(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109818
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】オリゴ糖組成物およびアンモニアレベルを低下させるためのその使用方法
(51)【国際特許分類】
C08B 37/00 20060101AFI20240806BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20240806BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240806BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240806BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240806BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C08B37/00
A61K31/702
A61P25/00
A61P43/00
A61P1/16
A61P3/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024084010
(22)【出願日】2024-05-23
(62)【分割の表示】P 2021509219の分割
【原出願日】2019-08-21
(31)【優先権主張番号】62/757,723
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/755,461
(32)【優先日】2018-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/720,924
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/845,295
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517258420
【氏名又は名称】カレイド・バイオサイエンシズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】リュー,クリストファー・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミア,ジョン・エム
(72)【発明者】
【氏名】リオウブミロウ,アナスタシア
(72)【発明者】
【氏名】ヘクト,マックス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オリゴ糖組成物およびその製造方法、ならびにアンモニアレベルを低下させるための、および高アンモニア血症関連疾患(例えば、尿素サイクル異常症および肝性脳症)の治療のためのマイクロバイオーム代謝療法としてのオリゴ糖組成物の使用方法を提供する。
【解決手段】(a)酸性プロトンを含む触媒と共にデキストロース調製物を含む反応混合物を生成させること、および(b)(a)におけるローディング前のデキストロース調製物中の全デキストロースに対する、反応混合物により生成される正味の水凝縮物のモル比が0.35~1.0の範囲となるまで、反応混合物をその沸点で維持するために十分な熱を反応混合物に伝達させることにより製造されるオリゴ糖組成物を提供する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であって、該組成物が、表5に示されている特性
を各シグナルが有するシグナル1、3および4を含む多重編集勾配増強
1H-
13C異核
種単一量子コヒーレンス(HSQC)NMRスペクトルにより特徴づけられる、オリゴ糖
組成物。
【表1】
【請求項2】
シグナル1、3および4が以下のとおりに定められる、請求項1記載の組成物。
【表2】
【請求項3】
スペクトルが、表5に示されている特性を各シグナルが有するシグナル8および9から
選択される1~2個のシグナルを更に含む、請求項1または2記載の組成物。
【表3】
【請求項4】
シグナル8および9が以下のとおりに定められる、請求項3記載の組成物。
【表4】
【請求項5】
スペクトルが、表5に示されている特性を各シグナルが有するシグナル6、7、11、
12、13および14から選択される1~6個のシグナルを更に含む、請求項1~4のい
ずれか1項記載の組成物。
【表5】
【請求項6】
シグナル6、7、11、12、13および14が以下のとおりに定められる、請求項5
記載の組成物。
【表6】
【請求項7】
スペクトルが、表5に示されている特性を各シグナルが有するシグナル2、5および1
0から選択される1~3個のシグナルを更に含む、請求項1~6のいずれか1項記載の組
成物。
【表7】
【請求項8】
シグナル2、5および10が以下のとおりに定められる、請求項7記載の組成物。
【表8】
【請求項9】
シグナル1~14がそれぞれ、以下のとおりに定められる
1H積分領域および
13C積
分領域によって更に特徴づけられる、請求項1~8のいずれか1項記載の組成物。
【表9】
【請求項10】
NMRスペクトルが、以下のパルスシーケンス図、取得パラメータおよび処理パラメー
タを使用して、コヒーレンス選択のためにエコー-アンチエコースキームを用いる多重編
集勾配増強
1H-
13C異核種単一量子コヒーレンス(HSQC)実験に組成物のサンプ
ルを付すことにより得られる、請求項1~9のいずれか1項記載の組成物。
パルスシーケンス図
【化1】
取得パラメータ
1Hキャリア周波数=4ppm
13Cキャリア周波数=65ppm
取得次元のポイント数=596
取得次元のスペクトル範囲=6.00ppm~2.03ppm
間接次元のポイント数=300個の複合ポイント
間接次元のスペクトル範囲=120ppm~10ppm
リサイクル遅延=1秒
1結合
1H-
13C結合定数=J
CH=146Hz
スキャン数=8
温度=298K
溶媒=D
2O
処理パラメータ
直接次元における窓関数=ガウシアン・ブロードニング、7.66Hz
間接次元における窓関数=ガウシアン・ブロードニング、26.48Hz
処理=直接次元における512個の複合ポイント、間接次元における1024個の複合ポ
イント。
【請求項11】
NMRスペクトルが、組成物のサンプル(ここで、サンプルはD2O中の溶液である)
をHSQC NMRに付すことにより得られる、請求項1~10のいずれか1項記載の組
成物。
【請求項12】
オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均が約DP5~約DP11である、請求項1~1
1のいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均が約DP4~約DP8である、請求項12記載
の組成物。
【請求項14】
オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均が約DP5~約DP6である、請求項12記載
の組成物。
【請求項15】
組成物が16%~24% デキストロース当量(乾燥量基準)を含む、請求項1~14
のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
組成物が13%~27% デキストロース当量(乾燥量基準)を含む、請求項1~14
のいずれか1項記載の組成物。
【請求項17】
組成物が50%~95% 全食物繊維(乾燥量基準)を含む、請求項1~16のいずれ
か1項記載の組成物。
【請求項18】
組成物が少なくとも60%、70%、80%または90% 全食物繊維(乾燥量基準)
を含む、請求項1~16のいずれか1項記載の組成物。
【請求項19】
複数の単量体ラジカルを各オリゴ糖が含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であっ
て、前記の複数のオリゴ糖が、ラジカル(1)~(7):
(1)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.15~9.54モル%に相当す
る2-グルコピラノースジラジカル、
(2)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも18.94モル%に相当
する6-グルコピラノースジラジカル、
(3)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.63~8.74モル%に相当す
る4-グルコピラノースジラジカル、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカル、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも1.01~2.59モル
%に相当する2,3-グルコピラノーストリラジカル、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.00モル%未満に相当する3,
4,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカル
から選択される2以上のタイプの単量体ラジカルを含み、ここで、選択されるラジカルが
、定められたモル百分率(モル%)範囲で、複数のオリゴ糖に存在し、単量体ラジカルの
前記の2以上のタイプの少なくとも1つが(4)または(7)である、オリゴ糖組成物。
【請求項20】
単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1つが、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.70モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカル
である、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1つが、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.50モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカル
である、請求項19記載の組成物。
【請求項22】
オリゴ糖組成物が、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカル、および
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカル
を含む、請求項19~21のいずれか1項記載の組成物。
【請求項23】
オリゴ糖組成物が、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.40モル%未満に相当する3,
4,6-グルコピラノーステトララジカル
を含む、請求項19~22のいずれか1項記載の組成物。
【請求項24】
ラジカル(1)~(7)から選択される3つ、4つ、5つ、6つまたは7つのタイプの
単量体ラジカルを含む、請求項19~22のいずれか1項記載の組成物。
【請求項25】
ラジカル(8)~(12):
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの26.87~46.98モル%に相
当するt-グルコピラノースモノラジカル、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも6.94モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカル、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.43モル%未満に相当する2
,4-グルコピラノーストリラジカル、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの9.66モル%未満に相当する2
,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル、および
(12)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.07~0.85モル%に相当
する2,3,4-グルコピラノースラジカル
から選択される1以上のタイプの単量体ラジカルを更に含む、請求項19~24のいずれ
か1項記載の組成物。
【請求項26】
オリゴ糖組成物が、
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの30.00~40.00モル%に相
当するt-グルコピラノースモノラジカル
を含む、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
オリゴ糖組成物が、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.94~9.25モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカル
を含む、請求項25記載の組成物。
【請求項28】
オリゴ糖組成物が、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも9.10モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカル
を含む、請求項25記載の組成物。
【請求項29】
オリゴ糖組成物が、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.10モル%未満に相当する2
,4-グルコピラノーストリラジカル
を含む、請求項25記載の組成物。
【請求項30】
オリゴ糖組成物が、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.00モル%未満に相当する2
,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル
を含む、請求項25記載の組成物。
【請求項32】
ラジカル(8)~(12)から選択される1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのタイプ
の単量体ラジカルを含む、請求項25~30のいずれか1項記載の組成物。
【請求項33】
ラジカル(13)~(15):
(13)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの2.35~6.01モル%に相当
する3,6-グルコピラノーストリラジカル、
(14)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.06~0.86モル%に相当
する2,3,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.61モル%未満に相当する2
,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
から選択される1以上のタイプの単量体ラジカルを更に含む、請求項19~32のいずれ
か1項記載の組成物。
【請求項34】
オリゴ糖組成物が、
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.10モル%未満に相当する2
,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
を含む、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
ラジカル(13)~(15)から選択される1つ、2つまたは3つのタイプの単量体ラ
ジカルを含む、請求項33または34記載の組成物。
【請求項36】
複数の単量体ラジカルを各オリゴ糖が含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であっ
て、前記の複数のオリゴ糖が、ラジカル(1)~(15):
(1)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.15~9.54モル%に相当す
る2-グルコピラノースジラジカル、
(2)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも18.94モル%に相当
する6-グルコピラノースジラジカル、
(3)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.63~8.74モル%に相当す
る4-グルコピラノースジラジカル、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカル、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.01~2.59モル%に相当す
る2,3-グルコピラノーストリラジカル、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.00モル%未満に相当する3,
4,6-グルコピラノーステトララジカル、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカル、
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの26.87~46.98モル%に相
当するt-グルコピラノースモノラジカル、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも6.94モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカル、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.43モル%未満に相当する2
,4-グルコピラノーストリラジカル、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの9.66モル%未満に相当する2
,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル、
(12)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.07~0.85モル%に相当
する2,3,4-グルコピラノースラジカル、
(13)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの2.35~6.01モル%に相当
する3,6-グルコピラノーストリラジカル、
(14)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.06~0.86モル%に相当
する2,3,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.61モル%未満に相当する2
,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
を含み、ここで、ラジカル(1)~(15)が、定められたモル百分率(モル%)範囲で
複数のオリゴ糖に存在する、オリゴ糖組成物。
【請求項37】
オリゴ糖組成物が、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.70モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカル
を含む、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
オリゴ糖組成物が、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.50モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカル
を含む、請求項36または37記載の組成物。
【請求項39】
オリゴ糖組成物が、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.40モル%未満に相当する3,
4,6-グルコピラノーステトララジカル
を含む、請求項36~38のいずれか1項記載の組成物。
【請求項40】
オリゴ糖組成物が、
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの30.00~40.00モル%に相
当するt-グルコピラノースモノラジカル
を含む、請求項36~39のいずれか1項記載の組成物。
【請求項41】
オリゴ糖組成物が、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.94~9.25モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカル
を含む、請求項36~40のいずれか1項記載の組成物。
【請求項42】
オリゴ糖組成物が、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも9.10モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカル
を含む、請求項36~41のいずれか1項記載の組成物。
【請求項43】
オリゴ糖組成物が、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.10モル%未満に相当する2
,4-グルコピラノーストリラジカル
を含む、請求項36~42のいずれか1項記載の組成物。
【請求項44】
オリゴ糖組成物が、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.00モル%未満に相当する2
,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル
を含む、請求項36~43のいずれか1項記載の組成物。
【請求項45】
オリゴ糖組成物が、
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.10モル%未満に相当する2
,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
を含む、請求項36~44のいずれか1項記載の組成物。
【請求項46】
単量体ラジカルのモル百分率が、過メチル化アッセイを用いて決定され、ここで、過メ
チル化アッセイが、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)の使用を含み、所
望により、組成物を含むサンプルが、20.0分にわたって170℃から240℃まで4
℃/分で加熱しながらGC-MSにより分析される、請求項19~45のいずれか1項記
載の組成物。
【請求項47】
式(I):
【化2】
(式中、Rは、独立して、水素から選択される)ならびに式(Ia)、(Ib)、(Ic
)および(Id):
【化3】
[ここで、式(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id)におけるRは、独立して、式
(I)における前記と同意義を有する]を含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であ
って、該組成物が、
(a)酸性プロトンを含む触媒と共にデキストロース調製物を含む反応混合物を生成
させること、および
(b)(a)におけるローディング前のデキストロース調製物中の全デキストロース
に対する、反応混合物により生成される正味の水凝縮物のモル比が0.35~1.0の範
囲となるまで、反応混合物をその沸点で維持するために十分な熱を反応混合物に伝達させ
ることにより、反応混合物において酸触媒オリゴ糖形成を促進させること(ここで、反応
混合物は0.5~1.5気圧の圧力で維持される)
を含む製造方法により製造される、オリゴ糖組成物。
【請求項48】
製造方法が更に、
(c)反応混合物の温度を100℃以下にしながら、水を使用して反応混合物をクエ
ンチすること
を含む、請求項47記載の組成物。
【請求項49】
製造方法が更に、
(d)オリゴ糖の少なくとも一部を酸触媒から分離すること
を含む、請求項47または37記載の組成物。
【請求項50】
酸触媒が、酸性プロトンを含む固体基体である、請求項47~49のいずれか1項記載
の組成物。
【請求項51】
酸触媒が、表1による1以上の物理的および化学的特性を有する強酸カチオン交換樹脂
であり、および/または、ここで、該触媒が、3.0mmol/gを超えるスルホン酸部
分および1.0mmol/グラム未満のカチオン部分を含む、請求項50記載の組成物。
【請求項52】
触媒が45~50重量%の名目含水量を有する、請求項50または51記載の組成物。
【請求項53】
工程(a)において、酸触媒が、デキストロースに対する酸性プロトンのモル比が0.
001~0.25の範囲となる量で存在する、請求項47~52のいずれか1項記載の組
成物。
【請求項54】
工程(a)において、酸触媒が、デキストロースに対する酸性プロトンのモル比が0.
0016~0.022の範囲となる量で存在する、請求項47~52のいずれか1項記載
の組成物。
【請求項55】
工程(a)において、デキストロース調製物がデキストロース単量体を含む、請求項4
7~54のいずれか1項記載の組成物。
【請求項56】
工程(a)において、デキストロース調製物がデキストロース一水和物または70DS
コーンシロップを含む、請求項47~54のいずれか1項記載の組成物。
【請求項57】
式(I)を含む複数のオリゴ糖が全オリゴ糖組成物の少なくとも60%、少なくとも7
0%、少なくとも80%または少なくとも90%を構成する、請求項47~56のいずれ
か1項記載の組成物。
【請求項58】
式(I)を含む複数のオリゴ糖が全オリゴ糖組成物の少なくとも95%を構成する、請
求項47~46のいずれか1項記載の組成物。
【請求項59】
式(I)を含む複数のオリゴ糖が全オリゴ糖組成物の少なくとも98%を構成する、請
求項47~58のいずれか1項記載の組成物。
【請求項60】
式(I)を含む複数のオリゴ糖が全オリゴ糖組成物の100%を構成する、請求項47
~48のいずれか1項記載の組成物。
【請求項61】
オリゴ糖組成物の単量体の多くとも1%、2%、3%、5%、7%または10%が式(
I)または式Ia、Ib、IcおよびIdと異なる、請求項47~60のいずれか1項記
載の組成物。
【請求項62】
オリゴ糖組成物の単量体の多くとも1%が式(I)または式Ia、Ib、IcおよびI
dと異なる、請求項47~60のいずれか1項記載の組成物。
【請求項63】
オリゴ糖組成物の単量体の多くとも5%が式(I)または式Ia、Ib、IcおよびI
dと異なる、請求項47~60のいずれか1項記載の組成物。
【請求項64】
式(I)または式Ia、Ib、IcおよびIdと異なるオリゴ糖組成物の単量体が、誘
導体化された又は化学的に変化した(例えば、分解した)糖単位(例えば、無水形態)を
含む、請求項61~63のいずれか1項記載の組成物。
【請求項65】
(a)におけるローディング前のデキストロース調製物中の全デキストロースに対する
、反応混合物により生成される正味の水凝縮物のモル比が0.40~0.90の範囲とな
るまで、反応混合物をその沸点で維持する、請求項47~64のいずれか1項記載の組成
物。
【請求項66】
工程(b)の前に、均質性および均一熱伝達を達成するための適切な条件下、反応混合
物の温度を室温から反応混合物の沸点へと徐々に上昇させる、請求項47~54のいずれ
か1項記載の組成物。
【請求項67】
反応混合物が1%未満のソルビトールを含む、請求項47~66のいずれか1項記載の
組成物。
【請求項68】
オリゴ糖組成物が0.1%未満のソルビトールを含む、請求項47~67のいずれか1
項記載の組成物。
【請求項69】
オリゴ糖組成物が少なくとも90%、95%または99%のデキストロースを含む、請
求項47~68のいずれか1項記載の組成物。
【請求項70】
オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均が約DP4~約DP8である、請求項47~6
9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項71】
オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均が約DP5~約DP6である、請求項70記載
の組成物。
【請求項72】
工程(b)が更に、蒸発により反応混合物から水を除去することを含む、請求項47~
71のいずれか1項記載の組成物。
【請求項73】
工程(c)において、水が脱イオン水である、請求項48~72のいずれか1項記載の
組成物。
【請求項74】
工程(c)において、水が約60~100℃の温度を有する、請求項48~73のいず
れか1項記載の組成物。
【請求項75】
工程(c)において、混合物の固化を回避するのに十分な条件下、反応混合物に水を加
える、請求項48~74のいずれか1項記載の組成物。
【請求項76】
工程(d)において、前記分離が、濾過により触媒を除去することを含む、請求項49
~75のいずれか1項記載の組成物。
【請求項77】
工程(d)が、濾過前に反応混合物を約85℃未満に冷却することを含む、請求項49
~76のいずれか1項記載の組成物。
【請求項78】
製造方法が更に、(d)のオリゴ糖組成物を約5~65重量%の濃度に脱イオン水で希
釈することを含む、請求項48~77のいずれか1項記載の組成物。
【請求項79】
製造方法が更に、工程(e)~(g):
(e)希釈された組成物をカチオン交換樹脂に通す工程、
(f)希釈された組成物をアニオン交換樹脂に通す工程、および
(g)希釈された組成物を脱色ポリマー樹脂に通す工程
の1以上(例えば、2以上または3つ)を更に含み、ここで、(e)、(f)および(g
)のそれぞれが任意の順序で1回以上行われうる、請求項78記載の組成物。
【請求項80】
組成物が、室温での貯蔵の際の微生物増殖に必要なレベルより低いレベルの総含水量を
含む、請求項47~79のいずれか1項記載の組成物。
【請求項81】
組成物が24~33重量パーセントの範囲の総含水量を含む、請求項80記載の組成物
。
【請求項82】
組成物中のオリゴ糖が852~1475の範囲のMWw(g/mol)を有する、請求
項47~81のいずれか1項記載の組成物。
【請求項83】
組成物中のオリゴ糖が855~1100の範囲のMWw(g/mol)を有する、請求
項82記載の組成物。
【請求項84】
組成物中のオリゴ糖が612~912の範囲のMWn(g/mol)を有する、請求項
47~83のいずれか1項記載の組成物。
【請求項85】
組成物中のオリゴ糖が612~710の範囲のMWw(g/mol)を有する、請求項
84記載の組成物。
【請求項86】
オリゴ糖組成物が2.5~7.5の範囲のpHを有する、請求項47~85のいずれか
1項記載の組成物。
【請求項87】
オリゴ糖組成物が2.5~5.0の範囲のpHを有する、請求項86記載の組成物。
【請求項88】
オリゴ糖組成物が、約75~約95重量%(乾燥量基準)の2以上の単量体(DP2+
)を有するオリゴマーを含む、請求項47~87のいずれか1項記載の組成物。
【請求項89】
組成物が、約80~約90重量パーセント(乾燥量基準)の2以上の単量体の重合度(
DP2+)を有するオリゴマーを含む、請求項88記載の組成物。
【請求項90】
オリゴ糖組成物が25%未満の単量体を含む、請求項47~89のいずれか1項記載の
組成物。
【請求項91】
オリゴ糖組成物が15%未満の単量体を含む、請求項47~89のいずれか1項記載の
組成物。
【請求項92】
オリゴ糖組成物が3%未満の単量体を含む、請求項47~89のいずれか1項記載の組
成物。
【請求項93】
オリゴ糖組成物が1%未満の単量体を含む、請求項47~89のいずれか1項記載の組
成物。
【請求項94】
オリゴ糖組成物が3% w/w未満の不純物を含む、請求項47~93のいずれか1項
記載の組成物。
【請求項95】
オリゴ糖組成物がヒトにおいて実質的に非吸収性である、請求項47~94のいずれか
1項記載の組成物。
【請求項96】
オリゴ糖組成物が最低限度でヒトにより消化可能である、請求項47~95のいずれか
1項記載の組成物。
【請求項97】
オリゴ糖組成物が16%~24%のデキストロース当量(乾燥量基準)を含む、請求項
47~96のいずれか1項記載の組成物。
【請求項98】
オリゴ糖組成物が13%~27%のデキストロース当量(乾燥量基準)を含む、請求項
47~96のいずれか1項記載の組成物。
【請求項99】
オリゴ糖組成物が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%の全食物繊
維(乾燥量基準)を含む、請求項47~96のいずれか1項記載の組成物。
【請求項100】
オリゴ糖組成物が65%~95%の全食物繊維(乾燥量基準)を含む、請求項47~9
6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項101】
組成物が、検出可能な量の可溶性食物繊維沈殿物(SDFP)、不溶性食物繊維(ID
F)および/または高分子量食物繊維(HMWDF)を含有しない、請求項47~100
のいずれか1項記載の組成物。
【請求項102】
請求項1~101のいずれか1項記載のオリゴ糖組成物の有効量をヒト対象に投与する
ことを含む、ヒト対象におけるアンモニアレベルを低下させる方法。
【請求項103】
アンモニアレベルがヒト対象における血中アンモニアレベルである、請求項102記載
の方法。
【請求項104】
対象が尿素サイクル異常症を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項10
2または103記載の方法。
【請求項105】
対象が小児集団の対象である、請求項102~104のいずれか1項記載の方法。
【請求項106】
請求項1~101のいずれか1項記載のオリゴ糖組成物の有効量をヒト対象に投与する
ことを含む、高アンモニア血症に関連した疾患もしくは状態を有する又は該疾患もしくは
状態を有すると診断されたヒト対象における高アンモニア血症クリーゼの割合を低下させ
る方法。
【請求項107】
対象が尿素サイクル異常症を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項10
6記載の方法。
【請求項108】
対象が小児集団の対象である、請求項106または107記載の方法。
【請求項109】
対象が肝性脳症(HE)を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項106
記載の方法。
【請求項110】
対象が老人集団の対象である、請求項109記載の方法。
【請求項111】
対象が肝硬変を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項109または11
0記載の方法。
【請求項111】
対象が感染症を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項109~111の
いずれか1項記載の方法。
【請求項112】
請求項1~101のいずれか1項記載のオリゴ糖組成物の有効量をヒト対象に投与する
ことを含む、ヒト対象における脳症の治療方法。
【請求項113】
対象が肝性脳症(HE)を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項112
記載の方法。
【請求項114】
対象が老人集団の対象である、請求項112または113記載の方法。
【請求項115】
対象が肝硬変を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項112または11
4のいずれか1項記載の方法。
【請求項116】
対象が非代償性肝硬変を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項112~
115のいずれか1項記載の方法。
【請求項117】
対象が感染症を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項112~116の
いずれか1項記載の方法。
【請求項118】
請求項1~101のいずれか1項記載のオリゴ糖組成物をヒト対象に投与することを含
む、肝硬変を有するヒト対象または肝硬変を有すると診断されたヒト対象の治療方法。
【請求項119】
対象が非代償性肝硬変を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項118記
載の方法。
【請求項120】
対象が顕性肝性脳症(OHE)を有し、またはそれを有すると診断されている、請求項
118または119記載の方法。
【請求項121】
対象がラクツロースおよび/またはリファキシミンで治療されたことがあり、または現
在治療されている、請求項106~120のいずれか1項記載の方法。
【請求項122】
請求項1~101のいずれか1項記載のオリゴ糖組成物の有効量を対象に投与すること
を含む、ヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)の治療方法。
【請求項123】
対象が小児集団の対象である、請求項122記載の方法。
【請求項124】
(a)デキストロース単量体を含むデキストロース調製物を、攪拌条件下、120℃~
145℃の範囲の温度に加熱すること、
(b)酸性プロトンを含む触媒と共にデキストロース単量体を含むデキストロース調製
物を含む反応混合物を生成させること(ここで、デキストロース単量体に対する酸性プロ
トンのモル比は0.001~0.25の範囲である)、および
(c)反応混合物中のデキストロース単量体の重量パーセントが30%未満になるまで
、反応混合物をその沸点で維持するために十分な熱を反応混合物に伝達させることにより
、反応混合物において酸触媒オリゴ糖形成を促進させること(ここで、反応混合物は0.
5~1.5気圧の圧力で維持される)
を含む、複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物の製造方法。
【請求項125】
製造方法が更に、
(d)反応混合物の温度を100℃以下にしながら、水を使用して反応混合物をクエン
チすること、および
(e)オリゴ糖を酸触媒から分離すること
を含む、請求項124記載の製造方法。
【請求項126】
工程(a)において、酸触媒が、デキストロースに対する酸性プロトンのモル比が0.
0016~0.022の範囲となる量で存在する、請求項124または125記載の製造
方法。
【請求項127】
反応混合物中のデキストロース単量体の重量パーセントが25%未満になるまで、反応
混合物をその沸点で維持する、請求項124~126のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項128】
反応混合物中のデキストロース単量体の重量パーセントが13~18%になるまで、反
応混合物をその沸点で維持する、請求項124~127のいずれか1項記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年8月21日付け出願の“OLIGOSACCHARIDE CO
MPOSITIONS AND METHODS OF USE THEREOF FO
R REDUCING AMMONIA LEVELS”と題する米国仮特許出願第62
/720,924号、2018年11月3日付け出願の“OLIGOSACCHARID
E COMPOSITIONS AND METHODS OF USE THEREO
F FOR REDUCING AMMONIA LEVELS”と題する米国仮特許出
願第62/755,461号、2018年11月8日付け出願の“OLIGOSACCH
ARIDE COMPOSITIONS AND METHODS OF USE TH
EREOF FOR REDUCING AMMONIA LEVELS”と題する米国
仮特許出願第62/757,723号、2019年5月8日付け出願の“OLIGOSA
CCHARIDE COMPOSITIONS AND METHODS OF USE
THEREOF FOR REDUCING AMMONIA LEVELS”と題す
る米国仮特許出願第62/845,295号(これらのそれぞれの全体を参照により本明
細書に組み入れることとする)の出願日の利益を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本開示はオリゴ糖組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
腸内の約100兆(1×1014)個の微生物細胞の生態系である腸マイクロバイオー
ムは、ヒト細胞が単独では行うことができない機能をもたらす、人体の重要な器官とみな
されうる。腸内微生物叢は、栄養素利用、コロニー形成抵抗性、免疫系の発生、宿主代謝
の調節、および宿主の生理機能の他の多様な側面に影響を及ぼすことにより、ヒトの健康
および疾患において中心的な役割を果たす。宿主の代謝能力に対する腸内微生物叢の寄与
の一例は窒素の利用に関するものである。結腸は窒素源に富み、これはムチン、尿素、お
よび宿主の消化を逃れた食事性アミノ酸を含む。幾つかの腸内微生物はこれらの分子から
アンモニアを遊離させ、このアンモニアをタンパク質および核酸のような細菌性生体分子
内に取り込みうる。しかし、遊離されるアンモニアの量は、しばしば、これらの腸内細菌
の代謝要求を上回り、これによりアンモニアが腸内に蓄積する。非酸性条件下、このアン
モニアは腸上皮を越えて門脈循環内に拡散し、高アンモニア血症患者におけるアンモニア
レベルの上昇に有意に関与する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
発明の概括
幾つかの態様において、本発明は、例えば疾患を治療し全身健康状態を改善するために
、腸マイクロバイオーム器官の機能的成果を誘導するのに有用であるオリゴ糖組成物を利
用するマイクロバイオーム代謝療法を提供する。幾つかの実施形態においては、そのよう
なオリゴ糖組成物は、対象におけるアンモニアレベルを低下させるのに特に有効である。
したがって、幾つかの実施形態においては、本明細書に開示されているオリゴ糖組成物は
、尿素サイクル異常症(尿素サイクル障害)および肝性脳症のような高アンモニア血症に
関連した障害を有する対象を治療するのに有用である。
【0005】
【0006】
(式中、Rは、独立して、水素から選択される)ならびに式(Ia)、(Ib)、(Ic
)および(Id):
【化2】
【0007】
(式中、Rは、独立して、前記と同意義を有する)を含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖
組成物を提供する。
【0008】
【0009】
(式中、Rは、独立して、水素から実質的になる群から選択される)、式(Ia)、(I
b)、(Ic)および(Id):
【化4】
【0010】
(式中、Rは、独立して、前記と同意義を有する)を含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖
組成物を提供する。
【0011】
幾つかの態様においては、本発明は、複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を提供し、
該組成物は、シグナル1、3および4を含む多重編集勾配増強(multiplicit
y-edited gradient-enhanced)
1H-
13C異核種単一量子
コヒーレンス(heteronuclear single quantum cohe
rence)(HSQC)NMRスペクトルにより特徴づけられ、前記の各シグナルは以
下の中心位置および面積を有する。
【表1】
【0012】
幾つかの実施形態においては、シグナル1、3および4は以下のとおりに定められる。
【表2】
【0013】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物のNMRスペクトルは、シグナル8およ
び9から選択される1~2個のシグナルを更に含み、前記の各シグナルは以下の中心位置
および面積を有する。
【表3】
【0014】
幾つかの実施形態においては、シグナル8および9は以下のとおりに定められる。
【表4】
【0015】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物のNMRスペクトルは、シグナル6、7
、11、12、13および14から選択される1~6個のシグナルを更に含み、前記の各
シグナルは以下の中心位置および面積を有する。
【表5】
【0016】
幾つかの実施形態においては、シグナル6、7、11、12、13および14は以下の
とおりに定められる。
【表6】
【0017】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物のNMRスペクトルは、シグナル2、5
および10から選択される1~3個のシグナルを更に含む。
【表7】
【0018】
幾つかの実施形態においては、シグナル2、5および10は以下のとおりに定められる
。
【表8】
【0019】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物のNMRスペクトルのシグナル1~14
は、以下のとおりに定められる
1H積分領域および
13C積分領域によって更に特徴づけ
られる。
【表9】
【0020】
幾つかの実施形態においては、以下のパルスシーケンス図、取得パラメータおよび処理
パラメータを使用して、コヒーレンス選択のためにエコー-アンチエコースキームを用い
る多重編集勾配増強1H-13C異核種単一量子コヒーレンス(HSQC)実験にオリゴ
糖組成物のサンプルを付すことにより、オリゴ糖組成物のNMRスペクトルを得る。
【0021】
【0022】
取得パラメータ
1Hキャリア周波数=4ppm
13Cキャリア周波数=65ppm
取得次元のポイント数=596
取得次元のスペクトル範囲=6.00ppm~2.03ppm
間接次元のポイント数=300個の複合ポイント
間接次元のスペクトル範囲=120ppm~10ppm
リサイクル遅延=1秒
1結合1H-13C結合定数=JCH=146Hz
スキャン数=8
温度=298K
溶媒=D2O
処理パラメータ
直接次元における窓関数=ガウシアン・ブロードニング、7.66Hz
間接次元における窓関数=ガウシアン・ブロードニング、26.48Hz
処理=直接次元における512個の複合ポイント、間接次元における1024個の複合ポ
イント。
【0023】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物のサンプル(ここで、サンプルはD2O
中の溶液である)をHSQC NMRに付すことにより、オリゴ糖組成物のNMRスペク
トルを得る。
【0024】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均は約DP5~約
DP11である。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均
は約DP4~約DP8である。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の重合度(
DP)の平均は約DP5~約DP6である。
【0025】
幾つかの実施形態においては、組成物は16%~24% デキストロース当量(乾燥量
基準)を含む。幾つかの実施形態においては、組成物は13%~27% デキストロース
当量(乾燥量基準)を含む。幾つかの実施形態においては、組成物は50%~95% 全
食物繊維(乾燥量基準)を含む。幾つかの実施形態においては、組成物は少なくとも60
%、70%、80%または90% 全食物繊維(乾燥量基準)を含む。
【0026】
幾つかの態様においては、本発明は、複数の単量体(モノマー)ラジカルを各オリゴ糖
が含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であり、前記の複数のオリゴ糖はラジカル(
1)~(7):
(1)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.15~9.54モル%に相当す
る2-グルコピラノースジラジカル、
(2)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの18.94~24.61モル%に相
当する6-グルコピラノースジラジカル、
(3)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.63~8.64モル%に相当す
る4-グルコピラノースジラジカル、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカル、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも1.41モル%に相当す
る2,3-グルコピラノーストリラジカル、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.11~1.00モル%に相当す
る3,4,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカル
から選択される2以上のタイプの単量体ラジカルを含み、ここで、選択されるラジカルは
、定められたモル百分率(モル%(mol%))範囲で、複数のオリゴ糖に存在し、単量
体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1つは(4)、(5)または(7)であ
る。
【0027】
幾つかの実施形態においては、単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1
つは、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカルである。
【0028】
幾つかの実施形態においては、単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1
つは、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.22モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカルである。
【0029】
幾つかの実施形態においては、単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1
つは、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも1.41モル%に相当す
る2,3-グルコピラノーストリラジカルである。
【0030】
幾つかの実施形態においては、単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1
つは、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも1.54モル%に相当す
る2,3-グルコピラノーストリラジカルである。
【0031】
幾つかの実施形態においては、単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1
つは、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカルである。
【0032】
幾つかの実施形態においては、単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1
つは、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.64モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカルである。
【0033】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、ラジカル(1)~(7)から選択さ
れる3つ、4つ、5つ、6つまたは7つのタイプの単量体ラジカルを含む。
【0034】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、ラジカル(4)、(5)または(7
)から選択される単量体ラジカルの2つまたは3つを含む。
【0035】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、ラジカル(8)~(12):
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの26.87~46.98モル%に相
当するt-グルコピラノースモノラジカル、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.94~9.25モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカル、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.64~1.43モル%に相当
する2,4-グルコピラノーストリラジカル、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの5.09~9.66モル%に相当
する2,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル、および
(12)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.08~0.85モル%に相当
する2,3,4-グルコピラノースラジカル
から選択される1以上のタイプの単量体ラジカルを更に含む。
【0036】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、ラジカル(1)~(7)から選択さ
れる3つ、4つ、5つ、6つまたは7つのタイプの単量体ラジカルを含む。
【0037】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、ラジカル(13)~(15):
(13)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの2.35~6.01モル%に相当
する3,6-グルコピラノーストリラジカル、
(14)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.06~0.86モル%に相当
する2,3,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.61モル%未満に相当する2
,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
から選択される1以上のタイプの単量体ラジカルを更に含む。
【0038】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、ラジカル(13)~(15)から選
択される1つ、2つまたは3つのタイプの単量体ラジカルを含む。
【0039】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、ラジカル(1)~(15):
(1)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.15~9.54モル%に相当す
る2-グルコピラノースジラジカル、
(2)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの18.94~24.61モル%に相
当する6-グルコピラノースジラジカル、
(3)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.63~8.64モル%に相当す
る4-グルコピラノースジラジカル、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカル、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも0.64~1.43モル
%に相当する2,3-グルコピラノーストリラジカル、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する3,
4,6-グルコピラノーステトララジカル、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.61モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカル、
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの26.87~46.98モル%に相
当するt-グルコピラノースモノラジカル、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.94~9.25モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカル、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.64~1.43モル%に相当
する2,4-グルコピラノーストリラジカル、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの5.09~9.66モル%に相当
する2,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル、
(12)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.08~0.85モル%に相当
する2,3,4-グルコピラノースラジカル、
(13)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの2.35~6.01モル%に相当
する3,6-グルコピラノーストリラジカル、
(14)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.06~0.86モル%に相当
する2,3,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.61モル%未満に相当する2
,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
を含む。
【0040】
幾つかの実施形態においては、前記のオリゴ糖は、
25~45モル%のグルコピラノースモノラジカル、
35~55モル%のグルコピラノースジラジカル、
10~25モル%のグルコピラノーストリラジカル、および
0.5~5モル%のグルコピラノーステトララジカル
を含む。
【0041】
幾つかの実施形態においては、前記のオリゴ糖は、
30~43モル%のグルコピラノースモノラジカル、
41~50モル%のグルコピラノースジラジカル、
12~19モル%のグルコピラノーストリラジカル、および
0.8~3モル%のグルコピラノーステトララジカル
を含む。
【0042】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、複数の単量体ラジカルを各オリゴ糖
が含む複数のオリゴ糖を含み、前記の複数のオリゴ糖は、ラジカル(1)~(7):
(1)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.15~9.54モル%に相当す
る2-グルコピラノースジラジカル、
(2)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも18.94モル%に相当
する6-グルコピラノースジラジカル、
(3)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.63~8.74モル%に相当す
る4-グルコピラノースジラジカル、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカル、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.01~2.59モル%に相当す
る2,3-グルコピラノーストリラジカル、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.00モル%未満に相当する3,
4,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカル
から選択される2以上のタイプの単量体ラジカルを含み、ここで、選択されるラジカルは
、定められたモル百分率(モル%(mol%))範囲で、複数のオリゴ糖に存在し、単量
体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1つは(4)または(7)である。
【0043】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、複数の単量体ラジカルを各オリゴ糖
が含む複数のオリゴ糖を含み、前記の複数のオリゴ糖は、ラジカル(1)~(15):
(1)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.15~9.54モル%に相当す
る2-グルコピラノースジラジカル、
(2)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも18.94モル%に相当
する6-グルコピラノースジラジカル、
(3)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.63~8.74モル%に相当す
る4-グルコピラノースジラジカル、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカル、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも1.01~2.59モル
%に相当する2,3-グルコピラノーストリラジカル、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.00モル%未満に相当する3,
4,6-グルコピラノーステトララジカル、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカル、
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの26.87~46.98モル%に相
当するt-グルコピラノースモノラジカル、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも6.94モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカル、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.43モル%未満に相当する2
,4-グルコピラノーストリラジカル、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの9.66モル%未満に相当する2
,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル、
(12)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.07~0.85モル%に相当
する2,3,4-グルコピラノースラジカル、
(13)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの2.35~6.01モル%に相当
する3,6-グルコピラノーストリラジカル、
(14)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.06~0.86モル%に相当
する2,3,6-グルコピラノーステトララジカル、および/または
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.61モル%未満に相当する2
,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
から選択される2以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
13、14または15個)のタイプの単量体ラジカルを含み、ここで、選択されるラジカ
ルは、定められたモル百分率(モル%(mol%))範囲で、複数のオリゴ糖に存在する
。
【0044】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.70モル%未満に相当する3,
4-グルコピラノーストリラジカルを含む。
【0045】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.50モル%未満に相当する2,
4,6-グルコピラノーステトララジカルを含む
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.40モル%未満に相当する3,
4,6-グルコピラノーステトララジカルを含む。
【0046】
請求項36~39のいずれか1項記載の組成物においては、オリゴ糖組成物は、
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの30.00~40.00モル%に相
当するt-グルコピラノースモノラジカルを含む。
【0047】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.94~9.25モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカルを含む。
【0048】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも9.10モル%に相当す
る3-グルコピラノースジラジカルを含む。
【0049】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.10モル%未満に相当する2
,4-グルコピラノーストリラジカルを含む。
【0050】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.00モル%未満に相当する2
,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカルを含む。
【0051】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.10モル%未満に相当する2
,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカルを含む。
【0052】
幾つかの実施形態においては、単量体ラジカルのモル百分率は過メチル化アッセイによ
り決定され、ここで、過メチル化アッセイは、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC
-MS)の使用を含み、所望により、組成物を含むサンプルは、20.0分にわたって1
70℃から240℃まで4℃/分で加熱しながら、GC-MSにより分析される。
【0053】
幾つかの態様においては、本発明は、式(I):
【化6】
【0054】
(式中、Rは、独立して、水素から選択される)ならびに式(Ia)、(Ib)、(Ic
)および(Id):
【化7】
【0055】
[ここで、式(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id)におけるRは、独立して、式
(I)における前記と同意義を有する]を含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であ
って、該組成物が、
(a)酸性プロトンを含む触媒と共にデキストロース調製物を含む反応混合物を生成
させること、および
(b)(a)におけるローディング前のデキストロース調製物中の全デキストロース
に対する、反応混合物により生成される正味の水凝縮物(水縮合物)のモル比が0.35
~1.0の範囲となるまで、反応混合物をその沸点で維持するために十分な熱を反応混合
物に伝達させることにより、反応混合物において酸触媒オリゴ糖形成を促進させること(
ここで、反応混合物は0.5~1.5気圧の圧力で維持される)
を含む製造方法により製造される、オリゴ糖組成物を提供する。
【0056】
幾つかの実施形態においては、該製造方法は更に、
(c)反応混合物の温度を100℃以下にしながら、水を使用して反応混合物をクエ
ンチすることを含む。
【0057】
幾つかの実施形態においては、該製造方法は更に、
(d)オリゴ糖の少なくとも一部を酸触媒から分離することを含む。
【0058】
幾つかの実施形態においては、酸触媒は、酸性プロトンを含む固体基体である。酸触媒
は、表1による1以上の物理的および化学的特性を有する強酸カチオン交換樹脂であるこ
とが可能であり、および/または、ここで、該触媒は、3.0mmol/gを超えるスル
ホン酸部分および1.0mmol/グラム未満のカチオン部分を含む。幾つかの実施形態
においては、該触媒は45~50重量%の名目含水量を有する。
【0059】
幾つかの実施形態においては、工程(a)において、酸触媒は、デキストロースに対す
る酸性プロトンのモル比が0.001~0.25の範囲となる量で存在する。幾つかの実
施形態においては、工程(a)において、酸触媒は、デキストロースに対する酸性プロト
ンのモル比が0.0016~0.022の範囲となる量で存在する。
【0060】
幾つかの実施形態においては、工程(a)において、デキストロース調製物はデキスト
ロース単量体を含む。幾つかの実施形態においては、工程(a)において、デキストロー
ス調製物はデキストロース一水和物または70DSコーンシロップを含む。
【0061】
幾つかの実施形態においては、式(I)を含む複数のオリゴ糖は全オリゴ糖組成物の少
なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%を構成す
る。幾つかの実施形態においては、式(I)を含む複数のオリゴ糖は全オリゴ糖組成物の
少なくとも95%を構成する。幾つかの実施形態においては、式(I)を含む複数のオリ
ゴ糖は全オリゴ糖組成物の少なくとも98%を構成する。幾つかの実施形態においては、
式(I)を含む複数のオリゴ糖は全オリゴ糖組成物の100%を構成する。
【0062】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の単量体の多くとも1%、2%、3%、
5%、7%または10%が式(I)または式Ia、Ib、IcおよびIdと異なる。
【0063】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の単量体の多くとも1%が式(I)また
は式Ia、Ib、IcおよびIdと異なる。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成
物の単量体の多くとも5%が式(I)または式Ia、Ib、IcおよびIdと異なる。幾
つかの実施形態においては、式(I)または式Ia、Ib、IcおよびIdと異なるオリ
ゴ糖組成物の単量体は、誘導体化された又は化学的に変化した(例えば、分解した)糖単
位(例えば、無水形態)を含む。
【0064】
幾つかの実施形態においては、(a)におけるローディング前のデキストロース調製物
中の全デキストロースに対する、反応混合物により生成される正味の水凝縮物のモル比が
0.40~0.90の範囲となるまで、反応混合物をその沸点で維持する。
【0065】
幾つかの実施形態においては、工程(b)の前に、均質性および均一熱伝達を達成する
ための適切な条件下、反応混合物の温度を室温から反応混合物の沸点へと徐々に上昇させ
る。
【0066】
幾つかの実施形態においては、反応混合物は1%未満のソルビトールを含む。幾つかの
実施形態においては、オリゴ糖組成物は0.1%未満のソルビトールを含む。幾つかの実
施形態においては、オリゴ糖組成物は少なくとも90%、95%または99%のデキスト
ロースを含む。
【0067】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均は約DP4~約
DP8である。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均は
約DP5~約DP6である。
【0068】
幾つかの実施形態においては、工程(b)は更に、蒸発により反応混合物から水を除去
することを含む。幾つかの実施形態においては、工程(c)において、水は(約60~1
00℃の温度の)脱イオン水である。幾つかの実施形態においては、工程(c)において
、混合物の固化を回避するのに十分な条件下、反応混合物に水を加える。幾つかの実施形
態においては、工程(d)において、前記分離は、濾過により触媒を除去することを含む
。幾つかの実施形態においては、工程(d)は、濾過前に反応混合物を約85℃未満に冷
却することを含む。
【0069】
幾つかの実施形態においては、該製造方法は更に、(d)のオリゴ糖組成物を約5~6
5重量%の濃度に脱イオン水で希釈することを含む。幾つかの実施形態においては、該製
造方法は更に、工程(e)~(g)、すなわち、
(e)希釈された組成物をカチオン交換樹脂に通す工程、
(f)希釈された組成物をアニオン交換樹脂に通す工程、および
(g)希釈された組成物を脱色ポリマー樹脂に通す工程
の1以上(例えば、2以上または3つ)を更に含み、ここで、(e)、(f)および(g
)のそれぞれは任意の順序で1回以上行われうる。
【0070】
幾つかの実施形態においては、組成物は、室温での貯蔵の際の微生物増殖に必要なレベ
ルより低いレベルの総含水量を含む。幾つかの実施形態においては、組成物は24~33
重量パーセントの範囲の総含水量を含む。
【0071】
幾つかの実施形態においては、組成物中のオリゴ糖は852~1475の範囲のMWw
(g/mol)を有する。幾つかの実施形態においては、組成物中のオリゴ糖は855~
1100の範囲のMWw(g/mol)を有する。幾つかの実施形態においては、組成物
中のオリゴ糖は612~912の範囲のMWn(g/mol)を有する。幾つかの実施形
態においては、組成物中のオリゴ糖は612~710の範囲のMWw(g/mol)を有
する。
【0072】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は2.5~7.5の範囲のpHを有する
。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は2.5~5.0の範囲のpHを有する
。
【0073】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、約75~約95重量%(乾燥量基準
)の2以上の単量体(DP2+)を有するオリゴマーを含む。幾つかの実施形態において
は、組成物は、約80~約90重量パーセント(乾燥量基準)の2以上の単量体の重合度
(DP2+)を有するオリゴマーを含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物
は25%未満、15%未満または3%未満または1%未満の単量体を含む。
【0074】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は3% w/w未満の不純物を含む。幾
つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物はヒトにおいて実質的に非吸収性である。幾
つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は最低限度でヒトにより消化可能である。
【0075】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は16%~24%のデキストロース当量
(乾燥量基準)を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は13%~27%
のデキストロース当量(乾燥量基準)を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組
成物は少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%の全食物繊維(乾燥量基
準)を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は65%~95%の全食物繊
維(乾燥量基準)を含む。
【0076】
幾つかの実施形態においては、組成物は、検出可能な量の可溶性食物繊維沈殿物(SD
FP)、不溶性食物繊維(IDF)および/または高分子量食物繊維(HMWDF)を含
有しない。
【0077】
幾つかの態様においては、本発明は、ヒト対象におけるアンモニアレベルを低下させる
方法を提供する。幾つかの実施形態においては、ヒト対象におけるアンモニアレベルを低
下させる方法は、本明細書に記載されているオリゴ糖組成物の有効量をヒト対象に投与す
ることを含む。
【0078】
幾つかの実施形態においては、アンモニアレベルはヒト対象における全身アンモニアレ
ベルである。幾つかの実施形態においては、アンモニアレベルは、処置(治療)前のアン
モニアレベルと比較して少なくとも20%低下する。
【0079】
幾つかの実施形態において、対象は尿素サイクル異常症を有し、またはそれを有すると
診断されている。幾つかの実施形態においては、対象は小児集団の対象である。
【0080】
幾つかの態様においては、本発明は、本明細書に記載されているオリゴ糖組成物の有効
量を対象に投与することを含む、ヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)の治療
方法を提供する。
【0081】
幾つかの実施形態においては、対象は小児集団の対象である。幾つかの実施形態におい
ては、ヒト対象は少なくとも2歳である。幾つかの実施形態においては、ヒト対象は少な
くとも2月齢である。
【0082】
幾つかの実施形態においては、ヒト対象は肝性脳症(HE)を有する。
【0083】
幾つかの態様においては、本発明は、本明細書に記載されているオリゴ糖をヒト対象に
投与することを含む、肝硬変を有するヒト対象または肝硬変を有すると診断されたヒト対
象の治療方法を提供する。
【0084】
幾つかの実施形態においては、対象は非代償性肝硬変を有し、またはそれを有すると診
断されている。幾つかの実施形態においては、対象は顕性肝性脳症(OHE)を有し、ま
たはそれを有すると診断されている。幾つかの実施形態においては、対象はラクツロース
および/またはキシファキシンで治療されたことがあり、または現在治療されている。
【0085】
幾つかの態様においては、本発明は、
(a)デキストロース単量体を含むデキストロース調製物を、攪拌条件下、120℃
~145℃の範囲の温度に加熱すること、
(b)酸性プロトンを含む触媒と共にデキストロース単量体を含むデキストロース調
製物を含む反応混合物を生成させること(ここで、デキストロース単量体に対する酸性プ
ロトンのモル比は0.001~0.25の範囲である)、および
(c)反応混合物中のデキストロース単量体の重量パーセントが30%未満になるま
で、反応混合物をその沸点で維持するために十分な熱を反応混合物に伝達させることによ
り、反応混合物において酸触媒オリゴ糖形成を促進させること(ここで、反応混合物は0
.5~1.5気圧の圧力で維持される)
を含む、複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物の製造方法を提供する。
【0086】
幾つかの実施形態においては、該製造方法は更に、
(d)反応混合物の温度を100℃以下にしながら、水を使用して反応混合物をクエ
ンチすること、および
(e)オリゴ糖を酸触媒から分離することを含む。
【0087】
幾つかの実施形態においては、工程(a)において、酸触媒は、デキストロースに対す
る酸性プロトンのモル比が0.0016~0.022の範囲となる量で存在する。
【0088】
幾つかの実施形態においては、反応混合物中のデキストロース単量体の重量パーセント
が25%未満(例えば、20%未満、15%未満、10%未満)になるまで、反応混合物
をその沸点で維持する。幾つかの実施形態においては、反応混合物中のデキストロース単
量体の重量パーセントが13~18%になるまで、反応混合物をその沸点で維持する。
【0089】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、(a)酸性プロトンを含む触媒と共
にデキストロース調製物を含む反応混合物を生成させること、および(b)反応混合物中
のデキストロース単量体の重量パーセントが30%未満になるまで、反応混合物をその沸
点で維持するために十分な熱を反応混合物に伝達させることにより、反応混合物において
酸触媒オリゴ糖形成を促進させること(ここで、反応混合物は0.5~1.5気圧の圧力
で維持される)を含む製造方法により製造される。
【0090】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は10%未満のソルビトール、例えば約
10%、8%、約6%、約4%、約2%、約1%のソルビトールまたは約0.1%以下の
ソルビトールを含む。幾つかの実施形態においては、反応混合物は、90%を超えるグル
コース、例えば約95%、約99%または約100%のグルコースを含む。幾つかの実施
形態においては、反応混合物は10%未満のソルビトールおよび90%を超えるグルコー
ス、例えば、1%未満のソルビトールおよび99%を超えるグルコースを含む。
【0091】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は10%未満のソルビトール、例えば約
10%、8%、約6%、約4%、約2%、約1%のソルビトールまたは約0.1%以下の
ソルビトールを含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は1%未満のソルビ
トール、例えば約0.9%、約0.5%または約0.1%のソルビトールを含む。特定の
実施形態においては、オリゴ糖組成物は0.1%未満のソルビトールを含む。幾つかの実
施形態においては、オリゴ糖組成物は、90%を超えるグルコース、例えば約95%、約
99%または約100%のグルコースを含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組
成物は10%未満のソルビトールおよび90%を超えるグルコース、例えば、1%未満の
ソルビトールおよび99%を超えるグルコースを含む。幾つかの実施形態においては、全
オリゴ糖の平均重合度は5~6の範囲である。他の実施形態においては、全オリゴ糖の平
均重合度は4~9の範囲である。
【0092】
幾つかの実施形態においては、デキストロース調製物はデキストロース一水和物または
コーンシロップ、例えば70DSコーンシロップを含む。幾つかの実施形態においては、
デキストロース調製物の加熱は、均質性および均一熱伝達を達成するための適切な条件下
、デキストロース製剤を溶融させること、および/またはデキストロース製剤を加熱する
ことを含む。
【0093】
幾つかの実施形態においては、触媒は、以下の表に従う物理的および化学的特性を有す
る強酸カチオン交換樹脂である。
【表10】
【0094】
幾つかの実施形態においては、触媒は3.0mmol/gのスルホン酸部分および1.
0mmol/グラム未満のカチオン性部分を含む。幾つかの実施形態においては、触媒は
45~50重量パーセントの名目含水量を有する。
【0095】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、均質性および均一熱伝達を達成する
ための適切な条件下、温度を約130℃へと徐々に上昇させることにより製造される。幾
つかの実施形態においては、水を蒸発により反応混合物から除去する。幾つかの実施形態
においては、溶解固体が93~94重量パーセントとなるように反応混合物を維持する。
【0096】
幾つかの実施形態においては、水は脱イオン水である。幾つかの実施形態においては、
水は約60~100℃の温度を有する。幾つかの実施形態においては、混合物の固化を回
避するのに十分な条件下、反応混合物に水を加える。幾つかの実施形態においては、分離
は、触媒を濾過により除去することを含む。幾つかの実施形態においては、濾過前に、反
応混合物を約85℃未満に冷却する。
【0097】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の製造方法は更に、(f)(e)のオリ
ゴ糖組成物を約5~65重量%の濃度に例えば脱イオン水で希釈し、希釈された組成物を
カチオン交換樹脂に通すこと、(g)希釈された組成物をアニオン交換樹脂に通すこと、
および(h)希釈された組成物を脱色ポリマー樹脂に通すことを含む。幾つかの実施形態
においては、(f)、(g)および(h)のそれぞれは任意の順序で1回以上行われうる
。
【0098】
幾つかの実施形態においては、組成物は更に、室温での貯蔵の際の微生物増殖に必要な
レベルより低いレベルの水を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は24
~33重量パーセントの範囲の水を含む。微生物増殖に対処するために水分レベルを制御
する方法は、Ergun,R.ら,“Moisture and Shelf Life
in Sugar Confections,Critical Reviews i
n Food Science and Nutrition”,2010,50:2,
162-192;およびNIROOMAND,F.ら.“Fate of Bacter
ial Pathogens and Indicator Organisms in
Liquid Sweeteners”Journal of Food Prote
ction,Vol.61,No.3,1998,p.295-299(それらのそれぞ
れの内容の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。
【0099】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、852~1475の範囲のMWw(
重量平均分子量)(g/mol)を有するオリゴ糖を含む。幾つかの実施形態においては
、オリゴ糖組成物は、612~912の範囲のMWn(数平均分子量)(g/mol)を
有するオリゴ糖を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は3.0~7.5
の範囲のpHを有する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、83~86重
量%の範囲の2以上の単量体(DP2+)を有するオリゴマーを含む。幾つかの実施形態
においては、オリゴ糖組成物は、80~99重量パーセントの範囲の2以上の単量体(D
P2+)を有するオリゴマーを含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物はヒ
トにおいて実質的に非吸収性である(例えば、オリゴ糖組成物は胃または小腸によって実
質的に吸収されない)。
【0100】
1つの態様においては、本発明は、式(I):
【化8】
【0101】
(式中、各Rは、独立して、水素から選択される)ならびに式(Ia)、(Ib)、(I
c)および(Id):
【化9】
【0102】
(式中、各Rは、独立して、前記と同意義を有する)のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を
提供し、ここで、
i)オリゴ糖の分岐度(DB)の平均は0.1~0.4である;
ii)オリゴ糖の45%~55%は少なくとも3の重合度(DP)および10グリカン単
位以下を有する;
iii)オリゴ糖の重合度(DP)の平均(平均DP)は約5~8である;
iv)組成物中のオリゴ糖に存在するアルファ-グリコシド結合とベータ-グリコシド結
合との比は約1:1~約1.5:1または1:1~約3:1である;
v)オリゴ糖組成物は20モル%~60モル%の1,6グリコシド結合を含む;
vi)オリゴ糖組成物は、5モル%~25モル%の、1,2グリコシド結合、1,3グリ
コシド結合および1,4グリコシド結合の少なくとも1つ、2つまたは3つを含む;
vii)オリゴ糖組成物は、23℃で少なくとも約70ブリックス(Brix)の、水中
の最終溶解限度を有する;ならびに
viii)オリゴ糖組成物は少なくとも70%の食物繊維含量を有する。
【0103】
もう1つの態様においては、本開示は、本明細書に記載されているオリゴ糖組成物をヒ
ト対象に投与することを含む、ヒト対象におけるアンモニアレベルを低下させる方法に関
する。
【0104】
幾つかの実施形態においては、アンモニアレベルはヒト対象における全身アンモニアレ
ベルである。幾つかの実施形態においては、アンモニアレベルの低下は血中で測定される
。幾つかの実施形態においては、アンモニアレベルの低下は脳脊髄液中のアンモニアレベ
ルの低下を含む。幾つかの実施形態においては、アンモニアレベル(例えば、全身アンモ
ニアレベルまたは血中アンモニアレベル)の低下は、オリゴ糖組成物の投与の前のヒト対
象におけるアンモニアレベルと比較して少なくとも約5%、10%、15%または少なく
とも約20%の低下である。幾つかの実施形態においては、アンモニアレベル(例えば、
全身性アンモニアレベル)の低下は、健常ヒト対象におけるアンモニアレベルと比較して
少なくとも約5%、10%、15%または少なくとも約20%の低下である。幾つかの実
施形態においては、アンモニアレベル(例えば、全身アンモニアレベルまたは血中アンモ
ニアレベル)の低下は、ヒト対象の集団(例えば、健常ヒト対象の集団)における平均ア
ンモニアレベルと比較して少なくとも約5%、10%、15%または少なくとも約20%
の低下である。幾つかの実施形態においては、アンモニアレベルの低下は微生物由来アン
モニアレベルの低下である。幾つかの実施形態においては、アンモニアレベル[例えば、
(例えば腸内の)微生物由来アンモニアレベル]の低下は、オリゴ糖組成物の投与の前の
ヒト対象におけるアンモニアレベルと比較して少なくとも約10%、20%または少なく
とも約30%である。幾つかの実施形態においては、アンモニアレベル[例えば、(例え
ば腸内の)微生物由来アンモニアレベル]の低下は、健常ヒト対象におけるアンモニアレ
ベルと比較して少なくとも約10%、20%または少なくとも約30%である。幾つかの
実施形態においては、アンモニアレベル[例えば、(例えば腸内の)微生物由来アンモニ
アレベル]の低下は、ヒト対象の集団(例えば、健常ヒト対象の集団)におけるアンモニ
アレベルと比較して少なくとも約10%、20%または少なくとも約30%である。
【0105】
もう1つの態様においては、本開示は、本明細書に記載されているオリゴ糖組成物を対
象に投与することを含む、対象、例えばヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)
[例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠損症、オルニチントランスカ
ルバミラーゼ(OTC)欠損症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠損症、ア
ルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠損症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(
NAGS)欠損症、アルギナーゼ欠損症、オルニチントランスロカーゼ欠損症(HHH)
またはシトリン欠損症(CIT II)]の治療方法に関する。幾つかの実施形態におい
ては、UCDはN-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠損症を含まない。
【0106】
幾つかの実施形態においては、UCDを有する対象へのオリゴ糖組成物の投与は、[例
えば、オリゴ糖組成物が投与されていない対象(同一対象を含む)と比較した場合に]高
アンモニア血症クリーゼのリスク、重症度および/または頻度を低減する。幾つかの実施
形態においては、対象は低タンパク質または他の補足食を摂取している。幾つかの実施形
態においては、対象はグリセロールフェニルブチレート(例えば、ラビッチ(Ravic
ti))(または類似した窒素スカベンジャー療法)で同時に治療される。幾つかの実施
形態においては、対象は低タンパク質または他の補足食を摂取しており、グリセロールフ
ェニルブチレート(例えば、ラビッチ(Ravicti))(または類似した窒素スカベ
ンジャー療法)で同時に治療されている。幾つかの実施形態においては、対象は窒素スカ
ベンジャー(例えば、グリセロールフェニルブチレート)での治療に応答しない。幾つか
の実施形態においては、対象は乳児、小児または若年成体ある。幾つかの実施形態におい
ては、対象は(未だ)肝移植を受けていない。幾つかの実施形態においては、対象は尿素
サイクル異常症(UCD)[例えば、カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠損
症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症、アルギニノコハク酸シンテタ
ーゼ(ASS)欠損症、アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠損症、N-アセチルグ
ルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠損症またはアルギナーゼ欠損症、オルニチントラ
ンスロカーゼ欠損症(HHH)またはシトリン欠損症(CIT II)]を有する。幾つ
かの実施形態においては、対象におけるUCD、例えば慢性UCDは、本明細書に記載さ
れているオリゴ糖組成物を少なくとも1年、例えば1年、5年、10年、20年、50年
または生涯にわたって投与することにより治療される。幾つかの実施形態においては、オ
リゴ糖組成物は、実施例3および4に記載されているとおりに使用されうる。
【0107】
幾つかの実施形態においては、ヒト対象は少なくとも2歳である。幾つかの実施形態に
おいては、ヒト対象は少なくとも2月齢である。
【0108】
幾つかの実施形態においては、窒素スカベンジャー療法をヒト対象に投与する。幾つか
の実施形態においては、制限された食事(例えば、タンパク質摂取に対する食事制限)を
ヒト対象に投与する。幾つかの実施形態においては、タンパク質摂取に対するオリゴ糖食
事制限の適用(投与)は緩和されうる(例えば、アミノ酸摂取の回数または量が増加され
る)。幾つかの実施形態においては、対象は、[例えば、例えばi)対象の循環における
アンモニアの平均レベル、および/またはii)対象が経験するアンモニアクリーゼの回
数により決定されるとおりに]窒素スカベンジャー療法で低制御される。幾つかの実施形
態においては、対象は、正常の上限を持続的に0.5倍上回る全身アンモニアレベルを示
す。
【0109】
幾つかの実施形態においては、以下のうちの一方または両方が低減する:i)1年間に
わたるアンモニアクリーゼ(少なくとも1つ、2つまたは少なくとも3つのクリーゼによ
るもの)の回数、ii)神経発達遅延および/または認知機能低下を含む、(例えば、オ
リゴ糖組成物の投与を受けていない適切な対照群と比較した場合の)アンモニアクリーゼ
による合併症の重症度。幾つかの実施形態においては、複数のアンモニアクリーゼの間の
期間が、(例えば、オリゴ糖の投与を受けていない適切な対照群と比較して)例えば少な
くとも15%、30%、60%、100%または200%増加する。
【0110】
もう1つの態様においては、本開示は、肝性脳症(HE)[例えば、顕性HE(OHE
)または潜在性(ミニマル)HE(MHE)]の治療方法に関する。
【0111】
幾つかの実施形態においては、肝硬変を有するヒト対象または肝硬変を有すると診断さ
れたヒト対象の治療方法を提供する。幾つかの実施形態においては、該方法は、本明細書
に開示されているオリゴ糖組成物をヒト対象に投与することを含む。幾つかの実施形態に
おいては、対象は非代償性肝硬変を有し、またはそれを有すると診断されている。幾つか
の実施形態においては、対象は顕性肝性脳症(OHE)を有し、またはそれを有すると診
断されている。幾つかの実施形態においては、対象は、ラクツロース(lactulos
e)および/またはキシファキシン(Xifaxin)で治療されたことがあり、または
現在治療されている。幾つかの実施形態においては、対象は、1以上の神経精神医学的試
験および/または先発肝疾患の診断に基づいて、そのような治療から利益を得る、または
そのような治療のための候補であると(例えば、医師により)決定されている。
【0112】
幾つかの実施形態においては、HEを有する対象へのオリゴ糖組成物の投与は、例えば
オリゴ糖組成物の投与を受けていない対象(同一対象を含む)と比較して、HEのリスク
および/または再発(例えば、HEの重症度および/または頻度)を低減する。幾つかの
実施形態においては、対象をラクツロースで同時に治療する。幾つかの実施形態において
は、対象をリファキシミン(rifaximin)で同時に治療する。幾つかの実施形態
においては、対象はオリゴ糖組成物の投与の前にラクツロースで治療されている。幾つか
の実施形態においては、対象はオリゴ糖組成物の投与の前にリファキシミンで治療されて
いる。幾つかの実施形態においては、対象はオリゴ糖組成物の投与の前にラクツロースお
よびリファキシミンで治療されている。幾つかの実施形態においては、対象は顕性肝性脳
症(OHE)を有し、またはそれを有すると診断されている。幾つかの実施形態において
は、対象は(例えば、オリゴ糖組成物の投与の前に)HEに対して(未だ)治療されてい
ない。幾つかの実施形態においては、対象は潜在性肝性脳症(MHE)を有し、幾つかの
実施形態においては、対象は(例えば、OHE症状に関して)ほとんど無症候性である。
【0113】
幾つかの実施形態においては、高アンモニア血症を有する対象は肝性脳症(HE)に罹
患している。幾つかの実施形態においては、高アンモニア血症は、少なくとも部分的に、
アルコールおよび/またはアルコール性肝硬変、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎または慢
性C型肝炎、脂肪肝、C型肝炎、C型肝炎およびアルコール、鉄過剰症および脂肪症、非
アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎およびB型肝炎、または原発性胆道
肝硬変により引き起こされ、またはそれらに関連している。幾つかの実施形態においては
、高アンモニア血症を有する対象は以前にラクツロースまたはリファキシミンで治療また
は投与されている。幾つかの実施形態においては、対象は成人(例えば、20~64歳)
または高齢成人(例えば、65歳以上)である。幾つかの実施形態においては、対象にお
けるHE、例えば慢性HEは、少なくとも1年の持続期間(例えば、1年、5年、10年
、20年、50年または生涯にわたる持続期間)にわたって、本明細書に記載されている
オリゴ糖組成物を投与することにより治療される。幾つかの実施形態においては、HEは
顕性肝性脳症(OHE)である。幾つかの実施形態においては、HEは潜在性肝性脳症(
MHE)である。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、実施例2に記載され
ているとおりに使用されうる。
【0114】
もう1つの態様においては、本開示は、最低限度でヒトにより消化可能である複数のオ
リゴ糖を含むオリゴ糖組成物の製造方法に関する。幾つかの実施形態においては、該製造
方法は、(a)デキストロース単量体を含むデキストロース調製物を、攪拌条件下、12
0℃~135℃の範囲の温度へと加熱し、(b)デキストロース単量体に対する酸性プロ
トンのモル比が0.016~0.022の範囲となるような量で、酸性プロトンを含む固
体触媒をデキストロース調製物にローディングし、それにより反応混合物を生成させ、(
c)組成物中のデキストロース単量体の重量パーセントが14~17の範囲になるまで、
酸触媒オリゴ糖形成を促進させる条件下、120℃~135℃の範囲の温度で大気圧で反
応混合物を維持し、(d)反応混合物の温度を100℃以下にしながら、水を使用して反
応混合物をクエンチし、所望により、(e)オリゴ糖を酸触媒から分離し、それによりオ
リゴ糖組成物を得ることを含む。
【0115】
幾つかの実施形態においては、本発明は、式(I):
【化10】
【0116】
(式中、各Rは、独立して、水素から選択される)ならびに式(Ia)、(Ib)、(I
c)および(Id):
【化11】
【0117】
(式中、各Rは、独立して、前記と同意義を有する)を含む、ヒトにおいて最低限度で消
化可能である複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を提供する。
【0118】
他の実施形態においては、オリゴ糖組成物は、(a)デキストロース単量体を含むデキ
ストロース調製物を、例えば攪拌条件下、120℃~135℃の範囲の温度へと加熱し、
(b)例えばデキストロース単量体に対する酸性プロトンのモル比が0.016~0.0
22の範囲となるような量で、酸性プロトンを含む固体触媒をデキストロース調製物にロ
ーディングし、それにより反応混合物を生成させ、(c)組成物中のデキストロース単量
体の重量パーセントが14~17の範囲になるまで、酸触媒オリゴ糖形成を促進させる条
件下、120℃~135℃の範囲の温度で大気圧で反応混合物を維持し、(d)反応混合
物の温度を100℃以下にしながら、水を使用して反応混合物をクエンチし、所望により
、(e)オリゴ糖を酸触媒から分離し、それによりオリゴ糖組成物を得ることを含む製造
方法により製造される。
【0119】
他の実施形態においては、該製造方法は、(a)デキストロース単量体を含むデキスト
ロース調製物を、攪拌条件下、120℃~135℃の範囲の温度へと加熱し、(b)デキ
ストロース単量体に対する酸性プロトンのモル比が0.016~0.022の範囲となる
ような量で、酸性プロトンを含む固体触媒をデキストロース調製物にローディングし、そ
れにより反応混合物を生成させ、(c)組成物中のデキストロース単量体の重量パーセン
トが14~17の範囲になるまで、酸触媒オリゴ糖形成を促進させる条件下、反応混合物
を0.5~1.5気圧の範囲の圧力でその沸点で維持し、(d)反応混合物の温度を10
0℃以下にしながら、水を使用して反応混合物をクエンチし、所望により、(e)オリゴ
糖を酸触媒から分離し、それによりオリゴ糖組成物を得ることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【
図1】
図1A~1Bは、糞便スラリーを種々のオリゴ糖組成物と共にインキュベートした場合のエクスビボアンモニア減少アッセイにおけるアンモニア減少の結果(水対照に対して正規化されている)を示す非限定的なグラフを示す。
図1Aは、陰性対照(水)に対して正規化された、アンモニアレベルの調節における有効性に基づくオリゴ糖組成物の順位を示すグラフである。矢印は陰性対照(水)、および選択されたオリゴ糖組成物を示す。
図1Bは、陰性対照(水)に対して正規化されたアンモニアレベルの棒グラフを示す。
【
図2】
図2は、オリゴ糖組成物の消費に応答した患者の忍容性のグラフを示す。
図2は、種々の摂取用量レベルにおいて下痢を報告した患者の数を示す[1群当たり12名の患者のうち:マルトデキストリン(プラセボ)、選択されたオリゴ糖組成物および陽性対照繊維]。
【
図3】
図3A~3Bは、選択されたオリゴ糖組成物と共に患者からの糞便サンプルをインキュベートした場合のエクスビボアンモニア減少アッセイにおけるアンモニア減少(水対照に対して正規化されている)を示すグラフを示す。
図3Aは、尿素サイクル異常症(UCD)患者からのサンプルにおける、選択されたオリゴ糖組成物によるアンモニアの減少を示すグラフである。
図3Bは、肝障害患者からのサンプルにおける、選択されたオリゴ糖組成物によるアンモニアの減少を示すグラフである。
【
図4】
図4は未修飾オリゴ糖組成物のSEC-HPLCクロマトグラムと、実施例9に記載されているとおりにアミンカラムフラッシュクロマトグラフィーによって脱単量体化されたオリゴ糖組成物のSEC-HPLCクロマトグラムとの重ね合わせを示す。
【
図5】
図5は、実施例13における使用のための標準グリカンのSEC-HPLCクロマトグラムの重ね合わせを示す。
【0121】
発明の詳細な説明
本開示の幾つかの態様は、対象、例えばヒト対象におけるアンモニアレベルを低下させ
るのに有効であるオリゴ糖組成物に関する。したがって、幾つかの実施形態においては、
本明細書に開示されているオリゴ糖組成物は、例えば尿素サイクル異常症(UCD)のよ
うな高アンモニア血症に関連した障害を有する対象を治療するのに有用である。幾つかの
実施形態においては、本明細書に開示されているオリゴ糖組成物は、例えば肝性脳症[H
E、例えば潜在性HE(MHE)または顕性HE(OHE)]のような高アンモニア血症
に関連した別の障害を有する対象を治療するのに有用である。
【0122】
本開示の幾つかの態様は、対象におけるアンモニアのレベルを調節しうる、例えば低下
させうるオリゴ糖組成物を特定するために行った広範なスクリーニング実施の結果に基づ
く。何百個もの一意的(ユニーク)オリゴ糖組成物をアンモニアレベルに対するそれらの
効果に関して分析した。スクリーニングにおいて調べたオリゴ糖組成物は、種々の糖単量
体、例えばデキストロース単量体、キシロース単量体などを使用して、種々の反応温度を
含む条件下、種々の期間にわたって、および/または種々の触媒条件の存在下で製造され
た。
【0123】
このスクリーニング実施から、アンモニアレベルを低下させるのに、スクリーニングに
おいて調べた比較組成物よりも有意に有効であった、アンモニアレベルの非常に有効なモ
ジュレーターとして、選択されたオリゴ糖組成物を特定した(実施例1)。更なる研究に
おいて、該オリゴ糖組成物はまた、健常成人におけるプラセボ対照試験で安全かつ高忍容
性であることが判明した(実施例2)。したがって、幾つかの実施形態においては、この
オリゴ糖組成物は、尿素サイクル異常症および肝性脳症のような高アンモニア血症に関連
した障害を有する対象を治療するのに特に有用である。
【0124】
用語の定義の説明を含む本開示の更なる態様を以下に示す。
【0125】
I.定義
攪拌条件:本明細書中で用いる「撹拌条件」なる語は、固体(例えば、固体触媒)の分
散、熱伝達の均一性または他の類似パラメータに関する混合物(例えば、デキストロース
調製物を含む反応混合物)の実質的に均一または均質な状態を促進または維持させる条件
を指す。攪拌条件は、一般に、反応混合物の攪拌、振とうおよび/または混合を含む。幾
つかの実施形態においては、攪拌条件は溶液中への気体または他の液体の添加を含みうる
。幾つかの実施形態においては、攪拌条件は、触媒、例えば酸触媒の実質的に均一または
均質な分布を維持させるために用いられる。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成
物を合成するために、均質性および均一熱伝達を達成するための適切な条件下、デキスト
ロース調製物を加熱する。
【0126】
約:関心のある1以上の値に適用される、本明細書中で用いる「約」または「おおよそ
」なる語は、示されている参照値に類似した値を指す。特定の実施形態においては、「約
」または「おおよそ」なる語は、特に明記されていない限り又は文脈から明らかでない限
り、示されている基準値のいずれかの方向(その上下)への15%、14%、13%、1
2%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%または
それ未満の範囲内に含まれる値の範囲を指す(そのような数値が、可能な値の100%を
超える場合は除かれる)。
【0127】
デキストロース単量体:本明細書中で用いる「デキストロース単量体」なる語は、D-
グルコースとしても公知である、グルコース単量体のD-異性体を指す。
【0128】
デキストロース調製物:本明細書中で用いる「デキストロース調製物」なる語は、デキ
ストロースを構成する2以上の糖単位を含む調製物を指す。幾つかの実施形態においては
、デキストロースを構成する糖単位はデキストロース単量体である。幾つかの実施形態に
おいては、デキストロース調製物はデキストロース一水和物を含む。幾つかの実施形態に
おいては、デキストロース調製物はデキストロース一水和物を含む。幾つかの実施形態に
おいては、デキストロース調製物は70DSコーンシロップを含む。幾つかの実施形態に
おいては、デキストロース調製物は、デンプン加水分解物、例えばコーンシロップ[例え
ば、20%を超えるデキストロース当量(DE)の還元糖含量を有するコーンシロップ]
またはマルトデキストリン(例えば、20% DE未満の還元糖含量を有するマルトデキ
ストリン)を含む。幾つかの実施形態においては、デキストロース調製物は、固体、例え
ば、粉末またはシロップ、例えば、70%を超える固体を含む液体でありうる。幾つかの
実施形態においては、デキストロース単量体は優良製造規範(GMP)条件に準拠してい
る。
【0129】
有効量:本明細書中で用いる「有効量」なる語は、例えば対象または患者において、生
物学的応答を誘発するのに必要かつ十分であるオリゴ糖組成物の投与量または投与濃度を
指す。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の有効量は、対象における酵素の活
性またはレベルを調節(モジュレーション)することが可能であり、例えば増強または低
減することが可能である。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の有効量は代謝
産物のプロセシング(加工)を調節することが可能であり、例えば増強または低減するこ
とが可能である。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の有効量は少なくとも1
つの微生物種の濃度または数を調節することが可能であり、例えば増強または低減するこ
とが可能である。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の有効量は対象における
高アンモニア血症に関連した疾患の症状(例えば、症状の重症度または数)を調節するこ
とが可能であり、例えば低減することが可能である。幾つかの実施形態においては、オリ
ゴ糖組成物の有効量は対象における高アンモニア血症に関連した疾患を治療することが可
能である。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の有効量は対象における尿素サ
イクル異常症に関連した症状(例えば、症状の重症度または数)を調節することが可能で
あり、例えば低減することが可能である。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物
の有効量は対象における尿素サイクル異常症を治療することが可能である。幾つかの実施
形態においては、オリゴ糖組成物の有効量は対象における肝性脳症に関連した症状(例え
ば、症状の重症度または数)を調節することが可能であり、例えば低減することが可能で
ある。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の有効量は対象における肝性脳症を
治療することが可能である。
【0130】
肝性脳症(HE):本明細書中で用いる「肝性脳症(HE)」は、進行した肝疾患の結
果として生じる、またはアンモニアのような毒性物質を肝臓が血液から除去できない場合
に生じる複数の有害な神経学的症状を含む疾患のクラスを指す。幾つかの実施形態におい
ては、HEは肝硬変の結果として、または肝硬変に関連して生じる。幾つかの実施形態に
おいては、肝性脳症を有する対象は、健常対象と比較して上昇したアンモニアレベルを有
する。幾つかの実施形態においては、肝性脳症を有する対象は軽度HE、重度HEまたは
顕性HEを有しうる。HEの標準治療はラクツロース、ラクチトールおよび抗生物質(例
えば、リファキシミンまたはネオマイシン)を含む。治療は食事改善およびプロバイオテ
ィクスをも含みうる。治療効果は、前記症状の解消(例えば、血清アンモニアレベルの低
下)、HEの将来のエピソードの発生率の低下、またはHEのリスクを有する対象におい
ては、HEの初期エピソードの発生の減少により評価されうる。幾つかの実施形態におい
ては、長期的な高アンモニア血症または高いピークアンモニアを有する患者、特に肝障害
を有する患者(例えば、肝硬変を有する患者、例えば、高齢患者)は、重度および慢性の
神経学的病態、例えば重度知的障害、日常活動に影響を及ぼす実行機能における欠陥、例
えば錯乱、健忘症、不安もしくは興奮、人格もしくは行動の急変、睡眠パターンの変化、
見当識障害、甘い若しくはカビ臭い息、不明瞭発語および/または運動機能制御困難に関
連した肝性脳症(HE)を発生しうる。
【0131】
高アンモニア血症:本明細書中で用いる「高アンモニア血症」なる語は、アンモニアの
レベルの上昇に関連した、対象(例えば、ヒト対象)における状態を指す。一般に、高ア
ンモニア血症を有する対象は循環中アンモニア、例えば血中アンモニアのレベルの上昇を
示す。幾つかの実施形態においては、高アンモニア血症の持続時間および重症度は脳損傷
と正に相関する。幾つかの実施形態においては、長期的な高アンモニア血症または高いピ
ークアンモニアを有する患者、特に小児患者は、重度および慢性の神経学的病態、例えば
発達遅延、重度知的障害、日常活動に影響を及ぼす実行機能における欠陥、脳性麻痺およ
び発作性障害を発生しうる。
【0132】
オリゴ糖:本明細書中で用いる「オリゴ糖」なる語(文脈によっては「グリカン」なる
語と互換的に用いられうる)は、グリコシド結合によって互いに連結された少なくとも2
個の単糖(例えば、デキストロース単量体)を含む糖分子[少なくとも2の重合度(DP
)(例えば、DP2+)を有する]を指す。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖は、
グリコシド結合により連結された少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少
なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個また
は少なくとも10個の単糖サブユニットを含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖
は、グリコシド結合により連結された10~25個、20~50個、40~80個、75
~100個、100~150個の範囲の単糖または少なくとも100個の単糖を含む。幾
つかの実施形態においては、オリゴ糖は少なくとも1つの1,2;1,3;1,4および
/または1,6グリコシド結合を含む。オリゴ糖は直鎖状または分枝状でありうる。オリ
ゴ糖は、アルファ配置である1以上のグリコシド結合および/またはベータ配置である1
以上のグリコシド結合を有しうる。
【0133】
医薬組成物:本明細書中で用いる「医薬組成物」は、疾患の緩和、治療もしくは予防に
おける薬理活性もしくは他の直接的作用を有する組成物、および/または最終的な剤形も
しくはその製剤を指し、ヒトにおいて使用される。医薬組成物または医薬製剤は、典型的
には、優良製造規範(GMP)条件下で製造される。医薬組成物または製剤は無菌性また
は非無菌性でありうる。非無菌性の場合、そのような医薬組成物または製剤は、典型的に
は、米国薬局方(USP)または欧州薬局方(EP)に記載されている、非無菌性医薬品
に関する微生物学的な仕様および基準を満たしている。本明細書に記載されている任意の
オリゴ糖組成物は医薬組成物として製剤化(処方)されうる。
【0134】
対象:本明細書中で用いる「対象」なる語はヒト対象または患者を指す。対象には、新
生児(早産児、満期産児)、1歳までの乳児、幼児(例えば、1歳~12歳)、10代の
者(例えば、13~19歳)、成人(例えば、20~64歳)および高齢者(65歳以上
)が含まれうる。幾つかの実施形態においては、対象は小児集団またはその亜集団、例え
ば新生児(出生時~1月齢)、乳児(1月齢~2歳)、発育中の小児(2~12歳)およ
び青年(12~16歳)の対象である。
【0135】
治療および治療する:本明細書中で用いる「治療する」および「治療」なる語は、症状
の重症度および/もしくは頻度の低減をもたらすように、ならびに/または症状および/
もしくはその根本原因を排除するように、ならびに/または損傷の改善もしくは修復を促
進させるように、ならびに/または個々の有害な状態、障害もしくは疾患に罹患し易い、
または該状態、障害もしくは疾患を発生していると疑われる、またはそれらを発生するリ
スクを有する無症候性対象における有害な状態、障害もしくは疾患を予防するように、対
象(例えば、有害な状態、障害または疾患に罹患している無症候性対象)に組成物を投与
することを指す。
【0136】
尿素サイクル異常症:本明細書中で用いる「尿素サイクル異常症」なる語は、尿素サイ
クルにおける1以上の酵素の欠損をもたらす突然変異により引き起こされる遺伝病の一群
を指す。幾つかの実施形態においては、そのような酵素は、一般に、血流からのアンモニ
アを除去をもたらす。例えば、尿素サイクルは、一般に、末梢(筋肉)および経腸(タン
パク質摂取)由来の窒素を排泄のために尿素に変換する一連の反応を含む。幾つかの実施
形態においては、この代謝経路に関与する酵素における遺伝的欠損はアンモニア解毒/ア
ルギニン合成の種々の機能不全を引き起こす。幾つかの実施形態においては、尿素サイク
ルにおける欠損は、脳浮腫、神経学的損傷、呼吸性アルカローシス、昏睡、そして時には
死を引き起こしうる、アンモニアレベルが上昇した代謝状態(高アンモニア血症)の代謝
状態をもたらす。疾患の重症度は、酵素/トランスポーターにおける欠損のレベル、尿素
サイクル異常症(UCD)亜型およびその他の要因によって有意に変動する。幾つかの実
施形態においては、UCDの発症には新生児性および遅発性の2つのタイプが存在する。
症例の69%以上は遅発性であり、これは、それらが新生児期後に発生することを意味す
る。症例の50%以上は0~18歳の米国の小児集団で発生している。
【0137】
II.オリゴ糖組成物
本発明は、オリゴ糖組成物(例えば、グリカンポリマー)、およびヒト対象におけるア
ンモニアレベルの調節のための、および尿素サイクル異常症の治療のための、それらの使
用方法を提供する。
【0138】
1つの態様においては、本発明は、式(I):
【化12】
【0139】
(式中、各Rは、独立して、水素から選択される)ならびに式(Ia)、(Ib)、(I
c)および(Id):
【化13】
【0140】
(式中、各Rは、独立して、前記と同意義を有する)を含む複数のオリゴ糖(例えば、最
低限度でヒトにより消化可能である複数のオリゴ糖)を含むオリゴ糖組成物を提供する。
【0141】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖は最低限度でヒトにより消化可能である(例え
ば、ヒト細胞により、またはヒト酵素の酵素作用により破壊も触媒もされない)。
【0142】
オリゴ糖組成物の製造
オリゴ糖組成物を含む製剤は、例えばWO 2019/090181,METHODS
OF PRODUCING GLYCAN POLYMERSに記載されているとおり
、非酵素触媒を使用して製造されうる。幾つかの場合には、オリゴ糖組成物は、WO 2
012/118767,“POLYMERIC ACID CATALYSTS AND
USES THEREOF”に記載されているポリマー触媒を使用して、または他の適
切な方法、例えばWO 2016/007778,“OLIGOSACCHARIDE
COMPOSITIONS AND METHODS FOR PRODUCING T
HEREOF”(それらのそれぞれの全体を参照により本明細書に組み入れることとする
)に記載されている方法により製造されうる。他の酸触媒(例えば、固体触媒)も使用さ
れうる。本明細書に記載されているポリマー性および固体担持触媒の製造方法はWO 2
014/031956,“POLYMERIC AND SOLID-SUPPORTE
D CATALYSTS,AND METHODS OF DIGESTING CEL
LULOSIC MATERIALS USING SUCH CATALYSTS,”
(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)において見出されうる。
【0143】
幾つかの実施形態においては、そのようなオリゴ糖組成物は、まず、デキストロース(
例えば、デキストロース単量体または単糖)を含むデキストロース調製物を約120℃~
約135℃、例えば120℃~130℃、125℃~130℃、125℃~135℃、1
28℃~132℃、130℃~133℃、130℃~135℃または132℃~135℃
の範囲の温度に加熱することを含む製造方法により製造される。幾つかの実施形態におい
ては、デキストロース単量体を含むデキストロース調製物を120℃、121℃、122
℃、123℃、124℃、125℃、126℃、127℃、128℃、129℃、130
℃、131℃、132℃、133℃、134℃または135℃の温度に加熱する。加熱は
攪拌条件下で行われうる。
【0144】
デキストロース調製物に(例えば、加熱中または加熱後に)、酸性プロトンを含む触媒
を加えて、デキストロース単位(例えば、デキストロース単量体)間の1以上のグリコシ
ド結合の形成を促進させ、それにより、オリゴ糖組成物を得る。適切な触媒は酸性単量体
を含み、所望により、ここで、各酸性単量体は少なくとも1つのブレンステッド-ローリ
ー酸を含有する。典型的には、触媒は、デキストロース単量体に対する酸性プロトンのモ
ル比が0.001~0.25、例えば、0.001~0.1、0.01~0.1、0.0
01~0.08、0.01~0.05、0.016~0.022、0.05~0.1また
は0.05~0.2の範囲となる量で加える。幾つかの実施形態においては、触媒は、3
.0mmol/gを超えるスルホン酸部分および1.0mmol/グラム未満のカチオン
性部分を含む。幾つかの実施形態においては、触媒は45~50重量パーセントの名目含
水量を有する。
【0145】
幾つかの実施形態においては、触媒はアルカリ性または酸性触媒、触媒樹脂または金属
触媒でありうる。幾つかの実施形態においては、触媒は有機酸、無機酸または無水物であ
る。幾つかの実施形態においては、触媒は均一酸触媒である。幾つかの実施形態において
は、触媒は不均一酸触媒である。幾つかの実施形態においては、触媒は酵素ではない。
【0146】
本明細書に記載されているオリゴ糖を製造するために使用されうる酸触媒の非限定的な
例には以下のものが含まれる:アジピン酸、酢酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、イ
タコン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、テレフタル酸、塩酸、硫酸
、亜硫酸、チオ硫酸、ジチオン酸、ピロ硫酸、セレン酸、亜セレン酸、硝酸、リン酸、亜
リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、次リン酸、ホウ酸、過塩素酸、次亜塩素
酸、臭化水素酸。幾つかの実施形態においては、酸触媒は酸性アルカリ金属、または無機
酸のアルカリ土類金属塩である。
【0147】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物を製造するために使用される触媒は固体
酸性触媒、例えば固体担持または樹脂結合酸性触媒である。幾つかの実施形態においては
、グリカンポリマー調製物を調製するために使用される触媒は固体酸触媒(例えば、粘土
鉱物、例えば、モンタイオリロナイト、ベントナイト、カオリナイトまたはカチオン交換
ゼオライトおよび粘土、ならびに/またはそれらの硫酸化もしくは酸性化形態)、ゼオラ
イト、アルミナ、シリコ-アルミノ-ホスファート、ヘテロポリオキソメタラート、金属
酸化物および硫化物(ALAおよびZnS)、金属塩(MgSO4)、混合酸化物(Si
O2-Al2O3)、スルファート促進性金属酸化物および混合酸化物(SO4(2-)
/ZrO2、SO4(2-)/TiO2およびSO4(2-)/Fe2O3)、マウント
化(mounted)酸(適切な担体、例えば多孔質酸化物、グラファイト、金属塩であ
って、液体酸、例えばH2SO4/SiO2、SbF5/SiO2-Al2O3、AlC
l3/CuSO4で処理され又はそれと組合されているもの)、カチオン交換樹脂、全フ
ッ素化ポリマー硫酸(Nafion-H)およびヘクトロポリ酸(12-タングストリン
酸)、ヘテロポリオキソメタラート、スルホン化炭素、硫酸化炭素、硫酸化灰である。特
定の実施形態においては、触媒は、そのプロトン化形態で、イオン交換樹脂(例えば、A
MBERLITE FPC11 Na、AMBERLITE FPC14 Na、DOW
EX 88、DOWEX 88 H、DOWEX 88 MB、DOWEX 88 MB
H、DOWEX FPC16UPS H、DOWEX FPC16UPS Na、DO
WEX FPC23UPS H、DOWEX MAC-3、DOWEX MONOSPH
ERE 88、DOWEX MONOSPHERE 88 H、DOWEX MONOS
PHERE 99 Ca/310、DOWEX MONOSPHERE 99 Ca/3
20、DOWEX MONOSPHERE 99 K/310、DOWEX MONOS
PHERE 99 K/320、DOWEX MONOSPHERE 99 K/350
、DOWEX(商標)PSR-2、DOWEX(商標)G-26 H、AMBERJET
1600 H、AMBERJET 2000 H、AMBERLITE IRN150
、AMBERLITE IRN160、AMBERLITE IRN170、AMBER
LITE IRN217、AMBERLITE IRN317、AMBERLITE I
RN360、AMBERLITE IRN77、AMBERLITE IRN97 H、
AMBERLITE IRN99 H、AMBERLITE IRN9652、AMBE
RLITEIRN9882、AMBERLITE IRN9687、AMBERSEP
252 H、DOWEX MONOSPHERE 1400PC H、DOWEX MO
NOSPHERE 650C H、AMBERLITE 200C Na、AMBERL
ITE IR120 H、AMBERLITE IR120 Na、AMBERLITE
IRC83、AMBERLITE MB20、DOWEX MARATHON 120
0 H、DOWEX MARATHON 1200 Na、DOWEX MARATHO
N 1300 H、DOWEX MARATHON 8300、DOWEX MARAT
HON C、DOWEX MARATHON C-10、DOWEX MARATHON
MR-3、DOWEX MARATHON MSC、DOWEX MARATHON
MSC H、DOWEX(商標)HCR-S/S、IMAC(商標)HP333、AMB
ERJET UP1400、AMBERJET UP6040、AMBERJET UP
6150、DOWEX MONOSPHERE MR-3 UPW、DOWEX MON
OSPHERE MR-450 UPW、AMBERLITE CG50 Type 1
、AMBERLITE COBALAMION、AMBERLITE FPC3500、
AMBERLITE IRP476、AMBERLITE IRP64、AMBERLI
TE IRP69、AMBERLITE IRP88、DOWEX 50WX2(H+)
、DOWEX 50WX4(H+)、DOWEX 50WX8(H+)、AMBERLI
TE BD10、AMBERLITE IRC84SPI H、AMBERLYST 1
23、AMBERLYST 125、AMBERLYST 131、AMBERLYST
15、AMBERLYST 16、AMBERLYST 19、AMBERLYST
33、AMBERLYST 35、AMBERLYST 36、AMBERLYST 3
9、AMBERLYST 40、AMBERLYST 45、AMBERLYST BD
20、AMBERLYST CH28、AMBERSEP BD19、AMBERSEP
200 H)である。
【0148】
幾つかの実施形態においては、触媒は以下のものから選択される:ポリ[スチレン-コ
-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H
-イミダゾール-1-イウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ
-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H
-イミダゾール-1-イウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレ
ン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)
-3H-イミダゾール-1-イウム アセタート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチ
レン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル
)-3H-イミダゾール-1-イウム ニトラート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[ス
チレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-3-エチル-1-(4-ビニルベンジ
ル)-3H-イミダゾール-1-イウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[ス
チレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-3-エチル-1-(4-ビニルベンジ
ル)-3H-イミダゾール-1-イウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポ
リ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-3-エチル-1-(4-ビニル
ベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム アセタート-コ-ジビニルベンゼン];
ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-3-エチル-1-(4-ビニ
ルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム ニトラート-コ-ジビニルベンゼン]
;ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-1-(4-ビニルベンジル
)-3H-イミダゾール-1-イウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチ
レン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イ
ミダゾール-1-イウム ヨージド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4
-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-
1-イウム ブロミド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベン
ゼンスルホン酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム
ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンス
ルホン酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム アセタ
ート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-
コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-ベンゾイミダゾール-1-イウム
クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホ
ン酸-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-ベンゾイミダゾール-1-
イウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベ
ンゼンスルホン酸-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-ベンゾイミダ
ゾール-1-イウム アセタート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-
ビニルベンゼンスルホン酸-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-ベン
ゾイミダゾール-1-イウム ホルマート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-
コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-ピリジニウム-
クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン
酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-ピリジニウム-ビスルファート-コ-ジビニルベ
ンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-1-(4-ビニル
ベンジル)-ピリジニウム-アセタート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ
-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-ピリジニウム-ニ
トラート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン
酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-ピリジニウム-クロリド-コ-3-メチル-1-
(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム ビスルファート-コ-ジビ
ニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-1-(4-
ビニルベンジル)-ピリジニウム-ブロミド-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジ
ル)-3H-イミダゾール-1-イウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポ
リ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-
ピリジニウム-ヨージド-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダ
ゾール-1-イウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-
4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-ピリジニウム-ビス
ルファート-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-
イウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベ
ンゼンスルホン酸-コ-1-(4-ビニルベンジル)-ピリジニウム-アセタート-コ-
3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム ビスルフ
ァート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸
-コ-4-メチル-4-(4-ビニルベンジル)-モルホリン-4-イウム クロリド-
コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-4
-メチル-4-(4-ビニルベンジル)-モルホリン-4-イウム ビスルファート-コ
-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-4-
メチル-4-(4-ビニルベンジル)-モルホリン-4-イウム アセタート-コ-ジビ
ニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-4-メチル
-4-(4-ビニルベンジル)-モルホリン-4-イウム ホルマート-コ-ジビニルベ
ンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-トリフェニル-(
4-ビニルベンジル)-ホスホニウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチ
レン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-トリフェニル-(4-ビニルベンジル)
-ホスホニウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-
ビニルベンゼンスルホン酸-コ-トリフェニル-(4-ビニルベンジル)-ホスホニウム
アセタート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスル
ホン酸-コ-1-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-ピペリジン-1-イウム クロ
リド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-
コ-1-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-ピペリジン-1-イウム ビスルファー
ト-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ
-1-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-ピペリジン-1-イウム アセタート-コ
-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-4-
(4-ビニルベンジル)-モルホリン-4-オキシド-コ-ジビニル ベンゼン];ポリ
[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-トリエチル-(4-ビニルベンジ
ル)-アンモニウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビ
ニルベンゼンスルホン酸-コ-トリエチル-(4-ビニルベンジル)-アンモニウム ビ
スルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスル
ホン酸-コ-トリエチル-(4-ビニルベンジル)-アンモニウム アセタート-コ-ジ
ビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3
H-イミダゾール-1-イウム クロリド-コ-4-ボロニル-1-(4-ビニルベンジ
ル)-ピリジニウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-3-メ
チル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム クロリド-コ-
1-(4-ビニルフェニル)メチルホスホン酸-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレ
ン-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム
ビスルファート-コ-1-(4-ビニルフェニル)メチルホスホン酸-コ-ジビニルベン
ゼン];ポリ[スチレン-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダ
ゾール-1-イウム アセタート-コ-1-(4-ビニルフェニル)メチルホスホン酸-
コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル
)-3H-イミダゾール-1-イウム ニトラート-コ-1-(4-ビニルフェニル)メ
チルホスホン酸-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンス
ルホン酸-コ-ビニルベンジルクロリド-コ-1-メチル-2-ビニル-ピリジニウム
クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン
酸-コ-ビニルベンジルクロリド-コ-1-メチル-2-ビニル-ピリジニウム ビスル
ファート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン
酸-コ-ビニルベンジルクロリド-コ-1-メチル-2-ビニル-ピリジニウム アセタ
ート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-
コ-4-(4-ビニルベンジル)-モルホリン-4-オキシド-コ-ジビニル ベンゼン
];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルフェニルホスホン酸-コ-3-メチル-1-(4-
ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン
];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルフェニルホスホン酸-コ-3-メチル-1-(4-
ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム ビスルファート-コ-ジビニルベ
ンゼン];ポリ[スチレン-コ-4-ビニルフェニルホスホン酸-コ-3-メチル-1-
(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム アセタート-コ-ジビニル
ベンゼン];ポリ[スチレン-コ-3-カルボキシメチル-1-(4-ビニルベンジル)
-3H-イミダゾール-1-イウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレ
ン-コ-3-カルボキシメチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1
-イウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-3-カルボ
キシメチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム アセター
ト-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-5-(4-ビニルベンジルアミノ)
-イソフタル酸-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-
1-イウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-5-(4-ビニ
ルベンジルアミノ)-イソフタル酸-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3
H-イミダゾール-1-イウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチ
レン-コ-5-(4-ビニルベンジルアミノ)-イソフタル酸-コ-3-メチル-1-(
4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム アセタート-コ-ジビニルベ
ンゼン];ポリ[スチレン-コ-(4-ビニルベンジルアミノ)-酢酸-コ-3-メチル
-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム クロリド-コ-ジビ
ニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-(4-ビニルベンジルアミノ)-酢酸-コ-3-
メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム ビスルファー
ト-コ-ジビニルベンゼン];ポリ[スチレン-コ-(4-ビニルベンジルアミノ)-酢
酸-コ-3-メチル-1-(4-ビニルベンジル)-3H-イミダゾール-1-イウム
アセタート-コ-ジビニルベンゼン];ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホ
ン酸-コ-ビニルベンジルメチルイミダゾリウム クロリド-コ-ビニルベンジルメチル
モルホリニウム クロリド-コ-ビニルベンジルトリフェニル ホスホニウム クロリド
-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-
ビ
ニルベンジルメチルイミダゾリウム クロリド-コ-ビニルベンジルメチルモルホリニウ
ム クロリド-コ-ビニルベンジルトリフェニル ホスホニウム クロリド-コ-ジビニ
ルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ビニルベンジ
ルメチルイミダゾリウム ビスルファート-コ-ビニルベンジルメチルモルホリニウム
ビスルファート-コ-ビニルベンジルトリフェニル ホスホニウム ビスルファート-コ
-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニ
ルベンジルメチルイミダゾリウム ビスルファート-コ-ビニルベンジルメチルモルホリ
ニウム ビスルファート-コ-ビニルベンジルトリフェニル ホスホニウム ビスルファ
ート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-
コ-ビニルベンジルメチルイミダゾリウム アセタート-コ-ビニルベンジルメチルモル
ホリニウム アセタート-コ-ビニルベンジルトリフェニル ホスホニウム アセタート
-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-
ビニルベンジルメチルイミダゾリウム アセタート-コ-ビニルベンジルメチルモルホリ
ニウム アセタート-コ-ビニルベンジルトリフェニル ホスホニウム アセタート-コ
-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ビニ
ルベンジルメチルモルホリニウム クロリド-コ-ビニルベンジルトリフェニルホスホニ
ウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホ
スホン酸-コ-ビニルベンジルメチルモルホリニウム クロリド-コ-ビニルベンジルト
リフェニルホスホニウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4
-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ビニルベンジルメチルモルホリニウム ビスルファー
ト-コ-ビニルベンジルトリフェニルホスホニウム ビスルファート-コ-ジビニルベン
ゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニルベンジルメチ
ルモルホリニウム ビスルファート-コ-ビニルベンジルトリフェニルホスホニウム ビ
スルファート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスル
ホン酸-コ-ビニルベンジルメチルモルホリニウム アセタート-コ-ビニルベンジルト
リフェニルホスホニウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-
コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニルベンジルメチルモルホリニウム アセタ
ート-コ-ビニルベンジルトリフェニルホスホニウム ビスルファート-コ-ジビニルベ
ンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ビニルメチルイミ
ダゾリウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベン
ゼンスルホン酸-コ-ビニルメチルイミダゾリウム ビスルファート-コ-ジビニルベン
ゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ビニルメチルイミダ
ゾリウム アセタート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベン
ゼンスルホン酸-コ-ビニルメチルイミダゾリウム ニトラート-コ-ジビニルベンゼン
);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニルメチルイミダゾリ
ウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホ
スホン酸-コ-ビニルメチルイミダゾリウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン)
;ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニルメチルイミダゾリウ
ム アセタート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンス
ルホン酸-コ-ビニルベンジル-トリフェニルホスホニウム クロリド-コ-ジビニルベ
ンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ビニルベンジルト
リフェニルホスホニウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-
コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ビニルベンジルトリフェニルホスホニウム ア
セタート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン
酸-コ-ビニルベンジル-トリフェニルホスホニウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン
);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニルベンジル-トリフ
ェニルホスホニウム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-
4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニルベンジルトリフェニルホスホニウム アセタ
ート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-
コ-ビニルベンジルメチルイミダゾリウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(
スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ビニルベンジルメチルイミダゾリウ
ム ビスルファート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼ
ンスルホン酸-コ-ビニルベンジル-メチルイミダゾリウム アセタート-コ-ジビニル
ベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニルベンジル
メチルイミダゾリウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-
ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニルベンジルメチルイミダゾリウム ビスルファート
-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-
ビニルベンジルメチルイミダゾリウム アセタート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(ス
チレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ビニルベンジル-トリフェニルホスホ
ニウム クロリド-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼン
スルホン酸-コ-ビニルベンジルトリフェニルホスホニウム ビスルファート-コ-ジビ
ニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ビニルベン
ジルトリフェニルホスホニウム アセタート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン
-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニルベンジルトリフェニルホスホニウム
クロリド-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン
酸-コ-ビニルベンジル-トリフェニルホスホニウム ビスルファート-コ-ジビニルベ
ンゼン);ポリ(スチレン-コ-4-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ビニルベンジルト
リフェニルホスホニウム アセタート-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(ブチル-ビニル
イミダゾリウム クロリド-コ-ブチルイミダゾリウム ビスルファート-コ-4-ビニ
ルベンゼンスルホン酸);ポリ(ブチル-ビニルイミダゾリウム ビスルファート-コ-
ブチルイミダゾリウム ビスルファート-コ-4-ビニルベンゼンスルホン酸);ポリ(
ベンジル アルコール-コ-4-ビニルベンジルアルコール スルホン酸-コ-ビニルベ
ンジル-トリフェニルホスホニウム クロリド-コ-ジビニルベンジル アルコール);
ポリ(ベンジル アルコール-コ-4-ビニルベンジルアルコール スルホン酸-コ-ビ
ニルベンジルトリフェニルホスホニウム ビスルファート-コ-ジビニルベンジル アル
コール);ポリ(スチレン-コ-ビニルベンゼンスルホン酸-コ-ジビニルベンゼン);
ポリ(スチレン-コ-ビニルベンゼンホスホン酸-コ-ジビニルベンゼン);ポリ(スチ
レン-コ-ビニルベンゼンボロン酸-コ-ジビニルベンゼン);スルホン化ポリスチレン
-コ-ジビニルベンゼン微孔性ゲル樹脂;スルホン化ポリスチレン-コ-ジビニルベンゼ
ン微孔性樹脂。
【0149】
幾つかの実施形態においては、触媒は、表1による1以上の物理的および化学的特性を
有する強酸カチオン交換樹脂である。幾つかの実施形態においては、触媒は、3.0mm
ol/gを超えるスルホン酸部分および1.0mmol/グラム未満のカチオン性部分を
含む。
【0150】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物を製造するために使用される触媒は可溶
性酸性触媒である。
【0151】
幾つかの実施形態においては、触媒をデキストロース調製物にローディングした後、得
られた反応混合物を、酸触媒オリゴ糖形成を促進させる条件下、大気圧および約120℃
~135℃の範囲の温度で維持する。幾つかの実施形態においては、触媒をローディング
した後、酸触媒オリゴ糖形成を促進させる条件下、反応混合物をその沸点で維持する。反
応混合物の雰囲気圧は0.5~1.5気圧の範囲の圧力でありうる。例えば、圧力は1気
圧未満(例えば、約0.5、0.6、0.7、0.8または0.9気圧)、約1気圧また
は1気圧超(例えば、約1.1、1.2、1.3、1.4または1.5気圧)でありうる
。幾つかの実施形態においては、触媒をデキストロース調製物にローディングした後、得
られた反応混合物を大気圧以外の圧力(例えば、0.5気圧未満または1.5気圧超)で
、かつ、酸触媒オリゴ糖形成を促進させる温度および条件下で維持する。
【0152】
幾つかの実施形態においては、合成オリゴ糖組成物中のデキストロース単量体の重量パ
ーセントが特定の範囲になるまで、例えば、合成オリゴ糖組成物中のデキストロース単量
体の重量パーセントが30%以下(例えば、28%以下、25%以下、22%以下、20
%以下、19%以下、18%以下、17%以下、16%以下、15%以下、14%以下、
13%以下、12%以下、11%以下または10%以下)になったら、反応混合物をその
沸点で維持する。幾つかの実施形態においては、合成オリゴ糖組成物中のデキストロース
単量体の重量パーセントが特定の範囲、例えば、10%~20%、12%~22%、14
%~22%、14%~20%、14%~18%、12%~18%または16%~24%に
なるまで、反応混合物をその沸点で維持する。幾つかの実施形態においては、合成オリゴ
糖組成物中のデキストロース単量体の重量パーセントが特定の範囲になったら、例えば、
合成オリゴ糖組成物中のデキストロース単量体の重量パーセントが30%以下(例えば、
28%以下、25%以下、22%以下、20%以下、19%以下、18%以下、17%以
下、16%以下、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下または
10%以下)になったら、反応混合物をクエンチする。幾つかの実施形態においては、合
成オリゴ糖組成物中のデキストロース単量体の重量パーセントが特定の範囲、例えば、1
0%~20%、12%~22%、14%~22%、14%~20%、14%~18%、1
2%~18%または16%~24%になったら、反応混合物をクエンチする。幾つかの実
施形態においては、クエンチは、水(例えば、脱イオン水)を使用して反応混合物を希釈
し、反応混合物の温度を100℃以下に徐々に低下させることを含む。
【0153】
幾つかの実施形態においては、加熱前の反応混合物中に存在した全デキストロースに対
する正味の水凝縮物のモル比が特定の範囲、例えば、0.35~1.0の範囲(例えば、
0.35~0.8、0.4~0.9、0.5~0.9、0.5~0.8、0.6~0.9
、0.6~0.8または0.7~0.9の範囲)になるまで、反応混合物をその沸点で維
持する。例えば、幾つかの実施形態においては、加熱前の反応混合物中の全デキストロー
ス単量体に対する正味の水凝縮物のモル比が0.4~0.9(例えば、約0.6~0.8
)になるまで、反応混合物をその沸点で維持する。
【0154】
幾つかの実施形態においては、加熱前の反応混合物中に存在した全デキストロースに対
する正味の水凝縮物のモル比が特定の範囲、例えば、0.35~1.0の範囲(例えば、
0.35~0.8、0.4~0.9、0.5~0.9、0.5~0.8、0.6~0.9
、0.6~0.8または0.7~0.9の範囲)になったら、反応混合物をクエンチする
。例えば、幾つかの実施形態においては、加熱前の反応混合物中の全デキストロース単量
体に対する正味の水凝縮物のモル比が0.4~0.9(例えば、約0.6~0.8)にな
ったら、反応混合物をクエンチする。幾つかの実施形態においては、クエンチは、水(例
えば、脱イオン水)を使用して反応混合物を希釈し、反応混合物の温度を100℃以下に
徐々に低下させることを含む。
【0155】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は10%未満のソルビトール、例えば約
10%、約8%、約6%、約4%、約2%、約1%のソルビトールまたは約0.1%以下
のソルビトールを反応混合物中に含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は
10%未満のソルビトール、例えば約10%、約8%、約6%、約4%、約2%、約1%
のソルビトールまたは約0.1%以下のソルビトール反応混合物中に、そして10%未満
のソルビトール、例えば約10%、約8%、約6%、約4%、約2%、約1%のソルビト
ールまたは約0.1%以下のソルビトールをオリゴ糖組成物中に含む。
【0156】
一般に、触媒とデキストロース調製物とを同時または連続的に反応器の内部チャンバに
導入する。オリゴ糖合成はバッチプロセスまたは連続プロセスで行われうる。例えば、1
つの実施形態においては、グリカンポリマー合成をバッチプロセスで行い、この場合、反
応器の内容物を連続的に混合または混和し、反応の生成物の全て又は相当な量を取り出す
(例えば、単離および/または回収する)。1つの変形態様においては、グリカンポリマ
ー合成をバッチプロセスで行い、この場合、反応器の内容物を最初に混合または混和する
が、それ以上の物理的混合を行わない。もう1つの変形態様においては、グリカンポリマ
ー合成をバッチプロセスで行い、この場合、内容物の更なる混合または反応器の内容物の
定期的混合を(例えば、1時間に1回以上)行ったら、反応の生成物の全て又は相当な量
を、ある時間の後で取り出す(例えば、単離および/または回収する)。
【0157】
他の実施形態においては、オリゴ糖合成を連続プロセスで行い、この場合、内容物は平
均連続流速で反応容器内を流動する。触媒およびグルコースを反応器に導入した後、反応
器の内容物を連続的または定期的に混合または混和し、ある時間の後、反応の生成物の一
部を取り出す(例えば、単離および/または回収する)。1つの変形態様においては、グ
リカンポリマー合成を連続プロセスで行い、この場合、触媒とグルコースとを含有する混
合物を能動的には混合しない。また、触媒とデキストロースとの混合は、重力により沈降
する触媒の再分配の結果として生じる可能性があり、あるいは物質が連続反応器内を流動
するにつれて発生する非能動的混合の結果として生じる可能性がある。もう1つの変形態
様においては、反応物の流れにより反応器に連続的に供給が行われると同時に、生成物の
流れが反応器から連続的に除去される。更にもう1つの変形態様においては、反応器は定
常状態で操作され、この場合、反応物の流れおよび生成物の流れは一定の流速で維持され
る。他の変形態様においては、例えば、温度、密度、pH、粘度、含水量および/または
化学的組成のような、反応器内容物の特性を制御または測定する目的で、反応器内容物の
一部を外部リサイクルループを通して連続的にポンプ送出させる。幾つかの変形態様にお
いては、反応器内容物の混合は、そのような外部リサイクルループを通して反応器内容物
の一部をポンプ送出する動作により達成される。特定の変形態様においては、外部リサイ
クルループはインライン熱交換器、フラッシュまたはブローダウンタンクを含有する。も
う1つの変形態様においては、外部リサイクルループは静的混合要素または混合チャンバ
ーを含有する。
【0158】
本発明で提供する方法の幾つかの実施形態においては、重合反応の出発物質は1以上の
単糖、1以上の二糖、1以上の三糖またはそれらの組合せである。例えば、重合反応の出
発物質は、デキストロース単量体、デキストロース二量体および/またはデキストロース
三量体から構成されるデキストロース調製物でありうる。幾つかの実施形態においては、
重合反応の出発物質はデキストロース一水和物である。幾つかの実施形態においては、重
合反応の出発物質は1以上のグルコース単量体、二量体および/または三量体である。該
方法の幾つかの実施形態においては、重合反応の出発物質はフラノース糖および/または
ピラノース糖である。該方法の幾つかの実施形態においては、重合反応の出発物質は、テ
トロース、ペントース、ヘキソースまたはヘプトースから選択される1以上のグリカン単
位である。該方法の幾つかの実施形態においては、重合反応の出発物質は、L型もしくは
D型のいずれか、アルファもしくはベータ配置(グルコース二量体の場合)および/また
はデオキシ型(適用可能な場合)ならびにそれらの任意の組合せであってもよいグルコー
スである。幾つかの実施形態においては、グルコースは、1以上の酢酸エステル、硫酸半
エステル、リン酸エステルまたはピルビル環状アセタール基により置換または誘導体化さ
れており、あるいは例えば1以上のヒドロキシル基において誘導体化されている。
【0159】
幾つかの実施形態においては、重合反応の出発物質はデンプン加水分解物、例えばグル
コースシロップ、コーンシロップまたはそれらの混合物である。幾つかの実施形態におい
ては、重合反応の出発物質はデキストロースシロップである。幾つかの実施形態において
は、出発物質は、デキストロース当量(DE)のシロップの範囲内の任意のシロップから
選択されるシロップ、例えば、20~99DEのシロップから選択されるシロップであり
うる。
【0160】
1つの実施形態においては、本明細書に記載されている方法において使用されるグルコ
ース(例えば、デキストロース)は1以上のC5またはC6単糖でありうる。幾つかの実
施形態においては、グルコースはC5単糖である。幾つかの実施形態においては、グルコ
ースはC6単糖である。幾つかの実施形態においては、重合反応の出発物質は、アミノ糖
、デオキシ糖、イミノ糖、糖酸、糖アミド、糖エーテル、短鎖脂肪酸、糖アルコールまた
はそれらの任意の組合せから選択される1以上のグリカン単位である。
【0161】
幾つかの実施形態においては、精製オリゴ糖組成物を得るために、例えば、クエンチさ
れた反応混合物を約5~65重量パーセントの濃度に水で希釈し、ついで、該混合物を一
連のクロマトグラフィー樹脂に通過させることにより、組成物を酸触媒から分離すること
が可能である。この一連のクロマトグラフィー樹脂はカチオン交換樹脂およびそれに続く
アニオン交換樹脂および最後の脱色ポリマー樹脂を含みうる。幾つかの実施形態において
は、任意または全てのタイプの樹脂は任意の順序で1回以上使用されうる。
【0162】
幾つかの用途には、残留糖単量体のレベルを、合成中に達成されるものより低いレベル
に、例えば、約20%から10%未満(例えば、5%未満、2%未満または1%未満の単
量体)に低減することが望ましい。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は脱単
量体化されうる。幾つかの実施形態においては、脱単量体化は、オリゴ糖組成物から残留
糖単量体を除去することを含む。オリゴ糖調製物から単糖を除去するためには、例えば、
分別沈殿、膜分離、クロマトグラフィー分離および発酵のような種々の方法が用いられう
る。例えば、Senら,2011,Food Chem.,128(3),773-77
7;Pineloら.,2009,Separation Purification
Technol.,70,1-11;Vannesteら,2011,Separati
on Purification Technol.,80,600-609;およびG
uerreroら,2014,Int.Dairy J.,39,78-88(それらの
全てを参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい。これらの脱単量体
化法は、オリゴ糖調製物中の単量体のレベルを低下させるために、単独で、または組合せ
て用いられうる。幾つかの実施形態においては、クロマトグラフィー樹脂を使用して、脱
単量体化を行う。したがって、幾つかの実施形態においては、存在する単量体の割合に応
じて、異なる組成物が製造されうる。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物を約
1%、約3%、約5%、約10%または約15%の単量体含量に脱単量体化する。1つの
実施形態においては、オリゴ糖組成物を1%未満の単量体含量に脱単量体化する。1つの
実施形態においては、オリゴ糖組成物を約12%~18%の単量体含量に脱単量体化する
。1つの実施形態においては、オリゴ糖組成物を約13%~17%の単量体含量に脱単量
体化する。幾つかの実施形態においては、浸透圧分離により脱単量体化を達成する。幾つ
かの実施形態においては、タンジェント流濾過(TFF)により非単量体化を達成する。
幾つかの実施形態においては、エタノール沈殿により脱単量体化を達成する。
【0163】
幾つかの実施形態においては、表2に示されているとおり、オリゴ糖組成物は、それが
有する単量体含量によって異なる、全食物繊維、水分、食物繊維(乾燥量基準)またはD
E率に関する測定値を有しうる。
【表11】
【0164】
幾つかの実施形態においては、全食物繊維はAOAC 2011.25の方法に従い測
定される。幾つかの実施形態においては、水分は、60℃で真空オーブンを使用すること
により測定される。幾つかの実施形態においては、全食物繊維(乾燥量基準)は計算され
る。幾つかの実施形態においては、デキストロース当量(DE)(%)(乾燥量基準)は
Food Chemicals Codex(FCC)に従い測定される。
【0165】
幾つかの実施形態においては、例えば実施例9に記載されている方法により、オリゴ糖
組成物を脱単量体化する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は約13~27
% DE(乾燥量基準)、約18~28% DE(乾燥量基準)、約16~24%(乾燥
量基準)または20~26%(乾燥量基準)を有する。幾つかの実施形態においては、オ
リゴ糖組成物は15~25または16~24(乾燥量基準)のDEを有する。幾つかの実
施形態においては、オリゴ糖組成物は少なくとも70%、例えば70%~99%(乾燥量
基準)の全食物繊維(乾燥量基準)を有する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組
成物は少なくとも70%(乾燥量基準)、少なくとも80%、少なくとも90%、少なく
とも95%または少なくとも99%の全食物繊維含量を有する。幾つかの実施形態におい
ては、オリゴ糖組成物は、定量限界未満である可溶性食物繊維沈殿物(SDFP)を含む
。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、定量限界未満である不溶性食物繊維
(IDF)を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、定量限界未満であ
る、SDFPおよびIDFである高分子量食物繊維(HMWDF)を含む。幾つかの実施
形態においては、本発明で提供する方法に従うオリゴ糖組成物の製造はバッチプロセスま
たは連続プロセスで行われうる。例えば、1つの実施形態においては、オリゴ糖組成物を
バッチプロセスで製造し、この場合、反応器の内容物を攪拌条件(例えば、連続的な混合
または混和)に付し、反応の生成物の全て又は相当な量を取り出す(例えば、単離および
/または回収する)。
【0166】
特定の実施形態においては、触媒を使用する方法は水性環境中で行われる。1つの適切
な水性溶媒は水であり、これは種々の供給源から得られうる。一般に、幾つかの実施形態
においては、より低い濃度のイオン種(例えば、ナトリウム、リン、アンモニウムまたは
マグネシウムの塩)を含有する水源が使用されうる。なぜなら、そのようなイオン種は触
媒の有効性を低下させうるからである。水性溶媒が水である幾つかの実施形態においては
、水は10%未満のイオン種(例えば、ナトリウム、リン、アンモニウム、マグネシウム
の塩)を含有する。水性溶媒が水である幾つかの実施形態においては、水は少なくとも0
.1メガオームセンチメートル、少なくとも1メガオームセンチメートル、少なくとも2
メガオームセンチメートル、少なくとも5メガオームセンチメートルまたは少なくとも1
0メガオームセンチメートルの抵抗率を有する。幾つかの実施形態においては、本明細書
に記載されている反応が進行するにつれて、例えば2以上の糖単量体間の各グリコシドカ
ップリングにより、水(例えば、発生する水)が生成される。特定の実施形態においては
、本明細書に記載されている方法は、反応混合物中に存在する水の量および/または単量
体もしくは触媒に対する水の比率を或る時間にわたってモニターすることを更に含みうる
。したがって、幾つかの実施形態においては、反応混合物の含水量は、例えば、生成した
発生水を除去することにより、反応の経過にわたって変化可能である。反応混合物中の水
(例えば、発生した水)を除去するためには、例えば蒸留のような蒸発を含む適切な方法
が用いられうる。幾つかの実施形態においては、該方法は、反応混合物中に水を含有させ
ることを含む。特定の実施形態においては、該方法は、蒸発により反応混合物から水を除
去することを含む。
【0167】
幾つかの実施形態においては、反応混合物の温度を100℃以下にすることにより反応
をクエンチするために、反応混合物に水を添加する。幾つかの実施形態においては、添加
する水は脱イオン水である。幾つかの実施形態においては、添加する水は約60℃~約1
00℃の温度を有する。幾つかの実施形態においては、混合物の固化を回避するのに十分
な条件下、反応混合物に水を添加する。
【0168】
反応混合物の粘度は反応の経過にわたって測定および/または改変されうる。一般に、
粘度は、流動に対する流体の内部抵抗(例えば、「厚さ」)の測定値を指し、センチポイ
ズ(cP)またはパスカル秒の単位で表される。幾つかの実施形態においては、反応混合
物の粘度は約100cP~約95,000cP、約5,000cP~約75,000cP
、約5,000~約50,000cPまたは約10,000~約50,000cPである
。特定の実施形態においては、反応混合物の粘度は約50cP~約200cPである。
【0169】
幾つかの実施形態においては、本発明で提供するオリゴ糖組成物は1以上の追加的処理
工程に付されうる。追加的処理工程は、例えば、精製工程を含みうる。精製工程は、例え
ば、分離、脱単量体化、希釈、濃縮、濾過、脱塩またはイオン交換、クロマトグラフィー
分離または脱色、あるいはそれらの任意の組合せを含みうる。
【0170】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている方法は脱色工程を更に含む。
製造された1以上のオリゴ糖組成物は、例えば、吸収剤、活性炭、クロマトグラフィー(
例えば、イオン交換樹脂を使用)での処理および/または濾過(例えば、精密濾過)を含
む適切な方法を用いる脱色工程に付されうる。
【0171】
幾つかの実施形態においては、製造された1以上のオリゴ糖組成物を、塩、ミネラルお
よび/または他のイオン種を除去するための物質と接触させる。例えば、特定の実施形態
においては、製造された1以上のオリゴ糖組成物をアニオン交換カラムに貫動させる。他
の実施形態においては、製造されたオリゴ糖組成物をアニオン/カチオン交換カラムペア
に貫流させる。
【0172】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている方法は濃縮工程を更に含みう
る。例えば、幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物を蒸発(例えば、真空蒸発)
に付して、濃縮オリゴ糖組成物を得ることが可能である。他の実施形態においては、オリ
ゴ糖組成物を噴霧乾燥工程に付して、オリゴ糖粉末を得ることが可能である。特定の実施
形態においては、オリゴ糖組成物を蒸発工程と噴霧乾燥工程との両方に付すことが可能で
ある。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物を凍結乾燥(例えば、冷凍乾燥)工
程に付して水を除去し、粉末生成物を得ることが可能である。
【0173】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている方法は分画工程を更に含む。
製造され精製されたオリゴ糖組成物は、例えば高速液体クロマトグラフィー、吸着/脱着
(例えば、低圧活性炭クロマトグラフィー)または濾過(例えば、限外濾過またはダイア
フィルトレーション)を含む、当技術分野で公知の任意の方法を用いて、分子量により分
離されうる。特定の実施形態においては、オリゴ糖組成物を、60%、65%、70%、
75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または98%超の短い種(約
DP1~2)、中等度の種(約DP3~10)、長い種(約DP11~18)または非常
に長い種(約DP18超)に相当するプールに分離する。
【0174】
特定の実施形態においては、炭素質材料上への吸着、およびそれに続く、1%、5%、
10%、20%、50%または100%の濃度の水中の有機溶媒の混合物で該材料を洗浄
することによる画分の脱着により、製造されたオリゴ糖組成物を分画する。1つの実施形
態においては、吸着材量は活性炭である。もう1つの実施形態においては、吸着材料は、
活性炭と、5%、10%、20%、30%、40%または50%(容量%または重量%)
部分の増量剤(例えば、珪藻土またはセライト545)との混合物である。
【0175】
更なる実施形態においては、本明細書に記載されているとおりに製造されたオリゴ糖組
成物を、高速液体クロマトグラフィー系に通過させることにより分離する。特定の変形態
様においては、製造されたオリゴ糖組成物をイオンアフィニティークロマトグラフィー、
親水性相互作用クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィー、例えばゲル浸
透およびゲル濾過により分離する。幾つかの実施形態においては、触媒を濾過により除去
する。他の実施形態においては、低分子量物質を濾過法により除去する。特定の変形態様
においては、低分子量物質を透析、限外濾過、透析またはタンジェント流濾過により除去
することが可能である。特定の実施形態においては、濾過を静的透析管装置で行う。他の
実施形態においては、濾過を動的流動濾過系において行う。他の実施形態においては、濾
過を遠心力駆動濾過カートリッジにおいて行う。特定の実施形態においては、反応混合物
を濾過前に約85℃未満に冷却する。
【0176】
オリゴ糖組成物の特徴づけ
幾つかの実施形態においては、全てのグリカンの平均重合度は4~10の範囲である。
幾つかの実施形態においては、全てのグリカンの平均重合度は4~8、5~9、5~8、
5~7、6~9、6~8、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9または9~10の範
囲である。幾つかの実施形態においては、全てのグリカンの平均重合度は約5.5~8.
5である。特定の実施形態においては、全てのグリカンの平均重合度は約6である。特定
の実施形態においては、全てのグリカンの平均重合度は約7である。幾つかの実施形態に
おいては、全てのグリカンの平均重合度は約4、約5、約6、約7、約8、約9または約
10の範囲である。
【0177】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、700~1620の範囲のMWw(
g/mol)を有するオリゴ糖を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は
、852~1475の範囲のMWw(g/mol)を有するオリゴ糖を含む。幾つかの実
施形態においては、オリゴ糖組成物は、850~14500、例えば、850~1410
、870~1410、850~1200、900~1100または900~1050の範
囲のMWw(g/mol)を有するオリゴ糖を含む。幾つかの実施形態においては、オリ
ゴ糖組成物は、1005~1315の範囲のMWw(g/mol)を有するオリゴ糖を含
む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、700~850、900~100
0、850~1000、850~1050、1000~1200、1200~1400、
1400~1600または1500~1620の範囲のMWw(g/mol)を有するオ
リゴ糖を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、約900、950、9
80、1000、1050、1075、1100、1150または1200のMWw(g
/mol)を有するオリゴ糖を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、
約960または1150のMWw(g/mol)を有するオリゴ糖を含む。幾つかの実施
形態においては、オリゴ糖組成物は、560~960の範囲のMWn(g/mol)を有
するオリゴ糖を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、600~900
の範囲、例えば、600~850、625~860、650~850、650~800、
600~700、600~700または700~800の範囲のMWn(g/mol)を
有するオリゴ糖を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、612~91
2の範囲のMWn(g/mol)を有するオリゴ糖を含む。幾つかの実施形態においては
、オリゴ糖組成物は、700~820の範囲のMWn(g/mol)を有するオリゴ糖を
含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、600~700、例えば、62
0~700または650~700の範囲のMWn(g/mol)を有するオリゴ糖を含む
。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、560~700、600~750、
650~800、700~850、850~900、900~960または900~10
00の範囲のMWn(g/mol)を有するオリゴ糖を含む。
【0178】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、例えば実施例11に記載されている
方法に従う例えばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による測定で70~99重量
%(乾燥量基準)の範囲の2以上の単量体(DP2+)を有するオリゴマーを含む。幾つ
かの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、80~95重量%、80~90重量%、8
2~95重量%、82~90重量%、83~91重量%、83~89重量%、83~86
重量%、83~85重量%、84~89重量%、84~86重量%、85~87重量%、
86~89重量%、87~89重量%、88~90重量%または89~91重量%の範囲
の2以上の単量体(DP2+)を有するオリゴマーを含む。幾つかの実施形態においては
、オリゴ糖組成物は、83~86重量%の範囲の2以上の単量体(DP2+)を有するオ
リゴマーを含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、約80%、約81%
、約82、約83、約84、約85、約86、約87重量%、約88%、約89%または
約90%の範囲の2以上の単量体(DP2+)を有するオリゴマーを含む。幾つかの実施
形態においては、組成物は約6%~約23%の単量体(DP1)および/または約4%~
約12%の二糖(DP2)を含む。幾つかの実施形態においては、組成物は8%~17%
の単量体(DP1)および/または約6%~約10%の二糖(DP2)を含む。幾つかの
実施形態においては、組成物は約12%~約21%の単量体(DP1)および/または約
7%~約12%の二糖(DP2)を含む。
【0179】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物はグルコース(例えば、デキストロース
)単糖を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は、例えば実施例11に記
載されている例えばSEC HPLCによる測定で30%以下の単糖または単量体(乾燥
量基準)を含有する。幾つかの場合には、オリゴ糖組成物は28%未満の単量体(乾燥量
基準)、25%未満の単量体、22%未満の単量体、20%未満の単量体、18%未満の
単量体、16%未満の単量体、14%未満の単量体、12%未満の単量体、10%未満の
単量体、8%未満の単量体、6%未満の単量体、4%未満の単量体または2%未満の単量
体を含有する。幾つかの場合には、オリゴ糖組成物は12~25%の単量体(乾燥量基準
)、10~20%の単量体、12~22%の単量体、10~18%の単量体、12~18
%の単量体、13~18%の単量体、1~10%の単量体または5~10%の単量体を含
有する。幾つかの場合には、例えば実施例9に記載されている方法に従い、オリゴ糖組成
物を脱単量体化する。幾つかの場合には、オリゴ糖組成物は5%未満(乾燥量基準)、例
えば4%未満、2%未満または1%未満の単量体を含有する。幾つかの場合には、オリゴ
糖組成物は0~5%の単量体または2~5%の単量体を含有する。幾つかの実施形態にお
いては、オリゴ糖組成物は1.3~1.8の多分散指数(PDI)、例えば1.4~1.
7または1.5~1.7のPDIを有する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成
物は1.0~1.2、1.2~1.3、1.3~1.4、1.4~1.5、1.5~1.
6、1.7~1.8または1.8~2.0のPDIを有する。幾つかの実施形態において
は、オリゴ糖組成物は約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7ま
たは約1.8のPDIを有する。
【0180】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物中のオリゴ糖に関するMWw、MWn、
PDI、単量体含量(DP1)および/またはDP2+値は、実施例11に記載されてい
るサイズ排除クロマトグラフィー法を用いて決定される。
【0181】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物中の単糖および二糖の量は、実施例13
に記載されているサイズ排除クロマトグラフィー法を用いて決定される。幾つかの実施形
態においては、オリゴ糖組成物中のオリゴ糖の単量体(DP1)、二糖(DP2)および
DP3+含量は、実施例13に記載されているサイズ排除クロマトグラフィー法を用いて
決定される。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は5.5%~24%の単量体
(DP1)、例えば5.61%~23.21%または12%~22%の単量体(DP1)
を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は約10%~約20%の単量体D
P1を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は5%~8%、5%~10%
、7%~10%、10%~15%、9%~12%、11%~14%、15%~20%、1
3%~16%、15%~18%、12%~19%、17%~20%、20%~25%、1
9%~22%、21%~24%または20%~23%の単量体(DP1)を含む。幾つか
の実施形態においては、オリゴ糖組成物は8.27%~16.89%または12.34%
~21.39%の単量体(DP1)を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成
物は4%~14%の二糖(DP2)、例えば4.45%~12.30%または7%~12
%の二糖(DP2)を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は約6%~約
11%の二糖(DP2)、例えば6%~9%、7%~11%または8%~10%の二糖(
DP2)を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は4%~5%、5%~6
%、6%~7%、7%~8%、8%~9%、9%~10%、10%~11%、11%~1
2%または12%~13%の二糖(DP2)を含む。幾つかの実施形態においては、オリ
ゴ糖組成物は5%~10%、5%~15%、10%~15%または15%~20%の二糖
(DP2)を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は5.73%~9.6
8%または6.97%~11.86%の二糖(DP2)を含む。
【0182】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているオリゴ糖組成物における不純
物の量は、例えば実施例12に記載されているとおりに、例えばSEC HPLCにより
測定される。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は3.0%以下の総不純物(
単量体を除く)、例えば3.0%未満、2.5%未満、2.0%未満、1.5%未満、1
.0%未満または0.5%未満の不純物を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖
組成物は0.2%未満の総不純物(単量体を除く)を含む。幾つかの実施形態においては
、オリゴ糖組成物は0.10%未満の総不純物(単量体を除く)を含む。幾つかの実施形
態においては、オリゴ糖組成物は0.05%未満の総不純物(単量体を除く)を含む。幾
つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は0.30%、0.20%、0.15%、0
.10%または0.05%未満の総不純物(単量体を除く)を含む。
【0183】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は0.2% w/w以下の乳酸(例えば
、0.0~0.05% w/wの乳酸)、0.7% w/w以下のギ酸(例えば、0.0
5~0.45% w/wのギ酸)、0.2% w/w以下の酢酸(例えば、0.0~0.
05% w/wの酢酸)、2.0% w/w以下のレブリン酸(例えば、0.1~0.8
%または0.1~1.5% w/w レブリン酸)、2.0% w/w以下のレボグルコ
サン(例えば、0.0~0.5%または0.0~1.3% w/wのレボグルコサン)、
1.0% w/w以下のレボグルコサン(0.0~0.5% w/wのレボグルコサン異
性体)および/または0.2% w/w以下のヒドロキシメチルフルフラール(HMF)
(例えば、0.0~0.05% w/wのHMF)、あるいはそれらの任意の組合せ[例
えば、オリゴ糖組成物における総不純物が3.0%以下である、オリゴ糖組成物における
これらの不純物の任意の組合せ]を含有する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組
成物は0.1% w/w未満の乳酸、0.1% w/w未満のギ酸、0.1% w/w未
満の酢酸、および/または0.1% w/w未満のHMFを含む。
【0184】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は約0.01% w/wの酢酸、約0.
2% w/wのギ酸、約0.6% w/wのレブリン酸および/または約0.4%のレボ
グルコサンを含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は0.00%~0.0
3% w/wの酢酸、0.5%~0.7% w/wのレブリン酸、0.2%~0.3%
w/wのギ酸および0.4%~0.5%のレボグルコサンを含む。幾つかの実施形態にお
いては、オリゴ糖組成物は、検出可能な量の酢酸、乳酸もしくはHMFまたはそれらの任
意の組合せを含有しない。
【0185】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は約0.0% w/w~1.0% w/
wの乳酸(例えば、0.0~0.05% w/wの乳酸)を含む。幾つかの実施形態にお
いては、オリゴ糖組成物は約0.0% w/w~0.5% w/wのギ酸(例えば、0.
2~0.3% w/wのギ酸)を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は
約0.0% w/w~0.1% w/wの酢酸(例えば、0.0~0.05% w/wの
酢酸)を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は約0.0% w/w~1
.2% w/wのレブリン酸(例えば、0.5~0.8% w/wのレブリン酸)を含む
。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は約0.0% w/w~1.0% w/
wのHMF(例えば、0.0~0.03% w/wのHMF)を含む。幾つかの実施形態
においては、オリゴ糖組成物は約0.0% w/w~1.3% w/wのレボグルコサン
(例えば、0.0~0.5% w/wのレボグルコサン)を含む。幾つかの実施形態にお
いては、オリゴ糖組成物は約0.0% w/w~0.6% w/wのレボグルコサン異性
体(例えば、0.0~0.25% w/wのレボグルコサン異性体)を含む。幾つかの実
施形態においては、オリゴ糖組成物は0.1% w/w以下の乳酸、例えば0.05%、
0.03%、0.02%または0.01%以下の乳酸を含有する。幾つかの実施形態にお
いては、オリゴ糖組成物は0.5% w/w以下のギ酸、例えば0.4%、0.3%、0
.2%または0.1%以下のギ酸を含有する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組
成物は0.1% w/w以下の酢酸、例えば0.05%、0.03%、0.02%または
0.01%以下の酢酸を含有する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は1.
0% w/w以下のレブリン酸、例えば0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.
4%、0.3%、0.2%または0.1%以下のレブリン酸を含有する。幾つかの実施形
態においては、オリゴ糖組成物は0.1% w/w以下のHMF、例えば0.05%、0
.03%、0.02%または0.01%以下のHMFを含有する。幾つかの実施形態にお
いては、オリゴ糖組成物は0.8% w/w以下のレボグルコサン、例えば0.8%、0
.7%、0.6%、0.5%、0.45%、0.4%、0.3%、0.2%または0.1
%以下のレボグルコサンを含有する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は0
.5% w/w以下のレボグルコサン異性体、例えば0.5%、0.4%、0.3%、0
.2%または0.1%以下のレボグルコサン異性体を含有する。幾つかの実施形態におい
ては、オリゴ糖組成物は脱単量体化されている。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖
組成物を脱単量体化されていない。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は0.
0%~0.4% w/wのギ酸(例えば、0.1%~0.3% w/wのギ酸)を含有し
、0.3%~1.0% w/wのレブリン酸(例えば、0.5%~0.7%)を含有せず
、検出可能な量の乳酸を含有せず、検出可能な量の酢酸を含有せず、または検出可能な量
のHMFを含有しない。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は0.0%~0.
4% w/wのギ酸(例えば、0.1%~0.3% w/wのギ酸)を含有し、0.3%
~1.0% w/wのレブリン酸(例えば、0.5%~0.7%)を含有し、検出可能な
量の乳酸を含有せず、検出可能な量の酢酸を含有せず、そして検出可能な量のHMFを含
有しない。
【0186】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は20~35重量%の総含水量、例えば
22~32%、25~35%、24~33%、26~32%または28~30%(それぞ
れ重量%)の含水量を有する。
【0187】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は2.5~7.5の範囲、例えば2.5
~5.0または3.0~4.0のpHを有する。
【0188】
過メチル化分析による特徴づけ
本明細書に記載されており、本明細書に記載の方法に従い製造されたオリゴ糖組成物は
、過メチル化(permethylation)分析を用いて特徴づけられ、先行技術組
成物から区別されうる。Zhao,Y.ら,‘Rapid,sensitive str
ucture analysis of oligosaccharides,’PNA
S March 4,1997 94 (5)1629-1633;Kailemia,
M.J.ら,‘Oligosaccharide analysis by mass
spectrometry:A review of recent developm
ents,’Anal Chem.2014 Jan 7;86(1):196-212
を参照されたい。したがって、もう1つの態様においては、本発明は、最低限度でヒトに
より消化可能であり単量体ラジカルを含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を提供す
る。複数のオリゴ糖における種々のタイプの単量体ラジカルのモル濃度は、過メチル化ア
ッセイを用いて定量されうる。幾つかの実施形態においては、組成物の脱単量体化サンプ
ルにおいて過メチル化アッセイを行う。
【0189】
特定の実施形態においては、複数のオリゴ糖は、表3のラジカル(1)~(15)から
選択される単量体ラジカルを含む。
【表12】
【0190】
特定の実施形態においては、複数のオリゴ糖は、ラジカル(1)~(7):
(1)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.8~8.9モル%に相当する2
-グルコピラノースジラジカル、
(2)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも20.0~23.5モル
%に相当する6-グルコピラノースジラジカル、
(3)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの7.0~8.3モル%に相当する4
-グルコピラノースジラジカル、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.6~1.3モル%に相当する3
,4-グルコピラノーストリラジカル、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも1.5~2.4モル%に
相当する2,3-グルコピラノーストリラジカル、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.2~0.9モル%未満に相当す
る3,4,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.4~0.7モル%に相当する2
,4,6-グルコピラノーステトララジカル
から選択される2以上の単量体ラジカルを含む。
【0191】
特定の実施形態においては、複数のオリゴ糖は、ラジカル(1)~(7)から選択され
る2、3、4、5、6または7個のタイプの単量体ラジカルを含む。
【0192】
特定の実施形態においては、複数のオリゴ糖は更に、ラジカル(8)~(12):
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの30.9~43モル%に相当するt
-グルコピラノースモノラジカル、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの7.4~8.8モル%に相当する3
-グルコピラノースジラジカル、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.7~1.3モル%未満に相当
する2,4-グルコピラノーストリラジカル、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.0~8.8モル%未満に相当
する2,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル、および
(12)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.2~0.7モル%に相当する
2,3,4-グルコピラノースラジカル
から選択される1以上のタイプの単量体ラジカルを含む。
【0193】
特定の実施形態においては、複数のオリゴ糖は、ラジカル(8)~(12)から選択さ
れる1、2、3、4または5個のタイプの単量体ラジカルを含む。
【0194】
特定の実施形態においては、複数のオリゴ糖は更に、ラジカル(13)~(15):
(13)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの3.0~5.3モル%に相当する
3,6-グルコピラノーストリラジカル、
(14)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.2~0.7モル%に相当する
2,3,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.1~0.5モル%に相当する
2,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
から選択される1以上のタイプの単量体ラジカルを含む。
【0195】
特定の実施形態においては、複数のオリゴ糖は、ラジカル(13)~(15)から選択
される1、2または3個のタイプの単量体ラジカルを含む。
【0196】
特定の実施形態においては、複数のオリゴ糖は以下の単量体ラジカルを含む:
(1)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.8~8.9モル%に相当する2
-グルコピラノースジラジカル、
(2)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも20.0~23.5モル
%に相当する6-グルコピラノースジラジカル、
(3)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの7.0~8.3モル%に相当する4
-グルコピラノースジラジカル、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.6~1.3モル%に相当する3
,4-グルコピラノーストリラジカル、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも1.5~2.4モル%に
相当する2,3-グルコピラノーストリラジカル、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.2~0.9モル%未満に相当す
る3,4,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.4~0.7モル%に相当する2
,4,6-グルコピラノーステトララジカル、
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの30.9~43モル%に相当するt
-グルコピラノースモノラジカル、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの7.4~8.8モル%に相当する3
-グルコピラノースジラジカル、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.7~1.3モル%未満に相当
する2,4-グルコピラノーストリラジカル、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.0~8.8モル%未満に相当
する2,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル、
(12)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.2~0.7モル%に相当する
2,3,4-グルコピラノースラジカル、
(13)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの3.0~5.3モル%に相当する
3,6-グルコピラノーストリラジカル、
(14)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.2~0.7モル%に相当する
2,3,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.1~0.5モル%に相当する
2,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル。
【0197】
特定の実施形態においては、表4に示されているモル百分率の単量体ラジカル(1)~
(15)を含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を提供する。特定の実施形態におい
ては、オリゴ糖組成物は脱単量体化されており、例えば、オリゴ糖組成物は3%以下のグ
ルコース(例えば、デキストロース)単量体(例えば、2%以下のグルコースまたはデキ
ストロース単量体)を含む。
【0198】
ラジカルに関する定められているモル百分率(モル%(mol%))の範囲は、複数の
オリゴ糖における全ラジカルのモルの量に対する個々のラジカル(例えば、単量体ラジカ
ル)のモルの量を指す。例えば、t-グルコピラノースラジカルのモル%は、t-グルコ
ピラノースラジカルの総モル数を、複数のオリゴ糖における全ラジカルのモル数で割り算
することにより決定される。
【0199】
幾つかの実施形態においては、個々のラジカルのモル%は、フラノースから誘導される
ラジカルのシグナルを除去した後に決定される。幾つかの実施形態においては、個々のラ
ジカルのモル%は脱単量体化オリゴ糖に対して正規化される。
【表13】
【0200】
特定の実施形態においては、複数のオリゴ糖は30~43モル%のグルコピラノースモ
ノラジカル、41~50モル%のグルコピラノースジラジカル、12~19モル%のグル
コピラノーストリラジカル、および0.8~3モル%のグルコピラノーステトララジカル
を含む。
【0201】
特定の実施形態においては、オリゴ糖組成物は単量体を含有しない。他の実施形態にお
いては、オリゴ糖組成物は単量体を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物
は、5%以下の単量体、例えば5%、4%、3%、2%または1%以下の単量体を含有す
る。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は10%以下の単量体を含有する。幾
つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は30%以下の単量体、25%以下、20%
以下または18%以下の単量体を含有する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成
物は、例えば実施例9に記載されている方法を用いて、脱単量体化される。
【0202】
幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は約9%~約13%、例えば約10%~
約12%の総分岐率を有する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物は約1%~
約4%、例えば約2%または約3%の総フラノース率(末端を含む)を有する。幾つかの
実施形態においては、オリゴ糖組成物は約42%~約50%、例えば約45%~約48%
の総末端糖率を有する。
【0203】
2DNMR分析による特徴づけ
本明細書に記載されており、本明細書に記載の方法に従い製造されたオリゴ糖組成物は
、二次元異核NMRを用いて特徴づけられ、先行技術組成物から区別されうる。したがっ
て、幾つかの実施形態においては、本発明は、複数のオリゴ糖(例えば、最低限度でヒト
により消化可能であるもの)を含むオリゴ糖組成物を提供し、ここで、該組成物は、表5
に定められている中心位置および面積を各シグナルが有するシグナル1~14を含む
1H
-
13C異核種単一量子コヒーレンス(HSQC)NMRスペクトルにより特徴づけられ
る。
【表14】
【0204】
特定の実施形態においては、スペクトルは、以下の中心位置および面積を各シグナルが
有するシグナル1、3および4を含む。
【表15】
【0205】
特定の実施形態においては、シグナル1、3および4は以下のとおりに定められる。
【表16】
【0206】
特定の実施形態においては、シグナル1、3および4は以下のとおりに定められる。
【表17】
【0207】
特定の実施形態においては、シグナル1、3および4は以下のとおりに定められる。
【表18】
【0208】
特定の実施形態においては、シグナル1、3および4は以下のとおりに定められる。
【表19】
【0209】
特定の実施形態においては、シグナル1、3および4は以下のとおりに定められる。
【表20】
【0210】
特定の実施形態においては、スペクトルは、シグナル8および9から選択される1~2
個(例えば、1個または2個)のシグナルを更に含む。
【表21】
【0211】
特定の実施形態においては、スペクトルは、シグナル8および9から選択される1~2
個(例えば、1個または2個)のシグナルを更に含む。
【表22】
【0212】
特定の実施形態においては、シグナル8および9は以下のとおりに定められる。
【表23】
【0213】
特定の実施形態においては、シグナル8および9は以下のとおりに定められる。
【表24】
【0214】
特定の実施形態においては、シグナル8および9は以下のとおりに定められる。
【表25】
【0215】
特定の実施形態においては、シグナル8および9は以下のとおりに定められる。
【表26】
【0216】
特定の実施形態においては、スペクトルは、シグナル6、7、11、12、13および
14から選択される1~6個(例えば、1、2、3、4、5または6個)のシグナルを更
に含む。
【表27】
【0217】
特定の実施形態においては、シグナル6、7、11、12、13および14は以下のと
おりに定められる。
【表28】
【0218】
特定の実施形態においては、シグナル6、7、11、12、13および14は以下のと
おりに定められる。
【表29】
【0219】
特定の実施形態においては、シグナル6、7、11、12、13および14は以下のと
おりに定められる。
【表30】
【0220】
特定の実施形態においては、シグナル6、7、11、12、13および14は以下のと
おりに定められる。
【表31】
【0221】
特定の実施形態においては、シグナル6、7、11、12、13および14は以下のと
おりに定められる。
【表32】
【0222】
特定の実施形態においては、スペクトルは、シグナル2、5および10から選択される
1~3個のシグナルを更に含む。
【表33】
【0223】
特定の実施形態においては、スペクトルは、シグナル2、5および10から選択される
1~3個のシグナルを更に含む。
【表34】
【0224】
特定の実施形態においては、シグナル2、5および10は以下のとおりに定められる。
【表35】
【0225】
特定の実施形態においては、シグナル2、5および10は以下のとおりに定められる。
【表36】
【0226】
特定の実施形態においては、シグナル2、5および10は以下のとおりに定められる。
【表37】
【0227】
特定の実施形態においては、シグナル2、5および10は以下のとおりに定められる。
【表38】
【0228】
特定の実施形態においては、シグナル1~14は以下のとおりに定められる。
【表39】
【0229】
特定の実施形態においては、シグナル1~14は以下のとおりに定められる。
【表40】
【0230】
特定の実施形態においては、シグナル1~14のそれぞれは、以下に定められていると
おりに、
1H積分領域および
13C積分領域によって更に特徴づけられる。
【表41】
【0231】
特定の実施形態においては、NMRスペクトルは、組成物のサンプルを異核種単一量子
コヒーレンス(HSQC)NMRに付すことにより得られ、ここで、サンプルは重水素化
溶媒中の溶液である。適切な重水素化溶媒には、重水素化アセトニトリル、重水素化アセ
トン、重水素化メタノール、D2Oおよびそれらの混合物が含まれる。特定の実施形態に
おいては、重水素化溶媒はD2Oである。
【0232】
個々のシグナル(またはピーク)の曲線下面積(AUC)は、定められたグループの全
シグナルの合計AUC(例えば、表5に示されている全シグナル位置の合計AUC)に対
して1H位置(ppm)および13C位置(ppm)を中心とするピーク積分を用いて決
定される。幾つかの実施形態においては、総面積は表5のシグナル1~14のそれぞれの
面積の和である。幾つかの実施形態においては、それぞれの個々のシグナル1、2、3、
4、5、6、7、8、9、10、11、12、13および/または14の曲線下面積(A
UC)は、表5に示されているシグナル1~14の総面積に対する百分率として定められ
る。幾つかの実施形態においては、シグナルの総面積(例えば、表5のシグナル1~14
のそれぞれの面積の和)に対する個々のシグナルの面積の百分率に相当する、シグナル1
~14の総面積に対する百分率(%)が示される。幾つかの実施形態においては、この百
分率は曲線下面積(AUC)パラメータと称されうる。幾つかの実施形態においては、そ
のようなパラメータは、特定のサンプルまたは組成物が含まれる範囲として特定されうる
。幾つかの実施形態においては、「シグナル」なる語は、NMRスペクトルを指す場合、
「ピーク」なる語と互換的に用いられる。幾つかの実施形態においては、個々のシグナル
またはピークの曲線下面積は積分領域(例えば、楕円積分領域)から導出される。幾つか
の実施形態においては、個々のシグナルまたはピークの積分領域(例えば、楕円積分領域
)は、表5に記載されている表示位置(例えば、1H位置(ppm)および13C位置(
ppm))により定められる。
【0233】
特定の実施形態においては、実施例10に記載されているとおりにNMRスペクトルを
得る。例えば、以下のパルスシーケンス図ならびに取得および処理パラメータを使用して
、コヒーレンス選択のためにエコー-アンチエコースキームを用いる多重編集勾配増強1
H-13C異核種単一量子コヒーレンス(HSQC)実験に組成物のサンプルを付すこと
により、組成物のNMRスペクトルを得る。
【0234】
【0235】
取得パラメータ
・1Hキャリア周波数=4ppm
・13Cキャリア周波数=65ppm
・取得次元のポイント数=596
・取得次元のスペクトル範囲=6.00ppm~2.03ppm
・間接次元のポイント数=300個の複合ポイント
・間接次元のスペクトル範囲=120ppm~10ppm
・リサイクル遅延=1秒
・1結合1H-13C結合定数=JCH=146Hz
・スキャン数=8
・温度=298K
・溶媒=D2O
処理パラメータ
・直接次元における窓関数=ガウシアン・ブロードニング、7.66Hz
・間接次元における窓関数=ガウシアン・ブロードニング、26.48Hz
処理=直接次元における512個の複合ポイント、間接次元における1024個の複
合ポイント
特定の実施形態においては、NMRにより分析される組成物は単糖単量体(DP1)を
含有し、すなわち、DP1成分はNMR分析前に組成物から除去されない。特定の実施形
態においては、NMRにより分析される組成物は脱単量体化されており、すなわち、組成
物のDP1成分はNMR分析の前に除去される。
【0236】
III.使用方法
i.概観
本明細書に記載されているとおり、オリゴ糖組成物(例えば、実施例1~4に記載され
ているもの)は、対象、例えばアンモニアレベルの上昇を示している対象におけるアンモ
ニアレベルを低下させるために使用されうる。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組
成物は、例えば、経口投与のための(例えば、水中での)再構成のための粉末として製剤
化(処方)される。したがって、幾つかの実施形態においては、本発明は、アンモニアレ
ベルの上昇に関連した尿素サイクル異常症(UCD)の治療方法を提供する。幾つかの実
施形態においては、該方法は、代謝産物、例えばUCDを有する対象において蓄積する代
謝産物のレベルを低下させる。幾つかの実施形態においては、該方法は、対象における、
例えば対象の胃腸管における微生物または微生物分類群の保有率を減少または増加させる
。
【0237】
幾つかの実施形態においては、尿素サイクル異常症は、対象、例えばヒト対象における
カルバミルリン酸シンテターゼI(CPSI)欠損症、オルニチントランスカルバミラー
ゼ(OTC)欠損症、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)欠損症、アルギニノコ
ハク酸リアーゼ(ASL)欠損症、N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)
欠損症、アルギナーゼ欠損症、オルニチントランスロカーゼ欠損症(HHH)またはシト
リン欠損症(CIT II)に関連している。幾つかの実施形態においては、UCDはN
-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠損症を含まない。
【0238】
幾つかの実施形態においては、UCDを有する対象、例えば患者は、UCDの症状の1
以上(例えば、1、2、3、4、5、6個またはそれ以上)を示しうる。UCDの症状に
は、神経学的症状(例えば、意識レベルの低下、精神状態の変化、異常な運動機能および
発作を含む)および胃腸症状(例えば、嘔吐、摂食不良、下痢、悪心、便秘およびタンパ
ク質嫌悪を含む)が含まれる。UCDを有する対象は、血液(例えば、血漿、血清または
全血)中のアンモニア濃度が上昇している可能性がある。幾つかの実施形態においては、
対象は、正常の上限の0.5倍を持続的に超える全身アンモニアレベルを示す。UCDは
神経画像(ニューロイメージング)(例えば、MRI)により診断されうる。DNA配列
決定に基づく突然変異試験および/または次世代シーケンシングも、対象、例えば患者が
UCD関連突然変異を有するかどうかを評価するのに有用でありうる。
【0239】
幾つかの実施形態においては、本発明で提供される方法に従い処理される対象はUCD
の標準治療を現在受けており、または(例えば、過去1年以内に)受けたことがあり、該
標準治療は、一般に、窒素結合療法または窒素スカベンジャー療法、食事(例えば、タン
パク質)制限および/または血液透析を含む。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組
成物はUCDの標準治療と共に投与可能であり、例えば、オリゴ糖組成物は窒素結合療法
または窒素スカベンジャー療法と共に投与可能である。
【0240】
幾つかの実施形態においては、肝性脳症(HE)を有する対象が、本発明で提供される
方法に従い治療されうる。幾つかの実施形態においては、対象は、肝硬変の結果として、
HEを有する。幾つかの実施形態においては、そのような対象は、肝臓がアンモニアのよ
うな毒性物質を血液から除去できない場合に生じる複数の肝性有害神経症状を示す。幾つ
かの実施形態においては、対象は潜在性HEを有し、またはそれを有する疑いがある。幾
つかの実施形態においては、対象は顕性HEを有し、またはそれを有する疑いがある。顕
性HEの標準治療はラクツロース、ラクチトールおよび抗生物質(例えば、リファキシミ
ンまたはネオマイシン)を含む。治療は食事療法およびプロバイオティクスをも含みうる
。幾つかの実施形態においては、そのような方法はアンモニアクリーゼの将来のエピソー
ドの頻度の減少をもたらし、あるいはHEのリスクを有する対象においては、アンモニア
クリーゼの初期エピソードの発生の減少をもたらす。
【0241】
幾つかの実施形態においては、本発明で提供される治療の有効性は症状の消散または前
記診断基準(例えば、血清アンモニアレベルの低下)により評価されうる。幾つかの実施
形態においては、以下の一方または両方が減少する:i)1年間にわたるアンモニアクリ
ーゼの数(例えば、少なくとも1つ、2つまたは少なくとも3つのクリーゼの減少)、i
i)神経発達遅延および/または認知機能低下を含むアンモニアクリーゼからの合併症の
(例えば、オリゴ糖組成物の投与を受けていない適切な対照群と比較した場合の)重症度
。幾つかの実施形態においては、複数のアンモニアクリーゼの間の間隔は、(例えば、オ
リゴ糖組成物の投与を受けていない適切な対照群と比較して)例えば少なくとも15%、
30%、60%、100%または200%増加する。
【0242】
幾つかの実施形態においては、(例えば、実施例5、6または14に従い製造された)
オリゴ糖組成物の投与は、微生物酵素活性を調節(例えば、増強または低減)すること、
および/または代謝産物(例えば、蓄積し疾患症状に関連した代謝産物、例えば、アンモ
ニア)、例えば代謝産物レベルを調節(例えば、増強または低減)することにより、対象
(例えば、対象の胃腸管)、例えば、UCDまたはHE(例えば、MHEまたはOHE)
を有する対象において、微生物(例えば、微生物群、例えば、マイクロバイオーム)を調
節する。幾つかの実施形態においては、オリゴ糖組成物の投与は、対象(例えば、対象の
胃腸管)、例えば、UCDまたはHE(例えば、MHEまたはOHE)を有する対象にお
ける微生物の分類群の1以上のレベルを調節(例えば、増強または低減)し、微生物酵素
活性を有効に調節(例えば、増強または低減)し、および/または代謝産物(例えば、蓄
積し疾患症状に関連した代謝産物、例えば、アンモニア)、例えば代謝産物レベルを調節
(例えば、増強または低減)する。
【0243】
ii.アンモニア試験
高アンモニア血症(例えば、UCDおよび肝性脳症(HE))を有する、または有する
疑いがある、または有するリスクがある対象は、対照対象(例えば、高アンモニア血症を
有する疑いのない対象)と比較して上昇した血中アンモニアレベル、例えば血漿アンモニ
アレベル、血清アンモニアレベルまたは全血中アンモニアレベルを有しうる。幾つかの実
施形態においては、健常成人対象(例えば、高アンモニア血症を有する疑いのない対象)
における血中アンモニアレベルは15、20、25、30、35、40、45または50
μmol/L未満、例えば30μmol/L未満である。幾つかの実施形態においては、
正常より約0.5倍、約1倍、約1.5倍、約2倍、約2.5倍または約3倍高い血中ア
ンモニアレベルはUCDまたはHEを示唆する。幾つかの実施形態においては、UCDま
たはHEを有する、または有する疑いがある対象は、90、95、100、105、11
0、115、120、125、130、135、140、145、150、155、16
0、165、170、175または180μmol/L以上の血中アンモニアレベルを有
する。幾つかの実施形態においては、UCDまたはHEを有する、または有する疑いがあ
る対象は、100、105、110、115、120、125、130、135、140
、145または150μmol/L以上の血中アンモニアレベルを有する。幾つかの実施
形態においては、UCDまたはHEを有する、または有する疑いがある対象は100μm
ol/L以上の血中アンモニアレベルを有する。幾つかの実施形態においては、UCDま
たはHEを有する、または有する疑いがある対象は150μモル/L以上の血中アンモニ
アレベルを有する。
【0244】
高アンモニア血症(例えば、UCDおよび肝性脳症(HE))を有する、または有する
疑いがある、または有するリスクがある新生児および小児は、健常新生児または小児と比
較して上昇した血中アンモニアレベル、例えば血漿アンモニアレベル、血清アンモニアレ
ベルまたは全血中アンモニアレベルを有しうる。幾つかの実施形態においては、健常新生
児または小児は45±10μmol/Lの平均血中アンモニア濃度を有する。幾つかの実
施形態においては、健常新生児または小児(例えば、高アンモニア血症を有する疑いのな
い対象)は70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81
、82、83、84、85、86、87、87、88、89、90、91、92、93、
94または95μmol/L、例えば80または90μmol/L以下の平均血中アンモ
ニア濃度を有する。幾つかの実施形態においては、UCDまたはHEを有する、または有
する疑いがある新生児または小児は55、60、65、70、75、80、90または9
5、100、105、110、115、120、125、130、135、140、14
5、150、155、160、165、170、175または180μmol/L以上の
血中アンモニアレベルを有する。
【0245】
幾つかの実施形態においては、血中アンモニア濃度は静脈および動脈血サンプルにおい
て測定されうる。幾つかの実施形態においては、血清アンモニアレベルの測定は、本明細
書に記載されているグリカン調製物の有効性をモニターするために用いられうる。例えば
、幾つかの実施形態においては、血清アンモニアレベルは、対象、例えば血清アンモニア
レベルが上昇した対象において、本明細書に記載されているオリゴ糖組成物の投与の前の
少なくとも1つの時点および該投与の後の少なくとも1つの時点、例えば、オリゴ糖組成
物の投与の3時間、6時間、9時間、12時間、18時間、24時間、36時間、2日、
3日、4日、5日、7日、10日、12日、14日、21日、30日もしくは45日後ま
たはそれより後の1以上の時点で測定される。オリゴ糖組成物を投与する前の時点と比較
した場合の、オリゴ糖組成物を投与した後の時点での血清アンモニアレベルの減少は、組
成物が有効性を示すことを示している。
【0246】
幾つかの実施形態においては、高アンモニア血症のグレード(等級)または重症度は、
例えば脳内の、気体アンモニアの分圧(pNH3)を測定することにより評価されうる。
pNH3値は総アンモニアおよびpHから計算されうる。幾つかの実施形態においては、
高アンモニア血症を有する対象は、対照対象(例えば、高アンモニア血症を有する疑いの
ない対象)と比較して上昇したレベルのpNH3を有する。
【0247】
幾つかの実施形態においては、潜在性肝性脳症(MHE)を有する、またはそれを有す
る疑いがある、またはそのリスクがある対象においては、3-ニトロチロシンの血清レベ
ルが評価されうる。幾つかの実施形態においては、MHEを有する、またはそれを有する
疑いがある、またはそのリスクがある対象は、約10nM、15nM、20nM、30n
M、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nMまたは100nMを
超える血清3-ニトロチロシンレベルを有する。幾つかの実施形態においては、MHEを
有する、またはそれを有する疑いがある、またはそのリスクがある対象は、約10nMま
たは約15nMを超える血清3-ニトロチロシンレベルを有する。
【0248】
iii.肝性脳症(HE)
幾つかの実施形態においては、肝性脳症(HE)を有する対象は(実施例5,6または
14に記載されているとおりに製造されたオリゴ糖組成物を使用して)本発明で提供され
る方法に従い治療されうる。肝性脳症は、患者とその親族との両方の生活の質に影響を及
ぼす神経精神症状と臨床症状との複雑な組合せを含む。肝性脳症は、全ての形態の肝硬変
を含む進行性肝疾患の一般的な合併症であり、肝硬変患者の80%までが、潜在性肝性脳
症(MHE)から顕性肝性脳症(OHE)までの範囲の何らかの形態のHEを有する。
【0249】
OHEは、特別な試験を行うことなく臨床医により観察可能である神経学的異常として
定義される。症状は手または腕の震え、見当識障害および不明瞭発語を含みうる。患者は
昏睡状態へと進行しうる。OHEは、肝疾患、肝硬変を有する患者、および経頸静脈的肝
内門脈体循環シャント(TIPS)を有する患者において発生しうる。この状態は胃腸出
血または感染に続発しうる。OHEの発生は死亡率の増加に関連している。OHEによる
入院は、末期肝疾患(ESLD)を有する患者で頻繁に見られる。
【0250】
MHEを有する患者は、専門的な心理測定試験を用いて初めて検出可能である微妙な症
状を有し、MHEは一般に過少診断される。現在、MHEを定めるための、臨床診療にお
ける一般的な診断方法は存在せず、MHEに対する承認された治療方法も存在しない。M
HEは自立生活技能(例えば、自動車運転)の喪失をもたらす可能性があり、OHEの後
続発生を予測する。誘発因子により引き起こされることが多いOHEの単一エピソードを
有し、その後回復する患者も、ある程度のMHEを有する可能性がある。
【0251】
a.症状および徴候
肝性脳症は、アンモニアのような毒性物質を肝臓が血液から除去することができない場
合に生じる複数の有害な神経学的症状を含む。肝機能障害には以下のものが含まれる:肝
硬変(および門脈圧亢進)、例えば、A型(急性肝不全(ALF)から生じる)、B型(
主にPSSから生じる)またはC型(肝硬変から生じる)(肝硬変の重症度に関するチャ
イルド・ピュー分類);肝硬変の非存在下の、自発的または外科的に生じた門脈体循環シ
ャント(門脈体循環シャント手術)を伴うもの;門脈体循環バイパス、急性肝不全(AL
F)または慢性肝炎の急性増悪(ACLF)。
【0252】
HEに対処するための2014 AASLDおよびEASL診療ガイドラインは、基礎
的肝疾患、症状の重症度、時間経過および誘発因子に従いHEを分類することを推奨した
。HEの重症度は、以下のとおりに、臨床症状に基づいて評価されうる:潜在性(臨床症
状を伴わないが、心理測定試験または神経生理学的試験においては異常な結果のもの);
グレードI(軽度錯乱、不明瞭発語、睡眠障害、行動変化);グレードII(無気力、軽
度錯乱);グレードIII(著しい錯乱(昏迷)、思考散乱性言語、覚醒可能睡眠);お
よびグレードIV(昏睡、疼痛無反応)。HEは、疾患の時間経過に応じて、すなわち、
突発性、再発性(HEの発作が6ヶ月以下にわたって生じる)および持続性(行動変化の
パターンが常に存在し、顕性HEの再発が散在する)に更に細分されうる。
【0253】
「潜在性肝性脳症」(MHE)は「隠れ肝性脳症」(CHE)なる語と互換的に用いら
れ、見当識障害を有さず羽ばたき振戦も示さない慢性肝疾患(CLD)を有する患者にお
ける脳機能障害の試験依存的または臨床的徴候の存在として定義される。「潜在性」なる
語は、臨床的徴候、認知的徴候または他のHEの徴候が存在しないことを意味する。「隠
れ」なる語は潜在性およびグレード1のHEを含む。CLD患者におけるMHEおよびC
HEの発生率は50%にもなりうるため、リスクを有する患者は検査されるべきである。
【0254】
HEを有する対象は、認知障害、例えば錯乱、健忘症、不安もしくは興奮、人格もしく
は行動の急変、睡眠パターンの変化、見当識障害、甘い若しくはカビ臭い息、不明瞭発語
および/または運動機能制御困難を示しうる。この状態は、進行性肝疾患または大きな門
脈体循環シャント(例えば、TIPS)による脳機能のびまん性障害を反映している。患
者は、動作緩慢、反射亢進、硬直、ミオクローヌスおよび羽ばたき振戦を含む神経筋障害
を示しうる。日中の睡眠パターンの乱れ(不眠症および過眠症)は肝性脳症の一般的な初
期症状であり、典型的には、他の精神状態変化または神経筋症状に先行する。
【0255】
b.診断
HEの診断は、肝機能、血清アンモニアレベル、EEGの検査ならびに他の血液および
神経学的検査を用いて行われうる。診断のための心理測定試験には、以下のものが含まれ
る:数字連結試験(Number Connection Test)(レイタン(Re
itan)試験)(数字を結ぶのにかかる時間を測定する試験であり、2つの部分で行わ
れ、ここで、肝性脳症を有さない患者はその年齢以下の秒数で試験を終了すべきである)
、心理測定肝性脳症スコア(PHES)(認知および精神運動処理速度および視覚運動協
調性を評価する5つの紙-鉛筆試験)、抑制機能試験(Inhibitory Cont
rol Test)(ICT)(注意欠損障害、統合失調症および外傷性脳損傷を特徴づ
けるために用いられている、注意および反応抑制のコンピューター化試験)、ストループ
タスク(STROOP Task)(前方注意システムの機能を評価し、潜在性肝性脳症
における認知障害の検出に感受性である、精神運動速度および認知柔軟性の試験)、神経
心理学的状態評価用反復可能バッテリー(Repeatable Battery fo
r the Assessment of Neuropsychological S
tatus)(RBANS)(潜在性肝性脳症に関連した広範な神経認知機能を測定する
)、および連続反応時間(CRT)試験[聴覚刺激(ヘッドフォンを介したもの)に対す
る運動反応時間(ボタンを押す)の反復記録によるもの]。
【0256】
診断のための神経生理学的試験には、以下のものが含まれる:臨界フリッカ周波数(C
FF)試験[融合光(fused light)(60Hz下方から与えられる)が観察
者にとって点滅しているように見える周波数として定められる精神心理学的手段]、脳波
検査(患者の協力も学習効果のリスクも伴うことなくHEのスペクトル全体にわたる皮質
脳活動の変化を検出しうる)、および誘発電位(種々の求心性刺激に応答した神経回路網
を介した放電の同期斉射を反映する外的記録電気シグナル)。幾つかの実施形態において
は、肝性脳症は、2以上の心理測定的または神経生理学的試験の任意の組合せを用いて診
断される。
【0257】
c.HEの治療
HEの医学的治療は現在、胃腸出血または感染のような基礎的誘発因子がある場合には
それを治療することを含む。HEの標準治療はラクツロース、ラクチトールおよび抗生物
質(例えば、リファキシミンまたはネオマイシン)を含む。
【0258】
ラクツロースは、OHE患者における高アンモニア血症を軽減するために数十年にわた
って使用されている非吸収性二糖である。ラクツロースの作用メカニズムは、主に糞便の
一掃および結腸環境の酸性化により働いて、アンモニアからアンモニウムへの変換をもた
らすと考えられており、アンモニウムは結腸バリアの通過および血流への侵入がより困難
である。ラクツロースは細菌増殖を刺激して、アンモニアから細菌タンパク質への同化を
促進させることも示されている。ラクツロースは、OHEのエピソードを、プラセボと比
較して最大50%低減する。
【0259】
リファキシミンはリファマイシン由来の難吸収性抗生物質であり、現在、OHEに対す
る第2選択治療として承認されており、ラクツロースが単独ではOHEを抑制しない場合
にラクツロースと共に使用される。リファキシミンは、ラクツロースと組合せて投与され
ると、OHEのエピソードを約50%低減する。ラクツロースもリファキシミンもOHE
再発のリスクを十分には低減せず、その各エピソードは死亡リスクを有意に増加させる。
【0260】
治療は食事改善およびプロバイオティクスをも含みうる。治療効果は、前記診断基準ま
たは症状の解消(例えば、血清アンモニアレベルの低下)、HEの将来のエピソードの発
生率の低下、またはHEのリスクを有する対象においては、HEの初期エピソードの発生
の減少により評価されうる。
【0261】
IV.キット
キットも想定される。例えば、キットは、オリゴ糖組成物の単位剤形と、尿素サイクル
異常症または肝性脳症のような高アンモニア血症に関連した疾患の治療における組成物の
使用のための説明を含む添付文書とを含みうる。幾つかの実施形態においては、組成物は
乾燥粉末形態で提供される。幾つかの実施形態においては、組成物は溶液として提供され
る。キットは、それを要する対象による使用のための適切なパッケージ内にオリゴ糖組成
物を含む。本明細書に記載されている組成物はいずれも、キットの形態でパッケージング
(包装)されうる。キットは、治療過程の全体または治療過程の一部に十分な量のオリゴ
糖組成物を含有しうる。オリゴ糖組成物の用量は個別にパッケージングされることが可能
であり、あるいはオリゴ糖組成物はバルクで提供されることが可能であり、あるいはそれ
らの組合せも可能である。したがって、1つの実施形態においては、キットは、適切なパ
ッケージングにおいて、治療レジメンにおける投与点に対応するオリゴ糖組成物の個々の
用量を提供し、この場合、用量は1以上のパケット内にパッケージングされる。
【0262】
キットは更に、書面資料、例えば指示書、予想結果、証明書、説明書、警告、臨床デー
タ、医療専門家向けの情報などを含みうる。1つの実施形態においては、キットは、キッ
トが医療専門家の管理下でのみ使用されることを示すラベルまたは他の情報を含む。容器
は更に、大さじ、シリンジ、ボトル、カップ、アプリケーターまたは他の測定もしくは供
給装置を含みうる。
【0263】
実施例
実施例1.オリゴ糖組成物の存在下のヒト由来糞便スラリーにおけるアンモニアの還元
約350個のオリゴ糖組成物を、健常ヒト対象からの糞便スラリー中のアンモニアのレ
ベルを調節(モジュレーション)するそれらの能力に関してインビトロで試験した(エク
スビボアッセイとも称される)。糞便サンプルおよびスラリーを、パラジウム触媒の存在
下、嫌気性チャンバー(AS-580,Anaerobe Systems)において処
理した。オリゴ糖組成物を5% w/vで水中で調製し、濾過滅菌し、96ウェル・ディ
ープ・ウェル・マイクロプレート・アッセイプレートに加え、陰性対照として水を供給し
てアッセイにおける最終濃度を0.5%または0.05% w/vにした。
【0264】
ヒト糞便サンプル提供物を-80℃で保存した。糞便スラリーの実施ストックを調製す
るために、糞便サンプルを嫌気性チャンバー内に移し、解凍した。ついで糞便サンプルを
リン酸緩衝食塩水(PBS)(pH7.4)(P0261,Teknova Inc.,
Hollister,CA)、15% グリセロール中、20% w/vで調製した。そ
の20% w/v 糞便スラリー+15% グリセロールを2,000×gで遠心分離し
、上清を除去し、ペレットを1% PBSに懸濁させた後、900mg/L 塩化ナトリ
ウム、26mg/L 塩化カルシウム二水和物、20mg/L 塩化マグネシウム六水和
物、10mg/L 塩化マンガン四水和物、40mg/L 硫酸アンモニウム、4mg/
L 硫酸鉄七水和物、1mg/L 塩化コバルト六水和物、300mg/L リン酸カリ
ウム二塩基性、1.5g/L リン酸ナトリウム二塩基性、5g/L 重炭酸ナトリウム
、0.125mg/L ビオチン、1mg/L ピリドキシン、1m/L パントテナー
ト、75mg/L ヒスチジン、75mg/L グリシン、75mg/L トリプトファ
ン、150mg/L アルギニン、150mg/L メチオニン、150mg/L スレ
オニン、225mg/L バリン、225mg/L イソロイシン、300mg/L ロ
イシン、400mg/L システインおよび450mg/L プロリンからなり(The
riot CMら,Nat Commun.2014;5:3114)、750μM 尿
素で更に補足された培地中で希釈して、1% w/v 糞便スラリーの最終希釈液を得た
。
【0265】
調製された1% w/v 糞便スラリーを、最終濃度0.5% w/v、ウェル当たり
の最終体積350μL、37℃で45時間、オリゴ糖組成物の96ウェルプレートに嫌気
的にさらした。
【0266】
エクスビボでのインキュベーションの後、3,716×gで10分間の遠心分離を用い
て細胞をペレット化し、分析前に上清を-80℃またはドライアイス上で保存した。サン
プルを、10kDaフィルター(AcroPrep Omega 10K,Pall C
orporation,Port Washington New York)を使用し
て1,500×gで15分間濾過し、水中で元の体積の1/10に希釈した。ついでアン
モニア比色分析キットII(Ammonia Colorimetric Assay
Kit II)(K470,Biovision Incorporated,Milp
itas CA)を使用して、サンプルを分析した。オリゴ糖組成物のアンモニア比色分
析の結果を
図1Aおよび1Bに示す。アンモニアレベルを陰性対照(水)に対して正規化
した。
図1A~1Bに示されているとおり、選択されたオリゴ糖組成物は、陰性対照と比
較して、アンモニアレベルの低減において95%を超える効力を示した。
【0267】
実施例2:健常対象における選択されたオリゴ糖組成物の研究
実施例1に記載されている選択されたオリゴ糖組成物の安全性および忍容性を、高タン
パク食の存在下でプレバイオティック活性を測定するように設計された無作為化二重盲検
プラセボ対照試験(n=47)で健常成人において評価した。忍容性を最大にするために
、用量を4段階で漸増し、9gを食事と共に1日2回4日間投与することから開始し、3
6gを1日2回6日間投与することまで行い、忍容性に基づいて対象への投与量を減少さ
せた(用量漸減)。
【0268】
腸は(例えば、腸内細菌による食物の発酵および腸細胞によるグルタミナーゼ活性によ
り)相当な量のアンモニアをヒト代謝に供与している。幾つかの推定によれば、高アンモ
ニア血症の対象における過剰アンモニアの最大70%が胃腸管内に蓄積する(米国特許第
9,487,764号)。腸内で、アンモニアは微生物ウレアーゼおよびアミノ酸脱アミ
ノ化ならびに腸細胞グルタミナーゼにより産生される(Romero-Gomezら,M
etab Brain Dis(2009)24:147-157)。腸内微生物叢に由
来するアンモニアの量を減少させることは、高アンモニア血症に関連した疾患における治
療効果をもたらしうる。高アンモニア血症関連疾患である肝性脳症[HE;顕性HE(O
HE)を含む]はラクツロース(4-O-β-D-ガラクトシル-D-フルクトース)お
よび/またはリファキシミン(リファマイシンSV由来の抗生物質)で治療される。どち
らの物質も全身アンモニア負荷に対する腸内細菌アンモニア供与を標的化する。高アンモ
ニア血症に関連した他の疾患、例えば尿素サイクル異常症(UCD)を有する対象、およ
び高アンモニア血症を発生するリスクを有する対象[例えば、潜在性HE(MHE)を示
す対象]も全身アンモニア負荷に対する腸内細菌アンモニア供与の減少によって改善され
る可能性が高いであろう。しかし、ラクツロースおよびリファキシミンはこれらの対象で
は使用されない。
【0269】
本明細書に記載されているグリカンの経口投与が腸由来アンモニアの量を減少させうる
かどうかを試験するために、ヒトにおける高タンパク質チャレンジ研究を行った。
【0270】
健常対象は無傷肝代謝(例えば、尿素サイクル能および肝臓のバイパスの非存在)およ
び腎機能(例えば、機能的な尿素およびアンモニア排泄)ゆえにタンパク質チャレンジの
際に高アンモニア血症を発生しない。血清アンモニアレベルは非常に変動しやすい。これ
は、例えば1つには、測定バイアス(例えば、静脈血は、アンモニアを貯蔵する筋肉を通
過した後、アンモニアを捕捉する)、アナライトの揮発性および対象の食事の影響による
ものである。結腸アンモニア産生のための基質を運ぶ高タンパク質食(1日当たり2g/
kgのタンパク質で4週間)で健常対象をチャレンジし、腸内細菌由来アンモニアを定量
するために安定同位体トレーサー(15Nラクトウレイド)を投与した。対象は、選択さ
れたオリゴ糖組成物、対照、商業的に入手可能な繊維調製物(陽性対照)またはマルトデ
キストリン(MDX)(プラセボまたは陰性対照として)のいずれかを摂取した。MDX
は完全に消化可能であり、細菌発酵の基質としては結腸に到達しない。対象(N=12/
群)に高タンパク質食を7日間与え(馴化)、ついで15N-トレーサーを投与した。グ
リカン調製物の漸増と共に該食事を更に16日間与え続け、ついで15N-トレーサーの
2回目の投与を行った。対象に9g/日 BIDから36g/日 BID(合計72g/
日)へと漸増投与した。血液、尿および糞便サンプルを採取した。
【0271】
この研究からの知見は、選択されたオリゴ糖組成物が安全であり、概ね良好な忍容性を
有することを示した[胃腸忍容性質問票(GITQ)を用いて評価した場合;この場合、
鼓腸、悪心、嘔吐、腹部痙攣、膨満感、腹鳴、げっぷおよび胸焼けの胃腸症状の重症度お
よび頻度ならびに便通の頻度および緊急性が毎日の質問票において記録される]。
【0272】
選択されたオリゴ糖組成物の忍容性を下痢スコアによっても評価した(
図2)。各対象
の糞便組成を毎日の7ポイントのブリストル便性状スコア(Bristol Stool
Score)質問票で評価した。
図2に示されているとおり、選択されたオリゴ糖組成
物では、プラセボの場合と同数か又はそれより少ない対象が下痢を報告したが、商業的に
入手可能な陽性対照繊維では、下痢を報告した対象が増加し、12人の対象のうち10人
が最高用量で下痢を報告した。
【0273】
高タンパク食のバックグラウンドにおけるマルトデキストリン対照は15N-窒素排泄
を増加させ、一方、選択されたオリゴ糖組成物および陽性対照繊維は共に、尿15N-窒
素排泄を対照に対して30~40%減少させた(p=0.002)。選択されたオリゴ糖
組成物および陽性対照繊維による尿15N-尿素排泄の減少は、対照と比較して有意であ
り(それぞれ、p=0.0343およびp=0.0002)、同様の効果量(30~40
%の減少)であった。15N尿アンモニア排泄は変動し、統計的に有意でなかったが、同
様の減少傾向を示した。
【0274】
4週間にわたる2×10gおよび2×5g/日のラクツロースは、通常の食事の健常対
象において、15N窒素の尿排泄を、ベースラインと比較して12~22%減少させた(
De Preterら,Aliment Pharmacol Ther(2006)2
3,963-974)。HE患者における直接比較試験においては、ラクツロースおよび
リファキシミンは血中アンモニアをそれぞれ33%および32%減少させた(Paikら
,Yonsei Medical Journal Vol.46,No.3,pp.3
99-407,2005)。ある研究においては、ラクツロースは動脈アンモニアを23
%減少させ(60名のHE患者)、53%の患者で10日以内にHEの完全な回復を示し
た(Sharmaら,Journal of Gastroenterology an
d Hepatology 32(2017)1234-1239)。本発明で試験され
た選択されたオリゴ糖組成物に関して観察された腸由来アンモニアの減少(尿15N窒素
排泄における30~40%の減少)は、該減少が臨床的に重要であること、および本明細
書に記載されている選択されたオリゴ糖組成物が、血中アンモニアを減少させるために使
用されうることを示唆している。
【0275】
選択されたオリゴ糖組成物は、考慮すべき下痢を引き起こさなかった。このことは、該
窒素減少効果が、下痢に起因する窒素一掃によってもたらされたのではなく、微生物分類
群および/または関連窒素代謝における変化の効果によってもたらされた可能性が高いこ
とを示唆している。陽性対照繊維の効果は、主に、陽性対照繊維によって引き起こされる
下痢(および窒素の物理的一掃)によるものでありうる。下痢は、望ましくない副作用で
ある。
【0276】
したがって、選択されたオリゴ糖組成物は、例えばHE(例えば、OHE)およびUC
Dのような高アンモニア血症関連疾患を有する対象、ならびに例えばMHEにような高ア
ンモニア血症を発生するリスクを有する対象の治療に使用されうる。
【0277】
実施例3:尿素サイクル異常症(UCD)患者から得られた糞便サンプルを使用するエ
クスビボアッセイにおけるアンモニアレベルの低下
尿素サイクル異常症(UCD)患者から採取されたヒト糞便群が実施例1に記載の選択
されたオリゴ糖組成物を利用し、アンモニア産生を減少させ、またはアンモニア消費を増
加させる能力を評価するために、エクスビボアッセイを行った。尿素サイクル異常症(U
CD)と診断された12名の患者(Pt1~Pt12;
図3A)から糞便サンプルを採取
した。
【0278】
ヒト糞便サンプル提供物を-80℃で保存した。実施ストックを調製するために、糞便
サンプルを嫌気性チャンバー内に移し、解凍した。各糞便サンプルをリン酸緩衝食塩水(
PBS)(pH7.4)(P0261,Teknova Inc.,Hollister
,CA)、15% グリセロール中、20% w/vとなるように調製し、-80℃で保
存した。その20% w/v 糞便スラリー+15% グリセロールを2,000×gで
遠心分離し、上清を除去し、ペレットを、750mL 尿素で補足された900mg/L
塩化ナトリウム、26mg/L 塩化カルシウム二水和物、20mg/L 塩化マグネ
シウム六水和物、10mg/L 塩化マンガン四水和物、40mg/L 硫酸アンモニウ
ム、4mg/L 硫酸鉄七水和物、1mg/L 塩化コバルト六水和物、300mg/L
リン酸カリウム二塩基性、1.5g/L リン酸ナトリウム二塩基性、5g/L 重炭
酸ナトリウム、0.125mg/L ビオチン、1mg/L ピリドキシン、1m/L
パントテナート、75mg/L ヒスチジン、75mg/L グリシン、75mg/L
トリプトファン、150mg/L アルギニン、150mg/L メチオニン、150m
g/L スレオニン、225mg/L バリン、225mg/L イソロイシン、300
mg/L ロイシン、400mg/L システインおよび450mg/L プロリン(T
heriot CMら,Nat Commun.2014;5:3114)に懸濁させて
、1% w/v 糞便スラリーを調製した。
【0279】
調製された1% w/v 糞便スラリーを、選択されたオリゴ糖組成物にさらし、アン
モニアレベルが有効に減少するかどうかを試験した。選択されたオリゴ糖組成物を0.5
% w/vの最終濃度で96ウェル・ディープ・ウェル・マイクロプレートに加え、「無
添加グリカン」対照には水を加え、ウェル当たりの最終体積を500μLにした。グリカ
ンとスラリーとの混合物を嫌気的に37℃で45時間インキュベートした。
【0280】
本明細書に記載されているとおりのエクスビボでのインキュベーションの後、3,71
6×gで10分間の遠心分離により細胞をペレット化し、上清を、それが分析されるまで
、-80℃またはドライアイス上で保存した。サンプルを、10kDaフィルター(Ac
roPrep Omega 10K,Pall Corporation,Port W
ashington New York)で1,500×gで15分間濾過し、水中で元
の濃度の1/10に希釈した。アンモニア比色分析キットII(Ammonia Col
orimetric Assay Kit II)(K470,Biovision I
ncorporated,Milpitas CA)を使用して、サンプルを分析した。
オリゴ糖組成物のアンモニア比色分析の結果を
図3Aに示す。アンモニアレベルを陰性対
照(水)に対して正規化した。
【0281】
45時間の時点で試験された糞便サンプルにおいて、選択されたオリゴ糖組成物は全て
の尿素サイクル異常症(UCD)患者のサンプルでアンモニアレベルの低下を示した(図
3A)。特に、選択されたオリゴ糖組成物は、12名中10名の患者において、対照と比
較してアンモニアレベルにおける約50%を超える低下をもたらした(
図3A)。これは
、選択されたオリゴ糖組成物の投与が、尿素サイクル異常症患者のアンモニアレベルを低
下させるために利用されうることを示唆している。
【0282】
実施例4:肝障害患者から得られた糞便サンプルを使用するエクスビボアッセイにおけ
るアンモニアレベルの低下
肝障害患者から採取されたヒト糞便群が実施例1に記載の選択されたオリゴ糖組成物を
利用し、既存治療方法と比較してアンモニア産生を減少させ、またはアンモニア消費を増
加させる能力を評価するために、エクスビボアッセイを行った。腸内で、アンモニアは微
生物ウレアーゼおよびアミノ酸脱アミノ化ならびに腸細胞グルタミナーゼにより産生され
る(Romero-Gomezら,Metab Brain Dis(2009)24:
147-157)。腸内微生物叢に由来するアンモニアの量を減少させることは、高アン
モニア血症に関連した疾患における治療効果をもたらしうる。高アンモニア血症関連疾患
である肝性脳症(HE)はラクツロース(4-O-β-D-ガラクトシル-D-フルクト
ース)で治療され、これは全身アンモニア負荷に対する腸内細菌アンモニア供与を標的化
する。アルコール、自己免疫性肝炎、慢性B型肝炎、脂肪肝疾患/NASHまたは鉄過剰
症および脂肪症により引き起こされた肝性脳症(HE)と診断された19名の患者から糞
便サンプルを採取した。
【0283】
ヒト糞便サンプル提供物を-80℃で保存した。実施ストックを調製するために、糞便
サンプルを嫌気性チャンバー内に移し、解凍した。各糞便サンプルをリン酸緩衝食塩水(
PBS)(pH7.4)(P0261,Teknova Inc.,Hollister
,CA)、15% グリセロール中、20% w/vとなるように調製し、-80℃で保
存した。その20% w/v 糞便スラリー+15% グリセロールを2,000×gで
遠心分離し、上清を除去し、ペレットを、750mL 尿素で補足された900mg/L
塩化ナトリウム、26mg/L 塩化カルシウム二水和物、20mg/L 塩化マグネ
シウム六水和物、10mg/L 塩化マンガン四水和物、40mg/L 硫酸アンモニウ
ム、4mg/L 硫酸鉄七水和物、1mg/L 塩化コバルト六水和物、300mg/L
リン酸カリウム二塩基性、1.5g/L リン酸ナトリウム二塩基性、5g/L 重炭
酸ナトリウム、0.125mg/L ビオチン、1mg/L ピリドキシン、1m/L
パントテナート、75mg/L ヒスチジン、75mg/L グリシン、75mg/L
トリプトファン、150mg/L アルギニン、150mg/L メチオニン、150m
g/L スレオニン、225mg/L バリン、225mg/L イソロイシン、300
mg/L ロイシン、400mg/L システインおよび450mg/L プロリン(T
heriot CMら,Nat Commun.2014;5:3114)に懸濁させて
、1% w/v 糞便スラリーを調製した。
【0284】
調製された1% w/v 糞便スラリーを、選択されたオリゴ糖組成物またはラクツロ
ースにさらし、アンモニアレベルが有効に減少するかどうかを試験したオリゴ糖組成物お
よびラクツロースを0.5% w/vの最終濃度で96ウェル・ディープ・ウェル・マイ
クロプレートに加え、「無添加グリカン」対照には水を加え、ウェル当たりの最終体積を
500μLにした。試験化合物とスラリーとの混合物を嫌気的に37℃で45時間インキ
ュベートした。
【0285】
本明細書に記載されているとおりのエクスビボでのインキュベーションの後、3,71
6×gで10分間の遠心分離により細胞をペレット化し、上清を、それが分析されるまで
、-80℃またはドライアイス上で保存した。サンプルを、10kDaフィルター(Ac
roPrep Omega 10K,Pall Corporation,Port W
ashington New York)で1,500×gで15分間濾過し、水中で元
の濃度の1/10に希釈した。アンモニア比色分析キットII(Ammonia Col
orimetric Assay Kit II)(K470,Biovision I
ncorporated,Milpitas CA)を使用して、サンプルを分析した。
オリゴ糖組成物およびラクツロースのアンモニア比色分析の結果を
図3Bに示す。アンモ
ニアレベルを陰性対照(水)に対して正規化した。
【0286】
45時間の時点で試験された糞便サンプルにおいて、オリゴ糖組成物は19名中18名
の肝障害患者のサンプルでアンモニアレベルの低下を示した(
図3B)。オリゴ糖組成物
は19名中14名の患者でアンモニアレベルの低下においてラクツロースを上回った(図
3B)。これは、オリゴ糖組成物の投与が、肝障害患者のアンモニアレベルを低下させる
ために利用されうることを示唆している。
【0287】
実施例5:デキストロース一水和物または70DSコーンデキストロースシロップから
の100gスケールでのオリゴ糖組成物の製造
実施例1~4に記載されている選択されたオリゴ糖組成物を100グラムのスケールで
合成するための方法を開発した。この方法は、後記のとおり、デキストロース一水和物ま
たはコーンデキストロースシロップのいずれかのようなグルコース源から出発する、選択
されたオリゴ糖組成物の合成を可能にする。この方法では、オーバーヘッドスターラーが
配置された加熱マントルを備えた多頚反応容器を利用した。プローブ熱電対をセプタムを
介して容器内に配置し、この場合、プローブ先端が攪拌ブレードの上方に位置するように
し、反応容器の壁と接触しないようにした。
【0288】
デキストロース一水和物(100グラム、乾燥固体基準)または95DE,70DSコ
ーンデキストロースシロップ(100グラム、乾燥固体基準)のいずれかとしてのD(+
)グルコースを使用して、該方法を実施した。デキストロース一水和物を使用してオリゴ
糖を製造する場合には、最初に還流反応配置で冷却器を配置した。70DSコーンデキス
トロースシロップを使用してオリゴ糖を製造する場合には、最初に装置を蒸留用に構築し
た。
【0289】
該方法においては、多頚反応容器に、まず、109.9gのデキストロース一水和物粉
末(または142.9gの70DS 95 DEコーンシロップ)を仕込んで、100g
の乾燥グルコースを反応に供与した。
【0290】
温度制御器を130℃に設定し、容器の内容物を攪拌して、均一な熱伝達を促し、糖固
体を溶融させた。シロップの温度を周囲圧力(大気圧)下で約130℃にした。
【0291】
反応容器にデキストロース一水和物を仕込んだ場合には、シロップが約130℃の温度
になったら、冷却還流系を蒸留構成に切り替えた。反応容器に70DSコーンデキストロ
ースシロップを仕込んだ場合には、シロップが130℃に達したら、冷却還流系を蒸留構
成で維持した。
【0292】
次に、容器に7グラム(乾燥固体基準)のオリゴマー化触媒(Dowex(登録商標)
Marathon(登録商標)C)を仕込んで反応混合物を生成させた。幾つかの場合に
は、該触媒を、湿潤形態で、例えば、45~50 wt% H2Oの名目含水率で取り扱
った。厳密な触媒含水量は、一般に、例えば水分分析天びん(例えば、Mettler-
Toledo MJ-33)を使用して、実験ごとに決定された。
【0293】
触媒を添加したら、系を連続的混合下、約130℃で約4時間(HPLCによって反応
を追跡することにより決定される)維持した。次に、一定の攪拌を維持しながら、加熱を
停止した。
【0294】
ついで、生成物混合物が溶解固体約70重量%の最終濃度になるまで、約60mlの熱
い(約80℃)脱イオン(DI)水をゆっくり加えて生成物混合物を希釈し冷却すること
により、反応をクエンチした。一般に、オリゴ糖組成物が冷却され希釈される際に混合物
の粘度が制御されるように、生成物混合物に水を加える速度を調節した。
【0295】
希釈後、オリゴ糖組成物を約60℃に冷却した。ついで100ミクロンメッシュスクリ
ーンまたはフリットガラスフィルターによる真空濾過により触媒を除去して、最終的なオ
リゴ糖組成物を得た。
【0296】
実施例6:デキストロース一水和物からの10kgスケールでのオリゴ糖組成物の製造
本実施例は、22Lの水平混合反応器における10kgスケールでの、実施例1~4に
記載されている選択されたオリゴ糖組成物の合成を示す。
【0297】
約10kgの食品等級デキストロース一水和物を、熱油ジャケットを備えた22Lの水
平プラウミキサー(Littleford-Day,Lexington,KY)内に仕
込んだ。30RPMで連続的に混合しながら、約120℃の温度に徐々に加熱することに
より、デキストロースを溶融させた。ついで1.27kg(乾燥固体基準で0.70kg
)の固体酸触媒[例えば、スルホン酸部分を含むスチレン-ジビニルベンゼン、例えば、
Dowex(登録商標)Marathon(登録商標)C樹脂]を反応混合物に加えて、
混合懸濁液を生成させた。連続的な混合を30RPMに維持しながら、反応温度を大気圧
で約130℃まで3時間かけて徐々に上昇させた。反応を130℃の温度で7時間維持し
た。ついで熱脱イオン水を反応混合物に徐々に添加した。この場合、該添加は、反応器内
容物の温度が120℃に低下するまでは6mL/分の速度で、ついで反応器内容物の温度
が110℃に下がるまでは150mL/分で、ついで合計6kgの水が添加され反応器内
容物の温度が100℃未満に低下するまでは480mL/分で行った。反応器内容物を更
に85℃未満に冷却し、ついで100メッシュスクリーンに通過させることにより反応器
を空にして、オリゴ糖組成物から固体酸触媒を除去した。約12kgの生成物が回収され
た。
【0298】
オリゴ糖組成物を脱イオン水中で約35重量%の濃度に更に希釈し、ついで、カチオン
交換樹脂[Dowex(登録商標)Monosphere 88H]カラム、アニオン交
換樹脂[Dowex(登録商標)Monosphere 77WBA]カラム、脱色ポリ
マー樹脂[Dowex(登録商標)OptiPore SD-2]およびアニオン交換樹
脂[Dowex(登録商標)Monosphere 77WBA]カラム内に流すことに
より精製した。ついで、得られた精製物質を真空回転蒸発により固体約75重量%の最終
濃度まで濃縮して、精製オリゴ糖組成物を得た。
【0299】
実施例7:過メチル化分析を用いるグリコシド結合分布の決定
実施例1~4に記載されている選択されたオリゴ糖組成物のサンプルのグリコシド結合
分布の決定を、後記プロトコルに従う過メチル化分析を用いて行った。実施例5、6およ
び14の製造方法を用いて製造された選択されたオリゴ糖組成物のサンプルを、この方法
を用いて分析した。
【0300】
この方法で使用した試薬には、メタノール、酢酸、重水素化ホウ素ナトリウム、炭酸ナ
トリウム、ジクロロメタン、イソプロパノール、トリフルオロ酢酸(TFA)および無水
酢酸が含まれる。この方法で使用した装置には、加熱ブロック、乾燥装置、キャピラリー
カラムおよびRID/MSD検出器を備えたガスクロマトグラフならびに30メートルの
RTX(登録商標)-2330(RESTEK)が含まれる。全ての誘導体化方法はドラ
フト内で行った。
【0301】
アルジトールアセタートの調製
A.標準物の調製
以下の標準物アナライトの1mg/ml溶液を調製した:アラビノース、ラムノース、
フコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコースおよびイノシトール。5
0μLのアラビノース、キシロース、フコース、グルコース、マンノースまたはガラクト
ースを20μLのイノシトールとバイアル内で混合することにより、各標準物を調製した
。ついで標準物を凍結乾燥した。
【0302】
B.サンプルの調製
100~500μgの選択されたオリゴ糖組成物(化学天秤で秤量されたもの)を20
μg(20μL)のイノシトールとバイアル内で混合することにより、各オリゴ糖サンプ
ルを調製した。
【0303】
C.加水分解
各オリゴ糖サンプルに200μLの2M トリフルオロ酢酸(TFA)を加えた。サン
プルを含有するバイアルを蓋で密閉し、加熱ブロック上で121℃で2時間インキュベー
トした。2時間後、サンプルを加熱ブロックから取り出し、室温に冷却した。ついでサン
プルをN2/空気で乾燥させた。200μLのイソプロパノール(IPA)を加え、N2
/空気で再び乾燥させた。この加水分解工程(121℃で2時間のTFAの添加;イソプ
ロパノールでの洗浄)を2回繰り返した。
【0304】
標準物を、サンプルに関して記載されているのと同様に、TFAを使用する加水分解に
付した。
【0305】
D.還元およびアセチル化
重水素化ホウ素ナトリウムの10mg/mL溶液を1M 水酸化アンモニウム中で調製
した。この溶液200μLを各オリゴ糖サンプルに加えた。ついでサンプルを室温で少な
くとも1時間または一晩インキュベートした。重水素化ホウ素ナトリウム溶液とのインキ
ュベーションの後、5滴の氷酢酸をサンプルに加え、ついで5滴のメタノールを加えた。
ついでサンプルを乾燥させた。500μLの9:1 MeOH:HOAcをサンプルに加
え、ついで乾燥させた(2回反復)。ついで500μLのMeOHをサンプルに加え、つ
いで乾燥させた(1回反復)。これは、表面が硬い白色残渣をサンプルバイアルの側面に
生成させた。
【0306】
ついで250μLの無水酢酸を各サンプルバイアルに加え、サンプルをボルテックスし
て溶解させた。230μLの濃縮TFAを各サンプルに加え、サンプルを50℃で20分
間インキュベートした。サンプルの加熱を止め、サンプルを室温に冷却した。約1mLの
イソプロパノールを加え、サンプルを乾燥させた。ついで約200μLのイソプロパノー
ルを加え、サンプルを再び乾燥させた。ついで約1mLの0.2M 炭酸ナトリウムを各
サンプルに加え、それを穏やかに混合した。最後に約2mLのジクロロメタンを各サンプ
ルに加え、ついでそれをボルテックスし、短時間遠心分離した。水性上層を廃棄した。1
mLの水を加え、サンプルをボルテックスし、短時間遠心分離した。この工程を繰り返し
た後、有機層(下層)を取り出し、別のバイアルに移した。N2/空気を使用して、各サ
ンプルを約100μLの最終体積まで濃縮した。ついで1μLの最終サンプルをGC-M
Sに注入した。
【0307】
GC温度プログラムSP2330をGC-MS分析に利用した。初期温度は80℃であ
り、初期時間は2.0分であった。最初の勾配は30℃/分の速度であり、最終温度は1
70℃であり、最終時間は0.0分であった。第2の勾配は4℃/分の速度であり、最終
温度は240℃であり、最終時間は20.0分であった。
【0308】
箱守メチル化による多糖およびオリゴ糖のグリコシル結合分析
A.NaOH塩基の調製
ガラス・スクリュー・トップ・チューブ(glass screw top tube
)内で、100μLの50/50 NaOH溶液と200μLの乾燥MeOHとを混合し
た。NaOHにはプラスチックピペットを使用し、MeOHにはガラスピペットを使用し
た。溶液を短時間ボルテックスし、約4mLの乾燥DMSOを加え、溶液を再びボルテッ
クスした。チューブを遠心分離して溶液を濃縮し、DMSOおよび塩をペレットからピペ
ットで取り除いた。ペレットから全ての水を除去するために、前の2つの工程を約4回繰
り返した。チューブの側面から全ての白色残渣を除去した。全ての残渣が除去され、ペレ
ットが透明になったら、約1mLの乾燥DMSOを加え、溶液をボルテックスした。これ
で塩基を使用する準備が整った。塩基は、それが必要になるたびに、新たに調製された。
【0309】
B.過メチル化
600~1000μgの選択されたオリゴ糖組成物(化学天秤で秤量されたもの)を2
00μLのDMSOと混合することにより、各サンプルを調製した。オリゴ糖組成物が溶
解するまで、サンプルを一晩撹拌した。
【0310】
等量のNaOH塩基(400μL)をサンプルに加え、ついでサンプルを攪拌装置に戻
し、10分間良く混合した。100μLのヨードメタン(CH3I)をサンプルに加えた
。サンプルを攪拌装置で20分間混合し、ついで前工程(NaOH塩基およびヨードメタ
ンの添加)を繰り返した。
【0311】
約2mlの超純水をサンプルに加え、サンプルを、それが濁るように十分に混合した。
ピペットの先端をチューブの底のサンプル溶液内に入れ、非常に低い空気流でCH3Iを
起泡除去した。CH3Iが起泡除去されるにつれて、サンプルが透明になった。全てのC
H3Iが消失したことを確認するために、ピペットを溶液周囲に移動させた。ついで約2
mLの塩化メチレンを加え、溶液をボルテックスにより30秒間良く混合した。ついでサ
ンプルを遠心分離し、上部水層を除去した。約2mLの水を加え、サンプルを混合し、つ
いで短時間遠心分離し、ついで上部水層を除去した。塩化メチレンおよび水の添加を繰り
返した。有機下層を取り出し、別のチューブに移し、N2を使用して乾燥させた。アルジ
トールアセタートの分析を続けた。
【0312】
C.加水分解
各オリゴ糖サンプルに200μLの2M トリフルオロ酢酸(TFA)を加えた。サン
プルを含有するバイアルを蓋で密閉し、加熱ブロック上で121℃で2時間インキュベー
トした。2時間後、サンプルを加熱ブロックから取り出し、室温に冷却した。ついでサン
プルをN2/空気で乾燥させた。200μLのイソプロパノール(IPA)を加え、N2
/空気で再び乾燥させた。この加水分解工程(121℃で2時間のTFAの添加;イソプ
ロパノールでの洗浄)を2回繰り返した。
【0313】
D.還元およびアセチル化
重水素化ホウ素ナトリウムの10mg/mL溶液を1M 水酸化アンモニウム中で調製
した。この溶液200μLを各オリゴ糖サンプルに加えた。ついでサンプルを室温で少な
くとも1時間または一晩インキュベートした。重水素化ホウ素ナトリウム溶液とのインキ
ュベーションの後、5滴の氷酢酸をサンプルに加え、ついで5滴のメタノールを加えた。
ついでサンプルを乾燥させた。500μLの9:1 MeOH:HOAcをサンプルに加
え、ついで乾燥させた(2回反復)。ついで500μLのMeOHをサンプルに加え、つ
いで乾燥させた(1回反復)。これは、表面が硬い白色残渣をサンプルバイアルの側面に
生成させた。
【0314】
ついで250μLの無水酢酸を各サンプルバイアルに加え、サンプルをボルテックスし
て溶解させた。230μLの濃縮TFAをサンプルに加え、サンプルを50℃で20分間
インキュベートした。サンプルの加熱を止め、サンプルを室温に冷却した。約1mLのイ
ソプロパノールを加え、サンプルを乾燥させた。ついで約200μLのイソプロパノール
を加え、サンプルを再び乾燥させた。ついで約1mLの0.2M 炭酸ナトリウムをサン
プルに加え、それを穏やかに混合した。最後に約2mLのジクロロメタンをサンプルに加
え、ついでそれをボルテックスし、短時間遠心分離した。水性上層を廃棄した。1mLの
水を加え、サンプルをボルテックスし、短時間遠心分離した。この工程を繰り返した後、
有機層(下層)を取り出し、別のバイアルに移した。N2/空気を使用して、各サンプル
を約100μLの最終体積まで濃縮した。ついで1μLの最終サンプルをGC-MSに注
入した。
【0315】
GC温度プログラムSP2330をGC-MS分析に利用した。初期温度は80℃であ
り、初期時間は2.0分であった。最初の勾配は30℃/分の速度であり、最終温度は1
70℃であり、最終時間は0.0分であった。第2の勾配は4℃/分の速度であり、最終
温度は240℃であり、最終時間は20.0分であった。
【0316】
実施例8:過メチル化分析を用いるグリコシド結合分布の確立方法
脱単量体化オリゴ糖組成物の10バッチに関して実施例7に示されている方法を用いて
、過メチル化データを収集した(ここで、オリゴ糖組成物は、実施例5に記載されている
方法により製造された)。これらのバッチは、実施例9に記載されている方法に従い脱単
量体化された。この分析の結果を表4に示す。
【0317】
各過メチル化データセットに関して、表4に列挙されている全ピークのAUCの合計値
を測定した。
【0318】
表4に列挙されている各ピークに関して、ピークのAUCを全ピークのAUCの合計値
により割り算し、有効数字3桁の百分率に変換し、記録した。
【0319】
与えられたデータセットにおける記録された百分率値の合計は100%であると確認さ
れた。
【0320】
標準的な式を用いて全データセットにわたって決定された各ピークに関する平均値が表
4に示されている。
【0321】
標準的な式を用いて全データセットにわたって決定された各ピークに関する標準偏差(
STD)が表4に示されている。
【0322】
(平均
P1+5
*STD
P1)より小さく、(平均
P1-5
*STD
P1)よ
り大きいと決定された、選択されたオリゴ糖組成物の各ピークの許容範囲が表4に示され
ている。
【表42】
【0323】
また、実施例14に記載されている方法により製造されたオリゴ糖組成物の5バッチに
関して実施例7に示されている方法を用いて、過メチル化データを収集した。この分析の
結果を表6に示す。
【表43】
【0324】
実施例9:脱単量体化方法
実施例5の方法を用いて製造された精製オリゴ糖組成物の個々のバッチをブリックス(
Brix)屈折計による測定で約50Bxまでロータリーエバポレーターで濃縮した。得
られた濃縮シロップ(200mg)を、ルアー・チップ・シリンジを使用して、Tele
dyne ISCO RediSep Rf Goldアミンカラム(11グラムの固定
相)上にローディングした。Biotage SNAP KP-NHカートリッジのよう
な他の類似カラムも使用可能である。ついで、55カラム体積にわたって20/80~5
0/50(v/v)の脱イオン水/ACN移動相勾配を用いて、ELSD検出器を備えた
Biotage Isoleraで濃縮シロップを精製した。Teledyne ISC
O Rfのような他のフラッシュクロマトグラフィー系も使用可能である。カラムおよび
系に関する製造業者の仕様に従い流量を設定した。単量体画分が約20カラム体積で完全
に溶出した後、残りのオリゴ糖組成物が溶出し収集されるまで、移動相を100%水に設
定した。非単量体含有画分をロータリーエバポレーターにより濃縮して、脱単量体化生成
物を得た。未修飾および脱単量体化組成物のSEC-HPLCを
図4に示す。
【0325】
実施例10:バリアン・ユニティ・イノバNMR装置を使用するHSQC分析方法
実施例1~4に記載されている選択されたオリゴ糖組成物のサンプルのHSQC NM
Rスペクトルの決定を、後記プロトコルに従いバリアン・ユニティ・イノバ(Varia
n Unity Inova)NMRを用いて行った。選択されたオリゴ糖組成物の15
8個の調製物を、本明細書に記載されているNMR法を用いて分析した。これらの調製物
のうちの148個は22リットルの反応において製造し(実施例6に記載されているとお
り)、5個の調製物は189リットル(50ガロン)の反応において製造し、5個の調製
物は2,840リットル(750ガロン)の反応において製造した(実施例14に記載さ
れているとおり)。大きほうのスケール(189リットルおよび2,840リットル)で
製造されたオリゴ糖バッチは脱単量体化されなかった。実施例9に記載されているとおり
、22リットルで製造されたオリゴ糖調製物の一部は脱単量体化された。
【0326】
方法
サンプルの調製:
選択されたオリゴ糖組成物のサンプルの25mgを、内部標準として0.1% アセト
ンを含有する300μLのD2O中に溶解した。ついで溶液を3mmのNMRチューブ内
に入れた。
【0327】
NMR実験:
13Cに調整されたZ軸勾配を有するXDB広帯域プローブを備えた499.83MH
z(125.69MHz 13C)で運転され25℃で運転されるバリアン・ユニティ・
イノバ(Varian Unity Inova)において、各サンプルを分析した。コ
ヒーレンス選択のためにエコー-アンチエコースキームを用いる多重編集勾配増強1H-
13C異核種単一量子コヒーレンス(HSQC)実験に各サンプルを付した。以下のパル
スシーケンス図ならびに取得および処理パラメータを用いて、各サンプルのNMRスペク
トルを得た。
【0328】
【0329】
取得パラメータ
・1Hキャリア周波数=4ppm
・13Cキャリア周波数=65ppm
・取得次元のポイント数=596
・取得次元のスペクトル範囲=6.00ppm~2.03ppm
・間接次元のポイント数=300個の複合ポイント
・間接次元のスペクトル範囲=120ppm~10ppm
・リサイクル遅延=1秒
・1結合1H-13C結合定数=JCH=146Hz
・スキャン数=8
・温度=298K
・溶媒=D2O
処理パラメータ
・直接次元における窓関数=ガウシアン・ブロードニング、7.66Hz
・間接次元における窓関数=ガウシアン・ブロードニング、26.48Hz
処理=直接次元における512個の複合ポイント、間接次元における1024個の複
合ポイント
スペクトル分析:
得られたスペクトルを、Mestrelab Research(Santiago
de Compostela,Spain)のMNovaソフトウェアパッケージを使用
して分析した。スペクトルを内部アセトンシグナル(1H-2.22ppm;13C-3
0.8ppm)に対して参照し、F2およびF1の両次元でリージョンズ(Region
s)2D法を用いて位相調整した。F2およびF1の両次元において、90度ずらした正
弦を用いるアポダイゼーションを適用した。各スペクトルに関して、個々のシグナル(C
-H相関)を、楕円形の積分形状を有する「予め定義された積分領域」を用いて、それら
のそれぞれのピークの積分により定量した。得られた各スペクトルの積分領域および値の
表を、値が合計に対する百分率を表すように、合計100に対して正規化した。単量体に
関連したピークを回避するようにピーク積分領域を選択した。
【0330】
結果
選択されたオリゴ糖組成物の158個の調製物[148個の調製物は、実施例6の方法
を用いて、22Lのスケールで製造された;選択されたオリゴ糖組成物の5個のバッチは
189L(50ガロン)のスケールで製造された;そして選択されたオリゴ糖組成物の5
個のバッチは、実施例14の方法を用いて、2,840L(750ガロン)のスケールで
製造された]を、前記のNMR法を用いて分析した。総合すると、これらのバッチは以下
のNMRピークシグナルを含んでいた。
【表44】
【0331】
シグナル1~14の各個のシグナルの曲線下面積(AUC)を全シグナル1~14の合
計AUCに対して決定した。シグナル1~14のそれぞれのAUCを、22Lスケールで
製造された選択されたオリゴ糖組成物の148個の調製物に関して決定した。148個の
調製物のHSQC NMR分析の集計結果を要約した統計を表7に示す。
【表45】
【0332】
積分領域のピーク(AUC)の各々の相対サイズを、50ガロンおよび750ガロンの
スケール(実施例14に記載されているとおり)で製造された選択オリゴ糖組成物の10
個の調製物に関して決定した。10個の全調製物のHSQC NMR分析の集計結果を要
約した統計を表8に示す。
【表46】
【0333】
実施例11.サイズ排除クロマトグラフィー
実施例1~4に記載されている選択されたオリゴ糖組成物のバッチおよびサンプルの重
量平均分子量(MWw)、数平均分子量(MWn)および多分散指数(PDI)をSEC
HPLCにより決定した。
【0334】
方法
これらの方法は、2つのAgilent PL Aquagel-OH 20(7.5
×300mm、5μm)直列カラムを備えた屈折率(RI)検出器を有するAgilen
t 1100を使用した。
【0335】
34gのNaNO3(ACS等級試薬)を秤量し、2000mLの脱イオン(DI)水
(MiliQ水フィルターからのもの)に溶解することにより、移動相(0.2M Na
NO3)を調製した。溶液を0.2μmフィルターで濾過した。
【0336】
D-(+)グルコース(分析標準物、Sigma-Aldrich社、カタログ番号4
7829)、PPS-pul342(MP:342)、PPS-pul1.3k(MP:
1080)、PPS-pul6k(Mp:6100)、PPS-pul10k(Mp:9
600)およびPPS-pul22k(Mp:22000)のそれぞれのポリマー標準溶
液(10.0mg/ml)を、20mgの標準物を別の20mLシンチレーションバイア
ル内に量り取り各バイアルに2.0mLのDI水を加えることにより調製した。
【0337】
サンプルAを二重に調製した。約300mgのオリゴ糖サンプルを20mLシンチレー
ションバイアル内に量り取り、10mLのDI水を加えた。溶液を混合し、0.2μmポ
リエーテルスルホン膜を備えたAcrodisc 25mmシリンジフィルターで濾過し
た。
【0338】
サンプルBを二重に調製した。約210mgのオリゴ糖サンプルを20mLのシンチレ
ーションバイアル内に量り取り、10mLのDI水を加えた。溶液を混合し、0.2μm
ポリエーテルスルホン膜を備えたAcrodisc25mmシリンジフィルターで濾過し
た。
【0339】
サンプルを実施に付す少なくとも2時間前に流速を0.9mL/分に設定し、カラム温
度およびRI検出器をそれぞれ40℃に設定し、RI検出器パージをオンにした。
【0340】
検出器のパージを停止させ、サンプルの実施前に許容ベースラインが得られるまでポン
プを0.9mL/分で作動させた。各サンプルの注入体積は10μLであり、実施時間は
28分であった。
【0341】
DI水からなるブランクサンプルを実施に付した。各標準のサンプルを実施に付した。
サンプルAを実施に付した。サンプルBを実施に付した。
【0342】
15~22分のピークを積分した。サンプルクロマトグラムに示されているとおり、単
量体およびブロードピーク(生成物)を積分した。Empower3ソフトウェアにおけ
る検量線フィットタイプを3次に設定した。ブロードピークに関してEmpower3ソ
フトウェアを使用して、分子量分布および多分散度を計算した。生成物ピーク(DP2+
)のMw、Mnおよび多分散度を記録した。
【0343】
結果
実施例6に記載されている方法を用いて(22Lのスケールで)製造された選択された
オリゴ糖組成物の8個のバッチ、50ガロンのスケールで製造された選択されたオリゴ糖
組成物の5個のバッチ、および実施例14に記載されている方法を用いて(750ガロン
のスケールで)製造された選択されたオリゴ糖組成物の4個のバッチを、前記のSEC法
を用いて分析した。実施例6の方法を用いて製造された選択されたオリゴ糖バッチは、実
施例9の方法を用いて脱単量体化された。これらのバッチに関して収集されたSECデー
タを表8、9および10に示す。
【表47】
【0344】
総合すると、表8、9および10における選択されたオリゴ糖バッチ(22リットル、
189リットルおよび2,840リットルのバッチ)の平均MWwは1150であり、こ
れらのバッチの平均MWnは755であり、平均多分散度は1.5であった。MWwは8
69~1411(+/-3標準偏差で671~1630)の範囲であり、MWnは626
~863(+/-3標準偏差で544~966)の範囲であり、多分散度は1.4~1.
6の範囲であった。
【0345】
実施例14の方法に従い製造された選択されたオリゴ糖バッチ(表Zの2,840リッ
トルのバッチ)の平均MWwは963であり、これらのバッチの平均MWnは667であ
り、平均多分散度は1.4であった。MWwは869~1038(+/-3標準偏差で4
83~1442)の範囲であり、MWnは626~697(+/-3標準偏差で456~
878)の範囲であり、多分散度は1.4~1.5の範囲であった。
【0346】
実施例12.不純物を測定するためのSEC HPLC法
実施例1~4に記載されている選択されたオリゴ糖組成物のバッチおよびサンプルにお
ける残留有機酸不純物および関連物質の存在を測定するために、SEC HPLCを用い
た。
【0347】
方法
これらの方法は、ガードカラム(Bio-Rad MicroGuardカチオンH+
カートリッジ,PIN 125-0129または等価体)およびBio-Rad Ami
nex HPX-87H,300×7.8mm,9μμm,PIN 125-0140を
備えた屈折率(RI)検出器を有するAgilent 1100を使用した。
【0348】
ボトルに2000mLのDI水を充填し、2.7mLのH2SO4をゆっくり加えるこ
とにより、移動相(水中の25mM H2SO4)を調製した。溶液を0.2μmフィル
ターで濾過した。
【0349】
50±2mgの参照標準を100mLメスフラスコ内で測定し、移動相を100mLの
マークまで加え、よく混合することにより、標準溶液を調製した。
【0350】
選択されたオリゴ糖組成物(サンプルA)のサンプルを二重に調製した。約1000m
gのオリゴ糖サンプルを10mLメスフラスコ内で量り取り、移動相をマークまで加えた
。溶液を混合し、0.2μmポリエーテルスルホン膜を備えたPESシリンジフィルター
で濾過した。
【0351】
選択されたオリゴ糖組成物(サンプルB)のサンプルを二重に調製した。約700mg
のオリゴ糖サンプルを10mLメスフラスコ内で量り取り、移動相をマークまで加えた。
溶液を混合し、0.2μmポリエーテルスルホン膜を備えたPESシリンジフィルターで
濾過した。
【0352】
サンプルを実施に付す少なくとも2時間前に流速を0.65mL/分に設定し、カラム
温度を50℃に設定し、RI検出器温度を50℃に設定し、RI検出器パージをオンにし
た。
【0353】
検出器のパージを停止させ、サンプルの実施前に許容ベースラインが得られるまでポン
プを0.65mL/分で作動させた。各サンプルの注入体積は50μLであり、実施時間
は40分であった。
【0354】
DI水からなるブランクサンプルを実施に付した。標準物、サンプルおよびサンプルB
を、それぞれ独立して、実施に付した。
【0355】
7.5分(グルクロン酸)、11.3分(レボグルコサン)、11.9分(乳酸)、1
3.1分(ギ酸)、14.2分(酢酸)、31.8分(HMF)および8.3分(グルコ
ース)におけるピークを積分した。Empower3ソフトウェアにおける検量線フィッ
トタイプを3次に設定した。
【0356】
データ
実施例1~4に記載されており、実施例14に記載されている方法により製造された選
択されたオリゴ糖の4つのバッチを、前記のHPLC法を用いて試験した。実施例14に
記載されているとおり、選択されたオリゴ糖組成物(バッチ1~5)は、それぞれ、14
%、18%、17%、15%および13%の単量体百分率を有していた。
【表48】
【0357】
選択されたオリゴ糖組成物のバッチ1(表12)を噴霧乾燥し、本明細書に記載されて
いるとおりに不純物に関してアッセイした。該噴霧乾燥調製物は以下の不純物プロファイ
ルを有することが判明した:<LOQ 乳酸;0.20% ギ酸;<LOQ 酢酸;0.
53% レブリン酸;0.43% レボグルコサン;0.22% レボグルコサン異性体
;および<LOQ HMF。このオリゴ糖調製物は1.5%の全不純物(単量体を除く)
を含有していた。
【0358】
実施例13.DP1~DP7を測定するためのSEC HPLC
実施例1~4に記載されている選択されたオリゴ糖組成物のバッチおよびサンプルにお
ける1、2および3+の重合度(DP)を有するオリゴ糖の相対量をSEC HPLCに
より決定した。
【0359】
方法
これらの方法は、ガードカラム(Shodex SUGAR SP-G 6Bガードカ
ラム6×50mm,10μm,P/N F6700081または等価体)およびクロマト
グラフィーカラム(Shodex Sugar SP0810,8.0×300mm,8
μm,P/N F6378105または等価体)を備えた屈折率(RI)検出器を有する
Agilent 1100を使用した。
【0360】
42.5gのNaNO3(ACS等級試薬)を秤量し、5000mLの脱イオン(DI
)水(MiliQ水フィルターからのもの)に溶解することにより、移動相(0.1M
NaNO3)を調製した。溶液を0.2μmフィルターで濾過した。
【0361】
それぞれのポリマー標準溶液(10.0mg/ml)D-(+)グルコースMp 18
0,Carbosynth Ltd標準物(Standard)または等価体(CAS#
50-99-7)(DP1);マルトースMp 342,Carbosynth Ltd
Standardまたは等価体(CAS#69-79-4)(DP2);マルトトリオ
ースMp 504,Carbosynth Ltd Standardまたは等価体(C
AS#1109-28-0)(DP3);マルトテトラオースMp 667,Carbo
synth Ltd Standardまたは等価体(CAS#34612-38-9)
(DP4);マルトペンタオースMp 828,Carbosynth Ltd Sta
ndardまたは等価体(CAS#34620-76-3)(DP5);マルトヘキサー
スMp 990,Carbosynth Ltd Standardまたは等価体(CA
S#34620-77-4)(DP6);マルトヘプタオースMp 1153,Carb
osynth Ltd Standardまたは等価体(CAS#34620-78-5
)(DP7);およびマルトオクタオースMp 1315,Carbosynth Lt
d Standardまたは等価体(CAS#6156-84-9)(DP8)を、10
mgの各標準物を個別の1.5mL遠心分離管内に量り取り、DI水を加えて10mg/
mL溶液にすることにより調製した。
【0362】
選択されたオリゴ糖組成物のサンプルを10mg/mLの濃縮サンプルまたは2.5~
3.5ブリックス(Brix)までの希釈水性サンプルとして調製した。
【0363】
サンプルを実施に付す少なくとも2時間前に流速を1.0mL/分に設定し、カラム温
度を70℃に設定し、RI検出器温度を40℃に設定し、RI検出器パージをオンにした
。
【0364】
検出器のパージを停止させ、サンプルの実施前に許容ベースラインが得られるまでポン
プを1.0mL/分で作動させた。各サンプルの注入体積は5μLであり、実施時間は1
5分であった。
【0365】
DI水からなるブランクサンプル、個々の標準物およびサンプルを独立して実施に付し
た。
【0366】
サンプル実施における4~9.2分における各ピーク(ここの標準物に対応する)を積
分した。それらの標準物の重ね合わせを
図5に示す。Empower3ソフトウェアにお
ける検量線フィットタイプを3次に設定した。選択されたオリゴ糖組成物のサンプルのD
P1、DP2およびDP3+値を、これらの方法を用いて決定した。
【0367】
結果
22Lのスケール(7個バッチ、実施例6)、50ガロンのスケール(3個のバッチ)
および750ガロンのスケール(3個のバッチ、実施例14)で製造された選択されたオ
リゴ糖組成物のサンプルを前記のとおりにアッセイした。表13はこれらの分析の結果を
示す。
【表49】
【0368】
総合すると、選択されたオリゴ糖組成物のサンプルは14.41%(±2.93%)の
平均単量体(DP1)比率および8.38%(±1.31%)の平均二糖(DP2)比率
を示した。実施例14の製造方法に従い製造された選択されたオリゴ糖バッチは16.8
7%(±1.51%)の平均単量体(DP1)比率および9.41%(±0.81%)の
平均二糖(DP2)比率を示した。
【0369】
実施例14.デキストロース一水和物からの780kgスケールでのオリゴ糖組成物の
製造
実施例1~4に記載されている選択されたオリゴ糖組成物を、オーバーヘッド攪拌を伴
う2,840L(750ガロン)の反応器において780kgのスケールで合成した。
【0370】
製造を開始するために、約780kgの食品等級デキストロース一水和物粉末および約
100kgの固体酸触媒(例えば、スルホン酸部分を含むスチレン-ジビニルベンゼン、
例えば、Dowex FPC16 UPS Hイオン交換樹脂)を室温で反応器に加え、
130℃の内部温度に達するように、連続的に攪拌しながら加熱した。この内部温度を2
時間維持した。留出物を凝縮液収集タンク内に凝縮させた。水凝縮物と飼料糖(デキスト
ロース)とのモル比は一般に0.4~0.9であった。ついで反応器内のオリゴ糖混合物
を熱精製水で固体濃度約50%まで希釈し、100μmフィルターで濾過し、ドラムに移
した。
【0371】
粗製物質を精製水と共に反応器内に戻し、25℃で10分間攪拌した。得られた溶液を
、微量金属イオン、色素および有機酸を減少させるため、以下のイオン交換樹脂で順次処
理した:Dowex 88(H)樹脂(60分間の処理)、Dowex Optipor
e SD-2吸着樹脂(240分間の処理)およびDowex Monosphere
77樹脂(60分間の処理)。各樹脂と共に攪拌した後、該物質をフィルターバッグに通
過させて処理し、または遠心分離して、樹脂を除去し、ついで該物質を反応器に戻した。
【0372】
ついで最終溶液を65℃で真空下、70~74°Bx(すなわち、約70%の固体濃度
;ここで1°Bxは100グラムの水性溶液中の1グラムのスクロースである)に濃縮し
た。真空を解除し、サンプルを取り出して濃度を確認した後、サンプルを排出させた。精
製オリゴ糖組成物を55℃に冷却し、得られた溶液を20μmフィルターで濾過し、容器
内に集めた。容器を周囲温度で保存した。表14は、2,840リットルのスケールで製
造された選択されたオリゴ糖の4個のバッチの或る特性を要約している。
【表50】
【0373】
ついで精製オリゴ糖組成物を、固体濃度50%で完全溶解するまで該精製組成物と米国
薬局方(USP)等級の水とを容器内で混合することにより固体粉末に変換した。ついで
溶液を噴霧乾燥し、得られた粉末を低密度ポリエチレン(LDPE)バッグ内に移した。
この物質を、例えば、2つのLDPEバッグの間に約280gの乾燥剤が配置された捻じ
り結束LDPEバッグ内にパッケージング(包装)し、例えば、30ガロンの高密度ポリ
エチレン(HDPE)容器内に、制御された室温で保存した。
【0374】
実施例15.可溶性、不溶性および全食物繊維の測定
実施例1~4に記載されている選択されたオリゴ糖組成物のバッチの食物繊維の量をA
OAC 2011.25(AOAC International,AOAC Offi
cial Method 2011.25,Insoluble,Soluble,an
d Total Dietary Fiber in Foods)の方法に従い測定し
た。また、これらのオリゴ糖バッチのデキストロース当量(DE)(乾燥量基準)の比率
をFood Chemicals Codex(FCC)に従い測定した。異なるDP1
単量体レベルをそれぞれが有する5個のオリゴ糖バッチを分析した。それらのバッチの1
つからは単量体は除去されなかった。それらのオリゴ糖バッチの4つからは単量体が除去
されて、それらは10%の単量体、5%の単量体、3%の単量体または1%未満の単量体
を含有していた。この分析の結果を表15に示す。
【表51】
【0375】
実施例16.UCDを有するヒト対象における選択されたオリゴ糖組成物の研究
実施例1~4に記載されている選択されたオリゴ糖組成物の安全性およびGI忍容性を
、十分に制御された尿素サイクル異常症(UCD)を有する4名の成人対象において、非
盲検単一施設臨床研究で評価した。この研究は、UCD患者における窒素代謝に対するオ
リゴ糖組成物の効果を評価することも目的としていた。対象は少なくとも14歳であり、
N-アセチルグルタミン酸シンテターゼ(NAGS)欠損症、肝移植、または高アンモニ
ア血症(HA)を引き起こしうる他の病歴を有していなかった。対象は最初に馴化期間(
第-7日~第-1日)を経て、ついで、腸内細菌由来アンモニアを定量するために、安定
同位体トレーサーであるラクトース-[15N]-ウレイド(5.7mg/kg)の投与
を第0日~第3日に受けた。この同位体トレーサー(5.7mg/kg)を第21日~第
24日にも再び投与した。ラクトース-[15N]-ウレイドは窒素代謝のマーカーとし
て使用される。この安定同位体トレーサーはヒトの酵素によっては消化不能であるが、尿
素とラクトース部分とを分離し次いで尿素をアンモニアへと加水分解する結腸細菌産生酵
素の基質である。トレーサー消費後の15N-アンモニアの産生は結腸細菌(ウレアーゼ
)酵素活性の指標となる。忍容性を最大にするために4つの期間[期間1(第4日~第8
日)、期間2(第9日~第13日)、期間3(第14日~第18日)および期間4(第1
9日~第24日)]にわたってオリゴ糖組成物の漸増用量(1人の対象の場合には1日当
たり42グラムまで、そして3人の対象の場合には1日当たり72グラムまでの最大用量
)を対象に投与した。最終投与後、第25日から第32日までを洗い出し(ウォッシュア
ウト)および安全性フォローアップ期間とした。安全性評価のために、および腸窒素代謝
のバイオマーカーを評価するために、研究中の種々の時点で対象から血液、尿および糞便
を採取した。有害事象(AE)報告および胃腸忍容性質問票(GITQ)により、安全性
評価を第25日に対象から収集した。
【0376】
結果は、選択されたオリゴ糖組成物が安全であり、胃腸忍容性質問票(GITQ)を用
いた評価では概ね十分に忍容性であることを示した。対象は軽度鼓腸および胃腸音を報告
したが、臨床的に重要な安全性徴候を何ら報告しなかった。治療により生じた有害事象も
有害事象による治療中断もなかった。
【0377】
データは、オリゴ糖組成物がUCDヒト対象におけるアンモニアを減少させうることを
示唆している。糞便中に排泄されるトレーサーの増加および/または尿中に排泄されるト
レーサーの量の減少が認められる場合、アンモニアの減少が示唆される。対象の糞便中の
15Nトレーサーの全般的増加(ベースラインに対する%)および対象の尿中の15Nト
レーサーの減少(ベースラインに対する%)が認められた。標識窒素の尿中排泄は評価可
能な患者(すなわち、必要なサンプルを提出した患者)3名のうち2名で減少した。尿中
標識15N排泄の平均減少は対象全体で15.27%(SD23.66)であった。標識
窒素の量は4名中3名の対象の糞便において増加した。対象の糞便中の標識15N排泄の
平均変化は39.39%(SD26.79)であった。血漿NH3レベルは対象において
制御され、研究全体を通して正常(ベースライン)レベルのままであった。
【0378】
これらのデータは、選択されたオリゴ糖組成物が、UCDを有する対象および高アンモ
ニア血症に関連した症状を有する他の対象を治療するために使用されうることを示唆して
いる。
【0379】
均等物および用語
本明細書に例示的に記載されている開示は、本明細書に具体的に開示されていない任意
の1以上の要素または限定の非存在下で適切に実施されうる。したがって、例えば、本明
細書における各場合において、「含む」、「から本質的になる」および「からなる」なる
語はいずれも、その他の2つの用語のいずれかと置換されうる。使用されている用語およ
び表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用に
おいては、示され説明されている特徴またはその一部のいずれの均等物をも除外する意図
はなく、本開示の範囲内で種々の修飾が可能であると認識される。したがって、本開示は
、好ましい実施形態によって具体的に開示されているが、本明細書に開示されている概念
の随意的な(すなわち、所望により適用されてもよい)特徴、修飾および変形が当業者に
よって適用されることが可能であり、そのような修飾および変形は本開示の範囲内である
とみなされると理解されるべきである。
【0380】
また、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群または他の代替物群として記載されて
いる場合、該開示は、該マーカッシュ群または他の群の任意の個々のメンバーまたはメン
バー亜群に関しても、それによって記載される、と当業者は認識するであろう。
【0381】
本発明を記載する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)における単数形表現および
「該」なる語の使用ならびに類似指示対象は、本明細書に特に示されていない限り又は文
脈に明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。「
含む」、「有する」、「包含する」および「含有する」なる語は、特に示されていない限
り、非限定的(オープンエンド)用語(すなわち、「~を含むが、~に限定されるもので
はない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本
明細書に特に示されていない限り、単に該範囲内の各々の個々の値を個別に指し示す略記
法として働くことを意図しているに過ぎず、各々の個々の値は、それが本明細書中に個別
に列挙されているかのように本明細書中に組み入れられる。本明細書に記載されている全
ての方法は、本明細書に示されていない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の
適切な順序で実施されうる。本明細書中に示されている全ての例または例示的表現(例え
ば、「のような」)の使用は単に本発明をより一層明らかにすることを意図しているに過
ぎず、特許請求の範囲に特に示されていない限り本発明の範囲を限定するものではない。
本明細書におけるいかなる文言も、特許請求の範囲に記載されていない要素が本発明の実
施に必須であることを示すと解釈されるべきではない。
【0382】
本発明の実施形態は本明細書に記載されている。それらの実施形態の変形は、前記説明
を読めば当業者に明らかとなるであろう。
【0383】
本発明者らは、当業者がそのような変形を適宜用いることを想定しており、本発明者ら
は、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施されることを意図して
いる。したがって、本発明は、適用可能な法律により許容されるとおり、本明細書に添付
された特許請求の範囲に記載されている本発明の全ての修飾および均等物を含む。更に、
本明細書に特に示されていない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、その全ての可能
な変形における前記要素の任意の組合せが本発明に含まれる。当業者は、本明細書に記載
されている本発明の具体的な実施形態に対する多数の均等物を認識し、または単なる通常
の実験を用いて該均等物を確認しうるであろう。そのような均等物は以下の特許請求の範
囲に含まれると意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であって、該複数のオリゴ糖が、表5に示されている特性を各シグナルが有するシグナル1、3および4を含む多重編集勾配増強1H-13C異核種単一量子コヒーレンス(HSQC)NMRスペクトルにより特徴づけられる、オリゴ糖組成物。
【表1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0383
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0383】
本発明者らは、当業者がそのような変形を適宜用いることを想定しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用可能な法律により許容されるとおり、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載されている本発明の全ての修飾および均等物を含む。更に本明細書に特に示されていない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形における前記要素の任意の組合せが本発明に含まれる。当業者は、本明細書に記載されている本発明の具体的な実施形態に対する多数の均等物を認識し、または単なる通常の実験を用いて該均等物を確認しうるであろう。そのような均等物は以下の特許請求の範囲に含まれると意図される。
一態様において、本発明は以下を提供する。
[項目1]
複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であって、該組成物が、表5に示されている特性を各シグナルが有するシグナル1、3および4を含む多重編集勾配増強
1
H-
13
C異核種単一量子コヒーレンス(HSQC)NMRスペクトルにより特徴づけられる、オリゴ糖組成物。
【表1】
[項目2]
シグナル1、3および4が以下のとおりに定められる、項目1記載の組成物。
【表2】
[項目3]
スペクトルが、表5に示されている特性を各シグナルが有するシグナル8および9から選択される1~2個のシグナルを更に含む、項目1または2記載の組成物。
【表3】
[項目4]
シグナル8および9が以下のとおりに定められる、項目3記載の組成物。
【表4】
[項目5]
スペクトルが、表5に示されている特性を各シグナルが有するシグナル6、7、11、12、13および14から選択される1~6個のシグナルを更に含む、項目1~4のいずれか1項記載の組成物。
【表5】
[項目6]
シグナル6、7、11、12、13および14が以下のとおりに定められる、項目5記載の組成物。
【表6】
[項目7]
スペクトルが、表5に示されている特性を各シグナルが有するシグナル2、5および10から選択される1~3個のシグナルを更に含む、項目1~6のいずれか1項記載の組成物。
【表7】
[項目8]
シグナル2、5および10が以下のとおりに定められる、項目7記載の組成物。
【表8】
[項目9]
シグナル1~14がそれぞれ、以下のとおりに定められる
1
H積分領域および
13
C積分領域によって更に特徴づけられる、項目1~8のいずれか1項記載の組成物。
【表9】
[項目10]
NMRスペクトルが、以下のパルスシーケンス図、取得パラメータおよび処理パラメータを使用して、コヒーレンス選択のためにエコー-アンチエコースキームを用いる多重編集勾配増強
1
H-
13
C異核種単一量子コヒーレンス(HSQC)実験に組成物のサンプルを付すことにより得られる、項目1~9のいずれか1項記載の組成物。
パルスシーケンス図
【化1】
取得パラメータ
1
Hキャリア周波数=4ppm
13
Cキャリア周波数=65ppm
取得次元のポイント数=596
取得次元のスペクトル範囲=6.00ppm~2.03ppm
間接次元のポイント数=300個の複合ポイント
間接次元のスペクトル範囲=120ppm~10ppm
リサイクル遅延=1秒
1結合
1
H-
13
C結合定数=JCH=146Hz
スキャン数=8
温度=298K
溶媒=D
2
O
処理パラメータ
直接次元における窓関数=ガウシアン・ブロードニング、7.66Hz
間接次元における窓関数=ガウシアン・ブロードニング、26.48Hz
処理=直接次元における512個の複合ポイント、間接次元における1024個の複合ポイント。
[項目11]
NMRスペクトルが、組成物のサンプル(ここで、サンプルはD
2
O中の溶液である)をHSQC NMRに付すことにより得られる、項目1~10のいずれか1項記載の組成物。
[項目12]
オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均が約DP5~約DP11である、項目1~11のいずれか1項記載の組成物。
[項目13]
オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均が約DP4~約DP8である、項目12記載の組成物。
[項目14]
オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均が約DP5~約DP6である、項目12記載の組成物。
[項目15]
組成物が16%~24% デキストロース当量(乾燥量基準)を含む、項目1~14のいずれか1項記載の組成物。
[項目16]
組成物が13%~27% デキストロース当量(乾燥量基準)を含む、項目1~14のいずれか1項記載の組成物。
[項目17]
組成物が50%~95% 全食物繊維(乾燥量基準)を含む、項目1~16のいずれか1項記載の組成物。
[項目18]
組成物が少なくとも60%、70%、80%または90% 全食物繊維(乾燥量基準)を含む、項目1~16のいずれか1項記載の組成物。
[項目19]
複数の単量体ラジカルを各オリゴ糖が含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であって、前記の複数のオリゴ糖が、ラジカル(1)~(7):
(1)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.15~9.54モル%に相当する2-グルコピラノースジラジカル、
(2)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも18.94モル%に相当する6-グルコピラノースジラジカル、
(3)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.63~8.74モル%に相当する4-グルコピラノースジラジカル、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,4-グルコピラノーストリラジカル、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも1.01~2.59モル%に相当する2,3-グルコピラノーストリラジカル、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.00モル%未満に相当する3,4,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する2,4,6-グルコピラノーステトララジカル
から選択される2以上のタイプの単量体ラジカルを含み、ここで、選択されるラジカルが、定められたモル百分率(モル%)範囲で、複数のオリゴ糖に存在し、単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1つが(4)または(7)である、オリゴ糖組成物。
[項目20]
単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1つが、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.70モル%未満に相当する3,4-グルコピラノーストリラジカル
である、項目19記載の組成物。
[項目21]
単量体ラジカルの前記の2以上のタイプの少なくとも1つが、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.50モル%未満に相当する2,4,6-グルコピラノーステトララジカル
である、項目19記載の組成物。
[項目22]
オリゴ糖組成物が、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,4-グルコピラノーストリラジカル、および
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する2,4,6-グルコピラノーステトララジカル
を含む、項目19~21のいずれか1項記載の組成物。
[項目23]
オリゴ糖組成物が、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.40モル%未満に相当する3,4,6-グルコピラノーステトララジカル
を含む、項目19~22のいずれか1項記載の組成物。
[項目24]
ラジカル(1)~(7)から選択される3つ、4つ、5つ、6つまたは7つのタイプの単量体ラジカルを含む、項目19~22のいずれか1項記載の組成物。
[項目25]
ラジカル(8)~(12):
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの26.87~46.98モル%に相当するt-グルコピラノースモノラジカル、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも6.94モル%に相当する3-グルコピラノースジラジカル、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.43モル%未満に相当する2,4-グルコピラノーストリラジカル、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの9.66モル%未満に相当する2,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル、および
(12)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.07~0.85モル%に相当する2,3,4-グルコピラノースラジカル
から選択される1以上のタイプの単量体ラジカルを更に含む、項目19~24のいずれか1項記載の組成物。
[項目26]
オリゴ糖組成物が、
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの30.00~40.00モル%に相当するt-グルコピラノースモノラジカル
を含む、項目25記載の組成物。
[項目27]
オリゴ糖組成物が、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.94~9.25モル%に相当する3-グルコピラノースジラジカル
を含む、項目25記載の組成物。
[項目28]
オリゴ糖組成物が、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも9.10モル%に相当する3-グルコピラノースジラジカル
を含む、項目25記載の組成物。
[項目29]
オリゴ糖組成物が、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.10モル%未満に相当する2,4-グルコピラノーストリラジカル
を含む、項目25記載の組成物。
[項目30]
オリゴ糖組成物が、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.00モル%未満に相当する2,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル
を含む、項目25記載の組成物。
[項目32]
ラジカル(8)~(12)から選択される1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのタイプの単量体ラジカルを含む、項目25~30のいずれか1項記載の組成物。
[項目33]
ラジカル(13)~(15):
(13)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの2.35~6.01モル%に相当する3,6-グルコピラノーストリラジカル、
(14)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.06~0.86モル%に相当する2,3,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.61モル%未満に相当する2,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
から選択される1以上のタイプの単量体ラジカルを更に含む、項目19~32のいずれか1項記載の組成物。
[項目34]
オリゴ糖組成物が、
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.10モル%未満に相当する2,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
を含む、項目33記載の組成物。
[項目35]
ラジカル(13)~(15)から選択される1つ、2つまたは3つのタイプの単量体ラジカルを含む、項目33または34記載の組成物。
[項目36]
複数の単量体ラジカルを各オリゴ糖が含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であって、前記の複数のオリゴ糖が、ラジカル(1)~(15):
(1)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.15~9.54モル%に相当する2-グルコピラノースジラジカル、
(2)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも18.94モル%に相当する6-グルコピラノースジラジカル、
(3)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.63~8.74モル%に相当する4-グルコピラノースジラジカル、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.42モル%未満に相当する3,4-グルコピラノーストリラジカル、
(5)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.01~2.59モル%に相当する2,3-グルコピラノーストリラジカル、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.00モル%未満に相当する3,4,6-グルコピラノーステトララジカル、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.72モル%未満に相当する2,4,6-グルコピラノーステトララジカル、
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの26.87~46.98モル%に相当するt-グルコピラノースモノラジカル、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも6.94モル%に相当する3-グルコピラノースジラジカル、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.43モル%未満に相当する2,4-グルコピラノーストリラジカル、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの9.66モル%未満に相当する2,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル、
(12)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.07~0.85モル%に相当する2,3,4-グルコピラノースラジカル、
(13)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの2.35~6.01モル%に相当する3,6-グルコピラノーストリラジカル、
(14)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.06~0.86モル%に相当する2,3,6-グルコピラノーステトララジカル、および
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.61モル%未満に相当する2,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
を含み、ここで、ラジカル(1)~(15)が、定められたモル百分率(モル%)範囲で複数のオリゴ糖に存在する、オリゴ糖組成物。
[項目37]
オリゴ糖組成物が、
(4)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.70モル%未満に相当する3,4-グルコピラノーストリラジカル
を含む、項目36記載の組成物。
[項目38]
オリゴ糖組成物が、
(7)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.50モル%未満に相当する2,4,6-グルコピラノーステトララジカル
を含む、項目36または37記載の組成物。
[項目39]
オリゴ糖組成物が、
(6)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.40モル%未満に相当する3,4,6-グルコピラノーステトララジカル
を含む、項目36~38のいずれか1項記載の組成物。
[項目40]
オリゴ糖組成物が、
(8)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの30.00~40.00モル%に相当するt-グルコピラノースモノラジカル
を含む、項目36~39のいずれか1項記載の組成物。
[項目41]
オリゴ糖組成物が、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.94~9.25モル%に相当する3-グルコピラノースジラジカル
を含む、項目36~40のいずれか1項記載の組成物。
[項目42]
オリゴ糖組成物が、
(9)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの少なくとも9.10モル%に相当する3-グルコピラノースジラジカル
を含む、項目36~41のいずれか1項記載の組成物。
[項目43]
オリゴ糖組成物が、
(10)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの1.10モル%未満に相当する2,4-グルコピラノーストリラジカル
を含む、項目36~42のいずれか1項記載の組成物。
[項目44]
オリゴ糖組成物が、
(11)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの6.00モル%未満に相当する2,6-グルコピラノース/4,6-グルコピラノーストリラジカル
を含む、項目36~43のいずれか1項記載の組成物。
[項目45]
オリゴ糖組成物が、
(15)複数のオリゴ糖における単量体ラジカルの0.10モル%未満に相当する2,3,4,6-グルコピラノースペンタラジカル
を含む、項目36~44のいずれか1項記載の組成物。
[項目46]
単量体ラジカルのモル百分率が、過メチル化アッセイを用いて決定され、ここで、過メチル化アッセイが、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)の使用を含み、所望により、組成物を含むサンプルが、20.0分にわたって170℃から240℃まで4℃/分で加熱しながらGC-MSにより分析される、項目19~45のいずれか1項記載の組成物。
[項目47]
式(I):
【化2】
(式中、Rは、独立して、水素から選択される)ならびに式(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id):
【化3】
[ここで、式(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id)におけるRは、独立して、式(I)における前記と同意義を有する]を含む複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物であって、該組成物が、
(a)酸性プロトンを含む触媒と共にデキストロース調製物を含む反応混合物を生成させること、および
(b)(a)におけるローディング前のデキストロース調製物中の全デキストロースに対する、反応混合物により生成される正味の水凝縮物のモル比が0.35~1.0の範囲となるまで、反応混合物をその沸点で維持するために十分な熱を反応混合物に伝達させることにより、反応混合物において酸触媒オリゴ糖形成を促進させること(ここで、反応混合物は0.5~1.5気圧の圧力で維持される)
を含む製造方法により製造される、オリゴ糖組成物。
[項目48]
製造方法が更に、
(c)反応混合物の温度を100℃以下にしながら、水を使用して反応混合物をクエンチすること
を含む、項目47記載の組成物。
[項目49]
製造方法が更に、
(d)オリゴ糖の少なくとも一部を酸触媒から分離すること
を含む、項目47または37記載の組成物。
[項目50]
酸触媒が、酸性プロトンを含む固体基体である、項目47~49のいずれか1項記載の組成物。
[項目51]
酸触媒が、表1による1以上の物理的および化学的特性を有する強酸カチオン交換樹脂であり、および/または、ここで、該触媒が、3.0mmol/gを超えるスルホン酸部分および1.0mmol/グラム未満のカチオン部分を含む、項目50記載の組成物。
[項目52]
触媒が45~50重量%の名目含水量を有する、項目50または51記載の組成物。[項目53]
工程(a)において、酸触媒が、デキストロースに対する酸性プロトンのモル比が0.001~0.25の範囲となる量で存在する、項目47~52のいずれか1項記載の組成物。
[項目54]
工程(a)において、酸触媒が、デキストロースに対する酸性プロトンのモル比が0.0016~0.022の範囲となる量で存在する、項目47~52のいずれか1項記載の組成物。
[項目55]
工程(a)において、デキストロース調製物がデキストロース単量体を含む、項目47~54のいずれか1項記載の組成物。
[項目56]
工程(a)において、デキストロース調製物がデキストロース一水和物または70DSコーンシロップを含む、項目47~54のいずれか1項記載の組成物。
[項目57]
式(I)を含む複数のオリゴ糖が全オリゴ糖組成物の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%を構成する、項目47~56のいずれか1項記載の組成物。
[項目58]
式(I)を含む複数のオリゴ糖が全オリゴ糖組成物の少なくとも95%を構成する、項目47~46のいずれか1項記載の組成物。
[項目59]
式(I)を含む複数のオリゴ糖が全オリゴ糖組成物の少なくとも98%を構成する、項目47~58のいずれか1項記載の組成物。
[項目60]
式(I)を含む複数のオリゴ糖が全オリゴ糖組成物の100%を構成する、項目47~48のいずれか1項記載の組成物。
[項目61]
オリゴ糖組成物の単量体の多くとも1%、2%、3%、5%、7%または10%が式(I)または式Ia、Ib、IcおよびIdと異なる、項目47~60のいずれか1項記載の組成物。
[項目62]
オリゴ糖組成物の単量体の多くとも1%が式(I)または式Ia、Ib、IcおよびIdと異なる、項目47~60のいずれか1項記載の組成物。
[項目63]
オリゴ糖組成物の単量体の多くとも5%が式(I)または式Ia、Ib、IcおよびIdと異なる、項目47~60のいずれか1項記載の組成物。
[項目64]
式(I)または式Ia、Ib、IcおよびIdと異なるオリゴ糖組成物の単量体が、誘導体化された又は化学的に変化した(例えば、分解した)糖単位(例えば、無水形態)を含む、項目61~63のいずれか1項記載の組成物。
[項目65]
(a)におけるローディング前のデキストロース調製物中の全デキストロースに対する、反応混合物により生成される正味の水凝縮物のモル比が0.40~0.90の範囲となるまで、反応混合物をその沸点で維持する、項目47~64のいずれか1項記載の組成物。
[項目66]
工程(b)の前に、均質性および均一熱伝達を達成するための適切な条件下、反応混合物の温度を室温から反応混合物の沸点へと徐々に上昇させる、項目47~54のいずれか1項記載の組成物。
[項目67]
反応混合物が1%未満のソルビトールを含む、項目47~66のいずれか1項記載の組成物。
[項目68]
オリゴ糖組成物が0.1%未満のソルビトールを含む、項目47~67のいずれか1項記載の組成物。
[項目69]
オリゴ糖組成物が少なくとも90%、95%または99%のデキストロースを含む、項目47~68のいずれか1項記載の組成物。
[項目70]
オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均が約DP4~約DP8である、項目47~69のいずれか1項記載の組成物。
[項目71]
オリゴ糖組成物の重合度(DP)の平均が約DP5~約DP6である、項目70記載の組成物。
[項目72]
工程(b)が更に、蒸発により反応混合物から水を除去することを含む、項目47~71のいずれか1項記載の組成物。
[項目73]
工程(c)において、水が脱イオン水である、項目48~72のいずれか1項記載の組成物。
[項目74]
工程(c)において、水が約60~100℃の温度を有する、項目48~73のいずれか1項記載の組成物。
[項目75]
工程(c)において、混合物の固化を回避するのに十分な条件下、反応混合物に水を加える、項目48~74のいずれか1項記載の組成物。
[項目76]
工程(d)において、前記分離が、濾過により触媒を除去することを含む、項目49~75のいずれか1項記載の組成物。
[項目77]
工程(d)が、濾過前に反応混合物を約85℃未満に冷却することを含む、項目49~76のいずれか1項記載の組成物。
[項目78]
製造方法が更に、(d)のオリゴ糖組成物を約5~65重量%の濃度に脱イオン水で希釈することを含む、項目48~77のいずれか1項記載の組成物。
[項目79]
製造方法が更に、工程(e)~(g):
(e)希釈された組成物をカチオン交換樹脂に通す工程、
(f)希釈された組成物をアニオン交換樹脂に通す工程、および
(g)希釈された組成物を脱色ポリマー樹脂に通す工程
の1以上(例えば、2以上または3つ)を更に含み、ここで、(e)、(f)および(g)のそれぞれが任意の順序で1回以上行われうる、項目78記載の組成物。
[項目80]
組成物が、室温での貯蔵の際の微生物増殖に必要なレベルより低いレベルの総含水量を含む、項目47~79のいずれか1項記載の組成物。
[項目81]
組成物が24~33重量パーセントの範囲の総含水量を含む、項目80記載の組成物。
[項目82]
組成物中のオリゴ糖が852~1475の範囲のMWw(g/mol)を有する、項目47~81のいずれか1項記載の組成物。
[項目83]
組成物中のオリゴ糖が855~1100の範囲のMWw(g/mol)を有する、項目82記載の組成物。
[項目84]
組成物中のオリゴ糖が612~912の範囲のMWn(g/mol)を有する、項目47~83のいずれか1項記載の組成物。
[項目85]
組成物中のオリゴ糖が612~710の範囲のMWw(g/mol)を有する、項目84記載の組成物。
[項目86]
オリゴ糖組成物が2.5~7.5の範囲のpHを有する、項目47~85のいずれか1項記載の組成物。
[項目87]
オリゴ糖組成物が2.5~5.0の範囲のpHを有する、項目86記載の組成物。[項目88]
オリゴ糖組成物が、約75~約95重量%(乾燥量基準)の2以上の単量体(DP2+)を有するオリゴマーを含む、項目47~87のいずれか1項記載の組成物。
[項目89]
組成物が、約80~約90重量パーセント(乾燥量基準)の2以上の単量体の重合度(DP2+)を有するオリゴマーを含む、項目88記載の組成物。
[項目90]
オリゴ糖組成物が25%未満の単量体を含む、項目47~89のいずれか1項記載の組成物。
[項目91]
オリゴ糖組成物が15%未満の単量体を含む、項目47~89のいずれか1項記載の組成物。
[項目92]
オリゴ糖組成物が3%未満の単量体を含む、項目47~89のいずれか1項記載の組成物。
[項目93]
オリゴ糖組成物が1%未満の単量体を含む、項目47~89のいずれか1項記載の組成物。
[項目94]
オリゴ糖組成物が3% w/w未満の不純物を含む、項目47~93のいずれか1項記載の組成物。
[項目95]
オリゴ糖組成物がヒトにおいて実質的に非吸収性である、項目47~94のいずれか1項記載の組成物。
[項目96]
オリゴ糖組成物が最低限度でヒトにより消化可能である、項目47~95のいずれか1項記載の組成物。
[項目97]
オリゴ糖組成物が16%~24%のデキストロース当量(乾燥量基準)を含む、項目47~96のいずれか1項記載の組成物。
[項目98]
オリゴ糖組成物が13%~27%のデキストロース当量(乾燥量基準)を含む、項目47~96のいずれか1項記載の組成物。
[項目99]
オリゴ糖組成物が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%の全食物繊維(乾燥量基準)を含む、項目47~96のいずれか1項記載の組成物。
[項目100]
オリゴ糖組成物が65%~95%の全食物繊維(乾燥量基準)を含む、項目47~96のいずれか1項記載の組成物。
[項目101]
組成物が、検出可能な量の可溶性食物繊維沈殿物(SDFP)、不溶性食物繊維(IDF)および/または高分子量食物繊維(HMWDF)を含有しない、項目47~100のいずれか1項記載の組成物。
[項目102]
項目1~101のいずれか1項記載のオリゴ糖組成物の有効量をヒト対象に投与することを含む、ヒト対象におけるアンモニアレベルを低下させる方法。
[項目103]
アンモニアレベルがヒト対象における血中アンモニアレベルである、項目102記載の方法。
[項目104]
対象が尿素サイクル異常症を有し、またはそれを有すると診断されている、項目102または103記載の方法。
[項目105]
対象が小児集団の対象である、項目102~104のいずれか1項記載の方法。[項目106]
項目1~101のいずれか1項記載のオリゴ糖組成物の有効量をヒト対象に投与することを含む、高アンモニア血症に関連した疾患もしくは状態を有する又は該疾患もしくは状態を有すると診断されたヒト対象における高アンモニア血症クリーゼの割合を低下させる方法。
[項目107]
対象が尿素サイクル異常症を有し、またはそれを有すると診断されている、項目106記載の方法。
[項目108]
対象が小児集団の対象である、項目106または107記載の方法。
[項目109]
対象が肝性脳症(HE)を有し、またはそれを有すると診断されている、項目106記載の方法。
[項目110]
対象が老人集団の対象である、項目109記載の方法。
[項目111]
対象が肝硬変を有し、またはそれを有すると診断されている、項目109または110記載の方法。
[項目111]
対象が感染症を有し、またはそれを有すると診断されている、項目109~111のいずれか1項記載の方法。
[項目112]
項目1~101のいずれか1項記載のオリゴ糖組成物の有効量をヒト対象に投与することを含む、ヒト対象における脳症の治療方法。
[項目113]
対象が肝性脳症(HE)を有し、またはそれを有すると診断されている、項目112記載の方法。
[項目114]
対象が老人集団の対象である、項目112または113記載の方法。
[項目115]
対象が肝硬変を有し、またはそれを有すると診断されている、項目112または114のいずれか1項記載の方法。
[項目116]
対象が非代償性肝硬変を有し、またはそれを有すると診断されている、項目112~115のいずれか1項記載の方法。
[項目117]
対象が感染症を有し、またはそれを有すると診断されている、項目112~116のいずれか1項記載の方法。
[項目118]
項目1~101のいずれか1項記載のオリゴ糖組成物をヒト対象に投与することを含む、肝硬変を有するヒト対象または肝硬変を有すると診断されたヒト対象の治療方法。
[項目119]
対象が非代償性肝硬変を有し、またはそれを有すると診断されている、項目118記載の方法。
[項目120]
対象が顕性肝性脳症(OHE)を有し、またはそれを有すると診断されている、項目118または119記載の方法。
[項目121]
対象がラクツロースおよび/またはリファキシミンで治療されたことがあり、または現在治療されている、項目106~120のいずれか1項記載の方法。
[項目122]
項目1~101のいずれか1項記載のオリゴ糖組成物の有効量を対象に投与することを含む、ヒト対象における尿素サイクル異常症(UCD)の治療方法。
[項目123]
対象が小児集団の対象である、項目122記載の方法。
[項目124]
(a)デキストロース単量体を含むデキストロース調製物を、攪拌条件下、120℃~145℃の範囲の温度に加熱すること、
(b)酸性プロトンを含む触媒と共にデキストロース単量体を含むデキストロース調製物を含む反応混合物を生成させること(ここで、デキストロース単量体に対する酸性プロトンのモル比は0.001~0.25の範囲である)、および
(c)反応混合物中のデキストロース単量体の重量パーセントが30%未満になるまで、反応混合物をその沸点で維持するために十分な熱を反応混合物に伝達させることにより、反応混合物において酸触媒オリゴ糖形成を促進させること(ここで、反応混合物は0.5~1.5気圧の圧力で維持される)
を含む、複数のオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物の製造方法。
[項目125]
製造方法が更に、
(d)反応混合物の温度を100℃以下にしながら、水を使用して反応混合物をクエンチすること、および
(e)オリゴ糖を酸触媒から分離すること
を含む、項目124記載の製造方法。
[項目126]
工程(a)において、酸触媒が、デキストロースに対する酸性プロトンのモル比が0.0016~0.022の範囲となる量で存在する、項目124または125記載の製造方法。
[項目127]
反応混合物中のデキストロース単量体の重量パーセントが25%未満になるまで、反応混合物をその沸点で維持する、項目124~126のいずれか1項記載の製造方法。
[項目128]
反応混合物中のデキストロース単量体の重量パーセントが13~18%になるまで、反応混合物をその沸点で維持する、項目124~127のいずれか1項記載の製造方法。
【外国語明細書】