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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109706
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】攪拌槽
(51)【国際特許分類】
   B01F 33/40 20220101AFI20240806BHJP
   C02F 3/30 20230101ALI20240806BHJP
   B01F 101/25 20220101ALN20240806BHJP
【FI】
B01F33/40
C02F3/30 A
B01F101:25
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079935
(22)【出願日】2024-05-16
(62)【分割の表示】P 2023008160の分割
【原出願日】2018-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】米山 和彦
(57)【要約】
【課題】攪拌性能が高い攪拌槽を提供する。
【解決手段】受け入れた液体を攪拌する嫌気槽2であって、下端42aがこの嫌気槽2の底面2aから離間して配置され、下端42aから上方向に向かって延在し、下端42aと上端41aが開放された第1筒体4と、第1筒体4の内周面4aよって画定された第1内部空間S1に流体を吐出する第1吐出口53aと第1筒体4よりも外側に配置された環状をした第1環状供給管52とを備え、第1吐出口53aは、第1環状供給管52に接続された複数の第1ノズル53それぞれに形成され、下端42a近傍から上方に向かって液体を吐出するものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け入れた液体を攪拌する攪拌槽であって、
下端がこの攪拌槽の底面から離間して配置され、該下端から上方向に向かって延在し、該下端と上端が開放された筒体と、
前記筒体の内周面によって画定された内部空間に液体を吐出する吐出口と、
前記筒体よりも外側に配置された環状をした環状供給管とを備え、
前記吐出口は、前記環状供給管に接続された複数のノズルそれぞれに形成され、前記下端近傍から上方に向かって液体を吐出するものであることを特徴とする攪拌槽。
【請求項2】
前記吐出口は、この攪拌槽の外部に配置されたポンプから供給された液体を吐出するものであることを特徴とする請求項1記載の攪拌槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受け入れた液体を攪拌する攪拌槽に関する。
【背景技術】
【0002】
下水および雨水などの汚水を処理する汚水処理施設では、汚水から窒素やリン等を除去するため、好気性の生物処理が行われている。また、近年では、好気性の生物処理の前に嫌気性の生物処理や硝酸等を加えた無酸素状態での生物処理を行うことで効率的に窒素やリン等を除去する高度処理も行われている。各生物処理は、汚水に含まれるごみ、有機分や汚泥が同じ位置に溜まって腐敗してしまわないように、収容した汚水を攪拌する機能を有する攪拌槽において行われる。この攪拌槽には、収容した汚水の中に配置した吐出口から流体を吐出して汚水の循環流を形成することで汚水を攪拌するものがある。また、好気性の生物処理を行う攪拌槽では、空気を供給しつつ汚水を吐出することで空気と汚水を混合させながら汚水の循環流を形成するものがある。この様な好気性の生物処理を行う攪拌槽として、両端が開放された円筒体を、軸方向が垂直になるように攪拌槽の中央部に設置し、その円筒体の上端部分に吐出口を配置して下方に向かってその吐出口から空気と汚水とを吐出することで汚水の循環流を形成する攪拌槽が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。その他、生物処理を行う目的以外でも、例えば2種類以上の流体を混合する目的や、流体中に各種粉末や薬品等を均一に分散させる目的などで攪拌槽が用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-83095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近ではさらに攪拌性能が高い攪拌槽が望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、攪拌性能が高い攪拌槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明の攪拌槽は、受け入れた液体を攪拌する攪拌槽であって、
下端がこの攪拌槽の底面から離間して配置され、該下端から上方向に向かって延在し、該下端と上端が開放された筒体と、
前記筒体の内周面によって画定された内部空間に液体を吐出する吐出口と、
前記筒体よりも外側に配置された環状をした環状供給管とを備え、
前記吐出口は、前記環状供給管に接続された複数のノズルそれぞれに形成され、前記下端近傍から上方に向かって液体を吐出するものであることを特徴とする。
【0007】
この攪拌槽において、前記吐出口は、この攪拌槽の外部に配置されたポンプから供給された液体を吐出するものであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、攪拌性能が高い攪拌槽を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に相当する嫌気槽および曝気槽を備えた高度処理設備の平面図である。
図2図1に示した高度処理設備のA-A断面図である。
図3】(a)は、図1のB部拡大図であり、(b)は、図2のC部拡大図である。
図4図2に示した高度処理設備のD-D断面図である。
図5】(a)は、図1のE部拡大図であり、(b)は、図2のF部拡大図である。
図6図2に示した高度処理設備のG-G断面図である。
図7】(a)は、第2実施形態の高度処理設備に設けられた第2攪拌装置における、図5(a)と同様の拡大図であり、(b)は、第2実施形態の高度処理設備に設けられた第2攪拌装置における、図5(b)と同様の拡大図である。
図8】第3実施形態の高度処理設備における、図2と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の一実施形態である攪拌槽は、汚水処理設備に配置され、汚水から窒素やリン等を除去するため、嫌気性の生物処理や無酸素状態での生物処理の後に好気性の生物処理を行う攪拌槽である。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に相当する嫌気槽および曝気槽を備えた高度処理設備の平面図である。この図1では、天井などがある上側部分を省略して高度処理設備を示している。また、図2は、図1に示した高度処理設備のA-A断面図である。
【0012】
図1に示すように、高度処理設備1は、平面視で長方形をした設備であり、左側壁11と右側壁12の間に嫌気性の生物処理を行う嫌気槽2と好気性の生物処理を行う曝気槽3とをそれぞれを複数備えている。これらの嫌気槽2および曝気槽3それぞれは、攪拌槽の一例に相当する。以下、高度処理設備1の短手方向(図1における上下方向)を幅方向と称する。この高度処理設備1は、汚水処理施設において、砂などの混入物が取り除かれた汚水に対して生物処理を行う設備である。この高度処理設備1には、図示しない沈砂池および最初沈殿池において処理された下水および雨水などの汚水が流入してくる。この流入してくる汚水は、液体の一例に相当する。高度処理設備1は、図1における左側から汚水を受け入れる。高度処理設備1が受けれた汚水には、沈砂池等で除去しきれないごみや有機分が含まれている。また、生物処理を行うために、高度処理設備1よりも下流側に設けられた図示しない最終沈殿池から微生物を多く含む活性汚泥が嫌気槽2に供給される。以下、上述のごみと有機分と活性汚泥を合わせて汚泥等と称する。高度処理設備1が受け入れた汚水は、嫌気槽2および曝気槽3それぞれにおいて図1における右側に向かってゆっくりと流れていく(図1に示す直線の矢印参照)。以下、受け入れた汚水の流れにおける上流側を、単に上流側と称し、汚水の流れの下流側を、単に下流側と称する。
【0013】
高度処理設備1における上流側には、汚水の流れ方向に対して並列に2列で各列に4つずつ、合計で8つの嫌気槽2が設けられている。以下、汚水の流れ方向を長手方向と称する。また、高度処理設備1における下流側には、長手方向に対して並列に2列で各列に2つずつ、合計で4つの曝気槽3が設けられている。各列の間には中央壁13が形成されており、この中央壁13によって一方の列の嫌気槽2または曝気槽3が受け入れた汚水は、他方の列の嫌気槽2または曝気槽3に流れ込むことが防止されている。同じ列にある、嫌気槽2どうしの間、曝気槽3どうしの間、および嫌気槽2と曝気槽3の間には仕切壁14が設けられている。この仕切壁14によって、同じ列にある、嫌気槽2どうしの間、曝気槽3どうしの間、および嫌気槽2と曝気槽3の間は仕切られている。ただし、仕切壁14下端部の幅方向中央部分には、流入開口14aが形成されている。各列における最も上流側の嫌気槽2が受け入れた汚水は、これらの流入開口14aを通過して下流側に流れていく。各列の嫌気槽2および曝気槽3は、中央壁13を中心として対称形に形成されているので、以下の説明では、図1における下側の列にある嫌気槽2および曝気槽3について説明し、図1における上側の列にある嫌気槽2および曝気槽3の説明は省略する。
【0014】
上流側から3つ目までの嫌気槽2の長手方向の長さは同一である。上流側から3つ目までの嫌気槽2に対して、嫌気槽2のうち最も下流側に配置された嫌気槽2は、長手方向の長さが長く形成されている。また、2つの曝気槽3の長手方向の長さは同一である。そして、最も下流側に配置された4つの嫌気槽2の長手方向の長さは、曝気槽3の長手方向の長さとほぼ同一である。
【0015】
上流側から3つ目までの3つの嫌気槽2それぞれは、第1筒体4と、第1流体供給部5と、その第1流体供給部5に汚水を供給するための第1供給管6を備えている。以下、第1筒体4と第1流体供給部5と第1供給管6とをあわせて第1攪拌装置K1と称する。第1筒体4と第1流体供給部5は、上流側から3つ目までの嫌気槽2の平面視における中央部に配置されている。最も下流側に配置された嫌気槽2および2つの曝気槽3それぞれは、第2筒体7と、第2流体供給部8と、その第2流体供給部8に汚水を供給するための第2供給管9を備えている。以下、第2筒体7と第2流体供給部8と第2供給管9とをあわせて第2攪拌装置K2と称する。第2筒体7と第2流体供給部8は、最も下流側の嫌気槽2の平面視における中央部と、曝気槽3の平面視における中央部に配置されている。第1流体供給部5および第2流体供給部8に供給される汚水は、高度処理設備1内に配置された不図示のポンプから吸い上げられた汚水である。この第1流体供給部5および第2流体供給部8供給される汚水は、流体の一例に相当する。
【0016】
図2に示すように、上流側から3つ目までの嫌気槽2に配置された第1筒体4は、嫌気槽2の下側部分に、嫌気槽2の底面2aから離間して配置されている。最も下流側に配置された嫌気槽2に配置れた第2筒体7は、嫌気槽2の下側部分に、嫌気槽2の底面2aから離間して配置されている。また、2つの曝気槽3に配置された第2筒体7は、曝気槽3の下側部分に、曝気槽3の底面3aから離間して設置されている。なお、第1筒体4の下端42a(図3(b)参照)の高さは、第2筒体7の下端72a(図5(b)参照)の高さと同一である。図2には、嫌気槽2の通常時の水位である標準水位WLも示されている。第1筒体4の下端42aの高さおよび第2筒体7の下端72aの高さは、この標準水位WLの略1/6である。第1筒体4の下端42aおよび第2筒体7の下端72aは、底面2a,3aから100mm以上、上にあることが望ましい。100mm未満では、第1筒体4の下端42aおよび第2筒体7の下端72aと嫌気槽2の底面2aとが近くなりすぎて、それらの下端42a、72a周辺から、後述する第1内部空間S1(図3(a)参照)に汚水を吸い込みにくくなる。また、第1筒体4の上端の高さは、標準水位WLの略1/3であり、第2筒体7の上端71a(図5(b)参照)の高さは、標準水位WLの略2/5である。第1筒体4の上端および第2筒体7の上端71aは、標準水位WLから500mm以上、下にあることが望ましい。500mm未満では、後述する第1吐出口53a(図3(a)参照)または第2吐出口83a(図5(a)参照)から汚水を吐出した時に、水面に達する汚水の流れが強くなって大気中に噴出した汚水が空気を引き込み、汚水に空気が混入してしまう虞がある。上流側から3つ目までの嫌気槽2に設けられた第1攪拌装置K1は同一の構成をしているので、以下の説明では最も上流側の嫌気槽2に設けられた第1攪拌装置K1について説明し、上流側から2つ目および3つ目の嫌気槽2に設けられた第1攪拌装置K1の説明は省略する。
【0017】
図3(a)は、図1のB部拡大図である。この図3(a)は第1筒体および第1流体供給部の平面図に相当する。また、図3(b)は、図2のC部拡大図である。この図3(b)は、第1筒体および第1流体供給部の正面図に相当する。
【0018】
図3(b)に示すように、第1筒体4は、その下端42aから上方向に向かって延在し、下端42aと上端41aが開放された円筒状をしている。つまり、第1筒体4は、軸方向が垂直方向の、両端が開放された円筒体である。ただし、第1筒体4は、角筒体であってもよく、断面が楕円状の筒体であってもよい。第1筒体4は、その上端41a部分に、上端41aに向かうに従って第1筒体4の延在方向と直交する放射方向に漸次広がった形状をした第1上端拡径部41を有している。また、第1筒体4は、その下端42a部分に、下端42aに向かうに従って第1筒体4の延在方向と直交する放射方向に漸次広がった形状をした第1下端拡径部42を備えている。この第1筒体4は、板厚6mmのステンレス鋼板を円筒状に成形したものである。第1筒体4の上端41aと下端42aの内径は、共に988mmである。また、第1筒体4のうち第1上端拡径部41と第1下端拡径部42を除く部分の内径は788mmである。図3(a)に示すように、第1筒体4の内周面4aによって第1内部空間S1が画定されている。
【0019】
図3(b)に示すように、第1筒体4の外周面4bには、第1保持片43が溶接によって固定されている。嫌気槽2の底面2aには、コンクリート製の台座21が形成されている。この台座21には、脚体22がアンカーボルトによって固定されている。第1保持片43は、脚体22の上端部にボルトによって固定されている。すなわち、第1筒体4は、脚体22によって嫌気槽2の平面視における中央部分に固定されている。
【0020】
図3(a)に示すように、第1流体供給部5は、第1流体受入口51と、第1環状供給管52と、4つの第1ノズル53とを備えている。なお、第1ノズル53の数は、嫌気槽2と第1筒体4の大きさ等に応じて適宜設定すればよい。第1流体受入口51には、第1供給管6が接続されている。第1供給管6内を通して供給される汚水は、第1流体受入口51を通過して第1環状供給管52内に供給される。第1環状供給管52は、平面視で略8角形をした管である。第1環状供給管52を環状にすることで、一つの第1流体受入口51を設けるだけで、4つの第1ノズル53に汚水を供給できる。第1環状供給管52は、平面視で第1筒体4の軸心4cと同じ位置に幾何中心を有する。また、第1環状供給管52は、第1筒体4の外側に、第1筒体4とは離間して配置されている。換言すれば、第1環状供給管52の内接円よりも第1筒体4の下端42aで形成される円の方が小さい。第1環状供給管52と第1筒体4を離間して配置することで、第1筒体4外部から第1内部空間S1内に向かう汚水の流れが阻害されにくくなる。なお、嫌気槽2の底面2aから上方に向かって突出し、第1環状供給管52の下端部に接触した不図示の支持体に支持されることで、第1環状供給管52は、嫌気槽2の底面2aから離間した所定の位置に保持されている。
【0021】
第1環状供給管52には、内周方向に向かって等間隔に4つの第1分岐部521が形成されている。各第1分岐部521の先端には、第1ノズル53が接続されている。第1ノズル53の先端には第1吐出口53aが形成されている。第1ノズル53は、L字状をした丸パイプの先端部分を扁平状につぶして形成されたものである。第1ノズル53は、丸パイプを扁平状につぶして形成されてるので、第1ノズル53を通過して第1吐出口53aから吐出される汚水の吐出圧を高めることができる。また、第1ノズル53は、丸パイプをつぶすだけで作製できるので作製が容易である。第1ノズル53の後端側は、第1筒体4の軸心4cに向かって延びている。また、第1ノズル53の先端側は、上方に向かって延びている。換言すれば、第1ノズル53の先端側は垂直方向に延在している。
【0022】
第1吐出口53aは、略楕円形状をしている。この第1吐出口53aは、第1筒体4の円周方向に長軸を有し、第1筒体4の径方向に短軸を有するように形成されている。図3(b)に示すように、第1ノズル53の先端側部分は、第1筒体4の下端42aから第1内部空間S1内に入り込んでいる。従って、第1吐出口53aは、第1筒体4の下端42a近傍であって、第1内部空間S1内に配置されている。第1環状供給管52内に供給された汚水は、4つの第1ノズル53に形成された第1吐出口53aそれぞれから、第1内部空間S1に吐出される。ただし、第1吐出口53aは、第1内部空間S1に汚水を吐出できる範囲であれば第1内部空間S1内に配置されていなくてもよく、例えば第1筒体4の下端42aで構成される面上に配置されていてもよい。すなわち、第1吐出口53aは、第1筒体4の下端42a近傍に配置されていることが好ましい。なお、第1吐出口53aを第1内部空間S1の外側であって第1内部空間S1から遠く離れた位置に配置すると、第1内部空間S1に向かって吐出した汚水の一部が第1内部空間S1に流れ込まない虞がある。このため、第1吐出口53aを第1内部空間S1の外側に配置する場合、第1吐出口53aは第1筒体4の下端42aに近接させて配置することが望ましく、第1内部空間S1内または第1筒体4の下端42aで構成される面上に配置することがより望ましい。
【0023】
図3(a)に示すように、第1吐出口53aは全て、第1筒体4の軸心4cに対して放射方向に離れた位置に配置されている。第1吐出口53aから汚水を吐出すると、4つの第1吐出口53aそれぞれの位置において、周囲の汚水を巻き込んだ水流が発生する。第1筒体4の軸心4cから離れた位置に第1吐出口53aを配置することで、広範囲の汚水を巻き込むことができるので、各第1筒体4の外側にある汚水を巻き込みやすくなり、大量の汚水を第1内部空間S1内に吸い込むことができる。さらに、第1筒体4の軸心4cに向かって延びることで第1筒体4の下端42aを覆ってしまう第1ノズル53の後端側の長さが短くてすむので、第1筒体4外部から第1内部空間S1内に向かう汚水の流れが阻害されにくくなる。これらにより、より大量の汚水を第1内部空間S1内に吸い込むことができる。また、本実施形態における4つの第1吐出口53aは、第1筒体4の軸心4cを中心とした円周状に均等間隔に配置されている。このため、4つの第1吐出口53aそれぞれが巻き込む周囲の汚水の範囲が重複しにくくなるので、周囲の液体を広範囲で巻き込むことができる。これにより、大量の汚水を第1内部空間S1内に吸い込むことができる。
【0024】
図4は、図2に示した高度処理設備のD-D断面図である。この図4では、第1供給管の中間部分を簡略化して示している。
【0025】
図4に示すように、第1供給管6は、嫌気槽2の下方において水平方向に延在し、右側壁12の近傍で90度屈曲して右側壁12に沿って嫌気槽2の上方に向かって延在している。この第1供給管6には、嫌気槽2よりも上方に延びた部分に第1汚水流量調整弁61および第1汚水電動弁62が設置されている。この第1供給管6は、高度処理設備1内に配置された不図示のポンプに接続されている。不図示のポンプが吸い上げた汚水は、第1汚水電動弁62が開放された状態では、第1供給管6および第1環状供給管52を通して第1ノズル53に供給され、第1ノズル53に設けられた第1吐出口53aから吐出される。なお、仕切壁14の上部には、流入開口14aと同様に、汚水が通過可能な上部流入口14bが2つ設けられている。嫌気槽2の標準水位WLは、この上部流入口14bの下端よりも少し上に位置している。
【0026】
次に、第2攪拌装置K2について説明する。第2攪拌装置K2は、機能としては第1攪拌装置K1と同様であるため第1攪拌装置K1と重複する説明もあるが、重複する部分も含めて説明する。
【0027】
図5(a)は、図1のE部拡大図である。この図5(a)は第2筒体および第2流体供給部の平面図に相当する。また、図5(b)は、図2のF部拡大図である。この図4(b)は、第2筒体および第2流体供給部の正面図に相当する。
【0028】
最も下流側に配置された曝気槽3に設けられた第2攪拌装置K2と、2つの曝気槽3にそれぞれ設けられた第2攪拌装置K2は、後述するナノバブル水の供給有無を除いて同一の構成をしているので、以下の説明では最も下流側に配置された曝気槽3に設けられた第2攪拌装置K2について説明し、下流側から2番目に配置された曝気槽3に設けられた第2攪拌装置K2と、最も下流側に配置された嫌気槽2に設けられた第2攪拌装置K2の説明は省略する。
【0029】
図5(b)に示すように、第2筒体7は、下端から上方向に向かって延在し、下端72aと上端71aが開放された円筒状をしている。つまり、第2筒体7は、軸方向が垂直方向の、両端が開放された円筒体である。ただし、第2筒体7は、角筒体であってもよく、断面が楕円状の筒体であってもよい。第2筒体7は、その上端部分に、上端に向かうに従って第2筒体7の延在方向と直交する放射方向に漸次広がった形状をした第2上端拡径部71を有している。また、第2筒体7は、その下端部分に、下端に向かうに従って第2筒体7の延在方向と直交する放射方向に漸次広がった形状をした第2下端拡径部72を備えている。この第2筒体7は、板厚6mmのステンレス鋼板を円筒状に成形したものである。第2筒体7の上端71aと下端72aの内径は、共に1488mmである。また、第2筒体7のうち第2上端拡径部71と第2下端拡径部72を除く部分の内径は1288mmである。図3(a)に示すように、第2筒体7の内周面7aによって第2内部空間S2が画定されている。
【0030】
図5(b)に示すように、第2筒体7の外周面7bには、第2保持片73が溶接によって固定されている。曝気槽3の底面3aには、コンクリート製の台座31が形成されている。この台座31には、脚体32がアンカーボルトによって固定されている。第2保持片73は、脚体32の上端部にボルトによって固定されている。すなわち、第2筒体7は、脚体32によって曝気槽3の平面視における中央部分に固定されている。
【0031】
図5(a)に示すように、第2流体供給部8は、第2流体受入口81と、第2環状供給管82と、6つの第2ノズル83とを備えている。なお、第2ノズル83の数は、曝気槽3と第2筒体7の大きさ等に応じて適宜設定すればよい。第2流体受入口81には、第2供給管9が接続されている。第2供給管9内を通して供給される汚水は、第2流体受入口81を通過して第2環状供給管82内に供給される。第2環状供給管82は、平面視で略6角形をした管である。第2環状供給管82を環状にすることで、一つの第2流体受入口81を設けるだけで、6つの第2ノズル83に汚水を供給できる。第2環状供給管82は、平面視で第2筒体7の軸心7cと同じ位置に幾何中心を有する。また、第2環状供給管82は、第2筒体7の外側に、第2筒体7とは離間して配置されている。換言すれば、第2環状供給管82の内接円よりも第2筒体7の下端72aで形成される円の方が小さい。第2環状供給管82と第2筒体7を離間して配置することで、第2筒体7外部から第2内部空間S2内に向かう汚水の流れが阻害されにくくなる。なお、曝気槽3の底面3aから上方に向かって突出し、第2環状供給管82の下端部に接触した不図示の支持体に支持されることで、第2環状供給管82は、曝気槽3の底面3aから離間した所定の位置に保持されている。
【0032】
第2環状供給管82には、内周方向に向かって等間隔に6つの第2分岐部821が形成されている。各第2分岐部821の先端には、第2ノズル83が接続されている。第2ノズル83の先端には第2吐出口83aが形成されている。第2ノズル83は、L字状をした丸パイプの先端部分を扁平状につぶして形成されたものである。第2ノズル83は、丸パイプを扁平状につぶして形成されてるので、第2ノズル83を通過して第2吐出口83aから吐出される汚水の吐出圧を高めることができる。また、第2ノズル83は、丸パイプをつぶすだけで作製できるので作製が容易である。第2ノズル83の後端側は、第2筒体7の軸心7cに向かって延びている。また、第2ノズル83の先端側は、上方に向かって延びている。換言すれば、第2ノズル83の先端側は垂直方向に延在している。
【0033】
第2吐出口83aは、略楕円形状をしている。この第2吐出口83aは、第2筒体7の円周方向に長軸を有し、第2筒体7の径方向に短軸を有するように形成されている。図5(b)に示すように、第2ノズル83の先端側部分は、第2筒体7の下端72aから第2内部空間S2内に入り込んでいる。従って、第2吐出口83aは、第2筒体7の下端72a近傍であって、第2内部空間S2内に配置されている。第2環状供給管82内に供給された汚水は、6つの第2ノズル83に形成された第2吐出口83aそれぞれから、第2内部空間S2に吐出される。ただし、第2吐出口83aは、第2内部空間S2に汚水を吐出できる範囲であれば第2内部空間S2内に配置されていなくてもよく、例えば第2筒体7の下端72aで構成される面上に配置されていてもよい。すなわち、第2吐出口83aは、第2筒体7の下端72a近傍に配置されていることが好ましい。なお、第2吐出口83aを第2内部空間S2の外側であって第2内部空間S2から遠く離れた位置に配置すると、第2内部空間S2に向かって吐出した汚水の一部が第2内部空間S2に流れ込まない虞がある。このため、第2吐出口83aを第2内部空間S2の外側に配置する場合、第2吐出口83aは第2筒体7の下端72aに近接させて配置することが望ましく、第2内部空間S2内または第2筒体7の下端72aで構成される面上に配置することがより望ましい。
【0034】
図5(a)に示すように、6つの第2吐出口83aは全て、第2筒体7の軸心7cに対して放射方向に離れた位置に配置されている。第2吐出口83aから汚水を吐出すると、6つの第2吐出口83aそれぞれの位置において、周囲の汚水を巻き込んだ水流が発生する。第2筒体7の軸心7cから離れた位置に第2吐出口83aを配置することで、広範囲の汚水を巻き込むことができるので、各第2筒体7の外側にある汚水を巻き込みやすくなり、大量の汚水を第2内部空間S2内に吸い込むことができる。さらに、第2筒体7の軸心7cに向かって延びることで第2筒体7の下端72aを覆ってしまう第2ノズル83の後端側の長さが短くてすむので、第2筒体7外部から第2内部空間S2内に向かう汚水の流れが阻害されにくくなる。これらにより、より大量の汚水を第2内部空間S2内に吸い込ませることができる。また、本実施形態における6つの第2吐出口83aは、第2筒体7の軸心7cを中心とした円周状に均等間隔に配置されている。このため、6つの第2吐出口83aそれぞれが巻き込む周囲の汚水の範囲が重複しにくくなるので、周囲の液体を広範囲で巻き込むことができる。これにより、大量の汚水を第2内部空間S2内に吸い込むことができる。
【0035】
図6は、図2に示した高度処理設備のG-G断面図である。この図6では、第2供給管の中間部分を簡略化して示している。
【0036】
図6に示すように、第2供給管9は、曝気槽3の下方において水平方向に延在し、右側壁12の近傍で90度屈曲して右側壁12に沿って曝気槽3の上方に向かって延在している。この第2供給管9は、曝気槽3よりも上方に延びた部分で分岐している。分岐した一方の第2供給管9は、高度処理設備1内に配置された不図示のポンプに接続されている。不図示のポンプが吸い上げた汚水は、第2供給管9および第2環状供給管82を通して第2ノズル83に供給され、第2ノズル83に設けられた第2吐出口83aから吐出される。この分岐した一方の第2供給管9には、第2汚水流量調整弁91および第2汚水電動弁92が設置されている。分岐した他方の第2供給管9には、ナノバブル水の供給装置が接続されている。ナノバブル水は、直径が1μm以下のナノバブルを含有する水である。この分岐した他方の第2供給管9には、第2バブル量調整弁93および第2バブル水電動弁94が設置されている。なお、曝気槽3に設けられた第2攪拌装置K2では、第2汚水電動弁92および第2バブル水電動弁94はメンテンナンス時などの特殊な状況を除く通常時は開放状態になっているが、嫌気槽2に設けられた第2攪拌装置K2では、第2バブル水電動弁94は常時閉塞状態になっている。また、嫌気槽2を曝気槽3に切り替えたい場合には、第2バブル水電動弁94を閉塞状態から開放状態に状態変化させるだけで、嫌気槽2から曝気槽3に切り替えることができる。曝気槽3においては、ナノバブル水が混入した汚水が流体の一例に相当する。
【0037】
次に、第1吐出口53aまたは第2吐出口83aから汚水を吐出させときの作用について主に図4および図6を用いて説明する。嫌気槽2および曝気槽3では、メンテンナンス時などの特殊な状況を除き、常に第1吐出口53aまたは第2吐出口83aから汚水を吐出させている。以下、第1吐出口53aまたは第2吐出口83aのうちの一方を指して第1吐出口53a等と称する。第1吐出口53a等から吐出された汚水は、周囲の汚水を巻き込みながら第1筒体4内または第2筒体7内を上方に向かって流れていき、上端41a、71aよりも上方では図4および図6に曲線の矢印で示したように嫌気槽2および曝気槽3の周辺側に向かって広がっていく。これにより、嫌気槽2および曝気槽3の平面視における中央では上方への流れが発生し、嫌気槽2および曝気槽3の平面視における周辺部では下方への流れが発生し、全体として循環流が形成される。このとき、第1吐出口53aおよび第2吐出口83aから吐出される汚水の吐出流速は、2m/sec以上32m/sec以下が好ましい。吐出流速が2m/sec未満だと、形成される嫌気槽2および曝気槽3内の循環流が弱く、汚泥等を循環させることができなくなってしまう虞がある。吐出流速が32m/secを超えると、循環流の流れが強くなりすぎて、水面に達した汚水が周囲に飛び散ってしまう。また、嫌気槽2では、水面に達した汚水が空気を引き込んで汚水に空気が供給されてしまうという問題も生じる。
【0038】
次に、第2実施形態の高度処理設備について説明する。これより後の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0039】
図7(a)は、第2実施形態の高度処理設備に設けられた第2攪拌装置における、図5(a)と同様の拡大図であり、図7(b)は、第2実施形態の高度処理設備に設けられた第2攪拌装置における、図5(b)と同様の拡大図である。
【0040】
図7(a)および図7(b)に示す第2攪拌装置K2は、先の実施形態に示した第2攪拌装置K2とは、第2吐出口83aから吐出される汚水の向きが異なる。図7(b)に示すように、第2ノズル83の先端側は、垂直方向に対して第2筒体7の軸心7cを中心とした円周方向に45度傾斜している。このため、第2吐出口83aからは、円周方向に45度傾斜した角度で汚水が吐出される。吐出された汚水は、図7(b)において2点鎖線の矢印で示したように、周囲の汚水を巻き込みつつ、第2筒体7の内周面7aに沿って斜め45度にらせん状に上昇し、第2内部空間S2に渦巻流を形成する。渦巻流は遠心力を有するため、第2筒体7の上端71aを超えた後は第2筒体7の軸心7cに対する放射方向に拡がりやすい。これにより曝気槽3の周辺部の隅々まで広がった循環流が形成されやすくなる。また、第2内部空間S2内をらせん状に上昇している過程で、ナノバブルなどの気泡は第2筒体7の内周面7aに衝突してさらに細かな気泡に分裂する。分裂することで気泡の表面積が増えるので、好気性の生物が気泡に触れる量が増え、生物処理の効率を高めることができる。なお、第2吐出口83aから吐出される汚水の向きは、第2筒体7の上端71aに向かう渦巻流が生成される角度であれば何度でも構わない。また、この図7(a)および図7(b)に示す第2攪拌装置K2の考え方は、図3(a)および図3(b)に示した第1攪拌装置K1にも適用できる。
【0041】
次に、第3実施形態の高度処理設備について説明する。図8は、第3実施形態の高度処理設備における、図2と同様の断面図である。
【0042】
図8に示す高度処理設備1は、先の実施形態に示した高度処理設備1とは、嫌気槽2の底部に第1突出部25を設けている点と、曝気槽3の底部に第2突出部35を設けている点が異なる。図8に示すように、嫌気槽2には、その底面2aから第1筒体4の下端42aに向かって突出した第1突出部25が形成されている。この第1突出部25は、突出端25aが平坦面に形成されている。また、第1突出部25の側面25bはテーパ状に形成されている。すなわち、第1突出部25は、突出端25aに向かうに従って漸次細くなるテーパ部を有している。側面25bにテーパ部を有する第1突出部25を設けることで、嫌気槽2の底部には、テーパ部に沿った液体の流れが生じる。このため、第1筒体4よりも下方に形成される循環流の流れが第1筒体4の下端42aに向かって滑らかになる。
【0043】
同様に、曝気槽3にも、その底面3aから第2筒体7の下端72aに向かって突出した第2突出部35が形成されている。この第2突出部35は、突出端35aが平坦面に形成されている。また、第2突出部35は、突出端35aに向かうに従って漸次細くなるテーパ部を有している。この第2突出部35によっても、上述の第1突出部25と同じ効果がある。
【0044】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、曝気槽3において、第2供給管9を分岐させて汚水とナノバブル水とを第2供給管9内で混合させて第2吐出口83aから吐出しているが、第2吐出口83aからは汚水のみを吐出させ、第2吐出口83aとは別に、ナノバブル水等の気泡が含まれる液体または気体のみを吐出する別の吐出口を第2筒体7の下端72a近傍に配置してもよい。また、上述の実施形態では、第1吐出口53aは、上方に向かって汚水を吐出していたが、下方に向かって汚水を吐出する態様としてもよい。この態様において、第1吐出口53aは、第1内部空間S1の上端41a近傍に配置されいていることが望ましく、第1内部空間S1内または第1筒体4の上端41aで構成される面上に配置されていていることがより望ましい。同様に、第2吐出口83aは、下方に向かって汚水を吐出する態様としてもよい。この態様において、第2吐出口83aは、第2内部空間S2の上端71a近傍に配置されいていることが望ましく、第2内部空間S2内または第2筒体7の上端71aで構成される面上に配置されていていることがより望ましい。また、嫌気槽2や曝気槽3以外にも、2種類以上の流体を混合するための攪拌槽や、流体中に各種粉末や薬品等を均一に分散させるための攪拌槽等に第1攪拌装置K1または第2攪拌装置K2を設置してもよい。
【0045】
以上説明した実施形態によれば、複数の第1吐出口53aを配置し、それぞれの第1吐出口53aから第1内部空間S1に汚水を吐出することで、単一の吐出口から汚水を吐出する場合と比較して、吐出する汚水の量が少なくても第1筒体4外部の汚水を吸い込んで強い循環流を形成することができる。また、同様に複数の第2吐出口83aから第2内部空間S2に汚水を吐出することで、吐出する汚水の量が少なくても第2筒体7外部の汚水を吸い込んで強い循環流を形成することができる。これらにより、廉価なポンプを用いても攪拌性能が高い攪拌槽を構成することができる。
【0046】
なお、以上説明した実施形態の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、実施形態に適用してもよい。
【0047】
以上説明した攪拌槽は、受け入れた液体を攪拌する攪拌槽であって、
下端がこの攪拌槽の底面から離間して配置され、該下端から上方向に向かって延在し、該下端と上端が開放された筒体と、
前記筒体の内周面によって画定された内部空間に流体を吐出する複数の吐出口とを備えていることを特徴としてもよい。
【0048】
しかしながら、この特許文献1に記載された攪拌槽では、円筒体の軸心部分に吐出口を一つ配置し、その吐出口から吐出した流体で攪拌槽全体を攪拌している。このため、高い攪拌性能を得るためには流体を大量に吐出しなければならず、高性能な大容量ポンプ等の高価な設備が必要になるという問題があった。このため、攪拌槽が高価になっていた。
【0049】
以上説明した攪拌槽は、受け入れた液体を攪拌する攪拌槽であって、
下端がこの攪拌槽の底面から離間して配置され、該下端から上方向に向かって延在し、該下端と上端が開放された筒体と、
前記筒体の内周面によって画定された内部空間に液体を吐出する複数の吐出口と、
前記複数の吐出口に液体を供給する第1の供給管と、
前記複数の吐出口に気泡を含有する液体を選択的に供給する第2の供給管とを備えていることを特徴とする。
【0050】
ここで前記吐出口は、前記内部空間内に配置されたものであってよく、該内部空間の外に配置されたものであってもよい。また、前記吐出口は、液体のみを吐出するものであってもよく、気泡を含有する液体を吐出するものであってもよい。また、気体または気泡を含有する液体を前記内部空間に吐出する気体用吐出口を前記吐出口とは別に設けてもよい。さらに、これらの気泡は、直径が1μm以下のナノバブルであってもよい。また、前記筒体は、円筒状をしたものであってもよく、角筒状をしたものであってもよい。また、前記吐出口は、前記下端近傍から上方に向かって液体を吐出するものであってもよく、前記上端近傍から下方に向かって液体を吐出するものであってもよい。
【0051】
この攪拌槽によれば、前記上端近傍または前記下端近傍の一方に配置された複数の前記吐出口から前記内部空間に流体を吐出することで、一つの吐出口から該内部空間に流体を吐出する場合と比較して、吐出する流体の量が少なくても前記上端または前記下端から前記筒体外部の液体を大量に吸い込んで強い循環流を形成することとができる。これにより、廉価な液体供給手段を用いても攪拌性能が高い攪拌槽を構成できる。
【0052】
この攪拌槽において、前記複数の吐出口は、前記筒体の軸心に対して放射方向に離れた位置に配置されているものであってもよい。
【0053】
前記吐出口は、該吐出口毎に周囲の液体を巻き込んで水流を作るので、該吐出口を前記筒体の軸心に対して放射方向に離れた位置に配置することで、該筒体の外部の液体を前記内部空間に吸い込みやすくなる。また、前記吐出口につながる配管またはノズルにおける、前記上端または前記下端を覆う部分が短くてすむので、前記筒体外部から前記内部空間に向かう液体の流れを該配管または該ノズルが阻害しにくくなる。これらにより、大量の液体を前記内部空間に吸い込みやすくなる。
【0054】
さらに、この攪拌槽において、前記複数の吐出口は、前記筒体の軸心を中心とした円周上に均等間隔に配置されているものであってもよい。
【0055】
こうすることで、前記吐出口が吐出する液体によって巻き込む周囲の液体の範囲が隣り合う吐出口との間で重複しにくくなるので、広い範囲で周囲の液体を巻き込むことができる。これにより、大量の液体を前記内部空間に吸い込んで強い循環流を形成することができる。
【0056】
また、この攪拌槽において、前記複数の吐出口は、前記筒体の軸心を中心とした円周方向に傾斜した方向に向かって流体を吐出するものであってもよい。
【0057】
こうすることで、前記内部空間に渦巻流を形成することができる。渦巻流を形成することで、前記筒体の他端から放出された流体が該筒体の軸心に対する放射方向に広がりやすくなり、前記攪拌槽の隅まで広がった循環流が形成されやすくなる。また、気泡を含有する流体を用いる場合は、気泡が前記筒体の内周面に衝突して細かな気泡に分裂しやすくなるため、気泡の表面積が増えて好気性の生物処理の効率を高めることができる。
【0058】
また、この攪拌槽において、前記底面から前記下端に向かって突出した突出部を備え、
前記突出部は、突出端に向かうに従って漸次細くなるテーパ部を有するものであってもよい。
【0059】
前記テーパ部を有する前記突出部を設けることで、該テーパ部に沿って滑らかに前記内部空間に向かう液体の流れが生じる。このため、強い循環流がより形成されやすくなる。
【0060】
以上によれば、攪拌性能が高く廉価な攪拌槽を提供することができる。
【0061】
また、以上説明した攪拌槽は、受け入れた液体を攪拌する攪拌槽であって、
下端がこの攪拌槽の底面から離間して配置され、該下端から上方向に向かって延在し、該下端と上端が開放された筒体と、
前記筒体の内周面によって画定された内部空間に液体を吐出する吐出口とを備え、
前記吐出口は、前記内周面から前記筒体の軸心側に離間し、該軸心からも放射方向に離れた複数の位置に配置され、前記下端近傍から上方に向かって液体を吐出するものであることを特徴とする。
【0062】
この攪拌槽において、前記吐出口は、前記軸心を中心とした円周状に均等間隔に配置されたものであってもよい。
【0063】
また、この攪拌槽において、前記筒体よりも外側に配置された環状をした環状供給管を備え、
前記吐出口は、前記環状供給管に接続されたノズルに形成されたものであってもよい。
【0064】
さらに、この攪拌槽において、前記吐出口は、前記筒体の径方向につぶれた扁平状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 高度処理設備
2 嫌気槽
3 曝気槽
4 第1筒体
4a、7a 内周面
7 第2筒体
53a 第1吐出口
83a 第2吐出口
S1 第1内部空間
S2 第2内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8