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特開2024-109740EFEM、及び、EFEMにおけるガス置換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109740
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】EFEM、及び、EFEMにおけるガス置換方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024082358
(22)【出願日】2024-05-21
(62)【分割の表示】P 2022132183の分割
【原出願日】2018-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】小倉 源五郎
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コストの増大を抑えつつ、搬送室内にパーティクルが放出されることを抑制する筐体内の不活性ガスを循環させるタイプのEFEMを提供する。
【解決手段】EFEM1は、パーティクルを除去するFFU(ファンフィルタユニット)44によって清浄化された窒素が所定方向に流れる搬送室41と、搬送室41の下流側からFFU44へ窒素を戻す帰還路43と、を有し、窒素が循環するように構成されている。EFEM1はまた、搬送室41内に配置され、ウェハを保持した状態で所定の動作を行う搬送ロボット3を備える。搬送ロボット3は、開口が形成されたケース部材61と、ケース部材61の外側に配置され、ウェハを保持するアーム機構70と、アーム機構70を支持し、開口に挿通された支柱と、ケース部材61に収容され、支柱を駆動する駆動機構と、を有する。FEEMにはさらに、ケース部材61と帰還路43とを接続する接続路82aが設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーティクルを除去するファンフィルタユニットによって清浄化された不活性ガスが所定方向に流れる搬送室と、前記搬送室の前記所定方向における下流側から前記ファンフィルタユニットへ前記不活性ガスを戻す帰還路と、を有し、前記不活性ガスが循環するように構成されたEFEMであって、
前記搬送室内に配置され、基板を保持した状態で所定の動作を行う自動装置を備え、
前記自動装置は、
開口が形成されたケース部材と、
前記ケース部材の外側に配置され、前記基板を保持する保持部と、
前記保持部を支持し、前記開口に挿通された支持部と、
前記ケース部材に収容され、前記支持部を駆動する駆動機構と、を有し、
前記ケース部材と前記帰還路とを接続する接続路が設けられていることを特徴とするEFEM。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不活性ガスを循環させることが可能なEFEM(Equipment Front End Module)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体基板(ウェハ)に所定の処理を施す処理装置と、ウェハが収容されるFOUP(Front-Opening Unified Pod)との間でウェハの受渡しを行う、EFEMが開示されている。EFEMは、ウェハの搬送が行われる搬送室が形成された筐体と、筐体の外側に並べて配置され、FOUPがそれぞれ載置される複数のロードポートと、搬送室内に延びたレール上を走行してウェハの搬送を行う搬送装置と、を備える。
【0003】
従来、ウェハ上で製造される半導体回路に対する搬送室内の酸素や水分等の影響は少なかったが、近年、半導体回路のさらなる微細化に伴い、それらの影響が顕在化してきている。そこで、特許文献1に記載のEFEMは、不活性ガスである窒素で搬送室内が満たされるように構成されている。具体的には、EFEMは、筐体の内部で窒素を循環させる、搬送室を含む循環流路と、循環流路に窒素を供給するガス供給手段と、循環流路から窒素を排出するガス排出手段とを備える。窒素は、循環流路内の酸素濃度等の変動に応じて適宜供給及び排出される。これにより、窒素を常時供給及び排出する構成と比べて窒素の供給量の増大を抑えつつ、搬送室内を窒素雰囲気に保つことが可能となる。
【0004】
ところで、窒素の供給量の増大を抑制しつつ搬送室内を適切な雰囲気に保つためには、酸素濃度や湿度等を監視するセンサ機器等の設置が必要となる。しかし、単純にセンサ機器等を搬送室内に設置すると、走行する搬送装置と干渉するおそれがある。そこで、本願発明者は、レール上を走行する搬送装置の代わりに、特許文献2に記載されているような、位置が固定された搬送装置(搬送ロボット)の適用を検討している。詳細には、搬送ロボットは、搬送室内に固定された中空の胴体と、胴体から上方に突出するように配置された支柱と、支柱を上下駆動する駆動機構と、支柱に取り付けられて水平駆動され、ウェハを保持して搬送する多関節アームとを備える。このような搬送ロボットは、多関節アームが水平駆動されることで、複数のロードポートに載置されたFOUPにアクセス可能である。つまり、搬送室内にレールがなく、胴体が走行しないので、その分、搬送室内にセンサ機器等の設置スペースを確保することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-146349号公報
【特許文献2】特開2012-169691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の搬送ロボットにおいては、多関節アームを支持する支柱が上下駆動されることで、ウェハが上下方向にも搬送される。このような搬送ロボットを特許文献1に記載のEFEMに適用する場合、以下のような問題が生じる。すなわち、駆動機構の動作時に胴体内に発生しうるパーティクルを除去するために、胴体内の気体(不活性ガス)をEFEM筐体外である外部空間に排出するように構成すると、胴体と支柱との間に空いた隙間を介して、搬送室内に供給した窒素が胴体内に吸引され、そして外部空間に排出されてしまう。このため、その分窒素を補充する必要が生じ、窒素の供給コストが増大するおそれがある。かといって、胴体から外部へ窒素を排出しないように構成すると、今度は、支柱が下方へ引っ込むように駆動される(胴体の内部容積が小さくなる)際に、胴体内の気体(不活性ガス)が支柱の移動に伴って周辺に押し出される。このため、パーティクルを含んだ気体(不活性ガス)が、上記隙間を介して搬送室内に放出されるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、筐体内の不活性ガスを循環させるタイプのEFEMにおいて、コストの増大を抑えつつ、搬送室内にパーティクルが放出されることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明のEFEMは、パーティクルを除去するファンフィルタユニットによって清浄化された不活性ガスが所定方向に流れる搬送室と、前記搬送室の前記所定方向における下流側から前記ファンフィルタユニットへ前記不活性ガスを戻す帰還路と、を有し、前記不活性ガスが循環するように構成されたEFEMであって、前記搬送室内に配置され、基板を保持した状態で所定の動作を行う自動装置を備え、前記自動装置は、開口が形成されたケース部材と、前記ケース部材の外側に配置され、前記基板を保持する保持部と、前記保持部を支持し、前記開口に挿通された支持部と、前記ケース部材に収容され、前記支持部を駆動する駆動機構と、を有し、前記ケース部材と前記帰還路とを接続する接続路が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
自動装置が有する駆動機構によって支持部が駆動されることで、ケース部材の内部空間においてパーティクルが発生しうる。このパーティクルを含んだ不活性ガスが、ケース部材の開口と支持部との間の隙間から漏れると、搬送室内がパーティクルによって汚染されるおそれがある。本発明では、ケース部材と帰還路とを接続する接続路が設けられているので、仮にケース部材の内部空間でパーティクルが発生しても、このパーティクルは接続路を介して帰還路に排出されるため、搬送室内にパーティクルが漏れることを抑制できる。さらに、帰還路に排出されたパーティクルは、帰還路の下流側に配置されたファンフィルタユニットによって除去される。したがって、ケース部材の内部空間で発生したパーティクルによって搬送室が汚染されることを抑制できる。また、このような構成では、ケース部材内の不活性ガスがそのまま外部に排出されないので、ケース部材内から排出された分の不活性ガスを補充する必要がなく、不活性ガスの供給量の増大を抑制できるため、コストの増大を抑制できる。したがって、筐体内の不活性ガスを循環させるタイプのEFEMにおいて、コストの増大を抑えつつ、搬送室内にパーティクルが放出されることを抑制することができる。
【0010】
第2の発明のEFEMは、前記第1の発明において、前記ケース部材内の不活性ガスを、前記接続路を介して前記帰還路へ送り出すファンをさらに備えることを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、ファンにより生成される気流によって、ケース部材内の不活性ガスを確実
に帰還路へ送ることができるので、ケース部材内の不活性ガスが開口と支持部との間の隙間から漏れることを抑制し、搬送室内にパーティクルが放出されることをより確実に抑制することができる。
【0012】
第3の発明のEFEMは、前記第2の発明において、前記ファンを回転駆動するファン駆動装置と、前記ファン駆動装置を制御する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、 前記駆動機構が動作しているときに、前記駆動機構が動作していないときと比べて前記ファンの回転速度を速くすることを特徴とするものである。
【0013】
ケース部材内においては、駆動機構が動作して支持部を駆動しているときに、パーティクルが発生しやすいおそれがある。本発明では、駆動機構が動作しているときにファンの回転速度を速くして風速を速めることで、ケース部材内の不活性ガスを確実に帰還路へ送ることができる。また、駆動機構が動作していないときにはファンの回転速度を遅くすることで、ファンを駆動させるための消費電力を低減させることができる。
【0014】
第4の発明のEFEMは、前記第1~第3のいずれかの発明において、前記自動装置として、前記基板を搬送する搬送ロボットが設けられ、前記ケース部材は、前記搬送室内に固定され、前記保持部として、前記基板を保持して水平方向に搬送するアーム機構が設けられ、前記支持部として、前記アーム機構を支持する支柱が設けられ、前記支柱は、前記駆動機構によって上下駆動されることを特徴とするものである。
【0015】
本発明では、搬送ロボットのケース部材が搬送室内に固定されている。つまり、ケース部自体は搬送室内を移動しないので、その分、搬送室内に各種機器を設置するためのスペースを確保することができる。一方、アーム機構を支持する支柱が上下駆動される構成では、特に、支柱が下方へ引っ込むように駆動された際に、ケース部材内に発生したパーティクルを含んだ不活性ガスが支柱の移動に伴って上方へ押し出され、ケース部材と支柱との間の隙間を通り抜けて搬送室内に放出されるおそれがある。本発明では、このような構成においても、ケース部材が接続路によって帰還路と接続されているので、パーティクルは接続路を介して帰還路に排出される。したがって、パーティクルを含んだ不活性ガスが搬送室内に流れ込むことを効果的に抑制できる。
【0016】
第5の発明のEFEMは、前記第4の発明において、前記アーム機構は、前記基板を保持するロボットハンドと、前記基板を保持する保持状態と、前記保持状態を解除する解除状態との間で前記ロボットハンドの状態を切り換える切換部と、を有し、前記切換部の動作時に発生するパーティクルを、パーティクル除去用の不活性ガス供給源から供給される前記不活性ガスの流れによって吸引し、さらに、供給された前記不活性ガスをパーティクルと共に前記帰還路に排出するエジェクタ、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
ロボットハンドが切換部によって保持状態と解除状態との間で切り換えられる際に、パーティクルが発生すると、基板にパーティクルが付着するおそれがある。ここで、パーティクルを除去するために、真空排気が行われる構成になっていると、搬送室内から不活性ガスが排出されてしまうため、その分不活性ガスを補充する必要が生じ、コストが増大するおそれがある。本発明では、エジェクタによってパーティクルが吸引され、不活性ガスの供給源から供給される不活性ガスがパーティクルと共に帰還路に排出されるため、当該不活性ガスはそのまま循環する。さらに、パーティクルは、ファンフィルタユニットによって除去される。したがって、真空排気を行う構成と比べて、不活性ガスの補充によるコストの増大を抑制することができる。
【0018】
第6の発明のEFEMは、前記第4又は第5の発明において、前記アーム機構は、中空のアーム部材を有し、前記アーム部材には、パージ用の不活性ガス供給源から供給される
前記不活性ガスを前記アーム部材の内部空間に流入させるための流入口と、前記アーム部材の前記内部空間から前記不活性ガスを流出させるための流出口とが形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
搬送ロボットのアーム部材は、一般に、駆動用の機構を内蔵するために中空構造を有している。アーム部材の内部空間が搬送室に対して完全に密閉されていれば良いが、そうでない構成では、例えばメンテナンス時に搬送室が大気解放された場合に、アーム部材の内部空間も大気解放され、内部空間に酸素や水分等が入り込むおそれがある。この場合、メンテナンス後の再稼働時にアーム部材内の不活性ガスの置換に時間がかかると、生産効率が低下するおそれがある。本発明では、アーム部材に流入口と流出口とが形成されているため、これらが形成されていない場合と比べて、アーム部材の内部空間のガス置換にかかる時間を短縮することができ、生産効率の低下を抑制できる。
【0020】
第7の発明のEFEMにおけるガス置換方法は、パーティクルを除去するファンフィルタユニットによって清浄化された不活性ガスが所定方向に流れる搬送室と、前記搬送室の前記所定方向における下流側から前記ファンフィルタユニットへ前記不活性ガスを戻す帰還路と、を有し、前記不活性ガスが循環するように構成されたEFEMにおいて、ガスを置換するガス置換方法であって、前記EFEMは、前記搬送室内に配置され、基板を保持した状態で所定の動作を行う自動装置を備えるものであり、前記自動装置は、開口が形成されたケース部材と、前記ケース部材に収容される駆動機構と、を有するものであり、前記不活性ガスの供給源から前記ケース部材の内部に前記不活性ガスを供給して、前記ケース部材の内部から前記帰還路へガスを送り出すことで前記ケース部材の内部のガスを置換するものである。
【0021】
本発明では、例えばEFEMの立上げ時等に、供給源から不活性ガスを積極的に供給することで、速やかにケース部材内のガスを置換できる。また、ガスをケース部材の内部から帰還路へ送り出すため、EFEMの立上げ時等に、搬送室内にケース部材内のパーティクルが放出されることを抑制できる。
【0022】
第8の発明のEFEMにおけるガス置換方法は、前記第7の発明において、前記搬送室内の前記ガス雰囲気が所定の酸素濃度未満となった後、前記供給源からの前記不活性ガスの供給を停止し、その後、前記搬送室内のガスを前記ケース部材の内部に取り込んで前記帰還路へ送り出すことを特徴とするものである。
【0023】
本発明では、通常時には供給源からケース部材への不活性ガスの供給を行わず、ガスを搬送室からケース部材内に取り込んで帰還路へ送り出すことで、コストの増大を抑制できる。また、ケース部材から搬送室内へのガスの逆流を抑制できるので、搬送室内にケース部材内のパーティクルが放出されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係るEFEM及びその周辺の概略的な平面図である。
図2】EFEMの電気的構成を示す図である。
図3】筐体の正面図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5図3のV-V断面図である。
図6】搬送ロボットの構造を示す図である。
図7】循環路への窒素の供給経路及び排出経路を示す模式図である。
図8】搬送ロボットにおける窒素の送出口を示す図である。
図9】変形例に係る搬送ロボットを示す図である。
図10】別の変形例に係るアライナを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態について、図1図8を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、図1に示す方向を前後左右方向とする。すなわち、EFEM(Equipment Front End Module)1と基板処理装置6とが並べられている方向を前後方向とする。EFEM1側を前方、基板処理装置6側を後方とする。前後方向と直交する、複数のロードポート4が並べられている方向を左右方向とする。また、前後方向及び左右方向の両方と直交する方向を上下方向とする。
【0026】
(EFEM及び周辺の概略構成)
まず、EFEM1及びその周辺の概略構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るEFEM1及びその周辺の概略的な平面図である。図2は、EFEM1の電気的構成を示す図である。図1に示すように、EFEM1は、筐体2と、搬送ロボット3と、複数のロードポート4と、制御装置5とを備える。EFEM1の後方には、ウェハW(本発明の基板)に所定の処理を施す基板処理装置6が配置されている。EFEM1は、筐体2内に配置された搬送ロボット3によって、ロードポート4に載置されているFOUP(Front-Opening Unified Pod)100と基板処理装置6との間でウェハWの受渡しを行う。FOUP100は、複数のウェハWを上下方向に並べて収容可能な容器であり、後端部(前後方向における筐体2側の端部)に蓋101が取り付けられている。FOUP100は、例えば、ロードポート4の上方に設けられた不図示のレールに吊り下げられて走行する、不図示のOHT(天井走行式無人搬送車)によって搬送される。OHTとロードポート4との間で、FOUP100の受渡しが行われる。
【0027】
筐体2は、複数のロードポート4と基板処理装置6とを接続するためのものである。筐体2の内部には、外部空間に対して略密閉された、ウェハWが搬送される搬送室41が形成されている。EFEM1が稼動しているとき、搬送室41は、窒素(本発明の不活性ガス)で満たされている。筐体2は、搬送室41を含む内部空間を窒素が循環するように構成されている(詳細については後述する)。また、筐体2の後端部にはドア2aが取り付けられ、搬送室41は、ドア2aを隔てて基板処理装置6と接続されている。
【0028】
搬送ロボット3は、搬送室41内に配置され、ウェハWの搬送を行う。搬送ロボット3は、位置が固定された基台部60(図3参照)と、基台部60の上方に配置され、ウェハWを保持して搬送するアーム機構70(図3参照)と、ロボット制御部11(図2参照)とを有する。搬送ロボット3は、主に、FOUP100内のウェハWを取り出して基板処理装置6に渡す動作や、基板処理装置6によって処理されたウェハWを受け取ってFOUP100に戻す動作を行う。
【0029】
ロードポート4は、FOUP100を載置する(図5参照)ためのものである。複数のロードポート4は、それぞれの後端部が筐体2の前側の隔壁に沿うように、左右方向に並べて配置されている。ロードポート4は、FOUP100内の雰囲気を窒素等の不活性ガスに置換可能に構成されている。ロードポート4の後端部には、ドア4aが設けられている。ドア4aは、不図示のドア開閉機構によって開閉される。ドア4aは、FOUP100の蓋101のロックを解除可能、且つ、蓋101を保持可能に構成されている。ロックが解除された蓋101をドア4aが保持している状態で、ドア移動機構がドア4aを開けることで、蓋101が開けられる。これにより、FOUP100内のウェハWが、搬送ロボット3によって取出可能になる。
【0030】
図2に示すように、制御装置5は、搬送ロボット3のロボット制御部11、ロードポート4の制御部(不図示)、基板処理装置6の制御部(不図示)と電気的に接続されており、これらの制御部との通信を行う。また、制御装置5は、筐体2内に設置された酸素濃度
計55、圧力計56、湿度計57等と電気的に接続されており、これらの計測機器の計測結果を受信して、筐体2内の雰囲気に関する情報を把握する。また、制御装置5は、供給バルブ112及び排出バルブ113(後述)と電気的に接続されており、これらのバルブの開度を調節することで、筐体2内の雰囲気を適宜調節する。
【0031】
図1に示すように、基板処理装置6は、例えば、ロードロック室6aと、処理室6bとを有する。ロードロック室6aは、筐体2のドア2aを隔てて搬送室41と接続された、ウェハWを一時的に待機させるための部屋である。処理室6bは、ドア6cを隔ててロードロック室6aと接続されている。処理室6bでは、不図示の処理機構によって、ウェハWに対して所定の処理が施される。
【0032】
(筐体及びその内部の構成)
次に、筐体2及びその内部の構成について、図3図5を用いて説明する。図3は、筐体2の正面図である。図4は、図3のIV-IV断面図である。図5は、図3のV-V断面図である。なお、図3においては、隔壁の図示を省略している。また、図5においては、搬送ロボット3等の図示を省略している。
【0033】
筐体2は、全体として直方体状である。図3図5に示すように、筐体2は、柱21~26と、隔壁31~36とを有する。上下方向に延びる柱21~26に隔壁31~36が取り付けられており、筐体2の内部空間が外部空間に対して略密閉されている。
【0034】
より具体的には、図4に示すように、筐体2の前端部において、柱21~24が左方から右方にかけて順番に並べて立設配置されている。柱21と柱24との間に配置された柱22、23は、柱21及び柱24よりも短い。筐体2の後端部の左右両側に、柱25、26が立設配置されている。
【0035】
図3に示すように、筐体2の底部に隔壁31が、天井部に隔壁32が配置されている。図4に示すように、前端部に隔壁33が、後端部に隔壁34が、左端部に隔壁35が、右端部に隔壁36が、それぞれ配置されている。筐体2の右端部には、後述するアライナ54が載置される載置部53(図3参照)が設けられている。アライナ54及び載置部53も、筐体2の内側に収容されている(図4参照)。
【0036】
図3及び図5に示すように、筐体2内の上側部分(柱22、23の上方)には、水平方向に延びる支持板37が配置されている。これにより、筐体2の内部は、下側に形成された前述の搬送室41と、上側に形成されたFFU設置室42とに分かれている。FFU設置室42内には、後述するFFU(ファンフィルタユニット)44が配置されている。支持板37の前後方向における中央部には、搬送室41とFFU設置室42とを連通させる開口37aが形成されている。なお、筐体2の隔壁33~36は、搬送室41用の下部壁とFFU設置室42用の上部壁とに分けられている(例えば、図5における前端部の隔壁33a、33b及び後端部の隔壁34a、34bを参照)。
【0037】
次に、筐体2の内部の構成について説明する。具体的には、筐体2内で窒素を循環させるための構成及びその周辺構成、並びに、搬送室41内に配置された機器等について説明する。
【0038】
筐体2内で窒素を循環させるための構成及びその周辺構成について、図3図5を用いて説明する。図5に示すように、筐体2の内部には、窒素を循環させるための循環路40が形成されている。循環路40は、搬送室41と、FFU設置室42と、帰還路43とによって構成されている。概要としては、循環路40においては、FFU設置室42から清浄な窒素が下方へ送り出され、搬送室41の下端部まで到達した後、帰還路43を通って
上昇し、FFU設置室42に戻るようになっている(図5の矢印参照)。以下、詳細に説明する。
【0039】
FFU設置室42には、支持板37上に配置されたFFU44と、FFU44上に配置されたケミカルフィルタ45とが設けられている。FFU44は、ファン44aとフィルタ44bとを有する。FFU44は、ファン44aによってFFU設置室42内の窒素を下方に送出しつつ、窒素に含まれるパーティクル(不図示)をフィルタ44bによって除去する。ケミカルフィルタ45は、例えば基板処理装置6から循環路40内に持ち込まれた活性ガス等を除去するためのものである。FFU44及びケミカルフィルタ45によって清浄化された窒素は、FFU設置室42から、支持板37に形成された開口37aを介して搬送室41に送り出される。搬送室41に送り出された窒素は、層流を形成し、下方へ流れる。
【0040】
帰還路43は、筐体2の前端部に配置された柱21~24(図5においては柱23)及び支持板37に形成されている。すなわち、柱21~24は中空になっており、窒素が通れる空間21a~24aがそれぞれ形成されている(図4参照)。つまり、空間21a~24aが、それぞれ帰還路43を構成している。帰還路43は、支持板37の前端部に形成された開口37bによってFFU設置室42と連通している(図5参照)。
【0041】
帰還路43について、図5を参照しつつ、より具体的に説明する。なお、図5には柱23が示されているが、他の柱21、22、24についても同様である。柱23の下端部には、搬送室41内の窒素を帰還路43(空間23a)に流入させやすくするための導入ダクト27が取り付けられている。導入ダクト27には開口27aが形成され、搬送室41の下端部に到達した窒素が帰還路43に流入可能となっている。導入ダクト27の上部には、下方へ向かうほど後方に広がる拡大部27bが形成されている。拡大部27bの下方には、ファン46が配置されている。ファン46は、不図示のモータによって駆動され、搬送室41の下端部に到達した窒素を帰還路43(図5においては空間23a)に吸い込んで上方に送り出し、窒素をFFU設置室42に戻す。FFU設置室42に戻された窒素は、FFU44やケミカルフィルタ45によって清浄化され、再び搬送室41へ送り出される。以上のようにして、窒素が循環路40内を循環可能になっている。
【0042】
また、図3に示すように、FFU設置室42の側部には、循環路40内に窒素を供給するための供給管47が接続されている。供給管47は、窒素の供給源111に接続されている。供給管47の途中部には、窒素の単位時間あたりの供給量を変更可能な供給バルブ112が設けられている。また、図5に示すように、搬送室41の前端部には、循環路40内の気体を排出するための排出管48が接続されている。排出管48は、外部空間につながっている。排出管48の途中部には、循環路40内の気体の単位時間あたりの排出量を変更可能な排出バルブ113が設けられている。供給バルブ112及び排出バルブ113は、制御装置5と電気的に接続されている(図2参照)。これにより、循環路40に窒素を適宜供給及び排出することが可能となっている。例えば、循環路40内の酸素濃度が上昇した場合に、供給源111から供給管47を介して循環路40に窒素を一時的に多く供給し、排出管48を介して窒素と共に酸素を排出することで、酸素濃度を下げることができる。
【0043】
次に、搬送室41内に配置された機器等について、図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4に示すように、搬送室41内には、上述した搬送ロボット3と、制御部収容箱51と、計測機器収容箱52と、アライナ54とが配置されている。搬送ロボット3の構造については後述する。制御部収容箱51は、例えば搬送ロボット3の基台部60(図3参照)の左方に設置され、アーム機構70(図3参照)と干渉しないように配置されている。制御部収容箱51には、上述したロボット制御部11が収容されている。計測機器収
容箱52は、例えば基台部60の右方に設置され、アーム機構70と干渉しないように配置されている。計測機器収容箱52には、上述した酸素濃度計55、圧力計56、湿度計57等の計測機器(図2参照)が収容可能となっている。
【0044】
アライナ54は、搬送ロボット3のアーム機構70(図3参照)に保持されているウェハWの保持位置が、目標保持位置からどれだけずれているか検出するためのものである。例えば、上述したOHT(不図示)によって搬送されるFOUP100(図1参照)の内部では、ウェハWが微妙に動くおそれがある。そこで、搬送ロボット3は、FOUP100から取り出した処理前のウェハWを、いったんアライナ54に載置する。アライナ54は、ウェハWが搬送ロボット3によって目標保持位置からどれだけずれた位置で保持されていたか計測し、計測結果をロボット制御部11に送信する。ロボット制御部11は、上記計測結果に基づいて、アーム機構70による保持位置を補正し、アーム機構70を制御して目標保持位置でウェハWを保持させ、基板処理装置6のロードロック室6aまで搬送させる。これにより、基板処理装置6によるウェハWの処理を正常に行うことができる。
【0045】
(搬送ロボットの構造)
次に、搬送ロボット3(本発明の自動装置)の構造について、図6を用いて説明する。図6(a)は、搬送ロボット3の内部構造を示す断面図である。図6(b)は、後述するロボットハンド74の平面図である。上述したように、搬送ロボット3は、基台部60と、アーム機構70(本発明の保持部)とを有する。
【0046】
図6(a)に示すように、基台部60には、ケース部材61と、支柱62と、駆動機構63とが設けられている。ケース部材61内から上方に突出した支柱62が、アーム機構70を支持している。支柱62は、駆動機構63によって上下駆動される。
【0047】
ケース部材61は、上下方向に延びた筒状の部材である。ケース部材61は、搬送室41内に固定されている。ケース部材61の上面には、支柱62を挿通させるための開口61aが形成されている。支柱62は、ケース部材61の内側から開口61aを通って上方に突出している柱状の部材である。支柱62と開口61aとの間には、隙間が空いている。支柱62の上端部には、アーム機構70が取り付けられている。
【0048】
駆動機構63は、一例として、モータ64と、ベルト65と、ボールネジ軸66と、スライダ67とを有する。モータ64の動力がベルト65を介してボールネジ軸66に伝えられ、上下方向に延びたボールネジ軸66が回転する。ボールネジ軸66が回転すると、ボールネジ軸66に螺合されたスライダ67が上下移動し、支柱62を上下移動させる。
【0049】
モータ64は、回転軸64aを有する一般的な交流モータである。モータ64は、ロボット制御部11(図2参照)によって制御される。回転軸64aの先端部にプーリ(不図示)が取り付けられ、ベルト65が巻き掛けられている。ボールネジ軸66は、上下方向に延びている。ボールネジ軸66の下端部にはプーリ(不図示)が取り付けられ、ベルト65が巻き掛けられている。ボールネジ軸66には雄ねじ(不図示)が形成されている。スライダ67は、支柱62を支持する部材である。スライダ67には、ボールネジ軸66の雄ねじと螺合する雌ネジ(不図示)が形成されている。スライダ67は、ボールネジ軸66の回転に伴い、上下方向に延びるガイド(不図示)に沿って上下移動可能となっている。以上の構成を有する駆動機構63によって、支柱62が上下駆動される。これにより、FOUP100内で上下方向における別々の位置に収容されたウェハWを、アーム機構70によって保持することが可能となっている。
【0050】
図6(a)に示すように、アーム機構70は、一例として、3つのアーム部材71~73と、2つのロボットハンド74とを有する。アーム機構70は、支柱62によって下方
から支持されており、アーム部材71~73が旋回することで、ウェハWを保持するロボットハンド74を水平移動させる。なお、ロボットハンド74は、1つだけ設けられていても良い。
【0051】
アーム部材71~73は、所定方向に延びる中空の部材である。つまり、アーム部材71、72、73には、それぞれ内部空間71a、72a、73aが形成されている。なお、内部空間71a、72a、73aは、隙間を介して連通している。アーム部材71、72、73は、この順番で下方から配置されている。アーム部材71の一端部は支柱62に旋回可能に連結され、他端部にはアーム部材72の一端部が旋回可能に連結されている。アーム部材72の他端部には、アーム部材73の一端部が旋回可能に連結されている。アーム部材73の他端部には、ロボットハンド74が旋回可能に連結されている。アーム部材71~73及びロボットハンド74は、それぞれ、不図示のモータによって水平方向に旋回駆動される。
【0052】
図6(b)に示すように、ロボットハンド74は、載置部材75と、突起76a~76dと、可動部77(本発明の切換部)とを有する。ロボットハンド74の延在方向(図6(b)参照)に延びた載置部材75上に、ウェハWが載置される。ウェハWは、載置部材75の先端側に配置された突起76a、76bと、載置部材75の基端側に配置された突起76c、76dと、可動部77の先端部に設けられた押え部78と、によって把持される。このようにして、ロボットハンド74によってウェハWが保持される。可動部77は、ロボットハンド74に内蔵されたシリンダ79によって、ロボットハンド74の延在方向に移動させられる。シリンダ79のロッド(不図示)は、上述した供給源111(図3参照)とは別の供給源114からの窒素の供給によって、延在方向に伸縮可能に構成されている。シリンダ79に窒素が供給されており、押え部78が先端側に位置している状態(図6(b)の実線参照)では、ウェハWが押え部78によって押さえられて保持されている(保持状態)。シリンダ79に窒素が供給されておらず、押え部78が基端側に位置している状態(図6(b)の二点鎖線参照)では、保持状態が解除されている(解除状態)。
【0053】
以上の構成を有する搬送ロボット3をEFEM1に適用するにあたり、以下のような課題が発生する。まず、基台部60において支柱62が駆動機構63によって上下駆動されることで、ケース部材61の内部にパーティクルが発生する。発生したパーティクルは、開口61aと支柱62との間の隙間を通り抜けて搬送室41に漏れ出てくるおそれがある。特に、図6(a)の矢印に示すように、駆動機構63によって支柱62が下方へ引っ込むように駆動された際に、ケース部材61内の窒素が上方へ押し出されることで、パーティクルを含んだ窒素が、上記隙間を介して搬送室41に撒き散らされるおそれがある。
【0054】
また、ロボットハンド74の可動部77がシリンダ79によって駆動される際に、搬送室41内にパーティクルが発生するおそれがある。このパーティクルを除去するために、排気が行われる構成になっていると、搬送室41内から窒素が排出されてしまうため、その分、供給源111から窒素を補充する必要が生じ、コストが増大するおそれがある。
【0055】
また、アーム部材71~73の内部空間71a~73aが搬送室41に対して完全に密閉されていない構成では、例えばメンテナンス時に搬送室41が大気解放された場合に、内部空間71a~73aも大気解放され、酸素や水分等が入り込むおそれがある。この場合、メンテナンス後の再稼働時に内部空間71a~73aの窒素置換に時間がかかると、生産効率が低下するおそれがある。そこで、EFEM1は、これらの問題を解決するために、以下のような構成を有する。
【0056】
(搬送ロボットにおける窒素の排出経路等)
搬送ロボット3における窒素の排出経路等について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、循環路40への窒素の供給経路及び排出経路を示す模式図である。図8は、搬送ロボット3における窒素の排出口を示す図である。
【0057】
まず、搬送ロボット3のケース部材61内から、パーティクルが含まれている窒素を排出するための構成について説明する。図7、8に示すように、ケース部材61の側部には、循環路40へ窒素を送り出すための送出口61bが形成されている。さらに、筐体2内には、ケース部材61内から循環路40へ窒素を送り出すための送出部81が設けられている。送出部81は、接続管82により形成された接続路82aと、ファン83(本発明のファン)と、モータ84(本発明のファン駆動装置)とを有する。接続路82aは、ケース部材61と帰還路43とを接続している。接続路82aは、ケース部材61の送出口61bから延び、窒素の流動方向における帰還路43の上流側端部(より具体的には、ファン46よりも上流側)に接続されている。言い換えると、ケース部材61と帰還路43は、搬送室41を介さずに直接接続されている。ファン83は、送出口61bの近傍に配置されており、モータ84により一定の回転速度で回転駆動される。
【0058】
以上のような構成により、送出口61bを介して、ケース部材61の内部の窒素が帰還路42に送り出される(図8の矢印201、202参照)。これにより、ケース部材61内で発生したパーティクルによって搬送室41が汚染されることが抑制される。また、ケース部材61内の窒素はそのまま筐体2の外部には排出されないので、ケース部材61から出た分の窒素を即座に補充する必要がなく、窒素の供給量の増大が抑制される。また、ファン83により生成される気流によって、ケース部材61内の窒素が確実に帰還路へ送られるので、ケース部材61内の窒素が開口61a(図6(a)参照)と支柱62(図6(a)参照)との間の隙間から漏れることが抑制される。
【0059】
次に、ロボットハンド74の可動部77がシリンダ79によって駆動される際に発生するパーティクルを除去するための構成について説明する。図7に示すように、EFEM1は、シリンダ79の動作によって発生するパーティクルを吸引除去する吸引部86を備える。吸引部86は、上述した供給源111、114(図6(b)参照)とは別の供給源115(本発明の、パーティクル除去用の不活性ガス供給源)から供給される窒素によってパーティクルを吸引除去する、エジェクタ87を有する。エジェクタ87は、ノズル87aと、ディフューザ87bと、吸引口87cとを有する。エジェクタ87は、ノズル87aからディフューザ87bに向けて噴出される窒素の流れによって、吸引口87cに負圧を生じさせる。ノズル87aは、供給源115から供給される窒素が流れる供給路88aと接続されている。ディフューザ87bは、窒素を循環路40に送り出すための送出路88bと接続されている。送出路88bの下流側端部は、接続路82aの途中部に接続されており、送出部81と合流している。吸引口87cは、シリンダ79の近傍から延びる吸引路88cと接続されている。
【0060】
以上の構成を有する吸引部86において、供給源115からエジェクタ87に窒素が供給されることで、シリンダ79の動作によって発生するパーティクルが吸引路88cを介して吸引される。さらに、供給された窒素は、吸引されたパーティクルと共に送出路88bを介して接続路82aに流れ込み、帰還路43に送り出される。つまり、窒素は、そのまま筐体2の外部空間に排出されるのではなく、いったん循環路40内に流れ込む。
【0061】
次に、搬送ロボット3のアーム部材71~73の内部空間71a~73a(図8参照)を窒素置換するための構成について説明する。図7及び図8に示すように、搬送ロボット3には、アーム部材71~73の内部を通る置換路91が設けられている。置換路91は、供給路91aと、内部通路91b(図8参照)とを有する。供給路91aは、上述した供給源111、114、115とは別の供給源116(本発明の、パージ用の不活性ガス
供給源)から延びており、供給源116から供給される窒素が流れる。供給路91aは、例えば可撓性を有するチューブ等によって形成されており、ケース部材61の内部及びアーム部材71~73の内部を通っている。供給路91aの先端部は、最も上方のアーム部材73の内部空間73a内に配置されている。つまり、窒素は、供給路91aを通って、まずアーム部材73の内部空間73a内に供給される。内部通路91bは、窒素の流動方向における供給路91aの下流側に配置された、内部空間71a~73aを含む窒素の通路となっている。
【0062】
内部通路91bの一例について、図8を参照しつつ説明する。アーム部材71~73には、窒素を流入させるための流入口71b~73bと、ガスを流出させるための流出口71c~73cとがそれぞれ形成されている。より具体的には、以下のとおりである。すなわち、アーム部材73の下部に形成された流入口73bの近傍に供給路91aの先端部が取り付けられている。アーム部材73の内部空間73aは、供給路91aと連通している。アーム部材72の内部空間72aは、流出口73c及び流入口72bを介して内部空間73aと連通している。アーム部材71の内部空間71aは、流出口72c及び流入口71bを介して、内部空間72aと連通している。内部空間71aとケース部材61の内部とが、流出口71cを介して連通している。これにより、供給源116から供給路91aを通って内部空間73aに供給された窒素は、内部空間73a、72a、71aの順に通ってケース部材61の内部に流れ込み、送出口61bを通って帰還路42へ送られる。
【0063】
次に、搬送ロボット3の内部の気体を置換する方法について説明する。まず、例えばEFEM1の立上げ時に、供給源116(図7参照。本発明の供給源)から供給路91aを介してアーム部材73の内部空間73aに窒素を送り、内部空間72a、71aを介してケース部材61の内部に窒素を供給する(図8参照)。さらに、送出口61bを介して、ケース部材61内の気体を帰還路43へ送り出す。これにより、ケース部材61内の気体が速やかに窒素に置換される。そして、搬送室41内の酸素濃度が所定値未満(例えば100ppm未満)となった後、供給源116からの窒素の供給を停止する。通常時は、ファン83を回転駆動することで、開口61a等を介して、搬送室41からケース部材61内に気体を取り込む。そして、ケース部材61内の気体を帰還路43へ送り出す。これにより、搬送室41内にパーティクルが放出されることが抑制される。
【0064】
以上のように、搬送ロボット3のケース部材61と帰還路43とを接続する接続路82aが設けられている。このため、仮にケース部材61の内部空間でパーティクルが発生しても、このパーティクルは接続路82aを介して帰還路43に排出されるため、搬送室41内にパーティクルが漏れることを抑制できる。さらに、帰還路43に排出されたパーティクルは、帰還路43の下流側に配置されたFFU44によって除去される。したがって、ケース部材61の内部空間で発生したパーティクルによって搬送室41が汚染されることを抑制できる。また、このような構成では、ケース部材61内の窒素がそのまま外部に排出されないので、ケース部材61内から排出された分の窒素を補充する必要がなく、窒素の供給量の増大を抑制できるため、コストの増大を抑制できる。したがって、筐体2内の窒素を循環させるタイプのEFEM1において、コストの増大を抑えつつ、搬送室41内にパーティクルが放出されることを抑制することができる。また、例えばEFEM1の立上げ時等に、供給源116から不活性ガスを積極的に供給することで、速やかにケース部材61内のガスを置換できる。また、搬送室41内の酸素濃度が所定値未満となった後に供給源116からの窒素の供給を停止することで、コストの増大を抑制できる。
【0065】
また、ファン83により生成される気流によって、ケース部材61内の窒素を確実に帰還路43へ送ることができるので、ケース部材61内の窒素が開口61aと支柱62との間の隙間から漏れることを抑制し、搬送室41内にパーティクルが放出されることをより確実に抑制することができる。
【0066】
また、エジェクタ87によってシリンダ79の近傍に発生するパーティクルが吸引され、供給源115から供給される窒素がパーティクルと共に帰還路43に排出されるため、当該窒素はそのまま循環する。さらに、パーティクルは、FFU44によって除去される。したがって、真空排気を行う構成と比べて、窒素の補充によるコストの増大を抑制することができる。
【0067】
また、アーム部材71~73に流入口71b~73bと流出口71c~73cとがそれぞれ形成されているため、これらが形成されていない場合と比べて、アーム部材71~73の内部空間71a~73aのガス置換にかかる時間を短縮することができ、生産効率の低下を抑制できる。
【0068】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0069】
(1)前記実施形態において、ファン83は、モータ84により一定の回転速度で回転駆動されるものとしたが、これには限られない。ケース部材61内においては、駆動機構63が支柱62を上下駆動しているときに、パーティクルが発生しやすいおそれがある。そこで、図9に示すように、搬送ロボット3aが、モータ84を制御するファン制御部12(本発明の制御部)を有していても良い。さらに、ファン制御部12は、駆動機構63が動作しているときに、駆動機構63が動作していないときと比べて、ファン83の回転速度を速くしても良い。これにより、駆動機構63が動作しているときにファン83の回転速度を速くして風速を速めることで、ケース部材61内の窒素を確実に帰還路43へ送ることができる。また、駆動機構63が動作していないときにはファン83の回転速度を遅くすることで、モータ84の消費電力を低減させることができる。なお、制御装置5(図1等参照)或いはロボット制御部11(図2等参照)が、ファン83の回転速度を制御するように構成されていても良い。
【0070】
(2)前記までの実施形態においては、搬送ロボット3のケース部材61と帰還路43とが接続路82aによって接続されている(すなわち、搬送ロボット3が本発明の自動装置に相当する)ものとしたが、これには限られない。例えば、上述したアライナ54に本発明を適用しても良い。この場合、アライナ54も、本発明の自動装置に相当する。以下、図10を用いて具体的に説明する。図10(a)は、アライナ54の構造を示す部分断面図である。図10(b)は、アライナ54及びその周辺の平面図である。
【0071】
アライナ54の構成について簡単に説明する。図10(a)に示すように、アライナ54は、ケース部材92と、保持部93と、支持部94と、モータ95(本発明の駆動機構)と、カメラ96とを有する。ケース部材92には、開口92aが形成されている。ケース部材92の外側に、ウェハWを保持する保持部93が配置されている。支持部94は、保持部93を下方から支持する。モータ95は、支持部94を回転駆動する。カメラ96は、保持部93に保持された状態で回転しているウェハWの外縁部を撮影する。これにより、アライナ54は、ウェハWが搬送ロボット3によって目標保持位置からどれだけずれた位置で保持されていたか計測し、計測結果をロボット制御部11に送信する。
【0072】
モータ95によって支持部94が回転駆動されることで、ケース部材92内にパーティクルが発生しうる。そこで、図10(a)に示すように、ケース部材92には窒素の排出口97が形成されている。排出口97は、接続管98によって形成された接続路98aが接続されている。図10(b)に示すように、接続路98aは、ケース部材92と帰還路43とを接続している。さらに、接続路98aにファン99が配置されていても良い。
【0073】
(3)前記までの実施形態においては、柱21~24の内部に形成された空間21a~24aが帰還路43であるものとしたが、これには限られない。すなわち、帰還路43は他の部材によって形成されていても良い。
【0074】
(4)前記までの実施形態においては、不活性ガスとして窒素を用いるものとしたが、これには限られない。例えば、不活性ガスとしてアルゴン等を用いても良い。
【符号の説明】
【0075】
1 EFEM
3 搬送ロボット(自動装置)
12 ファン制御部(制御部)
43 帰還路
44 FFU(ファンフィルタユニット)
54 アライナ(自動装置)
61 ケース部材
61a 開口
62 支柱(支持部)
63 駆動機構
70 アーム機構(保持部)
71、72、73 アーム部材
71a、72a、73a 内部空間
71b、72b、73b 流入口
71c、72c、73c 流出口
74 ロボットハンド
77 可動部(切換部)
82a 接続路
83 ファン
87 エジェクタ
92 ケース部材
93 保持部
94 支持部
95 モータ(駆動機構)
98a 接続路
W ウェハ(基板)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース部材と、
複数のアーム部材が連結されたアーム機構と、を有し、
前記アーム機構は、一端の前記アーム部材が前記ケース部材に対して旋回可能に支持され、他端のアーム部材に基板を保持するロボットハンドが接続されており、
前記アーム部材の内部空間に気体を流入させる供給路と、
前記アーム部材の内部空間と連通する前記ケース部材の内部空間に設けられ、前記ケース部材の内部空間または前記アーム部材の内部空間の気体を排気する送出口と、を備え、
前記アーム部材の内部空間は、前記ロボットハンドの接続部方向に向けて気体を流入する前記供給路と、前記供給路とは別に構成され、前記送出口へ向けて気体を排出する内部通路と、を有していることを特徴とする搬送ロボット。
【請求項2】
前記送出口から気体を排出するファンをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項3】
前記供給路は、前記アーム部材の長手方向であって、前記アーム部材の一端から他端へ向かって形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送ロボット。
【請求項4】
前記アーム部材が複数設けられ、
前記アーム部材は、前記アーム部材の内部空間または前記ケース部材の内部空間と連通する流出口で接続されていることを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の搬送ロボット。
【請求項5】
前記供給路は、前記搬送ロボット内に配置された可撓性の配管を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の搬送ロボット。