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特開2024-109874通報装置、通報方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109874
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】通報装置、通報方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/00 20060101AFI20240806BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240806BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240806BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20240806BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240806BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60R21/00 340
G08B21/02
G08B21/00 U
G08B25/08 A
G08B25/04 C
H04M11/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085915
(22)【出願日】2024-05-27
(62)【分割の表示】P 2022116214の分割
【原出願日】2019-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2018176923
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】和田 幸人
(57)【要約】
【課題】センタへの通報を適正に行う。
【解決手段】ドライブレコーダ10では、車両Vに発生した加速度が第1所定値未満且つ第2所定値以上のときには、乗員状態検出部20によって検出された検出結果(状態情報)に基づいて、異常状態判定部78が、乗員の状態が異常であるか否かを判定する。さらに、乗員の状態が異常であることを異常状態判定部78によって判定したことに基づいて、通報部80が、通信部60を介して、緊急情報を緊急通報センタCへ送信する。このため、緊急通報センタCへの通報の要否を、乗員の緊急通報センタCへの通報操作等によらずに、乗員の状態に基づいて、判定することができる。したがって、緊急通報センタCへの通報を適正に行うことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の加速度を取得する加速度取得部と、
車両の乗員の状態を示す状態情報から乗員の状態が異常であるか否かを判定する異常状態判定部と、
車両の加速度が第1所定値以上のときには、緊急情報をセンタに通報し、車両の加速度が第1所定値未満で且つ第1所定値よりも低い第2所定値以上のときには、乗員の状態が異常であることを前記異常状態判定部によって判定したことに基づいて、緊急情報をセンタに通報する通報部と、を備えた通報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報装置、通報方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両に生じた加速度の大きさに応じて、緊急通報センタに通報を行う通信端末(通報装置)が記載されている。具体的には、車両に生じた加速度が第1の閾値を超えた場合には、ユーザ(乗員)の通報操作を受付けなくても、通信端末が緊急通報センタに通報を行うようになっている。これにより、緊急通報センタに迅速な通報を行うことができる。
【0003】
また、車両に生じた加速度が第1の閾値を超えず且つ第2の閾値を超えた場合には、通信端末のタッチパネルに通報ボタン及び非通報ボタンが表示される。そして、ユーザによって通報ボタンがタッチされると、通信端末が緊急通報センタに通報を行い、ユーザによって非通報ボタンがタッチされると、通信端末における緊急通報センタへの通報が行われない。これにより、ユーザの通報意思に基づいた通報を行うことができる。
【0004】
さらに、上記通信端末では、車両に生じた加速度が第1の閾値を超えず且つ第2の閾値を超えた場合には、通報ボタン及び非通報ボタンの何れもタッチされず、所定時間が経過すると、所定時間経過後に通信端末が緊急通報センタに通報を行う(以下、便宜上、この通報態様を「緊急通報態様」という)。すなわち、この緊急通報態様の場合には、ユーザにおいて異常が発生して、タッチパネルを操作できない可能性があるため、通信端末が緊急通報センタに通報を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-176566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記通信端末では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記通信端末では、ユーザにおけるタッチパネルへの操作ミス等によって、緊急通報センタへの通報が誤報となる場合がある。例えば、上記緊急通報態様において、ユーザによるタッチパネルへの操作が遅れた場合や、タッチパネルへの操作を単に忘れた場合には、ユーザの緊急通報センタへの通報意思がないにもかかわらず、通信端末による緊急通報センタへの通報が行われる。このため、この場合には、緊急通報センタへの通報が誤報となる。したがって、上記通信端末では、緊急通報センタへの通報を適切に行うという点において改善の余地がある。そこで、本発明が解決しようとする課題には、上述した問題が一例として挙げられる。
【0007】
本発明は、上述の一例として挙げられた問題に鑑みてなされたものであり、センタへの通報を適正に行うことができる通報装置、通報方法、及びプログラムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車両の加速度を取得する加速度取得部と、車両の乗員の状態を示す状態情報から乗員の状態が異常であるか否かを判定する異常状態判定部と、車両の加速度が第1所定値以上のときには、緊急情報をセンタに通報し、車両の加速度が第1所定値未満で且つ第1所定値よりも低い第2所定値以上のときには、乗員の状態が異常であることを前記異常状態判定部によって判定したことに基づいて、緊急情報をセンタに通報する通報部と、を備えた通報装置である。
【0009】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、加速度取得部、異常状態判定部、及び通報部を備えた通報装置における通報方法であって、前記加速度取得部が、車両の加速度を取得する第1工程と、前記異常状態判定部が、車両の乗員の状態を示す状態情報から乗員の状態が異常であるか否かを判定する第2工程と、車両の加速度が第1所定値以上のときには、前記通報部が緊急情報をセンタに通報し、車両の加速度が第1所定値未満で且つ第1所定値よりも低い第2所定値以上のときには、乗員の状態が異常であることを前記異常状態判定部によって判定したことに基づいて、前記通報部が緊急情報をセンタに通報する第3工程と、を備えた通報方法である。
【0010】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、加速度取得部、異常状態判定部、及び通報部を備えた通報装置における通報方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記加速度取得部が、車両の加速度を取得する第1工程と、前記異常状態判定部が、車両の乗員の状態を示す状態情報から乗員の状態が異常であるか否かを判定する第2工程と、車両の加速度が第1所定値以上のときには、前記通報部が緊急情報をセンタに通報し、車両の加速度が第1所定値未満で且つ第1所定値よりも低い第2所定値以上のときには、乗員の状態が異常であることを前記異常状態判定部によって判定したことに基づいて、前記通報部が緊急情報をセンタに通報する第3工程と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施例に係るドライブレコーダが車両に取付けられた状態を模式的に示す車室内側から見た模式図である。
図2図2は、図1に示されるドライブレコーダの構成を示す構成図である。
図3図3は、図1に示されるドライブレコーダの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の通報装置の一態様は、車両の加速度を取得する加速度取得部と、車両の乗員の状態を示す状態情報から乗員の状態が異常であるか否かを判定する異常状態判定部と、車両の加速度が第1所定値以上のときには、緊急情報をセンタに通報し、車両の加速度が第1所定値未満で且つ第1所定値よりも低い第2所定値以上のときには、乗員の状態が異常であることを前記異常状態判定部によって判定したことに基づいて、緊急情報をセンタに通報する通報部と、を備えている。
【0013】
上記構成の通報装置によれば、車両に発生した加速度が第1所定値以上のときには、通報部が、緊急情報をセンタに通報する。このため、比較的高い加速度が車両に発生したときには、車両の乗員に対する緊急性が高いため、緊急情報をセンタに送信することで、センタへの通報を適正に行うことができる。
【0014】
また、車両に発生した加速度が第1所定値未満で且つ第1所定値よりも低い第2所定値以上のときには、異常状態判定部が、車両の乗員の状態を示す状態情報から乗員の状態が異常であるか否かを判定する。そして、乗員の状態が異常であることを異常状態判定部によって判定したことに基づいて、通報部が、緊急情報をセンタに通報する。このため、センタへの通報の要否を、乗員のセンタへの通報操作等によらずに、乗員の状態に基づいて、判定することができる。これにより、センタへの通報を適正に行うことができる。
【0015】
本実施形態の通報装置の他の態様は、乗員の状態を検出し、検出結果を前記状態情報として前記異常状態判定部へ出力する乗員状態検出部を備えている。
【0016】
上記構成の通報装置によれば、乗員状態検出部によって、乗員の状態を直接的に検出して、検出結果を状態情報として異常状態判定部へ出力することができる。これにより、直接的に検出された乗員の状態に基づいて、センタへの通報の要否を判定することができる。したがって、センタへの通報をより適正に行うことができる。
【0017】
本実施形態の通報装置の他の態様は、車両の衝突を予知し、車両の衝突が回避されたか否かを判定する衝突予知部を備え、車両の衝突が回避されたときには、乗員の状態が異常であることを前記異常状態判定部によって判定したことに基づいて、前記通報部が緊急情報をセンタに通報することを特徴とする。
【0018】
上記構成の通報装置によれば、例えば、車両の自動ブレーキの作動によって、車両の衝突が回避された場合でも、乗員の状態が異常であるときには、センタに緊急情報を通報することができる。これにより、車両の衝突が回避されたときでも、車両の乗員の状態に応じて、緊急情報をセンタに通報することができる。
【0019】
本実施形態の通報装置の他の態様は、車両への衝突体を検知する衝突体検知部を備え、前記衝突体検知部によって検知された衝突体が歩行者あるいは自転車である場合には、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態が異常であるか否かを前記異常状態判定部によって判定し、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態が異常であることを前記異常状態判定部によって判定したことに基づいて、前記通報部が緊急情報をセンタに通報することを特徴とする。
【0020】
上記構成の通報装置によれば、例えば、歩行者あるいは自転車と、車両と、の衝突時において、車両の乗員の状態が異常でないときでも、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態が異常であるときには、緊急情報をセンタに通報することができる。これにより、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態も考慮した通報を行うことができる。
【0021】
本実施形態の通報装置の他の態様は、衝突体が歩行者あるいは自転車であることを前記衝突体検知部によって検知し、且つ車両の速度がゼロである場合には、前記異常状態判定部における乗員に対する状態の判定を行わないことを特徴とする。
【0022】
上記構成の通報装置によれば、衝突体が歩行者あるいは自転車であり、且つ車両の速度がゼロである場合には、車両の乗員に対する傷害値が比較的低いと推測される。このため、この場合における、異常状態判定部の乗員に対する状態の判定を行わないことで、通報装置における処理工数の低減に寄与することができると共に、通報装置の処理速度を向上することができる。
【0023】
本実施形態の通報装置の他の態様は、車両の外部の状況を撮影するアウターカメラと、前記アウターカメラによって撮影された画像を記録する画像記憶部と、を備え、前記衝突体検知部は、前記アウターカメラから出力された画像に基づいて、車両への衝突体を検知する。
【0024】
上記構成の通報装置によれば、通報装置が、アウターカメラと、アウターカメラの画像を記録する画像記憶部と、を備えており、衝突体検知部が、アウターカメラから出力された画像に基づいて、車両への衝突体を検知する。このため、通報装置を、ドライブレコーダとしても構成することができる。
【0025】
また、本発明の他の実施形態では、加速度取得部、異常状態判定部、及び通報部を備えた通報装置における通報方法であって、前記加速度取得部が、車両の加速度を取得する第1工程と、前記異常状態判定部が、車両の乗員の状態を示す状態情報から乗員の状態が異常であるか否かを判定する第2工程と、車両の加速度が第1所定値以上のときには、前記通報部が緊急情報をセンタに通報し、車両の加速度が第1所定値未満で且つ第1所定値よりも低い第2所定値以上のときには、乗員の状態が異常であることを前記異常状態判定部によって判定したことに基づいて、前記通報部が緊急情報をセンタに通報する第3工程と、を備えている。このため、通報装置が通報方法を実行することで、センタへの通報の要否を、乗員のセンタへの通報操作等によらずに、乗員の状態に基づいて、判定することができる。これにより、センタへの通報を適正に行うことができる。
【0026】
また、本発明の他の実施形態では、加速度取得部、異常状態判定部、及び通報部を備えた通報装置における通報方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記加速度取得部が、車両の加速度を取得する第1工程と、前記異常状態判定部が、車両の乗員の状態を示す状態情報から乗員の状態が異常であるか否かを判定する第2工程と、車両の加速度が第1所定値以上のときには、前記通報部が緊急情報をセンタに通報し、車両の加速度が第1所定値未満で且つ第1所定値よりも低い第2所定値以上のときには、乗員の状態が異常であることを前記異常状態判定部によって判定したことに基づいて、前記通報部が緊急情報をセンタに通報する第3工程と、をコンピュータに実行させる。このため、通報装置における通報方法をコンピュータに実行させることで、センタへの通報の要否を、乗員のセンタへの通報操作等によらずに、乗員の状態に基づいて、判定することができる。これにより、センタへの通報を適正に行うことができる。
【実施例0027】
以下、図面を用いて、本実施例に係るドライブレコーダ10について説明する。図1に示されるように、ドライブレコーダ10は、略矩形箱形状に形成されて、車両(自動車)VのウインドシールドガラスWSに取付けられている(図1では、ドライブレコーダ10が、車両VのフロントウインドシールドガラスWSに取付けられた例を図示している)。また、ドライブレコーダ10は、車両Vの周囲の状況及び車室内の状況を撮影および記録する装置として構成されている。さらに、ドライブレコーダ10は、車両Vにおける交通事故等の緊急時において緊急情報を緊急通報センタC(図2参照)に通報する装置としても構成されている。なお、ドライブレコーダ10が、本発明の「通報装置」の一例であり、緊急通報センタCが、本発明の「センタ」の一例である。
【0028】
図2に示されるように、ドライブレコーダ10は、周囲検出部12と、乗員状態検出部20と、GPS受信機30と、センサ32と、報知部40と、記憶部50と、通信部60と、制御部70と、を含んで構成されている。以下、ドライブレコーダ10の各構成について説明する。
【0029】
(周囲検出部12について)
周囲検出部12は、ライダ(Lidar:Light Detection and Ranging)14、アウターカメラ16などによって構成されている。
ライダ14は、例えば、車両Vにおける前後のバンパの車幅方向両端部に設置されている。そして、ライダ14は、パルス状に照射したレーザー光による散乱光を測定することで、レーザー光を照射した物体までの距離や物体の形状を取得し、車両Vへの衝突体(車両、歩行者、自転車、壁やガードレール等の障害物)を検出するようになっている。そして、ライダ14は、後述する制御部70に検出結果を出力するようになっている。
【0030】
アウターカメラ16は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮影素子を有するビデオカメラとして構成されている。そして、アウターカメラ16が、車両Vの周囲を撮影して、撮影した画像データを、後述する制御部70へ出力するようになっている。
なお、周囲検出部12を、ライダ14及びアウターカメラ16の何れかによって構成してもよい。
【0031】
(乗員状態検出部20について)
乗員状態検出部20は、インナーカメラ22、マイクロフォン24、脈拍センサ26、などによって構成されている。
インナーカメラ22は、アウターカメラ16と同様に、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮影素子を有するビデオカメラとして構成されている。そして、インナーカメラ22が、車両Vの車室内の状態(主として、運転者や助手席者等の車両Vの乗員の状態)を撮影して(図1参照)、乗員の状態を検出するようになっている。さらに、インナーカメラ22が、検出結果(画像データ)を、乗員の状態を示す状態情報として、後述する制御部70に出力するようになっている。
【0032】
マイクロフォン24は、車両Vの乗員の音声を収音する装置として構成されている。そしてマイクロフォン24は、入力された乗員の音声を電気信号に変換して、検出結果(音声データ)を、乗員の状態を示す状態情報として、後述する制御部70に出力するようになっている。
【0033】
脈拍センサ26は、例えば、車両Vの乗員の腕に装着される腕装着端末に搭載されている。この脈拍センサ26は、例えば、発光素子及び受光素子を有しており、発光素子から乗員の血管に光を照射し、受光素子によって受光された光量などを検出して、乗員の脈拍を計測するようになっている。そして、脈拍センサ26が、計測した計測結果(脈拍データ)を、乗員の状態を示す状態情報として、後述する制御部70へ無線によって出力するようになっている。なお、脈拍センサ26を、車両Vのハンドルや車両用シートに設けられたセンサとしてもよい。
また、乗員状態検出部20を、インナーカメラ22、マイクロフォン24、及び脈拍センサ26の何れかによって構成してもよい。
【0034】
(GPS受信機30)
GPS受信機30は、GPS衛星からの信号を受信し、車両Vの現在位置を測位する。そして、GPS受信機30が、測位した車両Vの現在位置情報を、後述する制御部70へ出力するようになっている。
【0035】
(センサ32について)
センサ32は、加速度センサ34、角速度センサ36、距離センサ38などによって構成されている。加速度センサ34は、車両Vの加速度を検出して、加速度データを、後述する制御部70へ出力する。角速度センサ36は、例えばジャイロなどによって構成されており、車両Vの方向変更時における車両の角速度を検出して、角速度データを制御部70へ出力する。距離センサ38は、車輪の回転によって発生するパルス信号からなる車速パルスを計測して、距離データを制御部70へ出力する。
【0036】
(報知部40について)
報知部40は、表示部42と、スピーカ44と、を含んで構成されている。
図1にも示されるように、表示部42は、ドライブレコーダ10における車室内側の面に設けられると共に、車両Vの乗員に対して視認可能に露出されている。そして、表示部42には、車両Vの走行中における注意喚起を促すマーク等が、表示されるようになっている。
【0037】
スピーカ44は、ドライブレコーダ10に内蔵されている。そして、スピーカ44では、車両Vの走行中における注意喚起を促す音声メッセージ等が、出力されるようになっている。
【0038】
(記憶部50について)
図2に示されるように、記憶部50は、後述する制御部70と電気的に接続されており、第1画像記憶部52と、第2画像記憶部54と、を含んで構成されている。第1画像記憶部52には、アウターカメラ16によって撮影された車両Vの周囲の画像データが記憶されている。また、第2画像記憶部54には、インナーカメラ22によって撮影された車両Vの車室内(乗員)の画像データが記憶されている。なお、第1画像記憶部52が、本発明の「画像記憶部」の一例である。
【0039】
(通信部60について)
通信部60は、後述する制御部70と電気的に接続される共に、緊急通報センタCと通信によって接続されている。そして、車両Vにおける交通事故発生時や乗員の急病時などの緊急時には、後述する通報部80が、通信部60を介して、緊急情報を緊急通報センタCに送信するようになっている。ここで、緊急情報とは、緊急時における、第1画像記憶部52に記憶された車両Vの周囲の状態を示す画像データ、第2画像記憶部54に記憶された乗員の状態を示す画像データ、車両Vの現在位置情報等が一例として挙げられる。そして、緊急通報センタCが、送信された情報に応じて、警察や消防署に緊急事態を通報するようになっている。
【0040】
(制御部70について)
制御部70は、衝突予知部72と、加速度取得部74と、衝突体検知部76と、異常状態判定部78と、通報部80と、を含んで構成されている。
【0041】
<衝突予知部72について>
衝突予知部72は、車両Vの周辺状況から車両Vの衝突を予知するように構成されている。具体的には、衝突予知部72が、周囲検出部12(ライダ14及びアウターカメラ16)及びセンサ32からの出力情報に基づいて、車両Vと衝突体(他の車両、歩行者、自転車、障壁やガードレール等の障害物等)との相対距離、相対速度、相対加速度などを算出する。そして、衝突予知部72が、当該算出結果から、車両Vと衝突体との衝突を予知する。
【0042】
一方、衝突予知部72において車両Vの衝突予知後では、例えば、車両Vの自動ブレーキの作動や運転者の急ハンドル操作等によって、車両Vの衝突が回避される場合がある。このため、衝突予知部72では、車両Vの衝突を予知したときに、車両Vの衝突が回避されたか否かを判定するように構成されている。例えば、衝突予知部72が、衝突予測時間(予知発生時から予測衝突時までの時間)を算出し、衝突予測時間後における衝突体と車両Vとの相対距離を算出する。さらに、衝突予知部72が、算出された衝突体と車両Vとの相対距離に基づいて、車両Vの衝突が回避されたか否かを判定する。そして、衝突予知部72は、衝突予知結果及び衝突回避結果に関する情報を、後述する通報部80に出力するようになっている。
【0043】
なお、本実施例では、上述のように、衝突予知部72が、周囲検出部12及びセンサ32からの出力情報に基づいて、車両Vの衝突を予知するように構成されているが、衝突予知部72における車両Vの衝突予知方法はこれに限らない。例えば、衝突予知部72が、車両Vの衝突予知センサ(ミリ波レーダやステレオカメラ)からの出力情報を取得して、衝突予知センサの出力情報に基づいて、車両Vの衝突を予知するよう構成してもよい。また、例えば、ドライブレコーダ10を車両VのエアバッグECUと接続して、衝突予知部72がエアバッグECUから衝突予知情報を取得するように構成してもよい。
【0044】
<加速度取得部74について>
加速度取得部74は、センサ32(加速度センサ34)から車両Vの加速度を取得すると共に、取得された加速度のレベルを設定するようになっている。具体的には、加速度取得部74は、取得された加速度が、第1所定値以上の場合には、加速度のレベルを「1」に設定する。また、加速度取得部74は、取得された加速度が、第1所定値未満であり、且つ第1所定値よりも低い第2所定値以上である場合には、加速度のレベルを「2」に設定する。さらに、加速度取得部74は、取得された加速度が、第2所定値未満であるときには、加速度のレベルを「3」に設定する。
【0045】
ここで、第1所定値は、車両Vにおいて衝突事故が発生したことを示す加速度として、所定の値に設定されている。一例として、第1所定値が、車両Vの衝突事故における乗員に対する傷害値が高くなると推定される、所定の値に設定されている。一方、第2所定値は、車両Vに入力された加速度が第1所定値よりも小さい場合でも、負傷や急病などによる乗員の緊急事態を見逃さないために、所定の値に設定されている。そして、加速度取得部74は、取得された加速度のレベルに関する情報を、後述する異常状態判定部78及び通報部80へ出力するようになっている。
【0046】
<衝突体検知部76について>
衝突体検知部76は、車両Vへの衝突体を検知する検知部として構成されている。具体的には、衝突体検知部76が、周囲検出部12(ライダ14及びアウターカメラ16)からの出力結果(画像データ)に基づいて、車両Vへの衝突体(他の車両、歩行者、自転車、障壁やガードレール等の障害物等)を検知する。そして、衝突体検知部76は、検知した衝突体に関する情報を、後述する異常状態判定部78へ出力するようになっている。
【0047】
<異常状態判定部78について>
異常状態判定部78は、車両Vの乗員の状態が異常である否かを判定する判定部として構成されている。そして、異常状態判定部78が、当該判定結果を、後述する通報部80へ出力するようになっている。
【0048】
具体的には、異常状態判定部78は、乗員状態検出部20のインナーカメラ22から出力された画像データに基づいて、乗員の状態が異常である否かを判定する。すなわち、異常状態判定部78は、画像認識機能を有しており、認識された画像に基づいて、乗員の状態が異常である否かを判定する。例えば、乗員の身体(頭部や腕部等)が所定時間動かない状態、乗員の頭部から血が流れている状態、乗員の眼が所定時間閉眼している状態などである場合には、乗員の状態が異常であると、異常状態判定部78が判定する。なお、例えば、スピーカ44から、乗員の身体や視線の動作を促す音声メッセージを報知して、所定時間内に乗員の身体や視線に変化がみられない場合には、乗員の状態が異常状態であると、異常状態判定部78が判定してもよい。
【0049】
また、異常状態判定部78は、乗員状態検出部20のマイクロフォン24から出力された音声データに基づいて、乗員の状態が異常である否かを判定する。すなわち、異常状態判定部78は、音声認識機能を有しており、認識された音声に基づいて、乗員の状態が異常である否かを判定する。例えば、認識された音声が、救助を求める音声(「助けて」、「救急車」等の音声)である場合には、乗員の状態が異常であると、異常状態判定部78が判定する。
【0050】
また、異常状態判定部78は、乗員状態検出部20のマイクロフォン24から出力された音声の音質に基づいて、乗員の状態が異常である否かを判定する。すなわち、異常状態判定部78は、音質認識機能を有しており、認識された音声に基づいて、乗員の状態が異常である否かを判定する。そして、認識された音声が、例えば、震える声、唸り声、叫び声等である場合には、乗員の状態が異常であると、異常状態判定部78が判定する。
【0051】
また、異常状態判定部78は、乗員状態検出部20の脈拍センサ26から出力された脈拍データから、乗員の状態が異常である否かを判定する。例えば、通常時における乗員の脈拍から脈拍数の上限値及び下限値を設定しておき、乗員の脈拍数が、当該上限値を超えた場合又は当該下限値を下回った場合には、乗員の状態が異常であると、異常状態判定部78が判定する。また、例えば、乗員の脈拍数が、極端に少ない、或いは、ない場合には、乗員において心不全等が発症している可能性が高いため、乗員の状態が異常であると、異常状態判定部78が判定する。また、例えば、乗員の脈拍が高い場合(例えば、乗員の脈拍が頻脈(1分間の脈拍数が100回以上)である場合)には、乗員の状態が異常であると、異常状態判定部78が判定する。
【0052】
なお、異常状態判定部78が、インナーカメラ22、マイクロフォン24、及び脈拍センサ26における少なくとも1つの出力結果に基づいて、乗員の状態を判定してもよい。換言すると、異常状態判定部78が、インナーカメラ22、マイクロフォン24、及び脈拍センサ26における出力結果の組み合わせに基づいて、乗員の状態を判定してもよい。また、異常状態判定部78は、加速度取得部74においてレベル2の加速度を取得してから所定時間経過するまでの間、インナーカメラ22、マイクロフォン24、及び脈拍センサ26からの出力結果に基づいて、乗員の状態を判定するようになっている。
【0053】
さらに、衝突体が歩行者あるいは自転車であることを衝突体検知部76において検知した場合には、異常状態判定部78が、検知された歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態が異常である否かを判定するようになっている。そして、異常状態判定部78が、当該判定結果を、後述する通報部80へ出力するようになっている。
【0054】
具体的には、異常状態判定部78は、周囲検出部12(ライダ14及びアウターカメラ16)から出力された画像データに基づいて、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態を判定する。そして、例えば、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態が、路上や車両Vのフード上に倒れ込み且つ所定時間動きがみられない等である場合には、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態が異常であると、異常状態判定部78が判定する。
【0055】
また、異常状態判定部78は、加速度取得部74においてレベル2の加速度を取得してから所定時間経過するまでの間、周囲検出部12からの出力結果に基づいて、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態を判定するようになっている。
【0056】
<通報部80について>
通報部80は、加速度取得部74及び異常状態判定部78の出力結果に基づいて、緊急情報を、通信部60を介して緊急通報センタCに送信するようになっている。
【0057】
詳しくは、車両Vの衝突が回避され、且つ、車両Vの乗員の状態が異常である旨の判定結果を通報部80が異常状態判定部78から取得したときには、通報部80は、通信部60を介して、緊急情報を緊急通報センタCに送信するようになっている。
【0058】
また、通報部80において、車両Vに発生した加速度のレベルが1である旨の出力結果を加速度取得部74から取得した場合には、通報部80は、異常状態判定部78の判定結果にかかわらず、通信部60を介して、緊急情報等を緊急通報センタCに送信するようになっている。
【0059】
また、車両Vに発生した加速度のレベルが2であり、且つ、車両Vの乗員の状態が異常である旨の判定結果を通報部80が異常状態判定部78から取得したときには、通報部80は、通信部60を介して、緊急情報を緊急通報センタCに送信するようになっている。
【0060】
また、車両Vに発生した加速度のレベルが2であり、且つ、車両Vへの衝突体である歩行者や自転車の搭乗者の状態が異常である旨の判定結果を通報部80が異常状態判定部78から取得したときには、通報部80は、通信部60を介して、緊急情報を緊急通報センタCに送信するようになっている。
【0061】
さらに、通報部80において、車両Vに発生した加速度のレベルが3である旨の情報を加速度取得部74から取得したときには、通報部80は、緊急情報等を緊急通報センタCに送信しない構成になっている。
【0062】
(作用効果)
次に、図3を用いて、本実施例のドライブレコーダ10の動作を説明しつつ、本実施例における作用及び効果について説明する。
【0063】
初めに、ドライブレコーダ10では、衝突予知部72において、周囲検出部12からの出力結果に基づいて、車両Vの衝突予知を監視する(ステップS1)。そして、ステップS1において、衝突予知部72が車両Vの衝突を予知すると、ステップS2へ移行する。
【0064】
ステップS2では、衝突予知部72において、車両Vの衝突が回避されたか否かを判定する。そして、例えば、車両Vの自動ブレーキが作動して、車両Vの衝突が回避されたことを衝突予知部72が判定した場合(ステップS2の「Yes」の場合)には、ステップS3に移行する。
【0065】
ステップS3では、異常状態判定部78が、車両Vの乗員の状態が異常であるか否かを判定する。具体的には、異常状態判定部78が、乗員状態検出部20(インナーカメラ22、マイクロフォン24、及び脈拍センサ26)からの出力結果に基づいて、乗員の状態が異常であるか否かを判定する。そして、異常状態判定部78において、乗員の状態が異常であると判定した場合(ステップS3の「Yes」の場合)には、異常状態判定部78が、乗員の状態が異常である旨の判定結果を通報部80に出力して、ステップS6へ移行する。なお、ステップS6の処理については、後述する。
【0066】
一方、ステップS3において、異常状態判定部78が、乗員の状態が異常でないと判定した場合(ステップS3の「No」の場合)には、ステップS1に戻る。
【0067】
ステップS2の処理の説明に戻って、ステップS2において、車両Vの衝突が回避されなかったことを衝突予知部72が判定した場合(ステップS2の「No」の場合)には、ステップS4に移行する。
【0068】
ステップS4では、加速度取得部74が、センサ32(加速度センサ34)から車両Vの加速度を取得する。そして、加速度取得部74において車両Vの加速度を取得した後、ステップS5に移行する。
【0069】
ステップS5では、加速度取得部74において取得された車両Vの加速度のレベルが1であるか否かを判定する。詳しくは、車両Vの加速度が第1所定値以上であるか否かを、加速度取得部74が判定する。
そして、ステップS5において、車両Vの加速度のレベルが1であることを加速度取得部74が判定した場合(ステップS5の「Yes」の場合であり、つまり、車両Vにおいて衝突事故が発生した場合)には、ステップS6に移行する。
【0070】
ステップS6では、通報部80が、通信部60を介して、緊急情報を緊急通報センタCへ送信する。具体的には、通信部60によって、交通事故発生時における車両Vの外部の状況を示す画像データ、車両Vの乗員の状態を示す画像データ、車両Vの現在位置情報等の緊急情報が、緊急通報センタCに送信される。そして、ステップS6の処理後、ドライブレコーダ10における報知処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS5において、車両Vの加速度のレベルが1以外であることを加速度取得部74が判定した場合(ステップS4の「No」の場合であり、車両Vの加速度が、第1所定値未満の場合)には、ステップS7に移行する。
【0072】
ステップS7では、加速度取得部74において、取得された車両Vの加速度のレベルが2であるか否かを判定する。詳しくは、加速度取得部74において、車両Vの加速度が、第1所定値未満であり且つ第2所定値以上であるか否かを判定する。
そして、ステップS7において、車両Vの加速度のレベルが2以外であることを加速度取得部74が判定した場合(ステップS7の「No」の場合であり、つまり、車両Vの加速度のレベルが3である場合)には、ステップS1に戻り、上記処理を繰り返す。すなわち、この場合には、通報部80から緊急通報センタCへ緊急情報が送信されずに、ステップS1に戻る。
【0073】
一方、ステップS7において、車両Vの加速度のレベルが2であることを加速度取得部74が判定した場合(ステップS7の「Yes」の場合であり、つまり、車両Vの衝突が軽衝突等である場合)には、ステップS8に移行する。
【0074】
ステップS8では、ステップS3と同様に、異常状態判定部78が、車両Vの乗員の状態が異常であるか否かを判定する。すなわち、異常状態判定部78が、乗員状態検出部20(インナーカメラ22、マイクロフォン24、及び脈拍センサ26)からの出力結果に基づいて、乗員の状態が異常であるか否かを判定する。そして、異常状態判定部78において、乗員の状態が異常であると判定した場合(ステップS8の「Yes」の場合)には、異常状態判定部78が、乗員の状態が異常である旨の判定結果を通報部80に出力して、ステップS6へ移行する。そして、ステップS6では、通報部80が、通信部60を介して、緊急情報を緊急通報センタCへ送信する。
【0075】
一方、ステップS8において、乗員の状態が異常でないと異常状態判定部78が判定した場合(ステップS8の「No」の場合)には、ステップS9に移行する。
【0076】
ステップS9では、衝突体検知部76において、衝突体が歩行者又は自転車であるか否かを判定する。そして、ステップS9において、衝突体が歩行者や自転車ではなく壁等の障害物等であることを衝突体検知部76が判定した場合(ステップS9の「No」の場合)には、ステップS1に戻り、上記処理を繰り返す。すなわち、この場合には、通報部80から緊急通報センタCへ緊急情報が送信されずに、ステップS1に戻る。
【0077】
一方、ステップS9において、衝突体が歩行者や自転車であることを衝突体検知部76が判定した場合(ステップS9の「Yes」の場合)には、ステップS10に移行する。
【0078】
ステップS10では、異常状態判定部78が、歩行者又は自転車の搭乗者の状態が異常であるか否かを判定する。具体的には、異常状態判定部78が、周囲検出部12(ライダ14、アウターカメラ16)の出力結果に基づいて、歩行者又は自転車の搭乗者の状態が異常であるか否かを判定する。そして、異常状態判定部78において、歩行者又は自転車の搭乗者の状態が異常であると判定した場合(ステップS10の「Yes」の場合)には、歩行者又は自転車の搭乗者の状態が異常である旨の判定結果を異常状態判定部78が通報部80に出力して、ステップS6へ移行する。そして、ステップS6において、通報部80が、通信部60を介して、緊急情報を緊急通報センタCへ送信する。
【0079】
一方、ステップS10において、歩行者や自転車の搭乗者の状態が異常でないと異常状態判定部78が判定した場合(ステップS10の「No」の場合)には、ステップS1に戻り、上記処理を繰り返す。すなわち、この場合には、通報部80から緊急通報センタCへ緊急情報が送信されずに、ステップS1に戻る。
【0080】
以上説明したように、本実施例のドライブレコーダ10では、車両Vに発生した加速度が第1所定値以上のとき(すなわち、加速度のレベルが1のとき)には、通報部80が、緊急情報を緊急通報センタCに通報する。そして、このときには、交通事故時における車両Vの乗員に対する傷害値が高いと推測されるため、緊急情報を緊急通報センタCに送信することで、緊急通報センタCへの通報を適正に行うことができる。
【0081】
また、車両Vに発生した加速度が第1所定値未満且つ第2所定値以上のとき(すなわち、加速度のレベルが2のとき)には、乗員状態検出部20(インナーカメラ22、マイクロフォン24、及び脈拍センサ26)によって検出された検出結果(状態情報)に基づいて、異常状態判定部78が、車両Vの乗員の状態が異常であるか否かを判定する。さらに、乗員の状態が異常であることを異常状態判定部78によって判定したことに基づいて、通報部80が、通信部60を介して、緊急情報を緊急通報センタCへ送信する。このため、緊急通報センタCへの通報の要否を、乗員の緊急通報センタCへの通報操作等によらずに、乗員の状態に基づいて、判定することができる。したがって、背景技術に記載したような通報装置(以下、この通報装置を「比較例の通報装置」という)と比べて、緊急通報センタCへの通報を適正に行うことができる。
【0082】
すなわち、比較例の通報装置では、通報装置への通報操作の有無と、通報操作が行われるまでの時間によって、緊急通報センタへの通報の要否を判定する。このため、比較例の通報装置では、乗員の状態が異常でなく、乗員の通報意思がない場合でも、緊急通報センタへの通報が行われる可能性がある。例えば、乗員が車両周囲の状況を確認する等して、通報装置に対する通報操作が遅れたときには、緊急通報センタへの通報が行われる可能性がある。この場合には、緊急通報センタへの通報が誤報となる。
また、比較例の通報装置では、例えば、車両に複数の乗員(一例として、運転者と助手席者)が搭乗している場合に、助手席者の状態に異常があるにもかかわらず、運転者が、緊急通報センタへ通報を行わない旨の操作をしたときには、通報装置の処理が停止する。この場合には、緊急通報センタへの通報に遅れが生じる可能性がある。
【0083】
これに対して、本実施例のドライブレコーダ10では、上述のように、緊急通報センタCへの通報の要否を、乗員の緊急通報センタCへの通報操作によらずに、乗員の状態に基づいて、判定することができる。
このため、例えば、乗員の状態が異常ではないときには、緊急通報センタCへの通報を行わないようにすることができる。これにより、緊急通報センタCへの誤報を抑制することができる。
また、例えば、乗員の状態が異常であるときには、緊急通報センタへの迅速な通報が行われる。
以上により、本実施例のドライブレコーダ10によれば、緊急通報センタCへの通報を適正に行うことができる。
【0084】
また、乗員状態検出部20(インナーカメラ22、マイクロフォン24、及び脈拍センサ26)が、車両Vの乗員の状態を検出して、検出結果を、車両Vの乗員の状態を示す状態情報として、異常状態判定部78に出力する。このため、乗員状態検出部20によって乗員の状態を直接的に検出して、異常状態判定部78に検出結果を出力することができる。
【0085】
また、乗員状態検出部20は、インナーカメラ22と、マイクロフォン24と、脈拍センサ26と、を含んで構成されている。このため、異常状態判定部78が、乗員状態検出部20からの乗員の画像データ、乗員の音声データ、及び乗員の脈拍データに基づいて、乗員の状態を判定することができる。したがって、乗員の状態を効果的に判定することができる。また、加速度取得部74において、レベル2の加速度を取得したときから所定時間経過するまで、乗員の状態を乗員状態検出部20によって連続的に検出(監視)することができる。
【0086】
また、ドライブレコーダ10は、車両Vの衝突を予知する衝突予知部72を有している。そして、衝突予知部72が車両Vの衝突を予知したときには、車両Vの衝突が回避された否かを衝突予知部72によって判定する。さらに、衝突予知部72において、車両Vの衝突が回避されたことを判定したときには、異常状態判定部78が、車両Vの乗員の状態を判定する。そして、異常状態判定部78において車両Vの乗員の状態が異常であると判定すると、通報部80が緊急情報を緊急通報センタCに通報する。このため、例えば、車両Vの自動ブレーキが作動することで、あるいは、運転者が急ハンドル操作をすることで、車両Vの衝突が回避された場合でも、乗員の状態が異常であるとき(例えば、むち打ち等による乗員への傷害値が高いとき)には、緊急通報センタCに緊急情報を通報することができる。これにより、車両Vの衝突が回避された場合でも、車両Vの乗員の状態に応じて、緊急情報を緊急通報センタCに通報することができる。
【0087】
また、本実施例では、衝突予知部72における車両Vの衝突予知後に、加速度取得部74において、車両Vの加速度をセンサ32から取得するようになっている。このため、加速度取得部74において、センサ32から加速度を常時取得する必要がなくなる。したがって、ドライブレコーダ10における通報処理工数を低減させることができる。
【0088】
また、ドライブレコーダ10は、車両Vへの衝突体を検知する衝突体検知部76を有している。さらに、衝突体検知部76において、衝突体が歩行者あるいは自転車である場合には、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態を異常状態判定部78によって判定する。そして、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態が異常であることを、異常状態判定部78によって判定したときには、通報部80が緊急情報を緊急通報センタCに通報する。このため、衝突体である歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態も考慮した通報を行うことができる。
【0089】
しかも、車両Vの加速度のレベルが2であり、且つ車両Vの乗員の状態が異常でないときに、衝突体検知部76が衝突体の判定を行う。そして、上述にように、衝突体が歩行者あるいは自転車である場合には、衝突体検知部76において、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態を異常状態判定部78によって判定する。このため、車両Vの乗員の状態が異常でないときでも、歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態が異常であるときには、緊急情報を緊急通報センタCに通報することができる。
【0090】
また、ドライブレコーダ10は、車両の外部の状況を撮影するアウターカメラ16と、アウターカメラ16によって撮影された画像を記録する第1画像記憶部52と、を備えている。そして、衝突体検知部76は、アウターカメラ16から出力された画像に基づいて、車両Vへの衝突体を検知する。このため、ドライブレコーダ10に搭載されたアウターカメラ16を活用して、車両Vへの衝突体を検知することができる。
【0091】
また、通報部80によって緊急通報センタCへ送信する緊急情報は、車両Vの乗員を示す画像情報と、車両Vの外部の状況を示す画像データと、を含んで構成されている。このため、乗員の状態や、衝突体である歩行者あるいは自転車の搭乗者の状態を、緊急通報センタCにおいて、良好に把握することができる。
【0092】
なお、ドライブレコーダ10の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをドライブレコーダ10に読み込ませ、実行することによって本発明のドライブレコーダ10を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0093】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページの提供環境(あるいは表示環境)も含むでもよい。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0094】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0095】
また、本実施例では、ドライブレコーダ10が衝突予知部72を備えており、衝突予知部72において車両Vの衝突を予知するようになっているが、ドライブレコーダ10において、衝突予知部72を省略してもよい。この場合には、ドライブレコーダ10の動作処理として、図3に示されるフローチャートのステップS1、S2、S3を省略した動作処理になる。また、この場合には、周囲検出部12において、ライダ14を省略して、アウターカメラ16によって車両Vの外部の状況を検出する構成にしてもよい。
【0096】
また、本実施例では、車両Vの加速度のレベルが2である場合には、異常状態判定部78によって車両Vの乗員の状態を判定している。これに代えて、車両Vの速度がゼロであり、衝突体検知部76によって、車両Vへの衝突体が歩行者や自転車であることを検知したときには、異常状態判定部78における車両Vの乗員の状態判定を行わないようにしてもよい。この場合には、車両Vの乗員に対する傷害値が比較的低いと推測されるため、異常状態判定部78における車両Vの乗員の状態判定を省略してもよい。これにより、ドライブレコーダ10における通報処理工数の低減に寄与することができると共に、ドライブレコーダ10の処理速度を向上することができる。
【0097】
また、本実施例では、通報部80によって緊急通報センタCへ送信する緊急情報が、車両Vの現在位置情報と、車両Vの乗員を示す画像情報と、車両Vの外部の状況を示す画像データと、を含んで構成されているが、緊急通報センタCへ送信する緊急情報は、これに限らない。例えば、乗員状態検出部20によって検出された検出結果も通報部80によって緊急通報センタCへ送信してもよい。
【0098】
また、本実施例では、通報部80が通信部60によって緊急情報を緊急通報センタCに送信しているが、通報部80が通信部60によって緊急情報を警察や消防署等に送信するようにしてもよい。すなわち、通報部80による通報先を、警察や消防署等にして、救急車等の要請を直接行うようにしてもよい。さらに、この場合には、例えば、車両Vの加速度のレベルが1である場合の通報先を、緊急通報センタCとし、車両Vの加速度のレベルが2である場合の通報先を、警察や消防署等としてもよい。すなわち、本発明の「センタ」とは、警察や消防署等を含んでいる。
【0099】
また、本実施例のドライブレコーダ10において、周囲検出部12、乗員状態検出部20、GPS受信機30、センサ32、報知部40、記憶部50の各々の構成部の全部または一部を、ドライブレコーダ10の外部に設けて、これら構成部を車両Vに搭載した構成にしてもよい。
【0100】
また、本実施例では、本発明の「通報装置」の一例としてドライブレコーダ10を用いて説明したが、少なくとも制御部70を備えた装置を本発明の「通報装置」としてもよい。
【0101】
すなわち、例えば、制御部70が、車両Vに搭載されたカメラ等の外部機器から、車両Vの外部の画像データを取得するように構成してもよいし、制御部70が、車両Vに搭載されたカメラ、マイクロフォン等の外部機器から、車両Vの車室内の画像データや乗員の音声データ等を取得するように構成してもよい。
また、例えば、制御部70が、車両Vのナビゲーション装置等の外部機器から、車両Vの現在位置情報を取得するように構成してもよいし、制御部70が、車両Vの加速度センサ、角速度センサ、距離センサ等の外部センサから、車両Vの加速度データ、角速度データ、距離データを取得するように構成してもよい。
また、例えば、車両Vのナビゲーション装置等の外部機器の記憶部に、車両Vの周囲の画像データ、車両Vの車室内の画像データを記憶して、制御部70が、画像データを取得する構成にしてもよい。
また、例えば、制御部70(通報部80)が、車両Vに搭載された通信装置等の外部機器を用いて、緊急通報センタCに通報を行う構成にしてもよい。
さらに、この場合には、例えば、制御部70を機能構成部として車両Vの制御部等に組み込んだ構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 ドライブレコーダ(通報装置)
16 アウターカメラ
20 乗員状態検出部
52 第1画像記憶部(画像記憶部)
72 衝突予知部
74 加速度取得部
76 衝突体検知部
78 異常状態判定部
80 通報部
C 緊急通報センタ(センタ)
図1
図2
図3