(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109605
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電流制限器を用いた陰極防食
(51)【国際特許分類】
C23F 13/20 20060101AFI20240806BHJP
C23F 13/02 20060101ALI20240806BHJP
C23F 13/00 20060101ALI20240806BHJP
C23F 13/22 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C23F13/20 A
C23F13/02 L
C23F13/00 R
C23F13/02 B
C23F13/02 A
C23F13/22
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024073017
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2021071251の分割
【原出願日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】16/859,029
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519395330
【氏名又は名称】ベクター レメディエーション エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホイットモア,デビッド ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】チャイルド,ジェフリー リチャード
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン,デビッド マシュー
(72)【発明者】
【氏名】セルジ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ボーデット,マーチン リチャード
【テーマコード(参考)】
4K060
【Fターム(参考)】
4K060AA02
4K060AA03
4K060AA06
4K060CA06
4K060CA13
4K060CA22
4K060CA24
4K060EA08
4K060FA03
4K060FA07
(57)【要約】
【解決手段】
コンクリートまたはモルタルの中の鋼鉄筋など、イオン伝導性の材料の中の金属部分を陰極防食および/または不動態化するための方法において、印加電流陽極または犠牲陽極が、金属部分にイオン電流を伝達し、電気エネルギー蓄積要素が、陽極の構成要素として設けられ、電気エネルギー蓄積要素は、電池、バッテリ、またはコンデンサであってもよい。過剰な電流が電源から流出するのを防ぐ電流制限器が設けられる。これは、トランジスタまたはダイオードなどの半導体素子であってもよく、陽極から金属部分までの電路に接続されて、陰極防食電流を約1mAの値に制限する。ダイオードまたはそれに類似する素子が使用されるときは、電流は、ダイオードの逆漏れ電流に制限することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼部材を陰極防食および/または不動態化するための方法であって、
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼部材に電流を伝達する陽極構造を設ける工程と、
鋼部材の陰極防食を実現するように、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料を介して陽極構造と鋼部材の間に電流が流れるように、陽極構造と鋼部材の間に電位差を生成する工程と、
陽極構造と鋼部材の間に少なくとも1つの導電回路を設ける工程と、
導電回路の中に電界効果トランジスタ(FET)を設ける工程とを含み、
電界効果トランジスタ(FET)は、鋼部材と陽極構造の間の電流を最大値に制限する電流調節素子として作用する、方法。
【請求項2】
FETを介する電流は、FETの制御端子に印加される制御電流または制御電圧によって制限されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
制御電流または制御電圧は、陽極構造と鋼部材の間の電位差から生成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
陽極構造およびFETは、汎用体の構成要素を形成し、汎用体は、コンクリート材料またはモルタル材料に1つのユニットとして少なくとも部分的に埋没されるか、取り付けられることを特徴とする、請求書1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
陽極構造は、犠牲陽極または印加電流陽極を含むことを特徴とする、請求書1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
FETは、通常は閉状態のトランジスタであり、制御電圧または制御電流が閾値を下回る場合は、FETは、陽極構造と鋼部材の間に電流を通過させ続けることを特徴とする、請求書1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
FETは、ソースおよびドレインを含み、FETを介する電流は、ゲート/ソース間の電圧によって制御されることを特徴とする、請求書1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ゲート/ソース間の電圧は、導電回路の抵抗によって生成されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ゲート/ソース間の電圧は、FETにわたる抵抗によって生成されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ゲート/ソース間の電圧は、電池によって生成されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
ゲート/ソース間の電圧は、陽極構造とは別の犠牲陽極によって生成されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
定電流ダイオードと並列に抵抗器を設けることを特徴とする、請求書1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
導電回路に高い電圧を印加することによって、定電流ダイオードと並列な抵抗器は、電流を増加させることを特徴とする、請求書1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼要素を陰極防食および/または不動態化するための方法であって、
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中に間隔をあけて、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼要素に電流を伝達する複数の陽極構造を設ける工程と、
DC電源を設ける工程と、
鋼要素の陰極防食を実現するように、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料を介して各陽極構造と鋼要素の間に電流が流れるように、各陽極構造と鋼要素の間に電位差を生成するように、DC電源を各陽極構造に並列接続する工程と、
各陽極構造とDC電源の間に、それぞれ導電回路を設ける工程とを含み、
導電回路は、各陽極構造を介する電流を最大値に制限するように作用する、方法。
【請求項15】
各導電回路は、電界効果トランジスタ(FET)を含み、電界効果トランジスタ(FET)は、鋼要素と陽極構造の間の電流を最大値に制限する定電流ダイオードとして作用することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
FETを介する電流は、FETの制御端子に印加される制御電流または制御電圧によって制限されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
制御電流または制御電圧は、陽極構造と鋼部材の間の電位差から生成されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
陽極構造、および、電流を制限するように作用する導電回路は、汎用体の構成要素を形成し、汎用体は、コンクリート材料またはモルタル材料に1つのユニットとして少なくとも部分的に埋没されるか、取り付けられることを特徴とする、請求書14~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
陽極構造は、犠牲陽極または印加電流陽極を含むことを特徴とする、請求書14~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
FETは、通常は閉状態のトランジスタであり、制御電圧または制御電流が閾値を下回る場合は、FETは、陽極構造と鋼要素の間に電流を通過させ続けることを特徴とする、請求書15に記載の方法。
【請求項21】
FETは、ソースおよびドレインを含み、FETを介する電流は、ゲート/ソース間の電圧によって制御されることを特徴とする、請求書15に記載の方法。
【請求項22】
ゲート/ソース間の電圧は、導電回路の抵抗によって生成されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ゲート/ソース間の電圧は、FETにわたる抵抗によって生成されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
ゲート/ソース間の電圧は、電池によって生成されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
ゲート/ソース間の電圧は、陽極構造とは別の犠牲陽極によって生成されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
導電回路は、電流調節素子、および、電流調節素子と並列な抵抗器を含むことを特徴とする、請求項14~24のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
導電回路に高い電圧を印加することによって、電流調節素子と並列な抵抗器は、電流を増加させることを特徴とする、請求書26に記載の方法。
【請求項28】
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼部材を陰極防食および/または不動態化するための方法であって、
イオン伝導性の材料の中の鋼部材にイオン電流を伝達する陽極を設ける工程と、
鋼部材の陰極防食を実現するように、イオン伝導性の材料を介して陽極と鋼部材の間に電流が流れるように、陽極と鋼部材の間に電位差を生成する工程と、
陽極と鋼部材の間に少なくとも1つの導電回路を設ける工程と、
絶縁モードで稼働したときに漏れ電流を流す種類の絶縁モードを有する素子を、導電回路に接続する工程とを含み、
それにより、漏れ電流が素子を通過し、よって、漏れ電流によって規定された最大値に電流を制限する、方法。
【請求項29】
素子は、第1の方向の電流を通過させ、絶縁モードでは第2の方向の電流を漏れ電流に制限するように配置されることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
素子は、半導体であることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
素子は、PN接合を含むことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
素子は、ダイオードであることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
素子は、コンデンサであることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
陽極は、犠牲陽極を含むことを特徴とする、請求項28~33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
陽極は、印加電流陽極を含むことを特徴とする、請求項28~33のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
陽極および素子は、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料に装着する組立済みの汎用構造の構成要素を形成することを特徴とする、請求項28~35のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン伝導性の材料の中の金属部分を陰極防食および/または不動態化するための方法に関し、特に、陽極組立体によって電流の供給を制限する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリを使用した印加電流システムが知られている。このような印加電流システムでは、適切な電源からのAC電圧を整流して陽極と鋼の間の印加電流に必要なDC電圧にする汎用整流器など、他の種類の電源を使用してもよい。この種類のシステムでは、ソーラーパネルを設けて、使用することも知られている。
【0003】
いずれの場合でも、このような印加電流システムでは、電源の故障により、構造内の防食すべき鋼に、予期せぬ許容し難い腐食や過防食が生じることがないように、メンテナンスや電源状態の確認を定期的に行う必要がある。このようなメンテナンスを行うことはできるが、比較的費用のかかる処理である。
【0004】
代わりに、ガルバニックシステムを使用してもよく、ガルバニックシステムは、防食を実現するために、確実に電流を生成できるように、電気陰性が十分である、陽極に適切な材料を選択することによって、鋼と陽極の間に電圧が設けられるので、一切電源を必要としない。
【0005】
鋼鉄筋コンクリートで使用されるときに、通常のガルバニック陽極には、2つの重要な欠点がある。1つ目は、陽極当たりの亜鉛の質量に関するものであり、必要な電流出力に応じて、陽極の耐用寿命を制限してしまう。2つ目は、陽極の実際の電流出力であり、鋼の腐食を食い止めるのに十分である場合や、十分でない場合がある。電流出力は、駆動電圧によって制限され、駆動電圧は、本質的には固定された特性であり、露出条件、陽極の使用年数、および、経時的な腐食生成物の蓄積が作用した回路の抵抗によって変動する。
【0006】
また、2015年2月24日発行の米国特許第8,961,746号(Sergi)、2015年3月3日発行の米国特許第8,968,549号(Sergi)、および、2007年9月4日発行の米国特許第7,264,708号(Whitmore)が引用され、当該文献の開示は、参照によって本明細書に組み込まれるか、より多くの関連情報のために参照されてもよい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼部材を陰極防食および/または不動態化するための方法が提供され、該方法は、
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼部材に電流を伝達する陽極構造を設ける工程と、
鋼部材の陰極防食を実現するように、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料を介して陽極と鋼部材の間に電流が流れるように、陽極構造と鋼部材の間に電位差を生成する工程と、
陽極構造と鋼部材の間に少なくとも1つの導電回路を設ける工程と、
導電回路の中に電界効果トランジスタ(FET)を設ける工程であって、この電界効果トランジスタ(FET)は、鋼部材と陽極構造の間の電流を最大値に制限する電流調節素子として作用する、工程とを含む。
【0008】
電流調節素子は、定電流ダイオードと呼ばれることが多く、典型的には電界効果トランジスタを使用するが、他の構成を使用してもよい。
【0009】
本明細書で単独で使用することができる重要な性能にしたがって、定電流ダイオードと並列に抵抗器が設けられる。
【0010】
本発明の他の態様によれば、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼要素を陰極防食および/または不動態化するための方法が提供され、該方法は、
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中に間隔をあけて、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼要素に電流を伝達する複数の陽極構造を設ける工程と、
DC電源を設ける工程と、
鋼要素の陰極防食を実現するように、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料を介して各陽極構造と鋼要素の間に電流が流れるように、各陽極構造と鋼部材の間に電位差を生成するように、DC電源を各陽極構造に並列接続する工程と、
各陽極構造とDC電源の間に、それぞれ導電回路を設ける工程であって、この導電回路は、各陽極構造を介する電流を最大値に制限するように作用する、工程とを含む。
【0011】
好ましい実施形態では、各導電回路は、電界効果トランジスタ(FET)を含み、この電界効果トランジスタ(FET)は、鋼要素と陽極構造の間の電流を最大値に制限する電流調節素子として作用する。
【0012】
本明細書で単独で使用することができる重要な性能にしたがって、電流調節素子と並列に抵抗器が設けられる。
【0013】
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の本体内に複数の個々の陽極が設けられ、これらのDC電源に並列接続される構成では、以下のような多数の既知の課題が生じ得る。
(a)各陽極の周りの設置環境に応じて、陽極からの電流が不均一に分布される。
(b)個々の陽極に対して必要な電流のレベルを設計するのが困難であり、電流出力は、陽極の領域に対して設計する必要があり、その結果、各領域内の防食すべき鋼に電流が不均一に分布される。
(c)個々の陽極が高い電圧を被り、それによって、高い陽極電流密度を運ぶ領域があり、その結果、陽極/モルタル界面で酸が生成され、および/または、陽極が破壊される。
(d)個々の陽極が、偶発的に鋼に隣接または当接して配置された場合に、短絡が生じ、その結果、この1つの当接点に、陽極の領域内の有効電流のほとんどが放出される。
(e)短絡を避けるため、確実に陽極が鋼からできる限り遠くに位置付けられるようにするために、設置中は、厳密な品質管理が必要となり、高いコストがかかる工程となる。
【0014】
本発明の構成は、多数の性能を設ける。
(a)電流調節素子は、1つ以上の陽極の「定電流」制御として作動する。
(b)電流調節素子は、ダイオードまたはPN接合素子であり、調節された電流は、素子を介する漏れ電流である。
(c)電流調節素子は、定電流ダイオード(CRD)である。
(d)CRDは、電流を制御するFETを含む。
(e)CRDと並列な抵抗器は、異なる電圧を用いて電流出力を制御する。
(f)CRDは、指定された最大稼働電流密度(例えば、ISO12696-2016推奨のように、陽極の表面1平方メートル当たり110mA)に対して選択することができ、抵抗器を並列に追加することで、必要に応じて、電圧を変えることによって、短期的に、陽極の表面1平方メートル当たり最大220mA増加することができる。
(g)電流が制御されたことで、陽極が偶発的に鋼に隣接または接触して配置された場合の短絡の効果を制限する。
(h)電流が制御されたことで、点状陽極で酸が生成されるのを低減する。
(i)電流が制御されたことで、ある領域の点状陽極またはある一連の点状陽極が故障または破損した場合に、残りのシステムが損なわれることはなく、他の各陽極は依然として、以前と同量の電流を生成する。
【0015】
本明細書に開示される陽極電流制御システムは、個々の陽極、複数の別々の陽極、またはメッシュ陽極もしくはリボン陽極と共に使用することができる。
【0016】
例えば、1mAのCRDは、抵抗器に並列に使用してもよく、さらに電圧がかかったときに、電流を大きくすることができる。この構成を使用して、電流を印加して、ISO12696-2016で許容されているように、陽極の表面1平方メートル当たり220mA、または、所望の他の電流に短期的に制限することができる。
【0017】
並列配列に設けられた4つの鋼棒材、および、その配列の4隅に設けられた4つのリボンストリップ陽極を使用する構成では、各陽極は、DC電源と陽極の間に、各リボンに接続された0.1mAのCRDを取り付けていた。4つ目のリボンは、CRDと並列な50kΩの抵抗器を有していた。陽極と鋼の間に、最大10Vが印加された。
【0018】
陽極1~3は、電圧が1Vから10Vに増加した場合でも、電流を公称0.1mA(陽極1は0.1mA~0.13mA、陽極2は正確に0.07、陽極3は0.11mA~0.12mA)に制御した。陽極4では、電流は、抵抗器を通過できたため、電圧の増加に比例して、その範囲を超えて、10Vで最大0.26mAに増加した(1Vで0.09mAから約3倍の増加)。どの棒材が使用されているかに関わらず、陽極のいずれかが短絡しても、陽極は、同量の電流を運び続けることを見出すに至った。
【0019】
抵抗器を追加せず、CRDのみを使用する構成では、以下の利点がある。
(a)各陽極からの電流は、広範囲の印加電圧にわたって、必要な電流に正確に調節される。
(b)どの陽極から鋼への短絡であっても、短絡した陽極から運ばれる電流は増加せず、同一の領域/一連内の他の如何なる陽極から運ばれる電流にも影響しない。
(c)各陽極は、制御された同一レベルの電流を運ぶので、電流が鋼により良く分布される。
(d)どの陽極が故障しても、同一領域内の残りの陽極に害となる影響はない。
【0020】
電流調節素子と並列な更なる内蔵型抵抗器を使用することによって、調整可能かつ最適な電流の分布を、印加電圧を調整することによって確保することができる。
【0021】
ある領域の一連の点状陽極にCRDが取り付けられていない場合は、各個々の陽極は、局所的なコンクリートの導電性に応じて、周りの鋼に可変電流を運び、その結果、電流が不均一に分布される。これは、局所的なコンクリートの環境に応じてより小さい領域を選択することによって対処されることが多い。CRDを導入することによって、各陽極の電流出力を、事前に設定した所望のレベルに制御することで、より良く均一に分布された電流を鋼が確実に受けることができ、局所的なコンクリートの導電性が与える影響は最小限となる。結果として、特に、適切なCRDを選択することによって、導電性が低い部分にある陽極が選択されて、より高い電流を局所的に運ぶので、領域の大きさは大きくなり得る。
【0022】
ある構成では、CRDの回路の抵抗を使用して、陽極と鋼部材の間の電位差から制御電流または制御電圧が生成される。
【0023】
ある構成では、陽極構造とCRDは、汎用体の構成要素を形成し、この汎用体は、コンクリート材料またはモルタル材料に1つのユニットとして少なくとも部分的に埋没されるか、取り付けられる。
【0024】
ある構成では、陽極構造と鋼部材の間の電位差を使用して、CRDの基準電圧または基準電流が生成される。
【0025】
ある構成では、汎用体は、コンクリート材料またはモルタル材料が凝結していない状態の間に、コンクリート材料またはモルタル材料に埋没され、コンクリート材料またはモルタル材料は、その中の汎用体と共に凝結し、コンクリート材料またはモルタル材料が凝結する間に、電流を最大値に制限する電流制限要素によって、コンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼部材および/または陽極に気泡が形成されるのを制限する。
【0026】
ある構成では、陽極構造は、犠牲陽極を含む。この構成では、上記で説明したように、陽極と共に汎用構造としてCRDを設けることができる。この場合は、CRDは、鋼と接続するように陽極の本体から延在している接続ワイヤに装着される。よって、陽極は、その本体の中に接続ワイヤ部分を埋没し、接続ワイヤ部分は、CRDの一方の端子に取り付けられ、CRDの他方の端子は、防食される鋼に接続するようにCRDから一方の端部に延在する他のワイヤ部分に取り付けられる。CRDは、モルタル層から外方に延在する接続ワイヤを用いて、陽極の本体を取り囲むモルタル材料に埋没される。ねじ付きロッド部および2つのワイヤ連結部を含む、他の接続構成を使用することもできる。
【0027】
ある構成では、陽極構造は、犠牲陽極および印加電流陽極を含み、鋼部材の陰極防食を実現するように、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料を介して第1の犠牲陽極と鋼部材の間に第1の電流が流れるように、犠牲陽極と鋼部材の間に電位差が生成され、ここで、電気エネルギーを放出することによって生成される第2の電流を、一方の電極を鋼部材に電気的に接続し、他方の電極を第2の陽極に電気的に接続することによって伝達する、2つの電極を備えた電気エネルギー蓄積要素によって、印加電流陽極と鋼部材の間の電位差が生成される。
【0028】
この構成では、蓄積要素は、外面にある陽極を画定するスリーブまたはキャニスタ内に収容することができる。この構成では、印加電流陽極は、ステンレス鋼を含んでもよい。
【0029】
好ましくは、トランジスタは、通常は閉状態のトランジスタであり、制御電圧または制御電流が閾値を下回る場合は、トランジスタは、陽極と鋼部材の間に電流を通過させ続けることができる。
【0030】
好ましくは、トランジスタは、ソースおよびドレインを備えたFETであり、FETを介する電流は、ゲートの電圧によって制御される。
【0031】
この構成では、ゲートの電圧は、電気回路の抵抗によって生成されてもよい。
【0032】
この構成では、ゲートの電圧は、トランジスタにわたる抵抗によって生成されてもよい。
【0033】
この構成では、ゲートの電圧は、陽極とトランジスタの間に接続される電池にわたって生成されてもよい。
【0034】
この構成では、ゲートの電圧は、陽極構造とは別の犠牲陽極によって生成されてもよい。
【0035】
上記の性能とは独立して使用することができる、本発明の他の態様は、イオン伝導性の材料の中の金属部分を陰極防食および/または不動態化するための方法に関し、該方法は、
イオン伝導性の材料の中の金属部分に電流を伝達する陽極を設ける工程と、
金属部分の陰極防食を実現するように、イオン伝導性の材料を介して陽極と金属部分の間に電流が流れるように、陽極と金属部分の間に電位差を生成する工程と、
電流を最大値に制限する電気要素を設ける工程とを含む。陽極と金属の間の導電路に半導体素子を接続することによって、電流を制限する構成が設けられ、この半導体素子は、電流を漏れ電流に制限し、よって、電流を、漏れ電流によって規定された最大値に制限するように配置される。
【0036】
PN接合を含む半導体素子は、逆バイアスをかけたときに一切電流を伝導しないはずであることは知られている。しかし、障壁電位が高くなることによって、N型側の正孔は負極端子に引き寄せられ、P型側の自由電子は正極端子に引き寄せられる。これにより、少数電荷キャリアの電流が生成され、したがって、電流量は小さい。典型的な温度範囲内では、逆電流は、ほぼ一定である。
【0037】
半導体素子の逆漏れ電流は、半導体素子に逆バイアスをかけたときの半導体素子からの電流である。この条件は、大半の半導体結合、特にダイオードおよびサイリスタに特に適用できる。一般に、このような漏れ電流は、シリコンダイオード、ショットキーダイオード、ツェナーダイオード、定電流ダイオードといった種類のダイオードなどの素子で使用することができる。同構成は、FET、IFET、MOSFETといった種類のものなど、トランジスタで使用することができる。同構成は、アナログスイッチ、コンデンサ、または他のPN素子などの他の素子でも使用することができる。
【0038】
エレクトロニクスでは、漏れとは、通常は絶縁であるとみなされる界面を越えて、電気エネルギー/電子が徐々に移動することであり、
充電したコンデンサが自然放電すること、
電流が「閉」状態のトランジスタにわたって流れること、
ダイオードの極性が逆になることが挙げられる。
【0039】
逆漏れ電流は、MOSFETと共に「ドレイン遮断電流(zero gate voltage-drain current)」としても知られている。漏れ電流は、温度と共に増加する。例として、フェアチャイルドセミコンダクター(Fairchild Semiconductor)製FDV303Nの逆漏れは、常温で最大1μAであり、接合部の温度が摂氏50度で10μAに増加する。あらゆる基本的な目的のため、漏れ電流はごくわずかであり、よって、通常は無視することができる。
【0040】
しかし、現在までに、ダイオード、PN接合素子、または、上記のものなど、類似する機能を実施するこれらの類似素子の逆電流または漏れ電流が、陰極防食で使用するのに必要なレベルの電流を、必要な電圧で必要な期間にわたって設けるということを、陰極防食の分野における当事者は理解していなかった。
【0041】
本明細書の構成は、好ましくは、陽極を有する汎用要素として提供され、それにより、両方とも、イオン伝導性の材料に取り付けたり、埋没したり、係合したりすることができる。しかし、この構成要素は、材料、および、サービスや他の動作を行うために、例えば材料の外側などの異なる場所に位置した半導体素子に接触した陽極とは別であってもよい。
【0042】
本明細書に記載の典型的なシステムでは、半導体素子をわたる逆方向の電位差は典型的には、0.2~6Vの範囲である。犠牲陽極または低電圧電源を使用したガルバニック電圧、および、印加電流陽極を使用した陰極防食システムでは、この範囲は許容可能である。このレベルの電圧は適切であり、市販の半導体素子の動作範囲に合うことを、本発明者は理解するに至った。
【0043】
好ましくは、1つの陽極の電流は、0.1~5mAの範囲であり、約100μA以下であってもよい。典型的には、電流を制御する構成を用いない従来のシステムを使用すると、特に初期には、電流が10倍以上高くなり得る。電流は、初期には高すぎる可能性があり、本明細書のシステムを使用することによって低下させることができ、それにより、陰極防食システムは、電流が許容可能なレベルを下回るまで、より長い耐用期間を得られることを、本発明者は理解するに至った。本明細書の発明者は、この要件には、市販の半導体などの電子素子の漏れ電流が好適であることを見出すに至った。
【0044】
このようにして、初期は、場合によっては初期から多くの年数にわたって、通常であれば電流が高くなってしまうであろう期間は、ダイオードまたは他の類似する素子の漏れ電流を利用して電流を制御する、この単純で費用のかからない構成を使用して、高電荷容量を備えた長い耐用期間のシステムを設計することができる。これにより、陽極は活性であり続け、より長い期間にわたって所望の電流を設けることができる。
【0045】
また、このシステムにより、犠牲陽極は、長年にわたって設定可能な電流を設けることができる。この特性は、以前は犠牲陽極を用いては可能でなかった。なぜなら、外気にさらされる屋外環境に設置された犠牲陽極の電流は、温度、湿気、およびコンクリートなどのイオン伝導性の材料の耐久性が変わることに起因して、著しく増加したり低下したりするからである。好ましくは、ある構成では、半導体素子は、イオン伝導性の材料の中に挿入またはイオン接触される、陽極およびコネクタを含む結合ユニットの一部を形成する。この構成では、好ましくは、半導体素子は、1つの陽極のみに関連付けられ、1つの陽極のみに対して稼働する。
【0046】
電流制限システムは、イオン伝導性の材料が凝結していない間に陽極を設置し、金属部品に接続した場合に使用することができ、半導体素子によって電流を制限することで、イオン伝導性の材料が硬化する間に気体が生成されるのを防ぐ。
【0047】
印加電流システムでは、好ましくは、電気エネルギーを放出することによって生成される電流を、一方の電極を金属部分に電気的に接続し、他方の電極を陽極に電気的に接続することによって伝達する、2つの電極を備えた電気エネルギー蓄積要素によって、電位差が生成される。
【0048】
好ましくは、ダイオードは、2つの接続ワイヤを有する種類のものであり、一方のワイヤは、陽極に直接的または間接的に接続され、他方のワイヤは、金属部分に取り付けるために装着要素に直接的または間接的に接続されるか、金属部分自体に直接的または間接的に接続される。金属部分は通常は、鉄筋である。典型的には、ダイオードやダイオードの接続ワイヤは、陽極を金属部分に装着するのに必要な大きな力に耐えることができず、装着力を設けるために、陽極に固定要素が取り付けられる。ある構成では、これは、当技術分野でよく知られている単純なワイヤ巻き付けシステムであってもよい。
【0049】
好ましくは、上記の電流制限器は、1つの陽極のみに関連付けられ、1つの陽極のみに対して稼働するものであり、複数の陽極の電流を制限したり、調節したりする大きなシステムの一部ではない。
【0050】
特に好ましい方法では、イオン伝導性の材料が凝結していない間に陽極を設置し、金属部品に接続し、そして、電気要素によって電流を制限することで、イオン伝導性の材料が硬化する間に気体が生成されるのを防ぐ。コンクリートの中に気泡が形成されてしまうという点から、凝結する間に気体が生成されるのは、大きな課題である。
【0051】
本明細書に記載の構成は、電気エネルギーを放出することによって生成される電流を、一方の電極を金属部分に電気的に接続し、他方の電極を陽極に電気的に接続することによって伝達する、2つの電極を備えた電気エネルギー蓄積要素によって、電位差が生成されるシステムで使用することができる。しかし、同電流制限システムおよび同機械的接続部は、犠牲陽極またはガルバニック陽極を用いて使用することができ、また、電源によって駆動される印加電流陽極、および、それとは別の犠牲陽極の両方が存在する結合システムを用いても使用することもできる。
【0052】
この構成では、好ましくは、陽極および蓄積要素の両方が、イオン伝導性の材料の中に、典型的にはコンクリートの中に少なくとも部分的に収容され、または埋没される。
【0053】
この構成では、好ましくは、蓄積要素は、1つのユニットとして、印加電流陽極または非犠牲陽極に接続され、および/または、犠牲陽極に接続される。
【0054】
この構成では、好ましくは、蓄積要素は、外面にある陽極を画定する、密閉または密封されたキャニスタ内に収容される。この場合は、陽極はステンレス鋼で形成されてもよい。
【0055】
この構成では、場合によっては、長い寿命を設けるために、蓄積要素を再充電することによって、または、蓄積要素を交換することによって、代わりの電気エネルギーを導入することができる。
【0056】
蓄積要素は、電池または電池からなるバッテリであってもよく、または、コンデンサであってもよい。
【0057】
したがって、上記の構成によって、陽極と鉄筋の間の電流を制限するように作用する構成を実現する。この構成は、以下の1つ以上の性能を設ける。
【0058】
電池、コンデンサ、またはガルバニック陽極からの電流を調節するように作用する。
【0059】
電流が制限されているときは、回路が有効電圧を低下させることはできるが、鋼を防食するために、全有効電圧を低下させることはない。バッテリまたはガルバニック陽極システムは、容量が制限されており(蓄積電荷が制限)、制限された容量が消費された後は機能しないので、これは、バッテリまたはガルバニック陽極システムにとって理想的である。
【0060】
電流は、短絡から抵抗まで、広範囲の回路抵抗器にわたって制限することができ、有効電圧は、完全な、所望の電流値をもたらすのに十分なものである。
【0061】
電流制限器は、バッテリ、コンデンサ、または、陽極およびコネクタを含む結合ユニットの一部を形成する。
【0062】
電流制限器により、バッテリまたは高出力陽極を設置し、フレッシュコンクリート/モルタルの中の鋼に接続することができる。これにより、低抵抗のフレッシュ材料を介して高電流密度が放出され、硬化中に気体(酸素と水素)が生成され得、それが、気泡・隙間を形成し、鋼との結合を低下させ、コンクリート/モルタルの中に空隙/毛細管を残し得るといった悪影響はない。空隙/隙間は、水および塩が通り抜け、二酸化炭素がコンクリートを炭酸化する、鋼までの直通路となる。これらはすべて、鋼の早期腐食につながる。
【0063】
また、電流制限器は、バッテリなどの高電圧陽極、ならびに、表面領域の(初期における高電流出力の)高犠牲陽極や高印加電流陽極の耐用寿命を延ばす。電流制限器を使用することで、バッテリおよび/または陽極の容量を節約し、それにより、今後、性能を向上し、陽極から高電流を出力することが実現可能となる。電流制限器によって可能となる所望の電流出力を、はるかに長い期間にわたって実現することができる。
【0064】
上述したように、陽極が金属部分の犠牲とならない場合は、典型的には、材料は、金属部分に対して正の電荷をもつ。しかし、陽極は、一部が犠牲となっていても、完全に犠牲となっていてもよい。
【0065】
本明細書の構成は、陽極が、電池または電池からなるバッテリにすべて接続される複数の関連する陽極の形をとる場合に使用してもよい。
【0066】
上記に定義したように、蓄積要素は、電池、バッテリ、または電池からなるバッテリ/複数のバッテリであってもよく、または、従来の電解質の電池やバッテリとは異なる、電荷を蓄積するシステムを設けたコンデンサ、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタであってもよい。スーパーキャパシタは、他のコンデンサよりもはるかに大きい容量値を有する、大容量の電気化学コンデンサである。これらのコンデンサは典型的には、標準のコンデンサまたは従来のコンデンサよりも電圧制限が低い。典型的には、単位容積当たりまたは単位質量当たり、標準のコンデンサよりも10~100倍のエネルギーを蓄積し、バッテリよりもはるかに速く電荷を受け渡すことができ、再充電可能なバッテリよりもはるかに多くの充放電サイクルに耐える。スーパーキャパシタは、標準のコンデンサにおける従来の固体誘電体を使用していない。代わりに、静電二重層容量、電気化学疑似容量、またはこれら両方の組み合わせを使用する。静電二重層コンデンサは、電気化学疑似容量よりもはるかに高い静電二重層容量を有する炭素電極または誘導体を使用して、導電性電極の表面と電解質の間の界面にあるヘルムホルツ二重層の中で電荷分離を実現する。電荷分離は、従来のコンデンサよりもはるかに小さい約数オングストローム(0.3~0.8nm)である。
【0067】
スーパーキャパシタは、通常のコンデンサが大きく進歩したものであり、完全に充電されると高い電荷を蓄積することができる。2.7V、200Fのスーパーキャパシタの容量では、約500C(A×秒)を超える電荷を保持することができる。典型的な陰極防食システムでは、1日に鋼1平方メートル当たり約170~400C必要となり、このようなコンデンサが完全に充電されたときには、1日1平方メートル以上の鋼を防食するのに十分な電荷を設けることができる。これは、1平方メートル当たり2~5mAの電流密度を表す。その数値を例えば2倍にするためには、容量を2倍にして、約400Fにする必要がある。コンデンサを日常的に充電する場合は、論理的には、この大きさのスーパーキャパシタを一定間隔を空けて設置し、1平方メートル以上の鋼に電流を供給するシステムは、有効な陰極防食システムとなり得る。日常的な充電は、例えばソーラーパネルによって容易に実現可能であるが、スーパーキャパシタの充電要素として、比較的規則的な電流バーストを生成する他の手段も使用され得る。その一例として、道路、駐車ガレージ、橋梁、滑走路などに組み込まれ、その構造または構造の上を通過する車両の負荷および/または移動によって電流を生成することができる圧電材料であってもよい。
【0068】
すなわち、圧電材料を使用して、印加電流システムに直接電力を供給しても、バッテリまたはコンデンサ/スーパーキャパシタを充電/再充電してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、陽極は、防食する金属部分ほど貴ではない材料で形成された犠牲陽極である。しかし、他の場合では、陽極は、防食する金属部分と同等以上に貴であり、それにより、陽極は、金属、典型的には鋼と同一であるか、鋼よりも貴であり、そのため、処理の間は部分的にまたは完全に不活性である。陽極が十分に不活性な材料で形成されている場合は、電子が流れる間に、陽極が著しく腐食することはない。
【0070】
バッテリなどの蓄積要素からの高電流出力が必要となる。上記のように、一方の電極は、防食する金属部分に接続される。蓄積要素から金属部分に電子が流れ、それにより、金属部分の腐食が減少する。他方の電極は、陽極に接続されるか、または、適切であれば、蓄積要素のケース自体を陽極として使用することができる。亜鉛アルカリバッテリの場合は、バッテリの極性は、バッテリのケースが適切な材料でできていれば、バッテリのケースが陽極として作用し、モルタルまたはコンクリートなどのイオン伝導性の材料を介して、必要な電流を分布させることができるようなものである。大半のリチウムバッテリなど、他のバッテリは典型的には、適当な極性の小さな電極のみを有し、この電極は、必要な電流をイオン伝導性の材料の中に運ぶのに十分な大きさでない場合もある。適切な電極に接続するために、別の陽極を設けてもよい。この陽極は、バッテリやコンデンサなどの蓄積要素全体を包み込んでも、被覆してもよい。陽極は、MMO被覆チタン、または、他の貴金属もしくは亜金属、伝導性コーティング、伝導性セラミック材料などの任意の不活性な伝導性の材料でできていてもよく、アルカリ性のモルタルに埋没されても、アルカリ溶液が添加され得る土などの不活性の材料に埋没されてもよい。ステンレス鋼も、モルタルに埋没されたとき、または、水酸化リチウムの飽和溶液など、アルカリが添加された締固め土に埋没ときは、適切な電流キャリアになることができる。陽極は、防食する金属部分ほど貴ではない、亜鉛などの犠牲材料も含む。
【0071】
典型的には、蓄積要素および1つ以上の陽極を含む1つのユニットが、イオン伝導性の材料の中に少なくとも部分的に埋没される。しかし、表面に適用したり、陽極が材料にイオン接触する他の装着の態様に適用したりすることができる。
【0072】
特に好ましい構成では、蓄積要素は、外装ケースを有する電池を含み、このケースは、陽極材料で完全にまたは部分的に形成され、それにより、陽極は、同材料の外面による外装ケースによって形成されるか、または、ケースの外側にあるコーティングもしくは層としての外装ケースによって形成される。この場合は、外装ケースまたは少なくとも外層は、鋼よりも貴な材料で形成されてもよい。この構成では、陽極は、電池の外装ケースを直接形成し、このケースは、電池の陰極材料、電解質、陽極材料、および、電池の他の要素を収容、収納する。すなわち、この実施形態では、陽極は、蓄積要素自体の外面にある層またはコーティングによって画定されるか、または、実際に蓄積要素の外面として画定されるものであって、蓄積要素とは別の更なる要素として定義されるものではない。蓄積要素が電池である場合は、電池の外装ケースが、陽極材料を直接保持するか、電池の外装ケースさえもが、陽極である。陽極材料は、表面全体を覆うものであっても、部分的に覆い、他の部分をさらけ出したままにするものであってもよい。
【0073】
他の構成では、ケースと陽極は、独立して形成され、陽極は、電池の外装に形状が適合した別の本体を形成する。典型的には、このような電池は円筒形であるが、他の形状のものが使用されてもよい。電池が充電可能なものではなく、交換可能なものである場合は、最初の電池が十分に消耗されて、有効でなくなった後に、更なるエネルギーを導入するために、この構成を特に適用することができる。
【0074】
他の構成では、陽極は、蓄積要素の一方の端子に電気的に接続される別の本体である。
【0075】
腐食は、腐食生成物の膨張力によって、また、鋼の強度の低下によって、コンクリートの破壊を生じさせ得るということはよく知られており、コンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼の補強部材または構造部材を防食するために、好ましくは上記の性能を使用することができる。しかし、他の状況における使用が生じてもよい。
【0076】
本明細書で使用される、印加電流陽極という用語は、犠牲陽極と区別することを意図しており、犠牲陽極は、金属部分ほど貴ではない材料、典型的には亜鉛で形成され、したがって、防食する金属部分と比較して優先的に腐食する。印加電流陽極は、電源と共に使用されるものであって、金属部分ほど貴ではないものにする必要はない。典型的に、このような印加電流陽極は、容易に腐食しないチタン、プラチナ、ニオブ、カーボン、ならびに、他の貴金属および酸化物で形成されるか、鉄で、または亜鉛などのあまり貴ではない材料で形成されてもよい。
【0077】
上記方法の実施における、犠牲またはガルバニックの段階中の使用に関し、イオン伝導性の充填剤の材料は、好ましくは、少なくとも1つの活性剤を含み、確実に犠牲陽極が腐食し続けるようにする。しかし、活性剤は、システムの中の他の場所に位置してもよい。適切な充填材料は、固体、ゲル、または液体の形をとってもよい。
【0078】
ゲルは、カルボキシメチルセルロース、デンプンおよびその誘導体、微粒子シリカ、または高分子ゲル電解質を含んでもよく、例えば、ベントナイト、炭酸プロピレンおよび/またはアルミナを添加した、水酸化カリウム溶液またはポリ塩化ビニル/酢酸塩-KOH複合材のアクリル酸が挙げられる。これらのゲルの水酸化アルカリは、適切な活性剤として作用する。
【0079】
適切な活性剤には、犠牲陽極金属に対して腐食性がある水酸化アルカリ、保湿剤、触媒材料、および他の材料が挙げられる。活性剤は、単独で、または組み合わせで使用してもよい。
【0080】
上記方法の実施における、犠牲またはガルバニックの段階中の使用に関し、イオン伝導性の充填材料は、好ましくは、犠牲陽極の腐食を生じさせ、犠牲陽極で不動態皮膜が形成されるのを避けるほど十分に高いpHを有する。代わりに、充填剤は、それよりも低いpHを有してもよく、および/または、犠牲陽極の腐食を生じさせ、犠牲陽極で不動態皮膜が形成されるのを避けるための他の活性剤を含んでもよい。
【0081】
本明細書の陽極および方法は、好ましくは、金属部分が鋼であり、イオン伝導性の材料がコンクリートまたはモルタルである場合の使用のために設計されている。
【0082】
印加電流要素および犠牲要素を含む陽極装置は、典型的には、コンクリートまたは他の固体の材料に埋没され、それにより、コンクリートまたは充填材料によって完全に包み込まれるが、これは必須ではなく、陽極は、部分的にのみ埋没されても、コンクリートに直接的、または物理的に間接的に接触しても、イオン接触してもよい。
【0083】
印加電流要素および犠牲要素を含む陽極装置は、多孔質材料または多孔質モルタル材料であり得る封入材料またはイオン伝導性の充填材料によって取り囲まれてもよい。適切な封入材料は、無機または有機であってもよく、任意のイオン伝導性のセメント系材料、高分子材料、もしくは非セメント系材料、または、ジオポリマーもしくは改質ポルトランドセメントを含むモルタルであってもよい。封入材料は、固体、ゲル、または液体であってもよく、変形可能であってもよい。
【0084】
電源は、印加電流陽極および充電可能なガルバニック陽極を駆動するソーラーパネルを含んでもよく、それにより、太陽光発電が断続的であるときに、長期間防食を実現する。
【0085】
本明細書に提案された構成および方法は、特に、金属部分が鋼であり、イオン伝導性の材料がコンクリートまたはモルタルである場合のために設計されている。しかし、同構成は、土壌の中の配管用または他の構造用のものなど、他の防食システムで使用されても、このような陽極を使用することができる多数の他のシステムで使用されてもよい。
【0086】
好ましくは、組立体は、2007年6月5日にWhitmoreに発行された米国特許第7,226,532号に開示されたような補強層を含み、陽極の腐食、犠牲陽極のイオンの蓄積、ならびに、凍結、融解、湿気、乾燥、および熱による他の物理的/環境的影響力によって生じ得る膨張力、収縮力および変形力などの力を抑制し、抵抗する。当該文献の開示は、参照によって本明細書に組み込まれるか、本明細書において開示されない更なる詳細のために参照されても良い。
【0087】
本明細書で定義され、記載される発明は、イオン伝導性の材料の中の金属部分を陰極防食および/または不動態化するための方法とは対照に、組立体としても提供されることができる。よって、本明細書に示される発明の以下の定義が、本明細書に含まれる。独立したこれらの定義はそれぞれ、上記に定義されたような補助的な性能のいずれかまたはすべてと共に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
ここで、添付図面と共に、本発明の実施形態について説明する。
【0089】
【
図1】
図1は、本発明に係る防食するための方法において使用するための、犠牲陽極を使用した陽極組立体の断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の陽極組立体に類似しているが、金属部分に従来のワイヤ巻き付け取り付け方法を使用した陽極組立体の断面図である。
【
図4】
図4は、印加電流陽極を介して電流を設けるように電池を使用し、また、
図1および
図2の電流制限素子および装着構成を使用する種類の陽極組立体の拡大断面図である。
【
図5】
図5は、印加電流陽極を介して電流を設けるように電池を使用し、また、電池から鋼に流れる電流を制限するようにバイポーラ型トランジスタを使用する種類の陽極組立体の拡大断面図である。
【
図6】
図6~
図9は、陽極と鋼部材を接続する導電回路で電流を制限するために、定電流ダイオード(CRD)として知られているゲート制御されたFETを使用する電流制限システムの4つの実施形態の概略図を示す。
【
図7】
図6~
図9は、陽極と鋼部材を接続する導電回路で電流を制限するために、定電流ダイオード(CRD)として知られているゲート制御されたFETを使用する電流制限システムの4つの実施形態の概略図を示す。
【
図8】
図6~
図9は、陽極と鋼部材を接続する導電回路で電流を制限するために、定電流ダイオード(CRD)として知られているゲート制御されたFETを使用する電流制限システムの4つの実施形態の概略図を示す。
【
図9】
図6~
図9は、陽極と鋼部材を接続する導電回路で電流を制限するために、定電流ダイオード(CRD)として知られているゲート制御されたFETを使用する電流制限システムの4つの実施形態の概略図を示す。
【
図10】
図10は、1つの電源によって電力が供給される複数の陽極を使用した防食システムの概略図を示し、各陽極は、CRDを有する電流制御回路に関連付けられる。
【
図11】
図11は、1つの電源によって電力が供給される複数の陽極を使用した、防食システムの概略図を示し、各陽極は、電流制御回路に関連付けられ、電流制御回路は、CRDと並列な抵抗器を含む。
【0090】
図面では、同じ参照符号は、図が異なっていても対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0091】
図4および
図5に示される例では、電池が設けられるが、2016年11月2日に出願され、2017年5月11日に公開された先のPCT出願国際公開第2017/075699号に示されるように再充電可能なものであっても、単純な再充電不可能な電池であってもよい。当該文献の開示は、引用されるか、参照によって本明細書に組み込まれる。電池は、陽極構造または陽極の一部を形成してもよく、電池は、物理的に別なものであってもよい。陽極体(10)は、典型的な充電可能なアルカリ亜鉛-二酸化マンガン電池によって画定され、円筒形内部空間を画定する鋼缶(12)、缶にプレスされた複数の円筒形中空ペレット(16)によって形成される二酸化マンガン陰極(14)、陽極ゲルでできた、陰極(14)の中空内部に配置された亜鉛陽極(18)、および、陽極(18)と陰極(14)を分ける円筒形セパレータ(20)といった主要ユニットを含む。電池に添加される、所定の量の水酸化カリウム、KOH、電解質が存在することによって、陽極と陰極の間にイオン伝導性(電解質)が設けられる。再充電可能な他の種類の電池は、類似した主要要素(缶、陰極、陽極、セパレータおよび電解質)を含むが、構成要素の構成が異なってもよい。しかし、いくつかの種類の電池は、鉛電池またはリチウム電池のように、異なる構造のものであってもよい。
【0092】
缶(12)は、底が密閉され、正極端子として働く中央円形のピップを有する。缶(12)の上端部は、密閉型電池組立体によって気密に密閉され、この密閉型電池組立体は、薄い金属板によって形成された負極キャップ(24)、負極キャップ(24)に取り付けられ、陽極に電気的に接触するように陽極ゲルに深く通る集電体である釘(26)、および、缶(12)から負極キャップ(24)を電気絶縁させ、陰極構造および陽極構造のそれぞれを超えて形成された気体の空間を分けるプラスチック上部(28)を含む。
【0093】
再充電可能な他の種類の電池を使用してもよい。本構成では、上記の種類は、コンクリートなどのイオン伝導性の材料(41)の中の鋼鉄筋(40)などの金属部分を陰極防食および/または不動態化するための方法において使用する。したがって、電池は、第1の端子(42)、および、外装ケース(12)によって画定された第2の端子(43)を含む。第1の端子(42)は、陽極材料(18)の中に係合されるピンまたは釘(26)に接続される。端子(42)は、接続ワイヤ(42A)に接続され、接続ワイヤ(42A)は、端子(42)からねじ込みコネクタ(53)まで延在し、
図4に示されるように、概して(50)で表される装着組立体を介して鋼鉄筋(40)に最終的に接続され、装着組立体は、陽極体を棒材(40)に機械的かつ電気的に取り付ける。
【0094】
図4では、陽極(44)は、電池のケース(12)にコーティングとして施される。この実施形態では、陽極(44)は、鋼よりも貴であるように、不活性の材料のものである。このような材料の例はよく知られている。よって、陽極材料(44)は、陰極防食処理の間に腐食することはなく、または、著しく腐食することはない。
【0095】
この構成では、ケース(12)の外面に陽極(44)を適用することで、1つの汎用ユニットとしての構造を実現し、陽極は、電池に直接接続され、電池と一体した要素を形成する。陽極(44)は、1つ以上の層を含んでもよく、混合金属酸化物(MMO)、触媒、または亜酸化物の層を含んでもよい。
【0096】
この実施形態では、陽極(44)は、防食処理で腐食することがない不活性の材料で形成されるので、陽極およびその中に収容される電池は、コンクリートまたは他のイオン伝導性の材料に直接組み込まれても、埋没されてもよく、多孔質モルタルマトリックスなど、間に介在する封入材料を必要としない。腐食生成物は存在しないので、そのような生成物またはそれによって生成される膨張力を吸収する必要はない。この処理は、犠牲陽極が腐食し続けることに基づかないので、陽極の表面に活性剤を必要としない。稼働中に不活性のいずれかの陽極の表面で化学反応が生じて、酸を生成(アルカリを消費)するので、陽極に近傍する材料が酸性になるのを防ぐために、陽極を、コンクリートまたは高アルカリ性のモルタルなどのアルカリ性の材料に埋没することが有益である。所望の場合は、陽極が接触するコンクリートまたは他の材料に、更なるアルカリを添加してもよい。
【0097】
本明細書に示される装置は、概して(10)で表される陽極体を含み、陽極体は、概して(50)で表される装着組立体によって鉄筋(40)に接続される。さらに、陽極体は、概して(51)で表される電流制限システムを含み、この電流制限システムは、陽極体から棒材(40)の電流の流れを制限する。
【0098】
前に記載されたように、陽極体は、典型的には電池の形をとる電源によって画定することができ、電池の外面に陽極(44)を備え、電池の端部に、棒材(40)に接続する電池の他方の端子が設けられる。
【0099】
図1、
図2、
図3、
図6~
図8に示される他の実施形態では、電池は省略されてもよく、その場合は、陽極体は、亜鉛などの鋼鉄筋ほど貴ではない犠牲材料を含み、陽極と棒材の間の電圧は、2つの金属要素の間のガルバニック電圧を含む。
【0100】
さらに他の実施形態では、陽極体は、印加電流陽極および犠牲陽極の両方の組み合わせを含んでもよい。
【0101】
このように、陽極体がコンクリートにイオン接続されたときに、陽極(44および/または74)と棒材(40)の間に電位差が生成されるように、陽極体が構成され、配置され、それにより、陽極と棒材(40)の間に電流が流れ、コンクリートの中の鉄筋を陰極防食および/または不動態化する。
【0102】
図1、
図2、
図4、
図5に示される実施形態では、装着組立体は、2018年5月15日に出願され、2019年1月10日に公開されたPCT出願国際公開第2019/006540号に示される種類のものであってもよく、当該文献の開示は、引用されるか、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0103】
装着部(50)は、一方の端部が陽極体(10)に取り付けられた、ねじ付きロッド(53)の形をとる第1の当接部、および、概して棒材(40)の対向面に係合する第2の当接部を含む。一般には、第2の当接部は、2つの脚部(68、69)を備えたフック部材を形成し、脚部は、棒材(40)の対向面または後方面と接触して、安定した係合が実現される。
【0104】
この実施形態では、雌ねじ部分は、フランジ(67)を通るねじ穴によって設けられる。したがって、ロッド(53)を回転することによって、第2の当接部材を陽極体に向かって引っ張るねじの作用が実現される。これは、陽極体を手動で把持し、これをハンドルとして使用して、ロッド(53)を回転させることによって、最も効果的に行うことができる。
【0105】
無論、これには、ロッド(53)の下端部と陽極体の間に強力な接続が必要となる。この接続は、ロッド(53)の下端部に取り付けられ、陽極体の上端部に堅牢に係合された基板(71)によって実現される。腐食生成物を保持する目的と、前に本明細書に記載された従来の活性化材料を運ぶ目的で、固体の陽極体(74)は、モルタル材料の従来の被り(75)を含む。
【0106】
ここで、
図4を参照すると、電池の端子(42)と、上記のように棒材(40)に電気的に接続されるロッド(53)の間の接続についてより詳細に示されている。
【0107】
端子(42)は、ワイヤ(42A)に接続され、次いでワイヤ(42A)は、ダイオード(51)に接続される。ダイオード(51)の出力ワイヤ(79)は、基板(71)に接続され、基板(71)は、ロッド(53)に接続される。
【0108】
ダイオード(51)は、陽極と棒材(40)の間に電流が流れるのを防ぐように逆極性で接続される従来のダイオードであってもよい。この構成では、逆電流または漏れ電流は、陽極から棒材(40)に流れる電流を約0.1~1mAの値に制限するように作用する。この最大値は、コンクリートを介したときの陽極(44)と棒材(40)の間の導電性にかかわらず保持される。コンクリートを介したときの導電性が非常に高い場合は、例えば、コンクリートがフレッシュなうちの設置初期の間は、電流は、最大値に維持される。コンクリートを介したときの導電性が低いレベルに低下(低効が上昇)するにつれて、コンクリートを介する電圧が低下して、回路(V=IR)がIMaxで電池の電圧に達するまでは、電流は所望のレベルに維持される。導電性がさらに低いレベルに低下した場合は、その導電性に応じて、ダイオードまたはトランジスタを介する電流も低下し、ダイオードまたはトランジスタ(51)の作用によって、電流が維持されることはない。したがって、ダイオード(51)によって設けられる単純な回路は、調節器として作用するのではなく、代わりに、単に電流制限器として作用する。
【0109】
図1および
図2は、ガルバニック陽極と共に使用される電流制限素子の用途を示す。この構成では、ダイオードまたはトランジスタ(51)は、陽極(74)と支持板(71)の間に接続されるワイヤ(51A、51B)によって接続され、支持板(71)は、ロッド(53)に接続される。
【0110】
所望のダイオード(51)によって、電流を、製造中に設定された最大値に制限することで、システムの寿命の間は、確実に電流が比較的低いレベルであり続けるようにし、それにより、電流の寿命期間を、電流制御器がない場合の典型的な値から劇的に増やし、例えば、約1年のものを、より適切な、最大10年の寿命期間にし得る。ガルバニック陽極の寿命は、例えば、5~10年から、50年以上に延び得る。このように、電流は、陰極防食に最適な値に維持されるが、すぐに、この所望の値を超える過剰な電流ができ、コンクリートを破損し得るか、電池を早くに消耗し得るか、ガルバニック陽極の寿命を低下、短縮し得、それにより、防食は、所望の期間にわたって実現されない。
【0111】
この構成は、必要な電圧を生成する電源として非犠牲印加電流陽極および電池を使用する構成と比較して、価値がある。このような構成では、陽極(44)と棒材(40)の間に生成される電流は、状況によっては、所望の値を著しく超え得る。
【0112】
端子(42)とロッド(53)を接続するために、ダイオード(51)を取り囲む絶縁カラーや保護カラー(83)が設けられる。カラーの下端部は、電池の上端部に取り付けられ、カラーの上端部は、基板(71)を適切なレセプタクル部分に収容する。カラー(83)は、適切なプラスチック材料でできた周りの絶縁層(84)によって電池(44)に取り付けられる。カラー(83)の内部には、従来のポッティング材料(85)が設けられ、ポッティング材料(85)は、ダイオード(51)およびワイヤを取り囲んで接続を維持し、湿気浸透による損傷を防ぐ。よって、この構造は、十分に強度があるものであって、基板(71)が確実に電池に取り付けられるようにし、電池を手動で把持し、これを操作ハンドルとして回転させて、ロッド(53)を回転させることができるようにする。
【0113】
イオン伝導性の材料の中の金属部分を陰極防食および/または不動態化するための本方法では、
図1および
図2に示されるように、イオン伝導性の材料(91)の中の金属部分(40)にイオン電流を伝達する犠牲陽極(74)が設けられる。従来の方法で金属部分の防食を実現するように、イオン伝導性の材料(91)を介して陽極(74)と金属部分(40)の間に電流が流れるように、陽極と金属部分の間に電位を生成するように、陽極は作用する。
【0114】
陽極と金属部分の間の導電路に半導体ダイオード素子(51)を接続することによって、陽極と金属部分の間に流れる電流を、所望の低い値に制限する。半導体素子(51)は、第1の方向の電流を通過させ、第2の方向の電流を漏れ電流に制限するように配置され、陽極と金属部分の間の電流が第2の方向に通過するように接続され、よって、電流を、漏れ電流によって規定された最大値に制限する種類のものであってもよい。
【0115】
半導体素子ダイオード(51)は、結合ユニットの一部を形成し、この結合ユニットは、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中に挿入されるか、取り付けられる陽極、および、装着構成または電気コネクタを含む。
【0116】
多孔質吸収性材料の陽極にコーティング(75)が設けられる場合は、ダイオード(51)は、適切な防食を実現するために、コーティングの中に位置しても、ポッティング材料の中に位置してもよい。
【0117】
ワイヤまたは電気接続部(51A)は、陽極に電気的に接続されなければならない。好ましくは、ワイヤまたは電気接続部は、(51C)で表されるように陽極に投じるか、コネクタに接続して、コネクタを陽極に投じてもよい。陽極の外部に直接、機械的な接続部またははんだ付けなどの、あまり耐久性がない接続を行ってもよい。ワイヤまたはコネクタ(51B)は、棒材(40)に電気的に接続されなければならない。このワイヤまたはコネクタは、はんだ付けされても、その他の方法で、取り付け機構に接続される支持板(71)に接続されてもよい。ダイオードは典型的には、ワイヤが備えられているが、このワイヤは、棒材(40)に直接接続するのに適切ではないので、ダイオードは典型的には、取り付け機構を構造的に支持することができる装着部(71)に取り付ける必要がある。
【0118】
多くの種類の取り付け方法を使用することができ、これには、上記のフック・ロッドシステムや、従来の可撓性ワイヤ構成などが挙げられ、従来の可撓性ワイヤ構成は、
図3に示されるように棒材(40)の周りに巻き付けて使用し、ここで、2つのワイヤ(71A、71B)は装着部(71)に接続されるか、少なくとも1つのワイヤまたは他の電気コネクタに直接接続されて、棒材(40)に接続される。絶縁部材(78)によって、犠牲陽極(74)を構造的に装着板(71)に取り付け、汎用ユニットを形成する。この汎用ユニットは、容易に扱うことができ、材料の中に挿入することができる。
【0119】
したがって、示された実施形態では、陽極(74)は、陽極と金属部分(40)を電気的に接続する電気伝導性のコネクタを含み、陽極とコネクタの間の電気接続部に、ダイオード(51)が位置する。
【0120】
ここで、
図5~
図9に示される構成を参照すると、イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料(99)に埋没された、またはこれに接触した鋼部材(101)を陰極防食および/または不動態化するための方法がある。
図1~
図4に示される構造を使用して、イオン伝導性の材料(99)の中の鋼部材(101)に電流を伝達する陽極構造(100)が設けられる。
【0121】
図6~
図8の犠牲陽極、または、
図9の印加電流陽極を使用することによって、鋼部材の陰極防食を実現するように、イオン伝導性の材料(99)を介して陽極(100、104)と鋼部材の間に電流が流れるように、陽極構造(100または104)と鋼部材(101)の間に電位差が生成される。
図9の陽極(104)は、陽極と鋼(101)の間に接続される単純な電池などの電源(105)によって電力が供給される。
【0122】
本明細書に記載の発明に従って、電流を最大値に制限する電気要素(106)が設けられ、電気要素(106)は、陽極構造に接続される少なくとも1つの電気伝導体(107)を含む。これらの図に概略的に示されるように、また、
図1~
図4により詳細に示されるように、電気伝導体および陽極構造を含む電気要素は、汎用体の要素を形成し、汎用体は、1つのユニットとして、コンクリート材料またはモルタル材料に取り付けられるか、埋没される。
【0123】
ここで、
図5を参照すると、電池の端子(42)と、上記のように棒材(40)に電気的に接続されるロッド(53)の間の接続部がより詳細に示されている。
【0124】
端子(42)は、ワイヤ(42A)に接続され、次いでワイヤ(42A)は、トランジスタ(78)に接続される。トランジスタ(78)の出力ワイヤ(79)は、ロッド(53)に接続される基板(71)に接続される。
【0125】
この実施形態のトランジスタ(78)は、従来のトランジスタであるか、バイポーラトランジスタであり、バイポーラトランジスタの場合は、トランジスタ(78)の基板は、制御電流を有し、この制御電流は、陽極(44)に接続されたバッテリの正極端子に、ワイヤ(82)を介して接続された抵抗器(81)を介して接続されたワイヤ(80)によって設けられる。
【0126】
トランジスタ(78)が鋼棒材(40)に接続され、ワイヤ(82)が陽極(44)に接続されると、電池をわたる電圧と、抵抗器(81)の抵抗とによって、トランジスタ(78)への制御電流が決定される。少なくとも電池が寿命後期になるまでは、電圧は典型的には比較的一定であるので、一定であるこの制御電流によって、トランジスタを介して電池から棒材(40)に流れる電流の量を制御する。よく知られているように、トランジスタに制御ベース電流を設けるために、抵抗器(81)を選択することができ、トランジスタは、トランジスタを介して流れる電流を最大値に設定する。この最大値は、コンクリートを介したときの陽極(44)と棒材(40)の間の導電性にかかわらず保持される。コンクリートを介したときの導電性が非常に高い、例えば、設置初期の間は、電流は、最大値に維持される。コンクリートを介したときの導電性が低いレベルに低下するにつれて、電池の最大電圧に達するまでは、電流は所望のレベルに維持される。導電性がさらに低いレベルに低下した場合は、その導電性に応じて、トランジスタを介する電流も低下し、トランジスタの作用によって、電流が維持されることはない。したがって、抵抗器およびトランジスタによって設けられる単純な回路は、調節器として作用するのではなく、代わりに、単に電流制限器として作用する。
【0127】
図6~
図9に示されるように、陽極(100)と鋼部材(101)の間の電流制限回路は、鋼部材と陽極構造の間の電流を最大値に制限するように作用する、導電回路(107)の電界効果トランジスタ(102)を使用する。トランジスタを介する電流は、トランジスタのゲートに印加される制御電圧によって制限される。トランジスタは典型的には、制御端子がゲートとして作用するような適切な形の電界効果トランジスタである。陽極と鋼部材の間の電位差から制御電圧を生成する構成が、導電回路に設けられる。
図6~
図8では、この電位差は、ガルバニックである。
図8では、電源(105)に応じて生成される。
【0128】
陽極構造およびトランジスタは、
図1~
図4に示されるように汎用体の構成要素を形成し、この汎用体は、コンクリート材料またはモルタル材料に1つのユニットとして少なくとも部分的に没埋される。トランジスタは、陽極構造と鋼部材の間の電位差を使用して、場合によっては抵抗器を使用して、トランジスタの基準電圧または基準電流を生成する。
【0129】
図6では、抵抗器R1は、ソースSと陽極(100)の間に位置する。これによって、ゲートとソースの間に電圧降下を生じさせ、ゲートの電圧が、トランジスタを介する電流の流れを制御して、電流を必要な値に制限できるように作用する。これは、上記のような実質的に一定の電流を設けるように、抵抗器の値と共に、電流および制御機能を有する適切なトランジスタを選択することによって実現できる。
【0130】
図7では、コンクリートの中に共に位置する小さな犠牲陽極(110)によって生成される電圧によって、ゲートの電圧が設定される。この陽極は、陽極(100)とは別のものであり、防食を直接的に助けたり、大幅に助けたりするために設けられたものではなく、代わりに、ゲートの基準電圧を設けるために設けられたものである。電圧は、鋼(101)に対してガルバニック生成され、トランジスタを介する電流が必要な制限値に設定されるように、電圧は、長期にわたって一定であり続ける。
【0131】
この構成では、典型的には、陽極(110)は、陽極(100)の周りにある従来のモルタルの被りに位置してもよい。
【0132】
図8では、ゲートGの制御配線は、ドレインと鋼の間の場所に接続される。この位置では、トランジスタにわたる電圧降下によって、電流の流れを必要な制限レベルに設定するのに適切なゲート電圧を設ける。
【0133】
これらの構成ではそれぞれ、回路は、必要なゲート電圧を生成するように稼働して、ゲート電圧を閾値以上または閾値以下に維持し、よって、トランジスタを介してソースSとドレインDの間を通過する電流を、本明細書に記載された必要な制限値に制御する。
【0134】
図7および
図8のこれらの構成ではそれぞれ、陽極から鋼までの配線に更なる抵抗器は存在していないが、存在する場合は、トランジスタが電流を制限するように作用しなくなる年数および状況に、システムが達したときに、電流の流れを低下するように作用する。その段階では、陽極と鋼の間の制限電圧降下に起因して、システムは、最大有効電流を設ける。
【0135】
図9で使用される構成では、電池(105)を使用して、印加電流陽極(104)と鋼(101)の間に電圧を生成する。電池は、陽極からトランジスタまでの配線に位置すること、および、ゲート電圧は、電池にわたる電圧降下によって設定されることに注意されたい。
【0136】
さらに代替として、図示されていないが、ゲート電圧は、回路の中に設けられる電池によって設けられてもよい。この構成は、より容易に電圧を決定し、それを維持することができるという利点があるが、無論、コストや複雑さが増す。
【0137】
典型的には、トランジスタ(102)は、通常は閉状態のトランジスタであり、制御電圧または制御電流が閾値を下回る場合は、トランジスタは、初期設定の閉位置になり、陽極と鋼部材の間に電流を通過させ続ける。
【0138】
トランジスタは、通常は閉状態のMOSFETトランジスタであり、ゲートとソースの間の電圧は、0.7V未満である。
【0139】
ここで、
図10および
図11を参照すると、これらは、導電回路(106)に電界効果トランジスタ(FET)(102)を含み、電界効果トランジスタ(FET)(102)は、鋼部材と陽極構造の間の電流を最大値に制限するように、電流調節素子または定電流ダイオードとして作用する。
図10で使用される構成は、
図6に示されるものと同一の構造であり、ソースからドレインまでの間に、抵抗器R1が接続されている場合は、定電流ダイオードのように稼働し、抵抗器R1が、既知の方法で、定電流ダイオードを通過する電流を、上記に定めたように最大値に制限するように稼働する。
【0140】
図10では、1つのDC電源(110)によって電力が供給される複数の陽極A1、A2、A3などを使用する防食システムの概略図を示し、このDC電源(110)は、バスライン(111)に接続され、バスライン(111)は、別のドロップ(116)によって各陽極に個別に接続される。各陽極は、定電流ダイオード(106)を画定する電流制御回路に関連付けられる。陽極は、コンクリート(113)の中の鋼要素(112)と協働し、鋼要素は、リード線(114)によって共に、電源の正極側に接続される。
【0141】
図10では、各ドロップ(116)の電流は、FET(102)のみによって制御される。
【0142】
図11では、各ダイオード(106)は、それぞれのダイオード(106)と並列に配置されたそれぞれの抵抗器(115)に関連付けられる。
【0143】
この陽極の構成は、個々の電流制御回路を使用したときに、上記に説明されたような利点と稼働条件を設ける。
【0144】
本明細書の上記の発明では、様々な変更を行うことができ、多くの明らかに大きく異なる実施形態が、請求項の範囲と趣旨から逸脱することなく、その範囲と趣旨内でなされることができるため、添付の明細書に包含されるすべての事項は、単に例示として解釈され、限定する意味では解釈されないことを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼部材を陰極防食および/または不動態化するための方法であって、
前記イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の前記鋼部材に電流を伝達する陽極構造を設ける工程と、
前記鋼部材の陰極防食を実現するように、前記イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料を介して前記陽極構造と前記鋼部材との間に電流が流れるように、前記陽極構造と前記鋼部材との間に電位差を生成する工程と、
前記陽極構造と前記鋼部材との間に少なくとも1つの導電回路を設ける工程と、
前記導電回路の中に電界効果トランジスタ(FET)を設ける工程であって、前記FETは、前記鋼部材と前記陽極構造との間の電流を最大値に制限する電流調節素子として作用する、工程とを含み、
前記FETは、ソースおよびドレインを含み、前記FETを介する電流は、前記導電回路の内部素子の間の電位差から生成される前記FETのゲートに印加される制御電流または制御電圧によって制限される、方法。
【請求項2】
前記制御電流または制御電圧は、前記陽極構造と前記鋼部材との間の前記電位差から生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記陽極構造および前記FETは、汎用体の構成要素を形成し、前記汎用体は、前記イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料に1つのユニットとして少なくとも部分的に埋没されるか、取り付けられることを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記FETは、通常は閉状態のトランジスタであり、前記制御電圧または制御電流が閾値を下回る場合は、前記FETは、前記陽極構造と前記鋼部材との間に電流を通過させ続けることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ゲートに印加される前記制御電流または制御電圧は、前記導電回路の抵抗によって生成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲートに印加される前記制御電流または制御電圧は、前記FETにわたる抵抗によって生成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲートに印加される前記制御電流または制御電圧は、電池によって生成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
抵抗器を介して前記陽極構造と前記鋼部材との間に電流を通過させるように、前記電流調節素子(CRD)と並列に前記抵抗器を設けることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記導電回路に高い電圧を印加することによって、前記CRDと並列な前記抵抗器は、電流を増加させることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼要素を陰極防食および/または不動態化するための方法であって、
前記イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中に間隔をあけて、前記イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の前記鋼要素に電流を伝達する複数の陽極構造を設ける工程と、
DC電源を設ける工程と、
前記鋼要素の陰極防食を実現するように、前記イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料を介して各陽極構造と前記鋼要素との間に電流が流れるように、各陽極構造と鋼要素との間に電位差を生成するように、前記DC電源を各陽極構造に並列接続する工程と、
各陽極構造と前記DC電源との間に、それぞれ導電回路を設ける工程であって、前記導電回路は、各陽極構造を介する電流を最大値に制限するように作用する、工程とを含む、方法。
【請求項11】
各導電回路は、電界効果トランジスタ(FET)を含み、前記FETは、前記鋼要素と前記陽極構造との間の電流を最大値に制限する定電流ダイオードとして作用することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記FETを介する電流は、前記FETのゲートに印加される制御電流または制御電圧によって制限されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記導電回路は、電流調節素子、および、前記電流調節素子と並列な抵抗器を含むことを特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記導電回路に高い電圧を印加することによって、前記電流調節素子と並列な前記抵抗器は、電流を増加させることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の鋼部材を陰極防食および/または不動態化するための方法であって、
前記イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料の中の前記鋼部材に電流を伝達する陽極構造を設ける工程と、
前記鋼部材の陰極防食を実現するように、前記イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料を介して前記陽極構造と前記鋼部材との間にイオン電流が流れるように、前記陽極構造と前記鋼部材との間に電位差を生成する工程と、
前記陽極構造と前記鋼部材との間に導電回路を設ける工程と、
前記導電回路の中に電流調節素子を設ける工程であって、前記電流調節素子は、前記導電回路を介する、前記鋼部材と前記陽極構造との間の電流を最大値に制限する、工程とを含み、
前記導電回路の中に、前記電流調節素子と並列に抵抗器が設けられ、それによって、前記抵抗器を介して前記陽極構造と前記鋼部材との間に電流が通過できることを特徴とする、方法。
【請求項16】
各導電回路は、前記電流調節素子として作用する電界効果トランジスタ(FET)を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記FETは、ソースおよびドレインを含み、前記FETを介する電流は、前記FETのゲートに印加される制御電流または制御電圧によって制限される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記陽極構造および電流を制限するように作用する前記導電回路は、汎用体の構成要素を形成し、前記汎用体は、前記イオン伝導性のコンクリート材料またはモルタル材料に1つのユニットとして少なくとも部分的に埋没されるか、取り付けられることを特徴とする、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】