(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010971
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20240118BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20240118BHJP
【FI】
B60W30/06
B60R99/00 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112606
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 直人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 恵一
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD07
3D241CD11
3D241CE04
3D241CE05
3D241CE08
3D241DA12Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB32Z
3D241DC33Z
(57)【要約】
【課題】運転者等がよく利用する駐車領域への駐車について、学習処理に伴う負荷を軽減しつつ、駐車支援を実現する。
【解決手段】駐車支援装置が、車両を駐車領域に駐車するごとに駐車領域の位置情報を含む駐車情報を登録し、所定条件を満たす駐車領域を、駐車支援の対象駐車領域として学習して駐車情報に更に登録する駐車情報学習部と、対象駐車領域の位置情報及び車両の現在の位置情報に基づいて、車両が対象駐車領域から所定距離内に接近したか否かを判定し、車両が所定距離内に接近したときに、対象駐車領域への駐車支援の自動制御を実行する駐車制御部と、を含む。駐車情報学習部は、駐車情報に基づいて、駐車領域に対する駐車状況が複数の駐車パターンのいずれに該当するかを判定し、判定された駐車パターンが所定のパターンに合致するときには、駐車領域に関する駐車情報の更なる登録を行わない。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駐車領域に駐車するごとに当該駐車領域の位置情報を含む駐車情報を登録し、当該駐車情報に含まれる駐車領域のうち所定条件を満たす駐車領域を、駐車支援の対象駐車領域として学習して前記駐車情報に更に登録する駐車情報学習部と、
前記対象駐車領域の位置情報及び前記車両の現在の位置情報に基づいて、前記車両が前記対象駐車領域から所定距離内に接近したか否かを判定し、前記車両が当該所定距離内に接近したときに、前記車両を当該対象駐車領域に駐車するための駐車支援の自動制御を実行する駐車制御部と
を含み、
前記駐車情報学習部は、前記駐車情報に基づいて、前記駐車領域に対する駐車状況が複数の駐車パターンのいずれに該当するかを判定し、判定された前記駐車パターンが所定のパターンに合致するときには、当該駐車領域に関する前記駐車情報の更なる登録を行わない、
駐車支援装置。
【請求項2】
前記駐車パターンは、前記駐車領域に対する駐車頻度及び平均駐車時間の少なくともいずれか一方に基づいて駐車状況を分類したパターンである、請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記駐車情報学習部は、判定された前記駐車パターンが前記駐車領域に対する駐車頻度が所定値以上であるパターンである場合、または、判定された前記駐車パターンが前記駐車領域に対する駐車頻度が前記所定値に満たないパターンであるが当該駐車領域に対する駐車回数が所定値以上である場合には、当該駐車領域に関する前記駐車情報の更なる登録を行わない、請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記駐車制御部は、判定された前記駐車パターンが所定のパターンに合致するときには、駐車支援の自動制御を行わない、請求項1又は2に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記駐車制御部は、前記車両が、複数の前記対象駐車領域から前記所定距離内に位置するときであって、当該複数の前記対象駐車領域が、車両が走行する経路に対して駐車車両の側面が面するように縦列配置されているときに、前記車両の現在位置から最も近い位置の前記対象駐車領域に対して駐車支援の自動制御を実行し、当該対象駐車領域における経路と反対側において前記車両のドアの開閉を妨げ得る高さを有する障害物を外部センサによって検知したときには、前記障害物と前記車両との間にドアの開閉を可能とする間隔をあけるようにして駐車支援の自動制御を実行する、請求項1又は2に記載の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車操作を支援する駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、運転者が車両を駐車スペースに駐車する操作を支援する技術が存在する。このような技術において次のような従来技術が提案されている。当該従来技術では、学習モードにおいて、車両に搭載されたセンサ装置を用いて駐車スペースの周囲の基準データを検出して記憶する。そして、動作モードにおいて、基準データとセンサ装置によって検出されるセンサデータとを比較しつつ駐車支援を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来技術の例においては、例えば、学習モードにおいて基準データを記憶させた駐車スペースの周囲の状況が変化した場合(例えば、積雪などで景色が変わる等)、基準データと実際の状況とに差異が生じ、駐車支援が困難になる可能性がある。その一方で、学習モードによって基準データを記憶する処理を頻繁に行うと、制御装置や記憶装置に負荷がかかり得るため、これを軽減することが望ましい。
【0005】
そこで、少なくとも本発明の1つの態様では、運転者等がよく利用する駐車スペース(駐車領域)への駐車について、学習処理に伴う負荷を軽減しつつ、駐車支援を実現することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様では、駐車支援装置において、車両を駐車領域に駐車するごとに当該駐車領域の位置情報を含む駐車情報を登録し、当該駐車情報に含まれる駐車領域のうち所定条件を満たす駐車領域を、駐車支援の対象駐車領域として学習して前記駐車情報に更に登録する駐車情報学習部と、前記対象駐車領域の位置情報及び前記車両の現在の位置情報に基づいて、前記車両が前記対象駐車領域から所定距離内に接近したか否かを判定し、前記車両が当該所定距離内に接近したときに、前記車両を前記対象駐車領域に駐車するための駐車支援の自動制御を実行する駐車制御部と、を含む。そして、前記駐車情報学習部は、前記駐車情報に基づいて、前記駐車領域に対する駐車状況が複数の駐車パターンのいずれに該当するかを判定し、判定された前記駐車パターンが所定のパターンに合致するときには、当該駐車領域に関する前記駐車情報の更なる登録を行わない。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、運転者等がよく利用する駐車領域への駐車について、学習処理に伴う負荷を軽減しつつ、駐車支援を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の駐車支援システムが実装される車両の一例を示す説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態における駐車支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態において用いられる駐車情報のデータ構成の一例を示し、(A)は駐車履歴情報の一例、(B)は駐車学習情報の一例を示す説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態における駐車支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態における駐車支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態における駐車パターン判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態が適用される対象駐車領域と車両との位置関係を示す説明図である。
【
図8】本発明の一実施形態が適用される対象駐車領域と車両との位置関係を示す説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態の変形例が適用される対象駐車領域と車両との位置関係を示す説明図である。
【
図10】本発明の一実施形態の変形例が適用される対象駐車領域と車両との位置関係を示す説明図である。
【
図11】本発明の一実施形態の変形例が適用される対象駐車領域と車両との位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書に記載する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、異なる実施形態やその変形例は、適宜組み合わせることも可能である。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係る車両の走行制御装置が搭載された車両1のハードウェア構成の一態様を示すブロック図である。
【0011】
車両1は、左前輪2,右前輪3,左後輪4,右後輪5を有した4輪車両である。各車輪2-5は、各車輪のブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダを含んだホイルシリンダ6-9を備える。これらのホイルシリンダ6-9の液圧は、ブレーキ装置10(液圧制御装置)においてマスターシリンダの油圧が調整されることによって制御される。なお、これらの車両1のサービスブレーキの制動機構は、液圧式の摩擦ブレーキに限定されず、例えば、電動式の摩擦ブレーキとしてもよいし、複数系統の制動機構を備えていてもよい。また、車両1は、電動パーキングブレーキ(EPB(Electronic Parking Brake))装置11を備えている。電動パーキングブレーキ装置11は、後輪の車輪4及び車輪5のブレーキキャリパーに組み込まれた電動アクチュエータを制御してパーキングブレーキを駆動させる。
【0012】
エンジン12は、電子制御スロットルやインジェクタを電子制御することによって車輪2-5への出力トルクを制御する内燃機関を含んだ動力装置(動力源)である。なお、車両1の動力源は、例えば、バッテリから供給される電力で駆動し、車輪2-5への出力トルクを制御する車輪駆動モータであってもよい。また、当該動力源は、エンジン12と車輪駆動モータの両方であってもよい。
【0013】
トランスミッション13は、動力源であるエンジン12によって生成された動力を、走行条件に応じて出力トルクや回転数、回転方向を変化させつつ車輪2-5へと伝達する動力伝達装置である。
ステアリング装置14は、操舵アシスト力を発生するモータを備える電動パワーステアリング機構であり、操舵に関するアクチュエータを備えた装置である。
【0014】
駐車支援装置21は、車両1の駐車支援を実行するECU(Electronic Control Unit)である。駐車支援装置21は、各種センサや設定情報に基づき、ブレーキ装置10、電動パーキングブレーキ装置11、エンジン12、トランスミッション13及びステアリング装置14を制御することにより、車両1を駐車場に駐車する操作の支援を行う。駐車支援装置21の機能構成の詳細については後述する。
【0015】
図2は、車両1に搭載された駐車支援システム100の構成の一例を示す。駐車支援システム100は、駐車支援装置21を備える。また、駐車支援システム100は、駐車支援装置21に対する入力情報を提供する、衛星測位システム(GPS(Global Positioning System)等)信号受信装置31、通信装置32、外部センサ33、駐車支援実行スイッチ34を備える。さらに、駐車支援システム100は、車両センサとして、車輪速センサ41、加速度センサ42、ジャイロセンサ43、アクセルセンサ44、ブレーキセンサ45及び操舵角センサ46を備える。また、駐車支援システム100は、駐車支援装置21から送信される情報を出力可能なディスプレイ51及びスピーカ52を備える。さらに、駐車支援システム100は、駐車支援装置21から操作信号を出力して操作する車載装置に接続された、エンジンECU61、ステアリングECU62、トランスミッションECU63、ブレーキECU64及び電動パーキングブレーキECU65を備える。
【0016】
駐車支援装置21は、マイクロコンピュータが備える記憶装置に格納されたプログラムがロードされてプロセッサにより実行されることによってその機能が実現される、駐車制御部22及び駐車情報学習部23を備える。また、記憶装置に格納されたデータである、駐車支援可否情報24、駐車履歴情報25及び駐車学習情報26を備える。
【0017】
駐車制御部22は、駐車支援を行う対象駐車領域(以下、単に対象駐車領域という)が車両1の付近に存在することを識別する。そして、駐車支援可否情報24の設定内容、及び運転者等による駐車支援実行スイッチ34の操作等に基づき、当該対象駐車領域に対する駐車支援の自動制御を行う。具体的には、駐車制御部22は、外部センサ33からの入力により対象駐車領域における周囲の物体の位置を検出する。そして、駐車制御部22は、各種車両センサに基づいて、ブレーキ装置10、電動パーキングブレーキ装置11、エンジン12、トランスミッション13及びステアリング装置14等の操作量を演算する。そして、駐車制御部22は、演算した操作量に基づいて、これらの車載装置のそれぞれのECUに操作信号を出力する。
【0018】
駐車情報学習部23は、車両1を駐車領域に駐車するごと(駐車支援の自動制御によって駐車した場合、運転者の操作によって駐車した場合の両方を含む)に、当該駐車領域の位置情報を含む情報を駐車履歴情報25として登録する。なお、本実施形態において登録とは、記憶手段にアクセスして記憶させることを意味し、場合によっては、既存情報の更新も含むものとする。また、駐車情報学習部23は、駐車履歴情報25に基づいて、当該駐車履歴情報25に含まれる駐車領域のうち所定条件を満たす駐車領域を、駐車支援の対象駐車領域として学習して駐車学習情報26として登録する。ここで、駐車情報学習部23は、当該駐車情報に基づいて、駐車状況が複数の駐車パターンのいずれに該当するかを判定する。そして、駐車情報学習部23は、この判定された駐車パターンに応じて、駐車履歴情報25や駐車学習情報26を登録するか否かを判定し、所定のパターンに合致する場合には、当該駐車領域に関するこれらの情報の更なる登録を行わない。
【0019】
駐車支援可否情報24は、駐車支援の実行を有効にするか否かを設定しておく情報である。駐車支援可否情報24は、例えば、駐車支援を「常に実行する」、「ユーザによる選択に基づいて実行する」、「実行しない」、の3種類を設定可能とする。駐車支援可否情報24は、例えば、ディスプレイ51のユーザインタフェースを介して運転者等が任意のタイミングで予め設定しておくことができ、適宜変更することも可能である。
駐車履歴情報25及び駐車学習情報26は、いずれも駐車情報を構成するデータである。前述したように、駐車履歴情報25には、車両1を駐車領域に駐車するごとに当該駐車領域の位置情報を含む情報が登録される。駐車学習情報26には、駐車履歴情報25に含まれる駐車領域のうち所定条件を満たす駐車領域が、駐車支援の対象駐車領域として登録される。駐車履歴情報25及び駐車学習情報26の詳細については後述する。
【0020】
衛星測位システム信号受信装置31は、人工衛星(測位衛星)から受信した衛星測位システム信号に基づいて車両1の位置情報を特定する。
通信装置32は、例えば、WiFi接続装置、ビーコン接続装置やIMES(Indoor Messaging System)等であり、建物内部や地下などで正確な位置情報を取得するために用いられる。
外部センサ33は、例えば、カメラ、レーダ、ライダ(LiDAR)等である。カメラは、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を用いるデジタルカメラや赤外線カメラであり、車両の周囲を撮像する。また、レーダは、ミリ波等の電磁波を照射する装置であり、照射した電磁波が車両の周囲の物体によって反射された反射波を検知して、各物体の位置や形状等を検出する。ライダは、紫外光、可視光、近赤外光等の短波長の電磁波をパルス状に照射する装置であり、照射した電磁波が車両の周囲の物体によって反射された反射波を検知して、各物体の位置や形状等を高精度で検出することが可能である。駐車支援装置21では、これらのカメラ、レーダ、ライダのうち少なくとも1つ又は複数の組み合わせにより、車両1の周囲に存在する物体を検出する。
【0021】
駐車支援実行スイッチ34は、運転者等による、駐車支援の実行可否の選択入力を受け付けるスイッチである。駐車支援実行スイッチ34は、例えば、ステアリング装置14やセンターコンソールに設置されてもよいし、ディスプレイ51等にユーザインタフェースとして表示されるようにしてもよい。運転者等は、駐車支援実行スイッチ34を操作することにより、駐車支援することを選択したり、駐車支援することをキャンセルしたりすることができる。
【0022】
車輪速センサ41は、各車輪の回転速度を信号として検出するセンサであり、これにより走行速度を算出することが可能である。
加速度センサ42は、車両1の前後方向の加速度、車幅方向の加速度及び上下方向の加速度を検出する。
ジャイロセンサ43は、ロール軸、ピッチ軸及びヨー軸を含む三軸回りにおいてトラック100が回転した角度の角速度を検出する。
アクセルセンサ44は、アクセルペダルの踏込量(アクセル開度)を検出する。
ブレーキセンサ45は、ブレーキペダルの踏込量(ブレーキ操作量)を検出する。
操舵角センサ46は、ステアリングホイールの操舵量(操舵角)を検出する。
【0023】
ディスプレイ51は、ナビゲーションシステム等を表示するほか、車両1の各種ECUから運転者等に対して出力するメッセージを表示する。また、ディスプレイ51は、ユーザインタフェースを表示し、運転者等による入力操作を受け付けることも可能である。
スピーカ52は、車両1の各種ECUから運転者等に対して出力するメッセージを音声出力することが可能である。
【0024】
エンジンECU61は、入力信号に基づいてエンジン制御量を算出し、エンジン12のインジェクタに対して制御信号を出力する。そして、インジェクタが、当該制御信号に基づいて燃料噴射量を調整することによってエンジン12の出力が調整され、エンジントルクが制御される。
ステアリングECU62は、ステアリングホイールの操舵量に基づいて操舵角を算出し、ステアリングアクチュエータに対して制御信号を出力する。ステアリングアクチュエータは、当該制御信号に基づいてステアリング装置14の制御を行う。
トランスミッションECU63は、走行速度やアクセル操作量等の入力信号に基づいて変速比を算出し、アクチュエータに対して制御信号を出力する。トランスミッションのアクチュエータは、当該制御信号に基づいてトランスミッション13の制御を行う。
ブレーキECU64は、入力信号に基づいてブレーキ操作量を算出し、ブレーキアクチュエータに対して制御信号を出力する。ブレーキアクチュエータは、当該制御信号に基づいてブレーキ装置10から各車輪に作用する空気圧及び油圧を発生させ、各車輪に発生させるブレーキトルクを制御する。
電動パーキングブレーキECU65は、電動パーキングブレーキの作動命令に応じて、アクチュエータに対して制御信号を出力する。電動パーキングブレーキのアクチュエータは、当該制御信号に応じて電動パーキングブレーキを作動させる。
【0025】
上記の各構成要素は、それぞれ車載ネットワークで接続されている。車載ネットワーク181は、例えばCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)、Ethernet(登録商標)、FlexRay等で構成される。
また、駐車支援装置21、並びにエンジンECU61、ステアリングECU62、トランスミッションECU63、ブレーキECU64及び電動パーキングブレーキECU65等の各種ECUは、いずれも、プロセッサ、SRAM、FROM、通信インタフェース、及びこれらを相互通信可能に接続する内部バスを含む。プロセッサは、プログラムに記述された命令セット(データの転送、演算、加工、制御、管理など)を実行するハードウェアであって、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されている。SRAMは、電源供給遮断によってデータが消失する揮発性メモリからなり、プロセッサが動作中に使用する一時的な記憶領域を提供する。FROMは、電気的にデータを書き換え可能な不揮発性メモリからなり、各ECUの管理を行うプログラムや、当該プログラムの動作に用いる各種データを格納する。通信インタフェースは、例えばCANトランシーバ等で構成され、車載ネットワークに接続する機能を提供する。
【0026】
図3は、駐車履歴情報25及び駐車学習情報26のデータ構成の一例について示す説明図である。
駐車履歴情報25は、車両1が駐車領域に駐車されるごとに生成されるデータの集合である。駐車履歴情報25のそれぞれのデータは、
図3(A)に示すように、駐車領域の位置情報、駐車開始から駐車位置までの走行情報(経路、車速、傾度)、駐車開始時刻及び駐車終了時刻を含み得る。
【0027】
駐車学習情報26は、駐車履歴情報25に基づいて、それぞれの駐車領域ごとに生成されるデータの集合である。駐車学習情報26のそれぞれのデータは、
図3(B)に示すように、駐車領域の位置情報、駐車開始から駐車位置までの走行情報、当該駐車領域に対する駐車頻度(例えば、所定期間単位における駐車回数)、駐車回数(例えば、累積駐車回数)、駐車時間(例えば、1回あたりの平均駐車時間や累積駐車時間を含み得る)、駐車支援対象情報(当該データの駐車領域を駐車支援の対象駐車領域とするか否かを示す情報)、駐車パターンを含み得る。ここで、駐車パターンとは、駐車領域に対する駐車状況を複数のパターンに分類したものである。一例として、駐車パターンは、駐車領域に対する駐車頻度及び平均駐車時間の少なくともいずれか一方に基づいて駐車状況を分類したパターンとすることができる。本実施形態では、駐車パターンを、駐車頻度及び平均駐車時間の両方に基づいて分類するものとする。具体的には、本実施形態では、このような駐車パターンの例として、「高頻度短時間」、「高頻度長時間」、「低頻度短時間」、「低頻度長時間」の4つに分類する。なお、駐車学習情報26の駐車開始から終了までの走行情報については、当該データの駐車領域への駐車において複数のパターンが存在する場合(例えば、複数の方向から駐車領域に接近することができる場合等)には、複数の走行情報を登録するようにしてもよい。
なお、これらの駐車履歴情報25及び駐車学習情報26は駐車情報の一例であり、データ構成はこのような例に限定されるものではない。また、例えば、駐車学習情報26には、駐車支援の対象駐車領域とする駐車領域のデータのみを登録するようにしてもよい。
【0028】
図4及び
図5は、駐車支援装置21により実行される駐車支援処理の一例を示すフローチャートである。また、
図6は、駐車支援処理において実行される駐車パターン判定処理の一例を示すフローチャートである。
ステップ1で、駐車制御部22は、衛星測位システム信号受信装置31から取得される車両1の位置情報に基づき、車両1の現在位置が、駐車支援対象とする対象駐車領域から所定距離内(例えば数十メートル以内)であるか否かを判定する。具体的には、駐車制御部22は、駐車学習情報26を参照して、位置情報が現在位置から所定距離内の位置を示し、かつ、駐車支援対象情報が対象駐車領域であることを示している駐車領域のデータが存在するか否かを判定する。対象駐車領域が存在している場合にはステップ2に進み(Yes)、そうでない場合には、ステップ1の判定を継続して行う(No)。
【0029】
ステップ2で、駐車制御部22は、車両1の付近に対象駐車領域が存在していることを運転者等に通知する。例えば、駐車制御部22は、「登録された駐車場が近くにあります」等のメッセージ(アナウンス)を出力する。当該メッセージは、例えば、ディスプレイ51を介して表示しても良いし、スピーカ52から当該内容の音声を出力しても良い。なお、
図7は、ステップ1及びステップ2の処理について、車両1と対象駐車領域との位置関係とともに説明する図である。
図7に示すように、駐車制御部22は、対象駐車領域から所定距離内に車両1が進入したときに、運転者等に対して上記のようなメッセージを出力する。
【0030】
ステップ3で、駐車制御部22は、衛星測位システム信号受信装置31から取得される車両1の位置情報に基づき、車両1が、対象駐車領域からさらに近い距離である所定距離内(例えば数メートル以内)、換言すれば、駐車支援を開始することが可能な範囲内に接近しているか否かを判定する。車両1が当該対象駐車領域に接近している場合にはステップ4に進み(Yes)、そうでない場合には、ステップ3の判定を継続して行う。なお、車両1がステップ1の処理における判定基準である所定距離内から外に出た場合には、再度ステップ1の処理を行う。
【0031】
ステップ4で、駐車制御部22は、駐車支援可否情報24を参照し、駐車支援の設定が有効であるか否かを判定する。例えば、駐車支援可否情報24の設定内容が、駐車支援を「常に実行する」、「ユーザによる選択に基づいて実行する」、「実行しない」、の3種類である場合、「常に実行する」又は「ユーザによる選択に基づいて実行する」が設定されていれば、設定が有効であるとする。駐車支援設定が有効である場合にはステップ5に進み(Yes)、そうでない場合にはステップ11に進む(No)。
【0032】
ステップ5で、駐車制御部22は、駐車支援実行スイッチ34を介し、運転者等による、駐車支援の実行可否の選択入力を受け付ける。なお、当該選択入力は、駐車支援可否情報24が「ユーザによる選択に基づいて実行する」に設定されている場合にのみ受け付ける。例えば、駐車制御部22は、ディスプレイ51やスピーカ52を介して、「駐車支援を行いますか?」等の確認メッセージを出力し、運転者等がこれに応答して駐車支援実行スイッチを操作することにより、当該選択入力が実現される。なお、
図8は、ステップ3~ステップ5の処理について、車両1と対象駐車領域との位置関係とともに説明する図である。
図8に示すように、駐車制御部22は、対象駐車領域から駐車支援を開始することが可能な所定距離内に車両1が進入したときに、運転者等に対して上記のようなメッセージを出力する。
【0033】
ステップ6で、駐車制御部22は、駐車支援可否情報24と、駐車支援実行スイッチ34の操作との組合せに基づいて、駐車支援を実行するか否かを判定する。具体的には、駐車制御部22は、駐車支援可否情報24が「常に実行」である場合、又は、駐車支援可否情報24が「ユーザによる選択に基づいて実行」であってステップ5の選択入力により駐車支援を実行することが選択された場合に、駐車支援を実行すると判定する。駐車支援を実行する場合にはステップ7に進み(Yes)、そうでない場合にはステップ11に進む(No)。
【0034】
ステップ7で、駐車制御部22は、外部センサ33から対象駐車領域について検知された諸情報を取得する。具体的には、駐車制御部22は、対象駐車領域内及び現在位置から対象駐車領域へ車両1を駐車する際に車両1が通過し得る領域内に存在する物体について検知された情報があれば、当該情報を取得する。なお、現在位置から対象駐車領域へ車両1を駐車する際に車両1が通過し得る領域は、駐車学習情報26に設定された駐車開始から終了までの走行情報を用いて識別してもよいし、対象駐車領域の位置情報と車両1の現在位置とから演算してもよい。
【0035】
ステップ8で、駐車制御部22は、ステップ7で取得した情報に基づき、対象駐車領域内及び現在位置から対象駐車領域へ車両1を駐車する際に車両1が通過する可能性のある領域内に障害物(人等も含む)が存在しないか否かを判定する。存在しない場合にはステップ9に進み(Yes)、そうでない場合にはステップ11に進む(No)。
【0036】
ステップ9で、駐車制御部22は、車両1を対象駐車領域に駐車する駐車支援の自動制御を実行する。具体的には、駐車制御部22は、駐車学習情報26から取得可能な、駐車開始から終了までの走行情報を参照して、又は対象駐車領域の位置情報と車両1の現在位置とから走行経路等を演算して、駐車支援に伴う自動制御を行う。当該制御において、駐車制御部22は、各種車両センサ、すなわち、車輪速センサ41、加速度センサ42、ジャイロセンサ43、アクセルセンサ44、ブレーキセンサ45、操舵角センサ46等からの入力情報を取得する。そして、駐車制御部22は、当該入力情報に基づき、ブレーキ装置10や電動パーキングブレーキ装置11、エンジン12、トランスミッション13、ステアリング装置14等の操作量を演算する。さらに、駐車制御部22は、当該操作量に基づき、エンジンECU61、ステアリングECU62、トランスミッションECU63、ブレーキECU64、電動パーキングブレーキECU65等に制御信号を出力することによって、車両1の駐車支援制御を実現する。その際、駐車制御部22は、外部センサ33から対象駐車領域及びその周辺に存在する物体の位置や大きさ等の情報を取得し、これらの情報を参照しつつ車両1を制御する。ここで、駐車制御部22は、外部センサ33を用いて、対象駐車領域に対して隣り合って駐車されている他の車両や車庫の壁等の位置を検出し、当該位置及び車両1の車幅寸法に基づいて、他の車両や車庫の壁等の距離から自車両までのスペースを均等に確保して駐車するようにしてもよい。また、駐車制御部22は、他の車両や車庫の壁等から自車両までのスペースが所定値以下の場合(例えば、ドアの開閉が困難な場合)には、駐車支援制御を停止し、運転者等にアナウンスするようにしてもよい。当該駐車支援制御により、運転者による駐車操作(例えば、ブレーキペダル操作、ステアリング操作、アクセルペダル操作、シフト操作等)は不要となる。
【0037】
ステップ10で、駐車制御部22は、駐車支援の自動制御中に、運転者による運転操作がなされたか否かを判定する。操作がなされた場合には、駐車支援がキャンセルされたものと判別してステップ11に進み(Yes)、そうでない場合にはステップ12に進む(No)。
ステップ11で、駐車制御部22は、運転者自身による車両1の駐車操作による通常の制御を実行する。本駐車支援処理においてこのように駐車制御部22が当該通常の制御を実行する場合とは、駐車支援設定が無効である場合、運転者によって駐車支援を行わない選択がなされた場合、駐車領域等に障害物等が存在する場合、又は運転者自身による駐車操作がなされた場合等である。
【0038】
ステップ12で、駐車情報学習部23は、今回駐車した駐車領域に対応する駐車履歴情報25の初回登録から所定期間が経過しているか否かを判定する。例えば、駐車情報学習部23は、駐車履歴情報25を参照し、今回駐車した駐車領域と位置情報が一致するデータに設定された最も早い駐車開始日時から所定期間が経過しているか否かを判定することができる。なお、位置情報の一致とは、完全一致のみならず、所定範囲の誤差は含むものとする。また、駐車情報学習部23は、駐車履歴情報25ではなく、駐車学習情報26の初回登録から所定期間が経過しているか否かを判定するようにしてもよい。経過期間が所定期間以上である場合にはステップ13に進み(Yes)、そうでない場合にはステップ14に進む(No)。
【0039】
ステップ13で、駐車情報学習部23は、駐車パターン判定処理を実行する。駐車パターン判定処理の詳細については後述する。
【0040】
ステップ14で、駐車情報学習部23は、ステップ9による駐車支援による駐車制御、又はステップ11による運転者自身の駐車操作によって駐車された駐車領域の位置情報及び当該駐車に関連する諸情報を、駐車履歴情報25として記憶手段に記憶する。具体的には、駐車情報学習部23は、ステップ9又はステップ11で車両1が駐車された駐車領域の位置情報、駐車開始から駐車位置までの走行情報(経路、車速、傾度)、駐車開始日時及び駐車終了日時を含むデータを、駐車履歴情報25に登録する。なお、駐車開始は、例えば、車両1のシフト操作がドライブ(D)からリバース(R)にされ、車両1を後退させたタイミングによって識別することが可能である。一方、駐車終了は、例えば、電動パーキングブレーキ装置11を駆動したタイミングや、イグニッションスイッチをオフにしたタイミングによって識別することが可能である。
【0041】
また、当該ステップ14で、駐車情報学習部23は、駐車履歴情報25に登録されている情報に基づいて、駐車学習情報26の登録を行う。具体的には、駐車情報学習部23は、今回駐車した駐車領域に対応するデータが駐車学習情報26にすでに存在する場合、当該データの駐車頻度、駐車回数、駐車時間に対して今回の駐車に関する情報を反映させる。一方、駐車情報学習部23は、今回駐車した駐車領域に対応するデータが駐車学習情報26に登録されていない場合には、当該駐車領域に対応するデータを新たに追加した上で、今回の駐車に関する情報を反映させる。そして、駐車情報学習部23は、当該データの駐車頻度、駐車回数、駐車時間に基づいて、当該データの駐車領域が、駐車支援の対象駐車領域とする所定条件を満たしているかを判定する。当該所定条件としては、例えば、駐車学習情報26の駐車頻度が所定値以上である場合、駐車回数が所定回数以上である場合、駐車時間が所定時間以上である場合の少なくともいずれか1つに該当する場合等とすることができる。駐車情報学習部23は、当該データの駐車領域が当該所定条件を満たしている場合、当該データの駐車支援対象情報に、駐車支援の対象駐車領域とすることを示す情報を設定する。
なお、駐車情報学習部23は、当該ステップ12ではなく、蓄積された駐車履歴情報25に基づき、他の任意のタイミング(例えば、車両1のイグニッションスイッチがオンになったときや予め設定した時刻等)に駐車学習情報26を登録することも可能である。
【0042】
次に、
図6に示す駐車パターン判定処理の一例について説明する。
ステップ21で、駐車情報学習部23は、駐車学習情報26を参照し、今回駐車した駐車領域に対応するデータの駐車パターンを参照(確認)する。
ステップ22で、駐車情報学習部23は、駐車パターンが「高頻度短時間」または「高頻度長時間」であるか否かを判定する。駐車パターンが「高頻度短時間」または「高頻度長時間」でない場合にはステップ23に進み(No)、「高頻度短時間」または「高頻度長時間」である場合には、運転支援処理を終了する(Yes)。すなわち、駐車パターンに「高頻度短時間」または「高頻度長時間」が設定されている場合には、ステップ14における、今回駐車した駐車領域に関する駐車履歴情報25及び駐車学習情報26の更なる登録を行わない。
【0043】
ステップ23で、駐車情報学習部23は、駐車学習情報26の駐車回数、駐車頻度、駐車時間を参照し、今回駐車した駐車領域における駐車状況を確認する。なお、駐車情報学習部23は、駐車履歴情報25を参照して、駐車回数、駐車頻度、駐車時間を演算するようにしてもよい。
ステップ24で、駐車情報学習部23は、今回駐車した駐車領域に対する駐車頻度が所定値以上であるか否かを判定する。駐車頻度は、所定期間単位における駐車回数に基づいて設定され得る。一例として、当該判定は、駐車頻度が所定期間日数の50パーセント以上であるか否か(例えば、期間が30日の場合には15日以上駐車をしたか否か)に基づくものとすることができる。駐車頻度が所定値以上である場合にはステップ25に進み(Yes)、そうでない場合にはステップ28に進む(No)。
【0044】
ステップ25で、駐車情報学習部23は、当該駐車領域に対する1回あたりの平均駐車時間が所定値以上であるか否かを判定する。一例として、当該判定は、平均駐車時間が1時間以上であるか否かに基づくものとすることができる。平均駐車時間が所定値以上でない場合にはステップ26に進み(No)、平均駐車時間が所定値以上である場合にはステップ27に進む(Yes)。
ステップ26で、駐車情報学習部23は、駐車学習情報26の駐車パターンに「高頻度短時間」と設定する。
ステップ27で、駐車情報学習部23は、駐車学習情報26の駐車パターンに「高頻度長時間」と設定する。
【0045】
ステップ28で、駐車情報学習部23は、駐車学習情報26の駐車回数を参照し、当該駐車領域に対する駐車回数が所定値以上であるか否かを判定する。一例として、当該判定は、駐車回数が累計10回以上であるか否かに基づくものとすることができる。駐車回数が所定値以上である場合にはステップ29に進み(Yes)、そうでない場合には駐車パターン判定処理を終了する(No)。
ステップ29で、駐車情報学習部23は、駐車パターンが「低頻度短時間」または「低頻度長時間」であるか否かを判定する。駐車パターンが「低頻度短時間」または「低頻度長時間」でない場合にはステップ30に進み(No)、駐車パターンが「低頻度短時間」または「低頻度長時間」である場合には、運転支援処理を終了する(Yes)。すなわち、駐車回数が所定値以上であって、駐車パターンに「低頻度短時間」または「低頻度長時間」が設定されている場合には、ステップ14における、今回駐車した駐車領域に関する駐車履歴情報25及び駐車学習情報26の更なる登録を行わない。
【0046】
ステップ30で、駐車情報学習部23は、駐車学習情報26の駐車時間を参照し、当該駐車領域に対する1回あたりの平均駐車時間が所定値以上であるか否かを判定する。一例として、当該判定は、平均駐車時間が1時間以上であるか否かに基づくものとすることができる。平均駐車時間が所定値以上でない場合にはステップ31に進み(No)、平均駐車時間が所定値以上である場合にはステップ32に進む(Yes)。
ステップ31で、駐車情報学習部23は、駐車学習情報26の駐車パターンに「低頻度短時間」と設定する。
ステップ32で、駐車情報学習部23は、駐車学習情報26の駐車パターンに「低頻度長時間」と設定する。
【0047】
当該運転支援処理によれば、車両1が駐車領域に駐車されたときに、その駐車履歴情報25が記憶され、当該駐車履歴情報25に基づいて駐車学習情報26が生成される。そして、駐車学習情報26に基づいて、例えば、車両1の運転者等が頻繁に利用する駐車する駐車領域を識別することができる。さらに、当該駐車領域を駐車支援の対象駐車領域とし、車両1が当該対象駐車領域に接近したときに、自動的に駐車支援の自動制御を実行することができる。このため、運転者は、よく利用する駐車領域に車両1を接近させるだけで、駐車支援開始の操作を明示的に行う必要もなく、車両1に駐車操作を委ねることができる。したがって、運転者による駐車操作が大幅に簡略化される。
【0048】
また、当該運転支援処理では、駐車履歴情報25や駐車学習情報26において、対象駐車領域を、衛星測位システム信号受信装置31によって得られる車両1の位置情報に対応付けて記憶する。このため、例えば、対象駐車領域の周辺の状況が変化した場合においても、対象駐車領域を正確に検出することが可能である。
さらに、当該運転支援処理によれば、予め設定された駐車支援可否情報24と、車両1が対象駐車領域から所定距離内に接近したときに操作可能な駐車支援実行スイッチ34の操作との組合せに応じて、駐車支援の自動制御を実行する。すなわち、運転者等は、駐車支援の自動制御を常に実行させることも、その都度確認してから実行させることも、常に実行させないことも可能である。したがって、駐車支援の自動制御の実行可否につき、あらゆる運転者等のニーズに適合させることができる。
【0049】
そして、当該運転支援処理によれば、特に駐車パターン判定処理によって、駐車領域に対する駐車パターンが判定される。さらに、その判定された駐車パターンが所定のパターンに合致する場合に、駐車履歴情報25や駐車学習情報26へのデータの更なる登録処理を回避することが可能となる。このため、駐車を行うごとに記憶装置へのアクセスが行われることによる処理負荷を軽減することが可能となる。そして、これによって記憶装置の物理的寿命を延ばすことも可能となる。例えば、前述の駐車パターン判定処理の例において説明したように、駐車領域への駐車が高頻度である場合や、低頻度であっても駐車回数が所定値以上である場合には、駐車支援をするのに必要な情報がすでに設定されている。本実施形態では、このような場合にデータの登録処理を回避することができる。
【0050】
なお、駐車パターン判定処理において駐車頻度が所定値以上か否かを判定する基準、駐車回数が所定値以上か否かを判定する基準、さらに平均駐車時間が所定値以上か否かを判定する基準とする所定値は、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0051】
また、このように駐車領域に対する駐車状況が複数の駐車パターンのいずれに該当するかを判定することで、判定された駐車パターンが所定のパターンに合致するときには、駐車支援の自動制御を行わないようにすることも可能である。本実施形態の例では、駐車状況に応じて駐車パターンを「高頻度短時間」、「高頻度長時間」、「低頻度短時間」、「低頻度長時間」のように分類することにより、それぞれのパターンで、駐車支援の自動制御を行うか否かの制御を行うことができる。例えば、駐車パターンが高頻度長時間の場合のみ駐車支援の自動制御を有効にし、他の駐車パターンでは無効にすることで、自宅の駐車場や勤務先の駐車場など、高頻度長時間で駐車をする駐車場のみについて、駐車支援を実行するように設定することが可能となる。また、このように設定しておくことで、例えば、営業車のように複数人が同一の車両を使用する場合において営業先等で短時間駐車をするとき等に、運転者の意図しない駐車支援の自動制御が実行されることを回避することが可能となる。さらに、宅配業務を行う車両においても、宅配中に短時間駐車をするとき等に、運転者の意図しない駐車支援が実行されることを回避することが可能となる。なお、このような場合、駐車制御部22が駐車学習情報26の駐車パターンを参照して駐車支援の自動制御をするか否かを判定することができる。また、例えば、駐車学習情報26の駐車支援対象情報に、駐車支援の対象駐車領域とするか否かを示す情報を駐車パターンに応じて設定しておくようにしてもよい。また、これらの設定は、ディスプレイ51のユーザインタフェースを介して行うことができるようにしてもよい。
【0052】
なお、すでに登録された駐車履歴情報25や駐車学習情報26を、任意のタイミングで消去できるようにしてもよい。この場合、例えば、全てのデータを一括して消去してもよいし、駐車領域の位置情報に含まれ得る住所の情報に基づき、所定の区域単位(例えば、県市町村単位)で消去できるようにしてもよい。このようなデータの消去は、例えば、ディスプレイ51のユーザインタフェースを介してユーザが操作することにより実行するようにしてもよい。
【0053】
ここで、本実施形態の変形例について説明する。1つめの変形例では、前述の駐車支援システム100で実現する機能に加え、対象駐車領域が近距離内で複数存在する場合に、自車両の現在位置に最も近い位置の対象駐車領域に駐車するように駐車支援を行う。対象駐車領域が近距離内で複数存在する場合とは、例えば、勤務先の駐車場やよく行く商業施設等、複数台駐車することが可能な駐車場においてその都度空いているスペースに駐車するような場合が考え得る。
【0054】
図9は、本変形例が適用される駐車場の一例について示す説明図である。この例では、車両1の駐車学習情報26に基づいて対象駐車領域とされる駐車領域が、A、B、C、Dの4箇所存在する。この場合、前述の駐車支援処理において、車両1は、複数の対象駐車領域の駐車支援可能範囲内に入り得ることとなる。この場合、駐車制御部22は、車両1の現在位置から最も近い位置の対象駐車領域に対して駐車支援を行う。
図9に示す例では、駐車制御部22は、車両1の現在位置から最も近いAの対象駐車領域に対する駐車支援を行う。なお、もし最も近いAの対象駐車領域に他の車両が駐車している場合には、外部センサ33によって当該車両を検知することが可能である。このときには、駐車制御部22は、次に近いBの対象駐車領域に対する駐車支援を行う。
本変形例によれば、このように駐車支援可能範囲内の対象駐車領域が複数存在する場合にも、1つの対象駐車領域を選択して駐車支援を実現することが可能である。
【0055】
また、他の変形例では、対象駐車領域が近距離内で複数存在する場合であって、かつ、当該複数の対象駐車領域が縦列配置されている場合に、奥側に配置された駐車領域に駐車可能であれば、奥側に配置された駐車領域に対して駐車するように駐車支援を行う。複数の対象駐車領域が縦列配置されている場合とは、例えば、スペースが限られている一軒家や小規模の集合住宅の駐車場などが考え得る。
【0056】
図10は、本変形例が適用されるような縦列配置の駐車場の一例について示す説明図である。この例では、車両1の駐車履歴情報25として記憶された対象駐車領域が、A、Bの2箇所存在する。この場合、前述の駐車支援処理において、車両1は、複数の対象駐車領域の駐車支援可能範囲内に入り得ることとなる。この場合、駐車制御部22は、まず、車両1の現在位置から最も近い位置の対象駐車領域に対して駐車支援を行う。
図10に示す例では、駐車制御部22は、車両1の現在位置から最も近いAの駐車領域に対する駐車支援を行う。そして、駐車制御部22は、Aの駐車領域に対する駐車を終えたとき、外部センサによって、Bの駐車領域に他の車両が駐車しているか否かを検知する。Bの駐車領域に他の車両が駐車していない場合、駐車制御部22は、さらにBの駐車領域に対する駐車支援を行う。
本変形例によれば、このように、複数の対象駐車領域が縦列配置されている場合に、自車両から最も近い位置である手前側の対象駐車領域ではなく、奥側の対象駐車領域に対して駐車支援を実現することが可能である。このため、運転者が通常に駐車するのと同様に、適切な配置で駐車支援を行うことができ、駐車支援の利便性がより向上する。
【0057】
図11は、本変形例が適用されるような縦列配置の駐車場の他の一例について示す説明図である。この例では、車両1の駐車履歴情報25として記憶された対象駐車領域が、A、Bの2箇所存在し、車両が走行する経路に駐車車両の側面が面するように縦列配置されている。この場合、前述の駐車支援処理において、車両1は、複数の対象駐車領域の駐車支援可能範囲内に入り得ることとなる。この場合、駐車制御部22は、車両1の現在位置から最も近い位置の対象駐車領域に対して駐車支援を行う。
図11に示す例では、駐車制御部22は、車両1の現在位置から最も近いAの駐車領域に対し、縦列駐車をする駐車支援を行う。このとき、駐車制御部22は、当該駐車領域における経路と反対側に障害物(例えば、塀や縁石等)があるか否かを、外部センサによって検知する。ここで、車両1のドアの開閉を妨げ得る高さを有する塀等の障害物がある場合、駐車制御部22は、障害物と車両1との間にドアの開閉を可能とする間隔をあけるようにして駐車支援を行うようにする。一方、障害物の高さが、縁石等のようにドアの開閉を妨げない高さである場合には、このような間隔を空けずに駐車支援を行ってもよい。また、このような縦列駐車をする場合、駐車制御部22は、車両1が当該対象駐車領域から出るときに駐車前に走行してきた方向に戻りやすいように、車両1の向きが駐車前に走行してきた方向を向くようにして縦列駐車をする駐車支援を行ってもよい。
【0058】
なお、上記変形例のそれぞれは、前述した駐車支援システム100のうち、一部の構成のみと組み合わせることも可能である。例えば、これらの変形例は、駐車情報学習部23による駐車パターン判定処理を行わない構成においても適用することが可能である。
【0059】
[その他]
以上に説明した本発明の実施形態は、本発明の技術的範囲で考え得る実施態様の一部に過ぎず、本発明の例示として開示されるものであって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。また、各実施形態における機能的構成及び物理的構成は、前述の態様に限定されるものではなく、例えば、各機能や物理的資源を統合して実装したり、逆に、さらに分散して実装したり、さらには、構成の一部について他の構成の追加、削除、置換等をすることも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…車両、21…駐車支援装置、22…駐車制御部、23…駐車情報学習部、24…駐車支援可否情報、25…駐車履歴情報、26…駐車学習情報、31…衛星測位システム信号受信装置、32…通信装置、33…外部センサ、34…駐車支援実行スイッチ