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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109878
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】液体ベンダムスチン医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4184 20060101AFI20240806BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240806BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61K31/4184
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/10
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【請求項の数】50
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086001
(22)【出願日】2024-05-28
(62)【分割の表示】P 2021532537の分割
【原出願日】2019-08-14
(31)【優先権主張番号】62/764,975
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/723,725
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/815,376
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521068208
【氏名又は名称】ホスピーラ オーストラリア ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー マルコム ニール
(72)【発明者】
【氏名】ノエル ノリス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】かなりの期間貯蔵してもベンダムスチン分解が少ない、患者において治療的に使用されるベンダムスチンの液体製剤、およびその調製方法を提供する。
【解決手段】a)薬学的に有効な量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、b)非水性溶媒と、c)少なくとも約2%の水とを含む濃縮液体医薬組成物であって、希釈後は、注射による哺乳動物への投与に適する濃縮液体医薬組成物が提供される。濃縮液体医薬組成物は、少なくとも1種の有機高分子化合物溶媒と、少なくとも1種の有機低分子溶媒とを含む非水性溶媒を含みうる。有効量の本発明の濃縮液体ベンダムスチン医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む、そのような処置を必要とする哺乳動物におけるがんを処置する方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)薬学的に有効な量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、b)非水性溶媒と、c)組成物の少なくとも約2%(v/v)の水とを含む濃縮液体医薬組成物であって、希釈後は、注射による哺乳動物への投与に適する濃縮液体医薬組成物。
【請求項2】
a)薬学的に有効な量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、b)非水性溶媒と、c)組成物の約2%~約30%(v/v)の水とを含む濃縮液体医薬組成物であって、希釈後は、哺乳動物への投与に適する濃縮液体医薬組成物。
【請求項3】
非水性溶媒が、有機高分子化合物溶媒および有機低分子溶媒から選択される1種または複数の有機化合物を含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
非水性溶媒が、ヒドロキシ部分を含む有機高分子化合物溶媒および有機低分子溶媒から選択される1種または複数の有機化合物を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
非水性溶媒が、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリアルコキシ化ヒマシ油、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1-メチル-2-ピロリジノン、および有機低分子アルコールから選択される1種または複数の有機化合物を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
非水性溶媒が、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリアルコキシ化ヒマシ油、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1-メチル-2-ピロリジノン、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、およびプロピレングリコールから選択される1種または複数の有機化合物を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
非水性溶媒が、少なくとも1種の有機高分子化合物溶媒と、少なくとも1種の有機低分子溶媒とを含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
非水性溶媒が、ポリエチレングリコールを含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
有機低分子溶媒が、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1-メチル-2-ピロリジノン、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、およびプロピレングリコールから選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
有機低分子溶媒がエタノールである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
約2℃で液体状態のままである、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項12】
組成物中の非水性溶媒の量が、約70%~約98%(v/v)である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項13】
非水性溶媒が、少なくとも2種の異なる有機化合物溶媒を含み、(i)有機化合物溶媒の1種が、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール類の混合物であり、(ii)有機化合物溶媒の少なくとも1種が、有機低分子溶媒であり、(iii)組成物中の有機化合物溶媒の合計量が、約70%~約98%(v/v)である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項14】
非水性溶媒が、(i)組成物中に約60%~約96%(v/v)の合計量の1種または複数の有機高分子化合物溶媒と、(ii)組成物中に約2%~約10%(v/v)の合計量の1種または複数の有機低分子溶媒とを含み、組成物中の有機化合物溶媒の合計量が、組成物の約70%(v/v)から最大で約98%(v/v)である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項15】
約2.4%~約4%(v/v)の水、および合計で約96%~約97.6%(v/v)の有機化合物溶媒を含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
約3%~約3.5%(v/v)の水、および合計で約96.5%~約97%(v/v)の有機化合物溶媒を含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
非水性溶媒が、(i)組成物中に約60%~約96%(v/v)の量で存在するポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール類の混合物と、(ii)組成物中に約2%~約10%(v/v)の量の1種または複数の有機低分子溶媒とを含み、組成物中の有機化合物溶媒の合計量が、組成物の約70%(v/v)から最大で約98%(v/v)である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
組成物中の水の量が、組成物の約2%(v/v)~約30%(v/v)である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
有機低分子溶媒がエタノールである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項20】
組成物中の水の量が、約2%~約30%、約2.4%~約30%、約2.8%~約30%、約3%~約30%、約3.5%~約30%、約4%~約30%、約2%~約25%、約2.4%~約25%、約2.8%~約25%、約3%~約25%、約3.5%~約25%、約4%~約25%、約2%~約20%、約2.4%~約20%、約2.8%~約20%、約3%~約20%、約3.5%~約20%、約4%~約20%、約2%~約15%、約2.4%~約15%、約2.8%~約15%、約3%~約15%、約3.5%~約15%、約4%~約15%、約2%~約10%、約2.4%~約10%、約2.8%~約10%、約3%~約10%、約3.5%~約10%、約4%~約10%、約2%~約5%、約2.4%~約5%、約2.8%~約5%、約3%~約5%、約3.5%~約5%、約4%~約5%、約2%~約4%、約2.4%~約4%、約2.8%~約4%、約3%~約4%、約2%~約3.5%、約2.4%~約3.5%、約2.8%~約3.5%、または約3%~約3.5%(v/v)である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
組成物中の水の量が、約2.4%~約30%、約2.8%~約30%、約3%~約30%、約3.5%~約30%、約4%~約30%、約2%~約25%、約2.4%~約25%、約2.8%~約25%、約3%~約25%、約3.5%~約25%、約4%~約25%、約2%~約20%、約2.4%~約20%、約2.8%~約20%、約3%~約20%、約3.5%~約20%、約4%~約20%、約2%~約15%、約2.4%~約15%、約2.8%~約15%、約3%~約15%、約3.5%~約15%、約4%~約15%、約2%~約10%、約2.4%~約10%、約2.8%~約10%、約3%~約10%、約3.5%~約10%、約4%~約10%、約2%~約5%、約2.4%~約5%、約2.8%~約5%、約3%~約5%、約3.5%~約5%、約4%~約5%、約2%~約4%、約2.4%~約4%、約2.8%~約4%、約3%~約4%、約2%~約3.5%、約2.4%~約3.5%、約2.8%~約3.5%、または約3%~約3.5%(v/v)である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項22】
ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩がベンダムスチン塩酸塩である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項23】
濃縮された薬学的に有効な量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩を含み、投与前に注射に適する希釈剤で希釈する準備ができている、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項24】
ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩がベンダムスチン塩酸塩であり、約35~約40mg/mLのベンダムスチン塩酸塩を含む、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項25】
約25mg/mLのベンダムスチン塩酸塩を含む、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
酸化防止剤をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項27】
酸化防止剤が、モノチオグリセロール、L-システイン、チオグリコール酸、チオソルビトール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、ゲンチジン酸、リポ酸、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、ノルジヒドログアイアレチン酸、またはこれらの組合せから選択される、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
酸化防止剤がブチル化ヒドロキシアニソールである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
約12.4%(v/v)の水溶液にして試験されるとき、約3.3~約3.7のpHを有する、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項30】
pHを実現するのに十分な量の強塩基を含む、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
請求項1または請求項2に記載の医薬組成物を収容する密閉容器。
【請求項32】
ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩がベンダムスチン塩酸塩であり、組成物1mLずつが、25mgの前記ベンダムスチン塩酸塩、23.7mgの無水エタノール、30mgの注射用水、および十分量のポリエチレングリコールを含有する、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項33】
ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール400である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
酸化防止剤をさらに含む、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項35】
酸化防止剤がブチル化ヒドロキシアニソールであり、組成物1mLずつが、1mgの前記ブチル化ヒドロキシアニソールを含有する、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール400である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
中に収容された医薬組成物中のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるベンダムスチン塩が、約5mg~約500mg、約10mg~約350mg、または約20mg~約300mgの量のベンダムスチンHClである、請求項31に記載の密閉容器。
【請求項38】
中に収容された医薬組成物が、25mg、100mg、または200mgのベンダムスチンHClを含有する、請求項37に記載の密閉容器。
【請求項39】
約0.5mL~約50mLの請求項36に記載の医薬組成物を収容する密閉容器。
【請求項40】
1mL、4mL、または8mLの前記医薬組成物を収容する、請求項39に記載の密閉容器。
【請求項41】
哺乳動物におけるがんを処置する方法に用いるための、請求項1または請求項2に記載の濃縮液体医薬組成物であって、前記方法が、i)薬学的に有効な量の前記濃縮液体医薬組成物を、薬学的に許容できる希釈剤で希釈して、希釈された医薬組成物を得ることと、ii)(i)の希釈された医薬組成物を、それを必要とする哺乳動物に、注射によって投与することとを含む、濃縮液体医薬組成物。
【請求項42】
がんが、白血病またはリンパ腫である、請求項41に記載の濃縮液体医薬組成物。
【請求項43】
がんが、慢性リンパ球性白血病または非ホジキンリンパ腫である、請求項42に記載の濃縮液体医薬組成物。
【請求項44】
濃縮液体医薬組成物を調製する方法であって、
a.ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、
b.有機高分子化合物溶媒および有機低分子溶媒から選択される1種または複数の有機化合物と、
c.少なくとも約2%(v/v)(水/医薬組成物)の水と、
d.場合により、1種または複数の酸化防止剤と
を合わせることを含む方法。
【請求項45】
(a)~(c)、および場合により(d)を合わせた後、
i)約12.4%の体積の前記医薬組成物を含有する水溶液のpHが測定され、
ii)(i)のpHが約3.4~約3.6でない場合、濃縮液体医薬組成物にpH調整剤が加えられ、
iii)必要なら、約12.4%(v/v)の医薬組成物を含有する水溶液のpHが約3.4~約3.6になるまで、ステップ(i)および(ii)が繰り返される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
濃縮液体ベンダムスチン医薬組成物を調製する方法であって、1)
a)ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、
b)場合により、1種または複数の酸化防止剤と、
c)水と、
d)1種または複数の有機低分子溶媒と、
e)1種または複数の有機高分子化合物溶媒と
を合わせることと、
2)(1)の結果として生じる組合せを、ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩、および存在する場合は1種または複数の酸化防止剤が溶解するまで撹拌することと、
3)さらなる量の1(e)の1種または複数の有機高分子化合物溶媒を加えて、少なくとも約2%(v/v)(水/医薬組成物)の水を含む液体ベンダムスチン医薬組成物を得ることと
を含む方法。
【請求項47】
ステップ(3)の後に
(i)約12.4%の体積の医薬組成物を含有する水溶液のpHを測定することと、
(ii)(i)のpHが約3.4~約3.6でない場合、濃縮液体医薬組成物にpH調整剤を加えることと、
(iii)必要なら、約12.4%(v/v)の組成物を含有する水溶液のpHが約3.4~約3.6になるまで、(i)および(ii)を繰り返すことと
をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
a)薬学的に有効な量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、b)組成物の約82%~約98%(v/v)の非水性溶媒と、c)組成物の約2%~約18%(v/v)の水とを含む濃縮液体医薬組成物であって、希釈後は、哺乳動物への投与に適する濃縮液体医薬組成物。
【請求項49】
非水性溶媒が、組成物中に約80%~約96%(v/v)の量で存在するポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール類の混合物と、組成物中に約2%~約10%(v/v)の量の1種または複数の有機低分子溶媒とを含む、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
有機低分子溶媒がエタノールである、請求項49に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
ベンダムスチンは、ある特定のがん、たとえば、慢性リンパ球性白血病および非ホジキンリンパ腫の処置に対して適応がある。ベンダムスチンHCl(1H-ベンゾイミダゾール-2-ブタン酸、5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル、一塩酸塩)は、ベンゾイミダゾール環、活性ナイトロジェンマスタード断片、およびブタン酸の残基を含む構造を有するアルキル化剤である。ベンダムスチンの実験分子式は、C1621Clである(Kasaら、Journal of Chromatographic Science 2013;1~11)。ベンダムスチンは、次の化学構造を有する。
【0003】
【化1】
【0004】
ベンダムスチンは、医薬品規制機関によって承認されているいくつかの医薬品の活性医薬成分である。たとえば、医薬品TREANDA(登録商標)は、ベンダムスチン塩酸塩を活性成分として含有しており、2008年に米国食品医薬品局(米国FDA)によって市場での売買が承認された。TREANDA(登録商標)は、溶液(TREANDA(登録商標)注射剤)および凍結乾燥粉末(注射用TREANDA(登録商標))として入手可能である。
【0005】
TREANDA(登録商標)注射剤は、90mg/mLのベンダムスチンHCl濃度で単一用量バイアルに入った無色から黄色の透明な滅菌非水性溶液として供給され、TREANDA(登録商標)注射剤の各0.5mLバイアルは、45mgのベンダムスチン塩酸塩、162mgのプロピレングリコール、および293mgのN,N-ジメチルアセトアミドを含有する(2016年10月付けのTREANDA米国FDAラベルを参照されたい)。Dragerらの米国特許8,344,006は、ベンダムスチンまたはベンダムスチン塩と極性非プロトン性溶媒とを含む液体医薬製剤に関するものであり、米国8,344,006(Dragerら)は、極性非プロトン性溶媒には、1-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、および炭酸プロピレンなどの分子が含まれると述べている。Dragerらの請求項に明記されているベンダムスチンまたはベンダムスチン塩の医薬製剤は、安定で非水性である液体であることが示されている。
【0006】
注射用TREANDA(登録商標)は、単一用量バイアルに入った白色からオフホワイト色の乾燥した非発熱性滅菌凍結乾燥粉末として供給され、その各25mgバイアルは、25mgのベンダムスチン塩酸塩および42.5mgのマンニトールを含有する(同典拠)。注射用TREANDA(登録商標)は、投与の直前に、注射用滅菌水で復元され、復元された溶液は、復元から30分以内に輸液袋に移さなければならない(同典拠)。
【0007】
TREANDA(登録商標)注射剤および注射用TREANDA(登録商標)はどちらも、患者への投与の時期に可能な限り近付けて注入の準備をすべきである。TREANDA(登録商標)注射剤は、一度水性希釈剤で希釈されると、室温および室内照明下で保管した場合、2時間安定であり、希釈されたTREANDA(登録商標)注射剤の投与は、この期間内に完了させなければならない(同典拠)。注射用TREANDA(登録商標)は、水を含有する希釈剤で復元および希釈された後、室温および室内照明下で保管した場合、3時間安定であり、復元および希釈された注射用TREANDA(登録商標)の投与は、この期間内に完了させなければならない(同典拠)。
【0008】
医薬品BENDEKA(商標)も、ベンダムスチン塩酸塩を活性成分として含有する。BENDEKA(商標)は、2015年に米国FDAによって市場での売買が承認された。BENDEKA(商標)注射剤は、透明な複数回用量ガラスバイアルに入った、希釈する準備のできた無色から黄色の透明な滅菌溶液として供給される。BENDEKA(商標)注射剤の1ミリリットルずつが、ポリエチレングリコール400中に25mgのベンダムスチン塩酸塩、0.1mLのプロピレングリコール、5mgのモノチオグリセロールを含有する。ポリエチレングリコール400の酸性度を調整するために、BENDEKA(商標)注射剤中に水酸化ナトリウムが使用される場合もある(2017年2月付けのBENDEKA米国FDAラベルを参照されたい)。BENDEKA(商標)が成分として水を含有することは示されていない(同典拠)。「ベンダムスチンの製剤(Formulations of Bendamustine)」と題された米国特許8,609,707(Palepuら)は、(a)ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、(b)(i)ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはこれらの混合物、および(ii)安定化量の酸化防止剤を含む流体とを含む液体ベンダムスチン含有組成物に関するものである。Palepuらは、さらに、いくつかの実施形態において、流体は、非水性であると述べている(Palepuら、3段、19~21行を参照されたい)。
【0009】
前掲の2017年2月のFDAラベルによれば、BENDEKA溶液は、患者に投与される前に、水性希釈剤(0.9%塩化ナトリウム、1.5%デキストロース/0.45%塩化ナトリウム、または5%デキストロース)を含有する輸液袋に移され、結果として生じる溶液は、薬物安定性を損なわないように、所与の室温および室内照明貯蔵条件下で、(輸液袋中の希釈剤が塩化ナトリウムまたはデキストロース/塩化ナトリウム水溶液である場合)6時間以内、または(輸液袋中の希釈剤がデキストロース水溶液である場合)3時間以内に投与しなければならない。
【0010】
ベンダムスチンは、加水分解によって分解される。ベンダムスチンの2種の加水分解生成物は、モノヒドロキシおよびジヒドロキシ誘導体(4-{5-[(2-クロロエチル)-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-1Hベンゾイミダゾール-2イル}ブタン酸(「HP1」と呼ばれる)および4-{5-[ビス-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-1Hベンゾイミダゾール-2-イル}ブタン酸(「HP2」と呼ばれる)である(Kasaら、前掲)。ベンダムスチンの凍結乾燥製剤に関するBrittainおよびFranklinの米国特許8,791,270は、「ベンダムスチンが、(他のナイトロジェンマスタードと同様に)水溶液中で分解するため、凍結乾燥製品として供給される」と指摘している。
【0011】
Palepuらの前掲書も、HP1およびHP2を含む、加水分解によるベンダムスチンの分解に言及し、「ベンダムスチンの水中での安定性は、時間で測定され、したがって、液体形態での長期貯蔵に適さない」と述べている。加えて、ベンダムスチンの既存の市販液体製剤、すなわち、BENDEKA(商標)は、通常の推奨冷蔵温度でも凍結する場合がある。したがって、BENDEKA(商標)の添付文書には、「BENDEKAは、推奨冷蔵貯蔵条件(2~8℃または36~46°F)で貯蔵してください。冷蔵すると、内容物が部分的に凍結する場合があります。使用前に、バイアルが室温(15~30℃または59~86°F)になるようにしてください」と記載されている。BENDEKA(商標)と同様に、TREANDA(登録商標)注射剤も、2~8℃で冷蔵しなければならない。TREANDA(登録商標)注射剤は、投与前に希釈する必要がある。しかし、TREANDA(登録商標)注射剤は、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)を含有するため、製品は、ポリカーボネートまたはABSを含有する(アダプターや注射器などの)デバイスと相性が悪い(2016年10月付けのTREANDA米国FDAラベル)。ポリカーボネートまたはABSを含有するデバイスを使用してTREANDA(登録商標)注射剤を希釈すると、デバイス不具合(たとえば、漏れ、破断、または操作不備)、起こりうる製品汚染、ならびに、皮膚反応を含めて、従業者に対する、または、限定はしないが、溶解したABSまたはポリカーボネートで汚染された製品が患者に与えられた場合、小さい血管の閉塞のリスクを含めて、患者に対する、潜在的な重大な健康上の悪影響につながる(2016年10月付けのTREANDA米国FDAラベル)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、有毒な曝露が回避されるように、投与の準備の際に最小限の取り扱いしか要さないが、安定性および効力が存続する、すなわち、かなりの期間貯蔵してもベンダムスチン分解が少ない、患者において治療的に使用されるベンダムスチンの液体製剤が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、a)薬学的に有効な量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、b)非水性溶媒と、c)組成物の少なくとも約2%(v/v)の水とを含む濃縮液体医薬組成物であって、希釈後は、注射による哺乳動物への投与に適する濃縮液体医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、a)薬学的に有効な量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、b)非水性溶媒と、c)組成物の約2%~約30%(v/v)の水とを含む濃縮液体医薬組成物であって、希釈後は、注射による哺乳動物への投与に適する濃縮液体医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物は、a)薬学的に有効な量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、b)非水性溶媒と、c)組成物の約2%~約25%(v/v)の水、組成物の約2%~約20%(v/v)の水、組成物の約2%~約15%(v/v)の水、組成物の約2%~約10%(v/v)の水、または組成物の約2%~約5%(v/v)の水とを含み、希釈後は、注射による哺乳動物への投与に適する。一態様では、非水性溶媒が、こうした組成物の残りの体積を占める結果、組成物は、組成物の約2%~約30%(v/v)を水が占めるとき、約70%~約98%(v/v)の非水性溶媒、組成物の約2%~約25%(v/v)を水が占めるとき、約75%~約98%(v/v)の非水性溶媒、組成物の約2%~約20%(v/v)を水が占めるとき、約80%~約98%(v/v)の非水性溶媒、組成物の約2%~約15%(v/v)を水が占めるとき、約85%~約98%(v/v)の非水性溶媒、組成物の約2%~約10%(v/v)を水が占めるとき、約90%~約98%(v/v)の非水性溶媒、および組成物の約2%~約5%(v/v)を水が占めるとき、約95%~約98%(v/v)の非水性溶媒を含む。
【0015】
本明細書に記載される本発明の濃縮液体医薬組成物の異なる実施形態では、さらなる態様において、組成物中の水の最小量は、約2.4%、約2.8、約3%、約3.5%、約4%、約5%、または約6%(v/v)になる場合がある。したがって、本発明はまた、ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、非水性溶媒と、水とを含み、
組成物中の水の量が約2%~約30%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約70%~約98%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2%~約25%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約75%~約98%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2%~約20%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約80%~約98%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2%~約15%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約85%~約98%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約98%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2%~約5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約95%~約98%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.4%~約30%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約70%~約97.6%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.4%~約25%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約75%~約97.6%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.4%~約20%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約80%~約97.6%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.4%~約15%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約85%~約97.6%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.4%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約97.6%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.4%~約5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約95%~約97.6%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.8%~約30%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約70%~約97.2%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.8%~約25%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約75%~約97.2%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.8%~約20%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約80%~約97.2%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.8%~約15%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約85%~約97.2%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.8%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約97.2%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.8%~約5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約95%~約97.2%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3%~約30%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約70%~約97%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3%~約25%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約75%~約97%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3%~約20%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約80%~約97%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3%~約15%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約85%~約97%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約97%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3%~約5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約95%~約97%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3.5%~約30%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約70%~約96.5%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3.5%~約25%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約75%~約96.5%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3.5%~約20%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約80%~約96.5%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3.5%~約15%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約85%~約96.5%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3.5%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約96.5%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3.5%~約5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約95%~約96.5%(v/v)である、
組成物中の水の量が約4%~約30%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約70%~約96%(v/v)である、
組成物中の水の量が約4%~約25%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約75%~約96%(v/v)である、
組成物中の水の量が約4%~約20%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約80%~約96%(v/v)である、
組成物中の水の量が約4%~約15%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約85%~約96%(v/v)である、
組成物中の水の量が約4%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約96%(v/v)である、
組成物中の水の量が約4%~約5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約95%~約96%(v/v)である、
組成物中の水の量が約5%~約30%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約70%~約95%(v/v)である、
組成物中の水の量が約5%~約25%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約75%~約95%(v/v)である、
組成物中の水の量が約5%~約20%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約80%~約95%(v/v)である、
組成物中の水の量が約5%~約15%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約85%~約95%(v/v)である、
組成物中の水の量が約5%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約95%(v/v)である、
組成物中の水の量が約6%~約30%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約70%~約94%(v/v)である、
組成物中の水の量が約6%~約25%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約75%~約94%(v/v)である、
組成物中の水の量が約6%~約20%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約80%~約94%(v/v)である、
組成物中の水の量が約6%~約15%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約85%~約94%(v/v)である、
組成物中の水の量が約6%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約94%(v/v)である、
組成物中の水の量が約5%~約6%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約94%~約95%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約98%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.4%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約97.6%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.8%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約97.2%(v/v)である、
組成物中の水の量が約3%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約97%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2%~約3.5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96.5%~約98%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.4%~約3.5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96.5%~約97.6%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.8%~約3.5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96.5%~約97.2%(v/v)である、または
組成物中の水の量が約3%~約3.5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96.5%~約97%(v/v)である、
本明細書に記載するような濃縮液体医薬組成物を提供する。
【0016】
一実施形態では、非水性溶媒は、有機高分子化合物溶媒および有機低分子溶媒から選択される1種または複数の有機化合物を含む。別の一実施形態では、非水性溶媒は、ヒドロキシ部分を含む有機高分子化合物溶媒および有機低分子溶媒から選択される1種または複数の有機化合物を含む。
【0017】
別の一実施形態では、濃縮液体医薬組成物の非水性溶媒は、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリアルコキシ化(polyalkoxylated)ヒマシ油、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1-メチル-2-ピロリジノン、および有機低分子アルコールから選択される1種または複数の有機化合物を含む。さらなる実施形態では、有機低分子アルコールは、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、およびプロピレングリコールから選択される。
【0018】
別の一実施形態では、本発明による濃縮液体医薬組成物の非水性溶媒は、少なくとも1種の有機高分子化合物溶媒と、少なくとも1種の有機低分子溶媒とを含む。少なくとも1種の有機高分子溶媒と少なくとも1種の有機低分子溶媒とを含む非水性溶媒を含む本発明のそのような組成物は、異なる態様では、約2%~約30%(v/v)の水および約70%~約98%(v/v)の非水性有機化合物溶媒、約2%~約25%(v/v)の水および約75%~約98%(v/v)の非水性有機化合物溶媒、約2%~約20%(v/v)の水および約80%~約98%(v/v)の非水性有機化合物溶媒、約2%~約15%(v/v)の水および約85%~約98%(v/v)の非水性有機化合物溶媒、約2%~約10%(v/v)の水および約90%~約98%(v/v)の非水性有機化合物溶媒、または約2%~約5%(v/v)の水および約95%~約98%(v/v)の非水性有機化合物溶媒を含む場合がある。上述のとおり、この段落に記載するような実施形態において、組成物中の水の最小量は、別法として、約2.4%から、約2.8から、約3%から、約3.5%から、約4%から、約5%(v/v)から、または約6%(v/v)からとなる(非水性有機化合物溶媒の合計量は、それぞれ、最大で約97.6%(v/v)、97.2(v/v)、97%(v/v)、96.5%(v/v)、96%(v/v)、95%(v/v)、または94%(v/v)になる)場合もある。
【0019】
別の一実施形態では、本発明による濃縮液体医薬組成物中の非水性溶媒は、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール類の混合物と、少なくとも1種の有機低分子溶媒とを含む。本発明のさらなる一実施形態では、このような組成物中の有機低分子溶媒は、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1-メチル-2-ピロリジノン、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、およびプロピレングリコールから選択される。本発明のさらなる一実施形態では、濃縮液体医薬組成物の非水性溶媒は、ポリエチレングリコールおよびエタノールを含む。別の一実施形態では、(ポリエチレングリコール(類)および有機低分子溶媒を含む)有機化合物溶媒の合計量は、約70%~約98%(v/v)である。
【0020】
本発明はまた、約2℃で液体状態のままである、本明細書に記載するとおりの濃縮液体ベンダムスチン医薬組成物を提供する。
【0021】
本明細書で使用するとき、「濃縮」医薬組成物とは、前のベンダムスチン医薬製剤から水で復元または水で希釈されていないものである。前のベンダムスチン医薬製剤とは、たとえば、注射によって患者に投与する前に、水などの薬学的に許容できる希釈剤を加えて製剤を復元させなければならない凍結乾燥ベンダムスチン製剤を意味する。前のベンダムスチン医薬製剤は、注射によって患者に投与する前に、希釈剤、たとえば、水を含有する希釈剤が加えられる、非水性液体ベンダムスチン医薬製剤などの、液体の濃縮ベンダムスチン医薬製剤である場合もある。
【0022】
別の一実施形態では、本発明はさらに、非水性溶媒が、少なくとも2種の異なる有機化合物溶媒を含み、(i)有機化合物溶媒の1種が、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール類の混合物であり、(ii)有機化合物溶媒の少なくとも1種が、有機低分子溶媒であり、(iii)組成物中の非水性有機化合物溶媒の合計量が、約70%~約98%(v/v)、約75%~約98%(v/v)、約80%~約98%(v/v)、約85%~約98%(v/v)、約90%~約98%(v/v)、または約95%~約98%(v/v)である、本明細書に記載するとおりの濃縮液体医薬組成物を提供する。異なる実施形態では、組成物中の水の合計量は、非水性溶媒が組成物の約70%~約98%(v/v)であるとき、組成物の約2%~約30%(v/v)、非水性溶媒が組成物の約75%~約98%(v/v)であるとき、組成物の約2%~約25%(v/v)、非水性溶媒が組成物の約80%~約98%(v/v)であるとき、組成物の約2%~約20%(v/v)、非水性溶媒が組成物の約85%~約98%(v/v)であるとき、組成物の約2%~約15%(v/v)、非水性溶媒が組成物の約90%~約98%(v/v)であるとき、組成物の約2%~約10%(v/v)、または非水性溶媒が組成物の約95%~約98%(v/v)であるとき、組成物の約2%~約5%(v/v)である。これらの実施形態において、一態様では、組成物中のポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール類の混合物の量は、約60%~約96%(v/v)(ポリエチレングリコール(類)/組成物)の量で存在する。さらなる一態様では、組成物中のポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール類の混合物の量は、組成物中に約60%~約96%(v/v)の量で存在し、1種または複数の有機低分子溶媒は、組成物中に約2%~約10%(v/v)の量で存在し、組成物中の有機化合物溶媒の合計量は、組成物の約60%(v/v)から最大で約98%(v/v)である。上述のとおり、このような実施形態において、組成物中の水の最小量は、別法として、約2.4%から、約2.8%から、約3%から、約3.5%から、約4%から、約5%(v/v)から、または約6%(v/v)からとなる(非水性有機化合物溶媒の合計量は、それぞれ、最大で約97.6%(v/v)、97.2%(v/v)、97%(v/v)、96.5%(v/v)、96%(v/v)、95%(v/v)、または94%(v/v)になる)場合もある。
【0023】
本発明はまた、非水性溶媒が、1種または複数の有機高分子化合物溶媒と1種または複数の有機低分子溶媒とを含み、(i)有機高分子化合物溶媒は、組成物中に約60%~約96%(v/v)の合計量で存在し、(ii)有機低分子溶媒は、組成物中に約2%~約10%(v/v)の合計量で存在し、(iii)組成物中の有機化合物溶媒の合計量が、組成物の約70%(v/v)~約98%(v/v)である、本明細書に記載するとおりの濃縮液体医薬組成物を提供する。このような組成物の一実施形態では、組成物は、約2%~約30%(v/v)の水、および合計で約70%~約98%(v/v)の有機化合物溶媒を含む。本発明の他の実施形態では、このような濃縮液体医薬組成物は、約2%~約25%(v/v)の水、および合計で約75%~約98%(v/v)の有機化合物溶媒、約2%~約20%(v/v)の水、および合計で約80%~約98%(v/v)の有機化合物溶媒、約2%~約15%(v/v)の水、および合計で約85%~約98%(v/v)の有機化合物溶媒、約2%~約10%(v/v)の水、および合計で約90%~約98%(v/v)の有機化合物溶媒、または約2%~約5%(v/v)の水、および合計で約95%~約98%(v/v)有機化合物溶媒を含む。上述のとおり、さらなる態様では、前述の実施形態のそれぞれにおいて、組成物中の水の最小量(v/v)は、約2.4%から、約2.8%から、約3%から、約3.5%から、約4%から、約5%から、または約6%からとなる(総有機化合物溶媒の最大量は、それぞれ、約97.6%、約97.2、約97%、約96.5%、約96%、約95%、または約94%(v/v)になる)場合がある。
【0024】
したがって、本発明は、薬学的に有効な量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、1種または複数の有機高分子化合物溶媒および1種または複数の有機低分子溶媒を含む非水性溶媒であって、(i)有機高分子化合物溶媒は、組成物中に約60%~約96%(v/v)の合計量で存在し、(ii)有機低分子溶媒は、組成物中に約2%~約10%(v/v)の合計量で存在し、(iii)組成物中の有機化合物溶媒の合計量は、組成物の約70%(v/v)~約98%(v/v)である、非水性溶媒と、組成物の少なくとも約2%(v/v)の水とを含む濃縮液体医薬組成物であって、希釈後は、注射による哺乳動物への投与に適する濃縮液体医薬組成物を提供する。さらなる実施形態では、このような組成物は、少なくとも約2.4%(v/v)の水、少なくとも約2.8%(v/v)の水、少なくとも約3%(v/v)の水、または少なくとも約3.5%(v/v)の水を含む。さらなる態様では、このような組成物は、約2.4%~約4%(v/v)の水、および合計で約96%~約97.6%(v/v)の有機化合物溶媒(有機化合物溶媒は、有機高分子化合物溶媒と有機低分子溶媒とを含む)を含む。他の態様では、このような組成物は、約3%~約3.5%(v/v)の水、および合計で約96.5%~約97%(v/v)の有機化合物溶媒(有機化合物溶媒は、有機高分子化合物溶媒と有機低分子溶媒とを含む)を含む。
【0025】
本発明の一態様では、本明細書に記載するとおりの濃縮液体医薬組成物は、投与前に注射に適する希釈剤で希釈する準備ができている。
【0026】
本発明はまた、a)薬学的に有効な量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、b)非水性溶媒と、c)組成物の約2%~約10%、約2.1%~約10%、約2.2%~約10%、約2.3%~約10%、約2.4%~約10%、約2.5%~約10%、約2%~約4%、約2.1%~約4%、約2.2%~約4%、約2.3%~約4%、約2.4%~約4%、約2.5%~約4%、約2.8%~約4%、約2.8%~約3.5%、または約3%~約3.5%(v/v)の量の水とを含む濃縮液体医薬組成物であって、希釈後は、注射による哺乳動物への投与に適する濃縮液体医薬組成物を提供する。異なる実施形態では、本発明はまた、
組成物中の水の量が約2%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約98%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.1%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約97.9%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.2%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約97.8%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.3%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約97.7%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.4%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約97.6%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.5%~約10%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約90%~約97.5%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約98%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.1%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約97.9%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.2%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約97.8%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.3%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約97.7%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.4%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約97.6%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.5%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約97.5%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.8%~約4%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96%~約97.2%(v/v)である、
組成物中の水の量が約2.8%~約3.5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96.5%~約97.2%(v/v)である、および
組成物中の水の量が約3%~約3.5%(v/v)であり、非水性溶媒の量が約96.5%~約97%(v/v)である、
そのような濃縮液体医薬組成物を提供する。
【0027】
異なる実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物中のベンダムスチンまたはベンダムスチン塩の濃度は、約1mg/mL~約100mg/mL、好ましくは、約10mg/mL~約100mg/mL、より好ましくは、約20mg/mL~約60mg/mLである。本明細書における濃縮液体医薬組成物の実施形態では、ベンダムスチンまたはその塩は、ベンダムスチン塩酸塩である。本発明のある特定の実施形態では、濃縮液体医薬組成物は、約35~約40mg/mLのベンダムスチンまたはベンダムスチン塩、たとえば、約35~約40mg/mLのベンダムスチン塩酸塩を含む。他の実施形態では、濃縮液体医薬組成物は、約25mg/mLのベンダムスチン塩酸塩を含む。
【0028】
本発明はまた、約12.4%(v/v)の水溶液中で試験したとき約3.3~約3.7のpHを有する、本明細書に記載するとおりの濃縮液体医薬組成物を提供する。本発明の濃縮液体医薬組成物は、必要なら、約3.3~約3.7のpHを実現するのに十分な量で、強塩基などのpH調整剤を含んでもよい。
【0029】
本発明はまた、薬学的に有効な量のベンダムスチン塩酸塩を含む濃縮液体医薬組成物であって、濃縮液体医薬組成物が、希釈後は、注射による哺乳動物への投与に適し、組成物1mLずつが、25mgの前記ベンダムスチン塩酸塩、23.7mgの無水エタノール、30mgの水、および十分量のポリエチレングリコールを含有する、濃縮液体医薬組成物を提供する。このような医薬組成物の一実施形態において、ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール400である。さらなる一実施形態では、前記医薬組成物は、酸化防止剤をさらに含む。一実施形態では、酸化防止剤は、ブチル化ヒドロキシアニソールであり、ブチル化ヒドロキシアニソールの量は、医薬組成物1mLあたり約1mgである。
【0030】
したがって、本発明は、一実施形態において、薬学的に有効な量のベンダムスチン塩酸塩を含む濃縮液体医薬組成物であって、濃縮液体医薬組成物が、希釈後は、注射による哺乳動物への投与に適し、組成物1mLずつが、25mgの前記ベンダムスチン塩酸塩、23.7mgの無水エタノール、30mgの水、1mgのブチル化ヒドロキシアニソール、および十分量のポリエチレングリコール400を含有する、濃縮液体医薬組成物を提供する。
【0031】
本発明はまた、本明細書に記載するとおりの濃縮液体医薬組成物を収容する密閉容器を提供する。本発明の異なる態様では、本明細書に記載するとおりの濃縮液体医薬組成物を収容する密閉容器であって、医薬組成物は、ベンダムスチン塩酸塩を、医薬組成物を収容する密閉容器が約5mg~約500mg、約10mg~約350mg、または約20mg~約300mgのベンダムスチン塩酸塩を含有するような量で含む、密閉容器が提供される。異なる実施形態では、密閉容器における濃縮液体医薬組成物中のベンダムスチン塩酸塩の量は、密閉容器が25mg、100mg、または200mgのベンダムスチン塩酸塩を含有するような量である。
【0032】
別の実施形態では、密閉容器は、約0.5mL~約50mLの本発明の濃縮液体医薬組成物を収容する。一実施形態では、密閉容器は、薬学的に有効な量のベンダムスチン塩酸塩を含む、約0.5mL~約50mLの濃縮液体医薬組成物を収容し、医薬組成物は、希釈後、注射による哺乳動物への投与に適し、組成物1mLずつが、25mgの前記ベンダムスチン塩酸塩、23.7mgの無水エタノール、30mgの水、1mgのブチル化ヒドロキシアニソール、および十分量のポリエチレングリコール400を含有する。本発明の異なる実施形態では、密閉容器は、1mL、4mL、または8mLのこのような医薬組成物を収容する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ベンダムスチン
本明細書に記載する本発明の濃縮液体医薬組成物は、ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるベンダムスチン塩を含む。したがって、本発明の濃縮液体医薬組成物は、ベンダムスチン遊離塩基または薬学的に許容できるいずれかのベンダムスチン塩、たとえば、ベンダムスチン塩酸塩を含む場合がある。本発明の組成物の製造には、非晶質または水和形態のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるベンダムスチン塩、たとえば、無水ベンダムスチン塩酸塩またはベンダムスチン塩酸塩一水和物を使用することができる。ベンダムスチンと組み合わせて使用することのできる薬学的に許容できる塩の、塩酸塩を除いた他の例として、限定はしないが、臭化水素酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、および酒石酸塩が挙げられる。
【0034】
ベンダムスチンまたはベンダムスチン塩は、本発明の濃縮液体医薬組成物中に、薬学的に有効な量で存在する。ヒトなどの患者におけるがんの処置は、ベンダムスチンまたはベンダムスチン塩を含有する本発明の組成物の何回分もの有効な用量が必要とされる、間隔を挟んだ一定期間にわたる投薬レジメンのもとで実現されうる。本発明の組成物は、たとえば、約1mg~約500mg、約10mg~約200mg、約20mg~約150mg、約20mg~約100mg、または約25mg~約100mgの有効用量のベンダムスチンまたはベンダムスチン塩を含有する場合がある。本発明の組成物は、約25mg、約50mg、約100mg、または約200mgの有効量のベンダムスチンまたはベンダムスチン塩を含有することが好ましい。ベンダムスチンまたはベンダムスチン塩は、ベンダムスチン塩酸塩であることが好ましい。
【0035】
異なる実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物中のベンダムスチンまたはベンダムスチン塩の濃度は、約1mg/ml~約100mg/ml、約10mg/ml~約100mg/ml、約20mg/ml~約60mg/ml、約20mg/ml~約50mg/ml、約25mg/ml~約60mg/ml、および約25mg/ml~約50mg/mlである。本発明の濃縮液体医薬組成物中のベンダムスチンまたはベンダムスチン塩の濃度は、約25mg/ml、約30mg/ml、または約50mg/mlであることが好ましい。本発明の濃縮液体医薬組成物は、約5mg/ml、約10mg/ml、約20mg/ml、約25mg/ml、約30mg/ml、約35mg/ml、約40mg/ml、約45mg/ml、約50mg/ml、約55mg/ml、または約60mg/mlのベンダムスチンまたはベンダムスチン塩を含有する場合がある。
【0036】
用語「v/v」とは、「体積あたり体積」を意味し、溶液中の物質の濃度を体積あたり体積基準で示すのに本明細書で使用している。例として、50%(v/v)の非水性溶媒を含有する溶液は、前記溶液のどの100mlにも、有機化合物溶媒が合わせて約50ml存在することを意味する。別の一例として、溶液が13.1%(v/v)のエタノールを含有する場合、前記溶液のどの100mlも、約13.1mlのエタノールを含有する。さらなる例として、2.5%(v/v)の水を含有する1リットルの本発明の医薬組成物は、25mlの水を含有し、3%の水を含有する1リットルの本発明の医薬組成物は、30mlの水を含有する。
【0037】
非水性溶媒系
本発明の濃縮液体医薬組成物は、ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるベンダムスチン塩の溶解を助けるために、非水性溶媒系(「非水性溶媒」)を含む。非水性溶媒系は、単独の有機化合物溶媒または有機化合物溶媒の組合せである。非水性溶媒系は、有機高分子化合物溶媒および有機低分子溶媒から選択される1種または複数の有機化合物を含む場合がある。有機化合物溶媒(有機化合物である溶媒)は、当業界で周知であり、たとえば、低分子量の有機アルコール(有機低分子アルコール)およびヒドロキシ部分を含んだより高分子量の有機化合物(ヒドロキシ部分を有する有機高分子化合物)を含めて、数多くの有機アルコールがある。一実施形態では、非水性溶媒系は、有機高分子化合物溶媒を含み、例としては、ポリソルベート(ポリソルベート80やポリソルベート20など)、ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール400やポリエチレングリコール300など)、およびポリアルコキシ化ヒマシ油、たとえば、ポリエトキシ化ヒマシ油(CREMOPHORなど)が挙げられる。別の実施形態では、非水性溶媒系は、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド、1-メチル-2-ピロリジノン、または有機低分子アルコール(たとえば、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、またはプロピレングリコール)などの、有機低分子溶媒を含む。有機低分子溶媒は、一般に、約200原子質量単位未満の分子量を有するのに対し、高分子化合物は、一般に、少なくとも約300原子質量単位の平均分子量を有する。
【0038】
本発明の濃縮液体医薬組成物中の非水性溶媒系は、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、またはそれより多くの異なる有機化合物溶媒を含みうる。
【0039】
異なる実施形態において、本発明の濃縮液体医薬組成物中の有機化合物溶媒の合計量は、組成物の約70%~約98%(v/v)内のいずれかの量である。他の実施形態では、本発明の組成物中の有機化合物溶媒の合計量は、約75%~約98%(v/v)、約80%~約98%(v/v)、約85%~約98%(v/v)、約90%~約98%(v/v)、または約95%~約98%(v/v)である。他の実施形態では、本発明の組成物中の有機化合物溶媒の合計量は、約70%~約96.6%(v/v)、約75%~約97.6%(v/v)、約80%~約97.6%(v/v)、約85%~約97.6%(v/v)、約90%~約97.6%(v/v)、または約95%~約97.6%(v/v)である。他の実施形態では、本発明の組成物中の有機化合物溶媒の合計量は、約70%~約97%(v/v)、約75%~約97%(v/v)、約80%~約97%(v/v)、約85%~約97%(v/v)、約90%~約97%(v/v)、または約95%~約97%(v/v)である。他の実施形態では、本発明の組成物中の有機化合物溶媒の合計量は、約70%~約96.5%(v/v)、約75%~約96.5%(v/v)、約80%~約96.5%(v/v)、約85%~約96.5%(v/v)、約90%~約96.5%(v/v)、または約95%~約96.5%(v/v)である。他の実施形態では、本発明の組成物中の有機化合物溶媒の合計量は、約70%~約96%(v/v)、約75%~約96%(v/v)、約80%~約96%(v/v)、約85%~約96%(v/v)、約90%~約96%(v/v)、または約95%~約96%(v/v)である。他の実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物中の有機化合物溶媒の合計量は、約70%~約95%(v/v)、約75%~約95%(v/v)、約80%~約95%(v/v)、約85%~約95%(v/v)、または約90%~約95%(v/v)である。他の実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物中の有機化合物溶媒の合計量は、約70%~約94%(v/v)、約80%~約94%(v/v)、約85%~約94%(v/v)、または約90%~約94%(v/v)である。
【0040】
本発明の濃縮液体医薬組成物は、1種の有機高分子化合物溶媒および1種の有機低分子溶媒を含み、組成物中の有機高分子化合物溶媒の量が、(v/v基準で)有機低分子溶媒の量より多いことが好ましい。論理に拘泥するつもりはないが、本発明者らは、有機高分子化合物が、一般に、組成物中における単独のいずれの有機低分子溶媒よりも、組成物中においてベンダムスチンとの反応性が低いことを理解しており、したがって、組成物中のベンダムスチンまたはベンダムスチン塩の長期安定性を損なうことなく、有機低分子溶媒より多い量の有機高分子化合物溶媒を組成物中に含めることが可能であることを見出した。他方、有機低分子溶媒を含めることは、組成物の粘性を低下させ、それによって、組成物を注射により適するものにする助けとなる。
【0041】
一実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物中の非水性溶媒系は、組成物中に約68%~約96%(v/v)の合計量の1種または複数の有機高分子化合物溶媒と、組成物中に約2%~約10%(v/v)の合計量の1種または複数の有機低分子溶媒とを含み、組成物における有機化合物溶媒の合計量は、最大で組成物の約98%(v/v)である。一実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物における非水性溶媒系は、ポリエチレングリコールおよび有機低分子溶媒を含有する。別の一実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物における非水性溶媒系は、ポリエチレングリコールおよびエタノールを含有する。一実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物における非水性溶媒系は、ポリエチレングリコール400およびエタノールを含有する。別の一実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物における非水性溶媒系は、ポリエチレングリコール300およびエタノールを含有する。別の一実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物における非水性溶媒系は、ポリエチレングリコール300とポリエチレングリコール400の混合物、およびエタノールを含有する。
【0042】
付加的な成分
本発明の濃縮液体医薬組成物は、少なくとも約2%(v/v)の水をさらに含む。異なる実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物は、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.2%、少なくとも約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.8%、少なくとも約3%(v/v)の水、少なくとも約3.5%(v/v)の水、少なくとも約4%(v/v)の水、少なくとも約5%(v/v)の水、または少なくとも約6%(v/v)の水を含む。本発明の濃縮液体医薬組成物は、少なくとも約2%(v/v)から約30%(v/v)の水、約2%(v/v)から約25%(v/v)の水、約2%(v/v)から約20%(v/v)の水、約2%(v/v)から約15%(v/v)の水、約2%(v/v)から約10%(v/v)の水、または約2%(v/v)から約5%(v/v)の水(すなわち、約2%(v/v)~約5%(v/v)の水)を含むことが好ましい。異なる実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物は、約2%~約30%、約2.1%~約30%、約2.2%~約30%、約2.3%~約30%、約2.4%~約30%、約2.5%~約30%、約2.8%~約30%、約3%~約30%、約3.5%~約30%、約4%~約30%、約5%~約30%(v/v)の水、または約6%~約30%(v/v)の水を含む。
【0043】
他の実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物は、約2%~約25%、約2.1%~約25%、約2.2%~約25%、約2.3%~約25%、約2.4%~約25%、約2.5%~約25%、約2.8%~約25%、約3%~約25%、約3.5%~約25%、約4%~約25%、約5%~約25%、または約6%~約25%(v/v)の水を含む。
【0044】
他の実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物は、約2%~約20%、約2.1%~約20%、約2.2%~約20%、約2.3%~約20%、約2.4%~約20%、約2.5%~約20%、約2.8%~約20%、約3%~約20%、約3.5%~約20%、約4%~約20%、約5%~約20%、または約6%~約20%(v/v)の水を含む。
【0045】
他の実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物は、約2%~約15%、約2.1%~約15%、約2.2%~約15%、約2.3%~約15%、約2.4%~約15%、約2.5%~約15%、約2.8%~約15%、約3%~約15%、約3.5%~約15%、約4%~約15%、約5%~約15%、または約6%~約15%(v/v)の水を含む。
【0046】
他の実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物は、約2%~約10%、約2.1%~約10%、約2.2%~約10%、約2.3%~約10%、約2.4%~約10%、約2.5%~約10%、約2.8%~約10%、約3%~約10%、約3.5%~約10%、約4%~約10%、約5%~約10%、または約6%~約10%(v/v)の水を含む。
【0047】
他の実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物は、約2%~約5%、約2.1%~約5%、約2.2%~約5%、約2.3%~約5%、約2.4%~約5%、約2.5%~約5%、約2.8%~約5%、約3%~約5%、約3.5%~約5%、または約4%~約5%(v/v)の水を含む。
【0048】
他の実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物は、約2%~約4%、約2.1%~約4%、約2.2%~約4%、約2.3%~約4%、約2.4%~約4%、約2.5%~約4%、約2.8%~約4%、約2.8%~約3.5%、約3%~約4%、約2%~約3.5%、約2.4%~約3.5%、約2.8%~約3.5%、または約3%~約3.5%(v/v)の水を含む。
【0049】
本発明の濃縮液体医薬組成物は、注射可能な医薬組成物と共に使用するための、当業界で公知の追加成分を場合により含有してもよい。
【0050】
たとえば、本発明の濃縮液体医薬組成物は、1種または複数の酸化防止剤を場合により含有することがある。当業界で公知の酸化防止剤、たとえば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、EDTAナトリウム、モノチオグリセロール、L-システイン、チオグリコール酸、チオソルビトール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、ゲンチジン酸、リポ酸、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、ノルジヒドログアイアレチン酸、またはこれらの組合せを、本発明の組成物において使用することができる。本発明の一実施形態では、酸化防止剤は、連鎖停止剤、すなわち、水素ラジカルを供与し、その結果、他の化合物において酸化ストレスにより生じるフリーラジカル連鎖反応を終結させる能力を有する化学物質である。本発明の一実施形態では、酸化防止剤は、スルフヒドリル化合物、たとえば、モノチオグリセロール、L-システイン、チオグリコール酸、またはチオソルビトールなどの、-SH部分を含む酸化防止剤である。本発明の組成物において使用される酸化防止剤は、フェノール酸化防止剤、すなわち、1つまたは複数のフェノール性ヒドロキシ基を含む酸化防止剤、たとえば、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、またはノルジヒドログアイアレチン酸であることが好ましい。
【0051】
v/v基準で算出した場合、本発明の濃縮液体医薬組成物中のベンダムスチンまたはベンダムスチン塩、および任意選択の追加成分(たとえば、pH調整剤や酸化防止剤)の量は、v/v基準では無視しても構わない。したがって、標準の容量測定ガラス器具法によって測定されるとき、有機溶媒および水が、検出可能な体積の本発明の組成物を含む。本発明の濃縮液体医薬組成物の体積の約100%が有機溶媒および水である。1)ベンダムスチンまたはベンダムスチン塩、および2)pH調整剤および酸化防止剤は、(どちらも本発明の組成物中に含められる程度に)小さい無視しても構わない量の体積を占める。
【0052】
pH
一実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物のpHは、約12.4%(v/v)の水溶液中でこうした組成物のpHが試験されるとき、約3.30~約3.70の間である。別の一実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物のpHは、約12.4%(v/v)の水溶液中でこうした組成物のpHが試験されるとき、約3.40~約3.60の間である。異なる実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物のpHは、約12.4%(v/v)の水溶液中でこうした組成物のpHが試験されるとき、約3.30、約3.37、または約3.45~約3.70である。異なる実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物のpHは、約12.4%(v/v)の水溶液中でこうした組成物のpHが試験されるとき、約3.30、約3.37、または約3.45~約3.66である。異なる実施形態では、本発明の濃縮液体医薬組成物のpHは、約12.4%(v/v)の水溶液中でこうした組成物のpHが試験されるとき、約3.30、約3.37、または約3.45~約3.57である。
【0053】
医薬組成物のpHを調整する方法は、当業界で周知であり、本発明の組成物のpHを調整するのにそうしたいずれかの方法を使用して、本明細書に記載するとおりの好ましいpHを実現することができる。たとえば、必要なら、本明細書に記載するとおりの好ましいpHを実現するために、本発明の組成物に強塩基を加える場合もある。本発明の医薬組成物においてpHの調整に使用することのできる強塩基の例は、当業界で周知であり、限定はしないが、NaOHおよびKOHが挙げられる。
【0054】
たとえば、所望のpHが実現されるまで、強塩基を製剤に徐々に加えて滴定することができる。少量の強塩基を加えた後、一定分量の濃縮液体医薬組成物を取り、水と合わせて、約12.4%(v/v)(組成物/水)とすることができる。得られる溶液のpHは、較正されたpH計で試験することができる。すなわち、濃縮液体医薬組成物のpHを求めることができる。必要なら、この過程は、濃縮液体医薬組成物に所望されるpHが実現されるまで繰り返される。
【0055】
安定した提示形式および剤形
本発明の組成物は、ユニット式の提示形式で提供することができる。ユニット式の提示形式それぞれが、単一用量または複数回用量の本発明の組成物を含有する場合がある。たとえば、本発明の組成物を含有するユニットは、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれよりも多数回分の用量を含有する場合がある。ユニットは、当業者に公知の適切ないずれのタイプの密閉容器で提供してもよい。たとえば、ユニットを、ガラスや薬学的に許容できるプラスチックなどの薬学的に許容できる材料製のバイアル、注射器、密閉ボトル、または密閉袋に包装し、提供することができる。
【0056】
異なる実施形態では、本発明は、25mgのベンダムスチンHCl、50mgのベンダムスチンHCl、100mgのベンダムスチンHCl、150mgのベンダムスチンHCl、200mgのベンダムスチンHCl、250mgのベンダムスチンHCl、300mgのベンダムスチンHCl、500mgのベンダムスチンHCl、または1000mgのベンダムスチンHClを含有する本発明の濃縮液体医薬組成物を収容する密閉容器を提供する。
【0057】
本発明の濃縮液体医薬組成物を含有する密閉されたユニットは、投与前の長期貯蔵に適するものになりうる。本発明の濃縮液体医薬組成物を含有する密閉されたユニットは、標準冷蔵温度下での長期貯蔵に適するものになりうる。標準冷蔵温度とは、2℃~8℃である。たとえば、本発明の濃縮液体医薬組成物を含有する密閉されたユニットは、約1週間まで、約3週間まで、約1か月間まで、約6週間まで、約3か月間まで、約6か月間まで、約12か月間まで、約18か月間まで、約24か月間まで、または約36か月間までの、標準冷蔵条件下での貯蔵に適するものになりうる。「貯蔵に適する」とは、本発明の濃縮液体医薬組成物が、時を経ても安定しており、標準冷蔵条件下で、時を経ても液体のままであり、著しく分解せず、その抗力を著しく損なわないことを意味する。
【0058】
【化2】
【0059】
スキーム1に、種々の環境で起こりうる異なるベンダムスチン分解反応を図示する。経時的に水と反応すると、ベンダムスチン加水分解生成物であるBM HP1およびBM HP2が生じることがあり、BM HP1がBM HP2より優勢である。スキーム1において示されるとおり、pHが高まること、すなわち、相対的により塩基性の環境は、ベンダムスチンの加水分解による分解に好都合である。相対的により高いpHでのベンダムスチンのアルコールとの反応(スキーム1における「塩基」の方向)は、ベンダムスチンアルキルエーテル分解物をもたらすと考えられる。たとえば、より高いpHでのエタノールおよびポリエチレングリコールとの反応によって、それぞれ、ベンダムスチンエチルエーテル(「BMエチルエーテル」)およびベンダムスチンポリエチレングリコールエーテル(「BM PEGエーテル」)がもたらされる場合がある。pHが下がるにつれて(スキーム1における「酸」の方向)、二量体化が起こり、時間と共にベンダムスチントリクロロ二量体(「BMトリクロロ二量体」)が生じる場合がある。加えて、より低いpH(スキーム1における「酸」の方向)では、アルコールとの反応によって、ベンダムスチンアルキルエステル分解物、たとえば、ベンダムスチンのエタノールとの反応からのベンダムスチンエチルエステル(「BM EE」)、およびベンダムスチンのポリエチレングリコールとの反応からのベンダムスチンポリエチレングリコールエステル(「BM PEGエステル」)が生成する。追加のベンダムスチン分解物は、ベンダムスチン脱クロロエチル(de-chloroethyl)(「BM DCE」)であり、(論理に拘泥するつもりはないが)発明者らは、ラジカル機序によってこれが生成するという仮説を立てている。このようなベンダムスチン分解物は、別法として、本明細書では、「ベンダムスチン関連物質」、「関連物質」、または「不純物」とも呼ばれる。
【0060】
密閉容器およびその中の濃縮液体医薬組成物は、当業界で公知の方法によって、たとえば、無菌濾過、最終滅菌(高圧蒸気殺菌法もしくは放射線照射)、またはこれらのいずれかの組合せによって滅菌し、そうして、本発明の滅菌濃縮液体医薬組成物の密閉容器を得ることができる。
【0061】
処置方法
本発明は、哺乳動物におけるがんを処置する方法であって、哺乳動物に、本明細書に記載するとおりの濃縮液体医薬組成物を有効量投与することを含む方法を提供する。本発明の哺乳動物におけるがんを処置する方法の異なる実施形態では、がんは、白血病またはリンパ腫である。哺乳動物においてがんの処置を行うための発明された方法の他の態様では、がんは、慢性リンパ球性白血病または非ホジキンリンパ腫である。
【0062】
本発明の治療方法は、有効量の本発明の濃縮液体医薬組成物を薬学的に許容できる希釈剤で希釈することと、得られる有効量の濃縮液体医薬組成物を含有する希釈された医薬組成物を、それを必要とする哺乳動物に、注射によって投与することとを含む。がん、たとえば、慢性リンパ球性白血病(CLL)または非ホジキンリンパ腫(NHL)の処置のための本発明の濃縮液体医薬組成物の有効量は、たとえば、医薬品BENDEKA(商標)やTREANDA(登録商標)などの、ベンダムスチンまたはベンダムスチン塩を含有するすでに承認されている医薬品を使用してCLLまたはNHLを処置する、承認されている方法を参考にすることにより、当業者が決定してよい。有効量は、処置を受ける患者の状態および大きさ(たとえば平方メートルによる体表面積)に基づき、当業者が調整してよい。
【0063】
本発明の濃縮液体医薬組成物は、希釈後、注射によって哺乳動物に投与されるように設計される。希釈された組成物は、静脈内(IV)注入によって患者に投与される場合もある。IV注入による投与については、薬学的に有効な体積の本発明の濃縮液体医薬組成物を、組成物を収容する容器から無菌的に抜き取り、薬学的に許容できる適切な希釈剤、たとえば、0.9%塩化ナトリウム、2.5%デキストロース/0.45%塩化ナトリウム、または5%デキストロースを含む輸液袋に移してもよいし、または(組成物を収容する容器(たとえば、注射器)から)そうした輸液袋に無菌的に注入してもよい。患者への投与直前の、希釈された製剤中のベンダムスチンまたはベンダムスチン塩の濃度は、約0.1mg/mL~約10mg/mLの範囲内にあることが好ましい。本発明の異なる実施形態では、患者への投与直前の、希釈された製剤中のベンダムスチンまたはベンダムスチン塩の濃度は、約1mg/mLまたは約1.5mg/mL~約7mg/mLまたは約8mg/mL、たとえば、約1.85mg/mL~約5.6mg/mLである。本発明の他の実施形態では、患者への投与直前の、希釈された製剤中のベンダムスチン塩の濃度は、約0.1mg/mL~約1.85mg/mL、たとえば、約0.2mg/mL~約0.6mg/mLまたは0.7mg/mLの範囲内である。本明細書に記載するとおり、本発明の濃縮液体医薬組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与する直前に、注射に適する希釈剤(たとえば、輸液袋に含まれている薬学的に許容できる希釈剤)中に希釈して、そうした約0.1mg/mL~約10mg/mLのベンダムスチン(またはベンダムスチン塩)濃度を実現することができる。
【0064】
調製方法
本発明はまた、本明細書に記載するとおりの濃縮液体医薬組成物を調製する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、濃縮液体医薬組成物を調製する方法であって、a)ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、b)有機高分子化合物溶媒および有機低分子溶媒から選択される1種または複数の有機化合物と、c)少なくとも約2%(v/v)(水/医薬組成物)の水と、d)場合により、1種または複数の酸化防止剤とを合わせることを含む方法を提供する。成分(c)は、約2%から最大で約10%(v/v)(水/医薬組成物)の水であることが好ましい。この方法のさらなる一実施形態では、成分(a)~(c)、および場合により(d)を合わせた後、i)約12.4%の体積の前記濃縮液体医薬組成物を含有する水溶液のpHが測定され、ii)(i)のpHが約3.4~約3.6でない場合、濃縮液体医薬組成物にpH調整剤が加えられ、iii)必要なら、約12.4%(v/v)の濃縮液体医薬組成物を含有する水溶液のpHが約3.4~約3.6になるまで、ステップ(i)および(ii)が繰り返される。
【0065】
別の一実施形態では、本発明は、濃縮液体医薬組成物を調製する方法であって、1)a)ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩と、b)場合により、1種または複数の酸化防止剤と、c)水と、d)1種または複数の有機低分子溶媒と、e)1種または複数の有機高分子化合物溶媒とを合わせることと、2)方法のステップ(1)の結果として生じる組合せを、ベンダムスチンまたは薬学的に許容できるその塩、および存在する場合は1種または複数の酸化防止剤が溶解するまで撹拌することと、3)少なくとも約2%(v/v)(水/医薬組成物)の水を含む濃縮液体医薬組成物を得るのに十分なさらなる量の1種または複数の有機高分子化合物溶媒を加えることとを含む方法を提供する。方法のステップ(1)および(3)における水および有機溶媒は、約2%から最大で約10%(v/v)(水/医薬組成物)の水を含む濃縮液体医薬組成物を得るのに十分な量で合わせることが好ましい。この方法のさらなる態様において、方法は、ステップ(3)の後に、(i)約12.4%(v/v)の体積の濃縮液体医薬組成物を含有する水溶液のpHを測定することと、(ii)(i)のpHが約3.4~約3.6でない場合、濃縮液体医薬組成物にpH調整剤を加えることと、(iii)必要なら、約12.4%(v/v)の濃縮液体医薬組成物を含有する水溶液のpHが約3.4~約3.6になるまで、ステップ(i)および(ii)を繰り返すこととをさらに含む。
【0066】
本明細書に記載の調製方法のステップは、無菌性および製造に関して薬学的に許容できる条件下で実施される。
【0067】
前述の本発明の調製方法において使用されるベンダムスチンまたは薬学的に許容できるベンダムスチン塩は、薬学的に許容できる量のベンダムスチンまたは薬学的に許容できるベンダムスチン塩でよい。しかし、所望なら、前述の本発明の方法を使用して、本発明の濃縮液体医薬組成物をバッチ量で調製してもよい。
【0068】
本明細書に記載の調製方法における有機高分子化合物溶媒の量は、有機低分子溶媒の使用量に比べて、こうした溶媒の量が、結果として得られる濃縮液体医薬組成物に対するv/v基準で算出されるとき、多いことが好ましい。本発明の調製方法において使用することのできる有機低分子溶媒および有機高分子化合物溶媒については、本明細書に記載するとおりである。有機高分子化合物溶媒は、PEG300やPEG400などのポリエチレングリコールであることが好ましい。有機化合物低分子溶媒は、低分子アルコール、たとえば、エタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、またはイソプロピルアルコールであることが好ましい。
【0069】
本明細書に記載の調製方法では、当業界で公知のいずれかのpH調整剤を使用することができる。pH調整剤は、たとえば、NaOHやKOHなどの強塩基でよい。ベンダムスチン、ベンダムスチン塩、任意選択の1種または複数の酸化防止剤、および任意選択のpH調整剤は、本明細書に記載の方法において、方法の際に撹拌することにより、濃縮液体医薬組成物に溶解させることができ、このような技術(たとえば、混合)は、当業者に公知である。
【0070】
上述のとおり、このように調製された濃縮液体ベンダムスチン組成物は、バイアル、注射器、ボトル、または袋などの滅菌密閉容器内に梱包され、それによって、貯蔵および輸送に適する、本発明の濃縮液体医薬組成物の薬学的に許容できるユニット式の提示形式にすることができる。
【実施例0071】
以下の実施例は、本発明のある特定の態様を例証するために提供する。こうした実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでなく、本発明の範囲は、本明細書においてより十分に記載しており、添付の請求項において明記される。
【0072】
(実施例1)
25mg/mLベンダムスチンHCl液体注射製剤の調製
以下の表1において概略を述べる材料からなる、本発明による25mg/mLベンダムスチンHCl製剤の1mL単位を製造した。
【0073】
【表1】
【0074】
上述の1mL単位を調製するために、実用的である限り黄色光下で、次のとおりにバルク溶液を製造した。250mLのメスフラスコに、6.25グラムのベンダムスチン塩酸塩を加えた。250mgのブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を加えた。およそ200mLのPEG400を250mLフラスコに加えた。フラスコに所定の量の無水エタノールを加えた(以下の表2を参照されたい)。次いで、所定の体積の注射用水(WFI)をフラスコに加えた(以下の表2を参照されたい)。次いで、フラスコを旋回させ、または震盪することにより、ベンダムスチンHClおよびBHAを溶解させた。次いで、25mg/mLのベンダムスチンHCl溶液が得られるように、溶液をPEG400で満たして体積を調整した。均質な溶液が得られるまで、フラスコを繰り返し反転させた。5N NaOHを使用して、pHを目標の3.5(3.4~3.6の範囲)に調整した。バルク溶液を、0.2ミクロン孔径のポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜フィルターで濾過した。
【0075】
【表2】
【0076】
(実施例2)
ベンダムスチン製剤のpH評価
種々のpHレベルがベンダムスチンHCl製剤の製剤安定性に及ぼす影響を評価するための研究を行った。ベンダムスチンHCl、無水アルコール(エタノール)、注射用水(WFI)、およびPEG400(ポリエチレングリコール400)を使用して、ベンダムスチンバルク液体製剤を調製した。バルク製剤は、25mg/mLのベンダムスチンHCl、1mg/mLのブチル化ヒドロキシアニソール、3.0%の無水アルコール、および3%(v/v)のWFI(注射用水)を含有し、PEG400で体積を調整した。次いで、バルクを5N NaOHでpH調整して、表3に明記する種々のpH値を有する前記製剤を得た。
【0077】
この実施例に明記したとおりに調製した25mg/mLベンダムスチンHCl製剤のpHを求めるために、pH調整された0.55±0.05グラムの一定分量の製剤を調製した。3.5mLの水を加え、合わせたものを、目で見て均質になるまで穏やかに混合し、それによって、選択されたベンダムスチンHCl液体製剤の12.3%(v/v)の水溶液を得た。次いで、較正されたpH計を使用して、フラスコにおける溶液のpHを測定した。
【0078】
こうして、確認されたpHの異なる25mg/mLベンダムスチンHCl製剤を得、次いで、前記製剤を、2mLのバイアルに、1バイアルあたりおよそ1.5mLで充填した。
【0079】
種々のpHを有する製剤について、ベンダムスチン安定性を経時的に測定した。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって、製剤中のベンダムスチン関連物質を経時的に検出した。
【0080】
HPLC試験法は、次のとおりとした。
【0081】
【表3】
【0082】
サンプル中の関連物質の量を、百分率、すなわち、ベンダムスチン標準におけるベンダムスチンピークの曲線下面積(AUC)に対する、試験サンプル出力における関連物質の位置として突き止められたピークのAUCとして示す。以下の表および記述において、「ND」は、「検出されず」を意味する。「RRT」は、「相対滞留時間」を意味する。「T」は、「月数」に等しいため、「T0」は、最初の開始時期であり、たとえば、「T6」は、6か月後である。
【0083】
以下の表3に、ベンダムスチンHCl pH安定性研究からの、BM DCE不純物についての25℃における種々の時点での経時的な試験結果を示す。
【0084】
【表4】
【0085】
表3から、25℃において3.30より高いpHレベルで、BM DCE不純物レベルが時間と共に増大することが例証される。
【0086】
以下の表4は、ベンダムスチンHCl pH研究からの、BM HP1不純物についての25℃におけるT0~T6の試験結果を示す。
【0087】
【表5】
【0088】
表4から、25℃においてより高いpHレベルでは、BM HP1不純物レベルが時間と共に増大することが例証される。
【0089】
【表6】
【0090】
表5から、25℃においてより高いpHレベルでは、不純物のBM PEGエーテル基が時間と共に増加することが例証される。
【0091】
【表7】
【0092】
表6から、25℃において3.30未満のより低いpHレベルで、不純物のBM PEGエステル基が、より高いpHレベルに比べて、時間と共に有意に増加することが例証される。
【0093】
【表8】
【0094】
表7から、BMトリクロロ二量体不純物は、pHが高くなるほど、経時的により少なくなることが例証されるが、しかし、(より高いpHレベルにおける)二量体の実際の量は、この二量体がBM PEGエステルと共に溶離されるため、定量が困難である。
【0095】
【表9】
【0096】
表8から、BM EE不純物は、pHが高くなるほど経時的により少なくなることが例証される。
【0097】
【表10】
【0098】
表9では、すべてのpHレベルにおける総不純物百分率を比較している。最適なpH範囲は、3.37~3.57であった。
【0099】
【表11】
【0100】
【表12】
【0101】
注:表10Bにおいて、「三Cl二量体」は、BMトリクロロ二量体である。
【0102】
表10Aおよび10Bに示されるとおり、5℃においても、T0からT6か月まで、25℃の加速データと同様の傾向が観察された。BM EEおよびBM PEGエステル不純物レベルは、製剤のpHが3.3より低いときに高い。
【0103】
この実施例2における実験によって、低分子有機溶媒、有機高分子化合物溶媒(いくつものヒドロキシ部分を有する)、および水を含有するベンダムスチンHCl製剤の不純物プロファイルに、pHが影響を及ぼしたことが実証された。製剤のpHが3.30より低かった場合では、経時的に、高いレベルのBM EEおよびBM PEGエステル不純物が観察された。製剤のpHが3.66より高かった場合では、経時的に、高いレベルのBM PEGエーテル不純物が観察された。
【0104】
(実施例3)
液体ベンダムスチン製剤の冷蔵温度における長期安定性
本発明によるベンダムスチン製剤とBENDEKA(商標)(以下で表11に示す成分を含む)の、2℃および8℃の両方で長期間貯蔵したときの(定量および不純物レベルによって示される)安定性プロファイルの差を評価する研究を行った。
【0105】
【表13】
【0106】
研究開始前および研究完了後は、すべてのサンプルを2~8℃で貯蔵した。pH、定量、および関連物質について、サンプルを試験した。2℃および8℃で4か月貯蔵後、サンプルのpHおよびサンプル中の関連物質を試験した。2℃および8℃で10か月貯蔵後、サンプルの物理的状態を観察し、サンプル写真を撮影した。2℃および8℃で12か月貯蔵後、性状、pH、定量、および関連物質についてサンプルを試験した。以下のパラメーターを使用するHPLCによって、関連物質の存在および量を測定した。
【0107】
【表14】
【0108】
【表15】
【0109】
表12についての説明:「適合」は、目に見える微粒子を事実上含まない、無色から黄色の透明な溶液であると定めた。ND=検出されず。報告する閾値は、0.05%超である。「ΔT0」とは、表示された温度または温度範囲で貯蔵したときの、T0から4か月後または12か月後のいずれかまでの、表示するとおりの指定された関連物質の量の変化を指す。
【0110】
*2~8℃で貯蔵したが、チャンバー温度は通常4~6℃であった。
【0111】
この研究の結果は、BENDEKA(商標)およびベンダムスチン製剤Aの両方が、2℃および8℃で12か月貯蔵後、無色から黄色で透明であったことを示している。2℃または8℃のいずれかで12か月間貯蔵後のベンダムスチン製剤Aの安定性は、互角であり、加えて、ベンダムスチン製剤Aでは、12か月の研究期間にかけて、いずれの温度でも、分解が最小限に抑えられていた。BENDEKA(商標)は、12か月の研究期間にかけて著しく分解し、2℃と8℃の温度間で定量および不純物レベルの両方に大きな差があった。最も重大な変化は、BENDEKA(商標)における未詳不純物をもって認められた。そうした不純物は、「エステル」グループに属し、詳細には、ベンダムスチンHClがBENDEKA(商標)中のプロピレングリコールおよびPEG400と反応すると生じるプロピレングリコールエステルおよびPEGエステルである。本明細書に記載した研究を根拠として(上の実施例2で実証されたとおり)、低いpHがエステルの生成を促進し、これが、この研究において時間をかけて貯蔵したときにBENDEKA(商標)において観察された高いレベルのプロピレングリコールおよびPEGエステルの一因になる可能性がある。
【0112】
加えて、2℃および8℃で貯蔵された製品バイアルを観察し、写真を撮影した。結果から、ベンダムスチン製剤Aは、2℃および8℃のどちらにおいても液体であったが、BENDEKA(商標)は、2℃では固体であり、8℃では液体であったことが実証された。
【0113】
この実施例3における研究によって、BENDEKA(商標)が、2℃では凍結した固体、8℃では液体であることが実証された。さらなる問題は、BENDEKA(商標)について、2℃および8℃で貯蔵したとき、総不純物が、それぞれ、3.7%および14.5%となり、不純物レベルの差が大きいことである。安定性チャンバーにおいて2~8℃(温度は通常4~6℃であった)で貯蔵されたBENDEKA(商標)サンプルは、総不純物レベルが6.7%であったが、これは、2℃と8℃のBENDEKA(商標)サンプルの総不純物レベルの間であった。対照的に、ベンダムスチン製剤Aは、2℃および8℃のどちらにおいても液体であった。2℃または8℃のいずれかで貯蔵したとき、ベンダムスチン製剤Aにおける不純物レベルには有意差がなく、総不純物は、それぞれ、0.05%未満および0.06%であった。安定性チャンバーにおいて2~8℃(温度は通常4~6℃であった)で貯蔵されたベンダムスチン製剤Aは、総不純物レベルが0.05%であった。
【0114】
ベンダムスチンHClに適する溶媒であるPEG400は、およそ4℃の凝固点を有する。ベンダムスチン医薬製品の提案されている長期貯蔵温度は、冷蔵温度(2~8℃)である。したがって、ベンダムスチン医薬製品製剤がPEG400を含有する場合、貯蔵の間に凍結が起こりうる可能性があり、この結果として、製品が液体であるか、または凍結した固体であるかに応じて、温度範囲にわたって不純物レベルに有意差が生じる可能性がある。加えて、凍結した製品を受け取ることは、投与前に製品を温める必要があるため、最終使用者にとって使い勝手がよくない。この実施例3における研究は、本発明のベンダムスチン製剤であるベンダムスチン製剤Aが、標準冷蔵条件下で貯蔵したときに凍結するという問題を回避することを示している。
【0115】
(実施例4)
有機溶媒
種々の有機溶媒中でのベンダムスチンHCl溶解度および短時間安定性を評価するための最初の研究を行った。およそ415.4mgの量のベンダムスチンHCl API(活性医薬成分)を、4mLの琥珀色ガラスバイアルに量り入れた。2本ずつのバイアルに、示した各試験溶媒2mLを加えた。同じ溶媒を含有する2本のバイアルの各組の一方を、2~8℃のサンプルローラーに、各組における他方のバイアルを、実験室温度のサンプルローラーに、一晩載せておいた。翌日、各バイアルからの溶液を、Pallの0.2μm FluorodyneII(親水性に修飾されたPVDF)シリンジフィルターを介して、新たな4mLの琥珀色ガラスバイアルに濾過した。
【0116】
T0定量分析によってベンダムスチンHClの溶解度を取得し、結果を表13に要約する。実験室の温度は、23℃であると測定され、したがって、2~8℃および23℃における溶解度が決定された。ベンダムスチンHCl溶解度はたいてい、2~8℃より23℃において高くなることがわかった。
【0117】
ベンジルアルコール、ジメチルスルホキシド、1-メチル-2-ピロリジノン、およびジメチルアセトアミドが、高いベンダムスチンHCl溶解度(180mg/mL超)を示した。これらの溶媒すべてが、試験した両方の温度でAPIを完全に溶解させ、こうした溶媒におけるベンダムスチンHCl溶解度は、およそ180mg/mLまたはそれよりも高いことが示された。
【0118】
プロピレングリコールも、2~8℃でおよそ155mg/mL、23℃で170mg/mLを示し、高いベンダムスチンHCl溶解度を有していた。3社のプロピレングリコール供給業者(Merck&Co.,Inc.の系列会社であるMerck Sharp&Dohme Corp.、The Dow Chemical Company、およびCroda International Plc)間で、ごくわずかな差が観察された。
【0119】
残りの溶媒は、TREANDA(登録商標)注射剤(すなわち、TREANDA(登録商標)(ベンダムスチン塩酸塩)注射剤、静脈内用途用、溶液製品)における90mg/mLの濃度を下回るベンダムスチンHCl溶解度限界を示した。エタノールは、およそ50~60mg/mL、PEG300は、およそ60mg/mL、PEG400は、およそ30mg/mLであった。したがって、エタノール、PEG300、およびPEG400には、90mg/mLに到達するために、共溶媒(co-solvent)が必要となる。イソプロピルアルコールは、さらにより低く、およそ5mg/mLのベンダムスチンHClしか溶解させなかった。
【0120】
【表16】
【0121】
(実施例5)
ベンダムスチンHCl注射製剤「C」
ベンダムスチンHCl一水和物を使用して、製剤の各1mLが、ポリエチレングリコール400中に、次の成分:25mgのベンダムスチンHCl、1mgのブチル化ヒドロキシアニソール、23.7mgの無水エタノール、30mgの水、およびpHを約3.4~約3.6に調整するために必要に応じて水酸化ナトリウムを含有する、注射に適する液体ベンダムスチン製剤を調製した。pHを調整し、算出するために、組成物を約12.4%(v/v)の水溶液にして試験し、必要なら、pHが約3.4~約3.6になるまで水酸化ナトリウムを加えた。液体ベンダムスチンHCl製剤を琥珀色ガラスバイアルに充填して、次の単一用量または複数回用量提示形式、すなわち、(25mgのベンダムスチンHClを含有する)1mL提示形式、(100mgのベンダムスチンHClを含有する)4mL提示形式、および(200mgのベンダムスチンHClを含有する)8mL提示形式の、希釈する準備のできたベンダムスチンHCl溶液を製造した。これらの製剤は、安定性プログラムの間、約3.3~約3.7の目標pH範囲を維持した。
【0122】
(実施例6)
含水量を漸増させたベンダムスチン製剤
含水量(10~30%(v/v))がベンダムスチンHCl製剤の安定性に及ぼす影響を評価するための研究を行った。以下で表に示すとおりに、同一量のベンダムスチンHCl、ブチル化ヒドロキシアニソール、および無水アルコールを含有するが、水の量を漸増させた、諸製剤を調製した。
【0123】
【表17】
【0124】
これらの製剤を、2~8℃および25℃で7か月間、安定した状況に置いた。最初の時点(0M)、貯蔵1か月後(1M)、および7か月後(7M)に、関連物質検査を行った。結果を以下で表14および15に示す。
【0125】
【表18】
【0126】
【表19】