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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109696
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】建設装置の位置決め方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 7/00 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
E02F7/00 L
E02F7/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079484
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2022530081の分割
【原出願日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2020101607
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】水谷 慎吾
(57)【要約】
【課題】使い勝手を向上する。
【解決手段】建設装置の位置決め方法は、第1装置と、前記第1装置と分離した第2装置と、を位置決めする際に、前記第1装置に対して接近するように前記第2装置を移動させるステップと、前記第1装置に設けられた第1マークと、前記第2装置に設けられた第2マークとを撮像するステップと、前記撮像するステップの撮像結果に基づいて、前記第1装置と前記第2装置との位置決めを行うステップと、を含んでいる。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1装置と、前記第1装置と分離した第2装置と、を位置決めする際に、前記第1装置に対して接近するように前記第2装置を移動させるステップと、
前記第1装置に設けられた第1マークと、前記第2装置に設けられた第2マークとを撮像するステップと、
前記撮像するステップの撮像結果に基づいて、前記第1装置と前記第2装置との位置決めを行うステップと、を含む建設装置の位置決め方法。
【請求項2】
前記第1マークと前記第2マークとは第1方向に沿って延びており、
前記撮像するステップは、前記第1方向とは異なる第2方向から行われる請求項1に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項3】
前記第1マークと前記第2マークとは第1方向および該第1方向とは異なる第2方向に沿って延びており、
前記撮像するステップは、前記第1方向と前記第2方向とは異なる第3方向から行われる請求項1又は2に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項4】
前記第1マークの一部が前記第2装置により遮られた際に、前記第2装置の移動速度を減速するステップを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項5】
前記第1マークと前記第2マークとの回転方向のずれが許容範囲の場合に、前記第2装置の移動を停止するステップを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項6】
前記撮像するステップは、飛行体に設けられた撮像部により行われる請求項1から5のいずれか一項に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項7】
前記撮像するステップは、複数の飛行体のそれぞれに設けられた撮像部により行われる請求項1から5のいずれか一項に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項8】
前記撮像するステップは、前記複数の飛行体が異なる高さにて前記撮像を行う請求項7に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項9】
前記撮像結果に基づく情報に基づき、前記第2装置の移動速度を減速するステップを含む請求項1から8のいずれか一項に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項10】
前記第2装置の移動速度を減速するステップは、複数回行われる請求項9に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項11】
前記撮像結果に基づく情報に基づき、前記第2装置の移動を停止するステップを含む請求項1から10のいずれか一項に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項12】
前記第1マークと前記第2マークとは大きさが異なっている請求項1から11のいずれか一項に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項13】
前記撮像結果に基づく情報を前記第2装置に送信するステップを含む請求項1から12のいずれか一項に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項14】
前記第1装置は第1物体を搬送する第1搬送コンベアを備え、
前記第2装置は前記第1物体とは異なる第2物体を搬送する第2搬送コンベアを備え、
前記第2搬送コンベアは、前記第1搬送コンベアの上方かつ非接触の状態で前記第2物体を前記第1装置へ供給する請求項1から13のいずれか一項に記載の建設装置の位置決め方法。
【請求項15】
前記第2物体は、前記第2搬送コンベアからシュートを介して前記第1搬送コンベアへ供給され、
前記第1マークは前記第1搬送コンベアに設けられ、前記第2マークは前記シュートに設けられている請求項14に記載の建設装置の位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設装置の位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設発生土などを改良して有効利用するために、改良の対象となる母材に、この母材とは性状が異なる他の母材や、添加材を混合することが行われている。例えば、特許文献1には、二種混合対応ホッパーに開閉式ゲートを設置することで二分割されたホッパーを備えた土質改良機が開示されている。特許文献1によれば、開閉式ゲートの開閉寸法を調整することで、現場発生土(第1母材)と再生砕石(第2母材)を任意の比率で供給できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-74321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の土質改良機は使い勝手の面で改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、使い勝手の良い建設装置の位置決め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された建設装置の位置決め方法は、第1装置と、前記第1装置と分離した第2装置と、を位置決めする際に、前記第1装置に対して接近するように前記第2装置を移動させるステップと、前記第1装置に設けられた第1マークと、前記第2装置に設けられた第2マークとを撮像するステップと、前記撮像するステップの撮像結果に基づいて、前記第1装置と前記第2装置との位置決めを行うステップと、を含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使い勝手の良い建設装置の位置決め方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態の混合装置の斜視図である。
図2図2は実施形態の混合装置の図1とは異なる方向から観た斜視図である。
図3図3は実施形態の混合装置に含まれる第1装置の斜視図である。
図4図4は実施形態の混合装置に含まれる第1装置の図3とは異なる方向から観た斜視図である。
図5図5は実施形態の混合装置に含まれる第1装置から発電機を降ろした状態を示す斜視図である。
図6図6は実施形態の混合装置に含まれる第1装置の側面図である。
図7図7は実施形態の混合装置に含まれる第1装置が備える第1計量部を模式的に示す説明図である。
図8図8は実施形態の混合装置に含まれる第1装置の平面図である。
図9図9は実施形態の混合装置に含まれる第1装置が備える第1搬送コンベアと混合部との接続位置を拡大して示す説明図である。
図10図10は実施形態の混合装置に含まれる第2母材供給装置の斜視図である。
図11図11は実施形態の混合装置に含まれる第2母材供給装置の図10とは異なる方向から観た斜視図である。
図12図12は実施形態の混合装置の制御系統を示すブロック図である。
図13図13は実施形態における混合装置の制御の一例を示すフローチャートである。
図14図14(a)から図14(c)は実施形態の混合装置の制御に含まれるサブルーチンを示すフローチャートであり、図14(a)は第1母材供給制御の一例を示すフローチャート、図14(b)は第2母材供給制御の一例を示すフローチャート、図14(c)は添加材供給制御の一例を示すフローチャートである。
図15図15(a)、図15(b)は、変形例1について説明するための図(その1)である。
図16図16(a)、図16(b)は、変形例1について説明するための図(その2)である。
図17図17(a)は、変形例2に係る第1装置及び第2母材供給装置を+Z方向から見た状態を示す図であり、図17(b)は、変形例2に係る第1装置及び第2母材供給装置を+X方向から見た状態を示す図である。
図18図18は、変形例2に係る第1装置及び第2母材供給装置を-Y方向から見た状態を示す図である。
図19図19は、変形例2に係る第2母材供給装置200を第2位置に位置決めする際の制御部の処理を示すフローチャートである。
図20図20(a)、図20(b)は、図19の処理を説明するための図(その1)である。
図21図21(a)、図21(b)は、図19の処理を説明するための図(その2)である。
図22図22(a)、図22(b)は、図19の処理を説明するための図(その3)である。
図23図23は、第3、第4目印の配置に関する変形例を示す図である。
図24図24は、第3、第4目印の間の角度のずれについて説明するための図である。
図25図25(a)、図25(b)は、変形例3について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、実施形態について説明する。
【0010】
(実施形態)
まず、図1及び図2を参照して、実施形態の混合装置1000の概略構成について説明する。図1及び図2は、いずれも混合装置1000の斜視図であるが、図1図2とでは、混合装置1000を観る方向が異なっている。なお、以下の説明では、便宜上、鉛直方向をZ方向、水平面内において直交する二軸方向をX方向及びY方向とする。ここで、X方向は、後に詳説する第1搬送コンベア110が延びる方向である第1方向と一致しており、Y方向は、水平面内で第1方向と直交する第2方向と一致する。また、以下の説明では、構成要素のX方向における位置関係を説明するために、-Xや+Xの表記を用い、同様に構成要素のY方向における位置関係を説明するために-Yや+Yの表記を用いるものとする。
【0011】
混合装置1000は、第1母材と第2母材を混合する。また、必要に応じて、この二材に添加材を添加する。混合装置1000は、例えば、築堤工事が行われる現場に設置され、その現場で掘削された建設発生土を第1母材とし、この第1母材を改良するために第2母材と添加材を混合する。第2母材は、所望の改良土を得るために、第1母材の性状に合わせて、適宜準備される。現場において、所望の性状を有する第2母材を採取できる場合には、現場で採取された第2母材を用いてもよい。添加材は、例えば、生石灰、消石灰などの石灰系固化材や、普通セメント、高炉セメントなどのセメント系固化材、あるいは高分子材料からなる土質改良材、天然繊維、樹脂からなる化学繊維などから適宜選定され、供給される。添加材が供給され、第1母材及び第2母材と混合されることで、改良土の性状や強度などが調整される。
【0012】
混合装置1000は、第1装置100と、この第1装置100と組わせて使用される第2母材供給装置200を含む。第1装置100には、X方向に沿って、-X側から+X側に向かって順に第1母材供給部120、第1搬送コンベア110、混合部130及び排出コンベア160が配置されている。第1母材は、第1母材供給部120が備える第1母材ホッパー120a内に投入される。そして、第1母材は、第1母材ホッパー120aの下側に設けられた供給コンベア120bによって、第1位置P1において第1搬送コンベア110に対して供給される。なお、第1搬送コンベア110には、第1母材の重量を計測する第1計量部150(図1図2では不図示、図4図6参照)が設けられている。これについては、後に説明する。
【0013】
第2母材供給装置200は、第2搬送コンベア210と第2母材供給部220を備えており、第2搬送コンベア210が延びる方向をY方向に一致させて第1装置100と接続される。第2搬送コンベア210は、第1装置100における第1位置P1よりも+X側となる第2位置P2において第1搬送コンベア110と接続される。すなわち、第2位置P2が、第2母材の供給位置となる。なお、第2搬送コンベア210には、第2母材の重量を計測する第2計量部250が設けられている。これについては、後に説明する。
【0014】
第1装置100は、第1位置P1と第2位置P2との間に添加材供給部140を備えている。添加材供給部140からは、第1搬送コンベア110上に添加材が供給される。これにより、第1搬送コンベア110上には、第1母材、第2母材及び添加材が供給される。第1搬送コンベア110は、供給された第1母材、第2母材及び添加材を混合部130へ搬送する。
【0015】
つぎに、図3から図7を参照して、第1装置100について、詳細に説明する。図3及び図4は、いずれも第1装置100の斜視図であるが、図3図4とでは、第1装置100を観る方向が異なっている。また、図5は、第1装置100から発電機170を降ろした状態を示している。図6は、第1装置100の側面図である。図7は第1装置100が備える第1計量部150を模式的に示す説明図である。
【0016】
第1装置100は、上述のように第1搬送コンベア110、第1母材供給部120、混合部130、添加材供給部140及び排出コンベア160を備えている。これらは、第1支持部材101に搭載され、支持されている。本実施形態における第1支持部材101は、板状の部材であるが、これらの要素を支持できるものであれば、例えば、フレーム状の部材であってもよい。また、本実施形態の第1支持部材101には、発電機170が搭載されている。このように、第1装置100は、主要な装備が第1支持部材101に支持されているため搬送性に優れており、現場への移動、また、現場における移動がし易い。本実施形態では、第1支持部材101に第1移動装置102が装着されている。これにより、作業者のリモコン操作等に応じて第1装置100を建設現場や工事現場等内を走行させることができる。本実施形態における第1移動装置102は、無限軌道であるが、車輪等を用いた移動装置としてもよい。第1移動装置102を備えることで、現場において、少しずつ移動しながらの土質改良作業がし易くなる。
【0017】
第1搬送コンベア110は、X方向に沿って延び、-X側から+X側に向かって、第1母材、第2母材及び添加材を搬送し、混合部130へ投入する。第1搬送コンベア110は、第1母材が供給される第1位置P1と添加材供給部140との間に第1計量部150を備えている。第1計量部150は、第1母材の重量を計測する。第1計量部150は、第1搬送コンベア110に組み込まれることで、第1母材が搬送される間にその重量を計測することができる。第1計量部150による計測値は、第1母材と、第2母材及び添加材との混合比率の調整に用いられる。ここで、図7を参照すると、第1計量部150は、支持フレーム150aに支持され、第1搬送コンベア110が備える搬送ベルト110aの下側に設けられた支持ローラ150bを備える。支持フレーム150aは、荷重を受けるレバーとなっており、ロードセル150cと接続されている。第1計量部150は、第1搬送コンベア110の速度と、ロードセル150cの測定値とに基づいて、第1搬送コンベア110によって搬送される第1母材の重量を計測することができる。なお、第1計量部150の仕組み自体は、従来公知のものであるので、ここでは、計測値の算出方法についての詳細な説明は省略する。
【0018】
第1母材供給部120には、第1母材が投入される。第1母材供給部120は第1母材ホッパー120aを備える。第1母材ホッパー120aに投入された第1母材は、内部に装備された回転ローラによって破砕されて下側に設けられた供給コンベア102b上に落下する。落下した第1母材は、第1位置P1において、第1搬送コンベア110に供給される。
【0019】
混合部130は、ドラム131とこのドラム131内で回転可能に設けられた回転部材132を備えている。回転部材132は、軸部材132a、軸部材132aを回転可能に支持する不図示の軸受け部材、インパクト部材132b(図3図5では不図示、図8及び図9参照)及び回転軸側プーリ132cを備える。また、混合部130は、ドラム131に装着される蓋部133を備える。蓋部133には、投入口133aが設けられている(図3図5では不図示、図8参照)。混合部130は、さらに、モータ134を備える。モータ134は、モータ側プーリ134aを備える。回転軸側プーリ132cとモータ側プーリ134aとの間には、駆動ベルト135が貼設されており、モータ134の駆動により回転部材132が回転する。回転部材132(軸部材132a)の回転軸AX132はZ方向に延びている。インパクト部材132bは、ドラム131内で回転することにより、投入された第1母材及び第2母材を破砕し、これらを添加材とともに混合する。混合された第1母材、第2母材及び添加材は、改良土として、ドラム131の下部から排出され、ドラム131の下部に延びている排出コンベア160上に落下する。不図示の軸受け部材は、図6に示す回転部材132の内側に設けられており、回転部材132の下方には設けられていない片持ちの軸受け部材となっている。本願出願人は、2020年1月15日に出願した特願2020-004183号にも片持ちのボールベアリングを有した回転式破砕装置を提案している。本実施形態においても、不図示の軸受け部材は、ボールベアリングを採用することができ、軸部材132aの回転精度の向上や剛性の向上を図るため、アンギュラ玉軸受を採用することができる。このように、軸部材132aを軸部材132aの上方側(第1搬送コンベア110側)で片持ち支持し、軸部材132aの下方側(他端側)を自由端とすることにより、軸部材132aの下方側において軸受け部材を配置する分のスペースが空くことになる。このため本実施形態においては、混合部130をZ方向に沿って下側に配置することができ、それに伴い第1母材供給部120なども下側に配置することができ、第1装置100全体としても全高を低くすることができる。具体的には、第1装置100の全高を3.8m以下とすることができ、運搬時の高さの目安である運搬高3.8mとクリアでき、トラックやトレーラーによる第1装置100の搬送の自由度を確保することができる。
【0020】
添加材供給部140は、図6によく表れているように、第1位置P1と第2位置P2との間に設けられている。添加材供給部140は、第1計量部150よりも+X側で第1搬送コンベア110上に添加材を供給するように設けられている。添加材供給部140は、添加材ホッパー140aと、その下側に配置されたスクリューフィーダ140bを備えている。添加材は、スクリューフィーダ140bによって切り出されて第1搬送コンベア110上へ供給される。添加材供給部140は、第1搬送コンベア110上へ供給する添加材の重量を計測する第3計量部180を備える。第3計量部180は、例えばロードセルを備えた計量装置を適用することができる。
【0021】
排出コンベア160は、混合部130の下側から+X方向に延びている。排出コンベア160は、ドラム131から排出された改良土を混合部130から離れた位置まで搬送し、排出する。改良土は、例えば工作物の埋戻し、建築物の埋戻し、土木構造物の裏込め、河川築堤用盛土、道路用盛土、土地造成用盛土、鉄道盛土、空港盛土、水面埋立等の用途として用いることができる。
【0022】
発電機170は、第1搬送コンベア110等の第1装置100が備える各種駆動部の電源として用いられる他、第1移動装置102の動力を得るための電源として用いられる。発電機170は、第1支持部材101に搭載されており、第1装置100の主要な装備とともに移動するため、第1装置100を移動させるときにいちいち種々のケーブル等の脱着をしなくてもよく、便利である。
【0023】
ここで、図8及び図9を参照して、第1装置100に含まれる各構成要素の配置について詳細に説明する。図8は第1装置100の平面図であり、図9は第1搬送コンベア110と混合部130との接続位置を拡大して示している。なお、図9では、図8に示されている蓋部133、回転軸側プーリ132c及び駆動ベルト135が省略されており、ドラム131の内部の様子が描かれている。
【0024】
図8を参照すると、第1支持部材101のX方向(第1方向)に沿う寸法は長さL101であり、Y方向(第2方向)に沿う寸法は幅W101である。そして、第1支持部材101のX方向における中心位置は、中心線CL101であり、Y方向における中心位置は、中心線CW101である。ここで、回転部材132の回転軸AX132は、中心線CW101と交差している。すなわち、図8において回転軸AX132は、中心線CW101上に位置している。
【0025】
なお、幅W101は、第1装置100の搬送性を考慮して、トラックやトレーラーなど、第1装置100を搬送する輸送機器の荷台に搭載できる幅としている。
【0026】
つぎに、第1搬送コンベア110のY方向(第2方向)に沿う寸法は幅W110であり、Y方向における中心線(搬送中心線)は、CW110である。本実施形態において、第1搬送コンベア110のY方向における中心線(搬送中心線)CW110は、第1支持部材101のY方向における中心線CW101に対して+Y方向にシフトしている。これにより、回転軸AX132は、搬送中心線CW110と交わらないように配置されている。この結果、第1搬送コンベア110の-Y側に空間が形成される。本実施形態にあっては、第1搬送コンベア110の搬送中心線CW110が、第1支持部材101の中心線CW101に対して+Y方向にずれ、シフトされていることによってスペースSPが形成されている。スペースSPには、種々の装備を搭載することができる。本実施形態では、図5に示したように、スペースSPに発電機170が搭載されている。すなわち、発電機170は第1搬送コンベア110とY方向に並列して第1支持部材101上に搭載され、支持されている。これにより、発電機170を第1装置100の一部として搬送することができる。
【0027】
ここで、図9を参照すると、回転軸AX132が、搬送中心線CW110と交わらないように配置されることで、第1搬送コンベア110によって搬送される第1母材、第2母材及び添加材は、ドラム131の周縁に沿うように投入される。このように回転軸AX132と搬送中心線CW110とをずらすことで、混合対象物である第1母材、第2母材及び添加材をドラム131に投入し易くなる。仮に回転軸AX132と搬送中心線CW110とが一致していると、所定の幅を有する第1搬送コンベア110をドラム131へ接続するためには、第1搬送コンベア110の先端部が軸部材132aに近づくことになる。第1搬送コンベア110の先端部が軸部材132aに近づくと、第1搬送コンベア110から落下する混合対象物は、インパクト部材132bの根元に近い位置に衝突する。落下する混合対象物がインパクト部材132bの根元に近い位置に衝突すると、インパクト部材の先端付近に比べて衝撃力が弱くなり、破砕・混合が十分に行われず、場合によってはインパクト部材132bを摩耗し易くなると考えられる。これに対し、本実施形態のように回転軸AX132を搬送中心線CW110とずらすことで、第1搬送コンベア110とドラム131との接続の自由度が増して、両者を接続し易くなる。また、落下する混合対象物のインパクト部材132bへの衝突位置が改善され、インパクト部材132bの摩耗が抑制される。
【0028】
再び図8に戻って、回転軸AX132は、第1支持部材101のX方向の中心線CL101よりも+X方向にずらして設定されている。すなわち、混合部130は、回転軸AX132がX方向において第1支持部材101の中心位置とは異なるように第1支持部材101に支持されている。
【0029】
このように、回転軸AX132が、第1支持部材101のX方向の中心線CL101よりも+X方向にずらされ、混合部130を第1母材供給部120と離して設置することで、両者間に第2母材や添加材を供給するスペースを確保することができる。すなわち、第1母材供給部120と混合部130との間に配置される第1搬送コンベア110上に第2位置P2を設定して第2母材を供給し、また、添加材を供給できる。この結果、第1母材、第2母材及び添加材をまとめて混合部130に供給することができる。
【0030】
なお、本実施形態の第1装置100は、第1移動装置102を備える。第1移動装置102は、一対の無限軌道を備え、その幅は、第1支持部材101の幅W101と概ね一致している。このため、第1移動装置102は、トラックやトレーラー等の輸送機器への積載が容易である。また、第1搬送コンベア110と発電機170をY方向に並列させて搭載することで、第1移動装置102を安定して稼働させ、第1装置100を安定して移動させることができる。第1移動装置102のX方向の寸法は、L102であり、その中心線は、CL102である。回転軸AX132は、中心線CL102に対しても+X方向にずらして設定され、第1移動装置102の+X側の端部よりも+X側に位置しているが、そのずれ量は、第1装置100の重心位置を考慮して、第1移動装置102の安定稼働に影響がない範囲で設定される。
【0031】
つぎに、図10及び図11を参照して、第2母材供給装置200について説明する。図10及び図11は、いずれも第2母材供給装置200の斜視図であるが、図10図11とでは、第2母材供給装置200を観る方向が異なっている。
【0032】
第2母材供給装置200は、第2支持部材201を備える。第2支持部材201は、第2搬送コンベア210、第2母材供給部220を備える。第2母材供給部220は、第2母材ホッパー220aと、その下側に設けられた供給コンベア220bを備える。第2搬送コンベア210の一端部は、供給コンベア220bの下側に位置し、そこから斜め上方に延びている。第2搬送コンベア210の他端は、図1及び図2で示したように、第2位置P2で第1装置100と接続される。第2母材供給装置200は、第2支持部材201の下側に第2移動装置202を備えている。第2移動装置202は、第1移動装置102と同様に無限軌道であるが、車輪等であってもよい。第2母材供給装置200は、第1装置100と分離した状態で搬送されるが、第2移動装置202を備えることで、容易に移動することができ、トラックやトレーラーへの搭載もし易い。
【0033】
第2搬送コンベア210には、第2母材の重量を計測する第2計量部250が設けられている。第2計量部250の構成は、第1計量部と同じであるため、ここでは、その説明は省略する。
【0034】
つぎに、図12を参照して、実施形態の混合装置1000の制御系統について説明する。図12は実施形態の混合装置1000の制御系統を示すブロック図である。混合装置1000は、制御部190と、この制御部190に接続された入力部191を備えている。制御部190と入力部191は、第1装置100に設けられている。制御部190は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))を備える。入力部からは、第1母材、第2母材及び添加材の混合比率に関する情報が入力される。制御部190には、供給コンベア120b、第1計量部150、スクリューフィーダ140b、第3計量部180、第2搬送コンベア210及び第2計量部250が通信可能に接続されている。なお、制御部190と他の要素との通信可能な接続は、有線接続であっても無線接続であってもよい。
【0035】
つぎに、図13から図14(c)を参照して、混合装置1000における制御の一例について説明する。図13は混合装置1000のメインとなる制御の一例を示すフローチャートである。図14(a)は第1母材供給制御の一例を示すフローチャート、図14(b)は第2母材供給制御の一例を示すフローチャート、図14(c)は添加材供給制御の一例を示すフローチャートである。
【0036】
図13を参照すると、制御部190は、入力部191からの入力によって第1母材、第2母材及び添加材の混合比率を取得する。そして、制御部190は、ステップS2において、第1母材についての目標供給量DW10、第2母材についての目標供給量DW20及び添加材の目標供給量DW30を算出する。
【0037】
制御部190は、ステップS3として第1母材供給制御、ステップS4として第2母材供給制御、ステップS5として添加材供給制御を行う。これらの制御は、図14(a)から図14(c)に示すサブルーチンとなっており、並行して実行される。
【0038】
図14(a)を参照すると、制御部190は、ステップS31において、その時点での第1母材の供給量DW11を算出する。供給量DW11は、その時点での供給コンベア120bの搬送速度V1と第1計量部150による計量結果とに基づいて算出される。制御部190は、ステップS32において、算出した供給量DW11がステップS2で算出した目標供給量DW10よりも重いか否かを判定する。制御部190は、ステップS32で肯定判定(YES判定)したときは、ステップS33へ進む。制御部190は、ステップS33において、予め定められた低下幅分、搬送速度V1を低下させる。ステップS33を実行した後は、処理はリターンとなり、制御部190は、ステップS31からの処理を繰り返す。一方、制御部190は、ステップS32で否定判定(NO判定)したときはステップS34へ進む。ステップS34では、制御部190は、ステップS31で算出したその時点での供給量DW11がステップS2で算出した目標供給量DW10よりも軽いか否かを判定する。制御部190は、ステップS34で肯定判定したときは、ステップS35へ進む。制御部190は、ステップS35において、予め定められた上昇幅分、搬送速度V1を上昇させる。ステップS35を実行した後は、処理はリターンとなり、制御部190は、ステップS31からの処理を繰り返す。一方、制御部190は、ステップS34で否定判定したときは、その時点での搬送速度V1を維持したままステップS31からの処理を繰り返す。制御部190は、例えばリアルタイムで第1母材供給制御を繰り返し行う。
【0039】
図14(b)を参照すると、制御部190は、ステップS41において、その時点での第2母材の供給量DW21を算出する。供給量DW21は、その時点での第2搬送コンベア210の搬送速度V2と第2計量部250による計量結果とに基づいて算出される。制御部190は、ステップS42において、算出した供給量DW21がステップS2で算出した目標供給量DW20よりも重いか否かを判定する。制御部190は、ステップS42で肯定判定(YES判定)したときは、ステップS43へ進む。制御部190は、ステップS43において、予め定められた低下幅分、搬送速度V2を低下させる。ステップS43を実行した後は、処理はリターンとなり、制御部190は、ステップS41からの処理を繰り返す。一方、制御部190は、ステップS42で否定判定(NO判定)したときはステップS44へ進む。ステップS44では、制御部190は、ステップS41で算出したその時点での供給量DW21がステップS2で算出した目標供給量DW20よりも軽いか否かを判定する。制御部190は、ステップS44で肯定判定したときは、ステップS45へ進む。制御部190は、ステップS45において、予め定められた上昇幅分、搬送速度V2を上昇させる。ステップS45を実行した後は、処理はリターンとなり、制御部190は、ステップS41からの処理を繰り返す。一方、制御部190は、ステップS44で否定判定したときは、その時点での搬送速度V2を維持したままステップS41からの処理を繰り返す。制御部190は、例えばリアルタイムで第2母材供給制御を繰り返し行う。
【0040】
図14(c)を参照すると、制御部190は、ステップS51において、その時点での添加材の供給量DW31を算出する。供給量DW31は、その時点でのスクリューフィーダ140bの搬送速度V3と第3計量部180による計量結果とに基づいて算出される。制御部190は、ステップS52において、算出した供給量DW31がステップS2で算出した目標供給量DW30よりも重いか否かを判定する。制御部190は、ステップS52で肯定判定(YES判定)したときは、ステップS53へ進む。制御部190は、ステップS53において、予め定められた低下幅分、搬送速度V3を低下させる。ステップS53を実行した後は、処理はリターンとなり、制御部190は、ステップS51からの処理を繰り返す。一方、制御部190は、ステップS52で否定判定(NO判定)したときはステップS54へ進む。ステップS54では、制御部190は、ステップS51で算出したその時点での供給量DW31がステップS2で算出した目標供給量DW30よりも軽いか否かを判定する。制御部190は、ステップS54で肯定判定したときは、ステップS55へ進む。制御部190は、ステップS55において、予め定められた上昇幅分、搬送速度V3を上昇させる。ステップS55を実行した後は、処理はリターンとなり、制御部190は、ステップS51からの処理を繰り返す。一方、制御部190は、ステップS54で否定判定したときは、その時点での搬送速度V3を維持したままステップS51からの処理を繰り返す。制御部190は、例えばリアルタイムで添加材供給制御を繰り返し行う。
【0041】
制御部190は、ステップS3からステップS5の制御を開始した後、ステップS6を実行する。ステップS6では、制御部190は、混合装置1000に対する停止指令が有るか否かを判定する。制御部190は、ステップS6で肯定判定したときは、ステップS7において混合装置1000を停止させ、処理は終了となる。一方、制御部190は、ステップS6で否定判定をしたときは、ステップS3からステップS5の制御を繰り返す。
【0042】
ここで、本実施形態のように第1母材、第2母材及び添加材の混合比率を重量に基づいて行うことの効果について説明する。仮に第1母材、第2母材及び添加材をこれらの体積に基づいて混合比率を決定するようにすると、これらの材料は、その状態によって体積が変化し、正確な比率での混合が難しくなることが想定される。例えば、多くの隙間や空洞がある状態の第1母材と、圧縮されて密度が高い状態の第1母材とでは、その見かけ上の体積が概ね同じであっても、実際の第1母材の量は異なる。そこで、重量に基づいて混合比率を管理するようにすれば、混合比率の精度が高まり、所望の性状を有する改良土を得やすくなる。
【0043】
本実施形態の混合装置1000では、混合部130が備える回転部材132の回転軸AX132が第1搬送コンベア110の搬送中心線CW110と交わらないように回転部材132が設けられているため、第1搬送コンベア110の側方にスペースSPを確保することができる。このスペースSPには、種々の装備を搭載することができる。このスペースSPに種々の装備を搭載すれば、混合装置1000全体として、搬送性が向上することにもなる。また、第1搬送コンベア110によって搬送される第1母材、第2母材及び添加材が、ドラム131の周縁に沿うように投入されるようになることで、落下する混合対象物のインパクト部材132bへの衝突位置が改善される。この結果、インパクト部材132bの摩耗が抑制される。インパクト部材132bの摩耗が抑制されることで、メンテナンスの頻度を抑えることができる。このように、本実施形態の混合装置1000によれば、その使い勝手を良くすることができる。
【0044】
なお、供給コンベア120bと、第2搬送コンベア210と、スクリューフィーダ140bとの搬送速度をモータ134の負荷電流を検出して、この検出した負荷電流に応じて変更するようにしてもよい。具体的には、モータ134の負荷電流がモータ134の定格電流値の90%を超えた場合に、制御部190は、混合部130の負荷が大きいとして、供給コンベア120bと、第2搬送コンベア210と、スクリューフィーダ140bとの搬送速度を下げるように制御してもよい。また、モータ134の負荷電流がモータ134の定格電流値の70%未満である場合に、制御部190は、混合部130の破砕・混合に余裕があるとして、供給コンベア120bと、第2搬送コンベア210と、スクリューフィーダ140bとの搬送速度を上げるように制御してもよい。
【0045】
また、第2母材と添加材とは性状が分かっているのに対して、第1母材は建設発生土のためどのような性状が分からないことが多い。このため、制御部190は、供給コンベア120bの制御状況に応じて、第2搬送コンベア210と、スクリューフィーダ140bとの搬送速度を制御するようにしてもよい。
【0046】
本実施形態の混合装置1000は、第1母材供給部120と第2母材供給部220を備えている。そして、第1母材供給部120は、第1母材専用の第1母材ホッパー120aを備え、第2母材供給部220は、第2母材専用の第2母材ホッパー220aを備えている。このため、第1母材及び第2母材をそれぞれのホッパーに大量に投入し、効率よく改良土を得ることができる。
【0047】
本実施形態の混合装置1000では、第1搬送コンベア110の搬送中心線CW110が、第1支持部材101の中心線CW101からシフトするように、第1搬送コンベア110が第1支持部材101に支持されている。そして、これにより生じたスペースSPに発電機170を搭載している。これにより、発電機170を第1装置100の一部として搬送することができる。また、発電機170は、第1搬送コンベア110とY方向に並列させて第1支持部材101に支持させているため、第1装置100の重心が安定し、第1装置100の移動時、稼働時の安定性が増す。
【0048】
本実施形態の混合装置1000によれば、回転部材132の回転軸AX132がX方向(第1方向)において第1支持部材101の中心位置(中心線CL101)とは異なるように、混合部130が第1支持部材101に支持されている。これにより、第1搬送コンベア110上に第2母材を供給する位置と添加材を供給する位置を確保することができる。また、第1搬送コンベア110に第1計量部150を設けることができる。
【0049】
本実施形態の混合装置1000は、添加材供給部140を備える。このため、現場において、添加材を供給し易い。また、添加材供給部140は、第1母材供給部120から第1母材が供給される位置(第1位置P1)と第2母材供給部220から第2母材が供給される位置(第2位置P2)との間に位置している。このため、添加材供給部140を第1搬送コンベア110や第1母材供給部120等とともに移動させることができ、第1装置100の高い搬送性が得られる。
【0050】
本実施形態の混合装置1000は、第1計量部150、第2計量部250及び第3計量部180を備えるので、第1母材、第2母材及び添加材の混合比率をこれらの重量に基づいて精度よく管理することができる。
【0051】
本実施形態の混合装置1000が備える第1装置100は、第1搬送コンベア110、第1母材供給部120及び混合部130と保持して移動する第1移動装置102を備える。このため、第1装置100の移動が容易であり、トラックやトレーラー等の輸送機器への積み降ろしがし易い。
【0052】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。例えば、第1母材ホッパー120aに第1母材を供給するクレーンを設けてもよい。この場合、第1母材ホッパー120aの上方にクレーンが位置するようにポスト部材を介してクレーンを設けることが好ましい。ポスト部材およびクレーンは、スペースSPを利用して設けてもよく、第1母材供給部120の近傍に設けるようにしてもよい。
【0053】
(変形例1)
以下、変形例1について、図15(a)~図16(b)に基づいて説明する。本変形例1に係る第2母材供給装置200’は、図15(a)に示すように、第1装置100に対して一側(+Y側)から近づくことができるとともに、図15(b)に示すように、第1装置100に対して他側(-Y側)から近づくこともできる。
【0054】
より具体的には、図15(b)に示すように第2母材供給装置200’が第2移動装置202を介して第1装置100に対して-Y側から近づいたとしても、第2母材供給装置200’の第2搬送コンベア210’(ベルトコンベア)が第1装置100のいずれの箇所にも(例えば発電機170に)接触しないように、すなわち非接触になるように設計されている。すなわち、第2搬送コンベア210’の長さが上記実施形態の第2搬送コンベア210(図10等参照)よりも長く設定され、これにより、第2搬送コンベア210’の先端に設けられたシュート部512の高さが高く設定されている。なお、第2搬送コンベア210’の傾斜角度は、搬送対象の第2母材が下方に滑り落ちないように定められるため、上記実施形態の第2搬送コンベア210の傾斜角度と略同一である。したがって、本変形例1では、第2搬送コンベア210’の長さを長くすることで、シュート部512の高さを高くしている。なお、第2搬送コンベア210’は、下端側(第2の高さ)から第1搬送コンベア110の上方(第1の高さ)まで第2母材を搬送するものであり、シュート部512は、第2搬送コンベア210’によって第1の高さまで搬送された第2母材が第1搬送コンベア110上に適切に供給されるようにガイドする部材である。
【0055】
このように、本変形例1によれば、第2母材供給部220と第2搬送コンベア210’を協働させて、第2母材を第1搬送コンベア110に対して供給している。また、第2母材供給装置200’を第1装置100の+Y側及び-Y側のいずれから設置しても、第2母材供給装置200’から第1搬送コンベア110に対して第2母材を供給することができる。したがって、現場の地形や状況等に合わせて、第1装置100と第2母材供給装置200’のレイアウトを適切に調整することができる。
【0056】
ここで、本変形例1においては、第2搬送コンベア210’の端部(シュート部512)の高さが高くなるため、第2母材供給装置200’を現場まで搬送するためにトラック900に載せると(図16(a)参照)、第2搬送コンベア210’の端部が、高さ制限Tを超える可能性がある。そこで、本変形例1では、第2搬送コンベア210’を、前側コンベア510Aと、後側コンベア510Bとを有する構成とし、トラック900に載せたときに、図16(b)に示すように、前側コンベア510Aが後側コンベア510Bに対して折れ曲がる(屈曲する)構造としている。これにより、第2搬送コンベア210’の端部が、高さ制限Tを超えないようにすることができる。ここで、前側コンベア510Aの+Y端部は、支持部材302の上端部に設けられたヒンジに接続されており、ジャッキ300の伸縮動作により、図16(a)の状態と、図16(b)の屈曲状態との間で遷移できるようになっている。すなわち、ジャッキ300と前側コンベア510Aとにより、第2搬送コンベア210’の端部(シュート部512)の高さを変更する変更機構としての機能が実現されている。
【0057】
なお、図16(a)、図16(b)では、第2搬送コンベア210’が、前側コンベア510Aと、後側コンベア510Bとを有する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、第2搬送コンベア210’を上記実施形態の第2搬送コンベア210と同様の構成とし、第2搬送コンベア210’の傾斜角度を変更するための変更機構を設けることとしても良い。
【0058】
(変形例2)
次に、変形例2について、図17(a)~図24に基づいて説明する。なお、本変形例2においては、第2母材供給装置として、変形例1で説明した第2母材供給装置200’を採用した例について説明しているが、第2母材供給装置は、上記実施形態の第2母材供給装置200であってもよい。
【0059】
本変形例2では、第2母材供給装置200が第1装置100に近づく動作を自動制御するが、この自動制御において、図17(a)、図17(b)に示すように第1飛行体600a、第2飛行体600bを用いる。なお、図17(a)は、第1装置100及び第2母材供給装置200’を+Z方向から見た状態を示し、図17(b)は、第1装置100及び第2母材供給装置200’を+X方向から見た状態を示しており、図17(a)では、図示の便宜上、第2飛行体600bを省略している。第1、第2飛行体600a,600bは、例えばドローンであり、その一部に撮像部(カメラ)が搭載されている。第1飛行体600aに搭載されたカメラは、第1装置100及び第2母材供給装置200’を-Y方向から撮像し、第2飛行体600bに搭載されたカメラは、第1装置100及び第2母材供給装置200’を+Z方向から撮影する。各カメラにより撮像された画像は、第2母材供給装置200の制御部280(図17(a)参照)に送信される。そして、制御部280は、取得した画像に基づいて、第1装置100と、第2母材供給装置200’の位置関係を把握し、第2移動装置202に対して動作指示を出力する。
【0060】
図18は、第1装置100及び第2母材供給装置200’を-Y方向から見た状態を示している。図18に示すように、第1装置100の発電機170の-Y側の面には、Z方向に延びる線状の第1目印701が設けられ、第2母材供給装置200’のシュート部512の-Y側の面には、Z方向に延びる線状の第2目印702が設けられている。第1目印701と第2目印702のY軸方向の位置が一致した場合、シュート部512と、第1装置100の第2母材が供給される第2位置P2(図1等参照)と、のY軸方向に関する位置が一致したことを意味する。
【0061】
また、図17(a)に示すように、第1装置100の第1搬送コンベア110上には、十字状の第3目印703が表示された板状部材181が載置されている。更に、第2母材供給装置200’のシュート部512の+Z側の面には、十字状の第4目印704が設けられている。なお、第3目印703は、第4目印704よりも大きい。また、板状部材181は、第2母材供給装置200’を第1装置100に近づけるように自動制御する場合にのみ第1搬送コンベア110上に載置されるものである。
【0062】
次に、図19のフローチャートに沿って、第2母材供給装置200’を第2位置P2に位置決めする際の、制御部280による処理について説明する。なお、図19の処理を開始する前提として、制御部280は、第1、第2飛行体600a,600bの飛行を開始しているものとする。そして、制御部280は、第1飛行体600aのカメラが第1目印701を撮像できるように、第1飛行体600aを位置決めするとともに、第2飛行体600bのカメラが第3目印703を撮像できるように、第2飛行体600bを位置決めする(図17(b)参照)。なお、第1装置100と第2母材供給装置200’は、図17(a)に示すように、Y軸方向に離れた位置に位置決めされているものとする。
【0063】
図19の処理が開始されると、まず、ステップS102において、制御部280は、第1飛行体600aによる撮像を開始する。この場合、例えば、図20(a)において破線で示す視野(画角)Fa内を第1飛行体600aのカメラが撮像する。第1飛行体600aは、撮像画像を制御部280に送信する。
【0064】
次いで、ステップS104では、制御部280が、第1目印701と第2目印702の横方向の位置(X軸方向の位置)が一致しているか否かを判断する。図20(a)の場合は、一致していないので、ステップS104の判断は否定され、ステップS106に移行する。
【0065】
ステップS106に移行した場合、制御部280は、第2移動装置202に移動を指示する。この場合、画像から凡そのずれ量を算出し、第2移動装置202に対してX軸方向に移動するように指示を出す。その後はステップS104に戻る。
【0066】
一方、ステップS104の判断が肯定されると、ステップS108に移行する。なお、ステップS108に移行する段階では、第1装置100と第2母材供給装置200’の位置関係は、-Y方向から見ると、図20(b)のようになっており、+Z方向から見ると、図21(a)のようになっている。ステップS108に移行すると、制御部280は、第2飛行体600bによる撮像を開始する。この場合、例えば、図21(a)において破線で示す視野Fb内を第2飛行体600bのカメラが撮像する。第2飛行体600bは、撮像画像を制御部280に送信する。
【0067】
次いで、ステップS110では、制御部280が、第2移動装置202の接近動作(時速Akm、例えば時速2km)を開始する(図21(a)の白抜き矢印参照)。
【0068】
次いで、ステップS112では、制御部280が、第4目印704が視野Fb内に入ってくるまで待機する。この場合、制御部280は、所定の画像処理技術を利用して、視野Fb内に十字状の目印が2つ入ってきたか否かを判断する。図21(b)に示すように、視野Fb内に第4目印704が入ってくると、制御部280は、ステップS114に移行する。
【0069】
ステップS114に移行すると、制御部280は、第2移動装置202の速度を時速Bkm(<時速Akm)に調整する。時速Bkmは例えば時速1kmである。
【0070】
次いで、ステップS116では、制御部280が、第3目印703の一部が消えるまで待機する。この場合、制御部280は、例えば、直前まで存在していた2つの十字状の目印の交差点のうちの1つが撮像できなくなったか否かを判断する。図22(a)に示すように、第3目印703の交差点がシュート部512により隠され、見えなくなると、制御部280は、ステップS118に移行する。
【0071】
ステップS118に移行すると、制御部280は、第2移動装置202の速度を時速Ckm(<時速Bkm)に調整する。時速Ckmは、第2移動装置202がすぐに停止することができる速度であり、例えば時速0.5kmである。
【0072】
次いで、ステップS120では、制御部280が、第3目印703と第4目印704の中心位置が一致するまで待機する。この場合、制御部280は、図21(b)に示すように、第3目印703のX軸方向に延びる線と、第4目印704のX軸方向に延びる線とが一致した段階(連続した段階)で、ステップS122に移行する。
【0073】
ステップS122に移行すると、制御部280は、第2移動装置202を停止する。これにより、第2母材供給装置200’を第2位置P2に位置決めすることができる。
【0074】
以上のように、本変形例2によれば、第1、第3目印701、703が第1搬送コンベア110に対して所定の位置関係で設けられており、第2、第4目印702,704がシュート部512に対して所定の位置関係で設けられている。そして、制御部280は、各目印を撮像した結果に基づいて、第2移動装置202に対して制御指示を出力する。これにより、第2母材供給装置200’と第1装置100とが適切な位置関係になるように、第2母材供給装置200’を自動的に位置決めすることができる。なお、本実施形態では、第1、第3目印701、703が第1マークに相当し、第2、第4目印702,704が第2マークに相当する。
【0075】
また、本変形例2によれば、第1、第2飛行体600a、600bに搭載されたカメラによる撮像結果を用いて、第2母材供給装置200’を第2位置P2に位置決めする。これにより、位置決め後には、第1、第2飛行体600a、600bを片付けることができるため、第1、第2飛行体600a,600bが混合装置1000の作業の邪魔になることが無い。また、位置決め後には、第1、第2飛行体600a、600bを別の現場で利用(転用)することができる。
【0076】
なお、上記変形例2では、第2移動装置202を自動制御する場合について説明したが、これに限らず、作業者が第2移動装置202を操作することとしてもよい。この場合、上記変形例2で説明した動作と同様の操作を作業者が行えるように、制御部280は、作業者が視認可能なディスプレイに操作情報を表示(出力)することで、作業者に操作タイミング等を報知することとしても良い。この場合、作業者は、操作情報に基づいて操作を行うことで、第2母材供給装置200’を第2位置P2に容易に位置決めすることが可能となる。
【0077】
また、上記変形例2では、カメラが第1、第2飛行体600a、600bに搭載されている場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、第1装置100に設けられたアームにカメラを保持させることで、カメラが視野Fa,Fbを撮像できるようにしてもよい。また、各目印は、上記変形例2で説明した位置に設けなくても良い。例えば、第3、第4目印703,704は、図23に示すような位置に設けてもよい。このように目印の位置を変更しても、目印の位置に合わせてカメラの位置も調整することで、上記変形例2と同様の処理を行うことができる。
【0078】
なお、上記変形例2の処理においては、第3目印703と第4目印704の角度(Z軸回りの回転方向の姿勢)が許容範囲内であれば、問題ないものとして扱うこととしても良い。例えば、図24に示すように、第3目印703と第4目印704の間に角度αのずれがある場合であっても、αが±15°以内であれば、位置決めが成功したものとして扱うことができるので混合装置1000の位置決めを容易するとともに位置決め時間を短縮することができる。なお、許容範囲を±15°以内としたのは、この範囲を超えると、第2母材の一部が第1搬送コンベア110の上からこぼれるおそれがあるからである。ただし、これに限らず、許容範囲は、±10°以内、±5°以内などとしてもよい。許容範囲を小さくすればするほど、第2母材が第1搬送コンベア110の上からこぼれる可能性を低減することができる。
【0079】
なお、上記変形例2では、時速Akm→時速Bkm→時速Ckmというように3段階で減速する場合について説明したが、これに限らず、減速の仕方は適宜変更することができる。
【0080】
なお、上記変形例2では、第3目印703が表示された板状部材181を第1搬送コンベア110上に載置する場合について説明したが、これに限らず、第1搬送コンベア110上に第3目印703を直接記載してもよい。この場合、図19の処理を行う前に、第1搬送コンベア110を動作させることで、第3目印703の位置を第2位置P2と一致させるようにすればよい。
【0081】
(変形例3)
次に、変形例3について説明する。図25(a)には、混合部130近傍を+Y方向から見た状態が模式的に示され、図25(b)には、混合部130近傍を+Z方向から見た状態が模式的に示されている。本変形例3において、混合部130のドラム131は、径が略一定の円筒状部分131aと、円筒状部分131aの上端部に設けられた、上方に向かって径が大きくなるテーパ部131bと、を有している。
【0082】
本変形例3においては、図25(b)に示すように、第1搬送コンベア110の搬送中心と、軸部材132aの回転中心との距離をaとし、ドラム131の円筒状部分131aの内径をbとしたときに、a/b×100(%)の値が、20~60%、好ましくは25~50%、より好ましくは30~40%に設定されている。このようにa/b×100(%)の範囲を設定したのは、60%を超えるとテーパ部131bへの原料の付着が多くなり、ドラム131内の閉塞の原因となり、20%より小さいと土砂投入範囲RMの中心Mがインパクト部材132bの重心Gと先端Qとの間を通過しなくなり、破砕効率が落ちるためである。
【0083】
なお、重心Gが図25よりも軸部材132aに近い側に位置する場合には、a/b×100(%)の値が、15~60%となるように設定しても良い。
【0084】
(その他)
なお、上記実施形態及び各変形例においては、第1装置100の発電機170や、第2母材供給装置200、200’の発電機301(図16(a)参照)として、燃料電池や、アンモニア混焼エンジンによる発電機、太陽光発電装置などの、再生可能エネルギーを利用した発電機を用いることができる。これにより、環境負荷を低減することができる。
【0085】
また、上記実施形態及び各変形例においては、同一の機能を有する部品として共通の構成部品を用いることができる。例えば、第1装置100に設けられた第1母材供給部120と、第2母材供給装置200,200’の第2母材供給部220を共通の構成部品とすることができる。また、第1装置100の第1移動装置102と、第2母材供給装置200,200’の第2移動装置202とを、共通の構成部品とすることができる。このようにすることで、部品の種類数を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0086】
100 第1装置 101 第1支持部材
102 第1移動装置 110 第1搬送コンベア
120 第1母材供給部 130 混合部
131 ドラム(筐体) 132 回転部材
132a 軸部材 132b インパクト部材
140 添加材供給部 150 第1計量部
160 排出コンベア 170 発電機
180 第3計量部 190 制御部
191 入力部 200 第2母材供給装置
201 第2支持部材 202 第2移動装置
210 第2搬送コンベア 220 第2母材供給部
250 第2計量部
CW110 搬送中心線
CW101 第1支持部材のY方向における中心線
CL101 第1支持部材のX方向の中心点(中心線)
AX132 回転軸
131b テーパ部
300 ジャッキ(変更機構)
301 発電機
701 第1目印(第1マーク)
702 第2目印(第2マーク)
703 第3目印(第1マーク)
704 第4目印(第2マーク)
600a,600b(飛行体、撮像部)
280 制御部(処理部)
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