(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010969
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】荷役車両、運転支援方法及び運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B66F9/24 L
B66F9/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112601
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183222
【氏名又は名称】住友ナコ フォ-クリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】河村 昂希
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄士
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333FA11
3F333FA23
3F333FA34
3F333FD14
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】好適に荷崩れを抑制する。
【解決手段】荷役機100は、走行可能な車体102と、車体102に傾動可能に設けられ、荷Lを保持可能なフォーク104と、車体102よりも前側の路面G2の、車体102の前後方向における高さ変化を検出する2つの距離センサ108と、を備えている。これにより、路面G2を走行して車体102が傾斜する前に予めフォーク104を傾動させることができる。したがって、好適に荷崩れを抑制することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車体と、
前記車体に傾動可能に設けられ、荷を保持可能なフォークと、
前記車体よりも前側の路面の、前記車体の前後方向における高さ変化を検出する検出手段と、
を備える荷役車両。
【請求項2】
前記検出手段は、前記車体よりも前側の位置であって前記前後方向に異なる2つの位置に配置された2つの距離センサを含む、
請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
前記2つの距離センサの各々は一次元センサである、
請求項2に記載の荷役車両。
【請求項4】
前記検出手段が検出した前記路面の高さ変化に基づいて、前記フォークを後傾させる制御手段を備える、
請求項1に記載の荷役車両。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記検出手段が検出した前記路面の高さ変化に基づいて、前記路面の傾斜角を推定し、
推定した前記傾斜角が下り勾配である場合、当該傾斜角よりも大きい傾き角に前記フォークを後傾させる、
請求項4に記載の荷役車両。
【請求項6】
前記制御手段は、
推定した前記傾斜角が下り勾配であって、かつ前記フォークの最大後傾角以上である場合、前記車体の走行を停止させ、
推定した前記傾斜角が下り勾配であって、かつ前記フォークの最大後傾角よりも小さい場合、前記傾斜角よりも大きい傾き角に前記フォークを後傾させる、
請求項5に記載の荷役車両。
【請求項7】
走行可能な車体と、前記車体に傾動可能に設けられ、荷を保持可能なフォークと、を備える荷役車両の運転支援方法であって、
前記車体よりも前側の路面の、前記車体の前後方向における高さ変化を検出し、
前記路面の高さ変化に基づいて、前記フォークを後傾させる、
運転支援方法。
【請求項8】
走行可能な車体と、前記車体に傾動可能に設けられ、荷を保持可能なフォークと、前記車体よりも前側の路面の、前記車体の前後方向における高さ変化を検出する検出手段と、を備える荷役車両の運転支援プログラムであって、
コンピュータを、
前記検出手段が検出した前記路面の高さ変化に基づいて、前記フォークを後傾させる制御手段、
として機能させる運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両、運転支援方法及び運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフト等の荷役車両による作業では、荷の運搬中における路面状態の確認は専ら運転者(オペレータ)が目視により行っていた。
この点、特許文献1に記載の技術では、フォークリフトのうち荷を支持する機台の傾き量を検出し、当該傾き量に応じてフォークを左右に傾けて水平を維持することで、路面状態の影響による荷崩れを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、荷の傾きが生じてからそれを補正しているため、まず荷の傾きを発生させてしまっている点において、荷崩れを好適に回避できているとは言い難い。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、好適に荷崩れを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る荷役車両は、
走行可能な車体と、
前記車体に傾動可能に設けられ、荷を保持可能なフォークと、
前記車体よりも前側の路面の、前記車体の前後方向における高さ変化を検出する検出手段と、
を備える。
【0006】
本発明に係る運転支援方法は、
走行可能な車体と、前記車体に傾動可能に設けられ、荷を保持可能なフォークと、を備える荷役車両の運転支援方法であって、
前記車体よりも前側の路面の、前記車体の前後方向における高さ変化を検出し、
前記路面の高さ変化に基づいて、前記フォークを後傾させる。
【0007】
本発明に係る運転支援プログラムは、
走行可能な車体と、前記車体に傾動可能に設けられ、荷を保持可能なフォークと、前記車体よりも前側の路面の、前記車体の前後方向における高さ変化を検出する検出手段と、を備える荷役車両の運転支援プログラムであって、
コンピュータを、
前記検出手段が検出した前記路面の高さ変化に基づいて、前記フォークを後傾させる制御手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、好適に荷崩れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係る荷役機の概略の制御構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る運転支援処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る運転支援処理を説明するための図である。
【
図5】実施形態に係る運転支援処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[フォークリフトの構成]
図1は、本発明の実施形態に係る荷役機を示す側面図である。
この図に示すように、本実施形態の荷役機(荷役車両)100は、フォーク104に荷を積んで荷役作業(荷の運搬及び荷の積み下ろし等)を行うフォークリフトである。荷役機100は、車輪101及び運転席103が含まれる車体102と、車体102の前方に延びる左右一対の爪を有するフォーク104と、フォーク104の背後に位置するバックレスト105と、フォーク104を駆動するフォーク駆動機構110とを備える。運転席103には、車体102の走行運転操作を行う走行操作部106aと、フォーク104の運転操作を行うフォーク操作部106bとが設けられている。
なお、以下の説明において、前後左右上下の各方向は、荷役機100から見た方向であって、各図に示した方向をいうものとする。
【0012】
フォーク駆動機構110は、フォーク104及びバックレスト105の昇降、並びに、前後の傾き角(チルト角)の変更が可能な機構である。加えて、フォーク駆動機構110は、フォーク104及びバックレスト105の左右のスライドや前後の進退が可能な機構を含んでもよい。
【0013】
フォーク駆動機構110は、車体102に対して前後の傾き角が可変に取り付けられたベースマスト111と、ベースマスト111の前後の傾き角を変更する傾斜シリンダ116と、ベースマスト111に対して昇降可能に取り付けられた昇降マスト112と、昇降マスト112を昇降させる昇降シリンダ117とを備える。
【0014】
フォーク104及びバックレスト105は昇降枠115に連結され、昇降枠115は昇降可能に昇降マスト112にガイドされている。
傾斜シリンダ116及び昇降シリンダ117は、液圧(例えば油圧)によって駆動されるピストンシリンダである。
【0015】
傾斜シリンダ116が動作すると、ベースマスト111が傾動(前傾及び後傾)する。これに伴って、フォーク104がバックレスト105とともに傾動(前傾及び後傾)する。
昇降シリンダ117が動作して昇降マスト112が上昇又は下降すると、これに伴って、フォーク104及びバックレスト105が昇降枠115とともに上昇又は下降する。
【0016】
図2は、荷役機100の概略の制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、荷役機100は、更に、液圧回路124と、エンジン126と、表示部107と、2つの距離センサ108と、加速度センサ109と、制御部122とを備える。
【0017】
液圧回路124は、傾斜シリンダ116及び昇降シリンダ117へ作動液を出し入れするためのものである。液圧回路124は、複数の制御弁を有し、各制御弁が開閉制御されることで、傾斜シリンダ116及び昇降シリンダ117への作動液の出し入れと、作動液の圧力制御を個別に行うことができる。液圧回路124の制御弁は、フォーク操作部106bからの操作信号に基づく制御部122からの制御信号によって開閉制御される。
【0018】
エンジン126は、例えば液圧ポンプを駆動して液圧回路124の作動液を加圧したりするためのものである。エンジン126は、内燃機関であるが、電気的に駆動されるモータ等に代替されてもよい。
【0019】
表示部107は、画像出力が可能な表示器であり、制御部122から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。表示部107は、その他、ランプであってもよいし、音声出力が可能なスピーカを含んでもよい。
【0020】
2つの距離センサ108は、フォーク104の裏面(又は側面)に下方向きに設置され、路面(地面)までの距離情報を取得して、その結果を制御部122に出力する。2つの距離センサ108は、フォーク104の前側先端部に配置された前側距離センサ108Fと、フォーク104の後側基端部に配置された後側距離センサ108Bを含む(
図1参照)。本実施形態の各距離センサ108は一次元のレーザーセンサであり、計測ビームを下方に投射している。これら2つの距離センサ108は、本発明に係る検出手段の一例に相当する。
なお、2つの距離センサ108の配置は、前後方向に互いに異なる位置であれば上記の位置に限定されない。ただし、左右方向の位置が同じで、互いの距離ができるだけ離れていた方がよい。また、下側が閉じたポケット(孔部)を有するパレットをフォーク104で支持する場合、2つの距離センサ108の下側がポケット下側壁で覆われてしまい、路面までの距離を計測できないおそれがある。そのため、このような場合でも2つの距離センサ108がパレットよりも前後に露出するように(計測ビームがポケット下側壁で遮られにくいように)、2つの距離センサ108はフォーク104の前後の端部に配置されるのが好ましい。
また、2つの距離センサ108が本発明に係る検出手段の一例であるとしたが、本発明に係る検出手段は、車体よりも前側の路面の、車体の前後方向における高さ変化(傾斜、段差、凹凸等)を検出するものであれば、特に限定されない。例えば、当該検出手段として路面の画像を取得するカメラを用い、画像処理により路面の高さ変化を検出してもよい。あるいは、前後方向に沿ったスキャン領域を有する二次元センサ(例えば二次元ライダー)を用いてもよい。
【0021】
加速度センサ109は、本実施形態では、荷役機100の加速度を検出するほか、鉛直方向(重力方向)の検出を行う。加速度センサ109は、検出した情報を制御部122に出力する。
【0022】
制御部122は、コンピュータであり、荷役機100各部の動作を制御する。具体的に、制御部122は、走行操作部106a及びフォーク操作部106bからの操作信号に基づいて操舵機構やエンジン126、液圧回路124の動作制御を行ったり、記憶部(記憶媒体)に格納された運転支援プログラム122aに従って後述の運転支援処理を実行したりする。
【0023】
[運転支援処理]
続いて、荷役作業中の荷役機100が運転支援処理を実行するときの動作について説明する。
図3は、運転支援処理の流れを示すフローチャートであり、
図4及び
図5は、運転支援処理を説明するための図である。
【0024】
運転支援処理は、荷役機100による荷の運搬中に、車両前方への荷崩れ(フォーク104上からの荷の転落を含む)を抑制するためにフォーク104のチルト角(前後の傾き角)を調整する処理である。なお、車両後方への荷の移動・転落はバックレスト105や昇降マスト112等によって抑えられるため、本実施形態では車両後方への荷崩れは想定しない。
【0025】
本実施形態では、運転支援処理は、フォーク104に荷を載せて走行する運搬時のみに実行され、フォーク104に何も載せないで走行する空走時や、フォーク104に荷を載せたり下ろしたりする荷取り、荷積み、荷下ろし等の荷役時には実行されない。この場合、フォーク104に荷を載せているか否かの判定は、昇降シリンダ117の負荷に基づいて行えばよい。ただし、この判定手法は特に限定されず、例えば、フォーク104上を撮影するカメラで取得した画像情報に基づいて判定してもよいし、オペレータの入力操作に基づいて判定してもよい。あるいは、荷役機100の走行速度が所定値以上のときは空走、所定値未満のときは運搬と判定してもよい。
【0026】
図3に示すように、運転支援処理が実行されると、まず制御部122は、荷Lをフォーク104でピックアップし、その運搬(荷役機100の走行)を開始する(ステップS1)。
運搬対象の荷Lは、特に限定はされないが、例えば木材や鋼材のようなフォーク104に直接載せるものとする(
図5、6では箱状の荷Lを例示)。パレットを使用する場合は、距離センサ108の計測ビームを遮らないように裏面(下面)が開口しているものが好ましい。
なお、この時点ではフォーク104が略水平に保持され、距離センサ108の計測ビームが略鉛直下方に出射される状態であるものとする。また、この時点で車体102が走行している路面(地面)G1は略水平であるものとする。
【0027】
次に、制御部122は、前後2つの距離センサ108の各々により、フォーク104と路面(車体102よりも前側の路面G2)との距離を計測する(ステップS2;
図4(a))。
具体的に、制御部122は、前側距離センサ108Fにより、当該前側距離センサ108Fからその下方の路面G2部分までの第1距離h1を取得する。同様に、制御部122は、後側距離センサ108Bにより、当該後側距離センサ108Bからその下方の路面G2部分までの第2距離h2を取得する。
【0028】
次に、制御部122は、ステップS2で取得した距離情報に基づいて、車体102よりも前側の路面G2の傾斜角α1を推定する(ステップS3)。
具体的に、制御部122は、第1距離h1と第2距離h2の差分(h1-h2)と、2つの距離センサ108間の前後方向の距離Dとに基づいて、路面G2の傾斜角α1を算出する。なお、このときにフォーク104が水平でなく後傾している(距離センサ108の計測ビームが斜め下方に出射する)場合には、算出した傾斜角α1からこの時点でのフォーク104のチルト角を差し引けばよい。
傾斜角α1は、水平面に対する角度である。この角度は、例えば、加速度センサ109により水平面(鉛直方向)を検出しても求めてもよいし、水平な路面(例えばオペレータの指定による)からの相対傾斜角を順次積算して求めてもよい。
【0029】
次に、制御部122は、ステップS3で算出した路面G2の傾斜角α1が、下り勾配(の角度)であるか否かを判定する(ステップS4)。
そして、傾斜角α1が下り勾配でない(すなわち水平又は上り勾配である)と判定した場合(ステップS4;No)、制御部122は、フォーク104が水平でなく後傾した状態であれば、路面G2への進入後にフォーク104を水平にし(ステップS5)、後述のステップS9へ処理を移行する。
【0030】
また、ステップS4において、路面G2の傾斜角α1が下り勾配であると判定した場合(ステップS4;Yes)、制御部122は、傾斜角α1がフォーク104の可動域内か否かを判定する(ステップS6)。つまり、制御部122は、傾斜角α1が、傾斜シリンダ116によるフォーク104の最大後傾角(後傾可能な最大角度)よりも小さいか否かを判定する。
そして、傾斜角α1がフォーク104の可動域内でない(最大後傾角以上である)と判定した場合(ステップS6;No)、制御部122は、荷役機100の走行を停止させ(ステップS7)、処理を終了させる。またこの場合、走行の停止と併せて、異常の発生を報知する処理を行ってもよい。このときの報知態様は特に限定されず、例えば表示部107に警告表示を表示させたり警告音声を出力させたりしてもよいし、管理サーバ等に報知信号を送信したりしてもよい。
【0031】
一方、ステップS6において、傾斜角α1がフォーク104の可動域内であると判定した場合(ステップS6;Yes)、制御部122は、傾斜シリンダ116を制御し、ステップS3で推定した路面G2の傾斜角α1よりも大きいチルト角β1にフォーク104を後傾させる(ステップS8;
図4(b))。
ここで「チルト角」とは、水平状態の車体102に対するフォーク104の傾き角であり、換言すれば、車輪101が接地している路面に対するフォーク104の相対的な傾き角である。
【0032】
そのため、
図5(a)に示すように、下り勾配の路面G2に荷役機100が進入した場合でも、フォーク104は水平よりも後傾した状態になる。これにより、フォーク104上の荷Lの前方への転落や荷崩れ等を抑制することができる。
【0033】
次に、制御部122は、運転支援処理を終了させるか否かを判定し(ステップS9)、終了させないと判定した場合には(ステップS9;No)、上述のステップS2へ処理を移行し、荷Lの運搬を続ける。その後、例えば略水平な路面の荷役場所に到着すると、
図5(b)に示すように、ステップS5によりフォーク104が略水平に復帰する。
そして、例えば荷Lの運搬の終了等により、運転支援処理を終了させると判定した場合には(ステップS9;Yes)、制御部122は、運転支援処理を終了させる。
【0034】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、2つの距離センサ108によって、車体102よりも前側の路面の、車体102の前後方向における高さ変化が検出される。
これにより、当該路面が傾斜している場合であっても、当該路面を走行して車体102が傾斜する前に予めフォーク104を傾動させることができる。したがって、好適に荷崩れを抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、車体102よりも前側の位置であって前後方向に異なる2つの位置に配置された2つの距離センサ108によって上記高さ変化が検出される。したがって、簡便な構成によって荷崩れを抑制することができる。
さらに、各距離センサ108が一次元センサであるので、低コストであるとともに処理を軽くできる。
【0036】
また、本実施形態によれば、2つの距離センサ108が検出した路面の高さ変化に基づいて当該路面の傾斜角α1が推定され、当該傾斜角α1が下り勾配である場合にそれよりも大きいチルト角β1にフォーク104が後傾される。
これにより、より確実に車両前方への荷崩れを抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、推定した傾斜角α1が下り勾配であって、かつフォーク104の最大後傾角以上である場合、車体102(荷役機100)の走行が停止される。
これにより、フォーク104の傾動によっては抑制が困難な荷崩れを未然に防ぐことができる。
【0038】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、荷崩れを抑制する運転支援処理を荷Lの運搬時に実行することとした。しかし、フォーク104上に荷Lが載置されている状況であれば、荷積みや荷下ろし等を行う荷役時その他の作業時に運転支援処理を行ってもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、フォーク104の前後の傾動による前後方向での荷崩れ抑制を行うこととしたが、これに代えて(又はこれと併せて)、フォーク104の左右の傾動による左右方向での荷崩れ抑制を行ってもよい。
この場合、荷役機100は、フォーク104が左右に傾動(ロール回転)可能(その制御含む)であるとともに、車体よりも前側の路面の、車体の左右方向における高さ変化を検出する検出手段を備える必要がある。この検出手段は、例えば2つの距離センサを左右のフォーク104それぞれの裏面又は側面に同じ前後方向位置で配置するなどすればよい。
【0040】
また、上記実施形態では、オペレータが荷役機100に搭乗してこれを運転することとした。しかし、本発明に係る荷役車両は、遠隔操作による有人運転が可能なものや、有人運転と無人運転を切り替え可能なもの、無人運転が可能なものを含む。無人運転が可能な荷役車両の場合、運転支援処理を含む荷役車両の動作制御は、当該荷役車両と通信可能な上位の管理システム(管理サーバ)が行うこととしてもよい。
また、本発明に係る荷役車両は、フォーク(又はそれに準ずるもの)で荷を保持して走行するものであればフォークリフトに限定されない。
【0041】
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
100 荷役機(荷役車両)
101 車輪
102 車体
104 フォーク
108 距離センサ
108B 後側距離センサ
108F 前側距離センサ
109 加速度センサ
110 フォーク駆動機構
116 傾斜シリンダ
122 制御部
122a 運転支援プログラム
D 距離
G2 路面(車体よりも前側の路面)
h1 第1距離
h2 第2距離
L 荷
α1 路面の傾斜角
β1 チルト角(傾き角)