(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001098
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20231226BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20231226BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/50
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023170783
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2020535572の分割
【原出願日】2018-12-28
(31)【優先権主張番号】17211202.1
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】107146643
(32)【優先日】2018-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジル,マーク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子部品の機能における干渉を低減する。
【解決手段】蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリ10は、電磁誘導加熱装置16と、第1のサセプタとして機能することができる材料を有する電子部品11とを含み、電磁誘導加熱装置は、使用中に、第1の期間の間第2のサセプタ24を加熱するようになっており、電子部品は、第2の期間の間稼働するようになっており、第1の期間と第2の期間は同時には発生しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリ(10)であって、
電磁誘導加熱装置(16)と、第1のサセプタとして機能することができる材料を有する電子部品(11)とを含み、前記電磁誘導加熱装置は、使用中に、第1の期間の間第2のサセプタを加熱するようになっており、前記電子部品は、第2の期間の間稼働するようになっており、前記第1の期間と前記第2の期間は同時には発生しない、加熱アセンブリ(10)。
【請求項2】
前記第1及び前記第2の期間は連続的であるようになっている、請求項1に記載のアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記第1の期間は少なくとも1回繰り返されるようになっており、且つ/又は前記第2の期間は少なくとも1回繰り返されるようになっている、請求項1又は2に記載のアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記第1の期間及び前記第2の期間のそれぞれが少なくとも1回繰り返されるようになっており、前記第1の期間と前記第2の期間が交互になっている、請求項3に記載のアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記第1又は前記第2の期間のうちの一方の開始から他方の期間の終了までの時間は、約0.05秒(s)~0.15秒になるようになっている、請求項1~4の何れか一項に記載のアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記電子部品は温度センサであり、前記温度センサは使用中、前記第2の期間の間前記第2のサセプタから生成された熱に関連した温度を監視するようになっている、請求項1~5の何れか一項に記載のアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記電磁誘導加熱装置(16)は、前記温度センサ(11)によって監視された温度に基づいて、前記第2のサセプタに供給される熱量を調節するようになっている、請求項6に記載のアセンブリ(10)。
【請求項8】
使用中、前記電磁誘導加熱装置(16)及び前記温度センサ(11)を制御するようになっているコントローラ(13)を更に含む、請求項6又は7に記載のアセンブリ(10)。
【請求項9】
前記コントローラ(13)は、使用中、前記温度センサ(11)によって監視される温度に基づいて、前記電磁誘導加熱装置(16)を制御するようになっている、請求項7又は8に記載のアセンブリ(10)。
【請求項10】
前記コントローラ(13)は、使用中、前記電磁誘導加熱装置に供給される電力量を調節するように構成されることにより、前記電磁誘導加熱装置(16)を制御するようになっている、請求項9に記載のアセンブリ(10)。
【請求項11】
前記コントローラ(13)は、前記温度センサによって監視される温度におけるノイズの検出を可能にするように、第3の期間に渡って前記温度センサ(11)によって監視された温度を平均するように構成されている、請求項8~10の何れか一項に記載のアセンブリ(10)。
【請求項12】
前記コントローラ(13)は更に、前記第3の期間中に監視された前記平均化された温度に基づいて、前記温度センサ(11)によって監視された温度中のノイズを検出し、且つ、監視温度中のノイズを低減するように、前記検出されたノイズに基づいて、前記温度センサによって監視された温度にフィルタを適用するように構成されている、請求項11に記載のアセンブリ(10)。
【請求項13】
使用中、前記電磁誘導加熱装置(16)及び前記電子部品(11)に電力を供給するようになっている電源(18)を更に含む、請求項1~12の何れか一項に記載のアセンブリ(10)。
【請求項14】
蒸気生成装置(1)であって、
請求項1~13の何れか一項に記載の電磁誘導加熱アセンブリ(10)と、
気化可能物質(22)及び電磁誘導加熱可能サセプタ(24)を備える物体(20)を収容するようになっている加熱コンパートメント(12)と、
前記加熱コンパートメントに空気を供給するようになっている吸気口(14)と、
前記加熱コンパートメントと連通している排気口(32)と、を含む、蒸気生成装置(1)。
【請求項15】
蒸気生成装置(1)において温度を監視する方法であって、
電磁誘導加熱装置を使用して、気化可能物質(22)及び電磁誘導加熱可能サセプタ(24)を備える物体(20)を電磁誘導加熱するステップと、
前記物体の温度を監視するステップと、を含み、
加熱するステップと監視するステップは同時には行われない、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、吸入用の蒸気を生成する物質を燃やすのではなく加熱する装置が、消費者に人気になってきている。
【0003】
そのような装置は、幾つかの異なる方式のうちの1つを使用して、物質に熱を提供することができる。そのような方式の1つは、素子を加熱するために電力が供給される加熱素子を単純に設けて、次いでその素子が物質を加熱して蒸気を生成するというものである。
【0004】
そのような蒸気生成を実現する1つの方法は、電磁誘導加熱方式を採用した蒸気生成装置を提供することである。そのような装置では、電磁誘導コイル(以降では、インダクタ及び電磁誘導加熱装置とも呼ばれる)が装置に設けられ、サセプタは蒸気生成物質を設けられる。ユーザが装置を作動させると電気エネルギーがインダクタに供給され、次いでこれにより、電磁(EM)場が発生する。サセプタは場と結合し、熱を生成し、この熱は物質に伝達され、物質が加熱されると蒸気が発生する。
【0005】
蒸気を生成するために電磁誘導加熱を使用すると、制御された加熱、ひいては制御された蒸気生成がもたらされる可能性がある。しかしながら、実際には、そのような方式は、蒸気生成物質において不適切な温度が知らないうちに生じることになり得る。これにより電力が浪費され、動作コストが高くつき、部品に損傷を与えるか又は蒸気生成物質の使用が非効率的になる恐れがあり、簡素で信頼性の高い装置を期待するユーザに不便をかけることがある。
【0006】
このことは、従来は、装置内の温度を監視することにより対処されてきた。適切な温度監視及び/又は制御も重要である、というのも、これにより、蒸気を生成するために使用される物質の過熱又は燃焼が防止されるからである。しかしながら、この監視された温度は信頼性が低く、実際に生成された温度を表してはおらず、そのような装置の信頼性を更に低減させていることが分かった。
【0007】
本発明は、上記の問題点のうちの少なくとも幾つかを緩和しようと務めるものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリが提供され、この加熱アセンブリは、電磁誘導加熱装置と、第1のサセプタとして機能することができる材料を有する電子部品とを含み、電磁誘導加熱装置は、使用中に第1の期間の間第2のサセプタを加熱するようになっており、電子部品は、第2の期間の間稼働するようになっており、第1の期間と第2の期間は同時には発生しない。
【0009】
電子部品と電磁誘導加熱装置を同時に動作させると、電子部品が適切に機能しなくなることがあることが分かった。これは、電磁誘導加熱装置が電子部品に干渉を引き起こすからである。言い換えると、電子部品は、電磁誘導加熱装置の使用中に電磁誘導加熱装置の動作によって引き起こされる励磁による干渉を受けやすいことがある。従って、電磁誘導加熱装置と電子部品を同時ではない期間に動作させることによって、電磁誘導加熱装置及び電子部品を、他方の機能に有害な影響を与えることなく、望む通りに機能させることができる。
【0010】
電子部品は、LEDインジケータか、フォトセンサ若しくは光センサなどの、加熱チャンバ内の消耗品、例えばカートリッジ若しくは電磁誘導加熱可能物体などの存在を検出するようになっているセンサか、電池モニターか、又は消耗品の使用時間数を検出するようになっているセンサ、であることがある。通常、電子部品は温度センサであり、この温度センサは使用中、第2の期間の間第2のサセプタから生成された熱に関連した温度を監視するようになっている。
【0011】
電磁誘導加熱装置によって生成されたEM場に起因する、温度を監視するために温度センサが使用されるときに温度センサによって出力される信号中のノイズの量は、電磁誘導加熱装置が動作しているときとは異なる時間帯に温度センサを動作させることによって、低減することができることが分かった。これにより、より高い水準の正確さ及び精度で温度を監視することが可能になり、監視された温度が実際に生成された温度をよりよく表すようにできる。これにより、装置の信頼性及び安全性が改善される、というのも、加熱によって生成される温度をより信頼性高く測定することができ、不適切な温度をより容易に且つより確実に取り扱うことができるからである。
【0012】
当然ながら、電磁誘導加熱装置と電子部品/温度センサとは、互いに別個の又は異なる部品であり得る。
【0013】
第1のサセプタ及び/又は第2のサセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、及びそれらの合金(例えば、ニッケルクロム)のうちの1つ又は複数を含むことがあるが、これらに限定はされない。サセプタの近傍に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされるのに起因して、サセプタが熱を生成することができる。
【0014】
第1の期間と第2の期間が重複しない一方で、これらの期間は、第1の期間と第2の期間の間にギャップがあるなど、任意の可能な態様で発生するようになっていてもよい。通常、第1の期間と第2の期間は連続的であるようになっている。
【0015】
「連続的」という用語は、理想的には第1と第2の期間の間にギャップ又は重複なく、一方が次のものに実質的に続くことを意味することを意図している。これにより、電磁誘導加熱アセンブリの周りの周辺温度の変動を回避することにより、又は第1の期間が終了した後の、第2の期間が開始する前若しくは第2の期間が終了した後の温度変化を引き起こす冷却を回避することにより、監視温度が、加熱の前又は加熱中に達する温度を表すようになる。特に、第1の期間中に電磁誘導装置がサセプタ(即ち、第2のサセプタ)を加熱することによって引き起こされるノイズの影響は、一旦加熱が停止すると非常に素早く減少するので、第1の期間と第2の期間との間のギャップ又は重複は、理想的にはできるだけ小さくすべきである、ということを突き止めている。それにも関わらず、実用的な実施形態は、これらの期間の間に小さな(例えば、第1及び第2の期間の一方又は両方の持続時間の最大で約10パーセント(%)までの、又は最大で約10ミリ秒(ms)までの)ギャップ又は重複を含むことがあり、それでもなお、本発明の目的のために連続的であるとみなされることがある。しかしながら、これらの期間の間のギャップ又は重複は、第1及び第2の期間の一方又は両方の持続時間の1%未満か、又は1ms未満であることが、最も好ましい。
【0016】
各期間は、ユーザによる電磁誘導加熱アセンブリの1度の使用において1回のみ発生することがある。しかしながら、通常は、第1の期間は少なくとも1回繰り返されるようになっており、且つ/又は第2の期間は少なくとも1回繰り返されるようになっている。これにより、複数のサイクルの加熱及び/又は温度監視が可能になる。これにより、第2の期間が繰り返されているときには、電磁誘導加熱アセンブリの使用全体に渡り温度の精度が改善され、第1の期間が繰り返されているときには、電磁誘導加熱アセンブリの使用中の温度の変動がより少なくなる。
【0017】
第1の期間及び第2の期間のそれぞれが少なくとも1回繰り返されるようになっており、第1の期間と第2の期間が交互になっていることが好ましい。これにより、監視温度が第1の期間中に達した温度を表す程度が向上し、加熱を適用したり適用しなかったりすることによって引き起こされる変動が更に低減される。
【0018】
第1の期間及び第2の期間の1つのサイクルは、任意の適切な期間の間継続することがある。通常は、第1又は第2の期間のうちの一方の開始から他方の期間の終了までの時間は、約0.05秒(s)~0.15秒になるようになっている。これにより、ユーザが電磁誘導加熱アセンブリを使用する可能性のある長さよりも1回のサイクルの長さを短く保つことにより、電磁誘導加熱アセンブリの使用に係るユーザの不便さが低減される。ユーザが電磁誘導加熱アセンブリを使用する可能性のある長さは、1回につき約1秒以上であることが予期される。更に、この期間は、温度監視のために十分な応答速度を保ち、同時に、電磁誘導加熱装置に効果的に温度を上昇させるのに十分な時間を与えることが分かった。これは、0.05sよりも短い時間は、温度を上昇させる能力に悪影響を与えることがあるが、0.15sよりも長い時間は、印加された熱に順応することにより温度監視に応答するときに実現することができる応答速度に悪影響を与えることがあるからである。
【0019】
第1の期間は第2の期間よりも長くなっていることがあり、又は第1の期間は第2の期間と同じ長さであることがあり、又は第1の期間は第2の期間よりも短くなっていることがある。第1の期間が第2の期間よりも長いことは有利である、というのも、これにより、加熱のためにより長い時間をかけることが可能になり、より高温が達成されるか、又は熱が広がって、加熱される体積全体に渡って温度がより均一になるからである。これにより、第2の期間中の熱損失の量も低減する。第1の期間と第2の期間が同じ長さであることは有利である、というのも、これは、電磁誘導加熱アセンブリの動作を単純にするからである。第1の期間が第2の期間よりも短いことは有利である、というのも、これにより、加熱に費やした時間の長さと比べて温度を監視するのにより長い時間をかけることができるからである。
【0020】
電磁誘導加熱装置によってもたらされる熱の量は、温度センサによって監視される温度とは無関係に決定されてもよい。しかしながら、通常は、電磁誘導加熱装置は、温度センサによって監視された温度に基づいて、サセプタ(即ち、第2のサセプタ)に供給される熱量を調節するようになっている。これにより、温度センサによって実行される監視をフィードバックとして用いることが可能になり、それによって、周辺温度若しくは局所温度の変動、又は電磁誘導加熱アセンブリが置かれている環境での様々な状態を考慮に入れて、加熱を調節できる。
【0021】
電磁誘導加熱アセンブリは、使用中、電磁誘導加熱装置及び温度センサを制御するようになっているコントローラを更に含むことがある。コントローラは、使用中、温度センサによって監視される温度に基づいて、電磁誘導加熱装置を制御するようになっていることがある。コントローラは、使用中、電磁誘導加熱装置に供給される電力量を調節するように構成されることにより、電磁誘導加熱装置を制御するようになっていることが好ましい。
【0022】
コントローラは、監視温度を記録し、且つ/又は保存し、且つ/又は監視温度に対する処理を実行することがある。通常、コントローラは、温度センサによって監視される温度におけるノイズの検出を可能にするように、第3の期間に渡って温度センサによって監視された温度を平均するように構成されている。ノイズ検出を可能にすることにより、温度を監視する際に温度センサによって生成される信号から更なるノイズを除去することができる。その後、これにより、監視温度の正確さ及び精度を向上させることが可能になる。好ましくは、コントローラは更に、第3の期間中に監視された平均化された温度に基づいて、温度センサによって監視された温度中のノイズを検出し、また、監視温度中のノイズを低減するように、検出されたノイズに基づいて、温度センサによって監視された温度にフィルタを適用するように構成されていることがある。
【0023】
電磁誘導加熱アセンブリの部品は、任意の適切な態様で給電されることがある。通常、電磁誘導加熱アセンブリは、使用中、電磁誘導加熱装置及び温度センサに電力を供給するようになっている電源を更に含む。これにより、電磁誘導加熱アセンブリが外部からの電力供給無しで動作することが可能になる。
【0024】
電磁誘導加熱装置は、電磁誘導による加熱をもたらすのに適切な任意の形態で提供されることがある。通常、電磁誘導加熱装置は電磁誘導加熱コイルである。これにより、規則的で予測可能な形状のEM場が生成可能になり、より予測可能な量の加熱をより制御可能な態様で供給することが可能になる。
【0025】
温度センサは、電磁誘導コイルの軸心、又は電磁誘導コイルの外側の位置に配置されることがある。しかしながら、通常、温度センサは電磁誘導コイルの軸方向端部と電磁誘導コイルの中心との間に配置され、好ましくは電磁誘導コイルの中心縦軸上に配置される。好ましくは、温度センサは電磁誘導コイルの軸方向端部に配置されることがある。温度センサをこの位置に配置することにより、温度を正確に測定する能力と、温度センサによって生成される信号中のノイズの低減との間に適切なバランスが達成されることが分かった。電磁誘導コイルの軸方向端部を越えて温度センサを移動させると、温度センサによって生成される信号中のノイズが減少するが、温度測定の正確さが低下する、というのも、熱が生成される位置から温度センサが遠くなるからである。一方、温度センサを電磁誘導コイルの軸心に配置することにより、ノイズの量は増加するが、測定された温度が、加熱によって引き起こされた温度を表す可能性が高くなる。
【0026】
アセンブリは、使用中、最高密度の地点において約0.5T~約2.0Tの間の磁束密度を有する変動電磁場を伴って動作するようになっていることがある。
【0027】
電源及び回路は、高周波で動作するように構成されていることがある。好ましくは、電源及び回路は、約80kHz~500kHzの間、好ましくは約150kHz~250kHzの間、より好ましくは約200kHzの周波数で動作するように構成されていることがある。
【0028】
電磁誘導コイルは、任意の適切な材料を含むことがあるが、通常は、電磁誘導コイルはリッツ線又はリッツケーブルを含むことがある。
【0029】
第2の態様によれば、蒸気生成装置が提供され、この蒸気生成装置は、先行する請求項の何れか一項による電磁誘導加熱アセンブリと、気化可能物質及び電磁誘導加熱可能サセプタを備える物体を収容するようになっている加熱コンパートメントと、加熱コンパートメントに空気を供給するようになっている吸気口と、加熱コンパートメントと連通している排気口と、を含む。電磁誘導加熱可能サセプタは、上記で言及した「第2のサセプタ」であり得ることが意図されている。
【0030】
気化可能物質は、任意のタイプの固体又は半固体の材料である。蒸気生成固体のタイプの例としては、粉末、顆粒、ペレット、断片、ストランド、多孔質材料又はシート、が挙げられる。物質は、植物由来の材料を含むことがあり、特に、物質はタバコを含むことがある。
【0031】
好ましくは、気化可能物質はエアロゾル形成剤を含むことがある。エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。通常、気化可能物質は、乾燥重量ベースで約5%~約50%の間のエアロゾル形成剤含有率を含むことがある。好ましくは、気化可能物質は、乾燥重量ベースで約15%のエアロゾル形成剤含有率を含むことがある。
【0032】
また、気化可能物質は、エアロゾル形成剤そのものであり得る。この場合、気化可能物質は液体であり得る。また、この場合、物体は液体保持物質(例えば、繊維の束、セラミックなどの多孔質材料、等)を有することがあり、この液体保持物質は、加熱器などの気化器によって気化されることになる液体を保持し、ユーザによる吸入のために、液体保持物質から排気口に向けて蒸気が形成され放出/放射されるようにする。
【0033】
加熱すると、気化可能物質は揮発性化合物を放出することがある。揮発性化合物は、ニコチン、又はタバコ香味料などの香味化合物を含むことがある。
【0034】
物体は、使用中、通気性シェルの内部に気化可能物質を含むカプセルであることがある。通気性材料は、電気絶縁性で非磁性の材料であり得る。この材料は、高い通気性を有し、高温に対する耐性を備えたこの材料を通して空気が流れるのを可能にすることができる。適切な通気性材料の例としては、セルロース繊維、紙、綿、及び絹が挙げられる。通気性材料は、フィルタとしても作用することがある。或いは、物体は、紙に包まれた気化可能物質であり得る。或いは、物体は、通気性ではないが、空気が流れるようにするための適切な穿孔又は開口部を備える材料の内側に保持された気化可能物質であり得る。或いは、物体は、気化可能物質そのものであり得る。物体は、実質的に棒状に形成されることがある。
【0035】
第3の態様によれば、蒸気生成装置内の温度を監視する方法が提供され、この方法は、電磁誘導加熱装置を使用して、気化可能物質及び電磁誘導加熱可能サセプタを備える物体を電磁誘導加熱するステップと、この物体の温度を監視するステップと、を含み、加熱するステップと監視するステップは同時には行われない。電磁誘導加熱可能サセプタは、上記で言及した「第2のサセプタ」であり得ることが意図されている。
【0036】
電磁誘導加熱アセンブリの例を、添付の図を参照しながら、以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図2】
図1に示した例による蒸気生成装置の分解図を示す。
【
図3】更なる例示的な蒸気生成装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここで、蒸気生成装置の例について説明する。これには、例示的な電磁誘導加熱アセンブリ及び例示的な電磁誘導加熱可能カートリッジの説明が含まれる。蒸気生成装置内の温度を監視する例示的な方法についても説明する。
【0039】
ここで
図1及び
図2を参照すると、例示的な蒸気生成装置が、
図1では組み立てられた構成で、
図2では組み立てられていない構成で、1で一般的に示される。
【0040】
例示的な蒸気生成装置1は、手持ち式の装置であり(これは、ユーザが片手で補助なしで保持及び支持できる装置を意味することを意図している)、この手持ち式装置は電磁誘導加熱アセンブリ10、電磁誘導加熱可能カートリッジ20、及びマウスピース30を有する。蒸気は、カートリッジが加熱されたときにカートリッジによって放出される。従って、電磁誘導加熱アセンブリを使用して電磁誘導加熱可能カートリッジを加熱することで、蒸気が生成される。その後、ユーザはマウスピースにおいて蒸気を吸い込むことができる。
【0041】
この例では、ユーザは、カートリッジが加熱されると、電磁誘導加熱可能カートリッジ20の中又はその周りを通ってマウスピース30から出るように装置1に空気を引き込むことで、蒸気を吸い込む。これは、カートリッジを電磁誘導加熱アセンブリ10の一部によって画定される加熱コンパートメント12の中に配置し、このコンパートメントが、デバイスが組み立てられたときに、アセンブリ内に形成される吸気口14及びマウスピース内の排気口32とガス接続することで達成される。これにより、負圧を印加することで装置を通じて空気を引き込むことが可能になり、負圧は通常、ユーザが排気口から空気を吸い込むことで生成される。
【0042】
カートリッジ20は、気化可能物質22及び電磁誘導加熱可能サセプタ24を含む物体である(このサセプタは、上記で言及した「第2のサセプタ」であり得ることが意図されている)。この例では、気化可能物質は、タバコ、湿潤剤、グリセリン、及びプロピレングリコールのうちの1つ又は複数を含む。サセプタは、導電性の複数のプレートである。この例では、カートリッジは気化可能物質及びサセプタを包含するための層又は膜26も有し、この層又は膜は通気性である。他の例では、膜は存在しない。
【0043】
上述のように、電磁誘導加熱アセンブリ10を使用してカートリッジ20を加熱する。アセンブリは、電磁誘導コイル16及び電源18の形態での電磁誘導加熱装置を含む。電源及び電磁誘導コイルは、これら2つの部品間で電力を選択的に伝送することができるように、電気的に接続されている。
【0044】
この例では、電磁誘導コイル16は実質的に円筒形であり、その結果、電磁誘導加熱アセンブリ10の形状もまた実質的に円筒形である。加熱コンパートメント12は、電磁誘導コイルの半径方向内側に画定され、底部が電磁誘導コイルの軸方向の端部にあり、側壁が電磁誘導コイルの半径方向の内側の周りにある。加熱コンパートメントは、底部に対して電磁誘導コイルの反対側の軸方向端部で開いている。蒸気生成装置1が組み立てられると、この開口部はマウスピース30によって覆われ、排気口32の開口部が、加熱コンパートメントの開口部に位置する。図に示した例では、吸気口14は、加熱コンパートメントの底部にある加熱コンパートメントへの開口部を有する。
【0045】
温度センサ11はまた、加熱コンパートメント12の底部にも配置される。従って、温度センサは、加熱コンパートメントの内部に、加熱コンパートメントの底部と同じ電磁誘導コイル16の軸方向端部に配置される。これは、カートリッジ20が加熱コンパートメントに配置されたとき、且つ、蒸気生成装置1が組み立てられたとき(言い換えると、蒸気生成装置が使用中であるか又は使用の用意が整っているとき)、カートリッジは温度センサの周りで変形する、ということを意味する。これは、この例では、温度センサは、その大きさ及び形状のおかげで、カートリッジの膜26に穴を開けないからである。
【0046】
温度センサ11は、電磁誘導加熱アセンブリ10内部に配置されたコントローラ13と電気的に接続される。コントローラは、電磁誘導コイル16及び電源18にやはり電気的に接続され、また、使用中に、電磁誘導コイル及び温度センサのそれぞれにいつ電源から電力を供給すべきかを判断することで、電磁誘導コイル及び温度センサの動作を制御するように適合されている。
【0047】
上述のように、蒸気を生成するために、カートリッジ20が加熱される。これは、電磁誘導コイル16への電源18によって供給される直流電流から変換された交流電流によって、達成される。電流は、電磁誘導コイルを通って流れ、コイルの近傍の領域に制御されたEM場を生成する。生成されたEM場は、外部サセプタ(この場合には、カートリッジのサセプタプレート)がEMエネルギーを吸収して熱に変換するためのソースを提供し、それによって、電磁誘導加熱が達成される。
【0048】
より詳細には、電力を電磁誘導コイル16に供給することで、電流が電磁誘導コイルを通過するようになり、EM場が生成される。上述のように、電磁誘導コイルに供給される電流は交流(AC)電流である。これにより、カートリッジ内部で熱が生成される、というのも、カートリッジが加熱コンパートメント12の中に配置されると、サセプタプレートが、図に示すように電磁誘導コイル16の半径と(実質的に)平行に配置されるか、又は少なくとも電磁誘導コイルの半径に平行な長さ成分を持つことが意図されているからである。従って、カートリッジが加熱コンパートメント内に配置されている間にAC電流が電磁誘導コイルに供給されると、サセプタプレートの配置により、各サセプタプレートと電磁誘導コイルによって生成されたEM場とが結合するので、各プレート内で渦電流が引き起こされる。これにより、電磁誘導によって各プレートで熱が発生する。
【0049】
カートリッジ20のプレートは、この例では各サセプタプレートと気化可能物質との直接的な又は間接的な接触によって、気化可能物質22と熱的に連通している。これは、サセプタ24が電磁誘導加熱アセンブリ10の電磁誘導コイル16によって電磁誘導的に加熱されると、熱がサセプタ24から気化可能物質22に伝達されて気化可能物質22が加熱され、蒸気が発生することを意味する。
【0050】
温度センサ11が使用中の場合、温度センサは表面で温度を測定することで温度を監視する。各温度測定値は電気信号の形態でコントローラ13に送信される。その後、ステップ103で、コントローラは電気信号を処理して、サセプタから発生した熱に関係した温度情報を取得することができる。この例では、温度情報には、監視温度、カートリッジ20の表面温度(上述のように、これは監視温度であり得る)、又は温度の変化率のうちの1つ又は複数が含まれる。
【0051】
蒸気生成装置1が使用中である場合、電磁誘導加熱アセンブリ10によってもたらされる電磁誘導加熱と、温度センサ11によってもたらされる温度監視とは、例示的な方法に従って実施される。
【0052】
例示的な方法によれば、蒸気生成装置1が使用中であるとき、電磁誘導加熱が第1の期間の間もたらされ、温度監視が第2の期間の間実行される。第1と第2の期間は同時には発生しない。その代わり、第1と第2の期間は異なる時間におこり、第2の期間は第1の期間の後に続き、第1の期間は繰り返しのサイクルの中で第2の期間に続き、これが、気化可能物質22の制御された加熱をもたらすために温度監視が必要である加熱セッションが持続する時間の間行われる。異なる例では、加熱セッションは1回のパフ(即ち、マウスピース上でのユーザによる1回の吸入)の持続時間の間のみ続くことがあり、或いは、代替的な例では、複数回のパフの間続くことがあり、且つ、1つ又は複数の加熱フェーズ及び1つ又は複数の維持フェーズを含むことがあり、且つ、異なる目標温度間の遷移、又は他の同様の遷移を含むことがある。
【0053】
一方の期間(第1又は第2の期間のいずれか)の開始から他方の期間(第1又は第2の期間のうちの他方)の終了までの各サイクルの持続時間は、約0.05秒~約0.15秒である。異なる例では、第2の期間は、第1の期間と同じ長さであるか、第1の期間より短いか、又は長い。
【0054】
更なる例では、温度が監視されるのみならず、コントローラは、温度センサ13によって監視される温度に基づいて、電磁誘導コイル16に供給される電力の量を調節する。これは、例えば、カートリッジ20を加熱しようとする所定の温度が存在する場合に、あてはまる。その後、コントローラは、所定の温度と監視された温度との間の差に基づいて、電磁誘導コイルに供給される電力の量を増加又は減少させて、この差をできる限り減らす。
【0055】
同様の例では、新しい使用セッションにおいて、装置1の始動時に所定の期間の間加熱が適用される。その後、温度センサ13を使用して温度を監視する。コントローラは、監視された温度をルックアップチャートと照らし合わせ、周辺温度若しくはカプセルの状態を補償するように、又は使用セッションを停止する(例えば、所定の温度変化率によって、カプセルの所定の量に及ぶそれまでの使用が検出された場合など)ように、加熱プロファイルを調節する(電磁誘導コイル16に供給される電力の量を調節して、もたらされる加熱の量を調節する)。これにより、使用される電力量が減少する、というのも、通常、提供が可能である最大の電力量が始動時に適用されるからである。しかしながら、これは過熱又は燃焼という最も大きな危険を引き起こすので、そのような状況での監視により安全性が向上し、装置の部品に損傷を与える可能性が低減される。
【0056】
更に別の例では、コントローラ13は温度センサ11によって提供される一連の温度測定値を平均し、この一連の温度測定値は第1の期間及び第2の期間とは無関係の第3の期間に渡って取得される。その後、平均化された温度はノイズ検出で使用され、このノイズ検出により、平均化された温度から検出されたノイズに基づいて電気信号からノイズを除去する(即ち、取り除く)か、且つ/又は信頼性の低い若しくは異常な温度測定値を特定して破棄若しくは無視することが可能になる。
【0057】
図3は、更なる例示的な蒸気生成装置1を示す。この更なる例では、蒸気生成装置は
図1及び
図2に示した蒸気生成装置とほぼ同じ特徴を有する。従って、例示的な蒸気生成装置1は手持ち式装置であり、この装置は電磁誘導加熱アセンブリ10、電磁誘導加熱可能カートリッジ(気化可能物質22、電磁誘導加熱可能サセプタ24、及びこの例では膜26を含む)、並びにマウスピース30を有する。
【0058】
この例の蒸気生成装置1は、
図1及び
図2に関連して上述したのと同じ態様で機能する。従って、使用中、空気は吸気口14を通ってカートリッジを収容する加熱コンパートメントに入り、マウスピース30内の排気口32から出てユーザへと吸入される。
【0059】
上述のように、電磁誘導加熱アセンブリ10を使用してカートリッジを加熱する。アセンブリは、電磁誘導コイル16及び電源18の形態での電磁誘導加熱装置を含む。電源及び電磁誘導コイルは、これら2つの部品間で電力を選択的に伝送することができるように、電気的に接続されている。
【0060】
図3に示す例では、温度センサは示されていない。しかしながら、温度センサが存在し、
図1及び
図2に示す例に関連して説明したように機能することがある。
【0061】
図3に示す例では、電子部品50がある。これは、マウスピース30が加熱コンパートメントと接触する場所である加熱コンパートメントの壁に接して、加熱アセンブリの加熱コンパートメント内に配置されるインジケータである。従って、これは電磁誘導コイル16の端部に、マウスピースに近接して配置される。これは、電磁誘導コイルがEM場を生成したとき、この電子部品はそのEM場内に位置する、ということを意味する。
【0062】
例によっては、電子部品50は残りの電池寿命を監視するように構成されている。他の例では、この電子部品は、気化可能材料の残りの体積に相当する、装置から利用可能な蒸気の残りの吸入回数を監視することなどによって、カートリッジの残りの寿命を監視するように構成されている。更なる例では、この電子部品は、加熱コンパートメントにカートリッジがあるかどうかを検出するように構成されている。
【0063】
電子部品50は、EM場に曝されたときにサセプタとして機能することができる材料を含む。これにより、電子部品が、電磁誘導コイル16によって生成されるEM場への露出により、電磁誘導コイル16が動作しているときに動作する場合に予期される態様とは異なる態様で動作することが分かった。これは、EM場が、サセプタとして機能することができる電子部品の材料内で干渉を引き起こすからである。なお、この文脈では、電子部品がサセプタ(即ち、「第1のサセプタ」)として機能することができる材料を含むと言う場合、この材料が有意な熱を生成するということを必ずしも意味するのではなく、単に、この材料は、電磁場の影響の受けやすさのせいで、電磁場の影響を受けたときに、電子部品を変更された(一般的にはより最適ではない)態様で振る舞わせることがある電磁誘導コイルによって生成された電磁場によって、幾分か影響を受けることがあることを意味する。従って、
図3に示した蒸気生成装置1が使用中である場合、電子部品と電磁誘導コイルは、同時ではない期間に動作させられる。これは、電子部品はEM場が生成されていないときにだけ動作することを意味し、それによって干渉は発生しないことを意味する。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気生成装置用の電磁誘導加熱アセンブリ(10)であって、
電磁誘導加熱装置(16)と、第1のサセプタとして機能することができる材料を有する電子部品(11)とを含み、前記電磁誘導加熱装置は、使用中に、第1の期間の間第2のサセプタを加熱するようになっており、前記電子部品は、第2の期間の間稼働するようになっており、前記第1の期間と前記第2の期間は同時には発生しない、加熱アセンブリ(10)。
【外国語明細書】