(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010960
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】気密構造
(51)【国際特許分類】
F16L 5/00 20060101AFI20240118BHJP
H02B 13/045 20060101ALI20240118BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F16L5/00 J
H02B13/045 A
F16L5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112587
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】志賀 大介
(72)【発明者】
【氏名】綾部 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 伸
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017FF08
(57)【要約】
【課題】長期にわたって気密性を維持することができる気密構造を提供する。
【解決手段】本開示に係る気密構造は、壁部(側壁11)に貫通孔12が設けられたケース1と、フランジ22を有し、該フランジ22が前記壁部の外面に対向するようにして前記貫通孔12を貫通している筒体2と、前記外面と前記フランジ22との間に気密に介在しているパッキン3とを備える気密構造において、前記筒体2が貫通しており、前記外面との間に前記フランジ22を挟むことによって前記筒体2を支持する支持用板4と、該支持用板4と前記フランジ22との間に介在しており、且つ前記パッキン3を覆って遮光する緩衝部材5とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部に貫通孔が設けられたケースと、
フランジを有し、該フランジが前記壁部の外面に対向するようにして前記貫通孔を貫通している筒体と、
前記外面と前記フランジとの間に気密に介在しているパッキンと
を備える気密構造において、
前記筒体が貫通しており、前記外面との間に前記フランジを挟むことによって前記筒体を支持する支持用板と、
該支持用板と前記フランジとの間に介在しており、且つ前記パッキンを覆って遮光する緩衝部材と
を備えることを特徴とする気密構造。
【請求項2】
前記緩衝部材は、
前記支持用板と前記フランジとの間に介在しており、前記筒体が貫通する緩衝部と、
該緩衝部の外周から前記外面に向けて延び、前記パッキンを覆う遮光部と
を互いに一体に有することを特徴とする請求項1に記載の気密構造。
【請求項3】
前記壁部は上下に延び、
前記外面と前記フランジと前記パッキンとに囲まれた空隙が形成され、
前記緩衝部材は前記空隙を覆い、
前記緩衝部材の前記空隙を覆う部分の下部に、前記空隙に浸入した液体を排出するための排液口が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の気密構造。
【請求項4】
前記パッキンと前記緩衝部材とは互いに一体に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の気密構造。
【請求項5】
前記緩衝部材は、
前記支持用板と前記フランジとの間に介在しており、前記筒体が貫通する緩衝部と、
内周面が前記フランジの外周面に適長離隔して対向しており、前記緩衝部の外周から前記外面に向けて延び、前記パッキンを覆う遮光部と、
該遮光部の先端から前記パッキンに向けて前記外面に沿って延びる延出部と
を互いに一体に有し、
前記パッキンは前記延出部の先端に一体に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の気密構造。
【請求項6】
前記支持用板の周縁から前記外面に向けて、前記緩衝部材の少なくとも一部を覆う遮光片が延び、
前記外面と前記遮光片の先端との間に隙間が設けられており、
前記パッキンは前記隙間に対向する位置に配されていることを特徴とする請求項1に記載の気密構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気密構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筒体がケースの壁部を気密に貫通した気密構造が用いられている。特許文献1に記載の開閉器においては、筒体であるブッシングがケースの壁部を気密に貫通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筒体は、ケースの壁部に設けられた貫通孔を貫通する。筒体がフランジを有し、フランジがケースの壁部の外面に対向するようにして配される場合、ケースの壁部の外面とフランジとの間にパッキンを気密に介在させることがある。パッキンの介在により、気体がケースと筒体との隙間を通ってケースの内外に出入りすることが防止される。
しかしながら、ケースが直射日光に曝される場合には特に、パッキンが紫外線を受けて劣化しやすいので、長期にわたって気密性を維持することが困難である。
【0005】
本開示の目的は、長期にわたって気密性を維持することができる気密構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る気密構造は、壁部に貫通孔が設けられたケースと、フランジを有し、該フランジが前記壁部の外面に対向するようにして前記貫通孔を貫通している筒体と、前記外面と前記フランジとの間に気密に介在しているパッキンとを備える気密構造において、前記筒体が貫通しており、前記外面との間に前記フランジを挟むことによって前記筒体を支持する支持用板と、該支持用板と前記フランジとの間に介在しており、且つ前記パッキンを覆って遮光する緩衝部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
本開示にあっては、ケースの壁部に貫通孔が設けられており、貫通孔を筒体が貫通する。筒体はフランジを有し、フランジは壁部の外面に対向する。ケースの壁部の外面とフランジとの間にパッキンが気密に介在するので、気体がケースと筒体との隙間を通ってケースの内外に出入りすることが防止される。
筒体は支持用板を貫通する。支持用板と壁部の外面との間にフランジが挟まれることにより、筒体が支持される。支持用板とフランジとの間に緩衝部材が介在し、ケースの壁部とフランジとの間にパッキンが介在しているので、支持用板及びケースの壁部から外力を受けることによるフランジの変形又は損傷等を防止することができる。
【0008】
パッキンは緩衝部材に覆われて遮光される。故に、パッキンが紫外線を受けることが防止される。従って、長期にわたってパッキンの劣化を防止することができるので、長期にわたって気密性を維持することができる。しかも、パッキンを覆って遮光する部材を別途必要とすることがないので、部品点数を削減することができる。
【0009】
本開示に係る気密構造は、前記緩衝部材は、前記支持用板と前記フランジとの間に介在しており、前記筒体が貫通する緩衝部と、該緩衝部の外周から前記外面に向けて延び、前
記パッキンを覆う遮光部とを互いに一体に有することを特徴とする。
【0010】
本開示にあっては、緩衝部材が緩衝部及び遮光部を互いに一体に有する。緩衝部は支持用板とフランジとの間に介在し、緩衝部の内側を筒体が貫通する。遮光部は緩衝部の外周からケースの壁部の外面に向けて延び、パッキンを覆って遮光する。即ち、緩衝部材の形状はシンプルである。
【0011】
本開示に係る気密構造は、前記壁部は上下に延び、前記外面と前記フランジと前記パッキンとに囲まれた空隙が形成され、前記緩衝部材は前記空隙を覆い、前記緩衝部材の前記空隙を覆う部分の下部に、前記空隙に浸入した液体を排出するための排液口が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本開示にあっては、ケースの壁部の外面とフランジとパッキンとに囲まれた空隙が形成され、緩衝部材がこの空隙を覆う。
ケースの壁部は上下に延びるので、例えば壁部の外面を伝ってこの空隙に液体(雨水、夜露等)が侵入する虞がある。緩衝部材の、この空隙を覆う部分の下部に、排液口が設けられている。即ち、この空隙の下側には排液口がある。故に、この空隙に浸入した液体は、排液口を通って排出される。
排液口は緩衝部材の下部に位置するので、排液口を通ってパッキンに紫外線が直射することが抑制される。
【0013】
本開示に係る気密構造は、前記パッキンと前記緩衝部材とは互いに一体に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本開示にあっては、パッキンと緩衝部材とが互いに一体なので、部品点数を更に削減することができる。
【0015】
本開示に係る気密構造は、前記緩衝部材は、前記支持用板と前記フランジとの間に介在しており、前記筒体が貫通する緩衝部と、内周面が前記フランジの外周面に適長離隔して対向しており、前記緩衝部の外周から前記外面に向けて延び、前記パッキンを覆う遮光部と、該遮光部の先端から前記パッキンに向けて前記外面に沿って延びる延出部とを互いに一体に有し、前記パッキンは前記延出部の先端に一体に設けられていることを特徴とする。
【0016】
本開示にあっては、緩衝部材が緩衝部、遮光部、及び延出部を互いに一体に有する。緩衝部は支持用板とフランジとの間に介在し、緩衝部の内側を筒体が貫通する。遮光部は緩衝部の外周からケースの壁部の外面に向けて延び、パッキンを覆って遮光する。遮光部の内周面はフランジの外周面に適長離隔して対向する。延出部は遮光部の先端からパッキンに向けて、壁部の外面に沿って延びる。パッキンは延出部の先端に一体に設けられる。
【0017】
遮光部は紫外線に曝されやすいので劣化しやすい。しかしながら、遮光部とパッキンとの間に延出部が介在し、遮光部の内側にある延出部は紫外線に曝されにくいので劣化しにくい。故に、劣化による遮光部の損傷がパッキンにまで伝わってパッキンが劣化することを防止することができる。
【0018】
本開示に係る気密構造は、前記支持用板の周縁から前記外面に向けて、前記緩衝部材の少なくとも一部を覆う遮光片が延び、前記外面と前記遮光片の先端との間に隙間が設けられており、前記パッキンは前記隙間に対向する位置に配されていることを特徴とする。
【0019】
本開示にあっては、支持用板の周縁から壁部の外面に向けて遮光片が延びる。ケースの
壁部の外面と遮光片の先端との間に隙間が設けられる。
パッキンはこの隙間に対向する位置に配されるが、緩衝部材がパッキンを覆って遮光するので、この隙間を通り抜けた紫外線にパッキンが曝されることを防止することができる。また、緩衝部材の少なくとも一部が遮光片に覆われて遮光されるので、緩衝部材が紫外線を受けて劣化することが抑制される。
【0020】
この隙間は、各部材の歪み又は寸法誤差等を吸収するための逃げであり、遮光片がケースの壁部の外面に接触することによって支持用板と壁部の外面との離間距離が所定値よりも長くなるという不都合を防止することができる。この結果、支持用板と壁部の外面との間にフランジが適切に挟まれ、フランジと壁部の外面との間でパッキンを適切に圧縮することができるので、気密性を保つことができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示の気密構造によれば、長期にわたって気密性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1に係る気密構造の断面図である。
【
図4】実施の形態2に係る気密構造の断面図である。
【
図6】実施の形態3に係る気密構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、図において矢符で示す上下、前後、及び左右を使用する。
【0024】
実施の形態 1.
図1は実施の形態1に係る気密構造の断面図である。
図1には後述するフランジ22の上部近傍が示されている。
図に示す気密構造はケース1、筒体2、パッキン3、支持用板4、及び緩衝部材5を備える。
【0025】
ケース1は、例えば開閉器を構成するケースである。ケース1は側壁11を有する。側壁11は、上下左右に延びる壁部である。
図1に向かって側壁11よりも左側(右側)がケース1の外側(内側)である。側壁11の前面はケース1の外面の一部である。
側壁11には貫通孔12が設けてある。図示はしないが、複数の貫通孔12が左右に並んでいる。
【0026】
図2は気密構造の正面図である。
筒体2は、例えば開閉器を構成する絶縁体製のブッシングである。
図1及び
図2に示すように、筒体2は筒本体21及びフランジ22を互いに一体に備える。
筒本体21は円筒状をなし、筒本体21の外径は貫通孔12の内径よりも僅かに小さい。筒本体21は貫通孔12を同軸に貫通している。筒本体21の内側には、例えば導体6が配される。導体6はケース1の外側にて不図示の電線に接続され、ケース1の内側にて不図示の真空バルブに接続される。
【0027】
フランジ22は筒本体21の中途に配されている。フランジ22の外径は貫通孔12の内径よりも十分に大きい。フランジ22は側壁11の前面に対向している。
【0028】
図1に示すパッキン3は円環状をなす。パッキン3の外径は貫通孔12の外径よりも大きく、フランジ22の外径以下である。パッキン3の内径は筒本体21の外径よりも大きい。パッキン3の外周には、嵌め込み溝31が全周にわたって設けられている。パッキン3は、嵌め込み溝31に貫通孔12の周縁部が全周にわたって嵌め込まれることによって、貫通孔12の周縁部に取り付けられる。
【0029】
パッキン3の取り付け後、筒体2の筒本体21が側壁11の前側からパッキン3の内側に挿し通される。このとき、パッキン3の、嵌め込み溝31の底壁に相当する部分が、筒体2の外周面と貫通孔12の内周面との間に配される。また、パッキン3の、嵌め込み溝31の前側の側壁に相当する部分が、フランジ22の後面と側壁11の前面との間に介在する。
【0030】
支持用板4及び緩衝部材5はケース1の外側にある。
図1及び
図2に示すように、支持用板4は矩形状をなす。支持用板4の短辺は上下に向き、フランジ22の外径よりも長い。支持用板4の短辺に沿う方向の中央部には貫通孔41が設けてある。複数(図中3つ)の貫通孔41が支持用板4の長辺に沿って互いに適長離隔して並んでおり、その個数及びピッチは貫通孔12の個数及びピッチに等しい。支持用板4は、一面が側壁11の前面及びフランジ22の前面に向き、貫通孔41を筒本体21が後側から同軸に貫通するようにして、側壁11に取り付けられている。
【0031】
本実施の形態では、支持用板4を側壁11に取り付けるために、ボルト71、ナット72、及び座金73が用いられている。ボルト71は段付きボルトであり、大径の円盤状の頭部711、中径の円柱状の段部712、及び小径の円柱状の軸部713を互いに一体に有する。頭部711、段部712、及び軸部713はこの順に並んで互いに同軸に設けられている。頭部711は、段部712及び軸部713が前向きになり、且つ軸長方向が側壁11の前面に対して垂直になるようにして、側壁11の前面に溶接されている。軸部713は支持用板4の周縁部に設けられた不図示の貫通孔を後側から貫通している。軸部713の周面に雄ネジが設けられている。なお、頭部711及び段部712は互いに同径でもよい。
【0032】
支持用板4は複数のボルト71に貫通されている。本実施の形態では
図2においては8つのボルト71が支持用板4の周縁部に沿って互いに適長離隔して並んでいる。
図1に示すように、ボルト71の軸部713の雄ネジはナット72の雌ネジに螺合する。ボルト71の段部712とナット72との間に、座金73を介在して支持用板4を挟み、ナット72を強く締め付けることにより、支持用板4を側壁11に確実に取り付けることができる。頭部711及び段部712が側壁11と支持用板4との間のスペーサとして機能するので、ナット72を強く締め付けたとしても、側壁11と支持用板4との離隔距離を一定に保つことができる。
【0033】
支持用板4を側壁11に取り付けることにより、側壁11の前面と支持用板4の後面との間にフランジ22を挟むことができる。このとき、側壁11の前面とフランジ22の後面との間で、パッキン3の、嵌め込み溝31の前側の側壁に相当する部分が圧縮されて、側壁11の前面とフランジ22の後面との間に気密に介在する。側壁11と支持用板4との間にフランジ22が挟まれることにより、筒体2は側壁11及び支持用板4に支持される。
【0034】
支持用板4の縁部からは遮光片42が側壁11の前面に向けて延びている。本実施の形態では、4つの遮光片42が支持用板4の上下左右の4辺部に設けられている。各遮光片42は支持用板4に垂直である。上下2つの遮光片42は互いに平行であり、左右2つの遮光片42は互いに平行である。
【0035】
各遮光片42の先端と側壁11の前面とは互いに離隔しており、両者の間には隙間(以下、非遮光隙間という)が設けられている。上下2つの遮光片42夫々の先端と側壁11の前面との間の非遮光隙間は、パッキン3(具体的にはパッキン3の、フランジ22と支持用板4との間に介在している部分)に上下に対向している。同様に、左右2つの遮光片42夫々の先端と側壁11の前面との間の非遮光隙間は、パッキン3に左右に対向している。
【0036】
支持用板4と各遮光片42とは互いに一体に設けられている。例えば、製造者が矩形の金属板の4辺部を同一の方向に立ち上げることによって、支持用板4及び遮光片42が形成されている。なお、支持用板4は金属板の折り曲げによるものに限定されず、例えば成型によるものでもよい。
【0037】
図3は緩衝部材5の斜視図である。
緩衝部材5は、底壁に同軸に貫通孔を有する有底円筒状をなす。更に詳細には、緩衝部材5は、円環状の緩衝部51と円筒状の遮光部52とを互いに一体に有する。緩衝部51は、有底円筒の、同軸に貫通孔を有する底壁に相当する。遮光部52は、有底円筒の周壁に相当する。
遮光部52の内径はフランジ22の外径以上である。
【0038】
図1に示すように、緩衝部51は、緩衝部51の内側を筒本体21が後側から同軸に貫通するようにして、支持用板4とフランジ22との間に介在している。
遮光部52は、緩衝部51の外周から側壁11の前面に向けて延びている。遮光部52の先端は全周にわたって側壁11の前面に接触している。遮光部52はパッキン3の全周にわたってパッキン3をパッキン3の外周側から覆う。
緩衝部材5は、遮光性及び適宜の弾性を有する。緩衝部材5の形状はシンプルなので、容易に形成することができる。例えば緩衝部材5は合成ゴム製又は合成樹脂製の成型品である。
【0039】
以上のような気密構造によれば、ケース1の側壁11の前面と筒体2のフランジ22との間にパッキン3が気密に介在するので、気体がケース1と筒体2との隙間を通ってケース1の内外に出入りすることが防止される。
支持用板4とフランジ22との間に緩衝部材5の緩衝部51が介在し、側壁11とフランジ22との間にパッキン3が介在しているので、支持用板4及び側壁11から外力を受けることによるフランジ22の変形又は損傷等を防止することができる。
【0040】
パッキン3はフランジ22及び側壁11によって前後両側から全体的に覆われ、緩衝部材5の遮光部52に外周側から全周にわたって覆われることにより、遮光される。故に、パッキン3が紫外線を受けることが防止される。従って、長期にわたってパッキン3の劣化を防止することができるので、長期にわたって気密性を維持することができる。しかも、パッキン3を覆って遮光する部材を別途必要とすることがないので、部品点数を削減することができる。
【0041】
緩衝部材5が存在しない場合でも、パッキン3は上下左右の遮光片42によって部分的に覆われているので、ある程度遮光される。しかしながら、緩衝部材5が存在することにより、非遮光隙間を通り抜けた紫外線にパッキン3が曝されることを防止することができる。緩衝部51の先端部は非遮光隙間に対向するが、緩衝部51の先端部を除いた部分は遮光片42に覆われて遮光されるので、緩衝部材5が紫外線を受けて劣化することが抑制される。
【0042】
非遮光隙間は、各部材の歪み又は寸法誤差等を吸収するための逃げであり、遮光片42が側壁11の前面に接触することによって支持用板4と側壁11の前面との離間距離が所定値よりも長くなるという不都合を防止することができる。この結果、支持用板4と側壁11の前面との間にフランジ22が適切に挟まれ、フランジ22と側壁11の前面との間でパッキン3を適切に圧縮することができるので、気密性を保つことができる。
【0043】
なお、ケース1及び筒体2は開閉器を構成するケース及びブッシングに限定されない。側壁11は、上下左右に延びる壁部に限定されない。緩衝部51は円環状に限定されず、例えば矩形環状でもよく、遮光部52は円筒状に限定されず、例えば四角筒状でもよい。緩衝部材5は緩衝部51と遮光部52とを互いに一体に有する構成に限定されず、支持用板4とフランジ22との間に介在しており、且つパッキン3を覆って遮光する構成であればよい。
【0044】
次に、実施の形態2,3を説明する。実施の形態2,3の気密構造の構成は実施の形態1の気密構造の構成と略同様であり、実施の形態2,3の気密構造は、実施の形態1の気密構造の作用効果と略同様の作用効果を奏する。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0045】
実施の形態 2.
図4は実施の形態2に係る気密構造の断面図である。
図に示すように、パッキン3の外径がフランジ22の外径よりも小さいので、側壁11の前面とフランジ22の後面とパッキン3の外周とに囲まれた空隙が形成される。この空隙は緩衝部材5の遮光部52に覆われているが、密閉はされていない。以下ではこの空隙を非密閉空隙という。
【0046】
ケース1の側壁11は上下に延びるので、例えば側壁11の側壁11の前面を伝って非密閉空隙に雨水、夜露等の液体が侵入する虞がある。特に、酸性の液体に長時間曝された場合、パッキン3が劣化することがある。
そこで、本実施の形態の緩衝部材5には、非密閉空隙に浸入した液体を排出するための排液口53が設けられている。
【0047】
図5は緩衝部材5の斜視図である。
排液口53は遮光部52の先端部に設けられた切り欠きであり、例えば矩形状をなす。なお、排液口53は遮光部52に設けられた貫通孔でもよい。
【0048】
図4に示すように、緩衝部材5は、排液口53が緩衝部材5の最下部に位置するようにして筒体2の筒本体21に貫通される。このとき、排液口53は遮光部52の、非密閉空隙を覆う部分の下部に位置する。
即ち、非密閉空隙の下側には排液口53がある。故に、非密閉空隙に浸入した液体は、排液口53を通って排出される。従って、パッキン3が非密閉空隙に浸入した液体に長時間曝されることを抑制することができる。
排液口53は緩衝部材5の下部に位置する上に、下側から遮光片42によって部分的に覆われている。故に、排液口53を通ってパッキン3に紫外線が直射することはほとんどない。
【0049】
実施の形態 3.
図6は実施の形態3に係る気密構造の断面図である。
本実施の形態の気密構造の場合、パッキン3は緩衝部材5に一体に設けられている。故に、部品点数を更に削減することができる。
パッキン3に嵌め込み溝31が設けられている必要はない。
【0050】
実施の形態1においては、遮光部52の内径はフランジ22の外径に等しくてもよい。この場合、遮光部52の内周面は全周にわたってフランジ22の外周面に接触してもよい。一方、本実施の形態においては、遮光部52の内径はフランジ22の外径よりも大きい。遮光部52の内周面は全周にわたってフランジ22の外周面から適長離隔しており、且つフランジ22の外周面に対向している。
【0051】
緩衝部材5は延出部54を更に備える。延出部54は円環状をなす。延出部54の外周部は遮光部52の先端の内周部に一体に設けられている。延出部54の内周部にパッキン3の外周部が一体に設けられている。延出部54の軸長方向の長さはパッキン3の軸長方向の長さよりも短い(即ち延出部54はパッキン3よりも前後方向に薄い)。パッキン3及び延出部54夫々は、緩衝部51に同軸に対向している。
【0052】
実施の形態1の場合と同様に、筒本体21の、フランジ22よりも前側の部分は緩衝部51の内側を貫通している。筒本体21の、フランジ22よりも後側の部分はパッキン3の内側を貫通している。パッキン3は、側壁11の前面とフランジ22の後面との間で圧縮されて、これらの間に気密に介在する。遮光部52はパッキン3の全周にわたってパッキン3をパッキン3の外周側から覆う。
本実施の形態においては、延出部54は遮光部52の先端からパッキン3に向けて側壁11の前面に沿って延びる。パッキン3は延出部54の先端に位置している。
【0053】
非遮光隙間を通過した紫外線により、遮光部52は劣化しやすい。しかしながら、遮光部52とパッキン3との間には延出部54が介在し、遮光部52の内側にある延出部54は紫外線に曝されにくいので劣化しにくい。故に、劣化による遮光部52の損傷がパッキン3にまで伝わってパッキン3が劣化することを防止することができる。
なお、延出部54は円環状に限定されない。
【0054】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。更に、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1ケース; 11側壁(壁部); 12貫通孔; 2筒体; 22フランジ; 3パッキン; 4支持用板; 42遮光片; 5緩衝部材; 51緩衝部; 52遮光部; 53排液口; 54延出部