IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本たばこ産業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109842
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】喫煙システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/20 20200101AFI20240806BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240806BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240806BHJP
【FI】
A24F40/20
A24D1/20
A24F40/42
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024084484
(22)【出願日】2024-05-24
(62)【分割の表示】P 2022503594の分割
【原出願日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/007940
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/046206
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
(72)【発明者】
【氏名】隅井 干城
(57)【要約】      (修正有)
【課題】喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む、改良された喫煙システムを提供する。
【解決手段】デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバ50と、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部と、を含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口52と、消耗品を保持する保持部60と、を含む。保持部60は、消耗品の一部を押圧する押圧部62を含む。押圧部62は、外面62bと、平坦な内面とを有する。消耗品は、喫煙可能物と、フィルタセグメントと、を有する。フィルタセグメントは、吸口フィルタとセンターホールセグメントとを含む。センターホールセグメントは、吸口フィルタよりも喫煙可能物側に位置する
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙可能物を有する消耗品と、前記喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムであって、
前記デバイスは、
前記消耗品を受け入れるチャンバと、
前記チャンバに受け入れられた前記消耗品を加熱する加熱部と、を含み、
前記チャンバは、前記消耗品が挿入される開口と、前記消耗品を保持する保持部と、を含み、
前記保持部は、前記消耗品の一部を押圧する押圧部を含み、
前記押圧部は、外面と、平坦な内面とを有し、
前記消耗品は、前記喫煙可能物と、フィルタセグメントと、を有し、
前記フィルタセグメントは、吸口フィルタとセンターホールセグメントとを含み、
前記センターホールセグメントは、前記吸口フィルタよりも前記喫煙可能物側に位置する、喫煙システム。
【請求項2】
請求項1に記載された喫煙システムにおいて、
前記センターホールセグメントの内径は、1.0mm以上5.0mm以下である、喫煙システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された喫煙システムにおいて、
前記吸口フィルタは、その内部にカプセルを含む、喫煙システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記センターホールセグメントの硬さは、前記吸口フィルタの硬さよりも大きい、喫煙システム。
【請求項5】
請求項4に記載された喫煙システムにおいて、
前記センターホールセグメントに含まれる可塑剤の質量パーセントは、前記吸口フィルタに含まれる可塑剤の質量パーセントより大きい、喫煙システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記保持部は、互いに対向する2つの前記押圧部を有し、
2つの前記押圧部の前記内面は、互いに平行である、喫煙システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記保持部は、内面及び外面を備える非押圧部を有する、喫煙システム。
【請求項8】
請求項7に記載された喫煙システムにおいて、
前記押圧部の前記内面は、向かい合う一対の平面状の平面押圧面を有し、
前記非押圧部の前記内面は、一対の前記平面押圧面の両端を接続し、向かい合う一対の曲面状の曲面非押圧面を有する、喫煙システム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載された喫煙システムにおいて、
前記保持部は、前記消耗品が前記チャンバの所望の位置に位置決めされたとき、前記非押圧部の前記内面と前記消耗品との間に、前記チャンバの前記開口と前記チャンバの所望の位置に位置決めされた前記消耗品の端面、もしくは前記チャンバの前記開口と前記チャンバ内に位置づけられ前記チャンバの前記開口から遠い方に位置づけられた前記消耗品の端面、に連通する空隙が設けられる、喫煙システム。
【請求項10】
請求項9に記載された喫煙システムにおいて、
前記空隙の高さは、0.1mm以上1.0mm以下である、喫煙システム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載された喫煙システムにおいて、
前記チャンバは底部又は突当部を有し、
前記底部又は突当部は、前記消耗品の端面の少なくとも一部が露出され、且つ露出した前記消耗品の前記端面が前記空隙と連通するように、前記チャンバの所望の位置に位置決めされた前記消耗品の一部を支持する、喫煙システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記消耗品は、前記喫煙可能物と前記フィルタセグメントとの間に冷却セグメントを有する、喫煙システム。
【請求項13】
請求項12に記載された喫煙システムにおいて、
前記冷却セグメントの表面積は、300mm/mm以上1000mm/mm以下である、喫煙システム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記押圧部は、前記消耗品の少なくとも前記喫煙可能物を押圧するように構成される、喫煙システム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記消耗品が前記チャンバの所望の位置に位置決めされたとき、前記センターホールセグメントが変形する、喫煙システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。香味吸引器は、例えば、香味発生物品を収容するチャンバと、チャンバに収容される香味発生物品を加熱するヒータとを有する(例えば、特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001-521123号公報
【特許文献2】特許第5963375号公報
【特許文献3】国際公開第2016/207407号パンフレット
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1態様によれば、喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムが提供される。デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部とを含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部と、を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部と、を含む。押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有する。加熱部は、押圧部の外面に配置される。押圧部の内面は消耗品を押圧する押圧面とも言え、非押圧部の内面は消耗品を押圧しない非押圧面とも言える。
【0005】
第1態様によれば、消耗品が加熱面(押圧部の内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。なお、消耗品は、たばこや非たばこを含む喫煙可能物を有する。消耗品はマウスピースを有していても、有しなくてもよい。マウスピースを有する消耗品としては、たばこなどを喫煙可能物として有する従来のシガレットに外見が似たスティックタイプのものであってもよい。マウスピースを有さない消耗品としては、たばこなどの喫煙可能物自体をタブレット形状などに固めたもの、喫煙可能物を不織布などの通気性部材や紙などのシート部材で巻いたものであってもよい。また、加熱部は、加熱要素を有してもよい。チャンバは、例えば有底筒状の容器、又は底のない筒状体であり得る。チャンバは、熱伝導率の高い金属などの物質で構成されることが好ましく、ステンレス鋼等が挙げられる。これにより効果的な加熱が可能となる。チャンバの壁厚みは均一(実質的に均一である場合も含む)であることが好ましい。これによりチャンバ全体をより均一に加熱することが可能となる。チャンバの厚みは、例えば0.04mm以上1.00mm以下であり、好ましくは0.04mm以上0.50mm以下であり、より好ましくは0.05mm以上0.10mm以下である。
【0006】
加熱部は、押圧部の外面に隙間なく(押圧部の外面と加熱部との間に隙間なく)配置されるのが好ましい。ここでの隙間なくとは、実質的に隙間なくという意味も含む。これにより、加熱部が押圧部の外面に密着するので加熱部からの熱をさらに効率よく消耗品に伝えることができる。なお、加熱部は接着層を含んでもよい。その場合、接着層を含む加熱部が、押圧部の外面に隙間なく配置されることが好ましい。
【0007】
開口は、消耗品を押圧せずに受け入れ可能であることが好ましい。これにより、消耗品をチャンバ内に容易に挿入することができる。チャンバの長手方向、言い換えれば消耗品がチャンバに挿入される方向もしくはチャンバの側面全体として伸びる方向(以降、チャンバの長手方向とだけ記載する)に直交する面におけるチャンバの開口の形状は多角形又は楕円形であってもよいが、円形であることが好ましい。これにより消耗品を開口に容易に挿入することができる。
【0008】
保持部の内周長さは、押圧部によって押圧される前の消耗品の外周長さと同一であることが好ましい。なお、ここで「同一」とは、実質的に同一である場合を含む。「実質的に同一」であるとは、保持部の内周長さと押圧部によって押圧される前の消耗品の外周長さとの差が、保持部の内周長さの例えば±6%以内であることをいい、好ましくは±4%以内であることをいい、より好ましくは±2%以内であることをいう。上述したように、保持部は、押圧部と非押圧部を有する。保持部の内周長さが消耗品の外周長さと実質的に同一である場合、押圧部によって消耗品の一部が押圧されることにより、消耗品の外周形状が保持部の内面の断面形状と略一致することになる。保持部の内周長さ及び内周形状が、消耗品の外周長さ及び外周形状と同一の場合と比べて、本喫煙システムでは消耗品が押圧部により押圧される箇所が形成されるので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。また、保持部の内周長さよりも消耗品の外周長さが短い場合に比べて、消耗品の外周面の押圧されない箇所も保持部の内周面(非押圧面)と実質的に接触するので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。さらに、保持部の内周長さよりも消耗品の外周長さが長い場合に比べて、消耗品を保持部にスムーズに挿入でき、消耗品の外周面及び消耗品内部(例えば、喫煙可能物の一例としてのたばこ)の密度にひずみが生じることを抑制できる。その結果、消耗品内部の密度にひずみが生じることによって起こり得る、不均一な加熱や、消耗品毎に通気抵抗がバラつくことを抑制することができる。また、保持部の内周長さは、押圧部によって押圧された状態の消耗品の外周長さと実質的に同じであることが好ましいとも言えるし、保持部の内周長さとは保持部のチャンバの長手方向に直交する面における内周長さとしてもよい。また、「押圧部によって押圧される前の消耗品の外周長さ」とは、押圧部によって押圧される前の消耗品の外周長さのうち、押圧部によって押圧された際にチャンバの長手方向において、比較されている保持部の内周長さに対応する位置に位置づけられる部分の外周長さとしてもよい。また、「押圧部によって押圧された状態の消耗品の外周長さ」とは、押圧部によって押圧された状態の消耗品の外周長さのうちチャンバの長手方向において、比較されている保持部の内周長さに対応する位置の外周長さとしてもよい。
【0009】
保持部の外周面は、チャンバの長手方向全長に亘って同一の形状及び大きさ(チャンバの長手方向に直交する面における保持部の外周長さ)を有することが好ましい。これにより、保持部の押圧部の外面に加熱部がたるんで設けられることを抑制することができ、その結果、押圧部の外面に加熱部を実質的に隙間なく容易に設けることができる。
【0010】
非押圧部は、消耗品がチャンバ内の所望の位置に配置されたとき、消耗品と、非押圧状態で接触することが好ましい。ここでの非押圧状態とは、実質的に非押圧状態であることを含む。これにより、消耗品と保持部との間に隙間が実質的に生じないので、非押圧部においても加熱部から消耗品への熱伝導効率がさらに向上し得る。非押圧部は、対向する内面が平面である押圧部を繋ぐ内面を有し、その内面が曲面であってもよい。
【0011】
保持部の非押圧部の内面は、押圧部の内面のチャンバの周方向における端部同士を接続する曲面を有することが好ましい。これにより、喫煙システムの構造をより簡素化することができるとともに内面が角を有する場合などに比べ非押圧部の清掃をより容易に行うことができる。後段で述べる空隙がチャンバ内に形成される場合においては、内面が角を有する場合などに比べ空隙の清掃をより容易に行うことができる。非押圧部の内面のチャンバの長手方向に直交する面における形状は、チャンバの長手方向に直交する面における開口の形状と、チャンバの長手方向の任意の位置において同一であることが好ましい。言い換えれば、非押圧部の内面は、開口を形成するチャンバの内面を長手方向に延長して形成されることが好ましい。これにより、チャンバの構成を簡素化することができ、後段で述べる空隙がチャンバ内に形成される場合においては、チャンバの開口から入り込む空気の流れが阻害されることが抑制される。また、空隙の清掃をより容易に行うことができる。なお「チャンバの周方向」とは「チャンバの長手方向を軸とする回転方向」と考えてもよい。
【0012】
押圧部の外面は、曲面又は凹凸面であってもよいが、平面であることが好ましい。なお、ここでの「平面」は実質的に平面である場合を含む。「押圧部の外面が実質的に平面である」とは、押圧部の外面の全体に対する平面の割合という観点であれば、押圧部の外面の全体に対する平面の割合が、例えば80%以上であることをいい、好ましくは90%以上であることをいい、より好ましくは95%以上であることをいう。
【0013】
押圧部の外面が平面であることにより、押圧部の外面に配置される加熱部に帯状の電極が接続されている場合に、帯状の電極が撓むことを抑制することができるので、電極のデバイス内での引き回しが容易になる。また、押圧部の外面が曲面又は凹凸面である場合に比べて、加熱部を精度よく位置決めし、押圧部の外面に加熱部を容易に隙間なく配置することができる。
【0014】
押圧部の内面は、平面であることが好ましい。これにより、消耗品の挿入が行いやすくなる。ここでの「平面」は、実質的に平面である場合も含む。また、押圧部の厚みは、均一であることが好ましい。これにより、より均一な加熱が行える。ここでの「厚みは均一」は、実質的に均一である場合も含む。押圧部の厚みは、例えば0.04mm以上1.00mm以下であり、好ましくは0.04mm以上0.50mm以下であり、より好ましくは0.05mm以上0.10mm以下である。これにより押圧部の体積が大きすぎることによる消耗品への効率的な熱伝達の阻害を抑制し、必要な押圧部の強度を確保し得る。
【0015】
押圧部の内面が平面である場合において、チャンバは、押圧部を1つだけ有していてもよいが、チャンバの周方向に2以上有することが好ましい。これにより、消耗品を押圧する箇所がチャンバの周方向に2以上存在するので、消耗品をより包括的かつ均一に加熱することができる。
【0016】
保持部は、互いに対向する2つの押圧部を有し、2つの押圧部の内面間の少なくとも一部の距離は、チャンバに挿入される消耗品の押圧部間に配置される箇所の幅よりも小さいことが好ましい。保持部の互いに対向する2つの押圧部の内面は平面でもよい。
【0017】
押圧部の内面が平面である場合において、押圧部は、チャンバの周方向に3つ以上存在してもよい。押圧部の各々は、押圧部の各々と対向する様に配置されてもよいし、非押圧部の各々と対向するように配置されてもよい。非押圧部の各々と対向するように配置される場合、チャンバの長手方向に直交する面において、それぞれの押圧部の内面の中心から垂直に延びる線が交わる点と各押圧部の内面の中心との距離は、挿入される円形の断面を有する消耗品の半径よりも小さくてもよい。ここでの「円形」は実質的に円形であることも含む。
【0018】
押圧部の内面は、向かい合う一対の平面状の平面押圧面を有し、非押圧部の内面は、一対の平面押圧面の両端を接続し、向かい合う一対の曲面状の曲面非押圧面を有することが好ましい。曲面非押圧面は、チャンバの長手方向に直交する面において、全体的に円弧状の断面を有し得る。保持部は均一な厚みを有する金属筒状体によって構成され得る。ここでの均一な厚みとは、実質的に均一な厚みを含む。これによって、チャンバの構造が簡素化され高精度な製造が容易になる。また、これにより押圧部と非押圧部との位置をバランスよく配置できて加熱が均一化され、加熱部を位置精度よく、且つ隙間なく押圧部の外面に配置しやすくなり、加熱効率を向上させることができる。保持部の厚みは、例えば0.04mm以上1.00mm以下であり、好ましくは0.04mm以上0.50mm以下であり、より好ましくは0.05mm以上0.10mm以下である。これにより保持部の体積が大きすぎることによる消耗品への効率的な熱伝達の阻害を抑制し、必要な保持部の強度を確保し得る。
【0019】
保持部は消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、非押圧部の内面と消耗品との間に、チャンバの開口とチャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の端面、もしくはチャンバの開口とチャンバ内に位置づけられチャンバの開口から遠い方に位置づけられた消耗品の端面、に連通する空隙が設けられてもよい。空隙はユーザが吸引を行った際にチャンバの開口から消耗品の端面に向けて空気を流す流路であり、消耗品に供給される空気を導入するための流路を喫煙システムに別途設ける必要がないので、喫煙システムの構造を簡素化することができるとともに、非押圧部の、空隙の一部を形成する箇所が露出するため空隙の清掃を容易に行うことができる。また、空隙を通過する空気を効率よく加熱して、加熱部からの熱エネルギーを効果的に利用することができる。通気抵抗の観点等から空隙の高さ(チャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の断面中心から放射状に延びる線上において最も長い非押圧部の内面と消耗品との間の距離の大きさ)は、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.8mm以下であることがさらに好ましく、0.3mm以上0.5mm以下であることが最も好ましい。
例えば、保持部は、チャンバの周方向に離間した少なくとも2つの押圧部を有し、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、2つの押圧部を接続する非押圧部の内面と消耗品との間に、チャンバの開口とチャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の端面、もしくはチャンバの開口とチャンバ内に位置づけられチャンバの開口から遠い方に位置づけられた消耗品の端面、に連通する空隙が設けられることが好ましく、空隙については、2つの押圧部を接続する2つの非押圧部の内面と消耗品との間に設けられる2つの空隙であることがより好ましく、3つ以上の押圧部を接続する3つ以上の非押圧部の内面と消耗品との間に設けられる3つ以上の空隙であることがさらに好ましい。これにより、チャンバ内の空気流れの偏りをより抑制でき、より均一な加熱を阻害することを抑制できる。
【0020】
2つの押圧部は、互いに対向することが好ましい。この場合、チャンバ内の空気流れの偏りをより抑制でき、より均一な加熱を阻害することをより抑制できる。また、2つの押圧部は互いに平行であることが好ましい。この場合、互いに対向する平行な2つの押圧部により消耗品が押圧されるので、消耗品の両側から均等に消耗品を加熱でき、エアロゾルを効率よく発生させることができる。
【0021】
保持部は保持部の内面に凸部を有さないことが好ましい。均一な厚みをもつ保持部の内面が凸部を有することで保持部の外面に凹部が形成される場合には加熱部を押圧部の外面に隙間なく配置することが困難になり得る。また、保持部の内面に凸部があることで保持部が不均一な厚みになり均一な加熱が阻害され得る。しかし、保持部が保持部の内面に凸部を有さないことでこれらが回避され得る。
【0022】
チャンバは、開口を形成するチャンバの内面と押圧部の内面とを接続するテーパ面を備えた第1ガイド部を有することが好ましい。第1ガイド部は、開口から押圧部に向けて、チャンバの内面の断面形状を連続的に変化させることができるので、消耗品をチャンバにスムーズに挿入することができる。開口と第1ガイド部との間のチャンバの外面、第1ガイド部の外面、及び非押圧部の外面から選ばれる少なくとも一つには加熱部を配置しないことが好ましい。これらの外面に対応する内面は消耗品を押圧しないので、これらの外面に加熱部を配置しないことで、エネルギーを効率よく加熱に使用することができる。
【0023】
チャンバは、開口と保持部との間に筒状の非保持部を備えることが好ましい。消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態において、非保持部の内面と消耗品との隙間は、例えば3.0mm以下であり、好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり且つ0.4mm以上である。隙間がこれらの範囲であると、非保持部を介して消耗品を効率よく加熱することができるので、消耗品の内部を通過するエアロゾルが凝縮することを抑制することができる。また、上記隙間が存在する場合には、隙間を通過する空気を効率よく加熱して、加熱部からの熱エネルギーを効果的に利用することができる。さらに、隙間が0.4mm以上であることで、消耗品をチャンバに挿入しやすくなる。なお、本明細書において「消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態」とは、消耗品からエアロゾルを発生させるために、消耗品がチャンバ内の意図された位置に正しく位置決めされた状態(例えばチャンバが「挿入された消耗品が突き当てられる底部」を有している場合は、消耗品が底部の少なくとも一部に突き当てられた状態、もしくはデバイスが「挿入された消耗品が突き当てられる突当部」をチャンバの内部又は外部に有している場合は、消耗品が突当部の少なくとも一部に突き当てられた状態)をいう。
【0024】
チャンバは、底部を有し得る。或いは、デバイスは、チャンバの内部又は外部に、チャンバ内に挿入された消耗品が突き当てられる突当部を有し得る。底部又は突当部は、消耗品の端面の少なくとも一部が露出されるようにチャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の一部を支持することが好ましい。また、喫煙システムが前述の空隙を有する場合には、底部又は突当部は、露出した消耗品の端面が空隙と連通する様に消耗品の一部を支持することが好ましい。これにより、消耗品の端面から空気を取り込むことができ、且つ消耗品の長手方向における位置決めを行うことができる。チャンバの底部は、底壁と、側壁と、を有し、側壁によって画定される底部の幅は、底壁に向かって小さくなってもよい。これにより、チャンバに挿入された消耗品が底部に到達したときに、側壁によって消耗品が圧縮されて消耗品の位置決めをすることができる。チャンバの底部又は突当部は、底壁又は突当面を有し、底壁又は突当部は、凸部又は溝部を有してもよい。また、チャンバの底部又は突当部は、底壁又は突当面を有し、底壁又は突当面は、空気をチャンバ内に取り込むための穴を有してもよい。
【0025】
チャンバは、少なくとも一方に開口を有する筒状部材を有してもよい。加熱部は、全ての押圧部に対して同時に加熱を開始するように構成されてもよいし、同じ時間帯に加熱を行ってもよい。
【0026】
加熱部は、押圧部の外面の全体に亘って配置されることが好ましい。これにより、加熱部から押圧部への熱伝導をより均一にすることができ、その結果、保持部に保持された消耗品を効率的に加熱することができる。
【0027】
デバイスは、加熱部から延びる帯状の電極を有してもよい。電極が帯状であるので、紐状の電極に比べて加熱部への電力供給の信頼性を向上させることができる。帯状の電極は、押圧部の外面に加熱部が配置された状態において、平面である押圧部の外面から押圧部の外面の外部に延びることが好ましい。前述の通り、押圧部の外面が平面であることにより、帯状の電極が撓むことを抑制することができるので、電極のデバイス内での引き回しが容易になる。
【0028】
帯状の電極は、2つの押圧部の一つの外面のみから延びてもよい。この場合、帯状の電極がまとめられるので、デバイスを小型化することができる。また、帯状の電極は、2つの押圧部のそれぞれの外面から延びてもよい。この場合、それぞれの帯状の電極により複数の独立した加熱部を設けることができ、或いはデバイスの部品配置に応じて、正極と負極を別々に延ばすことができる。帯状の電極は、チャンバの開口側と反対側に延びてもよい。この場合、消耗品を挿入するチャンバの開口側に電極が配置されないので、デバイスをシンプルな構造にすることができ、デバイスの信頼性が向上し得る。帯状の電極は、2層の電気絶縁材料からなる層の間に導電トラックからなる層を配置した構造を有してもよい。電気絶縁材料は例えばポリイミドであり、導電トラックは例えば金、銀、銅、ニッケル、これらを含む合金、又はこれらの金属若しくは合金の複数の組み合わせ等で形成され得る。これにより、製造容易であり且つ信頼性の高いフレキシブルな加熱構造が得られる。
【0029】
加熱部は、加熱要素と、加熱要素の少なくとも一面を覆う電気絶縁部材とを有することが好ましい。また、電気絶縁部材は、保持部の外面の領域内に配置されることが好ましい。言いかえれば、電気絶縁部材は、チャンバの長手方向の第1ガイド部側において保持部の外面からはみ出さないように配置されることが好ましい。上述したように、開口と押圧部との間に第1ガイド部が設けられる場合、第1ガイド部と保持部とではチャンバの外面の形状及びチャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバの外周長さが変わり得る。このため、電気絶縁部材が保持部の外面上にのみ配置されることで、たるみが生じることを抑制することができる。
【0030】
デバイスは、さらに、チャンバ及び加熱部を覆い、チャンバの外面に加熱部を固定するシート(固定シート)を備えることが好ましい。加熱部を固定するシートの例としては何らかの外的作用により収縮する収縮シートが挙げられ、具体的には、熱が与えられることにより収縮する熱収縮シート等が挙げられる。収縮シート等の固定シートはチャンバ及び加熱部を覆った状態でチャンバの長手方向よりも周方向への収縮率が高い方が好ましい。熱収縮シートはポリイミド・ポリプロピレン・ポリエチレンテレフタラート・ゼラチン・多糖類等を含んでいてもよい。固定シートにより、しっかりと加熱部をチャンバの外面に密着固定させることができるので加熱効率がさらに上がり、チャンバ周辺の構造が安定する。また、シートは、保持部の外面上に配置されることが好ましい。言い換えれば、シートは、チャンバの長手方向の第1ガイド部側において保持部の外面上からはみ出さないように配置されることが好ましい。上述したように、開口と保持部との間に第1ガイド部が設けられる場合、第1ガイド部と保持部とではチャンバの外面の形状及びチャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバの外周長さが変わり得る。このため、シートが保持部の外面上にのみ配置されることで、たるみが生じることを抑制することができる。
【0031】
加熱部は、開口と反対側に位置する第1部分と、開口側に位置する第2部分と、を有してもよい。第2部分のヒータ電力密度は、第1部分のヒータ電力密度よりも高いことが好ましい、又は、第2部分の昇温速度は、第1部分の昇温速度よりも高いことが好ましい、又は、第2部分の加熱温度は任意の同時間において、第1部分の加熱温度よりも高いことが好ましい。第2部分は、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態において、消耗品に含まれる喫煙可能物の長手方向において喫煙可能物の1/2以上に対応する保持部の外面を覆うことが好ましい。これによれば、エネルギー消費を抑制しながらも加熱部を起動してからファーストパフを行うことができるまでの時間を短縮することができる。
【0032】
消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態において、押圧部の外面に配置された加熱部又は加熱要素の上流(ユーザが吸引を行った際に空気やエアロゾルが流れる向きにおいての上流。以下同じ。)端は、消耗品の喫煙可能物の上流端よりも下流(ユーザが吸引を行った際に空気やエアロゾルが流れる向きにおいての下流。以下同じ。)端側に位置することが好ましい。例えば、加熱部又は加熱要素の上流端は、チャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の喫煙可能物の上流端よりも1.0mm以上10.0mm以下下流端側に位置し、好ましくは3.0mm以上6.0mm以下下流端側に位置し、さらに好ましくは4.5mm以上5.5mm以下下流端側に位置する。これにより、エアロゾルが喫煙可能物の上流端から流出するのを抑制することができる。また、喫味に良好な影響を与え得る。
【0033】
消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態において、押圧部の外面に配置された加熱部又は加熱要素の下流端は、消耗品の喫煙可能物の下流端よりも下流端側に位置することが好ましい。例えば、加熱部又は加熱要素の下流端は、チャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の喫煙可能物の下流端よりも1.0mm以上10.0mm以下下流端側に位置し、好ましくは2.0mm以上5.0mm以下下流端側に位置し、さらに好ましくは2.0mm以上3.0mm以下下流端側に位置する。これにより、エネルギー消費を抑制しながらもエアロゾルが凝集することを抑制することができる。
【0034】
押圧部の外面に配置される加熱部のヒータ電力密度は、非押圧部の外面を覆う加熱部のヒータ電力密度よりも高いことが好ましい、又は、押圧部の外面に配置される加熱部の昇温速度は、非押圧部の外面を覆う加熱部の昇温速度よりも高いことが好ましい、又は、押圧部の外面に配置される加熱部の加熱温度は任意の同時間において、非押圧部の外面に配置される加熱部の加熱温度よりも高いことが好ましい。これによれば、保持部における押圧部の範囲が非押圧部の面積に対して一定以上大きい場合に、より効率よく喫煙可能物の加熱を行うことができる。押圧部の外面に配置される加熱部のヒータ電力密度は、非押圧部の外面を覆う加熱部のヒータ電力密度と同一であってもよい。押圧部の外面に配置される加熱部の昇温速度は、非押圧部の外面を覆う加熱部の昇温速度と同一であってもよい。押圧部の外面に配置される加熱部の加熱温度は、非押圧部の外面を覆う加熱部の加熱温度と同一であってもよい。なお、ここでの「同一」とは実質的に同一である場合を含む。
【0035】
加熱部は、加熱要素を有し、加熱要素は、ヒーティングトラックであってもよい。押圧部の外面と非押圧部の外面とは、角度を有して互いに接続され、押圧部の外面と非押圧部の外面との間に境界が形成され得る。ヒーティングトラックは、好ましくは境界の延びる方向と交わる方向のみに、さらに好ましくは境界の延びる方向と直角方向に延びる。これにより、ヒーティングトラックが破損しにくく、且つ保持部の外面から剥離しにくくなる。なお、ここでの「直角方向」とは実質的に直角方向である場合も含む。
【0036】
加熱部は、例えばシートヒータであり得る。シートヒータは、例えば、電気絶縁材料からなる層と加熱要素の一例であるヒーティングトラックからなる層とを重ねた構造を有し得る。また、例えば、加熱部は、2層の電気絶縁材料からなる層の間にヒーティングトラックからなる層を配置する構造を有し得る。電気絶縁材料は例えばポリイミドであり、ヒーティングトラックは例えばステンレス等の金属であり得る。これにより、製造容易であり且つ信頼性の高いフレキシブルな加熱構造が得られる。
【0037】
消耗品は、喫煙可能物と、フィルタセグメントと、を有し得る。フィルタセグメントは、吸口フィルタとセンターホールセグメントとを含み得る。センターホールセグメントは、吸口フィルタよりも喫煙可能物側に位置し得る。具体的には、消耗品は、喫煙可能物と、マウスピース部と、これらを巻装してなるチップペーパ等の第2の巻紙とを備える棒状の非燃焼加熱式たばこであり得る。マウスピース部は、冷却セグメントと、フィルタセグメントと、を有する。フィルタセグメントは、センターホールセグメント(中空フィルタ部)と、吸口フィルタ(フィルタ部)と、を有する。消耗品の軸方向(「長軸方向」とも称する。)に対して、冷却セグメントが、喫煙可能物とフィルタセグメントとに隣接して挟持されてもよい。また、冷却セグメントには、冷却セグメントの周方向に同心状に開孔Vが設けられていてもよい。消耗品における冷却セグメントに設けられる開孔Vは、通常、ユーザの吸引による外部からの空気の流入を促進するための孔であり、この空気の流入により喫煙可能物から流入する成分や空気の温度を下げることができる。
【0038】
消耗品は、第1の硬さを有する第1の箇所と、第2の硬さを有する第2の箇所を有し、第2の箇所は消耗品の挿入方向において第1の箇所と異なる箇所であり、第1の箇所は第2の箇所よりも消耗品の長手方向の端側に配置されてもよい。
【0039】
消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、消耗品は、第1の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされることが好ましい。また、第1の硬さは、例えば65%以上かつ90%以下であり、70%以上かつ85%以下であることが好ましく、73%以上かつ82%以下であることがさらに好ましく、77%以上81%以下であることが最も好ましい。これにより、消耗品自身が形状を保ちやすく、且つ消耗品を保持部へ挿入しやすくなる。
【0040】
消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、消耗品は、第2の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされることが好ましい。また、第2の硬さは、例えば90%以上かつ99%以下であり、90%以上99%以下であることが好ましく、92%以上かつ98%以下であることがさらに好ましく、95%以上98%以下が最も好ましい。これにより、挿入が行い易く消耗品がしっかりと保持される。
【0041】
第2の硬さは第1の硬さよりも高いことが好ましい。これによれば、消耗品の保持部への挿入し易さと消耗品のしっかりとした保持が同時に達成され得る。また、消耗品をチャンバに挿入したときに第1の箇所のみが押圧部の内面に押圧される状態から第2の箇所も押圧部の内面に押圧される状態に変わることで、ユーザは、消耗品の挿入中に抵抗の変化を感じることができる。その結果、ユーザが、消耗品がどの程度チャンバに挿入されたかを挿入中に知ることができ、所望の挿入位置まであとどの程度挿入すればよいかを知る手掛かりになり、消耗品を所望の位置に位置決めしやすくなる。この抵抗の変化をより明確にユーザが感じられるように、第1の箇所と第2の箇所が隣り合って配置されていることが好ましい。また、第1の硬さと第2の硬さの差は少なくとも4%以上であることが好ましく、10%以上であることがさらに好ましく、14%以上であることが最も好ましい。
【0042】
本明細書の全体にわたって使用される用語「硬さ」は、変形するための抵抗を意味する。硬さは割合として一般に表現される。消耗品が円筒形のスティックである場合、負荷を加える前の消耗品の直径をDとし、直径方向に所定の負荷を加えた状態の消耗品の負荷を与えられた方向の直径をDとすると、所定の負荷を加えたときの消耗品の変形量dは、D-Dで表すことができる。ここで、硬さ(%)はDd/Ds×100(%)によって示される。消耗品を構成する材料がより硬いほど、硬さは100%に近くなる。
【0043】
の測定は、ISO187に従って摂氏22±2度の周囲温度および60%の相対湿度下にて、Hardness Tester H10(Borgwaldt KC GmbH、ドイツ、ハンブルグ)という商品名で市販されている装置を使用し、与えられる負荷を88グラムとして、負荷を5秒間与えた時点で行われる。
【0044】
消耗品の第1の箇所の長手方向における長さは、押圧部の内面の長手方向の長さ以下であり、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、消耗品の第1の箇所が長手方向において押圧部の内面からはみ出さないように消耗品がチャンバに位置決めされることが好ましい。これにより、第1の箇所に喫煙可能物が含まれる場合に、長手方向における全長において喫煙可能物が押圧されるので喫煙可能物全体を効率よく加熱及び霧化することができる。また、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた際、消耗品の喫煙可能物の全外周面が保持部によって覆われることが好ましい。これにより、喫煙可能物の全外周面が保持部によって直接加熱されるので、均一で効率よく喫煙可能物を加熱することができる。また、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、消耗品は、第1の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされると同時に第2の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされることが好ましい。これにより、第1の箇所に喫煙可能物が含まれる場合に、押圧部による喫煙可能物の効率的な加熱と消耗品のしっかりした保持とが同時に達成され得る。
【0045】
消耗品が所望の位置に位置決めされた際に消耗品の第2の箇所が保持部に挿入される距離は1.0mm以上かつ10.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以上かつ8.0mm以下がさらに好ましく、4.0mm以上かつ6.0mm以下が最も好ましい。これにより適切な消耗品の保持力の担保と消耗品の挿入のし易さが同時に達成され得る。
【0046】
チャンバは底部又は突当部を有してもよい。チャンバの底部又は突当部の消耗品が突き当てられる底壁又は突当面から押圧部の開口側の端部までの長さは、消耗品の第1の箇所の長手方向における長さ(以下第1の箇所の長さという)よりも長く、且つ第1の箇所の長さの1.5倍より短いことが好ましく、1.35倍よりも短いことがさらに好ましい。且つ/又は、消耗品の第1の箇所の少なくとも一部は、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、保持部の長手方向中央部よりも開口側に位置することが好ましい。これにより、消耗品の第1の箇所がチャンバの底壁又は突当面に当接する前に抵抗の変化を感じることができ、その変化を感じる挿入位置が比較的消耗品の所望の挿入位置に近い位置とすることができるので、より消耗品を所望の位置に位置決めしやすくなり、ユーザの使用感覚が向上し得る。
【0047】
第1の箇所は、香味源の一例としてのたばこを含む喫煙可能物を有することが好ましい。また、第1の箇所は、喫煙可能物を巻き、通気性を有するシート部材と、シート部材に固定され、喫煙可能物の落下を防止する蓋とを有し得る。蓋は通気性を有し、シート部材に例えば糊で貼り付けられ得る。また、蓋は、シート部材に摩擦力により固定されてもよい。蓋は、例えば、ペーパフィルタ又はアセテートフィルタであり得る。第2の箇所は、冷却セグメントを有し得る。冷却セグメントは、紙管又は中空フィルタを含み得る。
【0048】
棒状の消耗品は、以下のように定義されるアスペクト比が1以上である形状を満たす柱状形状を有していることが好ましい。
アスペクト比=h/w
wは柱状体の底面の幅(本明細書においては、喫煙可能物側の底面の幅とする。)、hは高さであり、h≧wであることが好ましい。本明細書においては、長軸方向はhで示された方向であると規定する。したがって、仮にw≧hである場合においてもhで示された方向を便宜上長軸方向と称する。底面の形状は限定されず、多角、角丸多角、円、または楕円等であってよく、幅wは当該底面が円形の場合は直径、楕円形である場合は長径、または多角形もしくは角丸多角である場合は外接円の直径もしくは外接楕円の長径である。
【0049】
消耗品は、喫煙可能物を巻装する第1の巻紙を有していてもよい。消耗品の長手方向の長さは、40mm~90mmであることが好ましく、50mm~75mmであることがより好ましく、50mm~60mmであることがさらに好ましい。より詳細には、消耗品の長軸方向の長さhは、特段制限されず、例えば、通常40mm以上であり、45mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましい。また、消耗品の長軸方向の長さhは、通常100mm以下であり、90mm以下であることが好ましく、80mm以下であることがより好ましい。消耗品の円周は、15mm~25mmであることが好ましく、17mm~24mmであることがより好ましく、20mm~23mmであることがさらに好ましい。より詳細には、消耗品の柱状体の底面の幅wは、特段制限されず、例えば、通常5mm以上であり、5.5mm以上であることが好ましい。また、消耗品の柱状体の底面の幅wは、通常10mm以下であり、9mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましい。また、消耗品における喫煙可能物の長さは18mm~22mm、第1の巻紙の長さは18mm~22mm、センターホールセグメントの長さは7mm~9mm、吸口フィルタの長さは6mm~8mmであってよい。
【0050】
消耗品の長軸方向の長さにおける、冷却セグメント及びフィルタセグメントの長さの割合(冷却セグメント:フィルタセグメント)は、特段制限されないが、香料のデリバリ量や適切なエアロゾル温度の観点から、通常0.60~1.40:0.60~1.40であり、0.80~1.20:0.80~1.20であることが好ましく、0.85~1.15:0.85~1.15であることがより好ましく、0.90~1.10:0.90~1.10であることがさらに好ましく、0.95~1.05:0.95~1.05であることが特に好ましい。冷却セグメント及びフィルタセグメントの長さの割合を上記範囲内とすることで、冷却効果、生成した蒸気及びエアロゾルが冷却セグメントの内壁に付着することによるロスを抑制する効果、及びフィルタの空気量及び香味の調整機能のバランスがとれて、良好な香味及び香味の強さを実現できる。特に、冷却セグメントを長くすると、エアロゾル等の粒子化が促進され良好な香味を実現できるが、長すぎると通過する物質の内壁への付着が生じてしまう。
【0051】
消耗品の1本当たりの長軸方向の通気抵抗は、特段制限されないが、吸い易さの観点から、通常8mmHO以上であり、10mmHO以上であることが好ましく、12mmHO以上であることがより好ましく、また、通常100mmHO以下であり、80mmHO以下であることが好ましく、60mmHO以下であることがより好ましい。通気抵抗は、ISO標準法(ISO6565:2015)に従って、例えばセルリアン社製フィルター通気抵抗測定器を使用して測定される。通気抵抗は、消耗品110の側面における空気の透過が行なわれない状態で一方の端面(第1端面)から他方の端面(第2端面)に所定の空気流量(17.5cc/min)の空気を流した際の、第1端面と第2端面との気圧差を指す。単位は、一般的にはmmHOで表す。通気抵抗と消耗品110の長さとの関係は、通常実施する長さ範囲(長さ5mm~200mm)においては比例関係であることが知られていて、長さが倍になれば、消耗品の通気抵抗は倍になる。
【0052】
マウスピース部の構成は、消耗品の軸方向に対して、冷却セグメントが、喫煙可能物とフィルタセグメントとに隣接して挟持されるように構成されていれば、特に制限されない。言い換えれば、消耗品は、喫煙可能物とフィルタセグメントとの間に冷却セグメントを有し得る。以下、フィルタセグメント及び冷却セグメントについて詳細に説明する。
【0053】
(フィルタセグメントに関する開示)
フィルタセグメントは、吸口フィルタを含み、一般的なフィルタとしての機能を有していれば特に制限されない。フィルタの一般的な機能とは、例えば、エアロゾル等を吸引する際に混ざる空気量の調整や、香味の軽減、ニコチンやタールの軽減等が挙げられるが、これらの機能を全て備えていることは要しない。また、紙巻きたばこ製品と比較して、生成される成分が少なく、また、たばこ充填物の充填率が低くなる傾向のある電気加熱式たばこ製品においては、濾過機能を抑えつつたばこ充填物の落下を防止する、ということも重要な機能の一つである。
【0054】
(寸法に関する開示)
フィルタセグメントの周方向の断面形状は実質的に円形であり、その円の直径は、製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、通常4.0mm以上、9.0mm以下であり、4.5mm以上、8.5mm以下であることが好ましく、5.0mm以上、8.0mm以下であることがより好ましい。なお、断面が円形でない場合、上記の直径には、その断面の面積と同じ面積を有すると仮定した円における直径が適用される。フィルタセグメントの周方向の断面形状の周の長さは、製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、通常14.0mm以上、27.0mm以下であり、15.0mm以上、26.0mm以下であることが好ましく、16.0mm以上、25.0mm以下であることがより好ましい。フィルタセグメントの軸方向の長さは、製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、通常15mm以上、35mm以下であり、17.5mm以上、32.5mm以下であることが好ましく、20.0mm以上、30.0mm以下であることがより好ましい。フィルタセグメントの形状や寸法が上記範囲となるように、吸口フィルタの形状や寸法を適宜調整できる。
【0055】
(通気抵抗に関する開示)
フィルタセグメントの軸方向の長さ120mm当たりの通気抵抗は、特段制限されないが、通常40mmHO以上、300mmHO以下であり、70mmHO以上、280mmHO以下であることが好ましく、90mmHO以上、260mmHO以下であることがより好ましい。上記の通気抵抗は、ISO標準法(ISO6565)に従って、例えばセルリアン社製フィルター通気抵抗測定器を使用して測定される。フィルタセグメントの通気抵抗は、フィルタセグメントの側面における空気の透過が行なわれない状態で一方の端面(第1端面)から他方の端面(第2端面)に所定の空気流量(17.5cc/min)の空気を流した際の、第1端面と第2端面との気圧差を指す。単位は、一般的にはmmH2Oで表す。フィルタセグメントの通気抵抗とフィルタセグメントの長さとの関係は、通常実施する長さ範囲(長さ5mm~200mm)においては比例関係であることが知られていて、長さが倍になれば、フィルタセグメントの通気抵抗は倍になる。
【0056】
(吸口フィルタに関する開示)
フィルタセグメントを構成する吸口フィルタは、例えば、後述する製造方法により製造したものを用いても、市販品を用いてもよい。また、フィルタセグメントの態様は、特段制限されず、単一のフィルタセグメントを含むプレーンフィルタ、デュアルフィルター又はトリプルフィルタ等の複数のフィルタセグメントを含むマルチセグメントフィルタ等とすることができる。フィルタセグメントは、公知の方法で製造することができ、例えば、セルロースアセテートトウの等の合成繊維を吸口フィルタの材料として用いる場合、ポリマー及び溶媒を含むポリマー溶液を紡糸し、これを捲縮する方法により製造することができる。該方法としては、例えば、国際公開第2013/067511号に記載の方法を用いることができる。フィルタセグメントの製造において、通気抵抗の調整や添加物(公知の吸着剤や香料(例えばメンソール)、粒状の活性炭、香料保持材等)の吸口フィルタへの添加を適宜設計できる。フィルタセグメントを構成する吸口フィルタの態様は特段制限されず、公知の態様を採用してよく、例えば、セルロースアセテートトウを円柱状に加工したものを挙げることができる。セルロースアセテートトウの単糸繊度、総繊度は特に限定されないが、円周22mmのマウスピース部の場合は、単糸繊度は5g/9000m以上、12g/9000m以下、総繊度は12000g/9000m以上、35000g/9000m以下であることが好ましい。セルロースアセテートトウの繊維の断面形状は、円形、楕円形、Y字型、I字型、R字型等が挙げられる。セルロースアセテートトウを充填した吸口フィルタの場合は、フィルタ硬さを向上させるためにトリアセチン(可塑剤)をセルロースアセテートトウ重量に対して、5重量%以上、10重量%以下添加してもよい。また、該アセテートフィルタの代わりに、シート状のパルプ紙を充填したペーパーフィルタを用いる態様でもよい。
【0057】
(センターホールセグメントに関する開示)
フィルタセグメントは、1つまたは複数の中空部を有するセンタホールセグメントを含んでいてもよい。センタホールセグメントは、通常、吸口フィルタよりも冷却セグメント側に配置され、好ましくは冷却セグメントと隣接するように配置される。
【0058】
センターホールセグメントは1つまたは複数の中空部を有する充填層と、該充填層を覆うインナープラグラッパー(内側巻取紙)とで構成される。中空部はセンターホールセグメントの任意の位置に設けることができる。センターホールセグメントは、マウスピース部の強度を高める機能を有する。充填層は、例えば酢酸セルロース繊維が高密度で充填されトリアセチンを含む可塑剤が酢酸セルロース質量に対して、6質量%以上、20質量%以下添加されて硬化されたロッドとすることができる。センターホールセグメントの内径は、φ1.0mm以上、φ5.0mm以下であり得る。充填層は繊維の充填密度が高いため、吸引時は、空気やエアロゾルは中空部のみを流れることになり、充填層内はほとんど流れない。センターホールセグメント内部の充填層が繊維充填層であることから、使用時の外側からの触り心地は、使用者に違和感を生じさせることが少ない。なお、センターホールセグメントがインナープラグラッパーを持たず、熱成型によってその形が保たれていてもよい。センターホールセグメントの硬さは、吸口フィルタの硬さよりも大きいことが好ましい。具体的には、センターホールセグメントに含まれる可塑剤の質量パーセントは、吸口フィルタに含まれる可塑剤の質量パーセントより大きいことが好ましい。消耗品において、吸口フィルタでのエアロゾル成分の濾過による減少を少なくしたいときに、吸口フィルタの長さを短くしてセンターホールセグメントで置き換えることは、エアロゾルのデリバリ量を増大させるために有効である。
【0059】
(フィルタ密度に関する開示)
吸口フィルタの密度は、特段制限されないが、通常0.10g/cm以上、0.25g/cm以下であり、0.11g/cm以上、0.24g/cm以下であることが好ましく、0.12g/cm以上、0.23g/cm以下であることがより好ましい。
【0060】
(フィルタラッパー(内側、外側巻取紙)に関する開示)
フィルタセグメントは、強度及び構造剛性の向上の観点から、上述の吸口フィルタ等を巻装する巻取紙(フィルタープラグ巻取紙)を備えていてよい。巻取紙の態様は特段制限されず、一列以上の接着剤を含む継ぎ目を含んでいてよい。該接着剤は、ホットメルト接着剤を含んでいてよく、さらに該ホットメルト接着剤は、ポリビニルアルコールを含み得る。また、フィルタセグメントが二以上のセグメントからなる場合、巻取紙は、これらの二以上のセグメントを併せて巻装することが好ましい。巻取紙の材料は特段制限されず、公知のものを用いることができ、また、炭酸カルシウム等の充填剤等を含んでいてよい。巻取紙の厚さは、特段制限されず、通常20μm以上、140μm以下であり、30μm以上、130μm以下であることが好ましく、30μm以上、120μm以下であることがより好ましい。巻取紙の坪量は、特段制限されず、通常20gsm以上、100gsm以下であり、22gsm以上、95gsm以下であることが好ましく、23gsm以上、90gsm以下であることがより好ましい。また、巻取紙は、コーティングされていても、されていなくともよいが、強度や構造剛性以外の機能を付与できる観点からは、所望の材料でコーティングされることが好ましい。
【0061】
センターホールセグメントと、吸口フィルタとは、例えばアウタープラグラッパー(外側巻取紙)で接続されていてよい。アウタープラグラッパーは、例えば円筒状の紙であることができる。また、喫煙可能物と、冷却セグメントと、接続済みのセンターホールセグメント及び吸口フィルタとは、例えばマウスピースライニングペーパー(第2の巻紙)により接続されていてよい。これらの接続は、例えばマウスピースライニングペーパーの内側面に酢酸ビニル系糊等の糊を塗り、喫煙可能物、冷却セグメントと、並びに接続済みのセンターホールセグメント及び吸口フィルタを入れて巻くことで接続することができる。なお、これらは複数のライニングペーパーで複数回に分けて接続されていてもよい。
【0062】
(破壊性カプセルに関する開示)
吸口フィルタは、ゼラチン等の破砕可能な外殻を含む破砕可能な添加剤放出容器(例えば、カプセル)を含んでもよい。カプセル(当該技術分野では「添加剤放出容器」とも呼ばれる)の態様は特段制限されず、公知の態様を採用してよく、例えば、ゼラチン等の圧力により破砕可能な外殻を含む破砕可能な添加剤放出容器とすることができる。この場合、カプセルは、たばこ製品のユーザにより使用前、使用中、または使用後に破壊されると、カプセル内に含まれる液体または物質(通常、香味剤)を放出し、次に、該液体または物質は、たばこ製品を使用する間はたばこの煙に伝達され、使用後においては周囲の環境へと伝達される。カプセルの形態は、特段限定されず、例えば、易破壊性のカプセルであってよく、その形状は球であることが好ましい。カプセルに含まれる添加剤としては、任意の添加剤を含んでいてもよいが、特に、香味剤や活性炭素を含むことが好ましい。また、添加剤として、煙を濾過する一助となる1種類以上の材料を加えてもよい。添加剤の形態は、特段限定されないが、通常、液体又は個体である。なお、添加剤を含むカプセルの使用は、当技術分野において周知である。易破壊性のカプセルおよびその製造方法は、本技術分野において周知である。香味剤としては、例えば、メンソール、スペアミント、ペパーミント、フェヌグリーク、クローブ、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等、又はこれらの任意の組み合わせが採用され得る。
【0063】
(吸口フィルタへの香料添加に関する開示)
吸口フィルタには香料が添加されてもよい。吸口フィルタに香料が添加されていることで、喫煙可能物を構成するたばこ充填物に香料を添加する従来技術に比べ、使用時の香料のデリバリ量が増大する。香料のデリバリ量の増加の程度は、後述する冷却セグメントに設けられている開孔の位置に応じてさらに増大する。吸口フィルタに対する香料の添加方法については特に制限されず、香料の添加対象の吸口フィルタにおいて略均一に分散されるように添加すればよい。吸口フィルタにおける香料の添加量としては、吸口フィルタの10~100体積%の部分に添加する態様を挙げることができる。その添加方法としては、フィルタセグメントの構成前に予め吸口フィルタに添加してもよく、吸口フィルタ付シガレットの構成後に添加してもよい。
【0064】
当該香料の種類は、特に限定されず、良好な香味の付与の観点から、アセトアニソール、アセトフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルチアゾール、アルファルファエキストラクト、アミルアルコール、酪酸アミル、トランス-アネトール、スターアニス油、リンゴ果汁、ペルーバルサム油、ミツロウアブソリュート、ベンズアルデヒド、ベンゾインレジノイド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、2,3-ブタンジオン、2-ブタノール、酪酸ブチル、酪酸、カラメル、カルダモン油、キャロブアブソリュート、β-カロテン、ニンジンジュース、L-カルボン、β-カリオフィレン、カシア樹皮油、シダーウッド油、セロリーシード油、カモミル油、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、シンナミルアルコール、ケイ皮酸シンナミル、シトロネラ油、DL-シトロネロール、クラリセージエキストラクト、ココア、コーヒー、コニャック油、コリアンダー油、クミンアルデヒド、ダバナ油、δ-デカラクトン、γ-デカラクトン、デカン酸、ディルハーブ油、3,4-ジメチル-1,2-シクロペンタンジオン、4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジヒドロフラン-2-オン、3,7-ジメチル-6-オクテン酸、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2-メチル酪酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、エチルマルトール、オクタン酸エチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、エチルバニリングルコシド、2-エチル-3,(5または6)-ジメチルピラジン、5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノン、2-エチル-3-メチルピラジン、ユーカリプトール、フェネグリークアブソリュート、ジェネアブソリュート、リンドウ根インフュージョン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ブドウ果汁、グアヤコール、グァバエキストラクト、γ-ヘプタラクトン、γ-ヘキサラクトン、ヘキサン酸、シス-3-ヘキセン-1-オール、酢酸ヘキシル、ヘキシルアルコール、フェニル酢酸ヘキシル、ハチミツ、4-ヒドロキシ-3-ペンテン酸ラクトン、4-ヒドロキシ-4-(3-ヒドロキシ-1-ブテニル)-3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、4-(パラ-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、4-ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム、インモルテルアブソリュート、β-イオノン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、フェニル酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、ジャスミンアブソリュート、コーラナッツティンクチャー、ラブダナム油、レモンテルペンレス油、カンゾウエキストラクト、リナロール、酢酸リナリル、ロベージ根油、マルトール、メープルシロップ、メンソール、メントン、酢酸L-メンチル、パラメトキシベンズアルデヒド、メチル-2-ピロリルケトン、アントラニル酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、4’-メチルアセトフェノン、メチルシクロペンテノロン、3-メチル吉草酸、ミモザアブソリュート、トウミツ、ミリスチン酸、ネロール、ネロリドール、γ-ノナラクトン、ナツメグ油、δ-オクタラクトン、オクタナール、オクタン酸、オレンジフラワー油、オレンジ油、オリス根油、パルミチン酸、ω-ペンタデカラクトン、ペパーミント油、プチグレインパラグアイ油、フェネチルアルコール、フェニル酢酸フェネチル、フェニル酢酸、ピペロナール、プラムエキストラクト、プロペニルグアエトール、酢酸プロピル、3-プロピリデンフタリド、プルーン果汁、ピルビン酸、レーズンエキストラクト、ローズ油、ラム酒、セージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スチラックスアブソリュート、マリーゴールド油、ティーディスティレート、α-テルピネオール、酢酸テルピニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、1,5,5,9-テトラメチル-13-オキサシクロ(8.3.0.0(4.9))トリデカン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、タイム油、トマトエキストラクト、2-トリデカノン、クエン酸トリエチル、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)2-ブテン-4-オン、2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1,4-ジオン、4-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)2-ブテン-4-オン、2,3,5-トリメチルピラジン、γ-ウンデカラクトン、γ-バレロラクトン、バニラエキストラクト、バニリン、ベラトルアルデヒド、バイオレットリーフアブソリュート、N-エチル-p-メンタン-3-カルボアミド(WS-3)、エチル-2-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート(WS-5)が挙げられ、特に好ましくはメンソールである。また、これらの香料は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0065】
(活性炭添加に関する開示)
吸口フィルタの少なくとも一部には、活性炭が添加されてもよい。活性炭の添加量は、消耗品1本において、活性炭の比表面積×活性炭の重量/吸口フィルタの通気方向に対して垂直方向の断面積の値として、15.0m/cm以上、80.0m/cm以下である。上記の「活性炭の比表面積×活性炭の重量/吸口フィルタの通気方向に対して垂直方向の断面積」を、便宜上、「単位断面積当たりの活性炭の表面積」と表現することがある。この単位断面積当たりの活性炭の表面積は、消耗品1本が有する吸口フィルタに添加する活性炭の比表面積と、添加した活性炭の重量、吸口フィルタの断面積、に基づき算出できる。なお、活性炭はそれが添加される吸口フィルタ中には均一に分散されていないこともあり、吸口フィルタの全ての断面(通気方向に対して垂直方向の断面)において、上記の範囲を満たすことを要求するものではない。単位断面積当たりの活性炭の表面積が上記の範囲内であることで、加熱により生成する成分を所望の量でユーザにデリバリできるとともに、ユーザに対して所望の香味感を与えることができる。単位断面積当たりの活性炭の表面積が上記範囲の下限より小さいと、活性炭を添加することによる効果を十分に得ることができない。一方で、単位断面積当たりの活性炭の表面積が上記範囲の上限より大きいと、加熱により生成する成分が必要以上に低減してしまう。
【0066】
単位断面積当たりの活性炭の表面積は、17.0m/cm以上であることがより好ましく、35.0m/cm以上であることがさらに好ましい。一方、77.0m/cm以下であることがより好ましく、73.0m/cm以下であることがさらに好ましい。単位断面積当たりの活性炭の表面積は、例えば、活性炭の比表面積とその添加量、吸口フィルタの通気方向に垂直な方向の断面積を調整することで調整できる。上記の単位断面積当たりの活性炭の表面積の算出は、活性炭が添加されている吸口フィルタを基準として算出される。フィルタセグメントが複数の吸口フィルタから構成されている場合、活性炭が添加されている吸口フィルタのみの断面積、長さを基準とする。
【0067】
本態様で用いることができる活性炭としては、例えば、木、竹、椰子殻、胡桃殻、石炭などを原材料とするものを挙げることができる。また、本態様で用いることができる活性炭としては、BET比表面積が、1100m/g以上、1600m/g以下であるものを用いることができ、好ましくは1200m/g以上、1500m/g以下であるものを用いることができ、さらに好ましくは、1250m/g以上、1380m/g以下であるものを用いることができる。BET比表面積は、窒素ガス吸着法(BET多点法)によって求めることができる。また、本実施形態で用いることができる活性炭としては、その細孔容積が400μL/g以上、800μL/g以下であるものを用いることができ、より好ましくは500μL/g以上、750μL/g以下であるものを用いることができ、さらに好ましくは600μL/g以上、700μL/g以下であるものを用いることができる。細孔容積は、窒素ガス吸着法を用いて得た最大吸着量から算出することができる。
【0068】
本態様では、活性炭が添加された吸口フィルタの通気方向の単位長さ当たりの活性炭の添加量が、5mg/cm以上、50mg/cm以下であることが好ましく、8mg/cm以上、40mg/cm以下であることがより好ましく、10mg/cm以上、35mg/cm以下であることがさらに好ましい。本態様において、活性炭の比表面積、活性炭の添加量が上記の範囲であることで、単位断面積当たりの活性炭の表面積を所望のものに調整することができる。また、本態様で用いることができる活性炭としては、活性炭粒子の累積10体積%粒子径(粒子径D10)が250μm以上、1200μm以下であることが好ましい。また、活性炭粒子の累積50体積%粒子径(粒子径D50)は350μm以上、1500μm以下であることが好ましい。なお、D10及びD50は、レーザー回折散乱法によって測定される。この測定に適した装置として、堀場製作所のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「LA-950」が挙げられる。この装置のセル内に、粉末が純水と共に流し込まれ、粒子の光散乱情報に基づいて、粒子径が検出される。該装置による測定条件は以下のとおりである。
測定モード:マニュアルフローモー式セル測定
分散媒:イオン交換水
分散方法:超音波1分照射後に測定
屈折率:1.92-0.00i(試料屈折)/1.33-0.00i(分散媒屈折率)
測定回数:試料を変えて2回測定
【0069】
本態様において、吸口フィルタに活性炭を添加する方法については特に制限されず、活性炭の添加対象の吸口フィルタにおいて略均一に分散されるように添加すればよい。なお、フィルタセグメントは、例えば、公知の製造方法により製造したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。また、フィルタセグメントの態様は、特段制限されず、単一のフィルタセグメントを含むフィルタや、デュアルフィルタ又はトリプルフィルタ等の複数のフィルタセグメントを含むマルチセグメントフィルタ等とすることができる。単一のフィルタセグメントからなる場合、活性炭が添加される吸口フィルタがそのままフィルタセグメントとなる。一方で、複数のフィルタセグメントから構成される場合は、活性炭が添加された吸口フィルタは、吸い口端を構成する吸口フィルタよりも上流側に配置されることが好ましい。一方、吸い口端を構成する吸口フィルタに活性炭が添加されていてもよい。なお、フィルタセグメントがマルチセグメントフィルタである場合、活性炭の添加量の基準となるフィルタセグメントの長さは、活性炭が添加された吸口フィルタの長さである。活性炭の添加量は、フィルタセグメント全体に対する重量としては、例えば4.0mg以上、24.0mg以下を挙げることができ、4.5mg以上、23.0mg以下であることが好ましく、10.5mg以上、22.0mg以下であることがさらに好ましい。
【0070】
(冷却セグメントに関する開示)
冷却セグメントは、喫煙可能物とフィルタセグメントとに隣接して挟持され得る。冷却セグメントは、通常、円筒等の周方向の断面が中空(空洞)となるキャビティが設けられた棒状又は筒状の部材を含む。保持部は、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、非押圧部の内面と消耗品との間に、チャンバの開口とチャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の端面、もしくはチャンバの開口とチャンバ内に位置づけられチャンバの開口から遠い方に位置づけられた消耗品の端面、に連通する空隙が設けられてもよい。 この場合、消耗品に供給される空気を導入するための流路が非押圧部の内面と消耗品との間に形成される。従って、ユーザの吸引に伴い、冷却セグメントの周囲には速い速度の空気流れが生じる。この空気流れは冷却セグメントの冷却効果を高め、エアロゾル生成を促進することができる。
【0071】
(冷却セグメントの寸法に関する開示)
冷却セグメントの長軸方向の長さは、製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、通常15mm以上であり、20mm以上であることが好ましく、25mm以上であることがより好ましく、また、通常40mm以下であり、35mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましい。冷却セグメントの長軸方向の長さを上記下限以上とすることで、十分な冷却効果を確保して良好な香味を得ることができ、上記上限以下とすることで、生成した蒸気及びエアロゾルが冷却セグメントの内壁に付着することによりロスを抑制することができる。
【0072】
冷却のためのシート等を冷却セグメントに充填してもよい。冷却セグメントの全表面積は、特段制限されず、例えば、300mm/mm以上、1000mm/mm以下を挙げることができる。この表面積は、冷却セグメントの通気方向の長さ(mm)当たりの表面積である。冷却セグメントの全表面積は、400mm/mm以上であることが好ましく、450mm/mm以上であることがより好ましく、一方、600mm/mm以下であることが好ましく、550mm/mm以下であることがより好ましい。冷却セグメントは、その内部構造が大きい全表面積を有することが望ましい。従って、好ましい態様において、冷却セグメントは、チャネルを形成するためにしわ付けされて、次に、ひだ付け、ギャザー付け、及び折り畳まれた薄い材料のシートを含んでもよい。要素の与えられた体積内の折り畳み又はひだが多いと、冷却セグメントの合計表面積が大きくなる。冷却セグメントの構成材料の厚みは、特段制限されず、例えば、5μm以上、500μm以下であってよく、また、10μm以上、250μm以下であってよい。
【0073】
(開孔に関する開示)
冷却セグメントには、その周方向に、かつ、同心状に開孔(本技術分野では「ベンチレーションフィルター(Vf)」とも称する。)が設けられてもよい。開孔の数は限定されない。開孔は、冷却セグメントとフィルタセグメントとの境界から、冷却セグメント側の方向の4mm以上の領域に存在し得る。開孔が存在することで、使用時に外部から冷却セグメントの内部に空気が流入し、喫煙可能物から流入する成分や空気の温度を下げることができる。さらに、冷却セグメントを設ける位置を冷却セグメントとフィルタセグメントとの境界から、冷却セグメント側の方向の4mm以上の領域内とすることにより、冷却能力を向上させるだけでなく、加熱により生成される成分の冷却セグメント内での滞留を抑制し、該成分のデリバリ量を向上させることができる。なお、喫煙可能物にエアロゾル基材が用いられる場合、消耗品が加熱されることで生じるエアロゾル基材とたばこ香味成分とを含む蒸気が、外部からの空気と接触して温度が低下することで液化し、エアロゾルが生成されることを促進させることができる。
【0074】
また、同心円状に存在する開孔を1つの開孔群として扱った場合、開孔群は1つであってもよく、また、2つ以上であってもよい。開孔群が2つ以上存在する場合、加熱により生成される成分のデリバリ量向上の観点から、冷却セグメントとフィルタセグメントとの境界から、冷却セグメント側の方向の4mm未満の領域には開孔群を設けないことが好ましい。また、消耗品が、喫煙可能物、冷却セグメント及びフィルタセグメントがチップペーパ(第2の巻紙)で巻装されてなる態様である場合、チップペーパには、冷却セグメントに設けられた開孔の直上の位置に開孔が設けられていることが好ましい。このような消耗品を作製する場合、開孔と重なるような開孔を設けたチップペーパを準備して巻装してもよいが、製造容易性の観点から、開孔を有さない冷却セグメントを用いて消耗品を作製した後、冷却セグメント及びチップペーパを同時に貫通する孔を開けることが好ましい。
【0075】
(開孔位置に関する開示)
開孔が存在する領域は、加熱により生成される成分のデリバリを向上させる観点から、冷却セグメントとフィルタセグメントとの境界から、冷却セグメント側の方向に4mm以上の領域であり得、さらに該成分のデリバリを向上させる観点から、4.5mm以上の領域であることが好ましく、5mm以上の領域であることがより好ましく、5.5mm以上の領域であることがさらに好ましく、また、冷却機能を確保する観点から、15mm以下の領域であることが好ましく、10mm以下の領域であることがより好ましく、7mm以下の領域であることがさらに好ましい。開孔Vが存在する領域は、加熱により生成される成分のデリバリを向上させる観点から、消耗品の吸口端から冷却セグメント側の方向の24mm以上の領域であることが好ましく、24.5mm以上の領域であることが好ましく、25mm以上の領域であることが好ましく、25.5mm以上の領域であることがより好ましく、また、冷却機能を確保する観点から、35mm以下の領域であることが好ましく、30mm以下の領域であることがより好ましく、27mm以下の領域であることがさらに好ましい。
【0076】
また、冷却セグメントと喫煙可能物との境界を基準に考えると、冷却セグメントの軸方向の長さが20mm以上である場合、開孔が存在する領域は、冷却機能を確保する観点から、冷却セグメントと喫煙可能物との境界から、冷却セグメント側の方向に5mm以上の領域であることが好ましく、10mm以上の領域であることがより好ましく、13mm以上の領域であることがさらに好ましく、また、加熱により生成される成分のデリバリを向上させる観点から、16mm以下であることが好ましく、15.5mm以下の領域であることがより好ましく、15mm以下の領域であることがさらに好ましく、14.5mm以下の領域であることが特に好ましい。
【0077】
(開孔による空気流入割合に関する開示)
開孔は、自動喫煙機で17.5ml/秒で吸引した時の開孔からの空気流入割合(吸い口端から吸引した空気の割合を100体積%とした場合における開孔から流入した空気の体積割合)が10~90体積%、好ましくは50~80体積%、より好ましくは55~75体積%となるように設けるのが好ましく、例えば、開孔群1つ当たりの開孔Vの数を5~50個の範囲から選択し、開孔Vの直径を0.1~0.5mmの範囲から選択し、これらの選択の組み合わせによって達成することができる。上記の空気流入割合は、自動喫煙機(例えば、Borgwaldt社製1本がけ自動喫煙機)を用い、ISO9512に準拠した方法で測定することができる。
【0078】
(喫煙可能物に関する開示)
喫煙可能物の態様は、公知の態様であれば特段制限されないが、通常、たばこ充填物を巻紙(第1の巻紙)で巻装してなる態様である。たばこ充填物は特段制限されず、後述する第一のたばこ充填物又は第二のたばこ充填物を用いることができる。また、本願明細書では、後述するたばこ刻み、たばこシート、たばこ顆粒等のような乾燥たばこの成形品を、単に「乾燥たばこ葉」と称することがある。また、喫煙可能物は、たばこ製品を加熱するためのヒータ部材等との嵌合部を有していてもよい。
【0079】
(喫煙可能物の寸法に関する開示)
たばこ充填物を巻紙で巻装してなる喫煙可能物は、柱状形状を有していることが好ましく、この場合には、喫煙可能物の底面の幅に対する喫煙可能物の長軸方向の高さで表されるアスペクト比が1以上であることが好ましい。底面の形状は限定されず、多角、角丸多角、円、楕円等であってよく、幅は当該底面が円形の場合は直径、楕円形である場合は長径、多角形または角丸多角である場合は外接円の直径または外接楕円の長径である。喫煙可能物を構成するたばこ充填物の高さは10mm~70mm程度、幅は4mm~9mm程度であることが好ましい。
【0080】
喫煙可能物の長軸方向の長さは、製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、通常10mm以上であり、12mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましく、18mm以上であることがさらに好ましく、また、通常70mm以下であり、50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、25mm以下であることがさらに好ましい。また、消耗品の長軸方向の全体の長さhに対する喫煙可能物の長さの割合は、特段制限されないが、デリバリ量とエアロゾル温度のバランスの観点から、通常10%以上であり、20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、また、通常80%以下であり、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましく、45%以下であることが特に好ましく、40%以下であることが最も好ましい。
【0081】
(充填量に関する開示)
喫煙可能物中の乾燥たばこ葉の含有量は、特段制限されないが、200mg/1喫煙可能物以上、800mg/1喫煙可能物以下を挙げることができ、250mg/1喫煙可能物以上、600mg/1喫煙可能物以下が好ましい。この範囲は、特に、円周22mm、長さ20mmの喫煙可能物において好適である。
【0082】
(充填物に関する開示(第一のたばこ充填物:刻充填))
まず、第一のたばこ充填物(単に「第一の充填物」とも称する。)から説明する。第一の充填物に含まれるたばこ刻み(香味源)の材料は特に限定されず、ラミナや中骨等のたばこ、又はその他の公知の植物を用いることができる。また、たばこ等の香味源の形状は、刻み状、シート状、紐状、粉状、粒状、ペレット状、スラリー状、又は多孔質状などであってもよい。具体的には例えば、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm以上、200μm以下になるように粉砕してたばこ粉砕物とし、これを均一化したものをシート加工したもの(以下、単に均一化シートともいう)を刻んだものであってもよい。さらに、喫煙可能物の長手方向と同程度の長さを有する均一化シートを、喫煙可能物の長手方向と略水平に刻んだものを喫煙可能物に充填する、いわゆるストランドタイプであってもよい。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを喫煙可能物として用いてもよい。また、たばこ刻みの幅は、喫煙可能物に充填するうえで0.5mm以上、2.0mm以下であることが好ましい。消耗品におけるたばこ等の喫煙可能物の含有量の範囲は、喫煙可能物の大きさが円周20mm~23mm、長さ18mm~22mmの場合、例えば、200mg~400mgであり、250mg~320mgであることが好ましい。
【0083】
前記たばこ刻み及び均一化シートの作製に用いるたばこ葉について、使用するたばこの種類は、様々なものを用いることができる。例えば、黄色種、バーレー種、オリエント種、在来種、その他のニコチアナ-タバカム系品種、ニコチアナ-ルスチカ系品種、及びこれらの混合物を挙げることができる。混合物については、目的とする味となるように、前記の各品種を適宜ブレンドして用いることができる。前記たばこの品種の詳細は、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に開示されている。前記均一化シートの製造方法、すなわち、たばこ葉を粉砕して均一化シートに加工する方法は従来の方法が複数存在している。1つ目は抄紙プロセスを用いて抄造シートを作製する方法である。2つ目は水等の適切な溶媒を、粉砕したたばこ葉に混ぜて均一化した後に金属製板もしくは金属製板ベルトの上に均一化物を薄くキャスティングし、乾燥させてキャストシートを作製する方法である。3つ目は水等の適切な溶媒を、粉砕したたばこ葉に混ぜて均一化したものをシート状に押し出し成型して圧延シートを作製する方法である。前記均一化シートの種類については、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に詳細が開示されている。
【0084】
たばこ充填物の水分含有量は、たばこ充填物の全量に対して8重量%以上18重量%以下であり得、10重量%~16重量%であることが好ましく、10重量%以上15重量%以下であることがより好ましく、11重量%以上、13重量%以下であることがさらに好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制し、喫煙可能物の製造時の巻上適性を良好にする。また、消耗品が保持部の断面形状に合わせて適度に変形しやすくなる。第一のたばこ充填物に含まれるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.5mm以上2.0mm以下に刻んだものを用いてもよく、好ましくは幅0.8mm以上1.2mm以下に刻んだものを用いることができる。また、均一化シートの粉砕物を用いる場合、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.5mm以上、2.0mm以下、好ましくは幅0.8mm以上1.2mm以下に刻んだものを用いてもよい。
【0085】
第一のたばこ充填物は、エアロゾル煙を生成するエアロゾル基材を含んでいてもよい。当該エアロゾル基材の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル基材としては、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。第一のたばこ充填物中のエアロゾル基材の含有量(第一のたばこ充填物の重量に対する重量%)は、特に限定されず、十分にエアロゾルを生成させるとともに、良好な香味の付与の観点から、たばこ充填物の全量に対して通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは15重量%以上、25重量%以下である。
【0086】
第一のたばこ充填物は、香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は、特に限定されず、良好な香味の付与の観点から、吸口フィルタに添加される上述した香料と同様の香料であり得る。
【0087】
第一のたばこ充填物中の香料の含有量は、特に限定されず、良好な香味の付与の観点から、通常10000ppm以上であり、好ましくは20000ppm以上であり、より好ましくは25000ppm以上であり、また、通常70000ppm以下であり、好ましくは50000ppm以下であり、より好ましくは40000ppm以下であり、さらに好ましくは33000ppm以下である。
【0088】
第一のたばこ充填物における充填密度は、特に限定されないが、消耗品の性能を担保し、良好な香味の付与の観点から、通常250mg/cm以上であり、好ましくは300mg/cm以上であり、また、通常400mg/cm以下であり、好ましくは350mg/cm以下である。上記の第一のたばこ充填物は、それが内側になるように巻紙によって巻装されて喫煙可能物を形成する。
【0089】
(充填物に関する開示(第二のたばこ充填物:シート充填))
第二のたばこ充填物は、被充填物に充填されたたばこシートから構成される。たばこシートの枚数は、1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。第二のたばこ充填物が、1枚のたばこシートから構成される場合の態様としては、例えば、その一辺が、被充填物の長手方向と同程度の長さを有するたばこシートが、被充填物の長手方向と水平に複数回折り返された状態で充填態様(いわゆるギャザーシート)が挙げられる。また、その一辺が、被充填物の長手方向と同程度の長さを有するたばこシートを、被充填物の長手方向と直交する方向に巻き回された状態で充填される態様も挙げられる。
【0090】
第二のたばこ充填物が、2枚以上のたばこシートから構成される場合の態様としては、例えば、その1辺が、被充填物の長手方向と同程度の長さを有する複数のたばこシートが、同心状に配置されるように、被充填物の長手方向と直交する方向に巻き回された状態で充填される態様が挙げられる。「同心状に配置される」とは、すべてのたばこシートの中心が略同じ位置にあるように配置されていることをいう。また、たばこシートの枚数は、特に制限されないが、2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、又は7枚である態様を挙げることができる。2枚以上のたばこシートはすべて同じ組成あるいは物性であってもよいし、各たばこシートの中の一部または全部が異なる組成あるいは物性であってもよい。また、各たばこシートの厚みは、それぞれが同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0091】
第二のたばこ充填物は、幅の異なる複数のたばこシートを準備して、底部から頂部に向かって幅が小さくなるように積層した積層体を調製し、これを巻管に通して巻き上げ成形することで製造できる。この製造方法によれば、該複数のたばこシートが、長手方向に延在するとともに、該長手方向軸を中心として同心状に配置されるようになる。また、該長手方向軸と、最内層のたばこシートとの間に、長手方向に延在する嵌合部が形成されてもよい。
【0092】
この製造方法において、積層体は巻上げ成形後に隣接する前記たばこシート間に非接触部が形成されるように調製されることが好ましい。複数のたばこシート間に、当該たばこシートが接触しない非接触部(隙間)が存在すると、香味流路を確保して香味成分のデリバリー効率を高めることができる。他方で、複数のたばこシートの接触部分を介してヒータからの熱を外側のたばこシートに伝達できるので高い伝熱効率を確保することができる。複数のたばこシート間に、当該たばこシートが接触しない非接触部を設けるために、例えば、エンボス加工したたばこシートを用いる、隣接するたばこシート同士の全面を接着せずに積層する、隣接するたばこシート同士の一部を接着して積層する、あるいは隣接するたばこシート同士の全面あるいは一部を、巻上げ成形後に剥がれるように軽度に接着して積層することで積層体を調製する方法を挙げることができる。巻紙を含めた喫煙可能物を調製する場合には、積層体の最底部に上記の巻紙を配置してもよい。また、積層体の最頂部にマンドレル等の筒状ダミーを載置して第二のたばこ充填物を形成した後に、当該ダミーを除去することで、嵌合部を形成することもできる。
【0093】
第二のたばこ充填物の充填密度は、特に限定されないが、たばこ製品の性能を担保し、良好な香味を付与する観点から、通常250mg/cm以上であり、好ましくは300mg/cm以上であり、また、通常400mg/cm以下であり、好ましくは350mg/cm以下である。
【0094】
たばこシートは、加熱に伴ってエアロゾル煙を生成するエアロゾル基材を含んでいてもよい。エアロゾル基材としてグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール等のポリオール等のエアロゾル源を添加する。かかるエアロゾル基材の添加量は、たばこシートの乾燥重量に対して5重量%以上、50重量%以下が好ましく、15重量%以上、25重量%以下がより好ましい。
【0095】
たばこシートは、抄造、スラリー、圧延、等の公知の方法で適宜製造できる。なお、第一のたばこ充填物で説明した均一化シートを用いることもできる。抄造の場合は、以下の工程を含む方法で製造できる。1)乾燥たばこ葉を粗砕し、水で抽出して水抽出物と残渣に分離する。2)水抽出物を減圧乾燥して濃縮する。3)残渣にパルプを加え、リファイナで繊維化した後、抄紙する。4)抄紙したシートに水抽出物の濃縮液を添加して乾燥し、たばこシートとする。この場合、ニトロソアミン等の一部の成分を除去する工程を加えてもよい(特表2004-510422号公報参照)。スラリー法の場合は、以下の工程を含む方法で製造できる。1)水、パルプ及びバインダーと、砕いたたばこ葉を混合する。2)当該混合物を薄く延ばして(キャストして)乾燥する。この場合、水、パルプ及びバインダーと、砕いたたばこ葉を混合したスラリーに対して紫外線照射もしくはX線照射することでニトロソアミン等の一部の成分を除去する工程を加えてもよい。
【0096】
この他、国際公開第2014/104078号に記載されているように、以下の工程を含む方法によって製造された不織布状のたばこシートを用いることもできる。1)粉粒状のたばこ葉と結合剤を混合する。2)当該混合物を不織布によって挟む。3)当該積層物を熱溶着によって一定形状に成形し、不織布状のたばこシートを得る。前記の各方法で用いる原料のたばこ葉の種類は、第一の充填物で説明したものと同じものを用いることができる。たばこシートの組成は特に限定されないが、例えば、たばこ原料(たばこ葉)の含有量はたばこシート全重量に対して50重量%以上、95重量%以下であることが好ましい。また、たばこシートはバインダーを含んでもよく、係るバインダーとしては、例えば、グアーガム、キサンタンガム、CMC(カルボキシメチルセルロース)、CMC-Na(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩)等が挙げられる。バインダー量としては、たばこシート全重量に対して1重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。たばこシートはさらに他の添加物を含んでもよい。添加物としては、例えばパルプなどのフィラーを挙げることができる。本実施形態においては複数のたばこシートを用いるが、係るたばこシートはすべて同じ組成あるいは物性であってもよいし、各たばこシートの中の一部または全部が異なる組成あるいは物性であってもよい。
【0097】
第二のたばこ充填物は、幅の異なる複数のたばこシートを準備して、底部から頂部に向かって幅が小さくなるように積層した積層体を調製し、これを巻管に通して巻き上げ成形することで製造できる。この製造方法によれば、該複数のたばこシートが、長手方向に延在するとともに、該長手方向軸を中心として同心状に配置されるようになる。また、該長手方向軸と、最内層のたばこシートとの間に、長手方向に延在する嵌合部が形成されてもよい。この製造方法において、積層体は巻上げ成形後に隣接する前記たばこシート間に非接触部が形成されるように調製されることが好ましい。複数のたばこシート間に、当該たばこシートが接触しない非接触部(隙間)が存在すると、香味流路を確保して香味成分のデリバリ効率を高めることができる。他方で、たばこ製品を電気加熱式たばこ製品で用いる場合、複数のたばこシートの接触部分を介してヒータからの熱を外側のたばこシートに伝達できるので高い伝熱効率を確保することができる。
【0098】
複数のたばこシート間に、当該たばこシートが接触しない非接触部を設けるために、例えば、エンボス加工したたばこシートを用いる、隣接するたばこシート同士の全面を接着せずに積層する、隣接するたばこシート同士の一部を接着して積層する、あるいは隣接するたばこシート同士の全面あるいは一部を、巻上げ成形後に剥がれるように軽度に接着して積層することで積層体を調製する方法を挙げることができる。巻紙を含めた喫煙可能物を調製する場合には、積層体の最底部に上記の巻紙を配置してもよい。また、積層体の最頂部にマンドレル等の筒状ダミーを載置して第二のたばこ充填物を形成した後に、当該ダミーを除去することで、嵌合部を形成することもできる。各たばこシートの厚みについては制限されないが、伝熱効率と強度の兼ね合いから、150μm以上、1000μm以下が好ましく、200μm以上、600μm以下がより好ましい。各たばこシートの厚みについては、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。第二のたばこ充填物を構成するたばこシートの枚数は、特段制限されないが、例えば2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、または7枚を挙げることができる。
【0099】
(香料含有材料に関する開示)
喫煙可能物は、乾燥たばこ葉(乾燥済みのたばこ葉)と、多糖類のゲル中に香料が包含されている香料含有材料とを含むことができる。香料含有材料は、多糖類のゲル中に香料が包含された材料であり、香料含有材料を喫煙可能物に配合することで、喫煙初期から後期にわたってパフ毎の香料デリバリ量のばらつきが抑制され、良好な香味を継続して得ることができる。本発明者らは、その理由について、次のように推測している。まず、消耗品は、電気加熱式のデバイスに挿入され、一定時間の予備加熱が行われた後に喫煙が開始されるところ、喫煙可能物に香料を直接配合した場合、香料は予備加熱中に揮散し、喫煙初期にその大部分がデリバリされるため、喫煙後期において香料のデリバリ量が不十分になると考えられる。これに対して、喫煙可能物に香料含有材料を配合した場合は、香料が多糖類のゲルで被覆されているため、予備加熱中の香料の揮散が抑制され、喫煙中に香料が徐々に放出される。そのため、喫煙後期でも香料のデリバリ量を十分確保できると推測される。以下、香料含有材料の成分について説明する。
【0100】
香料の種類は、特に限定されず、良好な香調の付与の観点から、吸口フィルタに添加される上述した香料と同様の香料であり得る。
【0101】
香料含有材料中の香料の含有量は、香料の種類、多糖類の種類等にもよるが、通常18質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、また、通常90質量%以下、好ましくは80質量%以下である。
【0102】
多糖類の種類は、特に限定されないが、カラギーナン、寒天、ゲランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム若しくはコンニャクグルコマンナンの単成分系;又はカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、寒天、ゲランガム、タマリンドガム、キサンタンガム、タラガム、コンニャクグルコマンナン、デンプン、カシアガム及びサイリウムシードガムから成る群から選択される2以上の成分を組み合わせた複合系;であることが好ましい。これらの多糖類は、水溶液中において30℃~90℃に加熱するだけでゲル化するため、香料含有材料調製の際に金属塩化物等のゲル化反応剤を必要とせず、塩化物の分解物のような喫煙時に好ましくない成分を主流煙中に発生させない点で好ましい。
【0103】
香料含有材料には、その調製の際に原料を乳化するために用いられる乳化剤が含まれていてもよい。乳化剤の種類は、特に限定されず、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、好ましくはレシチンである。なお、これらの乳化剤は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0104】
香料含有材料の調製方法は、特に限定されず、公知の方法に準じた方法により調製することができる。公知の方法としては、国際公開第2011/118040号、特開2013-099349号公報、国際公開第2012/118034号等に記載の方法が挙げられる。より具体的には、香料含有材料は、例えば下記工程(i)及び(ii)を含む方法により調製することができる。
(i)多糖類と水との混合物を、通常30℃~90℃、好ましくは60℃~90℃に加熱することで、多糖類の水溶液を調製する工程;及び
(ii)前記水溶液に香料、及び必要に応じて乳化剤を加えて混練し、乳化物スラリーを得る工程。
【0105】
喫煙可能物中の香料含有材料の含有量は、香料含有材料中の香料含有量にもよるが、乾燥たばこ葉に対して通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、また、通常20質量%以下、好ましくは10質量%以下である。また、喫煙可能物は、香料含有材料に含まれる香料の含有量が通常1mg以上、好ましくは5mg以上、より好ましくは10mg以上、また、通常30mg以上、好ましくは20mg以下となるよう香料含有材料を含む。喫煙可能物中の香料含有材料の含有量を上記範囲内とすることで、良好な香調を付与することができるだけでなく、喫煙初期から後期にわたってパフ毎の香料デリバリ量のばらつきを抑制することができ、また、喫煙の初期、中期、及び後期のいずれにおいても十分なデリバリ量を確保することができる。
【0106】
喫煙可能物への香料含有材料の配合の態様は特に限定されず、たばこ充填物を巻装する巻紙の内側及び/又は外側に香料含有材料を配置してもよく、巻紙に香料含有材料が含浸されていてもよく、たばこ充填物中に香料含有材料が配合されていてもよい。たばこ充填物を巻装する巻紙の内側及び/又は外側に香料含有材料を配置する場合、上記乳化物スラリーを巻紙に塗布するか、上記乳化物スラリーを基材上に順次キャスティング及び乾燥することで香料含有シートに加工して巻紙とともにたばこ充填物を巻装すればよい。香料含有材料で含浸された巻紙は、巻紙に上記乳化物スラリーを含浸し、乾燥することで作製することができる。また、香料含有材料をたばこ充填物中に配合する場合は、上記乳化物スラリーを乾燥たばこ葉に塗布又は含浸してもよく、前述の香料含有シート又はその裁刻物若しくは粉砕物を乾燥たばこと混合してもよい。
【0107】
(巻紙に関する開示)
消耗品は、冷却セグメント、センターホールセグメント、及び吸口フィルタの少なくとも一つを巻装する、第1の巻紙とは異なる第2の巻紙を有していてもよい。第2の巻紙は、喫煙可能物を巻装する第1の巻紙の一部を巻装してもよい。巻紙(以下、第1の巻紙又は第2の巻紙を含む)の構成は、特段制限されず、一般的な態様とすることができ、例えば、パルプが主成分のものを挙げることができる。パルプとしては、針葉樹パルプや広葉樹パルプなどの木材パルプで抄造される以外にも、亜麻パルプ、大麻パルプ、サイザル麻パルプ、エスパルトなど一般的にたばこ製品用の巻紙に使用される非木材パルプを混抄して製造して得たものでもよい。パルプの種類としては、クラフト蒸解法、酸性・中性・アルカリ亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用できる。
【0108】
上記パルプを用いて長網抄紙機、円網抄紙機、円短複合抄紙機等による抄紙工程の中で、地合いを整え均一化して巻紙を製造する。なお、必要に応じて、湿潤紙力増強剤を添加して巻紙に耐水性を付与したり、サイズ剤を添加して巻紙の印刷具合の調整を行ったりすることができる。さらに、硫酸バンド、各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性或いは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、及び紙力増強剤等の抄紙用内添助剤、並びに、染料、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、及びスライムコントロール剤等の製紙用添加剤を添加することができる。
【0109】
巻紙原紙の坪量は、例えば通常20gsm以上であり、好ましくは25gsm以上である。一方、坪量は通常65gsm以下、好ましくは50gsm以下、さらに好ましくは45gsm以下、である。上記の特性を有する巻紙の厚みは、特に限定されず、剛性、通気性、及び製紙時の調整の容易性の観点から、通常10μm以上であり、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは30μm以上であり、また、通常100μm以下であり、好ましくは75μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。該消耗品の巻紙として、その形状は正方形又は長方形を挙げることができる。たばこ充填物を巻装するため(喫煙可能物を作製するため)の巻紙として利用する場合、一辺の長さとして12mm~70mm程度を挙げることができ、もう一辺の長さとして15mm~28mm、もう一辺の好ましい長さとして22mm~24mm、さらに好ましい長さとして23mm程度を挙げることができる。たばこ充填物を巻紙で柱状に巻装する際は、例えばw方向(図12参照)の巻紙の端部とその逆側の端部を2mm程度重ね合わせて糊付けすることで、柱状の紙管の形状となり、その中にたばこ充填物が充填されている形状となる。長方形形状の巻紙のサイズは、出来上がった喫煙可能物のサイズによって決めることができる。チップペーパのように、喫煙可能物と喫煙可能物に隣接するその他の部材を連結して巻装するものである場合、一辺の長さとして20mm~60mm、もう一辺の長さとして15mm~28mmを挙げることができる。
【0110】
上記のパルプの他に、巻紙には填料が含まれてもよい。填料の含有量は、巻紙の全重量に対して10重量%以上、60重量%未満を挙げることができ、15重量%以上、45重量%以下であることが好ましい。巻紙では、好ましい坪量の範囲(25gsm以上、45gsm以下)において、填料が15重量%以上、45重量%以下であることが好ましい。さらに、坪量が25gsm以上、35gsm以下のとき、填料が15重量%以上、45重量%以下であることが好ましく、坪量が35gsm超、45gsm以下のとき、填料が25重量%以上、45重量%以下であることが好ましい。填料としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができるが、香味や白色度を高める観点等から炭酸カルシウムを使用することが好ましい。これらのような填料を含む紙は、消耗品の巻紙として利用する外観上の観点から好ましい白色系の明るい色を呈し、恒久的に白さを保つことができる。そのような填料を多く含有させることで、例えば、巻紙のISO白色度を83%以上にすることができる。また、消耗品の巻紙として利用する実用上の観点から、第1の巻紙及び第2の巻紙は、8N/15mm以上の引張強度を有することが好ましい。これによって、保持部に保持された消耗品を引き抜く際にも巻紙が破損しにくくなる。この引張強度は、填料の含有量を少なくすることで高めることができる。具体的には、上記で例示した各坪量の範囲において示した填料の含有量の上限よりも填料の含有量を少なくすることで、引張強度を高めることができる。
【0111】
巻紙には、原紙や填料以外の種々の助剤を添加してもよく、例えば、耐水性を向上させるために、耐水性向上剤を添加することができる。耐水性向上剤には、湿潤紙力増強剤(WS剤)及びサイズ剤が含まれる。湿潤紙力増強剤の例を挙げると、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン(PAE)等である。また、サイズ剤の例を挙げると、ロジン石けん、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ケン化度が90%以上の高ケン化ポリビニルアルコール等である。助剤として、紙力増強剤を添加してもよく、例えば、ポリアクリルアミド、カチオンでんぷん、酸化でんぷん、CMC、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリビニルアルコール等を挙げられる。特に、酸化でんぷんについては、極少量用いることにより、通気度が向上することが知られている(特開2017-218699号公報)。また、巻紙は、適宜コーティングされていてもよい。
【0112】
巻紙には、その表面及び裏面の2面うち、少なくとも1面にコーティング剤が添加されてもよい。コーティング剤としては特に制限はないが、紙の表面に膜を形成し、液体の透過性を減少させることができるコーティング剤が好ましい。例えばアルギン酸及びその塩(例えばナトリウム塩)、ペクチンのような多糖類、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロースのようなセルロース誘導体、デンプンやその誘導体(例えばカルボキシメチルデンプン、ヒドロキシアルキルデンプン及びカチオンデンプンのようなエーテル誘導体、酢酸デンプン、リン酸デンプン及びオクテニルコハク酸デンプンのようなエステル誘導体)を挙げることができる。
【0113】
(チップペーパ(第2の巻紙)に関する開示)
チップペーパの構成は、特段制限されず、一般的な態様とすることができ、例えば、パルプが主成分のものを挙げることができる。パルプとしては、針葉樹パルプや広葉樹パルプなどの木材パルプで抄造される以外にも、亜麻パルプ、大麻パルプ、サイザル麻パルプ、エスパルトなど一般的にたばこ物品用の巻紙に使用される非木材パルプを混抄して製造して得たものでもよい。これらのパルプは、単独の種類で用いてもよく、複数の種類を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。また、チップペーパは一枚で構成されていてもよいが、複数枚以上で構成されていてもよい。パルプの態様としては、クラフト蒸解法、酸性・中性・アルカリ亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用できる。なお、チップペーパは、後述する製造方法により製造したものでも、市販品を用いてもよい。チップペーパの形状は、特段制限されず、例えば、正方形または長方形とすることができる。
【0114】
チップペーパの坪量は、特段制限されないが、通常32gsm以上、40gsm以下であり、33gsm以上、39gsm以下であることが好ましく、34gsm以上、38gsm以下であることがより好ましい。チップペーパの通気度は、特段制限されないが、通常0コレスタユニット以上、30000コレスタユニット以下であり、0コレスタユニット超、10000コレスタユニット以下であることが好ましい。通気度は、ISO 2965:2009に準拠して測定される値であり、紙の両面の差圧が1kPaのときに、1分ごとに面積1cmを通過する気体の流量(cm)で表される。1コレスタユニット(1コレスタ単位、1C.U.)は、1kPa下においてcm/(min・cm)である。
【0115】
チップペーパは、上記のパルプ以外に、填料が含有されていてもよく、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、酸化チタン、二酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの金属硫酸塩、硫化亜鉛などの金属硫化物、石英、カオリン、タルク、ケイソウ土、石膏等が挙げられ、特に、白色度・不透明度の向上及び加熱速度の増加の観点から炭酸カルシウムを含んでいることが好ましい。また、これらの填料は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0116】
チップペーパは、上記のパルプや填料以外に、種々の助剤を添加してもよく、例えば、向上させるために、耐水性向上剤を有することができる。耐水性向上剤には、湿潤紙力増強剤(WS剤)及びサイズ剤が含まれる。湿潤紙力増強剤の例を挙げると、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン(PAE)等である。また、サイズ剤の例を挙げると、ロジン石けん、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ケン化度が90%以上の高ケン化ポリビニルアルコール等である。
【0117】
チップペーパには、その表面及び裏面の2面うち、少なくとも1面にコーティング剤が添加されてもよい。コーティング剤としては特に制限はないが、紙の表面に膜を形成し、液体の透過性を減少させることができるコーティング剤が好ましい。
【0118】
本態様に係る消耗品の構成は、電気加熱式たばこ製品に用いられ得るものであるが、燃焼を伴うシガレット(紙巻きたばこ)にも適用することができる。チップペーパの外面の一部がリップリリース材料によって被覆されていてもよい。リップリリース材料は、ユーザが消耗品のマウスピース部を口で咥えた際に、唇とチップペーパとの間の接触が実質的に粘着することなく容易に離れることを補助するように構成される材料を意味する。リップリリース材料は、例えば、エチルセルロース、メチルセルロースなどを含んでいても良い。例えば、チップペーパの外面に対して、エチルセルロース系、或いは、メチルセルロース系のインクを塗工することでチップペーパの外面をリップリリース材料によってコーティングしても良い。
【0119】
本態様において、チップペーパのリップリリース材料は、ユーザがマウスピース部を咥えた際に、当該ユーザの唇に接触する所定の吸い口領域に少なくとも配置される。より具体的には、チップペーパにおける外面のうち、リップリリース材料によって被覆されたリップリリース材料配置領域は、マウスピース部の吸い口端から通気孔との間に位置する領域として規定されている。
【0120】
保持部は、第1保持部を含み、チャンバは、第1保持部よりも開口から遠くに位置する第2保持部とを含む。消耗品がチャンバの第1保持部と第2保持部に保持された状態において、第2保持部は、第1保持部よりも消耗品を圧縮するように構成され、且つ/又はチャンバの長手方向に直交する面において、第2保持部の内部の断面積は、第1保持部の内部の断面積よりも小さい。これによって、第2保持部の押圧によって喫煙時の通気抵抗を調整することができる。第1の保持部とは別に第2の保持部が設けられているため、最適な加熱に適した第1の押圧部の形状とは独立して、第2の押圧部の形状を、所望の通気抵抗を実現する形状とすることができる。第2押圧部の外面には、加熱部は配置されなくてもよい。特に、第2保持部によって押圧される消耗品の箇所が前述の蓋等のように喫煙可能物を含まない場合は加熱部を第2保持部に配置しないことにより喫煙可能物の加熱に効率的に寄与しない加熱を抑制し、エネルギーを効率よく使用し得る。
【0121】
第1保持部は、消耗品の一部を押圧する第1押圧部と、第1非押圧部とを含んでもよい。第2保持部は、消耗品の一部を押圧する第2押圧部と、第2非押圧部とを含んでもよい。第1保持部が第1押圧部を有することにより、第1保持部において消耗品が加熱面(押圧部の内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。
【0122】
チャンバは、第1押圧部の内面と第2押圧部の内面とを接続するテーパ面を備えた第2ガイド部を有することが好ましい。第2ガイド部は、第1押圧部から第2押圧部に向けて、チャンバの内面の断面形状を連続的に変化させることができるので、消耗品をチャンバにスムーズに挿入することができる。
【0123】
第1保持部は、向かい合う一対の第1押圧面を有し、第2保持部は、向かい合う一対の第2押圧面を有し得る。第2押圧面間の最も短い距離は、第1押圧面間の最も短い距離よりも小さいことが好ましい。第2押圧面は平面でもよい。ここでの平面は実質的に平面であることを含む。チャンバの長手方向に直交する方向において、第2押圧面が平面である場合に第2保持部の押圧面は第1保持部のチャンバの押圧面と同じ方向を向いていてもよい。これにより、チャンバの製造が容易になり、消耗品の挿入がさらに容易になる。
【0124】
第2保持部はチャンバの端部に配置してもよい。特に消耗品の先端部の喫煙可能物を押圧する場合、第2保持部の押圧によって消耗品の先端部の喫煙可能物を圧縮し一体化させることで、喫煙後に消耗品をチャンバから取り出す際に喫煙可能物がチャンバ内に落下することを低減し得る。
【0125】
本発明の第2態様によれば、喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムが提供される。デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部とを含む。チャンバの内周長さは、チャンバに受け入れられる前の消耗品の外周長さと同一であり、チャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバの内周形状は、チャンバに受け入れられる前の消耗品の長手方向に直交する断面形状とは異なる。ここで同一とは、実質的に同一である場合を含む。「実質的に同一」であるとは、チャンバの内周長さとチャンバに受け入れられる前の消耗品の外周長さとの差が、チャンバの内周長さの例えば±6%以内であることをいい、好ましくは±4%以内であることをいい、より好ましくは±2%以内であることをいう。
【0126】
第2態様によれば、消耗品が加熱面(チャンバの内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。具体的には、チャンバの内周長さと消耗品の外周長さが実質的に同一であり、且つチャンバの内周形状がチャンバに受け入れられる消耗品の断面形状と異なるので、消耗品の一部がチャンバの内面に押圧され、消耗品の外周形状が保持部の内面の内周形状と略一致することになる。チャンバの内周長さ及び内周形状が、消耗品の外周長さ及び断面形状と同一の場合と比べて、本喫煙システムでは消耗品がチャンバにより押圧される箇所が形成されるので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。また、チャンバの内周長さよりも消耗品の外周長さが短い場合に比べて、消耗品の外周面の押圧されない箇所もチャンバの内周面(非押圧面)と実質的に接触するので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。さらに、チャンバの内周長さよりも消耗品の外周長さが長い場合に比べて、消耗品をチャンバにスムーズに挿入でき、消耗品の外周面及び消耗品内部(例えば、喫煙可能物の一例としてのたばこ)の密度にひずみが生じることを抑制できる。その結果、消耗品内部の密度にひずみが生じることによって起こり得る、不均一な加熱や、消耗品毎に通気抵抗がバラつくことを抑制することができる。また、チャンバの内周長さは、チャンバによって押圧された状態の消耗品の外周長さと実質的に同じであることが好ましいとも言えるし、チャンバの内周長さとはチャンバの長手方向に直交する面における内周長さとしてもよい。また、「チャンバに受け入れられる前の消耗品の外周長さ」とは、チャンバに受け入れられる前の消耗品の外周長さのうち、チャンバに受け入れられた際にチャンバの長手方向において、比較されているチャンバの内周長さに対応する位置に位置づけられる部分の外周長さとしてもよい。また、「チャンバによって押圧された状態の消耗品の外周長さ」とは、チャンバによって押圧された状態の消耗品の外周長さのうちチャンバの長手方向において、比較されているチャンバの内周長さに対応する位置の外周長さとしてもよい。
【0127】
なお、第2態様においても第2態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。また、第2態様のチャンバは他の態様における保持部を有していてもよい。
【0128】
本発明の第3態様によれば、喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムが提供される。デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバを含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部を含む。デバイスは、少なくとも押圧部を加熱するインダクションコイルを含む。押圧部は、インダクションコイルによって加熱されるサセプタを含む。
【0129】
第3態様によれば、消耗品が加熱面(押圧部の内面)によって押圧され、且つ消耗品を押圧する押圧部がインダクションコイルによって加熱されるので、押圧部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。サセプタは、押圧部の外面又は内面に配置または被覆されてもよいし、押圧部を構成するチャンバの壁に含まれていてもよいし、押圧部を構成するチャンバの壁がサセプタで構成されていてもよい。
【0130】
インダクションコイルは、単一のワイヤで構成されてもよいが、効果的な発熱の観点から螺旋形状のリッツワイヤであってもよい。単一のワイヤ又はリッツワイヤは、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金、及びこれらのステンレスなどの合金からなる群の少なくとも一つから選択される材料を含むことが好ましい。リッツワイヤのシース材料は、例えば、ポリイミド又はポリエステルであり得る。
【0131】
インダクションコイルは、ヘリカル(三次元の螺旋)状又はスパイラル(二次元の渦)状に巻かれてもよい。インダクションコイルの形状は、シリンドリカル(ヘリカル状コイル又はスパイラル状コイルを曲げたもの)、又は平面でもよい。インダクションコイルはチャンバに隣接してもよいし、チャンバを囲んでもよいし、チャンバ内部に突出してもよいが、チャンバを取り囲むように配置されることで、効率的にチャンバの押圧部にエネルギーを供給することができる。インダクションコイルは一つでも複数であってもよい。チャンバを囲む構成の例として、インダクションコイルは、チャンバを囲むようにヘリカル状に構成されてもよいし、チャンバを囲むようにスパイラル状のコイルを湾曲させて構成されてもよいし、チャンバを囲む複数の平面コイルを有してもよいが、チャンバを囲むようにヘリカル状に構成されることでシンプルな構成とし製造コストを下げることができ得る。
【0132】
インダクションコイルに印加される周波数は、約80kHz以上500kHz以下、好ましくは約150kHz以上250kHz以下、より好ましくは190kHz以上210kHz以下であり得る。あるいは、インダクションコイルに印加される周波数は、1MHz以上30MHz以下、好ましくは2MHz以上10MHz以下、さらに好ましくは5MHz以上7MHz以下とすることもできる。これらの周波数は、サセプタの材質や形状当の性質を考慮して決定されてもよい。
【0133】
デバイスは、最高で約0.5テスラ(T)以上2.0テスラ(T)以下の磁束密度を有する変動電磁場で動作するように配置されてもよい。
【0134】
本明細書における「サセプタ」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換できる材料を意味し、“喫煙可能物”を加熱する目的の材料を意味する。サセプタは、“喫煙可能物”に熱を伝えられる位置に配置される。サセプタが変動電磁場内に位置するとき、サセプタ内で誘起される渦電流やサセプタ内での磁気ヒステリシス損失がサセプタの加熱の原因となる。
【0135】
サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、及びこれらの合金(例えば、ニクロムやステンレス鋼)からなる群の少なくとも一つから選択される材料を含むことが好ましい。サセプタとサセプタを流れる電流経路は、消耗品を収容する空間を取り囲む環状を含むことが好ましい。これにより、チャンバの発熱部分において効率よく渦電流を発生させることができる。
【0136】
サセプタの形状は任意であり、例えば、顆粒状、棒状、ストリップ状、環状、又は筒状等でもよい。サセプタが、環状の電気流路を有すれば、効率よく渦電流を発生させることができる。同一形状のサセプタが複数配置されてもよいし、異なる形状のサセプタが配置されてもよい。
【0137】
なお、第3態様においても第3態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0138】
本発明の第4態様によれば、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスが提供される。デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部とを含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部とを含む。押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有する。加熱部は、押圧部の外面に配置される。
【0139】
第4態様によれば、消耗品が加熱面(押圧部の内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。
【0140】
前述の様に加熱部を押圧部の外面に配置することは消耗品がチャンバの加熱面に実質的に密着することによってチャンバを介して熱を効率的に消耗品に伝えられる構成の一例に過ぎない。第4態様は、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスが提供され、デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部とを含み、チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含み、保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部とを含み、押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有し、消耗品は押圧部を介して加熱されてもよい。そして、加熱部は特に限定はされないが、前述の様に押圧部の外面に配置された加熱部でもよいし、前述の様に押圧部にサセプタを含ませインダクションコイルなどによって発生させた電磁場及び/又は磁力線によって押圧部を加熱してもよい。
【0141】
加熱部は、押圧部の外面に隙間なく配置されるのが好ましい。ここでの隙間なくとは、実質的に隙間なくという意味も含む。これにより、消耗品が加熱面(押圧部の内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱をさらに効率よく消耗品に伝えることができる。なお、加熱部は接着層を含んでもよい。その場合、接着層を含む加熱部が、押圧部の外面に隙間なく配置されることが好ましい。
【0142】
押圧部の内面は、向かい合う一対の平面状の平面押圧面を有し、非押圧部の内面は、一対の平面押圧面の両端を接続し、向かい合う一対の曲面状の曲面非押圧面を有することが好ましく、押圧部と非押圧部との厚みは均一(実質的に均一である場合も含む)かつ同一(実質的に同一である場合も含む)であることがさらに好ましい。これによって、チャンバの構造が簡素化され高精度な製造が容易になり、押圧部と非押圧部との位置をバランスよく配置でき加熱が均一化され、加熱部を位置精度よく隙間なく押圧部の外面に配置しやすくなり加熱効率が上がる。
【0143】
なお、第4態様においても第4態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0144】
本発明の第5態様によれば、上記いずれかの喫煙システムで使用される消耗品が提供される。この消耗品は、チャンバの押圧部によって一部が押圧される第1の箇所と、吸口と、第1の箇所と吸口との間に位置する第2の箇所と、を有する。
【0145】
なお、第5態様においても第5態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0146】
本発明の第6態様によれば、消耗品に設けられた喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスが提供される。このデバイスは、消耗品を受け入れるチャンバを含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部を含む。デバイスは、少なくとも押圧部を加熱するインダクションコイルを含む。押圧部は、インダクションコイルによって加熱されるサセプタを含む。
【0147】
なお、第6態様においても第6態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0148】
本発明の第7態様によれば、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスが提供される。このデバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部と、チャンバを取り囲む筒状のスリーブと、を含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部と、を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部とを含む。押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有する。保持部は消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、非押圧部の内面と消耗品との間に、チャンバの開口とチャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の端面、又はチャンバの開口とチャンバ内に位置づけられチャンバの開口から遠い方に位置づけられた消耗品の端面、に連通する空隙が設けられる。チャンバの長手方向と直交する方向において、スリーブの内面と押圧部の外面との最短距離をL1とし、スリーブの内面とチャンバの非押圧部の外面との最短距離をL2としたときに、L1はL2より大きい。
【0149】
第7態様によれば、消耗品の一部を押圧する押圧部の外面とスリーブの内面との距離が、非押圧部に比べて長くなることにより、この隙間における空気層の長さが長くなる。その結果、押圧部において消耗品を加熱する場合において、押圧部とスリーブとの間の空気層による断熱効率を向上させることができる。スリーブは断熱部を含むことが好ましい。この場合、チャンバを断熱部によって囲むことができるので、加熱される消耗品の熱がデバイス外部に伝達されることが抑制され得る。
【0150】
なお、第7態様においても第7態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0151】
本発明の第8態様によれば、デバイスが提供される。このデバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部と、を含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部とを含む。押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有する。保持部の内周長さは、押圧部によって押圧される前の消耗品の外周長さ又は押圧部によって押圧された状態の消耗品の外周長さと同一である。
【0152】
保持部の内周長さが消耗品の外周長さと実質的に同一である場合、押圧部によって消耗品の一部が押圧されることにより、消耗品の外周形状が保持部の内面の断面形状と略一致することになる。保持部の内周長さ及び内周形状が、消耗品の外周長さ及び外周形状と同一の場合と比べて、本喫煙システムでは消耗品が押圧部により押圧される箇所が形成されるので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。また、保持部の内周長さよりも消耗品の外周長さが短い場合に比べて、消耗品の外周面の押圧されない箇所も保持部の内周面(非押圧面)と実質的に接触するので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。さらに、保持部の内周長さよりも消耗品の外周長さが長い場合に比べて、消耗品を保持部にスムーズに挿入でき、消耗品の外周面及び消耗品内部(例えば、喫煙可能物の一例としてのたばこ)の密度にひずみが生じることを抑制できる。その結果、消耗品内部の密度にひずみが生じることによって起こり得る、不均一な加熱や、消耗品毎に通気抵抗がバラつくことを抑制することができる。
【0153】
なお、第8態様においても第8態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0154】
本発明の第9態様によれば、喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムが提供される。デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた前記消耗品を加熱する加熱部とを含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部とを含む。押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有する。保持部の内周長さは、押圧部によって押圧される前の消耗品の外周長さ又は押圧部によって押圧された後の消耗品の外周長さと同一である。
【0155】
保持部の内周長さが消耗品の外周長さと実質的に同一である場合、押圧部によって消耗品の一部が押圧されることにより、消耗品の外周形状が保持部の内面の断面形状と略一致することになる。保持部の内周長さ及び内周形状が、消耗品の外周長さ及び外周形状と同一の場合と比べて、本喫煙システムでは消耗品が押圧部により押圧される箇所が形成されるので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。また、保持部の内周長さよりも消耗品の外周長さが短い場合に比べて、消耗品の外周面の押圧されない箇所も保持部の内周面(非押圧面)と実質的に接触するので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。さらに、保持部の内周長さよりも消耗品の外周長さが長い場合に比べて、消耗品を保持部にスムーズに挿入でき、消耗品の外周面及び消耗品内部(例えば、喫煙可能物の一例としてのたばこ)の密度にひずみが生じることを抑制できる。その結果、消耗品内部の密度にひずみが生じることによって起こり得る、不均一な加熱や、消耗品毎に通気抵抗がバラつくことを抑制することができる。
【0156】
なお、第9態様においても第9態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0157】
本発明の第10態様によれば、喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムが提供される。このデバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部とを含み、チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部とを含む。押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有する。記消耗品は、第1の硬さを有する第1の箇所と、第2の硬さを有する第2の箇所を有し、第2の箇所は消耗品の挿入方向において第1の箇所と異なる箇所である。消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、消耗品は、第1の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされると同時に第2の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされる。
【0158】
第10態様によれば、第1の箇所に喫煙可能物が含まれる場合に、押圧部による喫煙可能物の効率的な加熱と消耗品のしっかりした保持とが同時に達成され得る。なお、第10態様においても第10態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0159】
本発明の第11態様によれば、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスが提供される。このデバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部と、を含む。チャンバは、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部を含む。押圧部は、内面と外面とを有する。加熱部は、押圧部の外面に配置される。押圧部の外面は、平面である。
【0160】
第11態様によれば、消耗品が加熱面(押圧部の内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。また、押圧部の外面が平面であることにより、押圧部の外面に配置される加熱部に帯状の電極が接続されている場合に、帯状の電極が撓むことを抑制することができるので、電極のデバイス内での引き回しが容易になる。また、押圧部の外面が曲面又は凹凸面である場合に比べて、加熱部を精度よく位置決めし、押圧部の外面に加熱部を容易に隙間なく配置することができる。
【0161】
なお、第11態様においても第11態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0162】
本発明の第12態様によれば、喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムが提供される。デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部と、を含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部と、を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部を含む。押圧部は、外面と、平坦な内面とを有する。消耗品は、喫煙可能物と、フィルタセグメントと、を有する。フィルタセグメントは、吸口フィルタとセンターホールセグメントとを含む。センターホールセグメントは、吸口フィルタよりも喫煙可能物側に位置する。
【0163】
消耗品の一部が押圧部によって押圧されると、フィルタセグメントが変形する可能性がある。フィルタセグメントが吸口フィルタのみから構成される場合、吸口フィルタが変形することで吸口フィルタの密度が高くなり、フィルタセグメントの通気抵抗が増加する恐れがある。また、吸口フィルタにカプセルが含まれる場合には、カプセルが意図せず破壊される恐れもある。第12態様によれば、例えば喫煙可能物が押圧部によって押圧されても、喫煙可能物に相対的に近いセンターホールセグメントが、吸口フィルタよりも押圧部による押圧の影響を受けやすくなる。ここで、センターホールセグメントはセンターホールを有するので、センターホールセグメントが変形しても、センターホールの存在により、通気抵抗が変化することを抑制することができる。また、センターホールセグメントは、消耗品の一部が押圧されることによる吸口フィルタへの影響を抑制し得るので、押圧部からの押圧による吸口フィルタの変形を抑制することができる。
【0164】
保持部は、互いに対向する2つの押圧部を有し、2つの押圧部の内面は、互いに平行であってよい。この場合、互いに対向する平行な2つの押圧部により消耗品が押圧されるので、消耗品の両側から均等に消耗品を加熱でき、エアロゾルを効率よく発生させることができる。押圧部は、消耗品の少なくとも喫煙可能物を押圧するように構成され得る。押圧部は、消耗品の喫煙可能物のみを押圧するように構成されてもよい。消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、センターホールセグメントが変形し得る。保持部は、内面及び外面を備える非押圧部を有してもよい。
【0165】
なお、第12態様においても第12態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0166】
図1】第1実施形態に係る喫煙システムを示す図である。
図2図1に示したヒータアッセンブリの斜視図を示す。
図3】チャンバの斜視図を示す。
図4図3に示す矢視4-4におけるチャンバの断面図を示す。
図5A図4に示す矢視5A-5Aにおけるチャンバの断面図を示す。
図5B図4に示す矢視5B-5Bにおけるチャンバの断面図を示す。
図5C図4に示す矢視5C-5Cにおけるチャンバの断面図を示す。
図6A】消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたの、非押圧部を含むチャンバの縦断面図である。
図6B】消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたの、押圧部を含むチャンバの縦断面図である。
図7A図6Bに示す矢視7A-7Aにおけるチャンバの断面図である。
図7B図6Bに示す矢視7B-7Bにおけるチャンバの断面図である。
図8】チャンバの押圧部の他の例を示す概略断面図である。
図9】チャンバの押圧部の他の例を示す概略断面図である。
図10】チャンバの押圧部の他の例を示す概略断面図である。
図11】チャンバの押圧部の他の例を示す概略断面図である。
図12】消耗品の概略側断面図である。
図13】負荷を加える前の消耗品及び負荷を加えた状態の消耗品の断面を示す。
図14】第2実施形態に係る喫煙システムのデバイスに設けられるチャンバの概略断面図である。
図15A図14における矢視18A-18Aにおけるチャンバの断面図である。
図15B図14における矢視18B-18Bにおけるチャンバの断面図である。
図16】第3実施形態に係る喫煙システムのデバイスに設けられるヒータアッセンブリの概略断面図である。
図17図16における矢視20-20におけるチャンバの断面図である。
図18】第4実施形態に係る喫煙システムを示す図である。
図19A】第4実施形態における、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態の、非押圧部を含むチャンバの縦断面図である。
図19B】第4実施形態における、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態の、押圧部を含むチャンバの縦断面図である。
図20A図19Bに示す矢視23A-23Aにおけるチャンバの断面図である。
図20B図19Bに示す矢視23B-23Bにおけるチャンバの断面図である。
図21】第5実施形態に係る喫煙システムのデバイスに設けられるチャンバ及びスリーブの概略断面図である。
図22図21に示す矢視22-22におけるチャンバ及びスリーブの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0167】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。図1は、第1実施形態に係る喫煙システム100を示す図である。図1に示すように、喫煙システム100は、喫煙可能物を有する消耗品110と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイス120とを有する。第1実施形態では、消耗品110をユーザが咥えた状態でパフ動作が行われるケースを例示する。ユーザが吸い込む空気は、例えば、空気流100A、空気流100C、空気流100Bの順でユーザの口腔内に導かれる。
【0168】
消耗品110は、喫煙可能な香味を発生しうるたばこ等の喫煙可能物を含む基材であり、例えば長手方向に沿って延びる柱状形状を有する。消耗品110は、例えばたばこスティックであり得る。
【0169】
デバイス120は、バッテリ10と、制御回路20と、ヒータアッセンブリ30とを有する。バッテリ10は、デバイス120で用いる電力を蓄積する。例えば、バッテリ10は、リチウムイオン電池である。バッテリ10は、外部電源によって充電可能であってもよい。
【0170】
制御回路20は、CPU及びメモリなどによって構成されており、デバイス120の動作を制御する。例えば、制御回路20は、図示しない押しボタンやスライド式スイッチ等の入力装置に対するユーザ操作に応じて消耗品110の加熱を開始し、一定時間が経過したら消耗品110の加熱を終了する。制御回路20は、ユーザによるパフ動作の回数が一定値を超過した場合に、消耗品110の加熱開始から一定時間が経過する前であっても消耗品110の加熱を終了してもよい。例えば、パフ動作は、図示しないセンサによって検出される。
【0171】
或いは、制御回路20は、パフ動作の開始に応じて消耗品110の加熱を開始し、パフ動作の終了に応じて消耗品110の加熱を終了してもよい。制御回路20は、パフ動作の開始から一定時間が経過した場合に、パフ動作の終了前であっても消耗品110の加熱を終了してもよい。実施形態では、制御回路20は、バッテリ10とヒータアッセンブリ30との間に配置されており、ヒータアッセンブリ30からバッテリ10への熱伝達を抑制する。
【0172】
ヒータアッセンブリ30は、消耗品110を加熱するアッセンブリである。図2は、図1に示したヒータアッセンブリ30の斜視図を示す。図2に示すように、ヒータアッセンブリ30は、トップキャップ32と、加熱部40と、チャンバ50と、を有する。チャンバ50は、消耗品110を受け入れるように構成される。加熱部40は、チャンバ50に受け入れられた消耗品110を加熱するように構成される。トップキャップ32は、チャンバ50に消耗品110を挿入する際のガイドの機能を有するとともに、チャンバ50をデバイス120に対して固定するように構成されてもよい。
【0173】
図3は、チャンバ50の斜視図を示す。図4は、図3に示す矢視4-4におけるチャンバ50の断面図を示す。図5Aは、図4に示す矢視5A-5Aにおけるチャンバ50の断面図を示す。図5Bは、図4に示す矢視5B-5Bにおけるチャンバ50の断面図を示す。図5Cは、図4に示す矢視5C-5Cにおけるチャンバ50の断面図を示す。図3及び図4に示すように、チャンバ50は、消耗品110が挿入される開口52と、消耗品110を保持する保持部60と、を含む有底の筒状部材であり得る。なお、チャンバ50は底のない筒状体であってもよい。チャンバ50は、熱伝導率の高い金属で構成されることが好ましく、例えば、ステンレス鋼等で形成され得る。これにより、チャンバ50から消耗品110へ効果的な加熱が可能になる。
【0174】
図4及び図5Cに示すように、保持部60は、消耗品110の一部を押圧する押圧部62と、非押圧部66と、を含む。押圧部62は、内面62aと、外面62bとを有する。非押圧部66は、内面66aと、外面66bとを有する。図2に示すように、加熱部40は、押圧部62の外面62bに配置される。加熱部40は、押圧部62の外面62bに隙間なく配置されることが好ましい。なお、加熱部40は接着層を含んでもよい。その場合、接着層を含む加熱部40が、押圧部62の外面62bに隙間なく配置されることが好ましい。
【0175】
チャンバ50の開口52は、消耗品110を押圧せずに受け入れ可能であることが好ましい。チャンバ50の長手方向、言い換えれば消耗品110がチャンバ50に挿入される方向又はチャンバ50の側面全体として伸びる方向、に直交する面におけるチャンバ50の開口52の形状は多角形又は楕円形であってもよいが、円形であることが好ましい。
【0176】
図3及び図5Cに示すように、押圧部62の外面62bは平面である。押圧部62の外面62bが平面であることにより、図2に示すように押圧部62の外面62bに配置される加熱部40に帯状の電極48が接続されている場合に、帯状の電極48が撓むことを抑制することができる。その結果、電極48のデバイス120内での引き回しが容易になる。また、押圧部62の外面62bが曲面又は凹凸面である場合に比べて、加熱部40を精度よく位置決めし、押圧部62の外面62bに加熱部40を容易に隙間なく配置することができる。図4及び図5Cに示すように、押圧部62の内面62aは平面である。また、図4及び図5Cに示すように、押圧部62の厚みは均一である。
【0177】
図3図4、及び図5Cに示すように、第1実施形態では、チャンバ50は、押圧部62をチャンバ50の周方向に2以上有する。図4及び図5Cに示すように、保持部60の2つの押圧部62は、互いに対向する。2つの押圧部62の内面62a間の少なくとも一部の距離は、チャンバ50に挿入される消耗品110の押圧部62間に配置される箇所の幅よりも小さいことが好ましい。図示のように、押圧部62の内面62aは平面である。
【0178】
図5Cに示すように、押圧部62の内面62aは、向かい合う一対の平面状の平面押圧面を有し、非押圧部66の内面66aは、一対の平面押圧面の両端を接続し、向かい合う一対の曲面状の曲面非押圧面を有する。図示のように、曲面非押圧面は、チャンバ50の長手方向に直交する面において、全体的に円弧状の断面を有し得る。図5Cに示すように、保持部60は均一な厚みを有する金属筒状体によって構成される。
【0179】
図6Aは、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態の、非押圧部66を含むチャンバ50の縦断面図である。図6Bは、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態の、押圧部62を含むチャンバ50の縦断面図である。図7Aは、図6Bに示す矢視7A-7Aにおけるチャンバ50の断面図である。図7Bは、図6Bに示す矢視7B-7Bにおけるチャンバ50の断面図である。なお、図7Bにおいては、押圧部62において消耗品110が押圧されることがわかりやすいように、押圧される前の状態の消耗品110の断面が示されている。
【0180】
図7Bに示された、非押圧部66の内面66aと消耗品110との間の空隙67は消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされ、消耗品110が押圧部62により押圧されて変形しても、実質的に維持される。この空隙67は、チャンバ50の開口52と、チャンバ50内に位置づけられた消耗品110の端面(図6A及び図6B中下側の端面)と連通し得る。この空隙67は、チャンバ50の開口52と、チャンバ50内に位置づけられチャンバ50の開口52から遠い方に位置づけられた消耗品110の端面(図6A及び図6B中下側の端面)とに連通するということもできる。これにより、消耗品110に供給される空気を導入するための流路を喫煙システム100に別途設ける必要がないので、喫煙システム100の構造を簡素化することができる。また、非押圧部66の、空隙67の一部を形成する箇所が露出するので、流路の清掃を容易に行うことができる。通気抵抗の観点等から、非押圧部66の内面66aと消耗品110との間の空隙67の高さは、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.8mm以下であることがさらに好ましく、0.3mm以上0.5mm以下であることが最も好ましい。
【0181】
図3から図6に示すように、チャンバ50は、底部56を有する。底部56は、図6Bに示すように、消耗品110の端面の少なくとも一部を露出するように、チャンバ50に挿入された消耗品110の一部を支持する。また、底部56は、露出した消耗品110の端面が空隙67と連通するように、消耗品110の一部を支持し得る。
【0182】
図4図6A及び図6Bに示すように、チャンバ50の底部56は、底壁56aを有し、これに加えて側壁56bを有してもよい。側壁56bによって画定される底部56の幅は、底壁56aに向かって小さくなってもよい。図5C及び図7Bに示すように、保持部60の非押圧部66の内面66aは、チャンバ50の長手方向に直交する面において湾曲している。
【0183】
非押圧部66の内面66aのチャンバ50の長手方向に直交する面における形状は、チャンバ50の長手方向に直交する面における開口52の形状と、チャンバ50の長手方向の任意の位置において同一であることが好ましい。言い換えれば、非押圧部66の内面66aは、開口52を形成するチャンバ50の内面を長手方向に延長して形成されることが好ましい。
【0184】
図2から図4に示すように、チャンバ50は、開口52と保持部60との間に筒状の非保持部54を有することが好ましい。消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態において、非保持部54と消耗品110との間に隙間が形成され得る。
【0185】
図4から図7に示すように、保持部60の外周面は、保持部60の長手方向全長に亘って同一の形状及び大きさ(保持部60の長手方向に直交する面における保持部60の外周長さ)を有することが好ましい。
【0186】
また、図3図4図5B、及び図6Bに示すように、チャンバ50は、開口52を形成するチャンバ50の内面と押圧部62の内面62aとを接続するテーパ面58aを備えた第1ガイド部58を有することが好ましい。
【0187】
図2に示すように、加熱部40は、加熱要素42を有する。加熱要素42は、例えばヒーティングトラックであってもよい。例えば図5Cに示すように、押圧部62の外面62bと非押圧部66の外面66bとは、角度を有して互いに接続され、押圧部62の外面62bと非押圧部66の外面66bとの間に境界71が形成され得る。ヒーティングトラックは、好ましくは境界71の延びる方向(チャンバの長手方向)と交わる方向に延び、好ましくは境界71の延びる方向と直角方向に延びる。
【0188】
図2に示すように、加熱部40は、加熱要素42に加えて、加熱要素42の少なくとも一面を覆う電気絶縁部材44を有することが好ましい。本実施形態においては、電気絶縁部材44は加熱要素の両面を覆う様に配置される。また、電気絶縁部材44は、保持部60の外面の領域内に配置されることが好ましい。言いかえれば、電気絶縁部材44は、チャンバ50の長手方向の第1ガイド部58側において保持部60の外面からはみ出さないように配置されることが好ましい。上述したように、開口52と押圧部62との間に第1ガイド部58が設けられるので、チャンバ50の長手方向において、チャンバ50の外面の形状及びチャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバの外周長さが変わり得る。このため、電気絶縁部材44が保持部60の外面上に配置されることで、たるみが生じることを抑制することができる。
【0189】
デバイス120は、さらに、チャンバ50及び加熱部40を覆い、チャンバ50の外面に加熱部40を固定するシートを備えることが好ましい。これにより、しっかりと加熱部40をチャンバ50の外面に密着固定させることができるので加熱効率がさらに向上し、チャンバ50周辺の構造が安定する。また、シートは、保持部60の外面上に配置されることが好ましい。言い換えれば、シートは、チャンバ50の長手方向の第1ガイド部58側において保持部60の外面上からはみ出さないように配置されることが好ましい。上述したように、開口52と保持部60との間に第1ガイド部58が設けられているので、チャンバ50の長手方向においてチャンバ50の外面の形状及びチャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバの外周長さが変わり得る。このため、シートが保持部60の外面上に配置されることで、たるみが生じることを抑制することができる。
【0190】
加熱部40は、開口52と第1ガイド部58との間のチャンバ50の外面、即ち非保持部54の外面、第1ガイド部58の外面、及び非押圧部66の外面から選ばれる少なくとも一つには配置されないことが好ましい。加熱部40は、押圧部62の外面62bの全体に亘って配置されることが好ましい。
【0191】
第1実施形態では、図2に示すように、デバイス120は、加熱部40から延びる帯状の電極48を有する。帯状の電極48は、押圧部62の外面62bに加熱部40が配置された状態において、平面である押圧部62の外面62bから押圧部62の外面62bの外部に延びることが好ましい。図2に示すように、帯状の電極48は、2つの押圧部62のそれぞれの外面62bから延びる。これに限らず、帯状の電極48は2つの押圧部62の一つの外面62bのみから延びてもよい。また、図2に示すように、帯状の電極48は、チャンバの開口52側と反対側に延びる。帯状の電極48は、2層の電気絶縁材料からなる層の間に導電トラックからなる層を配置した構造を有し得る。
【0192】
また、図2図6A及び図6Bに示すように、加熱部40は、開口52と反対側に位置する第1部分40aと、開口52側に位置する第2部分40bと、を有する。第2部分40bのヒータ電力密度は、第1部分40aのヒータ電力密度よりも高いことが好ましい。或いは、第2部分40bの昇温速度は、第1部分40aの昇温速度よりも高いことが好ましい。或いは、第2部分40bの加熱温度は任意の同時間において、第1部分40aの加熱温度よりも高いことが好ましい。第2部分40bは、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態において、消耗品110に含まれる喫煙可能物の長手方向において喫煙可能物の1/2以上に対応する保持部60の外面を覆うことが好ましい。
【0193】
以上で説明した実施形態では、チャンバ50は互いに対向する一対の押圧部62を有しているが、チャンバの形状はこれに限らない。図8から図11は、チャンバ50の押圧部62の他の例を示す概略断面図である。図8から図11には、押圧部62において消耗品110が押圧されることがわかりやすいように、押圧される前の状態の消耗品110の断面が破線で示される。図8に示す例では、チャンバ50は、平面の内面62aを有する3つの押圧部62と、1つの非押圧部66(内面66a)を有する。3つの押圧部62のうち、一対の押圧部62(内面62a)が互いに対向する。残りの押圧部62と非押圧部66は、一対の押圧部62の間にそれぞれ設けられ、互いに対向する。図8に示すように平面の内面62aを有する一対の押圧部62間の距離は、挿入される円形の断面を有する消耗品110の直径よりも小さい。これにより、消耗品110がチャンバ50内に配置されたときに、押圧部62の内面62aによって押圧される。
【0194】
図9に示す例では、チャンバ50は、3つの押圧部62(内面62a)と、3つの押圧部62のそれぞれの間に設けられる3つの非押圧部66(内面66a)とを有する。押圧部62の内面62aは平面であり、非押圧部66の内面66aは曲面である。それぞれの押圧部62は、それぞれの非押圧部66と対向する。図9に示す断面、即ちチャンバの長手方向に直交する面において、それぞれの押圧部62の内面62aの中心C1から垂直に延びる線が交わる点P1と、押圧部62の内面62aの各々の中心C1との距離は、挿入される円形の断面を有する消耗品110の半径よりも小さい。これにより、消耗品110がチャンバ50内に配置されたときに、押圧部62によって押圧される。
【0195】
図10に示す例では、チャンバ50は、1つの押圧部62(内面62a)と、1つの非押圧部66(内面66a)を有する。押圧部62の内面62aは平面であり、非押圧部66の内面66aは曲面である。押圧部62と非押圧部66とにより、筒状の保持部60が形成される。
【0196】
図11に示す例では、チャンバ50は、4つの押圧部62(内面62a)と4つの非押圧部66(内面66a)を有する。押圧部62の内面62aは平面であり、非押圧部66の内面66aは、隣接する押圧部62の内面62aを接続するように屈曲する。押圧部62(内面62a)の2つは互いに対向し、残りの2つの押圧部62(内面62a)が互いに対向する。互いに対向する一対の押圧部62(内面62a)間の距離、及び互いに対向する他の一対の押圧部62(内面62a)間の距離の少なくとも一方は、消耗品110の直径より小さい。これにより、消耗品110がチャンバ50内に配置されたときに、押圧部62によって押圧される。
【0197】
以上、図8から図11に示したように、押圧部62は、1つだけであってもよいし、チャンバ50の周方向に3以上存在してもよい。また、押圧部62の各々は、押圧部62の各々と対向するように配置されてもよいし、非押圧部66の各々と対向するように配置されてもよい。また、図8図10に示された例の様に、消耗品110がチャンバの長手方向に直交する面において、押圧部62から受ける圧力がある方向に偏っている場合は(図8では消耗品110が図面下方向から図面上方向に向けて圧力を受け、図10では消耗品110が図面上方向から図面下方向に向けて圧力を受ける)、消耗品110が移動して非押圧部66の内面66aに接触しない様に、消耗品110とデバイス120との間に支えを設けても良い。支えは消耗品110の喫煙可能物に対応する個所にでも、対応しない箇所にでも設けられてもよい。なお、図8から図11には押圧される前の状態の消耗品110が示されているが、非押圧部66と消耗品110との間に空隙67が形成される場合は、消耗品110が押圧部62により押圧されて変形しても、空隙67は、非押圧部66の内面66aと消耗品110との間で実質的に維持される。一方、後述する第4実施形態の様に、消耗品110が押圧部62により押圧されて変形して、非押圧部66の内面66aと消耗品110とが接触してもよい。
【0198】
次に、喫煙システム100に使用される消耗品110について詳細に説明する。図12は、消耗品110の概略側断面図である。図12に示す実施形態においては、消耗品110は、喫煙可能物111と、マウスピース部118と、これらを巻装してなるチップペーパ等の第2の巻紙113とを備える棒状の非燃焼加熱式たばこである。マウスピース部118は、冷却セグメント114と、フィルタセグメント119と、を有する。フィルタセグメント119は、センターホールセグメント116(中空フィルタ部)と、吸口フィルタ115(フィルタ部)と、を有する。消耗品110の軸方向(「長軸方向」とも称する。)に対して、冷却セグメント114が、喫煙可能物111とフィルタセグメント119とに隣接して挟持されてもよい。また、冷却セグメント114には、冷却セグメント114の周方向に同心状に開孔Vが設けられていてもよい。消耗品110における冷却セグメント114に設けられる開孔Vは、通常、ユーザの吸引による外部からの空気の流入を促進するための孔であり、この空気の流入により喫煙可能物111から流入する成分や空気の温度を下げることができる。喫煙可能物111は、たばこ充填物111aが第1の巻紙112によって巻装されて構成される。冷却セグメント114、センターホールセグメント116、及び吸口フィルタ115は、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって巻装される。第2の巻紙113は、喫煙可能物111を巻装する第1の巻紙112の一部も巻装する。これにより、冷却セグメント114、センターホールセグメント116、及び吸口フィルタ115と喫煙可能物111とが連結される。ただし、第2の巻紙113を省略し、第1の巻紙112を用いて冷却セグメント114、センターホールセグメント116、及び吸口フィルタ115と喫煙可能物111とを連結してもよい。第2の巻紙113の吸口フィルタ115側の端部近傍の外面には、ユーザの唇が第2の巻紙113からくっつきにくくするためのリップリリース剤117が塗布される。消耗品110のリップリリース剤117が塗布される部分は、消耗品110の吸口として機能する。消耗品110は、フィルタセグメント119のみを巻装する巻紙を有していてもよい。
【0199】
本実施形態においては、充填物111a及び第1の巻紙112(喫煙可能物111)の部分に対応する部分を第1の箇所S1という。また、冷却セグメント114に対応する部分の少なくとも一部を第2の箇所S2という。さらに具体的にはリップリリース剤117が塗布されていない第2の巻紙113に巻装された冷却セグメント114の部分を第2の箇所S2という。
【0200】
第1の箇所S1は、喫煙可能物111、例えばたばこを有する。また、第1の箇所S1において、喫煙可能物111を巻く第1の巻紙112は、通気性を有するシート部材であり得る。第1の箇所S1の端部には、喫煙可能物111の落下を防止する蓋が設けられてもよい。この蓋は、第1の巻紙112に例えば糊で貼り付けられ得る。また、蓋は、第1の巻紙112に摩擦力により固定されてもよい。蓋は、例えば、ペーパフィルタ又はアセテートフィルタであり得る。第2の箇所S2に設けられる冷却セグメント114は、紙管又は中空フィルタであり得る。
【0201】
図示の例では、消耗品110は、喫煙可能物111、冷却セグメント114、センターホールセグメント116、及び吸口フィルタ115を備えているが、消耗品110の構成はこれに限られない。例えば、センターホールセグメント116を省略し、冷却セグメント114と吸口フィルタ115とを互いに隣接配置してもよい。
【0202】
図示のように、消耗品110の第1の箇所S1は、第2の箇所S2よりも消耗品110の長手方向の端側に配置される。第1の箇所S1は、第1の硬さを有し、第2の箇所S2は第2の硬さを有する。第1の硬さは、65%以上かつ90%以下であることが好ましく、70%以上かつ85%以下であることがさらに好ましく、73%以上かつ82%以下であることが最も好ましい。
【0203】
消耗品110がチャンバ50に挿入されたとき、消耗品110は、第2の箇所S2の少なくとも一部が押圧部62の内面62aに押圧されるように位置決めされる。第2の硬さは、90%以上かつ99%以下であることが好ましく、90%以上98%以下であることがさらに好ましく、92%以上かつ96%以下であることが最も好ましい。これにより、挿入が行い易く消耗品110が保持部60にしっかりと保持される。
【0204】
第2の硬さは第1の硬さよりも高いことが好ましい。これによれば、消耗品110の保持部60へ挿入し易さと消耗品110のしっかりとした保持が同時に達成され得る。また、消耗品110をチャンバ50に挿入したときに第1の箇所S1のみが押圧部62の内面62aに押圧される状態から、第2の箇所S2も押圧部62の内面62aに押圧される状態に変化することで、ユーザは、消耗品110の挿入中に抵抗の変化を感じることができる。その結果、ユーザが、消耗品110がどの程度チャンバ50に挿入されたかを挿入中に知ることができ、所望の挿入位置まであとどの程度挿入すればよいかを知る手掛かりになり、消耗品110を所望の位置に位置決めしやすくなる。この抵抗の変化は、図12に示すように第1の箇所S1と第2の箇所S2が隣り合って配置されている場合に、より明確に感じることができる。
【0205】
上述したように、本明細書の全体にわたって使用される用語「硬さ」は、変形するための抵抗を意味する。硬さは割合として一般に表現される。図13は、負荷Fを加える前の消耗品110及び負荷Fを加えた状態の消耗品110の断面を示す。図示のとおり、負荷を加える前の消耗品の直径をDとし、所定の負荷を加えた状態の消耗品110の負荷を加えた方向の直径をDとする。所定の負荷を加えたときの消耗品の変形量dは、D-Dで表すことができる。ここで、硬さ(%)はDd/Ds×100(%)によって示される。
【0206】
消耗品110の第1の箇所S1の長手方向における長さは、押圧部62の内面62aの長手方向の長さ以下であり、消耗品110がチャンバ50に挿入されたとき、消耗品110の第1の箇所S1が、チャンバ50の長手方向において押圧部62の内面62aからはみ出さないように消耗品110がチャンバ50に位置決めされることが好ましい。また、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた際、消耗品110の喫煙可能物の全外周面が保持部60によって覆われることが好ましい。
【0207】
消耗品110がチャンバ50内の所望の位置に位置決めされた際に、消耗品110の第2の箇所S2が保持部60に挿入される距離は1.0mm以上かつ10.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以上かつ8.0mm以下がさらに好ましく、4.0mm以上かつ6.0mm以下が最も好ましい。
【0208】
チャンバ50の底壁56aから押圧部62の開口52側の端部までの長さは、消耗品110の第1の箇所S1の長手方向における長さ(以下第1の箇所の長さという)よりも長く、且つ第1の箇所S1の長さの1.5倍より短いことが好ましく、1.35倍よりも短いことがさらに好ましい。また、消耗品110の第1の箇所S1の少なくとも一部は、消耗品110がチャンバ50に挿入されたとき、保持部60の長手方向中央部よりも開口52側に位置することが好ましい。言い換えると、第1の箇所S1の第2の箇所S2側の端部は保持部60の長手方向中央部よりも開口52側に位置することが好ましい。これにより、消耗品110の第1の箇所S1がチャンバ50の底壁56aに当接する前に第2の箇所S2が保持部60に挿入されるので抵抗の変化を感じることができ、その変化を感じる挿入位置が消耗品110の所望の挿入位置に比較的近い位置とすることができるので、より消耗品110を所望の位置に位置決めしやすくなり、ユーザの使用感覚が向上し得る。
【0209】
棒状の消耗品110は、以下のように定義されるアスペクト比が1以上である形状を満たす柱状形状を有していることが好ましい。
アスペクト比=h/w
wは柱状体の底面の幅(本明細書においては、喫煙可能物111側の底面の幅とする。)、hは高さであり、h≧wであることが好ましい。本明細書においては、長軸方向はhで示された方向であると規定する。したがって、仮にw≧hである場合においてもhで示された方向を便宜上長軸方向と称する。底面の形状は限定されず、多角、角丸多角、円、または楕円等であってよく、幅wは当該底面が円形の場合は直径、楕円形である場合は長径、または多角形もしくは角丸多角である場合は外接円の直径もしくは外接楕円の長径である。
【0210】
消耗品110の長軸方向の長さhは、特段制限されず、例えば、通常40mm以上であり、45mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましい。また、消耗品110の長軸方向の長さhは、通常100mm以下であり、90mm以下であることが好ましく、80mm以下であることがより好ましい。消耗品110の柱状体の底面の幅wは、特段制限されず、例えば、通常5mm以上であり、5.5mm以上であることが好ましい。また、消耗品110の柱状体の底面の幅wは、通常10mm以下であり、9mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましい。
【0211】
消耗品110の長軸方向の長さにおける、冷却セグメント114及びフィルタセグメント119の長さの割合(冷却セグメント114:フィルタセグメント119)は、特段制限されないが、香料のデリバリ量や適切なエアロゾル温度の観点から、通常0.60~1.40:0.60~1.40であり、0.80~1.20:0.80~1.20であることが好ましく、0.85~1.15:0.85~1.15であることがより好ましく、0.90~1.10:0.90~1.10であることがさらに好ましく、0.95~1.05:0.95~1.05であることが特に好ましい。冷却セグメント114及びフィルタセグメント119の長さの割合を上記範囲内とすることで、冷却効果、生成した蒸気及びエアロゾルが冷却セグメント114の内壁に付着することによるロスを抑制する効果、及びフィルタの空気量及び香味の調整機能のバランスがとれて、良好な香味及び香味の強さを実現できる。特に、冷却セグメント114を長くすると、エアロゾル等の粒子化が促進され良好な香味を実現できるが、長すぎると通過する物質の内壁への付着が生じてしまう。
【0212】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る喫煙システム100について説明する。第2実施形態の喫煙システム100は、第1実施形態の喫煙システム100と比べてチャンバ50の構造が異なる。図14は、第2実施形態に係る喫煙システム100のデバイス120に設けられるチャンバ50の概略断面図である。図15Aは、図14における矢視18A-18Aにおけるチャンバ50の断面図である。図15Bは、図14における矢視18B-18Bにおけるチャンバ50の断面図である。具体的には、第2実施形態のチャンバ50は、第1実施形態のチャンバ50に比べて、第1保持部70と、第2保持部76を備える点が異なる。
【0213】
第1保持部70は、チャンバ50に挿入された消耗品110を保持するように構成される。第2保持部76は、第1保持部70よりもチャンバ50の開口52から遠くに位置し、チャンバ50に挿入された消耗品110を保持するように構成される。第1保持部70は、消耗品110の一部を押圧する第1押圧部72と、第1非押圧部73とを含む。第1押圧部72は、内面72aと、外面72bとを有する。第1非押圧部73は、内面73aと、外面73bとを有する。第2保持部76は、消耗品110の一部を押圧する第2押圧部77と、第2非押圧部78とを含む。第2押圧部77は、内面77aと、外面77bとを有する。第2非押圧部78は、内面78aと、外面78bとを有する。
【0214】
消耗品110が第1保持部70と第2保持部76とによって保持された状態において、第2保持部76は、第1保持部70よりも消耗品110を圧縮するように構成される。具体的には、例えば、図15A及び図15Bに示すように、チャンバ50の長手方向に直交する面において、第2保持部76の内部の断面積は、第1保持部70の内部の断面積よりも小さい。第1押圧部72の内面72aが消耗品110を押圧することにより、第1保持部70において消耗品110が加熱面(第1押圧部72の内面72a)に実質的に密着するので加熱部40からの熱を効率よく消耗品110に伝えることができる。これと同時に第2保持部76の押圧によって喫煙時の通気抵抗を調整することができる。第2押圧部77の外面77bには、加熱部40は配置されなくてもよい。特に、第2保持部76によって押圧される消耗品110の箇所が上述した蓋である場合は、加熱部40を第2保持部76に配置しないことにより、喫煙可能物の加熱に効率的に寄与しない加熱を抑制し得る。
【0215】
図14に示すように、チャンバ50は、第1押圧部72の内面72aと第2押圧部77の内面77aとを接続するテーパ面79aを備えた第2ガイド部79を有する。第2ガイド部79は、第1押圧部72から第2押圧部77に向けて、チャンバ50の内面の断面形状を連続的に変化させることができるので、消耗品110を第2保持部76にスムーズに挿入することができる。
【0216】
図15Aに示すように、第1保持部70の第1押圧部72の内面72aは、互いに対向する。即ち、第1押圧部72の内面72aは、向かい合う一対の第1押圧面を構成する。図15Bに示すように、第2保持部76の第2押圧部77の内面77aは、互いに対向する。即ち、第2押圧部77の内面77aは、向かい合う一対の第2押圧面を構成する。第2押圧面間の最も短い距離は、第1押圧面間の最も短い距離よりも小さいことが好ましい。また、図示の実施形態では、第1押圧面及び第2押圧面は平面である。図15A及び図15Bに示すように、チャンバ50の長手方向に直交する方向において、第2保持部76の押圧面は第1保持部70の押圧面と同一の方向に向けられる。
【0217】
図14に示すように、第2保持部76はチャンバ50の端部に配置される。これにより、消耗品110の端部の喫煙可能物を押圧する場合、第2保持部76の押圧によって消耗品110の端部の喫煙可能物を圧縮し、喫煙後に消耗品110をチャンバ50から取り出す際に喫煙可能物がチャンバ50内に落下することを低減し得る。
【0218】
第1押圧部72の内面72a及び外面72b並びに第2押圧部77の内面77a及び外面77bは、第1実施形態の押圧部62の内面62a及び外面62bと同様の特徴を有し得る。また、第1非押圧部73の内面73a及び外面73b並びに第2非押圧部78の内面78a及び外面78bは、第1実施形態の非押圧部66の内面66a及び外面66bと同様の特徴を有し得る。
【0219】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る喫煙システム100について説明する。第3実施形態の喫煙システム100は、第1実施形態の喫煙システム100と比べて、チャンバ50及び加熱部40の構造が異なる。図16は、第3実施形態に係る喫煙システム100のデバイス120に設けられるヒータアッセンブリ30の概略断面図である。図17は、図16における矢視20-20におけるチャンバ50の断面図である。図16においては、図2に示したトップキャップ32が省略されている。
【0220】
図15及び図16に示すように、チャンバ50の形状は、第1実施形態のチャンバ50の形状と略同一である。他方、第3実施形態のヒータアッセンブリ30は、加熱部40に代えて、チャンバ50を加熱するインダクションコイル46を備える。図15に示すように、インダクションコイル46は、チャンバ50の押圧部62を取り囲むように配置されてもよい。これにより、チャンバ50の発熱部分にエネルギーを効率的に供給することができる。なお、インダクションコイル46は円筒形であってもよい。
【0221】
チャンバ50の押圧部62は、インダクションコイル46によって加熱されるサセプタ63を含む。サセプタ63は、押圧部62の外面62b又は内面62aに配置されてもよいし、押圧部62を構成するチャンバ50の壁に含まれていてもよいし、押圧部62を構成するチャンバ50の壁がサセプタで構成されていてもよい。サセプタ63は、アルミニウム、鉄、ニッケル、及びこれらの合金(例えば、ニクロムやステンレス鋼)からなる群の少なくとも一つから選択される材料を含むことが好ましい。
【0222】
第3実施形態では、チャンバ50の非押圧部66もサセプタ63を含む。これにより、図17に示すように、サセプタ63及びサセプタ63を流れる電流の経路が、消耗品110を収容する空間(チャンバ50の内部空間)を取り囲む環状に形成される。
【0223】
以上で説明したように、第3実施形態では、少なくとも押圧部62がサセプタ63を含み、サセプタ63がインダクションコイル46によって加熱される。
【0224】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る喫煙システム100について説明する。第4実施形態の喫煙システム100は、第1実施形態の喫煙システム100と比べて、喫煙システム100の空気流路、及びチャンバ50の構造が異なる。図18は、第4実施形態に係る喫煙システム100を示す図である。
【0225】
図18に示すように、第4実施形態の喫煙システム100では、ヒータアッセンブリ30と消耗品110との間から空気を取り込むための隙間が実質的に存在しない。図18に示すように、喫煙システム100では、ヒータアッセンブリ30の底部に空気取り入れ用の開口30aが形成され、この開口30aに空気を取り込むための空気通路15が形成される。図示の例では、空気通路15は、開口30aと喫煙システム100の底部(消耗品110を挿入するヒータアッセンブリ30のチャンバ50の開口52と反対側)とを連通するように延在する。空気通路15は、開口30aと喫煙システム100の外部とを接続する任意の形状を取り得る。これにより、ユーザが吸い込む空気は、空気流100Dで示されるように、喫煙システム100の底部から消耗品110の端部を通じてユーザの口腔内に導かれる。
【0226】
図19Aは、第4実施形態における、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態の、非押圧部66を含むチャンバ50の縦断面図である。図19Bは、第4実施形態における、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態の、押圧部62を含むチャンバ50の縦断面図である。図20Aは、図19Bに示す矢視23A-23Aにおけるチャンバ50の断面図である。図20Bは、図19Bに示す矢視23B-23Bにおけるチャンバ50の断面図である。なお、図20Bにおいては、押圧部62において消耗品110が押圧されることがわかりやすいように、押圧される前の状態の消耗品110の断面が示されている。
【0227】
図19Bに示すように、保持部60は、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされたとき、非押圧部66の内面66aと消耗品110との間に実質的に隙間が設けられない。また、図19A及び図19Bに示すように、チャンバ50の底部56の底壁56aには、チャンバ50内に空気を流入させるための開口30aが形成される。
【0228】
非押圧部66は、消耗品110がチャンバ50内に配置されたとき、消耗品110と、非押圧状態で接触することが好ましい。ここでの非押圧状態とは、実質的に非押圧状態であることを含む。
【0229】
第4実施形態において、保持部60の内周長さは、押圧部62によって押圧される前の消耗品110の外周長さと同一である。なお、ここで「同一」とは、実質的に同一である場合を含む。
【0230】
上述したように、保持部60は、押圧部62と非押圧部66を有する。保持部60の内周長さが消耗品110の外周長さと実質的に同一である場合、押圧部62によって消耗品110の一部が押圧されることにより、消耗品110の外周形状が保持部60の内面の断面形状と略一致することになる。保持部60の内周長さ及び内周形状が、消耗品110の外周長さ及び外周形状と同一の場合と比べて、喫煙システム100では消耗品110が押圧部62により押圧される箇所が形成されるので、加熱部40から消耗品110への熱伝導効率が向上し得る。また、保持部60の内周長さよりも消耗品110の外周長さが短い場合に比べて、消耗品110の外周面の押圧されない箇所も保持部60の内周面(非押圧部66の内面66a)と実質的に接触するので、加熱部40から消耗品110への熱伝導効率が向上し得る。さらに、保持部60の内周長さよりも消耗品110の外周長さが長い場合に比べて、消耗品110を保持部60にスムーズに挿入でき、消耗品110の外周面及び消耗品110内部(例えば、たばこ)の密度にひずみが生じることを抑制できる。その結果、消耗品110内部の密度にひずみが生じることによって起こり得る、不均一な加熱や、消耗品110毎に通気抵抗がバラつくことを抑制することができる。
【0231】
なお、保持部60の内周長さは、押圧部62によって押圧された状態の消耗品110の外周長さと実質的に同じであることが好ましいとも言えるし、保持部60の内周長さとは、保持部60のチャンバ50の長手方向に直交する面における内周長さとしてもよい。また、「押圧部62によって押圧される前の消耗品110の外周長さ」とは、押圧部62によって押圧される前の消耗品110の外周長さのうち、押圧部62によって押圧された際にチャンバ50の長手方向において、比較されている保持部60の内周長さに対応する位置に位置づけられる位置の外周長さとしてもよい。また、「押圧部62によって押圧された状態の消耗品110の外周長さ」とは、押圧部62によって押圧された状態の消耗品110の外周長さのうちチャンバの長手方向において、比較されている保持部60の内周長さに対応する位置の外周長さとしてもよい。
【0232】
第4実施形態において、チャンバ50(保持部60)の内周長さは、チャンバ50に受け入れられる前の消耗品110の外周長さと同一であり、チャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバ50(保持部60)の内周形状は、チャンバ50に受け入れられる前の消耗品110の長手方向に直交する断面形状とは異なるということもできる。ここで同一とは、実質的に同一である場合を含む。
【0233】
本実施形態によれば、消耗品110が加熱面(チャンバ50の押圧部62の内面62a)に実質的に密着するので加熱部40からの熱を効率よく消耗品110に伝えることができる。具体的には、チャンバ50の内周長さと消耗品110の外周長さが実質的に同一であり、且つチャンバ50の内周形状がチャンバ50に受け入れられる消耗品110の断面形状と異なるので、消耗品110の一部がチャンバ50の内面に押圧され、消耗品110の外周形状が保持部60の内面の内周形状と略一致することになる。チャンバ50の内周長さ及び内周形状が、消耗品110の外周長さ及び断面形状と同一の場合と比べて、喫煙システム100では消耗品110がチャンバ50により押圧される箇所が形成されるので、加熱部40から消耗品110への熱伝導効率が向上し得る。また、チャンバ50の内周長さよりも消耗品110の外周長さが短い場合に比べて、消耗品110の外周面の押圧されない箇所もチャンバ50の内周面(非押圧面)と実質的に接触するので、加熱部40から消耗品110への熱伝導効率が向上し得る。さらに、チャンバ50の内周長さよりも消耗品110の外周長さが長い場合に比べて、消耗品110をチャンバ50にスムーズに挿入でき、消耗品110の外周面及び消耗品内部(例えば、たばこ)の密度にひずみが生じることを抑制できる。その結果、消耗品110内部の密度にひずみが生じることによって起こり得る、不均一な加熱や、消耗品110毎に通気抵抗がバラつくことを抑制することができる。
【0234】
また、チャンバ50の内周長さは、チャンバ50によって押圧された状態の消耗品110の外周長さと実質的に同じであることが好ましいとも言えるし、チャンバ50の内周長さとはチャンバ50の長手方向に直交する面における内周長さとしてもよい。また、「チャンバ50に受け入れられる前の消耗品110の外周長さ」とは、チャンバ50に受け入れられる前の消耗品110の外周長さのうち、チャンバ50に受け入れられた際にチャンバ50の長手方向において、比較されているチャンバ50の内周長さに対応する位置に位置づけられる部分の外周長さとしてもよい。また、「チャンバ50によって押圧された状態の消耗品110の外周長さ」とは、チャンバ50によって押圧された状態の消耗品110の外周長さのうちチャンバ50の長手方向において、比較されているチャンバ50の内周長さに対応する位置の外周長さとしてもよい。
【0235】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態に係る喫煙システム100について説明する。第5実施形態の喫煙システム100は、第1実施形態の喫煙システム100と比べてチャンバ50の周囲に筒状のスリーブが設けられる点が異なる。図21は、第5実施形態に係る喫煙システム100のデバイス120に設けられるチャンバ50及びスリーブの概略断面図である。図22は、図21に示す矢視22-22におけるチャンバ50及びスリーブの概略断面図である。図21及び図22に示すように、第5実施形態の喫煙システム100では、チャンバ50を取り囲む筒状のスリーブ80が設けられる。なお、第5実施形態では、スリーブ80を除いて第1実施形態の喫煙システム100と同一の構造及び特徴を有し得る。
【0236】
図22に示すように、チャンバ50の長手方向に直交する方向において、スリーブ80の内面と押圧部62の外面62bとの間の最短距離はL1である。なお、ここでの最短距離は、スリーブ80の内面と押圧部62の外面62b上の任意の位置との最短距離を意味する。図22に示す例では、押圧部62の外面62bにおいて、スリーブ80の内面との最短距離が最も大きい場合が示されている。また、チャンバ50の長手方向に直交する方向において、スリーブ80の内面と非押圧部66の外面66bとの間の最短距離はL2である。この最短距離L1は、最短距離L2より大きい。即ち、第5実施形態では、チャンバ50の長手方向と直交する方向において、スリーブ80の内面と押圧部62の外面62bとの最短距離をL1とし、スリーブ80の内面とチャンバ50の非押圧部66の外面66bとの最短距離をL2としたときに、L1はL2より大きい。
【0237】
第5実施形態によれば、消耗品110の一部を押圧する押圧部62の外面62bとスリーブ80の内面との距離が非押圧部66に比べて長くなることにより、この隙間における空気層の長さ(厚さ)が長くなる。その結果、押圧部62において消耗品110を加熱する場合において、押圧部62とスリーブ80との間の空気層による断熱効率を向上させることができる。特に、図2に示したように、加熱部40が押圧部62の外面62bに配置される場合においては、消耗品110と接触しない非押圧部66に比べて押圧部62のほうが、チャンバ50に収容された消耗品110を加熱するのに寄与する。したがって、押圧部62の外面62bとスリーブ80の内面との距離が非押圧部66に比べて長くなることにより、押圧部62とスリーブ80との間の空気層による断熱効率を向上させることができ、効率的に消耗品110が加熱され得る。
【0238】
図21及び図22に示すように、スリーブ80は、断熱部80aを含むことが好ましい。この場合、チャンバ50を断熱部80aによって囲むことができるので、加熱される消耗品110の熱がデバイス120の外部に伝達されることが抑制され得る。断熱部80aは、スリーブ80と同様に筒状であり得る。断熱部80aは、例えば、空気層、真空断熱層、エアロゲル、又は他の断熱材であり得る。
【0239】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。また、形状や程度等において少なくとも「実質的に」と明細書中で表された形状や程度等は、「厳密にその形状や程度等」のみに限定されるわけではなく、「少なくとも意図された作用を奏する範囲の形状や程度等」を含むことを意図する。
【符号の説明】
【0240】
40 :加熱部
50 :チャンバ
52 :開口
56 :底部
60 :保持部
62 :押圧部
62a :内面
62b :外面
66 :非押圧部
67 :空隙
100 :喫煙システム
110 :消耗品
111 :喫煙可能物
114 :冷却セグメント
115 :吸口フィルタ
116 :センターホールセグメント
119 :フィルタセグメント
120 :デバイス
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙可能物を有する消耗品と、前記喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムであって、
前記デバイスは、
前記消耗品を受け入れる一体の筒状部材を含むチャンバと、
前記チャンバは、前記消耗品が挿入される開口と、前記消耗品を保持する保持部と、を含み、
前記保持部は、前記消耗品の一部を押圧する押圧部を含み、
前記押圧部は、外面と、内面とを有し、
前記消耗品は、前記喫煙可能物と、フィルタセグメントと、を有し、
前記フィルタセグメントは、吸口フィルタとセンターホールセグメントとを含み、
前記センターホールセグメントは、前記吸口フィルタよりも前記喫煙可能物側に位置し、
前記消耗品は、前記喫煙可能物と前記フィルタセグメントとの間に冷却セグメントを有し、
前記冷却セグメントには、その周方向に沿って複数の開孔が設けられている、
喫煙システム。
【請求項2】
請求項1に記載された喫煙システムにおいて、
前記センターホールセグメントの内径は、1.0mm以上5.0mm以下である、喫煙システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された喫煙システムにおいて、
前記吸口フィルタは、その内部にカプセルを含む、喫煙システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記センターホールセグメントの硬さは、前記吸口フィルタの硬さよりも大きい、喫煙システム。
【請求項5】
請求項4に記載された喫煙システムにおいて、
前記センターホールセグメントに含まれる可塑剤の質量パーセントは、前記吸口フィルタに含まれる可塑剤の質量パーセントより大きい、喫煙システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記保持部は、互いに対向する2つの前記押圧部を有し、
2つの前記押圧部の前記内面は、互いに平行である、喫煙システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記保持部は、内面及び外面を備える非押圧部を有する、喫煙システム。
【請求項8】
請求項7に記載された喫煙システムにおいて、
前記押圧部の前記内面は、向かい合う一対の平面状の平面押圧面を有し、
前記非押圧部の前記内面は、一対の前記平面押圧面の両端を接続し、向かい合う一対の曲面状の曲面非押圧面を有する、喫煙システム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載された喫煙システムにおいて、
前記保持部は、前記消耗品が前記チャンバの所望の位置に位置決めされたとき、前記非押圧部の前記内面と前記消耗品との間に、前記チャンバの前記開口と前記チャンバの所望の位置に位置決めされた前記消耗品の端面、もしくは前記チャンバの前記開口と前記チャンバ内に位置づけられ前記チャンバの前記開口から遠い方に位置づけられた前記消耗品の端面、に連通する空隙が設けられる、喫煙システム。
【請求項10】
請求項9に記載された喫煙システムにおいて、
前記空隙の高さは、0.1mm以上1.0mm以下である、喫煙システム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載された喫煙システムにおいて、
前記チャンバは底部又は突当部を有し、
前記底部又は突当部は、前記消耗品の端面の少なくとも一部が露出され、且つ露出した前記消耗品の前記端面が前記空隙と連通するように、前記チャンバの所望の位置に位置決めされた前記消耗品の一部を支持する、喫煙システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記消耗品は、第1の硬さを有する第1の箇所と、第2の硬さを有する第2の箇所を有し、前記第2の箇所は前記消耗品の挿入方向において前記第1の箇所と異なる箇所であり、
前記消耗品が前記チャンバの所望の位置に位置決めされたとき、前記消耗品は、前記第1の箇所の少なくとも一部が前記押圧部の前記内面に押圧されるように位置決めされると同時に前記第2の箇所の少なくとも一部が前記押圧部の前記内面に押圧されるように位置決めされる、喫煙システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記冷却セグメントの表面積は、300mm/mm以上1000mm/mm以下である、喫煙システム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記押圧部は、前記消耗品の少なくとも前記喫煙可能物を押圧するように構成される、喫煙システム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載された喫煙システムにおいて、
前記消耗品が前記チャンバの所望の位置に位置決めされたとき、前記センターホールセグメントが変形する、喫煙システム。