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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109810
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】進行方向表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/31 20180101AFI20240806BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240806BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20240806BHJP
   B60Q 1/38 20060101ALI20240806BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20240806BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240806BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20240806BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20240806BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240806BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20240806BHJP
【FI】
F21S43/31
F21S43/14
B60Q1/34 Z
B60Q1/38 B
B60Q1/38 Z
B60Q1/00 G
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y115:30
F21W103:60
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024083944
(22)【出願日】2024-05-23
(62)【分割の表示】P 2023025357の分割
【原出願日】2018-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸上 勝博
(72)【発明者】
【氏名】杉山 寿紀
(72)【発明者】
【氏名】國井 康彦
(72)【発明者】
【氏名】槌谷 裕志
(72)【発明者】
【氏名】清水 豪
(72)【発明者】
【氏名】田古里 眞嘉
(72)【発明者】
【氏名】川路 龍也
(57)【要約】
【課題】光の利用効率が良好であり、単純な構成で、複雑なパターンを表示可能な安価な進行方向表示装置を提供する。
【解決手段】集光マーク400を表示する光学装置100を備えた進行方向表示装置600であって、光源110と、光源110から出射された光を照射面301に集光させる光学素子と、を備え、光学素子の偏向面は複数の領域に分割されており、光学素子の偏向面上の各領域を介して出射される光は、照射面301上に偏向面の各領域に対応する部分照射像を形成し、各部分照射像が組み合わされて少なくとも一つの集光マーク400が照射面に形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光マークを表示する進行方向表示装置であって、
光源と、
前記光源から出射された光を照射面上に集光マークの形に集光させる光学素子と、を有し、
車両に搭載された灯具コントローラは、前記光源の点灯、消灯、または点滅を制御し、
前記光学素子の光を集光させる面である偏向面は、複数の領域に分割されており、
前記光学素子の偏向面上の各領域を介して出射される光は、前記照射面上に前記偏向面上の各領域に対応した部分照射像を形成し、前記各部分照射像が組み合わされて少なくとも一つの前記集光マークが前記照射面に形成され、
分割された個々の領域は、それぞれ、前記照射面上に異なる部分照射像を形成し、
前記部分照射像の形が直線状で、それぞれ直線の傾きが異なり、
前記光学素子は、前記光源から出射された光を前記照射面上の特定の領域に集光させ、前記照射面上に照射像を形成するものである
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の進行方向表示装置であって、
前記照射面は、前記光学素子から有限の距離に存在する
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の進行方向表示装置であって、
前記光学素子は、前記光源から出射された光を反射するリフレクタであり、
前記偏向面は、前記リフレクタの反射面である
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の進行方向表示装置であって、
前記光学素子は、前記光源から出射された光を入射し、出射面から出射するレンズであり、
前記偏向面は、前記レンズの出射面および入射面の少なくとも一方である
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【請求項5】
請求項1記載の進行方向表示装置であって、
前記偏向面上の各領域は、前記偏向面を介して出射される光を前記照射面に集光する自由曲面形状を有する
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【請求項6】
請求項1記載の進行方向表示装置であって、
前記集光マークは、特定の意図を表すマークである
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【請求項7】
請求項1記載の進行方向表示装置であって、
前記集光マークは、方向を示す形状を有する
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【請求項8】
請求項6記載の進行方向表示装置であって、
前記集光マークは、矢じり形状である
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【請求項9】
請求項6記載の進行方向表示装置であって、
前記集光マークは、矢印である
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【請求項10】
請求項1記載の進行方向表示装置であって、
前記光学素子の偏向面が複数の異なる自由曲面形状の領域を有する
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【請求項11】
請求項1記載の進行方向表示装置であって、
前記光源と異なる第2の光源をさらに有し、
前記第2の光源から出射されて前記偏向面の各領域を介して出射される第2の光が、前
記照射面上に形成する部分照射像を組み合わせて前記集光マークの照射面の位置と異なる
照射面の位置に第2の集光マークを形成し、
前記第2の集光マークは、特定の形状を有している
ことを特徴とする進行方向表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進行方向表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載され、車両の前方等の周辺の路面に進路情報等の所定形状のパター
ンを表示する技術がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、「道路の幅方向である第1方向に長く、道路の幅方向及び光
源の出射軸の双方に直交する方向である第2方向に短い描画パターンを前記第2方向に沿
って道路上の複数箇所に描画するように、それぞれの描画パターンに対応する複数の光源
が配列され、それぞれの光源が独立して点消灯可能に形成された光源モジュールと、前記
光源からの出射光を車両の前方に出射する光学系と、を備えるようにした(要約抜粋)」
路面描画用灯具ユニットが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、「車体前後部に設けた方向指示灯に連動して点滅する補助方向
指示灯を、フロントバンパーおよびリヤバンパーの下面に設けて路面を照射する(要約抜
粋)」車両の路面照射装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、「光源である少なくとも一以上の半導体発光素子と、それぞれ
異なる形状を有し、半導体発光素子からの出射光を車両の前方に透過させる複数の回折格
子部と、前記出射光を透過させる回折格子部を切り替える切替手段と、を有する(要約抜
粋)」路面描画用灯具ユニットが開示されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、「車速センサ、ステアリングセンサ、方向指示器検出センサ
から取得される各情報に基づいて、車両が進行方向にある交差点において、特に車両の進
入が禁止される進入禁止道路へと進入することが予測された場合に、警告マークを車両進
行方向の路面に描画するように構成する(要約抜粋)」描画システムが開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、「ヘッドライト、プロジェクタ及び光取り出し口を有し、プロ
ジェクタは、プロジェクタ機能時には、ヘッドライトから光取り出し口に至る光路中に配
置され、形成された光学像をスクリーンに投影し、ヘッドライト機能時には、ヘッドライ
トから光取り出し口に至る光路を遮らない位置に配置され、路上の所定の範囲を照明する
(要約抜粋)」車両用の投射装置が開示されている。
【0008】
また、特許文献6には、「車体の外周部に配置されると共に光源として点在して配置さ
れた複数の発光ダイオードを用い、点灯時に標識として機能する所定の表示を路面に投影
する(要約抜粋)」車輌用灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016-107761号公報
【特許文献2】特開平11-301346号公報
【特許文献3】特開2016-135629号公報
【特許文献4】特開2008-04587号公報
【特許文献5】特開2004-136838号公報
【特許文献6】特開2010-262889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような表示装置は、単純な構造で、所望のパターンを表示できるものが望ましい。
さらに、矢印等のマークを表示することで周囲に行動の意思を伝達する事が出来、自動車
事故に対する安全性向上につながる。例えば、特許文献1や特許文献2に開示の技術では
、光源とリフレクタとのみで路面に他車両等に注意を促すマークを表示する。これらの技
術によれば、円、楕円、四角形等単純なマークは表示できるが、矢印等の複雑なマークの
表示は困難である。従って、例えば、車両に搭載して用いる場合、進行予定方向を表示で
きない。
【0011】
特許文献3に開示の技術では、回析格子部を切り替えたり、点灯させる半導体発光素子
を切り替えたりすることにより、異なる形状の描画パターンを路面等に描画している。こ
の構成も、複雑なマークの表示は困難である。また、複雑な機構、複雑な制御が必要とな
る。さらに、発光させる半導体発光素子を切り替えて実現する場合、多数の半導体発光素
子が必要となる。
【0012】
特許文献4においては、レーザ描画装置をマークの描画に利用する技術が開示されてい
る。特許文献4に開示の技術では、複雑なマークの表示は可能であるが、レーザを照射す
るヘッドを動作させるために複雑な機構が必要であり、摺動部の消耗も激しい。
【0013】
特許文献5においては、液晶プロジェクタをマークの描画に利用する技術が開示されて
いる。液晶プロジェクタでは光源と液晶バルブで液晶バルブ上に所望のマークの形の二次
光源を作成し、光学系で二次光源を投射しマークを路面に描画している。この技術では、
複雑なマークの表示は可能である。しかし、液晶バルブは光透過率が低く、さらに液晶バ
ルブでは液晶バルブ内のマーク以外の領域の光を遮蔽することにより所望のマークの二次
光源を作成しているためさらに光利用効率が悪くなる。また、光源、液晶バルブのほか、
直進光生成光学系、投射光学系という複数の光学系が必要であり、複雑な構造が必要にな
る。なお、液晶バルブの代わりにDMD(Digital Micromirror D
evice)や、マークの形状をした金属マスクを二次光源作成に利用することも可能で
あるが、これらの場合も、マーク以外の領域の光を遮蔽することに変わりはなく、光利用
効率は悪く、また光源からの光をDMDや金属マスクに導く光学系、さらに投射光学系が
必要であり、複雑な構造が必要になることに変わりはない。
【0014】
特許文献6に開示の技術では、複数の発光ダイオードが必要であるためコストが高くな
る。また、複数の発光ダイオードを制御するために、複雑な機構、制御が必要になる。ま
た、複数の発光ダイオードで1つマークを表示するためマークの解像度が悪い。
【0015】
その他の技術として、例えば、所望のマークを表示させるため、当該マークの形状にあ
わせて光源を作成する技術がある。しかしながら、マークの形状に合わせて光源を作成す
る場合、コストが高くなる。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、光の利用効率が良好であり、単純な構成
で、複雑なパターンを表示可能な安価な進行方向表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、集光マークを表示する進行方向表示装置であって、光源と、前記光源から出射された光を照射面上に集光マークの形に集光させる光学素子と、を有し、車両に搭載された灯具コントローラは、前記光源の点灯、消灯、または点滅を制御し、前記光学素子の光を集光させる面である偏向面は、複数の領域に分割されており、前記光学素子の偏向面上の各領域を介して出射される光は、前記照射面上に前記偏向面上の各領域に対応した部分照射像を形成し、前記各部分照射像が組み合わされて少なくとも一つの前記集光マークが前記照射面に形成され、分割された個々の領域は、それぞれ、前記照射面上に異なる部分照射像を形成し、前記部分照射像の形が直線状で、それぞれ直線の傾きが異なり、前記光学素子は、前記光源から出射された光を前記照射面上の特定の領域に集光させ、前記照射面上に照射像を形成するものであることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記進行方向表示装置において、前記照射面は、前記光学素子から有限の距離に存在することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光の利用効率が良好で、安価に、単純な構成で、複雑なパターンを表
示できる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明
らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)は、第一の実施形態の光学装置の利用例を説明するための説明図であり、(b)は、(a)のB部拡大図である。
図2】(a)は、第一の実施形態の光学装置の構成図であり、(b)は、(a)のA-A’断面図である。
図3】第一の実施形態の光学装置の構成を説明するために用いる座標系を説明するための説明図である。
図4】(a)~(d)は、第一の実施形態のリフレクタの反射面の有効領域と光源との位置関係を説明するための説明図である。
図5】第一の実施形態のリフレクタの反射面の第一領域の有効領域の点列データである。
図6】第一の実施形態のリフレクタの反射面の第二領域の有効領域の点列データである。
図7】(a)は、第一の実施形態のリフレクタの反射面の第一領域による照射像のシミュレーション結果を、(b)は、第一の実施形態のリフレクタの反射面の第二領域による照射像のシミュレーション結果を、(c)は、第一の実施形態のリフレクタの反射面による照射像のシミュレーション結果を、それぞれ示す図である。
図8】(a)は、第二の実施形態の光学装置の構成図であり、(b)は、(a)のA-A’断面図である。
図9】第二の実施形態の光学装置の構成を説明するために用いる座標系を説明するための説明図である。
図10】(a)~(d)は、第二の実施形態のレンズの出射面の有効領域と光源との位置関係を説明するための説明図である。
図11】第二の実施形態のレンズの出射面の第一領域の有効領域の点列データである。
図12】第二の実施形態のレンズの出射面の第二領域の有効領域の点列データである。
図13】(a)は、第二の実施形態のレンズの出射面の第一領域による照射像のシミュレーション結果を、(b)は、第二の実施形態のレンズの出射面の第二領域による照射像のシミュレーション結果を、(c)は、第二の実施形態のレンズの出射面による照射像のシミュレーション結果を、それぞれ示す図である。
図14】(a)は、第三の実施形態の進行方向表示装置による進行予定方向表示の概要を説明するための説明図であり、(b)は、各光学装置の配置位置および表示内容を示す表である。
図15】第三の実施形態の進行方向表示装置の制御系の構成図である。
図16】第三の実施形態における死角例を説明するための説明図である。
図17】第三の実施形態の灯具コントローラの機能ブロック図である。
図18】第三の実施形態の灯具コントローラによる点灯制御処理のフローチャートである。
図19】第三の実施形態の第一前進用光学装置による照射像のシミュレーション結果を示す図である。
図20】(a)~(d)は、第三の実施形態の第二前進用光学装置のリフレクタの反射面の有効領域と光源との位置関係を説明するための説明図である。
図21】第三の実施形態の第二前進用光学装置のリフレクタの反射面の第一領域の有効領域の点列データである。
図22】第三の実施形態の第二前進用光学装置のリフレクタの反射面の第二領域の有効領域の点列データである。
図23】第三の実施形態の第二前進用光学装置による照射像のシミュレーション結果を示す図である。
図24】(a)~(d)は、第三の実施形態の第一右折用光学装置のリフレクタの反射面の有効領域と光源との位置関係を説明するための説明図である。
図25】第三の実施形態の第一右折用光学装置のリフレクタの反射面の第一領域の有効領域の点列データである。
図26】第三の実施形態の第一右折用光学装置のリフレクタの反射面の第二領域の有効領域の点列データである。
図27】(a)は、第三の実施形態の第一右折用光学装置による照射像のシミュレーション結果を示す図であり、(b)は、第三の実施形態の第二右折用光学装置による照射像のシミュレーション結果を示す図である。
図28】(a)~(d)は、第三の実施形態の第二右折用光学装置のリフレクタの反射面の有効領域と光源との位置関係を説明するための説明図である。
図29】第三の実施形態の第二右折用光学装置のリフレクタの反射面の第一領域の有効領域の点列データである。
図30】第三の実施形態の第二右折用光学装置のリフレクタの反射面の第二領域の有効領域の点列データである。
図31】(a)~(f)は、第三の実施形態の進行方向表示装置による表示例のシミュレーション結果である。
図32】変形例1の光学装置の構成を説明するために用いる座標系を説明するための説明図である。
図33】(a)~(d)は、変形例1のリフレクタの反射面の有効領域と光源との位置関係を説明するための説明図である。
図34】変形例1のリフレクタの反射面の第一領域の有効領域の点列データである。
図35】変形例4のリフレクタの反射面の第二領域の有効領域の点列データである。
図36】変形例1のリフレクタの反射面の第三領域の有効領域の点列データである。
図37】(a)は、変形例1のリフレクタの反射面の第一領域による照射像のシミュレーション結果を、(b)は、変形例1のリフレクタの反射面の第二領域による照射像のシミュレーション結果を、(c)は、変形例1のリフレクタの反射面の第三領域による照射像のシミュレーション結果を、(d)は、変形例1のリフレクタの反射面による照射像のシミュレーション結果を、それぞれ示す図である。
図38】(a)~(d)は、変形例2のリフレクタの反射面の有効領域と光源との位置関係を説明するための説明図である。
図39】変形例2のリフレクタの反射面の第一領域の有効領域の点列データである。
図40】変形例2のリフレクタの反射面の第二領域の有効領域の点列データである。
図41】変形例2のリフレクタの反射面による照射像のシミュレーション結果を、それぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明する
ための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省
略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際
に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
【0022】
<第一の実施形態>
本発明の第一の実施形態の光学装置を説明する。図1(a)および図1(b)に、本実
施形態の光学装置100の利用例を示す。図1(a)は、本実施形態の光学装置100が
搭載された車両200の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の破線で囲まれた領域
Bの拡大図である。
【0023】
図1(a)および図1(b)に示すように、本実施形態の光学装置100は、例えば、
車両200に搭載され、所定の高さから、車両200の前方等の周辺の路面300等に、
照射像(集光パターン、集光マーク)400を形成する。なお、本実施形態の光学装置1
00は、車載に限定されない。
【0024】
[光学装置]
図2(a)および図2(b)は、本実施形態の光学装置100の構成図である。図2
a)は、本実施形態の光学装置100の正面図であり、図2(b)は、図2(a)のA-
A’断面図である。
【0025】
ここでは、図示するように、図2(a)の図中左右方向を、左右方向、図中上下方向を
上下方向、図2(b)の図中左右方向を前後方向、上下方向を上下方向として説明する。
それぞれ、上方(Up)、下方(Dw)、前方(Fr)、後方(Bk)、左方(Le)、
右方(Ri)と呼ぶ。
【0026】
本実施形態の光学装置100は、基板111と、光源(LED)110と、リフレクタ
120と、支持部材130と、カバー140と、ボディ150と、点灯制御回路160と
、を備える。
【0027】
ボディ150は、前方に開口部を有する、例えば、箱型の形状を有する。カバー140
は、光透過性を有し、ボディ150の開口部を閉塞するよう設けられる。後述するリフレ
クタ120で反射された光は、カバー140を通して光学装置100の外部に出射される
【0028】
光源110は、例えば、LED(Light Emitting Diode)が用い
られ、支持部材130の上に設けられた基板111の上に実装される。光源110には、
光源は、LEDに限定されない。例えば、有機EL(Electro Luminesc
ence)、無機EL、レーザ、電球であってもよい。基板111は、例えば、支持部材
130の左右方向の略中央であって、前方先端部近傍に配置される。
【0029】
リフレクタ120は、所定の位置に配置された光源110から出射された光を所定面(
照射面)上の特定の領域に集光させ、当該照射面上に照射像を形成する光学素子である。
照射面は、例えば、図1(b)に示すように、光学装置100が車両200に搭載される
場合、当該車両200の前方等の周辺の路面300であり、得られる照射像400は、特
定の意図、例えば、進行予定方向を示す形状を有する。
【0030】
リフレクタ120は、光源110から出射した光を集光する偏向面(deflecti
on surface)である反射面121を備える。リフレクタ120の反射面121
は、複数の領域に分割される。分割された個々の領域(分割領域)は、それぞれ、照射面
上に異なる部分照射像を形成する。照射像400は、各部分照射像を組み合わせて形成さ
れる。各分割領域は、非球面または自由曲面形状を有する。
【0031】
なお、リフレクタ120の反射面121の形状は、要求される照射像400や照度分布
等に応じて決定される。光源110の位置と、リフレクタ120の反射面121の形状と
、照射面上の照射像を形成する領域と、の関係の詳細は、後述する。
【0032】
リフレクタは、例えば樹脂やガラス、金属により作製される。リフレクタ120の反射
面121には、例えば、アルミ膜が蒸着される。反射増加膜が施されてもよい。
【0033】
リフレクタ120は、支持部材130の上に、例えば、固定ネジ131等で固定される
。このとき、光源110の上方、光源110の指向角の範囲内に位置するよう配置される
。例えば、位置決めピン132等により光源110に対する位置を固定してもよい。
【0034】
点灯制御回路160は、光源110の点灯を制御する。点灯制御回路160は、例えば
、外部からの制御信号を受信し、当該制御信号に従って、光源110の点灯を制御する。
【0035】
なお、点灯制御回路160は、自身がCPU(Central Processing
Unit)、RAM(Randam Access Memory)、ROM(Rea
d Only Memory)を備え、予めROMに格納されたプログラムを、CPUが
メモリにロードして実行することにより、光源110の点灯を制御してもよい。
【0036】
支持部材130は、箱型形状のボディ150の、カバー140に対向する面に固定ネジ
131等で支持される。支持部材130は、例えば、金属で作製される。なお、支持部材
130には、冷却フィンを設けてもよい。なお、支持部材130は、エイミングスクリュ
ーで支持し、リフレクタ120の位置、角度を調整可能としてもよい。
【0037】
光源110、リフレクタ120、基板111、支持部材130および点灯制御回路16
0は、ボディ150と、カバー140との内側に形成された灯室151内に配置される。
【0038】
[リフレクタの形状の詳細]
次に、本実施形態のリフレクタ120の反射面121の有効領域の形状と、光源110
と、照射面301に表示される照射像400と、の関係の一例を説明する。
【0039】
本実施形態では、図3に示すローカル座標系911(x’、y’、z’)を設定する。
以下単に座標系911と呼ぶ。
【0040】
座標系911では、照射面301に垂直な方向をy’軸方向とする。また、照射面30
1のy’軸方向の座標値を-600mmとする。すなわち、y’軸上の照射面301から
600mmの位置を原点Oとする。
【0041】
また、y’軸と、光源110の発光領域中心と、を含む面上で、照射面301に平行な
方向をz’軸方向とする。y’-z’面に直交する方向をx’軸方向とする。
【0042】
ここでは、光源110には、例えば、発光領域がx’軸方向およびz’軸方向にそれぞ
れ1.15mmのLED(例えば、nichia NCSW170C/NCSA170C
)を用いる。また、照射面301上の、パターン表示領域401に、照射像400として
、矢じり(鏃、arrow head)形状を形成する場合の、反射面121の形状を例
にあげて説明する。なお、パターン表示領域401は、照射面301上の、z’軸方向の
1500mm~2000mmの範囲、x’軸方向の-500mm~500mmの範囲であ
る。
【0043】
図4(a)~図4(d)は、それぞれ、リフレクタ120の反射面121の有効領域と
、光源110の位置関係を示す図である。図4(a)は、斜視図、図4(b)は、z’-
y’平面図、図4(c)は、x’-y’平面図、図4(d)は、x’-z’平面図である
【0044】
この座標系911において、光源110は、発光領域中心座標が(0、-7.5、20
)、指向角の中心軸方向がy’軸方向となるよう配置される。
【0045】
また、リフレクタ120の反射面121は、図4(c)に示すように、それぞれ、異な
る自由曲面形状を有する第一領域121aと、第二領域121bとを備える。第一領域1
21aおよび第二領域121bは、リフレクタ120の反射面121を、座標系911の
原点を通り、z’-y’面に平行な面で分割したものである。図中向かって左側の領域が
第一領域121a、右側の領域が第二領域121bである。
【0046】
第一領域121aは、パターン表示領域401のうち、x’座標が-500mmから0
mmの領域に、部分照射像である第一照射像を形成する。また、第二領域121bは、x
’座標が0mmから500mmの領域に、部分照射像である第二照射像を形成する。
【0047】
第一領域121aおよび第二領域121bの自由曲面は、例えば、それぞれ異なる5次
および5次のNURBS(Non-Uniform Rational B-Splin
e)曲面である。この自由曲面形状は、光源110からの光が、第一領域121aで反射
されて得られる照射面301上の第一照射像と、第二領域121bで反射されて得られる
照射面301上の第二照射像との組み合わせで、照射面301上に矢じり形状が表示され
るように形成される。なお、自由曲面は、5次および5次のNURBS曲面に限られず、
所望の集光マーク(照射像)の表示に適した自由曲面が選択される。
【0048】
第一領域121aおよび第二領域121bの自由曲面形状として、それぞれの有効領域
の、点列データを、図5の表511および図6の表512に示す。ここでは、点列データ
として、座標系911における各位置(x’、y’、z’)の方向余弦(l’、m’、n
’)を示す。
【0049】
なお、図5図6に示すように、第一領域121aおよび第二領域121bの境界領域
の各点において、第一領域121aおよび第二領域121bの方向余弦の値が、それぞれ
、異なる。例えば、(0、0、-0.00898)における方向余弦は、第一領域121
aでは、(-0.04226、-0.33936、-0.939708)であり、第二領
域121bでは、(-0.042256、-0.33936,0.939708)である
。すなわち、第一領域121aおよび第二領域121bは、不連続である。よって、第一
領域121aと第二領域121bは異なる自由曲面形状を持つ。
【0050】
ここで、上記仕様の光学装置100で得られる照射面301上の照度分布の光線追跡シ
ミュレーション結果を、図7(a)~図7(c)に示す。ここでは、光源110に、上記
発光領域を有するLEDのうち、nichia NCDW170C(350lm)を用い
た。
【0051】
図7(a)に、光源110から照射された光を、第一領域121aで反射して得られた
、照射面301上の、パターン表示領域401の照度分布(第一照射像)411aを示す
図7(b)に、第二領域121bで反射して得られた、照射面301上の、パターン表
示領域401の照度分布(第二照射像)411bを示す。また、図7(c)に、第一領域
121aおよび第二領域121bによる照度分布(照射像;集光マーク)411を示す。
【0052】
図7(c)に示すように、本実施形態の光学装置100によれば、照射面301上のパ
ターン表示領域401に、矢じりパターン(集光マーク411)を表示させることができ
る。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、反射面121が複数の異なる自由曲面形状
の領域を有する1つのリフレクタ120と、1つの光源とにより、方向を示す形状である
矢じりパターンを、所望の照射面に形成できる。すなわち、集光マークの形に並べた光源
アレイ等を用いて点灯を制御したり、複数の光学系を用いたりする必要がない。従って、
単純な構造で、特定の意図を示す形状を所望の面に形成できる光学装置を実現できる。
【0054】
また、本実施形態によれば、特定の意図を示す形状を、リフレクタ120の反射面12
1の形状により実現している。すなわち、マスク等を用いて照射像を形成していない。従
って、光源110からリフレクタ120に到達する全光束を照射像400の形成に利用で
きる。従って、光利用効率が良好で、その結果、省エネ効果の高い光学装置を実現できる
【0055】
<第二の実施形態>
[光学装置]
本発明の第二の実施形態の光学装置を説明する。図8(a)および図8(b)は、本実
施形態の光学装置101の構成図である。図8(a)は、本実施形態の光学装置101の
正面図であり、図8(b)は、図8(a)のA-A’断面図である。
【0056】
本実施形態においても、光学装置101は、第一の実施形態同様、例えば、車両200
に搭載され、所定の高さから、車両200の前方等の周辺の路面300等に、照射像40
0を形成する。なお、本実施形態の光学装置101は、車載に限定されない。
【0057】
以下、本実施形態の光学装置101の説明において、第一の実施形態の光学装置100
と同じ構成には、同じ符号を付し、再度の説明は省略する。
【0058】
本図に示すように、本実施形態の光学装置101は、基板111と、光源110と、レ
ンズ170と、支持部材130と、カバー140と、ボディ150と、点灯制御回路16
0と、を備える。
【0059】
光源110は、支持部材130の上に設けられた基板111の上に実装される。基板1
11は、支持部材130の上下および左右方向の略中央に配置される。支持部材130は
、灯室151内に、例えば、ボディ150の開口部に対向する側に面に平行に、空間15
2を開けて、固定ネジ131等で支持される。
【0060】
点灯制御回路160は、例えば、空間152内に配置される。
【0061】
レンズ170は、光源110から出射された光を、所定の照射面302上のパターン表
示領域402に集光させ、照射像400を形成する光学素子である。レンズ170は、例
えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどの透明な樹脂や、透明なガラス
などによって形成される。レンズ170の入射面172、出射面171には反射防止膜が
コーティングされてもよい。
【0062】
レンズ170は、光源110の前方に配置され、光源110から出射した光を、レンズ
170の入射面172から入射させ、出射面171から出射する。入射面172および出
射面171の少なくとも一方は、光源110から出射した光を集光する偏向面として形成
される。レンズ170の偏向面は、複数の領域に分割される。分割された個々の領域(分
割領域)は、それぞれ、照射面302上に異なる部分照射像を形成する。照射像400は
、各部分照射像を組み合わせて形成される。各分割領域は、非球面または自由曲面形状を
有する。
【0063】
なお、レンズ170の偏向面の形状は、要求される照射像400や照度分布等に応じて
決定される。光源110の位置と、レンズ170の偏向面の形状と、照射面302上のパ
ターン表示領域401と、の関係の詳細は、後述する。
【0064】
レンズ170は、支持部材130の上に、例えば、不図示の固定ネジ等で固定される。
このとき、レンズ170は、偏向面が光源110の指向角の範囲内に位置するよう配置さ
れる。
【0065】
光源110、レンズ170、基板111、支持部材130および点灯制御回路160は
、ボディ150と、カバー140との内側に形成された灯室151内に配置される。
【0066】
[レンズの形状の詳細]
次に、本実施形態のレンズ170の集光面の有効領域の形状と、光源110と、照射面
302に表示される照射像400と、の関係の一例を説明する。ここでは、出射面171
が自由曲面形状を有する偏向面であり、入射面172は平坦面である場合を例にあげて説
明する。また、この例において、レンズ170は、ポリカーボネートによって形成されて
いる。
【0067】
本実施形態では、図9に示すローカル座標系912(x”、y”、z”)を設定する。
以下、単に座標系912と呼ぶ。
【0068】
座標系912では、照射面302上の点Rnから照射面302に垂直な方向に600m
m離れた点に原点Oを定める。原点Oから、照射面302上に存在しRnからの距離が2
000mmの点Rzに向かう方向をz”軸方向とする。
【0069】
z”軸に垂直な面上で、原点Oを通り、照射面302に平行な方向をx”軸方向とし、
x”-z”面に直交する方向をy”軸方向とする。
【0070】
ここでは、光源110には、例えば、発光領域がx”軸方向およびy”軸方向にそれぞ
れ1.15mmのLED(例えば、nichia NCSW170C/NCSA170C
)を用いる。また、照射面302上の、パターン表示領域402に、照射像400として
、矢じり(鏃、arrow head)形状を形成する場合の、出射面171の形状を例
にあげて説明する。なお、パターン表示領域402は、照射面302上の、RnからRz
に向かう方向の1500mm~2000mmの範囲、x’軸方向の-500mm~500
mmの範囲である。
【0071】
図10(a)~図10(d)は、それぞれ、レンズ170の出射面171の有効領域と
、光源110の位置関係を示す図である。図10(a)は、斜視図、図10(b)は、z
”-y”平面図、図10(c)は、x”-y”平面図、図10(d)は、x”-z”平面
図である。
【0072】
この座標系912において、光源110は、発光領域中心座標が(0、0、-20)、
指向角の中心軸方向がz”軸方向となるよう配置される。
【0073】
本実施形態のレンズ170の出射面171は、図10(c)に示すように、第一領域1
71aと、第二領域171bと、を備える。第一領域171aおよび第二領域171bは
、出射面171を、光源110の発光領域中心を通り、z”-y”面に平行な面で分割し
たものである。図中向かって左側の領域が第一領域171a、右側の領域が第二領域17
1bである。
【0074】
第一領域171aは、パターン表示領域402のうち、x”座標が-500mmから0
mmの領域に、部分照射像である第一照射像を形成する。また、第二領域171bでは、
x”座標が0mmから500mmの領域に、部分照射像である第二照射像を形成する。
【0075】
第一領域171aおよび第二領域171bの自由曲面は、例えば、それぞれ異なる5次
および5次のNURBS(Non-Uniform Rational B-Splin
e)曲面である。この自由曲面形状は、光源110からの光が、第一領域171aで屈折
されて得られる照射面302上の第一照射像と、第二領域171bで反射されて得られる
照射面302上の第二照射像の組み合わせで、照射面302上に矢じり形状が照射される
ように形成される。なお、自由曲面は、5次および5次のNURBS曲面に限られず、所
望の集光マーク(照射像)の表示に適した自由曲面が選択される。
【0076】
第一領域171aおよび第二領域171bの自由曲面形状として、それぞれの有効領域
の、点列データを、図11の表521および図12の表522に示す。ここでは、点列デ
ータとして、座標系912における各位置(x”、y”、z”)の方向余弦(l”、m”
、n”)を示す。
【0077】
なお、図11図12に示すように、第一領域171aおよび第二領域171bの境界
領域の各点において、第一領域171aおよび第二領域171bの方向余弦の値が、それ
ぞれ、異なる。例えば、(0、-10、6.021816)における方向余弦は、第一領
域171aでは、(0.069813、-0.55406、0.829546)であり、
第二領域171bでは、(-0.06981、-0.55406,0.829546)で
ある。すなわち、第一領域171aおよび第二領域171bは、不連続である。よって、
第一領域121aと第二領域121bは異なる自由曲面形状を持つ。
【0078】
前述の通り、入射面172は平坦面であり、有効領域は四つの頂点(-10、-10,
0)、(-10、10、0)、(10,10,0)、(10、-10、0)に囲まれる四
角形の平面である。
【0079】
ここで、上記仕様の光学装置101で得られる照射面302上の照度分布の光線追跡シ
ミュレーション結果を、図13(a)~図13(c)に示す。ここでは、光源110に、
ここでは、光源110に、上記発光領域を有するLEDのうち、nichia NCDW
170C(350lm)を用いた。なお、図13(a)~図13(c)の縦軸は照射面3
02上のRnからRzに向かう方向(z’’’軸)におけるRnからの距離である。
【0080】
図13(a)に、光源110から照射された光を、第一領域171aで屈折させて得た
、照射面302上の、パターン表示領域402の照度分布(第一照射像)412aを示す
図13(b)に、第二領域171bで屈折させて得た、照射面302上の、パターン表
示領域402の照度分布(第二照射像)412bを示す。また、図13(c)は、第一領
域171aおよび第二領域171bによる照度分布(集光マーク)412を示す。
【0081】
図13(c)に示すように、本実施形態の光学装置101によれば、照射面302上の
パターン表示領域402に、矢じりパターン(集光マーク412)を表示させることがで
きる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態によれば、第一の実施形態同様、偏向面(出射面17
1)が複数の異なる自由曲面形状の領域を有する1つのレンズ170と、1つの光源とに
より、方向を示す形状である矢じりパターンを、所望の照射面302に形成できる。すな
わち、集光マークの形に並べた光源アレイ等を用いて点灯を制御したり、複数の光学系を
用いたりする必要がない。従って、単純な構造で、特定の意図を示す形状を所望の面に形
成できる光学装置を実現できる。
【0083】
また、本実施形態によれば、特定の意図を示す形状を、レンズ170の偏向面(出射面
171)の形状により実現している。すなわち、マスク等を用いて照射像を形成していな
い。従って、光源110からレンズ170に到達する全光束を照射像400の形成に利用
できる。従って、光利用効率が良好で、その結果、省エネ効果の高い光学装置を実現でき
る。
【0084】
なお、本実施形態では、レンズ170の出射面171の形状を、自由曲面形状を有する
偏向面とする場合を例にあげて説明したが、これに限定されない。上記機能を有する偏向
面は、レンズ170の入射面172で実現してもよいし、入射面172および出射面17
1の両面を用いて実現してもよい。
【0085】
<第三の実施形態>
次に、本実施形態の第三の実施形態を説明する。本実施形態では、上記各実施形態の光
学装置100または101を車両200に搭載し、進行予定方向に応じて車両200の前
方等の周辺の路面300に、車両200の進行予定方向を示す集光マーク400を表示さ
せる。以下、本実施形態では、光学装置100を用いて車両200の前方の路面300に
集光マーク400を表示させる場合を例に説明する。
【0086】
[進行方向表示装置]
図14(a)および図14(b)は、本実施形態の進行方向表示装置600による進行
予定方向表示の概要を説明するための図である。
【0087】
本図に示すように、本実施形態の進行方向表示装置600は、車両200の先端部に6
つの光学装置100を備える。
【0088】
6つの光学装置100は、例えば、図14(a)に示すように、車両200の前部中央
、前部左側、前部右側に、それぞれ、2つずつ搭載される。本実施形態の光学装置100
は、例えば、車両の前部に取り付けられた、バンパー等に埋め込まれる。
【0089】
以下、区別する必要がある場合、車両前部中央に搭載される2つの光学装置100を、
まとめて、前進用光学装置100F、それぞれ、第一前進用光学装置100Fa、第二前
進用光学装置100Fb、車両前部左側に搭載される2つの光学装置100を、まとめて
、左折用光学装置100L、それぞれ、第一左折用光学装置100La、第二左折用光学
装置100Lb、車両前部右側に搭載される2つの光学装置100を、まとめて、右折用
光学装置100R、それぞれ、第一右折用光学装置100Ra、第二右折用光学装置10
0Rb、とそれぞれ呼ぶ。
【0090】
第一前進用光学装置100Faは、前進パターン430aを、第二前進用光学装置10
0Fbは、前進パターン430bを、第一左折用光学装置100Laは、左折パターン4
40aを、第二左折用光学装置100Lbは、左折パターン440bを、第一右折用光学
装置100Raは、右折パターン450aを、第二右折用光学装置100Rbは、右折パ
ターン450bを、それぞれ、集光マーク400として路面300上に表示する。
【0091】
図14(a)に示すように、前進用光学装置100F、左折用光学装置100L、右折
用光学装置100Rで照射される集光マークのうち、車両200から遠い集光マーク(前
進パターン430a、左折パターン440a、右折パターン450a)の色と、車両に近
い集光マーク(前進パターン430b、左折パターン440b、右折パターン450b)
の色とを変える。つまり、6つの光学装置100が搭載されている車両から遠い集光マー
クと近い集光マークの色は異なるように設定する。
【0092】
また、左折パターン440aと440bとは、車両200が存在する車線と直交する車
線に存在する車両の進行方向に並べるように配置する。同様に右折パターン450aと4
50bも、車両200が存在する車線と直交する車線に存在する車両の進行方向に並べる
ように配置する。
【0093】
光学装置100毎の設置位置、各集光マーク400の形状、色、表示位置の詳細を、図
14(b)の表531に示す。なお、各集光マーク400を実現するリフレクタ120の
形状の詳細は、後述する。
【0094】
図15は、本実施形態の進行方向表示装置600の制御系の構成図である。本図に示す
ように、進行方向表示装置600は、6つの光学装置100と、灯具コントローラ610
と、を備える。
【0095】
灯具コントローラ610は、光学装置100の点灯制御回路160に点灯を指示する制
御信号を送信する。灯具コントローラ610には、制御信号の算出の基となる信号を出力
する各種の状態検出装置が接続される。
【0096】
状態検出装置は、車両200の挙動、車両200の周囲の環境情報を検出し、灯具コン
トローラ610に検出結果を検出信号として出力する。本実施形態では、状態検出装置と
して、例えば、方向指示器スイッチ601、路面解析装置602、車速センサ603、位
置情報取得装置604等が接続される。その他、ステアリングセンサ、バックギアセンサ
等が接続されてもよい。
【0097】
方向指示器スイッチ601は、方向指示器点灯の操作がなされた際、操作信号(方向指
示信号)を灯具コントローラ610に出力する。方向指示信号には、指示方向の情報も含
まれる。
【0098】
路面解析装置602は、路面300の状態を解析し、その結果を灯具コントローラ61
0に出力する。本実施形態では、例えば、光源と、偏光カメラと、光源からの光を路面に
照射した状態を偏光カメラで取得した画像を解析する解析部と、を備える。解析結果とし
て、例えば、路面300の状況を特定する信号(路面信号)を、灯具コントローラ610
に出力する。本実施形態では、路面信号には、乾燥している、濡れている、凍結している
等の路面300の状態を特定可能な情報として、例えば、路面300の反射率が含まれる
【0099】
車速センサ603は、自車両の走行速度(車速)を検出し、車速信号として灯具コント
ローラ610に出力する。例えば、車軸の回転数に比例したパルス信号を発生させ、パル
ス信号数に応じて車速を検出する。
【0100】
位置情報取得装置604は、自車両の現在位置情報と、近傍の地図情報とを出力する。
位置情報取得装置604は、例えば、GPS等の航法衛星および車速センサ603からの
情報を用いて、自車両の現在位置を算出する。地図情報は、予め保持しておく。位置情報
取得装置604として、例えば、ナビゲーション装置を用いてもよい。
【0101】
なお、灯具コントローラ610は、CAN(Controller Area Net
work)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって各状態検出装
置に接続されてもよい。
【0102】
灯具コントローラ610は、上記各状態検出装置からの信号に応じて、6つの光学装置
100の点灯、あるいは点滅を、それぞれ、独立して制御する。
【0103】
灯具コントローラ610は、CPU611と、RAM612と、ROM613と、入出
力インタフェース(I/O)614とを備える。これらは、内部バスによって接続される
【0104】
灯具コントローラ610が実現する各機能の一部または全部は、CPU611がROM
613に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を、RAM612にロードして実行する
ことにより、実現される。また、各機能の一部または全部は、LSI(Large Sc
ale Integration)、ASIC(Application Specif
ic Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されても
よい。また、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。処
理に必要な情報、データは、ROM613やRAM612に格納される。
【0105】
本実施形態の進行方向表示装置600は、車速によって、光学装置100の点灯、消灯
を制御する。また、路面300の状況によって、光学装置100の点灯照度を制御する。
さらに、車両200の進行予定方向によって、点灯させる光学装置100を決定する。
【0106】
具体的には、車両200が停車中および徐行運転中は、光学装置100を点灯させる。
このとき、通常は、前進パターン430a、430bを表示する。ただし、方向指示信号
を受信すると、当該方向指示信号で特定される方向のパターン(左折パターン440a、
440bまたは右折パターン450a、450b)を表示する光学装置100を点灯させ
る。
【0107】
一方、路面300の状況に応じて、光学装置100の照度を変化させる。例えば、路面
300の反射率が高く、路面300に集光マーク400を表示させると、他車両の運転者
に幻惑を与える場合は、消灯させたり、照度を低下させたりする。
【0108】
照度は、光源110の光束量を制御可能な場合は、反射率に応じて光源110の光束量
を変化させることにより低下させる。光束量は、例えば、電流値を制御することにより変
化させる。あるいは、パルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulat
ion)を用いて変化させてもよい。パルス幅変調を用いた調光は、光源110をPWM
信号に同期して人が見えない周期で高速に点滅させることにより集光マーク400の照度
を低下させる手法である。この場合、一周期内での点灯している時間の割合(デューティ
比)を小さくすれば、集光マーク400の照度をより低下させることができる。
【0109】
なお、例えば、光学装置100を方向指示器の点滅と同期させて点滅させてもよい。こ
の場合は、人が見えない周期での光源110の点滅制御を、方向指示器の点滅の周期で繰
り返し行うことにより、照度を低下させた状態での集光マーク400の点滅表示が可能で
ある。
【0110】
さらに、本実施形態の灯具コントローラ610は、自車両が、他車両のドライバから死
角になる位置に存在する場合のみ、前進用光学装置100Fを点灯させるようにしてもよ
い。死角になる位置とは、例えば、図16に示すように、交差点、T字路等である。
【0111】
これらの制御を実現する場合を例にあげて説明する。図17は、本実施形態の灯具コン
トローラの機能ブロック図である。本実施形態の灯具コントローラ610は、図17に示
すように、照度決定部621と、方向決定部622と、自車位置判定部623と、を備え
る。
【0112】
照度決定部621は、光学装置100を点灯させるか否か、点灯させる場合は、その照
度を決定する。そして、その決定結果を、方向決定部622に出力する。
【0113】
本実施形態では、車速センサ603および路面解析装置602からの信号によって、決
定する。車速センサ603から、予め定めた車速未満であることを示す信号を受信した場
合、点灯させると決定する。また、路面解析装置602から受信した路面信号に含まれる
反射率により、照射する狙いの照度値(目標照度値)を決定する。決定した目標照度値に
基づいて、例えば、パルス幅変調制御におけるデューティ比を決定する。なお、目標照度
値とデューティ比との対応関係の情報は、予めROM613に記憶しておく。
【0114】
方向決定部622は、照度決定部621が点灯と決定した場合、点灯させる光学装置1
00を決定する。点灯させる光学装置100は、方向指示信号によって決定する。
【0115】
方向決定部622は、右折を意味する方向指示信号を受信すると、右折用光学装置10
0Rを点灯させるよう決定する。また、左折を意味する方向指示信号を受信すると、左折
用光学装置100Lを点灯させるよう決定する。その他の場合は、前進用光学装置100
Fを点灯させるよう決定する。
【0116】
自車位置判定部623は、自車位置が予め定めた死角にいるか否かを判別し、判別結果
を方向決定部622に出力する。自車位置判定部623は、位置情報取得装置604から
自車両の現在位置情報と地図情報とを受信し、自車両の現在位置が、他車両のドライバか
ら死角になる場所であるか否かを判別する。他車両のドライバから死角になる場所を特定
する情報は、予め定めてROM613に記憶しておく。
【0117】
図18は、本実施形態の灯具コントローラ610による点灯制御処理の流れの一例を示
す処理フローである。所定の時間間隔で実行される。ここでは、点灯指示信号を受信して
いる間のみ、光学装置100の点灯制御回路160は光源110を点灯させる。
【0118】
まず、照度決定部621は、車速センサ603から受信した車速信号により、車速が所
定値未満であるか否かを判別する(ステップS1101)。
【0119】
車速が所定値以上の場合は、そのまま処理を終了する。
【0120】
車速が所定値未満の場合、照度決定部621は、路面解析装置602から受信した路面
信号により、路面300の反射率が所定値未満であるか否かを判別する(ステップS11
02)。
【0121】
照度決定部621は、反射率が所定値未満の場合、集光マーク400の目標照度値を決
定し、パルス幅変調制御におけるデューティ比(光源デューティ比)を決定する(ステッ
プ1103)。さらに、照度決定部621は、光源デューティ比の情報を含む点灯信号を
、方向決定部622に出力する(ステップS1104)。一方、反射率が所定値以上の場
合、そのまま処理を終了する。
【0122】
方向決定部622は、点灯信号を受信すると、右折を示す方向指示信号を受信している
か否かを判別する(ステップS1105)。
【0123】
右折を示す方向指示信号を受信している場合、方向決定部622は、右折用光学装置1
00Rに点灯指示信号を出力し(ステップS1106)、処理を終了する。
【0124】
方向決定部622は、右折を示す方向指示信号を受信していない場合、左折を示す方向
指示信号を受信しているか否かを判別する(ステップS1107)。
【0125】
左折を示す方向指示信号を受信している場合、方向決定部622は、左折用光学装置1
00Lに、点灯指示信号を出力し(ステップS1108)、処理を終了する。
【0126】
左折を示す方向指示信号も受信していない場合、自車位置判定部623は、自車の現在
位置が、死角になる位置であるか否かを判別し(ステップS1109)、死角になる位置
であると判別された場合、判別結果を方向決定部622に出力する。
【0127】
死角になる位置である場合、方向決定部622は、前進用光学装置100Fに、点灯指
示信号を出力し(ステップS1110)、処理を終了する。
【0128】
一方、死角になる位置でないと判別された場合は、そのまま処理を終了する。
【0129】
[リフレクタの形状]
上述のように、本実施形態では、6つの光学装置100を用いる。ここで、図14(b
)に示すように、第一前進用光学装置100Faは、高さ600mmに設置され、前方2
000mm先の路面300上に矢じりパターンを表示させる。従って、第一の実施形態の
図4(a)~図7(c)を用いて説明した光学装置100により実現できる。ただし、照
射面301は路面300であり、光源110にはnichia NCDA170C(23
0lm)を用いる。
【0130】
第一前進用光学装置100Faで得られる路面300上の照度分布の光線追跡シミュレ
ーション結果を図19に示す。本図に示すように、第一前進用光学装置100Faによれ
ば、路面300上のパターン表示領域401に、橙色の前進パターン430aが形成され
る。
【0131】
以下、第二前進用光学装置100Fbと、右左折用光学装置の中から、代表して、右折
用の光学装置(第一右折用光学装置100Raおよび第二右折用光学装置100Rb)を
実現するリフレクタ120の形状および光源110との位置関係の一例を説明する。以下
、照射面301を路面300とし、第一の実施形態の光学装置100の説明で用いた座標
系911を用いて説明する。それぞれ、図14(b)に示す位置に設置され、路面300
上の、図14(b)に示す表示位置に、図14(b)に示す形状を表示する場合の例を説
明する。
【0132】
[第二前進用光学装置]
第二前進用光学装置100Fbの、リフレクタ120の反射面121の有効領域の形状
および光源110との位置関係の一例を図20(a)~図22を用いて説明する。第二前
進用光学装置100Fbは、図14(b)に示すように、600mm下の路面300の、
前方1200mm先に矢じり形状の前進パターン430bを形成する。
【0133】
図20(a)~図20(d)は、それぞれ、リフレクタ120の反射面121の有効領
域と、光源110の位置関係を示す図である。図20(a)は、斜視図、図20(b)は
、z’-y’平面図、図20(c)は、x’-y’平面図、図20(d)は、x’-z’
平面図である。
【0134】
ここでは、第一の実施形態の光学装置100と同じ光源110を用いる。第一領域12
1aおよび第二領域121bの設定も同じである。
【0135】
ただし、光源110の発光領域中心座標は(0、-8.5、7.5)とする。また、パ
ターン表示領域401は、z’軸方向の700mm~1200mmの領域である。また、
第一領域121aは、パターン表示領域401のうち、x’座標が-400mmから0m
mの領域に、部分照射像である第一照射像を形成する。また、第二領域121bは、x’
座標が0mmから400mmの領域に部分照射像である第二照射像を形成する。
【0136】
第一領域121aおよび第二領域121bの自由曲面形状として、それぞれの有効領域
の点列データを、図21の表541および図22の表542に示す。ここでは、点列デー
タとして、座標系911の各位置(x’、y’、z’)の方向余弦(l’、m’、n’)
を示す。
【0137】
ここで、上記仕様の第二前進用光学装置100Fbで得られる路面300上の照度分布
の光線追跡によるシミュレーション結果を、図23に示す。ここでは、光源110に、上
記発光領域を有するLEDのうち、nichia NCDW170C(350lm)を用
い、路面300に照射像を形成した。
【0138】
本図に示すように、第二前進用光学装置100Fbによれば、路面300上のパターン
表示領域401に、前進パターン430bが形成される。
【0139】
[第一右折用光学装置]
第一右折用光学装置100Raの、リフレクタ120の反射面121の有効領域の形状
および光源110との位置関係の一例を図24(a)~図26を用いて説明する。第一右
折用光学装置100Raは、図14(b)に示すように、600mm下の路面300の、
前方2221mm先に、時計回りに45度回転した矢じり形状の右折パターン450aを
形成する。
【0140】
図24(a)~図24(d)は、それぞれ、リフレクタ120の反射面121の有効領
域と、光源110の位置関係を示す図である。図24(a)は、斜視図、図24(b)は
、z’-y’平面図、図24(c)は、x’-y’平面図、図24(d)は、x’-z’
平面図である。
【0141】
ここでは、第一前進用光学装置100Faと同じ光源110を用いる。光源110の発
光領域中心の座標も同じである。
【0142】
ただし、パターン表示領域401は、z’軸方向の1461mm~2321mmの領域
である。また、第一領域121aおよび第二領域121bは、図24(c)に示すように
、リフレクタ120の反射面121を、座標系911の点(2.3、0、0)を通り、z
’-y’面に平行な面で分割したものである。図中向かって左側の領域が第一領域121
a、右側の領域が第二領域121bである。第一領域121aは、パターン表示領域40
1のうち、x’座標が-200mmから200mmの領域に、部分照射像である第一照射
像を形成する。また、第二領域121bは、x’座標が-200mmから650mmの領
域に部分照射像である第二照射像を形成する。
【0143】
第一領域121aおよび第二領域121bそれぞれの有効領域の、点列データを、図2
5の表551および図26の表552に示す。ここでは、点列データとして、座標系91
1における各位置(x’、y’、z’)の方向余弦(l’、m’、n’)を示す。
【0144】
ここで、上記仕様の第一右折用光学装置100Raで得られる路面300上の照度分布
の光線追跡によるシミュレーション結果を、図27(a)に示す。ここでは、光源110
に、上記発光領域を有するLEDのうち、nichia NCDA170C(230lm
)を用い、路面300に照射像を形成した。
【0145】
本図に示すように、第一右折用光学装置100Raによれば、路面300上のパターン
表示領域401に、右折パターン450aが形成される。
【0146】
[第二右折用光学装置]
第二右折用光学装置100Rbの、リフレクタ120の反射面121の有効領域の形状
および光源110との位置関係の一例を図28(a)~図29を用いて説明する。第二右
折用光学装置100Rbは、図14(b)に示すように、600mm下の路面300の、
前方1777mm先に、時計回りに26.57度回転した矢じり形状の右折パターン45
0bを形成する。
【0147】
ここでは、第一の実施形態の光学装置100と同じ光源110を用いる。光源110の
発光領域中心の座標も同じである。
【0148】
ただし、パターン表示領域401は、z’軸方向の1177mm~1777mmmの領
域である。また、第一領域121aおよび第二領域121bは、図28(c)に示すよう
に、リフレクタ120の反射面121を、座標系911の点(3、0、0)を通り、z’
-y’面に平行な面で分割したものである。図中向かって左側の領域が第一領域121a
、右側の領域が第二領域121bである。第一領域121aは、パターン表示領域401
のうち、x’座標が-150mmから150mmの領域に、部分照射像である第一照射像
を形成する。また、第二領域121bは、x’座標が-150mmから550mmの領域
に、部分照射像である第二照射像を形成する。
【0149】
第一領域121aおよび第二領域121bの自由曲面形状として、それぞれの有効領域
の、点列データを、図29の表561および図30の表562に示す。ここでは、点列デ
ータとして、座標系911における各位置(x’、y’、z’)の方向余弦(l’、m’
、n’)を示す。
【0150】
ここで、上記仕様の第二右折用光学装置100Rbで得られる路面300上の照度分布
の光線追跡によるシミュレーション結果を、図27(b)に示す。ここでは、光源110
に、上記発光領域を有するLEDのうち、nichia NCDW170C(350lm
)を用い、路面300に照射像を形成した。
【0151】
本図に示すように、第二右折用光学装置100Rbによれば、路面300上のパターン
表示領域401に、右折パターン450bが形成される。
【0152】
以上説明したように、本実施形態によれば、第一の実施形態および/または第二の実施
形態で説明した光学装置100、101を用いた進行方向表示装置600を提供する。す
なわち、本実施形態によれば、光の利用効率が良く、単純な構造で、特定の意図を示す形
状を路面300に形成できる。これにより、自車両の存在、さらには、自車両の進路等の
将来的な意思を、他者(他車両のドライバ、歩行者等)に知らせることができる。
【0153】
ここで、上記各光学装置100を用いて、車両200の前方の路面300上に集光マー
ク400を表示した場合の、他車両202からの見え方のシミュレーション結果を図31
(a)~図31(f)に示す。ここでは、上述の図16に示すように、他車両202の位
置は、遠方、すなわち、自車両の道路と直交する道路の、自車両から60m離れた位置と
する。
【0154】
なお、前述のように、前進用光学装置100F、左折用光学装置100L、右折用光学
装置100Rで照射される集光マークのうち、車両200から遠い集光マーク(前進パタ
ーン430a、左折パターン440a、右折パターン450a)の色は橙色であり、車両
に近い集光マーク(前進パターン430b、左折パターン440b、右折パターン450
b)の色は白色である。また、左折パターン440aと440bとは、他車両202の進
行方向に並べて配置されている。同様に右折パターン450aと450bとも、他車両2
02の進行方向に並べて配置されている。
【0155】
図31(a)は、左折パターン440a、440bを、図14(b)に示すように、そ
れぞれ異なる色で表示させた例である。図31(b)は、左折パターン440a、440
bを、同色で表示させた例である。図31(c)は、前進パターン430a、430bを
図14(b)に示すように、それぞれ異なる色で表示させた例である。図31(d)は
、前進パターン430a、430bを、同色で表示させた例である。図31(e)は、右
折パターン450a、450bを、図14(b)に示すように、それぞれ異なる色で表示
させた例である。図31(f)は、右折パターン450a、450bを、同色で表示させ
た例である。
【0156】
本図に示すように、遠方(60m先)からは、各集光マーク400は変形して見える。
しかし、本実施形態によれば、右折、左折の場合、二つの集光マーク400を他者から見
て上下に重なるように配置し、さらに色を変えている。従って、自車両の進行予定方向、
すなわち、意図がわかりやすい。特に、自車両が進む方向の矢印(自車両から遠方の矢印
)を、予め定め、固定した色にすることにより、より意図がわかりやすくなる。
【0157】
一般に、他者は、自車両に対して、固定した位置に存在するわけではない。自車両が表
示する集光マーク400を、自車両に対し相対的に近くの他者が観察する場合と、遠くの
他者が観察する場合とでは、集光マーク400の見え方が異なる。
【0158】
例えば、他車両202のドライバが1.2mの高さから集光マーク400を見る場合を
考える。この場合、自車両から60m先にいる場合、10m先にいる場合に比べ、横方向
で約0.19倍、奥行き方向で、約0.04倍に縮小された形状の集光マーク400を見
ることになる。
【0159】
すなわち、近くの他者が観察することを想定した集光マークは、遠くの他者には自車両
の意思を判断しづらく、遠くの他者が観察することを想定した集光マークは、近く他者に
は自車両の意思が判断しづらくなる。
【0160】
しかしながら、本実施形態によれば、上述のように、左折、右折それぞれに対し、2つ
以上の進行方向を示す集光マーク400を表示する。また、それぞれの集光マーク400
の自車両に近い集光マーク400と自車両から遠い集光マーク400との表示色を異なる
ものとしている。
【0161】
従って、本実施形態の進行方向表示装置600によれば、自車両の近くの他者が集光マ
ーク400を見た場合、自車両の意思を容易に認識できる。さらに、遠くの他者が見た場
合であっても、形状の詳細は判別しづらいが、2つの色が重なっているようなマークに見
える。特定の色が、上に見えるか下に見えるかで、自車両が右折使用しているのか、左折
しようとしているのかを容易に判断できる。また前進マークの場合は、2つの色が重なら
ずに見え、前進しようとしていることを容易に判断できる。
【0162】
従って、本実施形態の進行方向表示装置600によれば、他者の存在位置によらず、進
行予定方向を把握し易い。また、本実施形態によれば、このような進行方向表示装置60
0を、簡易な構成で、安価に、かつ、高い光利用効率で、実現できる。
【0163】
なお、本実施形態の進行方向表示装置600は、光学素子として、レンズ170を用い
て実現してもよい。
【0164】
また、本実施形態の例では、前進用光学装置100F、左折用光学装置100Lおよび
右折用光学装置100Rは、それぞれ、2つの光学装置を備え、車両からの距離に応じて
異なる色の集光マークを表示させるよう構成されている。しかしながら、各方向に配置す
る光学装置100の個数は限定されない。各方向の光学装置は、それぞれ、3つ以上の光
学装置100を備えてもよい。そして、前進用光学装置100Fと、左折用光学装置10
0Lと、右折用光学装置100Rとがそれぞれ備える複数の光学装置100は、それぞれ
、色の異なる集光マークを、路面300上の異なるパターン表示領域に表示させるよう構
成してもよい。
【0165】
また、各方向の光学装置100は、ボディ150およびカバー140を共用してもよい
。すなわち、1つのボディ150内に、複数の、光源110とリフレクタ120との組を
格納してもよい。
【0166】
また、各方向に光学装置100を設ける代わりに、1つの光学装置100、あるいはあ
る方向に集光マークを並べて表示する光学装置100の組で実現してもよい。この場合、
進行方向表示装置600は、光学装置100あるいは光学装置100の組の向きを変更す
る可動機構をさらに備える。灯具コントローラ610は、方向指示器スイッチ601から
の方向指示信号に応じて、可動機構に光学装置100の向きを変える信号を出力する。可
動機構は、例えば、モータ等で実現してもよい。
【0167】
また、本実施形態では、所定の速度未満の場合であっても、自車両が死角になる位置に
いる場合のみ、前進用光学装置100Fを点灯させるよう構成しているが、これに限定さ
れない。例えば、所定速度未満の場合であっても、方向指示器が操作されていない場合は
、常に、前進用光学装置100Fを点灯させるよう構成してもよい。この場合、灯具コン
トローラ610は、自車位置判定部623は、備えなくてもよい。
【0168】
また、本実施形態では、停止時、または、低速走行中にのみ、光学装置100を点灯さ
せ、集光マーク400を表示させる。しかしながら、車速による制御は、これに限定され
ない。例えば、自動車専用道路走行中等、高速走行中であっても、回りに歩行者等がいな
い環境であれば、光学装置100を点灯あるいは点滅させるよう構成してもよい。
【0169】
この場合、灯具コントローラ610は、例えばGPS等の航法衛星である位置情報取得
装置604、および車速センサ603からの情報を用いて、自車両が自動車専用道路を走
行中であるか判別する。そして、自動車専用道路を走行中の場合、光学装置100を点灯
あるいは点滅させるようにしてもよい。
【0170】
また本実施形態では、車両200の前方の路面300に、車両200の進行方向を示す
集光マーク400を表示させる。しかしながら、集光マーク400の表示は車両200の
前方に限定されない。車両200から所定範囲の領域である車両200の周辺、具体的に
は、車両200の前方、側方、および後方の少なくとも一方であればよい。
【0171】
例えば、車両200の後方に光学装置100を設け、灯具コントローラ610に接続さ
れた不図示のバックギアセンサからのバックギアが有効になったことを示す信号に基づい
て車両200の後方に集光マーク400を表示するようにしてもよい。このとき、後方に
進行する場合の進行方向を後方の路面300に表示するように構成してもよい。
【0172】
また、車両200の前方と後方とにそれぞれ光学装置100を設け、車両200が前方
に進行する場合は、その進行方向を車両200の前方の路面300に、後方に進行する場
合は、その進行方向を車両200の後方の路面300にそれぞれ表示してもよい。
【0173】
すなわち、集光マークを表示する進行方向は、前方、左方、右方に限定されず、さらに
後方等、複数の進行方向に表示するよう構成してもよい。この場合、光学装置100を、
集光マークを表示する進行方向毎に、各進行方向に対応づけて設け、灯具コントローラ6
10は、状態検出装置の検出信号に基づいて、車両200の進行方向を特定し、特定され
た進行方向に対応づけて設けられた光学装置100を、点灯あるいは点滅させる。
【0174】
なお、この場合も、集光マークを表示する進行方向の数より少ない数の光学装置100
で上記表示を実現するよう構成してもよい。すなわち、光学装置100あるいは光学装置
100の組の向きを変更する、上述のような可動機構を備えてもよい。このとき、灯具コ
ントローラ610は、状態検出装置の検出信号に基づいて、車両200の進行方向を特定
し、特定された進行方向に集光マークが表示されるよう、可動機構に信号を出力する。例
えば、集光マークを表示する全ての進行方向に集光マークを表示可能な1つの光学装置1
00であってもよいし、集光マークを表示する前方の全ての進行方向に集光マークを表示
可能な第一の光学装置100と、集光マークを表示する後方の全ての進行方向に集光マー
クを表示可能な第二の光学装置100との組であってもよい。
【0175】
また、このとき、各光学装置100は、照射面である路面300上の、車両200から
の距離が異なる複数の表示領域にそれぞれ、距離に応じて色が異なる集光マークを表示さ
せるよう構成してもよい。
【0176】
<変形例1>
なお、上記各実施形態では、照射面である路面300上に、特定の意図を表す集光マー
クとして、矢じりパターンを照射像(集光マーク)400として形成する。しかしながら
、表示させる集光マーク400は、これに限定されない。例えば、矢柄(shaft)を
備えた矢印パターンであってもよい。
【0177】
これを実現するリフレクタ120の形状を図32図36を用いて説明する。
【0178】
ここでは、第一の実施形態の光学装置100の説明で用いた座標系911を用いる。ま
た、第一の実施形態の光学装置100と同じ光源110を用いる。光源110の発光領域
中心の座標も同じである。
【0179】
ただし、図32に示すように、本変形例では、パターン表示領域401のz’軸方向の
範囲は、1200mmから2000mmの間である。x’軸方向の範囲は同じである。
【0180】
図33(a)~図33(d)は、それぞれ、リフレクタ120の反射面121の有効領
域と、光源110の位置関係を示す図である。図33(a)は、斜視図、図33(b)は
、z’-y’平面図、図33(c)は、x’-y’平面図、図33(d)は、x’-z’
平面図である。
【0181】
また、本変形例では、図33(c)に示すように、リフレクタ120の反射面121は
、それぞれ異なる3つの自由曲面領域(第一領域121a、第二領域121b、第三領域
121c)を備える。第一領域121a、第二領域121bおよび第三領域121cは、
図33(c)に示すように、リフレクタ120の反射面121を、座標系911の点(-
4、0、0)を通るz’-y’面に平行な面および点(4、0、0)を通るz’-y’面
に平行な面、で分割したものである。図中向かって左側の領域が第一領域121a、中央
の領域が第二領域121b、右側の領域が第三領域121cである。第一領域121aは
、パターン表示領域401のうち、x’座標が-500mmから0mmの領域に、部分照
射像である第一照射像を形成する。また、第二領域121bは、x’座標が-100mm
から100mmの領域に、部分照射像である第二照射像を形成する。第三領域121cは
、x’座標が0mm~500mmの領域に、部分照射像である第三照射像を形成する。
【0182】
第一領域121a、第二領域121bおよび第三領域121cの自由曲面形状として、
それぞれの有効領域の、点列データを、図34の表571、図35の表572および図3
6の表573に示す。ここでは、点列データとして、座標系911における各位置(x’
、y’、z’)の方向余弦(l’、m’、n’)を示す。
【0183】
ここで、上記仕様の光学装置100で得られる照射面301上の照度分布の光線追跡に
よるシミュレーション結果を、図37(a)~図37(d)に示す。ここでは、光源11
0に、上記発光領域を有するLEDのうち、nichia NCDW170C(350l
m)を用い、照射面301に照射像を形成した。
【0184】
図37(a)に、光源110から照射された光を、第一領域121aで反射して得られ
た、照射面301上の、パターン表示領域401の照度分布(第一照射像)471aを示
す。図37(b)に、第二領域121bで反射して得られた、照射面301上の、パター
ン表示領域401の照度分布(第二照射像)471bを示す。図37(c)に、第三領域
121cで反射して得られた、照射面301上の、パターン表示領域401の照度分布(
第三照射像)471cを示す。また、図37(d)に、第一領域121a、第二領域12
1bおよび第三領域121cによる照度分布(集光マーク)471を示す。
【0185】
図37(d)に示すように、本変形例の光学装置100によれば、照射面301上のパ
ターン表示領域401に、矢印形状の集光マーク471が形成される。
【0186】
なお、本変形例は、光学素子として、レンズ170を用いてもよい。
【0187】
また、特定の意図を表す集光マークは、矢じり、矢印等方向を示すものに限定されない
。例えば、X形状、多角形等、偏向面をそれぞれ異なる部分照射像を照射面301に形成
する複数の分割領域に分割し、各部分照射像を組み合わせて実現される各種の図形とする
ことができる。
【0188】
<変形例2>
また、上記実施形態および変形例では、光学装置100が光源110を1つ備える場合
を例にあげて説明した。しかしながら、光源110は、複数備えていてもよい。複数の光
源110を備え、それぞれの光源110からの光を1つの光学素子により集光し、複数の
照射像を照射面301の異なる位置に形成してもよい。
【0189】
以下、光源110を、2つ備える光学装置102を、光学素子としてリフレクタ120
を用いる場合を例にあげて説明する。光学装置102において、2つの光源110を区別
する必要がある場合、それぞれ、第一光源110a、第二光源110bと呼ぶ。
【0190】
リフレクタ120の反射面121の有効領域と、第一光源110aおよび第二光源11
0bの発光領域中心との位置関係を図38(a)~図38(d)に示す。
【0191】
図38(a)~図38(d)は、それぞれ、リフレクタ120の反射面121の有効領
域と、光源110の位置関係を示す図である。図38(a)は、斜視図、図38(b)は
、z’-y’平面図、図38(c)は、x’-y’平面図、図38(d)は、x’-z’
平面図である。
【0192】
ここでは、第一の実施形態と同じ座標系911を用いる。第一光源110aは、上記実
施形態で用いた光源110と発光領域の形状は同じである。すなわち、発光領域がx’軸
方向およびz’軸方向にそれぞれ1.15mmのLED(nichia NCSA170
C)を用いる。ただし、発光領域中心座標が(0、-12、13.5)、指向角の中心軸
方向がy’軸方向となるよう配置する。
【0193】
第二光源110bとして、発光領域がx’軸方向に1.15mm、z’軸方向に2.3
mmのLED(nichia NC2W170C)を用いる。そして、発光領域中心座標
が(0、-12、18.3)、指向角の中心軸方向がy’軸方向となるよう配置する。
【0194】
ここでは、照射面301のパターン表示領域401に、照射像400として、2つの矢
じりを形成する場合の形状を例にあげて説明する。
【0195】
第一光源110aからの光によるパターン表示領域401は、z’軸方向は1500m
m~2300mmの範囲、x’軸方向は、-500mm~500mmの範囲である。第二
光源110bからの光によるパターン表示領域は、z’軸方向は、1000mm~135
0mm、x’軸方向は、-500mm~500mmの範囲である。
【0196】
リフレクタ120の反射面121の基本的な構成は、第一の実施形態と同様である。す
なわち、図38(c)に示すように、原点を通るz’-y’面に平行な面で分割して得た
第一領域121aおよび第二領域121bを備える。第一領域121aおよび第二領域1
21bは、それぞれ、異なる自由曲面形状を有する。
【0197】
第一領域121aは、パターン表示領域401のうち、x’座標が-500mmから0
mmの領域に、部分照射像である第一照射像を形成する。また、第二領域121bは、x
’座標が0mmから500mmの領域に、部分照射像である第二照射像を形成する。
【0198】
第一領域121aおよび第二領域121bの自由曲面形状として、それぞれの有効領域
の、点列データを、図39の表581および図40の表582に示す。ここでは、点列デ
ータとして、座標系911おける各位置(x’、y’、z’)の方向余弦(l’、m’、
n’)を示す。
【0199】
ここで、上記仕様の光学装置102で得られる照射面301上の照度分布の光線追跡の
シミュレーション結果を、図41に示す。ここで、第一光源110aに用いた上記LED
の光束量を230lmとし、第二光源110bに用いた上記LED光束量を90lmとし
た場合の結果である。
【0200】
本図では、照度分布(集光マーク)481aが、第一光源110aの光によるもので、
照度分布(集光マーク)481bが、第二光源110bの光によるものである。
【0201】
本図に示すように、光源110を2つ備えることにより、照射面301上のパターン表
示領域401に、2つの矢じりパターンを表示させることができる。
【0202】
複数の光源110を備え、それぞれの光源110からの光を1つの光学素子により集光
し、複数の照射像を照射面301の異なる位置に形成する場合、形成される複数の照射像
の照度は、略同じであることが望ましい。
【0203】
一般に、複数の光源110から出射する光の光束量が同じであっても、複数の光源11
0それぞれの発光領域、光源110とリフレクタ120との距離、照射される照射像の大
きさ等に違いがあるため、各光源110に対応する照射像の照度が大きく異なる場合が多
い。本変形例では、これを踏まえ、各光源110に対応する照射像の照度が略同じになる
ように、各光源110から出射する光の光束量を予め異なる値に設定する。
【0204】
各光源110の光束量は、例えば予め各光源110の光束量と対応する照射像の照度と
の関係を調査しておき、その関係から照射される複数の照射像の照度が略同じになるよう
に設定される。
【0205】
図41の例では、第一光源110aに用いた上記LEDの光束量を230lmとし、第
二光源110bに用いた上記LED光束量を90lmとすることで、集光マーク481a
と481bの照度を略同じにしている。
【0206】
各光源110の光束量の調整は、例えば、電流値を制御することにより行う。あるいは
、PWM制御、すなわち、人が見えない周期内で光源110を点滅させるようにし、一周
期内での点灯している時間の割合(デューティ比)を変化させることにより、行うことが
できる。
【0207】
電流値を制御する場合は、各照度像に対して電流値と照度との関係を、予めROM61
3に記憶しておく。そして、照度決定部621は、路面解析装置602の情報に基づいて
決定した目標照度値を得るための電流値を決定し、電流値の情報を含む点灯信号を方向決
定部622に出力する。
【0208】
また、デューティ比を制御する場合は、各照度像に対してデューティ比と照度の関係を
、予めROM613に記憶しておく。そして、照度決定部621は、路面解析装置602
の情報に基づいて決定した目標照度値を得るためのデューティ比を決定し、デューティ比
の情報を含む点灯信号を方向決定部622に出力する。
【0209】
なお、本変形例において、リフレクタ120の形状をかえ、矢印パターンとしてもよい
し、また、リフレクタ120の代わりに、レンズ170を用いてもよい。
【0210】
なお、本発明は、上述した各実施形態および各変形例に限定されるものではなく、様々
な変形例がさらに含まれる。すなわち、本発明の趣旨を逸脱しない様々な変更態様は、本
発明の技術的範囲に属する。また、上述の各実施形態および各変形例は、本発明をわかり
やすく説明するためのものであり、本発明は、必ずしもこれらの実施形態および/または
変形例に含まれる全ての構成を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0211】
100:光学装置、100F:前進用光学装置、100Fa:第一前進用光学装置、10
0Fb:第二前進用光学装置、100L:左折用光学装置、100La:第一左折用光学
装置、100Lb:第二左折用光学装置、100R:右折用光学装置、100Ra:第一
右折用光学装置、100Rb:第二右折用光学装置、101:光学装置、102:光学装
置、110:光源、110a:第一光源、110b:第二光源、111:基板、120:
リフレクタ、121:反射面、121a:第一領域、121b:第二領域、121c:第
三領域、130:支持部材、131:固定ネジ、132:位置決めピン、140:カバー
、150:ボディ、151:灯室、152:空間、160:点灯制御回路、170:レン
ズ、171:出射面、171a:第一領域、171b:第二領域、172:入射面、
200:車両、202:他車両、300:路面、301:照射面、302:照射面、
400:照射像(集光マーク)、401:パターン表示領域、402:パターン表示領
域、411:集光マーク、411a:第一照射像、411b:第二照射像、412:集光
マーク、412a:第一照射像、412b:第二照射像、430a:前進パターン、43
0b:前進パターン、440a:左折パターン、440b:左折パターン、450a:右
折パターン、450b:右折パターン、471:集光マーク、471a:第一照射像、4
71b:第二照射像、471c:第三照射像、
600:進行方向表示装置、601:方向指示器スイッチ、602:路面解析装置、6
03:車速センサ、604:位置情報取得装置、610:灯具コントローラ、611:C
PU、612:RAM、613:ROM、621:照度決定部、622:方向決定部、6
23:自車位置判定部、
911:座標系、912:座標系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図39
図40
図41