(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109902
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像作成プログラムおよび画像作成方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240806BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240806BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240806BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B41J29/393 105
G03G21/00 510
G03G21/14
H04N1/00 002A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086808
(22)【出願日】2024-05-29
(62)【分割の表示】P 2023085949の分割
【原出願日】2019-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】白木 洋子
(57)【要約】
【課題】シートに形成された画像を読み取った読み取り画像を検査するための基準となる画像を簡便かつ確実に作成する。
【解決手段】基準画像生成装置は、シートに形成された検査対象の画像の検査に用いる基準画像を生成する。この基準画像生成装置は、前記画像がそれぞれ形成された複数のシートを読み取って生成された複数の読取画像を取得し、取得した前記複数の読取画像に基づいて前記基準画像を生成する制御部を備え、前記制御部は、取得した読取画像のうち、第1の読取画像と第2の読取画像とを比較し、比較結果に基づいて前記第2の読取画像を前記基準画像の生成に用いるか否かを判定し、前記第2の読取画像を前記基準画像の生成に用いないと判定した場合に、前記第2の読取画像を、前記基準画像を生成するための読取画像の対象から外す。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書の各ページの画像をシートに形成する画像形成部と、
前記シートに形成された各ページの画像を読み取る画像読み取り部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像形成部に、同一ページの画像を複数シートに形成させ、前記画像読み取り部に、前記複数シートに形成された前記同一ページの画像を読み取らせて、当該複数シートに対応する複数の読み取り画像を取得し、
前記同一ページの前記複数の読み取り画像同士を比較し、当該複数の読み取り画像のうちの、前記読み取り画像同士の差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が予め定めた所定値以上の場合に、当該差分が所定以下に収まる読み取り画像を用いて、前記文書の印刷画像の検査に用いる基準画像を作成し、
前記文書の複数のページの読み取り画像のうち、前記差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が予め定めた所定値以上とならないページについてのみ、予め設定された所定数となるまで、前記画像形成部による画像の形成および前記画像読み取り部による画像の読み取りを継続する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
文書の各ページの画像をシートに形成する画像形成部と、
前記シートに形成された各ページの画像を読み取る画像読み取り部と、
制御部と、を備える画像形成装置で動作する画像作成プログラムであって、
前記制御部に、
前記画像形成部に、同一ページの画像を複数シートに形成させ、前記画像読み取り部に、前記複数シートに形成された前記同一ページの画像を読み取らせて、当該複数シートに対応する複数の読み取り画像を取得する画像取得処理、
前記同一ページの前記複数の読み取り画像同士を比較し、当該複数の読み取り画像のうちの、前記読み取り画像同士の差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が予め定めた所定値以上の場合に、当該差分が所定以下に収まる読み取り画像を用いて、前記文書の印刷画像の検査に用いる基準画像を作成する画像作成処理、を実行させ、
前記文書の複数のページの読み取り画像のうち、前記差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が予め定めた所定値以上とならないページについてのみ、予め設定された所定数となるまで、前記画像形成部に画像の形成、前記画像読み取り部に画像の読み取りを各々継続させる、
ことを特徴とする画像作成プログラム。
【請求項3】
文書の各ページの画像をシートに形成する画像形成部と、
前記シートに形成された各ページの画像を読み取る画像読み取り部と、を備える画像形成装置における画像作成方法であって、
前記画像形成部に、同一ページの画像を複数シートに形成させ、前記画像読み取り部に、前記複数シートに形成された前記同一ページの画像を読み取らせて、当該複数シートに対応する複数の読み取り画像を取得する画像取得処理と、
前記同一ページの前記複数の読み取り画像同士を比較し、当該複数の読み取り画像のうちの、前記読み取り画像同士の差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が予め定めた所定値以上の場合に、当該差分が所定以下に収まる読み取り画像を用いて、前記文書の印刷画像の検査に用いる基準画像を作成する画像作成処理と、を実行し、
前記文書の複数のページの読み取り画像のうち、前記差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が予め定めた所定値以上とならないページについてのみ、予め設定された所定数となるまで、前記画像形成部に画像の形成、前記画像読み取り部に画像の読み取りを各々継続させる、
ことを特徴とする画像作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像作成プログラムおよび画像作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi-Functional Peripherals)などの画像形成装置では、シートに形成した画像にトナーなどによる汚れ、スジ、ホタルと呼ばれるスポット状の画像ノイズなど(これらを総称してヤレと呼ぶ。)が発生する場合がある。そこで、画像形成装置に自動画像検品機器を設け、シートに形成した画像の検査を行っている。この自動画像検品機器とは、本印刷前のプルーフ印刷(試し印刷)時にスキャンして得た画像(基準画像)と本印刷中にスキャンして得た画像(検査画像)とを比較し、基準画像と検査画像との差分を抽出することによって検査画像の良否を判定する機器である。また、自動画像検品機器と仕分け機器とを連動させて、差分が抽出された出力物(ヤレ紙)を除外することで、良品のみの出力物を得ることもできる。
【0003】
このような画像の検査に関して、例えば、下記特許文献1には、用紙上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像が形成された用紙面を読み取って、スキャン画像を生成する画像読取部と、前記画像読取部により生成されたスキャン画像を正常画像と比較することにより、前記スキャン画像中の異常を検出する画像検査部と、前記画像検査部により少なくとも1つの異常が検出された場合、各異常が検出されたことを示す検出情報を生成し、生成した各異常の検出情報を前記スキャン画像に埋め込むことにより、履歴用の画像を生成する履歴生成部と、を備える画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した基準画像は、本印刷前のプルーフ印刷時にスキャンして得た画像をユーザが目視確認して設定するが、特に印刷対象の文書が大量のページで構成される場合、以下の問題が生じる。
【0006】
例えば、本印刷前のプルーフ印刷時にスキャンして得た画像を基準画像として設定するために、画像に異常があるかないかに関わらず、全ページの画像をユーザが目視で確認しなければならないため、ユーザの作業が煩雑になる。また、各ページの画像を目視で確認する際に、ユーザが異常を見落としてしまった場合は、異常のある画像が基準画像に混入してしまい、適切な基準画像を作成できない場合が生じる。また、ユーザが異常を見つけた場合は、異常を解消した後に、再度全ページをプルーフ印刷(又は異常のあったページのみを再度印刷)して、再度目視で確認するといった一連の処理を、全ページの基準画像が作成できるまで繰り返さなければならないため、ユーザの作業が煩雑になる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、シートに形成された画像を読み取った読み取り画像を検査するための基準となる画像を簡便かつ確実に作成することができる基準画像生成装置、基準画像生成プログラム、基準画像生成システムおよび基準画像生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、画像形成装置に、文書の各ページの画像をシートに形成する画像形成部と、前記シートに形成された各ページの画像を読み取る画像読み取り部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記画像形成部に、同一ページの画像を複数シートに形成させ、前記画像読み取り部に、前記複数シートに形成された前記同一ページの画像を読み取らせて、当該複数シートに対応する複数の読み取り画像を取得し、前記同一ページの前記複数の読み取り画像を比較し、当該複数の読み取り画像のうちの、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数に応じて、前記文書の印刷画像の検査に用いる基準画像を作成することを特徴とする。
【0009】
本発明の一側面は、文書の各ページの画像をシートに形成する画像形成部と、前記シートに形成された各ページの画像を読み取る画像読み取り部と、を備える画像形成装置における画像作成方法であって、前記画像形成部に、同一ページの画像を複数シートに形成させ、前記画像読み取り部に、前記複数シートに形成された前記同一ページの画像を読み取らせて、当該複数シートに対応する複数の読み取り画像を取得する画像取得処理と、前記同一ページの前記複数の読み取り画像を比較し、当該複数の読み取り画像のうちの、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数に応じて、前記文書の印刷画像の検査に用いる基準画像を作成する画像作成処理と、を実行することを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面は、文書の各ページの画像をシートに形成する画像形成部と、前記シートに形成された各ページの画像を読み取る画像読み取り部と、制御部と、を備える画像形成装置で動作する画像作成プログラムであって、前記制御部に、前記画像形成部に、同一ページの画像を複数シートに形成させ、前記画像読み取り部に、前記複数シートに形成された前記同一ページの画像を読み取らせて、当該複数シートに対応する複数の読み取り画像を取得する画像取得処理、前記同一ページの前記複数の読み取り画像を比較し、当該複数の読み取り画像のうちの、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数に応じて、前記文書の印刷画像の検査に用いる基準画像を作成する画像作成処理、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の基準画像生成装置、基準画像生成プログラム、基準画像生成システムおよび基準画像生成方法によれば、シートに形成された画像を読み取った読み取り画像を検査するための基準となる画像を簡便かつ確実に作成することができる。
【0012】
その理由は、基準画像生成装置は、シートに形成された検査対象の画像の検査に用いる基準画像を生成する基準画像生成装置であって、画像がそれぞれ形成された複数のシートを読み取って生成された複数の読取画像を取得し、取得した複数の読取画像に基づいて基準画像を生成する制御部を備え、制御部は、取得した読取画像のうち、第1の読取画像と第2の読取画像とを比較し、比較結果に基づいて前記第2の読取画像を前記基準画像の生成に用いるか否かを判定し、前記第2の読取画像を前記基準画像の生成に用いないと判定した場合に、前記第2の読取画像を、前記基準画像を生成するための読取画像の対象から外すからである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例に係る印刷システムの構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るクライアント端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る画像作成方法を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る画像形成装置に表示される画面(正解画像作成結果画面)の一例である。
【
図6】本発明の一実施例に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
背景技術で示したように、画像形成装置では、シートに形成した画像にトナーなどによる汚れ、スジ、スポット状の画像ノイズなどのヤレが発生する場合がある。そこで、画像形成装置に自動画像検品機器を設け、予め作成した基準画像と本印刷中にスキャンして得た検査画像とを比較し、基準画像と検査画像との差分を抽出することによって検査画像の良否を判定したり、差分が抽出された出力物(ヤレ紙)を除外したりしている。
【0015】
この基準画像は、本印刷前のプルーフ印刷時にスキャンして得た画像をユーザが目視確認して設定するが、印刷対象の文書が大量のページで構成される場合、全ページの画像をユーザが目視で確認しなければならないため、ユーザの作業が煩雑になる。また、ユーザが異常を見落としてしまった場合は、異常のある画像が基準画像に混入してしまい、適切な基準画像を作成できない場合が生じる。また、ユーザが異常を見つけた場合は、異常を解消した後に、再度全ページをプルーフ印刷(又は異常のあったページのみを再度印刷)して、再度目視で確認するといった一連の処理を、全ページの基準画像が作成できるまで繰り返さなければならないため、ユーザの作業が煩雑になる。
【0016】
そこで、本発明の一実施の形態では、プルーフ印刷時にN部目(最低2部目)までを印刷し、スキャンをN回(最低2回)行い、N個のスキャン画像をページ毎に比較して各ページの基準画像を導き出す。
【0017】
具体的には、画像形成装置は、文書の各ページの画像をシートに形成する画像形成部と、シートに形成された各ページの画像を読み取る画像読み取り部と、制御部と、を備え、制御部は、画像形成部に、同一ページの画像を複数シートに形成させ、画像読み取り部に、複数シートに形成された同一ページの画像を読み取らせて、当該複数シートに対応する複数の読み取り画像を取得し、同一ページの複数の読み取り画像を比較し、当該複数の読み取り画像のうちの、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数に応じて、文書の印刷画像の検査に用いる基準画像を作成する。
【0018】
このように、プルーフ印刷時に複数部印刷し、それらを比較して基準画像を作成することにより、基準画像を作成/設定する工程における目視確認の手間を削減することができ、目視確認に起因するミスによって異常画像が基準画像に混入する不具合を防止することができる。
【実施例0019】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る画像形成装置、画像作成方法及び画像作成プログラムについて、
図1乃至
図6を参照して説明する。
図1は、本実施例の印刷システムの構成を示す模式図であり、
図2は、本実施例のクライアント端末の構成を示すブロック図、
図3は、本実施例の画像形成装置の構成を示すブロック図である。また、
図4は、本実施例の画像作成方法を説明する図であり、
図5は、本実施例の画像形成装置に表示される画面の一例、
図6は、本実施例の画像形成装置の動作を示すフローチャート図である。
【0020】
本実施例の印刷システムは、プルーフ印刷(試し印刷)時の印刷物のスキャン画像から基準画像を作成し、本印刷時の印刷物のスキャン画像と作成した基準画像とを比較して印刷物の品質を検査するシステムである。この印刷システムは、
図1に示すように、クライアント端末10と画像形成装置20などで構成され、これらは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク40を介して接続される。以下、各々の装置について説明する。
【0021】
[クライアント端末]
クライアント端末10は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であり、印刷ジョブを作成して画像形成装置20に送信する。このクライアント端末10は、
図2(a)に示すように、制御部11、記憶部12、ネットワークI/F部13、表示部14、操作部15などで構成される。
【0022】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11aとROM(Read Only Memory)11bやRAM(Random Access Memory)11cなどのメモリとで構成され、CPU11aは、ROM11bや記憶部12に記憶した制御プログラムをRAM11cに展開して実行することにより、クライアント端末10全体の動作を制御する。また、
図2(b)に示すように、上記制御部11(CPU11a)により、OS(Operating System)16、文書作成アプリケーション17、プリンタドライバ18などが実行される。
【0023】
OS16は、Windows(登録商標)やMac OS(登録商標)、Android(登録商標)などであり、クライアント端末10で文書作成アプリケーション17やプリンタドライバ18を動作可能にする。
【0024】
文書作成アプリケーション17は、文章作成や表計算、画像加工などを行うソフトウェアであり、1又は複数ページで構成される文書の作成を可能にする。そして、印刷指示の際にプリンタドライバ18を読み出し、文書作成アプリケーション17で作成したデータをプリンタドライバ18に転送する。
【0025】
プリンタドライバ18は、印刷条件の設定画面(印刷設定画面)を表示部14に表示させ、ユーザによる印刷条件の設定が終了すると、文書作成アプリケーション17で作成したアプリケーション形式のデータを、PJL(Printer Job Language)やPS(PostScript)、PCL(Printer Control Language)等のページ記述言語で記述されたPDL(Page Description Language)データに変換する。そして、プリンタドライバ18は、変換されたPDLデータを、印刷条件の設定データ(印刷設定データ)と共に、印刷ジョブとして画像形成装置20へ送信する。なお、プリンタドライバ18には、印刷、保存の2つモードがあるとする。印刷モードでは、クライアント端末10から送信された印刷ジョブにより、画像形成装置20で印刷が行われる。保存モードでは、クライアント端末10から送信された印刷ジョブに対して直ちに印刷は行われず、印刷ジョブは画像形成装置20の記憶部などに保存される。
【0026】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU11aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、文書作成アプリケーション17が作成したデータ、プリンタドライバ18が作成した印刷ジョブなどを記憶する。
【0027】
ネットワークI/F部13は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、クライアント端末10を通信ネットワーク40に接続し、画像形成装置20に印刷ジョブを送信する。
【0028】
表示部14は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置などで構成され、制御部11から入力される表示制御信号に従って、文書作成アプリケーション17の文書作成画面やプリンタドライバ18の印刷設定画面などを表示する。
【0029】
操作部15は、マウスやキーボードなどで構成され、文書作成画面での文書の作成、印刷設定画面での印刷条件の設定などの操作を受け付け、操作信号を制御部11に出力する。
【0030】
[画像形成装置]
本実施例の画像形成装置20は、
図3(a)に示すように、制御部21、記憶部22、ネットワークI/F部23、表示操作部24、画像処理部25、画像形成部26、画像読み取り部27、画像検査部28などで構成される。
【0031】
制御部21は、CPU21aと、ROM21bやRAM21c等のメモリとで構成される。CPU21aは、ROM21b又は記憶部22から処理内容に応じたプログラム(後述する画像作成プログラムを含む。)を読み出し、RAM21cに展開して実行することにより、画像形成装置20の動作を集中制御する。
【0032】
記憶部22は、HDDやSSDなどで構成され、CPU21aが各部を制御するためのプログラム(画像作成プログラムを含む。)、自装置の処理機能に関する情報、画像処理部25が作成した印刷ジョブのラスタライズ画像データ、画像読み取り部27が読み取った読み取り画像データ、後述する画像作成部30が作成した基準画像(本実施例では、正解画像と呼ぶ。)、画像検査部28が行った検査結果などを記憶する。
【0033】
ネットワークI/F部23は、NICやモデムなどで構成され、画像形成装置20を通信ネットワーク40に接続し、クライアント端末10から印刷ジョブを受信したり、他の画像形成装置20との間で各種データを送受信したりする。
【0034】
表示操作部24は、LCDや有機ELディスプレイなどの表示部上に、透明電極が格子状に配置された感圧式や静電容量式などの操作部(タッチセンサ)を設けたタッチパネルなどで構成され、表示部及び操作部として機能する。表示部は、制御部21から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面(後述する正解画像作成結果画面など)、画像の形成状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部は、ユーザによる各種入力操作(正解画像作成結果画面における正解画像の選択操作など)を受け付けて、操作信号を制御部21に出力する。なお、ここでは、表示部と操作部とが一体となったタッチパネルを例示しているが、表示部と操作部とを別々に備える構成としてもよい。
【0035】
画像処理部25は、RIP(Raster Image Processor)として機能し、印刷ジョブから中間データ(中間言語であるディスプレイリスト(DL:Display List))を生成し、文書の各ページをラスタライズしてビットマップ形式の画像データを生成する。また、画像処理部25は、必要に応じて、画像データに対して、スクリーン処理、階調補正、濃度バランス調整、細線化、網点処理などを行う。そして、画像処理部25は、生成した画像データを画像形成部26に出力する。
【0036】
画像形成部26は、電子写真方式や静電記録方式等の作像プロセスを利用した画像形成のために必要な要素、すなわち、帯電装置、感光体ドラム、露光装置、転写ローラ、転写ベルト、定着装置などで構成され、文書の各ページの画像をシートに形成する。具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置から画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成し、現像装置で帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を一次転写ローラ、二次転写ベルトを介してシートに転写して定着装置で定着させる処理を行う。
【0037】
画像読み取り部27は、シートに形成された画像をスキャンしてスキャン画像(読み取り画像)を取得する。この画像読み取り部27は、例えば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の3種類のセンサで構成され、シートで反射された光の光量に応じたRGB値を検出し、画像データとして出力する。また、必要に応じて、複数の色の背景板を切り替え可能に保持する背景色切り替え部を備え、背景色切り替え部は、画像読み取り部27がシートをスキャンする際に、シートの色やシートに形成される画像の色などに応じて背景色を切り替える。
【0038】
画像検査部28は、文書の本印刷時に、印刷ジョブに基づいて画像が形成されたシートを読み取った読み取り画像(検査画像)と、後述する画像作成部によって作成された、検査の基準となる画像(正解画像)と、を比較することによって検査画像の良否(差分の有無)を判定する。また、必要に応じて、画像検査部28の検査結果に基づいて、差分のない良品の出力物と差分のある不良品の出力物とを分別し、各々を異なる排紙トレイに排紙する。上記の画像読み取り部27(又は画像読み取り部27及び背景色切り替え部)と画像検査部28とにより自動画像検品機器が構成される。
【0039】
また、上記制御部21は、
図3(b)に示すように、画像取得部29、画像作成部30などとして機能する。
【0040】
画像取得部29は、文書のプルーフ印刷(試し印刷)時に、画像形成部26に、同一ページの画像を複数シートに形成させ、画像読み取り部27に、複数シートに形成された同一ページの画像を読み取らせて、当該複数シートに対応する複数の読み取り画像を取得し、その複数の読み取り画像を記憶部22及び画像作成部30に出力する。また、文書の本印刷時に、画像形成部26に、文書の各ページの画像をシートに形成させ、画像読み取り部27に、シートに形成された各ページの画像を読み取らせて、各ページの読み取り画像を取得し、その読み取り画像を記憶部22及び画像検査部28に出力する。
【0041】
画像作成部30は、同一ページの複数の読み取り画像を比較し、当該複数の読み取り画像のうちの、差分(例えば、各画素値の差分)が所定以下に収まる読み取り画像の数に応じて、文書の印刷画像の検査に用いる正解画像を作成する。なお、差分が所定以下とは、例えば、画素値の差分が予め定めた閾値を超える画素の数が、予め定めた所定数以下になる場合や、画素値の差分が閾値を超える画素の密度が、予め定めた所定値以下になる場合などである。
【0042】
また、画像作成部30は、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が予め定めた所定値以上の場合に、当該差分が所定以下に収まる読み取り画像に基づいて(例えば、複数の読み取り画像の各画素値の平均値などを用いて)正解画像を作成することができ、差分が所定以下に収まる読み取り画像のうちの一つを正解画像とすることもできる。
【0043】
また、画像作成部30は、予め設定された所定数のシートに画像を形成しても、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が所定値以上とならないページがある場合、当該ページに対して、所定数のシートに形成された画像、または、所定数のシートに対応する複数の読み取り画像の確認をユーザに促すための報知を行うことができる。その際、上記の複数の読み取り画像を表示操作部24に表示させる(例えば、後述する正解画像作成結果画面に表示させる)ことができ、複数の読み取り画像の中から選択された読み取り画像を、そのページの正解画像とすることができる。また、画像作成部30は、複数ページからなる文書の各ページの基準画像を統合して(部に跨って繋ぎ合わせて)、文書に対する正解画像群を作成することができる。
【0044】
また、制御部21は、同一ページについて、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が所定値以上となるまで、当該同一ページに関する処理(画像の形成/画像の読み取り/読み取り画像の取得/読み取り画像の比較)を継続したり、文書を構成する複数ページのうちの、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が所定値未満のページについてのみ、当該ページに関する処理を継続したりすることができる。
【0045】
上記画像取得部29、画像作成部30はハードウェアとして構成してもよいし、制御部21を、画像取得部29、画像作成部30として機能させる画像作成プログラムとして構成し、当該画像作成プログラムをCPU21aに実行させるようにしてもよい。
【0046】
次に、上記構成の画像形成装置20を用いた画像作成方法について、
図4を参照して説明する。
図4は、5ページで構成される文書に対して、プルーフ印刷を最初に3部行い、その後10部まで行って正解画像を作成する設定の場合の例であり、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が2部以上の場合に、その部の読み取り画像を正解画像とする場合を示している。なお、本実施例では、ヤレ(汚れ)が全ての部において全く同じ位置に同じ形で付くことはないことを前提としている。また、図中の「XXヤレあり」とは、実際の印刷物のXXの位置にヤレ(汚れ)があることを示している。
【0047】
図4に示すように、1ページ目は、1部目と2部目にヤレがないことから、2部目の時点で正解画像が作成できることを示している。なお、ここではプルーフ印刷を最初に3部行う設定であるため、3部目も処理を行っている。また、2ページ目は、1部目と2部目にヤレがあるが、3部目と4部目にヤレがないことから、4部目の時点で正解画像が作成できることを示している。また、3ページ目は、1部目にヤレがあるが、2部目と3部目にヤレがないことから、3部目の時点で正解画像が作成できることを示している。また、4ページ目は、2部目にヤレがあるが、1部目と3部目にヤレがないことから、3部目の時点で正解画像が作成できることを示している。また、5ページ目は、1部目から3部目にヤレがあるが、4部目と5部目にヤレがないことから、5部目の時点で正解画像が作成できることを示している。
【0048】
そして、各々のページに対して作成した正解画像を、部を跨いで繋ぎ合わせて(ここでは、1ページ目の2部目と2ページ目の4部目と3ページ目の3部目と4ページ目の3部目と5ページ目の5部目とを繋ぎ合わせて)、その文書に対する正解画像群を作成する。
【0049】
この例の場合、プルーフ印刷10部までで正解画像を作成する設定であるが、5部目までで全てのページに対して正解画像が導き出せたため、5部目まで比較した時点で正解画像の作成ステップは終了し、正解画像と本印刷のスキャン画像とを比較する画像検査ステップに移行する。
【0050】
なお、
図4では、作業や資源の無駄を省くために、差分が所定以下に収まる(すなわち、ヤレがない)読み取り画像の数が所定値未満のページについてのみ、当該ページに関する処理(画像の形成/画像の読み取り/読み取り画像の取得/読み取り画像の比較)を継続するようにしているが、この場合、4部目は1ページ目と3ページ目と4ページの処理を省略し、5部目は1ページ目から4ページ目までの処理を省略する必要があり、制御が複雑になる。そこで、制御を単純にしたい場合は、全てのページに対して、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が所定値以上となるまで、全てのページに関する処理を継続するようにしてもよい。この場合、各ページの画像が形成されたシートが余分に作成されるが、このシートを本印刷に利用すれば、作業や資源の無駄を削減することができる。
【0051】
また、
図4では、差分が所定以下に収まる読み取り画像の数が所定数(ここでは2部)になった時点で正解画像を作成しているが、差分が所定以下に収まる読み取り画像が連続して所定数(例えば、2部)得られた時点で正解画像を作成するようにしてもよい。この場合、4ページ目は、4部目にヤレがなければ正解画像を作成することになる。
【0052】
また、
図4では、全てのページに対して設定部数である10部(ここでは5部)までに正解画像を作成できる場合を示したが、設定部数までに正解画像を作成できない場合もある。その場合は、正解画像を作成できなかったページの複数の読み取り画像を表示して、その中から正解画像を登録できるようにしてもよい。
【0053】
図5は、正解画像作成結果画面50の一例であり、設定部数(ここでは3部目)までプルーフ印刷し、読み取り画像を比較しても正解画像を導き出せなかった場合の例である。この正解画像作成結果画面50には、正解画像が導き出せなかったページとそのページを印刷した部とが表示され、例えば、「Xページ目」のボタンを押下し、「Y部目」のボタンを押下すると、該当するXページ目のY部目の読み取り画像のプレビュー画像が画面の右側のプレビュー画像領域51に表示される。
【0054】
このプレビュー画像はズーム表示もできることが好ましく、例えば、図示しないスライダをスライドさせたり、倍率を入力したりすることによって、プレビュー画像を任意の倍率で表示できるようにすることができる。そして、ユーザは、各々の部のプレビュー画像を確認し、正解画像として採用する読み取り画像がある場合は、その部の右側の「採用」ボタンを押下すると、その部の読み取り画像を正解画像として登録することができる。
【0055】
なお、1つのページに対して1つの読み取り画像しか選択できないように、「採用」、「非採用」ボタンの表示には活性/非活性の禁則を設定する(1つの「採用」ボタンを選択したら、そのボタンが活性になり、他の部の「採用」ボタンは非活性になる)ことが好ましい。
【0056】
そして、正解画像が導き出せなかった全てのページに対して、それぞれ何部目の読み取り画像を採用するかが選択されたら、「保存」ボタンが活性になり、「保存」ボタンを押下すると、選択された読み取り画像が正解画像として登録され、画像作成部30は、複数の読み取り画像を比較して作成した正解画像と正解画像作成結果画面50にてユーザに選択された正解画像とを繋ぎ合わせて、その文書に対する正解画像群を作成する。
【0057】
なお、ここでは、設定部数までに正解画像を作成できないページがあった場合に、正解画像作成結果画面50にて、そのページの複数の読み取り画像を表示したが、正解画像を作成できないページの読み取り画像を表示する代わりに、複数のシートに形成されたそのページの画像の確認をユーザに促す報知を行う(例えば、警告画面を表示する)ようにしてもよい。
【0058】
次に、本実施例の画像形成装置20の動作について説明する。CPU21aは、ROM21b又は記憶部22に記憶した画像作成プログラムをRAM21cに展開して実行することにより、
図6のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、正解画像の作成のためにプルーフ印刷を何部(最初に何部、合計で何部)行うかは予め設定されているものとする。
【0059】
ユーザが、画像形成装置20の表示操作部24を操作して自動検品に使用する正解画像作成開始の指示を行うと、制御部21は、画像形成部26にプルーフ印刷を開始させる(S101)。次に、制御部21(画像取得部29)は、画像形成部26に予め設定された所定部(例えば、3部目)までの印刷を指示し(S102)、画像読み取り部27に印刷物をスキャンさせてスキャン画像を取得し、記憶部22に保存する(S103)。
【0060】
次に、制御部21(画像作成部30)は、保存したスキャン画像をページ毎に比較し(S104)、全ページに対して正解画像を導き出せたか(差分が所定以下に収まるスキャン画像の数が所定値以上になったか)を判断する(S105)。正解画像を導き出せなかったページが存在する場合は(S105のNo)、制御部21(画像作成部30)は、印刷部数が予め設定した部数に達したかを判断し(S106)、印刷部数が設定部数に達していない場合は(S106のNo)、制御部21(画像取得部29)は、画像形成部26に次の部の印刷を指示し(S107)、S103に戻って同様の処理を繰り返す。その際、正解画像を導き出せなかったページのみ、処理(画像の形成/画像の読み取り/読み取り画像の取得/読み取り画像の比較)を継続することが好ましい。
【0061】
一方、印刷部数が設定部数に達した場合は(S106のYes)、制御部21(画像作成部30)は、表示操作部24に
図5に示すような正解画像作成結果画面50を表示させて、正解画像を導き出せなかったページのスキャン画像をユーザに確認させて、正解画像を選択させる(S108)。次に、又は、全ページに対して正解画像を導き出せた場合は(S105のYes)、制御部21(画像作成部30)は、記憶部22に保存した各ページの正解画像を、部を跨いで繋ぎ合わせ、その文書の正解画像群として登録する(S109)。これらが、自動検品に使用する正解画像となる。
【0062】
その後、制御部21は、画像形成部26に本印刷を開始させ(S110)、画像検査部28は、本印刷の印刷物をスキャンしたスキャン画像とS109で登録した正解画像とを比較して、検品を行う(S111)。その際、差分が所定以下に収まるスキャン画像に対応するプルーフ印刷の印刷物は、本印刷の印刷物としてカウントしてもよく、本印刷の印刷物としてカウントする(本印刷の印刷物として利用する)ことにより、本印刷の部数を削減することができる。その場合、本印刷の印刷物として利用するプルーフ印刷の印刷物は、ヤレがないことが分かっているため、検品の対象から除外することができ、検品作業を削減することができる。
【0063】
以上説明したように、プルーフ印刷時に複数部印刷し、それらを読み取ったスキャン画像を比較して正解画像を作成することにより、正解画像を作成/設定する工程における目視確認の手間を削減することができ、目視確認に起因するミスによって異常画像が正解画像に混入する不具合を防止することができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0065】
例えば、上記実施例では、画像形成装置20に自動画像検品機器が含まれる場合について記載したが、自動画像検品機器を含まない画像形成装置に対しても、本発明の画像作成方法を同様に適用することができる。その場合は、画像形成装置は、プルーフ印刷時に読み取り画像に基づいて作成した正解画像を自動画像検品機器に出力し、本印刷時に読み取り画像を自動画像検品機器に出力するようにすればよい。
【0066】
また、自動画像検品機器を単体で動作させる場合に対しても、本発明の画像作成方法を同様に適用することができる。その場合は、自動画像検品機器に制御部と記憶部と必要に応じて表示操作部とを設け、制御部を画像取得部、画像作成部として機能させる(制御部のCPUに画像作成プログラムを実行させる)ようにすればよい。
本発明は、画像形成部と画像読み取り部とを備え、シートに形成された画像を読み取った読み取り画像を検査する画像形成装置、読み取り画像を検査するための基準となる画像を作成する画像作成方法、当該画像形成装置で動作する画像作成プログラム及び当該画像作成プログラムを記録した記録媒体に利用可能である。