(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109730
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】下部捕捉及び分配システムを含む吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/537 20060101AFI20240806BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61F13/537 330
A61F13/537 220
A61F13/537 310
A61F13/53 300
A61F13/537 400
A61F13/53 100
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024081951
(22)【出願日】2024-05-20
(62)【分割の表示】P 2022532683の分割
【原出願日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】19215345.0
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン、グルニエ
(72)【発明者】
【氏名】アニルッダ、チャタジー
(72)【発明者】
【氏名】ビフザード、モヘビ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】衣類に面するバックシートの冷たく、湿った表面を低減又は排除し、着用者に面する乾燥した表面を実現する吸収性物品を提供する。
【解決手段】トップシート24、バックシート26、トップシートとバックシートとの間に挟まれた吸収性材料の層28を含む吸収性物品であって、吸収性材料の層28が超吸収性ポリマーを含み、更に、少なくとも1つの不織布又は織布層を有する下部捕捉及び分配システム60を、吸収性材料の層とバックシートとの間に挟むように含む。吸収性物品は、トップシートから始まり、かつトップシートを含み、バックシートに向かって延在する、800μmに対応する第1のゾーンと、バックシートから始まり、かつバックシートを含み、トップシートに向かって延在する、800μmに対応する第2のゾーンと、を有し、第1のゾーン及び第2のゾーン内の液体量は、NMR試験方法によって測定した場合、非常に小さい。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品(20)であって、
-トップシート(24)、バックシート(26)、及び、前記トップシート(24)と前記バックシート(26)との間に挟まれた吸収性材料の層(28)であって、前記吸収性材料の層(28)が超吸収性ポリマーを含む、吸収性材料の層(28)と、
-少なくとも1つの不織布又は織布層を有する下部捕捉及び分配システム(60)であって、前記下部捕捉及び分配システム(60)が、前記吸収性材料の層(28)と前記バックシート(26)との間に挟まれている、下部捕捉及び分配システム(60)と、を備え、
前記吸収性物品(20)が、前記トップシート(24)から始まり、かつ前記トップシートを含み、前記バックシート(26)に向かって延在する、800μmに対応する第1のゾーンと、前記バックシート(26)から始まり、かつ前記バックシートを含み、前記トップシート(24)に向かって延在する、800μmに対応する第2のゾーンと、を有し、
前記吸収性物品(20)が、本明細書に記載のNMR MOUSE方法に供されて、3つの定義された位置における液体量を決定及び合計すると、前記第1のゾーンにおいて90μl未満の総液体量及び前記第2のゾーンにおいて80μl未満の総液体量を有する、吸収性物品(20)。
【請求項2】
本明細書に記載のNMR MOUSE試験方法によって測定した場合、前記第2のゾーン内の充填点における液体量が、50μl以下である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
本明細書に記載のNMR MOUSE試験方法によって測定した場合、前記第1のゾーン内の充填点における液体量が、50μl以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
少なくとも1つの層を有する上部捕捉及び分配システム(50)を更に備え、前記上部捕捉及び分配システム(50)が、前記吸収性材料の層(28)と前記トップシート(24)との間に挟まれている、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記下部捕捉及び分配システム(60)に含まれる前記不織布が、ステープル繊維で作製されたエアスルー接着不織布、ステープル繊維で作製されたスパンレース不織布、スパンレイド繊維で作製されたエアスルー接着不織布及びスパンレイド繊維で作製されたスパンレース不織布からなる群から選択される不織布ウェブである、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項6】
前記下部捕捉及び分配層(60)に含まれる前記不織布の前記繊維が、前記下部捕捉及び分配層に含まれる前記不織布の総重量に基づいて、少なくとも30重量%の捲縮繊維を含み、前記捲縮繊維が、2次元捲縮、3次元捲縮又は2次元と3次元捲縮との組み合わせを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項7】
前記下部捕捉及び分配システム(60)に含まれる前記不織布が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、co-PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノイド(PHA)又はそれらの組み合わせ若しくは混合物で作製されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項8】
前記下部捕捉及び分配システム(60)が、150m3/m2/分より大きい、好ましくは200m3/m2/分より大きい空気透過性を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項9】
前記吸収性物品が、本明細書に記載の試験方法に従って測定した場合、120秒未満、好ましくは100秒未満の総捕捉時間を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項10】
前記下部捕捉及び分配システム(60)のキャリパーが、0.1~2.0mmである、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項11】
前記下部捕捉及び分配システム(60)の一部又は全部が、機械的に変形されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項12】
前記下部捕捉及び分配システム(60)が、単層の不織布ウェブからなる、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項13】
前記吸収性材料の層(28)が、部分的又は完全に上部基材層(45)及び下部基材層(46)によって包囲されており、かつ上部基材層(45)及び下部基材層(46)と直接接触しており、前記上部基材層(45)が、前記吸収性材料の層(28)と前記上部捕捉及び分配システム(50)との間にあり、前記下部基材層(46)が、前記吸収性材料の層(28)と前記下部捕捉及び分配システム(60)との間にある、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項14】
前記下部捕捉及び分配システム(60)並びに前記下部基材層(46)が、a)前記下部捕捉及び分配システム(60)が、疎水性であり、前記下部基材層(46)が、親水性である、b)前記下部捕捉及び分配システム(60)並びに前記下部基材層(46)が、両方とも親水性であり、前記下部捕捉及び分配システムが、前記下部基材層(46)よりも親水性が低い、並びにc)前記下部捕捉及び分配システム(60)並びに前記下部基材層(46)が、両方とも疎水性であり、前記下部基材層(46)が、前記下部捕捉及び分配システム(60)よりも疎水性が低い、からなる群から選択される、請求項13に記載の吸収性物品(20)。
【請求項15】
前記吸収性材料の層(28)並びに前記下部捕捉及び分配システム(60)が、部分的又は完全に上部基材層(45)及び下部基材層(46)によって包囲されており、かつ上部基材層(45)及び下部基材層(46)と直接接触しており、前記上部基材層(45)が、前記吸収性材料の層(28)と前記上部捕捉及び分配システム(50)との間にあり、前記下部基材層(46)が、前記下部捕捉及び分配システム(60)と前記バックシートとの間にあり、前記吸収性材料の層(28)が、前記下部捕捉及び分配システム(60)と直接接触している、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項16】
前記吸収性材料の層(28)が、部分的又は完全に上部基材層(45)並びに前記下部捕捉及び分配システム(60)によって包囲されており、かつ上部基材層(45)並びに前記下部捕捉及び分配システム(60)と直接接触しており、前記上部基材層(45)が、前記吸収性材料の層(28)と前記上部捕捉及び分配システム(50)との間にある、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項17】
前記下部捕捉及び分配システム(60)の着用者及び/又は衣類に面する表面が、3次元表面トポグラフィを有し、前記3次元表面トポグラフィを有する表面に隣接する層が、平坦な2次元表面トポグラフィを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項18】
前記バックシート(26)が、通気性である、請求項1~17のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項19】
前記吸収性物品が、450mmを超える長さを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項20】
前記吸収性物品が、450mm以下の長さを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項21】
前記下部捕捉及び分配システム(60)が、4より大きい、好ましくは10より大きいコンプライアンス指数を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項22】
前記下部捕捉及び分配システム(60)が、60より大きい、好ましくは70より大きい水平曲げ降下を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【請求項23】
前記下部捕捉及び分配システム(60)が、50より大きい、好ましくは60より大きい回復百分率を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の吸収性物品(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(乳児、幼児又は成人用の)おむつ又はパンツなどの個人衛生用の吸収性物品を提供する。吸収性物品は、バックシートと吸収性材料の層との間の下部捕捉及び分配システム、並びに任意選択で、トップシートと吸収性材料の層との間に上部捕捉及び分配システムを含む。吸収性物品は、本明細書に記載の核磁気共鳴(NMR)ベースの試験方法に従って測定した場合、トップシートに隣接し、バックシートに隣接する領域に少量の液体のみを有する。
【背景技術】
【0002】
乳児、幼児及び成人用の吸収性物品は周知であり、広く使用されている。おむつ及びパンツなどの吸収性物品は、典型的には、トップシート及びバックシートを有し、その間に吸収性コアが提供される。尿などの体液は、トップシートを通して吸収性物品内へと運ばれ、最終的に吸収性コアの吸収性材料に吸収され、格納される。典型的な吸収性材料は、セルロース繊維(吸収性物品の文脈において、多くの場合、「フラッフパルプ」又は「エアフェルト」と呼ばれる)、吸収性フォーム、吸収性合成繊維又は超吸収性材料である。一般的に使用される超吸収性材料は、典型的には粒子として提供されるが、超吸収性ポリマー繊維又は超吸収性ポリマー発泡体の形態をとり得る超吸収性ポリマーである。
【0003】
多くの場合、追加の捕捉及び分配システム(以下、「ADS」と呼ばれる)が、吸収性コアとトップシートとの間に提供される。そのようなシステムは、1つ以上の材料の層で作製されたものであり得る。例えば、ADSは、トップシートと直接接触している捕捉層を有してもよく、これは主にトップシートからの急速な流体の捕捉に寄与して、漏れをもたらし得るトップシート上の自由液体を回避する。追加の層が、捕捉層の下かつ捕捉層と直接接触して適用され得る(分配層)。分配層は、主に層の平面内の流体の分配に寄与して、吸収性物品全体を通してより均一な液体分布を提供し得る。分配層は、吸収性コアと直接接触していてもよい。両方の層はまた、最終的に吸収性コアに格納される前に液体を一時的に保持するためのリザーバとして機能する。あるいは、ADSは、捕捉及び分配機能の両方を提供する単一の層で作製されたものであってもよい。
【0004】
したがって、トップシートと吸収性コアとの間に設けられたADSは、吸収性物品から漏れ出る可能性があり、かつ皮膚の健康に悪影響を及ぼし得る、トップシート上の自由流動性液体の形態での体液の漏れを低減するのに役立ち得る。
【0005】
しかしながら、液体を吸収性コアに十分に迅速に吸収することができず、したがって吸収性コアを通ってバックシート上に流れるリスクもある。特に、高い噴出体積が、たったの数秒間で吸収性物品に運ばれる状況では、吸収性コアとトップシートとの間のADSは、吸収性コアの吸収性材料に吸収して格納することができる前に液体を一時的に保持するのに十分な空隙容積を有しない場合がある。特に、吸収性コアが比較的高いパーセンテージの超吸収性ポリマー材料を有する場合、超吸収性ポリマー材料への液体の吸収は、十分な方法で比較的大量の液体を処理するのに十分に速くない可能性がある(特に、超吸収性ポリマー材料が予め湿潤されていない場合、すなわち、物品内に最初の液体の噴出があるとき、超吸収性ポリマー材料は典型的に、純粋なエアフェルトの層よりもゆっくりと液体を吸収するため)。
【0006】
バックシートは一般に液体不透過性であるが、吸収性コアとバックシートとの間に溜まる水分又は液体の蒸気は、依然としてバックシートに浸透して、バックシートに外側から触れるとき(例えば、介護者によって)に、冷たく、湿った、不快な感触をもたらし得る。この効果は、通気性バックシートが使用される場合に更に増加する。そのような湿った感触は、不快であるだけでなく、吸収性物品の吸収能力が使い切られるはるか前に、時期尚早のおむつの交換をもたらし得る。
【0007】
別の懸念事項は、超吸収性ポリマー材料ではなく、超吸収性ポリマーの間のエアフェルトに格納される液体において生じる(エアフェルトと超吸収性ポリマー材料との混合物で作製された吸収性コアの場合)。この液体も、バックシートに近い吸収性コアの領域に存在する傾向がある。そのような液体の蒸気も、バックシートに浸透し、前述の段落に概説されるように、冷たく、湿った感触という同様の効果をもたらし得る。
【0008】
更に、蒸気がバックシートに浸透したときに生じ得る湿った、冷たい感触に加えて、バックシートに近い吸収性物品内の液体の存在も、吸収性物品に外部から触れたときに不快な感触を生じる。これは、蒸発又はフィルムを通る移動(のみ)に起因するものではなく、液体の熱伝導率が、一般に、空気又は隙間及び空隙に空気が存在する比較的乾燥した岩石構造体の熱伝導率よりもはるかに高いからである。例えば、吸収性物品に新たに提供される液体は、最初は外部から温かい感触を与え得るが、一定の時間が過ぎた後は、これが外部から触れたときに、やや冷たい感触に変化する。
【0009】
最後に、バックシートの近くに留まる尿などの液体は、バックシートを通して外部からの汚れの視認性の増加をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、上記の問題に対処する吸収性物品が必要とされている。したがって、本発明の目的は、バックシートの衣類に面する冷たく、湿った表面を低減又は排除し、同時に、乾燥した着用者に面する表面を提供することができる吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
吸収性物品は、典型的には、着用者の皮膚から「離れたところに液体を閉じ込めること」に焦点を合わせて構成される。結果として、多くの場合、液体の大部分がバックシート方向及びバックシートに近接して格納されるように、液体が吸収性物品に分配されることが見出されている。更に、捕捉及び分配システム(ADS)は、典型的には、トップシートと吸収性コアとの間にのみ提供され、着用者の皮膚から離れたところへの液体の迅速な輸送及び着用者に面する乾燥した吸収性物品表面(すなわち、トップシート)の維持に寄与する。結果として、上記に記載されるように、蒸気及び水分は、(液体不透過性であるが、しばしば通気性の)バックシートに浸透する場合がある。これらの欠点に対処するために、本発明者らは、液体を着用者の皮膚から離れたところに輸送及び閉じ込めるだけでなく、液体が吸収性物品の内部に深く、すなわち着用者及び衣類に面する表面の両方から離れたところに格納されるべきであることを見出した。
【0012】
結果として、下部ADSを有する吸収性物品が提供される。下部ADSは、吸収性材料の層とバックシートとの間の追加の層として機能する。そうすることで、バックシートに向かって面する吸収性材料の層の表面に隣接する液体は、バックシートと直接接触しなくなる。更に、本来ならバックシートに浸透する液体、例えば、比較的大量の液体が非常に短時間で吸収性物品内に運ばれる噴出状況における液体は、下部ADSによって捕捉及び一時的に保持されて、その後、最終的な格納のために吸収材料の層に再び吸収され得る。
【0013】
本発明者らは、現在市販されている多数の吸収性物品を試験して、液体が厚さ方向に吸収性物品内にどのように分布しているか、すなわち、どれだけの液体がトップシートの近くに格納され、どれだけの液体がバックシートの近くに格納されるかを決定した。この目的のためには、NMR技術が用いられ、正確な液体分布プロファイルの提供を可能にする試験方法が確立されている。この方法は、その非破壊的性質のため及びそれが吸収性物品の実際の使用状態を十分に反映するため、選択された。一般的なNMR試験方法及び装置は、米国特許第10,371,652号及び同第10,365,237号に記載されている。NMR試験手順の一般的原理に基づいて、バックシート方向の液体量を80μl未満の閾値未満まで、すなわち(3つの異なる位置で測定された液体量を合計し、本明細書に記載の試験プロトコルに従って)0.08mlまで低減する適切な下部ADSの使用によって得られる最適化された分布プロファイルが開発されている。同様に、トップシート方向の液体量は非常に低く、すなわち90μl未満である。これらの全ての液体量は、1.9cm×1.9cmの測定面積及び800μmの測定深さ(すなわち、0.0008m)に対応する。
【0014】
本発明はまた、吸収性物品であって、
-トップシート、バックシート、及び、トップシートとバックシートとの間に挟まれた吸収性材料の層であって、超吸収性ポリマーを含む、吸収性材料の層と、
-少なくとも1つの織布又は好ましくは不織布層を有する下部捕捉及び分配システムであって、この下部捕捉及び分配システムが、吸収性材料の層とバックシートとの間に挟まれている、下部捕捉及び分配システムと、
-任意選択で、少なくとも1つの層を有する上部捕捉及び分配システムであって、吸収性材料の層とトップシートとの間に挟まれている、上部捕捉及び分配システムと、を含む、吸収性物品に関する。
【0015】
吸収性材料の層は、単一の層からなるか、又は2つ以上の副層を含み得る。副層は、例えば、サイズ、組成、厚さ、又はそれらの組み合わせなどにおいて、同じであるか、又は互いに異なってもよい。
【0016】
吸収性物品は、トップシートから始まり、かつトップシートを含み、バックシートに向かって延在する、800μm(すなわち、0.0008m)に対応する第1のゾーンと、バックシートから始まり、かつバックシートを含み、トップシートに向かって延在する、800μmに対応する第2のゾーンと、を有する。
【0017】
吸収性物品は、本明細書に記載のNMR MOUSE方法に供されて、3つの定義された位置における液体量を決定及び合計すると、第1のゾーンにおいて90μl未満、若しくは80μl未満、若しくは75μl未満の総液体量及び第2のゾーンにおいて80μl未満若しくは75μl未満の総液体量を有する。
【0018】
第1又は第2のゾーン内の液体の総量については、液体量は、3つの定義された位置、すなわち、充填点(すなわち、液体がNMR試験のための吸収性物品に導入された位置)、長手方向中心線上の後側腰部領域に向かって充填点から4cm離れたところ、及び長手方向中心線上の後側腰部領域に向かって充填点から8cm離れたところで測定される。これら3つの位置で測定された量が加算され、合計が、第1又は第2のゾーンにおける「総液体量」として報告される。
【0019】
更に、本明細書に記載のNMR MOUSE試験方法によって測定した場合の第1のゾーンの充填点における液体量は、50μl以下であるか、又は40μl以下であるか、又は35μl以下であり得る。本明細書に記載のNMR MOUSE試験方法によって測定した場合の第2のゾーンの充填点における液体量は、50μl以下であるか、又は40μl以下であるか、又は35μl以下であり得る。
【0020】
したがって、本発明の吸収性物品において、液体は、吸収性物品の内側に保持され、吸収性物品の内側の着用者に面する表面並びに外側の衣類に面する表面に隣接する領域には少量の液体のみが残る。
【0021】
吸収性物品内の液体分布は、NMR MOUSE(核磁気共鳴モバイルユニバーサル表面エクスプローラ)方法論を使用することによって測定される。NMR MOUSEは、オープンNMRセンサを使用して、多孔質媒体構造(すなわち、吸収性物品)内の流体の位置決めを特徴付ける携帯用装置である。この方法は、液体分布の正確な決定を可能にする。
【0022】
本発明については、NMR MOUSE技術を使用して、第1のゾーン及び第2のゾーン内の液体の量を決定する。このために、以下に記載される詳細な試験プロトコルに従って、2つの液体噴出が吸収性物品に導入される。比較的小さい吸収性物品については、異なるサイズの吸収性物品の使用状態をよりよく反映するために、比較的大きな吸収性物品と比較して少量の液体が試験方法で使用される(比較的小さい吸収性物品のより低い全体的な液体容量のため、以下の詳細を参照されたい)。第1のゾーン及び第2のゾーン内の液体量は、NMR MOUSEによって測定される。この量は、充填点(すなわち、液体が吸収性物品に導入された領域)、吸収性物品の長手方向中心線上の充填点から後側腰部領域に向かって4cm離れたところ、及び物品の長手方向中心線上の充填点から後側腰部領域に向かって8cm離れたところで測定される。これら3つの位置における液体量を合計する。この合計は、この試験方法によって報告される総液体量であるが、充填点における液体量、すなわち、充填点から4cm及び8cm離れたところの液体量を除いた液体量が、「充填点での液体量」として報告される。
【0023】
本発明によれば、第1のゾーンにおいて、3つの位置に(合わせて)、本明細書に記載のNMR MOUSE試験方法によって決定された場合、合計90μl未満、又は80μl未満、又は75μl未満の液体が存在する。また、第2のゾーンでは、3つの位置に(合わせて)、本明細書に記載のNMR MOUSE試験方法によって決定された場合、合計80μl未満、又は75μl未満の液体が存在する。90μl未満、及び80μl未満の液体量それぞれによって反映される桁数を例示すると、試験方法のプロトコルは、合計150mlが、2つの等量の連続噴出において、比較的大きなサイズの吸収性物品に導入され、合計80mlが、2つの等量の連続噴出において、比較的小さな吸収性物品に導入されることが求められる。
【0024】
下部捕捉及び分配システムの坪量は、20g/m2~80g/m2であり得る。
【0025】
下部捕捉及び分配システムは、少なくとも25%の乾燥不透明度を有し得る。
【0026】
吸収性材料の層は、上部及び下部捕捉及び分配システムを越えて長手方向及び横方向に延在し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本明細書は、本発明を詳細に示しかつ明確に特許請求する「特許請求の範囲」をもって結論とするが、添付図面と共に以下に記載する説明を参照することにより、本明細書の内容がよりよく理解されると考えられる。
【
図2A】下部基材層とバックシートとの間にあり、下部基材層及びバックシートと直接接触する下部捕捉及び分配層を示す
図1のおむつの横断面図である。
【
図2B】吸収性材料の層と下部基材層との間にあり、吸収性材料の層及び下部基材層と直接接触する下部捕捉及び分配システムを示す
図1のおむつの横断面図である。
【
図2C】吸収性材料の層とバックシートとの間にあり、吸収性材料の層及びバックシートと直接接触する下部捕捉及び分配層を示す更に別の代替的なおむつの横断面図である。
【
図3】吸収性物品中の流体分布を分析するためのNMR MOUSE試験方法に係る例示的なデバイスの斜視図である。
【
図4】吸収性物品中の流体分布を分析するためのNMR MOUSE試験方法に係る
図3の例示的なデバイスの代替的な斜視図である。
【
図5】圧力チャンバのトッププレート及びブラダアセンブリが、試料を入れるために分離された場合の吸収性物品中の流体分布を分析するためのNMR MOUSE試験方法に係る
図3の例示的なデバイスの代替的な斜視図である。
【
図6】圧力チャンバのトッププレート及びブラダアセンブリが分離され、その中にブラダ及び試料が入れられた場合の吸収性物品中の流体分布を分析するためのNMR MOUSE試験方法に係る
図3の例示的なデバイスの更に別の代替的な斜視図である。
【
図7】例示的な圧力チャンバのトッププレートとの協調的な係合に適したNMR MOUSE試験方法のための例示的な堆積アセンブリの斜視図である。
【
図8】例示的な圧力チャンバのトッププレート内に配置された侵襲適用開口部と協働的に係合する例示的な堆積アセンブリの斜視図である。
【
図9】NMR MOUSE試験方法に使用される3つのプロファイリングスポット(x)の例示的な概略上面図を示す。
【
図10】改変流体捕捉試験で使用される装置を示す。
【
図11A】改変流体捕捉試験で使用される湾曲構成要素の側面図である。
【
図12A】改変流体捕捉試験で使用されるトッププレートアセンブリを示す。
【
図12B】改変流体捕捉試験で用いられる機器を示す。
【
図14】本開示の吸収性物品のパッケージであり、物品は、パッケージを示すために部分的に切り取られている。
【
図15】水平曲げ降下試験を実施するための概略設定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
用語の定義
本明細書で使用するとき、「吸収性物品」は、身体排泄物を吸収して収容するデバイスを指し、より具体的には、身体から排出された様々な排泄物を吸収して収容するために、着用者の身体に対して又は近位に配置されたデバイスを指す。吸収性物品としては、おむつ(乳児及び幼児用おむつ並びに成人失禁用おむつ)、パンツ(乳児、幼児用及び成人用)、吸収性インサート(おむつ又はパンツを形成するために外側カバーに挿入されることが意図されるもの)、生理用ナプキン及びパンティライナーなどの女性用ケア吸収性物品などが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「排泄物」は、限定するものではないが、尿、血液、膣排泄物、汗、及び糞便を含む。本発明の好ましい吸収性物品は使い捨て吸収性物品であり、より好ましくは、使い捨ておむつ及び使い捨てパンツである。
【0029】
本明細書で使用するとき、「おむつ」及び「パンツ」とは、概して、乳児、幼児及び成人失禁者によって、着用者の腰及び脚を取り囲むように胴体下部の周囲に着用され、特に、尿及び糞便排泄物を受容し収容するように適合された吸収性物品を指す。パンツにおいては、本明細書で使用するとき、第1の腰部領域及び第2の腰部領域の長手方向縁部は、腰部開口部及び脚部開口部を予め形成するために互いに取り付けられている。パンツは、着用者の脚を脚部開口部内に挿入し、パンツ吸収性物品を着用者の下部胴体の周りの所定位置に横滑りさせることによって、着用者の所定位置に配置される。パンツは、限定するものではないが、再取り付け可能な接合材及び/又は再取り付け不可能な接合材(例えば、縫合、溶接、接着剤、粘着性接合材、締着具など)を用いて吸収性物品の部分を互いに結合することを含む任意の好適な手法によって、予め形成されてもよい。パンツは、物品の外周に沿った任意の位置(例えば、側部締着、前側腰部締着)で予め成形されてもよい。おむつにおいては、腰部開口部及び脚部開口部は、おむつが、第1の腰部領域及び第2の腰部領域の長手方向縁部を好適な締着システムによって両側で互いに(剥離可能に)取り付けられることによって着用者に適用されたときにのみ、形成される。
【0030】
本明細書で使用される場合、「パンティライナー」及び「生理用ナプキン」は、概して、2つの端部領域及び中間領域(すなわち、股部領域)を有する。パンティライナー及び生理用ナプキンは、身体に面する表面及び衣類に面する表面を有する。トップシートとバックシートとの間に位置付けられた吸収性構造のサイズ及び形状は、吸収能力要件を満たし、着用者に快適性を提供するように変更され得る。パンティライナー及び生理用ナプキンの衣類に面する表面は、着用者の下着に固着するための感圧接着剤をその上に有し得る。典型的には、そのような接着剤は、下着に固着する前に除去される剥離ストリップで覆われる。パンティライナーはまた、典型的には、ユーザーの下着の股部領域においてパンティ弾性部に被さって延在しパンティ弾性部を被覆するように意図される、「フラップ」又は「ウィング」として当該技術分野において一般的に知られている横方向延長部を備えてもよい。しかしながら、ウィングは通常、パンティライナーと共には使用されず、生理用ナプキンにおいてより多くの場合使用される。本発明の生理用ナプキン及びパンティライナーは、バリアレッグカフを含む。
【0031】
本明細書で使用するとき、「使い捨て」は、通常の意味では、様々な期間にわたって限定された使用回数、例えば、20回未満の使用、10回未満の使用、5回未満の使用、又は2回未満の使用の後に、処分又は廃棄される物品を意味するように使用される。使い捨て吸収性物品が、個人衛生用途のためのおむつ、パンツ、生理用ナプキン、生理用パッド、又はウェットティッシュである場合には、使い捨て吸収性物品は、ほとんどの場合、ただ1回の使用後に処分されることが意図されている。
【0032】
本明細書で使用される「吸収性材料の層」という用語は、トップシートとバックシートとの間の吸収性物品内に配置されるか、又はそこに配置されることが意図される構成要素を指す。吸収性材料の層は、コアラップによって包囲され得る。コアラップは、不織布ウェブなどの上部基材層及び不織布ウェブなどの下部基材層で形成され得る。下部基材層は、下部ADSから、又は下部ADSの層によって形成され得る。吸収性材料の層は、セルロース繊維(いわゆる「エアフェルト」又は「フラッフパルプ」)、合成吸収性繊維、超吸収性材料、又はそれらの組み合わせであり得る。吸収性材料の層は、セルロース繊維と超吸収性材料との混合物であり得る。吸収性材料の層はまた、少量の接着剤(例えば、吸収性材料の層の総重量に基づいて、2.0重量%未満、又は1.5重量%未満、又は1.0重量%未満の接着剤)を含み得る。本発明の吸収性材料の層は、超吸収性材料を含み、吸収性材料の層は、吸収性材料の層の総重量に基づいて少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%を構成し得る。超吸収性材料は、超吸収性ポリマー繊維、超吸収性ポリマー発泡体、又は好ましくは超吸収性ポリマー粒子の形態であり得る。
【0033】
本明細書で使用される用語「不織布ウェブ」及び用語「不織層」は、互換的に使用される。それらは、方向性又はランダム配向繊維の製造されたウェブ/層である材料を指す。繊維は天然由来のものでもよく、又は人工的なものでもよい。天然繊維は、麦わら繊維、米わら繊維、亜麻繊維、竹繊維、綿繊維、黄麻繊維、麻繊維、サイザル繊維、バガス繊維、ヘスペルアロエ繊維、茅、海水又は淡水藻類/海藻、絹繊維及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好ましくは、天然繊維は、綿繊維、竹繊維、又はこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、天然繊維は、綿繊維である。合成繊維は、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン又はそれらの組み合わせ及び混合物など)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、co-PET、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノイド(PHA)又はそれらの混合物若しくは組み合わせからなる群から選択され得る。
【0034】
不織布ウェブ中の繊維は、紙及び織られた、編まれた、タフト化された、ステッチ結合された製品を除いて、摩擦及び/又は凝集及び/又は接着によって固結される。繊維は、ステープル繊維(例えば、カーディングされた不織布ウェブ/層)又は連続繊維(例えば、スパンボンド又はメルトブローン不織布ウェブ/層)であり得る。
【0035】
不織布ウェブ/層は、メルトブロー、スパンレイ、溶媒紡糸、電界紡糸及びカーディングなどの多くのプロセスによって形成することができ、繊維は、例えば、水流交絡(スパンレース不織布ウェブ/層において)、エアスルー接着(厚さ方向に繊維層を通って吹き込まれる熱空気を使用)、針パンチ、局所的な圧縮及び/又は熱若しくは超音波エネルギーの適用によって生成される1つ以上の接着のパターン及び接着部圧痕、又はそれらの組み合わせによって固結され得る。繊維は、代替的に又は追加的に、結合剤の使用によって固結され得る。結合剤は、結合剤繊維(これは続いて溶融される)の形態で提供されるか、又はスチレンブタジエン結合剤などの液体で提供され得る。液体結合剤は、(例えば、噴霧、印刷又は発泡体塗布によって)繊維に提供され、続いて硬化されて固化する。
【0036】
不織布の坪量は通常、1平方メートル当たりのグラム(g/m2)で表される。
【0037】
「単成分」とは、単一ポリマー成分又はポリマー成分の単一配合物で形成される繊維を指し、二成分繊維又は多成分繊維とは区別される。
【0038】
「二成分」とは、2つの個別のポリマー成分、ポリマー成分の2つの個別の配合物、又は1つの個別のポリマー成分及び1つの個別のポリマー成分の配合物を含む断面を有する繊維を指す。「二成分繊維」は、用語「多成分繊維」に包含される。二成分繊維は、例えば、同心円状コア及びシース小部分、偏心性コア及びシース小部分、並列小部分、放射状小部分などを含む、任意の形状又は配置の2つの異なる成分の小部分に分割された全体的な断面を有し得る。
【0039】
「多成分繊維」としては「二成分繊維」が挙げられるが、これに限定されない。多成分繊維は、例えば、同心円状コア及びシース小部分、偏心性コア及びシース小部分、並列小部分、アイランド・イン・ザ・シー小部分、セグメント化パイ小部分などを含む、任意の形状又は配置の異なる成分の小部分に分割された全体的な断面を有し得る。
【0040】
「dtex」とは、本明細書で使用するとき、フィラメント/繊維の繊度を示すために用いられる単位を指す。この単位は、長さ10,000メートル当たりのグラムでフィラメント/繊維の質量を表す。
【0041】
本明細書で使用される「機械的に変形された」及び「機械的変形」という用語は、1つ以上の不織布ウェブが第1のロールと第2のロールとの間で機械的に変形されることを意味する。2つ以上の不織布ウェブが、それらを機械的に変形させる前に互いに重ね合わされる場合、ウェブは、機械的に変形されるのと同時に密接に組み合わされる。機械的変形は、プロセス、必要な装置、並びに基材の特性、すなわち繊維の見かけの伸び、繊維移動度、機械的変形が形成される領域での変形し延伸する能力、塑性変形を経る能力に依存し、これは第1のロール及び第2のロールを出た後又は弾性回復によって部分的にはね返った後に硬化する。
【0042】
機械的変形は、3次元突出部を含む複数の変形が得られるように、単一の不織布ウェブ又は2つ以上の不織布ウェブを第1の形成部材及び第2の形成部材の間で係合することを含み得る。機械的変形はまた、3次元開口型不織布ウェブが得られるように、不織布に開口部を導入し得る。不織布ウェブを機械的に変形させる既知のプロセスは、「セルフィング」及び「リングロール」である。それらは、例えば、国際公開第2016/040090(A1)号に記載されている。
【0043】
本明細書で使用される場合、機械的変形は、不織布ウェブのエンボス加工を含まない(ただし、不織布ウェブが、機械的変形に加えてエンボス加工される場合はある)。
【0044】
「親水性の」は、これらの基材に堆積された水性流体(例えば、水性体液)によって湿らせることができる基材の表面を記載するものである。親水性及び湿潤性は、典型的には、流体の接触角、及び流体の染み出し時間、例えば不織布を通る染み出し時間により画定される。これに関しては、「Contact Angle,Wettability and Adhesion」と題する、Robert F.Gouldにより編集された、American Chemical Societyの刊行物(Copyright 1964)に詳述されている。基材の表面は、流体と表面との間の接触角が90°未満の場合、又は流体が基材の表面にわたって自然に広がる傾向がある場合のいずれかにおいて(通常、両条件は共存する)、流体によって濡れた(すなわち、親水性)と言われる。逆に、接触角が90°より大きい場合及び流体が繊維の表面全体に自然に広がらない場合は、基材は「疎水性」と見なされる。
【0045】
「長手方向」とは、物品の腰部縁部から反対側の腰部縁部まで実質的に垂直に、及び物品の最大直線寸法に一般に平行に延びる方向を指す。「横断方向」とは、長手方向と垂直な方向を指す。
【0046】
「内側」及び「外側」とは、それぞれ、要素、又は要素の表面、又は要素の群の相対位置を指す。「内側」とは、要素又は表面が、何らかの他の要素又は表面よりも、着用中に着用者の身体により近いことを意味する。「外側」とは、要素又は表面が、何らかの他の要素又は表面よりも、着用中に着用者の身体からより遠く離れている(即ち、要素又は表面が、本物品の上に着用され得る着用者の衣類に対してより近位にある)ことを意味する。
【0047】
「身体に面する」及び「衣類に面する」とは、それぞれ、要素、又は要素の表面、又は要素の群の相対位置を指す。「身体に面する」とは、要素又は表面が、同じ構成要素の別の要素よりも、着用中に着用者により近いことを意味する。一例は、本発明の弾性積層体の内側層であり、内側層(弾性積層体の要素である)は、外側層(弾性積層体の別の要素である)よりも、着用者の身体により近い。「衣類に面する」とは、要素又は表面が、同じ構成要素の別の要素よりも、着用中に着用者からより遠く離れていることを意味する。衣類に面する表面は、着用者の別の(すなわち、着用可能物品以外の)衣類、寝具などの他の物品、又は大気に面してもよい。
【0048】
「含む、備える(comprise、comprises、comprising)」は、非限定的な用語であり、それぞれが、続いて記載される特徴(例えば、構成要素)の存在を特定するが、他の特徴(例えば、当該技術分野において既知の、又は本明細書に開示される要素、工程、構成要素)の存在を除外しない。動詞「含む、備える(comprise)」に基づくこれらの用語は、特徴がその機能を発揮する様式に実質的に影響を及ぼすような、言及されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する、より狭義の用語「から本質的になる」、及び指定されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する用語「からなる」を包含する。
【0049】
図1は、例示的なおむつ20を平らに広げた状態で示した平面図であり、おむつ20の構造をより明確に示すためにその構造の一部を切り欠いている。既述のように、本発明の構造体は多種多様のおむつ又はその他の吸収性物品として、例えばパンツとして構成されてもよいため、このおむつ20は例示の目的のためにのみ示されている。
【0050】
図1に示されるように、ここではおむつである吸収性物品は、トップシート24、バックシート26及びトップシート24とバックシート26との間に位置付けられた吸収性材料の層28を含み得る。吸収性材料の層28は、吸収性物品によって受容された液体を吸収し、収容することができる。
図1に示されるおむつ20などの本発明の吸収性物品は、下部捕捉及び分配システムを含み、上部捕捉及び分配システム(ADS)50も含み得る。上部ADSは、上部52及び下部54層を含み得る。
【0051】
吸収性物品はまた、バリアレッグカフ34を含み得、弾性レッグカフ32を更に含み得る。更に、吸収性物品は、ランディング区域44(例えば、面締着具システムにおけるループを提供する不織布ウェブ)と協働する、接着テープタブ、又はフック要素を含むテープタブなどの、テープタブ42を含み得る、接着締着具システム又は面締着具部材などの、締着具システムを更に含んでもよい。
【0052】
図1に示されるおむつ20などのおむつ又はパンツは、概念的に、第1の腰部領域36(これは前側腰部領域であり得る)、第1の腰部領域36に対向する第2の腰部領域38(これは後側腰部領域であり得る)及び第1の腰部領域36と第2の腰部領域38との間に位置する股部領域37に分割することができる。長手方向中心線80は、おむつをその長さに沿って2等分する想像線である。横断中心線90は、完全に扁平になったおむつの平面内の長手方向線80と垂直で、おむつの長さの中央を通る想像線である(同じことは、本発明の他の吸収性物品の横断中心線及び長手方向線についても当てはまる)。おむつ20の周辺はおむつ20の外縁部によって画定される。おむつの長手方向縁部13はおむつ20の長手方向中心線80と概ね平行に延びてもよく、末端縁部(前側腰縁部10及び後側腰縁部12)は長手方向縁部間に、おむつ20の横断中心線90と概ね平行に延びる。股部領域、第1の腰部領域及び第2の腰部領域は各々、長手方向中心線に沿って吸収性物品の1/3を構成する。
【0053】
更に、吸収性物品は、非弾性又は弾性であり得る後側腰部特徴部及び非弾性又は弾性であり得る前側腰部特徴部、トップシートの身体に面する表面上に適用され得るローション、後側耳部40及び/又は前側耳部46などの他の要素を含み得る。
【0054】
代替的に、前側耳部及び/又は後側耳部40、46は、吸収性物品に取り付けられた別個の構成要素であるか、又はその代わりに、トップシート及び/又はバックシートの部分と、それらの部分が前側耳部及び/又は後側耳部40、46の全部又は一部を形成するように、連続していてもよい。上述したことの組み合わせも可能であり、それにより、前側耳部及び/又は後側耳部40、46はトップシート及び/又はバックシートの部分によって形成され、その一方で、追加の材料が、前側耳部及び/又は後側耳部40、46全体を形成するために付着される。前側耳部及び/又は後側耳部は、弾性又は非弾性であり得る。また、前側耳部40は、吸収性物品に取り付けられた別個の構成要素として適用されてもよく、一方、後側耳部(又はその部分)46は、バックシート及び/又はトップシートの一部と連続的であってもよく、又はその逆であってもよい。
【0055】
トップシート24、バックシート26及び吸収性材料の層28は、様々な周知の構成で、具体的には、糊付け、熱エンボス加工、超音波ボンディング又はそれらの組み合わせによって組み立てられてもよい。例示的なおむつ構成は、米国特許第3,860,003号、同第5,221,274号、同第5,554,145号、同第5,569,234号、同第5,580,411号及び同第6,004,306号に概説されている。
【0056】
トップシート24は、着用者の皮膚に直接接触する、吸収性物品10の部分である。トップシート24は、バックシート26の部分、吸収性材料の層28、トップシートに向かって吸収性材料の層を覆う上部不織コアウェブ、バリアレッグカフ32及び/又は当業者に知られている他の任意の層に接合され得る。トップシート24は、着用者の皮膚に対して適合性があり、柔らかい感触でありかつ非刺激性のものとすることができる。更に、トップシートの少なくとも一部分又はその全体を液体透過性とすることができ、これにより液状の身体排泄物がその厚みを通して容易に浸透する。好適なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網目状発泡体、有孔プラスチックフィルム、織布材料、不織布材料、天然繊維(例えば、木材繊維若しくは綿繊維)、合成繊維又はフィラメント(例えば、ポリプロピレン繊維、若しくは二成分PE/PP繊維、又はこれらの混合物)、あるいは天然繊維と合成繊維との組み合わせの、織布材料又は不織布材料などの、幅広い範囲の材料から製造されてもよい。トップシートは1つ以上の層を有してもよい。トップシートは、有孔であるか、又は無孔であってもよく、任意の好適な3次元特徴部を有してもよく、及び/又は、複数のエンボス部(例えば、ボンドパターン)を有してもよい。トップシートの任意の部分は、スキンケア組成物、抗菌剤、界面活性剤、及び/又はその他の有益な薬剤でコーティングされてもよい。トップシートは、親水性又は疎水性であってもよい、あるいは、親水性部分若しくは親水性層及び/又は疎水性部分若しくは疎水性層を有していてもよい。トップシートが疎水性である場合、身体排泄物がトップシートを通過し得るように、典型的には孔が存在することになる。
【0057】
バックシート26は、一般には、吸収性物品の衣類に面する表面の全部又は一部を構成する吸収性物品20の部分である。バックシート26は、トップシート24の部分、吸収性材料の層28、下部不織布コアウェブ、下部捕捉及び分配システム(又は当業者に知られる任意の付着方法によってバックシート及び/又は吸収性物品の任意の他の層と直接接触している下部ADSの層)に接合され得る。バックシート26は、吸収性材料の層28に吸収されて収容された身体排泄物が、ベッドシーツ、下着、及び/又は衣服などの物品を汚すことを防止するか、又は少なくとも抑制する。バックシートは典型的には、液体不透過性であるか、又は少なくとも実質的に液体不透過性である。
【0058】
バックシートは、例えば、約0.012mm~約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムのような薄い可塑性フィルム39とする、又はこれを含んでもよい。その他の好適なバックシート材料は、吸収性物品から蒸気を逃がすことを可能にする一方で、依然として、身体排泄物がバックシートを通過することを防止する、又は少なくとも抑制する通気性材料を含んでもよい。
【0059】
バックシートは通気性であり得る。通気性バックシートは、実験は23℃±2℃及び50%RH±2%RHで制御された実験室で行われ、計器細胞は37.8℃(100°F)に加熱されるという仕様を用いて、不織標準手順 NWSP 70.4.R 0(15)に従って、PERMATRAN-W Model 101K(Mocon,Inc.、Minneapolis,MN)又は同等物を使用して測定して、1,000~15,000g/m2/h、又は1,000~10,000g/m2/h、又は1,500~10,000g/m2/hの水蒸気透過率(WVTR)を有し得る。
【0060】
バックシート26は、バックシート外側カバー不織布ウェブ40を含み得る。バックシート外側カバー不織布ウェブは、バックシートフィルム39に接合され、バックシートフィルム39を覆う1つ以上の不織布材料を含み得る。外側カバー不織布ウェブ40は、バックシートの衣類に面する表面を形成し得る。これにより、フィルムは、衣類に面する表面上に存在しない場合がある。バックシート外側カバー不織布材料40は、ボンドパターン、開口部、及び/又は3次元特徴部を含んでもよい。
【0061】
吸収性物品20は、450mmより大きい、又は450mm未満の長さを有し得る。吸収性物品の長さは、平坦化された構成を妨げる全ての弾性ストランド(脚部弾性体など)が切断され、よって非弾性化され、吸収性物品が平らに置かれたときに決定される。長さは、長手方向中心線に沿って決定される。
【0062】
吸収性材料の層28は、超吸収性ポリマー粒子、及び任意選択でセルロース繊維を含む。吸収性材料の層は、1つ以上の基材層によって支持され得る。上部基材層45は、上部ADS50と吸収性材料の層28との間に設けられ得る。吸収性物品が上部ADSを含まない場合、上部基材層は、トップシートと吸収性材料の層との間に設けられ得る。下部基材層46は、吸収性材料の層28と下部ADSとの間に設けられ得る。下部基材層46に代えて、下部ADS60は、吸収性材料の層28と直接接触していてもよい(すなわち、下部基材層46がない)。
【0063】
上部基材層45及び下部基材層46は、吸収性材料の層28を部分的又は完全に包囲し得る。あるいは、上部基材層45及び下部ADS60は、吸収性材料の層28を部分的又は完全に包囲し得る。
【0064】
吸収性材料の層28は、部分的又は完全に上部基材層45及び下部基材層46によって包囲され得、上部基材層45は、吸収性材料の層28と上部捕捉及び分配システム50との間にあり得、下部基材層46は、吸収性材料の層28と下部捕捉及び分配システム60との間にあり得る。そのような実施形態は、
図2Aに例示的に示されている。そのような実施形態では、a)下部捕捉及び分配システム60は、疎水性であり、下部基材層46は、親水性であり得、又はb)下部捕捉及び分配システム60及び下部基材層46が両方とも親水性であり、下部捕捉及び分配システム60が下部基材層46よりも親水性が低い可能性があり、又はc)下部捕捉及び分配システム60及び下部基材層46は両方とも疎水性であり、下部基材層46は、下部捕捉及び分配システム60よりも疎水性が低い可能性がある。
【0065】
あるいは、吸収性材料の層28並びに下部捕捉及び分配システム60は、部分的又は完全に上部基材層45及び下部基材層46によって包囲され、かつ上部基材層45及び下部基材層46と直接接触している可能性があり、上部基材層45は、吸収性材料の層28と上部捕捉及び分配システム50との間にあり得、下部基材層46は、吸収性材料の層28が、下部捕捉及び分配システム60と直接接触して、下部捕捉及び分配システム60とバックシートとの間にあり得る。そのような構成の実施形態は、
図2Cに例示される。
【0066】
更に別の代替例では、吸収性材料の層28は、上部基材層45及び下部捕捉及び分配システム60によって部分的又は完全に包囲されていてもよく、上部基材層45は、吸収性材料の層28と上部捕捉及び分配システム50との間にあってもよい。そのような実施形態は、
図2Bに例示的に示されている。
【0067】
上部基材層及び下部基材層は、同じ材料、すなわち同じ不織布ウェブで作製されてもよく、又は異なる材料、すなわち互いに異なる2つの不織布ウェブで作製されてもよい。上部基材層及び下部基材層はまた、例えばcラップ構成において、吸収性材料の層の周りに巻き付けられた単一の連続不織布ウェブなどの単一の連続材料で作製され得る。
【0068】
上部基材層45の長手方向縁部にある部分及びそこに隣接する部分は、これらの部分が吸収性材料の層の衣類に面する表面上に位置付けられるように、吸収性材料の層の長手方向縁部上に折り畳まれ得る。代替的に又は追加的に、下部基材層46の長手方向縁部にある部分及びそれに隣接する部分は、これらの部分が吸収性材料の層の身体に面する表面上に位置付けられるように、吸収性材料の層の長手方向縁部上に折り畳まれてもよい。吸収性材料の層は、例えばホットメルト接着剤を使用することによって、上部基材層45上及び/又は下部基材層46上に、及び/又は下部ADS60上に固定化されてもよい。
【0069】
上部基材層45及び下部基材層46は、吸収性材料の層を支持することができる任意の材料であり得る。基材層は、発泡体、フィルム、織布、又は好ましくは不織布ウェブなどのウェブ又はシート材料であってもよい。上部基材層45及び下部基材層46は、別個の別々の材料シート(2つの不織布ウェブなど)であるか、又は吸収性材料の層の周囲に巻き付けられた連続シート(連続不織布ウェブなど)から形成されてもよい。
【0070】
吸収性材料の層28は、超吸収性ポリマー粒子などの超吸収性ポリマーを含み、任意選択でセルロース繊維を含み得る。
【0071】
層吸収性材料は、吸収性層の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の超吸収性ポリマー粒子などの超吸収性ポリマーを含み得る。吸収性材料の層は、吸収性材料の層の総重量に基づいて、25重量%未満、若しくは20重量%未満、若しくは15重量%未満、若しくは10重量%未満のセルロース、又は5重量%未満のセルロースを含むか、又は更にはセルロースを含まない可能性がある。
【0072】
セルロース繊維対超吸収性ポリマー粒子の比が、吸収性材料の層全体にわたって実質的に同じであるように、超吸収性ポリマー粒子及びセルロース繊維を互いに均質に混合してもよい。あるいは、セルロース繊維対超吸収性ポリマー粒子の比が、吸収性材料の層の中央領域と比較して吸収性材料の層の前側及び後側縁部方向が高くなるように、超吸収性ポリマー粒子及びセルロース繊維を不均質に混合してもよい。吸収性材料の層の前側縁部方向の領域、吸収性材料の層の後側縁部方向の領域、及び中央領域は各々、長手方向中心線に沿って吸収性層の長手方向寸法の1/3に沿って延在してもよい。
【0073】
吸収性材料の層がセルロースを含まないとき、吸収性層中の唯一の吸収性材料は、超吸収性ポリマー(粒子、繊維又は発泡体)であり得る。生じる吸収性材料の層は、セルロース繊維を含む従来の吸収性コアと比較して、乾燥状態では低減された厚さを有する。厚さが減少することで、着用者に対する吸収性物品のフィット感及び快適性の改善が助長される。
【0074】
吸収性材料の層は、吸収性材料が存在せず、吸収性材料によって完全に囲まれている1つ以上の領域を含み得る。したがって、これらの領域は、セルロース繊維及び超吸収性ポリマー粒子を含まなくてもよい。吸収性材料を含まない領域は、吸収性材料の層の全長手方向寸法に基づいて、20%~80%、又は20%~70%、又は30%~60%の長さを有する細長い領域であり得る。細長い領域は、直線状、湾曲状、又はそれらの組み合わせであり得る。吸収性材料の層は、1つのみの吸収性材料を含まない領域を有するか、又は2つ以上の吸収性材料を含まない領域を含み得る。2つ以上の吸収性材料を含まない領域は、それらが吸収性物品の長手方向中心線に対して対称であるように構成され得る。
【0075】
吸収性材料の層によって構成された超吸収性ポリマー粒子は、球状、球状に似た形状、楕円形、又は逆相懸濁重合から得られ得る種類の卵形の粒子などの不規則な形状であってもよい。粒子は、より大きな不規則な粒子凝集体を形成するために、任意選択的に、少なくともある程度、凝集させることもできる。
【0076】
超吸収性ポリマー粒子は、ポリアクリレート、並びに例えば部分的に中和された架橋ポリアクリレート又は酸ポリアクリレートなどの内部架橋及び/又は表面架橋されているポリアクリレート系材料の中から選択することができる。本開示に好適な吸収性ポリマー粒子の例は、例えば国際公開第07/047598号、同第07/046052号、同第2009/155265号、及び同第2009/155264号に記載されている。
【0077】
下部ADSの存在により、本発明の吸収性物品は、以下の様々な実施例の総捕捉時間によって反映されるように、迅速な捕捉速度を有する。吸収性物品の総捕捉時間は、本明細書に記載の試験方法に従って測定した場合、120秒未満、又は100秒未満であり得る。
【0078】
上部捕捉及び分配システム(ADS)
上部ADS50は、吸収性材料の層28とトップシート24との間に配置され得る。上部ADSは、吸収性材料の層28及びトップシート24と直接接触し得る。吸収性物品が、吸収性材料の層28を少なくとも部分的に包囲する上部基材層を含む場合、上部ADSは、トップシート24及び上部基材層45と直接接触し得る。
【0079】
上部ADSは、吸収性材料の層が液体を吸収して格納することができるまで、液体の一時的なリザーバとして機能し、その後、液体を吸収性材料の層に効率的な様式で分配することができる。上部ADSは、単一の層からなるか、又はトップシート24に隣接し、着用者の身体に面して設けられる上層52、及び上層52と吸収性材料の層との間に、着用者の衣類に面して設けられる下層54などの複数の層を含んでもよい。
【0080】
先行技術は、多くの種類の捕捉-分配システムを開示しており、例えば、国際公開第2000/59430号、同第95/10996号、米国特許第5700254号、国際公開第02/067809号を参照されたい。
【0081】
上部ADSは、超吸収性ポリマーを含まなくてもよい。上部ADSはまた、未改変のセルロース繊維を含まなくてもよい。
【0082】
上部ADS50の下層54の機能は、典型的には、吸収性材料の層の吸収性能をより効率的に使用することができるように、排泄された流動液を吸収性物品中のより大きい表面上に広げることである。上部ADSの下層54は、合成又はセルロース繊維系の比較的低い密度を有する不織布ウェブによって作製することができる。上部ADSの下層は、典型的には30~400g/m2、具体的には80~300g/m2の平均坪量を有し得る。上部ADSの下層は、密着性の自立型ウェブ又はシートから形成されないことがあるが、それ自体に完全性がほとんどない層であってもよい。
【0083】
上部ADSの下層は、例えば、少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮、加撚、若しくはカールされてもよく、又は捲縮、加撚、及びカールを含むこれらの組み合わせであってもよい。架橋セルロース繊維は、非改変セルロース繊維と比較して、製品の梱包における、又は、例えば、赤ちゃんの重量下などの吸収性物品の使用条件下における圧縮に対する高い復元力、ひいては高い耐性を提供する。これは、上部ADSの下層に、比較的高い空隙容積、透過性、及び液体吸収性を提供し、それにより漏れが低減され、乾燥性が改善される。
【0084】
架橋セルロース繊維を含む上部ADSの下層は、他の繊維を含んでもよいが、この層は、層の少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%、又は更には最大100重量%の架橋セルロース繊維を含むことが有利であり得る。かかる架橋セルロース繊維の混合層の例は、70重量%の化学架橋セルロース繊維、10重量%のポリエステル(PET)繊維、及び約20重量%の未処理パルプ繊維を含んでもよい。別の例では、架橋セルロース繊維の層は、70重量%の化学架橋セルロース繊維、20重量%のリヨセル繊維、及び10重量%のPET繊維を含んでもよい。別の例では、層は、68重量%の化学架橋セルロース繊維、16重量%の未処理パルプ繊維、及び16重量%のPET繊維を含んでもよい。
【0085】
上部ADSは、典型的には、流体をトップシートから離して素早く捕捉して、着用者に良好な乾燥性を提供するように機能する、上層52を更に備えてもよい。上部ADSの上層は、典型的には、トップシートの真下、かつ上部ADSの下層の真上に配置される。上部ADSの上層は、典型的には、例えば、間に1つ以上のメルトブロー(M)層を有する2つのスパンボンド(S)外層、又は代替的には繊維を固結し、ウェブの完全性を提供するための結合剤を含むカーディングされた不織布ウェブを含む、SMS又はSMMS材料であっても又はそれを含んでもよい。不織布ウェブは、特に、ラテックス結合剤によって結合されたものであり得る。上部ADSの例示的な上層は、米国特許第7786341号に開示されている。使用される繊維が、中実丸形の又は丸形で中空のPETステープルファイバー(6デニール繊維と9デニール繊維との50/50又は40/60の混合)である場合は特に、カーディングされた樹脂結合不織布ウェブが使用され得る。
【0086】
カーディングされた樹脂が結合されている上部ADSの上層は、ラテックス結合剤、例えばスチレン-ブタジエンラテックス結合剤(styrene-butadiene、SBラテックス)によって、安定させることができる。かかる格子状構造を得るためのプロセスは、例えば、欧州特許第149 880号(Kwok)、及び米国特許出願公開第2003/0105190号(Diehl et al)から知られている。結合剤は、上部ADSの上層に、15重量%、又は20重量%を超えて存在してもよいが、上層の40重量%以下、又は35重量%以下で存在してもよい。SBラテックスは、例えば、GENFLO(商標)3160(OMNOVA Solutions Inc.(Akron,Ohio))の商品名にて入手可能である。
【0087】
下部捕捉及び分配システム(ADS)
下部ADS60は、吸収性材料の層28とバックシート26との間に配置され得る。下部ADSは、吸収性材料の層28及びトップシート26と直接接触し得る。吸収性物品が、上部基材層と併せて吸収性材料の層28を少なくとも部分的に包囲する下部基材層46を含む場合、下部ADSは、トップシート24及び下部基材層45と直接接触し得る。
【0088】
下部ADSは、吸収性材料の層の吸収性材料によって十分に急速に吸収されなかったため、吸収性材料の層を通って流れた液体のための一時的なリザーバとして機能し得る。
【0089】
吸収性物品に提供される追加の層は、一般に、物品の厚さ及びバルクを増加させる。これにより、曲げ剛性の増加、したがって、物品の着用者の身体への適合性及び密接な接触に関する欠点につながる可能性があり、それによって着用者の快適さを低減する。また、特に着用者の脚の間でのバルクの増加は、一般に望ましくない。したがって、下部ADSの厚さ及びバルクは、注意深く選択されるべきである。
【0090】
吸収性物品の剛性を過度に増加させないために、下部ADSは、60より大きい、好ましくは70より大きい、以下に記載の試験方法による水平曲げ降下を有し得る。水平曲げ降下のより高い値は、より低い値に対して材料がより柔軟であることを示す。
【0091】
もう一方の面では、下部ADSは、好ましくは、比較的厚みをもった材料(スパンレース又はエアスルー接着不織布ウェブなど)であり、吸収性材料の層に浸透する流体を捕捉及び保持することができるのに十分な空隙容積を提供する。吸収性材料の層に潜在的に浸透する流体の量が、一般に上部ADSによって処理される必要がある液体の量よりも低いため、下部ADSは、上部ADSよりも低い坪量及び低い厚さを有し得ることが見出されている。また、下部ADSは、材料の単一層などの単一の材料のみからなり得る。
【0092】
下部ADSの坪量は、下部ADSの長さ及び幅全体にわたって(すなわち、長手方向及び横方向に)均質であり得る。そのような均質な坪量は、下部ADSの機械的変形から生じ得る、ある程度小さな規模における局所的な坪量の変動(幅及び長さ方向において1.0cm以内、又は0.5cm以内の変形など)を考慮するべきではない。
【0093】
下部ADSは、吸収性材料の層が、長手方向及び/又は横方向に下部ADSを越えて延在するように、吸収性材料の層よりも長手方向及び/又は横方向の延長部が小さくてもよい。吸収性材料の層はまた、長手方向及び/又は横方向に上部ADSを越えて延在し得る。
【0094】
あるいは、下部ADSは、長手方向及び/又は横方向に吸収性材料の層を越えて延在するように、吸収性材料の層よりも長手方向及び/又は横方向の延長部が大きくてもよい。これは、吸収性材料の層が下部ADSと直接接触している場合(すなわち、吸収性材料の層と下部ADSとの間に下部基材層がない場合)は望ましい場合がある。そのような構成では、吸収性材料の層は、部分的又は完全に下部ADS上に堆積され、形成され得る。吸収性材料の層は、部分的に下部ADS上に、及び部分的に上部基材層上に形成され、その後、2つのサブコンポーネントを面関係に置くことによって、吸収性材料の層の両方のサブコンポーネントが組み合わされて、吸収性材料の層を形成し得る。
【0095】
下部ADSは、超吸収性ポリマーを含まなくてもよい。下部ADSは、不織布ウェブを含むか、又はそれからなり得る。それは、スパンボンド若しくはメルトブローン不織布ウェブ(連続繊維製)又はカード不織布ウェブ(ステープルファイバー製)又はスパンボンド及びメルトブローン層を有する不織布(例えば、SMS、SMMS、SMSSなど)であり得る。不織布ウェブは、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はそれらの混合物若しくは組み合わせ)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、co-PET、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノイド(PHA)、又はそれらの組み合わせ若しくは混合物などの合成繊維で作製され得る。繊維は、連続又はスパンボンド繊維であってもよい。
【0096】
繊維は、単成分繊維又は二成分繊維などの多成分繊維であり得る。下部ADSに含まれる繊維が二成分繊維である場合、それらはコアシース構成を有し、コア構成要素はシース構成要素よりも高い融点を有する。
【0097】
好ましくは、下部ADSは、エアスルー接着された又はスパンレースである不織布ウェブを含むか、又はそれからなる。そのような不織布ウェブは、一般に大きな厚みを有する。したがって、それらは、液体を吸収及び一時的に保持するための空隙容積を提供するための多孔質構造を有する。同時に、それらは柔らかさを提供し、過度に高い曲げ剛性を有さない(これは以下に記載の試験方法による水平曲げ降下に反映される)。
【0098】
繊維は、スパンレイド不織布ウェブなどのように連続的であり得る。スパンレイド不織布ウェブは、好ましくは、エアスルー接着されたものか又はスパンレースである。水流交絡(スパンレース)又はエアスルー接着に加えて、スパンレイド不織布ウェブは、熱及び/又は圧力(例えば、点結合)並びにいくらかの局所的結合を受け、繊維が互いに融合される局所的な結合領域が導入されてもよい。
【0099】
しかしながら、好ましくは、下部ADSに含まれる繊維は、ステープル繊維である。連続繊維で作製された不織布ウェブと同様に、ステープル繊維の不織布ウェブは、好ましくは、エアスルー接着されたものか又はスパンレースである。水流交絡(スパンレース)又はエアスルー接着に加えて、ステープル繊維の不織布ウェブは、熱及び/又は圧力(例えば、点結合)並びにいくらかの局所的結合を受け、繊維が互いに融合される局所的な結合領域が導入されてもよい。
【0100】
不織布ウェブが連続繊維又はステープル繊維で作製されているかどうかに関係なく、局所的結合は、しかしながら、過度に大きな表面積に接着し、よって不織布ウェブの厚み及び空隙容積に悪影響を及ぼしてはならない。好ましくは、(水流交絡又はエアスルー接着に加えて)熱及び/又は圧力での局所的結合によって得られる総結合面積は、不織布ウェブの総表面積の20%より大きい、又は15%より大きい、又は10%より大きくあるべきではない。
【0101】
あるいは、下部ADSに含まれる不織布ウェブは、水流交絡(スパンレース)又はエアスルー接着に加えて、任意の結合及び固結を受けていないべきである。これにより、そのような不織布ウェブの有利な特性を、最適に使用することができる。
【0102】
スパンレース不織布ウェブでは、繊維が水流交絡に供されて、繊維が互いに混ざり合って絡み合っている。繊維の互いの固結及び交絡は、移動するフリース又は布を通過し、針のように繊維を互いに織り交ぜさせる圧力下の複数の水ジェットによって得ることができる。したがって、スパンレース不織布ウェブの固結は、本質的に、水圧交絡の結果である。本明細書で使用する場合、「スパンレース不織布ウェブ」はまた、2つ以上の前駆体ウェブから形成された不織布を指し、これらは、水圧交絡によって互いに組み合わせられる。2つ以上のウェブには、水圧交絡によって1つの不織布へと組み合わせられる前に、例えば、パターン付きカレンダーロール及びアンビルロールを使用して結合パターンを付与することによって、熱及び/又は圧力結合などの、結合プロセスに供され得る。しかしながら、この2つ以上のウェブは、水圧交絡のみによって互いに組み合わせられる。あるいは、スパンレース不織布ウェブは単一のウェブであり、すなわち、2つ以上の前駆体ウェブでは形成されない。スパンレース不織布層/ウェブは、ステープル繊維又は連続繊維で作製することができる。
【0103】
スルーエア接着(「エアスルー接着」という用語と交換可能に使用される)は、空気を不織布ウェブに押し通すことによって、ステープル繊維又は連続繊維を接着するプロセスを意味し、空気が、繊維のポリマーを溶融する(又は少なくとも部分的に溶融する、又は繊維の表面が十分にべとついた状態になるまで溶融する)のに十分に高温であるか、又は繊維が多成分繊維である場合、空気が、不織布ウェブの繊維が作製されるポリマーのうちの1つを溶融する(又は少なくとも部分的に溶融する、又は繊維の表面が十分にべとついた状態になるまで溶融する)のに十分に高温である。空気速度は、典型的には、毎分30~90メートルであり、滞留時間は、最長6秒であり得る。ポリマーの溶融及び再固化は、異なる繊維間の結合を提供する。
【0104】
図13には、スルーエアーボンダーが概略的に示されている。スルーエアーボンダー70では、ステープル繊維若しくは連続繊維のポリマーの溶融温度よりも高い温度又はステープル若しくは連続繊維が多成分繊維である場合、第1の繊維成分の溶融温度よりも高く、第2の繊維成分の溶融温度よりも低い温度の空気は、フード72から、ウェブを通って有孔ローラ74内に方向付けられる。あるいは、スルーエアーボンダーは、空気がウェブ上に垂直下向きに方向付けられる平坦な配置であり得る。2つの構成の動作条件は類似しており、主な違いは、結合中のウェブの幾何学的形状である。
【0105】
熱空気は、ステープル若しくは連続繊維、又は多成分繊維の場合、繊維の低融点ポリマー成分を溶融し、それによってステープル繊維間に結合を形成して、ステープル繊維の層をウェブに固結及び統合する。
【0106】
下部ADSに含まれるか、又は下部ADSを形成する不織布層は、多成分繊維を含み得る。下部捕捉及び分配層に含まれる不織布の繊維は、下部捕捉及び分配層に含まれる不織布の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも90重量%、又は100重量%の多成分繊維を含み得る。多成分繊維は、コアシース又は並列二成分繊維などの、二成分繊維であり得る。
【0107】
あるいは、下部ADSに含まれるか、又は下部ADSを形成する不織布層は、単成分繊維を含み得る。下部捕捉及び分配層に含まれる不織布の繊維は、下部捕捉及び分配層に含まれる不織布の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも90重量%、又は100重量%の単成分繊維を含み得る。下部ADSに含まれるか、又は下部ADSを形成する不織布ウェブは、単成分繊維と多成分繊維との混合物を含み得る。
【0108】
下部ADSの不織布層は好ましくは非常に厚みをもった構造であるため、捲縮繊維の使用が有益であり得る。そのような繊維はまた、良好な復元性を有する不織布層を提供すること、すなわち、不織布ウェブは、長い時間圧縮された後(例えば、高度に圧縮された吸収性物品を収容する閉じたパッケージに収容されている間に)元のキャリパー(又は元のキャリパーのほとんど)を回復する能力を有することを示している。捲縮繊維は、平坦な捲縮(いわゆる2次元捲縮)又はらせん捲縮などの3次元捲縮を有し得る。二成分繊維は、捲縮繊維を得るのに好適であるものとして周知である。
【0109】
下部捕捉及び分配層に含まれる不織布の繊維は、下部捕捉及び分配層に含まれる不織布の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも90重量%、又は100重量%の捲縮繊維を含み得る。捲縮繊維は、二成分繊維であってもよい。
【0110】
下部捕捉及び分配システムのキャリパーは、望ましくは、下部ADSが吸収性物品に過剰なバルクを追加し、よって着用者の快適さを低下させることを回避する必要性で、良好な液体吸収及び液体保持特性(すなわち、不織布ウェブ内の十分な空隙容積)をバランスさせる範囲である。下部ADSのキャリパーは、本明細書で以下に記載の試験方法に従って測定した場合、0.1~2.0mm、又は0.2~1.0mmであり得る。
【0111】
また、下部ADS材料に関しては、吸収性物品は、しばしば比較的高い圧縮下で充填されることを考慮して、圧縮後に良好な回復を示すことが望ましい。最初に、下部ADSとして使用するのに好適な特徴、例えば十分な厚み及び空隙体積を有する材料は、回復する能力が不十分である場合、包装物における圧縮時にこれらの有益な特性の多くを失う可能性がある。この能力は、以下に記載されるZ-コンプライアンス指数及び回復百分率測定方法に反映される。下部ADSとして好適な材料は、4より大きい、好ましくは10より大きいコンプライアンス指数、及び50より大きい、好ましくは60より大きい回復百分率を有し得る。
【0112】
下部ADSの坪量は、20g/m2~100g/m2、又は20g/m2~80g/m2、又は20g/m2~60g/m2であり得る。
【0113】
下部ADSに含まれるか、又は下部ADSを形成する不織布は、機械的変形を受けている可能性がある。そのような機械的変形は、不織布ウェブの厚み及び開放性に寄与し得、したがって、下部ADSとしての使用に望ましい不織布ウェブの特性を改善する。
【0114】
下部ADSの着用者及び/又は衣類に面する表面が(例えば、機械的変形によって得られるような)3次元表面トポグラフィを有する場合、特に下部ADSが平坦な2次元表面トポグラフィを有する層(バックシート又は下部基材層46など)と直接接触する場合、いわゆる「エアポケット」が得られる可能性がある。下部ADSの3次元表面は、外向きに突出する領域では、隣接する層(バックシート又は下部基材層46など)にのみ接触し、凹んだ領域に小さなギャップを残し得る。これらのギャップは、吸収性物品の着用者の快適性及び柔らかい感触を増加させることができる。
【0115】
また、下部ADSの良好な空気透過性を有することが望ましい。下部ADSを追加することは、吸収性物品に追加の材料の層を追加することを意味するため、そのような追加の層は、吸収性物品の全体的な空気透過性に過度に影響を与えないはずである。スパンレース又はエアスルー接着不織布などの下部ADSの不織布ウェブの多孔質で比較的開いた構造を使用することにより、下部ADSの好適な空気透過性を得ることができる。
【0116】
下部捕捉及び分配システム60は、以下に記載される試験方法によって決定された場合、150m3/m2/分、又は200m3/m2/分~800m3/m2/分より大きい空気透過性を有し得る。
【0117】
下部捕捉システムの乾燥不透明度(すなわち、乾燥下部ADSで測定された不透明度)は、比較的高く、吸収性物品の全体的な不透明な外観に寄与し得る。また、比較的高い不透明性を有する下部ADSを有することにより、使用中に吸収性物品のバックシートを見たときに、吸収性材料の層における汚れ(例えば、尿又は糞便からの)を見えなくすることができる。下部ADSの乾燥不透明度は、以下に記載される不透明度試験方法に従って測定される場合、少なくとも25%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも70%であり得る。
【0118】
バイオ源材料
本発明の使い捨て吸収性物品(すなわち、おむつ、パンツ、生理用ナプキン、パンティライナー等)の構成要素は、2007年9月20日に公開されたHirdらの米国特許出願公開第2007/0219521(A1)号、2011年6月16日に公開されたHirdらの同第2011/0139658(A1)号、2011年6月16日に公開されたHirdらの同第2011/0139657(A1)号、2011年6月23日に公開されたHirdらの同第2011/0152812(A1)号、2011年6月16日に公開されたHirdらの同第2011/0139662(A1)号、及び2011年6月16日に公開されたHirdらの同第2011/0139659(A1)号に記載されているバイオ源含有物から少なくとも部分的に構成され得る。これらの構成要素としては、トップシート不織布、バックシートフィルム、バックシート不織布、バリアレッグカフ不織布、超吸収性材料、上部及び下部基材層、接着剤、締着具フック、及び締着具ランディング領域不織布、並びにフィルムベースが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本発明の上部及び/又は下部捕捉及び分配層は、少なくとも部分的にバイオ源含有物を含み得る。
【0119】
使い捨て吸収性物品の構成要素は、ASTM D6866-10の方法Bを使用して、約10%~約100%、別の実施形態では、約25%~約75%、更に別の実施形態では、ASTM D6866-10の方法Bを使用して、約50%~約60%のバイオベース含有量値を含み得る。
【0120】
ASTM D6866-10の方法論を適用して、任意の使い捨て吸収性物品の構成要素のバイオベース含有量を決定するために、使い捨て吸収性物品の構成要素の代表的試料を、試験用に得る必要がある。そこで、使い捨て吸収性物品の構成要素を、既知の粉砕方法(例えば、Wiley(登録商標)ミル)を用いて、約20メッシュ未満の微粒子に粉砕し、ランダムに混合された粒子から好適な質量の代表的試料を取り出すことができる。
【0121】
試験方法
NMR MOUSE試験方法
NMR MOUSE試験方法は、深さの関数としての、及び吸収性物品内の目的の位置に液体侵襲を適用した後の、吸収性物品中の液体分布を定量化するために使用される。物品は、吸収性物品に一定の圧力を加える装置中で位置付けられ、この圧力が適用される間、生理食塩水溶液の1つ以上の侵襲が吸収性物品内の目的の位置に適用される。装置は、圧力下で吸収性物品の液体深度プロファイルを測定することができるように、低電界NMR機器で更に位置付けられる。これらの液体深度プロファイルから、目的の深度ゾーンが定義され、定量化され、報告される。一般的なNMR試験方法及び装置はまた、米国特許第10,371,652号及び同第10,365,237号に記載されている。
【0122】
多層吸収性物品を通る流体分布の2次元プロファイルを測定するのに適したデバイスを
図3~
図4に示す。デバイス100は、フレーム120、圧力チャンバ140及びNMR MOUSEセンサ160を備える。NMR-MOUSE(Mobile Universal Surface Explorer)は、スキャナ表面に垂直な非常に均一な勾配を生成する永久磁石ジオメトリを備えた携帯型オープンNMRセンサである(
図3に示されている)。試験片の平坦有効体積は、試験片への最大貫入深さを画定する位置で、磁石の上に配置された表面rfコイルによって励起され、検出される。例示的な計器は、Magritek Inc.(San Diego,CA)から入手可能なプロファイルNMR-MOUSEモデルPM10である。z方向において50μmの分解能を達成するためのNMR-MOUSEの要件は、14.07MHzの測定周波数、10mmの最大測定深さ、13T/mの静的勾配、及び19mm
2×19mm
2の有効体積(x-y寸法)である。機器を使用可能にする前に、製造業者の指示に従って、位相調整を実行し、共振周波数を確認し、外部ノイズレベルを確認する。全ての測定は、23℃±2℃、及び約50%±2%の相対湿度に制御された室内で行われる。圧力チャンバ140は、例示的なブラダアセンブリ180などの適合可能かつ加圧可能な表面、及び堆積アセンブリ220を含むトッププレートアセンブリ200から形成される。
【0123】
ブラダアセンブリ180は、12.7mmのガラス繊維強化エポキシ(DIN7735/HGW2372.4)で構築して、長さ80cm×幅30cm×高さ5cmの全体寸法を提供する。圧力チャンバ140内の圧力の測定のために、マノメータ240が提供される。圧力計260は、圧力チャンバ140への空気の導入を調整するために提供され、圧力チャンバ140の右側に協働的に配置されたアクセス孔を通して位置決め可能に設置することができる。
【0124】
図5は、圧力チャンバ140のブラダアセンブリ180及びフレーム120に対するトッププレートアセンブリ200の分離可能かつ変位可能な性質を示すデバイス100を示す。
図5に示すように、トッププレートアセンブリ200は、トッププレートアセンブリ200とブラダアセンブリ180との間に配置された圧力チャンバ140の内部部分の領域へのユーザーのアクセスを容易にするために、ブラダアセンブリ180に取り付けられ、かつトッププレートアセンブリ200のブラダアセンブリ180への取り付け部分の長手方向軸を中心に回転され得る。
【0125】
図6に示すように、圧力チャンバ140のブラダアセンブリ180は、ブラダ320を備えることができる。ブラダ320は、ブラダ320をブラダアセンブリ180の頂部上に、ブラダ320がその中心点でブラダアセンブリ180の底部に接触することを提供するのに十分なたるみでドレープすることによって、圧力チャンバ140のブラダアセンブリ180に協働的に関連付けられ、密閉係合され得る。ブラダ320は、0.02インチの厚さ及び20のショアAデュロメータ値を有する50mm×100mmのシリコーンフィルムとして提供することができる。ブラダ320としての使用に好適な例示的な材料は、McMaster-Carr、Cleveland,OHから部品番号86435K85として入手可能である。
【0126】
好ましくは、フィッティングフランジを有する2次フレーム360が、ブラダ320の上部に取り付けられ、クランプ380でブラダアセンブリ180に固定される。ブラダ320がブラダアセンブリ320に密閉可能に固定されるとき、ブラダ/ブラダアセンブリ320の組み合わせアセンブリは、0.3psiの圧力で漏れがないことが好ましい。
【0127】
前部試料支持体400及び後部試料支持体420を使用して、ブラダアセンブリ180に対してデバイス100によって測定される試料340又は物品を固定することができる。必要に応じて、試料340又は物品は、取り付け手段440によって前部400及び後部420試料支持体に取り付けることができる。そのような取り付けは、当業者によって決定されるように、エンドユーザーによって提供され得る。取り付け手段440は、接着テープ締着具システム、機械的「フック」締着具、接着剤取り付けシステム、それらの組み合わせなどとして提供することができる。前部試料支持体400及び後部試料支持体420は、2次フレーム360の長さ(すなわち、y軸)に沿って必要とされ得るように調整することができる。第2のフレーム360に対する前部試料支持体400及び後部試料支持体の調整は、吸収性物品の充填点を正しく位置合わせするために異なるサイズの吸収性物品を収容するための当業者によって理解されるようなピンアンドホールシステムなどとして提供され得る。
【0128】
トッププレートアセンブリ200は、剛性を向上させるために支持フレーム460で強化された、適切なサイズのガラス繊維強化エポキシ(DIN7735/HGW 2372.4)部品によって提供することができる。ブラダ320上に配置され、NMRセンサ160が動作する領域に近接している、試料34に近接して配置されたトッププレートアセンブリ200の部分は、NMR-MOUSE放射線に対して本質的に透過性であることが好ましい。
【0129】
図7~
図8に示されるように、堆積アセンブリ220は、トッププレートアセンブリ200の表面上に配置することができる。堆積アセンブリ220は、圧力チャンバ140内に配置されたブラダ320上に配置された試料340に侵襲を配置することを容易にすることができる。堆積アセンブリ220は、好ましくは、堆積アセンブリをトッププレートアセンブリ200内に配置された侵襲適用開口部500と接触係合した状態及び接触係合から外れた状態へと配置及び変位することを容易にするために、軸Rを中心に回転可能である。堆積アセンブリ220は、トッププレートアセンブリ200に対して中央に位置し、かつ侵襲適用開口部500と協働的に整列されるように配置される。
【0130】
当業者は、好適な堆積アセンブリ220がNMRレベルRFに対して透過性の材料から構築され得ることを理解するであろう。堆積アセンブリ220は、シリンダとしてPA12-GFを及び1cm×2cmの開口部を用いて構築される。堆積アセンブリ220が侵襲適用開口部500と協働的に整列されるとき、堆積アセンブリ220は、堆積アセンブリ220の接触縁540が圧力チャンバ140内に配置された試料340と接触係合するトッププレートアセンブリ200の表面と協働的に整列されるように、侵襲適用開口部500を通して、トッププレートアセンブリ200を通して挿入されることが好ましい。
【0131】
以下に概説される固有の手順は、a)上面からの試料340プロファイルの測定及びb)底面からの試料340プロファイルの測定を容易にし得る。言い換えれば、記載されたプロセスは、非常に短時間内に、試料340(例えば、吸収性物品)内の液体分布の測定を容易にすることができる。
【0132】
試料340は、試験前に、23℃±2℃、及び約50%±2%の相対湿度で12時間、馴化する。試料340(例えば、吸収性物品)は、試料340を実験台に平らに配置し、試料340の長手方向中心線と横方向中心線との交点を識別することによって調製される。パンツの形態で吸収性物品として提供される試料340について、試料340のトップシート又は吸収性材料の層、下部並びに存在する場合は上部捕捉及び分配システム、バックシート並びに存在する場合は上部及び下部基材層45,46を損傷しないよう、いかなるカフ又はウエストバンドも除去される。試料340又は物品は、取り付け手段440によって、2次フレーム360の前部400及び後部420試料支持体に取り付けることができる。取り付け手段440は、試料340のトップシート又はバックシートを上向きにして(すなわち、吸収性物品試料340が吸収性物品のトップシート又はバックシートがNMRセンサ160に近接して配置されるように配置される)接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかとして提供することができる。
【0133】
試料340は、試料340の吸収性材料の層ではなく、シャーシ(例えば、吸収性材料の層から外向きに延在するトップシート及びバックシートの部分)のみが、2次フレーム360を覆うに配置される。前部400及び後部420の試料支持体は、トッププレートアセンブリ200がブラダアセンブリ180に対して閉鎖されたときに、吸収性物品が侵襲適用開口部500に対して長手方向及び横方向に中心に置かれるように、2次フレーム360に取り付けられる。試料340の後側端部を、接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかによって2次フレーム360の後部420試料支持体に固定し、ここでも、吸収性コアではなくシャーシのみが適用開口部500を覆うようにする。次に後部試料支持体420を、試料340が張っているが伸びないようにして2次フレーム360に取り付ける。トッププレートアセンブリ200は、閉鎖され、ブラダアセンブリ180に締着可能に取り付けられて、圧力チャンバ140を形成する。圧力チャンバ140のブラダを、0.30psiまで膨張する。異なるおむつサイズの充填点を以下の表に定義する。
【0134】
【0135】
言い換えれば、NMRセンサ160を組み込んだデバイス100による分析のための試料340の調製は、以下のように要約することができる。
1.試料340を調製する(例えば、カフを除去/切断し、充填点を決定するなど)。
2.NMRセンサ160を、侵襲適用開口部500から遠位に配置された位置に対して、トッププレートアセンブリ200内に配置された侵襲適用開口部500から離れて移動させる。
3.圧力チャンバ140のトッププレートアセンブリ200をブラダアセンブリ180から分離することにより、ガラスカバーを開ける。
4.試料340を前部試料支持体400及び後部試料支持体420に取り付けることによって、試料340(吸収性物品)を挿入して、取り付け手段440によって、デバイス100によって測定される試料340をブラダアセンブリ180に対して固定する。
5.トッププレートアセンブリ200を、圧力チャンバ140のトッププレートアセンブリ200をブラダアセンブリ180に協働的に関連付けることによって、トッププレートアセンブリ200を閉じる。
6.圧力チャンバ140内に配置されたブラダアセンブリ180内に配置されたブラダ320に加えられた圧力を所望の値(ここでは0.3psi)に適用し、調節する。
【0136】
原則として、試料340内の流体の分析及びマッピングのためのプロセスは、所与の流量パラメータの一連の液体侵襲を用いて、検査される吸収性物品の湿潤及び吸収性物品試料340内の流体分布の評価に基づいている。吸収性物品試料340の底部への圧力の適用により、吸収性物品340の膨潤は、NMRセンサ160から離れて方向付けられる。したがって、吸収性物品340の表面とNMRセンサ160との間の距離は常に一定に保たれ、異なる実験条件で変化しない。
【0137】
液体適用手順
2つの連続的な侵襲の噴出(噴出体積/吸収性物品長さの表を参照)は、連続する侵襲間に300秒±5秒休止して使用される。
図9に示すように、侵襲された試料340の測定が実施されるとき、NMRセンサ160は、侵襲適用開口部500に対して侵襲/噴出中心部から既知の距離に、かつ試料340表面から所与の高さに配置されることが好ましい。
【0138】
試験溶液を、9.0gのNaClを1Lの脱イオン水に希釈して調製された0.9%w/v生理食塩水溶液に調製する。2mM/Lのジエチレントリアミン五酢酸ガドリニウム(III)二水素塩の溶液(Sigma Aldrichから入手可能なPubChem物質ID 24863829,381667)を添加する。添加後、振盪器を用いて160rpmで溶液を全ての結晶が溶解するまで1時間撹拌する。溶液を撹拌するために磁石バーを使用しない。その後、溶液を確認して、確実に目に見える未溶解結晶が残っていないようにする。溶液は、使用10時間前に調製される。液体適用プロセスは、以下のように要約することができる。
1.トッププレートアセンブリ200内に水平及び侵襲/噴出領域に近接して配置された侵襲適用開口部500に近接してNMRセンサ160を位置付ける、侵襲/噴出中心部の地理的中心から必要に応じてNMRセンサ160を位置決めする。
2.NMRセンサ160を、ブラダアセンブリ180のトッププレートアセンブリ200と接触係合している試料340の上面から3500μmのところに位置決めする。
3.堆積アセンブリ220内に侵襲液体及び造影剤を入れる。
4.堆積アセンブリ220を、侵襲適用開口部500及び試料340の上面に対して位置決めする。
5.堆積アセンブリ220を介して、侵襲液体及び造影剤の少なくとも一部で試料340を侵襲する。
6.一連の侵襲/噴出を所定のパラメータ(例えば、2回の40mLの注射、流量10mL/秒、噴出間に300秒±5秒の休止)で適用する。
【0139】
プロファイル試験プロセス
プロファイリング試験は、液体適用の300秒±5秒後に開始される。プロファイリングは、試料の深さに対する信号応答を与え、それは、所与の測定範囲(上部及び下部から800μm)内の試料をスクリーニングすることを目的としている。こうして異なる試料層にわたる液体分布を定量化することができる。プロファイリングは、試料の長さに沿った異なるスポットにおいて(充填点において、充填点から後部に向かって4cm及び8cm離れたところにおいて)実施され、試料内の2次元液体分布は、得られた結果を組み合わせることによって最終的に取得することができる。調査で使用される3つのプロファイリングスポット(充填点において並びに充填点から4及び8cm離れた対称線上)の例示的な概略上面図を
図9に示す。
【0140】
以下の条件を使用して、90xパルス後180yリフォーカスパルスからなるCarr-Purcell-Meiboom-Gill(CPMG)パルス系列についてNMR-MOUSEをプログラムする。
繰り返し時間=500ms
スキャン数=8
エコー数=8
分解能=50μm
ステップサイズ=-50μm
パルス長=7.5μs
エコー時間=90μs
エコーシフト=1μs
【0141】
NMR信号のRx相を、データ処理に使用されるNMR信号の実部を最大化するために、ベンダーによって記載されるように位相調整中に最適化する。我々の実験では、195°の値が適用された。しかしながら、最適値は、使用されるNMR計器によって異なってもよく、したがって、Rx相は、ベンダーによって記載されるように最適化されるべきである。90°パルスのパルス長は、測定深さ(ここでは6mmである)によって異なり、ベンダーによって記載される最適化手順に基づいて7.5μsであると決定した。必要に応じて、スペーサを使用して深さを調整することができる。
【0142】
言い換えれば、NMRセンサ160を組み込んだデバイス100による分析のための試料340のプロファイル試験プロセスを実施するためのプロセスは、以下のように要約することができる。
1.NMRセンサ160を、ブラダアセンブリ180内に配置された試料340から遠位の頂部位置に翻訳し、最も外側の垂直位置に到達させる。
2.NMRセンサ160を、侵襲適用開口部500から遠位に配置された最も外側の水平位置に移動させる。
3.堆積アセンブリ220を侵襲適用開口部500との接触係合から外す。
4.NMRセンサ160が、侵襲適用開口部500の中心と重複するように(すなわち、0cm位置(すなわち、充填点において))、NMRセンサ160を侵襲適用開口部500に対して水平(すなわち、y方向)に移動させる。
5.プロファイリング実験(スキャン範囲0~800μm、ステップサイズ50μm)を実行する。
6.NMRセンサ160を、ブラダアセンブリ18内に配置された試料340の頂部に対して初期位置(800μm)に設定し、必要に応じてその位置を50μmずつ下げる。
7.実験が完了したら、NMRセンサ160を最も外側の垂直(すなわち、Z方向)位置に翻訳する。
8.ステップ4~7を繰り返し、充填点から4及び8cmの位置にセンサを配置する。
9.バックシート側から試験片を測定するために、試験片を取り外し、バックシートを上向きにしてブラダに取り付け、ステップ1~8を繰り返す。
【0143】
試験終了時に、試料34は、以下のようにデバイス100から取り出すことができる。
1.NMRセンサ160を、最も外側の位置に垂直(すなわち、Z方向)に翻訳する。
2.NMRセンサ160を、最も外側の水平位置に水平(すなわち、y方向)に翻訳する。
3.ブラダ320に加えられた圧力を解放する。
4.圧力チャンバ14のトッププレートアセンブリ200をブラダアセンブリ180から分離する。
5.試料340を圧力チャンバ140から取り出す。
6.トッププレートアセンブリ200を、圧力チャンバ140のトッププレートアセンブリ200をブラダアセンブリ180に協働的に関連付けることによって、トッププレートアセンブリ200を閉じる。
【0144】
通常のNMR-MOUSEでは、NMRセンサ160のRFコイルとブラダアセンブリ180内に配置された試料340の最上層との間の距離は、試料340の膨潤により吸収プロセス中に一定ではない場合があることに留意されたい。デバイス100として提供されるNMRセンサ160と併せたブラダアセンブリ180の使用は、試料340がNMRセンサ160によって現在走査されている感度スライスから離れて膨潤することができるため、試料340が経る任意の膨潤とは無関係にNMRセンサ160による測定値を提供することが見出された。
【0145】
信号振幅を検出された液体体積に関する定量的情報に翻訳するために、プロファイリングの生較正データは、0.9%生理食塩水の実際の体積と相関させる必要がある。較正は、実験湿潤溶液(0.9%生理食塩水)及び酸化重水素(D2O)の液体混合物を使用して行われる。NMR試験が造影剤の用途を必要とするという事実に関して、両方の溶液は、事前に、2mM/Lのジエチレントリアミンペプチン酢酸ガドリニウム(III)二水素塩(Sigma Aldrichから入手可能なPubChem物質ID24863829,381667)造影剤と更に混合されるべきである。較正溶液を調製するために、D2O溶液を生理食塩水溶液と混合して、0%、20%、80%及び100%の造影剤を含む0.9%生理食塩水溶液を得る。混合物を振盪し、成分の適切な混合を確実にするために、それらを試験前に少なくとも12時間放置する。NMRデバイスによってスキャンされる体積が完全に測定範囲内になるように、NMRセンサ面積よりも大きい面積を有し、厚さが1mm未満であるガラスビーカー中に溶液を添加する。溶液の表面の下の範囲でプロファイリング測定を実施する。あらゆる異なる比率オプションをカバーするために、他の較正混合物について手順を繰り返す。以下の式を使用して、各測定ケースのグラフ下面積を計算する。
【0146】
【数1】
式中、Xはμm単位の深さであり、SはNMR信号であり、nは測定深さ及び分解能に依存するデータ点の数である。全体的な走査範囲及び混合比(すなわち、生理食塩水含有量×センサ面積×走査範囲)に関して、各オプションの0.9%生理食塩水の体積を計算する。以下の式に基づいて、プロファイリング領域における体積(VT)の総量に基づいて、測定された体積(VM)を計算する。
【0147】
【0148】
所与のデータセットの較正グラフを準備し、較正曲線方程式を得るために線形適合を適用する。混合物中にD2Oを含有する各オプションから100%D2Oのグラフ下の面積を減算する。想定されるケースでは、プロファイリング深さは1.5mmに達し、センサの面積は3.61cm2(センサ1.9×1.9cm)を占める。よって、プロファイリングによってカバーされる総体積は、0%D2O溶液について542μLをもたらす。D2Oの混和性と所望の試験溶液とが一致しない場合、1点較正(D2Oを含まない100 %溶液)を実施する。
【0149】
プロファイルデータを確認する際、NMR信号は、信号対位置グラフの曲線下面積に関連付けられる。面積対液体体積相関は、調査された生理食塩水含有量の各々ケースの積分面積及び生理食塩水の体積を知ることによって得られる。プロファイリングのための較正曲線は、線形傾向をグラフで確認することによって導出することができる。検出及び定量化の限界値(それぞれ3σ及び9σ)は、100%D
2Oを含有する試料の信号ノイズ標準偏差から確立することができる。NMR-MOUSEによって測定された生データ(信号振幅[A.U.]対位置[μm])は、トップシートから始まり、かつトップシートを含み、バックシートに向かって延在する、800μmに対応する第1のゾーン、及びバックシートから始まり、かつそのバックシートを含み、トップシートに向かって延在する、800μmに対応する第2のゾーンの式(1)を使用して、グラフ下面積値(面積)に変換する必要がある。グラフ下面積値(面積)は、充填点から4cm及び8cm離れて測定されたプロファイルについても式(1)を使用して計算される(
図9)。ただし、ここでは、面積を較正曲線及び式(3)を使用する線形適合を使用して、液体体積に変換することができる。
【0150】
【数3】
式中、mは較正曲線の勾配であり、bは、切片である。第1のゾーン及び第2のゾーンの体積(=液体の量)は、充填点(充填点は、おむつの長さに基づいて定義される)から0cm(=充填点)、4cm及び8cmのプロファイルについて、式(3)を使用して計算され得、最も近い1μLまで報告される。
【0151】
同様に、評価する各吸収性物品について合計3回の複製試験を実施する。各生成物について、第1のゾーン及び第2のゾーンについての、並びに3つの位置での(すなわち、0cm(=充填点)、並びに装填点から4cm及び8cm離れたところ)、並びにの3つの位置の合計についての体積(=液体の量)を、複製試験の算術平均として、最も近い1μLまで計算及び報告する。
【0152】
空気透過性試験方法
全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験片は、試験前に少なくとも2時間、この環境で馴化される。
【0153】
基材の空気透過性は、Textest FX3300(Textest Instruments、Schwerzenbach,Switzerland)空気透過性試験機又は同等物を使用してINDA/EDANA不織標準手順NWSP070.1.R0(15)に従って決定される。20cm2の面積を有する円形試験ヘッドを使用し、200Paの固定圧力を下部ADS試験片全体にわたって維持しつつ、下部ADSを通る空気流を1分当たりの1平方メートル当たり立方メートル(m3/m2/分)単位で測定する。可能な場合、下部ADSの測定は、それが吸収性物品に組み込まれる前に行われる。これが不可能である場合、生成物から下部ADSを取り出す際には、他の層からの材料の除去中に試験試料層にいかなる汚染又は歪みも付与しないように注意する必要がある(必要に応じて、Cyto-Freeze、Control Company、Houston,Texasを使用して)。下部ADSの5つの矩形試験片は、各試験片の中心が下部ADS上の充填点の位置に対応し、各試験片の長さ及び幅が円形ヘッドの最小寸法よりも大きくなるように取られる。下部ADS試験片は、下部ADS試験片の中心が試験ヘッドの中心に一致するように、試験ヘッドの下に配置される。5つの下部ADS試験片をこのように分析し、それぞれの空気透過性を最も近い1m3/m2/分までm3/m2/分単位で記録する。個々の試験片結果の算術平均を計算し、最も近い1m3/m2/分までのm3/m2/分単位の空気透過性として報告する。
【0154】
不透明度試験方法
コントラスト比による不透明度の測定は、Hunter ColorFlex EZ分光光度計(Hunter Associates Laboratory Inc.、Reston,Virginia,USA)又はその同等物などの標準CIE L*a*b*測色を行うのに好適な0°/45°分光光度計を用いて行う。器具の測定ポートの直径は30mmである。解析は、約23℃±2℃及び50%±2%の相対湿度に制御された室内で行う。
【0155】
器具ベンダーによって提供された標準黒白タイルを使用してベンダーの指示に従い器具を較正する。較正後、標準白色タイルのY値を測定し、真の値と比較する。指定された真のY値は、典型的には83~85の範囲内であり、真の値との差は0.5以下であるべきである。分光光度計を、D65標準照明及び10度オブザーバーを用いて、CIE XYZ色空間を用いるように設定する。
【0156】
可能な場合、下部ADSの測定は、それが吸収性物品に組み込まれる前に行われる。これが不可能である場合、生成物から下部ADSを取り出す際には、他の層からの材料の除去中に試験試料層にいかなる汚染又は歪みも付与しないように注意する必要がある(必要に応じて、Cyto-Freeze、Control Company、Houston,Texasを使用して)。下部ADSの5つの矩形試験片は、各試験片の中心が下部ADS上の充填点の位置に対応し、各試験片の長さ及び幅がヘッドの最小寸法よりも大きくなるように取られる。
【0157】
下部ADS試験片は、外向き表面が分光光度計の測定ポートに向かって器具に対して平坦に位置付けられ、下部ADS試験片の中心(下部ADSの充填点に対応する)は、ポートの中心と一致する。試験片は、引裂き、穴、又は開口部が測定ポート内にないように更に位置付けられる。白色標準タイルは、測定ポート上の試験片の部分を完全に被覆するように、試験片の反対側の表面上に配置する。XYZ値の読み取り値を取得し、各々を最も近い0.01まで記録する。試験片を移動せずに、白色プレートを取り外し、黒色の標準プレートと交換する。XYZ値の第2の読み取り値を取得し、各々を最も近い0.01まで記録する。
【0158】
不透明度は、裏地として黒色タイルを用いて測定したY値を割り、裏地として白色タイルを用いて測定したY値で割り、続いて比を100倍することで算出する。
【0159】
【0160】
5つの下部ADS試験片をこのように分析し、それぞれの不透明度を記録する。個々の試験片結果の算術平均を計算し、不透明度を最も近い1%まで百分率で報告する。
【0161】
キャリパー試験方法
下部ADSのキャリパーは、キャリパー試験方法を使用して決定される。キャリパー試験方法では、2つの平坦な平行表面が、基材試験片の両側に一方向の圧力を加えるために使用され、結果として生じる平行表面間の分離が測定される。全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験片は、試験前に少なくとも2時間、この環境で馴化される。
【0162】
直径5.6cmの2つの平行な円形表面が水平に配向される。可能な場合、下部ADSの測定は、それが吸収性物品に組み込まれる前に行われる。これが不可能である場合、生成物から下部ADSを取り出す際には、他の層からの材料の除去中に試験試料層にいかなる汚染又は歪みも付与しないように注意する必要がある(必要に応じて、Cyto-Freeze、Control Company、Houston,Texasを使用して)。各試験片の中心が下部ADS上の充填点の位置に対応するように、かつ各試験片の長さ及び幅が5.6cmより大きくなるように、5つの生成物の下部ADSから5つの同等の長方形試験片を取り出した。次いで、試験片は、平行表面の各々を完全に覆い、かつ下部ADS試験片の中心が平行な円形表面の中心と一致するように、2つの平行な円形表面の間に配置される。
【0163】
次いで、平行表面は、0.3psi(2.1kPa)の圧力が達成されるまで3.0±1.0mm/秒の速度で合わされ、プレート間の分離が、2秒以内に最も近い0.01mmまで測定され、記録される。5個の個々の複製試験片のプレート分離の算術平均を計算し、2.1kPa下でのミリメートル(mm)単位での最も近い0.01mmまでの基材のキャリパーとして報告する。
【0164】
キャリパー法で使用するための装置の1つの好適な例は、インジケータゲージの移動シャフトの端部に円形の平坦な「フット」が取り付けられたMitutoyo Digimaticシリーズ543ID-Cデジタルインジケータ(Mitutoyo America Corp.、Aurora,Illinois,USA)、又は同等物である。インジケータは、インジケータゲージのシャフトが垂直方向に配向され、円形フットの平面が花崗岩基盤と平行になるように、水平に花崗岩基盤に取り付けられる。円形のフットは、フットの質量とインジケータシャフトとに関連付けられた重力を一緒に円形フットの面積で割った値が、花崗岩基盤の円形フットからの0.3psiの下向きの圧力をなすようにサイズ決定及び重量測定される。円形フットと花崗岩基盤との間で、少なくとも円形フットと同じ大きさの試験片を分析する。
【0165】
100mmでの水平曲げ降下の測定方法
原理:この方法は、不織布ウェブが自らの重量下で曲がる能力(「ドレープ性」と呼ばれることがある)を測定する。測定原理は、鋭利な90°縁部上に100mmの材料1枚を垂れ下げ、mmで表されるこの材料1枚の自らの重量下での垂直降下を測定することである。この垂直降下は、
図15において参照番号1として示されている。
【0166】
装置:測定を実施するための設定は、
図15に概略的に示されており、
(i)ポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))などの任意の好適な材料で作製された、長さ約400mm、幅約200mm及び高さ3が厳密に140mmの幅方向の頂部縁4のうちの少なくとも1つが、鋭い90度の角度を有する、平坦支持ボックス2。ボックス1は、ラボベンチなどの好適な平坦な表面5上に位置付けられる、
(ii)安定した水平フットを有し、ゼロが、ボックスが配置されている平坦な表面5に対応するように較正されている、可動垂直金属定規6を備える。可動垂直金属定規は、材料試験片9の垂れ下がり縁8から平坦な表面までの距離7を測定するために使用される。
【0167】
手順:測定は、23℃±2℃及び50%±2%RHで行われる。別段の指定がない限り、この試験を実施する前に、全ての試料が少なくとも24時間、これらの条件に保たれて平衡化されるべきである。可能な場合、下部ADSの測定は、それが吸収性物品に組み込まれる前に行われる。これが不可能である場合、試料を取り出す際には、他の層からの材料の除去中に試験試料層にいかなる汚染又は歪みも付与しないように注意する必要がある(必要に応じて、Cyto-Freeze、Control Company、Houston,Texasを使用して)。約80mmの幅及び約200mmの長さを有する長方形の材料試験片9が、不織布のロールストックから切断される。長さは、吸収性物品における不織布ウェブの長手方向に対応し、幅は、吸収性物品における不織布ウェブの横方向に対応する。この方法は、代替的に、元の不織布の幅が80mmよりも短い場合、約50mmの幅を有する材料試験片上で行うことができる。
【0168】
材料試料9は、ラボベンチなどの任意の好適な水平平坦表面上に平らに置かれ、材料試料の前縁8から厳密に100mmに幅方向に線が描かれる。
【0169】
次いで、材料試験片9を試験片の第1の面(面A)を上向きにして支持ボックス2の上に置く。
図15に示すように、描かれた100mmの線は、材料試験片の長さ100mmの部分を支持ボックス2から自由に垂れ下げて、厳密に鋭い縁4上に位置付けられる。必要に応じて、試料のセクションを鋭い縁の水平側に面一に保持する。
【0170】
移動可能定規6は、垂れ下がり前縁8の平坦な表面5からの距離7を測定することができるように、垂れ下がり試験片材料の前縁8の近くに位置付けられている。垂れ下がり前縁8は完全に水平ではない可能性があるため、距離は、垂れ下がり前縁8の2つの角、並びに前縁8の中心で測定し、3つの値の算術平均を最も近いmmまで記録する。
【0171】
曲げ降下1は、ドレープボックスの厳密な高さ3(140mm)と、平坦な表面5から定規6で測定された、前縁8の平坦な表面5までの記録された垂直距離7との差として計算される。上記の全体的な手順は、5つの同様の材料試験片に対して繰り返される。5つの同様の材料試験片の曲げ降下値の算術平均は、100mmでの面A水平曲げ降下として最も近いmmまで報告される。
【0172】
次いで、材料試験片を逆さまにし(今度は面Bを上にして)、上記の同じ手順を実施して、面B水平曲げ降下を得る。材料試験片について全体的に記録された水平曲げ降下は、面A水平曲げ降下及び面B水平曲げ降下のうちの大きい方である。
【0173】
Z-コンプライアンス指数及び回復百分率測定方法
原理:この方法は、不織布ウェブが、適用された圧力下で、z方向に圧縮され、その後、その適用された圧力を除去した後に元のキャリパーに回復する能力を測定する。
【0174】
設定:直径40mmの円形フットを有する少なくとも0.01mmの精度を有する垂直方向の電子キャリパー試験機を使用することができる。フットによって試験片に加えられる圧力は、事前選択された重量の追加を介して調整可能である。測定は、0.85±0.05kPa及び15.4±0.1kPaで行われる。
【0175】
手順:測定は、23℃±2℃及び50%±2%RHで行われる。別段の指定がない限り、この試験を実施する前に、全ての試料が少なくとも24時間、これらの条件に保たれて平衡化されるべきである。可能な場合、下部ADSの測定は、それが吸収性物品に組み込まれる前に行われる。これが不可能である場合、試料を取り出す際には、他の層からの材料の除去中に試験試料層にいかなる汚染又は歪みも付与しないように注意する必要がある(必要に応じて、Cyto-Freeze、Control Company、Houston,Texasを使用して)。下部ADS試験片は、約80mmの幅を有する正方形の試料から(又は代替的に、材料が好適なサイズで入手可能でない場合は、約50mmの幅を有する材料試験片において)切断される。
【0176】
正方形の試料試験片は、キャリパーフット下の中心に位置付けられ、0.85±0.05kPa(P1)でのキャリパーを最も近い0.01mm(C1)まで測定し、記録する。装置から試料を除去することなく、圧力を15.4±0.1kPa(P2)に増加し、キャリパーを最も近い0.01mm(C2)まで測定し、記録する。圧力は、キャリパーフットに好適な重量を加えることによって増加させることができる。再び試料を移動せずに、加えられた圧力を0.85±0.05kPaに低減し(例えば、余分な重量を除去することによって)、キャリパーに対して、3度目の測定(C3)を行い、最も近い0.01mmまで記録する。
【0177】
測定される試験片について、コンプライアンス指数は、
Z-コンプライアンス指数=(C1-C2)/(P2-P1)
として定義され、最も近い0.1mm3/Nまで報告される。
【0178】
回復は、
回復率=C3/C1*100%
として計算され、パーセントで表され、最も近い0.1%まで記録する。
【0179】
上記の手順は、同じ不織布の5つの同様の試験片に対して行われる。5つの試験片の間のコンプライアンス指数値の算術平均を計算し、コンプライアンス指数として最も近い0.1mm3/Nまで報告する。5つの試験片の間の百分率回復値の算術平均を計算し、回復百分率として最も近い0.1%まで報告する。
【0180】
バッグ内積み重ね高さ試験
吸収性物品のパッケージのバッグ内積み重ね高さは、以下のように測定する。
【0181】
機器
平坦な剛性の水平スライディングプレートを備えた厚さ試験機を使用する。厚さ試験機は、水平スライディングプレートが平坦な剛性の水平ベースプレートのすぐ上で水平の向きに常に維持された状態で、水平スライディングプレートが垂直方向に自由に移動するように構成されている。厚さ試験機は、水平スライディングプレートと水平ベースプレートとの間の間隙を+0.5mm以内で測定するのに好適なデバイスを含む。水平スライディングプレート及び水平ベースプレートは、各プレートと接触する吸収性物品パッケージの表面よりも大きい(すなわち、各プレートは全ての方向において吸収性物品パッケージの接触表面を越えて延在する)。水平スライディングプレートは、吸収性物品パッケージに下方への力850±1重量グラム(8.34N)を加えるが、これは、スライディングプレートの合計質量に付加重量を足して850±1グラムとなるように、水平スライディングプレートのパッケージに接触しない上面の中央に好適な重しを置くことによって達成し得る。
【0182】
試験手順
吸収性物品パッケージを、測定前に、23±2℃及び50±2%の相対湿度で平衡化する。
【0183】
水平スライディングプレートを上げ、パッケージ内の吸収性物品が水平の向きとなるようにして吸収性物品パッケージを水平スライディングプレート下で中心に置く(
図14参照)。プレートのいずれかに接触するであろうパッケージの表面上にある任意のハンドル又は他のパッケージング機構を、パッケージの表面に対して平坦に折り重ねることで、測定に対する影響を最小限にする。水平スライディングプレートを、パッケージの上面に接触するまでゆっくり下げてから、解放する。水平スライディングプレートを解放してから10秒後に、水平プレート間の間隙を+0.5mm以内になるように測定する。5つの同じパッケージ(同じサイズのパッケージ及び同じ吸収性物品数)を測定し、算術平均をパッケージ幅として報告する。「バッグ内積み重ね高さ」=(パッケージ幅/積み重ね当たりの吸収性物品数)×10を計算し、+0.5mm以内で報告する。
【0184】
改変流体捕捉試験
改変流体捕捉(「Modified Fluid Acquisition、MFA」)試験は、2.07kPaで圧縮された吸収性物品に0.9%生理食塩水が吸収される速度を測定するように設計されたものである。既知の体積を4回導入し、毎回、前の用量が吸収されてから300秒±5秒後に、次の用量を開始する。各用量を吸収するのに必要な時間が記録される。全ての試験は、約23±2℃及び相対湿度約50±2%で維持された室内で行う。試験流体は0.9%w/v生理食塩水溶液であり、これは、9.0g±0.05gのNaClを坪量ボート内で計量してから1Lの容量フラスコに移して、体積まで脱イオン水で希釈することによって調製される。
【0185】
MFA装置を
図19~
図12bで描写する。MFA装置はゴム嚢アセンブリ3001と、堆積アセンブリ3100を含むトッププレートアセンブリ3200と、を備える。コントローラ3005は、1)電極3106全体でインピーダンスを監視して、0.9%生理食塩水溶液がシリンダ3102内にある時間間隔を記録し、2)液体ポンプ3004と接続して分注を開始/停止し、3)投与の間隔を測る、ために用いられる。コントローラ3005は、時間事象を±0.01秒で記録することができる。住宅用空気源3014を、好適な流量/圧力で空気を送達可能な圧力調節器3006に接続して、ゴム嚢アセンブリ3001内で2.07kPaを維持する。流量3~15ml/sで10~80mlの流れを送達可能な液体ポンプ3004(Cole Palmer(Vernon Hills、IL)から入手可能なIsmatec MCP-Zギヤポンプ、又は同等品)を、Tygon管3015を介して、堆積アセンブリ3100の鋼製チューブ3104に取り付ける。
【0186】
ゴム嚢アセンブリ3001は、12.7mmのプレキシグラスで作製され、全体の寸法は、長さ80cm、幅30cm、高さ10cmである。アセンブリ内の圧力を測定するマノメータ3007と、アセンブリへの空気導入を調節する圧力計3006が、右側を通る2つの穴を通して取り付けられる。ゴム嚢3013は、50mm×100mmのシリコーンフィルム片(厚さ0.02インチ、ショアAデュロメータ値20、McMaster-Carr(Cleveland,OH)から部品番号86435K85として入手可能)をドレープ状にすることによって箱の上に組み立てられ、これは、フィルムが箱の底部の中心点に触れるように十分なたるみを有する。フランジを備えたアルミニウムフレーム3003を、フィルム上部に取り付け、機械的クランプ3010を使って定位置に固定する。定位置にあるとき、このアセンブリは圧力3.45kPaで漏れが生じない状態であるべきである。前側3008及び後側3009試料支持体(5cm×30cm×1mm)を使用して、試料を固定する。接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかを使って、吸収性物品を試料支持体の上面に取り付ける。これらの支持体は、単純なピン及び穴のシステムによって、アルミニウムフレーム3003の長さに沿って調節して、様々なサイズの吸収性物品に対応させ、これらの充填点を正確に揃えさせることができる。
【0187】
トッププレートアセンブリ3200は、剛性を高めるためにアルミニウムフレーム3109で補強された12.7mmのプレキシグラスの80cm×30cm片から作製される。このプレートは、堆積アセンブリを取り付けるために、プレート3201の170mm前方に、プレートの横方向に中心を置いた幅170mm×長さ201mmの切り欠きを有する。加えて、トッププレートには直径3.2mmの穴36個が、
図35Aに示すように分散してドリルで穴開けされている。この穴により、ゴム嚢が膨張するときに、空気がトッププレートの下にトラップされることが防止される。トッププレートアセンブリ3200は、2つのヒンジ3012によってゴム嚢アセンブリ3001に接続されている。使用中、トップアセンブリはゴム嚢アセンブリの上に閉じられ、機械的クランプ3011を用いて定位置にロックされる。
【0188】
堆積アセンブリ3100はトッププレート3200に嵌め込まれ、1)液体導入シリンダ3102と、2)吸収性物品の充填点における湾曲面3101と、3)シリンダ3102内の流体を検出するために使用される電極3106と、を含む。湾曲構成要素の詳細な寸法は
図11A~
図11Eに示す。
図11Aは湾曲構成要素の側面図である。
図11Bは湾曲構成要素の端面図である。
図11Cは湾曲構成要素の底面図である。
図11Dは湾曲構成要素の底面斜視図である。
図11Eは湾曲構成要素の上面斜視図である。この湾曲構成要素は圧延又は3D印刷することができる。導入シリンダの上部は外形50.8mmである。内径38.1mmのプレキシガラスシリンダ3102。これを湾曲構成要素に嵌め込み、導入シリンダの全高を100mmとする。埋め込まれた電極は、湾曲構成要素の上面のコネクタから延び、シリンダの底部から2mmにある、導入シリンダの内壁とぴったり重なって終端する。2つの電極は、180度離れて位置付けられる。ナイロン製スクリーン3107を切断して、シリンダの底部とぴったり重なるように取り付け、試料が膨潤してシリンダに入り込むことのないようにする。スクリーンの2つの電極に隣接する領域で5mmの半円を切り取る。堆積アセンブリを、
図12Aに示すようにトッププレートに挿入し、湾曲面がトッププレートアセンブリ3200の底部とぴったり重なるようにする。導入シリンダ3102に緩いナイロン製キャップ3103で蓋をする。キャップは、その中心に挿入された外径6.35mmの鋼製チューブ3104を有する。キャップを定位置に嵌めると、チューブの底部はスクリーン3107から20mm上で終端する。キャップは空気穴3105も有し、陰圧によって吸収速度が妨げられないようにする。
【0189】
試験前に、23℃±2℃、及び約50%±2%の相対湿度で2時間、全ての試料物品を馴化する。最初に、吸収性物品を、物品のコア領域の上にあるトップシートに影響を及ぼさないように気を付けながら、全ての内側若しくは外側レッグカフ、腰部キャップ、弾性耳部、又はサイドパネルを切除することで調製する。吸収性物品を実験台上に平坦に配置し、長手方向中心線とサイズ依存性の充填点との交点を特定する。
【0190】
捕捉試験のための充填点、体積、及び流量
450mm以下の長さを有する吸収性物品の場合(これらは典型的には、サイズ0、1又は2、すなわち小さいサイズの乳児用おむつである):
-第1の噴出の終了と第2の噴出の開始との間に300秒±5秒の待機時間を有する2つの噴出。
-各噴出は、40mlの体積を有する。
-充填点は、吸収性物品の前側腰部領域(すなわち、腰部縁部)の端縁部から138mmにある。
-流量は8ml/秒である。
【0191】
450mm以上の長さを有する吸収性物品の場合:
-第1の噴出の終了と第2の噴出の開始との間に300秒±5秒の待機時間を有する2つの噴出。
-各噴出は、75mlの体積を有する。
-充填点は、吸収性物品の前側腰部領域(すなわち、腰部縁部)の端縁部から102mmにある。
-流量は15ml/秒である。
【0192】
吸収性物品の長さ及び充填点(すなわち、吸収性物品の前側腰部領域の端縁からのそれぞれの距離)は、平坦化された構成を妨げる全ての弾性ストランド(脚部弾性体など)が切断され、よって非弾性化され、吸収性物品が平らに置かれたときに決定される。長さは、長手方向中心線に沿って決定される。吸収性物品の前端部を、接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかを使用し、トップシートを上に向けて、前側試料プレート3008の上面に取り付ける。この配置により、シャーシだけが(吸収性コアではなく)プレートに重なる。トッププレートアセンブリが閉じられたときに、吸収性物品のサイズ依存性充填点(表2に定める)がシリンダ3102内で長手方向及び横方向の中心に置かれるように、試料プレート3008をアルミニウムフレーム3003に取り付ける。吸収性物品の裏端部を、接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかによって裏側試料プレート3009に固定し、ここでも、吸収性コアではなくシャーシのみがプレートに重なるようにする。次に裏側試料プレート3009をアルミニウムフレーム3003に取り付け、物品がピンと張っている(taunt)が延伸していないようにする。トッププレートアセンブリを閉じて締着し、ゴム嚢を2.07kPa±0.07kPaまで膨らませる。試験の充填シーケンス全体で圧力をこのレベルに維持する。
【0193】
ポンプ3004を準備し、続いて較正して、表2から選択されたサイズ依存性の体積及び流量を送達する。体積及び流量は、標的の±2%以内でなければならない。キャップ3103をシリンダ3102に嵌める。コントローラ3005を始動させると、0.9%生理食塩水溶液の最初の用量が供給される。この体積が吸収された後、コントローラは5.0分間待ってから、次の用量を追加する。このサイクルは合計4回の用量について繰り返し行われる。流体が物品外又は物品周囲に漏出する(即ち、物品に吸収されない)場合は、試験を中止する。また、捕捉時間が1200秒を超えた場合も、試験は中止される。捕捉時間は、開始時間(すなわち、0.9%生理食塩水が最初にシリンダ内に導入され、導通流体が電極間の回路を完了させたとき)と停止時間(すなわち、流体がシリンダから完全に排出され、電極間の回路が破壊されたとき)との間の差として定義される。コントローラにより各用量の捕捉時間が最も近い1秒まで記録される。最後の用量が得られた後、更に10分間圧力が加えられる。圧力開放弁3016を開いてゴム嚢を収縮させた後、捕捉システムから試料を除去する。
【0194】
同様に、評価する各吸収性物品について合計4回の複製試験を実施する。各用量に対する捕捉時間(秒)を、複製の算術平均として最も近い1秒まで計算して報告する。
【実施例0195】
下部ADS及びいくつかの吸収性物品構成のための多数の材料を試験した。更に、現在市場で入手可能な多くの吸収性物品を、本発明の比較例として調査した。
【0196】
比較例:市販の乳児用おむつ
Pampers Cruisers(商標)、米国
Huggies Diamond(商標)、米国
Pampers Ichiban(商標)、日本
Baby Love(商標)、ドイツで購入
Goo.N(商標)、中国で購入
Merries(商標)、中国で購入
Lelch(商標)、中国で購入
【0197】
試験された全ての製品は、2019年の前半に市販されていたテープされるおむつ(すなわち、パンツではない)であった。Pampersおむつは、両方ともいかなるエアフェルトも含まない吸収性コアを有するが(吸収性材料は全て超吸収性ポリマー粒子である)、他の全てのおむつは、エアフェルトと混合された超吸収性ポリマー粒子を有する吸収体を有した。
【0198】
おむつをNMR MOUSE試験に供して、第1のゾーン及び第2のゾーン内の液体の量を決定した。
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
本発明の実施例
下部捕捉及び分配層を、上記の市販のおむつのいくつかに添加し、おむつをNMR MOUSE試験に供して、第1のゾーン及び第2のゾーン内の液体の量を決定した。
【0204】
下記の材料を下部ADSとして使用、すなわち、材料をバックシートと吸収性コアとの間に添加した。
【0205】
下部ADSオプション1:60重量%の2.2dtexのCoPET/PET固体円形二成分(コア/シース)ステープル繊維及び40重量%の3.3dtexのPET固形円形単成分ステープル繊維で作製されたカーディングされたエアスルー接着不織布ウェブ。材料は、30g/m2の坪量を有した。
【0206】
下部ADSオプション2:4.4dtexの100%ポリエチレン/PET固体円形二成分(コア/シース)ステープル繊維で作製されたカーディングされたエアスルー接着不織布ウェブ。材料は、60g/m2の坪量を有した。
【0207】
下部ADSオプション3:60重量%の2.2dtexのCoPET/PET固体円形二成分(コア/シース)ステープル繊維及び40重量%の3.3dtexのPET固形円形単成分ステープル繊維で作製されたエアスルー接着不織布ウェブ。材料は、60g/m2の坪量を有した。
【0208】
下部ADSオプション4:30重量%のビスコース繊維と70重量%のポリエステル繊維とを含む水流交絡不織布ウェブ。不織布ウェブは、40g/m2の坪量を有した。
【0209】
下部ADSオプション5:SMS層を有する100%単成分PPで作製された不織布ウェブ。スパンボンド(「S」)層は、2.2dtexの繊維を有し、メルトブローン(「M」)層は、2ミクロン未満の繊維直径を有する。メルトブローン層は、1.8g/m2の坪量を有し、スパンボンド層は各々、9.1g/m2の坪量を有する。不織布ウェブは、20g/m2の坪量を有した。
【0210】
下部ADSオプション6:捲縮PP/PP繊維で作製されたスパンボンド不織布ウェブ。不織布は、水流交絡される。不織布は、35g/m2の坪量を有した。
【0211】
実施例、サイズ4
試料の調製:
改変されたPampers Cruisers(サイズ4)の場合:2019年の前半に米国で市販されていたPampers Cruisersおむつのサイズ4のトップシート、上部ADS及び吸収性コア(すなわち、上部及び下部基材層によって包囲された吸収性材料の層)を、アイススプレーを使用して慎重に除去した。元の吸収性コアは注意深く取っておき、元のトップシート及び上部ADSは処分した。各おむつについて、下部ADSを、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤でバックシートの着用者に面する表面に取り付けた。下部ADSは、90mmの幅を有し、横方向に対してバックシート上の中心に合わせた。下部ADSは、元の吸収性コアと同じ長さを有し、長手方向に対して元の吸収性コアと同じ位置に配置された。次いで、吸収性コアが厳密に除去前の位置に配置されるように、元の吸収性コアを、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で下部ADSに取り付けた。言い換えれば、下部ADSの前端部は、吸収性コアの前端部と対応していた。次いで、360mmの長さを有する上部ADSを、上部ADSが横方向に対して吸収性コアを中心とし、吸収性コア前縁部から長手方向に対して後方に18mm離間されるように、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で吸収性コアに取り付けた。上部ADSは、90mmの幅を有し、60重量%の2.2dtexのCoPET/PET固体円形二成分(コア/シース)ステープル繊維及び40重量%の3.3dtexのPET固形円形単成分ステープル繊維の混合物で作製されたエアスルー接着不織布ウェブで作製された上層を含む。上部ADSの上層は、30g/m2の坪量を有した。上部ADSは、80mmの幅を有し、架橋セルロース繊維で作製された下層を更に含んだ。上部ADSの下層は、170g/m2の坪量を有した。5g/m2の坪量で縞状に適用したホットメルト接着剤を用いて、上部ADSの両方の層を互いに取り付けた。上部ADSの上層及び下層は、横方向に対して及び上部ADSの上層及び下層の前端部が一致するように互いに中心に合わせられた。
【0212】
最後に、国際公開第2017/105997(A1)号に記載されているような形成ベルト上で作製されたスパンボンド不織布ウェブを、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤でトップシートとして上部ADSに取り付けた。トップシートを形成する不織布ウェブは、連続的な二成分ポリプロピレン/ポリプロピレン(並列)繊維を含み、25g/m2の坪量を有した。形成ベルト上での形成により、不織布ウェブは、高い及び低い坪量の領域を有した。
【0213】
おむつ試料を、バッグ内積み重ね高さ、すなわち10個のバイフォールドおむつの総キャリパーで85mmの可撓性バック内に1週間圧縮した。次いで、バッグを開き、バッグから取り出されたおむつを、いかなる試験の前に、23℃+/-2℃及び50%+/-10%の相対湿度(RH)で少なくとも24時間馴化した。
【0214】
改変されたMerries(サイズ4)の場合:2019年の前半に日本で市販されていたMerriesおむつのサイズ4の商用トップシート、上部ADS及び吸収性コア(すなわち、上部及び下部基材層によって包まれた吸収性材料の層)を、アイススプレーを使用して1つの積層体として慎重に除去した。各おむつについて、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で下部ADSをバックシートの着用者に面する表面に取り付けた。下部ADSは、90mmの幅を有し、横方向に対してバックシート上の中心に合わせた。下部ADSは、元の吸収性コアと同じ長さを有し、長手方向に対して元の吸収性コアと同じ位置に配置された。次いで、吸収性コアが厳密に除去前の位置に配置されるように、元の吸収性コア、上部ADS及びトップシートによって形成された積層体を、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で下部ADSに取り付けた。言い換えれば、下部ADSの前端部は、吸収性コアの前端部と対応していた。
【0215】
おむつ試料を、バッグ内積み重ね高さ、すなわち10個のバイフォールドおむつの総キャリパーで90mmの可撓性バック内に1週間圧縮した。次いで、バッグを開き、バッグから取り出されたおむつを、いかなる試験の前に、23℃+/-2℃及び50%+/-10%の相対湿度(RH)で少なくとも24時間馴化した。
【0216】
改変されたPampers Ichiban(サイズ4)の場合:2019年の前半に中国で市販されていたPampers Ichibanおむつのサイズ4の商用トップシート、上部ADS及び吸収性コア(すなわち、上部及び下部基材層によって包まれた吸収性材料の層)を、アイススプレーを使用して慎重に除去した。元の吸収性コアは注意深く取っておき、元のトップシート及び上部ADSは処分した。各おむつについて、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で下部ADSをバックシートの着用者に面する表面に取り付けた。下部ADSは、90mmの幅を有し、横方向に対してバックシート上の中心に合わせた。下部ADSは、元の吸収性コアと同じ長さを有し、長手方向に対して元の吸収性コアと同じ位置に配置された。次いで、吸収性コアが厳密に除去前の位置に配置されるように、元の吸収性コアを、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で下部ADSに取り付けた。言い換えれば、下部ADSの前端部は、吸収性コアの前端部と対応していた。次いで、360mmの長さを有する上部ADSを、上部ADSが横方向に対して吸収性コアを中心とし、吸収性コア前縁部から長手方向に対して18mm離間されるように、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で吸収性コアに取り付けた。上部ADSは、90mmの幅を有し、60重量%の2.2dtexのCoPET/PET固体円形二成分(コア/シース)ステープル繊維及び40重量%の3.3dtexのPET固形円形単成分ステープル繊維で作製されたエアスルー接着不織布ウェブで作製された上層を含む。上部ADSの上層は、30g/m2の坪量を有した。上部ADSはまた、80mmの幅を有し、架橋セルロース繊維で作製された下層を含んだ。上部ADSの下層は、170g/m2の坪量を有した。5g/m2の坪量で縞状に適用したホットメルト接着剤を用いて、上部ADSの両方の層を互いに取り付けた。上部ADSの上層及び下層は、横方向に対して及び上部ADSの上層及び下層の前端部が一致するように互いに中心に合わせられた。
【0217】
最後に、国際公開第2017/105997(A1)号に記載されているような形成ベルト上で作製されたスパンボンド不織布ウェブを、5g/m2の坪量でらせん形状に適用したホットメルト接着剤でトップシートとして上部ADSに取り付けた。トップシートの不織布ウェブは、二成分の連続的ポリプロピレン/ポリプロピレン(並列)繊維を含み、25g/m2の坪量を有した。形成ベルト上での形成により、不織布ウェブは、高い及び低い坪量の領域を有した。
【0218】
おむつ試料を、バッグ内積み重ね高さ、すなわち10個のバイフォールドおむつの総キャリパーで90mmの可撓性バック内に1週間圧縮した。次いで、バッグを開き、バッグから取り出されたおむつを、いかなる試験の前に、23℃+/-2℃及び50%+/-10%の相対湿度(RH)で少なくとも24時間馴化した。
【0219】
【0220】
実施例、サイズ2
改変されたPampers Ichiban、サイズ2;実行1:2019年の前半に中国で市販されていたPampers Ichibanおむつのサイズ2の商用トップシート、上部ADS及び吸収性コアを、アイススプレーを使用して注意深く除去した。元の吸収性コアは注意深く取っておき、元のトップシート及び上部ADSは処分した。各おむつについて、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で下部ADSをバックシートの着用者に面する表面に取り付けた。下部ADSは、90mmの幅を有し、横方向に対してバックシート上の中心に合わせた。下部ADSは、元の吸収性コアと同じ長さを有し、長手方向に対して元の吸収性コアと同じ位置に配置された。次いで、吸収性コアが厳密に除去前の位置に配置されるように、元の吸収性コアを、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で下部ADSに取り付けた。言い換えれば、下部ADSの前端部は、吸収性コアの前端部と対応していた。次いで、350mmの長さを有する上部ADSを、上部ADSが横方向に対して吸収性コアを中心とし、吸収性コアの前縁部から長手方向に対して後方に23mm離間されるように、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で吸収性コアに取り付けた。上部ADSは、90mmの幅を有し、60重量%の2.2dtexのCoPET/PET固体円形二成分(コア/シース)ステープル繊維及び40重量%の3.3dtexのPET固形円形単成分ステープル繊維で作製されたエアスルー接着不織布ウェブで作製された上層を含む。上部ADSの上層は、30g/m2の坪量を有した。上部ADSはまた、80mmの幅を有し、架橋セルロース繊維で作製された下層を含んだ。上部ADSの下層は、110g/m2の坪量を有した。5g/m2の坪量で縞状に適用したホットメルト接着剤を用いて、上部ADSの上層及び下層を互いに取り付けた。上部ADSの上層及び下層は、横方向に対して及び上部ADSの上層及び下層の前端部が一致するように互いに中心に合わせられた。
【0221】
最後に、単成分ポリプロピレン繊維を有するスパンボンド不織布ウェブをトップシートとしてホットメルト接着剤を5g/m2の坪量でらせん状に適用して上部ADSに取り付けた。トップシートの不織布ウェブは、12g/m2の坪量を有した。おむつ試料を、バッグ内積み重ね高さ、すなわち10個のバイフォールドおむつの総キャリパーで100mmのバック内に1週間圧縮した。次いで、バッグを開き、バッグから取り出されたおむつを、いかなる試験の前に、23℃+/-2℃及び50%+/-10%の相対湿度(RH)で少なくとも24時間馴化した。
【0222】
改変されたPampers Ichiban、サイズ2;実行2:実行2については、上部ADSの材料が異なることを除いて、実行1について上記に記載されているものと同じ手順に従った。実行2の上部ADSは二層材料であり、トップシートと直接接触する上部ADSの上層が、ポリエチレン/ポリプロピレン二成分繊維のカーディングされたエアスルー接着不織布ウェブであり、20g/m2の坪量を有した。吸収性コアの上部基材層と直接接触する上部ADSの下層は、3重量%のラテックス、20重量%のポリプロピレン/PET二成分繊維、及び77重量%のセルロース繊維で作製された60g/m2の不織布ウェブであった。上部ADSは、80g/m2の総坪量を有した。
【0223】
下部ADSを含まない比較例I:改変されたPampers Ichiban、サイズ2 2019年の前半に中国で市販されていたサイズ2のPampers Ichibanおむつの商用トップシート及び上部ADSを、アイススプレーを使用して慎重に除去し、元のトップシート及び上部ADSを処分した。次いで、350mmの長さを有する上部ADSを、上部ADSが横方向に対して吸収性コアを中心とし、吸収性コアの前縁部から長手方向に対して後方に23mm離間されるように、5g/m2の坪量でらせん状に適用したホットメルト接着剤で吸収性コアに取り付けた。上部ADSは、90mmの幅を有する上層を含み、本明細書の他の実施例における下部ADSのオプション1として使用されたものと同じ材料で作製された。上部ADSはまた、80mmの幅を有し、架橋セルロース繊維で作製された下層を含んだ。上部ADSの下層は、140g/m2の坪量を有した。5g/m2の坪量で縞形状に適用したホットメルト接着剤を用いて、上部ADSの上層及び下層を互いに取り付けた。上部ADSの上層及び下層は、横方向に対して及び上部ADSの上層及び下層の前端部が一致するように互いに中心に合わせられた。
【0224】
最後に、単成分ポリプロピレン繊維を有するスパンボンド不織布ウェブをトップシートとしてホットメルト接着剤を5g/m2の坪量でらせん状に適用して上部ADSに取り付けた。トップシートの不織布ウェブは、12g/m2の坪量を有した。おむつ試料を、バッグ内積み重ね高さ、すなわち10個のバイフォールドおむつの総キャリパーで100mmのバック内に1週間圧縮した。次いで、バッグを開き、バッグから取り出されたおむつを、いかなる試験の前に、23℃+/-2℃及び50%+/-10%の相対湿度(RH)で少なくとも24時間馴化した。
【0225】
下部ADSを含まない比較例II:改変されたPampers Ichiban、サイズ2:上部ADSの上層は、60重量%の2.2dtexのCoPET/PET固体円形二成分(コア/シース)ステープル繊維及び40重量%の3.3dtexのPET固体円形単成分繊維で作製された30g/m2の坪量を有するエアスルー接着不織布ウェブであった。上部ADSの下層は、架橋セルロース繊維で作製され、110g/m2の坪量を有した。
【0226】
12g/m2の坪量を有し、単成分ポリプロピレン繊維で作製されたスパンボンド不織布ウェブをトップシートとして使用した。
【0227】
試料の他の全ての試料調製ステップ、寸法及び構成は、上記の比較例Iと同一であった。
【0228】
下部ADSを含まない比較例III:改変されたPampers Swaddlers、サイズ2。この実施例の製品設計は、2019年の前半に北米で市販されていたPampers Swaddlersおむつのサイズ2と類似しているが、以下に記載の次の変更がなされている。吸収性材料又は超吸収体は、6.6グラムの重量であり、市場製品と同じ分布に従っていた。上部ADSの上層は、市場製品に使用されたものと同じ材料で作製され、長さ288mm及び幅105mmであった。上部ADSの上層は、吸収性コアの前端縁から31mm離れて配置された。上部ADSの下層は、市場製品に使用される同じ材料で作製され、長さは268mm及び幅80mmであった。上部ADSの下層は、上部ADSの上層の前端縁から10mm離れて配置された。バックシートは、5g/m2の坪量でスロット状に適用されたホットメルト接着剤でバックシートフィルムに取り付けられた30g/m2のスパンレイド水流交絡ウェブで作製される。
【0229】
おむつ試料を、バッグ内積み重ね高さ、すなわち10個のバイフォールドおむつの総キャリパーで100mmのバック内に1週間圧縮した。次いで、バッグを開き、バッグから取り出されたおむつを、いずれの試験の前にも、23℃+/-2℃及び50%+/-10%の相対湿度(RH)で少なくとも24時間馴化した。
【0230】
【0231】
【0232】
吸収性材料の層の下に下部基材層を有する及び有しない実施例
吸収性物品の層と下部ADSとの間に下部基材層が提供される吸収性物品(上記の本発明実施例は全てそうである)を、下部ADSが吸収性材料の層の衣類に面する表面と直接接触している吸収性物品と比較するために、上記の実施例のうちの1つ(Pampers Ichiban、サイズ2、下部ADSオプション2を含む実行1)を、下部基材層が除去されるように改変した。結果を表8に示す。別の実施例を、比較例IIIの下部基材層を下部ADSオプション6で置き換えて作製した。
【0233】
【0234】
【0235】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0236】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0237】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。