(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109763
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電子機器、感知システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0362 20130101AFI20240806BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20240806BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240806BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240806BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G06F3/0362 461
G06F3/03 400F
G06F3/041 534
G06F3/044 120
B60R16/02 630L
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024082998
(22)【出願日】2024-05-22
(62)【分割の表示】P 2020086838の分割
【原出願日】2020-05-18
(31)【優先権主張番号】16/546,005
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】シェペレフ、ペトル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子機器、感知システムおよび方法を提供する。
【解決手段】電子機器は入力装置301の上に配置されるように構成された回転インタフェース150を含み、回転インタフェースは導電性領域310および隣接するパターン領域を含む。回転装置は、導電性領域310に電気的に結合され入力装置の第1電極313から基準信号を受信するように構成された第1結合電極群361と、パターン領域320に電気的に結合され入力装置の第2電極323に電気的に結合されるように構成された第2結合電極群363とをさらに含み、第2電極323は、回転インタフェース150によって変更された結果信号を受信するように構成される。実施の形態において、第1結合電極群361と第2結合電極群363のそれぞれの電極の少なくとも一部は導電性領域310および隣接するパターン領域320の下にそれぞれ設けられており入力装置に当接するように構成される。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電性領域と第2パターン領域とを備える回転装置と、
複数の電極を備えるセンサアレイであって、前記複数の電極のうちの第1セットの電極が前記第1導電性領域に結合され、前記複数の電極のうちの第2セットの電極が前記第2パターン領域に結合され、前記回転装置が前記センサアレイの上方に設けられている、センサアレイと、
前記センサアレイに結合された処理システムと、
を備えるシステムであって、
前記処理システムが、
前記第1セットの電極のそれぞれを参照信号で駆動し、
前記第2セットの電極のそれぞれを感知信号で駆動して結果信号を取得し、
前記回転装置の回転位置を前記第2セットの電極からの結果信号に基づいて決定するように構成され、
前記第1及び第2セットの電極が、前記回転装置に対応する前記センサアレイの第1領域の一部であり、
前記センサアレイが、更に、前記第1領域とは別の、容量タッチ感知のためのタッチ感知信号で駆動されるように構成された、前記複数の電極のうちの第3セットの電極を備える第2領域を備え、
当該システムが車両の一部であり、前記処理システムが、前記車両の運転中に前記第1、第2及び第3セットの電極を無効化するように構成されている
システム。
【請求項2】
前記第1導電性領域と前記第2パターン領域とが、2つの同心のリングを構成している
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2パターン領域が、前記第1導電性領域に対応する内側リングを取り囲む外側リングに対応している
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記回転装置が、前記センサアレイの前記第1セット及び第2セットの電極の各電極を、それぞれ、前記第1導電性領域及び前記第2パターン領域に結合するように構成された複数の結合電極を更に備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2パターン領域が複数のトラックを備えており、
各トラックが、一又は複数の導電性部分と一又は複数の非導電性部分とを備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2パターン領域が環状の形状であり、前記複数のトラックの各トラックが、前記第2パターン領域内に同心のリングを形成している
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2パターン領域が、弧の長さが様々である複数の弧状の電極を備えている
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記回転装置が、非押下状態と押下状態の間で作動されるように構成され、
前記処理システムが、更に、前記参照信号に関連する結合の量に基づいて前記回転装置が前記非押下状態であるか前記押下状態であるかを決定するように構成されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
第1導電性領域と第2パターン領域とを備える回転装置と、
複数の電極を備えるセンサアレイであって、前記複数の電極のうちの第1セットの電極が前記回転装置の前記第1導電性領域に結合され、前記第1セットの電極のそれぞれが参照信号で駆動されるように構成され、前記複数の電極のうちの第2セットの電極が前記第2パターン領域に結合され、前記第2セットの電極のそれぞれが結果信号を取得するために感知信号で駆動されるように構成されたセンサアレイと、
を備える電子機器であって、
前記回転装置が前記センサアレイの上方に設けられ、
前記第1及び第2セットの電極が、前記回転装置に対応する前記センサアレイの第1領域の一部であり、
前記センサアレイが、更に、前記第1領域とは別の、容量タッチ感知のためのタッチ感知信号で駆動されるように構成された、前記複数の電極のうちの第3セットの電極を備える第2領域を備え、
当該電子機器が車両の一部であり、前記第1、第2及び第3セットの電極が前記車両の運転中に無効化されるように構成されている
電子機器。
【請求項10】
センサアレイの上方に設けられた回転装置を介して受信された回転入力を処理する方法であって、
電子機器によって、前記回転装置の第1導電性領域に結合されている、前記センサアレイの第1セットの電極の各電極を参照信号で駆動することと、
前記電子機器によって、前記回転装置の第2パターン領域に結合されている、前記センサアレイの第2セットの電極の各電極を感知信号で駆動することと、
前記電子機器によって、前記センサアレイの前記第2セットの電極の各電極の駆動に応じて、前記センサアレイの前記第2セットの電極を介して結果信号を取得することと、
前記取得した結果信号に基づいて前記回転装置の回転位置を決定することと、
を含む方法であって、
前記第1及び第2セットの電極が、前記回転装置に対応する前記センサアレイの第1領域の一部であり、
前記センサアレイが、更に、前記第1領域とは別の、容量タッチ感知のためのタッチ感知信号で駆動されるように構成された、前記複数の電極のうちの第3セットの電極を備える第2領域を備え、
前記電子機器が車両の一部であり、当該方法が、更に、前記車両の運転中に前記第1、第2及び第3セットの電極を無効化することを含む
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施の形態は概して電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近接センサ装置を含む入力装置は、様々な電子システムで使用され得る。近接センサ装置は、1つまたは複数の入力物体の存在、位置、力および/または動きを近接センサ装置が判定する、表面で分界されるセンシング領域を含んでもよい。近接センサ装置は、電子システムにインタフェースを設けるために使用され得る。例えば、近接センサ装置は、タッチパッドが一体化または外付けされたノートブックコンピュータまたはデスクトップコンピュータなどの、より大きいコンピュータシステム用の入力装置として使用され得る。近接センサ装置は、携帯電話と一体化されたタッチスクリーンなどの、より小さいコンピュータシステムにも頻繁に使用され得る。加えて、近接センサ装置は、自動車のマルチメディアエンタテイメントシステムの一部として実装され得る。このような場合、近接センサ装置にノブを接続すると便利である。
【発明の概要】
【0003】
一実施の形態において、電子機器は、入力装置の上に配置されるように構成された回転インタフェースを含み、回転インタフェースは、導電性領域および隣接するパターン領域を含む。回転インタフェースは、導電性領域に電気的に結合され入力装置の第1電極から基準信号を受信するように構成された第1結合電極群と、パターン領域に電気的に結合され入力装置の第2電極に電気的に接合されるように構成された第2結合電極群とをさらに含み、第2電極は、回転インタフェースによって変更された結果信号を受信するように構成されている。実施の形態において、第1結合電極群と第2結合電極群のそれぞれの電極の少なくとも一部は、導電性領域とパターン領域の下にそれぞれ設けられており、入力装置に当接するように構成されている。
【0004】
別の実施の形態において、感知システムは入力装置と回転装置を含む。入力装置は、ディスプレイパネル、処理回路、基準電極および感知電極を含む。回転装置は、ディスプレイパネルの上に配置されるように構成されており、導電性領域および隣接するパターン領域と、導電性領域に電気的に結合され基準電極から基準信号を受信するように構成されている第1結合電極群と、パターン領域と感知電極に電気的に結合されるように構成されている第2結合電極群と、を含み、感知電極は、回転装置によって変更された結果信号を受信するように構成されている。実施の形態において、第1結合電極群と第2結合電極群のそれぞれの電極の少なくとも一部は、導電性領域とパターン領域の下にそれぞれ設けられており、入力装置に当接するように構成されている。
【0005】
さらに別の実施の形態において、導電性領域とパターン領域を有する回転インタフェースを有する入力装置からの信号を処理する方法は、入力装置の、導電性領域に電気的に結合された第1電極に基準信号を供給することと、入力装置の、パターン電極にそれぞれ電気的に結合されている1つまたは複数の第2電極に、回転インタフェースによってそれぞれが変更された結果信号を受信することと、を含む。この方法は、結果信号に少なくとも部分的に基づいて、回転インタフェースの回転位置を判定することをさらに含む。このような実施の形態において、回転インタフェースは入力装置の表示画面の上に設けられている。
【0006】
この方法のいくつかの実施の形態において、回転インタフェースのパターン領域はN個のトラックを含み、結果信号を受信することは、入力装置のM個の第2電極のそれぞれでM個の結果信号をそれぞれ受信することを含み、パターン領域のそれぞれのトラックは、M個の第2電極の1つまたは複数に結合されており、ここでNとMはそれぞれ0より大きい整数である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の上述した特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本開示の、より具体的な説明は、そのいくつかを添付の図面に示した実施の形態を参照して得られる。ただし、添付の図面は本開示のいくつかの実施の形態だけを示しており、したがってその範囲を限定するものとはみなされず、本開示が他の同等に効果的な実施の形態を認め得ることに留意されたい。
【0008】
【
図1】
図1は、1つまたは複数の実施の形態による、回転ノブインタフェースを有する入力装置の一例を示す。
【0009】
【
図2】
図2は、利用者と入力装置の一例のそれぞれと、回転ノブインタフェースの一例との容量結合を示す。
【0010】
【
図3】
図3は、1つまたは複数の実施の形態による、入力装置の電極の結合の一例を示す、回転ノブインタフェースの一例の上面図を示す。
【0011】
【
図4A】
図4Aは、1つまたは複数の実施の形態による、
図3の回転ノブインタフェースのホーム状態における側面図の一例を示す。
【0012】
【
図4B】
図4Bは、1つまたは複数の実施の形態による、
図3の回転ノブインタフェースの押下状態における側面図の一例を示す。
【0013】
【
図5A】
図5Aは、1つまたは複数の実施の形態による、導電性リングとこのリングのパターンサブエリアを囲む延長結合電極を備える回転ノブインタフェースの側面図の一例を示す。
【0014】
【
図5B】
図5Bは、1つまたは複数の実施の形態による、ノブインタフェースを回転する前の、利用者の指を検知するために用いられるノブインタフェースの一例の周囲の所定のエリアにおける感知電極を示す。
【0015】
【
図6A】
図6Aは、1つまたは複数の実施の形態による、増分回転符号化方式の一例を備える、
図3の回転ノブインタフェースの上面図を示す。
【0016】
【
図6B】
図6Bは、1つまたは複数の実施の形態による、
図6Aの回転ノブインタフェースの感知電極で受信された信号の一例とその解釈を示す。
【0017】
【
図7A】
図7Aは、1つまたは複数の実施の形態による、ノブの絶対位置を判定する回転符号化方式の第1の例を備える、
図3の回転ノブインタフェースの上面図を示す。
【0018】
【
図7B】
図7Bは、ノブの絶対位置を判定する回転符号化方式の第2の例を備える、
図3の回転ノブインタフェースの上面図を示す。
【0019】
【
図8】
図8は、1つまたは複数の実施の形態による、回転ノブインタフェースを入力装置の一例に実装するための方法の一例を示す。
【0020】
【
図9】
図9は、1つまたは複数の実施の形態による、回転インタフェースを有する入力装置からの信号を処理するための方法の一例を示す。
【0021】
理解を簡単にするために、可能な場合は、図面で共通する同じ要素を示すために同じ符号を用いている。1つの実施の形態で開示された要素は、具体的な説明をすることなく、別の実施の形態で有益に使用され得ると考えられる。図面は、特に記載がない限り、縮尺のとおりに描かれていると考えられるべきではない。また、提示と説明を明確にするために、図面が簡略化され、詳細または構成要素が省略されている場合がある。図面と考察は、同様の要素を同様の名称で示す以下の原理の考察に役立つ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本開示の実施の形態による、電子機器100の一例のブロック図である。電子機器100は、電子システム(図示せず)に入力を供給するように、かつ/または、1つまたは複数の機器を更新するように、構成されていてもよい。本明細書で用いるように、「電子システム」(または「電子機器」)という用語は、情報を電子的に処理することのできるあらゆるシステムを幅広く指す。電子システムの非限定的ないくつかの例は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、電子書籍リーダおよびPDA(Personal Digital Assistant:個人情報端末)などの、全ての寸法および形状のパーソナルコンピュータを含む。電子システムの追加の例は、電子機器100と、分離されたジョイスティックまたはキースイッチとを含む物理キーボードなどの複合的入力装置を含む。電子システムのさらなる例は、データ入力装置(リモートコントローラとマウスを含む)とデータ出力装置(表示画面とプリンタを含む)などの周辺機器を含む。他の例は、リモート運用端末、情報キオスク端末、ビデオゲーム機(例えば、据え置き型ゲーム機、携帯型ゲーム機、など)を含む。他の例は、通信機器(スマートフォンなどの携帯電話を含む)と、メディア機器(テレビ、セットトップボックス、音楽再生機器、デジタルフォトフレームおよびデジタルカメラなどの、記録装置、編集装置および再生装置を含む)とを含む。また、電子システムは、入力装置のホストまたはスレーブであってもよい。他の実施の形態において、電子システムは自動車の一部であってもよく、電子機器100は自動車の1つまたは複数の感知装置を表す。一実施の形態において、自動車は複数の電子機器100を含んでもよく、ここでそれぞれの電子機器100は互いに異なる構成であってもよい。
【0023】
電子機器100は、電子システムの物理的な一部として実装されていてもよく、または、電子システムから物理的に個別であってもよい。必要に応じて、電子機器100は、バス、ネットワークおよびその他の有線または無線による相互接続のうちの1つまたは複数を用いる電子システムの一部と通信してもよい。これらの例は、I2C(Inter-Integrated Circuit:アイ・アイ・シー)、SPI(Serial Peripheral Interface:シリアル・ペリフェラル・インタフェース)、PS/2(Personal System/2:ピー・エス・ツー)、USB(Universal Serial Bus:ユニバーサル・シリアル・バス)、ブルートゥース(登録商標)、RF(Radio Frequency:高周波無線通信)およびIrDA(Infrared Data Association:アイアールディーエイ)を含む。
【0024】
1つまたは複数の実施の形態において、電子機器100は、利用者による入力を検知するために、センサ構成要素と感知技術のあらゆる組み合わせを使用してもよい。例えば、
図1に示すように、電子機器100は、物体の検知または1つもしくは複数の装置の更新のために駆動され得る1つまたは複数の電極125を備える。一実施の形態において、電極125は容量感知装置のセンサ電極である。このような実施の形態において、電極125は1つまたは複数の共通電圧電極を含む。他の実施の形態において、電極125は画像感知装置、レーダ感知装置および超音波感知装置の電極である。さらに、電極125はディスプレイ装置のディスプレイ電極であってもよい。電子機器100の電極125が共通電極からなり共通形状を有する実施の形態において、電子機器100はAMP(Advanced Matrix Pad:高度マトリクスパッド)技術を含むものと呼ばれ得る。ここで説明したいくつかの例には、AMP入力装置が含まれている。以降に詳述するように、電子機器100には電極125の一部または全てと相互作用し得るノブインタフェース150が設けられていてもよい。
【0025】
センサ電極125はいかなる形状、寸法および/または方向性を有していてもよい。例えば、センサ電極125は
図1に示すように2次元の配列に配置されていてもよい。センサ電極125のそれぞれは、形状が実質的に長方形であってもよい。別の実施の形態において、センサ電極125は他の形状を有していてもよい。さらに、センサ電極125のそれぞれは同一の形状および/または寸法を有していてもよい。他の実施の形態において、少なくとも1つのセンサ電極は他のセンサ電極とは異なる形状および/または寸法を有していてもよい。様々な実施の形態において、センサ電極125は菱形であってもよく、電界結合を強化するために噛み合っている櫛形を有していてもよく、かつ/または、付近の導電体への浮遊容量を低減するために内部に浮遊カットアウトを有していてもよい。
【0026】
実施の形態において、容量のいくつかの実装はセンサ電極と入力物体の間の容量結合の変化に基づく「自己容量」(または「絶対容量」)感知方法を使用している。様々な実施の形態において、センサ電極の近傍にある、例えば指またはスタイラス145のような入力物体は、センサ電極の近傍の電界を変化させ、こうして、測定された容量結合を変化させる。1つの実装において、絶対容量感知方法は基準電圧(例えば、システムのグランド電圧)に対してセンサ電極を変調し、センサ電極と入力物体の間の容量結合を検知することによって動作する。
【0027】
容量のいくつかの実装は、センサ電極間の容量結合の変化に基づく「相互容量」(または「トランスキャパシタンス」)感知方法を使用する。様々な実施の形態において、センサ電極の近傍の入力物体はセンサ電極間の電界を変化させ、こうして、測定された容量結合を変化させる。一実施の形態において、トランスキャパシタンス感知方法は、1つまたは複数の送信センサ電極(「送信電極」または「トランスミッタ」とも)と1つまたは複数の受信センサ電極(「受信電極」または「レシーバ」とも)の間の容量結合を検知することによって動作する。送信センサ電極は、送信信号を送信するために、基準電圧(例えば、システムのグランド電圧)に対して変調されてもよい。受信センサ電極は、結果信号の受信を容易にするために、基準電圧に対して実質的に一定に保持されていてもよく、または、送信センサ電極に対して変調されてもよい。結果信号は、1つまたは複数の送信信号、および/または、1つまたは複数の環境干渉源(例えば、他の電磁信号)に対応する効果を含んでいてもよい。センサ電極は、送信専用もしくは受信専用であってもよいし、または送受信両用として構成されていてもよい。
【0028】
容量感知装置は、入力装置の近傍にある入力物体、および/または、入力装置に接触した入力物体を検知するために使用されてもよい。さらに、容量感知装置は、指紋の特徴を感知するために使用されてもよい。さらに、
図1の例のように、1つまたは複数の実施の形態において、容量感知装置は、容量感知装置に電気的に結合された回転ノブインタフェースを備えていてもよく、回転ノブの回転位置を感知するために使用されてもよい。回転ノブインタフェースを含むいくつかの実施の形態において、回転ノブインタフェースはホーム位置と押下位置を有していてもよく、感知装置は、回転ノブがいつホーム位置にあり、いつ押下位置にあるかを、1つまたは複数の電極125の容量結合の変化に基づいて判定するために用いられてもよい。
【0029】
図1の参照を続けると、処理システム110は電子機器100の一部として示されている。処理システム110は、電子機器100のハードウェアを動作させるように構成されている。
図1が示すように、処理システム110はドライバモジュール140を備え、ドライバモジュール140は信号生成器を含んでいてもよい。1つまたは複数の実施の形態において、ドライバモジュール140は電極125を駆動するための感知信号を生成する。様々な実施の形態において、処理システム110は1つまたは複数のIC(Integrated Circuit:集積回路)および/または他の回路構成要素の、一部または全部を備える。
【0030】
いくつかの実施の形態において、処理システム110は、ファームウェアコード、ソフトウェアコードおよび/または同様のものなどの、電子的に読み出し可能な命令をさらに備える。いくつかの実施の形態において、処理システム110を構成する構成要素は、例えば電子機器100の感知要素の近くなどにおいて、一緒に配置されている。他の実施の形態において、処理システム110の構成要素は、電子機器100の感知要素に近い1つまたは複数の構成要素とその他の1つまたは複数の構成要素から、物理的に離間されている。例えば、電子機器100はデスクトップコンピュータに結合された周辺機器であってもよく、処理システム110は、このデスクトップコンピュータのCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)と、このCPUとは個別の1つまたは複数のIC(恐らくは関連するファームウェアを有する)とで実行されるように構成されたソフトウェアを備えていてもよい。別の例として、電子機器100は電話に物理的に統合されていてもよく、処理システム110はこの電話のメインプロセッサの一部である回路およびファームウェアを備えていてもよい。さらに、処理システム110は自動車に実装されていてもよく、処理システム110はこの自動車の1つまたは複数のECU(Electronical Control Unit:電子制御ユニット)の一部である回路およびファームウェアを備えていてもよい。いくつかの実施の形態において、処理システム110は電子機器100に実装される専用のものである。他の実施の形態において、処理システム110は表示画面を動作させる、触覚アクチュエータを駆動する、などのような他の機能も行う。
【0031】
処理システム110は、処理システム110の異なる機能を扱う1つまたは複数のモジュール(例えば、ドライバモジュール140または判定モジュール141)として実装されていてもよい。それぞれのモジュールは、処理システム110、ファームウェア、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせの一部である回路を備えていてもよい。様々な実施の形態において、モジュールの異なる組み合わせを使用してもよい。モジュールの一例は、センサ電極と表示画面のようなハードウェアを動作させるためのハードウェア動作モジュールと、センサ信号と位置情報のようなデータを処理するためのデータ処理モジュールと、情報を報告するための報告モジュールと、を含む。モジュールのさらなる一例は、入力を検知するために感知要素を動作させるように構成されたセンサ動作モジュールと、モード変更ジェスチャのようなジェスチャを認識するように構成された認識モジュールと、動作モードを変更するためのモード変更モジュールと、を含む。いくつかの実施の形態において、処理システム110は、チップとして、または、1つまたは複数のチップとして、実装されていてもよい。いくつかの実施の形態において、処理システム110は電子機器100の、コントローラまたはコントローラの一部を備えていてもよい。
【0032】
1つまたは複数の実施の形態において、ディスプレイドライバ(例えば、ドライバモジュール140)は、表示の更新と感知入力の両方を行うように構成されていてもよく、また、例えば、TDDI(Touch and Display Driver Integration:タッチおよび表示のドライバ統合)技術を含むとされていてもよい。このような実施の形態において、ドライバモジュール140はTDDIチップまたはTDDIチップの一部として実装されていてもよい。1つまたは複数の実施の形態において、電子機器はAMP機器であってもよく、また、TDDI技術を含んでいてもよい。
【0033】
1つまたは複数の実施の形態において、処理システム110は判定モジュール141をさらに含む。1つまたは複数の実施の形態において、判定モジュール141は変調されたそれぞれのセンサ電極と、入力物体145のような入力物体との間の容量結合における変化を、結果信号から判定するように構成されていてもよい。一実施の形態において、全てのセンサ電極125は、それぞれのセンサ電極から異なる結果信号が同時に受信されるように、または、2つ以上のセンサ電極から共通結果信号が同時に受信されるように、絶対容量感知のために同時に動作してもよい。別の実施の形態において、いくつかのセンサ電極125は、第1期間の間、絶対容量感知のために動作してもよく、他のセンサ電極125は第1期間に重ならない第2期間の間、絶対容量感知のために動作してもよい。
【0034】
いくつかの実施の形態において、処理システム110は、1つまたは複数のアクションを引き起こすことによって、利用者による入力(または利用者による入力の欠如)に直接応答する。アクションの一例は、動作モードの変更と、カーソル移動、選択、メニューナビゲーションおよび他の機能のようなGUI(Graphical User Interface:グラフィカル・ユーザ・インタフェース)のアクションと、を含む。いくつかの実施の形態において、処理システム110は入力(または入力の欠如)についての情報を、電子システムのいずれかの部分(例えば、もしそのような別個の中央演算処理システムが存在するなら、この電子システムの、処理システム110とは個別の中央演算処理システム)に提供する。いくつかの実施の形態において、電子システムのいずれかの部分は処理システム110から受け取った情報を処理して、モード変更アクションとGUIアクションを含むアクションの全ての範囲を容易にするなどの行動を、利用者による入力に応じて行う。さらに、いくつかの実施の形態において、処理システム110は1つまたは複数の目標物体と目標物体までの距離を認識するように構成されている。いくつかの実施の形態において、処理システム110はノブインタフェース150の1つまたは複数の回転変化、または、ノブインタフェース150の1つもしくは複数の状態変化、または両方を認識し、これらの変化を所望のアクションにマッピングするように構成されている。
【0035】
例えば、いくつかの実施の形態において、感知領域における入力(または入力の欠如)を表す電気信号(結果信号)を生成するために、処理システム110は電極125を動作させる。処理システム110は、電子システムに供給される情報を生成する際に、電気信号に対して任意の適切な量の処理を行ってもよい。例えば、処理システム110は、電極125から得られたアナログ電気信号をデジタル化してもよい。別の例として、処理システム110はフィルタリングまたは他の信号調整を行ってもよく、または、さらに別の例として、処理システム110は、情報が電気信号とベースラインの差を反映するように、ベースラインを差し引いてもよく、またはベースラインを占めてもよい。さらに別の例として、処理システム110は位置情報の判定、入力のコマンドとしての認識、手書き認識、指紋情報の認識、目標物体までの距離の認識、などを行ってもよい。
【0036】
ここで用いる「位置情報」は、絶対位置、相対位置、速度、加速度およびその他の種類の空間情報を広く包含する。「ゼロ次元」の位置情報の一例には、近い/遠い、または、接触/非接触、の情報が含まれる。「1次元」の位置情報の一例には、軸に沿った位置が含まれる。「2次元」の位置情報には、平面内の移動が含まれる。「3次元」の位置情報の一例には、空間内の瞬間的または平均的な速度が含まれる。さらなる例には空間情報の他の表現が含まれる。例えば経時的な位置、動作または瞬間速度を追跡する履歴データを含む、1つまたは複数の種類の位置情報に関する履歴データも、判定および/または格納することができる。
【0037】
本開示の多くの実施の形態が完全に機能する装置の文脈で説明されている一方で、本開示の機構は様々な形態のプログラム製品(例えば、ソフトウェア)として配布され得ることを理解されたい。例えば、本開示の機構は、電子プロセッサによって読み取り可能な情報媒体のソフトウェアプログラムとして実装と配布をされ得る(例えば、コンピュータで読み取り可能、かつ/または、記録可能/書き込み可能で、処理システム110によって読み取り可能な、非一時的情報媒体)。加えて、本開示の実施の形態は、配布を行うために使用される特定の種類の媒体に関わらず、等しく適用される。非一時的で電子的に読み取り可能な媒体の例には、様々なディスク、メモリースティック、メモリーカード、メモリーモジュールなどが含まれる。電子的に読み取り可能な媒体は、フラッシュ、光学、磁気、ホログラフィーまたは任意の他のストレージ技術に基づいていてもよい。
【0038】
1つまたは複数の実施の形態において、処理システム110はディスプレイ更新インターバル中と入力感知インターバル中に電極125を駆動するための電圧信号をそれぞれ生成するように構成されている。このような実施の形態において、ディスプレイ更新インターバル中に電極125を駆動するために生成された電圧信号は実質的に一定または固定の電圧であり、入力感知インターバル中に電極125を駆動するために生成された電圧信号は、電圧が周期的に変化する波形を有する感知信号と呼ばれてもよい。1つまたは複数の実施の形態において、ディスプレイ更新インターバル中に電極125を駆動するための電圧信号の値は、予め決定されていてもよい。例えば、電圧値は電子機器100および/または電極125のメーカーから提供されてもよく、電子機器100に固有のものであってもよい。
【0039】
一実施の形態において、ドライバモジュール140は感知信号を供給するように構成されている回路を含む。例えば、ドライバモジュール回路は発振器、1つまたは複数の電流コンベア、および/または、デジタル信号生成回路を含んでいてもよい。一実施の形態において、ドライバモジュール回路はクロック信号、発振器の出力および上述したパラメータに基づいて電圧信号を生成する。
【0040】
上述のとおり、1つまたは複数の実施の形態において、ドライバモジュール140は、ディスプレイ更新期間中と入力感知更新期間中のそれぞれで電極125を駆動するための信号を生成する。このような実施の形態において、入力感知更新期間は、2つのディスプレイ更新期間の間に設けられており、その長さはディスプレイ更新期間より短い。このような実施の形態において、表示フレームごとに複数のディスプレイ更新期間と入力感知更新期間がある。1つまたは複数の実施の形態において、連続する入力感知期間にわたって結果信号を取得することによって、回転ノブインタフェース150の回転は、これがホーム位置にあろうと押下されていようと、追跡され得る。
【0041】
上述のとおり、1つまたは複数の実施の形態において、電子機器100のディスプレイパネル120の上に、例えば回転ノブインタフェース150などの、追加の入力装置を設けてもよく、これはその近くまたは下にある電極125の一部または全てに電気的に結合されてもよい。1つまたは複数の実施の形態において、追加の装置は利用者が電子機器100に入力を供給するための、表示画面に指またはスタイラスで接触または近くでのホバリングをする以外の別の方法を提供し得る。
図1に示した例では、回転ノブインタフェース150がディスプレイパネル120の上に搭載されており、ディスプレイパネル120と部分的に(図示のとおり)または完全に(図示せず)重なっていてもよい。記載のとおり、1つまたは複数の実施の形態において、回転ノブインタフェース150は、2つの領域を有していてもよい。導電体(
図1で網掛けされた内側のリング)を含む第1の導電性領域151と、第2のパターン領域152(
図1の透明な外側のリング)である。
図1の回転ノブインタフェース150の例では導電性領域151が内側の領域であり外側のパターン領域152によって囲まれているが、これは多くの可能な例の一つであって、回転ノブインタフェースの導電性領域とパターン領域には代替的な構成と相対的な配置が可能であり、その全ては本開示の範囲内である。
【0042】
なお、パターン領域152に使用され得るパターンの例の詳細は、
図6A、
図7Aおよび
図7Bを参照して後述する。1つまたは複数の実施の形態において、利用者によって回転ノブインタフェースに与えられた回転は、その相対的または絶対的な意味において、電子機器100によって検知されてもよい。1つまたは複数の実施の形態において、回転ノブインタフェース150は、利用者によって下向きの押下もされ得て、したがって、ディスプレイパネル120の上向きの第1特定距離にあるホーム位置または「非押下」位置と、ディスプレイパネル120の上向きの第2特定距離にある「押下」位置の2つの位置を有し得て、「押下」位置は、利用者が付勢バネに抗してノブインタフェース150を押下することによって維持し、次いでディスプレイパネル120の上側表面に対してノブインタフェース150を保持するものである。いくつかの実施の形態において、第2特定距離はゼロであってもよく、したがって回転ノブインタフェース150はディスプレイパネル120に接触してもよい。1つまたは複数の実施の形態において、回転ノブインタフェース150の回転の方向と角度は、利用者が押下していても、または押下をやめていても、例えば判定モジュール141などの、処理システム110によって解釈され、様々な利用者入力動作、信号または命令にマッピングされていてもよい。
【0043】
1つまたは複数の実施の形態において、利用者は回転ノブインタフェースを様々な方法で回転してもよいことに留意されたい。実施の形態において、これらには、例えば、回転ノブインタフェースの外側筐体を掴んでこれを回転すること、回転ノブインタフェースの上部または回転ノブインタフェースの側面から突出するフランジを掴んでこれを回転すること、または、例えば、回転ノブインタフェースの上面の凹んだチャネルの中または上に1つまたは複数の指先を置くことが含まれる。
【0044】
1つまたは複数の実施の形態において、
図1の電子機器100は自動車に設けられていてもよい。いくつかの実施の形態において、利用者の電子機器への入力が回転ノブインタフェース150経由以外の他の全ての形態で無効化されている場合がある。したがって、このような実施の形態において、感知期間中に電極125は標準感知機能を行うための駆動をされない。結果として、もし指または他の物体145がその近傍の中に移動し、またはその近傍から外に出て、結果信号は取得されず、またはもし取得されたら、処理はされない。実施の形態において、これは安全対策として、自動車の運転手が運転中にディスプレイパネル120を触れようとすることを防ぐために、したがって、回転ノブインタフェース150経由でのみ電子機器100と相互作用するために、行われてもよい。いくつかの実施の形態において、電極125の標準感知機能を無効化することは、自動車の特定の活動の間に実施されてもよいが、他の活動の間には実施されなくてもよい。例えば、電極125の標準感知機能の無効化は、自動車が実際に動いている間には実施されてもよいが、その他の全ての時間において、いくつかの電極125は、例えば回転ノブインタフェースから取得した信号と干渉するほど回転ノブインタフェースに十分近くないものは、上述のとおり標準感知を行うように動作してもよい。
【0045】
よって、実施の形態において、全ての電極125の標準的な感知が無効化されているとき、場合によっては、自動車を実際に運転している最中であろうと、またはどのようなときであろうと、自動車の運転手が電子機器100への入力を行える唯一の方法は、回転ノブインタフェース150経由で、回転ノブインタフェース150の回転および/または押下の予め定義された組み合わせを用いることである。これらの動作は結果信号を変更し、結果信号は感知期間中に電子機器100によって受信され、電子機器100は次いで、例えば判定モジュール141を使用するなどして、これらを解釈する。結果信号は、それでドライバモジュール140が電極125を駆動する感知信号と同じ信号であり、回転ノブインタフェース150の容量結合によって変更された後のものであることに留意されたい。
【0046】
別の実施の形態において、例えば、いくつかの電極125だけが、特に回転ノブインタフェース150の近くまたは下にあるものが、標準容量感知を無効化されており、電子機器100の上の残りの電極125は標準容量感知の動作が可能であってもよい。このような別の実施の形態において、標準容量感知を無効化されている電極は、これらを標準容量感知に駆動することが回転ノブインタフェース150(その導電性領域151またはそのパターン領域152)に電気的に結合されている電極125から取得される結果信号に干渉し得るほど回転ノブインタフェース150に十分に近いものである。この特徴を図示するために、
図1では破線の境界155が示されている。境界155の中の電極125は「ブラックアウト・ゾーン」の中にあり、標準感知信号で駆動されない。むしろ、詳細は後述するが、ブラックアウト・ゾーンの中の、回転ノブインタフェースに電気的に結合されている任意の電極は、後述するように回転ノブインタフェースの回転と押下を検知するように駆動される。
【0047】
一般的に、ブラックアウト・ゾーンの中において、電極125の第1群は回転ノブインタフェース150の導電性領域151に結合されており、電極125の第2群は回転ノブインタフェース150のパターン領域152に結合されている。実施の形態において、第1群は基準信号で駆動され、第2群は回転ノブインタフェース150の当時の回転構成によって変更された結果信号を取得するために感知信号で駆動される。したがって、これらの別の実施の形態のそれぞれにおいて、ブラックアウト・ゾーンの境界155の中にある全ての電極は、常時、標準容量感知が無効化されていてもよい。
【0048】
電極について、「無効化」という表現は、例えば、ある電極を全く駆動しないこと、これをガード信号で駆動すること、またはこれを一定の信号で駆動すること、を含んでもよいことに留意されたい。
【0049】
図1の参照を続けると、電子機器100の、回転ノブインタフェース150に電気的に結合されている電極については、上述のとおり、入力感知期間中は基準信号がドライバモジュール140から電極125の第1群に供給され、感知信号が電極125の第2群に供給される。1つまたは複数の実施の形態において、基準信号は、処理システム110から供給される設定可能な直流出力であってもよい。いくつかの実施の形態において、この直流信号は電子機器100のグランド信号であってもよい。1つまたは複数の実施の形態において、結果信号は電極125の第2群から取得され、この結果信号は回転ノブインタフェース150の構成によって変更された感知信号である。結果信号は、次いで、回転ノブインタフェース150の回転を判定するために、または、例えばノブインタフェースが下向きに押下されて電子機器100の表面に接触したかどうかを判定するために、判定モジュール141によって解釈される。1つまたは複数の実施の形態において、この回転は、例えば以前の位置からの差分角度の変化のような相対的な意味で判定されてもよいし、または、例えばホーム位置からの正または負の角度変化のような絶対的な意味で判定されてもよい。
【0050】
次に説明する
図2は、さらなる電気的結合が無くノブインタフェースが孤立しているときの、ノブインタフェース150の一例と周囲の物体の間に関係する容量を示す。
図2を参照すると、ディスプレイパネル120の一例の表面の上に設けられ利用者の手142によって回転されているノブインタフェース150が概略的に示されている。ノブインタフェース150は筐体153を有しており、この筐体153は、例えばプラスチックなどの絶縁物でできていてもよい。利用者は筐体153を持つことまたは触ることによって、場合によってはこれを回転または押下することによって、ノブインタフェース150と物理的に相互作用する。上述のとおり、ノブインタフェース150の中には、導電性領域151および隣接するパターン領域152がある。
【0051】
図2の参照を続けると、2つの可変容量160、161が示されている。第1の可変容量160は、回転ノブインタフェースの導電性領域151とディスプレイパネル120の間に存在し、第2の可変容量161は回転ノブインタフェースの導電性領域151と利用者の手142の間に存在する。さらなる電気的接続が無ければ、導電性領域151は接地されておらず、したがって浮遊していることに留意されたい。その結果、可変容量160は不確定である。さらに、導電性領域151と利用者の手142の間の容量結合161は、回転ノブインタフェース150の筐体153を利用者がどのように何で握るかに依存する。したがって、可変容量161は、利用者が素手であるか手袋をしているか、彼または彼女が何本の指で筐体153を保持するか、そして筐体153の誘電特性に応じて変化する。
【0052】
これらの問題に取り組むために、1つまたは複数の実施の形態において、導電性領域151は、電子機器の一例の、基準信号で駆動された1つまたは複数の第1電極に、電気的に結合されていてもよい。さらに、パターン領域152は、電子機器の、結果信号を取得する1つまたは複数の第2電極に、電気的に結合されていてもよい。結果信号は、回転ノブインタフェースの回転位置と押下状態によって変更された感知信号である。1つまたは複数の実施の形態において、電子機器は
図1の電子機器100であってもよい。これらの電極結合の実施の例は、
図3、
図6Aおよび
図7Aをそれぞれ参照して後述する。
【0053】
図3は、1つまたは複数の実施の形態による、電子機器301の2つの電極群に結合された回転ノブインタフェース150を有する電子機器301の一例の上面図を示す。電子機器301は、例えば、
図1の電子機器100であってもよいし、またはこれと同等であってもよい。回転ノブインタフェース150は、
図1と
図2のそれぞれに示したものとそれぞれ同等であってもよい。
図3の例において、回転ノブインタフェース150は、入力装置301に、その表面上で「ホーム」位置となるように貼り付けられており、ここでその表面との機械的な摩擦または抵抗が無く自由に回転可能であってもよい。1つまたは複数の実施の形態において、回転ノブインタフェース150は、例えばバネまたは他の付勢装置によって、このホーム位置に付勢されている。1つまたは複数の実施の形態において、回転ノブインタフェース150は、利用者がこれを押下することによって移行させることのできる「押下」位置をさらに有している。さらに、これはTDDI技術を含んでいてもよい。
図3の例では、電子機器301はAMP装置であってもよい。電子機器301の電極のいくつかは回転ノブインタフェース150のそれぞれの部分に結合しており、これらの電極は
図3に示されている。したがって、電極313は、回転ノブインタフェース150にある内側の導電性領域310の下に設けられており、これに電気的に結合されており、2つの電極323は、回転ノブインタフェース150の外側のパターン領域320の下に設けられており、これに電気的に結合されている。1つまたは複数の実施の形態において、電子機器301の感知期間中に、電極313は基準信号で駆動されてもよく、2つの電極323は感知信号で駆動されてもよく、結果信号はこれら2つの電極で受信されてもよい。1つまたは複数の実施の形態において、これらの信号は、図示のとおり、上述した
図1の処理システム110と同じまたは同等の方法で動作し得る処理回路360によって供給されてもよい。いくつかの例において、処理回路360は、TDDI駆動回路を含んでいてもよい。さらに、1つまたは複数の実施の形態において、電子機器301の電極313、323は、回転ノブインタフェース150に設けられている結合電極を介して、回転ノブインタフェース150の2つの領域にそれぞれ電気的に結合されている。
図3では、上面図を示しているため、結合電極は示されていない。しかし、回転ノブインタフェース150の結合電極は、
図4A、
図4Bおよび
図5に示され、以降に説明される。
【0054】
図3の参照を続けると、1つまたは複数の実施の形態において、電子機器301の電極313に供給される基準信号は直流レベル信号であってもよく、この電極は回転ノブインタフェース150の内側の導電性領域310に電気的に結合されている。いくつかの実施の形態において、基準信号は電子機器301のグランド信号であってもよい。例えば、電子機器301は任意に選択したAFE(Analog Front End:アナログ・フロント・エンド)からグランド信号を出力してもよく、電極313に供給される基準信号として用いられるのはこのグランド信号であってもよい。この基準信号が電子機器301の感知波形とは異なることに留意されたい。
【0055】
1つまたは複数の実施の形態において、電子機器301の、回転ノブインタフェース150のパターン領域320に電気的に結合されている電極323に供給された感知信号は、任意の感知信号であってもよく、この感知信号は処理回路360によって出力されていてもよい。実施の形態において、回転ノブインタフェース150に設けられた結合電極は、ノブが操作される間、電子機器301に対する相対的な位置が決して変わらないことに留意されたい。したがって、回転ノブだけが動く。
【0056】
1つまたは複数の実施の形態において、処理回路360は基準信号を電極313に駆動してもよい。さらに、処理回路360は、ガード電圧、例えばVGUARDと、直流レベル電圧との間で選択してもよい。このような実施の形態において、直流電圧は、上述した回転ノブインタフェースの通常感知で使用されてもよい。しかし、ファームウェアのアルゴリズムでベースライン処理する間、処理回路360は基準電極313にガード電圧を印加してもよい。1つまたは複数の実施の形態において、このことは回転ノブインタフェースからの応答のベースラインへの取り込みを低減する。さらに、1つまたは複数の実施の形態において、基準電極の駆動をVGUARD信号と直流信号の間で切り替えることは、例えば、回転ノブインタフェースの取付けにおける機械部品間のばらつきに対する細かい校正のための、または、電子機器301の表示画面(例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶画面))におけるノブの存在と位置の自動検出のための、回転ノブインタフェースの結合電極の正確な位置の測定を可能とする。
【0057】
次に説明する
図4Aと
図4Bは、様々な実施の形態による、回転ノブインタフェースの一例の結合電極と、回転ノブインタフェースの押下機能とを両方とも示している。
【0058】
図4Aを参照すると、
図3の電子機器301と回転ノブインタフェース150が、ここでは側面図で示されている。
図4Aの側面図は、関連している電子機器301と回転ノブインタフェース150の両方の異なる層を見ることを可能とする。したがって、図の上部には、網掛けされている内側の導電性領域310と、白く示されている外側のパターン領域320とがある。回転ノブインタフェース150のこれら2つの領域の下には3つの結合電極361、363があり、ただしこれらは回転ノブインタフェース150の一部である。結合電極361は、内側の導電性領域310と、電子機器301の第1の機器電極313とに結合しており、結合電極363は、外側のパターン領域320と、電子機器301の第2の機器電極323とに結合している。機器電極313、323のそれぞれは、例えば、
図1に示した電極125の、
図1の境界155の中にある1つであってもよい。回転ノブインタフェース150の結合電極361は、その下側表面に設けられており、したがって電子機器301の表示画面またはレンズの上にある。いくつかの実施の形態において、結合電極361、363は、内側の導電性領域310と外側のパターン領域320で平行板容量を形成するような形状をそれぞれ有していてもよく、または、例えば、これらの結合電極はフリンジ結合を介してこれらの構造体に結合されていてもよい。または、図示したように、第1と第2の機器電極313、323は、電子機器301のレンズと他の層の下に設けられている。
【0059】
図4Aは回転ノブインタフェース150の「ホーム」位置を示していることに留意されたい。したがって、結合電極361、363は、電子機器301の表面に当接しており、回転ノブインタフェース150の内側の導電性領域310と外側のパターン領域320から離間されており、そして、図示のとおり、それぞれの結合電極とそれぞれが電気的に結合されているリングの間に容量がある。内側の導電性領域310と結合電極361の間で、もしこの容量が大幅に増加したら、またはもし電気的短絡があったら、第1の機器電極313に供給された基準信号の結合が増加する。これが、回転ノブインタフェース150のホーム位置を示す
図4Aの構成から、回転ノブインタフェース150の「押下」位置を示す
図4Bの構成への、変化の検出の基礎である。この変化の検出を、以降、「押下機能」と呼ぶ。これを次に説明する。
【0060】
図4Bは、1つまたは複数の実施の形態による、
図4Aの側面図の、ただし回転ノブインタフェース150の一例が押下状態にある、一例を示す。したがって、1つまたは複数の実施の形態において、押下機能は、ノブインタフェース150を結合電極361、363に電気的に短絡し、こうして機器電極313に供給された基準信号と結合電極361の結合(または電気的短絡)を増加することによって、実現され得る。1つまたは複数の実施の形態において、この基準信号における増加は、回転ノブインタフェース150の押下状態を示すものとして判定されてもよく、また解釈されてもよい。例えば、基準信号の振幅における増加は、電子機器301の容量を感知するAFEによって測定され得る。このような場合、測定された信号の増加は、AFEにおいて、
図4Bに示した短絡の場合における電流の増加として現れる。
【0061】
1つまたは複数の実施の形態において、回転ノブインタフェースがその押下状態にある間でも、ノブインタフェースの回転は、利用者によって行われ、電子機器301によって複合化されてもよい。
【0062】
図5Aは、
図3の回転ノブインタフェース150の一例の側断面図を示す。図示された断面は、回転ノブインタフェースを、その中心を通って切断したものであり、したがって回転ノブインタフェース150の一例の中心に穴315が見えており、この穴315は断面の両側を内側の導電性領域310によって囲まれている。内側の導電性領域310の外側は、図示のとおり、外側のパターン領域320に隣接している。他の様々な実施の形態において、
図5Aの左側には2つの結合電極が示されており、そのそれぞれは包み込む形状を有している。これらの包み込み結合電極は、例えば、
図4Aの結合電極361、363の代わりに使用される。したがって、結合電極351は内側の導電性領域310と結合し、結合電極350は外側のパターン領域320と結合する。1つまたは複数の実施の形態において、図示された包み込み電極350、351は、
図5Aに示したとおり、引き込まれた容量によって、回転ノブインタフェース150のそれぞれの領域との結合と、電子機器301の電極との結合とを増加している。
【0063】
図3~
図5を参照すると、実施の形態において、上述のとおり、電子機器301の、基準電圧、例えばグランド電圧が印加されている機器電極に内側の導電性領域310が結合されているので、
図2を参照して上述したように、回転ノブインタフェース150は利用者の手袋または手袋をしていない手との容量結合による影響を本質的に受けないことに留意されたい。
【0064】
自動車内のいくつかの実施の形態において、接続されている回転ノブインタフェースのノブが利用者によって掴まれているかどうかを報告することは、たとえ利用者によってノブが回転または押下される前であっても、電子機器にとって有用である。したがって、1つまたは複数の実施の形態において、ノブの周囲の予め定義された領域の電極を感知することは、利用者の、手袋をしているまたはしていない、感知電極の上でホバリングする指を検知するために使用されてもよい。このことは、利用者がノブを掴んだことを表すものとして使用されてもよい。実施の形態において、予め定義された領域は、例えば、
図5Bに示したようであってもよい。
【0065】
図5Bを参照すると、電子機器100の一例のディスプレイパネル120の上に設けられた回転ノブインタフェース150に利用者の2本の指145が近づこうとしている。電子機器100は、
図1に示したものと同じ機器であってもよく、例えば、ここでは回転ノブインタフェース150をその近くから囲む電極126を示している。
図5Bの電極126は、
図1の電極125の部分的な一群である。1つまたは複数の実施の形態において、電極126は、回転ノブインタフェース150を掴んでいる、または掴もうとしていると推定される、利用者の指145を感知するために使用されてもよい。1つまたは複数の実施の形態において、
図5Bの電極126を駆動するために、
図4Aに示した、回転ノブインタフェース150の外側のパターン領域320に電気的に結合されている第2の機器電極323を駆動するために使用されたものと同じ感知信号が使用されてもよい。
図4Aの電極323における結果信号は、任意の回転を判定するために取得され使用され、
図5Bの電極126における結果信号は、指の存在または接近を判定するために取得され使用される。
【0066】
上述のとおり、1つまたは複数の実施の形態において、ノブインタフェースは、ノブの絶対位置の回転符号化または位置の増分符号化を提供するためのパターン領域を含む。
図6A、
図7Aおよび
図7Bは回転符号化方式の3つの例を示し、これらは、このような実施の形態において、ノブインタフェースのパターン領域の一例をパターン化するために使用されてもよい。
【0067】
図6Aは、
図3の回転ノブインタフェース150の一例の内側の導電性領域310と外側のパターン領域320の上面図を示し、ここで外側のパターン領域320は1つまたは複数の実施の形態による回転符号化方式の第1の例を備えている。
図6Aに示した例において、一実施の形態では、電子機器301はAMP機器であってもよい。他の実施の形態において、他の様々な電子機器が使用されてもよい。
図6Aを参照すると、外側のパターン領域320に囲まれた内側の導電性領域310が示されている。外側のパターン領域320は、例えば、2つの同心円トラック321、322に分かれており、これらのそれぞれは、黒く示した導電性部分と、白く示した非導電性部分または空隙とを交互に有している。内側の導電性領域310は、電子機器301の、上述したように基準信号を供給される第1の機器電極313の一例に、電気的に結合されている。上述のように、ただし
図6Aが上面図であるため
図6Aには示されていないが、第1の機器電極313は回転ノブインタフェースの結合電極経由で内側の導電性領域310に電気的に結合されている。同様に、外側のパターン領域320のそれぞれのトラックは、電子機器301の第2の機器電極の一例に電気的に結合されている。実施の形態において、第2の機器電極は、上述のように、感知信号で駆動される。したがって、例えば、内側のトラック322は(図示しない結合電極を介して)第2の機器電極323に結合されており、外側のトラック321は(図示しない結合電極を介して)第2の機器電極324に結合されている。図示した例では、第2の機器電極323、324は電子機器301のセンサ配列の同じ列にある。第2の機器電極323、324は、上述のように、感知信号でそれぞれ駆動され、そこから結果信号が取得される。したがって、第2の機器電極を、以降、「感知電極」と呼ぶ場合がある。同様に、第1の機器電極を、以降、「基準電極」と呼ぶ場合がある。
【0068】
図6Aの参照を続けると、利用者が回転ノブインタフェースを回転するとき、2つの同心円トラック321、322は回転し、電子機器301のセンサ配列において固定位置にある2つの第2の機器電極は固定されたままである。したがって、それぞれのトラックの黒い部分が第2の機器電極(感知電極)323、324に結合されているときにトラックが自転すると、導電性領域310と感知電極323、324の間の容量結合は最大である。同様に、それぞれのトラックの白い部分が感知電極323、324に結合されているとき、内側の導電性領域310と感知電極323、324の間の容量結合は最小である。第2の機器電極323、324のそれぞれにおける結果信号を分析することによって、以前の感知期間に対する回転ノブインタフェースの向きと相対的回転が判定され得る。
【0069】
図6Bは、1つまたは複数の実施の形態における、
図6Aの感知電極323、324で受信され得る、パターン領域が
図6Aで示したようにパターン化されている回転ノブインタフェースによって変更された結果信号の一例と、これらの結果信号の解釈とを示す。
図6Bに示した信号がバイナリであることに留意されたい。実施の形態において、電極からのAFE感知からの連続的な出力からの変換は、ソフトウェア上の閾値によって、または、例えば、アナログハードウェアで行う加算工程として提供され得る。このような実施の形態において、閾値で処理した後、バイナリ信号を表に応じてノブの回転方向(例えば、
図6Bの表では左または右を+1または-1で示す)に変換してもよい。
【0070】
図7Aは、1つまたは複数の実施の形態による、
図3の回転ノブインタフェースの一例の内側の導電性領域310と外側のパターン領域320の上面図を示しており、ここで外側のパターン領域320はノブの絶対位置を判定する回転符号化方式の第2の例を備えている。
図7Aを参照して、外側のパターン領域320はシーケンシャル・グレー・コードで符号化されている。これは、外側のパターン領域320の外側リングに設けられた、弧の長さが様々な弧状の電極341、342、343を設けることによって、実装されている。この例では、外側のパターン領域320の外側リングは、外側のパターン領域320の外側リングの下の電子機器301にそれぞれ設けられた5つの電極720、721、722、723、724のように、感知電極群にも結合されている。5つの感知電極720、721、722、723、724は、ノブインタフェース150が回転すると3つの弧状電極341、342、343のそれぞれが、いくつかまたは1つの感知電極に結合するように、またはどの感知電極とも結合しないように、外側リングの下の5つの等間隔な位置に配置されている。
【0071】
加えて、内側の導電性領域310は、基準電極、つまり「第1の機器電極」713に結合されている。実施の形態において、第1の機器電極713は基準信号を供給され、第2の機器(感知)電極720~724は、上述のように、処理回路360によって感知信号で駆動される。利用者が回転ノブインタフェース150の一例のノブを回転すると、これら2つの領域は回転し、電子機器301のセンサ配列における固定位置にある感知電極720~724は固定されたままである。したがって、弧状電極がこれらの上を通過すると、内側の導電性領域310と、感知電極720~724のそれぞれとの間の容量結合が変化する。感知電極720~724から取得される結果信号を分析することによって、ノブインタフェース150の絶対位置は判定され得る。
【0072】
図7Bは、
図3の回転ノブインタフェース150の外側のパターン領域320に設けられ得るパターンの第3の例を示す。
図7Bに示すように、1つまたは複数の実施の形態において、外側のパターン領域320は、ノブの絶対位置を判定する回転符号化方式を備えている。
図7Bを参照すると、回転ノブインタフェース150の、外側のパターン領域320によって囲まれている内側の導電性領域310が示されている。内側の導電性領域310は、上述のとおり、回転ノブインタフェース150の結合電極(図示せず)を介して、電子機器301から基準電圧を供給される第1の機器電極713に結合されている。外側のパターン領域320は、3ビット・グレー・コードで符号化されており、したがって、図示のとおり、導電体と空隙が交互するパターンをそれぞれが有する3つの同心円トラックに分割されている。さらに、それぞれのトラックは、後述するように、感知電極に結合されている。最も内側のトラックである感知トラック701は、感知電極721に結合されている。中央のトラックである感知トラック702は、感知電極722に結合されており、最も外側のトラックである感知トラック703は、感知電極723に結合されている。感知電極721~723は、ノブインタフェースが回転すると3つの感知トラック701、702、703がそれぞれの感知電極の上を通過し得るように、図示のとおりパターン領域320の下の電子機器301にそれぞれ設けられている。
【0073】
上述のとおり、実施の形態において、基準電極713は基準信号を供給され、感知電極721~723は処理回路によって感知信号で駆動される。利用者が回転ノブインタフェース150を回転すると、外側のパターン領域320は回転し、電子機器301のセンサ配列の固定位置にある感知電極721~723は固定されたままである。したがって、3つの感知トラック701~703の導電体部分がそれらの上をそれぞれ通過すると、内側の導電性領域310と感知電極721~723のそれぞれの間の容量結合がそれぞれ変化する。感知電極721~723のそれぞれで取得された結果信号を分析することによって、回転ノブインタフェース150の絶対回転位置が判定され得る。
【0074】
図8は、1つまたは複数の実施の形態における、回転ノブインタフェースを電子機器の一例に実装し、この回転ノブインタフェースの位置および/または状態を判定するための方法800を示す、処理のフローチャートである。例えば、電子デバイスは、上述のとおり、例えばTDDI技術を含むものなどの、ディスプレイと感知装置の組み合わせであってもよい。
【0075】
方法800は、ブロック810からブロック850までを含む。別の実施の形態において、方法800は、より多くのブロックまたはより少ないブロックを有していてもよい。方法800はブロック810で開始し、ここで、導電性領域およびパターン領域と、それぞれの領域にそれぞれ結合された1つまたは複数の結合電極とを有する回転ノブインタフェースが電子機器に準備される。例えば、回転ノブインタフェースは、上述の、
図1から
図7Bまでに示したもののいずれかであってもよい。
【0076】
方法800はブロック810からブロック820に進み、ここで回転ノブインタフェースの導電性領域は、導電性領域の結合電極経由で、電子機器の第1電極群に電気的に結合される。電子機器の第1電極群は、基準信号を受信するように構成されている。例えば、第1電極群は
図3または
図6Aの電極313または
図7Aおよび
図7Bの第1の機器電極713であってもよい。または、例えば、第1電極の群は複数の電極を含んでもよい。基準信号については、例えば、
図3の電子機器301の処理回路360などのような、電子機器の処理回路によって生成されるグランド信号であってもよい。別の例として、基準信号は、任意に選択されたアナログ・フロント・エンドからのTDDI機器によって出力されたグランド信号であってもよい。
【0077】
方法800はブロック820からブロック830に進み、ここで回転ノブインタフェースのパターン領域は、パターン領域の結合電極経由で、電子機器の第2電極群に電気的に結合される。電子機器の第2電極群は、電子機器の、回転ノブインタフェースによって変更された結果信号を受信するように構成されている。例えば、第2電極群は、
図3の電極323もしくは
図6Aの電極323と電極324、または、例えば、
図7Aの電極720から電極724まで、または
図7Bの電極721から電極723までであってもよい。
【0078】
方法800はブロック830からブロック840に進み、ここで第1電極群には基準信号としての直流電圧が供給され、第2電極群のそれぞれは電子機器の、回転ノブインタフェースによって変更された結果信号を受信する。上述したように、結果信号は、測定時に回転ノブインタフェースの回転位置によって変更されたこと以外は、第2電極群のそれぞれを駆動するために用いられた信号と同じ信号である。
【0079】
方法800はブロック840からブロック850に進み、ここで回転ノブインタフェースの回転位置は、結果信号に少なくとも部分的に基づいて判定される。方法800はブロック850で終了する。
【0080】
図9は、様々な実施の形態において、回転インタフェースを有する電子機器からの信号を処理するための方法900を示す処理のフローチャートであり、この回転インタフェースは導電性領域とパターン領域を有し、この回転インタフェースは電子機器の表示画面の上に設けられている。例えば、電子機器は上述のようにTDDI技術を含んでいてもよく、回転インタフェースは上述の
図1から
図7Bまでに示した回転ノブのいずれかであってもよい。
【0081】
方法900は、ブロック910からブロック930までと、任意にブロック940と、を含む。別の実施の形態において、方法900はより多くのブロックまたはより少ないブロックを有していてもよい。方法900はブロック910で開始し、ここで基準信号は電子機器の、回転インタフェースの導電性領域に電気的に結合された第1電極に供給される。基準信号は、例えば電子機器のグランド信号であってもよく、または、例えば電子機器の処理回路によって生成された別の信号であってもよい。
【0082】
方法900はブロック910からブロック920に進み、ここで結果信号は、電子機器の、それぞれがパターン領域に電気的に結合されている1つまたは複数の第2電極のそれぞれで受信され、それぞれの結果信号は回転インタフェースによって変更されている。例えば、第2電極はパターン領域の、例えば異なるトラックのような、異なる部分にそれぞれ電気的に結合されていてもよい。このことは、例えば、上述の
図6Aに示されており、ここで第2の機器電極323、324はノブインタフェース150の外側のパターン領域320の2つの個別のトラックにそれぞれ電気的に結合されている。別の例は上述の
図7Aに示されており、ここで電極720~724は、ノブインタフェース150の外側のパターン領域320の外側リングに沿って等間隔に配置された5つの異なる位置に電気的に結合されている。さらに異なる例は上述の
図7Bに示されている。
【0083】
方法900はブロック920からブロック930に進み、ここで回転インタフェースの回転位置は結果信号に少なくとも部分的に基づいて判定される。例えば、この判定は、例えば
図1の電子機器100の判定モジュール141のような、電子機器の判定モジュールによって行われてもよい。方法900は、ブロック930で終了してもよいし、いくつかの実施の形態では任意のブロック940に任意に進んでもよい。
【0084】
このような実施の形態において、方法900はブロック930から任意にブロック940に進んでもよく、ここで、回転インタフェースがホーム位置にあるか押下位置にあるかが、電子機器の第1電極に供給される基準信号の強度に少なくとも部分的に基づいて判定されてもよい。このような実施の形態において、方法900は任意のブロック940で終了する。
【0085】
よって、1つまたは複数の実施の形態において、回転ノブインタフェースは電子機器の上に設けられてもよく、この回転ノブインタフェースは電子機器の感知電極と相互接続するための固定された結合電極を含む。回転ノブインタフェースは、導電性リングとパターンリングを含んでもよく、パターンリングは回転エンコーダでパターン化されていてもよい。実施の形態において、導電性領域は第1結合電極群経由で電子機器の第1電極群に結合されており、この後者は基準電圧で駆動される。同様に、パターン領域は第2結合電極群経由で電子機器の、回転ノブインタフェースによって変更された結果信号を受信するように構成されている第2電極群に結合されている。結果信号に少なくとも部分的に基づいて、電子機器の処理回路は回転ノブインタフェースのノブの回転位置を判定してもよい。
【0086】
このように、ここに記載した実施の形態と例を、本技術とその特定の用途による実施の形態を最もよく説明するために、当業者が本開示を作成でき利用できるようにするために、示した。ただし、当業者は、上記の記載と例が図示と例示だけの目的で示されたことを認識するであろう。記載された説明は、網羅的であることまたは開示された正確な形態に開示を限定することを意図していない。
【0087】
上記を考慮して、本開示の範囲は、以降の請求項によって決定される。