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特開2024-109545チューブリフター用操作デバイス及びチューブリフター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109545
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】チューブリフター用操作デバイス及びチューブリフター
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
B25J15/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024013064
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】10 2023 102 438.8
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517273548
【氏名又は名称】イョット.シュマルツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンス バート
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン アーブシャット
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ドレーアー
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥル ホッペ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT15
(57)【要約】
【課題】チューブリフターの操作をより直感的に設計する。
【解決手段】本発明はチューブリフター用の操作デバイス(22)に関する。操作デバイスは、リフティングチューブのチューブ内部に流体接続するためのリフティングチューブポート(26)と、エンドエフェクタを操作デバイスに結合するためのエンドエフェクタ結合部と、流体接続を制御するバルブ装置(36)と、バルブ装置を作動させる操作機構とを含む。バルブ装置は、リフティングチューブポート(26)に空気を通すための通気バルブを含み、通気バルブは、開位置と閉位置との間で調整可能なバルブフラップ(50)を有する。操作機構は第1の操作要素(40)及び第2の操作要素(42)を含み、第1及び第2の操作要素はバルブフラップに機械的に結合されており、バルブフラップの開き角度は、第1の操作要素及び/又は第2の操作要素を作動させることによって調整可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドエフェクタ(18)と、チューブ内部(14)を含むリフティングチューブ(12)とを備えたチューブリフター(10)用の操作デバイス(22)であって、前記リフティングチューブ(12)は、前記チューブ内部(14)を真空にすることによって縮み、前記チューブ内部(14)に空気を通すことによって再び伸長することができ、前記操作デバイス(22)は、
前記リフティングチューブ(12)の前記チューブ内部(14)に流体接続するためのリフティングチューブポート(26)と、
前記エンドエフェクタ(18)を前記操作デバイス(22)に結合するためのエンドエフェクタ結合部(30)と、
流体接続を制御するためのバルブ装置(36)と、
前記バルブ装置(36)を作動させるための操作機構(38)と、を備え、
前記バルブ装置(36)は前記リフティングチューブポート(26)に空気を通すための通気バルブ(46)を含み、
前記通気バルブ(46)は、前記リフティングチューブポート(26)から周囲への流路がリリースされる開位置と、前記流路が閉じられる閉位置との間で調整可能なバルブフラップ(50)を有し、前記操作機構(38)は第1の操作要素(40)及び第2の操作要素(42)を含み、前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)は前記バルブフラップ(50)に機械的に結合されており、これにより、前記バルブフラップ(50)の開き角度は、前記第1の操作要素(40)及び/又は前記第2の操作要素(42)を作動させることによって調整可能になっていることを特徴とする、
操作デバイス(22)。
【請求項2】
前記第1の操作要素(40)を作動させることによって前記バルブフラップ(50)を前記閉位置に移動させることができ、前記第2の操作要素(42)を作動させることによって前記バルブフラップ(50)を前記開位置に移動させることができるように、前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)が前記バルブフラップ(50)に機械的に結合されている、請求項1に記載の操作デバイス(22)。
【請求項3】
前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)は、前記操作デバイス(22)上に手動で調節可能に、特に並進方向に移動可能に配置されており、前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)は、前記第1の操作要素の調節運動及び/又は前記第2の操作要素の調節運動が前記バルブフラップの開閉運動に伝達されるように、伝達デバイス(54)を介して前記バルブフラップ(50)に機械的に結合されている、請求項1又は請求項2に記載の操作デバイス(22)。
【請求項4】
前記操作機構(38)、特に前記第1の操作要素(40)、前記第2の操作要素(42)及び/又は伝達デバイス(54)及び/又は前記バルブフラップ(50)は、前記バルブフラップ(50)が設定された構成のままになるようにセルフロック式、特に引き込み式に設計されている、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の操作デバイス(22)。
【請求項5】
前記バルブフラップ(50)は、好ましくは前記バルブフラップ(50)に対して中心に配置されたピボット軸(52)を中心にピボット可能であるように前記操作デバイス(22)上に保持されている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の操作デバイス(22)。
【請求項6】
前記第1の操作要素(40)は第1の接続要素(58)を介して前記バルブフラップ(50)に結合されており、前記第2の操作要素(42)は第2の接続要素(56)を介して前記バルブフラップ(50)に結合されており、前記第1の接続要素(58)及び前記第2の接続要素(56)は、前記ピボット軸(52)に対して互いに対向する前記バルブフラップ(50)の部分において前記バルブフラップ(50)と係合している、請求項5に記載の操作デバイス(22)。
【請求項7】
前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)は作動位置及び非作動位置を特に交互に占めることができ、前記バルブフラップ(50)は前記第1の操作要素(40)の作動位置で閉位置にあり、前記バルブフラップ(50)は前記第2の操作要素(42)の作動位置で開いており、特に開位置にある、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の操作デバイス(22)。
【請求項8】
前記第1の操作要素(40)が前記作動位置の方向に移動されると前記第2の操作要素(42)が前記非作動位置の方向に自動的に移動され、逆もまた同様であるように、前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)は特に前記バルブフラップ(50)を介して機械的に強制的に結合されている、請求項7に記載の操作デバイス(22)。
【請求項9】
前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)が、それぞれの非作動位置とそれぞれの作動位置との間でそれぞれの中立位置を通過し、前記第2の操作要素(42)が前記中立位置にある際、前記第1の操作要素(40)は同様に前記中立位置にあり、特に、前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)の前記中立位置において前記バルブフラップ(50)は開いている、請求項7又は請求項8に記載の操作デバイス(22)。
【請求項10】
前記操作デバイス(22)はハウジング(44)を有し、前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)は前記ハウジング(44)上で特に並進方向に変位可能に保持されており、これによって、前記操作要素(40、42)は、それぞれの作動位置では前記中立位置に対して少なくとも部分的に前記ハウジング(44)に押し込まれ、それぞれの非作動位置では前記中立位置に対して少なくとも部分的にハウジング(44)から突出するようになっている、請求項9に記載の操作デバイス(22)。
【請求項11】
前記操作デバイス(22)は操作ハンドル(24)、特に操作者が片手で把持できる操作ハンドルを含み、前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)は、特に前記第1の操作要素(40)を操作者の手の第1の指、特に人差し指で作動させることができ、前記第2の操作要素(42)を操作者の手の第2の指、特に中指で作動させることができるように前記操作ハンドル(24)上に配置されている、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の操作デバイス(22)。
【請求項12】
前記エンドエフェクタ結合部(30)は、前記エンドエフェクタ(18)に流体接続するための吸引ポート(32)、特に吸引把持デバイス(20)を含み、前記リフティングチューブポート(26)及び前記吸引ポート(32)は流体ガイド(34)を介して互いに流体接続されている、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の操作デバイス(22)。
【請求項13】
前記バルブ装置(36)は、前記リフティングチューブポート(26)と前記吸引ポート(32)との間の流路を遮断又はリリースするための遮断バルブ(60)をさらに有し、前記遮断バルブ(60)は、リリース位置及びブロック位置を占めることができる遮断部材(62)を有し、前記リリース位置では前記リフティングチューブポート(26)と前記吸引ポート(32)との間の流路がリリースされ、前記ブロック位置では前記リフティングチューブポート(26)と前記吸引ポート(32)との間の流路が遮られる、請求項12に記載の操作デバイス(22)。
【請求項14】
前記遮断バルブ(60)の前記遮断部材(62)及び前記通気バルブ(46)の前記バルブフラップ(50)は、前記バルブフラップ(50)が閉位置にある際に前記遮断部材(62)が前記リリース位置にあるように前記第1の操作要素(40)及び/又は前記第2の操作要素(42)を介して互いに機械的に結合されている、請求項13に記載の操作デバイス(22)。
【請求項15】
前記遮断部材(62)は遮断フラップ(64)として設計されており、前記第1の操作要素(40)又は前記第2の操作要素(42)を作動させることによって前記遮断フラップ(64)の開き角度が調整可能であり、特に前記遮断フラップ(64)が前記ブロック位置と前記リリース位置との間で調整可能であるように、前記遮断フラップ(64)は前記第1の操作要素(40)又は前記第2の操作要素(42)に機械的に結合されている、請求項13又は請求項14に記載の操作デバイス(22)。
【請求項16】
前記遮断バルブ(60)はさらに、
前記吸引ポート(32)、特に前記リフティングチューブポート(26)と前記吸引ポート(32)との間の前記流体ガイド(34)に空気を通すための遮断バルブ通気ポート(72)と、
前記遮断バルブ通気ポート(72)を遮るか又はリリースするための閉止部材(74)と、
を含み、前記閉止部材(74)は閉位置及び通気位置を占めることができ、前記遮断バルブ通気ポート(72)は前記閉位置で遮断され、前記通気位置でリリースされる、請求項13~請求項15のいずれか一項に記載の操作デバイス(22)。
【請求項17】
前記遮断部材(62)が前記ブロック位置にあると前記閉止部材(74)が前記通気位置にあり、特に前記遮断部材が前記リリース位置にあると前記閉止部材(74)が前記閉位置にあるように、前記閉止部材(74)は、特に機械的かつ強制的に前記遮断部材(62)に結合されている、請求項16に記載の操作デバイス(22)。
【請求項18】
請求項16が請求項15に従属する場合、前記閉止部材(74)が通気フラップ(76)として設計されており、前記遮断フラップ(64)及び前記通気フラップ(76)は、共通のピボット軸(66)を中心にピボット可能であるように前記操作デバイス(22)上に保持されている、請求項16又は請求項17に記載の操作デバイス(22)。
【請求項19】
特に、前記第1の操作要素(40)が作動位置にあって前記第2の操作要素(42)が非作動位置にある第1の操作構成において、前記バルブフラップ(50)は前記閉位置にあり、前記遮断部材(62)は前記リリース位置にあり、前記閉止部材(74)は前記閉位置にあり、
特に、前記第1の操作要素(40)及び前記第2の操作要素(42)がそれぞれそれらの作動位置とそれらの非作動位置との間の中間位置にあり、好ましくはそれらのそれぞれの中立位置にある第2の操作構成において、前記バルブフラップ(50)は少なくとも部分的に開いており、前記遮断部材(62)は前記リリース位置にあり、前記閉止部材(74)は前記閉位置にあり、
特に、前記第1の操作要素(40)が前記非作動位置にあって前記第2の操作要素(42)が前記作動位置にある第3の操作構成において、前記バルブフラップ(50)は前記開位置にあり、前記遮断部材(62)は前記ブロック位置にあり、前記閉止部材(74)は前記通気位置にある、
ように、前記バルブフラップ(50)、前記遮断部材(62)及び前記閉止部材(74)は前記操作機構(38)を介して互いに機械的に結合されている、請求項16~請求項18のいずれか一項に記載の操作デバイス(22)。
【請求項20】
請求項1~請求項19のいずれか一項に記載の前記操作デバイス(22)を含むチューブリフター(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブリフター用の操作デバイスと、この種の操作デバイスを備えたチューブリフターに関する。
【背景技術】
【0002】
チューブリフターは真空ハンドリングデバイスであり、真空によって荷を持ち上げ、必要に応じて移動させて再び下に置くことができる。持ち上げ力はリフティングチューブによって加えられ、リフティングチューブは、そのチューブ内部を真空にすることによって縮むことができ、その内部に広がる真空をリリースすることによって再び伸長することができる。物体を把持するためのエンドエフェクタは、通常はリフティングチューブの一端に配置されている。これを例えば機械的把持デバイスとすることができるが、特に吸引把持デバイスとすることができる。
【0003】
リフティングチューブ及び/又はエンドエフェクタを操作するために、操作デバイスがリフティングチューブとエンドエフェクタとの間に設けられており、操作デバイスは一般に、チューブ内部及び/又はエンドエフェクタに空気を通すための通気バルブを含んでいる。
【0004】
特許文献1は、手動で作動可能なトリガを有するハンドルを含むチューブリフター用の一般的な操作デバイスを開示している。トリガは、リフティングチューブへの周囲空気の流入を制御する通気バルブを制御する。具体的には、トリガが作動すると、リフティングチューブの周囲からリフティングチューブに空気が供給され、その結果、チューブ内部の圧力が増加し、リフティングチューブは、場合によっては重力の作用下で伸長することができる。トリガがリリースされると通気バルブは再び閉じ、それによって周囲空気のリフティングチューブ内への流入が中断され、その結果リフティングチューブはその終端位置の方向へ再び自動的に収縮する。
【0005】
しかしながら、終端位置へのこの自動的な移動は必ずしも望まれるものではない。代わりに、例えば、この作業高さからワークピースの次の搬送プロセスを準備すべく操作デバイスを把持できるように、チューブリフターが終端位置に移動せず予め設定された吊り高さにとどまると有利になる場合がある。このために、トリガを定められた切換位置にロックし、周囲空気の定められた流入を可能にする別個のラッチレバーを操作デバイス上に設けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008028205号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、チューブリフターの操作をより直感的に設計することである。さらに、信頼性があり、同時に費用効果の高い設計が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する操作デバイスにより本発明に従って達成される。この操作デバイスは、チューブリフターを操作するように設計されている。特に、操作デバイスはチューブリフター用の片手操作デバイスである。この点において、操作デバイスを片手で操作できるように設計することができる。
【0009】
チューブリフターは、特に吸引把持デバイスの形態であるエンドエフェクタと、リフティングチューブとを含む。リフティングチューブはチューブ内部を有する。リフティングチューブは、チューブ内部を真空にすることによって縮むことができ、チューブ内部に空気を通すことにより(すなわち、空気、特に周囲空気をチューブ内部に流し込むことにより)再び伸長することができる。
【0010】
操作デバイスは、リフティングチューブのチューブ内部に流体接続するためのリフティングチューブポートを含む。特に、操作デバイスはさらに、操作デバイスをリフティングチューブに取り付けるための接続デバイスを含む。
【0011】
操作デバイスはまた、エンドエフェクタを操作デバイスに結合するためのエンドエフェクタ結合部を含む。この点に関して、エンドエフェクタは操作デバイスを介してリフティングチューブに接続可能である。エンドエフェクタ結合部は、操作デバイスのリフティングチューブポートと反対の側に配置されることが好ましい。チューブリフターにおいて使用される場合、操作デバイスは特にリフティングチューブとエンドエフェクタとの間に配置される。
【0012】
操作デバイスはまた、流体接続、特にリフティングチューブと周囲との間の流体接続、また必要に応じてリフティングチューブとエンドエフェクタとの間の流体接続を制御するためのバルブ装置も含んでいる。
【0013】
操作デバイスはまた、バルブ装置を作動させるための操作機構も含んでいる。
【0014】
バルブ装置は、リフティングチューブポートに空気を通し、したがって、リフティングチューブが取り付けられている場合はリフティングチューブのチューブ内部に空気を通すための通気バルブを含んでいる。通気バルブは特に、必要に応じて、リフティングチューブポートを操作デバイスの周囲に接続するように設計されている。この点に関して、周囲空気は、通気バルブを介してリフティングチューブポートに流れ込むことができる。
【0015】
通気バルブはバルブフラップを含む。バルブフラップは特に、ピボット(旋回)軸を中心にピボット可能である。バルブフラップは、開位置と閉位置との間で調節可能であり、好ましくは、バルブフラップは、(2つの終端位置としての)開位置と閉位置との間で異なる、特に任意の中間位置又は開き角度をとることができるように調節可能である。
【0016】
バルブフラップの開位置では、リフティングチューブポートから操作デバイスの周囲まで、特に操作デバイスの通気ポートまでの流路がリリースされる。閉位置では、この流路、すなわちリフティングチューブポートと周囲との間の流路が閉じられる。この点に関して、バルブフラップは特に、リフティングチューブポートと周囲又は通気ポートとの間の流路に配置されている。
【0017】
操作機構は、第1の操作要素と、第2の、特に個別に操作可能な操作要素とを含む。第1の操作要素及び第2の操作要素はバルブフラップに機械的に結合されており、これにより、バルブフラップの開き角度は、第1の操作要素及び/又は第2の操作要素を機械的に、特に手動で作動させる、特に押圧することによって調整可能になっており、すなわちバルブフラップが閉位置と開位置との間で調整可能になっている。特に、第1の操作要素を作動させる、特に押圧することによってバルブフラップを閉位置に移動させることができ、第2の操作要素を作動させる、特に押圧することによってバルブフラップを開位置に移動させることができるように、第1の操作要素及び第2の操作要素はバルブフラップに機械的に結合されている。
【0018】
提案する操作デバイスは、チューブリフターの特に直感的な操作を可能にする。特に、リフティングチューブの長さの変化を正確に制御するために、2つの操作要素を有する操作機構によって、構造的にシンプルな操作の可能性が生じ、迅速な取扱プロセスも確実に実行することができる。電気モータによって移動可能なバルブを有する構成とは対照的に、提案する操作デバイスはさらにとりわけ費用効果が高く、設計面で実現が容易である。さらに、操作デバイス上に電源を維持する必要がないため、複雑さがさらに軽減される。
【0019】
第1及び第2の操作要素は、操作デバイス上に手動で調節可能に配置され、特に保持されることが好ましい。特に、第1の操作要素及び第2の操作要素を、並進方向又は回転方向に変位可能な態様、好ましくは直線的に案内される態様で操作デバイスに取り付けることができる。このような設計によって操作をシンプルにでき、また、通気バルブ又はバルブフラップがどのバルブ位置にあるか操作員に直接フィードバックすることができる。操作デバイスは、都合のよいことに、特に操作ハンドルの形態のハウジングを有することができる。そして、第1の操作要素及び第2の操作要素をハウジング、特に操作ハンドル上に変位可能に取り付けることができる。
【0020】
有利なことに、第1の操作要素及び第2の操作要素はそれぞれ、特に、(操作要素の手動による作動の結果としての)第1の操作要素の調節運動及び/又は第2の操作要素の調節運動がバルブフラップの調節運動(開放運動又は閉止運動)に伝達されるように、伝達デバイスを介してバルブフラップに機械的に結合されることが可能である。
【0021】
特に有利な展開の範囲内で、操作機構、特に第1の操作要素、第2の操作要素及び/又は前述の伝達デバイスは、バルブフラップが設定された構成のままになるように、すなわち、特に第1の操作要素及び第2の操作要素がリリースされた際にバルブフラップが初期構成に自動的に戻らないように、セルフロック式であり、特に機械的に制動されるように設計されている。例えば、第1の操作要素、第2の操作要素及び/又は伝達デバイスは引き込み式で取り付けられることが考えられる。この代わりに、又はこれに加えて、バルブフラップをセルフロック式に設計したり、それに対応して取り付けたりもできる。このような実施形態によってリフティングチューブの吊り下げ位置を実現することができる。操作デバイスがリリースされてもバルブフラップはその設定された構成のままであるため、リフティングチューブは通常のような(縮んだ)終端位置に自動的に移動せず、バルブフラップの開位置に対応する平衡位置に留まる。このように、エンドエフェクタを人間工学的に好ましい作業高さに「留まらせ(parked)」、例えばこの作業高さから操作デバイスを把持して被工作物の次の搬送プロセスを準備できるようにすることができる。また、リフティングチューブの制御されない収縮を防ぐことができる。
【0022】
バルブフラップは特に、ピボット軸を中心にピボット可能であるように操作デバイスに取り付けられている。ピボット軸は、バルブフラップ面に延びるか又はバルブフラップ面からある距離をおいて延びることができる。有利なことに、第1の操作要素及び第2の操作要素は、(操作要素の手動による作動の結果としての)第1の操作要素の、特に並進方向の調節運動及び/又は第2の操作要素の、特に並進方向の調節運動がピボット軸を中心とするバルブフラップのピボット運動に伝達されるように、伝達デバイスを介してバルブフラップに機械的に結合されることが可能である。
【0023】
都合のよいことに、バルブフラップを中央に取り付けることができる。この点に関して、バルブフラップは、バルブフラップに対して中心に配置されたピボット軸を中心にピボット可能であるように、操作デバイス上に保持されることが可能である。換言すると、バルブフラップがピボット軸を中心にピボットされると、ピボット軸に対して互いに向かい合うバルブフラップの両端部がピボット軸を中心に共通の円形経路上を移動するように、バルブフラップは、ピボット軸を中心にピボット可能であるように操作デバイス上に保持されることが好ましい。このような実施形態は、バルブフラップの一方の側が真空になった場合でもバルブフラップに移動力がかからないという利点を有し、これによってバルブフラップの意図しない作動のリスクが低減され、よって吊り下げの制御がさらに改善される。バルブフラップが円板の形に設計されていると特に有利になりうる。そうすると、ピボット軸はバルブフラップの円の中心を通って延びることができる。
【0024】
有利な展開の範囲内で、第1の操作要素を、第1の接続要素、特に第1の接続ロッドを介してバルブフラップに機械的に結合、特に接続することができる。第2の操作要素を、第2の接続要素、特に第2の接続ロッドを介してバルブフラップに機械的に結合、特に接続することができる。第1及び第2の接続要素は、バルブフラップの同じ側であるが、バルブフラップのピボット軸に対するバルブフラップの対向部分上でバルブフラップと係合していることが好ましい。この点において、第1の接続要素がバルブフラップの第1の部分と係合し、第2の接続要素がバルブフラップの第2の部分と係合し、第1の部分及び第2の部分がバルブフラップのピボット軸に対して互いに向かい合って配置されていると有利になりうる。このような実施形態により、構造的にシンプルかつ信頼性の高い態様でバルブフラップの開き角度を調整することが可能になる。
【0025】
これに関連して、第1の操作要素及び第2の操作要素はそれぞれ、これらに関連する接続要素とバルブフラップの双方にピボット可能に取り付けられることが考えられる。この点に関して、第1の接続要素を第1の操作要素及びバルブフラップの双方にピボット可能に取り付けることができ、第2の接続要素を第2の操作要素及びバルブフラップの双方にピボット可能に取り付けることができる。
【0026】
第1の操作要素及び第2の操作要素が作動位置及び非作動位置を特に交互に占めることができる場合、特に直感的な操作が可能になる。特に、バルブフラップは、第1の操作要素の作動位置で閉位置にあり、第2の操作要素の作動位置で開いており、特に開位置にある。この文脈において、「交互に」は特に、第1の操作要素が作動位置にあるときは第2の操作要素は作動位置になく、好ましくは非作動位置にあり、逆もまた同様であることを意味している。このような実施形態はさらに、特に直感的な操作に貢献する。また、第1及び第2の操作要素の同時の作動、すなわち第1及び第2の操作要素の作動位置への同時の移動を防ぐことができるため、誤操作を回避することができる。
【0027】
これに関連して、第1の操作要素が作動位置の方向に移動される(すなわち、第1の操作要素が作動する)と第2の操作要素が非作動位置の方向に強制的に移動され、逆もまた同様であるように、第1の操作要素及び第2の操作要素が特にバルブフラップを介して機械的かつ強制的に結合されると特に有利になりうる。このようにして、誤操作のリスクをさらに低減することができる。第1の操作要素が作動位置にある際に第2の操作要素が非作動位置にあり、逆もまた同様であるように、第1の操作要素及び第2の操作要素を、特にバルブフラップを介して機械的に強制的に結合できることが好ましい。
【0028】
作動位置及び非作動位置はそれぞれ操作要素の各終端位置であることが好ましい。前述のように、操作要素を、例えば並進方向又は回転方向に変位可能であるように、特に直線的に案内されるように操作デバイスに取り付けることができる。そして、作動位置及び非作動位置は、操作要素の調整範囲又はピボット範囲のそれぞれの終端位置を定めることができる。
【0029】
さらに、第1の操作要素及び第2の操作要素が、それらのそれぞれの作動位置と非作動位置との間でそれぞれの中立位置を通過すると有利になりうる。この点において、操作要素はそれぞれ、作動位置、非作動位置及び中間の中立位置を占めることができる。第1の操作要素が中立位置にある際に第2の操作要素も同様に中立位置にあるように、第1の操作要素及び第2の操作要素は同期され、特に強制的に結合されることが好ましい。
【0030】
バルブフラップは、第1及び第2の操作要素の中立位置において少なくとも部分的に開いていることが好ましい。この点に関して、第1及び第2の操作要素が中立位置にある際にバルブフラップが開位置と閉位置との間で開き角度をとるように、作動機構を設計することができる。操作要素の中立位置におけるバルブフラップの開き角度は、特にリフティングチューブが所定の長さ(吊り下げ位置)になるように選択されることが可能である。
【0031】
前述のように、操作デバイスは、第1及び第2の操作要素が変位可能に取り付けられ、特に直線的に案内されるハウジングを都合よく有することができる。したがって、第1及び第2の操作要素がハウジング上で変位可能に取り付けられ、特に直線的に案内されており、これによって、操作要素が、それらの中立位置に対するそれぞれの作動位置では少なくとも部分的にハウジングに挿入され、それらの非作動位置ではそれらの中立位置に対して少なくとも部分的にハウジングから突出するようになっていると特に有利になりうる。このように、対応する操作要素の操作位置、ひいてはバルブ装置のバルブ位置に対する直接的な触覚フィードバックを構造的にシンプルな態様で操作員に提供することができ、これによって直感的な操作がさらに改善され、誤操作が軽減される。
【0032】
また、ハウジングが、操作デバイスを手動で把持するための操作ハンドル、特に片手のみで把持できるハンドルを含むと特に有利になりうる。そして特に、第1の操作要素を手の第1の指、特に人差し指で作動させることができ、第2の操作要素を手の第2の指、特に中指で作動させることができるように、第1及び第2の操作要素を操作ハンドル上に配置することができる。例えば、ハウジングはピストルグリップ様の操作ハンドルを含むことができ、第1及び第2の操作要素は操作ハンドル上にピストルの引き金のように設けられる。
【0033】
有利な展開の範囲内で、エンドエフェクタ結合部は、エンドエフェクタ、特に吸引把持デバイスに流体接続するための吸引ポートを含むことができる。その場合、リフティングチューブポート及び吸引ポートが、特にチューブ又は吸引チューブの形態で流体ガイドを介して互いに流体接続されていると有利になりうる。操作デバイスは、この点において、吸引ポートとリフティングチューブポートとの間に流体接続又は流体ラインを有することができる。例えば、流体ガイドを吸引チューブライン又はチューブの形態で設計することができる。このような実施形態により、特に吸引把持デバイスとしての実施形態の場合、リフティングチューブを通してエンドエフェクタに真空を供給することができる。
【0034】
これに関連して、バルブ装置が、特に流体ガイドによってリフティングチューブポートと吸引ポートとの間の流路を遮断又はリリースするための遮断バルブをさらに含むと有利になりうる。遮断バルブをチューブリフターにおいて使用する場合、必要に応じてリフティングチューブとエンドエフェクタとを互いに流体的に分離するように遮断バルブを設計することができる。したがって、吸引把持デバイスとしてのエンドエフェクタの実施形態では、吸引把持デバイスの吸引体に真空が供給されるか否かを、例えば遮断バルブを介して制御することができる。
【0035】
遮断バルブは、リリース位置及びブロック位置を占めることができる遮断要素、特に遮断フラップを有することができる。リリース位置ではリフティングチューブポートと吸引ポートとの間の流路がリリースされ、ブロック位置ではこの流路は閉じられる。遮断部材は、吸引ポートとリフティングチューブポートとの間にある前述の流体ガイドを閉じるように設計されていることが好ましい。
【0036】
第3の操作要素を介して遮断バルブを作動することができる。しかしながら、遮断バルブを第1及び/又は第2の操作要素によって作動することができると特に有利であり、操作がシンプルになる。
【0037】
遮断バルブの遮断部材及び通気バルブのバルブフラップは、特に、通気バルブのバルブフラップが閉位置にある際に遮断部材がリリース位置にあるように第1の操作要素及び/又は第2の操作要素を介して機械的に結合されていると特に有利になりうる。吸引把持デバイスを含むチューブリフターにおいて操作デバイスを使用する場合、例えば、吸引把持デバイスを特にたった1回の操作で把持物(物体)の上に配置した後、遮断部材をリリース位置に移動させることができ(この点に関して、吸引把持デバイスには真空が供給され、物体が吸引される)、これと同時に通気バルブを閉位置に移動させることができる(蓄積する真空によって上昇チューブが収縮し、そのため物体は上昇する)。
【0038】
その構造がシンプルであり、操作が確実である設計の文脈において、遮断部材を遮断フラップとして設計することができる。特に、リフティングチューブポートと吸引ポートとの間の流体ガイドの開口部を選択的にリリースするか又は閉じるように遮断フラップを設計することができる。そして、第1の操作要素又は第2の操作要素を作動させることによって遮断フラップの開き角度が調整可能であり、特に遮断フラップがブロック位置とリリース位置との間で調整可能であるように、遮断フラップを第1の操作要素又は第2の操作要素に機械的に結合することができる。
【0039】
吸引把持デバイスによって吸引された物体のリリースを容易にするために、遮断バルブがさらに、吸引ポートに空気を通し、特にリフティングチューブポートと吸引ポートとの間の流体ガイドに空気を通すための遮断バルブ通気ポートを含むと有利になりうる。
【0040】
次いで、遮断バルブは、遮断バルブ通気ポートを選択的にリリースするか又は遮るように設計された閉止部材を有することができる。閉止部材は特に、遮断バルブ通気ポートが閉止される閉位置と、遮断バルブ通気ポートが開かれる通気位置とを有する。
【0041】
有利なことに、遮断部材がブロック位置にあると閉止部材が特に通気位置にあり、特に操作デバイスの周囲と吸引ポートとの間に流体接続が生じるように、閉止部材を遮断部材に、特に機械的かつ強制的に結合することができる。さらに、遮断部材がリリース位置にあると閉止部材が閉位置にあり、特に周囲と吸引ポートとの間の流体接続が遮られることが有利になりうる。
【0042】
周囲空気が吸引ポートに流れ込み、特にリフティングチューブポートと吸引ポートとの間の流体ガイドに流れ込むことができるように、遮断バルブ通気ポートを操作デバイスの周囲に対して開くことができる。遮断バルブ通気ポートを、圧力流体供給源、特に圧縮空気供給源に接続することも考えられる。このようにして、吸引把持デバイスによって保持された物体の迅速なセットダウン(下に置くこと)又はリリースを容易にすることができる。
【0043】
閉止部材を通気フラップとして有利に設計することができる。その場合、遮断フラップ及び通気フラップが共通のピボット軸を中心にピボット可能であるように操作デバイス上に保持されていると有利であり、これによって2つのフラップをシンプルかつ確実に調整することが可能になる。
【0044】
特に有利な実施形態に関連して、バルブフラップ、遮断部材及び閉止部材を以下のようになるよう互いに機械的に結合することができる。
操作要素の第1の操作構成において、通気バルブのバルブフラップは閉位置にあり、遮断部材はリリース位置にあり、閉止部材は閉位置にあり、
操作要素の第2の操作構成において、通気バルブのバルブフラップは少なくとも部分的に開いており、遮断部材はリリース位置にあり、閉止部材は閉位置にあり、
操作要素の第3の操作構成において、バルブフラップは開いており(特に、第2の操作構成よりもさらに開いており、好ましくは開位置にある)、遮断部材はブロック位置にあり、閉止部材は通気位置にある。
【0045】
第1の操作構成では、第1の操作要素は好ましくは作動位置にあり、第2の操作要素は非作動位置にある。第2の操作構成では、第1及び第2の操作要素は好ましくはそれぞれの作動位置とそれぞれの非作動位置との間の中間位置にあり、さらに好ましくはそれぞれの中立位置にある。第3の操作構成では、第1の操作要素は好ましくは非作動位置にあり、第2の操作要素は作動位置にある。
【0046】
これら3つの操作構成は特に、第2の操作要素を作動させ、特に押圧すると次々に実行することができる。第3の操作構成(吸引把持デバイスに空気が通され、よって吸引された物体が取り外される)に達した際に関する触覚フィードバックを操作員に与えるために、第2の操作要素が作動方向と反対に、特にばね荷重されて作用され、第2の操作要素を第2の操作構成から第3の操作構成に移行させるために、特に作動位置に移行させるために負荷を克服しなければならないようにすると有利になりうる。負荷は圧力点として感じとることができ、操作員に触覚フィードバックを与える。
【0047】
前述の目的はまた、前述の操作デバイスを有するチューブリフターによっても達成される。操作デバイスと併せて上記に説明した操作デバイスの特徴及び利点はチューブリフターの設計にも役立つため、繰り返しを避けるために前述の開示内容を参照することができる。
【0048】
チューブリフターは特にリフティングチューブを含み、このリフティングチューブはチューブ内部を有し、チューブ内部を真空にすることによって縮むことができ、チューブ内部に空気を通すことにより再び伸長することができる。チューブリフターは、物体を把持するためのエンドエフェクタ、特に吸引把持デバイスの形態のエンドエフェクタをさらに含む。エンドエフェクタには特に、リフティングチューブのチューブ内部を通して真空を供給することができる。前述のように、操作デバイスはリフティングチューブとエンドエフェクタとの間に配置され、リフティングチューブはリフティングチューブポートに流体接続されており、エンドエフェクタはエンドエフェクタ結合部に接続されていることが好ましい。
【0049】
本発明は、図面を参照して以下により詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】チューブリフターの実施形態の概略図を示している。
図2図1によるチューブリフターの、操作デバイスの領域における拡大詳細図を示している。
図3図2による操作デバイスの概略を側面図で示している。
図4a】操作要素の異なる作動位置を説明するための、図3による操作デバイスの概略図を示している。
図4b】操作要素の異なる作動位置を説明するための、図3による操作デバイスの概略図を示している。
図4c】操作要素の異なる作動位置を説明するための、図3による操作デバイスの概略図を示している。
図5a】遮断バルブを有する操作デバイスのさらなる実施形態の簡易概略図を示している。
図5b】遮断バルブを有する操作デバイスのさらなる実施形態の簡易概略図を示している。
図5c】遮断バルブを有する操作デバイスのさらなる実施形態の簡易概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の説明及び図面では、それぞれの場合において、同一の特徴又は対応する特徴に同一の参照符号を使用する。
【0052】
図1は、全体として参照符号10で示すチューブリフターの実施形態を示している。チューブリフター10は、チューブ内部14を囲むリフティングチューブ12を含んでいる。リフティングチューブ12は、チューブ内部14を真空にすることによって縮めることができ、チューブ内部14に空気を通すことによって再び伸長させることができる。換言すると、リフティングチューブ12は、チューブ内部14の圧力レベルに応じて、例えば重力の作用下で可逆的に伸縮する。
【0053】
リフティングチューブ12を、第1の(上)端部16において支持体又はフレームに接続することができる。リフティングチューブ12は、上端部16において、例えば柱付けピボットクレーンの形態でマニピュレータに固定され、したがってマニピュレータにより変位可能であることも考えられる。
【0054】
チューブリフター10はさらに、物体(図示せず)を把持するためのエンドエフェクタ18を含む。図示の例では、エンドエフェクタ18は物体を吸引するための吸引把持デバイス20として設計されていることが好ましい。以下に詳しく説明するように、エンドエフェクタ18(吸引把持デバイス20)には、リフティングチューブ12のチューブ内部14を通して真空を供給できることが好ましい。リフティングチューブ12を縮めることにより、吸引把持デバイス20と、(ひいては)吸引把持デバイス20によって吸引された物体を持ち上げることができる。
【0055】
チューブリフター10を操作するために、操作デバイス22が設けられている(詳細図として図2及び図3を参照)。操作デバイス22は、リフティングチューブ12とエンドエフェクタ18との間に配置されている。操作デバイス22は、リフティングチューブ12の第2の(下)端部23に保持されていることが好ましい。
【0056】
図2及び図3を参照して、操作デバイス22の実施形態を以下により詳しく説明する。
【0057】
操作デバイス22は操作ハンドル24(ハンドル)を含み、このハンドルは特に、操作員が片手で把持できるように設計されている。この点において、操作デバイス22は特に片手用の操作デバイスである。
【0058】
操作デバイス22は、リフティングチューブ12のチューブ内部14に流体接続するためのリフティングチューブポート26をさらに含む(図3参照)。リフティングチューブポート26を特にリフティングチューブ結合部28の一部とすることができ、リフティングチューブ結合部28はまた、操作デバイス22をリフティングチューブに機械的に接続するための接続デバイスを含んでいる。
【0059】
リフティングチューブポート26の反対側において、操作デバイス22はエンドエフェクタ18を結合するためのエンドエフェクタ結合部30を有する(図3参照)。この例において、エンドエフェクタ結合部30はまた、エンドエフェクタ18に流体接続するための任意の吸引ポート32を含んでいる。以下に詳しく説明するように、吸引ポート32は任意の管状の流体ガイド34によりリフティングチューブポート26に流体接続されており、よって、リフティングチューブ12を通して吸引ポート32に真空を供給することができる。
【0060】
操作デバイス22は、流体接続を制御するためのバルブ装置36をさらに含む(これについても以下に詳しく説明する)。バルブ装置36は、特に操作デバイス22のハウジング44内に配置されている(図2参照)。バルブ装置36を作動させるために、第1の操作要素40及び第2の操作要素42を含む操作機構38が設けられており、その機能についても以下により詳しく説明する。
【0061】
図2にみられるように、第1の操作要素40及び第2の操作要素42は、操作ハンドル24上に互いに別々に配置されており、その上で(ピストルの引き金のように)ピボット可能に取り付けられている。操作員が片手を使って操作ハンドル24を把持することができ、この場合はこの手で操作要素40、42を作動させる(例えば、第1の操作要素40を人差し指で、第2の操作要素42を中指で作動させる)ことができるように、操作ハンドル24が形づくられていることが好ましい。
【0062】
以下に詳しく説明するように、操作要素40、42は、それぞれの作動位置とそれぞれの非作動位置との間をピボット可能である。例えば、図4cは、第1の操作要素40が作動位置にあり、第2の操作要素42が非作動位置にある操作構成を示している。対照的に、図4bは、第2の操作要素42が作動位置にあり、第1の操作要素40が非作動位置にある例示的な操作構成を示している。これらの2つの終端位置(作動位置及び非作動位置)間で、操作要素40、42はそれぞれ中立位置(図4a参照)を通過する。
【0063】
実施形態(図示せず)において、第1の操作要素40及び第2の操作要素42は、並進方向に変位可能になるように操作ハンドル24上に配置することもでき、特に直線的にガイドされる。この点に関して、操作要素40、42を、それぞれの作動位置とそれぞれの非作動位置との間で直線的に変位可能とすることができる。
【0064】
以下に詳しく説明するように、第1の操作要素40が作動位置の方向に移動されると(すなわち、第1の操作要素が作動すると)、第2の操作要素42が非作動位置の方向に自動的に移動され、逆もまた同様であるように、第1の操作要素40及び第2の操作要素42は機械的に強制的に結合されている。
【0065】
図3にみられるように、操作ハンドル24は、例として、そして好ましくはハウジング44を有する中空体として設計されている。そして、操作要素40、42は、(非作動位置から開始して作動位置の方向に)押されてハウジング44に入ることが可能になるように、操作ハンドル24上に保持されることが好ましい。
【0066】
バルブ装置36は、リフティングチューブポート26に空気を通し、したがってリフティングチューブ12のチューブ内部14に空気を通すための通気バルブ46を含んでいる。具体的には、リフティングチューブポート26から周囲への流路を通気バルブ46によって選択的にリリース又は遮ることができる。図示の例において、通気バルブ46は、必要に応じてリフティングチューブポート26とリフティングチューブ通気ポート48との間の流体接続をリリース又は遮るように設計されている。一例として、リフティングチューブ通気ポート48は、操作ハンドル24の領域(特に操作ハンドル24のハウジング44)における対応する開口部49によって形成されている(図3参照)。
【0067】
通気バルブ46は、開位置(図4b参照)及び閉位置(図4c参照)を占めることのできるバルブフラップ50を含む。開位置では、リフティングチューブポート26からリフティングチューブ通気ポート48、ひいては操作デバイス22の環境への流路がリリースされる。閉位置では、この流路は閉じている。バルブフラップ50は、これらの2つの極端な位置(開位置と閉位置)の間を特に連続して調整可能である。
【0068】
図3からわかるように、バルブフラップ50は、ピボット軸52を中心にピボット可能であるように操作デバイス22に取り付けられている。図示の例では、ピボット軸52はバルブフラップ面内を通っている。しかしながら、実施形態(図示せず)では、ピボット軸52をバルブフラップ面から離間させることもできる。
【0069】
例として、そして好ましくは、ピボット軸52は中心に配置されている。特に、バルブフラップ50は円板の形態で設計されており、ピボット軸52は円の中心を通って延びている。
【0070】
第1の操作要素40又は第2の操作要素42を作動させることによってバルブフラップ50がピボット軸52を中心にピボットすることができ、したがってバルブフラップ50の開き角度を調整することができるように、第1の操作要素40及び第2の操作要素42は伝達デバイス54を介してバルブフラップ50に機械的に結合されている。
【0071】
この特定の例において、第1の操作要素40は(例えば第1の接続ロッドの形態である)第1の接続要素58を介してバルブフラップ50に接続されており、第2の操作要素42は(例えば第2の接続ロッドの形態である)第2の接続要素56を介してバルブフラップ50に接続されている。この点において、第1の操作要素40及び第2の操作要素42は、バルブフラップ50を介して互いに強制的に結合されている。
【0072】
第1の接続要素58は第1の操作要素40及びバルブフラップ50の双方にピボット可能に取り付けられており、第2の接続要素56は第2の操作要素42及びバルブフラップ50の双方にピボット可能に取り付けられている。
【0073】
図3からわかるように、接続要素56、58は、ピボット軸52に対して互いに向かい合うバルブフラップ50の部分と係合する。このように、操作要素40又は42がその作動位置の方向に移動されると(すなわち、この操作要素40又は42がハウジング44内に押し込まれると)、もう一方の操作要素40又は42が非作動位置の方向に移動される(したがって、ハウジング44から押し出される)ように、第1の操作要素40及び第2の操作要素42の強制的な結合が実現されている。
【0074】
前述のように、操作デバイス22がリリースされてもバルブフラップ50が設定された構成のままであり、よってリフティングチューブが予め設定された長さ(吊り下げ位置)のままであるように、操作機構38、特に第1の操作要素40、第2の操作要素42、及び/又は伝達デバイス54、及び/又はバルブフラップ50はドラッグ(引き込み)式で取り付けられている。
【0075】
図4a~図4cを参照しながら、例示的な操作構成に基づいて、操作機構38及び通気バルブ46の正確な機能を以下により詳しく説明する。
【0076】
図4aは、第1の操作要素40及び第2の操作要素42の双方が中立位置にある操作デバイス22の例示的な操作構成を示している。この中立位置において、バルブフラップ50は少なくとも部分的に開いており、これにより周囲空気はリフティングチューブ12のチューブ内部14に流れ込むことができる。例として、そして好ましくは、中立位置において、リフティングチューブ12が定められた吊り下げ始動位置(最大引出位置と最大引込位置との間)に保持されるように周囲空気の流入を設定することができる。
【0077】
この操作構成から開始して、例えば第2の操作要素42がここで作動した(すなわち、第2の操作要素42がその作動位置に向かって押された)場合、バルブフラップ50はさらに開かれ、よって周囲空気はリフティングチューブ12のチューブ内部14にますます流れ込み、これによりリフティングチューブが伸長する(図4b参照)。前述した、第1の操作要素40と第2の操作要素42との間の強制的な結合の結果、第1の操作要素40は非作動位置に自動的に移動される(すなわちハウジング44から押し出される)(図4b参照)。
【0078】
リフティングチューブ12を再び縮めるために、操作員は、図4bによる操作構成から開始して第1の操作要素40を作動させる(すなわち、ハウジング44に押し込む)ことができ、これによってバルブフラップ50は閉位置に移動される(図4c参照)。周囲空気、すなわち少量の周囲空気のみがチューブ内部14に流れ込むため、リフティングチューブ12内の真空度が上がり、リフティングチューブ12が収縮する。図4b及び図4cの比較でわかるように、第1の操作要素40が作動すると、第2の操作要素42は、バルブフラップ50を介した強制的な結合の結果として非作動位置に移動される(すなわち、ハウジング44から押し出される)。
【0079】
原則として、吸引把持デバイス20には別個の真空供給源を介して真空を供給することができる。しかしながら、吸引把持デバイス20には、任意の流体ガイド34及び吸引ポート32を介して真空が供給されることが好ましい。これに関連して、制御バルブ(図示せず)を吸引把持デバイス20自体に設けることが可能であり、この制御バルブを介して、吸引ポート32を介する真空供給を(物体を吸引して把持するために)選択的にリリースしたり、(物体を下に置くために)遮ったりすることができる。
【0080】
図5a~図5cは、操作デバイス22において吸引把持デバイス20への真空供給のこのような制御が実現される、さらなる実施形態の簡易概略図を示している。図5a~図5cによる操作デバイス22は、遮断バルブ60がさらに設けられていることを除いて図3による操作デバイス22とほぼ同じである。わかりやすくするため、操作デバイス22の種々の特徴についての繰り返しの説明は割愛する。また、以下に説明する技術的特徴及び利点を理解するために必要な操作デバイス22の構成要素のみを図5a~図5cに示す。
【0081】
図5aに示すように、バルブ装置36は、リフティングチューブポート26と吸引ポート32との間の流路を遮断又はリリースするための遮断バルブ60を含む。遮断バルブ60は、リリース位置(図5a参照)及びブロック位置(図5c参照)を占めることのできる遮断部材62を含む。図示の例において、遮断部材62は、ピボット軸66を中心に操作デバイス22上でピボット可能に保持された遮断フラップ64として設計されている。遮断フラップ64は、流体ガイド34の開口部68を選択的に閉じる(ブロック位置、図5c参照)か又はリリースする(リリース位置、図5a参照)ように設計されている。
【0082】
遮断フラップ64は、伝達デバイス70(図5a~5cでは概略的にのみ示されている)を介して第2の操作要素42に機械的に結合されており、これによって遮断フラップ64の開き角度を調整することができ、したがって、第2の操作要素42を作動させることで遮断バルブ60を作動できるようになっている(わかりやすくするため、第1の操作要素40は図4a~4cに示していない)。図示しない実施形態では、適宜、第1の操作要素40に、又は第1及び第2の操作要素40、42に遮断フラップ64を機械的に結合することも可能である。
【0083】
図示の例において、遮断バルブ60は、吸引ポート32に空気を通すための任意の遮断バルブ通気ポート72(図5a~図5cには概略的にのみ示す)も含んでいる。図5aからわかるように、遮断バルブ通気ポート72は流体ガイド34を周囲に接続するように設計されている。
【0084】
また、遮断バルブ60は、例として、そして好ましくは、閉位置(遮断バルブ通気ポート72、図5a参照)及び通気位置(遮断バルブ通気ポート72、図5c参照)を占めることができる、通気フラップ76の形の閉止部材74を含む。
【0085】
以下に詳しく説明するように、閉止部材74(通気フラップ76)は遮断部材62(遮断フラップ64)に機械的に強制的に結合されており、これによって、遮断フラップ64がブロック位置にある際に通気フラップ76は遮断バルブ通気ポート72がリリースされる通気位置にあり(図5c参照)、そして遮断フラップ64がリリース位置にある際に通気フラップ76は遮断バルブ通気ポート72が遮断される閉位置にあり、よって周囲と吸引ポート32との間の流体接続が遮断されるようになっている。このために、図示の例では、遮断フラップ64及び通気フラップ76は、共通のピボット軸66を中心として互いにピボット可能に接続されている。
【0086】
図5a~図5cを参照して、通気バルブ46及び遮断バルブ60の協働を例示的な操作構成に基づいて以下により詳しく説明する。
【0087】
図5aは、第2の操作要素42が非作動位置にあり、よって第1の操作要素40(図示せず)が作動位置にある第1の操作構成を示している。図5aからわかるように、この操作構成において、バルブフラップ50は閉位置に位置し、遮断フラップ64はリリース位置に位置し、通気フラップは閉位置に位置している。この操作構成において、吸引ポート32、ひいてはその上に配置されたエンドエフェクタ18には流体ガイドを介して真空が供給され、これにより物体を吸引することができる。バルブフラップ50が閉位置にあり、したがって周囲空気がチューブ内部14に全く流れないか又はわずかにしか流れないことにより、チューブ内部14内の真空度が上がり、よってリフティングチューブ12が縮まる。第1の操作構成は、この意味では物体の持ち上げに適している。
【0088】
図5bは、第2の操作要素42が非作動位置と作動位置との間の中間位置、例えば前述の中立位置に位置し、よって第1の操作要素40も中間位置、例えば中立位置に位置する第2の操作構成を示している。図5bからわかるように、この操作構成において、バルブフラップ50は少なくとも部分的に開いた位置に位置し、遮断フラップ64はリリース位置に位置し、通気フラップ76は閉位置に位置している。この操作構成において、吸引ポート32、ひいてはそれに接して配置されたエンドエフェクタ18には流体ガイドを介して真空が供給され、これにより物体を吸引することができる。バルブフラップ50が開いているため、周囲空気がチューブ内部14に流れ込み、これにより、図5aによる構成と比較してチューブ内部の圧力が上昇し、その結果リフティングチューブ12が伸長する。第2の操作構成は、この意味ではチューブリフター10を下降させるための操作構成である。
【0089】
図5cは、第2の操作要素42が作動位置にあり、したがって第1の操作要素40が非作動位置にある第3の操作構成を示している。図5cからわかるように、この操作構成において、バルブフラップ50は開位置に位置し、遮断フラップ64は閉位置に位置し、通気フラップ76は通気位置に位置している。この操作構成において、吸引ポート32、ひいてはそれに接して配置されたエンドエフェクタ18には、遮断バルブの通気ポート72を介して空気が通され、これにより、吸引した物体を下に置くことができる。第3の操作構成は、この意味では物体を下に置くための操作構成である。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
【外国語明細書】