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特開2024-109561強化されたコーティング分注制御のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109561
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】強化されたコーティング分注制御のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/00 20060101AFI20240806BHJP
   B05B 12/08 20060101ALI20240806BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240806BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20240806BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20240806BHJP
【FI】
B05D3/00 D
B05B12/08
B05C11/10
B05C9/14
B05B12/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024065330
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2020525992の分割
【原出願日】2018-11-02
(31)【優先権主張番号】62/584,622
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ヴェイヴェル ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】フランケン ロニー
(72)【発明者】
【氏名】クニッペンベルグ マルク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コーティング分注制御を強化するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】分注システムは、材料を一連の基材に塗布するように構成される。分注システムは、動作パラメータの第1の値に従って、第1の材料量を第1の基材に塗布する。センサは、第1の基材上に塗布された第1の材料量の特性を測定するために使用される。第1の基材上に塗布された第1の材料量の特性に基づいて、一連の基材中の後続の基材上に塗布された後の材料量の特性が範囲外になると推定され得る。これに応答して、動作パラメータの値が調節され、第2の材料量が第2の基材に塗布される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注システムを制御するための方法であって、前記分注システムは、コントローラによって動作され、前記分注システムを通って移動される一連の基材に液体又は粘性材料を塗布するように構成された分注デバイスを有し、
当該方法は、
前記分注システムの動作パラメータの第1の値に従って、前記分注デバイスを動作させて、第1の材料量を前記一連の基材の第1の基材に塗布する工程と、
センサを使用して、前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の特性を測定する工程と、
前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の前記特性に基づいて、前記一連の基材中の後続の基材上に塗布された後の材料量の特性が範囲外になると推定される、と判定する工程と、
前記後続の基材上に塗布された後の前記材料量の前記特性が前記範囲外になると推定される、という前記判定に応答して、前記動作パラメータの前記値を第2の値に調節する工程と、
前記動作パラメータの前記第2の値に従って、前記一連の基材の第2の基材に、前記分注デバイスから第2の材料量を塗布する工程と、を含み、
前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の前記特性は、前記第2の基材上に塗布された前記第2の材料量の特性とは異なる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の前記特性は、前記基材上の場所、サイズ、形状、及び厚さ、のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作パラメータは、前記分注デバイスのノズルに供給される前記材料の流体圧力、前記ノズルに供給される前記材料の流量、前記ノズルからの前記材料の分注速度、前記一連の基材がコーティングされる速度、及び前記分注デバイスの霧化エアジェットの空気圧力、のうちの少なくとも1つに関連付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料量の前記特性は、前記第1の基材の指定された無機能試料領域で測定される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の基材の前記指定された無機能試料領域は、標的場所を含み、
前記第1の材料量の前記特性は、前記標的場所に対する前記第1の材料量の場所を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記後続の基材は、前記第1の基材の後続の前記一連の基材中の2つ以上の基材である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記後続の基材上に塗布される前記材料量の前記特性は、信頼区間において前記範囲外になると推定され、
前記信頼区間は、所定の閾値信頼区間以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記動作パラメータの前記値を前記第2の値に調節する工程は、前記推定の前記信頼区間に基づく
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記動作パラメータの前記値を前記第2の値に調節する工程は、前記一連の基材中の前記第1の基材の前に1または複数のそれぞれの基材上に塗布された材料量の1または複数の特性に基づく
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の基材の前に前記1または複数の基材上に塗布された前記材料量の前記1または複数の特性は、時系列データとして表され、
前記動作パラメータの前記値を前記第2の値に調節する工程は、前記時系列データに基づく
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動作パラメータの前記値を前記第2の値に調節する工程は、平滑化関数を前記時系列データに適用する工程を含み、
前記平滑化関数は、単純移動平均関数、累積ローリング平均関数、加重移動平均関数、指数平滑移動平均関数、及び自己回帰移動平均関数、のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記分注デバイスは、前記分注システムの第2の動作パラメータの第1の値に従って前記第1の材料量を塗布し、
当該方法は、
前記後続の基材上に塗布された後の前記材料量の前記特性が前記範囲外になると推定される、という前記判定に応答して、前記第2の動作パラメータの値を第2の値に調節する工程
を更に備え、
前記第2の材料量は、前記第2のパラメータの前記第2の値に更に従って前記第2の基材に塗布される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記分注システムの前記動作パラメータの第3の値に従って、前記分注デバイスを動作させて、第3の材料量を前記一連の基材の第3の基材に塗布する工程と、
前記センサを使用して、前記第3の基材上に塗布された前記第3の材料量の特性を測定する工程と、
前記第3の基材上に塗布された前記第3の材料量の前記特性に基づいて、前記一連の基材中の前記第3の基材の後続の基材上に塗布された後の材料量の特性が前記範囲内にあると推定される、と判定する工程と、
前記動作パラメータの前記第3の値に従って、前記一連の基材の第4の基材に、前記分注デバイスから第4の材料量を塗布する工程と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第3の基材は、前記第2の基材の後続の前記一連の基材中の少なくとも2つの基材である
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記分注システムの前記動作パラメータの第3の値に従って、前記分注デバイスを動作させて、第3の材料量を前記一連の基材の第3の基材に塗布する工程と、
前記センサを使用して、前記第3の基材上に塗布された前記第3の材料量の特性を測定する工程と、
前記第3の基材上に塗布された前記第3の材料量の前記特性に基づいて、前記一連の基材中の前記第3の基材の後続の基材上に塗布された後の材料量の特性が前記範囲内かつ第2の範囲外になると推定される、と判定する工程と、
前記第3の基材の後続の前記基材上に塗布された後の前記材料量の前記特性が前記範囲内かつ前記第2の範囲外になると推定される、という前記判定に応答して、前記動作パラメータの前記値を第4の値に調節する工程と、
前記動作パラメータの前記第4の値に従って、前記分注デバイスから前記一連の基材の第4の基材に第4の材料量を塗布する工程と、
を更に備え、
前記第3の基材に塗布された前記第3の材料量の前記特性は、前記第4の基材に塗布された前記第4の材料量の特性とは異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の材料量の前記特性が測定されるとき、前記第1の基材上の前記第1の材料量が硬化される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記後続の基材上に塗布される前記材料量の前記特性が前記範囲外になると推定される、と判定する工程は、前記一連の基材中の第2の後続の基材上に塗布される材料量の前記特性が前記範囲外になると推定される、と判定する工程を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
基材に液体又は粘性材料を塗布するための分注システムであって、前記基材は当該分注システムを通って移動され、
当該分注システムは、
分注デバイスと、
当該分注システムを通って移動される一連の基材のうちの基材に前記分注デバイスによって塗布される材料量の特性を測定するように配置されたセンサと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、1または複数の信号を生成して、
当該分注システムの動作パラメータの第1の値に従って、当該分注デバイスを動作させて、第1の材料量を前記一連の基材の第1の基材に塗布する工程と、
前記センサを使用して、前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の特性に関する情報を生成する工程と、
前記第1の材料量の前記特性に関する前記情報に基づいて、前記一連の基材中の後続の基材上に塗布された後の材料量の特性の推定値を決定する工程と、
前記後続の基材上に塗布された後の前記材料量の前記特性の前記推定値を、ある範囲と比較し、前記後続の基材上に塗布された後の前記材料量の前記特性の前記推定値が前記範囲外になる、と判定する工程と、
前記後続の基材上に塗布された後の前記材料量の前記特性の前記推定値が前記範囲外になる、と判定する工程に応答して、前記動作パラメータの前記値を第2の値に調節する工程と、
前記動作パラメータの前記第2の値に従って、前記一連の基材の第2の基材に、当該分注デバイスから第2の材料量を塗布する工程と、
を行うように構成されており、
前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の前記特性は、前記第2の基材上に塗布された前記第2の材料量の特性とは異なる
ことを特徴とする分注システム。
【請求項19】
前記分注デバイスを含む分注アセンブリと、
前記センサを含み、前記一連の基材のうちの基材を材料量が当該基材に塗布された後に受容するように構成された検査ステーションと、
を更に備えたことを特徴とする請求項18に記載の分注システム。
【請求項20】
当該分注システムは、ビーズ、ライン、及びスプレーパターン、のうちの少なくとも1つの形態で材料量を塗布するように構成されている
ことを特徴とする請求項19に記載の分注デバイス。
【請求項21】
前記検査ステーションは、前記分注アセンブリとは分離している
ことを特徴とする請求項19に記載の分注システム。
【請求項22】
前記一連の基材のうちの基材に塗布された材料量を硬化させるように構成された硬化オーブン
を更に備えたことを特徴とする請求項19に記載の分注システム。
【請求項23】
前記硬化オーブンは、前記分注デバイスと前記検査ステーションとの間に位置し、前記第1の基材上の前記第1の材料量が硬化される
ことを特徴とする請求項22に記載の分注システム。
【請求項24】
前記センサは、前記一連の基材のうちの基材に塗布された材料量の画像を捕捉するように構成されたカメラを含む
ことを特徴とする請求項18に記載の分注システム。
【請求項25】
前記分注デバイス及び前記センサが、共通のアセンブリ内に組み込まれている
ことを特徴とする請求項18に記載の分注システム。
【請求項26】
前記アセンブリは、可動アームを含み、
前記分注デバイス及び前記センサのうちの少なくとも1つが、前記可動アームに固着されている
ことを特徴とする請求項25に記載の分注システム。
【請求項27】
可動アームと、
前記可動アームに固着されたセンサアセンブリと、
を更に備え、
前記センサアセンブリは、前記センサ及び紫外光源を含み、
前記センサは、前記一連の基材のうちの基材に塗布された材料量の画像を捕捉するように構成されたカメラを含む
ことを特徴とする請求項18に記載の分注システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、その開示が当該参照により本明細書に組み込まれる、2017年11月10日に出願された米国特許仮出願第62/584,622号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して、液体の塗布に関し、より具体的には、強化されたコーティング分注制御のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
精度、正確性、及び一貫性は、ほぼ全ての産業プロセスにおける重要な側面である。これは、コンフォーマルコーティング又は他の流体を基材に塗布するシステムなどの、多くの分注の用途において特に当てはまる。コンフォーマルコーティングとは、典型的には、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)などの基材の選択領域に流体を塗布するプロセスを指す。一貫性を有しない形状及び配置の様々な複雑な構成要素は、典型的には、PCB又は他のそのような基材の表面に固着されている。コンフォーマルコーティングプロセスは、基材の不規則部分をナビゲートし、特定の場所において特定の厚さの程度で流体を塗布する必要がある。PCB又は他の対象基材の複雑かつ繊細な性質により、コーティングプロセスは、多くの反復にわたって厳密な許容差範囲内で実施される必要があることが明らかである。様々な種類の基材に流体を塗布する、噴射システムなどの他の種類の分注システムも同様に要求が厳しい。
【0004】
しかしながら、多くの現行のシステムは、そのような高水準の精度及び正確性を維持することが困難である。本開示では、これら及び他の欠点に対処する。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、強化されたコーティング分注制御のためのシステム及び方法が開示される。1つの例示的な方法では、分注システムは、コントローラによって動作され、一連の基材に材料を塗布するように構成された分注デバイスを有する。最初に、分注システムは、当該分注システムの動作パラメータの第1の値に従って、第1の材料量を一連の基材の第1の基材に塗布する。センサが、第1の基材上に塗布された第1の材料量の特性を測定するために使用される。第1の基材上に塗布された第1の材料量の特性に基づいて、一連の基材中の後続の基材上に塗布された後の、材料量の特性が、範囲外になると推定される、ことを(か否かを)判定する。動作パラメータの値は、これに応答して調節され、第2の量の液体が一連の基材の第2の基材に塗布される。第1の基材上に塗布された第1の材料量の特性は、第2の基材上に塗布された第2の材料量の特性とは異なる。
【0006】
例示的な分注システムは、分注デバイスと、一連の基材中の基材に分注デバイスによって塗布された材料量の特性を測定するように配置されたセンサと、を含む。当該システムは、以下の工程を実行するために1または複数の信号を生成するように構成されたコントローラを更に備える。分注デバイスは、分注システムの動作パラメータの第1の値に従って、第1の材料量を一連の基材の第1の基材に塗布するように動作される。センサを使用して、第1の基材上に塗布された第1の材料量の特性に関する情報が生成される。第1の材料量の特性に関する情報に基づいて、推定値が決定され、当該推定値は、一連の基材中の後続の基材上に塗布された後の、材料量の特性である。後続の基材上に塗布された後の、材料量の特性の推定値は、当該特性の推定値がある範囲外になると判定するために、当該範囲と比較される。動作パラメータの値は、後続の基材上に塗布された後の、材料量の特性の推定値が前記範囲外になる、と判定することに応答して、第2の値に調節される。動作パラメータの第2の値に従って、分注デバイスから一連の基材の第2の基材に第2の材料量が塗布される。第1の基材上に塗布された第1の材料量の特性は、第2の基材上に塗布された第2の材料量の特性とは異なる。
【0007】
添付の図面は、本明細書に組み込まれかつその一部を構成するが、かかる図面は、実施形態を示し、説明と合わせて見ると、提供される方法及びシステムの原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態によるコーティングシステムの側面図を示す。
【0009】
図2A】本開示の一実施形態によるコーティングアセンブリを示す。
図2B】本開示の一実施形態による代替的なコーティングシステムの概略図を示す。
【0010】
図3A】本開示の一実施形態による検査ステーションの部分を示す。
図3B】本開示の一実施形態による検査ステーションの部分を示す。
図4】本開示の一実施形態によるデータフロー図を示す。
図5】本開示の一実施形態による方法フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の態様は、図面を参照して詳細に説明され、同様の参照番号は、特に指定されない限り、全体にわたって同様の要素を指す。
【0012】
本開示のシステム及び方法は、コーティング分注プロセスにおける強化された制御に関する。当該強化された制御は、流体を基材に塗布するディスペンサ、塗布される流体の様々な特性の1または複数の値を測定する検査ステーション、及び/又はコーティングされた基材を硬化させる硬化オーブン、を有するシステム内に実装される。
【0013】
当該システムのディスペンサ及び/又は他の構成要素は、塗布される流体の様々な特性に影響を及ぼす1または複数の動作パラメータに従って動作する。1つの例示的な動作パラメータは、ディスペンサに供給される時の流体の流体圧力であり得る。前述のように、これらの動作パラメータに従ってコーティングされる基材は、カメラなどを介して検査され得て、コーティング特性値のうちの1または複数の値を決定することができる。その値、及び/又は、同様の過去の値の記憶値に基づいて、後の基材に対するそのコーティング特性の将来の値の予測がなされる。予測値が、許容不可能であるか、又は、許容できない値に向かう傾向を表す場合、動作パラメータ値は、後続の基材に対して調節され得る。例えば、場合により、流体の流体圧力を低下又は上昇させることができる。好ましくは、システムは、設定された許容差範囲を超える流体の様々なコーティング特性値によって引き起こされるエラー又は故障を、事前に回避する。
【0014】
開示されたシステム及び方法はまた、システムの分注部分によって実行される任意のプロセスを含む、システムの分注部分(例えば、ディスペンサ)の能力を検証する際に使用することもできる。例えば、開示されたシステム及び方法は、Cpkなどのプロセス能力指数又はプロセス能力比を決定する際に、使用され得る。
【0015】
本明細書に開示される教示は、分注動作モード、機械的構成、バルブの種類、基材、及び/又は材料、の変動を有するものを含む、多種多様な材料分注システムの種類で適用され得る。したがって、コーティング、分注、塗布、噴射、針(若しくは同様の形態の記述子)、又は、装置の種類、バルブの種類及び/若しくは動作の任意の他の特性評価、を参照してなされる教示は、他の全ての種類の装置、バルブ、及び/又は動作、に等しく適用することができる。これは、別途記載のない限り、当然のことである。同様に、材料(例えば、コーティング、流体、液体、粘性材料、及び/若しくはこれらの組み合わせ)の種類又は特性を参照してなされる任意の教示は、明示的に又は文脈によってのいずれかで明確に示されない限り、他の全ての材料に等しく適用することができる。同様のことが、プリント回路基板(PCB)などの特定の種類の基材を参照してなされる任意の教示についても当てはまる。したがって、PCBを参照してなされる教示は、他の種類の基材に等しく適用される。同様に、単に基材を参照してなされる教示はまた、PCBを含む任意の形態の基材にも適用することができる。ここでも、明確な陳述又は曖昧でない文脈は、教示が特定の種類の基材にのみ適用されることを示し得る。
【0016】
図1及び図2Aを参照すると、一連の連続基材に流体(例えば、コーティング材料、粘性材料、又は他の種類の材料)を塗布するためのシステム100は、コーティングアセンブリ104と、検査ステーション130と、硬化オーブン102と、を含む。コーティングアセンブリ104は、基材114に流体を選択的に塗布する。次いで、コーティングされた基材114は、コンベヤ122又は他の搬送形態を介して、検査ステーション130に移送される。検査ステーション130は、基材114上の流体の1または複数の特性の値(複数可)を測定する1または複数のセンサを含む。検査ステーション130によって収集されたデータは、コントローラ132によって受信及び処理される。コーティング特性の測定値に基づいて、コントローラ132は、同じ又は類似の動作パラメータの下で実施される将来のコーティング塗布が、値若しくは他の品質測定基準の所定の許容差範囲外である1または複数の特性値を有する基材コーティングをもたらすか、又はそれをもたらす可能性が高い、か否かを判定若しくは推定する。このように示される場合、コントローラ132は、コーティングアセンブリ104又はシステム100の他の構成要素の1または複数の動作パラメータを変更して、後続のコーティングされた基材における対応するコーティング特性の値が許容差範囲外になるのを防止する。検査後、コーティングされた基材114は、コーティング硬化のためにオーブン102に移送され得る。
【0017】
特に図2Aに注目すると、コーティングアセンブリ104は、基材114に流体を選択的に塗布するためのコーティングディスペンサ108を含む。本明細書に記載及び図示される特定のコーティングアセンブリ104及びディスペンサ108は単なる例示であり、本開示はそのように限定されないことに留意されたい。むしろ、ディスペンサ108は、様々な形態のうちの1つにおいて実現することができ、その一部は、異なる分注機構又は動作原理に従って動作することができる。例えば、ディスペンサ108は、液滴若しくはビーズ、モノフィラメント(例えば、直線若しくはループ線)、渦若しくはスプレーパターン/領域、又はこれらの任意の組み合わせ、として流体を塗布するように構成された形態で、実現され得る。別の例として、ディスペンサ108は、流体がディスペンサ108のノズルから出るときに霧化するか、さもなければ流体に衝突するように、1または複数のエアジェット(図示せず)で構成され得る。逆に、ディスペンサ108は、エアジェットを全く伴わずに構成され得て、空気流によって引き起こされる霧化又は他の効果なしに流体を分注し得る。図2Bは、例示的な代替のコーティングシステムを示す。
【0018】
ディスペンサ108は、流体源106によって流体供給される。ディスペンサ108は、ある体積の流体を基材114に分注するように動作するノズル134を備えている。特に、ノズル134は、流体を分注するために開閉され得るバルブ136を備える。図示されるように、バルブ136は、ノズル134内のバルブシート140に向かって移動する駆動ピン138の作用によって、流体を分注するために開閉され得る。駆動ピン138がバルブシート140に向かって移動すると、介在流体がノズル134の先端の開口部142から分注される。駆動ピン138は、空気圧アクチュエータ又は圧電アクチュエータなどのアクチュエータ144によって駆動される。アクチュエータ144は、駆動ピン138に機械的に連結されてもよく、又は動作中に駆動ピン138から周期的に分離され得る。バルブシート140、駆動ピン138、及びアクチュエータ144の前述の配置に加えて、又は代替的に、流体は、流体圧力によって(例えば、流体源106から)推進されて、流体をノズル134から分注させることができる。例えば、バルブ136が開放されると、流体は開口部142から排出され得る。ディスペンサ108の様々な構成要素の動作及びそのパラメータは、コントローラ132によって統制及び制御され得る。
【0019】
コーティングアセンブリ104は、関連する構造体を通って流れる流体の流量、速度、及び/又は流体圧力、を測定するように各々構成され得る、1または複数の流量計146で構成され得る。例えば、流量計146は、流体源106、流体源106からディスペンサ108に至る通路(符号なし)及び/又はディスペンサ108のノズル134、と一体化され得るか又は関連付けられて位置付けられ得る。流量計146によって測定されるデータは、コントローラ132に通信され得て、当該コントローラ132は、このデータを使用して、許容差範囲を超えている可能性が高いか否かを判定し、どの動作パラメータがどの程度調節されるべきかを決定し得る。
【0020】
コーティングアセンブリ104は、X、Y、及びZ座標などの3次元の移動自由度をディスペンサ108に提供するように構成され得て、基準系は、基材114の平面表面又は基材114が載置される表面である。場合によっては、ディスペンサ108は、ノズル134の縦軸(すなわち、ノズル134が静止しているときにZ軸に平行なノズル134の軸)に対してノズル134を傾斜させるように構成され得る。基材114を支持する表面は、ディスペンサ108が基材114に対して移動することに加えて、又はこれに代えて、ディスペンサ108に対して移動するように構成され得る。
【0021】
図2Bは、図2Aに示されるコーティングアセンブリ104に(完全に若しくは部分的に)加えて、又は(完全に若しくは部分的に)これに代えて、システム100と共に使用され得るコーティングシステム10を示す。コーティングシステム10は、コンフォーマルコーティング材料などの液体コーティング材料を、代表的な基材12などの一連の基材に塗布するために使用され得る。本明細書では代表的なコーティングシステム10の動作について説明するが、当業者は、以下に記載される方法を完了するために、多種多様な他のコーティングシステムが使用され得ることを理解するであろう。コーティングシステム10は、例えば、Asymtek(Carlsbad、Calif.)から市販されているモデルSC-105、SC-205、又はSC-400コンフォーマルコーティングアプリケータであり得る。
【0022】
代表的な実施形態では、コーティングシステム10は、多軸電気機械的ポジショナ又はロボット14と、当該ロボット14と連結された、コンフォーマルコーティングアプリケータ16と、を含む。例えば、アプリケータ16は、基材12の上方のロボット14から吊り下げられ得る。一実施形態では、ロボット14は、3つの自由度を供給するために、X-Y-Z直交座標フレーム内に画定された方向にアプリケータ16を移動させるように適合される。ロボット14は、既知の様式で独立して制御可能なモータ(図示せず)に連結された駆動部を含む。アプリケータ16は、基材12の選択された領域に液体コーティング材料量を塗布するために、基材12に対してロボット14によって操作される。
【0023】
プログラマブルコントローラ18が、コーティングシステム10の移動及び作動を調節する。コントローラ18は、プログラマブルロジックコントローラ(programmable logic controller、PLC)、マイクロプロセッサベースのコントローラ、パーソナルコンピュータ、又は当業者に理解されるように本明細書に記載される機能を実行することができる別の従来の制御デバイス、であり得る。例えば、コントローラ18は、様々な流れ制御ルーチン及びファン幅制御ルーチンを実施し得る。ヒューマンマシンインターフェース(human machine interface、HMI)デバイス19が、既知の様式でコントローラ18に動作可能に接続される。HMIデバイス19は、キーパッド、押しボタン、制御ノブ、タッチスクリーンなどの入力デバイス及び制御部、並びに、ディスプレイ及び他の視覚的インジケータなどの出力デバイス、を含んでもよく、これらは、オペレータがコントローラ18の動作を制御するために使用され、それによって、コーティングシステム10の動作を制御する。HMIデバイス19は、スピーカなどのオーディオ出力デバイスを更に含んでもよく、これによって、音響警告がオペレータに通信され得る。
【0024】
基材12、例えば、取り付けられた半導体ダイ及び他の構成要素を有するプリント回路基板は、既知の様式でアプリケータ16と動作可能な関係で支持され、液体コーティング材料が、アプリケータ16から各基材12上の選択された領域上に塗布される。分注の用途に応じて、一連の基材12がバッチモードでコーティングされ得る。あるいは、基材12は、自動コンベヤ20上でアプリケータ16を通過するように連続的に搬送され得る。コンベヤ20は、従来の設計を有しており、更に、異なる寸法の基材12に適合するように調節され得る幅を有し得る。コンベヤ20は、また、空気圧式のリフト及びロック機構(図示せず)を含んでもよく、コンベヤコントローラ22からコマンド信号を受信する。
【0025】
アプリケータ16は、当該アプリケータ16の動作を制御するコマンド信号を供給するアプリケータコントローラ24と電気的に結合される。モーションコントローラ26が、通信リンク21によってロボット14と電気的に結合される。ソレノイド34は、通信リンク23によってモーションコントローラ26と電気的に結合される。コンベヤコントローラ22及びモーションコントローラ26はまた、それぞれの通信リンク25、27を介して、コントローラ18と電気的に結合される。モーションコントローラ26は、通信リンク29を介してコンベヤコントローラ22と電気的に結合される。したがって、コーティングシステム10のためのプログラム可能な制御システムは、互いに通信する相互接続された構成要素として、コントローラ18、アプリケータコントローラ24、モーションコントローラ26、及び任意選択のコンベヤコントローラ22、を含む。
【0026】
モーションコントローラ26は、通信リンク21を介してロボット14にコマンド信号を供給する。コマンド信号は、ロボット14によって使用され、アプリケータ16の位置及び/又は速度を制御する。一般に、ロボット14は、当該ロボット14の異なる軸のモーションを駆動するサーボモータ又はステッピングモータなどの電動モータを含む。
【0027】
アプリケータ16は、ロボット14から吊り下げられた本体30と、本体30の一端に取り付けられたノズル31と、本体30の内側に配設された流れ制御機構(図示せず)と、を含む。本体30の内部の流れ制御機構は、アプリケータ16から分注されるコンフォーマルコーティング材料の流れを制御するように動作可能な分注バルブ(図示せず)を形成するように協働する、エア作動針、エアピストン、及びバルブシートを備え得る。加圧流体供給部32及びソレノイド34が、協働して既知の様式で加圧流体を供給して、本体30内部の分注バルブの作動を調節する。具体的には、ソレノイド34は、エアピストンを移動させるように加圧流体供給部32をアプリケータ16と接続する導管33内の空気圧力を制御し、それによって針をバルブシートに対して移動させて、液体コーティング材料がアプリケータ16から基材12上に分注される分注バルブの開放位置を提供する。ソレノイド34は、エアピストンに作用する空気圧力を通気し得て、針がバルブシートに接触して分注を中断する閉鎖位置に戻ることを許容し得る。
【0028】
コーティングシステム10は、例えばロボット14又はアプリケータ16上に配設され得るファン幅センサ62を含み得る。一部の態様では、ファン幅センサ62はまた、ロボット14及びアプリケータ16から独立した別個のモジュールであり得る。ファン幅センサ62は、アプリケータ16から分注された材料のファンの様々な特性(例えば、幅又は形状)を決定するように構成され得る。本明細書で使用するとき、材料のファンとは、アプリケータ16からの材料の流れ42の、形状及びその寸法を指す。例えば、アプリケータ16は、当該アプリケータ16と基材12との間の既知の距離で、円錐状スプレーに材料を分注してもよく、これにより、円錐状スプレーは、特定の直径を有する基材12上の円形のコーティング領域を生成する。アプリケータ16が基材12に沿って移動すると、材料の円錐状スプレーは、当該円錐状スプレーの特定の直径に対応する幅を有する基材12上のコーティングのストリップを生成する。ファン幅センサ62は、モーションコントローラ26及び/又はコントローラ18と通信可能に接続され得る。例えば、材料のファンを示し、ファン幅センサ62によって決定されるデータ点は、コントローラ18に通信され、その中のメモリ44に記憶され得る。
【0029】
一態様では、ファン幅センサ62は、カメラ及び光源又はレーザ源を含み得て、材料の流れ42は、カメラと光源又はレーザ源との間に位置付けられ得て、材料の流れ42の様々な特性(例えば、幅又は形状)を決定することができる。カメラは、アプリケータ16から分注されるときに流れ42の流体パターンの画像を捕捉するように構成され得る。カメラによって捕捉される画像は、静止画像又はビデオストリームを備える画像であり得る。カメラは、コントローラ18に、流体パターンの画像を転送し得る。コントローラ18は、当該画像を使用して、ファン幅制御ルーチンなどの他の処理工程を実施し得る。光源又はレーザ源は、流れ42の流体パターンを通して光又はレーザを放出するように構成され得る。例えば、光源又はレーザ源は、アプリケータ16の他側で、カメラの真前に及びカメラと同じ水平面上に位置し得る。光源又はレーザ源は、流れ42の流体パターンの照明を提供して、カメラによって捕捉される画像の画質を向上させることができる。このように構成されたファン幅センサ62は、基材がコーティングされている間に、流れ42のファン幅又は他の特性が決定され、場合によってはリアルタイムで調節されることを許容し得る。
【0030】
コーティングシステム10は、加圧された液体コーティング材料の連続流又は供給を生成するために、コントローラ18のコマンド下で既知の様式で動作する加圧液体供給部38を含む。例えば、加圧液体供給部38は、リザーバから液体コーティング材料量を吸い上げ、次いで液体コーティング材料の流れをリザーバから流体経路を通してアプリケータ16に圧送する、ダイアフラム又はピストンポンプを含み得る。加圧液体供給部38は、通信リンク39によってコントローラ18と電気的に接続され、コントローラ18は、通信リンク39を介して適切な制御信号を加圧液体供給部38に通信することによって、液体コーティング材料の温度及び圧力などの動作パラメータを調節することができる。
【0031】
加圧液体供給部38は、任意選択的に、コントローラ18と電気的に結合された従来の温度コントローラ60と電気的に結合された1または複数の従来の加熱要素38aを伴って構成される。加熱要素38aなどの従来の加熱要素及び温度コントローラ60などの温度コントローラ、の構成及び動作は、当業者によって理解される。代替的な実施形態では、アプリケータ16が加熱要素(図示せず)を含んでもよく、又は、加熱要素(図示せず)が導管51、53、55のうちの1つ内に配設され得る。加圧液体供給部38とノズル31との間の流路内の加熱要素の特定の場所にかかわらず、液体コーティング材料は、基材12に塗布される前に、当該流路内で加熱され得る。
【0032】
アプリケータ16は、加圧液体供給部38と流体連通する液体入口36を含む。液体コーティング材料は、液体入口36を通して加圧液体供給部38からアプリケータ16に供給され、ノズル31内の分注オリフィス(図示せず)からの分注が調節される。本体30は、加圧流体供給部32に連結された流体入口40と、加圧流体をノズル31内の分注オリフィスの近傍の出口に方向付ける内部通路(図示せず)と、を有し、加圧流体は、アプリケータ16から噴霧される液体コーティング材料の流れ42と相互作用してこれを操作するように吐出される。通信リンク45を介してモーションコントローラ26と通信する流体レギュレータ43が、加圧流体供給部32から流体入口40への加圧流体の流れを制御する。アプリケータ16と同様の代表的なアプリケータが、米国特許第7,028,867号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0033】
コーティングシステム10は、コントローラ18に関連付けられたメモリ44に記憶され、及び/又は、他のコンピュータに記憶される、動作サイクル又はシーケンスのライブラリによって命令されるように動作される。動作シーケンスは、必要に応じて、呼び出され、特定の動作プログラムに入れられ、コントローラ18上で実行される。動作シーケンスは、異なる環境条件、異なる種類の基材12、又は異なる種類のコンフォーマルコーティング材料に適合するように調節され得る。動作中、コントローラ18は、モーションコントローラ26での実行のために、通信リンク25を介して動作プログラム全体を電気信号としてモーションコントローラ26に転送することができる。あるいは、コントローラ18は、後続の実行のために、命令及びデータのバッチで、通信リンク25を介して1または複数の命令を電気信号としてモーションコントローラ26に転送することができる。オペレータは、HMIデバイス19において、基材12の種類、基材12の識別子、基材12の銘柄、液体コーティング材料の種類、液体圧力、補助空気圧力、アプリケータ16の速度、基材12とアプリケータ16との間の距離、などのパラメータを入力し得る。入力されたパラメータは、動作シーケンスにおける将来の使用のために、コントローラ18のメモリ44に記憶される。各基材12は、どの特定の構成要素及び基材12の領域が液体コーティング材料でコーティングされるべきかを決定するコーティングプログラムと、コントローラ18によってマッチングされる。典型的には、液体コーティング材料は、基材12上の選択領域及び/又は構成要素のみに塗布される。
【0034】
「流体に対する空気」(air over fluid、A/F)レギュレータ50及び流量計52が、加圧液体供給部38からアプリケータ16の液体入口36への液体コーティング材料の流路内に位置する。結果として、液体コーティング材料は、加圧液体供給部38からアプリケータ16へと移動する際に、A/Fレギュレータ50及び流量計52を通って流れるように拘束される。A/Fレギュレータ50の液体入力は、加圧液体供給装置38の液体出口と導管51によって連結される。同様に、A/Fレギュレータ50は、導管53によって流量計52の液体入力と連結された液体出口を有し、流量計52は、導管55によってアプリケータ16の液体入口36と連結された液体出口を有する。
【0035】
A/Fレギュレータ50は、流体経路内でアプリケータ16へと移動する際の加圧液体材料の流体圧力を制御する。コントローラ18は、通信リンク57によってレギュレータ54と電気的に結合される。一実施形態では、レギュレータ54は、モーションコントローラ26から制御電圧を受信し、当該制御電圧を流体圧力に変換する変換器を含む、「圧力に対する電圧」(voltage over pressure、E/P)レギュレータであり得る。あるいは、レギュレータ54は、制御電圧の代わりに、流体圧力に変換するための制御電流又はシリアル通信信号を受信し得る。レギュレータ54は、A/Fレギュレータ50を通って流れる液体コーティング材料の流体圧力を制御するのに使用するために、加圧流体をA/Fレギュレータ50に供給する。
【0036】
A/Fレギュレータ50は、加圧液体供給部38と流量計52との間の流体経路を画定する導管35内に位置付けられる。代替的な実施形態では、流量計52は、流量計52がA/Fレギュレータ50の上流にあるように、加圧液体供給部38とA/Fレギュレータ50との間の流体経路内に位置付けられ得る。この代替的な配置では、液体コーティング材料が流量計52を通って流れた後に、A/Fレギュレータ50が液体コーティング材料の圧力を変化させる。
【0037】
コントローラ18は、流量計52と通信リンク59によって電気的に結合される。導管53から導管55への液体コーティング材料の流れに応答して、流量計52は、一連の計数又は電気パルスを生成し、その各々は、流量計52を通って流れる液体コーティング材料の一定の体積を表す。あるいは、流量計52からの一連の電気パルスは、流量計からモーションコントローラ26に通信され、次いで、モーションコントローラ26からコントローラ18にリレーされ得る。一実施形態では、当該流量計52は、歯車計測器を通る流れに応答して回転する歯車計測器を備えてもよく、既知の体積を表す一定量の回転毎に、コントローラ18への信号ストリームの電気信号として送信される電気パルスをエンコーダで生成する。例えば、歯車計測器は、流量計52を通って流れる液体コーティング材料の0.04立方センチメートル毎にパルスを生成し得る。別の実施形態では、流量計52は、熱質量流量計を備え得る。
【0038】
使用中、コントローラ18は、基材12がアプリケータ16に対して適切に位置付けられたときに、基材12のためのコーティングプログラムを取得する。コーティングプログラムは、基材12のどの構成要素及び/又は領域が、液体コーティング材料でコーティングされるべきかを判定する。液体コーティング材料は、通常はストリップ状に塗布される。例えば、場合によっては、基材12の25個の別個の構成要素又は領域が、液体コーティング材料のストリップでコーティングされ得る。コントローラ18は、コントローラ18のメモリ44から動作シーケンスを取得し、次いで、当該動作シーケンスを表す制御信号を通信リンク25を介してモーションコントローラ26に通信する。モーションコントローラ26は、通信リンク21を介してロボット14にコマンド信号を送信し、当該ロボット14に、基材12に対する所望の場所に指定速度でアプリケータ16を移動させるように命令する。モーションコントローラ26は、ロボット14の移動を制御して、アプリケータ16を基材12を横切るように平面内で(例えば、X及びY方向)移動させ、当該移動中に必要に応じてアプリケータ16内の分注バルブを開閉して、液体コーティング材料を基材12の所望の構成要素及び領域に塗布する。
【0039】
具体的には、基材12上の任意の特定の場所において、モーションコントローラ26はまた、ソレノイド34にコマンド信号を提供して、状態を変化させて、分注バルブを開放して、ノズル31から液体コーティング材料を吐出させる。同時に、モーションコントローラ26は、ロボット14にコマンド信号を提供して、基材12に対するアプリケータ16のモーションを開始する。液体コーティング材料の流れ42は、任意選択的に、アプリケータ16から吐出される流れ42の成形に影響を及ぼす空気などの補助流体によって操作され得る。所定の時間が経過した後、モーションコントローラ26はその後、バルブコマンド信号の状態を変化させて、ソレノイド34をその元の状態に戻す。この動作により、分注バルブを閉じて、アプリケータ16のノズル31からの液体コーティング材料の吐出を中断する。モーションコントローラ26が、アプリケータ16の分注バルブに、コーティングプログラムの範囲の間、複数回(例えば、25回)の開放及び閉鎖をさせることにより、基材12の複数の構成要素及び領域(の各々)が、ある液体コーティング材料量を受容し得る。
【0040】
コーティングプログラム中、又はコーティングプログラムの実行の準備において、コントローラ18は、モーションコントローラ26に電気信号を提供し、これにより、レギュレータ54にコマンド信号を提供するようにモーションコントローラ26を促す。レギュレータ54は、A/Fレギュレータ50に供給される空気圧力を制御して、加圧液体供給部38からアプリケータ16に流れる加圧液体コーティング材料の液体圧力を選択する。分注の用途に依存する液体圧力の選択された値は、液体コーティング材料の所望の流量に更に依存し得る。液体コーティング材料の流量は、他の要因の中でも、液体圧力、分注ノズル31内の吐出オリフィスの直径、材料粘度などの影響を受ける。
【0041】
読者は、例えば特定の装置の種類、動作モード、又は材料に関してなされる任意の教示が、明らかな陳述及び/又は文脈によって明示されない限り、他の全ての種類の装置、動作モード、及び材料に等しく適用され得ることを想起されたい。したがって、図2A及び図2Bのシステムの各々を説明するためになされた任意の教示は、互いに等しく適用可能である。同様に、図2A及び図2Bのシステムのうちの1つを参照する本明細書の他の箇所の任意の他の教示も、他方に適用することができる。
【0042】
図1及び図2Aに戻ると、基材114に流体を分注する動作が完了した後、コーティングされた基材114は、検査ステーション130へ(例えば、コンベヤ122を介して)搬送される。1または複数のセンサを使用して、検査ステーション130は、基材114に塗布される流体の特性(本明細書では「コーティング特性」と称され得る)の値を測定及び/又は決定することができる。例えば、検査ステーション130は、基材114に対する、及び/又は基材114上の流体の他の部分に対する、流体の配置を測定し得る。関連する例では、検査ステーション130は、コーティングされた材料構成体の形状及び他の関連特性を測定し得る。検査ステーション130は、例えば、2列の構成要素の間に配置された流体構成体の寸法及び比率を測定し得る。
【0043】
コーティング特性の更に別の例として、検査ステーション130は、基材114又はその一部分に塗布される流体の厚さを測定し得る。前記の例のいずれにおいても、コーティング特性の測定値は、基材114に塗布される流体のサブセットのみを表し得る。例えば、コーティング特性の1つの値は、基材114の第1のサブセットに塗布される流体を指し得て、コーティング特性の第2の値は、基材114の第2のサブセットに塗布される流体を指し得る。このような場合は、例えば、基材114の1つの領域が1つの厚さの流体を受容することであり、基材114の第2の領域が第2の異なる厚さの流体を受容することである。基材114上の流体のサブセットはまた、流体の別個の(すなわち、連続しない)構成体によって画定され得る。流体の厚さは、湿潤フィルムゲージ、超音波ゲージ、レーザセンサ、及び/又は渦電流(図示せず)を使用するセンサなどのセンサ、によって測定され得る。
【0044】
一実施形態において、検査ステーション130は、基材114上の所定の場所に塗布される流体のコーティング特性の値を測定し得る。例えば、基材114上のある場所が、「試料領域」として指定され得る。試料領域は、あらゆる機能的構成要素の空隙であり、好ましくは平坦である、基材114のある領域上に位置し得る。これは、流体の標的コーティング特性を、さもなくば基材114上の他の場所に導入され得る可能性がある他の変数から分離するのに役立ち得る。例えば、ある構成要素の垂直方向の面により、当該垂直構成要素のある領域に塗布された流体について、流体の厚さなどの幾つかのコーティング特性を正確に測定することが困難になり得る。加えて、構成要素の誤配置又は位置ずれにより、関連する流体の構成体が、実際には全体として基材114に対する構成体の配置が正しかったときに、流体がその構成要素に対して誤って配置されたように見えることがあり得る。流体構成体の配置に関して偽陽性知を引き起こすのは、単なる構成要素の位置ずれ又は誤配置である。基材114上の試料領域は、試料流体の塗布のための標的領域を視覚的に識別するために、基材114上に視覚的に印付けされ得る。
【0045】
この指定された試料領域上の試料流体の塗布及び後続の測定は、各コーティングされた基材114に対しては実施されない場合がある。その代わりに、多数のコーティングされた基材114毎(例えば、50個の基材毎)、多数の検査毎(例えば、ある基材114の10回の検査毎)、又は経過時間毎(例えば、1時間毎)、に対して所定の間隔で実施され得る。試料領域への流体の塗布及びその測定はまた、オペレータの入力に応答し得る。試料領域は、流体の複数のドット又はビーズなどの複数の流体構成体の塗布に適応し得ることに留意されたい。
【0046】
基材114上の流体の特性の値は、処理のためにコントローラ132に通信され、それに記憶され得る。付加的に、一連の基材114中の後続の基材114が、コーティングアセンブリ104によってコーティングされ、検査ステーション130に搬送される。検査ステーション130は同様に、各連続基材114のコーティング特性の値を測定し、そのデータをコントローラ132に通信し得る。
【0047】
補足として、コントローラ132は、プロセッサ、メモリ(揮発性及び/又は不揮発性)、並びに様々な通信インターフェースで構成され得る。メモリは、例えば、プロセッサによって実行される時、当該命令に示される様々な動作をプロセッサに実行させる命令を記憶し得る。このような動作の例が、本明細書で提供される。コントローラ132は、コーティングアセンブリ104、ディスペンサ108、コンベヤ122、検査ステーション130、硬化オーブン102、及びそれらの任意の下位構成要素を含む、システム100の様々な構成要素と通信し得る。コントローラ132は、システム100の様々な構成要素の協働動作を管理し得る。様々な構成要素がそれに従って動作する動作パラメータは、コントローラ132によって設定及び/又は調節され得る。したがって、コントローラ132は、システム100の構成要素の多くについて動作パラメータ値を維持することができる。これにより、コントローラ132が、コーティング特性の許容値を超えるか又は超える可能性がある、と判定若しくは推定したことに応答してある構成要素のある動作パラメータの値を調節するという、開示された技術のそれらの部分の実行を容易にすることができる。
【0048】
図1に示されるように、コントローラ132は、検査ステーション130に連結されている。しかしながら、本開示は、そのように限定されない。コントローラ132は、システム100の構成要素のいずれかに接続されるか、又はそれと一体化され得る。あるいは、コントローラ132は、独立型ユニットを形成し得る。コントローラ132は、オペレータへの視覚的出力のためのディスプレイと、オペレータがコントローラ132に入力を提供するための1または複数の入力デバイス(例えば、キーボード及びマウス)と、を更に備えるように構成され得る。例えば、コントローラ132が、流体特性が閾値を超えるか又は超える可能性があると判定若しくは推定した場合、オペレータは、コントローラ132と相互作用し得て、ディスペンサ108の動作への手動介入を提供し得る。
【0049】
既に述べたように、コントローラ132は、検査ステーション130と通信し、検査ステーション130から送信されるデータを受信して記憶し得て、当該データは、コーティング特性の値を示すデータを含む。コントローラ132は、検査ステーション130からデータを反復的に受信及び記憶し得て、検査ステーション130は、各々が検査されたコーティングされた基材114の連続セットの各々について、コーティング特性のそれぞれの値を反映する。このデータの本体は、検査された連続基材114のセットのコーティング特性の「時間」系列の値を表すことができる。しかしながら、検査された連続基材114のセットは、対応する期間内にコーティングされた全ての基材114を表す必要がないことに留意されたい。むしろ、幾つかの基材114は、2つの他のコーティングされた基材114の検査間の介在時間にコーティングされるが、検査されなくてもよい。時系列の「時間」側面は、一連の連続した検査されコーティングされた基材114中の、検査されコーティングされた基材114(又は検査されているか否かにかかわらずコーティングされた基材114)を指し得る。時系列の「時間」側面は、その典型的な意味、すなわち、経過した時系列時間においても考慮され得る。
【0050】
2つ以上の基材114上の流体のコーティング特性のそれぞれの値を反映するこのデータを使用して、コントローラ132は、そのデータを分析して、そのコーティング特性の将来の値が、別の基材114に流体を塗布する後続の反復におけるそのコーティング特性の許容値を超える(例えば、閾値範囲外となる)か又は超える可能性があるか否か、を判定若しくは推定することができる。コントローラ132が、コーティング特性の将来の値が許容差を超えるか又は超える可能性があることを判定する場合、コントローラ132はまた、許容差を超えるか又は超える可能性がある時を判定若しくは推定することもできる。
【0051】
検査ステーション130から受信されるコーティング特性値データには、様々な予測及び統計モデリング、傾向推定、並びに/又は時系列予想技術、が適用され得る。例えば、線形回帰技術が一連の検査されたコーティングされた基材114の上で取られた、コーティング特性値の時系列の線形表現に適用され得る。換言すれば、コーティング特性の値は、折れ線グラフのY軸を形成し得て、一連の連続のコーティングされた基材114は、折れ線グラフのX軸を形成し得る。例えば、X軸上のデータ点は、それぞれ、第1のコーティングされた基材114、第2のコーティングされた基材114、第3のコーティングされた基材114など、であり得る。コーティング特性値の各々について、コーティングされた基材の対が、データ点として折れ線グラフで表され得る。線形回帰プロセスなどにより、これらのデータ点の傾向線を決定することができる。コーティング特性に対する許容差を超える値は、傾向線で相互参照されて、許容差を超える又は超える可能性がある、コーティングされた基材114(又は他の測定基準)の対応する数を決定することができる。本明細書において、許容差を超える又は超える可能性がある「時」は、別途陳述又は文脈によって明示されない限り、経時的時間又は別の測定基準を指し得ることに留意されたい。経時的時間以外の他の測定基準の例としては、コーティングされた基材の数又は検査されたコーティングされた基材の数を挙げることができる。勿論、コーティング及び/又は検査の速度(時間に関して)が既知である場合、一方は他方から外挿(推定)され得る。
【0052】
コントローラ132が、コーティング特性の許容値を超えるか又は超える可能性があると判定若しくは推定する場合、当該コントローラ132は、システム100の構成要素の1または複数の動作パラメータを調節し得る。例えば、ディスペンサ108の動作パラメータを調節することができる。コントローラ132によって調節され得るディスペンサ108の動作パラメータの例としては、以下が挙げられる。1)流体がノズル134に提供される流体圧力、2)流体がノズル134を出るときに、1または複数のエアジェットが流体に空気を加える空気圧力、3)コーティング塗布間のタイミング、4)ディスペンサ108及び/若しくはノズル134の位置(例えば、ノズル134と基材114との間の垂直距離)、5)アクチュエータ144及び/又は駆動ピン138の作動タイミング、6)ノズル134に供給される流体の流量(すなわち、単位時間当たりの体積)、並びに/又は、7)バルブ136を開閉する速さ及び/若しくは速度。コーティングアセンブリ104の動作パラメータとして、流体源106によって供給される流体(又はその属性)は、例えば流体の粘度に関して変更され得る。調節され得る他の動作パラメータとしては、コンベヤ122が基材114を搬送する速さ、又は、コーティングアセンブリ104のコーティングプロセスが実行される、及び/又は、コーティング及び検査プロセスが一緒に実行される全体的な速度、を含む。調節され得る動作パラメータの更なる例は、硬化オーブン102に加えられる熱の強さ、又は、コーティングされた基材114が硬化オーブン102内に留まる時間の長さを含む。
【0053】
動作パラメータの調節は、好ましくは、許容値限界に向かうコーティング特性値の傾向を遅くする又は停止する新しい値をもたらす。また、動作パラメータが調節される当該新たな値は、許容値限界に向かう傾向を逆転させ、コーティング特性の値を標的値に近づけ始めることも好ましい。更に好ましくは、新たな動作パラメータ値は、次の検査において許容差範囲内にあるコーティング特性値をもたらす。
【0054】
コーティングされた基材114が検査ステーション130で検査された後、当該コーティングされた基材114は、コンベヤ122などによって、流体硬化のために硬化オーブン102に移動される。硬化オーブン102は、内部容積110及び1または複数の加熱ゾーン112を有する。各加熱ゾーン112は、コーティングされた基材114を受容し、当該加熱ゾーン112内の環境を所定の温度まで加熱する。基材114は、コンベヤ122などのコンベヤベルト上で移動され得る。もっとも、コンベヤ122は単一のコンベヤベルトを備える必要はなく、一連のコンベヤベルトから形成され得ることに留意されたい。一実施形態では、各加熱ゾーン112は、物理的境界又は仕切りによって当該オーブンの残りの部分から分離されるエンクロージャであり得る。別の実施形態では、各加熱ゾーン112は、当該オーブンの残りの部分から物理的に分割されていない当該オーブン102の一領域であり得る。幾つかの実施形態において、加熱ゾーン112は、当該加熱ゾーン112が内部容積110と流体連通するように、硬化オーブン102の内部容積110によって画定され得る。
【0055】
各加熱ゾーン112の温度は、固定され得て、又は加熱プロセス中に調節され得る。1つの加熱ゾーンと隣接する加熱ゾーンとの間の遷移は緩やかであってよく、第1の加熱ゾーン112の温度から第2の加熱ゾーン112の温度までの範囲の温度勾配を含んでもよい。幾つかの実施形態において、第1の加熱ゾーン112を画定する内部容積110の部分が、当該加熱ゾーン112が重なり合うように、第2の加熱ゾーン112を画定し得る。
【0056】
システム100は、1または複数の通気孔(ベント)を含んでもよい。第1の通気孔116が、硬化オーブン102の内部から硬化オーブン102の外部環境への蒸発溶媒などのガスの移動を許容するために、硬化オーブン102に接続され得る。第2の通気孔117が、コーティングアセンブリ104に接続され得る。第2の通気孔117は、コーティングアセンブリ104内からコーティングアセンブリ104の外部環境へのガスの流れを可能にし得る。第1及び第2の通気孔116、117のうちの1または複数は、レギュレータ118(第1の通気孔116に関連して概略的に図示されている)を伴って構成され得て、当該レギュレータ118は、蒸発溶媒又は他のガスが、硬化オーブン102の容積110内から、及び/又はコーティングアセンブリ104内から、それぞれ硬化オーブン102及び/又はコーティングアセンブリ104の外部環境に流れ得る速度を変えるために、調節され得る。当該レギュレータ118は、バッフル、ゲート、バルブ、あるいは、蒸発溶媒若しくは他のガスの通過を許容又は遮断するように調節され得る他の好適なデバイス、を含み得る。第1及び第2の通気孔116、117のうちの1または複数は、ファン120を伴って構成され得て、その動作は、場合によっては、硬化オーブン102の容積110内及び/又はコーティングアセンブリ104の内部内に負圧を生成し得る。他の種類の硬化システムは、UV硬化システム、バッチ式オーブン硬化システム、又は空気温度硬化システム、などであるが、システム100に追加的に又は代替的に実装され得る。
【0057】
代替的な実施形態では、検査ステーション130は、基材114上のコーティングが硬化された後に検査のために当該基材114を受容するように構成され得る。例えば、図1に示されるように、コーティングアセンブリ104、検査ステーション130及び硬化オーブン102の配置は、硬化オーブン102がコーティングアセンブリ104と検査ステーション130との間に位置付けられるように変更され得る。結果として、コーティングアセンブリ104は、基材114に流体を塗布することができ、コーティングされた基材114は、基材114上の流体が硬化される硬化オーブン102に渡され得る。次いで、コーティングされ硬化された基材114は、検査ステーション130に渡され得る。検査ステーション130は、流体が基材114に塗布された直後に未硬化流体を検査する際と同一又は同様の態様で、硬化した流体の様々なコーティング特性を測定し得る。硬化された流体のコーティング特性は、未硬化流体に関して前述されたものと同一又は類似のコーティング特性を含み得る。
【0058】
別の代替的な実施形態では、検査ステーション130又はその一部(例えば、図3A及び図3Bに示される構成要素)は、コーティングアセンブリ104と一体化され得る。このような実施形態では、検査ステーション130のハウジング131は省略され得る。したがって、コーティングされた基材114は、基材114がコーティングされた後に硬化オーブン102に直接移送されてもよく、適用可能であれば、コーティングされた基材114は、統合検査ステーション130によって検査され得る。この実施形態では、コーティングアセンブリは、2つの可動アームを備えて構成され得る。1つはディスペンサ108を移動及び位置決めするため、もう1つは検査ステーション130の少なくとも幾つかの構成要素を移動及び位置決めするためのものである。例えば、カメラ並びに/又は光源(例えば、UV光源及び/若しくは白色光源)は、可動アームの1つに固定され得る。動作中、ディスペンサ108は、基材114に流体を塗布している間、基材114の上方に位置付けられ、選択的には再度位置付けられ得て、検査用構成要素を保持する他のアームは、脇に位置付けられ得る。コーティング動作が完了した後、ディスペンサ108は脇に移動され、検査用構成要素が基材114の上方に位置付けられ、選択的には再度位置付けられ得て、その上の流体を検査する。別の例では、ディスペンサ108及び検査用構成要素の両方が、単一の可動アームに固着され得る。この場合、当該可動アームは、コーティング動作又は検査動作が進行中であるか否かに応じて、位置付けられ、選択的には再度位置付けられ得る。
【0059】
それぞれの動作中にディスペンサ108及び/又は検査用構成要素を位置決めするために、可動アーム(複数可)は、基材114が静止して保持されている間に、基材114のX軸、Y軸、及びZ軸の上を移動し得る。あるいは、可動アームによって、1または複数の移動軸を実施することができ、基材114を他の移動軸のうちの1または複数の上で移動させることができる。例えば、可動アームは、X軸及びZ軸(すなわち、基材114の平面表面に平行な一方向、並びに、基材114の平面表面に垂直な一方向)の上を移動してもよく、基材114は、残りのY軸の上を移動し得る。追加的に又は代替的に、検査用構成要素は、静的支持体に固定され得る。
【0060】
引き続き図1及び図2Aを参照しながら、図3Aは、検査システム300の例示的な構成を示し、図3Bは、検査システム300に関連付けられたカメラサブシステム316を示す。検査ステーション130及びシステム100の他の関連する構成要素は、図3A及び図3Bに示されるものと同一又は同様の態様で構成され得る。
【0061】
検査システム300は、基材114(図3Aにおいて「検査されるPCB」として識別される)に塗布された流体302上にUV光を方向付ける紫外線(UV)光源308を有する照明サブシステム304を含み得る。流体302は、UV光の存在下で蛍光を発するトレーサーを含んでもよい。照明サブシステム304はまた、基材114上の流体302上に白色光を方向付ける任意選択的な白色光源312を含んでもよい。検査システム300は、カメラ340を含むカメラサブシステム316(図3Bに詳細に図示)を更に含む。カメラ340は、基材114上に光が放出される時に当該照明される基材114の1または複数の画像を捕捉するために基材114の上方に位置付けられるレンズ344を有する。具体的には、カメラ340は、基材114の対面する表面114aに対して垂直に角度付け又は位置付けられ得る。図3Bに示すように、対面する表面114aに対して垂直に位置付けられる時、検査システム300は、角度付きミラー348を含んでもよい。図3Aでは基材114の上方に位置しているように描かれており、図3Bでは基材114に垂直であるように描写されているが、カメラ340は、レンズ344が照明された基材114の外縁114bの1または複数の縁部画像を捕捉するように、基材114の対面する表面114aに対して、例えば45°の角度で、角度付けされ得る。カメラ340からの画像は、画像処理コンピュータ334に送られ、これは、基材114が適切にコーティングされているかどうかを判定するために、コントローラ132と一体化され得るか、又は、コントローラ132と協働して動作し得る。あるいは、画像処理コンピュータ334は、コントローラ132とは別個であるが、電子通信していてもよい。システム100の画像処理コンピュータ又は他の適用可能な構成要素は、例えば、物体認識、パターン認識、又は特徴(線、コーナー、関心点など)評価などの様々な画像処理技術を適用して、様々なコーティング特性の値を決定することができる。
【0062】
検査システム300はまた、基材114が検査される間に基材114を支持するように構成された基板ホルダサブシステム338を含んでもよい。基板ホルダサブシステム338は、検査中に基材114をその縁部の1または複数の周囲で保持するように構成され得る。別の実施形態では、基板ホルダサブシステム338は、検査中に基材114を保持する支持ピン(図示せず)を含んでもよい。カメラサブシステム316の位置を調節するために、当該カメラサブシステム316は、X-Y軸モータ320に接続され得る。X-Y軸モータ320は、モーションコントローラ332及び/又は画像処理コンピュータ334から命令を受信する時、カメラサブシステム316を基材114に対して移動させるように構成されている。画像処理コンピュータ334と同様に、モーションコントローラ332は、コントローラ132と一体化されてもよく、あるいは、コントローラ132とは別個であるがコントローラ132と協働して動作し得る。1種類の検査デバイスが説明されているが、検査システム300は、基材上のコーティング厚さを測定するためのレーザセンサなどの、所望の様々な他の種類の検査デバイスを含んでもよい。
【0063】
図4は、本開示の一実施形態による強化されたコーティング分注制御のプロセスを少なくとも部分的に表すデータフロー図400を示す。コーティング材料、コーティング動作、コーティングシテム、及び他のコーティング条件が参照されるが、本開示はそのように限定されない。図400の様々な構成要素及びその説明は、全ての種類の装置(例えば、ニードルタイプのディスペンサ)、動作(例えば、噴射動作)、及び材料(例えば、粘性材料)に等しく適用される。
【0064】
導入のために、コーティングシステム(例えば、図1のシステム100)は、一般に、当該コーティングシステムの多数の様々な動作パラメータのそれぞれの値に従って、コーティング動作を実施する。現時点のコーティング動作406は、基材(例えば基材114)に流体を塗布するための現在の動作パラメータ値404に従って実施される。動作パラメータは、関連するコーティング特性の値に影響を及ぼすコーティングのパラメータである。動作パラメータの現在値は、好ましくは、許容可能な許容差範囲402内にあるが、必ずしもそうではない。次いで、基材上の流体が検査されて、当該流体の特性に関するコーティング特性値408が決定される。コーティング特性値の集合410が、現時点のコーティング特性値408に基づいて更新される。コーティング特性値の集合410が分析されて、後続のコーティングされる基材上の流体について、1または複数の将来予測コーティング特性値412が決定及び/又は推定される。予測コーティング特性値(複数可)412に基づいて、動作パラメータ値404は、必要に応じて、後続の基材のコーティング特性値が許容差範囲402の外側となるのを好ましくは防止するように調節され、それによって後続の基材の故障又は欠陥を回避する。
【0065】
許容差範囲402は、例えば基材の製造業者又はそれらの顧客によって許容可能であると見なされる値の範囲を指し得る。許容差範囲402の値は、基材に塗布される流体の特定のコーティング特性に対応し得る。以下、コーティング特性値408を参照して、各種コーティング特性について説明する。許容差範囲402は、上限値及び下限値を含んでもよい。場合によっては、許容差範囲402は、実際に又は実用上、上限値又は下限値のうちの1つのみを含んでもよい。
【0066】
幾つかの実施形態では、許容差範囲402は、一方が他方の範囲内にある複数のセットの許容差範囲を含み得る。2つの範囲は、例えば、低レベル警報及び高レベル警報を示し得る。複数の範囲は、予測コーティング特性値(複数可)412を許容差範囲402と比較する際、及び/又は、動作パラメータ値404に対する調節を決定する際、に使用され得る。一例では、予測コーティング特性値(複数可)412が最も外側の許容差範囲外である場合、動作パラメータ値404の調節がより大きくなる可能性があり、一方、予測コーティング特性値が内部許容差範囲外であるが外部許容差範囲内である場合、動作パラメータ値404の調節がより少程度である可能性がある。
【0067】
動作パラメータ値404は、コーティングシステム、コーティングシステムの構成要素、又はコーティングシステムの動作に関する任意の他の変数、に関連する動作パラメータの値を表し得るが、コーティングシステム自体の厳密な部分ではない。動作パラメータは、コーティング動作及び/又は基材に塗布される流体、例えば、コーティング特性値408、に実質的に影響を及ぼし得る任意のパラメータであり得る。
【0068】
動作パラメータは、流体源から及び/又はコーティングディスペンサのノズルまで供給される流体の流体圧力又は流量などの、コーティングディスペンサ(例えば、図1のディスペンサ108)の動作パラメータを含み得る。コーティングディスペンサの別の動作パラメータは、コーティングディスペンサが基材に流体の様々な構成体(例えば、ドット)を塗布する速度、又は、コーティング動作を実施しながらディスペンサが基材に対して移動される速さ、を含んでもよい。コーティングディスペンサの動作パラメータはまた、ノズルから出るときの流体の速度や、ノズルと基材との間の飛行中の流体の寸法、形状、又は方向性など、流体分注自体に関する任意のパラメータを含んでもよい。コーティングディスペンサの動作パラメータは、ノズルと基材との間の距離など、コーティングディスペンサの位置決めに関連し得る。
【0069】
コーティングディスペンサに関連する更に別の例は、流体を供給する流量及又は流体圧力などの流体源に関する動作パラメータを含む。別の例示的な動作パラメータは、作動周波数若しくは速さなどのアクチュエータ及び/又は駆動ピン/バルブシート配置、あるいは、駆動ピンのバルブシートへの衝撃力、に関し得る。別の例示的な動作パラメータは、空気圧力又は空気の方向性を含む、流体がノズルから分注されるときに流体がさらされる(例えば、エアジェットからの)空気流に関連し得る。
【0070】
他の例示的な動作パラメータは、一連の基材がコーティングディスペンサを通って移動され、コーティングディスペンサによってコーティングされる、全体的な速さに関し得る。より一般的には、動作パラメータは、一連の基材がコーティングシステム全体によって処理される速さ又は速度を指し得る。これは、コーティングシステムを通して基材を移動させるための1または複数のコンベヤ又は他のデバイスの速さを含んでもよい。動作の速さに関する前述の動作パラメータは、例えば、コーティング特性値408が複数の反復にわたって安定したままである場合、増大され得る。動作パラメータの別の例は、その粘度及び/又は温度などの、流体自体の特性に関する。
【0071】
コーティング動作406は、動作パラメータ値404に従って実施され得る。具体的には、コーティングディスペンサによって基材の少なくとも一部の領域に流体のある体積が塗布される。流体が塗布され得る基材の領域としては、基材上に位置付けられた任意の電気的若しくは他の構成要素、構成要素を有さない基材の領域(例えば、2つの構成要素間)、又は、構成要素と非構成要素のサブ領域との間の境界と重なり合う領域を含む、2つの任意の組み合わせ、が挙げられる。
【0072】
加えて、既に前述したように、流体は、構成要素又は機能的態様(主に試料領域の使用を更に促進するために実装されるもの以外)がない基材の「試料領域」に塗布され得る。試料領域は、(例えば、液滴又は線などの様々な構成体において)1または複数の体積の流体を塗布するための表面として使用され得る。試料領域に塗布される流体は、主として、特性の測定に影響を及ぼし得る他の変数から分離して流体の1または複数の特性を測定するための試験対象として主に機能し得る。例えば、多くの構成要素の3次元及び複雑な性質は、流体の厚さの測定を妨げ得る。基材に関する以前のプロセスで導入される他の欠陥もまた、特定の測定値に干渉し得る。例えば、基材上に取り付けられた構成要素が位置ずれして、正しく位置合わせされたはずの塗布された流体が基材上に正しく位置付けられていないように見える場合がある。試料領域は、ドット又は他のマーカーによって示され得る。ドット又は他のマーカーは、特に被覆範囲の位置決めに関して、流体の真のコーティング特性値を決定する際の基準系として使用され得る。加えて、試料領域は、例えば、流体の厚さがより正確に測定され得るように、平坦であり得る。
【0073】
幾つかの実施形態では、コーティング動作406に供される基材はまた、基材上の流体が検査され、コーティング特性値408が決定及び/又は測定される前に、硬化動作407を受けることができる。この場合、硬化オーブン(例えば、図1の硬化オーブン102)は、検査ステーション又は他の同様の構成要素とディスペンサとの間に位置付けられ得る。したがって、「コーティングされた基材」などは、別途陳述又は文脈によって明確に示されない限り、コーティング及び硬化の両方がなされた基材も含むことが理解され得る。
【0074】
コーティング動作406(及び任意選択的に硬化動作407)が完了した後、基材に塗布される流体の少なくとも一部分に関するコーティング特性の値(すなわち、コーティング特性値408)が決定される。コーティング特性値408は、カメラ又は他のセンサ(例えば、図3A及び図3Bのカメラアセンブリ316)によって決定され得る。当該センサは、コーティングアセンブリとは別個の検査ステーション(例えば、図1の検査ステーション130)の一部であってもよく、したがって、コーティングされた基材は、検査ステーションへの搬送を必要とし得る。あるいは、検査ステーションは、コーティングシステムのコーティングアセンブリ又は他の構成要素(例えば、硬化オーブン)に、少なくとも部分的に組み込まれ得る。
【0075】
コーティング特性は、基材の1つの部分を覆う流体を指し得るが、一方、別のコーティング特性は、コーティング特性が同じ「種類」である場合でも、基材の第2の異なる部分を覆う流体を指し得る。一例では、2つの部分のコーティング特性は、コーティングされた基材のそれぞれの部分におけるコーティング厚さを示し得る。
【0076】
一例として、コーティング特性は、流体、若しくはその一部(すなわち、コーティング被覆範囲)の場所を、基材に対して全体として、又は、基材上の1または複数の指定された構成要素又は他のランドマークに関連して、指し得る。基材の一部は、前述の「試料領域」及び/又はその標的点を含んでもよい。前述のように、流体は、ドット若しくはビーズ、線(直線又はループ)、又は領域コート(すなわち、「旋回」パターン)、などの別個の構成体として基材に塗布され得る。したがって、流体の場所は、基材上の特定の流体構成体を指し得る。
【0077】
コーティング特性は、コーティングが適用されることが意図される基材の指定領域に対する、コーティング及び/又はコーティング構成体の場所を指し得る。例えば、このようなコーティング特性の値は、当該領域が被覆を有する及び/又は被覆を欠く割合を示し得る。追加的に又は代替的に、そのようなコーティング特性の値は、その意図される被覆領域の外側にあるコーティング構成体の割合、及び/又は、意図される被覆領域の内側にあるその割合を示し得る。前記割合値はまた、割合の代わりに、他の量的測定基準によって示され得る。
【0078】
追加的に又は代替的に、流体の場所は、流体構成体の一部を指し得る。例えば、正確に塗布された領域コート構成体は、構成要素の2つの列間の領域を覆うことができ、構成要素のうちのいずれにも侵入することはない。更に、領域コート構成体は、いずれの構成要素にも塗布されることなく指定された領域の一部を覆う、正確に塗布された第1のセクションを含み得る。この領域コート構成体はまた、意図された場所からオフセットされ、構成要素の列間の意図された領域を完全に覆うことのない、不正確に塗布された第2のセクションも含み得る。加えて、第2のセクションはまた、構成要素の一部を覆う。したがって、流体の場所は、全体としての領域コーティング構成体の場所ではなく、領域コーティング構成体の欠陥部分を指し得る。
【0079】
追加的に又は代替的に、流体構成体の場所は、当該流体構成体の中心点などの単一の場所によって表され得る。したがって、流体の場所の全体的な場所は、対応する単一の場所の場所と同じである。追加的に又は代替的に、流体構成体の場所は、別の流体構成体又は流体の一部に関連し得る。例えば、一対の流体ドットは、2つの間の特定の距離に配置されることが意図され得る。したがって、第1のドットの場所は、第2のドットの場所を示すための基準系であり得る。
【0080】
別の例として、コーティング特性は、流体構成体(又は流体の一部)の1または複数の寸法又は形状を指し得る。流体構成体の寸法は、当該流体構成体における2点間の幅、長さ、直径、又は他の距離を含み得る。流体の形状は、円形、ドット、卵形、直線状、若しくは楕円形、又は細長い形状を含んでもよい。流体構成体の形状は、当該流体構成体の幅(複数可)、長さ(複数可)、又は他の寸法的特徴の、相対的比率及び角度、並びに、流体構成体の外周を画定する輪郭又は他の特徴、を指し得る。形状は、円形、卵形、又は細長い形状など、1または複数の所定の形状又は特性に従って分類され得る。
【0081】
更に別の例として、コーティング特性は、流体構成体又は流体の他の部分が「試料」用途として意図されていることを示し得る。このコーティング特性は、基材の指定された試料領域内の流体構成体または流体の他の部分の場所によって決定され得る。
【0082】
コーティング特性の別の例は、基材上の流体の全体としての厚さ、流体構成体の厚さ、又は基材上の流体の一部の厚さ、を含んでもよい。ここで、厚さは、基材上の点と流体の最上部の鉛直に対応する点との間の距離として定義され得る。鉛直とは、基材の平面に垂直な方向を指す。幾つかの例では、流体構成体内の点又は点のサブセットにおける厚さが、当該流体構成体の厚さを表し得る。他の例では、流体構成体の厚さは、当該流体構成体の様々な測定点にわたる最小の厚さ値又は最大の 厚さ値であり得る。他のコーティング特性は、材料体積、基材上の材料の流量、UV反射率、及び屈折率を含む。
【0083】
コーティング特性の他の例は、電気絶縁性、機械的応力に対する抵抗、振動低減性、水分透過性、及び温度絶縁性などの、流体自体の塗布時の属性を含み得る。
【0084】
追加的に又は代替的に、コーティング特性は、本明細書に記載されるコーティング特性のいずれかの2つ以上の複合を含んでもよい。例えば、コーティング特性は、その場所に塗布される流体の当該場所及びコーティング厚さを反映する複合コーティング特性を含んでもよい。
【0085】
決定又は測定されたコーティング特性値408は、コーティング特性値の集合410に追加され得る。コーティング特性値の集合410は、以前に測定及び/若しくは決定され、かつ/又は、現時点のコーティング特性値408に関連付けられた現時点のコーティング基材の以前にコーティング及び/若しくは検査されたコーティング基材と関連付けられている、コーティング特性値を含んでもよい。一連の連続のコーティング基材のうちの全てのコーティング基材を検査する必要はないことに留意されたい。むしろ、一連の連続のコーティング基材中のコーティング基材5つ毎など、サブセットのみが検査され得る。
【0086】
一例では、コーティング特性値の集合410のコーティング特性値は、予測コーティング特性値(複数可)412を決定するのを容易にするように、順序付け及び/又は構成され得る。コーティング特性値は、各々、一連の連続基材中の対応するコーティング基材と関連付けられ得る。したがって、コーティング特性値の集合410におけるコーティング特性値は、一連の連続のコーティング基材の順序に従って順序付けられ得る。追加的に又は代替的に、コーティング特性値408及び他のコーティング特性値は、時間に関連付けられてもよく、又は、コーティング特性値の集合410の値が順序付けられ得るタイムスタンプを組み込んでもよい。コーティング特性値の集合410は、コーティング特性値の時系列として編成され得る。当該時系列は、1つの軸が時間(又は類似の測定基準)を表し、他方がコーティング特性値を表す2軸折れ線グラフで表され得る。前述したように、時系列の「時間」側面は、経時的時間又は一連の連続のコーティング基材114中の検査されたコーティング基材(又は検査されているか否かに関係なく単にコーティングされた基材)の順序のいずれかを指し得る。
【0087】
別の例では、コーティング特性値の集合410は、時間、関連するコーティング基材、又はコーティング特性値間の相対的な順序付けの任意の他の表示、のいずれをも示さない場合がある。この場合(又は他の場合)では、コーティング特性値の集合410におけるコーティング特性値は、順序付けがなされていない、及び/又は、順序付けが不可能であり得る。
【0088】
コーティング特性値の集合410は、予測コーティング特性値(複数可)412を決定及び/又は推定する際に、少なくとも1つの基準を形成し得る。予測コーティング特性値(複数可)412は、将来の時点で基材に塗布される流体の1または複数の(予測される)コーティング特性値を含んでもよい。前記の用語「将来」等は、経時的時間又は一連の連続のコーティング基材中の順序を指し得る。
【0089】
予測コーティング特性値(複数可)412は、90%、95%又は99%信頼度などの所定の信頼度レベルで決定及び/又は推定される場合、「予測される」とみなされ得る。したがって、予測コーティング特性値(複数可)412は、絶対的な確実性がある必要はない。信頼性又は類似の概念の他の指標が、追加的に又は代替的に使用され得る。したがって、信頼度レベル又は他の類似の測定基準は、予測コーティング特性値が有効であるとみなされるための閾値要件として機能し得る。追加的に又は代替的に、信頼度レベル又は他の測定基準は、プロセスの他の部分において使用され得る。例えば、信頼度レベル又は他の測定基準は、プロセスの以下の反復について、新たな動作パラメータ値404が決定され得る1つの因子であり得る。この例では、高い信頼度レベルは、動作パラメータ値404に対するより大きな調節を保証し得る一方で、より低い信頼度レベルは、動作パラメータ値404に対するより保守的な又はより小さい調節に帰結し得る。
【0090】
予測コーティング特性値(複数可)412は、一連の連続のコーティング基材中の現時点のコーティング基材の直後にコーティング及び/又は検査される将来の基材と関連付けられ得る。追加的に又は代替的に、予測コーティング特性値(複数可)412は、一連の連続のコーティング基材中の現時点のコーティング基材に直ちに追従しない将来の基材と関連付けられ得る。むしろ、現時点のコーティングされた基材と予測コーティング特性値(複数可)412に関連する将来コーティングされる基材との間に、コーティング及び/又は検査される基材が介在する場合がある。
【0091】
予測コーティング特性値(複数可)412は、コーティング特性値410の集合のコーティング特性値及びコーティング特性値408と類似していてもよい。すなわち、前述の値の各々は、同じコーティング特性を指す。例えば、コーティング特性値408、コーティング特性値の集合410及び予測コーティング特性値412は全て、コーティング厚さを指し得る。
【0092】
予測コーティング特性値(複数可)412は、コーティング特性値410の集合又はその一部分に適用される1または複数の予測技術を介して決定され得る。例えば、コーティング特性値410の集合は、コーティングされた基材の順序、経時的タイミング、又は他のタイミング基準に関して、時系列を形成し得ることが想起されるであろう。時系列は、折れ線グラフ上の様々なデータ点として表され得る。線形回帰及び/又は曲線/直線マッチング技術を使用して、傾向線又は他の機能的表現を決定することができる。この傾向線及び/又は機能を使用して、予測コーティング特性値(複数可)412を決定することができる。時系列予想のための他の技術もまた、使用され得る。
【0093】
幾つかの実施形態では、コーティング特性値410の集合体に様々な技術を適用して、時系列表現を平滑化し、かつ/又は、時系列の直近のデータ点に可変重みを適用することができる。例えば、単純移動平均、累積ローリング平均、加重移動平均、及び/又は指数平滑移動平均などの移動平均技術が使用され得る。別の例示的な技術は、自己回帰移動平均(autoregressive-moving average、ARMA)である。
【0094】
代替的な実施形態では、特定のコーティング特性値が識別され得て、予測技術が使用され得て、識別されたコーティング特性値を超える前にコーティングすることができる基材の数(又は他のタイミング測定基準)を予測することができる。例えば、識別されるコーティング特性値は、許容差範囲402の値であり得る。動作パラメータ値404は、予測コーティング特性値412の代わりに、この予測に従って調節され得る。
【0095】
予測コーティング特性値(複数可)412は、2つ以上の予測コーティング特性値を含んでもよい。複数の予測コーティング特性値412は全て、同じコーティング特性の値であり得るが、各々は、別個のコーティング基材に関連する予測コーティング特性値を指し得る。例えば、複数の予測コーティング特性値412は、直ちに後続する基材(例えば、現時点のコーティングされた基材に続く第1、第2、第3などの基材)のコーティング特性値を指し得る。別の例では、複数の予測コーティング特性値は、互いに所定の間隔で後続するコーティング基材を指し得る。例えば、第1の予測コーティング特性値は、現時点のコーティング基材から5番目のコーティング基材であるコーティング基材上のコーティング厚さを予測し得る。第2の予測コーティング特性値は、現時点のコーティング基材に続く10番目のコーティング基材であるコーティング基材上のコーティング厚さを予測することができる。予測コーティング特性値(複数可)412は、予測コーティング特性値の所定の又はオペレータ入力の数を含んでもよく、その数は、オペレータがその動作パラメータを調節する際にどの程度先までシステムを見通すかの希望を反映し得る。オペレータは、追加的に又は代替的に、予測コーティング特性値(複数可)412が方向付けられるコーティング基材間の間隔を示すことができる。
【0096】
動作パラメータ値404は、予測コーティング特性値(複数可)412に基づいて、新たな値に調節(例えば、再決定)され得る。例えば、予測コーティング特性値(複数可)412は、許容差範囲402の最も外側の値のうちの1つ以上と比較され得る。動作パラメータ値404に対する調節は、この比較及び/又は他の要因に基づいてもよい。一般に、予測コーティング特性値(複数可)412が許容差範囲402の外側にある場合、好ましくは、後続のコーティング基材(例えば、プロセスの更なる反復において)のコーティング特性値を許容差範囲402内に後退させるか、又は少なくとも許容差範囲402内に向かうように移動させる、と予測される値に動作パラメータ値404が調節され得る。予測コーティング特性値(複数可)412が許容差範囲402内にあるが、以前よりも許容差範囲402の外側限界に近い場合、動作パラメータ値404は、コーティング特性値を許容差範囲402の外側限界から遠ざけるように、調節され得る。場合によっては、動作パラメータ値404は、調節されなくてもよい。動作パラメータ値404は、例えば、予測コーティング特性値(複数可)412と現在のコーティング特性値とが同じであるか、又は、10%変動などの許容可能な変動内にある場合、調節されなくてもよい。動作パラメータ値404が調節されない別の例は、予測コーティング特性値412と現在のコーティング特性値408とが異なるが、予測コーティング特性値412が許容差範囲402を外れない場合であり得る。前記例によって示唆されるように、動作パラメータ値404に対する調節の決定は、現在のコーティング特性値408に基づいてもよい。
【0097】
調節は、必ずしも単一の動作パラメータに限定されるものではない。むしろ、幾つかの例では、複数の動作パラメータ値404が、あたかも単一の動作パラメータのみが調節されたかのように、同一若しくは類似の効果を達成するために、及び/又は、同一若しくは類似の基準の下で、調節され得る。
【0098】
プロセスの反復は、単一のコーティング特性に関して行われることが、一般的に企図されている。例えば、プロセスは、コーティングされた基材上の1つの特定の場所におけるコーティング厚さを対象とすることができる。更に他の例では、プロセスは、複数のコーティング特性(例えば、コーティングの厚さとコーティングの場所)に対する値を、数回の反復にわたって、別々に追跡し得る。コーティング特性の両方の値について予測を決定することができ、各コーティング特性の予測値に基づいて動作パラメータを独立して調節することができる。
【0099】
複数のコーティング特性値が追跡されるときに複数のパラメータ値が独立して調節されるのではなく、1つの動作パラメータの値が、2つ以上のコーティング特性の予測値に基づいて調節されてもよい。単一の動作パラメータ値404に対する調節は、1または複数の基準に従って実施され得る。例えば、単一の動作パラメータ値404は、コーティング特性値の両方をそれらの各々の許容差範囲の外側限界から比例的に等しい量だけ「離れる」ように移動させるなど、両方のコーティング特性に等しく利益をもたらすように、調節され得る。別の例では、単一の動作パラメータは、それらの各々の許容差範囲の外側限界に「向かう」それらの比例距離に従って各コーティング特性に利益をもたらすように、調節され得る。別の例では、動作パラメータは、許容差範囲の外側限界に最も「向かって」いる単一のコーティング特性に影響を及ぼすように調節されてもよく、これは、最初にその許容差範囲402の外側に移動する可能性が高いコーティング特性を反映し得る。更に別の例では、動作パラメータ値404は、集合における2つのコーティング特性に最良の利益をもたらす(例えば、許容限度から「離れて」移動する)ように調節され得る。別の例では、動作パラメータ値404は、複数のコーティング特性のうちの1つにのみ基づいて調節されてもよく、別のコーティングパラメータに対する利益又は悪影響は付随的である。この例の代替例では、動作パラメータの調節は、他のコーティング特性が許容差範囲402の外側になると予測されるまで、当該1つのコーティング特性のみに関連し得る。この場合、動作パラメータは、他のコーティング特性に完全に又は部分的に影響するように調節され得る。
【0100】
予測コーティング特性値412に基づいて動作パラメータ値404が調節された(又は調節されなかった)後、プロセスのこの反復は完了したとみなされ得る。一連の連続のコーティング基材中の後のコーティング基材に関して、別の反復が行われ得る。プロセスの次の反復の対象となる後続のコーティング基材は、以前の反復の直後のコーティング基材であり得る。あるいは、プロセスの新たな反復の対象となる新たなコーティング基材は、それと以前に検査されたコーティング基材との間に(経時的時間又はコーティング基材の数のいずれかによる)いくらかの間隔を有する、後の基材であり得る。
【0101】
図5は、強化されたコーティング制御を使用してコーティング動作を実行するための方法500のフローチャートを示す。当該方法は、工程502で開始する。工程504では、ディスペンサ(例えば、図1のディスペンサ108)は、当該ディスペンサの動作パラメータの値に従って、基材(例えば、図1の基材114)の少なくとも一部分に流体を塗布するためのコーティング動作を実行し得る。特に、ディスペンサは、流体を分注する(例えば、図4のコーティング動作406)ために選択的に開閉され得るバルブを有するノズルを含んでもよい。幾つかの例では、流体は、ドット、ライン、又はスプレー領域として塗布され得る。基材は、一連のうちの第1の基材など、一連の後続の基材の一部であり得る。
【0102】
読者は、本方法500を説明する際に使用されるディスペンサ、コーティング動作、流体、及び他の用語への言及は、幅広く理解されるべきであり、陳述又は文脈によって明示的に逆に指示されない限り、任意の装置種類、分注動作、及び/又は材料種類、を包含し得ることを想起されたい。
【0103】
コーティング動作は、基材に塗布される時の流体の1または複数の特性(例えば、図4のコーティング特性値408)の値に影響を及ぼす動作パラメータ値(例えば、図4の動作パラメータ値404)に従って、実施され得る。動作パラメータは、例えば、流体がノズルに供給される時、及び/又は、流体の供給源からディスペンサへ供給される時、の流体の流体圧力を含み得る。別の例として、動作パラメータは、バルブが開放又は閉鎖される速さなど、ノズルの動作パラメータを含んでもよい。
【0104】
コーティング特性値は、例えば、基材に塗布される流体の厚さ、基材の一部分、及び/又は流体の構成体(例えば、ドット、ライン、若しくはスプレー領域)を含んでもよい。コーティング特性値はまた、流体の被覆態様を指し得る。これは、基材上のコーティングされた場所、並びに/又は、流体構成体の寸法及び/若しくは形状などのコーティングされた領域のサイズ、を含んでもよい。例えば、コーティング構成体は、当該コーティング構成体が塗布されるべきであるが、それを超えるべきではない標的領域に到達する場合がある。コーティング特性の他の例は、本明細書でより詳細に記載される。
【0105】
工程506では、コーティングされた基材上の前述のコーティング特性の値が、例えば検査ステーション(例えば、図1の検査ステーション130)によって測定され得る。検査ステーション又は他の構成要素は、カメラなど、コーティング特性値を測定するために、1または複数のセンサを使用し得る。検査ステーションは、図1に示すように、コーティングされている基材の直後のコーティング特性値を測定することができる。他の実施態様では、検査ステーションは、コーティングシステム内に位置付けられ得て、基材上の流体が硬化された後にコーティング特性値を測定し得る。例えば、硬化オーブン(例えば、図1の硬化オーブン102)が、ディスペンサと検査ステーションとの間に位置付けられ得る。
【0106】
工程508では、コーティング特性値(例えば、図4の予測コーティング特性値(複数可)412)の予測値が決定/推定され得る。当該予測値は、一連の連続基材中の現時点の基材の後にある基材に後に塗布される流体のコーティング特性値の予測値を指し得る。当該後の基材は、現時点の基材の直後にあってもよく、又は、それと現時点の基材との間に多数の介在基材を有するものであり得る。例えば、当該後の基材は、現時点の基材の後にコーティング及び/又は検査される10番目の基材であり得る。一実施形態では、複数の後の基材について、複数の予測コーティング特性値が決定/推定され得る。
【0107】
予測コーティング特性値は、現時点のコーティング特性値に基づいて決定され得る。追加的に又は代替的に、予測コーティング特性値は、一連の基材の以前に検査されたコーティングされた基材などの、過去のコーティング特性値の集合(例えば、図4のコーティング特性値の集合410)に基づいてもよい。ここで、現時点のコーティング特性値を集合に加え得る。コーティング特性値の集合は、時系列として編成され得る。予測コーティング特性値を決定するために、様々な予想及び/又は予測技術のうちの1つ以上が、当該時系列に適用され得る。
【0108】
決定されたコーティング特性値は、予測の統計的確実性を示す関連する信頼度レベル又は他の測定基準を有し得る。当該信頼度レベル又は他の測定基準は、予測が有効であるとみなされるための閾値として機能し得る。追加的に又は代替的に、当該信頼レベル又は他の類似の測定基準は、動作パラメータが工程514で調節され得る因子であり得る。
【0109】
工程510では、工程508からの予測コーティング特性値を、値の許容差範囲(例えば、図4の許容差範囲402)と比較することができる。工程512において、予測コーティング特性値が値の許容差範囲外である場合、当該方法は工程514に進むことができる。比較は、予測コーティング特性値の10%など、指定された割合の許容値及び/又は値の許容差範囲の値(複数可)で実施され得る。予測コーティング特性値及び/又は許容差範囲の値(複数可)の「約」に言及すると、その値のプラスマイナス10%である値を意味すると理解されるものとする。「約」の他の同様の使用も、同様に考慮されるものとする。
【0110】
複数の後の基材について複数の予測コーティング特性値が決定される実施形態では、これらの複数の予測コーティング特性値の各々について比較が行われ得る。工程512以降は、複数の予測コーティング特性値の各々に対して順番に実施され得る。
【0111】
工程512において、予測コーティング特性値が値の許容差範囲外でない場合、方法500は工程516に進むことができる。
【0112】
工程516において、現時点の基材が最終基材であるか、又は方法500が終了することが示されている場合、方法500は、工程518で終了し得る。
【0113】
また、工程516において、現時点の基材が一連の連続基材の最終基材ではなく、方法500を終了する他の指示もない場合、方法500は、動作パラメータの値を調節することなく工程504に戻り得る。工程504に戻ると、一連の連続した基材中の後続の基材に対して新たなコーティング動作が実施される方法500の新たな反復(特には工程504~工程516)が行われ得る。後続の基材は、前の反復の基材の直後である必要はなく、前の反復の基材に続く基材の間隔をおいてもよい。方法500のこの次の反復における動作パラメータの値は、前の反復で使用される動作パラメータの値と同じであり得る。
【0114】
コーティング特性値の予測値が工程512において値の許容差範囲外である(すなわち許容できない予測値を表す)場合、動作パラメータの値は工程514で調節され得る。例えば、動作パラメータの値は、方法500の後続の反復(複数可)におけるコーティング特性値が値の許容差範囲内又は少なくとも値の許容差範囲内に近い(又はそのように予測される)ように、調節され得る。幾つかの実施態様では、複数の動作パラメータの値が、方法500の後続の反復(複数可)におけるコーティング特性値に影響を及ぼすように調節されてもよい。
【0115】
動作パラメータの値が調節された後、方法500は、工程504に戻ってもよく、この次の反復の工程504では、この調節された動作パラメータの値を使用して、コーティング動作を実施することができる。この次の反復における方法500は、工程504などに進むことができる。
【0116】
当業者であれば、本明細書に開示されるシステム及び方法は、1または複数のプロセッサ、システムメモリ、及び、プロセッサをシステムメモリと結合するなど様々なシステムの構成要素同士を結合するシステムバス、を備え得るがこれらに限定されないコンピューティングデバイスを介して実装され得ることを、理解するであろう。複数のプロセッサの場合、システムは、並列コンピューティングを利用してよい。
【0117】
例示のために、かかるプログラム及び構成要素は、時として、コンピューティングデバイスの異なる記憶構成要素に存在し、かつ、コンピュータのデータプロセッサ(複数可)によって実行されることを認識したうえで、アプリケーションプログラム及びオペレーティングシステムなど他の実行可能なプログラム構成要素は、本明細書において個別のブロックとして図示されている。サービスソフトウェアの実装は、何らかの形のコンピュータ可読媒体に記憶され得るか、かかる媒体を介して送信されてよい。全ての開示した方法は、コンピュータ可読媒体上に具現化されたコンピュータ可読命令によって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータによりアクセス可能な任意の利用可能な媒体であり得る。制限する意図ではなく例示として、コンピュータ可読媒体は、「コンピュータ記憶媒体」及び「通信媒体」を含み得る。「コンピュータ記憶媒体」は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータなど情報の記憶のための任意の方法又は技術で実現される、揮発性及び不揮発性の、取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体の例は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶若しくは他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために使用可能でありかつコンピュータによってアクセス可能な任意の他の媒体、が含まれるが、これらに限定されない。アプリケーションプログラムなど及び/又は記憶媒体は、少なくとも部分的にリモートシステムで実装され得る。
【0118】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その文脈について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。数値の範囲は、「約」をつけたある特定の値から、及び/又は、「約」をつけた他の特定の値に至るものとして表現される場合がある。そのようにして1つの範囲が表現されると、他の実施形態においては、当該ある特定の値から、及び/又は、当該他の特定の値に至る範囲が含まれる。同様に、ある値が「約」を前につけて、近似的値によって示される場合、当該ある特定の値は他の実施形態においても有効であると理解されねばならない。更に、そのような範囲のそれぞれの端点は、他の端点との関連において、及び他の端点とは独立して、有効であると理解されねばならない。
【0119】
本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別途記載のない限り、当該範囲内の各別個の値に個別に言及する簡略な方法として機能することを単に意図するものであり、各別個の値は、本明細書において個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。
【0120】
本明細書の説明及び「特許請求の範囲」を通じて、「comprise(含む)」という用語、並びに、例えば「comprising」及び「comprises」のようなその変化形は、「含むがそれに限定されない」ということを意味し、かつ例えば、他の構成要素、整数、又は工程などを排除することは意図されていない。「例示的な」という用語は、「~の例」を意味し、かつ、それが好ましい又は理想の実施形態であることを伝えようという意図はない。「Such as」は、制限的な意味では使用されておらず、説明の目的のために使用されている。
【0121】
開示される方法及びシステムを実行するために用いられ得る構成要素が開示されている。これらの及び他の構成要素が本明細書で開示されており、これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、群等が開示されているものの、各々の様々な個別の並びに集合的な組み合わせ及びそれらの組み合わせを並べ替えたものに具体的に言及したものが明示的に開示されていないとしても、各々が全ての方法及びシステムに対して本明細書に考慮され説明されているものと理解される。この原則は、本出願の全ての態様に対して適用され、開示される方法の工程に限定されない。したがって、実行され得る様々な追加的工程が存在する場合、これらの追加的工程の各々は、開示される方法の任意の特定の実施形態又はこれらの組み合わせ、と共に実行され得ることが理解される。
【0122】
特にそうでないと明示的に述べない限り、本明細書において記載されているいかなる方法も、その複数の工程をある特定の順序で実行することを必要とするものとして理解することを全く意図されていない。したがって、方法の請求項が実際に、その複数の工程が従うべき順序を指定していない場合、又は複数の工程が特定の順序に制限されるということが具体的に請求項又は説明において記述されていない場合、いかなる点においても、ある順序が暗示されているということを意図するものではない。これは、工程又は動作フローの配置に関するロジックの問題、文法体系又は句読点に由来する平易な意味、本明細書に記載される実施形態の数又は種類、を含む、解釈のための任意の可能性ある非明示的な根拠に当てはまる。
【0123】
本出願の範囲又は趣旨から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされ得ることが、当業者には明らかであろう。明細書及びそこに開示される実践を考慮すれば、他の実施形態が当業者には明らかであろう。明細書及び例は、あくまでも例示的なものとして考慮されて、以下に続く「特許請求の範囲」により、その真の範囲及び精神が示される、ということが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注システムを制御するための方法であって、前記分注システムは、コントローラによって動作され、前記分注システムを通って移動される一連の基材に液体又は粘性材料を塗布するように構成された分注デバイスを有し、
当該方法は、
前記分注システムの動作パラメータの第1の値に従って、前記分注デバイスを動作させて、第1の材料量を前記一連の基材の第1の基材に塗布する工程と、
センサを使用して、前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の特性を測定する工程と、
前記第1の基材と塗布された前記第1の材料量の前記特性とに基づいて、前記一連の基材中の後続の基材上に塗布される予定の材料量の特性が範囲外になると推定されるか否か、を判定する工程と、
前記後続の基材上に塗布される予定の前記材料量の前記特性が前記範囲外になると推定される、という前記判定に応答して、且つ、前記動作パラメータの調節される値が前記後続の基材上に塗布される予定の第2の材料量が有効であるという所定の信頼度の閾値レベルを満たす、という判定に応答して、前記動作パラメータの前記第1の値を第2の値に調節する工程と、
前記動作パラメータの前記第2の値に従って、前記後続の基材に、前記分注デバイスから前記第2の材料量を塗布する工程と、を含み、
前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の前記特性は、前記後続の基材上に塗布された前記第2の材料量の特性とは異なる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の前記特性は、前記基材上の場所、サイズ、形状、及び厚さ、のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分注システムを制御するための方法であって、前記分注システムは、コントローラによって動作され、前記分注システムを通って移動される一連の基材に液体又は粘性材料を塗布するように構成された分注デバイスを有し、
当該方法は、
前記分注システムの動作パラメータの第1の値に従って、前記分注デバイスを動作させて、第1の材料量を前記一連の基材の第1の基材に塗布する工程と、
センサを使用して、前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の特性を測定する工程と、
前記第1の基材と塗布された前記第1の材料量の前記特性とに基づいて、前記一連の基材中の後続の基材上に塗布される予定の材料量の特性が範囲外になると推定されるか否か、を判定する工程と、
前記後続の基材上に塗布される予定の前記材料量の前記特性が前記範囲外になると推定される、という前記判定に応答して、且つ、前記動作パラメータの調節される値が前記後続の基材上に塗布される予定の第2の材料量が有効であるという所定の信頼度閾値レベルを満たす、という判定に応答して、前記動作パラメータの前記第1の値を第2の値に調節する工程と、
前記動作パラメータの前記第2の値に従って、前記後続の基材に、前記分注デバイスから前記第2の材料量を塗布する工程と、を含み、
前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の前記特性は、前記後続の基材上に塗布された前記第2の材料量の特性とは異なり、
前記動作パラメータは、前記分注デバイスのノズルに供給される材料の流体圧力、前記ノズルに供給される材料の流量、前記ノズルからの材料の分注速度、前記一連の基材がコーティングされる速度、または、前記分注デバイスの霧化エアジェットの空気圧力、のうちの少なくとも1つに関連付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料量の前記特性は、何の機能的構成要素も存在していない前記第1の基材の指定された試料領域で測定される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の基材の前記指定された試料領域は、標的領域を含み、
前記第1の材料量の前記特性は、前記標的領域に対する前記第1の材料量の場所を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記後続の基材は、前記第1の基材の後続の前記一連の基材中の2つ以上の基材である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記後続の基材上に塗布される前記材料量の前記特性は、ある信頼度レベルにおいて前記範囲外になると推定され、
前記信頼度レベルは、所定の閾値信頼度レベル以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記動作パラメータの前記値を前記第2の値に調節する工程は、前記推定の前記信頼度レベルに基づく
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記動作パラメータの前記値を前記第2の値に調節する工程は、前記一連の基材中の前記第1の基材の前に1または複数のそれぞれの基材上に塗布された材料量の1または複数の特性に基づく
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の基材の前に1または複数の基材上に塗布された前記材料量の前記1または複数の特性は、時系列データとして表され、
前記動作パラメータの前記値を前記第2の値に調節する工程は、前記時系列データに基づく
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動作パラメータの前記値を前記第2の値に調節する工程は、平滑化関数を前記時系列データに適用する工程を含み、
前記平滑化関数は、単純移動平均関数、累積ローリング平均関数、加重移動平均関数、指数平滑移動平均関数、及び自己回帰移動平均関数、のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記分注デバイスは、前記分注システムの第2の動作パラメータの第1の値に従って前記第1の材料量を塗布し、
当該方法は、
前記後続の基材上に塗布された後の前記材料量の前記特性が前記範囲外になると推定される、という前記判定に応答して、前記第2の動作パラメータの値を第2の値に調節する工程
を更に備え、
前記第2の材料量は、前記第2の動作パラメータの前記第2の値に更に従って前記第2の基材に塗布される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記分注システムの前記動作パラメータの第3の値に従って、前記分注デバイスを動作させて、第3の材料量を前記一連の基材の第3の基材に塗布する工程と、
前記センサを使用して、前記第3の基材上に塗布された前記第3の材料量の特性を測定する工程と、
前記第3の基材上に塗布された前記第3の材料量の前記特性に基づいて、前記一連の基材中の前記第3の基材の後続の基材上に塗布された後の材料量の特性が前記範囲内にあると推定される、と判定する工程と、
前記動作パラメータの前記第3の値に従って、前記一連の基材の第4の基材に、前記分注デバイスから第4の材料量を塗布する工程と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第3の基材は、前記後続の基材の後続の前記一連の基材中の少なくとも2つの基材である
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記分注システムの前記動作パラメータの第3の値に従って、前記分注デバイスを動作させて、第3の材料量を前記一連の基材の第3の基材に塗布する工程と、
前記センサを使用して、前記第3の基材上に塗布された前記第3の材料量の特性を測定する工程と、
前記第3の基材上に塗布された前記第3の材料量の前記特性に基づいて、前記一連の基材中の前記第3の基材の後続の基材上に塗布された後の材料量の特性が前記範囲内かつ第2の範囲外になると推定される、と判定する工程と、
前記第3の基材の後続の前記基材上に塗布された後の前記材料量の前記特性が前記範囲内かつ前記第2の範囲外になると推定される、という前記判定に応答して、前記動作パラメータの前記値を第4の値に調節する工程と、
前記動作パラメータの前記第4の値に従って、前記分注デバイスから前記一連の基材の第4の基材に第4の材料量を塗布する工程と、
を更に備え、
前記第3の基材に塗布された前記第3の材料量の前記特性は、前記第4の基材に塗布された前記第4の材料量の特性とは異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の材料量の前記特性が測定されるとき、前記第1の基材上の前記第1の材料量が硬化される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記後続の基材上に塗布される前記材料量の前記特性が前記範囲外になると推定される、と判定する工程は、前記一連の基材中の第2の後続の基材上に塗布される材料量の前記特性が前記範囲外になると推定される、と判定する工程を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記調節される値に関連付けられる予測の統計的確実性を示す信頼度レベルを判定する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記後続の基材は、前記第1の基材の直後に続く
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
基材に液体又は粘性材料を塗布するための分注システムであって、前記基材は当該分注システムを通って移動され、
当該分注システムは、
分注デバイスと、
当該分注システムを通って移動される一連の基材のうちの基材に前記分注デバイスによって塗布される材料量の特性を測定するように配置されたセンサと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、1または複数の信号を生成して、
当該分注システムの動作パラメータの第1の値に従って、当該分注デバイスを動作させて、第1の材料量を前記一連の基材の第1の基材に塗布する工程と、
前記センサを使用して、前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の特性に関する情報を生成する工程と、
前記第1の基材と塗布された前記第1の材料量の前記特性とに基づいて、前記一連の基材中の後続の基材上に塗布される予定の材料量の特性が範囲外になると推定されるか否か、を判定する工程と、
前記後続の基材上に塗布される予定の前記材料量の前記特性が前記範囲外になると推定される、という前記判定に応答して、且つ、前記動作パラメータの調節される値が前記後続の基材上に塗布される予定の第2の材料量が有効であるという所定の信頼度閾値レベルを満たす、という判定に応答して、前記動作パラメータの前記第1の値を第2の値に調節する工程と、
前記動作パラメータの前記第2の値に従って、前記後続の基材に、当該分注デバイスから第2の材料量を塗布する工程と、
を行うように構成されており、
前記第1の基材上に塗布された前記第1の材料量の前記特性は、前記後続の基材上に塗布された前記第2の材料量の特性とは異なる
ことを特徴とする分注システム。
【請求項21】
前記分注デバイスを含む分注アセンブリと、
前記センサを含み、前記一連の基材のうちの基材を材料量が当該基材に塗布された後に受容するように構成された検査ステーションと、
を更に備えたことを特徴とする請求項20に記載の分注システム。
【請求項22】
当該分注システムは、ビーズ、ライン、及びスプレーパターン、のうちの少なくとも1つの形態で材料量を塗布するように構成されている
ことを特徴とする請求項21に記載の分注デバイス。
【請求項23】
前記検査ステーションは、前記分注アセンブリとは分離している
ことを特徴とする請求項21に記載の分注システム。
【請求項24】
前記一連の基材のうちの基材に塗布された材料量を硬化させるように構成された硬化オーブン
を更に備えたことを特徴とする請求項21に記載の分注システム。
【請求項25】
前記硬化オーブンは、前記分注デバイスと前記検査ステーションとの間に位置し、前記第1の基材上の前記第1の材料量が硬化される
ことを特徴とする請求項24に記載の分注システム。
【請求項26】
前記センサは、前記一連の基材のうちの基材に塗布された材料量の画像を捕捉するように構成されたカメラを含む
ことを特徴とする請求項20に記載の分注システム。
【請求項27】
前記分注デバイス及び前記センサが、共通のアセンブリ内に組み込まれている
ことを特徴とする請求項20に記載の分注システム。
【請求項28】
前記共通のアセンブリは、可動アームを含み、
前記分注デバイス及び前記センサのうちの少なくとも1つが、前記可動アームに固着されている
ことを特徴とする請求項27に記載の分注システム。
【請求項29】
可動アームと、
前記可動アームに固着されたセンサアセンブリと、
を更に備え、
前記センサアセンブリは、前記センサ及び紫外光源を含み、
前記センサは、前記一連の基材のうちの基材に塗布された材料量の画像を捕捉するように構成されたカメラを含む
ことを特徴とする請求項20に記載の分注システム。
【請求項30】
前記調節される値に関連付けられる予測の統計的確実性を示す信頼度レベルを判定する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項20に記載の分注システム。
【請求項31】
前記後続の基材は、前記第1の基材の直後に続く
ことを特徴とする請求項20に記載の分注システム。
【外国語明細書】