(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010961
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】液体測定装置
(51)【国際特許分類】
G01P 5/18 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01P5/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112589
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】牧野 耕治
(57)【要約】
【課題】外乱を抑制して測定精度を向上させ、且つ、装置全体の小型化を図れる液体測定装置を提供する。
【解決手段】光透過性を有する透光部110を備えた流路部材に沿って配置された光センサ12が、前記流路部材内を流れる液体による光の反射の変化を検出することで、前記液体の特性を測定する液体測定装置10であって、前記光センサは、前記透光部に向けて光を照射する発光部121と前記透光部からの反射光を受光する受光部122とを備え、前記光センサに対して前記透光部を挟んで対向する側に、前記発光部が照射する光の反射を抑える低反射材14が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する透光部を備えた流路部材に沿って配置された光センサが、前記流路部材内を流れる液体による光の反射の変化を検出することで、前記液体の特性を測定する液体測定装置であって、
前記光センサは、前記透光部に向けて光を照射する発光部と前記透光部からの反射光を受光する受光部とを備え、
前記光センサに対して前記透光部を挟んで対向する側に、前記発光部が照射する光の反射を抑える低反射材が設けられていることを特徴とする液体測定装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記流路部材は、前記液体が流動可能な中空管であるとともに前記中空管が前記透光部を構成し、
前記流路部材を支持する支持部材と、
前記光センサが取り付けられた光センサ取付部とを備え、
前記低反射材は、前記流路部材を挟んで前記光センサに対向する位置に設けられていることを特徴とする液体測定装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記流路部材は、前記液体が流動可能な中空管であるとともに前記中空管が前記透光部を構成し、
前記流路部材を支持する支持部材と、
前記光センサが取り付けられた光センサ取付部とを備え、
前記低反射材は、前記流路部材における前記光センサとは反対側の面に設けられていることを特徴とする液体測定装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記流路部材は、前記液体が流動可能な貫通孔を備えた樹脂成形体であるとともに、前記樹脂成形体が前記透光部を構成し、
前記樹脂成形体の一方面側には、前記低反射材が設けられており、
前記樹脂成形体の他方面側には、前記光センサが取り付けられた光センサ取付部が設けられていることを特徴とする液体測定装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記流路部材は、前記液体が流動可能な凹状の溝部を備えた樹脂成形体であるとともに、前記樹脂成形体が前記透光部を構成し、
前記樹脂成形体の一方面側には、前記溝部の開口部を覆い前記低反射材を備えた覆い部が設けられており、
前記樹脂成形体の他方面側には、前記光センサが取り付けられた光センサ取付部が設けられていることを特徴とする液体測定装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記流路部材は、前記液体が流動可能な凹状の溝部を備えた樹脂成形体であるとともに、前記樹脂成形体が前記低反射材を構成し、
前記樹脂成形体の一方面側には、前記溝部の開口部を覆い前記透光部を備えた覆い部が設けられており、
前記覆い部側には、前記光センサが取り付けられた光センサ取付部が設けられていることを特徴とする液体測定装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記発光部が照射した光を反射する反射材がさらに設けられ、
前記反射材は、前記光センサにおける前記低反射材に対向する面の略垂直方向に沿って反射面が設けられていることを特徴とする液体測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記流路部材を前記光センサに対して位置決めする位置決め手段を備えていることを特徴とする液体測定装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記低反射材は、前記発光部が照射する光の波長に対して5%以下の反射率の材質からなることを特徴とする液体測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路部材内を流れる液体による光の反射の変化を検出することで、液体の特性を測定する液体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発光素子が流路部材に向けて光を照射して反射した光(反射光)を受光素子が受光して反射光の変化を検出することによって、流路部材内を流れる液体の特性を測定する液体測定装置が知られている。このような液体測定装置では、受光素子が流路部材内を流れる液体からの反射光以外の光を受光してしまうと、それが外乱となって測定精度が低下する懸念がある。そこで下記特許文献1,2では、発光素子及び受光素子をカバーで覆うことによって、外乱となる外部からの光の受光を抑制して測定精度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6453362号公報
【特許文献2】特許第6426199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような液体測定装置の場合、流路部材を挟んで発光素子と対向する側に光を反射する部材があると、発光素子が照射した光が複雑な反射光となるため、ノイズが増加し、測定精度に悪影響となる。またこのような複雑な反射光の影響を低減するには、外光を防ぐカバーを流路部材から離して設置する必要があり、装置全体をコンパクトにすることが難しい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、外乱を抑制して測定精度を向上させ、且つ、装置全体の小型化を図れる液体測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体測定装置は、光透過性を有する透光部を備えた流路部材に沿って配置された光センサが、前記流路部材内を流れる液体による光の反射の変化を検出することで、前記液体の特性を測定する液体測定装置であって、前記光センサは、前記透光部に向けて光を照射する発光部と前記透光部からの反射光を受光する受光部とを備え、前記光センサに対して前記透光部を挟んで対向する側に、前記発光部が照射する光の反射を抑える低反射材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記液体測定装置において、前記流路部材は、前記液体が流動可能な中空管であるとともに前記中空管が前記透光部を構成し、前記流路部材を支持する支持部材と、前記光センサが取り付けられた光センサ取付部とを備え、前記低反射材は、前記流路部材を挟んで前記光センサに対向する位置に設けられてもよい。
【0008】
また、上記液体測定装置において、前記流路部材は、前記液体が流動可能な中空管であるとともに前記中空管が前記透光部を構成し、前記流路部材を支持する支持部材と、前記光センサが取り付けられた光センサ取付部とを備え、前記低反射材は、前記流路部材における前記光センサとは反対側の面に設けられてもよい。
【0009】
また、上記液体測定装置において、前記流路部材は、前記液体が流動可能な貫通孔を備えた樹脂成形体であるとともに、前記樹脂成形体が前記透光部を構成し、前記樹脂成形体の一方面側には、前記低反射材が設けられており、前記樹脂成形体の他方面側には、前記光センサが取り付けられた光センサ取付部が設けられてもよい。
【0010】
また、上記液体測定装置において、前記流路部材は、前記液体が流動可能な凹状の溝部を備えた樹脂成形体であるとともに、前記樹脂成形体が前記透光部を構成し、前記樹脂成形体の一方面側には、前記溝部の開口部を覆い前記低反射材を備えた覆い部が設けられており、前記樹脂成形体の他方面側には、前記光センサが取り付けられた光センサ取付部が設けられてもよい。
【0011】
また、上記液体測定装置において、前記流路部材は、前記液体が流動可能な凹状の溝部を備えた樹脂成形体であるとともに、前記樹脂成形体が前記低反射材を構成し、前記樹脂成形体の一方面側には、前記溝部の開口部を覆い前記透光部を備えた覆い部が設けられており、前記覆い部側には、前記光センサが取り付けられた光センサ取付部が設けられてもよい。
【0012】
さらに、上記液体測定装置において、前記発光部が照射した光を反射する反射材がさらに設けられ、前記反射材は、前記光センサにおける前記低反射材に対向する面の略垂直方向に沿って反射面が設けられてもよい。
【0013】
そして、上記液体測定装置において、前記流路部材を前記光センサに対して位置決めする位置決め手段を備えてもよい。
【0014】
そして、上記液体測定装置において、前記低反射材は、前記発光部が照射する光の波長に対して5%以下の反射率の材質からなってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液体測定装置は上述した構成とされるため、外乱を抑制して測定精度を向上させ、且つ、装置全体の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は第1実施形態における液体測定装置の模式的斜視図、(b)は(a)のX-X’線矢視断面図である。
【
図2】同液体測定装置が用いられる分析装置を示すブロック図である。
【
図3】(a)は支持部材を台座部材に固定する前の状態を示す模式的斜視図、(b)は支持部材を台座部材に固定した状態を示す模式的斜視図である。
【
図4】(a)は同液体測定装置による液体の特性を測定する方法の説明図、(b)は同液体測定装置による測定結果を示す図、(c)は比較例の液体測定装置による測定結果を示す図である。
【
図5】(a)は第1実施形態に反射材を設けた変形例を説明するための模式的縦断面図、(b)は同液体測定装置による測定結果を示す図、(c)は比較例の液体測定装置による測定結果を示す図である。
【
図6】(a)~(d)は、第1実施形態の変形例を示す模式的縦断面図である。
【
図7】第2実施形態における液体測定装置を示す図であり、(a)は覆い部を樹脂成形体に固定する前の状態を示す模式的斜視図、(b)は覆い部を樹脂成形体に固定した状態を示す模式的斜視図である。(c)は第2実施形態における液体測定装置の模式的縦断面図である。
【
図8】(a)(b)は第2実施形態の変形例を示す模式的縦断面図、(c)は第3実施形態における液体測定装置を示す模式的縦断面図、(d)~(f)は同液体測定装置の変形例を示す模式的縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。また、
図1(b)等に示す模式的縦断面図において、紙面上の上側を上下方向の上側、紙面上の下側を上下方向の下側、紙面上の左右方向を幅方向として説明する。
【0018】
<第1実施形態>
本実施形態に係る液体測定装置10は、光透過性を有する透光部110を備えた流路部材に沿って配置された光センサ12が、流路部材内を流れる液体による光の反射の変化を検出することで、液体の特性を測定する。光センサ12は、透光部110に向けて光を照射する発光部121と透光部110からの反射光を受光する受光部122とを備える。光センサ12に対して透光部110を挟んで対向する側に、発光部121が照射する光の反射を抑える低反射材14が設けられている。
以下、詳しく説明する。
【0019】
図1~
図4を参照しながら、第1実施形態に係る液体測定装置10について説明する。
ここに示す液体測定装置10は、流路部材を流れる液体を分析する分析装置1に用いられる。
図2に示すように、分析装置1は、液体測定装置10と端末装置Aを備える。液体測定装置10は、流路部材である中空管11と、中空管11を支持する支持部材15と、光センサ12が取り付けられた光センサ取付部を有する台座部材16と、低反射材14が設けられた板状の覆い部17とを備える。この分析装置1は、毛細管現象の作用によって中空管11内を流れる液体の移動距離及び移動時間に基づいて回帰分析し、液体の流動速度や粘性等の特性を導くように構成されている。よって、ここに示す中空管11は、光センサ12の発光色に対する光透過性を有する透明材料で構成されるとともに、毛細管現象を発生させるような小さな断面積の中空細長状に形成されている。光センサ12は、中空管11の長手方向に沿って複数配されている。複数の光センサ12は、発光部121及び受光部122を有し、基板13上に間隔をあけて取り付けられ、発光部121から中空管11の流路に対して光を照射し、受光部122で受光する光の強度の変化によって液体の到達を検出する。端末装置Aは、回路部2と、演算部3と、表示部4とを少なくとも備える。回路部2は、光センサ12を駆動させるとともに光センサ12内で検出された信号を演算部3に伝達するため、送受信回路、増幅回路、駆動回路等を備えている。回路部2では、光センサ12から出力されるアナログ信号を増幅し、デジタル信号に変換して演算部3にデジタル信号を送信する機能部としての役割を担っている。演算部3は、回路部2から送信される情報に基づき、試験の粘性を分析するソフトウェアがインストールされたコンピュータによって構成されている。演算部3は、液体の流動速度や粘性等を算出するために例えば、CPU、ROM、RAM等のハードウェアを備えており、液体の流動速度や粘性等を算出するためのプログラムが記憶され実行できるように構成されている。表示部4は、演算部3での算出結果や光センサ12の駆動状態等を表示するため、液晶ディスプレイ等で構成されている。
【0020】
次に、液体測定装置10が備える各部材について説明する。
図1及び
図3に示すように、流路部材は、液体が流動可能な流路を有する中空管11であるとともに中空管11が透光部110を構成する。また、液体測定装置10は、中空管11を支持する支持部材15と、光センサ12が取り付けられた光センサ取付部とを備える。そして、低反射材14は、中空管11を挟んで光センサ12に対向する位置に設けられている。また、液体測定装置10は、光センサ12が取り付けられた光センサ取付部を有する台座部材16と、低反射材14が設けられた板状の覆い部17とを備える。
【0021】
図1及び
図3に示す流路部材は、液体が流動可能な流路を有する中空管11であるとともに中空管11が透光部110を構成する。中空管11は、全体が透明材料から構成されることで透光部110を構成しており、本実施形態では透明なガラスによって中空管11が形成されている。中空管11を構成する透明材料としては、ガラスの他に透明な合成樹脂等が挙げられる。
図1(b)に示すように、中空管11は、開口断面形状が真円状に形成されている。中空管11の開口断面積は、後述する開口凹部151に注入された液体が、毛細管現象による力の作用によって内部に浸入する大きさに形成されている。これにより、液体を円滑に中空管11に浸入させることができる。そして、中空管11をガラス管とすれば、毛細管現象を発生させるような小さな断面積の流路を製作し易い。中空管11の長手方向の他方側の端部11bには、弾性体製のチューブ18が着脱自在に接続されている。このチューブ18によって、中空管11内の液体が外部に漏れ出ることが抑制される。なお、本実施形態では、中空管11の長手方向の他方側が、液体の流れ方向の下流側となる。
【0022】
支持部材15は、流路部材である中空管11を支持する略長方形の長尺な平板体で樹脂材等からなり、
図3(a)(b)に示すように台座部材16に着脱自在に設けられている。
図3(a)に示すように、支持部材15は、開口凹部151と、第1支持部152と、長孔153と、第2支持部154とを有する。支持部材15の略中央部位には、長手方向に沿って中空管11の長さに応じて形成される長孔153が設けられている。支持部材15は、長孔153の長手方向の一方側に第1支持部152が隣接して形成され、長孔153の長手方向の他方側に第2支持部154が隣接して形成されている。支持部材15は、開口凹部151と、第1支持部152と、長孔153と、第2支持部154とが支持部材15の長手方向に沿って連通している。
【0023】
開口凹部151は、支持部材15の長手方向の一方側の端部15a近傍に設けられた、平面視において円形状の上部が開口した窪みである。開口凹部151の底部151aは、平坦面に形成されており、中空管11の長手方向の一方側の端部11aが底部151a上に配されている。
【0024】
第1支持部152は、開口凹部151よりも支持部材15における長手方向の他方側に位置して開口凹部151に隣接するとともに、開口凹部151及び長孔153に連通して形成されている。第1支持部152は、中空管11の長手方向の一方側の端部11a側を挟持可能な形状に形成されており、第2支持部154と協働して流路部材である中空管11を支持可能に構成されている。
【0025】
長孔153は、支持部材15の長手方向に沿って延びて形成されるとともに上下方向に貫通した凹部である。長孔153は、第1支持部152よりも支持部材15における長手方向の他方側に位置して第1支持部152に隣接して設けられているとともに第1支持部152に連通して形成されている。長孔153内には、長手方向の両端部11a,11bが第1支持部152及び第2支持部154に支持された状態の中空管11が収容されている。長孔153は、後述する台座部材16に設けられた中空管11を光センサ12に対して位置決めする位置決め手段の一つである一対の突条部162,162が、中空管11に対して間隔をあけた状態で収容される大きさに形成されている(
図1(b)、
図3(b)参照)。
【0026】
第2支持部154は、長孔153よりも支持部材15における長手方向の他方側に位置して長孔153に隣接して設けられているとともに長孔153に連通して形成されている。第2支持部154は、中空管11の長手方向の他方側の端部11b側を挟持可能な形状に構成されており、第1支持部152と協働して中空管11を支持可能に構成されている。これにより、中空管11は、第1支持部152と第2支持部154との間を架け渡すように支持される(
図3(a)(b)参照)。また、中空管11は、第1支持部152と第2支持部154との間の部位が長孔153内に収容されて支持部材15の他の部位に当接しない構成、つまり中空で支持される構成となっている(
図1(b)参照)。そのため、中空管11がガラス製のような破損しやすい材質であっても、支持部材15に衝撃が加わった際に中空管11が破損しにくくなっている。さらに、中空管11は、支持部材15が台座部材16に固定された状態において、台座部材16の一対の突条部162,162等の台座部材16の部位に当接しない構成となっている(
図1(b)参照)。そのため、台座部材16に衝撃が加わった際に中空管11が破損しにくい構成になっている。
【0027】
図1(a)及び
図3(a)(b)に示すように、支持部材15の長手方向の他方側の端部15bには、二股に分かれた一対の把持部155,155が設けられている。
図1(a)及び
図3(a)(b)に示すように、把持部155は、略角柱状の棒体である。
図1(a)及び
図3(b)に示すように、支持部材15が台座部材16に取り付けられた際には、把持部155の他方側の端部155aが後述する台座部材16の凹部161の開放端161bから突出する長さの寸法で、把持部155は構成されている。
【0028】
図3(a)に示すように、台座部材16は、略長方形の板体で樹脂材等からなり、上面16aに方形状の窪みの凹部161が形成されている。凹部161は、その内部に支持部材15を収容するために、上部に開放された開口161aと長手方向の他方側の端部が開放された開放端161bが構成されている。凹部161は、幅方向の寸法が支持部材15の幅寸法と略同一であり、長手方向の寸法が支持部材15の長手方向の寸法よりも小さく形成されている。凹部161は、その底部161cに支持部材15の位置決め手段である一対の突条部162,162が設けられている。突条部162は、凹部161の長手方向に沿って延びて形成され、上部の開口161aに向けて起立した形状となっている。
【0029】
図1(b)及び
図3(a)に示すように、台座部材16の底部161cにおける一対の突条部162,162間には、基板13に取り付けられた複数の光センサ12が配されている。本実施形態では、基板13を介して光センサ12が台座部材16に取り付けられており、この台座部材16は光センサ12が取り付けられる光センサ取付部としての役割を有する。複数の光センサ12は、突条部162の長手方向に沿って互いに間隔をあけて配されており、中空管11を支持する支持部材15が台座部材16に取り付けられた際に、中空管11の長手方向に沿い、かつ中空管11と上下方向に重なるようになっている。なお、本実施形態の光センサ12の発光部121は、約940nmの波長の赤外線を照射するものであるが、光の波長はこの波長に限定されることはなく、また、赤外線に限定されることはなく、光センサ12の受光部122が検出できる範囲であれば、可視光線や紫外線であってもよい。
【0030】
図1(b)に示すように、低反射材14は、板状の金属製の覆い部17の下面17aに設けられて、中空管11を挟んで光センサ12に対向する位置に設けられている。覆い部17の材質は特に限定されることはないが、金属、樹脂材料等で遮光性がある材質がよく、より望ましくは遮光性に加え電磁波を遮断できる材質が望ましい。そのような材質としては、例えば、金属や金属層が設けられた樹脂成形体が挙げられる。
図3(a)(b)に示すように、低反射材14は、覆い部17の略中央に長手方向に沿って伸びた形状となっている。また、低反射材14は、
図1(b)に示すように幅方向の寸法が、中空管11の流路の径よりも大きい寸法となっている。低反射材14は、発光部121が照射する光の波長に対して5%以下の反射率の材質からなる。本実施形態では、低反射材14は、微細な気泡を多数有する多孔質体の発泡ポリウレタンが用いられている。また、
図1(b)に示すように、覆い部17が台座部材16上に配されると、低反射材14は、その一部が突条部162,162との間に入り込むように構成されている。これにより、低反射材14と中空管11との間の距離が近づくので、外乱がより抑制されて光センサ12の液体の特性を測定する精度が向上する。また、低反射材14は、その一部が突条部162,162との間に入り込むように構成されているので、外部からの外部光は突条部162,162との間に入り込むことが抑制されるので、外部光による外乱が抑制される。
【0031】
本実施形態で低反射材14として用いられる発泡ポリウレタンは、光センサ12が照射した光を、配合されたカーボンブラックが吸収することに加え、微細な気泡を多数有する構造のため、光が微細な気泡の中に入り込み光の反射を抑制する。発泡ポリウレタンの他に低反射材14としては、黒アルマイト加工したアルミ材、黒色(クロム、ニッケル)メッキ、無反射植毛布、カーボンブラック入りの塗料等が挙げられる。低反射材14としては、前述のもの以外にも種々のものが採用され、光センサ12の発光部121が照射する光の波長に対して5%以下の反射率の材質からなるものが望ましく、2%以下の反射率の材質からなるものがより望ましい。低反射材14の反射率が5%以下であれば、反射する反射光の量が低減され、ノイズが減少することにより精度よく光センサ12が液体の流動を検出できる。また、低反射材14の反射率が2%以下であれば、光センサ12まで到達する反射光の量がより低減され、より精度よく液体の流動を検出できる。
【0032】
台座部材16に支持部材15と覆い部17とを取り付ける際には、まず、
図3(a)に示すように、中空管11を支持する支持部材15の長孔153を台座部材16の一対の突条部162,162に合わせ、そして、上方から凹部161内に支持部材15を収容する。
図3(b)に示すように支持部材15が台座部材16に取り付けられたら、低反射材14が設けられた面が下方を向くようにして覆い部17が台座部材16の上面16a上に配されることで、液体測定装置10が構成される。
【0033】
図1(b)に示すように、本実施形態では、台座部材16の凹部161の幅方向の寸法は、支持部材15の幅寸法と略同一である。そのため、支持部材15が凹部161内に収容されると、支持部材15の両側面15c,15cが凹部161の側壁面161d,161dに当接し、支持部材15は幅方向に位置ずれをしにくくなる。また、
図3(b)に示すように、凹部161に設けられた一対の突条部162,162は、その長手方向の寸法が支持部材15の長孔153の長手方向の寸法と略同一である。そのため、長孔153内に一対の突条部162,162が収容された状態で支持部材15が凹部161内に収容されると、支持部材15は長手方向に位置ずれしにくくなる。つまり、本実施形態では、台座部材16の凹部161と、一対の突条部162,162とが協同して、支持部材15に支持された中空管11を光センサ12に対して位置決めする位置決め手段として機能する。これにより、中空管11を光センサ12に対して正確に位置決めすることができるので、精度よく液体の流動速度等の特性を測定することができる。
【0034】
図1(b)に示すように、支持部材15の上下寸法は、台座部材16の凹部161の深さ寸法よりも若干小さい寸法で形成されている。これにより、加工時等に支持部材15の上下寸法に多少の誤差が生じても、支持部材15の上下寸法が台座部材16の凹部161の深さ寸法と略同一に構成されているものと比べて、支持部材15が台座部材16の上面16aから突出する可能性が小さくなる。よって、支持部材15が台座部材16の上面16aから突出する可能性が小さいので、覆い部17が安定して台座部材16の上面16aに当接して配される。
【0035】
中空管11に接続されたチューブ18の下流の端部が開放されている状態で支持部材15の開口凹部151に測定対象の液体が注入されると、液体が中空管11の長手方向の一方側の端部11aにある流路の開口から中空管11内に侵入する。そして、毛細管現象によって液体が中空管11の長手方向の一方側から他方側に流れる。分析装置1は、光センサ12の発光部121から照射した光の反射を受光部122で受光することによって、流動速度等の液体の特性を測定することができる。
【0036】
液体測定装置10は、分析装置1による液体の測定後、測定対象の液体によって汚染された中空管11及び支持部材15を取り替えることによって、再使用できるようになる。つまり、流路部材である中空管11及び支持部材15をディスポーザブルな部材にできる。また、
図1(a)に示すように、液体測定装置10は、支持部材15の把持部155,155の端部155a,155aが台座部材16の凹部161の開放端161bから突出しているので、把持部155,155を持ちやすくなっている。この把持部155,155を持って支持部材15を持ちあげることで、支持部材15を台座部材16から容易に取り外すことができる。
【0037】
次に、
図1、
図3及び
図4(a)に示す第1実施形態に係る液体測定装置10と、比較例1との比較について、
図4(b)(c)に示すグラフを参照しながら説明する。この測定では、測定対象の液体として蒸留水を使用した。比較例1では、覆い部17に低反射材14が設けられていないものを使用し、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
図4(b)が本実施形態を用いた測定結果のグラフであり、
図4(c)が比較例1を用いた測定結果のグラフである。
図4(b)(c)に示すグラフでは、縦軸が電圧(V)、横軸が時間(msec)を示す。なお、
図4(a)は、本実施形態の概略的模式縦断面図であり、説明のために光センサ12の発光部121及び受光部122を中空管11の長手方向に沿って並んだ状態を示しているが、これに限定されることはない。また、
図4(a)の紙面上において、左側を中空管11の長手方向の一方側、右側を中空管11の長手方向の他方側として説明する。
【0038】
図4(a)を参照しながら、本実施形態の液体測定装置10(分析装置1)が中空管11内を流れる液体の流動速度を測定する仕組みについて説明する。なお、
図4(a)に示す3つの光センサ12は、紙面上の左側から順番に12A,12B,12Cと符号を付す。
図4(a)に示すように、本実施形態の液体測定装置10は、光センサ12と流路部材である中空管11の透光部110を挟んで対向する側に発光部121が照射する光の反射を抑制する低反射材14が設けられている。
図4(a)では、中空管11は長手方向の一方側から下流である長手方向の他方側に向けて液体が流れる。光センサ12の発光部121から照射した光の反射は、中空管11内の物質が気体から液体に代わるとき、すなわち、液体の流動先端面Wが光センサ12の上方を通過する瞬間に、中空管11内の気体と液体の屈折率の差や、光散乱によって変化する。この光の反射の変化は、光センサ12の受光部122で検出され、電圧の変化として出力される。光センサ12A,12B,12Cからそれぞれ出力された電圧の変化は、一つの電圧信号にまとめられ、
図4(b)(c)に示すような液体の流動時間と電圧の変化のデータとされる。そして、光センサ12A,12B,12Cのそれぞれの電圧の変化のピークとなる時間、すなわち、液体がそれぞれの光センサ12の上方を通過する時間と、液体の移動した距離から液体の流動速度を算出することができる。光センサ12が照射した光の一部は中空管11に向かい、さらにその一部は中空管11や中空管11内の物質で反射されずに通過して低反射材14に到達する。中空管11に向かわないその他の光は中空管11を通過せずに低反射材14に直接到達する。低反射材14は、発光部121が照射した光の反射を抑制するので、低反射材14に到達した光が複雑な反射光となって受光部122に到達することが抑制される。
【0039】
図4(b)のグラフに示すように、本実施形態では、ノイズが少なく、液体の流動先端面Wの通過に起因する電圧の出力変化が顕著に現れている。一方、
図4(c)のグラフでは、ノイズが発生し、電圧が上下に乱高下して電圧の出力変化のピークが判別しにくくなっている。比較例1では、覆い部17に低反射材14が設けられていない。発光部121が照射した光が覆い部17に到達することで、覆い部17が光を反射する。そして、覆い部17が反射した光は複雑な反射光となって受光部122に到達する。そのため、
図4(c)では、覆い部17からの反射光がノイズとしてグラフに表れている。
【0040】
このように、液体測定装置10は、光センサ12と中空管11の透光部110を挟んで対向する側に低反射材14が設けられていることで、外乱が抑制されてノイズが減ることにより、液体の流動先端面Wの通過に起因する出力変化のピークを確実に検出することができ、液体の流動速度等の特性を精度よく測定することができる。また、光センサ12と中空管11の透光部110を挟んで対向する側に発光部121が照射する光の反射を抑制する低反射材14が設けられているので、光センサ12と低反射材14との間を近接して配置することができ、液体測定装置10全体の小型化(スリム化)を図ることができる。また、低反射材14が配されておらずまた、覆い部17が設けられておらず凹部161の開口161aが開放されているようなものは、覆い部17が設けられていないので覆い部17からの反射光はないが、外部からの光が外乱となって測定結果の精度が低下する。そのようなものと比べて、本実施形態では、光センサ12に対して中空管11の透光部110を挟んで対向する側に、低反射材14が設けられているので、中空管11を流れる液体の流動速度等の特性を精度良く測定できる。また、本実施形態では、測定対象の液体として蒸留水を用いたが、種々の液体が測定対象として採用される。測定対象の液体の成分、組成によっては、反射光が弱まったり、複雑な反射光となって、液体の流動に伴う電圧の出力変化のピークが判別しにくい場合がある。そのような場合であっても、本実施形態の液体測定装置10を用いることで検出精度が向上する。また、液体測定装置10は、流路が小さいために出力される電圧変化が小さい場合や、照射光の一部を流路部材が吸収し、出力される電圧変化が小さい場合であっても、精度よく検出することができる。
【0041】
<第1実施形態に反射材を設けた変形例>
次に、第1実施形態の液体測定装置10に、発光部121が照射した光を反射する反射材19が設けられた変形例である液体測定装置10Aについて、
図5(a)を参照しながら説明する。この変形例では、台座部材16の一対の突条部162,162の幅方向の内側の面162a,162aにそれぞれ反射材19,19が設けられている。一対の反射材19,19は、互いに反射面190,190が対向するように配されている。反射材19は、光センサ12における低反射材14に対向する面120の略垂直方向に沿って反射面190が設けられている。これにより、反射材19が光センサ12の発光部121からの光を反射することにより、受光部122の感度が向上する。
【0042】
本実施形態では、反射材19として鏡面メッキが用いられているが、これに限定されることはなく、金属箔や金属面、鏡等、発光部121が照射した光を反射する種々のものが用いられる。本実施形態では、低反射材14は、その一部が反射材19,19間に位置するように構成されており、その他の構成は第1実施形態のものと略同様である。
【0043】
次に、液体測定装置10Aと、比較例2との比較について、
図5(b)(c)に示すグラフを参照しながら説明する。この実験では、
図4(b)(c)と同様に測定対象の液体として蒸留水を使用した。比較例2では、覆い部17に低反射材14が設けられていないものを使用し、その他の構成は
図4(a)のものと同様であり、突条部162,162にも同様に反射材19,19が設けられている。
図5(b)が本実施形態を用いた測定結果のグラフであり、
図5(c)が比較例2を用いた測定結果のグラフである。
【0044】
図5(b)(c)のグラフに示すように、本実施形態及び比較例2では、どちらも液体の流動に伴う電圧の出力変化が顕著に表れたグラフとなっている。しかしながら、本実施形態の液体測定装置10Aを用いた
図5(b)のグラフの方が、比較例2を用いた
図5(c)のグラフよりもノイズが小さく、また電圧のピークがより高く表れている。このように、反射材19を液体測定装置10Aが備えることで、反射材19が光センサ12の発光部121からの光を反射することにより、中空管11に到達する光量を増加させることができ、その結果、液体の流動に伴う光の変化量が増加し、受光部122に到達する光量の変化も増大する。そして、低反射材14をさらに備えることで、低反射材14から反射され、ノイズの原因となる光の量が低減され、液体の流動先端面Wの通過に起因する出力変化のピークを確実に検出することができ、測定精度が向上する。
【0045】
<第1実施形態の他の変形例>
次に、第1実施形態のさらに他の変形例である液体測定装置10B~10Eについて、模式的縦断面図である
図6(a)~(d)を参照しながら説明する。
図6(a)~(d)では、
図1~
図3に示す第1実施形態と異なる点について説明し、共通する構成や効果の説明は省略する。
【0046】
図6(a)~(d)の変形例では、光センサ12及び光センサ12が取り付けられた基板13は、台座部材16ではなく覆い部17の下面17aの略中央位置に中空管11の長手方向に沿って設けられている。つまり、
図6(a)~(d)の変形例では、覆い部17が光センサ取付部として機能する。次に各変形例について説明する。
【0047】
図6(a)の液体測定装置10Bでは、覆い部17の下面17aに下方へ略垂直に突出する一対の突条部171,171が設けられている。突条部171は中空管11の長手方向に沿って延びて形成されており、その下端面171aは、台座部材16の凹部161の底部161cに当接する。また、一対の突条部171,171の互いに対向する内側面171b,171bには、反射材19,19が設けられている。そして、台座部材16の凹部161の底部161cには、覆い部17の突条部171,171の間に位置するように低反射材14が中空管11の長手方向に沿って設けられている。なお、本実施形態では、覆い部17の突条部171は、支持部材15の長孔153の側壁面153aに接触しないように構成されているが、一対の突条部171,171の外側面171c,171cが長孔153の側壁面153a,153aにそれぞれ当接する構成であってもよい。
【0048】
図6(b)の液体測定装置10Cでは、台座部材16が光センサ12の照射する光の反射を抑える材質で構成されている。つまり、本変形例では、台座部材16が低反射材14としての役割を持つ。低反射材14としての役割を持つ台座部材16を構成する材質としては、発光部121が照射する光の波長を吸収する材料であるカーボンブラックや近赤外線吸収有機色素等が含まれる樹脂材料等が挙げられる。また、支持部材15の長孔153の側壁面153a,153aには、一対の反射材19,19が設けられている。
【0049】
図6(c)の液体測定装置10Dでは、流路部材は、液体が流動可能な中空管11であるとともに中空管11が透光部110を構成する。液体測定装置10Dは、中空管11を支持する支持部材15と、光センサ12が取り付けられた光センサ取付部である覆い部17とを備える。液体測定装置10Dの低反射材14は、中空管11における光センサ12とは反対側の面111に設けられている。
図6(c)の縦断面図に示すように、中空管11の周面の下半分を覆うように設けられ、流路部材である中空管11の面111に低反射材14が設けられている構成となっている。
【0050】
図6(d)の液体測定装置10Eでは、
図6(c)と同様に低反射材14が中空管11に近接する構成となっている。低反射材14は、台座部材16の凹部161の底部161cに設けられて中空管11の長手方向に沿って延びた略角棒状の部材であり、その上面には、凹湾曲した曲面14aが設けられている。この曲面14aは、中空管11の周面に合わせた形状となっており、支持部材15が台座部材16に取り付けられると、中空管11における光センサ12とは反対側の面111を覆うように当接する。
【0051】
<第2実施形態>
次に第2実施形態に係る液体測定装置20について、
図7(a)~(c)を参照しながら説明する。
液体測定装置20では、流路部材は、液体が流動可能な凹状の溝部211を備えた樹脂成形体21であるとともに、樹脂成形体21が透光部210を構成する。樹脂成形体21の一方面側には、溝部211の開口部211aを覆い低反射材24を備えた覆い部27が設けられており、樹脂成形体21の他方面側には、光センサ22が取り付けられた光センサ取付部が設けられている。以下、詳しく説明する。なお、第2実施形態では、樹脂成形体21の一方面を上面21a、他方面を下面21bとして説明する。また、第2実施形態の液体測定装置20も第1実施形態の液体測定装置10と同様に、流路部材を流れる液体を分析する
図2に示す分析装置1に用いられる。
【0052】
図7(a)に示す樹脂成形体21は、略長方形の平板体で透明な樹脂材料によって構成されている。樹脂成形体21の上面21aの略中央には、樹脂成形体21の長手方向に沿って上部が開口して開口部211aを有する溝部211が形成されている。この溝部211の長手方向の両端部には、溝部211に連通した開口凹部212,212が形成されている。開口凹部212は、平面視して溝部211の溝幅より大きい径を有する略円形状の凹部である。
【0053】
図7(a)に示す覆い部27は、樹脂成形体21よりも厚みの小さい略長方形の平板体であり、光センサ22が照射した光の反射を抑える材質で構成されている。つまり、本実施形態では、覆い部27が低反射材24となっている。覆い部27は、その面部が樹脂成形体21の上面21aの大きさと略同じ大きさで形成され、樹脂成形体21の上面21a上に配された際に樹脂成形体21の2つの開口凹部212,212とそれぞれ上下方向に重なる貫通孔271,271が形成されている。貫通孔271は円形の孔であり、平面視して樹脂成形体21の開口凹部212とほぼ同じ大きさに形成されている。
【0054】
図7(b)(c)に示すように、樹脂成形体21の上面21aに当接して覆い部27が固定されることで、樹脂成形体21の溝部211の開口部211aが覆われた流路213を備える本体部200が構成される。流路213の開口断面積は、開口凹部212に注入された液体が毛細管現象による力の作用によって内部に浸入する大きさに形成されている。覆い部27は樹脂成形体21の上面21a上に接着剤等の使用や溶着等で固定されてよい。また、樹脂成形体21と覆い部27とに互いに嵌合関係にある凸部と凹部とが設けられ、それらが互いに嵌合しあうことで、覆い部27が樹脂成形体21に固定されてもよい。
【0055】
樹脂成形体21の下面21b側には、基板23を介して光センサ取付部である平板状の台座部材26に取り付けられた複数の光センサ22が設けられている。複数の光センサ22は、樹脂成形体21の溝部211の長手方向に沿って、間隔をあけて設けられている。
【0056】
第2実施形態では、流路213、光センサ22、低反射材24が互いに近接した構成となっている。そのため、光センサ22は、ノイズや感度の低下が少なく、流路213内を流れる液体を精度よく検出することが可能となっている。また、本体部200を取り替えることによって液体測定装置20を繰り返し利用することができる。つまり、流路部材である樹脂成形体21を使い捨て可能なディスポーザブルな部材にできる。
【0057】
<第2実施形態の変形例>
次に第2実施形態の2つの変形例である液体測定装置20A,20Bについて、
図8(a)(b)を参照しながらそれぞれ説明する。なお、
図7に示す第2実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
図8(a)の液体測定装置20Aでは、流路部材は、液体が流動可能な凹状の溝部211を備えた樹脂成形体21であるとともに、樹脂成形体21が低反射材24を構成する。樹脂成形体21の一方面側には、溝部211の開口部211aを覆い透光部270を備えた覆い部27が設けられている。覆い部27側には、光センサ22が取り付けられた光センサ取付部が設けられている。以下、詳しく説明する。なお、
図8(a)の液体測定装置20Aでは、樹脂成形体21の一方面を上面21a、他方面を下面21bとして説明する。
【0058】
図8(a)に示す液体測定装置20Aは、樹脂成形体21及び覆い部27を備える本体部200と、基板23を介して複数の光センサ22が設けられた光センサ取付部である蓋部材28と、台座部材26とを備える。樹脂成形体21及び覆い部27は、
図7の液体測定装置20の樹脂成形体21及び覆い部27とそれぞれ略同一の形状に形成されている。そのため、樹脂成形体21は、溝部211の長手方向の両端部に
図7のものと同様に不図示の開口凹部を備えている。
【0059】
覆い部27は、樹脂成形体21の上面21a側に設けられている。覆い部27は、樹脂成形体21の上面21aに当接して配置されており、少なくとも樹脂成形体21の溝部211を覆う長さの板体で形成されている。少なくとも溝部211が覆い部27に覆われていれば、溝部211と覆い部27とが協働して流路213が構成される。覆い部27は、樹脂成形体21の不図示の開口凹部を覆う長さの板体で形成されている場合には、樹脂成形体21の不図示の開口凹部と上下方向に連通する不図示の貫通孔が、
図7のものと同様に形成される。
図8(a)の液体測定装置20Aでは、樹脂成形体21は光センサ22が照射する光の反射を抑える低反射材24で構成されている。また、覆い部27は、光センサ22が照射した光を透過する透明な材料で構成されて、全体が透光部270を構成している。
【0060】
樹脂成形体21の上面21a上に覆い部27が固定されることで、樹脂成形体21の溝部211の開口部211aが覆われた流路213を備える本体部200が構成される。なお、樹脂成形体21と覆い部27との固定方法は特に限定されないが、覆い部27は樹脂成形体21の上面21a上に接着剤等の使用や溶着等で固定されてもよい。また、樹脂成形体21と覆い部27とに互いに嵌合関係にある凸部と凹部とが設けられ、それらが互いに嵌合しあうことで、覆い部27が樹脂成形体21に固定されてもよい。なお、図例では、本体部200は、台座部材26の有する平坦面である上面26a上に載置されているが、液体の特性の測定を行う実験台や机の上等に直接載置されてもよい。
【0061】
光センサ22は、基板23を介して光センサ取付部である蓋部材28に複数取り付けられている。複数の光センサ22は、樹脂成形体21の溝部211の長手方向に沿って互いに間隔をあけて、かつ覆い部27との間に隙間を介した状態で設けられている。蓋部材28は、本体部200における覆い部27側に位置しており、複数の光センサ22が樹脂成形体21の溝部211と上下方向に重なるように配するための部材である。この蓋部材28は、光センサ22と覆い部27との間に隙間が生じるように、不図示の手段によって台座部材26の上側に配されている。
【0062】
次に
図8(b)に示す液体測定装置20Bについて説明する。
図8(b)の液体測定装置20Bでは、流路部材は、液体が流動可能な凹状の溝部211を備えた樹脂成形体21であるとともに、樹脂成形体21が低反射材24を構成する。樹脂成形体21の一方面である下面21b側には、溝部211の開口部211aを覆い透光部270を備えた覆い部27が設けられている。覆い部27側には、光センサ22が取り付けられた光センサ取付部が設けられている。以下、詳しく説明する。
【0063】
図8(b)に示す液体測定装置20Bは、樹脂成形体21及び覆い部27備える本体部200と、基板23を介して複数の光センサ22が取り付けられた光センサ取付部である台座部材26とを備える。
図8(b)に示す液体測定装置20Bは、簡単に説明すると、
図8(a)の本体部200が上下逆さまになった状態で光センサ取付部である台座部材26の上側に配されている。
【0064】
樹脂成形体21は、光センサ22が照射する光の反射を抑える低反射材24で形成されており、下面21bに溝部211が形成されている。また、不図示の開口凹部212,212は、溝部211の長手方向の両側に設けられて、上部が開口した凹部である。
【0065】
覆い部27は、樹脂成形体21の下面21bを覆う部材であり、
図7のものとは異なり貫通孔が形成されていない板状のものである。覆い部27は、全体が光センサ22の照射する光を透過する透明材料で形成されている。覆い部27の上面27a上に樹脂成形体21が配されて固定されることで、樹脂成形体21の溝部211の開口部211aが覆われた流路213を備える本体部200が構成される。なお、樹脂成形体21は、覆い部27の上面27a上に種々の手段で固定される。
【0066】
光センサ22は、基板23を介して光センサ取付部である台座部材26に複数取り付けられる。複数の光センサ22は、樹脂成形体21の溝部211の長手方向に沿って間隔をあけて設けられている。
【0067】
樹脂成形体21及び覆い部27を備える本体部200は、覆い部27が光センサ22や基板23に当接して配され、覆い部27は樹脂成形体21の下方に位置する。低反射材24である樹脂成形体21、流路213、光センサ22が互いに近接した状態となるので、光センサ22は、ノイズや感度の低下が少なく、流路213内を流れる液体を精度よく検出することができる。
【0068】
<第3実施形態>
次に
図8(c)に示す第3実施形態に係る液体測定装置30について説明する。
図8(c)に示す液体測定装置30では、流路部材は、液体が流動可能な貫通孔311を備えた樹脂成形体31であるとともに、樹脂成形体31が透光部310を構成する。また、樹脂成形体31の一方面側には、低反射材34が設けられている。樹脂成形体31の他方面側には、光センサ32が取り付けられた光センサ取付部が設けられている。以下、詳しく説明する。なお、
図8(c)では、樹脂成形体31の一方面を上面31a、他方面を下面31bとして説明する。また、第3施形態の液体測定装置30も第1,2実施形態の液体測定装置10,20と同様に、流路部材を流れる液体を分析する
図2に示す分析装置1に用いられる。
【0069】
樹脂成形体31は、光センサ32が照射する光を透過可能な透明材料で形成された、長尺な平板状の部材である。測定対象の液体が流通する流路である貫通孔311は、樹脂成形体31の長手方向に沿って延びて形成されており、貫通孔311の長手方向の両端部には、上方に開口した不図示の開口凹部に接続されている。
【0070】
覆い部37は、光センサ32が照射する光の反射を抑える低反射材34で形成された平板状の部材であり、樹脂成形体31の上面31aに当接して配置されている。覆い部37は、少なくとも樹脂成形体31の貫通孔311を覆う長さで形成されている。少なくとも覆い部37が貫通孔311を覆う長さで形成されていれば、外乱が抑制されて貫通孔311を流通する液体からの反射光を光センサ32が精度よく検出することができる。覆い部37は、樹脂成形体31の上面31aの全面を覆う大きさで形成されている場合には、樹脂成形体31の不図示の開口凹部と連通する貫通孔が形成される。
【0071】
光センサ32は、基板33を介して光センサ取付部である台座部材36に取り付けられる。光センサ32は、樹脂成形体31の貫通孔311の長手方向に沿って複数配されている。台座部材36は平板状の部材である。樹脂成形体31は、貫通孔311が基板33に配置された複数の光センサ32と上下方向に重なるように配されることで、液体測定装置30が構成される。液体測定装置30では、光センサ32、流路である貫通孔311、低反射材34である覆い部37が互いに近接した状態で配されているので、光センサ32は、ノイズや感度の低下が少なく、貫通孔311を流れる液体を精度良く検出することができる。
【0072】
<第3実施形態の変形例>
次に
図8(d)~(f)を参照しながら、第3実施形態の変形例である液体測定装置30A,30B,30Cについて説明する。なお、
図8(c)の第3実施形態に係る液体測定装置30と同一の構成及び効果の説明は省略する。第3実施形態の変形例である液体測定装置30A,30B,30Cでは、流路部材は、液体が流動可能な貫通孔311を備えた樹脂成形体31であるとともに、樹脂成形体31が透光部310を構成する点で第3実施形態の液体測定装置30と共通する。
【0073】
図8(d)の液体測定装置30Aは、樹脂成形体31の構成は、
図8(c)の第3実施形態と略同様であるが、その他の部材の構成が異なっている。光センサ32は、基板33を介して光センサ取付部である蓋部材38に取り付けられている。蓋部材38は、樹脂成形体31を覆うように、樹脂成形体31の上方に配されている。つまり、光センサ32は、樹脂成形体31の上面31a側に設けられている。また、台座部材36は、上面36aに略面一である長尺状の低反射材34が設けられている。つまり、樹脂成形体31の下面31b側に低反射材34が設けられている。樹脂成形体31は、貫通孔311が低反射材34と上下方向に重なるように配され、光センサ32は、貫通孔311と上下方向に重なるように配される。また、光センサ32は、樹脂成形体31との間に隙間が形成されないように配されているので、光センサ32と貫通孔311とが近接して、ノイズや感度の低下が少なく、精度よく貫通孔311を流れる液体を検出することができる。
【0074】
図8(e)に示す液体測定装置30Bでは、光センサ32、基板33、蓋部材38の構成は、
図8(d)の液体測定装置30Aのものと略同一である。樹脂成形体31の上下方向の寸法及び幅方向の寸法が
図8(c)のものと比べて小さくなっている。また、樹脂成形体31の上面31a、下面31b、側面31c,31cで構成される周面31dと貫通孔311との間の肉厚は略一定となっており、樹脂成形体31の側面31c,31cと貫通孔311とが近接する構成となっている。貫通孔311の長手方向の両端部には、樹脂成形体31の上面31aが開口した不図示の開口凹部が設けられている。
【0075】
そして、樹脂成形体31の側面31c,31cの幅方向の外側には、台座部材36の上面36aから上方に突出して形成されて樹脂成形体31の長手方向に沿って延びた一対の突条部361,361が配されている。一対の突条部361,361の幅方向の内側の側壁面361a,361aには、光センサ32が照射した光を反射する反射材39,39が設けられている。反射材39は、上下方向の寸法が貫通孔311の上下寸法よりも大きく形成されており、貫通孔311の全体と幅方向に重なるように配されている。そして、台座部材36の上面36aにおける突条部361,361間には長尺状の低反射材34が、樹脂成形体31の貫通孔311の長手方向に沿って配されている。
【0076】
貫通孔311が低反射材34と上下方向に重なり、かつ一対の突条部361,361間に位置するように樹脂成形体31が台座部材36上に配される。そして、光センサ取付部材である蓋部材38に取り付けられた光センサ32が樹脂成形体31の貫通孔311と上下方向に重なるように配される。これにより、液体測定装置30Bが構成される。反射材39,39が液体の流路である貫通孔311と近接することで、ノイズや感度の低下が少なく、精度よく貫通孔311を流れる液体を検出することができる。
【0077】
次に、
図8(f)に示す液体測定装置30Cについて説明する。
図8(f)の液体測定装置30Cは、樹脂成形体31、光センサ32、基板33、光センサ取付部である台座部材36、低反射材34を備える覆い部37、一対の反射材39,39を備えている。液体測定装置30Cでは、基板33を介して複数の光センサ32が光センサ取付部である台座部材36に取り付けられている構成は、
図8(c)の液体測定装置30のものと略同一である。また液体測定装置30Cでは、樹脂成形体31の形状は、
図8(e)のものと略同一である。
【0078】
樹脂成形体31は、その上面31aに、貫通孔311の長手方向に沿った長尺状の低反射材34で形成された覆い部37が設けられている。覆い部37は、光センサ32が照射する光の反射を抑える低反射材34で形成された平板状の部材であり、樹脂成形体31の上面31aに当接して配置されている。覆い部37は、少なくとも樹脂成形体31の貫通孔311を覆う長さで形成されている。覆い部37は、樹脂成形体31の上面31aの全面を覆う大きさで形成されている場合には、樹脂成形体31の不図示の開口凹部と連通する貫通孔が形成される。覆い部37は、その幅方向の寸法が貫通孔311の幅方向の寸法よりも大きく形成されている。
【0079】
そして、樹脂成形体31は、その側面31c,31cに、光センサ32が照射した光を反射する長尺状の反射材39,39が、貫通孔311の長手方向に沿って取り付けられている。反射材39,39は、上下方向の寸法が樹脂成形体31の上下方向の寸法と略同じ大きさで形成されている。
【0080】
液体測定装置30Cは、覆い部37及び反射材39,39を備える樹脂成形体31の貫通孔311と光センサ32とが上下方向に重なるように基板33上に配されることで、ノイズや感度の低下が少なく、精度よく貫通孔311を流れる液体を検出することができる。
【0081】
液体測定装置10,10A~10E,20,20A,20B,30,30A~30Cは、前述した構成に限定されることはない。また、各部材の材質や形状も前述したものや図示したものに限定されることはない。例えば、各実施形態の低反射材は、フィルム材やシート材や塗料であってもよい。また、各実施形態の流路部材は、流路部材全体が光透過性を有する透明材料から形成されているが、これに限定されることはなく、少なくとも液体が流通する流路が設けられている部分に光センサの波長に対し光透過性を有する透光部が設けられていればよい。
【0082】
また、
図1,
図5に示す液体測定装置10,10Aでは、覆い部17全体が低反射材14で形成されてもよい。また、
図1の液体測定装置10の把持部155,155は、互いに近づく方向(支持部材15の幅方向内側)に撓ませることが可能な構造とし、自然状態では、把持部155,155の長手方向の他方側の端部が、互いに離れる方向に若干傾斜した形状であってもよい。そのようにすれば、支持部材15を台座部材16の凹部161内に収容した後、互いに離れる方向に若干傾斜した把持部155,155が凹部161の側壁面161d、161dを押圧し、支持部材15が台座部材16から脱落しにくくなる。
【0083】
また、
図1等の覆い部17は、支持部材15の開口凹部151を覆う形状で形成されてもよい。その場合には、液体を測定する際には、チューブ18の下流口を塞いでから開口凹部151に液体を注入し、覆い部17を配置する。そして、測定開始時にチューブ18の下流口を開放することで液体が中空管11に流れ込み、液体の流動速度等を測定できる。
【0084】
また、
図6(a)の液体測定装置10Bでは、
図1の液体測定装置10と同様に、台座部材16に光センサ12が取り付けられ、覆い部17に低反射材14が設けられてもよい。また、
図6(b)の液体測定装置10Cも、台座部材16に光センサ12が設けられ、覆い部17に低反射材14が設けられてもよい。
図6(c)(d)、
図7、
図8(a)~(d)の実施形態では、光センサにおける低反射材に対向する面の略垂直方向に沿って発光部が照射した光を反射する反射面が設けられた反射材が設けられてもよい。また、
図7、
図8(a)~(f)の実施形態では、流路部材を光センサに対して位置決めする位置決め手段を備えてもよい。
【0085】
また、
図7の液体測定装置20では、2つの開口凹部212,212の底部は溝部211の底部と略面一に構成されているが、いずれか一方の開口凹部212の底部が溝部211の底部から段落ちして形成されてもよい。そのようにすれば、他方の開口凹部212から注入されて溝部211を流れた液体が、段落ち形成された開口凹部212に流下して開口凹部212内に貯留され、溝部211を逆流することが抑制される。また、溝部211は樹脂成形体21の略中央部位に設けられているが、溝部211の長手方向の他方側の端部が、樹脂成形体21の長手方向の他方側の端面まで貫通して形成されてもよい。そのようにすれば、開口凹部212から注入されて溝部211を流れた液体は、樹脂成形体21の長手方向の他方側の端面から流れ出て、樹脂成形体21の外部に排出される。
図8(a)~(f)においても、同様に構成されてもよい。
【0086】
また、
図7,8の実施形態では、流路の断面形状が方形状に図示されているが、円状に形成されてもよい。その場合、溝部211を備える第2実施形態では、覆い部27の厚みを大きくして下面に縦断面が円弧状の溝部を形成し、この覆い部27の溝部と樹脂成形体21の断面形状が円弧状の溝部211とが協働して、断面形状が略真円状の流路213が形成されればよい。
【0087】
また、
図7や
図8の各実施形態に示す台座部材に、流路部材である樹脂成形体を位置決めするために上方に向けて突出した突起や突状部が設けられてもよい。これにより、光センサに対して流路部材を精度よく位置決めすることができる。
【符号の説明】
【0088】
10,10A~10E 液体測定装置
11 中空管(流路部材)
110 透光部
12 光センサ
121 発光部
122 受光部
14 低反射材
20,20A,20B 液体測定装置
21 樹脂成形体(流路部材)
210 透光部
211 溝部
21a 上面
21b 下面
22 光センサ
24 低反射材
30,30A~30C 液体測定装置
31 樹脂成形体(流路部材)
310 透光部
311 貫通孔
32 光センサ
34 低反射材