のシリンダ部である。
【0070】
収容部38上の第2の流体開口部78は、第2の流体チャネル82を介してリフティングチューブ12のチューブ内部に流体接続されている。例として、そして好ましくは、第2の流体チャネル82は操作デバイス26のハンドル30の中を通ることができる。この意味で、ハンドル30を中空体として設計することができる。
【0071】
第1の流体開口部76及び第2の流体開口部78を封止するために、突出部44は封止部84を有することができる。図3及び図5に示すように、封止部84は、特に突出方向46から見ると、半径方向張出部50(張出部又は第2のシリンダ部54)に隣接することができる。例として、そして好ましくは、封止部84もまた、エンドエフェクタ回転軸42を中心に回転対称に設計されている。そして、収容部38(ガイドスロット56)は相補的な凹部86を有することができる(図4a及び図5参照)。
【0072】
実施形態(図示せず)において、例えば、エンドエフェクタ18が機械式グリッパーとして設計されている場合、流体接続74を設けないことも可能である。この意味で、流体接続74は任意である。
【0073】
図7及び図8は、結合デバイス20が回転式ロックデバイス88を有するチューブリフター10のさらなる実施形態を示している。回転式ロックデバイス88は、結合状態において、エンドエフェクタ回転軸42を中心とする回転に抗してエンドエフェクタ18を固定するように設計されている。
【0074】
図示の例において、回転式ロックデバイス88はラッチデバイスとして設計されており、このラッチデバイスは、ラッチ要素90と、ラッチ要素90をラッチ式に受ける少なくとも1つ、この例では4つのラッチレセプタクル(受け部)92とを含む。ラッチ要素90は、例えばリフティングチューブ側に配置されており、ラッチレセプタクル92はエンドエフェクタ側に配置されている。しかしながら、実施形態(図示せず)において逆の配置も可能である。
【0075】
具体例において、ラッチレセプタクル92は挿入部36に配置されている。例として、そして好ましくは、ラッチレセプタクル92はエンドエフェクタ回転軸42を中心とする円周に沿って分配されるように配置されている。
【0076】
ラッチ要素90及びラッチレセプタクル92は、ラッチ要素90がラッチレセプタクル92のうちの1つに受け入れられると、エンドエフェクタ回転軸42を中心とするエンドエフェクタ18の回転運動が阻止されるように設計されている。
【0077】
図7からわかるように、ラッチ要素90は、例として、そして好ましくはガイドスロット56(収容部38)の閉端部66の領域に配置される。前述のように、ラッチ要素90は、エンドエフェクタ18の挿入方向40への軸方向変位によってラッチ要素90をラッチレセプタクル92に挿入することができ、よって回転ロックを作動させることができるように配置されている。
【0078】
例として、そして好ましくは、ラッチ要素90はピボット軸を中心にピボット可能に保持され、これにより、ラッチ要素90は、図7に示すロック位置(ラッチ要素90がラッチレセプタクル92のうちの1つと係合し、よってエンドエフェクタ回転軸42を中心とするエンドエフェクタ18の回転を阻止する)から、ラッチ要素90がもはやラッチレセプタクル92と係合しない(よって、エンドエフェクタ回転軸42を中心とするエンドエフェクタ18の回転が可能である)リリース位置へ移動又はピボットすることができる。実施形態(図示せず)において、ラッチ要素90を並進可能に取り付けることもできる。
【0079】
例として、そして好ましくは、ラッチ要素90はロック位置で作用される。この例では、ばねデバイス94がこの目的のために設けられている。この意味で、ラッチ要素90は、ばねデバイス94による負荷に抗してリリース位置の方向にピボット可能である。前述のように、リリース位置において、ラッチ要素90は、挿入部36のための停止部68を形成する壁70と同一平面上に配置されることが好ましい(図4a参照)。
【0080】
例えば、ここで、エンドエフェクタ回転軸42を中心とする回転位置で、2つのラッチレセプタクル92の間に配置された挿入部36の部分96がラッチ要素90に面するように、挿入部36が収容部38に挿入されている場合(すなわち、ラッチ要素90がラッチレセプタクル92と位置合わせされていない場合、例えば、図8のエンドエフェクタがエンドエフェクタ回転軸42を中心に45°回転されている場合)、ラッチ要素90は、挿入部36が壁70(終端位置)に当接するまで、ばねのプレストレスに抗してピボット軸を中心にピボットされる。
【0081】
次いで、回転式ロックデバイス88を作動させるために、ラッチレセプタクル92の1つがラッチ要素90と位置合わせされ、ラッチ要素90がばねのプレストレスによってこのラッチレセプタクル92にスナップ嵌めされるまで、エンドエフェクタ18(よって挿入部36)を、エンドエフェクタ回転軸42を中心に回転させることができる。
【0082】
図7からわかるように、結合デバイス20は任意の軸方向ロックデバイス98をさらに含み、軸方向ロックデバイス98は、収容部38からの挿入部36の変位、特に、挿入部36の、終端位置から挿入方向40と反対方向への移動を防止するように設計されている。この例において、軸方向ロックデバイス98はスイベルバー100を含み、スイベルバー100はピボット軸102を中心にピボット可能に操作デバイス26上に保持されている。図7ではスイベルバー100を係止位置で示しており、この係止位置では、挿入方向40に抗する挿入部36の変位が阻止されるように、スイベルバー100は挿入部36のロック部104と特にぴったり嵌まって相互作用している。そして、軸方向ロックデバイス98をリリースするために、(例えば、図7では時計回り方向に、作動部106を作動させることによって)ロック部104がスライドしてスイベルバー100を越えることができるように、ピボットバー100を、ピボット軸102を中心にピボットさせることができる。
【0083】
例として、そして好ましくは、スイベルバー100は、例えばばねデバイス108によって負荷をかけられてロック位置にある。この点に関して、軸方向ロックデバイス98は、挿入部36が終端位置にあるときに自動的に作動するように設計されている。
【0084】
このような軸方向ロックデバイス98を図1図6に示す実施形態に設けることもできる。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7
図8
【外国語明細書】