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特開2024-109599電気要素、はんだ付け工程のための電気要素を準備する方法、およびはんだ付け工程のための電気要素を準備する装置
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  • 特開-電気要素、はんだ付け工程のための電気要素を準備する方法、およびはんだ付け工程のための電気要素を準備する装置 図1
  • 特開-電気要素、はんだ付け工程のための電気要素を準備する方法、およびはんだ付け工程のための電気要素を準備する装置 図2
  • 特開-電気要素、はんだ付け工程のための電気要素を準備する方法、およびはんだ付け工程のための電気要素を準備する装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109599
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電気要素、はんだ付け工程のための電気要素を準備する方法、およびはんだ付け工程のための電気要素を準備する装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20240806BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20240806BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20240806BHJP
   B23K 33/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H05K1/18 R
H05K3/00 M
B23K1/00 330E
B23K33/00 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024071739
(22)【出願日】2024-04-25
(62)【分割の表示】P 2021202987の分割
【原出願日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】10 2020 134 205.5
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ルディ ブルーメンシャイン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ マルティン ドレッセル
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ブラベッツ
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト グレート
(57)【要約】      (修正有)
【課題】凹部に露出して位置する電気要素の2つの導電要素に部品がはんだ付けされる、はんだ付け工程のための電気要素を準備する方法及び装置を提供する。
【解決手段】互いに離間し、かつ電気部品40を受け入れるための凹部20を形成することによって少なくとも部分的に露出した2つの導電要素11を有する電気要素10において、電気部品40のためのトラフ30が凹部20に形成される。トラフ30は、一方の導電要素11から他方の導電要素11まで延びる。凹部20に露出して位置する電気要素10の2つの導電要素11に電気部品40がはんだ付けされる、はんだ付け工程のための電気要素10を準備する方法において、電気部品40のためのトラフ30が、凹部20において電気要素10に形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間し、かつ電気部品(40)を受け入れるための凹部(20)を形成することによって少なくとも部分的に露出した2つの導電要素(11)を有する電気要素(10)であって、
前記電気要素(10)はフレキシブルであり、かつ前記電気要素(10)はストリップ状または板状、またはリボンケーブル(15)またはリボンケーブル(15)の一部であるとともに、

前記電気部品(40)のためのトラフ(30)が前記凹部(20)に形成され、前記トラフ(30)は一方の前記導電要素(11)から他方の前記導電要素(11)まで延びており、
前記トラフ(30)は塑性変形によって形成されている、
電気要素(10)。
【請求項2】
前記電気部品(40)は、温度を監視するための電気部品である、
請求項1に記載の電気要素(10)。
【請求項3】
前記導電要素(11)は、キャリア(12)と前記キャリア(12)に配置された層(13)との間に配置されている、
請求項1または2に記載の電気要素(10)。
【請求項4】
前記トラフ(30)は前記凹部(20)の面積の一部のみを占める、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気要素(10)。
【請求項5】
前記電気要素(10)はフレキシブルプリント回路(FPC)である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気要素(10)。
【請求項6】
前記電気要素(10)はフレキシブルフラットケーブル(FFC)またはフレキシブルフラットケーブル(FFC)の一部である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気要素(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気要素(10)と、
前記トラフ(30)に取り付けられ、かつ前記電気要素(10)の前記導電要素(11)に電気的に接続された電気部品(40)とを備える、
装置(80)。
【請求項8】
前記トラフ(30)の形状が、前記トラフ(30)に受け入れられることになる前記電気部品(40)の下側(43)に相補的であり、前記電気部品(40)の下側(43)が前記トラフ(30)内に配置される、
請求項7に記載の装置(80)。
【請求項9】
凹部(20)に露出して位置する、電気要素(10)の2つの導電要素(11)に部品(40)がはんだ付けされる、はんだ付け工程のための前記電気要素(10)を準備する方法であって、

前記電気要素(10)はフレキシブルであり、かつ前記電気要素(10)はストリップ状または板状、またはリボンケーブル(15)またはリボンケーブル(15)の一部であるとともに、

前記部品(40)のためのトラフ(30)が、前記凹部(20)において前記電気要素(10)に塑性変形によって形成されるとともに、

前記導電要素(11)は、前記トラフ(30)の形成中に変形される、

方法。
【請求項10】
前記部品(40)は、温度を監視するための部品である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記トラフ(30)を形成するために、前記部品(40)の形状に少なくとも部分的に対応する工具が使用される、
請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記工具は、パンチ(100)である、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記導電要素(11)は、キャリア(12)と前記キャリア(12)の上方に位置する層(13)との間に配置されており、
前記キャリア(12)の上方に位置する前記層(13)が、前記トラフ(30)の形成前に部分的に除去される、
請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか一項に記載の方法を含む、
はんだ付けによって前記部品(40)を前記電気要素(10)に取り付ける方法。
【請求項15】
電気要素(10)の導電要素(11)にはんだ付けすることによって電気部品(40)が取り付けられる、はんだ付け工程のための前記電気要素(10)を準備する装置(90)であって、

前記電気要素(10)はフレキシブルであり、かつ前記電気要素(10)はストリップ状または板状、またはリボンケーブル(15)またはリボンケーブル(15)の一部であり、

前記電気部品(40)のためのトラフ(30)を前記電気要素(10)に塑性変形によって形成するように構成されているトラフ形成装置(91)を備える、
装置(90)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに離間し、かつ電気部品を受け入れるための凹部を形成することによって部分的に露出した2つの導電要素を有する電気要素に関する。
【0002】
さらに、本発明は、凹部に露出して位置する電気要素の2つの導電要素に部品がはんだ付けされる、はんだ付け工程のための電気要素を準備する方法に関する。
【0003】
さらに、本発明は、凹部に露出して位置する電気要素の2つの導電要素に部品がはんだ付けされる、はんだ付け工程のための電気要素を準備する装置に関する。
【背景技術】
【0004】
電気要素は、例えば、電動車両の電池セルを監視するために使用されるリボンケーブルであり得る。この文脈において、多くの場合、温度を監視するために、感温電気部品が2つの導電要素間に配置される。通常、部品はレセプタクルに挿入され、はんだ付けされる。従来技術の欠点は、電気部品がさらなる製造工程において移動することがあるため、はんだ付け不良が生じるか、または、はんだ付けは正確であるが、下流の制御システムによって不良であると分類されることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、不良品の数を減らす解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、電気要素のためにトラフが凹部に形成され、トラフが一方の導電要素から他方の導電要素まで延びる点で、最初に述べた電気要素について解決される。
【0007】
最初に述べた方法について、この課題は、電気要素内の部品用凹部にトラフを形成することによって解決される。
【0008】
最初に述べた電気要素を準備する装置について、この課題は、電気部品のためのトラフを電気要素に形成するように構成されているトラフ形成装置によって解決される。
【0009】
形成されたトラフは、さらなる製造工程中、特にはんだ付け工程中に、電気部品を位置決めして保持する。これにより、後続の方法工程において部品が滑ることを防ぐので、電気部品を常に正確な位置に固定、例えば、はんだ付け、接着、圧着、または溶接することができる。これにより、不良品の数を減らすことができる。
【0010】
本発明による解決策は、以下のさらなる発展および構成によってさらに改良することができ、これらの発展および構成は、各々が好ましく、互いに組み合わせることができる。
【0011】
導電要素が少なくとも部分的にトラフの一部であると有利である。これにより、電気部品がコンタクト要素に接触する位置で、電気部品を凹部に保持することができる。
【0012】
トラフは、導電要素まで延びる、かつ/または導電要素上に延びることができる。これにより、電気部品が導電要素に容易に接触することができる。
【0013】
実施しやすい変形形態において、トラフを塑性変形によって形成することができる。例えば、トラフを凹部、特に凹部のベースに塑性的に形成することができる。
【0014】
好ましくは、塑性変形は、冷間成形、すなわち、温度変化、特に溶融または加熱が必要ない、または変形自体の結果としてこれらが生じない変形を伴う。そのような方法は、あまり労力をかけずに行うことができる。特に、冷間成形は、加圧成形、インデンティング(indenting)、または空引き(sinking)を伴うことができる。
【0015】
冷間成形の代替構成において、少なくとも部分的に温状態で、すなわち高温、特に電気要素の意図した使用温度よりも高い温度、および/または室温よりも高い温度で塑性変形を行うことができる。このような温度での塑性変形は、より容易に行うことができる。加えて、高温での塑性変形は、電気要素の応力を避けることができる。
【0016】
さらなる好ましい構成において、形成工程は、代替としてまたは追加として、例えばエッチング、切断、または研削により材料を除去することを含むことができる。この文脈において、電気要素(導電要素および/またはキャリアなど)から材料を除去して、トラフを形成することができる。
【0017】
電気要素は、導電要素が配置されるキャリアを有することができる。導電要素を、キャリアとキャリアに配置された層との間に配置することができる。キャリアおよび層を、非導電性材料から形成することができる。導電要素を、キャリアと層との間で電気要素に埋め込んで、導電要素を保護することができる。
【0018】
好ましい構成によれば、導電要素は細長く、バンド状および/またはストリップ状である。これにより、小型の導電要素を用いた、容易で的を絞った電流の伝導が可能になる。
【0019】
別の小型の構成において、導電要素は互いに平行に延びる。
【0020】
電気要素は、互いに平行に延びる複数の導電要素を有することができ、これらの導電要素の間にトラフが位置する。したがって、異なる対の導電要素を、それぞれの異なるトラフによって接続することができる。
【0021】
トラフが凹部の面積の一部のみを占めると特に好ましい。これは、この場合、凹部が電気要素の保持機能を担うことができないか、または担う必要がないからである。例えば、凹部は、トラフよりも少なくとも50%大きい断面積を有することができる。この場合、断面は、電気要素またはキャリアの表面の平面に平行である。最大値500%を上限とみなすことができる。
【0022】
電気要素は、ストリップ状または板状であってもよい。特に、ストリップ状または板状の電気要素は、1つの空間方向の範囲を有し、この範囲は、これに垂直な1つまたは2つの空間方向の範囲のせいぜい20%、好ましくは10%、特に5%であると考えられる。
【0023】
好ましい構成において、電気要素は、フレキシブルフラットケーブル(FFC)としても知られるフラットリボンケーブルまたはフラットリボンケーブルの一部であってもよい。
【0024】
代替構成において、電気要素は、フレキシブルプリント回路(FPC)としても知られるフレキシブルプリント回路基板であってもよく、または、リジッドプリント回路基板(プリント回路基板(PCB))であってもよい。
【0025】
良好な保持および保護効果を実現するために、トラフは、ベース、好ましくは連続したベースおよび/または平坦なベースを有することができる。ベースは、電気要素の表面の残りの部分に平行であり、容易かつ安全な保持を可能にすることができる。さらに、トラフは側壁を有することができる。
【0026】
さらなる好ましい構成において、トラフは少なくとも1つの断面においてV字状である。これにより、電気要素の容易な挿入およびその後の自動調節が可能になる。トラフは、電気要素の表面の平面または電気要素の平面に対して垂直な方向に沿って、特に凹部から離れて狭くなっていてもよい。トラフは、電気要素の上面の平面および/または凹部のベースに平行な、略平面のベースを有することができる。トラフは、ベースから凹部まで傾斜して延びる対向する壁を有することができる。壁の傾斜角度は80°~20°であってもよい。
【0027】
トラフを止まり穴として構成することができる。これにより、製造を簡略化することができる。トラフは片側で開き、それ以外は閉じていてもよい。
【0028】
スペースを節約するために、トラフは、電気要素の表面の残りの部分に対して凹んでいてもよい。
【0029】
本発明は、本発明による電気要素と、トラフに取り付けられ、かつ電気要素の導電要素に電気的に接続された電気部品とを備える装置をさらに含む。
【0030】
保持効果を向上させるために、トラフは、電気部品に対して部分的に略相補的であってもよい。トラフの形状は、トラフに置かれる、受け入れる部品の下側に相補的であることが好ましい。これにより、電気部品を特に確実かつ容易に保持することができる。
【0031】
同様に、保持効果を向上させるために、トラフは、電気部品の高さの少なくとも5%、好ましくは10%、さらに好ましくは20%、特に50%に相当する深さを有することができる。用途によっては、20%、30%、50%、80%、または90%の値を最大値と考えることができる。深さは、表面の平面に垂直に測定される。
【0032】
さらに好ましい構成において、トラフは、電気要素の高さの少なくとも5%、好ましくは10%、より好ましくは20%、特に50%に相当する深さを有することができる。ここでも、20%、30%、50%、80%、または90%の値を最大値と考えることができる。値が大きいほど、電気部品がより確実に保持される。しかしながら、値が大きいほど、電気要素は機械的に弱くなる。
【0033】
トラフの深さと幅および/または長さとの比は、少なくとも1:20であってもよい。好ましい構成において、この比は、少なくとも1:10、1:3、または1:2であってもよい。1:5、1:3、または1:2の比を最大値と考えることができる。トラフが平坦であるほど、形成しやすくなる。しかしながら、トラフが深いほど、保持効果は高くなる。
【0034】
好ましい方法において、部品の形状に少なくとも部分的に対応する工具、例えばパンチを形成に使用することができる。このようにして、トラフを電気部品に良好に適合させることを、自動的に実現することができる。このような工具、例えばパンチまたはダイは、トラフ形成装置の一部を構成することができる。
【0035】
実施が容易な一実施形態において、トラフが形成されたときに導電要素を変形させることができる。
【0036】
形成を容易にするために、キャリアの上方に位置する層を、トラフの形成前に部分的に除去することができる。特に、除去によって凹部を形成することができる。除去を、例えばレーザによって行うことができる。層は、キャリアおよび/または導電要素に接続されていてもよい。少なくとも1つの導電要素を、特にキャリアと層との間で電気要素に埋め込むことができる。
【0037】
本発明はさらに、はんだ付け工程のための電気要素を準備する方法を含む、はんだ付けによって部品を電気要素に取り付ける方法をさらに含む。
【0038】
好ましい構成において、トラフが形成された後に、はんだが、特にペーストの形態でレセプタクルに導入される。
【0039】
さらに、トラフの形成後、部品をトラフに挿入することができる。
【0040】
さらなる工程において、トラフが形成された後に、部品を、特に少なくとも1つの導電要素にはんだ付けすることができる。HFはんだ付けが、特に適したはんだ付け方法である。
【0041】
本発明による装置を、本発明による方法に適合させることができる。このために、この装置は、形成機構、レーザアブレーション機構、はんだ塗布機構、挿入機構、および/またははんだ付け機構を備えることができる。さらに、このような装置は、電気部品の把持手段を備えることができる。さらに、電気要素および/または電気部品の供給機構を設けることができる。本発明による装置を、塑性変形によってトラフを形成するように構成することができる。
【0042】
以下で、図面を参照しながら、本発明について好ましい構成を用いてより詳細に説明する。図示する好ましいさらなる発展および構成は、互いに独立しており、適用においてこれがどのように必要であるかに応じて、互いに任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】電気要素の実施形態の概略部分切断斜視図である。
図2】挿入された電気部品と共に示す、図1の実施形態の概略部分切断斜視図である。
図3】装置の実施形態の概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図中、電気要素10は、互いに離間した2つの導電要素11が、電気部品40を受け入れるための凹部20を形成することによって部分的に露出している状態で示される。
【0045】
電気要素10は、例えば、電気自動車で使用されるもののような相互接続された電池セルの電圧を測定するために使用されるリボンケーブル15であってもよい。温度を監視するために、感温性の負の温度係数(NTC)41などの追加の電気部品40を2つの導電要素11間に配置することができる。多くの場合、この電気部品40は、はんだ付け、特に高周波はんだ付け(HFはんだ付け)によって導電要素11に取り付けられる。以前の方法では、電気部品40を所望の位置および向きで凹部20に挿入する。しかしながら、さらなる処理中、特にはんだ付け工程中に、電気部品40の位置および向きが変化し得ることは望ましくない。これにより、不良部品となるおそれがある。
【0046】
そのような位置および/または方向の変化を防ぐために、図1および図2に示す電気要素10の実施形態は、電気部品40を位置合わせし、かつ位置合わせを維持するのに役立つトラフ(trough)30を凹部20に含む。
【0047】
トラフ30は、一方の導電要素11から他方の導電要素11まで延びる。図示の実施形態において、トラフ30は導電要素11まで延び、導電要素11はトラフ30の側壁32およびベース31の一部である。
【0048】
トラフ30は、塑性変形によって形成されている。例えば、パンチの形態の工具を、高さ方向Hと反対の方向に凹部20のベース21に押し込むことができる。これにより、工具は、電気要素10の導電要素11およびキャリア12を永久的に塑性変形させることができる。変形は、特に、冷間変形、例えば、圧力変形、インデンティング(indentation)、または空引き(sinking)であってもよい。溶融または加熱は必要ではないが、ある状況下で結果に好ましい効果をもたらすことがある。
【0049】
図示しない代替構成において、トラフ30の形成を、例えばエッチング、切断、または研削により材料を除去することによって行うこともできる。
【0050】
導電要素11は、キャリア12とキャリア12の上方に位置する層13との間に配置され、電気要素10に埋め込まれている。導電要素11は、ストリップ状またはリボン状であり、電気要素10の長手方向Lに沿って互いに平行に延びる。層13は、キャリア12に材料結合されている。キャリア12および/または層13の可能な材料は、PVCまたは別のプラスチックである。
【0051】
トラフ30は、凹部20の面積の一部のみを占める。凹部20の断面積62は、トラフの断面積63よりも実質的に大きい。断面積62、63はそれぞれ、電気要素10、特にその表面の平面(plane)Eに平行に測定される。電気要素10の平面Eは高さ方向Hに対して垂直であり、長手方向Lに平行に延び、かつ導電要素11が互いに離間する横方向Qに平行に延びる。
【0052】
図示の例において、トラフ30は、横方向Qにおいて凹部20と略同じ幅である。しかしながら、トラフ30は、長手方向Lに沿って、凹部20の約3分の1の長さしかない。したがって、凹部20は、電気部品40の保持機能を長手方向Lに沿って実現することはできない。しかしながら、プロセス関連の理由から、例えば凹部20を容易に洗浄できるようにするため、または、はんだ付けプロセス中に層13に損傷を与えないために、受け入れる電気部品40よりも凹部20を長手方向Lに沿ってかなり長くする必要があり得る。
【0053】
電気要素10は、ストリップ状または板状である。電気要素10の範囲は、高さ方向Hにおいて、横方向Qの範囲よりも、例えば最大10%、実質的に小さい。また、電気要素10は、長手方向Lに沿って、横方向Qに沿った範囲よりも、例えば5~10倍、実質的に大きくてもよい。
【0054】
図示のフラットリボンケーブル15に加えて、フレキシブルまたはリジッドプリント回路基板(FPC)を電気要素10として使用することができる。
【0055】
トラフ30はV字状または漏斗状である。トラフ30は高さ方向Hと反対の方向に、したがって、凹部20から離れて狭くなる。これにより、電気部品40の自動位置決めおよび調節が可能になる。さらに、このような構成は製造が容易であり得る。
【0056】
側壁32は、高さ方向Hにわずかに傾斜して延び、平坦な連続したベース31に連なる。この文脈において、ベース31は平面Eに平行である。トラフ30は、止まり穴(blind hole)のように構成されるため、側壁32およびベース31の領域で連続して閉じており、高さ方向Hに沿った片側のみで開く。
【0057】
トラフ30は、電気要素10の表面の残りの部分から凹んでいる。
【0058】
トラフ30は、電気要素10の高さ71の約20%、および電気部品40の高さ74の20%の深さ73を有する。これにより、キャリア12に干渉し過ぎることなく良好な調節および支持が可能になる。
【0059】
横方向Qに沿って測定されたトラフ30の幅76は、その深さ73よりも、例えば20倍、実質的に大きい。長手方向Lに沿って測定されたトラフ30の長さ77は、その深さ73よりも、例えば10倍大きい。
【0060】
凹部20は、例えば、層13のレーザアブレーションによって形成することができる。代替構成において、凹部20は、例えば、層13を切り取る、または溶解させることによって形成することができる。
【0061】
図2は、電気要素10と電気要素10に配置された電気部品40とを備える装置(arrangement)80を示す。可能な限り最良の保持効果を実現するために、電気部品40の下側43は、トラフ30のベース31と略相補的である。これは、例えば、挿入する電気部品40の下側43と同様の下側を有する、トラフ30を形成するための工具を使用することによって実現することができる。
【0062】
図2に示すように、電気部品40は、いずれの場合にも一端で導電要素11に導電接続されて、2つの導電要素11を電気的に接続することができる。このために、いずれの場合にも電気部品40と導電要素11との間にはんだ50が存在していてもよい。トラフ30が形成された後に、はんだ50を、例えばペースト51の形態で導電要素11の領域に塗布することができる。その後、電気部品40を挿入することができる。次に、はんだ付け、例えばHFはんだ付けによって、電気部品40をそれぞれの導電要素11に接合することができる。
【0063】
本発明による方法は、本発明による装置(device)90を用いて行うことができる。このような装置90の可能な構成が、図3に概略的に示されている。
【0064】
装置90は、電気部品40のためのトラフ30を電気要素10に形成するように構成されているトラフ形成装置91を備える。トラフ形成装置91は、形成機構92として構成され、電気要素10を少なくとも部分的に塑性的に形成する。このために、トラフ形成装置91は、電気要素10に向かって、かつ電気要素10内へ移動することができるパンチ100の形態の工具を有する。形成中の安定した対抗支持(counter-support)を有するために、電気要素10は、この工程中、テーブル99に支持される。
【0065】
電気要素10をテーブル99上に、かつテーブル99から離して移動させるために、旋回可能な把持アーム101を有する把持手段97が設けられている。
【0066】
トラフ30を形成する前に、レーザアブレーション機構93を使用して、レーザビーム102により層13を除去することによって電気要素10に凹部20を形成する。
【0067】
トラフ30が形成され、把持手段97によって再配置された後、ペースト51の形態のはんだ50が、はんだ塗布機構94によってトラフ30に導入される。
【0068】
次に、電気要素10は、コンベアベルトを含み得る供給機構98によって、挿入機構95に搬送される。挿入機構95において、電気部品40が挿入される。
【0069】
最後に、はんだ付け機構96を使用して、好ましくはHFはんだ付けによって、電気部品40を導電要素11にはんだ付けする。
【符号の説明】
【0070】
10 電気要素
11 導電要素
12 キャリア
13 層
15 フラットリボンケーブル
20 凹部
21 ベース
30 トラフ
31 ベース
32 側壁
40 電気部品
41 NTC
43 下側
50 はんだ
51 ペースト
62 凹部の断面積
63 トラフの断面積
71 電気要素の高さ
73 トラフの深さ
74 電気部品の高さ
76 トラフの幅
77 トラフの長さ
80 装置
90 装置
91 トラフ形成装置
92 形成機構
93 レーザアブレーション機構
94 はんだ塗布機構
95 挿入機構
96 はんだ付け機構
97 把持手段
98 供給機構
99 テーブル
100 パンチ
101 把持アーム
102 レーザビーム
E 平面
H 高さ方向
L 長手方向
Q 横方向
図1
図2
図3