(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109774
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】転写モジュール、太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20240806BHJP
H01L 31/0747 20120101ALI20240806BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/06 455
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024083095
(22)【出願日】2024-05-22
(31)【優先権主張番号】202311577226.3
(32)【優先日】2023-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン グァンタオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ダミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン イーフェン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】幅が小さいグリッド線を製造しやすく、導電性ペーストの損失の低減に有利である転写モジュール、太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】該転写モジュール10は、キャリア11と、第1導線12とを含み、キャリア11は第1面111を有し、第1面111には、第1凹溝11aが設けられ、第1導線12の少なくとも一部が第1凹溝11a内に設けられ、第1導線12と第1凹溝11aの溝壁は、第1導線12の第1凹溝11aのノッチに近い側に第1収容キャビティ11bを画定し、即ち、第1凹溝11a内において、第1導線12の第1凹溝11aのノッチに近い側に第1収容キャビティ11bが形成される。第1収容キャビティ11bは、導電性ペーストを収容するものであり、第1導線12は、外部エネルギーにより、第1凹溝11aから脱落可能なように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアと、第1導線とを含み、
前記キャリアは第1面を有し、前記第1面には、第1凹溝が設けられ、
前記第1導線の少なくとも一部は、前記第1凹溝内に設けられ、前記第1導線と前記第1凹溝の溝壁は、前記第1導線の前記第1凹溝のノッチに近い側に第1収容キャビティを画定し、前記第1収容キャビティは、ペーストを収容するためのものであり、
前記第1導線は、外部エネルギーにより、前記第1凹溝から脱落可能なように構成される、ことを特徴とする転写モジュール。
【請求項2】
前記第1導線全体は前記第1凹溝内に位置し、
或いは、前記第1導線の一部は、前記第1凹溝のノッチから延出し、前記第1導線の断面は前記第1凹溝から離れた一端を有し、この一端と前記第1凹溝のノッチとの間の距離は、0μmより大きく、200μm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の転写モジュール。
【請求項3】
前記キャリアは、前記第1面に対向する第2面を有し、前記第1面から前記第2面への方向を第1方向とし、
前記第1導線の外周面は前記第2面に近い内側部分を含み、前記内側部分は、前記第1凹溝の一部の溝壁に貼り合わされ、前記第1導線の前記第1方向に沿った寸法は、前記第1凹溝の前記第1方向に沿った寸法以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の転写モジュール。
【請求項4】
前記第1導線の外周面は前記第2面から離れた外側部分を含み、前記外側部分と前記ノッチとの間の最小間隔は、0~200μmである、ことを特徴とする請求項3に記載の転写モジュール。
【請求項5】
前記外側部分と前記ノッチとの間の最大間隔をL
1とし、前記外側部分と前記ノッチとの間の最小間隔をL
2とすると、L
2及びL
1は、
【数1】
という関係式を満たす、ことを特徴とする請求項3に記載の転写モジュール。
【請求項6】
前記第1凹溝のノッチの第2方向に沿った寸法は、前記第1導線の第2方向に沿った寸法以上であり、前記第2方向は、前記第1方向及び前記第1凹溝の延在方向に垂直である、ことを特徴とする請求項3に記載の転写モジュール。
【請求項7】
前記第1導線の前記第1方向に沿った寸法は、1μm~220μmであり、
及び/又は、前記第1導線の前記第2方向に沿った寸法は、5μm~220μmである、ことを特徴とする請求項6に記載の転写モジュール。
【請求項8】
前記キャリアの第1面には、第2方向に沿って間隔をあけて配置された複数の第1凹溝が設けられ、前記転写モジュールは、前記第2方向に沿って間隔をあけて配置された複数の第1導線を含み、各前記第1導線と各前記第1凹溝は、いずれも第3方向に沿って延在し、かつ各前記第1導線は1対1で対応して少なくとも部分的に各前記第1凹溝に配置され、
任意の隣接する2つの前記第1導線の間の距離は、第1距離であり、前記第1距離は、200μm~2000μmである、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の転写モジュール。
【請求項9】
前記第1導線は、接続された本体部及び太径部を含み、前記太径部の前記第2方向に沿った寸法は、前記本体部の前記第2方向に沿った寸法よりも大きい、ことを特徴とする請求項8に記載の転写モジュール。
【請求項10】
前記キャリアは、中央領域と、前記中央領域の前記第2方向に沿った両側に位置するエッジ領域とを有し、
前記第1凹溝は、中央凹溝とエッジ凹溝とを含み、前記第1導線は、中央導線とエッジ導線とを含み、前記中央凹溝とその中の前記中央導線は前記中央領域に配置され、前記エッジ凹溝とその中の前記エッジ導線は、前記エッジ領域に配置され、
前記エッジ領域は、少なくとも2つのエッジ凹溝及びその中の少なくとも2つのエッジ導線に跨った少なくとも1つの退避領域を含み、前記エッジ凹溝及びその中の前記エッジ導線は、前記退避領域において分離され、互いに間隔を置いた少なくとも2つのサブ凹溝と少なくとも2つのサブ導線を形成する、ことを特徴とする請求項8に記載の転写モジュール。
【請求項11】
前記転写モジュールの第一面に接続凹溝がさらに設けられ、前記転写モジュールは接続導線をさらに含み、前記接続導線は少なくとも部分的に接続凹溝に設置され、
前記接続凹溝及びその中の接続導線は前記退避領域のエッジに設置され、前記接続凹溝は前記少なくとも2つのエッジ凹溝の中の同じ側のサブ凹溝に連通し、前記接続導線は前記少なくとも2つのエッジ導線の中の同じ側のサブ導線に接続され、
前記接続導線と前記接続凹溝の溝壁は、前記接続導線の前記接続凹溝のノッチに近い側にペーストを収容するための接続収容キャビティを画定し、前記接続導線は、外部エネルギーの作用により、接続凹溝から脱落可能なように配置される、ことを特徴とする請求項10に記載の転写モジュール。
【請求項12】
前記第1導線は、導電芯線と、前記導電芯線の外周を被覆する酸化防止層とを含み、前記酸化防止層は、金属材料を含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の転写モジュール。
【請求項13】
前記導電芯線の材質は、銅又はアルミニウムを含み、
及び/又は、前記酸化防止層の材質は、銀、スズ、鉛、チタン、ニッケルのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項12に記載の転写モジュール。
【請求項14】
前記キャリアは、フレキシブル部材として構成される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の転写モジュール。
【請求項15】
前記キャリアの前記第1面には、前記第1凹溝と交差する第2凹溝がさらに設けられ、
前記転写モジュールは、前記第1導線と交差する第2導線をさらに含み、前記第2導線の少なくとも一部は、前記第2凹溝内に設けられ、前記第2導線と前記第2凹溝の溝壁は、前記第2導線の前記第2凹溝のノッチに近い側に第2収容キャビティを画定し、前記第2収容キャビティは、ペーストを収容するためのものであり、
前記第2導線は、外部エネルギーにより、前記第2凹溝から脱落可能なように構成される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の転写モジュール。
【請求項16】
セルと、第1グリッド線とを含み、
前記セルは、対向して設けられた第1表面及び第2表面を有し、
前記第1表面及び前記第2表面のいずれにも間隔をあけて配置された複数の前記第1グリッド線が設けられ、
各前記第1グリッド線は、積層された第1金属層及び第1導線を含み、前記第1金属層は、前記セルに接続される、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項17】
前記第1導線の前記セルへの正投影は、前記第1金属層の前記セルへの正投影の範囲内にある、ことを特徴とする請求項16に記載の太陽電池。
【請求項18】
前記セルの同じ側において、隣接する2つの前記第1グリッド線の間の距離は、第1距離であり、前記第1距離は、200μm~2000μmである、ことを特徴とする請求項16に記載の太陽電池。
【請求項19】
前記第1グリッド線と、前記セルのエッジとの間の最小間隔は、50μm~1500μmである、ことを特徴とする請求項16に記載の太陽電池。
【請求項20】
前記第1グリッド線は、接続された本体部及び太径部を含み、前記太径部の幅は、前記本体部の幅よりも大きく、
或いは、前記セルは、中央領域と、前記中央領域の両側に位置するエッジ領域とを有し、前記第1グリッド線は、前記中央領域に位置する中央グリッド線及び前記エッジ領域に位置するエッジグリッド線を含み、
前記エッジ領域は、少なくとも2つのエッジグリッド線に跨った少なくとも1つの退避領域を含み、前記エッジグリッド線は、前記退避領域において分離され、互いに間隔を置いた少なくとも2つのサブグリッド部を形成する、ことを特徴とする請求項16に記載の太陽電池。
【請求項21】
第2グリッド線をさらに含み、前記第1表面及び前記第2表面のうちの少なくとも一方には、前記第1グリッド線に電気的に接続された前記第2グリッド線が設けられ、
前記第2グリッド線の前記セルへの正投影と、前記第1グリッド線の前記太径部の前記セルへの正投影とは、重なり領域を有し、或いは、前記第2グリッド線の前記セルへの正投影の一部は、前記退避領域内にある、ことを特徴とする請求項20に記載の太陽電池。
【請求項22】
前記セルは、順に積層して設けられた第1透明導電層、第1ドープ層、第1真性半導体層、シリコン基板、第2真性半導体層、第2ドープ層及び第2透明導電層を含み、
前記第1表面は、前記第1透明導電層の前記シリコン基板から離れた側に位置し、前記第2表面は、前記第2透明導電層の前記シリコン基板から離れた側に位置する、ことを特徴とする請求項16~21のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項23】
セル及び請求項1に記載の転写モジュールを提供するステップと、
前記転写モジュールの第1収容キャビティ内にペーストを充填するステップと、
前記転写モジュールを前記セルの被転写面に配置し、前記転写モジュールにエネルギーを印加して、前記第1導線と前記ペーストを前記被転写面に転写するステップと、
前記セルにおけるペーストに対して硬化処理を行うステップと、を含む、ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の技術分野に関し、特に転写モジュール、太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界の中で非再生可能エネルギーが殆ど消費されるという深刻な問題に直面して、各国において再生可能なクリーンエネルギーの発展が強く提唱されており、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換することができる太陽光発電産業は、かつてない発展のチャンスを迎えている。
【0003】
現在のシリコン太陽電池の製造技術において、シリコン太陽電池の金属グリッド線は、主に、スクリーン印刷プロセス又は電気めっきプロセスによって製造されるが、スクリーン印刷プロセスによって幅が25μm未満のグリッド線を製造することは困難であり、電気めっきプロセスの製造コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、転写モジュール、太陽電池及びその製造方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様では、本願の実施例に係る転写モジュールは、キャリアと、第1導線とを含み、前記キャリアは第1面を有し、前記第1面には、第1凹溝が設けられ、前記第1導線の少なくとも一部は、前記第1凹溝内に設けられ、前記第1導線と前記第1凹溝の溝壁は、前記第1導線の前記第1凹溝のノッチに近い側に第1収容キャビティを画定し、前記第1収容キャビティは、ペーストを収容するためのものであり、前記第1導線は、外部エネルギーにより、前記第1凹溝から脱落可能なように構成される。
【0006】
本願の実施例に係る転写モジュールは、グリッド線を転写して製造するものであり、一方では、電気めっきプロセスに比べて、製造コストの低減に有利であり、他方では、スクリーン印刷プロセスに比べて、ペーストを凹溝に充填するため、グリッド線の幅を制御することに有利であり、幅が小さいグリッド線を製造しやすい。さらに、凹溝内に第1導線を設けることにより、ペーストの損失の低減に有利である。
【0007】
一実施例において、前記第1導線全体は前記第1凹溝内に位置する。
【0008】
一実施例において、前記第1導線の一部は、前記第1凹溝のノッチから延出し、前記第1導線の断面は前記第1凹溝から離れた一端を有し、この一端と前記第1凹溝のノッチとの間の距離は、0μmより大きく、200μm以下である。
【0009】
一実施例において、前記キャリアは、前記第1面に対向する第2面を有し、前記第1面から前記第2面への方向を第1方向とし、前記第1導線の外周面は前記第2面に近い内側部分を含み、前記内側部分は、前記第1凹溝の一部の溝壁に貼り合わされ、前記第1導線の前記第1方向に沿った寸法は、前記第1凹溝の前記第1方向に沿った寸法以下である。
【0010】
一実施例において、前記第1導線の外周面は前記第2面から離れた外側部分を含み、前記外側部分と前記ノッチとの間の最小間隔は、0~200μmである。
【0011】
一実施例において、前記外側部分と前記ノッチとの間の最大間隔をL
1とし、前記外側部分と前記ノッチとの間の最小間隔をL
2とすると、L
2及びL
1は、
【数1】
という関係式を満たす。
【0012】
一実施例において、前記第1凹溝のノッチの第2方向に沿った寸法は、前記第1導線の第2方向に沿った寸法以上であり、前記第2方向は、前記第1方向に垂直である。
【0013】
一実施例において、前記第1導線の前記第1方向に沿った寸法は、1μm~220μmである。
【0014】
一実施例において、前記第1導線の前記第2方向に沿った寸法は、5μm~220μmである。
【0015】
一実施例において、前記キャリアの第1面には、第2方向に沿って間隔をあけて配置された複数の第1凹溝が設けられ、前記転写モジュールは、前記第2方向に沿って間隔をあけて配置された複数の第1導線を含み、各前記第1導線と各前記第1凹溝は、いずれも第3方向に沿って延在し、かつ各前記第1導線は1対1で対応して少なくとも部分的に各前記第1凹溝に配置される。
【0016】
一実施例において、任意の隣接する2つの前記第1導線の間の距離は、第1距離であり、前記第1距離は、200μm~2000μmである。
【0017】
一実施例において、前記第1導線は、接続された本体部及び太径部を含み、前記太径部の前記第2方向に沿った寸法は、前記本体部の前記第2方向に沿った寸法よりも大きい。
【0018】
一実施例において、前記キャリアは、中央領域と、前記中央領域の前記第2方向に沿った両側に位置するエッジ領域とを有し、前記第1凹溝は、中央凹溝とエッジ凹溝とを含み、前記第1導線は、中央導線とエッジ導線とを含み、前記中央凹溝とその中の前記中央導線は前記中央領域に配置され、前記エッジ凹溝とその中の前記エッジ導線は、前記エッジ領域に配置される。
【0019】
一実施例において、前記エッジ領域は、少なくとも2つのエッジ凹溝及びその中の少なくとも2つのエッジ導線に跨った少なくとも1つの退避領域を含み、前記エッジ凹溝及びその中の前記エッジ導線は、前記退避領域において分離され、互いに間隔を置いた少なくとも2つのサブ凹溝と少なくとも2つのサブ導線を形成する。
【0020】
一実施例において、前記転写モジュールの第一面に接続凹溝がさらに設けられ、前記転写モジュールは接続導線をさらに含み、前記接続導線は少なくとも部分的に接続凹溝に設置され、
前記接続凹溝及びその中の接続導線は前記退避領域のエッジに設置され、前記接続凹溝は前記少なくとも2つのエッジ凹溝の中の同じ側のサブ凹溝に連通し、前記接続導線は前記少なくとも2つのエッジ導線の中の同じ側のサブ導線に接続され、
前記接続導線と前記接続凹溝の溝壁は、前記接続導線の前記接続凹溝のノッチに近い側にペーストを収容するための接続収容キャビティを画定し、前記接続導線は、外部エネルギーの作用により、接続凹溝から脱落可能なように配置される。
【0021】
一実施例において、前記第1導線は、導電芯線と、前記導電芯線の外周を被覆する酸化防止層とを含み、前記酸化防止層は、金属材料を含む。
【0022】
一実施例において、前記導電芯線の材質は、銅又はアルミニウムを含む。
【0023】
一実施例において、前記酸化防止層の材質は、銀、スズ、鉛、チタン、ニッケルのうちの少なくとも1種を含む。
【0024】
一実施例において、前記キャリアは、フレキシブル部材として構成される。
【0025】
一実施例において、前記キャリアの前記第1面には、前記第1凹溝と交差する第2凹溝がさらに設けられ、
前記転写モジュールは、前記第1導線と交差する第2導線をさらに含み、前記第2導線の少なくとも一部は、前記第2凹溝内に設けられ、前記第2導線と前記第2凹溝の溝壁は、前記第2導線の前記第2凹溝のノッチに近い側に第2収容キャビティを画定し、前記第2収容キャビティは、ペーストを収容するためのものであり、
前記第2導線は、外部エネルギーにより、前記第2凹溝から脱落可能なように構成される。
【0026】
第2態様では、本願の実施例に係る太陽電池は、セルと、第1グリッド線とを含み、
前記セルは、対向して設けられた第1表面及び第2表面を有し、
前記第1表面及び前記第2表面のいずれにも間隔をあけて配置された複数の前記第1グリッド線が設けられ、
各前記第1グリッド線は、積層された第1金属層及び第1導線を含み、前記第1金属層は、前記セルに接続される。
【0027】
本願の実施例に係る太陽電池のグリッド線は、転写モジュールによって製造することができ、一方では、電気めっきプロセスで製造されたグリッド線に比べて、製造コストを低減することができ、他方では、スクリーン印刷プロセスで製造されたグリッド線に比べて、ペーストを凹溝に充填するため、グリッド線の幅を制御することに有利であり、幅が小さいグリッド線を製造しやすい。さらに、凹溝内に第1導線を設けることにより、ペーストの損失の低減に有利である。
【0028】
一実施例において、前記第1導線の前記セルへの正投影は、前記第1金属層の前記セルへの正投影の範囲内にある。
【0029】
一実施例において、前記セルの同じ側において、隣接する2つの前記第1グリッド線の間の距離は、第1距離であり、前記第1距離は、200μm~2000μmである。
【0030】
一実施例において、前記第1グリッド線と、前記セルのエッジとの間の最小間隔は、50μm~1500μmである。
【0031】
一実施例において、前記第1グリッド線は、接続された本体部及び太径部を含み、前記太径部の幅は、前記本体部の幅よりも大きい。
【0032】
一実施例において、前記セルは、中央領域と、前記中央領域の両側に位置するエッジ領域とを有し、前記第1グリッド線は、前記中央領域に位置する中央グリッド線及び前記エッジ領域に位置するエッジグリッド線を含む。
【0033】
一実施例において、前記エッジ領域は、少なくとも2つのエッジグリッド線に跨った少なくとも1つの退避領域を含み、前記エッジグリッド線は、前記退避領域において分離され、互いに間隔を置いた少なくとも2つのサブグリッド部を形成する。
【0034】
一実施例において、前記太陽電池は、第2グリッド線をさらに含み、前記第1表面及び前記第2表面のうちの少なくとも一方には、前記第1グリッド線に電気的に接続された前記第2グリッド線が設けられる。
【0035】
一実施例において、前記第2グリッド線の前記セルへの正投影と、前記第1グリッド線の前記太径部の前記セルへの正投影とは、重なり領域を有し、或いは、前記第2グリッド線の前記セルへの正投影の一部は、前記退避領域内にある。
【0036】
一実施例において、前記セルは、順に積層して設けられた第1透明導電層、第1ドープ層、第1真性半導体層、シリコン基板、第2真性半導体層、第2ドープ層及び第2透明導電層を含み、前記第1表面は、前記第1透明導電層の前記シリコン基板から離れた側に位置し、前記第2表面は、前記第2透明導電層の前記シリコン基板から離れた側に位置する。
【0037】
第3態様では、本願の実施例に係る太陽電池の製造方法は、
セル及び第1態様のいずれかの実施例において説明された転写モジュールを提供するステップと、
前記転写モジュールの第1収容キャビティ内にペーストを充填するステップと、
前記転写モジュールを前記セルの被転写面に配置し、前記転写モジュールにエネルギーを印加して、前記第1導線と前記ペーストを前記被転写面に転写するステップと、
前記セルにおけるペーストに対して硬化処理を行うステップと、を含む。
【発明の効果】
【0038】
本願の実施例に係る太陽電池の製造方法は、転写によってグリッド線を製造し、一方では、電気めっきプロセスに比べて、製造コストの低減に有利であり、他方では、スクリーン印刷プロセスに比べて、ペーストを凹溝に充填するため、グリッド線の幅を制御することに有利であり、幅が小さいグリッド線を製造しやすい。さらに、凹溝内に第1導線を設けることにより、ペーストの損失の低減に有利である。
【0039】
以下、実本願の実施例又は例示的な実施例における技術的手段をより明確に説明するために、施例又は例示的な実施例の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明する。明らかなように、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本願の一実施例に係る転写モジュールの断面構造を示す概略図である。
【
図2】
図1に示す転写モジュールのペースト塗布後の断面構造を示す概略図である。
【
図3】
図1に示す転写モジュールの使用時の概略図である。
【
図4】本願の別の実施例に係る転写モジュールの断面構造を示す概略図である。
【
図5】本願のさらに別の実施例に係る転写モジュールの断面構造を示す概略図である。
【
図6】本願のまたさらに別の実施例に係る転写モジュールの断面構造を示す概略図である。
【
図8】本願のまたさらに別の実施例に係る転写モジュールの平面図である。
【
図9】本願の一実施例に係る太陽電池の一部断面構造を示す概略図である。
【
図10】本願の一実施例に係る太陽電池の平面図である。
【
図13】本願の別の実施例に係る太陽電池の断面構造を示す概略図である。
【
図14】本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本願の上記の目的、特徴及び利点をより明確かつ理解しやすくするために、以下、本願の具体的な実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、本願の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本願は、ここで説明したものとは異なる他の多くの形態で実施することができ、当業者であれば、本願の趣旨を逸脱することなく同様の改良を行うことができるため、以下に開示する具体的な実施例によって本願が限定されるものではない。
【0042】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本願が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本願の説明において本明細書で用いられる用語は、具体的な実施例を説明するためのものだけであり、本願を限定することを意図したものではない。
【0043】
要素又は層が他の要素又は層「…上にある」、「…に隣接している」、「に接続されている」又は「に結合されている」と呼ばれる場合、直接他の要素又は層の上にあるか、それに隣接しているか、それに接続されているか、又はそれに結合されているか、又は介在する要素又は層が存在してもよいことを理解すべきである。逆に、要素が他の要素又は層の「直接…上にある」、「…に直接隣接している」、「に直接接続されている」又は「に直接結合されている」と呼ばれる場合、介在する要素又は層が存在しないことを意味する。第1、第2、第3などの用語は、多様な要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ及び/又は部分を説明するために用いられるが、これらの要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ及び/又は部分は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解すべきである。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ又は部分を、別の要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ又は部分から区別するためにのみ用いられる。したがって、本願の教示から逸脱しない限り、以下で論じる第1要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ又は部分は、第2要素、構成要素、領域、層、ドーピングタイプ又は部分として示されてもよい。
【0044】
空間的関係用語、例えば、「…下にある」、「…下方にある」、「下方の」、「…の下にある」、「…の上にある」、「上方の」などは、図面に示される1つの要素又は特徴と他の要素又は特徴との関係を説明するために本明細書で用いられる。空間的関係用語は、図面に示された向きに加えて、使用中及び動作中の要素又は特徴の異なる向きも含むことを理解すべきである。例えば、図面中の要素又は特徴が反転されると、「他の要素の下方にある」又は「その下にある」又は「下にある」と記載された要素又は特徴は、他の要素又は特徴の「上」にあるようになる。したがって、例示的な用語「…下方にある」及び「…下にある」は、上及び下の両方の向きを含んでもよい。さらに、要素又は特徴は、追加的な向き(例えば、90度回転した向き又は他の向き)を含んでもよく、本明細書で使用される空間的関係用語は、それに応じて解釈される。
【0045】
本明細書で使用される単数形の「一」、「1つ」、及び「前記/当該」は、文脈上明らかに別の意味を示さない限り、複数形も含んでもよい。「含む/含有する」又は「有する」などの用語は、述べられた特徴、全体、ステップ、動作、構成要素、部分又はこれらの組み合わせの存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、全体、ステップ、動作、構成要素、部分又はこれらの組み合わせの存在又は追加の可能性を排除するものではないことも理解すべきである。一方、本明細書において、用語「及び/又は」は、関連して列挙された項目の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0046】
ここでは本願の理想的な実施例(及び中間構造)の概略図である断面図を参照して本願の実施例を説明することにより、例えば、製造技術及び/又は公差に起因する示される形状の変化を予想することができる。したがって、本願の実施例は、ここに示される領域の特定の形状に限定されるべきではなく、例えば製造技術に起因する形状の偏差を含む。したがって、図に示される領域は、実質的に模式的なものであり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すものではなく、本願の範囲を限定するものではない。
【0047】
第1態様では、
図1に示すように、本願の実施例は、太陽電池20のグリッド線を製造するための転写モジュール10を提供する。具体的には、該転写モジュール10は、キャリア11と、第1導線12とを含み、キャリア11は第1面111を有し、第1面111には、第1凹溝11aが設けられ、第1導線12の少なくとも一部が第1凹溝11a内に設けられる。第1導線12と第1凹溝11aの溝壁は、第1導線12の第1凹溝11aのノッチに近い側に第1収容キャビティ11bを画定し、即ち、第1凹溝11a内において、第1導線12の第1凹溝11aのノッチに近い側に第1収容キャビティ11bが形成される。第1収容キャビティ11bは、ペーストを収容するものであり、第1導線12は、外部エネルギーにより、第1凹溝11aから脱落可能なように構成される。
【0048】
図2及び
図3に示すように、グリッド線を製造する場合、まず、第1収容キャビティ11bにペーストを塗布し、次に、転写モジュール10をセル21上に配置し、第1凹溝11aのノッチをセル21の被転写面に向け、転写モジュール10に外部エネルギーを印加し、例えば、転写モジュール10にレーザーを照射して、第1導線12及びペーストを第1凹溝11aから脱落させ、セル21の被転写面に接触させ、第1導線12は、ペーストとともにグリッド線を構成する。
【0049】
なお、第1導線12の材質は、金属材料を含み、例示的には、第1導線12の材質は、銅、アルミニウムなどである。いくつかの実施例において、第1導線12は、当業者に公知の製造プロセスにより、第1凹溝11aの溝壁に直接形成されてもよい。
【0050】
本願の実施例に係る転写モジュール10は、グリッド線を転写して製造するものであり、一方では、電気めっきプロセスに比べて、製造コストの低減に有利である。他方では、スクリーン印刷プロセスに比べて、ペーストを凹溝に充填するため、グリッド線の幅を制御することに有利であり、幅が小さいグリッド線を製造しやすい。また、凹溝内に第1導線12を設けることにより、ペーストの損失の低減に有利である。
【0051】
一実施例において、
図1及び
図4に示すように、第1導線12の構造全体は、第1凹溝11a内に位置し、即ち、第1導線12は、第1凹溝11aのノッチから延出していない。このように、第1収容キャビティ11bにペーストを塗布する場合、第1導線12がペースト塗布装置に干渉することがなく、ペーストの塗布難度を低減することができる。
【0052】
別の実施例において、
図5に示すように、第1導線12の一部の構造は、第1凹溝11aのノッチから延出し、第1導線12の断面は第1凹溝11aから離れた一端を有し、この一端と第1凹溝11aのノッチとの間の距離L
6は、0μmより大きく、200μm以下である。例示的には、L
6は、1μm、50μm、80μm、120μm、160μm、175μm又は200μmであってもよい。
【0053】
このように、第1導線12の体積を大きくし、ペーストの使用量を低減することができ、コストの低減に有利である一方で、グリッド線とセル21とのオーミックコンタクト効果を保証することができる。
【0054】
一実施例において、
図1に示すように、キャリア11は、第1面111に対向する第2面112を有し、第1凹溝11aは、第1面111からキャリア11の内部に向かって延在する。第1面111から第2面112への方向を第1方向Xとする。第1導線12の外周面は第2面112に近い内側部分を含み、この内側部分は第1凹溝11aの一部の溝壁(例えば底壁)に貼り合わされる。第1導線12の第1方向Xに沿った寸法L
3は、第1凹溝11aの第1方向Xに沿った寸法L
4以下である。
図1において、第1方向Xはキャリア11の厚さ方向であり、第1凹溝11aの寸法L
4は、第1凹溝11aの深さと考えられ、第1導線12の寸法L
3は、第1導線12の直径又は厚さであってもよい。
【0055】
このように、第1導線12の構造全体を第1凹溝11a内に設けることに相当する。このように、第1収容キャビティ11bにペーストを塗布する場合、第1導線12がペースト塗布装置に干渉することがなく、ペーストの塗布難度を低減することができる。
【0056】
一実施例において、
図1に示すように、第1導線12の外周面は第2面112から離れた外側部分を含み、外側部分とノッチとの間の最小間隔L
2は、0~200μmである。例示的には、L
2は、0μm、50μm、80μm、100μm、120μm、160μm、180μm又は200μmであってもよい。
【0057】
このように、第1収容キャビティ11bにペーストを塗布する場合、第1導線12がペースト塗布装置に干渉することがなく、ペーストの塗布難度を低減することができる一方で、第1収容キャビティ11bの空間が大きくなることを回避し、ペーストの使用量を低減することができる。
【0058】
一実施例において、第1導線12の外周面の外側部分と、ノッチとの間の最大間隔をL
1とし、第1導線12の外周面の外側部分と、ノッチとの間の最小間隔をL
2とすると、L
2及びL
1は、
【数2】
という関係式を満たす。
【0059】
なお、最小間隔L1と最大間隔L2との差が小さいほど、第1収容キャビティ11b内のペーストが均一になり、即ち、第1収容キャビティ11b内のペーストの厚さが均一になり、さらに、第1導線12とセル21の表面との間のペーストの第2方向Yにおける分布の均一性を向上させ、このように、グリッド線を転写する過程において、第1導線12とセル21との間の結合力を第2方向Yにおいて均一にすることができ、それにより、グリッド線とセル21との接続安定性を向上させる。したがって、L2及びL1が上記関係式を満たすようにして、グリッド線とセル21との接続安定性の向上に有利である一方で、ペーストの使用量の低減に有利である。
【0060】
一実施例において、
図1及び
図4に示すように、第1凹溝11aのノッチの第2方向Yに沿った寸法W
1は、第1導線12の第2方向Yに沿った寸法W
2以上であり、第2方向Yは、第1方向X及び第1凹溝11aの延在方向に垂直である。ここでは、第1凹溝11aの延在方向は、第1凹溝11aの長手方向である。
【0061】
このように、グリッド線を転写する過程において、第1導線12が第1凹溝11aから脱落しやすい。
【0062】
一実施例において、
図1に示すように、第1導線12の第1方向Xに沿った寸法L
3は、1μm~220μmである。ここでは、第1導線12の第1方向Xに沿った寸法とは、第1導線12の第1方向Xに沿った最大寸法を意味する。例示的には、L
3は、1μm、10μm、30μm、50μm、80μm、110μm、150μm、175μm、200μm、210μm又は220μmであってもよい。
【0063】
このように、第1導線12の厚さ又は直径を大きくし、グリッド線のキャリア収集能力を向上させることができる一方、ペーストの使用量を減少させ、コストを低減することができる。
【0064】
一実施例において、
図4に示すように、第1導線12の第2方向Yに沿った寸法W
2は、5μm~220μmである。ここでは、第1導線12の第2方向Yに沿った寸法とは、第1導線12の第2方向Yに沿った最大寸法を意味する。例示的には、W
2は、5μm、15μm、30μm、45μm、65μm、80μm、100μm、130μm、150μm、180μm、190μm、205μm又は220μmであってもよい。
【0065】
このように、グリッド線のキャリア収集能力を保証する前提で、グリッド線の幅を合理的な範囲内にして、グリッド線による太陽光線の遮蔽を低減することができる。
【0066】
一実施例において、
図6及び
図7に示すように、キャリア11の第1面11には、第2方向Yに沿って間隔をあけて配置された複数の第1凹溝11aが設けられ、転写モジュール10は、第2方向Yに沿って間隔をあけて配置された複数の第1導線12を含み、各第1導線12及び各第1凹溝11aは、いずれも第3方向Zに沿って延在し、かつ各第1導線12は1対1で対応して少なくとも部分的に各第1凹溝11aに配置される。第3方向Zは、第2方向Yと交差する。
【0067】
一実施例において、任意の隣接する2つの第1導線12の間の距離は、第1距離L5であり、第1距離L5は、200μm~2000μmである。例示的には、第1距離L5は、200μm、300μm、500μm、700μm、900μm、1000μm、1300μm、1600μm、1800μm、1900μm又は2000μmであってもよい。
【0068】
このように、グリッド線のキャリア収集能力を保証する前提で、グリッド線の配列密度を合理的な範囲内にして、グリッド線による太陽光線の遮蔽を低減することができる。
【0069】
一実施例において、第1導線12は、接続された本体部及び太径部を含み、太径部の第2方向Yに沿った寸法は、本体部の第2方向Yに沿った寸法よりも大きい。このように、転写後のグリッド線は、太径部により、メイングリッド線又は半田リボンに電気的に接続することができるため、電気的な接続の難しさを低減する。
【0070】
理解されるように、太径部に対応する第1凹溝11aの第2方向Yに沿った寸法は、本体部に対応する第1凹溝11aの第2方向Yに沿った寸法よりも大きい。
【0071】
一実施例において、キャリア11は、中央領域と、中央領域の第2方向Yに沿った両側に位置するエッジ領域とを有する。前記第1凹溝は、中央凹溝とエッジ凹溝とを含み、前記第1導線は、中央導線とエッジ導線とを含み、中央凹溝とその中の中央導線は中央領域に配置され、前記エッジ凹溝とその中の前記エッジ導線は、エッジ領域に配置される。
【0072】
一実施例において、エッジ領域は、少なくとも1つの退避領域を含み、退避領域は、少なくとも2つのエッジ凹溝及びその中の少なくとも2つのエッジ導線に跨り、エッジ凹溝及びその中のエッジ導線は、退避領域において分離され、互いに間隔を置いた少なくとも2つのサブ凹溝と少なくとも2つのサブ導線を形成する。
【0073】
このように、退避領域は、メイングリッド線又は半田リボンを退避させることができ、セルのエッジにおけるメイングリッド線又は半田リボンの厚さを低減し、チッピングリスクを低減する。
【0074】
いくつかの実施例において、各第1凹溝11aの延在長さは、対応する第1導線12の延在長さと同じである。
【0075】
一実施例において、前記転写モジュールの第一面に接続凹溝がさらに設けられ、前記転写モジュールは接続導線をさらに含み、前記接続導線は少なくとも部分的に接続凹溝に設置され、前記接続凹溝及びその中の接続導線は退避領域のエッジに設置され、前記接続凹溝は前記少なくとも2つのエッジ凹溝の中の同じ側のサブ凹溝に連通し、前記接続導線は前記少なくとも2つのエッジ導線の中の同じ側のサブ導線に接続され、前記接続導線と前記接続凹溝の溝壁は前記接続導線の前記接続凹溝のノッチに近い側にペーストを収容するための接続収容キャビティを画定し、前記接続導線は、外部エネルギーの作用により、接続凹溝から脱落可能なように配置される。いくつかの実施例において、接続凹溝およびその中の接続導線は、中央導線を有する隣接する中央凹溝までさらに延びることができる。このように、エッジ導線のサブ部分は、接続導線により、隣接する第1導線12、例えば隣接する中央導線に電気的に接続されてもよい。
【0076】
一実施例において、
図1に示すように、第1導線12は、導電芯線121と、導電芯線121の外周を被覆する酸化防止層122とを含み、酸化防止層122は、金属材料を含む。理解されるように、酸化防止層122の酸化防止能は、導電芯線121の酸化防止能よりも大きく、導線の外周に酸化防止層122を設けることにより、導電芯線121の酸化を回避し、導電芯線121の導電性能を保証することができる。なお、酸化防止能は、酸化速度によって表すことができ、酸化速度が速いほど、酸化防止能が弱くなり、酸化速度が遅いほど、酸化防止能が強くなる。
【0077】
一実施例において、導電芯線121の材質は、銅又はアルミニウムを含む。このように、第1導線12の導電能力を高める一方で、コストを低減することができる。
【0078】
一例において、導電芯線121は、銅線又はアルミニウム線である。
【0079】
別の例において、導電芯線121は、複数の導電性粒子を含み、該複数の導電性粒子において、隣接する導電性粒子が互いに接触する。例示的には、導電性粒子は、銅粒子及びアルミニウム粒子のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0080】
さらに、隣接する導電性粒子の間に空隙が存在し、空隙内に有機材料が充填されている。
【0081】
一実施例において、酸化防止層122の材質は、銀、スズ、鉛、チタン、ニッケルのうちの少なくとも1種を含む。
【0082】
理解されるように、第1導線12は、銅線又はアルミニウム線であってもよい。第1導線12は、第1凹溝11a内に互いに接触して配列された複数の導電性粒子を含んでもよい。さらに、隣接する導電性粒子の間に空隙が存在し、空隙内に有機材料が充填されている。
【0083】
なお、
図4及び
図5に示すように、第1導線12の断面形状は、円柱形又は三角形であってもよい。理解されるように、第1導線12の断面形状は、台形、長方形又は正方形などの任意の形状であってもよい。
【0084】
一実施例において、キャリア11は、フレキシブル部材として構成される。例示的には、キャリア11の材料は、耐高温の高分子材料であってもよい。
【0085】
キャリア11をフレキシブル部材とすることにより、転写モジュール10を巻き取り、収納しやすく、転写モジュール10の運送及び貯蔵過程の難しさを低減する一方で、転写過程において、キャリア11が受熱した後に変形し、第1導線12と第1凹溝11aの溝壁との間に空気が入りやすく、空気が加熱された後に推力を発生させ、これにより、第1導線12が第1凹溝11aから脱落しやすくなる。
【0086】
理解されるように、キャリア11は、剛性構造部材であってもよい。本願の実施例において、キャリア11の材質は、限定されない。
【0087】
なお、キャリア11は、透明材料で製造されてもよく、このように、レーザーにより転写を行う場合、レーザーの波長の選択可能範囲をより広くすることができる。理解されるように、キャリア11は、半透明材料又は非透明材料で製造されてもよい。
【0088】
一実施例において、
図8に示すように、キャリア11の第1面には、第1凹溝11aと交差する第2凹溝11cがさらに設けられる。転写モジュール10は、第1導線12と交差する第2導線13をさらに含み、第2導線13の少なくとも一部は、第2凹溝11c内に設けられる。第2導線13と第2凹溝11cの溝壁は、第2導線13の第2凹溝11cのノッチに近い側に第2収容キャビティを画定し、第2収容キャビティは、ペーストを収容するものである。第2導線13は、外部エネルギーにより、第2凹溝11cから脱落可能なように構成される。
【0089】
このように、転写が完了した後、第1導線12と第1収容キャビティ11b内のペーストは、マイクログリッド線を構成し、第2導線13と第2収容キャビティ内のペーストは、メイングリッド線を構成する。メイングリッド線は、半田リボンを介して外部回路又は他の太陽電池に接続するために使用される。本願の実施例において、メイングリッド線とマイクログリッド線を同一の転写プロセスにおいて同時に製造することに相当し、これにより、太陽電池20の製造コストを低減する。
【0090】
なお、第2導線13の配置方式は、第1導線12の配置方式と同じであってもよく、第2凹溝11cの配置方式は、第1凹溝11aの配置方式と同じであってもよく、本願の実施例において、第2導線13及び第2凹溝11cの配置方式について説明しない。
【0091】
第2態様では、
図9~
図13に示すように、本願の実施例は、太陽電池20を提供し、該太陽電池20は、ヘテロ接合太陽電池、Topcon電池などであってもよい。具体的には、該太陽電池は、セル21と、複数の第1グリッド線22とを含み、セル21は、対向して設けられた第1表面21a及び第2表面21bを有する。第1表面21a及び第2表面21bのいずれにも間隔をあけて配置された複数の第1グリッド線22が設けられる。
【0092】
各第1グリッド線22は、積層された第1金属層221及び第1導線12を含み、第1金属層221はペーストからなり、セル21に接続される。
【0093】
ここでは、第1導線12は、第1態様の実施例における転写モジュール10の第1導線12であり、第1金属層221は、転写モジュール10の第1収容キャビティ11bに充填されたペーストを転写して形成される。
【0094】
本願の実施例に係る太陽電池20グリッド線は転写モジュール10によって製造することができ、一方では、電気めっきプロセスで製造されたグリッド線に比べて、製造コストを低減することができる。他方では、スクリーン印刷プロセスで製造されたグリッド線に比べて、ペーストを凹溝に充填するため、グリッド線の幅を制御することに有利であり、幅が小さいグリッド線を製造しやすい。他方では、凹溝内に第1導線12を設けることにより、ペーストの損失の低減に有利である。
【0095】
一実施例において、
図9に示すように、第1導線12のセル21への正投影は、第1金属層221のセル21への正投影の範囲内にある。ここでは、第1金属層221のセル21への正投影が第1導線12のセル21への正投影と完全に重なるという第1種の場合、第1金属層221のセル21への正投影の面積が第1導線12のセル21への正投影の面積よりも大きいという第2種の場合、の両者を含んでもよい。
【0096】
第1金属層221とセル21との接着性が第1導線12とセル21との接着性より大きいため、このように、第1金属層221は、第1導線12とセル21との間に完全に位置することができ、第1グリッド線22とセル21との結合力を向上させる。
【0097】
一実施例において、セル21の同じ側において、隣接する2つの第1グリッド線22の間の距離は、第1距離であり、第1距離は、200μm~2000μmである。ここでは、
図7に示すように、第1距離は、L
5である。例示的には、第1距離L
5は、200μm、300μm、500μm、700μm、900μm、1000μm、1300μm、1600μm、1800μm、1900μm又は2000μmであってもよい。
【0098】
このように、第1グリッド線22のキャリア収集能力を保証する前提で、第1グリッド線22の配列密度を合理的な範囲内にして、第1グリッド線22による太陽光線の遮蔽を低減することができる。
【0099】
一実施例において、
図10に示すように、第1グリッド線22は、セル21のエッジとの間に最小間隔Sを有し、最小間隔Sは、50μm~1500μmである。例示的には、最小間隔Sは、50μm、65μm、75μm、80μm、90μm、100μm、150μm、200μm、300μm、500μm、600μm、800μm、1000μm、1200μm、1400μm又は1500μmであってもよい。
【0100】
最小間隔Sを上記範囲内にすることにより、セル21の短絡リスクを低減する一方で、第1グリッド線22の配列領域を最大限に大きくすることができ、第1グリッド線22のキャリア収集能力を向上させる。
【0101】
一実施例において、
図11に示すように、第1グリッド線22は、接続された本体部22a及び太径部22bを含み、太径部22bの幅は、本体部22aの幅よりも大きい。
【0102】
このように、メイングリッド線又は半田リボンは、太径部22bにより、第1グリッド線22に電気的に接続することができるため、電気的な接続の難しさを低減する。
【0103】
一実施例において、太径部22bの幅は、L7であり、L7は、15μm~1000μmである。例示的には、L7は、15μm、100μm、200μm、350μm、500μm、650μm、720μm、840μm、900μm、950μm又は1000μmであってもよい。
【0104】
また、太径部22bの長さは、L8であり、L8は、100μm~5000μmである。例示的には、L8は、100μm、800μm、1500μm、2400μm、3000μm、3800μm、4500μm又は5000μmであってもよい。
【0105】
このように、メイングリッド線又は半田リボンと第1グリッド線22との電気的な接続の難しさを低減することができる。
【0106】
一実施例において、
図10及び
図12に示すように、セル21は、中央領域と、中央領域の両側に位置するエッジ領域とを有する。第1グリッド線22は、中央領域に位置する中央グリッド線及びエッジ領域に位置するエッジグリッド線を含む。
【0107】
一実施例において、エッジ領域は、少なくとも2つのエッジグリッド線に跨った少なくとも1つの退避領域22dを含み、エッジグリッド線は、退避領域において分離され、互いに間隔を置いた少なくとも2つのサブグリッド部22cを形成する。
【0108】
このように、退避領域22dは、メイングリッド線又は半田リボンを退避させることができ、セル21のエッジにおけるメイングリッド線又は半田リボンの厚さを低減し、チッピングリスクを低減する。
【0109】
一実施例において、太陽電池20は、さらに、退避領域22d内に設けられた接続グリッド線22eを含み、接続グリッド線22eは、退避領域22dのエッジに設けられ、隣接する2つのエッジグリッド線の同じ側のサブグリッド部22cを接続する。いくつかの実施例において、接続グリッド線22eは、隣接する中央グリッド線までさらに延びることができる。このように、エッジグリッド線のサブグリッド部22cは、接続グリッド線22eにより、隣接する第1グリッド線22、例えば中央グリッド線に電気的に接続されてもよい。
【0110】
一実施例において、太陽電池20は、第2グリッド線をさらに含み、第1表面21a及び第2表面21bのうちの少なくとも一方には、第1グリッド線22に電気的に接続された第2グリッド線が設けられる。ここでは、第2グリッド線は、メイングリッド線に相当する。一例において、第2グリッド線のセル21への正投影と、第1グリッド線22の太径部22bのセル21への正投影とは、重なり領域を有し、即ち、第2グリッド線は、第1グリッド線22の太径部22bに接続される。このように、第2グリッド線と第1グリッド線22との電気的な接続の難しさを低減することができる。別の例において、第2グリッド線のセル21への正投影の一部は、退避領域22d内にある。このように、セル21のエッジにおける第2グリッド線の厚さを低減し、チッピングリスクを低減することができる。
【0111】
一実施例において、
図13に示すように、セル21は、順に積層して設けられた第1透明導電層211、第1ドープ層212、第1真性半導体層213、シリコン基板214、第2真性半導体層215、第2ドープ層216及び第2透明導電層217を含む。第1表面21aは、第1透明導電層211のシリコン基板214から離れた側に位置し、第2表面21bは、第2透明導電層217のシリコン基板214から離れた側に位置する。このように、本願の実施例に係るグリッド線構造をヘテロ接合太陽電池に適用することにより、ヘテロ接合太陽電池の製造コストを低減することができる。
【0112】
一例において、第1真性半導体層213は、真性アモルファスシリコン層又は酸素含有真性アモルファスシリコン層であってもよく、第2真性半導体層215は、真性アモルファスシリコン層又は酸素含有真性アモルファスシリコン層であってもよい。
【0113】
第3態様では、
図14及び
図15に示すように、本願の実施例は、太陽電池の製造方法を提供し、該太陽電池の製造方法は、以下のステップS100~ステップS400を含む。
【0114】
ステップS100では、セル21及び第1態様のいずれかの実施例において説明された転写モジュール10を提供する。
【0115】
ステップS200では、転写モジュール10の第1収容キャビティ11b内にペーストを充填する。例示的には、キャリア11の第1面111にペーストを塗布して、ペーストを第1収容キャビティ11bに充填する。
【0116】
ステップS300では、転写モジュールをセル21の被転写面に配置し、転写モジュール10にエネルギーを印加して、第1導線12とペーストを被転写面に転写する。ここでは、被転写面は、セル21の表面であってもよい。例示的には、加熱又はレーザー照射により、キャリア11における第1凹溝11aが設けられた領域にエネルギーを印加することができ、第1導線12及びペーストは、エネルギーにより、被転写面に落下し、被転写面としっかり接触する。
【0117】
ステップS400では、セル21におけるペーストに対して硬化処理を行う。例示的には、セル21を乾燥させるか又は焼結して、ペーストを金属層に形成させ、第1導線12及び金属層とセル21とのオーミックコンタクトを形成することができる。
【0118】
本願の実施例に係る太陽電池の製造方法は、転写によってグリッド線を製造し、一方では、電気めっきプロセスに比べて、製造コストの低減に有利である。他方では、スクリーン印刷プロセスに比べて、ペーストを凹溝に充填するため、グリッド線の幅を制御することに有利であり、幅が小さいグリッド線を製造しやすい。他方では、凹溝内に第1導線12を設けることにより、ペーストの損失の低減に有利である。
【0119】
なお、太陽電池20がメイングリッド線及びサブグリッド線を含む場合、メイングリッド線及びサブグリッド線は、次のように製造されてもよい。第1方法について、まず、上記方法でサブグリッド線を製造し、次に、スクリーン印刷によりメイングリッド線を製造する。第2方法について、上記方法でメイングリッド線とサブグリッド線を同時に製造し、即ち、同時転写してメイングリッド線とサブグリッド線を形成する。本願の実施例において、メイングリッド線の配置方式は、限定されない。
【0120】
なお、本願の実施例において、方法におけるステップの少なくとも一部は、複数のステップ又は複数の段階を含んでもよく、これらのステップ又は段階は、必ずしも同じ時点で実行を完了する必要はなく、異なる時点で実行されてもよく、これらのステップ又は段階の実行順序も、必ずしも順次行われる必要はなく、他のステップ又は他のステップにおけるステップ又は段階の少なくとも一部と順番に又は交互に実行されてもよいことが理解されるべきである。
【0121】
上記実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明の簡潔化のため、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを記載していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾が存在しない限り、本明細書に記載の範囲と考えるべきである。
【0122】
上記実施例は、本願のいくつかの実施形態のみを示し、その記述がより具体的且つ詳細であるが、それによって本願の保護範囲を制限するものと理解すべきではない。なお、当業者であれば、本願の概念から逸脱することなく、いくつかの変形及び改良を行うことができ、これらはいずれも本願の保護範囲に属する。したがって、本願の保護範囲は添付の特許請求の範囲に準じるものとする。
【符号の説明】
【0123】
10 転写モジュール、11 キャリア、11a 第1凹溝、11b 第1収容キャビティ、11c 第2凹溝、111 第1面、112 第2面、12 第1導線、121 導電芯線、122 酸化防止層、13 第2導線、20 太陽電池、21 セル、21a 第1表面、21b 第2表面、211 第1透明導電層、212 第1ドープ層、213 第1真性半導体層、214 シリコン基板、215 第2真性半導体層、216 第2ドープ層、217 第2透明導電層、22 第1グリッド線、221 第1金属層、22a 本体部、22b 太径部、22c サブグリッド部、22d 退避領域、22e 接続グリッド線。