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特開2024-109911チェックポイント分子に対する多重特異性結合性構築物およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109911
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】チェックポイント分子に対する多重特異性結合性構築物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/46 20060101AFI20240806BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240806BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240806BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240806BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240806BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240806BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240806BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240806BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240806BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240806BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20240806BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
C12P21/08
A61P35/00
A61P37/04
A61K39/395 N
A61K39/395 U
A61P35/02
A61K45/00
A61K47/68
A61K47/55
A61K51/10 100
A61K39/395 L
A61K38/19
C07K16/46
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086951
(22)【出願日】2024-05-29
(62)【分割の表示】P 2021525728の分割
【原出願日】2019-11-13
(31)【優先権主張番号】62/760,801
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/931,478
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/855,580
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/898,991
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.TRITON
3.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517247332
【氏名又は名称】コンパス セラピューティクス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ゴン、ビン
(72)【発明者】
【氏名】レナード、レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】オリファント、アマンダ フランク
(72)【発明者】
【氏名】リョン、チュク ルン
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ、ベンジャミン ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】エスキオカク、ウグル
(72)【発明者】
【氏名】バクル、パール
(72)【発明者】
【氏名】アルブ、ダイアナ アイ.
(57)【要約】
【課題】免疫逃避に有効に対抗する新規の治療法を提供する。
【解決手段】本開示は、免疫チェックポイント抑制を低減することにより腫瘍逃避を阻害するための組成物および方法に関する。一部の実施形態では、PD-1ならびにそのリガンド(例えば、PD-1および/またはPD-L2)が発現された細胞の相互作用を促進しながらPD-1およびそのリガンドの間の相互作用を遮断する組成物が本明細書において提供される。そのような組成物を使用する方法もまた提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チェックポイント分子に対する多重特異性結合性構築物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、米国および世界中の両方において死の主因の1つである。手術、放射線、化学療法、ホルモン療法、標的化療法、および免疫療法などの一般的な治療は、20世紀中にがん関連死の率を減少させたが、2012年現在に世界中で1410万人の新たに診断されたがん症例および820万人のがんでの死亡があった。20世紀中に全体的ながん生存率の向上があったが、がんは依然として世界中で7人中1人の死亡の原因となっている。非特許文献1を参照。
【0003】
近年、増加しつつある証拠は、免疫系は腫瘍の形成および進行に対する重大なバリアとして作動することを示唆する。抗腫瘍潜在能力または活性を有する天然に存在するT細胞ががんを有する患者において存在するという原理は、腫瘍学における免疫療法アプローチの開発を合理化した。T細胞、マクロファージ、およびナチュラルキラー細胞などの免疫細胞は、抗腫瘍活性を呈し、悪性腫瘍の出現および成長を有効に制御することができる。腫瘍特異的または関連抗原は、悪性腫瘍を認識および排除するように免疫細胞を誘導することができる(非特許文献2)。腫瘍特異的な免疫応答の存在にもかかわらず、悪性腫瘍は多くの場合に様々な免疫調節機構を通じて免疫攻撃から逃避しまたはそれを回避して、腫瘍の出現および進行を制御することの失敗を結果としてもたらす(非特許文献3)。実際に、がんの新興の特徴は、これらの免疫調節機構の活用および抗腫瘍免疫応答の不能であり、免疫学的殺傷からの腫瘍逃避およびエスケープを結果としてもたらす(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】American Cancer Society, Global Cancer Facts & Figures 3rd Edition, アメリカがん協会(American Cancer Society)[米国アトランタ(Atlanta)所在], 2015
【非特許文献2】チェン(Chen)およびメルマン(Mellman), (2013) Immunity 39(1):1-10
【非特許文献3】モッツ(Motz)およびコウコス(Coukos), (2013) Immunity 39(1):61-730
【非特許文献4】ハナハン(Hanahan)およびワインバーグ(Weinberg)(2011) Cell 144(5):646-674
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
がんの免疫療法における新規のアプローチは、これらの免疫逃避およびエスケープ機構に対抗し、腫瘍を拒絶するように内因性の免疫系を誘導することを伴う。しかしながら、特にがん治療法における、免疫逃避に有効に対抗する新規の治療法に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、PD-1およびPD-L1の両方を標的化する新規の多重特異性および多価構築物、例えば、二重特異性および四価構築物に部分的に基づく。本明細書において実証されるように、これらの多重特異性構築物は、個々の抗体の組合せとの比較の他に、臨床的なチェックポイント遮断剤と比較して、向上したin vitroおよびin vivo効力を有する。そのような多重特異性および多価構築物において使用するための、新規のモノクローナル抗PD-1抗体およびその抗原結合性断片、ならびに新規のモノクローナル抗PD-L1抗体およびその抗原結合性断片もまた本明細書において提供される。これらの新規のモノクローナル抗PD-1抗体および新規のモノクローナル抗PD-L1抗体の一部は共通の軽鎖を共有し、それにより、驚くべき優れた薬物様特性(DLP)および容易な生産可能性の他にそれらの親抗体に類似した親和性を有する多重特異性および多価構築物の生成を可能とする。本開示はまた、免疫細胞により発現されたPD-1および第2の細胞上に発現されたそのリガンド(例えば、PD-L1またはPD-L2)の間の相互作用を遮断すると共に、該免疫細胞および該第2の細胞(例えば、別の免疫細胞、またはPD-1リガンドを発現する腫瘍細胞)をブリッジ形成させることは、例えば、T細胞の増殖、IFNγの産生および分泌、ならびにT細胞の細胞溶解活性を強く増進するという発見に部分的に基づく。そのため、PD-1およびそのリガンド(PD-L1またはPD-L2)が発現された細胞の相互作用(ブリッジ形成)を促進しながらPD-1およびそのリガンドの間の相互作用を遮断する組成物が本明細書において提供される。本明細書において例示されるように、「遮断およびブリッジ形成」の能力を有する本開示のそのような組成物は、例えば、受容体およびリガンドに別々に結合する化学量論量の剤を有するカクテル、または受容体もしくはリガンドのいずれかに結合する単一の剤と比較して、(例えば、IFNγの産生および分泌ならびにin vivo活性により測定されるような)優位な抗腫瘍有効性を提供する。本明細書に記載のPD-1およびPD-L1の両方を標的化する多重特異性および多価構築物は、価数依存性の様式で、細胞表面上のPD-1の発現の喪失を引き起こすこともまた見出された。PD-1発現のこの喪失は、親抗体の組合せを化学量論的に同等の量で使用した場合には観察されなかった。よって、本明細書に記載のPD-1およびPD-L1の両方を標的化する多重特異性および多価構築物は、がんの治療において使用するための増加した効力および有効性を有する新規の免疫療法剤を提供する。
【0007】
一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は少なくとも2つの異なる受容体またはエピトープ(例えば、PD-1およびPD-L1)に結合し、多重特異性抗原結合性構築物により結合される2つの異なる受容体またはエピトープは同じ細胞の表面上に発現されている。例えば、一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-L1に同時に結合し、PD-1およびPD-L1は同じ細胞の表面上に発現されている。一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は少なくとも2つの異なる受容体またはエピトープ(例えば、PD-1およびPD-L1)に結合し、多重特異性抗原結合性構築物により結合される2つの異なる受容体またはエピトープは2つの異なる細胞の表面上に発現されている。例えば、一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、第1の細胞の表面上に発現されたPD-1および第2の細胞の表面上に発現されたPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に同時に結合する。
【0008】
一部の実施形態では、本開示は、少なくとも2つの抗原結合性アームを含む多重特異性抗原結合性構築物であって、第1のアームが、免疫細胞により発現されたPD-1に結合し、第2のアームが、第2の細胞により発現されたPD-1リガンドに結合し、多重特異性抗原結合性構築物がPD-1およびPD-1リガンドの相互作用を遮断する、多重特異性抗原結合性構築物を提供する。一部の実施形態では、PD-1リガンドはPD-L2である。一部の実施形態では、PD-1リガンドはPD-L1である。一部の実施形態では、免疫細胞はT細胞である。一部の実施形態では、T細胞はCD8+ T細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞はマクロファージである。一部の実施形態では、第2の細胞は第2の免疫細胞である。一部の実施形態では、第2の免疫細胞は、T細胞、B細胞、マクロファージ、骨髄由来抑制細胞、樹状細胞、または間葉間質細胞のいずれか1つまたは複数である。一部の実施形態では、第2の免疫細胞は制御性T細胞である。一部の実施形態では、第2の細胞は腫瘍細胞である。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、血液がん、リンパ腫、骨髄腫、白血病、神経学的がん、黒色腫、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、頭頸部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器がん、骨がん、腎臓がん、および血管がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、両方のアームは、少なくとも1×10-7M、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、または少なくとも1×10-10MのKを有する。一部の実施形態では、1つのアームのその標的への結合は、他のアームのその標的への結合を遮断しない。一部の実施形態では、第1のアームおよび第2のアームはそれらの各々の標的に結合し、両方のアームは同時に結合したままとなる。一部の実施形態では、第1のアームおよび第2のアームのそれらの各々の標的への結合は、免疫細胞および第2の細胞を一緒になるようにブリッジ形成させることができる。一部の実施形態では、免疫細胞および第2の細胞のブリッジ形成は、フローサイトメトリーにより決定される。一部の実施形態では、第1のアームはPD-1のアンタゴニストである。
【0009】
多重特異性抗原結合性構築物の一部の実施形態では、第1のアームはPD-1に結合し、(a)(i)配列番号70(FTFXYAXであり、X=S、R、G、またはNであり、X=D、S、N、A、R、またはGであり、X=MまたはLであり、X=S、L、またはNである)を含むCDRH1、(ii)配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号72(ARGLDFIVGXTGNDYであり、X=A、Y、またはRである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに(b)(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0010】
一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号73(FTFSDYAMS)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号73(FTFSDYAMS)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号76(FTFSSYAMS)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号77(FTFSSYAML)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号78(FTFSNYALS)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号79(FTFSAYAMN)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号80(FTFRSYAMS)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号81(FTFGRYAMS)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号82(FTFNSYAMS)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号83(FTFSNYAMS)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号84(FTFSGYAMS)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号86(FTFSSYAMN)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含む。一部の実施形態では、第1のアームのCDRH1は配列番号80(FTFRSYAMS)を含み、第1のアームのCDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、第1のアームのCDRH3は配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含む。
【0011】
一部の実施形態では、第1のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第1のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第1のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0012】
一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号87に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号88に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号89に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号90に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号91に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号92に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号93に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号94に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号95に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号96に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号97に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号98に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの重鎖可変領域は、配列番号99に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第1のアームの軽鎖可変領域は、配列番号59に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。
【0013】
一部の実施形態では、第2のアームはPD-1リガンドのアンタゴニストである。一部の実施形態では、第2のアームはPD-L2のアンタゴニストである。一部の実施形態では、第2のアームはPD-L1のアンタゴニストである。一部の実施形態では、第2のアームはPD-L1に結合し、a.(i)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、(ii)配列番号2(GGIIPXGXATYAであり、XはVまたはIであり、XはF、L、またはVであり、XはTまたはAである)を含むCDRH2、および(iii)配列番号3(ARLKXELKDAFDIであり、XはG、F、またはNである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにb.(i)配列番号4(RASQXISSYLNであり、XはS、W、またはQである)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号6(XQSYSTPLTであり、XはQまたはFである)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0014】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0015】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号12(RASQWISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号13(RASQQISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0016】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0017】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0018】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0019】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0020】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0021】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0022】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0023】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0024】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0025】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含む。一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0026】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号38(FQSYSTPLT)を含む。
【0027】
一部の実施形態では、第2のアームのCDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、第2のアームのCDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、第2のアームのCDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、第2のアームのCDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、第2のアームのCDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、第2のアームのCDRL3は配列番号39(QQSYSTILT)を含む。
【0028】
一部の実施形態では、第2のアームは、a.(i)配列番号14(GTFSSYAFS)を含むCDRH1、(ii)配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2および(iii)配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにb.(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0029】
一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号24(GGIIPIVGIANYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0030】
一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号25(ARLKGEFKDAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0031】
一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号26(GRIIPLFGTAHYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0032】
一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号27(GRINPILGTANYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号28(ARLKGELKDAFSI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0033】
一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0034】
一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号122(GTKSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域をさらに含む。
【0035】
一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号36(GPFRSHAVS)を含むCDRH1、(ii)配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号37(ARLKSELKDAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、第2のアームは、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0036】
一部の実施形態では、PD-L1に結合する第2のアームは、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58のいずれか1つに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号59、60、61、62、または63のいずれか1つに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0037】
一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号35(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTMVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号40(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAFSWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号41(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGIANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号42(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPNFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKGAGDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号43(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKFELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号44(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDEWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号45(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTAST)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号46(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKNELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号47(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGVIPFLGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGILKDALDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号48(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQDLEWMGGIIPIVGIANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号49(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGEFKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号50(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGRIIPLFGTAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号51(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGRINPILGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFSIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号52(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGRIIPIFGTADYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号53(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGKFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKCAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号54(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPILGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号55(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPILGAATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号56(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPIVATANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号57(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの重鎖可変領域は、配列番号58(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGPFRSHAVSWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKSELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの軽鎖可変領域は、配列番号59(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPLTFGGGTKVEIK)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの軽鎖可変領域は、配列番号60(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQWISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPLTFGGGTKVEIK)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの軽鎖可変領域は、配列番号61(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQQISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPLTFGGGTKVEIK)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの軽鎖可変領域は、配列番号62(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCFQSYSTPLTFGGGTKVEIK)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、第2のアームの軽鎖可変領域は、配列番号63(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTILTFGGGTKVEIK)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。
【0038】
本明細書に記載の任意の態様の一部の実施形態では、構築物は二重特異性抗体である。一部の実施形態では、二重特異性抗体はPD-1およびPD-1リガンドの両方のアンタゴニストである。一部の実施形態では、構築物は共通の軽鎖を含む。一部の実施形態では、アームの一方または両方はアプタマーである。一部の実施形態では、アームの一方または両方は抗体以外のタンパク質である。一部の実施形態では、構築物は少なくとも2つの二重特異性抗体を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの二重特異性抗体の1つはPD-1について一価である。一部の実施形態では、少なくとも2つの二重特異性抗体の1つはPD-1リガンドについて一価である。一部の実施形態では、アームの少なくとも1つはPD-1に対して特異的な二価抗体である。一部の実施形態では、アームの少なくとも1つはPD-L1に対して特異的な二価抗体である。一部の実施形態では、アームの少なくとも1つはPD-1に対して特異的な二価抗体であり、アームの少なくとも1つはPD-L1に対して特異的な二価抗体である。一部の実施形態では、アームの少なくとも1つはPD-1について二価である。一部の実施形態では、アームの少なくとも1つはPD-L1について二価である。一部の実施形態では、アームの少なくとも1つはPD-1について二価であり、アームの少なくとも1つはPD-L1について二価である。一部の実施形態では、二重特異性抗体はPD-1上の2つの異なるエピトープに結合する。一部の実施形態では、二重特異性抗体はPD-1リガンド上の2つの異なるエピトープに結合する。
【0039】
一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は少なくとも2つの単一特異性抗体を含む。一部の実施形態では、単一特異性抗体の少なくとも1つは抗PD-1抗体である。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は二価の抗PD-1抗体である。一部の実施形態では、単一特異性抗体の少なくとも1つは抗PD-L1抗体である。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は二価の抗PD-L1抗体である。一部の実施形態では、構築物は二価の抗PD-1抗体および二価の抗PD-L1抗体を含む。一部の実施形態では、構築物は、抗PD-1抗体の可変重鎖を含むポリペプチドが抗PD-L1抗体の可変重鎖を含むポリペプチドに融合した融合構築物である。一部の実施形態では、抗PD-1抗体の可変重鎖を含むポリペプチドは、抗PD-L1抗体の可変重鎖を含むポリペプチドにリンカーによって融合している。一部の実施形態では、融合構築物は共通の軽鎖を含む。一部の実施形態では、融合構築物のN末端可変重鎖は共通の軽鎖の存在下でPD-1に結合し、融合構築物のC末端可変重鎖は共通の軽鎖の存在下でPD-L1に結合する。一部の実施形態では、融合構築物のN末端可変重鎖は共通の軽鎖の存在下でPD-L1に結合し、融合構築物のC末端可変重鎖は共通の軽鎖の存在下でPD-1に結合する。
【0040】
一部の態様および実施形態では、本開示は、抗原結合の少なくとも2つの単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の第1の単位がPD-1に結合し、抗原結合の第2の単位がPD-1リガンドに結合する、多重特異性抗原結合性構築物を提供する。一部の実施形態では、抗原結合の第1の単位は、免疫細胞により発現されたPD-1に結合する。一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位は、第2の細胞により発現されたPD-1に結合する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2の相互作用を遮断する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2の相互作用を遮断する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1に結合する抗原結合の少なくとも2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1に結合する抗原結合の2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する抗原結合の少なくとも2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する抗原結合の2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は抗原結合の少なくとも4つの単位を含み、抗原結合の2つの単位はPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位はPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は抗原結合の4つの単位を含み、抗原結合の2つの単位はPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位はPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する。一部の実施形態では、抗原結合の各単位は、そのコグネイト抗原、すなわち、PD-1またはPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に独立して結合することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、細胞からのPD-1発現の喪失を促進する。一部の実施形態では、PD-1発現の喪失はPD-1シェディングに起因する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2の相互作用を遮断する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は共通の軽鎖を含む。例えば、抗原結合の少なくとも2つの単位は共通の軽鎖を含む。
【0041】
一部の実施形態では、抗原結合の第1の単位はPD-1に結合し、
(a)(i)配列番号70(FTFXYAXであり、X=S、R、G、またはNであり、X=D、S、N、A、R、またはGであり、X=MまたはLであり、X=S、L、またはNである)を含むCDRH1、(ii)配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号72(ARGLDFIVGXTGNDYであり、X=A、Y、またはRである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
(b)(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0042】
一部のそのような実施形態では、抗原結合の第1の単位はPD-1に結合し、
(a)配列番号73(FTFSDYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含むCDRH3、
(b)配列番号73(FTFSDYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(c)配列番号76(FTFSSYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(d)配列番号77(FTFSSYAML)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(e)配列番号78(FTFSNYALS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(f)配列番号79(FTFSAYAMN)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(g)配列番号80(FTFRSYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(h)配列番号81(FTFGRYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(i)配列番号82(FTFNSYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(j)配列番号83(FTFSNYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含むCDRH3、
(k)配列番号84(FTFSGYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含むCDRH3、
(l)配列番号86(FTFSSYAMN)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2および配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含むCDRH3、または
(m)配列番号80(FTFRSYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含む、および配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含むCDRH3
を含む。
【0043】
一部の実施形態では、抗原結合の第1の単位はPD-1に結合し、
(a)配列番号87に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(b)配列番号88に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(c)配列番号89に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(d)配列番号90に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(e)配列番号91に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(f)配列番号92に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(g)配列番号93に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(h)配列番号94に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(i)配列番号95に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(j)配列番号96に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(k)配列番号97に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(l)配列番号98に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または
(m)配列番号99に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0044】
一部の実施形態では、抗原結合の第1の単位はPD-1に結合し、配列番号59に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L2に結合する。一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合する。一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合し、
a.(i)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、(ii)配列番号2(GGIIPXGXATYAであり、XはVまたはIであり、XはF、L、またはVであり、XはTまたはAである)を含むCDRH2、および(iii)配列番号3(ARLKXELKDAFDIであり、XはG、F、またはNである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
b.(i)配列番号4(RASQXISSYLNであり、XはS、W、またはQである)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号6(XQSYSTPLTであり、XはQまたはFである)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0045】
一部のそのような実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合し、
(a)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(b)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(c)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(d)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(e)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号12(RASQWISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(f)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号13(RASQQISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(g)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(h)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(i)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(CQQSYSTPLTF)を含むCDRL3、
(j)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含むCDRH3、
(k)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(l)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含むCDRH3、
(m)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(n)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含むCDRH3、
(o)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(p)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含むCDRH3、
(q)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(r)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含むCDRH2、および配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含むCDRH3、
(s)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含むCDRH2、配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(t)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(u)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(v)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(w)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含むCDRH2、配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(x)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含むCDRH2、および配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(y)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含むCDRH2、配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(z)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含むCDRH2、および配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(aa)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含むCDRH2、配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(bb)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号38(FQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(cc)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号39(QQSYSTILT)を含むCDRL3、
(dd)配列番号14(GTFSSYAFS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(ee)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号24(GGIIPIVGIANYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(ff)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号24(GGIIPIVGIANYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(gg)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号25(ARLKGEFKDAFDI)を含むCDRH3、
(hh)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号25(ARLKGEFKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(ii)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号26(GRIIPLFGTAHYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(jj)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号26(GRIIPLFGTAHYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(kk)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号27(GRINPILGTANYA)を含むCDRH2、および配列番号28(ARLKGELKDAFSI)を含むCDRH3、
(ll)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号27(GRINPILGTANYA)を含むCDRH2、および配列番号28(ARLKGELKDAFSI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(mm)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含むCDRH3、
(nn)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含む、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(oo)配列番号36(GPFRSHAVS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号37(ARLKSELKDAFDI)を含むCDRH3、または
(pp)配列番号36(GPFRSHAVS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号37(ARLKSELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3
を含む。
【0046】
一部のそのような実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合し、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58のいずれか1つに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号59、60、61、62、または63のいずれか1つに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むおよび含む。
【0047】
一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合し、
(a)配列番号35に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(b)配列番号40に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(c)配列番号41に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(d)配列番号42に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(e)配列番号43に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(f)配列番号44に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(g)配列番号45に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(h)配列番号46に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(i)配列番号47に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(j)配列番号48に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(k)配列番号49に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(l)配列番号50に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(m)配列番号51に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(n)配列番号52に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(o)配列番号53に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(p)配列番号54に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(q)配列番号55に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(r)配列番号56に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(s)配列番号57に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、または
(t)配列番号58に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列
を含む重鎖可変領域を含む。
【0048】
一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合し、
(a)配列番号59に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(b)配列番号60に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(c)配列番号61に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(d)配列番号62に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、または
(e)配列番号63に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域を含む。
【0049】
一部の態様および実施形態では、抗原結合の4つの単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の2つの単位がPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位がPD-L1に結合し、構築物が、配列番号100または102のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列、および配列番号101または103のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、多重特異性抗原結合性構築物もまた本明細書において提供される。
【0050】
一部の態様および実施形態では、抗原結合の4つの単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の2つの単位がPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位がPD-L1に結合し、構築物が、配列番号100のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列および配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、多重特異性抗原結合性構築物もまた本明細書において提供される。
【0051】
一部の態様および実施形態では、抗原結合の4つの単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の2つの単位がPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位がPD-L1に結合し、構築物が、配列番号102のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列および配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、多重特異性抗原結合性構築物もまた本明細書において提供される。
【0052】
一部の実施形態では、構築物はFcドメインを含まない。一部の実施形態では、第1のアームもしくは第2のアーム、または両方は、1つまたは複数の免疫グロブリンFc改変を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、重鎖の免疫グロブリンFcドメインは、第1および第2のアームのヘテロ二量体化を促進する1つまたは複数のアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異は重鎖のCH3ドメイン中に存在する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はクアドローマ細胞中で製造される。一部の実施形態では、構築物は1つまたは複数の免疫グロブリン定常領域改変を含む。一部の実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、抗体のヘテロ二量体化を促進する1つまたは複数のアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の突然変異は1つのアームの軽鎖定常領域中に存在し、1つまたは複数の突然変異は別のアームの重鎖定常領域中に存在する。一部の実施形態では、二重特異性抗体は、二重特異性IgG、二重特異性抗体断片、二重特異性融合タンパク質、付加型IgG(appended IgG)、および二重特異性抗体コンジュゲートからなる群から選択されるフォーマットのものである。一部の実施形態では、Fc領域は低減したエフェクター機能を有する。一部の実施形態では、Fc領域は構築物の半減期を増進する。
【0053】
一部の実施形態では、構築物は、配列番号100または102のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、構築物は、配列番号101または103のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、構築物は、配列番号100のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列を含み、構築物は、配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、構築物は、配列番号102のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列を含み、構築物は、配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0054】
一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は非グリコシル化されている。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はヒトPD-1に結合することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はマウスPD-1に結合することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はカニクイザルPD-1に結合することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、ヒト、マウスおよびカニクイザルPD-1に類似した親和性で結合することができる。
【0055】
一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は細胞上のPD-1レベルを低減することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1分解を誘導することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1発現を低減することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1細胞表面発現を低減することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、細胞表面からのPD-1のシェディングを誘導することによりPD-1細胞表面発現を低減することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-L1の両方に結合し、細胞上のPD-1レベルを低減することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-L1の両方に結合し、PD-1分解を誘導することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-L1の両方に結合し、PD-1発現を低減することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は免疫細胞からのPD-1のシェディングを誘導することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-L1の両方に結合し、免疫細胞からのPD-1シェディングを誘導することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-L1がCD80に結合できないように、PD-L1を隔離することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-L1がCD80に結合できないように、PD-L1を隔離することができ、CD80はCD28に自由に結合する。一部の実施形態では、細胞は免疫細胞、例えば、T細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞(例えば、T細胞)は腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)である。一部の実施形態では、腫瘍微環境中の免疫細胞により発現されたPD-1への本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子のエンゲージメントは、免疫細胞によるPD-1の下方調節を結果としてもたらす。一部の実施形態では、免疫細胞はT細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞(例えば、T細胞)は腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)である。
【0056】
一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は、参照抗原結合性構築物(例えば、ペムブロリズマブもしくはアテゾリズマブ)または抗原結合性構築物の参照組合せ(例えば、多重特異性抗原結合性構築物のPD-1およびPD-L1アームを含む組成物であって、組成物中のPD-1およびPD-L1アームが互いに対してコンジュゲート化していない、組成物)と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%高いインターフェロン-ガンマレベル(例えば、Staphylococcus aureusエンテロトキシンA(「SEA」)アッセイにおいて測定されるようなインターフェロン-ガンマレベル)を誘導することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、参照抗原結合性構築物(例えば、ペムブロリズマブもしくはアテゾリズマブ)または抗原結合性構築物の参照組合せ(例えば、多重特異性抗原結合性構築物のPD-1およびPD-L1アームを含む組成物であって、組成物中のPD-1およびPD-L1アームが互いに対してコンジュゲート化していない、組成物)と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%高いインターロイキン-2レベル(例えば、SEAアッセイにおいて測定されるようなインターロイキン-2レベル)を誘導することができる。
【0057】
一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、参照抗原結合性構築物(例えば、ペムブロリズマブもしくはアテゾリズマブ)または抗原結合性構築物の参照組合せ(例えば、多重特異性抗原結合性構築物のPD-1およびPD-L1アームを含む組成物であって、組成物中のPD-1およびPD-L1アームが互いに対してコンジュゲート化していない、組成物)と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、200%、300%、400%、または500%高い腫瘍細胞(例えば、白血病細胞、リンパ腫細胞、黒色腫、または乳がん細胞)の殺傷を誘導する。
【0058】
一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、参照抗原結合性構築物(例えば、ペムブロリズマブもしくはアテゾリズマブ)または抗原結合性構築物の参照組合せ(例えば、多重特異性抗原結合性構築物のPD-1およびPD-L1アームを含む組成物であって、組成物中のPD-1およびPD-L1アームが互いに対してコンジュゲート化していない、組成物)を投与された対象よりも少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、100%、200%、300%、400%、または500%長く、がん(例えば、白血病、リンパ腫、黒色腫、および/または乳がん)を患う対象の生存を延長させることができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、非処理の免疫細胞と比較してまたは参照抗原結合性構築物(例えば、ペムブロリズマブもしくはアテゾリズマブ)もしくは抗原結合性構築物の参照組合せ(例えば、多重特異性抗原結合性構築物のPD-1およびPD-L1アームを含む組成物であって、組成物中のPD-1およびPD-L1アームが互いに対してコンジュゲート化していない、組成物)を用いて処理された免疫細胞と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、100%、200%、300%、400%、または500%高い免疫細胞からのPD-1のシェディングを誘導することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、非処理の免疫細胞または参照抗原結合性構築物(例えば、ペムブロリズマブもしくはアテゾリズマブ)もしくは抗原結合性構築物の参照組合せ(例えば、多重特異性抗原結合性構築物のPD-1およびPD-L1アームを含む組成物であって、組成物中のPD-1およびPD-L1アームが互いに対してコンジュゲート化していない、組成物)を用いて処理された免疫細胞と比較して、(例えば、細胞表面からのPD-1シェディングを引き起こすことおよび/またはPD-1分解を誘導することおよび/またはPD-1発現を低減することにより)少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、100%、200%、300%、400%、または500%、PD-1レベルを低減することができる。
【0059】
一部の実施形態では、細胞により発現されたPD-1への本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子のエンゲージメントは、細胞によるPD-1の細胞表面発現の下方調節および/または喪失を結果としてもたらす。細胞表面発現のそのような下方調節または喪失は、例えば、免疫細胞の表面からの細胞外PD-1のシェディングに部分的に起因することができる。一部の実施形態では、細胞は免疫細胞、例えば、T細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞(例えば、T細胞)は腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)である。一部の実施形態では、腫瘍微環境中の免疫細胞により発現されたPD-1への本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子のエンゲージメントは、免疫細胞によるPD-1の下方調節を結果としてもたらす。一部の実施形態では、免疫細胞はT細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞(例えば、T細胞)は腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)である。
【0060】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象において増殖性障害を治療する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物を投与し、それにより、対象において増殖性障害を治療する工程を含む、方法を提供する。一部の実施形態では、増殖性障害はがんである。一部の実施形態では、がんは、血液がん、神経学的がん、黒色腫、乳がん、肺がん、頭頸部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器がん、骨がん、および血管がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において免疫応答を増進する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物を投与し、それにより、対象において免疫応答を増進する工程を含む、方法を提供する。一部の実施形態では、増進した免疫応答は、増進したT細胞機能、増進したNK細胞機能、または増進したマクロファージ機能のいずれか1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、T細胞機能の増進は、PD-1もしくはPD-1リガンドのいずれかに結合する剤、またはPD-1に結合する剤およびPD-1リガンドに結合する剤を含むカクテルと比較して、多重特異性抗原結合性構築物の投与でより大きい。一部の実施形態では、T細胞機能は、T細胞からの増加したIFNγ産生、増進したT細胞生存、増加したT細胞増殖、または疲弊T細胞表現型からのレスキューのいずれか1つまたは複数である。一部の実施形態では、増進したT細胞機能は、PD-1もしくはPD-1リガンドのいずれかに結合する剤、またはPD-1に結合する剤およびPD-1リガンドに結合する剤を含むカクテルと比較して、多重特異性抗原結合性構築物の投与でより大きい。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、経口的、筋肉内または頭蓋内に投与される。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、対象中の同じ細胞の表面上に発現されたPD-1およびPD-L1に結合する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、対象中の第1の細胞の表面上に発現されたPD-1に結合し、多重特異性抗原結合性構築物は、対象中の第2の細胞の表面上に発現されたPD-L1に結合する。
【0061】
一部の実施形態では、本開示は、抗PD1抗体またはその抗原結合性断片であって、(a)(i)配列番号70(FTFXYAXであり、X=S、R、G、またはNであり、X=D、S、N、A、R、またはGであり、X=MまたはLであり、X=S、L、またはNである)を含むCDRH1、(ii)配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号72(ARGLDFIVGXTGNDYであり、X=A、Y、またはRである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに(b)(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、抗PD1抗体またはその抗原結合性断片を提供する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体または抗原結合性断片は、(a)(i)配列番号73、76、77、78、79、80、81、82、83、84、または86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRH1、(ii)配列番号71のアミノ酸配列を含むCDRH2、および(iii)配列番号74、75、または85のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに(b)(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号59のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。
【0062】
一部の実施形態では、本開示は、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片であって、a.(i)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、(ii)配列番号2(GGIIPXGXATYAであり、XはVまたはIであり、XはF、L、またはVであり、XはTまたはAである)を含むCDRH2、および(iii)配列番号3(ARLKXELKDAFDIであり、XはG、F、またはNである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにb.(i)配列番号4(RASQXISSYLNであり、XはS、W、またはQである)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号6(XQSYSTPLTであり、XはQまたはFである)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片を提供する。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体または抗原結合性断片は、(a)(i)配列番号1、14、23、36、または122のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRH1、(ii)配列番号11、15、16、21、24、26、27、29、31、33、または34のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRH2、および(iii)配列番号8、17、18、19、20、22、25、28、30、32、または37のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに(b)(i)配列番号9、12、または13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRL1、(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDRL2、および(iii)配列番号10、38または39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、または35のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号59、60、61、62、または63のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。
【0063】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において増殖性障害を治療する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に開示される任意の抗体または抗原結合性構築物を投与し、それにより、対象において増殖性障害を治療する工程を含む、方法を提供する。一部の実施形態では、増殖性障害はがんである。一部の実施形態では、がんは、血液がん、神経学的がん、黒色腫、乳がん、肺がん、頭頸部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器がん、骨がん、および血管がんからなる群から選択される。
【0064】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において免疫応答を増進する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に開示される任意の抗体または抗原結合性構築物を投与し、それにより、対象において免疫応答を増進する工程を含む、方法を提供する。
【0065】
一部の実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子との接触の前および/または後に1つもしくは複数の細胞(またはTILなどの細胞の集団)によるPD-1発現の存在または非存在を検出する工程を伴うことができる。例えば、本明細書に記載の任意の方法は、対象(例えば、がん患者)への本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子の投与の前および/または後に1つもしくは複数の細胞(またはTILなどの細胞の集団)によるPD-1発現の存在または非存在を検出する工程を伴うことができる。そのような方法は、例えば、所与の患者または患者集団の治療において使用するための分子の治療有効量の決定で、有用である。発現の存在、低減、および/またはPD-1発現の非存在を検出する方法は当業者に公知であり、例えば、フローサイトメトリー、ウエスタンブロッティング、ELISAなどが使用される。
【0066】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子との接触の前および/または後に1つもしくは複数の細胞(またはTILなどの細胞の集団)によるPD-1発現のレベルを測定する工程を含む方法を特徴とする。一部の実施形態では、方法は、対象(例えば、がん患者)への本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子の投与の前および/または後に1つもしくは複数の細胞(またはTILなどの細胞の集団)によるPD-1発現のレベルを測定する工程を含む。
【0067】
さらに別の態様では、本開示は、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子との接触の前および/または後に1つもしくは複数の細胞(またはTILなどの細胞の集団)によるPD-1発現のレベルを測定する工程を含む方法を特徴とする。例えば、本明細書に記載の任意の方法は、対象(例えば、がん患者)への本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子の投与の前および/または後に1つもしくは複数の細胞(またはTILなどの細胞の集団)によるPD-1発現のレベルを測定する工程を伴うことができる。そのような方法は、他のものの中でも、対象に対する本明細書に記載の分子の生物学的効果を検出または測定するために有用である。一部の実施形態では、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子を用いた治療後の免疫細胞(例えば、患者から単離されたTIL)によるPD-1発現のレベルの低減は、分子が対象において生物学的効果を有したことを指し示す。一部の実施形態では、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子を用いた治療後の免疫細胞(例えば、患者から単離されたTIL)によるPD-1発現のレベルの低減は、患者は分子の1つまたは複数の用量を与えられるか、またはさもなければ分子を含む療法を継続すべきであることを指し示す。
【0068】
さらに別の態様では、本開示は、生物学的効果が本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子を用いて治療された患者または患者の集団において起こったかどうかを決定する方法を特徴とする。方法は、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子を投与された1または複数の患者から得られた1つまたは複数の試験免疫細胞(例えば、エフェクター免疫細胞、例えば、腫瘍微環境中のエフェクター免疫細胞)によるPD-1発現の存在または量を検出する工程を含み、対照発現レベル(例えば、分子の投与前の試験免疫細胞と同じ組織学的種類の免疫細胞によるPD-1の発現レベル)と比べた1つまたは複数の免疫細胞によるPD-1のPD-1発現(例えば、細胞表面発現)の低減したレベルは、生物学的効果が患者または患者の集団において起こったことを指し示す。一部の実施形態では、方法は、検出の前に多重特異性抗原結合性分子を投与する工程を含む。一部の実施形態では、方法は、生物学的効果の出現が決定された患者または患者の集団に対して多重特異性抗原結合性分子を投与する工程を含む。一部の実施形態では、対照PD-1発現レベルはおおよそ、がんを有すると診断されていない対象の集団における同じ組織学的種類の免疫細胞によるPD-1のメジアンまたは平均発現レベルである。一部の実施形態では、対照PD-1発現レベルはおおよそ、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子および/またはPD-1に結合しかつ/もしくはそれを阻害する剤を投与されていない対象の集団における同じ組織学的種類の免疫細胞によるPD-1のメジアンまたは平均発現レベルである。
【0069】
さらに別の態様では、本開示は、対象(例えば、がん患者)において1つまたは複数の免疫細胞によるPD-1の発現を低減する方法であって、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子を対象に投与し、それにより、対象における1つまたは複数の免疫細胞によるPD-1の発現を低減する工程を含む、方法を特徴とする。一部の実施形態では、方法は、患者において1つまたは複数の免疫細胞によるPD-1発現の低減が起こったかどうかを決定する工程を含む。一部の実施形態では、方法は、(例えば、対象への分子の投与後に)1つまたは複数の免疫細胞を含む生物学的試料(例えば、腫瘍生検)を対象から得る工程を含む。一部の実施形態では、方法は、生物学的試料中の1つまたは複数の免疫細胞によるPD-1発現のレベルを測定する工程を含む。
【0070】
さらに別の態様では、本開示は、対象(例えば、がん患者)においてPD-L1およびCD80の間の結合を阻害する方法であって、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性分子を対象に投与し、それにより、対象においてPD-L1およびCD80の間の結合を阻害する工程を含む、方法を特徴とする。
【0071】
特許または出願書類は、少なくとも1つのカラー図面を含有する。カラー図面を有するこの特許または特許出願公開公報のコピーは、必要な料金の納付と共に請求により庁により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】キイトルーダ(KEYTRUDA)単独と比較した場合の、ペムブロリズマブ×アテゾリズマブ二重特異物、ニボルマブ×アテゾリズマブ二重特異物、キイトルーダおよびアテゾリズマブのカクテル、ならびにニボルマブおよびアテゾリズマブのカクテルを含む様々な抗体カクテルまたは二重特異性抗体を用いて処理された混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおけるインターフェロン-ガンマ(IFNγ)の誘導を示す。結果は、指し示されるような試験された抗体の最終濃度でのpg/mLとしてのIFNγの濃度を示す。
図2】キイトルーダ単独と比較した場合の、ペムブロリズマブ×ニボルマブ二重特異物、アテゾリズマブ×アテゾリズマブ四価融合物、ニボルマブ、およびアテゾリズマブを含む様々なモノクローナルおよび二重特異性抗体を用いて処理された混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおけるインターフェロン-ガンマ(IFNγ)の誘導を示す。結果は、指し示されるような試験された抗体の最終濃度でのpg/mLとしてのIFNγの濃度を示す。
図3】ペムブロリズマブ×アテゾリズマブ二重特異物についての図式およびアミノ酸配列を示す。ペムブロリズマブ_アグリコ(aglyco)-IgG1-(G4S)重鎖(H鎖;配列番号104)および軽鎖(L鎖;配列番号105)ならびにアテゾリズマブ_FabH-(G4S)重鎖(H鎖;配列番号106)および軽鎖(L鎖;配列番号107)について別々の配列を与えている。
図4】ニボルマブ×アテゾリズマブ二重特異物についての図式およびアミノ酸配列を示す。ニボルマブアグリコ-IgG1-(GS)重鎖(H鎖;配列番号108)および軽鎖(L鎖;配列番号109)ならびにアテゾリズマブFabH-(GS)重鎖(H鎖;配列番号106)および軽鎖(L鎖;配列番号107)について別々の配列を与えている。
図5】949アグリコ-IgG1×アテゾリズマブ二重特異物についての図式およびアミノ酸配列を示す。949_アグリコ-IgG1-(GS)重鎖(H鎖;配列番号110)および軽鎖(L鎖;配列番号111)ならびにアテゾリズマブ_FabH-(G4S)重鎖(H鎖;配列番号106)および軽鎖(L鎖;配列番号107)について別々の配列を与えている。
図6】アテゾリズマブ×ニボルマブ二重特異物についての図式およびアミノ酸配列を示す。アテゾリズマブ_アグリコ-IgG1-(G4S)重鎖(H鎖;配列番号112)および軽鎖(L鎖;配列番号107)ならびにニボルマブ_HC Fab-(G4S)重鎖(H鎖;配列番号113)および軽鎖(L鎖;配列番号109)について別々の配列を与えている。
図7】様々な濃度において試験された抗体の関数としての混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおけるpg/mLでのIFN-γ放出を示す(右パネル)。これらの結果は、多重特異性フォーマットの二重特異性抗体PD-1×PD-L1(ペムブロリズマブ×アテゾリズマブ)または(ニボルマブ×アテゾリズマブ)は、ペムブロリズマブおよびアテゾリズマブまたはニボルマブおよびアテゾリズマブのカクテルと比較して、フェムトモル濃度においてより大きいIFN-γ応答を誘導することを指し示す。mAb前駆体に対する二重特異性フォーマットのサイズ排除クロマトグラフィーを示す(左パネル)。
図8】相乗作用を実証する多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を同定するためのワークフローの例を示す。プロセスは、様々な濃度におけるpg/mLでのIFN-γ放出を測定する混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおけるチェックポイント遮断剤の組合せのバイアスなしのスクリーニングを含む。図示したワークフローの第2の工程において、共通軽鎖二重特異物を生成してそれらの有効性をさらに試験し、ここで、様々な二重特異性フォーマットを描写している。同定された二重特異性フォーマットは、T細胞活性化アッセイにおいて公知のPD-1遮断剤を凌いだ。
図9A】二重特異物3は、アイソタイプ対照抗体およびキイトルーダの両方と比較して、抗原非特異的T細胞アッセイにおいてCD3/CD28拡大増殖T細胞によるK562-CD32-PDL1標的細胞のより高い殺傷(図9A)および増加したIFNγ産生(図9B)を誘導したことを示す。二重特異物3によるこの増加した殺傷は、0.01nMの低濃度においてさえ見られた。
図9B】二重特異物3は、アイソタイプ対照抗体およびキイトルーダの両方と比較して、抗原非特異的T細胞アッセイにおいてCD3/CD28拡大増殖T細胞によるK562-CD32-PDL1標的細胞のより高い殺傷(図9A)および増加したIFNγ産生(図9B)を誘導したことを示す。二重特異物3によるこの増加した殺傷は、0.01nMの低濃度においてさえ見られた。
図10A】腫瘍細胞殺傷に対する二重特異物3の効果を示す。図10Aは、キイトルーダおよびmAb1とmAb28との組合せの両方と比較して、二重特異物3は、0.001~0.01nMの低濃度においてCMV特異的T細胞によるK562-A2-CMV-PDL1腫瘍抗原標的細胞の特異的殺傷を増加させたことを示し、二重特異物3を使用してより低い用量において標的細胞の抗原特異的殺傷を媒介できることを指し示した。
図10B】腫瘍細胞殺傷に対する二重特異物3の効果を示す。図10Bは、二重特異物3は、0.001nMの低濃度においてCMV特異的T細胞によるRaji-A2-CMV-PDL1細胞腫瘍抗原標的細胞の特異的殺傷においてキイトルーダまたはmAb1とmAb28との組合せのいずれかよりも有効であったことを示し、再び、二重特異物3を使用してより低い用量において標的細胞の抗原特異的殺傷を媒介できることを指し示した。
図11】二重特異物3は、SEA刺激アッセイにおいて全ての試験した用量においてキイトルーダよりも多くのIL-2を誘導したことを示す。重要なことに、二重特異物3は、キイトルーダならびにmAb1およびmAb28の両方と比較して、抗体のより低い濃度で開始してIL-2産生の増加を誘導した。
図12A】二重特異物3は、PD-1の内部移行およびその後の分解または発現の喪失を引き起こす特有の能力を有すること、ならびにこの特性は分子のアームを標的化するPD-1およびPD-L1の両方のエンゲージメントに依存することを実証する。図12A~12Bは、アイソタイプ対照、キイトルーダ、mAb1およびmAb28、アテゾリズマブ、またはアテゾリズマブおよびキイトルーダと比較した場合に、二重特異物3のみがPD-1の内部移行およびその後の分解または発現の喪失を結果としてもたらすことを実証する。
図12B】二重特異物3は、PD-1の内部移行およびその後の分解または発現の喪失を引き起こす特有の能力を有すること、ならびにこの特性は分子のアームを標的化するPD-1およびPD-L1の両方のエンゲージメントに依存することを実証する。図12A~12Bは、アイソタイプ対照、キイトルーダ、mAb1およびmAb28、アテゾリズマブ、またはアテゾリズマブおよびキイトルーダと比較した場合に、二重特異物3のみがPD-1の内部移行およびその後の分解または発現の喪失を結果としてもたらすことを実証する。
図12C】二重特異物3は、PD-1の内部移行およびその後の分解または発現の喪失を引き起こす特有の能力を有すること、ならびにこの特性は分子のアームを標的化するPD-1およびPD-L1の両方のエンゲージメントに依存することを実証する。追加的に、図12Cに示されるように、二重特異物3を加える5分前に抗PD-L1抗体、mAb1を50nMでウェルに加えた場合、PD-1内部移行を推進する二重特異物3の能力は喪失した。これは、二重特異物3の両方のアームはPD-1の発現の喪失および/または内部移行および/または分解を推進するためにエンゲージメントされるべきであることを示唆する。
図12D】二重特異物3は、PD-1の内部移行およびその後の分解または発現の喪失を引き起こす特有の能力を有すること、ならびにこの特性は分子のアームを標的化するPD-1およびPD-L1の両方のエンゲージメントに依存することを実証する。図12Dは、二重特異物の両方の結合性アームを同時にエンゲージメントさせた場合に、二重特異物3を用いた処理は上清中のPD-1の量を増加させることを示す。PD-L1標的化アームをmAb1により遮断した場合に、この効果は喪失される。これは、二重特異物3は上清へのPD-1のシェディングを増加させることを示唆する。
図12E】二重特異物3は、PD-1の内部移行およびその後の分解または発現の喪失を引き起こす特有の能力を有すること、ならびにこの特性は分子のアームを標的化するPD-1およびPD-L1の両方のエンゲージメントに依存することを実証する。図12Eは、結合性アームの価数はPD-1発現の喪失の程度に影響を及ぼすことを実証する。mAb1のVHおよびVL配列に基づくPD-L1に結合する第1のN末端Fabを有し、mAb28のVHおよびVL配列に基づくPD-1に結合する第2のN末端Fabを有する二重特異物5を作製した。換言すれば、PD-L1に結合する二価アームおよびPD-1に結合する二価アームを有する二重特異物3と比較して、二重特異物5は、PD-L1に結合する1つの一価アームおよびPD-1に結合する1つの一価アームを有する。示されるように、PD-1発現の喪失は、二重特異物3(四価)に比して二重特異物5(二価)のより高い用量において起こり始め、二重特異物3の増加した価数がこの差異の原因となることを示唆する。
図12F】二重特異物3は、PD-1の内部移行およびその後の分解または発現の喪失を引き起こす特有の能力を有すること、ならびにこの特性は分子のアームを標的化するPD-1およびPD-L1の両方のエンゲージメントに依存することを実証する。図12Fは、細胞の形質膜からタンパク質を切断する原因となるシェダーゼまたはプロテアーゼである、複数のMMPおよびADAMの広域阻害剤、バチマスタットを用いた前処理は、細胞関連PD-1喪失の量を大きく低減することを実証し、PD-1の喪失またはシェディングはMMPまたはADAMプロテアーゼによる切断に起因することを示唆する。
図12G】二重特異物3は、PD-1の内部移行およびその後の分解または発現の喪失を引き起こす特有の能力を有すること、ならびにこの特性は分子のアームを標的化するPD-1およびPD-L1の両方のエンゲージメントに依存することを実証する。図12Gは、二重特異物3は、主に、トランス配置にある、すなわち、異なる細胞により発現されているPD-1およびPD-L1にそれが結合する場合に、細胞表面PD-1発現の喪失を推進することを示唆する。
図13A】二重特異物3を使用したin vivoの結果を示す。図13Aは実験プロトコールの図式を描写する。
図13B】二重特異物3を使用したin vivoの結果を示す。図13Bは、二重特異物3群ならびに組合せmAb1およびmAb28群の両方は、アイソタイプ群およびキイトルーダ群の両方と比較して腫瘍成長における有意な遅延を有したことを実証する。追加的に、24日目において、二重特異物3群およびmAb1とmAb28との組合せを用いて処置された群の間に有意な相違があり、二重特異物3は、組合せと比較して腫瘍成長におけるより大きい遅延を引き起こした。無T細胞移入群は、T細胞を含有する任意の群よりも激しく成長する腫瘍を有した。このモデルにおいて、キイトルーダは、アイソタイプ対照と比較してKACP腫瘍成長の遅延において利益を与えなかった。
図14A】K562-A2-CMV-PD-L1腫瘍マウスモデルにおける二重特異物3を使用したin vivoの結果を示す。図14Aおよび図14Bは、異なる処置群のそれぞれは非処置マウスと比較して平均腫瘍成長における遅延を結果としてもたらしたが、T細胞および二重特異物3を用いた処置は、経時的な平均腫瘍成長における最も大きい遅延を結果としてもたらしたことを図示するグラフである。無T細胞移入群は、T細胞を含有する任意の群よりも激しく成長する腫瘍を有した。このモデルにおいて、キイトルーダは、アイソタイプ対照と比較してK562-A2-CMV-PD-L1腫瘍成長の遅延において利益を与えなかった。
図14B】K562-A2-CMV-PD-L1腫瘍マウスモデルにおける二重特異物3を使用したin vivoの結果を示す。図14Aおよび図14Bは、異なる処置群のそれぞれは非処置マウスと比較して平均腫瘍成長における遅延を結果としてもたらしたが、T細胞および二重特異物3を用いた処置は、経時的な平均腫瘍成長における最も大きい遅延を結果としてもたらしたことを図示するグラフである。無T細胞移入群は、T細胞を含有する任意の群よりも激しく成長する腫瘍を有した。このモデルにおいて、キイトルーダは、アイソタイプ対照と比較してK562-A2-CMV-PD-L1腫瘍成長の遅延において利益を与えなかった。
図15A】いくつかの同系腫瘍モデルにおける二重特異物3を使用したin vivoの結果を図示する。図15Aは、二重特異物3を用いたEMT-6同系腫瘍モデルの処置は、対照処置と比較して腫瘍成長におけるより大きい遅延を結果としてもたらしたことを示すグラフである。
図15B】いくつかの同系腫瘍モデルにおける二重特異物3を使用したin vivoの結果を図示する。図15Bは、二重特異物3を用いたMB49同系腫瘍モデルの処置は、対照処置と比較して腫瘍成長におけるより大きい遅延を結果としてもたらしたことを示すグラフである。
図16A】ヒト化PD-1/PD-L1トランスジェニックマウスにおけるMC38-hPD-L1モデルにおいて二重特異物1を使用したin vivoの結果を示す。図16Aは、キイトルーダおよび二重特異物1の処置の両方は、対照処置マウスと比較してMC38-hPD-L1腫瘍マウスにおける腫瘍成長を有効に制御したことを示す。
図16B】ヒト化PD-1/PD-L1トランスジェニックマウスにおけるMC38-hPD-L1モデルにおいて二重特異物1を使用したin vivoの結果を示す。図16Bは生存グラフであり、二重特異物1は、対照処置マウスと比較してMC38-PD-L1腫瘍マウスの生存を増加させたことを図示する。
図17A】B16F10-hPD-L1モデルにおける二重特異物3を使用したin vivoの結果を図示する。図17Aは、B16F10-HuPD-L1マウスにおいて15日のカットオフにおいて測定された腫瘍成長に対する異なる処置の効果をそれぞれ示す一連のグラフである。マウスの異なる群(n=8)を二重特異物3、キイトルーダ、アベルマブ、キイトルーダ+アベルマブの組合せ、またはアイソタイプ対照抗体を用いて処置した。図17Aは、各群についての個々の腫瘍体積トレースを示す。腫瘍サイジングカットオフの前に死亡した複数のマウスにおいて転移が同定された。
図17B】B16F10-hPD-L1モデルにおける二重特異物3を使用したin vivoの結果を図示する。図17Bは、処置群間の平均腫瘍体積の差異を示し、腫瘍細胞接種後15日までに、二重特異物3処置は、B16F10-HuPD-L1マウスにおいて試験されたいずれの他の処置よりも有意に長く平均腫瘍成長を遅延させたことを実証する。****、P<0.0001;**、P<0.01、*、P<0.05、二元配置ANOVAおよびチューキーの多重比較検定。図17Bは、B16F10-HuPD-L1マウスにおいて15日のカットオフにおいて測定された腫瘍体積に対する異なる処置の効果を比較したグラフである。腫瘍サイジングカットオフの前に死亡した複数のマウスにおいて転移が同定された。図17Bに示されるように、二重特異物3処置は、B16F10-hPD-L1マウスにおいて試験されたいずれの他の処置よりも有意に長く平均腫瘍成長を遅延させた。
図17C】B16F10-hPD-L1モデルにおける二重特異物3を使用したin vivoの結果を図示する。図17Cは生存グラフであり、二重特異物3を用いた処置は、試験された他の処置のいずれかを用いた生存と比較してB16F10-hPD-L1腫瘍マウスの生存を増加させたことを図示する。
図17D】B16F10-hPD-L1モデルにおける二重特異物3を使用したin vivoの結果を図示する。図17Dは、腫瘍細胞接種後21日目までに、二重特異物3処置は、B16F10-hPD-L1マウスにおいてキイトルーダを用いた処置より有意に良好に平均腫瘍成長を遅延させ続けたことを示す。
図17E】B16F10-hPD-L1モデルにおける二重特異物3を使用したin vivoの結果を図示する。図17Eは生存グラフであり、二重特異物3を用いた処置は、試験された他の処置のいずれかを用いた生存と比較してB16F10-HuPD-L1腫瘍マウスの生存を増加させたことを図示する。
図17F】B16F10-hPD-L1モデルにおける二重特異物3を使用したin vivoの結果を図示する。図17Fは、異なる処置群のそれぞれについての無腫瘍マウスの数を示す表を提供する。二重特異物3を用いて処置された群は、無腫瘍である3匹のマウスを有したが、キイトルーダとアベルマブとの組合せは、無腫瘍である1匹のマウスを有した。
図18A】二重特異物3は、良好に挙動するモノクローナル抗体に類似した薬物様特性(DLP)を有し、親PD-1およびPD-L1結合を維持することを実証する。図18Aは、二重特異物3は、ヒトPD-1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb28と類似した結合(上)、およびヒトPD-L1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb1と類似した結合(下)を示すことを示す。
図18B】二重特異物3は、良好に挙動するモノクローナル抗体に類似した薬物様特性(DLP)を有し、親PD-1およびPD-L1結合を維持することを実証する。図18Bは、二重特異物3は、カニクイザルPD-1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb28と類似した結合(上)、およびカニクイザルPD-L1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb1と類似した結合(下)を示すことを示す。
図18C】二重特異物3は、良好に挙動するモノクローナル抗体に類似した薬物様特性(DLP)を有し、親PD-1およびPD-L1結合を維持することを実証する。図18Cは、二重特異物3は、マウスPD-1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb28と類似した結合(上)、およびマウスPD-L1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb1と類似した結合(下)を示すことを示す。
図18D】二重特異物3は、良好に挙動するモノクローナル抗体に類似した薬物様特性(DLP)を有し、親PD-1およびPD-L1結合を維持することを実証する。図18Dは、98%より高い純度を有する単一のピークを実証するプロテインAクロマトグラフィー後の二重特異物3のサイズ排除クロマトグラフィートレース(上)、および分子が高い熱安定性を有することを実証する二重特異物3の示差走査蛍光定量法(DSF)トレース(下)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
他に定義されなければ、本明細書において使用される全ての技術用語、表記および他の科学用語は、本開示が関わる技術分野の当業者により一般的に理解される意味を有することが意図される。一部の場合には、一般的に理解される意味を有する用語が、明確性のためおよび/または即時の参照のために本明細書において定義され、本明細書においてそのような定義を含めたことは、当該技術分野において一般に理解されるものに対する差異を表すと必ずしも解釈されるべきではない。本明細書において記載または参照される技術および手順は一般によく理解されており、当業者により従来の方法論、例えば、サムブルックら(Sambrook et al.), Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd ed. (1989) コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor
Laboratory Press)[米国ニューヨーク州所在]に記載の広く利用される分子クローニング方法論などを使用して一般的に用いられる。適切な場合、商業的に入手可能なキットおよび試薬の使用を伴う手順は、他に記されなければ、生産者により定義されたプロトコールおよび/またはパラメーターに従って一般に実行される。
【0074】
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他に指し示さなければ、複数の指示対象を含む。
明細書および特許請求の範囲において、「約」という用語は、例えば、本開示の実施形態の記載において用いられる、組成物中の原料成分の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流速、圧力、および同様の値、ならびにこれらの範囲を修飾するために使用される。「約」という用語は、例えば、化合物、組成物、濃縮物または使用製剤の作製のために使用される典型的な測定および取扱い手順を通じて;これらの手順における意図しない誤差を通じて;方法を実行するために使用される出発材料または原料成分の生産、供給源、または純度における差異、および同様の近似の考慮を通じて起こり得る数量における変動を指す。「約」という用語はまた、具体的な初期濃度または混合物を有する製剤のエイジングに起因して異なる量、および具体的な初期濃度または混合物を有する製剤の混合またはプロセシングに起因して異なる量を包含する。「約」という用語により修飾された場合、本明細書に添付される特許請求の範囲は、これらの量の均等を含む。使用される文脈を考慮して当業者にとって明確でない該用語の使用がある場合、「約」は、具体的な値のプラスまたはマイナス10%までを意味する。
【0075】
抗原結合性タンパク質/領域/アームの標的分子への結合に関して、「特異的結合」、「特異的に結合する」、「特異的」、「選択的に結合する」、および「選択的」などの用語は、具体的な抗原(例えば、ポリペプチド標的)または具体的な抗原上のエピトープに関する場合、非特異的または非選択的な相互作用とは測定できる程度に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、対照分子の結合と比較して分子の結合を決定することにより測定することができる。特異的結合はまた、過剰な非標識化標的などの、標的に類似した対照分子との競合により決定することができる。その場合、特異的結合は、標識化標的のプローブへの結合が過剰な非標識化標的により競合的に阻害される場合に指し示される。
【0076】
「エピトープ」という用語は、抗原結合性タンパク質への特異的結合が可能な抗原の成分を意味する。エピトープは、頻繁に、表面に接近可能なアミノ酸残基および/または糖側鎖からなり、特定の三次元構造的特徴の他に、特定の電荷的特徴を有することができる。コンホメーショナルおよび非コンホメーショナルエピトープは、後者への結合はそうではないが、前者への結合は変性溶剤の存在下で失われるという点で区別される。エピトープは、結合に直接的に関与するアミノ酸残基、および結合に直接的に関与しない他のアミノ酸残基を含むことができる。抗原結合性タンパク質が結合するエピトープは、例えば、異なる点突然変異を有する抗原変種への抗原結合性タンパク質の結合についての試験などのエピトープ決定のための公知の技術を使用して決定することができる。
【0077】
ポリペプチド配列および参照配列の間の「同一性」パーセントは、配列をアライメントし、必要な場合にはギャップを導入して最大の配列同一性パーセントを達成した後の、参照配列中のアミノ酸残基と同一のポリペプチド配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、MEGALIGN(DNASTAR)、CLUSTALW、またはCLUSTAL OMEGAソフトウェアなどの公開されているコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の技術的範囲内にある様々なやり方で達成することができる。一部の実施形態では、アライメントは、CLUSTAL OMEGAソフトウェアを使用して行われる。当業者は、比較されている配列の全長にわたり最大のアライメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアライメントするための適切なパラメーターを決定することができる。
【0078】
「することができる」という用語は、本明細書において使用される場合、剤または方法(例えば、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物または方法)が、(当業者により理解されるような)適切な文脈において指定された特性を達成する能力を有することを意味するが、任意の具体的な時点においてその特性と関連付けられることは必要とされない。例えば、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1および/またはPD-L1を発現する細胞に投与された場合にPD-1および/またはPD-L1に結合することができてもよいが、構築物は、PD-1またはPD-L1タンパク質を欠いている組成物中にある場合にPD-1および/またはPD-L1に結合することは期待されない。
【0079】
「保存的置換」または「保存的アミノ酸置換」は、1つまたは複数の化学的または機能的に類似したアミノ酸を用いた1つまたは複数のアミノ酸の置換を指す。類似したアミノ酸を提供する保存的置換の表は当該技術分野において周知である。そのような置換を有するポリペプチド配列は、「保存的に改変されたバリアント」、または「バリアント」として公知である。そのような保存的に改変されたバリアントは、追加的に、除外することなく、多型バリアント、種間ホモログ、およびアレルである。保存的置換の一部の例は、例えば、クライトン(Creighton), Proteins: Structures and Molecular Properties 2nd ed. (1993) ダブル、エイチ、フリーマン、アンドシーオー(W. H. Freeman & Co.)[米国ニューヨーク州ニューヨーク(New York)所在]に見出すことができる。
【0080】
本明細書に開示されるポリペプチドは、天然に存在しないアミノ酸配列を含むことができる。そのようなバリアントは、出発分子と100%未満の配列同一性または類似性を必然的に有する。ある特定の実施形態では、バリアントは、例えば、バリアント分子の長さにわたり、出発(例えば、天然に存在するまたは野生型)ポリペプチドのアミノ酸配列と約75%から100%未満まで、より好ましくは約80%から100%未満まで、より好ましくは約85%から100%未満まで、より好ましくは約90%から100%未満まで(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)、最も好ましくは約95%から100%未満までのアミノ酸配列同一性または類似性のアミノ酸配列を有する。
【0081】
「抗体」は、本明細書において使用される場合、インタクトな抗体(例えば、インタクトな免疫グロブリン)および抗体部分、例えば、抗原結合性部分を指すことができる。抗原結合性部分は少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。抗原結合性ドメインの1つの例は、V-V二量体により形成される抗原結合性ドメインである。抗体および抗原結合性部分は、それらが特異的に結合する抗原により記載することができる。例えば、PD-L1抗体、または抗PD-L1抗体は、PD-L1に特異的に結合する抗体である。
【0082】
およびV領域は、より保存された領域が散在した超可変性の領域(相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変領域(HVR))にさらに分割することができる。より保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。各VおよびVは、一般に、以下の順序(N末端からC末端へ):FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4で並べられた3つのCDRおよび4つのFRを含む。CDRは、抗原結合に関与し、抗体に対して抗原特異性および結合親和性を付与する。(カバットら(Kabat et al.)(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest 5th ed.,米国国立衛生研究所公衆衛生局(Public Health Service, National Institutes of Health)[米国メリーランド州ベセスダ(Bethesda)所在]を参照。)
CDRは、抗原結合に関与し、抗体に対して抗原特異性および結合親和性を付与する。重鎖および軽鎖の可変ドメインのそれぞれにおいて3つのCDRがあり、これらは可変ドメインのそれぞれについてCDR1、CDR2およびCDR3と呼称される。「CDRセット」という用語は、本明細書において使用される場合、標的抗原に結合することができる単一の重鎖または軽鎖可変ドメイン中に起こる3つのCDRの群を指す。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに従って異なって定義されている。3つの重鎖CDRは、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3と称することができ、3つの軽鎖CDRは、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3と称することができる。
【0083】
「カバットに従って番号付けされた」、「カバット番号付け」、「カバットの定義」、および「カバットの標識化」とも称されるカバットにより記載されたシステムは、抗体の任意の可変ドメインに対して応用可能な明瞭な残基番号付けシステムを提供し、各鎖の3つのCDRを定義する精密な残基境界を提供する。(カバットら(Kabat et al.),Sequences of Proteins of Immunological Interest,米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)[米国メリーランド州ベセスダ(Bethesda)所在](1987)および(1991);その内容の全体を参照により援用する)。これらのCDRはカバットCDRと称され、おおよそ軽鎖可変ドメイン中の残基24~34(CDR1)、50~56(CDR2)および89~97(CDR3)、ならびに重鎖可変ドメイン中の31~35(CDR1)、50~65(CDR2)および95~102(CDR3)を含む。CDRがカバットに従って定義される場合、軽鎖FR残基はおおよそ残基1~23(LCFR1)、35~49(LCFR2)、57~88(LCFR3)、および98~107(LCFR4)に位置し、重鎖FR残基は、重鎖残基中のおおよそ残基1~30(HCFR1)、36~49(HCFR2)、66~94(HCFR3)、および103~113(HCFR4)に位置する。「カバットにおけるようなEUインデックス」はヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。
【0084】
他のCDR番号付けシステムもまた当該技術分野において使用される(例えば、表Aを参照)。コチア(Chothia)および共同研究者らは、カバットCDR内のある特定の下位部分は、アミノ酸配列のレベルにおいて大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格コンホメーションをとることを見出した。(コチアら(Chothia et al.)(1987) J. Mol. Biol. 196:901-917;およびコチアら(Chothia et al.)(1989) Nature 342:877-883)。これらの下位部分は、L1、L2、およびL3またはH1、H2、およびH3として指定され、「L」および「H」はそれぞれ軽鎖および重鎖領域を指定する。これらのCDRは、「コチアCDR」、「コチア番号付け」、または「コチアに従って番号付けされた」と称されることがあり、おおよそ軽鎖可変ドメイン中の残基24~34(CDR1)、50~56(CDR2)および89~97(CDR3)、ならびに重鎖可変ドメイン中の26~32(CDR1)、50~56または52~56(CDR2)、および95~102(CDR3)を含む。Mol. Biol. 196:901-917(1987)。
【0085】
「マッカラムに従って番号付けされた」、または「マッカラム番号付け」とも称される、マッカラム(MacCallum)により記載されたシステムは、おおよそ軽鎖可変ドメイン中の残基30~36(CDR1)、46~55(CDR2)および89~96(CDR3)、ならびに重鎖可変ドメイン中の30~35(CDR1)、47~58(CDR2)および93~101(CDR3)を含む。マッカラムら(MacCallum et
al.)((1996)J. Mol. Biol. 262(5):732-745)。
【0086】
「AbMに従った番号付け」、または「AbM番号付け」とも称される、AbMにより記載されたシステムは、おおよそ軽鎖可変ドメイン中の残基24~34(CDR1)、50~56(CDR2)および89~97(CDR3)、ならびに重鎖可変ドメイン中の26~35(CDR1)、50~58(CDR2)および95~102(CDR3)を含む。
【0087】
可変領域のIMGT(インターナショナル・イミュノジェネティクス・インフォメーション・システム(INTERNATIONAL IMMUNOGENETICS INFORMATION SYSTEM))番号付けもまた使用することができ、これは、ルフラン、エム、ピー(Lefranc, M.-P.)「免疫グロブリン、T細胞受容体およびIg様ドメインに対するIMGT特有の番号付け(The IMGT unique
numbering for immunoglobulins, T cell Receptors and Ig-like domains)」,Immunologist,7,132-136(1999)(全体を参照により本願明細書に明示的に援用する)に記載されるようなIMGTの方法に従った免疫グロブリン可変重鎖または軽鎖中の残基の番号付けである。本明細書において使用される場合、「IMGT配列番号付け」または「IMTGに従って番号付けされた」は、IMGTに従った可変領域をコードする配列の番号付けを指す。重鎖可変ドメインについて、IMGTに従って番号付けされた場合、超可変領域は、CDR1についてアミノ酸位置27~38、CDR2についてアミノ酸位置56~65、およびCDR3についてアミノ酸位置105~117に及ぶ。軽鎖可変ドメインについて、IMGTに従って番号付けされた場合、超可変領域は、CDR1についてアミノ酸位置27~38、CDR2についてアミノ酸位置56~65、およびCDR3についてアミノ酸位置105~117に及ぶ。
【0088】
本明細書に記載の構築物および抗原結合アームの一部の実施形態では、本明細書に記載のCDRは、コチア番号付けに従って番号付けされた場合、おおよそ軽鎖可変ドメイン中の残基24~34(CDR1)、49~56(CDR2)および89~97(CDR3)、ならびに重鎖可変ドメイン中の27~35(CDR1)、49~60(CDR2)および93~102(CDR3)を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変ドメイン中のCDR2は、コチア番号付けに従って番号付けされた場合、アミノ酸49~56を含むことができる。
【0089】
【表1】
【0090】
好ましい方法および材料が本明細書に記載されるが、本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料もまた、本開示の方法および組成物の実施または試験において使用することができる。本明細書において述べられる全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献を本願明細書に援用する。
【0091】
本発明の様々な態様が以下においてさらに詳細に記載される。追加の定義は本明細書の全体を通じて述べられる。
免疫系は、腫瘍細胞を認識および排除する能力を有するが、腫瘍は、免疫から逃避する複数の戦略を使用することができる。阻害免疫チェックポイント分子は様々な抗腫瘍阻害機構を通じてがんの進行を促進することを最近の研究は示している。免疫チェックポイントの遮断は、治療的な抗腫瘍免疫を活性化または再活性化させるアプローチの1つである。様々なリガンドが多数のコグネイト阻害免疫チェックポイント受容体のために記載されてきた。例えば、ナイア(Nair)&エルコード(Elkord), Immunology & Cell Biology (2018), 96:21-33;およびジェンキンスら(Jenkins et al.), British J. of Cancer (2017), 118:9-16に総説されている。
【0092】
プログラム死1(PD-1)タンパク質は、T細胞調節因子の拡張CD28/CTLA-4ファミリーの阻害メンバーである(オカザキら(Okazaki et al.)(2002) Curr Opin Immunol 14: 391779-82;ベネットら(Bennett et al.)(2003) J. Immunol. 170:711-8)。CD28ファミリーの他のメンバーとしては、CD28、CTLA-4、ICOSおよびBTLAが挙げられる。PD-1は単量体として存在し、他のCD28ファミリーメンバーに特徴的な対合していないシステイン残基を欠いていることが示唆されている。PD-1は、活性化B細胞、T細胞、および単球上に発現される。
【0093】
PD-1遺伝子は55kDaのI型膜貫通タンパク質をコードする(アガタら(Agata et al.)(1996) Int Immunol. 8:765-72)。CTLA-4に構造的に類似しているが、PD-1は、B7-1およびB7-2結合のために重要なMYPPYモチーフを欠いている。PD-1の2つのリガンド、PD-L1(B7-H1)およびPD-L2(B7-DC)が同定されており、これらは、PD-1に結合するとT細胞活性化を下方調節することが示されている(フリーマンら(Freeman et al.)(2000) J. Exp. Med. 192:1027-34;カーターら(Carter et al.)(2002) Eur. J. Immunol. 32:634-43)。PD-L1およびPD-L2の両方は、PD-1に結合するが他のCD28ファミリーメンバーに結合しないB7ホモログである。PD-L1は、様々なヒトがん中に豊富に存在する(ドングら(Dong et al.)(2002) Nat. Med. 8:787-9)。
【0094】
PD-1は、TCRシグナルを負に調節する免疫阻害タンパク質として公知である(イシダ、ワイら(Ishida, Y. et al.)(1992) EMBO J. 11:3887-3895;ブランク、シーら(Blank, C. et al.)(Epub 2006 Dec. 29) Immunol. Immunother. 56(5):739-745)。PD-1およびPD-L1の間の相互作用は免疫チェックポイントとして作用することができ、これは、例えば、腫瘍浸潤性リンパ球の減少、T細胞受容体媒介性の増殖の減少、および/またはがん性細胞による免疫逃避に繋がることができる(ドングら(Dong et al.)(2003) J. Mol. Med. 81:281-7;ブランクら(Blank et al.)(2005) Cancer Immunol. Immunother. 54:307-314;コニシら(Konishi et al.)(2004) Clin. Cancer Res.
10:5094-100)。免疫抑制は、PD-L1またはPD-L2とのPD-1の局所的な相互作用を阻害することにより逆転させることができ、PD-L2とのPD-1の相互作用も遮断した場合に効果は相加的である(イワイら(Iwai et al.)(2002) Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 99:12293-7;ブラウンら(Brown et al.)(2003) J. Immunol. 170:1257-66)。
【0095】
分化クラスター274(CD274)またはB7ホモログ1(B7-H1)としても公知のPD-L1は、妊娠、組織同種グラフト、自己免疫疾患、および肝炎などの他の疾患状態などの具体的な事象の間の免疫系の抑制において役割を果たす40kDaの1型膜貫通タンパク質である。例として、ヒトPD-L1は配列番号115のアミノ酸配列(UniProt Q9NZQ7)を含む。通常、免疫系は、抗原特異的なCD8+ T細胞および/またはCD4+ヘルパー細胞の増殖のトリガーとなる外因性または内因性の危険シグナルと関連付けられる外来抗原に反応する。がんにおいて、がん細胞上に発現されたPD-L1は、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞上のそのリガンドPD-1に結合する。PD-1へのPD-L1の結合は、リンパ節において抗原特異的T細胞の増殖を低減する阻害シグナルを伝達すると同時に、制御性T細胞(抗炎症性、抑制性T細胞)においてアポトーシスを低減する。PD-1/PD-L1相互作用はまた、腫瘍特異的T細胞のアポトーシスを誘導し、Foxp3制御性T細胞へのCD4 T細胞の分化を促進し、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)攻撃に対する腫瘍細胞の抵抗性を促進し、そのため腫瘍が宿主免疫系から逃避することを可能とする。
【0096】
本開示は、PD-1ならびにそのリガンド(例えば、PD-L1および/またはPD-L2)の間の相互作用の結果としてもたらされる免疫チェックポイント抑制を低減することにより腫瘍逃避を阻害するための組成物および方法に関する。特に、PD-1ならびにそのリガンド(例えば、PD-1および/またはPD-L2)が発現された細胞の相互作用(ブリッジ形成)を促進しながらPD-1およびそのリガンドの間の相互作用を遮断する、二重特異性および四価構築物などの新規の多重特異性および多価構築物を含む組成物が本明細書において提供される。「遮断およびブリッジ形成」の能力を有する本開示のそのような組成物は、in vitroおよびin vivoでの増加した効力を有し、例えば、T細胞増殖、IFNγの産生および/もしくは分泌、T細胞の細胞溶解活性、ならびに/または機能的な疲弊からのT細胞のレスキューを強く増進して、個々の抗体の組合せと比較した場合の他に、臨床的なチェックポイント遮断剤と比較して、優位な抗腫瘍有効性(例えば、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞の数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、および/または腫瘍細胞生存の減少が挙げられるがそれに限定されない様々な手段により顕在化し得る生物学的効果)を提供する。そのような多重特異性および多価構築物において使用するための、新規のモノクローナル抗PD-1抗体およびその抗原結合性断片、ならびに新規のモノクローナル抗PD-L1抗体およびその抗原結合性断片もまた本明細書において提供される。これらの新規のモノクローナル抗PD-1抗体および新規のモノクローナル抗PD-L1抗体の一部は共通の軽鎖を共有し、それにより、優れた薬物様特性および生産可能性の他に、それらの親抗体に類似した親和性を有する多重特異性および多価構築物の生成を可能とする。
【0097】
よって、本開示は、抗原結合の少なくとも2つの抗原結合性アームまたは単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の第1のアームまたは単位が、免疫細胞により発現されたPD-1に結合し、抗原結合の第2のアームまたは単位が、第2の細胞により発現された1つまたは複数のPD-1リガンド(例えば、PD-L1および/またはPD-L2)に結合する、多重特異性抗原結合性構築物を提供する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1およびそのリガンドの相互作用を遮断する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1およびそのリガンドが発現された細胞をブリッジさせて、PD-1を発現する免疫細胞の相互作用および/または有効性を促進する。一部の実施形態では、抗原結合性アームの少なくとも1つはPD-1について二価である。一部の実施形態では、抗原結合性アームの少なくとも1つはPD-L1について二価である。一部の実施形態では、抗原結合性アームの少なくとも1つはPD-1について二価であり、抗原結合性アームの少なくとも1つはPD-L1について二価である。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1に結合する抗原結合の少なくとも2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1に結合する抗原結合の2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する抗原結合の少なくとも2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する抗原結合の2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は抗原結合の少なくとも4つの単位を含み、抗原結合の2つの単位はPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位はPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は抗原結合の4つの単位を含み、抗原結合の2つの単位はPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位はPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する。本明細書に記載の任意の態様の一部の実施形態では、構築物は二重特異性抗体である。一部の実施形態では、二重特異性抗体はPD-1およびPD-1リガンドの両方のアンタゴニストである。一部の実施形態では、構築物は共通の軽鎖を含む。一部の実施形態では、抗原結合性アームの一方または両方はアプタマーである。一部の実施形態では、抗原結合性アームの一方または両方は抗体以外のタンパク質である。一部の実施形態では、構築物は少なくとも2つの抗体を含む。一部の実施形態では、抗原結合性アームの少なくとも1つはPD-1に対して特異的な二価抗体である。一部の実施形態では、抗原結合性アームの少なくとも1つはPD-L1に対して特異的な二価抗体である。一部の実施形態では、抗原結合性アームの少なくとも1つはPD-1に対して特異的な二価抗体であり、抗原結合性アームの少なくとも1つはPD-L1に対して特異的な二価抗体であり、それにより構築物は四価である。一部の実施形態では、二重特異性抗体はPD-1上の2つの異なるエピトープに結合する。一部の実施形態では、二重特異性抗体はPD-1リガンド上の2つの異なるエピトープに結合する。一部の態様では、PD-L1またはPD-1に特異的に結合する新規の単離された抗体およびその抗原結合性部分もまた本明細書において提供される。一部の実施形態では、PD-L1またはPD-1に特異的に結合するこれらの新規の単離された抗体ならびにその抗原結合性部分、例えば、CDR、可変重鎖、および/または可変軽鎖は、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物の抗原結合の1つまたは複数のアームまたは単位において使用され得る。
【0098】
よって、本明細書に記載されるように、開示される多重特異性抗原結合性構築物は、二重特異性、三重特異性、四重特異性、または多重特異性抗体またはその抗原結合性部分を含む。記載される多重特異性構築物は、少なくとも1つの、好ましくは両方の、抗原結合性アームについて好ましくは二価であり、すなわち、二重特異性および三価、または二重特異性および四価分子である。本明細書に記載の多重特異性構築物は、様々な態様および実施形態では、1つまたは複数の抗体および/またはその抗原結合性部分を含むことができる。例えば、抗原結合性アームは、PD-1に対する所与の抗体および/またはPD-L1に対する所与の抗体の、可変重鎖および/または可変軽鎖、またはその相補性決定領域(CDR)を含むことができる。よって、本明細書に記載の任意の態様の一部の実施形態では、第1の抗原結合性アーム、第2の抗原結合性アーム、抗原結合の第1の単位、結合の第2の単位、またはその任意の組合せは、抗体またはその抗原結合性部分を含むことができる。本明細書に記載の任意の態様の一部の実施形態では、第1の抗原結合性アーム、第2の抗原結合性アーム、抗原結合の第1の単位、結合の第2の単位、またはその任意の組合せは、抗体またはその抗原結合性部分である。
【0099】
A.PD-L1アンタゴニスト
一部の態様および実施形態では、本開示は抗PD-L1アンタゴニストを提供する。一部の実施形態では、抗PD-L1アンタゴニストは、本明細書に開示される任意の抗PD-L1抗体または抗原結合性分子である。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体または抗原結合性分子は、多重特異性抗原結合性構築物の一部分ではなく、すなわち、抗PD-L1抗体または抗原結合性分子は、複数のエピトープに結合するタンパク質構築物の一部分ではない。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体または抗原結合性部分を異なる抗体または抗原結合性部分と組み合わせて、多重特異性抗原結合性構築物を形成させることができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-L1上のエピトープおよび別のタンパク質上のエピトープに結合することができる。一部の実施形態では、他のタンパク質上のエピトープはPD-1上にある。
【0100】
よって、一部の態様では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分が本明細書において提供される。一部の態様では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分は、(a)(i)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、(ii)配列番号2(GGIIPXGXATYAであり、XはVまたはIであり、XはF、L、またはVであり、XはTまたはAである)を含むCDRH2、および(iii)配列番号3(ARLKXELKDAFDIであり、XはG、F、またはNである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに(b)(i)配列番号4(RASQXISSYLNであり、XはS、W、またはQである)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号6(XQSYSTPLTであり、XはQまたはFである)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0101】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb1である。
【0102】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号12(RASQWISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb2である。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号13(RASQQISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb3である。
【0103】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb4である。別のそのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb24である。
【0104】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号14(GTFSSYAFS)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号14(GTFSSYAFS)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb5である。
【0105】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb6である。
【0106】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、配列番号1(GTFSSYAIN)、CDRH2は配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb7である。
【0107】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb8である。
【0108】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb9である。
【0109】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb10である。
【0110】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含み、CDRH3は配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含み、CDRH3は配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb11である。
【0111】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号24(GGIIPIVGIANYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号24(GGIIPIVGIANYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb12である。
【0112】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号25(ARLKGEFKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号25(ARLKGEFKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb13である。
【0113】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号26(GRIIPLFGTAHYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号26(GRIIPLFGTAHYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb14である。
【0114】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号27(GRINPILGTANYA)を含み、CDRH3は配列番号28(ARLKGELKDAFSI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号27(GRINPILGTANYA)を含み、CDRH3は配列番号28(ARLKGELKDAFSI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb15である。
【0115】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb16である。
【0116】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。
【0117】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号122(GTKSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号122(GTKSSYAIS)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb17である。
【0118】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb18である。
【0119】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含み、CDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含み、CDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb19である。
【0120】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含み、CDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含み、CDRH3は配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb20である。
【0121】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号36(GPFRSHAVS)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号37(ARLKSELKDAFDI)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号36(GPFRSHAVS)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号37(ARLKSELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb21である。
【0122】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号38(FQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb22である。
【0123】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号39(QQSYSTILT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb23である。
【0124】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、CDRH2は配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、CDRH3は配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb24である。
【0125】
各場合において、特定の配列が言及される場合、言及される配列(例えば、配列番号1~34および36~39)に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)を有する配列を含む実施形態もまた提供される。
【0126】
本開示はまた、一部の態様では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58に対して少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号59、60、61、62、または63に対して少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0127】
本開示はまた、一部の態様では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58に対して少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号59に対して少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0128】
本開示はまた、一部の態様では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号35に対して少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号59、60、61、62、または63に対して少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0129】
抗体mAb1~mAb23は、実施例に記載されるように、親抗体mAb24に由来する親和性成熟抗体である。親和性成熟抗体またはその抗原結合性部分は、(例えば、1つまたは複数のCDRまたはFR中の)1つまたは複数の変更を欠いた親抗体と比較して、その抗原に対する抗体の親和性における向上を結果としてもたらす該変更を有する抗体または抗原結合性断片である。一部の実施形態では、親和性成熟抗体は、PD-L1に対してナノモル濃度またはピコモル濃度の親和性を有する。一部の実施形態では、PD-L1抗体またはその抗原結合性部分は、少なくとも1×10-7M、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、少なくとも1×10-12M、または少なくとも1×10-13MのKを有する。
【0130】
表1は、ヒトPD-L1に対するmAb1、mAb2、mAb3、mAb4、mAb5、mAb6、mAb7、mAb8、mAb9、mAb10、mAb11、mAb12、mAb13、mAb14、mAb15、mAb16、mAb17、mAb18、mAb19、mAb20、mAb21、mAb22、およびmAb23(すなわち、mAb24の親和性成熟バリアント)の結合親和性(K)を示す。用語Kは、本明細書において使用される場合、具体的な抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指す。K=k/k。用語k(秒-1)は、本明細書において使用される場合、具体的な抗体-抗原相互作用の解離速度定数を指す。値はkoff値とも称される。用語k(M-1×秒-1)は、本明細書において使用される場合、具体的な抗体-抗原相互作用の会合速度定数を指す。値はkon値とも称される。
【0131】
【表2】
【0132】
表2は、ヒトPD-L1(「huPDL1」)、カニクイザルPD-L1、またはマウスPD-L1(「muPDL1」)に対するmAb1、mAb2、mAb3、mAb4、mAb5、mAb6、mAb7、mAb8、mAb9、mAb10、mAb11、mAb12、mAb13、mAb14、mAb15、mAb16、mAb17、mAb18、mAb19、mAb20、mAb21、mAb22、およびmAb23(すなわち、mAb24の親和性成熟バリアント)についての細胞結合データを提供する。ヒトまたはカニクイザルPD-L1をHEK細胞上に発現させ、マウスPD-L1をA20細胞上に発現させた。結合はEC50値として表現され、これは、目的の抗原を外因的に発現する細胞上の異なる濃度のmAbを滴定することから推定することができる。蛍光タグ付加二次物(secondaries)を使用してmAb結合を検出および定量化することができる。表2に示されるデータをGRAPHPAD中のビルトイン機能を使用して1:1結合モデルにフィッティングしてEC50値を得た。
【0133】
【表3】
【0134】
本開示はまた、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58のいずれか1つに対して少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号59、60、61、62、または63のいずれか1つに対して少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58のいずれか1つから15アミノ酸もしくはそれ未満、14アミノ酸もしくはそれ未満、13アミノ酸もしくはそれ未満、12アミノ酸もしくはそれ未満、11アミノ酸もしくはそれ未満、10アミノ酸もしくはそれ未満、9アミノ酸もしくはそれ未満、8アミノ酸もしくはそれ未満、7アミノ酸もしくはそれ未満、6アミノ酸もしくはそれ未満、5アミノ酸もしくはそれ未満、4アミノ酸もしくはそれ未満、3アミノ酸もしくはそれ未満、2アミノ酸もしくはそれ未満、または1アミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号59、60、61、62、または63のいずれか1つから15アミノ酸もしくはそれ未満、14アミノ酸もしくはそれ未満、13アミノ酸もしくはそれ未満、12アミノ酸もしくはそれ未満、11アミノ酸もしくはそれ未満、10アミノ酸もしくはそれ未満、9アミノ酸もしくはそれ未満、8アミノ酸もしくはそれ未満、7アミノ酸もしくはそれ未満、6アミノ酸もしくはそれ未満、5アミノ酸もしくはそれ未満、4アミノ酸もしくはそれ未満、3アミノ酸もしくはそれ未満、2アミノ酸もしくはそれ未満、または1アミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む。表3および表4は、配列番号35および40~58の重鎖可変配列、および配列番号59~63の軽鎖可変配列の配列をそれぞれ提供する。
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59、60、61、62、または63の軽鎖可変領域のいずれかの軽鎖CDRを含む、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0138】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59、60、61、62、または63の軽鎖可変領域のいずれかの軽鎖CDRを含み、重鎖および軽鎖CDR残基がカバット(Kabat)に従って番号付けされたものである、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0139】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59、60、61、62、または63の軽鎖可変領域のいずれかの軽鎖CDRを含み、重鎖および軽鎖CDR残基がコチア(Chothia)に従って番号付けされたものである、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0140】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59、60、61、62、または63の軽鎖可変領域のいずれかの軽鎖CDRを含み、重鎖および軽鎖CDR残基がマッカラム(MacCallum)に従って番号付けされたものである、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0141】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59、60、61、62、または63の軽鎖可変領域のいずれかの軽鎖CDRを含み、重鎖および軽鎖CDR残基がAbMに従って番号付けされたものである、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0142】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59、60、61、62、または63の軽鎖可変領域のいずれかの軽鎖CDRを含み、重鎖および軽鎖CDR残基がIMGTに従って番号付けされたものである、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0143】
B.PD-1アンタゴニスト
一部の態様および実施形態では、本開示は抗PD-1アンタゴニストを提供する。一部の実施形態では、抗PD-1アンタゴニストは、本明細書に開示される任意の抗PD-1抗体または抗原結合性分子である。一部の実施形態では、抗PD-1抗体または抗原結合性分子は多重特異性抗原結合性構築物の一部分ではなく、すなわち、抗PD-1抗体または抗原結合性分子は、複数のエピトープに結合するタンパク質構築物の一部分ではない。一部の実施形態では、抗PD-1抗体または抗原結合性部分を異なる抗体または抗原結合性部分と組み合わせて、多重特異性抗原結合性構築物を形成させることができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1上のエピトープおよび別のタンパク質上のエピトープに結合することができる。一部の実施形態では、他のタンパク質上のエピトープはPD-L1上にある。
【0144】
一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物はPD-1アンタゴニストを含む。一部の実施形態では、PD-1アンタゴニストは「阻害受容体」である。本明細書において使用される場合、「阻害受容体」は、コグネイトリガンドにより結合された場合に免疫応答の抑制または阻害を引き起こす免疫チェックポイント分子を一般に差し、例えば、腫瘍逃避を増進することが公知のものである。しかしながら、一部の事例では、本明細書において使用される場合、「阻害受容体」はPD-1を特に指す。
【0145】
PD-1は、アミノ酸(S/I/V/L)xYxx(I/V/L)(xは任意のアミノ酸である)の保存された配列を含む「免疫受容体チロシン阻害モチーフ」または「ITIM」を含有する免疫チェックポイント阻害受容体である。PD-1活性が阻害されたかどうかをアッセイする方法は当該技術分野において公知であり、当業者により容易に設計され得る。そのようなアッセイは、例えば、in vitroまたはin vivoでPD-1の任意の下流のシグナル伝達経路の効果を試験する工程を含む。PD-1がそのリガンドと相互作用した後に、ITIMモチーフは酵素、例えばSrcキナーゼファミリーの酵素によりリン酸化されて、他の酵素、例えば、ホスホチロシンホスファターゼSHP-1およびSHP-2、またはSHIPと呼ばれるイノシトール-ホスファターゼをリクルートすることが可能となる。これらのホスファターゼは、細胞シグナル伝達に関与する分子の活性化を減少させることが示されている。例えば、バロウ(Barrow)およびトロウスデール(Trowsdale)(2006) Eur J Immunol. 36(7): 1646-53を参照。そのため、当該技術分野において公知の方法を使用してPD-1内のITIMモチーフのリン酸化状態をアセスメントすることができる。また、ホスホチロシンホスファターゼなどの下流の因子の存在もまた調べることができる。さらに、PD-1活性状態の代理として下流の因子(例えば、PD-1阻害の度合としての活性化T細胞核因子-NFAT)の存在を検出する様々な細胞ベースのアッセイおよびキットが当該技術分野において公知である。他の例では、単純な結合アッセイを使用して、上記に議論されるように、本開示の構築物が結合性PD-1およびそのリガンドを遮断できるかどうかを決定することができる。
【0146】
よって、一部の態様では、PD-1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分が本明細書において提供される。一部の態様では、PD-1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分は、(a)(i)配列番号70(FTFXYAXであり、X=S、R、G、またはNであり、X=D、S、N、A、R、またはGであり、X=MまたはLであり、X=S、L、またはNである)を含むCDRH1、(ii)配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号72(ARGLDFIVGXTGNDYであり、X=A、Y、またはRである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに(b)(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0147】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号73(FTFSDYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号73(FTFSDYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb25である。
【0148】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号73(FTFSDYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号73(FTFSDYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb26である。
【0149】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号76(FTFSSYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号76(FTFSSYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb27である。
【0150】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号77(FTFSSYAML)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号77(FTFSSYAML)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb28である。
【0151】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号78(FTFSNYALS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号78(FTFSNYALS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb29である。
【0152】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号79(FTFSAYAMN)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号79(FTFSAYAMN)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb30である。
【0153】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号80(FTFRSYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号80(FTFRSYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb31である。
【0154】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号81(FTFGRYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号81(FTFGRYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb32である。
【0155】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号82(FTFNSYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号82(FTFNSYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb33である。
【0156】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号83(FTFSNYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号83(FTFSNYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb34である。
【0157】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号84(FTFSGYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号84(FTFSGYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb35である。
【0158】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号86(FTFSSYAMN)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号86(FTFSSYAMN)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb36である。
【0159】
これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号80(FTFRSYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含む。これらの態様および本明細書に記載の全てのそのような態様の一部の実施形態では、CDRH1は配列番号80(FTFRSYAMS)を含み、CDRH2は配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、CDRH3は配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含み、CDRL1は配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、CDRL2は配列番号5(AASSLQS)を含み、CDRL3は配列番号10(QQSYSTPLT)を含む。そのような重鎖および軽鎖可変CDR領域を有する代表的な抗体はmAb37である。
【0160】
各場合において、特定の配列が言及される場合、言及される配列(例えば、配列番号5、9、10、または71~86)に対して少なくとも85%の同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)を有する配列を含む実施形態もまた提供される。
【0161】
本開示はまた、一部の態様では、PD-1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号87~99のいずれか1つに対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号59に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号90に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号59に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む。表7は配列番号87~99の重鎖可変配列、表4は配列番号59の軽鎖可変配列の配列をそれぞれ提供する。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号87~99のいずれか1つから15アミノ酸もしくはそれ未満、14アミノ酸もしくはそれ未満、13アミノ酸もしくはそれ未満、12アミノ酸もしくはそれ未満、11アミノ酸もしくはそれ未満、10アミノ酸もしくはそれ未満、9アミノ酸もしくはそれ未満、8アミノ酸もしくはそれ未満、7アミノ酸もしくはそれ未満、6アミノ酸もしくはそれ未満、5アミノ酸もしくはそれ未満、4アミノ酸もしくはそれ未満、3アミノ酸もしくはそれ未満、2アミノ酸もしくはそれ未満、または1アミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号59から15アミノ酸もしくはそれ未満、14アミノ酸もしくはそれ未満、13アミノ酸もしくはそれ未満、12アミノ酸もしくはそれ未満、11アミノ酸もしくはそれ未満、10アミノ酸もしくはそれ未満、9アミノ酸もしくはそれ未満、8アミノ酸もしくはそれ未満、7アミノ酸もしくはそれ未満、6アミノ酸もしくはそれ未満、5アミノ酸もしくはそれ未満、4アミノ酸もしくはそれ未満、3アミノ酸もしくはそれ未満、2アミノ酸もしくはそれ未満、または1アミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む。
【0162】
抗体mAb26~mAb37は、実施例に記載されるように、親抗体mAb25に由来する親和性成熟抗体である。親和性成熟抗体またはその抗原結合性部分は、(例えば、1つまたは複数のCDRまたはFR中の)1つまたは複数の変更を欠いた親抗体と比較して、その抗原に対する抗体の親和性における向上を結果としてもたらす該変更を有する抗体または抗原結合性断片である。一部の実施形態では、親和性成熟抗体は、PD-1に対してナノモル濃度またはピコモル濃度の親和性を有する。一部の実施形態では、PD-1抗体またはその抗原結合性部分は、少なくとも1×10-7M、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、少なくとも1×10-12M、または少なくとも1×10-13MのKを有する。
【0163】
表5および表6は、ヒトPD-1(「huPD-1」)、カニクイザルPD-1(「cyPD-1」)、またはマウスPD-1(「muPD-1」)に対するmAb25、mAb26、mAb27、mAb28、mAb29、mAb30、mAb31、mAb32、mAb33、mAb34、mAb35、mAb36、およびmAb37(すなわち、mAb25の親和性成熟バリアント)についての細胞結合データを提供する。ヒト、カニクイザル、またはマウスPD-1をCHO細胞上に発現させた。結合はEC50値として表現され、これは、目的の抗原を外因的に発現する細胞上の異なる濃度のmAbを滴定することから推定することができる。蛍光タグ付加二次物を使用してmAb結合を検出および定量化することができる。表5に示されるデータをGRAPHPAD中のビルトイン機能を使用して1:1結合モデルにフィッティングしてEC50値を得た。
【0164】
【表6】
【0165】
【表7】
【0166】
【表8】
【0167】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含む、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0168】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含み、重鎖および軽鎖CDR残基がカバットに従って番号付けされたものである、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0169】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含み、重鎖および軽鎖CDR残基がコチアに従って番号付けされたものである、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0170】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含み、重鎖および軽鎖CDR残基がマッカラムに従って番号付けされたものである、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0171】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含み、重鎖および軽鎖CDR残基がAbMに従って番号付けされたものである、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0172】
本開示はまた、一部の実施形態では、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99の重鎖可変領域のいずれかの重鎖CDR、および配列番号59の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含み、重鎖および軽鎖CDR残基がIMGTに従って番号付けされたものである、抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0173】
C.多重特異性抗原結合性構築物
本開示は、一部の態様では、PD-L1およびPD-1の間の相互作用、例えば、腫瘍細胞上に発現されたPD-L1およびT細胞上に発現されたPD-1の相互作用を阻害することにより腫瘍細胞に対する免疫応答を増進するための組成物および方法を提供する。PD-L1またはPD-1に特異的または選択的に結合する抗体またはその抗原結合性部分が提供される。本明細書において使用される場合、PD-L1もしくはPD-1、またはPD-L1もしくはPD-1上のエピトープに対して「特異的に結合する」、「特異的」、「選択的に結合する」および「選択的」という用語は、非特異的または非選択的な相互作用とは測定できる程度に異なる結合を意味する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性部分は、ヒトPD-L1もしくはPD-1および/またはマウスPD-L1もしくはPD-1に特異的に結合する。特異的結合は、例えば、対照分子の結合と比較して分子の結合を決定することにより測定することができる。特異的結合はまた、過剰な非標識化標的などの、標的に類似した対照分子との競合により決定することができる。その場合、特異的結合は、標識化標的のプローブへの結合が過剰な非標識化標的により競合的に阻害される場合に指し示される。
【0174】
一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は少なくとも2つの異なる受容体またはエピトープ(例えば、PD-1およびPD-L1)に結合し、多重特異性抗原結合性構築物により結合される2つの異なる受容体またはエピトープは同じ細胞の表面上に発現されている。例えば、一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-L1に同時に結合し、PD-1およびPD-L1は同じ細胞の表面上に発現されている。一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は少なくとも2つの異なる受容体またはエピトープ(例えば、PD-1およびPD-L1)に結合し、多重特異性抗原結合性構築物により結合される2つの異なる受容体またはエピトープは2つの異なる細胞の表面上に発現されている。例えば、一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、第1の細胞の表面上に発現されたPD-1および第2の細胞の表面上に発現されたPD-L1に同時に結合する。
【0175】
一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はヒトPD-1に結合することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はマウスPD-1に結合することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はカニクイザルPD-1に結合することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、ヒト、マウス、およびカニクイザルPD-1に類似した親和性で結合することができる。
【0176】
一部の態様および実施形態では、本開示は、抗原結合の少なくとも2つの単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の第1の単位がPD-1に結合し、抗原結合の第2の単位がPD-1リガンドに結合する、多重特異性抗原結合性構築物を提供する。一部の実施形態では、抗原結合の第1の単位は、免疫細胞により発現されたPD-1に結合する。一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位は、第2の細胞により発現されたPD-1に結合する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2の相互作用を遮断する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2の相互作用を遮断する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1に結合する抗原結合の少なくとも2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1に結合する抗原結合の2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する抗原結合の少なくとも2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、PD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する抗原結合の2つの単位を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は抗原結合の少なくとも4つの単位を含み、抗原結合の2つの単位はPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位はPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は抗原結合の4つの単位を含み、抗原結合の2つの単位はPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位はPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に結合する。一部の実施形態では、抗原結合の各単位は、そのコグネイト抗原、すなわち、PD-1またはPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2に独立して結合することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、細胞からのPD-1発現の喪失を促進する。一部の実施形態では、PD-1発現の喪失はPD-1シェディングに起因する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はPD-1およびPD-1リガンド、例えば、PD-L1またはPD-L2の相互作用を遮断する。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は共通の軽鎖を含む。例えば、抗原結合の少なくとも2つの単位は共通の軽鎖を含む。
【0177】
一部の実施形態では、抗原結合の第1の単位はPD-1に結合し、
(a)(i)配列番号70(FTFXYAXであり、X=S、R、G、またはNであり、X=D、S、N、A、R、またはGであり、X=MまたはLであり、X=S、L、またはNである)を含むCDRH1、(ii)配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号72(ARGLDFIVGXTGNDYであり、X=A、Y、またはRである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
(b)(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0178】
一部のそのような実施形態では、抗原結合の第1の単位はPD-1に結合し、
(a)配列番号73(FTFSDYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含むCDRH3、
(b)配列番号73(FTFSDYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(c)配列番号76(FTFSSYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(d)配列番号77(FTFSSYAML)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(e)配列番号78(FTFSNYALS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(f)配列番号79(FTFSAYAMN)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(g)配列番号80(FTFRSYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(h)配列番号81(FTFGRYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(i)配列番号82(FTFNSYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含むCDRH3、
(j)配列番号83(FTFSNYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含むCDRH3、
(k)配列番号84(FTFSGYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含むCDRH3、
(l)配列番号86(FTFSSYAMN)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2および配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含むCDRH3、または
(m)配列番号80(FTFRSYAMS)を含むCDRH1、配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含む、および配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含むCDRH3
を含む。
【0179】
一部の実施形態では、抗原結合の第1の単位はPD-1に結合し、
(a)配列番号87に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(b)配列番号88に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(c)配列番号89に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(d)配列番号90に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(e)配列番号91に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(f)配列番号92に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(g)配列番号93に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(h)配列番号94に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(i)配列番号95に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(j)配列番号96に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(k)配列番号97に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
(l)配列番号98に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または
(m)配列番号99に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0180】
一部の実施形態では、抗原結合の第1の単位はPD-1に結合し、配列番号59に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L2に結合する。一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合する。一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合し、
a.(i)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、(ii)配列番号2(GGIIPXGXATYAであり、XはVまたはIであり、XはF、L、またはVであり、XはTまたはAである)を含むCDRH2、および(iii)配列番号3(ARLKXELKDAFDIであり、XはG、F、またはNである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
b.(i)配列番号4(RASQXISSYLNであり、XはS、W、またはQである)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号6(XQSYSTPLTであり、XはQまたはFである)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0181】
一部のそのような実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合し、
(a)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(b)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(c)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(d)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(e)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号12(RASQWISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(f)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号13(RASQQISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(g)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(h)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(i)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(j)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含むCDRH3、
(k)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(l)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含むCDRH3、
(m)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(n)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含むCDRH3、
(o)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(p)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含むCDRH3、
(q)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(r)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含むCDRH2、および配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含むCDRH3、
(s)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含むCDRH2、配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(t)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(u)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(v)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(w)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含むCDRH2、配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(x)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含むCDRH2、および配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(y)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含むCDRH2、配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(z)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含むCDRH2、および配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(aa)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含むCDRH2、配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(bb)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号38(FQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(cc)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号39(QQSYSTILT)を含むCDRL3、
(dd)配列番号14(GTFSSYAFS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(ee)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号24(GGIIPIVGIANYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(ff)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号24(GGIIPIVGIANYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(gg)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号25(ARLKGEFKDAFDI)を含むCDRH3、
(hh)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号25(ARLKGEFKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(ii)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号26(GRIIPLFGTAHYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、
(jj)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号26(GRIIPLFGTAHYA)を含むCDRH2、および配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(kk)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号27(GRINPILGTANYA)を含むCDRH2、および配列番号28(ARLKGELKDAFSI)を含むCDRH3、
(ll)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号27(GRINPILGTANYA)を含むCDRH2、および配列番号28(ARLKGELKDAFSI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(mm)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含むCDRH3、
(nn)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含む、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3、
(oo)配列番号36(GPFRSHAVS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号37(ARLKSELKDAFDI)を含むCDRH3、または
(pp)配列番号36(GPFRSHAVS)を含むCDRH1、配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および配列番号37(ARLKSELKDAFDI)を含むCDRH3、配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3
を含む。
【0182】
一部のそのような実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合し、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58のいずれか1つに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号59、60、61、62、または63のいずれか1つに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0183】
一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合し、
(a)配列番号35に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(b)配列番号40に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(c)配列番号41に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(d)配列番号42に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(e)配列番号43に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(f)配列番号44に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(g)配列番号45に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(h)配列番号46に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(i)配列番号47に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(j)配列番号48に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(k)配列番号49に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(l)配列番号50に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(m)配列番号51に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(n)配列番号52に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(o)配列番号53に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(p)配列番号54に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(q)配列番号55に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(r)配列番号56に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(s)配列番号57に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、または
(t)配列番号58に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列
を含む重鎖可変領域を含む。
【0184】
一部の実施形態では、抗原結合の第2の単位はPD-L1に結合し、
(a)配列番号59に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(b)配列番号60に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(c)配列番号61に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(d)配列番号62に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列、または
(e)配列番号63に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域を含む。
【0185】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される任意のPD-1アンタゴニストおよび本明細書に開示されるPD-L1などのPD-1リガンドの任意のアンタゴニストを含む多重特異性抗原結合性構築物を提供する。例えば、二重特異物3は、ヒトPD-1およびヒトPD-L1に特異的に結合する多重特異性の、四価の抗原結合性構築物である。構築物は、抗体の重鎖が、ポリ-GGGS(配列番号120)リンカーによって抗BCMA抗体のFc領域に接続された抗PD-L1抗体(mAb1)の重鎖可変領域をそのC末端にさらに含む融合タンパク質である抗PD-1 IgG1抗体(mAb28)を含む。構築物の抗PD-1部分および抗PD-L1部分の軽鎖は同一である(配列番号101)。図13Aにおいて図示により表される構造物である二重特異物3は、配列番号100において言及される重鎖配列および配列番号101において言及される軽鎖配列を含む。
【0186】
一部の実施形態では、本開示は、PD-1およびPD-L1に特異的に結合する多重特異性抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号100または102に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む重鎖領域および配列番号101または103に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む、多重特異性抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0187】
一部の実施形態では、本開示は、PD-1およびPD-L1に特異的に結合する多重特異性抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号100に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む重鎖領域、および配列番号101に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む、多重特異性抗体またはその抗原結合性部分を提供する。一部の実施形態では、重鎖領域は、配列番号100から15アミノ酸もしくはそれ未満、14アミノ酸もしくはそれ未満、13アミノ酸もしくはそれ未満、12アミノ酸もしくはそれ未満、11アミノ酸もしくはそれ未満、10アミノ酸もしくはそれ未満、9アミノ酸もしくはそれ未満、8アミノ酸もしくはそれ未満、7アミノ酸もしくはそれ未満、6アミノ酸もしくはそれ未満、5アミノ酸もしくはそれ未満、4アミノ酸もしくはそれ未満、3アミノ酸もしくはそれ未満、2アミノ酸もしくはそれ未満、または1アミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖領域は、配列番号101から15アミノ酸もしくはそれ未満、14アミノ酸もしくはそれ未満、13アミノ酸もしくはそれ未満、12アミノ酸もしくはそれ未満、11アミノ酸もしくはそれ未満、10アミノ酸もしくはそれ未満、9アミノ酸もしくはそれ未満、8アミノ酸もしくはそれ未満、7アミノ酸もしくはそれ未満、6アミノ酸もしくはそれ未満、5アミノ酸もしくはそれ未満、4アミノ酸もしくはそれ未満、3アミノ酸もしくはそれ未満、2アミノ酸もしくはそれ未満、または1アミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む。
【0188】
一部の実施形態では、本開示は、PD-1およびPD-L1に特異的に結合する多重特異性抗体またはその抗原結合性部分であって、配列番号102に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む重鎖領域、および配列番号103に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む、多重特異性抗体またはその抗原結合性部分を提供する。一部の実施形態では、重鎖領域は、配列番号102から15アミノ酸もしくはそれ未満、14アミノ酸もしくはそれ未満、13アミノ酸もしくはそれ未満、12アミノ酸もしくはそれ未満、11アミノ酸もしくはそれ未満、10アミノ酸もしくはそれ未満、9アミノ酸もしくはそれ未満、8アミノ酸もしくはそれ未満、7アミノ酸もしくはそれ未満、6アミノ酸もしくはそれ未満、5アミノ酸もしくはそれ未満、4アミノ酸もしくはそれ未満、3アミノ酸もしくはそれ未満、2アミノ酸もしくはそれ未満、または1アミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、軽鎖領域は、配列番号103から15アミノ酸もしくはそれ未満、14アミノ酸もしくはそれ未満、13アミノ酸もしくはそれ未満、12アミノ酸もしくはそれ未満、11アミノ酸もしくはそれ未満、10アミノ酸もしくはそれ未満、9アミノ酸もしくはそれ未満、8アミノ酸もしくはそれ未満、7アミノ酸もしくはそれ未満、6アミノ酸もしくはそれ未満、5アミノ酸もしくはそれ未満、4アミノ酸もしくはそれ未満、3アミノ酸もしくはそれ未満、2アミノ酸もしくはそれ未満、または1アミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む。
【0189】
一部の態様および実施形態では、抗原結合の4つの単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の2つの単位がPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位がPD-L1に結合し、構築物が、配列番号100または102のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列、および配列番号101または103のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、多重特異性抗原結合性構築物もまた本明細書において提供される。
【0190】
一部の態様および実施形態では、抗原結合の4つの単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の2つの単位がPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位がPD-L1に結合し、構築物が、配列番号100のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列および配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、多重特異性抗原結合性構築物もまた本明細書において提供される。
【0191】
一部の態様および実施形態では、抗原結合の4つの単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の2つの単位がPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位がPD-L1に結合し、構築物が、配列番号102のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列および配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、多重特異性抗原結合性構築物もまた本明細書において提供される。
【0192】
【表9】
【0193】
【表10】
【0194】
「多重特異性抗原結合性構築物」という用語は、本明細書において使用される場合、二重特異性、三重特異性、または多重特異性抗原結合性構築物、およびその抗原結合性部分または断片を指す。多重特異性抗原結合性構築物は、単一の多機能性ポリペプチドであることができ、または共有結合的もしくは非共有結合的に互いと会合した2つもしくはそれより多くの分子(例えば、ポリペプチドおよび/もしくはアプタマー)のマルチマー複合体であることができる。「多重特異性抗原結合性構築物」という用語は、別の機能分子、例えば、別のペプチド、タンパク質、および/またはアプタマーに連結されることまたはそれと共発現されることができる抗体(またはその抗原結合性断片)を含む。例えば、抗体またはその断片は、第2の結合特異性を有する二重特異性または多重特異性抗原結合性分子を製造するために、タンパク質またはその断片などの1つまたは複数の他の分子実体に(例えば、化学カップリング、遺伝子融合、非共有結合性会合またはその他により)機能的に連結させることができる。本明細書において使用される場合、「多重特異性抗原結合性構築物」という用語はまた、二重特異性、三重特異性もしくは多重特異性抗体またはその抗原結合性断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、第2の結合特異性を有する二重特異性抗体を製造するために、別の抗体またはその抗原結合性断片に機能的に連結させられる。本発明の二重特異性および多重特異性抗体は、本明細書の他の箇所に記載される。
【0195】
本明細書において使用される場合、抗原結合性「アーム」は、抗原に結合する構築物の区画を形成する多重特異性抗原結合性構築物の単位、ドメイン、または領域などを指す。そのため、「第1のアーム」は、構築物の「第2のアーム」とは別々の多重特異性抗原結合性構築物の結合性区画を形成し、各アームは抗原結合の単位を形成する。一般に、1つの「アーム」(第1のアーム)は、その抗原結合性または抗原特異性において他の「アーム」(第2のアーム)とは別個である。そのため、二重特異性の二価抗体の例において、抗体の1つのアームは抗原Aに結合し、抗体の他のアームは抗原Bに結合する。一部の実施形態では、二重特異性の二価抗体の例において、抗体の1つのアームは抗原Aに結合し、抗体の他のアームは抗原BまたはCに結合する(例えば、構造における類似性に起因して、PD-L1およびPD-L2などの2つの抗原と交差反応する)。例えば、米国特許第9,845,356号明細書を参照。同様に、四価の二重特異性抗体(例えば、2つの異なる抗体を接合することにより形成される)の例において、1つの「アーム」は、(二価抗体の2つの結合部位が抗原Aに結合する場合であっても)抗原Aに結合する抗体の区画を指し、「他のアーム」は、(二価抗体の2つの結合部位が抗原Bに結合する場合であっても)抗原Bに結合する抗体の区画を指す。一部の実施形態では、四価の二重特異性抗体(例えば、2つの異なる抗体を接合することにより形成される)の例において、1つの「アーム」は、(二価抗体の2つの結合部位が抗原Aに結合する場合であっても)抗原Aに結合する抗体の区画を指し、「他のアーム」は、(二価抗体の2つの結合部位が抗原BまたはCに結合できる場合であっても)抗原BまたはCに結合する抗体の区画を指す。例えば、米国特許第9845356号明細書を参照。当業者に明らかなように、「第1」または「第2」は交換可能に使用され得る。
【0196】
「価数」という用語は、抗原結合性構築物もしくはタンパク質または抗原結合性アームを記載するために使用される場合、異なる認識または結合部位が同じエピトープに結合するかどうかにかかわらず、抗原結合性構築物またはタンパク質中の認識(結合)部位の数を指す。各認識部位は、抗原上の1つのエピトープ(結合部位)を特異的に認識し、したがってそれに結合することができる。抗原結合性タンパク質が1つより多くの認識部位を含む場合(例えば、抗原結合性タンパク質が、その可変領域中に2つの認識部位を有するIgGである場合)、各認識部位は、同じ抗原上の同じエピトープ、または同じ抗原上もしくは異なる抗原上のいずれにあるにせよ異なるエピトープを特異的に認識することができる。多価性は、抗原結合性アームまたは構築物と、関係する抗原または標的受容体との間のアビディティ、すなわち、結合の強度を増加させることができる。アビディティは、エピトープまたは抗原決定基と抗原結合単位上のその結合部位との間の親和性、および抗原結合単位上に存在する関係する結合部位の実際の数の両方に関する。
【0197】
一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は、価数の少なくとも2つがPD-1に特異的に結合する、多価(例えば、二価)抗体または抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は、価数の少なくとも2つがPD-1リガンド(例えば、PD-L1またはPD-L2)に特異的に結合する、多価(例えば、二価)抗体または抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は、価数の少なくとも2つがPD-L1に特異的に結合する、多価(例えば、二価)抗体または抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は、第1の多価(例えば、二価)抗体または抗原結合性断片および第2の多価(例えば、二価)抗体または抗原結合性断片を含み、第1の多価抗体または抗原結合性断片の価数の少なくとも2つがPD-1に特異的に結合し、第2の多価抗体または抗原結合性断片の価数の少なくとも2つがPD-L1に特異的に結合する。一部の実施形態では、本明細書に開示される任意の多重特異性抗原結合性構築物は四価構築物であり、四価構築物は第1の二価抗体または抗原結合性断片および第2の二価抗体または抗原結合性断片を含み、第1の二価抗体または抗原結合性断片の両方の価数は、PD-1上の同じエピトープに対して特異的であり、第2の二価抗体または抗原結合性断片の両方の価数は、PD-L1上の同じエピトープに対して特異的である。そのような四価構築物の一部の実施形態では、第1および第2の二価抗体またはその抗原結合性断片もしくは部分は、同じアミノ酸配列を有する軽鎖を使用する。換言すれば、四価構築物は共通の軽鎖を含む。例えば、配列番号101または配列番号103の配列を有する軽鎖。
【0198】
一部の実施形態では、第1のアームはPD-1のアンタゴニストである。一部の実施形態では、第2のアームは、PD-1リガンド、例えば、PD-L1および/またはPD-L2のアンタゴニストである。一部の実施形態では、第1のアームはPD-1のアンタゴニストであり、第2のアームは、コグネイトPD-1リガンド、例えば、PD-L1および/またはPD-L2のアンタゴニストである。
【0199】
「アンタゴニスト」、「アンタゴナイズする」、および「阻害する」という用語は、抗原結合性アームの生物学的活性を指すために使用される場合、抗原結合性アームが各々の細胞上のその標的(例えば、PD-1)に結合して、PD-1を通じた生物学的応答を部分的または全体的に遮断、阻害、および/または低減することを指し示す。一部の実施形態では、アンタゴニストの存在下での阻害は、用量依存的な方式で観察される。一部の実施形態では、測定されるシグナル(例えば、生物学的活性)は、同等の条件下で陰性対照を用いて測定されるシグナルよりも少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%低い。本開示の方法において使用するために好適なアンタゴニストを同定する方法もまた本明細書に開示される。例えば、これらの方法としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、FORTE BIO(著作権)システム、およびラジオイムノアッセイ(RIA)などの結合アッセイが挙げられるがそれに限定されない。これらのアッセイは、目的のポリペプチド(例えば、PD-1またはそのリガンド)に結合するアンタゴニストの能力を決定し、したがって目的のポリペプチドの活性を阻害、中和または遮断するアンタゴニストの能力を指し示す。ポリペプチドの機能を阻害するアンタゴニストの能力などのアンタゴニストの有効性はまた、機能アッセイを使用して決定することができる。例えば、機能アッセイは、ポリペプチドを候補アンタゴニスト分子と接触させる工程およびポリペプチドと通常関連付けられる1つまたは複数の生物学的活性における検出可能な変化を測定する工程を含んでもよい。アンタゴニストの効力は、通常、そのIC50値(アゴニスト応答の50%を阻害するために必要とされる濃度)により定義される。IC50値が低くなる程、アンタゴニストの効力はより大きくなり、最大生物学的応答を阻害するために必要とされる濃度はより低くなる。
【0200】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原結合性アームは、少なくとも1×10-7M、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11M、少なくとも1×10-12M、または少なくとも1×10-13MのKを有する。一部の実施形態では、両方の抗原結合性アームは同じまたは類似したKを有する。「K」(M)という用語は、本明細書において使用される場合、具体的な抗原結合性アーム/抗原相互作用の解離平衡定数を指す。K=k/k。「k」(秒-1)という用語は、本明細書において使用される場合、具体的な抗原結合性アーム/抗原相互作用の解離速度定数を指す。この値はkoff値とも称される。「k」(M-1×秒-1)という用語は、本明細書において使用される場合、具体的な抗原結合性アーム/抗原相互作用の会合速度定数を指す。この値はkon値とも称される。
【0201】
一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物の1つのアーム(例えば、第1のアーム)のその標的への結合は、他のアーム(例えば、第2のアーム)のその標的への結合を遮断しない。一部の実施形態では、1つのアームの結合は、第2のアームのその標的への結合を立体的に邪魔しない。例えば、第1のアームのPD-1への結合時に、第2のアームはPD-1のリガンド(例えば、PD-L1および/またはPD-L2)に自由に結合する。そのため、一部の実施形態では、第1のアームおよび第2のアームはそれらの各々の標的に結合し、両方のアームは同時に結合したままとなる。
【0202】
一部の実施形態では、第1のアームおよび第2のアームのそれらの各々の標的への結合は免疫細胞および第2の細胞を一緒になるようにブリッジ形成させ、2つの細胞を近接させる。本明細書において使用される場合、「ブリッジ形成」は、2つの細胞種(例えば、PD-1を発現する1つの免疫細胞、およびそのリガンドPD-L1を発現する第2の細胞)を接合すること、または2つの細胞を近接させることを指し、2つの細胞は物理的に接触している必要はない。そのため、多重特異性抗原結合性構築物は、それぞれがPD-1またはそのリガンドのいずれかを発現する2つの細胞へのコネクター(例えば、ブリッジ)として作用する。
【0203】
2つの細胞が一緒になるように本発明の構築物によりブリッジ形成または接続されているかどうかを決定する方法は、当該技術分野において公知である。例えば、一部の実施形態では、免疫細胞および第2の細胞のブリッジ形成は、例えば、フローサイトメトリー、FRET、免疫沈降、顕微鏡法、または蛍光プレートリーダーにより決定される。
【0204】
一部の実施形態では、多重特異性構築物の第1のアームおよび第2のアームのそれらの各々の標的への結合は、標的、例えば、PD-1の下方調節および/またはエクトドメインのシェディングおよび/または分解を結果としてもたらす。本明細書において使用される場合、「下方調節」は、細胞がRNAまたはタンパク質などの細胞成分の量を減少させるプロセスを指す。細胞表面タンパク質受容体の場合、下方調節は、リガンドまたは本明細書に記載の任意の構築物への結合の帰結として受容体の内部移行を通じて起こり得る。シェディングまたはエクトドメインのシェディングは、細胞表面タンパク質がタンパク質分解により切断されてそれらのエクトドメインの細胞外環境への放出を結果としてもたらすプロセスを指す。エクトドメインのシェディングを調節するシェダーゼの非限定的な例としては、ディスインテグリン(disintigrin)およびメタロプロテイナーゼ(ADAM)ファミリーのメンバー、例えば、ADAM8、ADAM9、ADAM10、ADAM12、ADAM15、ADAM17、およびADAM28、ならびにマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、例えば、MMP2、MMP3、MMP7、MMP9、およびMMP14が挙げられる。切断部位領域の形質膜からの距離および構造は、エクトドメインのシェディングにおいて特定の配列よりも重要であると考えられている。タンパク質分解またはタンパク質加水分解は、プロテアーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素による触媒作用を通じて、または、例えば非常に低いもしくは非常に高いpHにおいて、非酵素的に、タンパク質中のペプチド結合の1つまたは複数の加水分解を結果としてもたらすプロセスのセットを指す。真核細胞において、2つの主要な経路、ユビキチン-プロテアソーム経路およびリソソームタンパク質加水分解がタンパク質分解を媒介する。標的受容体が、本明細書に開示される多重特異性構築物により下方調節および/またはシェディングおよび/または分解されるかどうかを決定する方法は当該技術分野において公知であり、実施例に記載されており(例えば、図12A~12Cを参照)、例えば、フローサイトメトリー、ウエスタンブロッティング、免疫沈降、顕微鏡法、または蛍光プレートリーダーがある。
【0205】
本明細書に記載されるように、本発明の構築物は、PD-1を発現する免疫細胞、ならびにそのリガンドを発現する第2の細胞、例えば、第2の免疫細胞、および/またはがんもしくは腫瘍細胞をブリッジ形成させることができる。当業者が認識するように、免疫細胞の種類は、治療される疾患の文脈に依存し、免疫細胞の具体的な種類は、考慮されている障害に依存して容易に決定され得る。一部の実施形態では、免疫細胞はT細胞、例えば、制御性T細胞(別名サプレッサーT細胞)であり、これには、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞、ならびにサブタイプ、例えば、CD4 FOXP3reg細胞、CD4FOXP3reg細胞、Tr1細胞、Th3細胞、およびTreg17細胞が含まれる。一部の実施形態では、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞はB細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞はマクロファージである。
【0206】
同様に、第2の細胞の種類は、考慮されている障害に依存する。一部の実施形態では、第2の細胞(PD-1リガンドを発現する細胞)は第2の免疫細胞、例えば、制御性免疫細胞である。一部の実施形態では、制御性免疫細胞は、制御性T細胞、B細胞、マクロファージ、骨髄由来抑制細胞、樹状細胞、または間葉間質細胞のいずれか1つまたは複数である。一部の実施形態では、制御性免疫細胞は制御性T細胞、例えば、CD8+ T細胞またはCD4+ T細胞である。
【0207】
一部の実施形態では、第2の細胞は腫瘍細胞である。本明細書において使用される場合、「腫瘍細胞」は「がん細胞」と交換可能に使用されることがあるが、正常細胞と比較して増加した増殖を呈する非悪性(非がん性)細胞も包含する。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、免疫細胞により発現されたPD-1および第2の細胞上に発現されたそのリガンド(例えば、PD-L1またはPD-L2)の間の相互作用を遮断すると共に、免疫細胞および腫瘍細胞をブリッジ形成させることにより治療され得るがんである。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、血液がん、リンパ腫、骨髄腫、白血病、神経学的がん、黒色腫、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、頭頸部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器がん、骨がん、腎臓がん、および血管がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、カポジ肉腫、白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、マントル細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、バーキットリンパ腫および辺縁帯B細胞リンパ腫、真性多血症リンパ(Polycythemia vera Lymphoma)、ホジキン病、非ホジキン病、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、固形腫瘍、肉腫、癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫(chrondrosarcoma)、骨原性肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸肉腫、結腸直腸癌、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、鼻咽頭癌、食道癌、基底細胞癌、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳および中枢神経系(CNS)がん、子宮頸がん、絨毛癌、結腸直腸がん、結合組織がん、消化器系のがん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、頭頸部がん、胃がん、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん(小細胞、大細胞)、黒色腫、神経芽腫;口腔がん(例えば、唇、舌、口および咽頭)、卵巣がん、膵臓がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、直腸がん;呼吸器系のがん、肉腫、皮膚がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、ならびに泌尿器系のがんからなる群から選択される。
【0208】
本明細書に記載されるように、本発明の多重特異性抗原結合性構築物は、二重特異性、三重特異性、四重特異性、もしくは多重特異性抗体(免疫グロブリン)またはその抗原結合性部分もしくは断片を含む。
【0209】
「免疫グロブリン」という用語は、ポリペプチド鎖の2つのペア:軽(L)鎖の1つのペアおよび重(H)鎖の1つのペアを一般に含む、構造的に関するタンパク質のクラスを指す。「インタクトな免疫グロブリン」において、これらの鎖の4つ全てはジスルフィド結合により相互接続されている。免疫グロブリンの構造はよく特徴付けられている。例えば、ポール(Paul) Fundamental Immunology 7th ed., Ch. 5(2013), リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス(Lippincott Williams & Wilkins)[米国ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)所在]を参照。簡潔に述べれば、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(V)および重鎖定常領域(C)を含む。重鎖定常領域は、典型的には、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(V)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、典型的には、Cと略記される1つのドメインを含む。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書において「抗体」という用語と交換可能に使用されることがある。
【0210】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の種類を記載し、その最も広い意味において本明細書において使用される。抗体としては、インタクトな抗体(例えば、インタクトな免疫グロブリン)、および抗体断片、例えば、本明細書に記載されるような抗体の抗原結合性断片が特に挙げられる。そのため、「抗体」は、インタクトな抗体の他に、その抗原結合性断片を指すことができる。抗体は少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。抗原結合性ドメインの1つの例は、V-V二量体により形成される抗原結合性ドメインである。抗体は、それらが特異的に結合する抗原により記載され得る。例えば、代替的に抗PD-1抗体と称されるPD-1抗体は、阻害受容体PD-1に特異的に結合する抗体である。
【0211】
およびV領域は、より保存された領域が散在した超可変性の領域(相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる「超可変領域」(HVR))にさらに分割することができる。より保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。各VおよびVは、一般に、以下の順序(N末端からC末端へ):FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4で並べられた3つのCDRおよび4つのFRを含む。CDRは、抗原結合に関与し、抗体に対して抗原特異性および結合親和性を付与する。カバットら(Kabat et al.), Sequences of Proteins of Immunological Interest 5th ed. (1991),米国国立衛生研究所公衆衛生局(Public Health Service, National Institutes of Health)[米国メリーランド州ベセスダ(Bethesda)所在](本願明細書に援用する)を参照。
【0212】
脊椎動物種からの軽鎖は、定常ドメインの配列に基づいて、カッパおよびラムダと呼ばれる2つの種類のうちの1つに割り当てられ得る。
脊椎動物種からの重鎖は、5つの異なるクラス(またはアイソタイプ):IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMのうちの1つに割り当てられ得る。これらのクラスはまた、α、δ、ε、γ、およびμとそれぞれ呼称される。IgGおよびIgAクラスは、配列および機能における差異に基づいてサブクラスにさらに分割される。ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2を発現する。
【0213】
所望の標的に対する抗体を生成し、スクリーニングする方法は当該技術分野において周知である。増進した特性(例えば、増進した親和性、キメラ化、ヒト化)のために抗体をさらに改変する他に、本明細書に記載されるような抗原結合性断片を生成する方法もまた当該技術分野において周知である。
【0214】
「キメラ抗体」という用語は、重鎖および/または軽鎖の成分が具体的な供給源または種に由来し、重鎖および/または軽鎖の残りの部分が異なる供給源または種に由来する抗体を指す。
【0215】
非ヒト抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小の配列を含有するキメラ抗体である。ヒト化抗体は、一般にヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であって、1つまたは複数のCDRからの残基が非ヒト抗体(ドナー抗体)の1つまたは複数のCDRからの残基により置き換えられたものである。ドナー抗体は、所望の特異性、親和性、または生物学的効果を有するマウス、ラット、ウサギ、ニワトリ、または非ヒト霊長動物抗体などの任意の好適な非ヒト抗体であることができる。一部の事例では、レシピエント抗体の選択されたフレームワーク領域残基は、ドナー抗体からの対応するフレームワーク領域残基により置き換えられる。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体中にもドナー抗体中にも見出されない残基を含むことができる。そのような改変は、抗体機能をさらに精密化するために行うことができる。さらなる詳細について、ジョーンズら(Jones et
al.), (1986) Nature, 321:522-525;ライヒマンら(Riechmann et al.), (1988) Nature, 332:323-329;およびプレスタ(Presta), (1992) Curr. Op.
Struct. Biol., 2:593-596(これらのそれぞれを本願明細書に援用する)を参照。
【0216】
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞により産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する、またはヒト抗体レパートリーもしくはヒト抗体コーディング配列(例えば、ヒト供給源から得られるもしくはde novoで設計される)を利用する非ヒト供給源に由来するものである。ヒト抗体はヒト化抗体を特に除外する。
【0217】
一部の実施形態では、抗体分子は、ダイアボディおよび一本鎖分子の他に、抗体の抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab’)、およびFv)を含む。例えば、抗体分子は、重(H)鎖可変ドメイン配列(本明細書においてVHと略記される)、および軽(L)鎖可変ドメイン配列(本明細書においてVLと略記される)を含むことができる。一部の実施形態では、抗体分子は1つの重鎖および1つの軽鎖を含むまたはからなる(半抗体と称される)。別の例では、抗体分子は2つの重(H)鎖可変ドメイン配列および2つの軽(L)鎖可変ドメイン配列を含み、それにより、Fab、Fab’、F(ab’)、Fc、Fd、Fd’、Fv、単鎖抗体(例えば、scFv)、単一可変ドメイン抗体、ダイアボディ(Dab)(二価および二重特異性)、ならびにキメラ(例えば、ヒト化)抗体などの2つの抗原結合部位を形成し、これは全体抗体の改変により製造することができ、または組換えDNA技術を使用してde novoで合成されたものであり得る。これらの機能性抗体断片は、それらの各々の抗原と選択的に結合する能力を保持する。抗体および抗体断片は、IgG、IgA、IgM、IgD、およびIgEが挙げられるがそれに限定されない抗体の任意のクラスから、ならびに抗体の任意のサブクラス(例えば、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)からのものであることができる。抗体分子の調製物はモノクローナルまたはポリクローナルであることができる。抗体分子はまた、ヒト、ヒト化、CDRグラフト、またはin vitro生成抗体であることができる。抗体は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から選ばれる重鎖定常領域を有することができる。抗体はまた、例えば、カッパまたはラムダから選ばれる軽鎖を有することができる。一部の実施形態では、抗体は、配列番号64(ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK)に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有するIgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号68(ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK)に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有するIgG4重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号69(ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG)に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有するIgG4重鎖定常領域を含む。
【0218】
抗体分子の抗原結合性部分または断片は当該技術分野において周知であり、例えば、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィドブリッジにより連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるダイアボディ(dAb)断片;(vi)ラクダ科動物もしくはラクダ化可変ドメイン;(vii)単鎖Fv(scFv)(例えば、バードら(Bird et
al.)(1988)Science 242:423-426;ヒューストンら(Huston et al.)(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照);(viii)単一ドメイン抗体を含む。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来技術を使用して得られ、断片は、インタクトな抗体と同じ方式で有用性についてスクリーニングされる。
【0219】
抗体分子はまた、単一ドメイン抗体であることができる。単一ドメイン抗体は、その相補性決定領域(complementary determining regions)が単一ドメインポリペプチドの部分である抗体を含むことができる。例としては、重鎖抗体、軽鎖を天然に欠いた抗体、従来の4鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、操作された抗体および抗体に由来するもの以外の単一ドメインスキャフォールドが挙げられるがそれに限定されない。単一ドメイン抗体は、当該技術分野における任意のものまたは任意の将来的な単一ドメイン抗体であることができる。単一ドメイン抗体は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、魚、サメ、ヤギ、ウサギ、およびウシが挙げられるがそれに限定されない任意の種に由来することができる。本発明の別の態様によれば、単一ドメイン抗体は、軽鎖を欠いた重鎖抗体として公知の天然に存在する単一ドメイン抗体である。そのような単一ドメイン抗体は、例えば、国際公開第9404678号に開示されている。明瞭性の理由から、天然に軽鎖を欠いた重鎖抗体に由来するこの可変ドメインは、4鎖免疫グロブリンの従来のVHからそれを区別するために本明細書においてVHHまたはナノボディとして知られる。そのようなVHH分子は、ラクダ科の種、例えば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナコにおいて生じた抗体に由来することができる。ラクダ科以外に他の種が、天然に軽鎖を欠いた重鎖抗体を産生することがあり、そのようなVHHは本発明の範囲内である。
【0220】
一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は二重特異性抗体を含む。二重特異性抗体は、2つ以下の抗原に対して特異性を有するが、本明細書に記載されるように、2つより多くの結合部位を有することができる。二重特異性抗体分子は、第1の抗原(例えば、PD-1)に対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列および第2の抗原(例えば、PD-L1リガンドなどのPD-1リガンド)に対する結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列により特徴付けられる。一部の実施形態では、二重特異性抗体分子は、第1の抗原に対する結合特異性を有するscFvまたはその断片および第2の抗原に対する結合特異性を有するscFvまたはその断片を含む。例えば、コンターマン(Kontermann)およびブリンクマン(Brinkmann), (2015), Drug Discovery Today, 20(7):838-47(本願明細書に援用する)を参照。
【0221】
非対称および対称の両方のアーキテクチャの多価および/または多重特異性抗体フォーマットなどの本明細書に記載の多価および/または多重特異性構築物を生成するために使用することができる様々なフォーマットおよび方法が当該技術分野において公知である。そのようなフォーマットの非限定的な例としては、以下が挙げられる:(i)Fcレス二重特異性抗体フォーマット、例えば、タンデム単鎖可変断片(scFv2、taFv)およびトリプルボディ、例えば、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)および二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)分子;単一ドメイン抗体を含む二重特異性単一ドメイン抗体融合タンパク質、例えば、VHまたはVLドメイン、VHH、VNARおよびナノボディ;ダイアボディおよびダイアボディ誘導体、例えば、タンデムダイアボディおよび二重親和性再標的化(dual-affinity retargeting)(DART)タンパク質;Fab融合タンパク質;および様々なタンパク質からのヘテロ二量体化ペプチドまたはミニ抗体、例えば、コイルドコイル構造を有するロイシンジッパーの使用を通じた他のFcレス融合タンパク質;(ii)非対称アーキテクチャを有する二重特異性IgG、例えば、2つの異なる抗体からの重鎖および軽鎖を有する非対称IgG;ノブ-イントゥー-ホールアプローチ、CH3ドメインのホモ二量体化を回避するための静電相互作用(ステアリング)、IgG1およびIgG2のヒンジ領域に電荷対を導入することによる優先的な重鎖ヘテロ二量体化、鎖交換操作ドメイン(strand-exchange engineered domain)(SEED)ヘテロ二量体、およびT細胞受容体に基づく抗体による二重特異性エンゲージメント(bispecific engagement by antibodies based on the
T cell receptor)(BEAT)技術を使用した、非対称Fc領域を有する二重特異性IgG;非対称FcおよびCH3融合タンパク質;(iii)対称アーキテクチャを有する二重特異性抗体、例えば、scFvの融合による付加型IgG、ドメイン抗体およびスキャフォールドタンパク質の融合物、Fabアームの融合物、および追加の可変重鎖および軽鎖ドメインの融合物;改変されたIgG分子;対称FcおよびCH3ベース二重特異性抗体;および免疫グロブリン由来ホモ二量体化ドメインを使用した二重特異性抗体。例えば、「二重特異性抗体の製造(The making of bispecific antibodies)」、ブリンクマン(Brinkmann)およびコンターマン(Kontermann)、MABS 2017, Vol. 9:2, pp. 182-212(その内容の全体を参照により本願明細書に援用する)を参照。例えば、米国特許第5,731,168号明細書に記載の「ノブ・イン・ア・ホール」(knob in a hole)アプローチ;例えば、国際公開第09/089004号、国際公開第06/106905号および国際公開第2010/129304号に記載されるような静電ステアリングFcペアリング;例えば、国際公開第07/110205号に記載されるような鎖交換操作ドメイン(SEED)ヘテロ二量体形成;例えば、国際公開第08/119353号、国際公開第2011/131746号、および国際公開第2013/060867号に記載されるようなFabアーム交換;例えば、米国特許第4,433,059号明細書に記載されるような、例えば、アミン反応性基およびスルフヒドリル反応性基を有するヘテロ二官能性試薬を使用して二重特異性構造を生成するための抗体架橋による、二重抗体コンジュゲート;例えば、米国特許第4,444,878号明細書に記載されるような、2つの重鎖の間のジスルフィド結合の還元および酸化のサイクルを通じた異なる抗体からの半抗体(重鎖-軽鎖ペアまたはFab)の再結合により生成される二重特異性抗体決定因子;例えば、米国特許第5,273,743号明細書に記載されるような、三機能性抗体、例えば、スルフヒドリル(sulfhdryl)反応性基を通じて架橋された3つのFab’断片;例えば、米国特許第5,534,254号明細書に記載されるような、生合成結合性タンパク質、例えば、好ましくはジスルフィドまたはアミン反応性化学架橋を通じてC末端テイルを通じて架橋されたscFvのペア;例えば、米国特許第5,582,996号明細書に記載されるような、二機能性抗体、例えば、定常ドメインを置き換えたロイシンジッパー(例えば、c-fosおよびc-jun)を通じて二量体化した異なる結合特異性を有するFab断片;例えば、米国特許第5,591,828号明細書に記載されるような、二重特異性およびオリゴ特異性の一価およびオリゴ価受容体、例えば、1つの抗体のCH1領域と、典型的には会合した軽鎖を有する他の抗体のVH領域との間でポリペプチドスペーサーを通じて連結された2つの抗体(2つのFab断片)のVH-CH1領域;例えば、米国特許第5,635,602号明細書に記載されるような、二重特異性DNA-抗体コンジュゲート、例えば、DNAの二本鎖小片を通じた抗体またはFab断片の架橋;例えば、米国特許第5,637,481号明細書に記載されるような、二重特異性融合タンパク質、例えば、それらと全長定常領域との間に親水性ヘリカルペプチドリンカーを有する2つのscFvを含有する発現構築物;例えば、米国特許第5,837,242号明細書に記載されるような、多価および多重特異性結合性タンパク質、例えば、一般にダイアボディと称される、Ig重鎖可変領域の結合性領域を有する第1のドメイン、およびIg軽鎖可変領域の結合性領域を有する第2のドメインを有するポリペプチドの二量体(二重特異性、三重特異性、または四重特異性分子を作製するより高次構造もまた包含される);例えば、米国特許第5,837,821号明細書に記載されるような、二量体化して二重特異性/多価分子を形成することができる、ペプチドスペーサーを用いて抗体ヒンジ領域およびCH3領域にさらに接続された連結されたVLおよびVH鎖を有するミニボディ構築物;二量体を形成して二重特異性ダイアボディを形成することができる、短いペプチドリンカー(例えば、5もしくは10アミノ酸)を用いてまたはリンカーを全く用いずにいずれかの方向において連結されたVHおよびVLドメイン;例えば、米国特許第5,844,094号明細書に記載されるような、三量体および四量体;例えば、米国特許第5,864,019号明細書に記載されるような、一連のFV(またはscFv)を形成するためにVLドメインとさらに会合したC末端において架橋可能な基を用いたペプチド連結により接続されたVHドメイン(またはファミリーメンバー中のVLドメイン)の連なり;ならびに、例えば、米国特許第5,869,620号明細書に記載されるような、ペプチドリンカーを通じて連結されたVHドメインおよびVLドメインの両方を有する単鎖結合性ポリペプチドが非共有結合性または化学架橋を通じて多価構造に組み合わせられて、例えば、scFV型またはダイアボディ型の両方のフォーマットを使用してホモ二価、ヘテロ二価、三価、および四価構造を形成したものも参照。追加の例示的な多重特異性および二重特異性分子ならびにそれを作る方法は、例えば、米国特許第5,910,573号明細書、米国特許第5,932,448号明細書、米国特許第5,959,083号明細書、米国特許第5,989,830号明細書、米国特許第6,005,079号明細書、米国特許第6,239,259号明細書、米国特許第6,294,353号明細書、米国特許第6,333,396号明細書、米国特許第6,476,198号明細書、米国特許第6,511,663号明細書、米国特許第6,670,453号明細書、米国特許第6,743,896号明細書、米国特許第6,809,185号明細書、米国特許第6,833,441号明細書、米国特許第7,129,330号明細書、米国特許第7,183,076号明細書、米国特許第7,521,056号明細書、米国特許第7,527,787号明細書、米国特許第7,534,866号明細書、米国特許第7,612,181号明細書、米国特許出願公開第US2002004587号明細書、米国特許出願公開第2002076406号明細書、米国特許出願公開第2002103345号明細書、米国特許出願公開第2003207346号明細書、米国特許出願公開第2003211078号明細書、米国特許出願公開第2004219643号明細書、米国特許出願公開第2004220388号明細書、米国特許出願公開第2004242847号明細書、米国特許出願公開第2005003403号明細書、米国特許出願公開第2005004352号明細書、米国特許出願公開第2005069552号明細書、米国特許出願公開第2005079170号明細書、米国特許出願公開第2005100543号明細書、米国特許出願公開第2005136049号明細書、米国特許出願公開第2005136051号明細書、米国特許出願公開第2005163782号明細書、米国特許出願公開第2005266425号明細書、米国特許出願公開第2006083747号明細書、米国特許出願公開第2006120960号明細書、米国特許出願公開第2006204493号明細書、米国特許出願公開第2006263367号明細書、米国特許出願公開第2007004909号明細書、米国特許出願公開第2007087381号明細書、米国特許出願公開第2007128150号明細書、米国特許出願公開第2007141049号明細書、米国特許出願公開第2007154901号明細書、米国特許出願公開第2007274985号明細書、米国特許出願公開第2008050370号明細書、米国特許出願公開第2008069820号明細書、米国特許出願公開第2008152645号明細書、米国特許出願公開第2008171855号明細書、米国特許出願公開第2008241884号明細書、米国特許出願公開第2008254512号明細書、米国特許出願公開第2008260738号明細書、米国特許出願公開第2009130106号明細書、米国特許出願公開第2009148905号明細書、米国特許出願公開第2009155275号明細書、米国特許出願公開第2009162359号明細書、米国特許出願公開第2009162360号明細書、米国特許出願公開第2009175851号明細書、米国特許出願公開第2009175867号明細書、米国特許出願公開第2009232811号明細書、米国特許出願公開第2009234105号明細書、米国特許出願公開第2009263392号明細書、米国特許出願公開第2009274649号明細書、欧州特許出願公開第346087号明細書、および国際公開第0006605号、国際公開第02072635号、国際公開第04081051号、国際公開第06020258号、国際公開第2007044887号、国際公開第2007095338号、国際公開第2007137760号、国際公開第2008119353号、国際公開第2009021754号、国際公開第2009068630号、国際公開第9103493号、国際公開第9323537号、国際公開第9409131号、国際公開第9412625号、国際公開第9509917号、国際公開第9637621号、国際公開第9964460号に見出される。上記で参照される出願の内容を本願明細書に援用する。
【0222】
一部の実施形態では、本発明の多重特異性抗原結合性構築物は二重特異性抗体である。本開示による二重特異性抗体は、PD-1およびPD-L1に対して、またはPD-1およびPD-L2に対して生成され得る。二重特異性抗体の抗体アームは、本明細書に開示されるように、標準的な技術により生成され得る。一部の実施形態では、PD-1およびそのリガンドに対する任意の公知の抗体を使用して本開示による二重特異性抗体を生成することができる。例えば、そのような二重特異性構築物は本明細書において例示されている(例えば、図3におけるアテゾリズマブ(PD-L1抗体)と接合されたペムブロリズマブ(PD-1抗体);図4におけるアテゾリズマブ(PD-L1抗体)と接合されたニボルマブ(PD-1抗体)を参照)。本明細書において例示されるように、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物(例えば、二重特異性抗体)は、当該技術分野において公知および/または利用可能な抗体を使用して生成され得る。
【0223】
一部の実施形態では、二重特異性抗体は二価であり、例えば、1つのアームはPD-1について一価であり、他のアームはPD-L1もしくはPD-L2のいずれか、または両方について一価である(例えば、両方のリガンドと交差反応する)。一部の実施形態では、二重特異性抗体は四価であり、本明細書に記載の新規の二重特異物3および二重特異物4抗体などである。例えば、図3に図示されるように、ペムブロリズマブ結合性アームはPD-1について二価であり、それぞれはPD-1上の同じエピトープに結合し、アテゾリズマブ結合性アームはPD-L1について二価であり、それぞれはPD-L1上の同じエピトープに結合する。これはまた、例えば、図8における二重特異性フォーマット(図8に提示されるワークフローの工程2の左パネルにおいて図示される例示的な共通軽鎖二重特異物)において見ることができる。図8における例示的な共通軽鎖二重特異性フォーマット(ワークフローの工程2の右パネルにおいて図示されるフォーマット)は、四価の二重特異性フォーマットの別の例を表す。第1の抗原結合性アームがFc領域の反対末端上の第2の抗原結合性アームに接合された四価の二重特異性フォーマットとは対照的に、ここでの第1の抗原結合性アームの各Fabは第2の抗原結合性アームの各Fabに接合されている。例えば、第1の抗原結合性アームの1つのFabは、リンカーを使用して第2の抗原結合性アームのFabに連結されており、各抗原結合性アームは共通の軽鎖を共有する。図8、ワークフローの工程2の右パネルにおいて図示されるフォーマットを参照。
【0224】
一部の実施形態では、二重特異性抗体は四価であり、1つのアームはPD-1について二価であり、それぞれはPD-1上の2つの異なるエピトープに結合する。一部の実施形態では、二重特異性抗体は四価であり、1つのアームはPD-1のリガンド(PD-L1および/またはPD-L2)について二価であり、それぞれはPD-1のリガンド上の2つの異なるエピトープに結合する。一部の実施形態では、二重特異性抗体は四価であり、1つのアームはPD-1について二価であり、それぞれはPD-1上の2つの異なるがオーバーラップするエピトープに結合する。一部の実施形態では、二重特異性抗体は四価であり、1つのアームはPD-1リガンド(PD-L1および/またはPD-L2)について二価であり、それぞれはPD-1リガンド(PD-L1および/またはPD-L2)上の2つの異なるがオーバーラップするエピトープに結合する。一部の実施形態では、二重特異性抗体は四価であり、1つのアームはPD-1について二価であり、それぞれはPD-1上の同じエピトープに結合する。一部の実施形態では、二重特異性抗体は四価であり、1つのアームはPD-1リガンド(PD-L1および/またはPD-L2)について二価であり、それぞれはPD-1リガンド(PD-L1および/またはPD-L2)上の同じエピトープに結合する。一部の実施形態では、二重特異性抗体は四価であり、1つのアームはPD-1上の同じエピトープについて二価であり、他のアームはPD-1リガンド(PD-L1および/またはPD-L2)上の同じエピトープについて二価である。
【0225】
一部の実施形態では、二重特異性抗体はPD-1およびPD-L1の両方のアンタゴニストである。一部の実施形態では、二重特異性抗体はPD-1およびPD-L2の両方のアンタゴニストである。一部の実施形態では、二重特異性抗体はPD-1ならびに両方のリガンドPD/L1およびPD-L2のアンタゴニストである(例えば、両方のリガンドと交差反応する)。
【0226】
ある特定の実施形態では、第1の抗原結合アームおよび第2の抗原結合アームは少なくとも1つのアミノリンカーアミノ酸配列により連結されている。任意選択で、リンカーアミノ酸配列はGGGGS(配列番号121)(xは、1および6を含む1~6の整数である)を含む。
【0227】
一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は免疫グロブリンFcドメインを含まない。
一部の実施形態では、構築物は免疫グロブリンFcドメインを含む。一部の実施形態では、構築物の第1のアームもしくは第2のアーム、または両方は、1つまたは複数の免疫グロブリンFc改変を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、重鎖の免疫グロブリンFcドメインは、例えば、第1および第2のアームのヘテロ二量体化を促進し、血清半減期を促進し、および/またはエフェクター機能を改変する、1つまたは複数のアミノ酸突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異は重鎖のCH3ドメイン中に存在する(例えば、シューら(Xu et al.)mAbs 7(1):231-42、2015を参照)。
【0228】
伝統的なFc融合タンパク質および抗体はガイドされない相互作用ペアの例であるが、例えば、第1の抗原結合アームおよび第2の抗原結合アームのヘテロ二量体化を促進するために、様々な操作されたFcドメインが非対称相互作用ペアとして設計されている(シュピースら(Spiess et al.)(2015)Molecular Immunology 67(2A):95-106)。許容される収率において好ましい非対称融合タンパク質を製造するために単一細胞株中でのFc含有ポリペプチド鎖の所望のペア形成を増加させる様々な方法が当該技術分野において公知である[例えば、クラインら(Klein et al.)(2012)mAbs 4:653-663;およびシュピースら(Spiess et al.)(2015)Molecular Immunology 67(2PartA):95-106を参照]。Fc含有ポリペプチドの所望のペア形成を得る方法としては、電荷ベースのペア形成(静電ステアリング)、「ノブ-イントゥー-ホール」立体ペア形成、SEEDボディペア形成、およびロイシンジッパーベースのペア形成が挙げられるがそれに限定されない。例えば、リッジウェイら(Ridgway et al.)(1996)Protein Eng. 9:617-621;マーチャントら(Merchant et al.)(1998)Nat. Biotech. 16:677-681;デイビスら(Davis et al.)(2010)Protein Eng. Des. Sel.23:195-202;グナセカランら(Gunasekaran et al.)(2010) 285:19637-19646;ラニクら(Wranik et al.)(2012)J. Biol. Chem. 287:43331-43339;米国特許第5,932,448号明細書;ならびに国際公開第1993/011162号、国際公開第2009/089004号、および国際公開第2011/034605号を参照。
【0229】
例えば、特定のポリペプチドの間の相互作用を促進することができる1つの手段は、アラトゥーンら(Arathoon et al.)、米国特許第7,183,076号明細書;カーターら(Carter et al.)、米国特許第5,731,168号明細書;およびクマールら(Kumar et al.)、国際公開第2016/164089号(本願明細書に援用する)に記載されるようにプロチュベランス-イントゥー-キャビティ(protuberance-into-cavity)(ノブ-イントゥー-ホール)相補領域を操作することによる。「プロチュベランス」(隆起)は、第1のポリペプチドの境界面(例えば、第1の相互作用ペア)からの小さいアミノ酸側鎖をより大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えることにより構築される。プロチュベランスと同一または類似のサイズの相補的な「キャビティ」は、大きいアミノ酸側鎖をより小さいもの(例えば、アラニンまたはスレオニン)で置き換えることにより第2のポリペプチドの境界面(例えば、第2の相互作用ペア)上に任意選択で作製される。好適な位置および寸法のプロチュベランスまたはキャビティが第1または第2のいずれかのポリペプチドの境界面において存在する場合、隣接する境界面において対応するそれぞれキャビティまたはプロチュベランスを操作することのみが必要である。
【0230】
中性pH(7.0)において、アスパラギン酸およびグルタミン酸は負に荷電し、リシン、アルギニン、およびヒスチジンは正に荷電する。これらの荷電性残基を使用して、ヘテロ二量体形成を促進し、それと同時にホモ二量体形成を邪魔することができる。反対の電荷の間で誘引性相互作用が起こり、同様の電荷の間で反発性相互作用が起こる。部分的に、本明細書に開示されるタンパク質複合体は、荷電性境界面残基の部位特異的突然変異誘発を実行することによりヘテロマルチマー形成(例えば、ヘテロ二量体形成)を促進するために誘引性相互作用を使用し、任意選択でホモ二量体形成(例えば、ホモ二量体形成)を邪魔するために反発性相互作用を使用する。
【0231】
例えば、IgG1 CH3ドメイン境界面は、ドメイン-ドメイン相互作用に関与する4つの特有の電荷残基ペア:Asp356-Lys439’、Glu357-Lys370’、Lys392-Asp399’、およびAsp399-Lys409’[第2の鎖中の残基番号付けは(’)により指し示される]を含む。IgG1 CH3ドメイン中の残基を指定するためにここで使用される番号付けスキームは、カバットのEU番号付けスキームに従うことに留意すべきである。CH3-CH3ドメイン相互作用において存在する2回対称性に起因して、各特有の相互作用は構造中に2回現れる(例えば、Asp-399-Lys409’およびLys409-Asp399’)。野生型配列において、K409-D399’は、ヘテロ二量体およびホモ二量体の両方の形成を好む。第1の鎖において電荷極性を切り替える単一の突然変異(例えば、K409E;正電荷から負電荷へ)は、第1の鎖のホモ二量体の形成にとって不都合な相互作用に繋がる。不都合な相互作用は、同じ電荷(負-負;K409E-D399’およびD399-K409E’)の間で起こる反発性相互作用に起因して生じる。第2の鎖において電荷極性を切り替える類似した突然変異(D399K’;負から正へ)は、第2の鎖のホモ二量体形成にとって不都合な相互作用(K409’-D399K’およびD399K-K409’)に繋がる。しかし、同時に、これらの2つの突然変異(K409EおよびD399K’)はヘテロ二量体形成にとって好都合な相互作用(K409E-D399K’およびD399-K409’)に繋がる。ヘテロ二量体の形成およびホモ二量体の支障に対する静電ステアリング効果は、例えば、Arg355およびLys360を含む、第2の鎖中の反対に荷電した残基とペア形成していてもよいしそうでなくてもよい追加の電荷残基の突然変異によりさらに増進することができる(例えば、国際公開第2016/164089号を参照)。
【0232】
そのため、一部の実施形態では、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物(例えば、二重特異性構築物)は、例えば、免疫グロブリンのFc部分を含む、免疫グロブリンの定常ドメインを含むことができる。例えば、第1のアームは、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4)、IgA(IgAlもしくはIgA2)、IgE、またはIgM免疫グロブリンのFcドメインに由来するアミノ酸配列を含むことができる。任意選択で、第2のアームは、IgG(IgGl、lgG2、lgG3、もしくはIgG4)、IgA(IgAlもしくはIgA2)、IgE、またはIgMのFcドメインに由来するアミノ酸配列を含むことができる。そのような免疫グロブリンドメインは、ヘテロ二量体形成を促進する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、欠失、付加、および/または置換)を含むことができる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はIgG1アイソタイプである。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はIgG1アイソタイプであり、置換を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はIgG2アイソタイプである。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はIgG3アイソタイプである。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はIgG4アイソタイプである。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物はIgG4アイソタイプであり、置換を含む。一部の実施形態では、置換は、EU番号付けに従って番号付けされた場合にSer228におけるものである。一部の実施形態では、Ser228における置換はS228Pである。一部の実施形態では、第1のアームおよび第2のアームは、同じ免疫グロブリンクラスおよびサブタイプに由来するFcドメインを含む。一部の実施形態では、第1のアームおよび第2のアームは、異なる免疫グロブリンクラスまたはサブタイプに由来するFcドメインを含む。同様に、第1のアームおよび/または第2のアーム(例えば、非対称ペアまたは非ガイド相互作用ペア)は、例えば、ヘテロ二量体形成を促進する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、欠失、付加、および/または置換)を含む、改変された免疫グロブリンの定常ドメインを含む。所望のヘテロ二量体形成を有するFc改変を生成する方法は当該技術分野において公知である。
【0233】
一部の実施形態では、Fcドメインは、本明細書に開示される多重特異性抗原結合性構築物の血清半減期を増進するように改変することができる。例えば、中性pHと比較して酸性pHにおいて、Fc受容体への抗体の結合を増進または減少させる1つまたは複数の突然変異を含むFcドメインは当該技術分野において公知である。例えば、本明細書に開示される構築物は、FcドメインのC2またはC3領域中に突然変異を含むことができ、突然変異は、酸性環境中(例えば、pHが約5.5~約6.0に及ぶエンドソーム中)でFcRnに対するFcドメインの親和性を増加させる。そのような突然変異は、動物に投与された場合に構築物の血清半減期の増加を結果としてもたらすことができる。増進した血清半減期などの所望の特徴のためにFcドメインを改変する方法は当該技術分野において公知である。
【0234】
一部の実施形態では、本明細書に記載の構築物は、その対応する変更されていない定常領域と比べて低減されたエフェクター機能を有する(またはエフェクター機能を有しない)変更された重鎖定常領域を含む。本明細書に記載の構築物の定常領域を伴うエフェクター機能は、定常またはFc領域の特性を変更することによりモジュレートすることができる。変更されたエフェクター機能としては、例えば、以下の活性:抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、補体依存性細胞傷害性(CDC)、アポトーシス、1つまたは複数のFc受容体への結合、および炎症促進性応答の1つまたは複数におけるモジュレーションが挙げられる。モジュレーションは、変更されていない形態の定常領域の活性と比較して変更された定常領域を含有する対象抗体により呈されるエフェクター機能活性の増加、減少、または排除を指す。具体的な実施形態では、モジュレーションは、活性が消失しまたは完全に存在しない状況を含む。
【0235】
変更されたFcR結合親和性および/またはADCC活性および/または変更されたCDC活性を有する変更された定常領域は、変更されていない形態の定常領域と比較して増進または減少したFcR結合活性および/またはADCC活性および/またはCDC活性のいずれかを有するポリペプチドである。FcRへの増加した結合を示す変更された定常領域は、変更されていないポリペプチドより高い親和性で少なくとも1つのFcRに結合する。FcRへの減少した結合を示す変更された定常領域は、変更されていない形態の定常領域より低い親和性で少なくとも1つのFcRに結合する。FcRへの減少した結合を示すそのような変種は、FcRへの認識できる結合をほとんどまたは全く有することができず、例えば、天然配列免疫グロブリン定常またはFc領域のFcRへの結合のレベルと比較して0~50%(例えば、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%未満)のFcRへの結合である。同様に、モジュレートされたADCCおよび/またはCDC活性を示す変更された定常領域は、変更されていない定常領域と比較して増加または低減されたADCCおよび/またはCDC活性のいずれかを呈することができる。例えば、一部の実施形態では、変更された定常領域を含む本明細書に記載の抗体のいずれか1つまたは複数は、変更されていない形態の定常領域のADCCおよび/またはCDC活性の約0~50%(例えば、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%未満)を呈することができる。低減されたADCCおよび/またはCDCを示す変化した定常領域を含む本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物は、低減されたADCCおよび/もしくはCDC活性を呈し、またはADCCおよび/もしくはCDC活性を全く呈しないものであることができる。
【0236】
一部の実施形態では、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物は、低減されたエフェクター機能を呈し、またはエフェクター機能を呈しない。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、G2/G4ハイブリッド定常領域などのハイブリッド定常領域、またはその部分を含む(例えば、バートンら(Burton et al.)(1992)Adv. Immun.51:1-18;キャンフィールドら(Canfield
et al.)(1991)J. Exp. Med. 173:1483-1491;およびミュラーら(Mueller et al.)(1997)Mol. Immunol. 34(6):441-452を参照)。
【0237】
一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、増進または低減された補体依存性細胞傷害性(CDC)を呈する変更された定常領域を含有し得る。モジュレートされたCDC活性は、抗体のFc領域中に1つまたは複数のアミノ酸置換、挿入、または欠失を導入することにより達成することができる。例えば、米国特許第6,194,551号明細書を参照。
【0238】
本明細書に記載の構築物および抗原結合アームは、部分的に、スキャフォールドドメイン、タンパク質、または部分、例えば、標的受容体結合活性を提供しないが、空間的組織化、構造的サポート、複数の受容体結合単位の連結の手段、または他の所望の特徴、例えば、向上した半減期を提供する構築物の部分またはドメインを提供することができる分子を含むことができる。様々なスキャフォールド技術および組成物は当該技術分野において公知であり、本明細書に記載の抗原結合単位に容易に連結またはコンジュゲート化させることができる。スキャフォールドドメイン、タンパク質、または部分は、抗体に由来し、または抗体に由来しないものであり得る。そのようなスキャフォールドタンパク質、およびそのドメインは、一般に、既存の抗原結合性タンパク質のコンビナトリアル化学ベースの適合を通じて得られる。
【0239】
非抗体タンパク質スキャフォールドは、2つの構造的カテゴリー、ドメインサイズの構築物(6~20kDaの範囲内)、および制約されたペプチド(2~4kDaの範囲内)に入ると考えることができる。ドメインサイズの非抗体スキャフォールドとしては、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、DARPin、FN3スキャフォールド(例えば、アドネクチンおよびセンチリン)、フィノマー、クニッツドメイン、プロネクチンならびにOBodyが挙げられるがそれに限定されない。ペプチドサイズの非抗体スキャフォールドとしては、例えば、アビマー、二環ペプチドおよびシステインノットが挙げられる。これらの非抗体スキャフォールドおよびそのベースまたは由来となる基礎タンパク質またはペプチドは、例えば、シメオン(Simeon)およびチェン(Chen), Protein Cell 9(1):3-14(2018);バスケス-ロンバルディら(Vazquez-Lombardi et al.), Drug Discovery Today 20:1271-1283(2015)、およびビンツら(Binz et al.), Nature Biotechnol. 23:1257-1268(2005)(それぞれの内容の全体を参照により本願明細書に援用する)により総説されている。非抗体スキャフォールドを使用する利点としては、増加した親和性、標的中和、および安定性が挙げられる。様々な非抗体スキャフォールドはまた、例えば、組織透過、より小さいサイズ、および熱安定性の点で、抗体スキャフォールドの制限の一部を克服することができる。一部の非抗体スキャフォールドはまた、例えば、二重特異性構築物が所望される場合の軽鎖会合の問題により邪魔されることなく、より容易な構築を許容することができる。非抗体スキャフォールド上に構築物を構築する方法は当業者に公知である。正式には抗体スキャフォールド上ではないが、そのような構築物は、多くの場合に、特異的な標的結合能力を提供する単一ドメイン抗体、scFvまたは他の抗体結合性ドメイン変種のいずれの形態にあるにせよ、抗体結合性ドメインを含む。
【0240】
よって、本明細書に記載の任意の態様の一部の実施形態では、構築物は非抗体スキャフォールドタンパク質を含むことができる。本明細書に記載の任意の態様の一部の実施形態では、受容体結合単位の少なくとも1つは非抗体スキャフォールドタンパク質を含むことができる。非抗体スキャフォールドタンパク質のスキャフォールド部分は、一部の実施形態では、例えば、ヒト第10フィブロネクチンIII型ドメイン(10Fn3)に由来するアドネクチンスキャフォールドもしくは部分;ヒトリポカリンに由来するアンチカリンスキャフォールド(例えば、例えば国際公開第2015/104406号に記載されるものなど);低比重関連タンパク質(LRP)のAドメインおよび/もしくは超低比重リポタンパク質受容体(VLDLR)に由来するアビマースキャフォールドもしくはタンパク質断片;FYNチロシンキナーゼのSH3ドメインのフィノマースキャフォールドもしくは部分;ヒトトリプシン阻害剤、アプロチニン(ウシ膵臓トリプシン阻害剤)、アルツハイマーのアミロイド前駆体タンパク質、および組織因子経路阻害剤などのクニッツ型プロテアーゼ阻害剤のクニッツドメインスキャフォールドもしくは部分;E.エラテリウム(E. elaterium)からのトリプシン阻害剤に基づくものなどのノッチン(knottin)スキャフォールド(システインノットミニプロテイン);アフィボディスキャフォールドもしくはS.アウレウス(S. aureus)プロテインAのZドメインの全体もしくは部分;β-ヘアピン模倣体スキャフォールド;設計アンキリンリピートタンパク質(Designed ankyrin repeat protein)(DARPin)スキャフォールドもしくはアンキリンリピート(AR)タンパク質に基づく人工的なタンパク質スキャフォールド;またはヒトトランスフェリン、ヒトCTLA-4、ヒトクリスタリン、およびヒトユビキチンに由来しもしくはそれに基づく任意のスキャフォールドを含むことができることを当業者は理解する。例えば、ヒトトランスフェリン受容体用のヒトトランスフェリンの結合部位は、その一部が異なる抗原に対する親和性を獲得しているトランスフェリン変種の多様なライブラリーを作製するために多様化させることができる。例えば、アリら(Ali et al.)(1999)J. Biol. Chem. 274:24066-24073を参照。受容体との結合に関与しないヒトトランスフェリンの部分は、変化させないままであり、変種結合部位を提示するための、抗体のフレームワーク領域のようなスキャフォールドとして働く。ライブラリーは次に、抗体ライブラリーとして、および本明細書に記載の方法に従って、標的抗原について最適な選択性および親和性を有する変種を同定するために、目的の標的抗原に対してスクリーニングされる。例えば、ヘイら(Hey et al.)(2005)TRENDS Biotechnol. 23(10):514-522を参照。
【0241】
D.多重特異性抗原結合性構築物を製造する方法
本開示はまた、本明細書に記載の任意の多重特異性抗原結合性構築物を製造する方法を特徴とする。一部の実施形態では、本発明の構築物を製造する方法は、本明細書に記載されるような抗体、および/またはその断片を調製する方法を含む。そのような方法は当該技術分野において周知であり、例えば、適切な免疫原を用いて対象(例えば、非ヒト哺乳動物)を免疫化する工程を含むことができる。例えば、PD-1に結合する抗体を生成するために、当業者は、配列番号114に描写されるアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号NP_005009.2;UniProt Q15116)を含む全長ヒトPD-1ポリペプチドなどの全長PD-1ポリペプチド、その抗原性断片、および/またはそのバリアントを用いて好適な対象(例えば、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウマ、または非ヒト霊長動物などの非ヒト哺乳動物)を免疫化することができる。同様に、PD-1のリガンド(例えば、PD-L1)に結合する抗体を生成するために、当業者は、配列番号115に描写されるアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号NP 054862.1、UniProt Q9NZQ7)を含む全長ヒトPD-L1ポリペプチドなどの全長PD-L1ポリペプチド、その抗原性断片、および/またはそのバリアントを用いて好適な対象を免疫化することができる。同様に、PD-L2に結合する抗体を生成するために、当業者は、配列番号116に描写されるアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号NP_079515.2、UniProt Q9BQ51)を含む全長ヒトPD-L2ポリペプチドなどの全長PD-L2ポリペプチド、その抗原性断片、および/またはそのバリアントを用いて好適な対象を免疫化することができる。
【0242】
当業者が認識するように、全長ポリペプチド(PD-1、PD-L1、またはPD-L2)を抗原として使用することができ、抗体を所望の結合特性(例えば、PD-1/リガンド相互作用の遮断;PD-1およびそのリガンドが発現された細胞をブリッジ形成させる能力)についてスクリーニングすることができる。当業者がこれもまた認識するように、ポリペプチド(PD-1、PD-L1、またはPD-L2)の抗原性断片は、ポリペプチドの既知の構造的特徴に基づいて選択することができる。例えば、PD-1/PD-L1およびPD-1/PD-L2相互作用は構造的によく特徴付けられている(例えば、ザク、ケーら(Zak, K., et al.)(2015) Structure 23(12):2341-48;ギオット、エムら(Ghiotto, M., et al.)(2010) Int’l Immuno. 22(8):651-60;フリーマン、ジー(Freeman, G.)(2008) PNAS 105(30):10275-76;ラザー-モルナー、イーら(Lazar-Molnar, E. et al.)(2008) PNAS 105:10483-88を参照;本願明細書に援用する)。そのため、当該技術分野において利用可能な受容体/リガンド境界面の情報に基づく、例えば、PD-1、PD-L1、および/またはPD-L2内の、領域を使用して、所望の結合特性を有する好適な抗原性断片を設計することができる。例えば、PD-1エクトドメインは、CD28ファミリーに典型的な単一のIgVドメインを含有し、PD-L1およびPD-L2は、B7ファミリーに典型的なIgVおよびIgCドメインから構成される。PD-1、PD-L1および/またはPD-L2の構造は1:1の化学量論を示し、主にIgVドメインの面間の相互作用を有する。IgVドメインは、ストランドを接続するループと共に9つの平行なベータストランド(ABCC’C’’DEFG)にオーガナイズされる約120個のアミノ酸を含む。PD-1は、フロントベータ面(GFCC’ストランドならびにCC’、CC’’、およびFGループ)を使用してPD-L1(GFCC’)またはPD-L2(AGFCストランドおよびFGループ)のベータ面に結合することが示されている。さらに、PD-1のC、F、およびGストランドの6個のアミノ酸は、PD-L2のFおよびGストランドの他にFGループと相互作用するくぼんだ疎水性コアを形成する。PD-1への結合に関与する14のうちの8個の残基は、PD-L1およびPD-L2の間で同一であるか、または高度に保存されている。そのような情報を使用して、当業者は、望ましい特性を有する抗体を生成するために好適な抗原性領域を決定することができる。例えば、当業者は、両方のリガンドPD-L1およびPD-L2と交差反応する抗体を生成することができる(例えば、米国特許第9845356号明細書を参照)。
【0243】
好適な対象(例えば、非ヒト哺乳動物)は、哺乳動物による抗体の産生を誘発するために十分な回数のその後のブースター免疫化と共に適切な抗原を用いて免疫化することができる。免疫原は、アジュバントと共に対象(例えば、非ヒト哺乳動物)に投与することができる。対象における抗体の産生において有用なアジュバントとしては、タンパク質アジュバント;細菌アジュバント、例えば、細菌全体(BCG、コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)またはサルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota))、および、細胞壁骨格、トレハロースジミコール酸、モノホスホリルリピドA、結核菌(tubercle bacillus)のメタノール抽出可能残留物(MER)、完全または不完全フロイントアジュバントを含む細菌成分;ウイルスアジュバント;化学的アジュバント、例えば、水酸化アルミニウム、およびヨード酢酸塩およびコレステリルヘミスクシネートが挙げられるがそれに限定されない。免疫応答を誘導する方法において使用することができる他のアジュバントとしては、例えば、コレラ毒素およびパラポックスウイルスタンパク質が挙げられる。ビーグら(Bieg et al.)(1999)Autoimmunity 31(1):15-24も参照。例えば、ロドメルら(Lodmell et al.)(2000)Vaccine 18:1059-1066;ジョンソンら(Johnson et al.)(1999)J. Med. Chem. 42:4640-4649;バルドリッジら(Baldridge et al.)(1999)Methods 19:103-107;およびグプタら(Gupta et al.)(1995)Vaccine 13(14):1263-1276も参照。
【0244】
一部の実施形態では、方法は、免疫原に結合するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株を調製することを含む。例えば、実験室マウスなどの好適な哺乳動物は、上記のようなポリペプチド(例えば、PD-1、PD-L1、PD-L2)または抗原性断片を用いて免疫化される。免疫化された哺乳動物の抗体産生細胞(例えば、脾臓のB細胞)は、免疫原の少なくとも1回のブースター免疫化の2~4日後に単離することができ、次に好適な骨髄腫細胞株の細胞との融合前に培養で短期間生育することができる。細胞は、例えば、ワクシニアウイルスまたはポリエチレングリコールなどの融合促進剤の存在下で融合させることができる。融合において得られたハイブリッド細胞はクローニングされ、所望の抗体を分泌する細胞クローンが選択される。例えば、好適な免疫原を用いて免疫化されたBalb/cマウスの脾臓細胞は、骨髄腫細胞株PAIまたは骨髄腫細胞株Sp2/0-Ag14の細胞と融合させることができる。融合後、正常な骨髄腫細胞が所望のハイブリドーマ細胞より過成長することを防止するために定期的な間隔において選択培地、例えばHAT培地を添加した好適な培養培地中で細胞は拡大増殖される。得られたハイブリドーマ細胞は次に、所望の抗体、例えば、PD-1に結合する抗体の分泌についてスクリーニングされる。
【0245】
一部の実施形態では、当業者は、例えば、米国特許第6,300,064号明細書(ナピックら(Knappik et al.)へ;Morphosys AG)およびショーンブロートら(Schoonbroodt et al.)(2005) Nucleic Acids Res 33(9):e81に記載されるような非免疫バイアスライブラリーから抗PD-1抗体を同定することができる。
【0246】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、例えば、ファージディスプレイ技術、細菌ディスプレイ、酵母表面ディスプレイ、真核ウイルスディスプレイ、哺乳動物細胞ディスプレイ、および無細胞(例えば、リボソームディスプレイ)抗体スクリーニング技術を伴い、またはそれと組み合わせて使用することができる(例えば、エッツら(Etz et al.)(2001)J. Bacteriol. 183:6924-6935;コーネリス(Cornelis)(2000)Curr. Opin. Biotechnol. 11:450-454;クレムら(Klemm et al.)(2000)Microbiology 146:3025-3032;キーケら(Kieke et al.)(1997)Protein Eng. 10:1303-1310;イェンら(Yeung et al.)(2002)Biotechnol. Prog. 18:212-220;ボーデルら(Boder et al.)(2000)Methods Enzymology 328:430-444;グラベールら(Grabherr et al.)(2001)Comb. Chem. High Throughput Screen 4:185-192;ミカエルら(Michael et al.)(1995)Gene Ther. 2:660-668;ペレボエフら(Pereboev et al.)(2001)J. Virol. 75:7107-7113;シャフィッツェルら(Schaffitzel et al.)(1999)J. Immunol. Methods 231:119-135;およびヘインズら(Hanes et al.)(2000)Nat. Biotechnol. 18:1287-1292を参照)。
【0247】
様々なファージディスプレイ法を使用して抗体を同定する方法は当該技術分野において公知である。ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインは、それをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面上に提示される。そのようなファージは、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウス)から発現される、Fab、Fv、またはジスルフィド結合安定化Fv抗体断片などの抗体の抗原結合性ドメインを提示するために利用することができる。これらの方法において使用されるファージは、典型的には、fdおよびM13などの糸状ファージである。抗原結合性ドメインは、ファージコートタンパク質pIII、pVIII、またはpIXのいずれかに対する組換え融合タンパク質として発現される。例えば、シら(Shi et
al.)(2010)JMB 397:385-396を参照。本明細書に記載の免疫グロブリン、またはその断片を作るために使用することができるファージディスプレイ法の例としては、ブリンクマンら(Brinkman et al.)(1995)J. Immunol. Methods 182:41-50;エイムスら(Ames et
al.)(1995)J. Immunol. Methods 184:177-186;ケトルボローら(Kettleborough et al.)(1994)Eur. J. Immunol. 24:952-958;ペルシッチら(Persic et al.)(1997)Gene 187:9-18;バートンら(Burton et al.)(1994)Advances in Immunology 57:191-280;ならびにPCT国際公開第90/02809号、国際公開第91/10737号、国際公開第92/01047号、国際公開第92/18619号、国際公開第93/11236号、国際公開第95/15982号、および国際公開第95/20401号に開示されるものが挙げられる。好適な方法はまた、例えば、米国特許第5,698,426号明細書、同第5,223,409号明細書、同第5,403,484号明細書、同第5,580,717号明細書、同第5,427,908号明細書、同第5,750,753号明細書、同第5,821,047号明細書、同第5,571,698号明細書、同第5,427,908号明細書、同第5,516,637号明細書、同第5,780,225号明細書、同第5,658,727号明細書、同第5,733,743号明細書、および同第5,969,108号明細書に記載されている。
【0248】
一部の実施形態では、ファージディスプレイ抗体ライブラリーは、免疫化された哺乳動物からのB細胞から収集されたmRNAを使用して生成することができる。例えば、B細胞を含む脾臓細胞試料を、上記のようにPD-1ポリペプチドを用いて免疫化されたマウスから単離することができる。mRNAを細胞から単離し、標準的な分子生物学技術を使用してcDNAに変換することができる。例えば、サムブルックら(Sambrook et al.)(1989) “Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition,” コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)[ニューヨーク所在];ハーロウ(Harlow)およびレーン(Lane)(1988)、上掲;ベニー、ケー、シー、ロ(Benny K. C.
Lo)(2004)、上掲;およびボレバエク(Borrebaek)(1995)、上掲を参照。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖ポリペプチドの可変領域をコードするcDNAを使用して、ファージディスプレイライブラリーが構築される。そのようなライブラリーを生成する方法は、例えば、メルツら(Merz et al.)(1995) J
Neurosci Methods 62(1-2):213-9; ジ、ニロら(Di Niro et al.)(2005) Biochem J 388(Pt 3):889-894;およびエンドベルグら(Engberg et al.)(1995) Methods Mol Biol 51:355-376に記載されている。
【0249】
一部の実施形態では、選択およびスクリーニングの組合せを用いて、例えば、ハイブリドーマ由来の抗体の集団またはファージディスプレイ抗体ライブラリーから、目的の抗体を同定することができる。好適な方法は当該技術分野において公知であり、例えば、フーゲンブーム(Hoogenboom)(1997) Trends in Biotechnology 15:62-70;ブリンクマンら(Brinkman et al.)(1995)、上掲;エイムスら(Ames et al.)(1995)、上掲;ケトルボローら(Kettleborough et al.)(1994)、上掲;ペルシッチら(Persic et al.)(1997)、上掲;およびバートンら(Burton et al.)(1994)、上掲に記載されている。例えば、バクテリオファージコートタンパク質(例えば、M13ファージのpIII、pVIII、またはpIX)および異なる抗原組合せ領域の融合タンパク質をそれぞれコードする複数のファージミドベクターが標準的な分子生物学技術を使用して製造され、次に細菌(例えば、大腸菌(E.coli))の集団に導入される。細菌中でのバクテリオファージの発現は、一部の実施形態では、ヘルパーファージの使用を必要とし得る。一部の実施形態では、ヘルパーファージは必要とされない(例えば、チャスティーンら(Chasteen et al.)(2006)Nucleic Acids Res. 34(21):e145を参照)。細菌から産生されるファージを回収し、次にそれを、例えば、(固定化された)固体支持体に結合した標的抗原に接触させる。ファージはまた、溶液中の抗原に接触させることができ、複合体をその後に固体支持体に結合させる。
【0250】
上記の方法を使用してスクリーニングされた抗体の亜集団は、当該技術分野において公知の任意の免疫学的または生化学ベースの方法を使用して具体的な抗原(例えば、ヒトPD-1)に対する特異性および結合親和性について特徴付けることができる。例えば、抗体のPD-1への特異的結合は、例えば、上記のようにELISAアッセイ、SPRアッセイ、免疫沈降アッセイ、アフィニティークロマトグラフィー、および平衡透析などであるがそれに限定されない免疫学的または生化学ベースの方法を使用して決定することができる。抗体の免疫特異的結合および交差反応性を解析するために使用することができるイムノアッセイとしては、ウエスタンブロット、RIA、ELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定化アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、およびプロテインAイムノアッセイなどの技術を使用する競合および非競合アッセイ系が挙げられるがそれに限定されない。そのようなアッセイは慣例的であり、当該技術分野において周知である。
【0251】
上記の方法を使用して、例えば、抗PD-1抗体が全長の、ヒトPD-1および/またはPD-1タンパク質に結合しないかどうかを決定することもできることが理解される。
選択されたCDRアミノ酸配列が短鎖配列(例えば、10~15未満のアミノ酸の長さ)である実施形態では、CDRをコードする核酸は、例えば、シライシら(Shiraishi et al.)(2007)Nucleic Acids Symposium
Series 51(1):129-130および米国特許第6,995,259号明細書に記載されるように化学的に合成することができる。アクセプター抗体をコードする所与の核酸配列について、CDRをコードする核酸配列の領域は、標準的な分子生物学技術を使用して化学的に合成された核酸で置き換えることができる。化学的に合成された核酸の5’および3’末端は、ドナー抗体の可変領域をコードする核酸への核酸のクローニングにおいて使用するために付着末端制限酵素部位を含むように合成することができる。代替的に、一緒になって抗体をコードすることができる化学的に合成された核酸の断片は、当該技術分野において公知のDNAアセンブリー技術(例えば、ギブソンアセンブリー)を使用して接合させることができる。
【0252】
選ばれた任意の抗体は、本明細書に記載されるような抗原結合性断片を生成するためにさらに改変し、および/または本明細書に記載されるような多重特異性抗原結合性構築物を生成するために当該技術分野において公知の技術を使用してマニピュレートすることができる。例えば、例えば米国特許第4,433,059号明細書に記載されるように、アミン反応性基およびスルフヒドリル反応性基を有するヘテロ二官能性試薬を使用して二重特異性構造を生成するために架橋方法を使用することができ;例えば、米国特許第4,444,878号明細書に記載されるように、2つの重鎖の間のジスルフィド結合の還元および酸化のサイクルを通じて異なる抗体から半抗体(重鎖-軽鎖ペアまたはFab)を再結合することにより二重特異性抗体決定因子を生成することができ;例えば、米国特許第5,273,743号明細書に記載されるように、スルフヒドリル(sulfhdryl)反応性基を通じて三機能性抗体、例えば、3つのFab’断片を架橋することができる。二重特異性構築物を生成する他の方法、例えば、共通の軽鎖を有する二重特異性構築物を生成する方法は本明細書に記載されている。本明細書に記載の構築物において使用される共通の軽鎖のアミノ酸配列の非限定的な例としては、配列番号59~63が挙げられる。
【0253】
E.多重特異性抗原結合性構築物の発現および精製
本明細書に記載のその多重特異性抗原結合性構築物は、分子生物学およびタンパク質化学の技術分野において公知の様々な技術を使用して製造することができる。例えば、多重特異性抗原結合性構築物をコードする核酸(単一の多機能性ポリペプチドとして、またはマルチマー複合体の別々の分子として、例えば、他の抗原結合アームから別々に1つの抗原結合アームとして)は、転写および翻訳調節配列を含有する発現ベクターに挿入することができ、該配列としては、例えば、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始および終止配列、翻訳開始および終止配列、転写ターミネーターシグナル、ポリアデニル化シグナル、ならびにエンハンサーまたは活性化因子配列が挙げられる。調節配列としては、プロモーターならびに転写開始および終止配列が挙げられる。追加的に、発現ベクターは、2つの異なる生物中、例えば、発現のために哺乳動物または昆虫細胞中ならびにクローニングおよび増幅のために原核性宿主中で維持することができるように、1つより多くの複製システムを含むことができる。
【0254】
哺乳動物細胞中での核酸からのクローニングされた重鎖および軽鎖ポリペプチドの発現のためにいくつかの可能なベクターシステムが利用可能である。ベクターの1つのクラスは、所望の遺伝子配列の宿主細胞ゲノムへの組込みに依拠する。安定的に組み込まれたDNAを有する細胞は、大腸菌(E.coli)gpt(ムリガン(Mulligan)およびバーグ(Berg)(1981)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072)またはTn5 neo(サザン(Southern)およびバーグ(Berg)(1982)Mol. Appl. Genet. 1:327)などの薬物抵抗性遺伝子を同時に導入することにより選択することができる。選択マーカー遺伝子は、発現されるべきDNA遺伝子配列に連結させるか、または共トランスフェクションにより同じ細胞に導入するかのいずれかとすることができる(ウィグラーら(Wigler et al.)(1979)Cell 16:77)。ベクターの第2のクラスは、染色体外プラスミドに自律複製能力を付与するDNAエレメントを利用する。これらのベクターは、ウシパピローマウイルス(サーバーら(Sarver et al.)(1982)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79:7147)、サイトメガロウイルス、ポリオーマウイルス(ディーンズら(Deans et al.)(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:1292)、またはSV40ウイルス(ルスキー(Lusky)およびボッチャン(Botchan)(1981)Nature 293:79)などの動物ウイルスに由来することができる。
【0255】
発現ベクターは、核酸のその後の発現のために好適な方式で細胞に導入することができる。導入の方法は、概ね、以下に議論される標的化される細胞種により定められる。例示的な方法としては、CaPO沈殿、リポソーム融合、陽イオン性リポソーム、エレクトロポレーション、ウイルス感染、デキストラン媒介性トランスフェクション、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、および直接微量注射が挙げられる。
【0256】
抗体またはその抗原結合性断片の発現用の適切な宿主細胞としては、酵母、細菌、昆虫、植物、および哺乳動物細胞が挙げられる。具体的に関心が持たれるものとしては、大腸菌(E.coli)などの細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)およびピキア・パストリス(Pichia pastoris)などの真菌、SF9などの昆虫細胞、哺乳動物細胞株(例えば、ヒト細胞株)の他に、初代細胞株である。
【0257】
一部の実施形態では、抗体またはその断片は、トランスジェニック動物(例えば、トランスジェニック哺乳動物)中で発現させ、そこから精製することができる。例えば、抗体は、例えば、ホーデビン(Houdebine)(2002)Curr. Opin. Biotechnol. 13(6):625-629;ファン・クイク-ロメイジュンら(van Kuik-Romeijn et al.)(2000)Transgenic Res. 9(2):155-159;およびポロックら(Pollock et
al.)(1999)J. Immunol. Methods 231(1-2):147-157に記載されるように、トランスジェニック非ヒト哺乳動物(例えば、齧歯動物)中で産生され、ミルクから単離することができる。
【0258】
抗体およびその断片は、タンパク質の発現を可能とするために十分な条件下、および期間、抗体または断片をコードする核酸を含有する発現ベクターを用いて形質転換された宿主細胞を培養することにより細胞から産生させることができる。タンパク質発現のためのそのような条件は、発現ベクターおよび宿主細胞の選択と共に変動し、慣例的な実験を通じて当業者により容易に確認される。例えば、大腸菌(E.coli)中で発現された抗体は、封入体から再フォールディングさせることができる(例えば、ホウら(Hou et al.)(1998)Cytokine 10:319-30を参照)。細菌発現システムおよびその使用方法は当該技術分野において公知である(Current Protocols in Molecular Biology、ウィリー・アンド・サンズ(Wiley & Sons);ならびにMolecular Cloning--A Laboratory Manual, 3rd Ed., コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)[ニューヨーク所在](2001)を参照)。コドン、好適な発現ベクターおよび好適な宿主細胞の選択は多数の要因に依存して変動し、必要に応じて容易に最適化することができる。本明細書に記載の抗体(またはその断片)は、哺乳動物細胞中または酵母、バキュロウイルス、およびin vitro発現システムが挙げられるがそれに限定されない他の発現システム中で発現させることができる(例えば、カスズブスカら(Kaszubska et al.)(2000) Protein Expression and Purification 18:213-220を参照)。
【0259】
発現後に、抗体およびその断片を単離することができる。抗体またはその断片は、どんな他の成分が試料中に存在するのかに依存して当該技術分野において公知の様々なやり方において単離または精製することができる。標準的な精製方法としては、電気泳動、分子、免疫学的、およびクロマトグラフィー技術が挙げられ、クロマトグラフィー技術としては、イオン交換、疎水性、アフィニティー、および逆相HPLCクロマトグラフィーが挙げられる。例えば、抗体は、標準的な抗抗体カラム(例えば、プロテインAまたはプロテインGカラム)を使用して精製することができる。タンパク質濃縮と組み合わせて限外濾過およびダイアフィルトレーション技術もまた有用である。例えば、スコープス(Scopes)(1994)Protein Purification, 3rd edition, シュプリンガー・フェアラーク(Springer-Verlag)[米国ニューヨーク州ニューヨーク市(New York City)所在]を参照。必要な精製の程度は所望の使用に依存して変動する。一部の事例では、発現された抗体またはその断片の精製は必要でない。
【0260】
精製された抗体またはその断片の収率または純度を決定する方法は当該技術分野において公知であり、例えば、ブラッドフォードアッセイ、UV分光法、ビウレットタンパク質アッセイ、ローリータンパク質アッセイ、アミドブラックタンパク質アッセイ、高圧力液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析(MS)、およびゲル電気泳動方法(例えば、クマシーブルーまたはコロイド銀染色剤などのタンパク質染色剤を使用する)が挙げられる。
【0261】
F.多重特異性抗原結合性構築物の修飾
多重特異性抗原結合性構築物は、単一の多機能性ポリペプチドとしてまたはマルチマー複合体の別々の分子として、例えば、他の抗原結合性アームから別々に1つの抗原結合性アームとして、それらの発現および精製後に修飾することができる。修飾は、共有結合または非共有結合修飾であることができる。そのような修飾は、例えば、ポリペプチドの標的化されたアミノ酸残基を、選択された側鎖または末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることにより抗体または抗原結合性断片に導入することができる。修飾のために好適な部位は、例えば、抗体または断片の構造解析またはアミノ酸配列解析を含む様々な基準のいずれかを使用して選ぶことができる。
【0262】
本明細書において提供されるアミノ酸配列は、3文字アミノ酸コードと交換可能に使用され得る1文字アミノ酸コードにおいて示される。アミノ酸は、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に組み込まれ得る任意の単量体単位を指す。20個の天然のまたは遺伝学的にコードされるアルファ-アミノ酸は以下の通りである:アラニン(AlaまたはA)、アルギニン(ArgまたはR)、アスパラギン(AsnまたはN)、アスパラギン酸(AspまたはD)、システイン(CysまたはC)、グルタミン(GlnまたはQ)、グルタミン酸(GluまたはE)、グリシン(GlyまたはG)、ヒスチジン(HisまたはH)、イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、リジン(LysまたはK)、メチオニン(MetまたはM)、フェニルアラニン(PheまたはF)、プロリン(ProまたはP)、セリン(SerまたはS)、スレオニン(ThrまたはT)、トリプトファン(TrpまたはW)、チロシン(TyrまたはY)、およびバリン(ValまたはV)。これらの20個の天然アミノ酸の構造は、例えば、ストライアーら(Stryer et al.), Biochemistry, 5th ed.,
フリーマン・アンド・カンパニー(Freeman and Company)(2002)に示されている。アミノ酸という用語はまた、非天然アミノ酸、修飾アミノ酸(例えば、修飾された側鎖および/または骨格を有する)、ならびにアミノ酸アナログを含む。
【0263】
2つまたはそれより多くの核酸またはポリペプチド配列の文脈における同一のまたは同一性パーセントという用語は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用してまたは手動のアライメントおよび目視検査により測定されるような比較ウインドウ、または指定された領域にわたり最大一致のために比較およびアライメントされた場合に、同じであるか、または同じであるヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の指定されたパーセンテージ(例えば、指定された領域にわたり90%、もしくは95%もしくはより高い同一性)を有する2つまたはそれより多くの配列または部分配列を指す。
【0264】
配列に関する同一性または類似性は、配列をアライメントし、必要な場合にはギャップを導入して最大の配列同一性パーセントを達成した後の、出発アミノ酸残基と同一(すなわち、同じ残基)の候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。比較用の配列のアライメントの方法は当該技術分野において周知である。比較用の配列の最適なアライメントは、例えば、スミス(Smith)およびウォーターマン(Waterman)(Adv. Appl. Math. 2:482, 1970)の局所相同性アルゴリズムにより、ニードルマン(Needleman)およびブンシュ(Wunsch)(J. Mol. Biol. 48:443, 1970)の相同性アライメントアルゴリズムにより、ピアソン(Pearson)およびリップマン(Lipman)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988)の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実施態様(例えば、Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group, [米国ウィスコンシン州575サイエンス、ドクターマジソン(575 Science Dr., Madison)所在])により、または手動のアライメントおよび目視検査により実行することができる(例えば、オーズベルら(Ausubel et al.), Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement)を参照)。
【0265】
断片を含む、全てのペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質と同様に、抗体またはその抗原結合性断片の性質も機能も変更しない、例えば、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域中の、本明細書に記載の構築物、抗体またはその抗原結合性部分のアミノ酸配列中の追加の改変が起こり得ることが理解される。そのような改変としては、各言及される配列が1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を任意選択で含有するような保存的アミノ酸置換が挙げられる。以下の群は、互いに保存的置換であるアミノ酸をそれぞれ含有する。これらの群は例示的であり、他の保存的置換が当業者に公知である。
【0266】
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T)、および
8)システイン(C)、メチオニン(M)
例として、特定の残基におけるアスパラギン酸が述べられる場合、該残基における保存的置換、例えば、グルタミン酸もまた想定される。非保存的置換、例えば、グリシンでのプロリンの置換もまた想定される。
【0267】
一部の実施形態では、構築物、抗体またはその抗原結合性部分は、異種部分に対してコンジュゲート化され得る。異種部分は、例えば、異種ポリペプチド、治療剤(例えば、毒素もしくは薬物)、または検出可能な標識であることができ、検出可能な標識は、放射性標識、酵素標識、蛍光標識、重金属標識、発光標識、またはビオチンもしくはストレプトアビジンなどのアフィニティータグなどであるがそれに限定されない。好適な異種ポリペプチドとしては、例えば、抗体または断片の精製において使用するための抗原性タグ(例えば、FLAG(DYKDDDDK)(配列番号117)、ポリヒスチジン(6-His;HHHHHH)(配列番号118)、ヘマグルチニン(HA;YPYDVPDYA)(配列番号119)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、またはマルトース結合タンパク質(MBP))が挙げられる。異種ポリペプチドとしてはまた、診断用のまたは検出可能なマーカーとして有用なポリペプチド(例えば、酵素)、例えば、ルシフェラーゼ、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP))、またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)が挙げられる。好適な放射性標識としては、例えば、32P、33P、14C、125I、131I、35S、およびHが挙げられる。好適な蛍光標識としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、DYLIGHT(商標) 488、フィコエリトリン(PE)、ヨウ化プロピジウム(PI)、PerCP、PE-ALEXA FLUOR(登録商標) 700、Cy5、アロフィコシアニン、およびCy7が挙げられるがそれに限定されない。発光標識としては、例えば、様々な発光性ランタニド(例えば、ユウロピウムまたはテルビウム)キレートのいずれかが挙げられる。例えば、好適なユウロピウムキレートとしては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはテトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)のユウロピウムキレートが挙げられる。酵素標識としては、例えば、アルカリホスファターゼ、CAT、ルシフェラーゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼが挙げられる。
【0268】
2つのタンパク質(例えば、抗体および異種部分)は、多数の公知の化学架橋剤のいずれかを使用して架橋することができる。そのような架橋剤の例は、「ヒンダード」(hindered)ジスルフィド結合を含む連結を介して2つのアミノ酸残基を連結するものである。これらの連結において、架橋単位内のジスルフィド結合は、例えば、還元されたグルタチオンまたは酵素ジスルフィドレダクターゼの作用により、還元から保護される(ジスルフィド結合のいずれかの側の基を邪魔することによる)。1つの好適な試薬、4-スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α(2-ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)は、タンパク質の1つにおける末端リシンおよび他方における末端システインを利用して2つのタンパク質間にそのような連結を形成する。各タンパク質上の異なるカップリング部分により架橋するヘテロ二官能性試薬もまた使用することができる。他の有用なクロスリンカーとしては、2つのアミノ基(例えば、N-5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド)、2つのスルフヒドリル基(例えば、1,4-ビス-マレイミドブタン)、アミノ基およびスルフヒドリル基(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、アミノ基およびカルボキシル基(例えば、4-[p-アジドサリチルアミド]ブチルアミン)、ならびにアミノ基およびアルギニンの側鎖中に存在するグアニジニウム基(例えば、p-アジドフェニルグリオキサール一水和物)を連結する試薬が挙げられるがそれに限定されない。
【0269】
一部の実施形態では、放射性標識は、抗体のアミノ酸骨格に直接的にコンジュゲート化させることができる。代替的に、放射性標識は、タンパク質骨格に結合しているより大きい分子(例えば、関係のあるタンパク質のメタ-ヨードフェニル(mIP)誘導体を形成するために遊離アミノ基に結合するメタ-[125I]ヨードフェニル-N-ヒドロキシスクシンイミド([125I]mIPNHS中の125I(例えば、ロジャーズら(Rogers et al.)(1997)J. Nucl. Med. 38:1221-1229を参照)またはキレート(例えば、DOTAもしくはDTPA)の部分として含めることができる。放射性標識またはそれを含有するより大きい分子/キレートを本明細書に記載の抗体または抗原結合性断片にコンジュゲート化する方法は当該技術分野において公知である。そのような方法は、放射性標識またはキレートのタンパク質への結合を促す条件(例えば、pH、塩濃度、および/または温度)下でタンパク質を放射性標識とインキュベートすることを伴う(例えば、米国特許第6,001,329号明細書を参照)。
【0270】
蛍光標識(「フルオロフォア」と称されることがある)をタンパク質(例えば、抗体)にコンジュゲート化する方法はタンパク質化学の技術分野において公知である。例えば、フルオロフォアは、フルオロフォアに取り付けられたスクシンイミジル(NHS)エステルまたはテトラフルオロフェニル(TFP)エステル部分を使用してタンパク質の(例えば、リシンの)遊離アミノ基または(例えば、システインの)スルフヒドリル基にコンジュゲート化することができる。一部の実施形態では、フルオロフォアは、スルホ-SMCCなどのヘテロ二官能性クロスリンカー部分にコンジュゲート化することができる。好適なコンジュゲーション方法は、フルオロフォアのタンパク質への結合を促す条件下で抗体タンパク質またはその断片をフルオロフォアとインキュベートすることを伴う。例えば、ウェルチ(Welch)およびレドバンリー(Redvanly)(2003)”Handbook of Radiopharmaceuticals:Radiochemistry and Applications”, ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)(ISBN 0471495603)を参照。
【0271】
一部の実施形態では、抗体または断片は、例えば、循環中、例えば、血液、血清、または他の組織中の抗体の安定化および/または保持を向上させる部分を用いて修飾することができる。例えば、抗体または断片は、例えば、リーら(Lee et al.)(1999)Bioconjug. Chem. 10(6):973-8;キンストラーら(Kinstler et al.)(2002)Advanced Drug Deliveries Reviews 54:477-485;およびロバーツら(Roberts et al.)(2002)Advanced Drug Deliveries
Reviews 54:459-476に記載されるようにPEG化、またはHES化(フレゼニウス・カビ(Fresenius Kabi)、ドイツ)(例えば、パヴィシッチら(Pavisic et al.)(2010)Int. J. Pharm. 387(1-2):110-119を参照)することができる。安定化部分は、少なくとも、例えば、1.5(例えば、少なくとも2、5、10、15、20、25、30、40、または50またはより大きい)倍数だけ抗体(または断片)の安定性、または保持を向上させることができる。
【0272】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合性断片は、グリコシル化されることができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合性断片は、抗体または断片が低減されたグリコシル化を有するまたはグリコシル化を有しないように、酵素もしくは化学処理に供し、または細胞から製造することができる。低減されたグリコシル化を有する抗体を製造する方法は当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第6,933,368号明細書;ライトら(Wright et al.)(1991)EMBO J. 10(10):2717-2723;およびコら(Co
et al.)(1993)Mol. Immunol. 30:1361に記載されている。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は非グリコシル化されている。
【0273】
G.医薬組成物および製剤
本開示はまた、本明細書に開示される方法と共に使用される薬学的に許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、防腐剤および/またはアジュバントと共に本開示の多重特異性抗原結合性構築物を含む医薬組成物を提供する。そのような医薬組成物は、本明細書に開示されるように、例えば、がんを有する対象において使用され得る。
【0274】
ある特定の実施形態では、許容される製剤材料は、好ましくは、用いられる投与量および濃度においてレシピエントに対して非毒性である。ある特定の実施形態では、製剤材料はs.c.および/またはI.V.投与用である。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、組成物の例えば、pH、重量オスモル濃度、粘度、透明性、色、等張性、匂い、無菌状態、安定性、溶解もしくは放出の速度、吸着または透過を改変、維持または保存するための製剤材料を含有することができる。ある特定の実施形態では、好適な製剤材料としては、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリシン);抗菌物質;抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムもしくは亜硫酸水素ナトリウム);緩衝剤(例えば、ボレート、ビカルボネート、Tris-HCl、シトレート、ホスフェートもしくは他の有機酸);充填剤(例えば、マンニトールもしくはグリシン);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));錯化剤(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ-シクロデキストリンもしくはヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン);充填剤;単糖、二糖、および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノースもしくはデキストリン);タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン);着色、香味および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸もしくは過酸化水素);溶剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール);糖アルコール(例えば、マンニトールもしくはソルビトール);懸濁化剤;界面活性剤もしくは湿潤剤(例えば、プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、triton、トロメタミン、レシチン、コレステロール、tyloxapal);安定性増進剤(例えば、スクロースもしくはソルビトール);張度増進剤(例えば、ハロゲン化アルカリ金属、好ましくは、塩化ナトリウムもしくはカリウム、マンニトール、ソルビトール);送達溶媒;希釈剤;賦形剤ならびに/または薬学的アジュバントが挙げられるがそれに限定されない。(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, エー、アール、ゲンナロ(A. R. Gennaro)編, マックパブリッシングカンパニー(Mack Publishing Company)(1995)。ある特定の実施形態では、製剤は、PBS;20mMのNaOAC、pH5.2、50mMのNaCl;および/または10mMのNAOAC、pH5.2、9%のスクロースを含む。ある特定の実施形態では、最適な医薬組成物は、例えば、投与の意図される経路、送達フォーマットおよび所望の投与量に依存して、当業者により決定される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、上掲を参照。ある特定の実施形態では、そのような組成物は、多重特異性抗原結合性構築物の物理的状態、安定性、in vivo放出の速度および/またはin vivoクリアランスの速度に影響を及ぼし得る。
【0275】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の主要な溶媒または担体は、水性または非水性のいずれかの性質であることができる。例えば、ある特定の実施形態では、好適な溶媒または担体は、場合により非経口投与用の組成物において一般的な他の材料を添加した、注射用の水、生理食塩水溶液または人工脳脊髄液であることができる。ある特定の実施形態では、生理食塩水は等張リン酸緩衝生理食塩水を含む。ある特定の実施形態では、血清アルブミンと混合された中性の緩衝生理食塩水または生理食塩水はさらなる例示的な溶媒である。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約pH7.0~8.5のTris緩衝液、または約pH4.0~5.5の酢酸緩衝液を含み、これらはソルビトールまたはしたがって(therefore)好適な代替物をさらに含むことができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される多重特異性抗原結合性構築物を含む組成物は、凍結乾燥ケーキまたは水性溶液の形態において所望の純度を有する選択された組成物を任意選択の製剤物質と混合することにより貯蔵用に調製することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences、上掲)。さらに、ある特定の実施形態では、本明細書に開示される多重特異性抗原結合性構築物を含む組成物は、スクロースなどの適切な賦形剤を使用して凍結乾燥物として製剤化することができる。
【0276】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、非経口送達用に選択することができる。ある特定の実施形態では、組成物は、吸入用または経口的などの消化管を通じた送達用に選択することができる。そのような薬学的に許容される組成物の調製は当業者の能力の範囲内である。
【0277】
ある特定の実施形態では、製剤成分は、投与の部位にとって許容される濃度において存在する。ある特定の実施形態では、生理的pHまたはわずかにより低いpH、典型的には、約5~約8のpH範囲内に組成物を維持するために緩衝剤が使用される。
【0278】
非経口投与が想定される場合のある特定の実施形態では、治療用組成物は、薬学的に許容される溶媒中に多重特異性抗原結合性構築物を含む、発熱物質非含有の非経口的に許容される水性溶液の形態であることができる。ある特定の実施形態では、非経口注射用の溶媒は、多重特異性抗原結合性構築物がその中に無菌の等張溶液として製剤化され、適切に保存される無菌の蒸留水である。ある特定の実施形態では、調製物は、次にデポー注射を介して送達することができる製造物の制御または持続放出を提供することができる、注射可能なマイクロスフェア、生体内分解性粒子、ポリマー化合物(例えば、ポリ乳酸もしくはポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソームなどの剤を含む所望の分子の製剤を伴うことができる。ある特定の実施形態では、ヒアルロン酸もまた使用することができ、これは、循環中の持続期間を促進する効果を有することができる。ある特定の実施形態では、所望の分子を導入するために、埋込み可能な薬物送達デバイスを使用することができる。
【0279】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は吸入用に製剤化することができる。ある特定の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、吸入用の乾燥粉末として製剤化することができる。ある特定の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物を含む吸入溶液は、エアロゾル送達用の噴射剤を用いて製剤化することができる。ある特定の実施形態では、溶液を噴霧することができる。肺投与は、化学的に修飾されたタンパク質の肺送達を記載するPCT出願第PCT/US94/001875号にさらに記載されている。
【0280】
ある特定の実施形態では、製剤は経口的に投与できることが想定される。ある特定の実施形態では、この様式において投与される多重特異性抗原結合性構築物は、錠剤およびカプセルなどの固体投与形態の配合において慣習的に使用される担体を用いてまたは用いずに製剤化することができる。ある特定の実施形態では、バイオアベイラビリティが最大化され、前全身性分解が最小化される胃腸管中の点において製剤の活性部分を放出するようにカプセルを設計することができる。ある特定の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物の吸収を促すために少なくとも1つの追加の剤を含めることができる。ある特定の実施形態では、希釈剤、香味剤、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁化剤、錠剤崩壊剤、および結合剤もまた用いることができる。
【0281】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、錠剤の生産のために好適な非毒性の賦形剤との混合状態の有効量の多重特異性抗原結合性構築物を伴うことができる。ある特定の実施形態では、無菌水または別の適切な溶媒中に錠剤を溶解することにより、溶液を単位用量形態において調製することができる。ある特定の実施形態では、好適な賦形剤としては、炭酸カルシウム、炭酸もしくは重炭酸ナトリウム、ラクトース、もしくはリン酸カルシウムなどの不活性希釈剤;またはデンプン、ゼラチン、もしくはアカシアなどの結合剤;またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、もしくはタルクなどの潤滑剤が挙げられるがそれに限定されない。
【0282】
追加の医薬組成物が当業者に明らかであり、これには、持続または制御送達製剤中の多重特異性抗原結合性構築物を伴う製剤が含まれる。ある特定の実施形態では、リポソーム担体、生体内分解性マイクロ粒子または多孔性ビーズおよびデポー注射などの、様々な他の持続または制御送達手段を製剤化するための技術もまた当業者に公知である。例えば、医薬組成物の送達用の多孔性ポリマーマイクロ粒子の制御放出を記載するPCT出願第PCT/US93/00829号を参照。ある特定の実施形態では、持続放出調製物は、成形物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態の半透性ポリマーマトリックスを含むことができる。持続放出マトリックスは、ポリエステル、ハイドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号明細書および欧州特許第058,481号明細書)、L-グルタミン酸およびガンマエチル-L-グルタメートのコポリマー(シドマンら(Sidman et al.)Biopolymers 22:547-556(1983))、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)(ランガーら(Langer et al.)J Biomed Mater. Res. 15:167-277(1981);およびランガー(Langer)Chem. Tech. 12:98-105(1982))、エチレン酢酸ビニル(ランガーら(Langer et al.)、上掲)またはポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988号明細書)を含むことができる。ある特定の実施形態では、持続放出組成物はまた、当該技術分野において公知のいくつかの方法のいずれかにより調製できるリポソームを含むことができる(例えば、エプスタインら(Eppstein et al.)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688-3692(1985);欧州特許第036,676号明細書;欧州特許第088,046号明細書;および欧州特許第143,949号明細書を参照)。
【0283】
in vivo投与のために使用される医薬組成物は典型的には無菌である。ある特定の実施形態では、これは、無菌濾過膜を通じた濾過により達成される。ある特定の実施形態では、組成物が凍結乾燥される場合、この方法を使用する滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後のいずれかにおいて実行することができる。ある特定の実施形態では、非経口投与用の組成物は、凍結乾燥形態でまたは溶液中に貯蔵することができる。ある特定の実施形態では、非経口組成物は、一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針により貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルに入れられる。
【0284】
ある特定の実施形態では、医薬組成物が製剤化されたら、それを溶液、懸濁液、ゲル、エマルション、固体としてまたは脱水もしくは凍結乾燥粉末として無菌バイアル中に貯蔵することができる。ある特定の実施形態では、そのような製剤は、使用準備済みの形態または投与前に再構成される(例えば、凍結乾燥された)形態のいずれかにおいて貯蔵することができる。
【0285】
ある特定の実施形態では、単回用量投与単位を製造するためのキットが提供される。ある特定の実施形態では、キットは、乾燥タンパク質を有する第1の容器および水性製剤を有する第2の容器の両方を含有することができる。ある特定の実施形態では、シングルおよびマルチチャンバー事前充填シリンジ(例えば、液体シリンジおよびリオシリンジ)を含有するキットが含まれる。
【0286】
ある特定の実施形態では、治療的に用いられる多重特異性抗原結合性構築物を含む医薬組成物の有効量は、例えば、治療的な文脈および目的に依存する。ある特定の実施形態による治療用の適切な投与量レベルは、部分的には、送達される分子、多重特異性抗原結合性構築物が使用されている適応症、投与の経路、ならびに患者のサイズ(体重、身体表面もしくは臓器サイズ)および/または状態(年齢および全般的健康)に依存して変動することを当業者は理解する。ある特定の実施形態では、臨床医は、最適な治療効果を得るために投与量を滴定し、投与の経路を改変することができる。
【0287】
ある特定の実施形態では、投与の頻度は、使用される製剤中の多重特異性抗原結合性構築物の薬物動態パラメーターを考慮に入れる。ある特定の実施形態では、臨床医は、所望の効果を達成する投与量に達するまで組成物を投与する。ある特定の実施形態では、組成物は、したがって、単回用量としてもしくは経時的な2つもしくはより多くの用量(同じ量の所望の分子を含有してもよく、もしくはそうでなくてもよい)として、または、埋込みデバイスもしくはカテーテルを介して、連続注入として、投与することができる。適切な投与量のさらなる精密化は当業者により慣例的に為され、当業者により慣例的に行われるタスクの範囲内である。ある特定の実施形態では、適切な投与量は、適切な用量応答データの使用を通じて確認することができる。
【0288】
ある特定の実施形態では、医薬組成物の投与の経路は、公知の方法、例えば、経口的なもの、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、皮下、眼内、動脈内、門脈内、もしくは病巣内経路による注射を通じたもの、持続放出システムによるものまたは埋込みデバイスによるものに従って為される。ある特定の実施形態では、組成物は、ボーラス注射によりまたは注入により連続的に、または埋込みデバイスにより投与することができる。ある特定の実施形態では、併用療法の個々の要素は、異なる経路により投与することができる。
【0289】
ある特定の実施形態では、組成物は、所望の分子が吸収または被包された膜、スポンジ、または別の適切な材料の埋込みを介して局所的に投与することができる。ある特定の実施形態では、埋込みデバイスが使用される場合、デバイスは、任意の好適な組織または臓器に埋め込むことができ、所望の分子の送達は、拡散、徐放性ボーラス、または連続的な投与を介して為され得る。ある特定の実施形態では、ex vivoの方式において多重特異性抗原結合性構築物を含む医薬組成物を使用することが望ましいことがある。そのような事例では、患者から除去された細胞、組織および/または臓器は、多重特異性抗原結合性構築物を含む医薬組成物に曝露され、その後に細胞、組織および/または臓器は再び患者に埋め込まれる。
【0290】
ある特定の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は、ポリペプチドを発現および分泌するように本明細書に記載の方法などの方法を使用して遺伝子操作されたある特定の細胞を埋め込むことにより送達することができる。ある特定の実施形態では、そのような細胞は動物またはヒト細胞であることができ、自己、異種由来の、または異種間のものであることができる。ある特定の実施形態では、細胞を不死化させることができる。ある特定の実施形態では、免疫学的応答の可能性を減少させるために、細胞を被包して周囲組織の浸潤を回避することができる。ある特定の実施形態では、被包材料は、典型的には、タンパク質生成物の放出を可能とするが、患者の免疫系によるまたは周囲組織からの他の有害な因子による細胞の破壊を防止する生体適合性の半透性ポリマーエンクロージャまたは膜である。
【0291】
H.使用の方法
本明細書に記載されるように、本開示は、それを必要とする対象において増殖性障害を治療する方法であって、対象に治療有効量の本開示の多重特異性抗原結合性構築物を投与することを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において免疫応答を増進する(例えば、増進したT細胞機能、例えば、T細胞の機能的な疲弊からのレスキュー;増進したT細胞媒介性応答;増加した炎症性サイトカインの分泌および/または産生、例えば、T細胞からのIFNγの分泌および/または産生;増進したNK細胞機能;増進したマクロファージ機能)方法であって、対象に治療有効量の本開示の多重特異性抗原結合性構築物を投与することを含む、方法を提供する。本明細書において例示されるように、免疫応答の増進は、PD-1もしくはそのリガンド(例えば、PD-L1もしくはPD-L2)のいずれかに結合する剤(例えば、抗体)、またはPD-1に結合する剤(例えば、抗体)およびそのリガンドに結合する剤(例えば、抗体)を含むカクテルと比較して、本明細書に開示される多重特異性抗原結合性構築物の投与でより大きい。一部の実施形態では、免疫応答の増進(例えば、増進したT細胞機能、例えば、T細胞の機能的な疲弊からのレスキュー;増進したT細胞媒介性応答;増加した炎症性サイトカイン、T細胞からのIFNγの分泌および/または産生;増進したNK細胞機能;増進したマクロファージ機能)は、PD-1もしくはそのリガンドのいずれかに結合する剤(例えば、抗体)、またはPD-1に結合する剤(例えば、抗体)およびそのリガンドに結合する剤(例えば、抗体)を含むカクテルと比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、またはより高いパーセンテージでより大きい。対象に有効量の本明細書に記載されるような多重特異性抗原結合性構築物、抗体もしくはその抗原結合性断片、医薬組成物、またはタンパク質コンジュゲートを投与することによる、対象においてがんを治療しもしくはその進行を遅延させまたは腫瘍成長を低減もしくは阻害する方法もまた本明細書において提供される。
【0292】
本明細書に記載の組成物は、とりわけ、対象において様々ながんを治療または予防する方法において有用である。
組成物は、部分的には投与の経路に依存する様々な方法を使用して対象、例えば、ヒト対象に投与することができる。経路は、例えば、静脈注射もしくは注入(IV)、皮下注射(SC)、腹腔内(IP)注射、筋肉内注射(IM)、または髄腔内注射(IT)であることができる。注射は、ボーラスまたは連続注入において行うことができる。
【0293】
本明細書において使用される場合、「対象」という用語は哺乳動物対象を意味する。例示的な対象としては、ヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ラクダ、ヤギおよびヒツジが挙げられるがそれに限定されない。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、対象は、本明細書において提供される多重特異性抗原結合性構築物を用いて治療することができる疾患または状態を有するまたは有することが疑われる。一部の実施形態では、疾患または状態はがんである。一部の実施形態では、対象は、本明細書において提供される多重特異性抗原結合性構築物を用いて治療することができるがんを有するヒトである。一部の実施形態では、対象は、本明細書において提供される多重特異性抗原結合性構築物を用いて治療することができるがんを有することが疑われるヒトである。
【0294】
任意の疾患または障害を「治療すること」またはその「治療」は、一部の実施形態では、対象において存在する疾患または障害を寛解させることを指す。別の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、対象により認識可能でないものであり得る少なくとも1つの身体的パラメーターを寛解させることを含む。さらに別の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、身体的(例えば、認識可能な症状の安定化)もしくは生理学的(例えば、身体的パラメーターの安定化)のいずれかまたは両方で、疾患または障害をモジュレートすることを含む。さらに別の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、疾患または障害の開始を遅延させまたは予防することを含む。
【0295】
本明細書において使用される場合、「治療有効量」または「有効量」という用語は、対象に投与された場合に、疾患または障害を治療するために有効である多重特異性抗原結合性構築物の量を指す。
【0296】
本明細書において使用される場合、「投与する」または「投与」は、粘膜、皮内、静脈内、筋肉内送達および/または本明細書に記載のもしくは当該技術分野において公知の任意の他の物理的送達方法などにより、身体の外側に存在する物質(例えば、本明細書において提供される多重特異性抗原結合性構築物)を患者の中に注射しまたは他に物理的に送達する行為を指す。疾患、またはその症状が治療されている場合、物質の投与は、典型的には、疾患またはその症状の開始後に行われる。疾患、またはその症状が予防されている場合、物質の投与は、典型的には、疾患またはその症状の開始前に行われる。
【0297】
投与は、例えば、局所注入、注射、またはインプラントの手段により達成することができる。インプラントは、シラスティック(sialastic)膜などの膜、または繊維を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状材料のものであることができる。インプラントは、対象への組成物の持続的または定期的な放出のために構成することができる。例えば、米国特許出願公開第20080241223号明細書;米国特許第5,501,856号明細書;同第4,863,457号明細書;および同第3,710,795号明細書;欧州特許第488401号明細書;および欧州特許第430539号明細書(これらのそれぞれの開示を本願明細書に援用する)を参照。組成物は、例えば、拡散性、浸食性、または対流性システムに基づく埋込み可能なデバイス、例えば、浸透ポンプ、生分解性インプラント、電気拡散システム、電気浸透システム、蒸気圧ポンプ、電気分解ポンプ、起泡性ポンプ、圧電ポンプ、浸食ベースのシステム、または電気機械システムによって対象に送達することができる。
【0298】
一部の実施形態では、本開示の多重特異性抗原結合性構築物は、局所投与によって対象に治療的に送達される。
本明細書において使用される場合、「増進したT細胞機能」または「T細胞の活性化」という用語は、表面上に抗原特異的T細胞受容体を発現する成熟T細胞がそのコグネイト抗原を認識して、細胞周期に入ること、サイトカインまたは溶菌酵素を分泌すること、および細胞ベースのエフェクター機能を行うことを開始させるまたはそのためにコンピテントとなることにより応答する細胞プロセスを指す。T細胞活性化は、完全に活性化されるために少なくとも2つのシグナルを必要とする。1つ目は抗原-主要組織適合複合体(MHC)によるT細胞抗原特異的受容体(TCR)のエンゲージメント後に起こり、2つ目は共刺激分子(例えば、CD28)のその後のエンゲージメントにより起こる。これらのシグナルは核に伝達され、T細胞のクローン性拡大増殖、細胞表面上の活性化マーカーの上方調節、エフェクター細胞への分化、細胞傷害性もしくはサイトカイン分泌の誘導、アポトーシスの誘導、またはその組合せを結果としてもたらす。一部の実施形態では、「増進したT細胞機能」はまた、T細胞の増進した生存および/または増進した増殖を包含する。そのような活性を測定する方法は当該技術分野において慣例的で公知である。一部の実施形態では、「増進したT細胞機能」はまた、1つまたは複数のT細胞機能における回復または増加が達成されるような、疲弊した表現型からのT細胞のレスキューを包含する。当該技術分野において公知のように、T細胞疲弊の状態は、広範な共阻害受容体の持続的な上方調節、ならびに特有の転写およびエピジェネティックシグネチャーに加えて、T細胞エフェクター機能、例えば、炎症性サイトカイン産生、増殖能力、代謝適応度の逐次的な喪失により特徴付けられる。T細胞の疲弊およびその変更は、当該技術分野において公知の、および本明細書に記載の技術、例えば、in vitro非特異的T細胞+K562-PD-L1腫瘍標的細胞アッセイを使用して測定することができる。
【0299】
本明細書において使用される場合、T細胞媒介性応答という用語は、T細胞により媒介される任意の応答を指し、T細胞としては、エフェクターT細胞(例えば、CD8細胞、エフェクターγδ T細胞)ならびにヘルパーT細胞(例えば、T1、T2、T3、T17、T9、およびTFH細胞などのそのサブセットを含む、CD4細胞)が挙げられるがそれに限定されない。T細胞媒介性応答としては、例えば、T細胞の細胞傷害性、T細胞のサイトカイン分泌、および増殖が挙げられる。対象におけるがんを治療または予防することができる、本明細書に記載の抗体またはその断片の好適な用量は様々な要因に依存することができ、該要因としては、例えば、治療される対象の年齢、性別、および体重ならびに使用される具体的な阻害剤化合物が挙げられる。例えば、同じ対象を治療するために必要とされる多重特異性抗原結合性構築物の断片(例えば、Fab’抗体断片)の用量と比較して異なる用量の多重特異性抗原結合性構築物全体ががんを有する対象を治療するために必要とされることがある。対象に投与される用量に影響する他の要因としては、例えば、がんの種類または重篤度が挙げられる。例えば、転移性黒色腫を有する対象は、膠芽腫を有する対象とは異なる多重特異性抗原結合性構築物の投与量の投与を必要とすることがある。他の要因としては、例えば、対象に同時にまたは以前に影響した他の医学的障害、対象の全般的健康、対象の遺伝学的傾向、食事、投与の時間、排出の速度、薬物の組合せ、および対象に投与される任意の他の追加の治療法を挙げることができる。任意の具体的な対象のための特定の投与量および治療レジメンは、治療施術者(例えば、医師または看護師)の判断にも依存することも理解されるべきである。好適な投与量は本明細書に記載されている。一部の実施形態では、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物は、高用量および低用量の両方において有効である。
【0300】
医薬組成物は、治療有効量の本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物を含むことができる。そのような有効量は、当業者により容易に決定され得、これは部分的には、投与される抗体の効果、または、1つより多くの剤が使用される場合には、抗体および1つもしくは複数の追加の活性剤の組合せの効果に基づく。本明細書に記載の抗体またはその断片の治療有効量はまた、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答、例えば、腫瘍成長における低減を誘発する抗体(および1つまたは複数の追加の活性剤)の能力などの要因に従って変動し得る。例えば、治療有効量の多重特異性抗原結合性構築物は、具体的な障害、および/または当該技術分野において公知のもしくは本明細書に記載の具体的な障害の症状のいずれか1つを阻害(その重篤度の減少もしくはその出現の排除)および/または予防することができる。治療有効量はまた、組成物の任意の毒性または有害効果を治療的に有益な効果が凌ぐものである。
【0301】
本明細書に記載の任意の多重特異性抗原結合性構築物の好適なヒト用量は、例えば、第I相用量漸増研究においてさらに評価することができる。例えば、ファン・グルプら(van Gurp et al.)(2008)Am. J. Transplantation 8(8):1711-1718;ハノウスカら(Hanouska et al.)(2007)Clin. Cancer Res. 13(2, part 1):523-531;およびヘザリントンら(Hetherington et al.)(2006)Antimicrobial Agents and Chemotherapy 50(10):3499-3500を参照。
【0302】
そのような組成物の毒性および治療効果は、細胞培養物または実験動物(例えば、本明細書に記載の任意のがんの動物モデル)において公知の薬学的手順により決定することができる。これらの手順は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に効果的な用量)を決定するために使用することができる。毒性効果と治療効果との用量比は治療指数であり、それは比LD50/ED50として表すことができる。高い治療指数を呈する抗体またはその抗原結合性断片が好ましい。毒性の副作用を呈する組成物が使用されてもよいが、影響された組織の部位にそのような化合物を標的化する送達システムを設計すること、および、正常細胞への潜在的な損傷を最小化し、それにより副作用を低減することに注意するべきである。
【0303】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおいて使用するための投与量の範囲の定式化において使用することができる。そのような抗体またはその抗原結合性断片の投与量は、一般に、ほとんどまたは全く毒性を有しないED50を含む抗体または断片の循環濃度の範囲内にある。投与量は、用いられる投与形態および利用される投与の経路に依存してこの範囲内で変動してもよい。本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物について、治療的に効果的な用量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。用量は、細胞培養において決定されるようなEC50(すなわち、症状の半数最大阻害を達成する構築物、例えば、抗体の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて定式化することができる。そのような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。一部の実施形態では、例えば、(例えば、目または関節への)局所投与が所望される場合、局所的な部位内で治療的に効果的な濃度を達成するために必要とされる用量を決定するために細胞培養または動物モデリングを使用することができる。
【0304】
一部の実施形態では、方法は、がんに対する他の療法と組み合わせて行うことができる。例えば、組成物は、放射線、手術、標的化もしくは細胞傷害性化学療法、化学放射線療法、ホルモン療法、免疫療法、遺伝子療法、細胞移植療法、プレシジョンメディシン、ゲノム編集療法、または他の薬物療法と同時、その前、または後に対象に投与することができる。
【0305】
上記のように、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物は、血液がん、リンパ腫、骨髄腫、白血病、神経学的がん、皮膚がん、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、頭頸部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器がん、骨がん、腎臓がん、および血管がんからなる群から選択される様々ながんを治療するために使用される。任意選択で、がんは、カポジ肉腫、白血病、急性リンパ性白血病(etv6、aml1、シクロフィリンb)、急性骨髄球性白血病、骨髄芽球性前骨髄球性骨髄単球性単球性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病(シクロフィリンb)、マントル細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、バーキットリンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(Ig-イディオタイプ)、真性多血症リンパ、ホジキン病(Imp-1、EBNA-1)、非ホジキン病、骨髄腫(MUCファミリー、p21ras)、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、固形腫瘍、肉腫、癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸肉腫、結腸癌(p21ras、HER2/neu、c-erbB-2、MUCファミリー)、膵臓がん、乳がん(MUCファミリー、HER2/neu、c-erbB-2)、卵巣がん、前立腺がん(前立腺特異的抗原(PSA)およびその抗原エピトープPSA-1、PSA-2、およびPSA-3、PSMA、HER2/neu、c-erbB-2、ga733糖タンパク質)、扁平細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌(HER2/neu、c-erbB-2)、ヘパトーマ、肝細胞がん(α-フェトプロテイン)、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣腫瘍(NY-ESO-1)、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(HER2/neu、c-erbB-2)、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫(E-カドヘリン、α-カテニン、β-カテニン、γ-カテニン、p120ctn)、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫(p5タンパク質、gp75、がん胎児性抗原、GM2およびGD2ガングリオシド、Melan-A/MART-1、cdc27、MAGE-3、p21ras、gp100)、神経芽腫、網膜芽腫、鼻咽頭癌(Imp-1、EBNA-1)、食道癌、基底細胞癌、胆道がん(p21ras)、膀胱がん(p21ras)、骨がん、脳および中枢神経系(CNS)がん、子宮頸癌(p53、p21ras)、絨毛癌(CEA)、結腸直腸がん(結腸直腸関連抗原(CRC)-CO17-1A/GA733、APC)、結合組織がん、消化器系のがん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、頭頸部がん、胃がん(HER2/neu、c-erbB-2、ga733糖タンパク質)、上皮細胞がん(シクロフィリンb)、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん(小細胞、大細胞)(CEA、MAGE-3、NY-ESO-1)、口腔がん(例えば、口唇、舌、口、および咽頭がん)、卵巣がん(MUCファミリー、HER2/neu、c-erbB-2)、膵臓がん、直腸がん、呼吸器系のがん、皮膚がん、甲状腺がん、および泌尿器系のがんからなる群から選択される。
【0306】
一部の実施形態では、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物は、単剤療法として対象に投与することができる。代替的に、上記のように、抗体またはその断片は、別の治療、例えば、がんに対する別の治療との併用療法として対象に投与することができる。例えば、併用療法は、がんを有する、またはそれを発症するリスクがある対象に対して治療的な利益を提供する1つまたは複数の追加の剤を対象(例えば、ヒト患者)に投与する工程を含むことができる。本発明の組成物との併用投与のために好適な化学療法剤としては、例えば、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、ミトマイシン、エトポシド、テニポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン(colchicin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン(dihydroxyanthrancindione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンならびにこれらのアナログまたはホモログが挙げられる。さらなる剤としては、例えば、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシル ダカルバジン(decarbazine)))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ミトマイシンC、シス-ジクロロジアミン白金(II)(cis-dichlordiamine platinum(II);DDP)、プロカルバジン、アルトレタミン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、サトラプラチン、または四硝酸トリプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧名ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(dactinomcin)(旧名アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)およびテモゾロミドが挙げられる。一部の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物および1つまたは複数の追加の活性剤は同時に投与される。他の実施形態では、多重特異性抗原結合性構築物は時間的に一番目に投与され、1つまたは複数の追加の活性剤は時間的に二番目に投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の活性剤は時間的に一番目に投与され、多重特異性抗原結合性構築物は時間的に二番目に投与される。
【0307】
本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物は、以前にまたは現在投与されている療法を置き換えまたは増強することができる。例えば、多重特異性抗原結合性構築物を用いて治療する場合、1つまたは複数の追加の活性剤の投与は、中止または縮小することができ、例えば、より低いレベルまたは投与量において投与することができる。一部の実施形態では、以前の療法の投与を維持することができる。一部の実施形態では、以前の療法は、多重特異性抗原結合性構築物のレベルが治療効果を提供するために十分なレベルに達するまで維持される。2つの療法を組合せで投与することができる。
【0308】
本明細書において定義されるようながんの改善について対象(例えば、ヒト患者)をモニターすることは、疾患パラメーターにおける変化、例えば、腫瘍成長の低減について対象を評価することを意味する。一部の実施形態では、評価は、投与の少なくとも1時間後、例えば、少なくとも2、4、6、8、12、24、もしくは48時間、または少なくとも1日、2日、4日、10日、13日、20日もしくはより多くの日数、または少なくとも1週、2週、4週、10週、13週、20週、もしくはより多くの週の後に行われる。対象は、以下の期間:治療の開始前、治療中、または治療の1つもしくは複数の要素が投与された後の1つまたは複数において評価することができる。評価は、さらなる治療の必要性を評価すること、例えば、投与量、投与の頻度、または治療の継続期間を変更するべきかどうかを評価することを含むことができる。それはまた、選択された治療モダリティーを追加または削減する必要性、例えば、本明細書に記載のがんに対する任意の治療を追加または削減することを評価することを含むことができる。
【0309】
一部の実施形態では、本明細書に記載の多重特異性抗原結合性構築物は、例えば、T細胞の活性化および/または増殖を増加させることにより、患者においてT細胞応答をモジュレートするために投与される。免疫細胞により発現されたPD-1およびそのリガンドの間の相互作用を遮断することは、T細胞の増殖、IFNγの産生および分泌、ならびにT細胞の細胞溶解活性を強く増進する。PD-1を発現する免疫細胞を、PD-1リガンド(例えば、PD-L1またはPD-L2)を発現する第2の細胞(例えば、別の免疫細胞、または腫瘍細胞)とブリッジ形成させることは、T細胞の増殖、IFNγの産生および分泌、ならびにT細胞の細胞溶解活性を強く増進することができる。よって、一部の実施形態では、本開示の多重特異性抗原結合性構築物は、T細胞活性化を誘導しもしくは増加させ、T細胞増殖を増進し、IFNγの産生および/もしくは分泌を誘導し、かつ/または細胞溶解性T細胞応答を誘導するためにそれを必要とする患者に投与される。
【実施例0310】
本開示をその特定の実施形態を参照して記載してきたが、本開示の真の精神および範囲から離れることなく様々な変化が為されてもよく、均等物が置換されてもよいことが当業者により理解されるべきである。追加的に、本開示の客観的な精神および範囲に対して具体的な状況、材料、組成物、プロセス、プロセスの1つまたは複数の工程を適応させるための多くの改変が為されてもよい。全てのそのような改変は本開示の範囲内であることが意図される。
【0311】
実施例1:T細胞におけるインターフェロン-ガンマ(IFNγ)の誘導
T細胞活性化に対するPD1/PDL1二重特異性抗体の効果をアセスメントするために、混合リンパ球反応(MLR)においてIFNγ産生を分析した。ニボルマブ×アテゾリズマブ、949×アテゾリズマブ、J43×アテゾリズマブ、ピディリズマブ×アテゾリズマブ、アテゾリズマブ×ニボルマブ、またはデュルバルマブ×ニボルマブの結合性ドメインを組み合わせた非グリコシル化二重特異性抗体を試験した。抗体949は、米国特許第9102728号明細書に開示されるようなPD-1抗体を指す。抗体J43は抗マウスPD-1抗体を指す。PD-1を遮断し、IFNγ産生を誘導することが公知であるヒト化抗体、キイトルーダ(メルク(Merck)社)を比較物として使用した。ニボルマブ×アテゾリズマブ、949×アテゾリズマブ、およびアテゾリズマブ×ニボルマブの図式およびアミノ酸配列をそれぞれ図4~6に示す。本明細書において例示および試験された二重特異性フォーマットのそれぞれは、当該技術分野において公知の方法を使用して生成した。例えば、図4に示されるように、当該技術分野において公知の方法を使用してアテゾリズマブFabの重鎖部分をニボルマブの重鎖Fc部分に架橋した。リンカー配列を用いてまたは用いずに、Fabの重鎖およびIgG分子の重鎖などの2つのタンパク質を架橋する好適な方法は本明細書に記載されている。この研究は、様々な濃度の上記の二重特異性抗体はT細胞においてIFNγ応答を誘導できることを実証した。
【0312】
3人の独立したヒトドナー(D985、D7603、およびD5004)に由来するleukopaks(ヘマケア(HemaCare)社、[米国カリフォルニア州ヴァン・ナイズ(Van Nuys)所在])から末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。免疫磁気細胞分離(EASYSEP(商標);ステムセルテクノロジーズ(Stemcell
Technologies)社、[カナダブリティッシュコロンビア州バンクーバー(Vancouver)所在])を使用して陰性選択により全T細胞をPBMCから濃縮した。免疫磁気細胞分離(EASYSEP(商標);ステムセルテクノロジーズ(Stemcell Technologies)社、[カナダブリティッシュコロンビア州バンクーバー(Vancouver)所在])を使用して単球をPBMCから単離した。T細胞を1×10細胞/mlの濃度で完全RPMIに再懸濁し、単球を5×10細胞/mlにそれぞれ調整した。96ウェルプレート中、T細胞を含有する100μlの培地を1×10細胞/ウェルの密度でプレーティングし、続いて100μlの単球細胞懸濁液(E:T比2:1)を加えた。次に、抗体の様々な希釈液を含有する50μlの培地を0nM、0.5nM、5nM、または50nMの最終濃度に達するように加えた。プレートをCOインキュベーター中37℃で5日間インキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、培養上清を収集し、IFNγレベルをMSDアッセイ(メソスケールダイアグノスティックス(Mesoscale Diagnostics)社、[米国メリーランド州ロックビル(Rockville)所在])により分析した。
【0313】
実施例2:ペムブロリズマブ/アテゾリズマブ二重特異性抗体を用いて処理されたT細胞におけるインターフェロン-ガンマ(IFNγ)の誘導
T細胞活性化に対するPD1/PDL1二重特異性抗体の効果をアセスメントするために、混合リンパ球反応(MLR)においてIFNγ産生を分析した。ペムブロリズマブ×アテゾリズマブ二重特異物、ペムブロリズマブmAb、アテゾリズマブFab、キイトルーダおよびアテゾリズマブFabの混合物、ならびにPD-1を遮断し、IFN-γ産生を誘導することが公知であるヒト化抗体、キイトルーダ(メルク(Merck)社)を比較物として使用した。ペムブロリズマブ×アテゾリズマブ二重特異性抗体の図式およびアミノ酸配列を図3に示す。本明細書において例示および試験された他の二重特異性フォーマットについて同様に記載されるように、図3に示される二重特異性フォーマットは、当該技術分野において公知の方法を使用して生成した。図3に示されるように、当該技術分野において公知の方法を使用してアテゾリズマブFabの重鎖部分をペムブロリズマブの重鎖Fc部分のc末端に対して架橋した。リンカー配列を用いてまたは用いずに、Fabの重鎖およびIgG分子の重鎖などの2つのタンパク質を架橋する好適な方法は本明細書に記載されている。これらの結果は、PD-1およびPD-L1を標的化する二重特異性抗体、ペムブロリズマブ×アテゾリズマブは、単独でのペムブロリズマブ、アテゾリズマブFab、またはキイトルーダ処理と同等にT細胞においてIFNγ応答を誘導することを指し示す。
【0314】
T細胞を上記のように調製した。抗体の様々な希釈液を含有する50μlの体積の培地を0nM、0.5nM、5nM、または50nMの最終濃度に達するように加えた。プレートをCOインキュベーター中37℃で5日間インキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、培養上清を収集し、IFN-γレベルをMSDアッセイ(メソスケールダイアグノスティックス(Mesoscale Diagnostics)社、[米国メリーランド州ロックビル(Rockville)所在])により分析した。
【0315】
実施例3:PD-1およびPD-L1を標的化する二重特異性抗体またはPD-1/PD-L1を標的化するモノクローナル抗体のカクテルを用いて処理されたT細胞におけるインターフェロン-ガンマ(IFNγ)誘導の比較
T細胞活性化に対するPD-1×PD-L1またはPD-L1×PD-L1二重特異性抗体の効果をアセスメントするために、混合リンパ球反応(MLR)においてIFN-γ産生を分析した。ペムブロリズマブ×アテゾリズマブ二重特異性抗体、ニボルマブ×アテゾリズマブ二重特異性抗体、キイトルーダおよびアテゾリズマブのカクテル、ニボルマブおよびアテゾリズマブのカクテルを試験し、PD-1を遮断し、IFN-γ産生を誘導することが公知であるヒト化抗体、キイトルーダ(メルク(Merck)社)を単独で比較物として使用した。
【0316】
T細胞を上記のように調製した。抗体の様々な希釈液を含有する50μlの体積の培地を0nM、0.01nM、0.001nM、または0.0001nMの最終濃度に達するように加えた。プレートをCOインキュベーター中37℃で5日間インキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、培養上清を収集し、IFNγレベルをMSDアッセイ(メソスケールダイアグノスティックス(Mesoscale Diagnostics)社、[米国メリーランド州ロックビル(Rockville)所在])により分析した。
【0317】
図1は、指し示されるような、試験された抗体の最終濃度でのpg/mLとしてのIFN-γの濃度を示す。これらの結果は、ペムブロリズマブ×アテゾリズマブなどの二重特異性PD-1×PD-L1抗体またはPDL1/PDL1二重特異性抗体ニボルマブ/アテゾリズマブは、PD1およびPDL1特異的抗体のカクテル、またはPD-1抗体(キイトルーダ)単独よりもT細胞においてより高いIFNγ応答を誘導することを指し示す。
【0318】
実施例4:PD-1/PDL-1を標的化する二重特異性抗体またはPD-1もしくはPD-L1を標的化するモノクローナル抗体を用いて処理されたT細胞におけるインターフェロン-ガンマ(IFNγ)誘導の比較
T細胞活性化に対するPD-1×PD-L1またはPD-L1×PD-L1二重特異性抗体の効果をアセスメントするために、混合リンパ球反応(MLR)においてIFNγ産生を分析した。ペムブロリズマブ×ニボルマブ二重特異性抗体、アテゾリズマブ×アテゾリズマブ四価単一特異性抗体を試験し、ニボルマブ単独、アテゾリズマブ単独、およびPD-1を遮断し、IFN-γ産生を誘導することが公知であるヒト化抗体、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)(メルク(Merck)社)を比較物として使用した。
【0319】
T細胞を上記のように調製した。抗体の様々な希釈液を含有する50μlの体積の培地を0nM、0.01nM、0.001nM、または0.0001nMの最終濃度に達するように加えた。プレートをCOインキュベーター中37℃で5日間インキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、培養上清を収集し、IFN-γレベルをMSDアッセイ(メソスケールダイアグノスティックス(Mesoscale Diagnostics)社、[米国メリーランド州ロックビル(Rockville)所在])により分析した。
【0320】
図2は、指し示されるような、PBS中の、試験された抗体の最終濃度でのpg/mLとしてのIFN-γの濃度を示す。これらの結果は、二重特異性PD1×PDL1(ペムブロリズマブ×ニボルマブ)またはPD-L1×PD-L1抗体(アテゾリズマブ×アテゾリズマブ)は、単独でのPD-1(アテゾリズマブもしくはキイトルーダ)またはPD-L1(ニボルマブ)特異的抗体と類似したT細胞におけるIFN-γ応答を誘導することを指し示す。
【0321】
図7は、指し示されるような、PBS中での、試験された抗体の最終濃度でのpg/mLとしてのIFN-γの濃度を示す。これらの結果は、二重特異性抗体PD-1×PD-L1(ペムブロリズマブ×アテゾリズマブ)または多重特異性フォーマットにおける(ニボルマブ×アテゾリズマブ)は、ペムブロリズマブおよびアテゾリズマブまたはニボルマブおよびアテゾリズマブのカクテルと比較して混合リンパ球反応(MLR)においてフェムトモル濃度でより大きいIFN-γ応答を誘導することを指し示す。これらの結果は、多重特異性フォーマットの結果としてもたらされる相乗効果を示唆する。
【0322】
図8は、相乗作用を実証する多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を同定するための例示的なワークフローを示す。プロセスは、本明細書の他の箇所において記載されるように(例えば、非特異的T細胞+K562-PD-L1腫瘍標的細胞アッセイというタイトルの以下のセクションを参照)、様々な濃度におけるpg/mLでのIFNγ放出を測定する混合リンパ球反応(MLR)におけるチェックポイント遮断剤の組合せのバイアスなしのスクリーニングを含む。図示したワークフローの第2の工程において、共通軽鎖二重特異物を生成してそれらの有効性をさらに試験し、様々な例示的な共通軽鎖二重特異性フォーマットを描写している。同定された共通軽鎖二重特異性フォーマットは、T細胞活性化アッセイにおいて公知のPD-1遮断剤を凌いだ。
【0323】
実施例5:抗PD-1および抗PD-L1抗体構築物ならびに多重特異性抗原結合性分子の生成および特徴付け
抗PD-L1抗体の親和性成熟
突然変異体ライブラリーの構築、哺乳動物ディスプレイ選別、およびモノクローナルIgGのスクリーニングを介してPD-L1抗体mAb24に由来する親和性成熟抗PD-L1抗体を生成した。ライブラリーは、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3において合成の多様性を導入された重鎖中の突然変異を含有し、軽鎖配列は、一部の場合を除いて、一定に保持して単一の軽鎖構築物との適合性を維持した。ヒトPD-L1に対する親和性を増加させ、マウス交差反応性を維持することを目的としてライブラリーに3ラウンドの哺乳動物ディスプレイ選別を行った。各ラウンドにおいて、ビオチン化抗原への初期結合(すなわち、過剰な非標識抗原または親IgGとの1時間のインキュベーション)後にオフレート競合工程を用いた。選別の最終ラウンド後に、クローンを選び取り、それらの配列を分析し、Wasatch SPR結合速度論および細胞結合平衡アッセイを介して特有のクローンをアッセイしてリード候補を同定した。
【0324】
異なる選択ラウンドからの結果としてもたらされた抗PD-L1抗体をk/k二重logプロットにプロットした。見かけの会合および解離速度論的速度定数(kおよびk値)をPBS-Tween 0.01%のランニングバッファー中SPRiリーダー(MX96、カルテッラ(Carterra)社、[米国ユタ州ソルトレークシティー(Salt Lake City)所在]))で決定した。抗ヒトPD-L1抗体をCFM(カルテッラ(Carterra)社)上のカルボキシメチルデキストランハイドロゲル50Lチップ(キサンテックバイオアナリティクス(XanTec bioanalytics)有限会社、[ドイツデュッセルドルフ(Dusseldorf)所在])上に共有結合的にコンジュゲート化させた。新たに混合した活性化試薬(5mlのH2O中の150ulの0.4M EDCおよび150ulの0.1Mスルホ-NHS)を使用してSPR基質の表面を7分間活性化させた。pH4.5の酢酸緩衝液中の10mg/mlの抗体をプリンティングのために15分間使用した。プリンティングしたチップを次にSPRiリーダー(MX96、カルテッラ(Carterra)社)上で1Mのエタノールアミンを用いて15分間クエンチした。速度論分析のために、精製した組換えHisタグ付加ヒトPD-L1(0、2.05、5.12、12.8、32、80、200、500nM)を逐次的に注入した。各濃度について、5分の会合、続いて10分の解離を行った。SPR Inspection ToolおよびScrubberソフトウェア(バイオセンサーツールズエルエルシー(Biosensor Tools LLC)、[米国ユタ州ソルトレークシティー(Salt Lake City)所在])においてデータを処理し、分析した。速度論データを間質参照スポットと参照し、緩衝液サイクルに対して二重参照し、次に1:1結合モデルに対して大域的にフィッティングしてそれらの親会合および解離速度論的速度定数(kおよびk値)を決定した。比k/kを使用して各抗原/mAb相互作用のK値、すなわち、K=k/kを導出した。
【0325】
抗PD-1抗体の親和性成熟
突然変異体ライブラリーの構築、ファージディスプレイパニング、およびモノクローナル抗体のスクリーニングを介してPD-1抗体mAb25に由来する親和性成熟抗PD-1抗体を生成した。ライブラリーは、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3において合成の多様性を導入された重鎖中の突然変異を含有し、軽鎖配列を一定に保持して単一の軽鎖構築物との適合性を維持した。ヒトPD-1に対する親和性を増加させ、マウス交差反応性を獲得することを目的としてライブラリーに4ラウンドのファージディスプレイパニングラウンドを行った。各ラウンドにおいて、ビオチン化抗原への初期結合(すなわち、過剰な非標識抗原または親IgGとの1時間のインキュベーション)後にオフレート競合工程を用いた。パニングの最終ラウンド後に、クローンを選び取り、それらの配列を分析し、Octet SPR結合速度論および細胞結合平衡アッセイを介して特有のFabクローンをアッセイしてリード候補を同定した。リード候補をFabからヒトIgGに変換し、さらに特徴付けた。
【0326】
異なる選択ラウンドからの結果としてもたらされた抗PD-1抗体をk/k二重logプロットにプロットした。見かけの会合および解離速度論的速度定数(kおよびk値)をPBS-Tween 0.01%のランニングバッファー中SPRiリーダー(MX96、カルテッラ(Carterra)社、[米国ユタ州ソルトレークシティー(Salt Lake City)所在]))で決定した。抗ヒトPD-1抗体をCFM(カルテッラ(Carterra)社)上のカルボキシメチルデキストランハイドロゲル50Lチップ(キサンテックバイオアナリティクス(XanTec bioanalytics)有限会社、[ドイツデュッセルドルフ(Dusseldorf)所在])上に共有結合的にコンジュゲート化させた。新たに混合した活性化試薬(5mlのH2O中の150ulの0.4M EDCおよび150ulの0.1Mスルホ-NHS)を使用してSPR基質の表面を7分間活性化させた。pH4.5の酢酸緩衝液中の10mg/mlの抗体をプリンティングのために15分間使用した。プリンティングしたチップを次にSPRiリーダー(MX96、カルテッラ(Carterra)社)上で1Mのエタノールアミンを用いて15分間クエンチした。速度論分析のために、精製した組換えHisタグ付加ヒトPD-1(0、2.05、5.12、12.8、32、80、200、500nM)を逐次的に注入した。各濃度について、5分の会合、続いて10分の解離を行った。SPR Inspection ToolおよびScrubberソフトウェア(バイオセンサーツールズエルエルシー(Biosensor Tools LLC)、[米国ユタ州ソルトレークシティー(Salt Lake City)所在])においてデータを処理し、分析した。速度論データを間質参照スポットと参照し、緩衝液サイクルに対して二重参照し、次に1:1結合モデルに対して大域的にフィッティングしてそれらの見かけの会合および解離速度論的速度定数(kおよびk値)を決定した。比k/kを使用して各抗原/mAb相互作用のK値、すなわち、K=k/kを導出した。
【0327】
非特異的T細胞+K562-PD-L1腫瘍標的細胞アッセイ
陰性選択キットを使用して以前に凍結したPBMC(末梢血単核細胞)からT細胞を単離し、10%のFBSを添加したX-VIVO 15培地(「X-10」)中でIMMUNOCULT(商標) 抗CD3/CD28 T細胞活性化因子を使用して活性化させた。3日後に、5ng/mlのIL-2および2.5ng/mlのIL-7を含有するX-10培地(「hX-10」)に細胞を切り替えた。2~3日毎に細胞に新鮮なhX-10を与えた。10日の活性化後に、IMMUNOCULT(商標)拡大増殖T細胞をCELLTRACE(商標) Violet標識し、50000個のT細胞および25000個のK32P細胞/ウェルを含む96ウェル丸底プレート中でヒトCD32BおよびPD-L1を発現するように安定的に形質導入されたK562細胞(「K32P」)と共培養した。0.25μg/mlの抗CD3(クローンOKT3)と共に10倍希釈で10~0.001nMの最終濃度で抗体(二重特異物3、キイトルーダ、およびアイソタイプ対照)を加えた。3日後に、MSDプレートを介してIFNγサイトカイン産生を測定するために上清を収集し、細胞をフローサイトメトリーのために染色し、次にBD LSRFORTESSA(商標)サイトメーターに流してT細胞活性化および標的細胞殺傷を調べた。標的細胞殺傷は、無CD3対照ウェルのセット中のK32P標的の数と比較して実験ウェル中の生K32P標的の数をカウントすることにより測定される。全てのデータを次にGraphPad Prismにおいて分析した。図9A~9Bに示されるように、二重特異物3は、アイソタイプ対照抗体およびキイトルーダの両方と比較してより多くの量のIFNγおよびK32P標的細胞の殺傷を誘導した。
【0328】
CMV抗原リコールアッセイ
HLA A02:01ドナーからの12日目の拡大増殖したCMV抗原特異的CD8+
T細胞を解凍し、2ug/mlのDNase Iを含有するhX-10培地中で終夜静置した。翌日、細胞を収集し、Ficoll分離を使用して死細胞を除去した。残存した細胞を次に、25000個のCMV T細胞、50000個のKACP細胞、および50000個のKA細胞/ウェルを含む96ウェル丸底プレート中でHLA-A02:01、CMVタンパク質pp65-IRES-GFP、およびPD-L1を発現するK562細胞(「KACP」、GFP+)およびHLA-A02:01を発現するK562細胞(「KA」、GFP-)と共培養した。抗体(二重特異物3、キイトルーダ、mAb1とmAb28との組合せ、およびアイソタイプ対照)を10~0.0001nMの最終濃度で加えた。この用量は、10倍希釈の10~0.1nM、次に0.0001nMまでの2倍希釈を含んでいた。2日の共培養後に、フローサイトメトリーを介してKACP腫瘍標的の特異的殺傷を分析した。特異的殺傷は、GFP-KA細胞に対する生GFP+ KACP細胞の比を、T細胞が存在しない場合のこれらの細胞の比に対して正規化したものとして比算出的に定義される。図10Aに示されるように、二重特異物3は腫瘍抗原標的細胞の特異的殺傷を増加させた。二重特異物3により媒介された増加は、キイトルーダについて見られたものよりも常に高く、高用量においてmAb1とmAb28との組合せは等しい数のKACP細胞を殺傷した。クリティカルなことに、低用量の抗体(0.001~0.01nM)において二重特異物3は、キイトルーダおよびmAb1とmAb28との組合せの両方と比較して、KACP細胞の殺傷における増加を示し、二重特異物3を使用してより低い用量において標的細胞の抗原特異的殺傷を媒介できることを指し示した。
【0329】
別々の実験において、Raji細胞特異的殺傷に対する二重特異物3の効果を、K562細胞特異的殺傷アッセイについて上記に概説した方式に類似した方式で調べた。簡潔に述べれば、CMV抗原特異的CD8+ T細胞を、HLA-A02:01、CMVタンパク質pp65-IRES-GFP、およびPD-L1を発現するRaji細胞(「RACP」、GFP+)ならびにHLA-A02:01を発現するRaji細胞(「RA」、GFP-)と25000個のCMV T細胞、50000個のRACP細胞、および50000個のRA細胞/ウェルを含む96ウェル丸底プレート中で共培養した。抗体(二重特異物3、キイトルーダ、mAb1とmAb28との組合せ、およびアイソタイプ対照)を10~0.0001nMの最終濃度で加えた。この用量は、10倍希釈の10~0.1nM、次に0.0001nMまでの2倍希釈を含んでいた。2日の共培養後に、フローサイトメトリーを介してRACP腫瘍標的の特異的殺傷を分析した。特異的殺傷は、GFP-RA細胞に対する生GFP+ RACP細胞の比を、T細胞が存在しない場合のこれらの細胞の比に対して正規化したものとして比算出的に定義される。図10Bに示されるように、二重特異物3は腫瘍抗原標的細胞の特異的殺傷を増加させた。二重特異物3により媒介された増加は、キイトルーダまたはmAb1とmAb28との組合せのいずれかについて見られたものよりも0.001nMにおいて著しく高かったが、高用量において二重特異物3およびmAb1とmAb28との組合せは標的細胞の同等の殺傷を引き起こした。これらのデータは、二重特異物3を使用してより低い用量において標的細胞の抗原特異的殺傷を媒介できることを指し示す。
【0330】
Staphylococcus aureusエンテロトキシンA(「SEA」)アッセイ
以前に凍結したPBMCを解凍し、PBS中の0.1mg/mlのDNase Iと15分間インキュベートし、40μmナイロンメッシュフィルターに通過させ、次に96ウェル丸底プレートのウェル当たり100000細胞でX-10培地にプレーティングした。10ng/mlのSEAと共に、抗体(二重特異物3、キイトルーダ、mAb1とmAb28との組合せ、およびアイソタイプ対照)を10~0.0001nMの最終濃度で加えた。3日の共培養後に、IL-2サイトカイン産生を分析した。図11に示されるように、二重特異物3は、全ての試験した用量においてキイトルーダよりも多くのIL-2を誘導した。重要なことに、二重特異物3は、キイトルーダおよびmAb1とmAb28との組合せの両方と比較して、抗体のより低い濃度で開始してIL-2産生の増加を誘導した。
【0331】
PD-1発現決定アッセイ
以前に凍結したPBMCを解凍し、PBS中の0.1mg/mlのDNase Iと15分間インキュベートし、フィルターに通過させ、次に0.25μg/mlの抗CD3(クローンOKT3)および0.25μg/mlの抗CD28(クローンCD28.2)と共にhX-10中1×10細胞/mlで3日間プレーティングした。3日後に、細胞をスピンダウンし、過剰な培地を除去することにより細胞をhX-10中で2×10細胞/mlに調整した。細胞を次に再懸濁し、48ウェルプレート中に1×10細胞/ウェル(0.5ml)でプレーティングした。抗体(二重特異物3、キイトルーダ、mAb1とmAb28との組合せ、アテゾリズマブ、またはアイソタイプ対照)を次に各ウェルに加えて、0.01nMまたは1nMの抗体の最終濃度と共に、1ml/ウェルのhX-10の最終体積を得た。終夜の培養後に、細胞を1.5mlのエッペンドルフチューブに収集し、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する100ulの溶解緩衝液に溶解した。スピニングして粒子状物質の上清を清澄化させた後に、清澄化した上清をウエスタンブロットのための使用まで-80℃で貯蔵した。ウエスタンブロットのために、1XのLDS試料緩衝液および1Xの還元剤を含むように試料を調整し、70℃で10分間加熱し、次に20ul/ウェルを4~12%のBis-Trisゲルにロードした。ゲルに流した後に、それをニトロセルロース膜に移し、5%の乾燥乳を含有するTBS-0.1% Tween-20(TBST)を用いて室温で1時間遮断し、TBST中で洗浄し、次に5%のウシ血清アルブミンを含有するTBST中で抗PD-1(クローンD4W2J、セルシグナリングテクノロジーズ(Cell Signaling Technologies)社)または抗β-アクチン(クローン13E5、セルシグナリングテクノロジーズ(Cell Signaling Technologies)社)抗体と4℃で終夜インキュベートした。翌日、膜をTBST中で洗浄し、HRPコンジュゲート化抗ウサギIgG抗体とインキュベートし、TBST中で洗浄し、次にSUPERSIGNAL(商標) Pico基質を用いて顕色させた。化学発光および白色光画像をAmersham Imager 600上で収集し、重ね合わせて示される画像を生成した。図12Aに示されるように、二重特異物3は、PD-1の内部移行および/もしくはその後の分解ならびに/またはシェディングにより細胞PD-1発現の喪失を引き起こすその能力において特有である。
【0332】
その後のアッセイにおいて、以前に凍結したPBMCを解凍し、PBS中の0.1mg/mlのDNase Iと15分間インキュベートし、フィルターに通過させ、次に0.25μg/mlの抗CD3(クローンOKT3)および0.25μg/mlの抗CD28(クローンCD28.2)と共にhX-10中1×10細胞/mlで3日間プレーティングした。3日後に、細胞をスピンダウンし、過剰な培地を除去することにより細胞をhX-10中で2×10細胞/mlに調整した。細胞を次に再懸濁し、48ウェルプレート中に1×10細胞/ウェル(0.5ml)でプレーティングした。抗体(二重特異物3、キイトルーダ、mAb1とmAb28との組合せ、アテゾリズマブ、アテゾリズマブおよびキイトルーダ、50nMのmAb1との二重特異物3、またはアイソタイプ対照)を次に各ウェルに加えて0.1nM、1nM、または10nMの抗体の最終濃度と共に1ml/ウェルのhX-10の最終体積を得た。終夜の培養後に、細胞を1.5mlのエッペンドルフチューブに収集し、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する100ulの溶解緩衝液に溶解した。スピニングして粒子状物質の上清を清澄化させた後に、清澄化した上清をウエスタンブロットのための使用まで-80℃で貯蔵した。ウエスタンブロットのために、1XのLDS試料緩衝液および1Xの還元剤を含むように試料を調整し、70℃で10分間加熱し、次に10ul/ウェルを4~12%のBis-Trisゲルにロードした。ゲルに流した後に、それをニトロセルロース膜に移し、5%の乾燥乳を含有するTBS-0.1% Tween-20(TBST)を用いて室温で1時間遮断し、TBST中で洗浄し、次に5%のウシ血清アルブミンを含有するTBST中で抗PD-1(クローンD4W2J、セルシグナリングテクノロジーズ(Cell Signaling Technologies)社)または抗β-アクチン(クローン13E5、セルシグナリングテクノロジーズ(Cell Signaling Technologies)社)抗体と4Cで終夜インキュベートした。翌日、膜をTBST中で洗浄し、HRPコンジュゲート化抗ウサギIgG抗体とインキュベートし、TBST中で洗浄し、次にSUPERSIGNAL(商標) Pico基質を用いて顕色させた。化学発光および白色光画像をAmersham Imager 600上で収集し、重ね合わせて示される画像を生成した。図12B~12Cに示されるように、二重特異物3は、PD-1の内部移行および/もしくはその後の分解ならびに/またはPD-1のシェディングを通じて細胞表面PD-1発現の喪失を引き起こすその能力において特有である。追加的に、二重特異物3を含有するウェルに抗PD-L1抗体、mAb1を50nMで加えた場合、PD-1内部移行および/またはPD-1のその後の分解および/またはシェディングにより細胞表面PD-1発現の喪失を推進する二重特異物3の能力は喪失した。これは、二重特異物3の両方のアームは、PD-1の内部移行および/もしくは分解ならびに/またはシェディングにより細胞表面PD-1発現の喪失を推進するためにエンゲージメントされるべきであることを示唆する。
【0333】
図12Dは、二重特異物の両方の結合性アームを同時にエンゲージメントさせた場合に、二重特異物3を用いた処理は上清中のPD-1の量を増加させることを示す。PD-L1標的化アームをmAb1、親PD-L1アーム抗体により遮断した場合に、この効果は喪失される。これは、二重特異物3は上清へのPD-1のシェディングを増加させることを示唆する。
【0334】
結合性アームの配列と比べたその価数の効果を次に調査した。mAb1のVHおよびVL配列に由来するPD-L1に結合する第1のN末端Fab、ならびにmAb28のVHおよびVL配列に由来するPD-1に結合する第2のN末端Fabを有する新たな二重特異物(二重特異物5)を生成した。換言すれば、それらはPD-1およびPD-L1への結合のために同じVHおよびVL配列を共有するが、PD-L1に結合する二価アームおよびPD-1に結合する二価アームを有する二重特異物3と比較して、二重特異物5は、PD-L1に結合する1つの一価アームおよびPD-1に結合する1つの一価アームを有する。
【0335】
T75フラスコ中のIL-2およびIL-7を含有するhX-10培地中で40×10個のPBMCを0.25μg/mlの抗CD3および0.25μg/mlの抗CD28を用いて3日間処理した。細胞をマニピュレーションなしでフラスコ中で3日間インキュベートした。3日目に、古い培地を何ら洗浄除去することなく細胞を収集した。1×10細胞/ウェルならびに0.01nM、0.1nM、1nM、および10nMの抗体で、1mlの最終体積で、細胞を48ウェルプレートのウェルにプレーティングした。終夜のインキュベーション後に、ウェルから全ての細胞を収集するための洗浄と共に、細胞を1.5mlのチューブに収集し、次に溶解し、ウエスタンブロッティングのために使用した。ウエスタンブロットをPD-1およびアクチンについて実行した。図12Eは、結合性アームの価数はPD-1発現の喪失の程度に影響を及ぼすことを実証する。示されるように、PD-1発現の喪失は、二重特異物3(二価結合性アーム、総価数=4または四価)と比べてより高い用量の二重特異物5(一価結合性アーム、総価数=2または二価)において起こり始め、二重特異物3の価数の増加がこの差異の原因となることを示唆した。
【0336】
次に、細胞の形質膜からタンパク質を切断する原因となるシェダーゼまたはプロテアーゼである複数のMMPおよびADAMの広域阻害剤、バチマスタットを使用してADAM/MMP阻害の効果を調べた。簡潔に述べれば、T75フラスコ中のIL-2およびIL-7を含有するhX-10培地中で40×10個のPBMCを0.25μg/mlの抗CD3および0.25μg/mlの抗CD28を用いて3日間処理した。細胞をマニピュレーションなしでフラスコ中で3日間インキュベートした。3日目に、古い培地を何ら洗浄除去することなく細胞を収集した。1×10細胞/ウェルで、1mlの最終体積で、細胞を48ウェルプレートのウェルにプレーティングした。抗体を加える少なくとも1/2時間前に、バチマスタットまたはDMSO溶媒を0μM、1.25μM、2.5μM、5μM、および10μMの増加性濃度で加え、37CでプレインキュベートしてADAM/MMP阻害の帰結を調べた。アイソタイプ対照および二重特異物3を次に1nMで加えた。終夜のインキュベーション後に、ウェルから全ての細胞を収集するための洗浄と共に、細胞を1.5mlのチューブに収集し、次に溶解し、ウエスタンブロッティングのために使用した。ウエスタンブロットをPD-1およびアクチンについて実行した。図12Fは、複数のMMPおよびADAMの広域阻害剤、バチマスタットを用いた前処理は、細胞関連PD-1喪失の量を大きく低減することを実証し、PD-1の喪失またはシェディングはMMPまたはADAMプロテアーゼによる切断に起因することを示唆する。図12Gは、二重特異物3は、主に、トランス配置にある、すなわち、異なる細胞により発現されているPD-1およびPD-L1にそれが結合する場合に、細胞表面PD-1発現の喪失を推進することを示唆する。PD-1およびPD-L1は同じ細胞上に発現され得ることを考慮して、シスでPD-1およびPD-L1に結合する二重特異物3はPD-1発現もしくはPD-1シェディングの喪失を結果としてもたらすかどうか、または二重特異物3による結合はトランスである必要があり、二重特異物3はPD-L1を発現する腫瘍細胞などの第1の細胞、およびPD-1を発現するTエフェクター細胞などの第2の細胞をブリッジ形成させるかどうかを調査した。PD-1のみ、PD-L1のみ、またはPD-1およびPD-L1の両方を発現するJurkat細胞を実験において使用した。簡潔に述べれば、計0.5×10個のPD-1を発現するJurkat細胞、PD-1およびPD-L1を発現するJurkat細胞、またはPD-1のみもしくはPD-L1のみを発現するJurkat細胞の1:1の混合物を0.01、0.1および1nMのアイソタイプ対照または二重特異物3を用いて処理した。終夜のインキュベーション後に、ウェルから全ての細胞を収集するための洗浄と共に、細胞を1.5mlのチューブに収集し、次に溶解し、ウエスタンブロッティングのために使用した。ウエスタンブロットを実行してPD-1およびアクチンレベルを決定した。
【0337】
二重特異物3のin vivo機能
HLA A02:01ドナーからの13日目の拡大増殖したCMV抗原特異的CD8+
T細胞を収集し、次にHLA-A02:01、CMVタンパク質pp65-IRES-GFP、およびPD-L1を発現するK562細胞(「KACP」)とに2:1のKACP:CMV T細胞の比で、およびマトリゲルと混合して、100μlが1Xのマトリゲル、5×10個のKACP細胞、および2.5×10個のCMV T細胞を含むようにした。NSGマウスの脇腹の皮下にマウス当たり100ulの調製したマトリゲル-KACP-CMV T細胞混合物を移植した。抗体投与を移植の日に開始し、等モル量(各モノクローナルについて200μg、二重特異物3について333μg)で与え、マウスに抗体を3日毎に再投与した。処置群は、マトリゲル中のKACP腫瘍細胞を単独で与えた対照群(「無T細胞移入」)、ならびにアイソタイプ、キイトルーダ、mAb1およびmAb28(mAb1+mAb28)、または二重特異物3を与えた群を含んだ。群当たり5匹のマウスとし、マウスを1日毎にモニターし、腫瘍を週に2回測定した。プロトコールを図13Aに図式的に描写する。図13Bに示されるように、無T細胞移入群は、T細胞を含有する任意の群よりも激しく成長する腫瘍を有した。このモデルにおいて、キイトルーダは、アイソタイプ対照と比較してKACP腫瘍成長の遅延において利益を与えなかった。二重特異物3群ならびに組合せmAb1およびmAb28群の両方は、アイソタイプ群およびキイトルーダ群の両方と比較して腫瘍成長における有意な遅延を有した。24日目に、二重特異物3群およびmAb1とmAb28との組合せを用いて処置された群の間に有意な相違があり、二重特異物3は組合せと比較して腫瘍成長における遅延を引き起こした。
【0338】
実施例6:二重特異物3の薬理学的調査のためのin vivo研究
NSGマウスにおけるK562-A2-CMV-PD-L1標的細胞およびCMV T細胞の併用接種モデル
図13Aに図式的に描写されるプロトコールを用いた2つの別々の研究において、NSG雌マウスの皮下(s.c.)に5×10個のK562-A2-CMV-PD-L1(「KACP」)細胞ならびに同じドナーからin vitroで拡大増殖した2.5×10図13Bおよび図14A;エフェクター:標的比=0.5:1)または5×10図14B;エフェクター:標的比=1:1)個のCMV特異的T細胞を含有する100μLのマトリゲルを併用注射した。マウスを接種の日にそれぞれ群当たり5匹のマウス、または群当たり10匹のマウスの5群に盲検で群化した。ヒトT細胞の抗腫瘍活性を決定するために、両方の研究においてマウスの第1の群に腫瘍細胞のみを注射した。第2の群にヒトIgG1アイソタイプ対照抗体(0.2mg Q3D×5)を与えた。第3の群にキイトルーダ(0.2mg Q3D×5)を与え、第4の群を二重特異物3(0.333mg Q3D×5)を用いて処置し、第5の群に抗PD-1(mAb28)抗体と抗PD-L1(mAb1)抗体との組合せ(各0.2mg Q3D×5)を与えた。全ての抗体はi.p.で注射し、投与は移植日に開始した。腫瘍体積測定、体重喪失、および全生存によりモニターされる腫瘍成長により抗腫瘍活性を決定した。腫瘍サイズおよび体重を週当たり2~3回測定し、腫瘍が2000mmに接近したか、またはマウスが体重の20%を喪失した時にマウスを安楽死させた。Graph Pad Prismソフトウェアを使用してデータを分析およびグラフ化した。図14Aおよび図14Bに図示されるように、二重特異物3は、試験した異なるモノクローナル抗体と比較して増加した抗腫瘍有効性を表し示した。
【0339】
移植可能な同系マウスモデル
乳がんEMT-6細胞(5×10/マウス)をBALB/c雌マウスの乳房脂肪パッドに移植した。腫瘍が確立された時に(腫瘍体積約50mm)、マウスを群化し(n=8)、ヒトIgG1アイソタイプ対照(0.2mg Q3D×3)または二重特異物3(0.333mg Q3D×3)を用いて処置した。抗体はi.p.注射により送達した。
【0340】
類似した研究設計を使用して、膀胱がんMB-49細胞(5×10/マウス)を雌C57BL/6マウスにs.c.で注射した。腫瘍が確立された時に(腫瘍体積約75mm)マウスを群化し(n=8)、ヒトIgG1アイソタイプ対照(0.2mg Q3D×3)または二重特異物3(0.333mg Q3D×3)を用いて処置した。抗体はi.p.注射により送達した。
【0341】
両方の研究について、腫瘍サイズおよび体重を週当たり2~3回測定し、腫瘍が2000mmに接近したか、またはマウスが体重の20%を喪失した時にマウスを安楽死させた。Graph Pad Prismソフトウェアにより結果をプロットし、グラフ化し、分析した。二重特異物3は、アイソタイプ対照処置と比較してEMT-6乳がん細胞モデル(図15A)およびMB-49細胞モデル(図15B)においてより大きい抗腫瘍有効性を示した。
【0342】
トランスジェニックマウスにおける操作された移植可能な同系モデル
ヒトPD-L1を発現するように操作されたマウス結腸がんMC-38細胞(MC-38-hPD-L1)を、受容体-リガンドペアの膜貫通およびシグナル伝達ドメインを改変せずにPD-1およびPD-L1の細胞外ドメインをヒトPD-1およびPD-L1で置き換えたC57BL/6雌マウスにs.c.で注射した。ヒトPD-1およびPD-L1の遺伝子ノックインは、マウスPD-1と相互作用せず、そのため同系マウスモデルにおいて評価できないキイトルーダと突き合わせて我々の二重特異性PD-1×PD-L1抗体を試験することを可能とした。確立されたMC-38-hPD-L1腫瘍を有するマウスを群化し(n=8)、アイソタイプ対照(0.2mg Q3D×3)、キイトルーダ(0.2mg Q3D×3)、または二重特異物3(0.333mg Q3D×3)を用いてi.p.で処置した。二重特異物3を用いた処置は、アイソタイプ対照またはキイトルーダ処置よりも有意に良好にMC-38-hPD-L1腫瘍成長を制御した(図16A)。追加的に、二重特異物3処置は、アイソタイプ対照またはキイトルーダ処置マウスと比較してMC-38-hPD-L1腫瘍マウスにおける生存の増加を結果としてもたらした(図16B)。
【0343】
別々の研究において、C57BL/6ヒトPD-1/PD-L1トランスジェニック雌マウスに極めて高悪性度のマウス黒色腫細胞系である1×10個のB16F10-hPD-L1細胞をs.c.で注射した。以下の処置を与えた5つの群において黒色腫が可視的になったら直ちに(腫瘍細胞接種後4日目)マウスを群化した(n=8)。群1にはアイソタイプ対照ヒトIgG1(0.2mg Q3D×3)を、群2にはアベルマブ(0.2mg Q3D×3)を、群3にはキイトルーダ(0.2mg Q3D×3)を、群4には二重特異物3(0.333 Q3D×3)を、群5にはキイトルーダとアベルマブとの組合せ(各0.2mg Q3D×3)を与えた。両方の研究について腫瘍サイズおよび体重を週当たり2~3回測定し、腫瘍が2000mmに接近したか、またはマウスが体重の20%を喪失した時にマウスを安楽死させた。生存を記録し、分析した。Graph Pad Prismソフトウェアによりデータをプロットし、グラフ化し、分析した。図17Aおよび図17Bに図示されるように、二重特異物3は、試験した他の処置群と比較してB16F10-hPD-L1マウスにおける腫瘍成長の遅延において有意により有効であった。追加的に、二重特異物3を用いて処置されたB16F10-hPD-L1マウスは、他の試験した処置を与えられたマウスよりも平均でより長く生存した(図17Cおよび図17E)。
【0344】
実施例7:二重特異物3はモノクローナル様DLPおよび親様結合を有する
図18A~18Dは、二重特異物3は、良好に挙動するモノクローナル抗体に類似した薬物様特性(DLP)を有し、親PD-1およびPD-L1結合を維持することを実証する。図18Aは、二重特異物3は、ヒトPD-1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb28と類似した結合(上)、およびヒトPD-L1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb1と類似した結合(下)を示すことを示す。図18Bは、二重特異物3は、カニクイザルPD-1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb28と類似した結合(上)、およびカニクイザルPD-L1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb1と類似した結合(下)を示すことを示す。図18Cは、二重特異物3は、マウスPD-1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb28と類似した結合(上)、およびマウスPD-L1を発現するCHO細胞に対して親クローンmAb1と類似した結合(下)を示すことを示す。図18Dは、98%より高い純度を有する単一のピークを実証するプロテインAクロマトグラフィー後の二重特異物3のサイズ排除クロマトグラフィートレース(上)、および分子が高い熱安定性を有することを実証する二重特異物3の示差走査蛍光定量法(DSF)トレース(下)を示す。
【0345】
(付記)
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[項目1]
1少なくとも2つの抗原結合性アームを含む多重特異性抗原結合性構築物であって、第1のアームが、免疫細胞により発現されたPD-1に結合し、第2のアームが、第2の細胞により発現されたPD-1リガンドに結合し、前記多重特異性抗原結合性構築物がPD-1およびPD-1リガンドの相互作用を遮断する、多重特異性抗原結合性構築物。
[項目2]
前記PD-1リガンドがPD-L2である、項目1に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目3]
前記PD-1リガンドがPD-L1である、項目1に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目4]
前記免疫細胞がT細胞である、項目1乃至3のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目5]
前記T細胞がCD8+ T細胞である、項目4に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目6]
前記免疫細胞がナチュラルキラー(NK)細胞である、項目1乃至3のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目7]
前記免疫細胞がマクロファージである、項目1乃至3のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目8]
前記第2の細胞が第2の免疫細胞である、項目1乃至6のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目9]
前記第2の免疫細胞が、T細胞、B細胞、マクロファージ、骨髄由来抑制細胞、樹状細胞、または間葉間質細胞のいずれか1つまたは複数である、項目8に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目10]
前記第2の免疫細胞が制御性T細胞である、項目9に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目11]
前記第2の細胞が腫瘍細胞である、項目1乃至7のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目12]
前記腫瘍細胞が、血液がん、リンパ腫、骨髄腫、白血病、神経学的がん、黒色腫、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、頭頸部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器がん、骨がん、腎臓がん、および血管がんからなる群から選択される、項目11に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目13]
両方のアームが、少なくとも1×10-7M、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、または少なくとも1×10-10MのKを有する、項目1乃至12のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目14]
1つのアームのその標的への結合が、他のアームのその標的への結合を遮断しない、項目1乃至13のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目15]
前記第1のアームおよび第2のアームがそれらの各々の標的に結合し、両方のアームが同時に結合したままとなる、項目1乃至14のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目16]
前記第1のアームおよび前記第2のアームのそれらの各々の標的への結合が、前記免疫細胞および前記第2の細胞を一緒になるようにブリッジ形成させることができる、項目1乃至15のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目17]
前記免疫細胞および前記第2の細胞の前記ブリッジ形成が、フローサイトメトリーにより決定される、項目16に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目18]
前記第1のアームがPD-1のアンタゴニストである、項目1乃至17のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目19]
前記第1のアームが、
(a)(i)配列番号70(FTFXYAXであり、X=S、R、G、またはNであり、X=D、S、N、A、R、またはGであり、X=MまたはLであり、X=S、L、またはNである)を含むCDRH1、(ii)配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号72(ARGLDFIVGXTGNDYであり、X=A、Y、またはRである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
(b)(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目18に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目20]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号73(FTFSDYAMS)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目21]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号73(FTFSDYAMS)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目22]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号76(FTFSSYAMS)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目23]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号77(FTFSSYAML)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目24]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号78(FTFSNYALS)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目25]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号79(FTFSAYAMN)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目26]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号80(FTFRSYAMS)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目27]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号81(FTFGRYAMS)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目28]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号82(FTFNSYAMS)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目29]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号83(FTFSNYAMS)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目30]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号84(FTFSGYAMS)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目31]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号86(FTFSSYAMN)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目32]
前記第1のアームのCDRH1が配列番号80(FTFRSYAMS)を含み、前記第1のアームのCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、前記第1のアームのCDRH3が配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目33]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号87に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目34]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号88に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目35]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号89に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目36]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号90に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目37]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号91に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目38]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号92に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目39]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号93に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目40]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号94に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目41]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号95に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目42]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号96に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目43]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号97に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目44]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号98に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目45]
前記第1のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号99に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目46]
前記第1のアームの前記軽鎖可変領域が、配列番号59に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目19乃至45のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目47]
前記第2のアームが前記PD-1リガンドのアンタゴニストである、項目1乃至46のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目48]
前記第2のアームがPD-L2のアンタゴニストである、項目1乃至47のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目49]
前記第2のアームがPD-L1のアンタゴニストである、項目1乃至47のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目50]
前記第2のアームが、
a.(i)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、(ii)配列番号2(GGIIPXGXATYAであり、XはVまたはIであり、XはF、L、またはVであり、XはTまたはAである)を含むCDRH2、および(iii)配列番号3(ARLKXELKDAFDIであり、XはG、F、またはNである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
b.(i)配列番号4(RASQXISSYLNであり、XはS、W、またはQである)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号6(XQSYSTPLTであり、XはQまたはFである)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目49に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目51]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目52]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目51に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目53]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目54]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目55]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号12(RASQWISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目54に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目56]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号13(RASQQISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目54に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目57]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目58]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目59]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目58に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目60]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目61]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目60に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目62]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目63]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目62に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目64]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目65]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目64に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目66]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目67]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目66に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目68]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目69]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目68に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目70]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目71]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目70に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目72]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目73]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目72に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目74]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目75]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目74に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目76]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目77]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目76に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目78]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号38(FQSYSTPLT)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目79]
前記第2のアームのCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、前記第2のアームのCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、前記第2のアームのCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、前記第2のアームのCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、前記第2のアームのCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、前記第2のアームのCDRL3が配列番号39(QQSYSTILT)を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目80]
前記第2のアームが、
a.(i)配列番号14(GTFSSYAFS)を含むCDRH1、(ii)配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2および(iii)配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
b.(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目81]
前記第2のアームが、(i)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号24(GGIIPIVGIANYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目82]
前記第2のアームが、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目81に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目83]
前記第2のアームが、(i)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号25(ARLKGEFKDAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目84]
前記第2のアームが、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目83に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目85]
前記第2のアームが、(i)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号26(GRIIPLFGTAHYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目86]
前記第2のアームが、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目85に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目87]
前記第2のアームが、(i)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号27(GRINPILGTANYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号28(ARLKGELKDAFSI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目88]
前記第2のアームが、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目87に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目89]
前記第2のアームが、(i)配列番号23(GTFSSYAIS)を含むCDRH1、(ii)配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目90]
前記第2のアームが、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目89に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目91]
前記第2のアームが、(i)配列番号36(GPFRSHAVS)を含むCDRH1、(ii)配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号37(ARLKSELKDAFDI)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目92]
前記第2のアームが、(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目91に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目93]
前記第2のアームが、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58のいずれか1つに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号59、60、61、62、または63のいずれか1つに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、項目50に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目94]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号35(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTMVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目95]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号40(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAFSWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目96]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号41(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGIANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目97]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号42(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPNFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKGAGDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目98]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号43(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKFELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目99]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号44(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDEWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目100]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号45(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTAST)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目101]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号46(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKNELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目102]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号47(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGVIPFLGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGILKDALDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目103]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号48(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQDLEWMGGIIPIVGIANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目104]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号49(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGEFKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目105]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号50(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGRIIPLFGTAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目106]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号51(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGRINPILGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFSIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目107]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号52(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGRIIPIFGTADYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目108]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号53(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGKFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKCAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目109]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号54(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPILGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目110]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号55(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPILGAATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目111]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号56(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPIVATANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目112]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号57(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRKGELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目113]
前記第2のアームの前記重鎖可変領域が、配列番号58(QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGPFRSHAVSWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTATYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLKSELKDAFDIWGQGTLVTVSS)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目114]
前記第2のアームの前記軽鎖可変領域が、配列番号59(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPLTFGGGTKVEIK)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目115]
前記第2のアームの前記軽鎖可変領域が、配列番号60(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQWISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPLTFGGGTKVEIK)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目116]
前記第2のアームの前記軽鎖可変領域が、配列番号61(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQQISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPLTFGGGTKVEIK)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目117]
前記第2のアームの前記軽鎖可変領域が、配列番号62(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCFQSYSTPLTFGGGTKVEIK)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目118]
前記第2のアームの前記軽鎖可変領域が、配列番号63(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTILTFGGGTKVEIK)に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目93に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目119]
二重特異性抗体である、項目1乃至118のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目120]
前記二重特異性抗体がPD-1およびPD-1リガンドの両方のアンタゴニストである、項目119に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目121]
共通の軽鎖を含む、項目1乃至120のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目122]
前記アームの一方または両方がアプタマーである、項目1乃至118のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目123]
前記アームの一方または両方が抗体以外のタンパク質である、項目1乃至118のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目124]
少なくとも2つの二重特異性抗体を含む、項目1乃至121のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目125]
前記少なくとも2つの二重特異性抗体の1つがPD-1について一価である、項目124に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目126]
前記少なくとも2つの二重特異性抗体の1つがPD-1リガンドについて一価である、項目124に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目127]
前記アームの少なくとも1つがPD-1に対して特異的な二価抗体である、項目1乃至118のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目128]
前記アームの少なくとも1つがPD-L1に対して特異的な二価抗体である、項目1乃至118のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目129]
前記アームの少なくとも1つがPD-1に対して特異的な二価抗体であり、前記アームの少なくとも1つがPD-L1に対して特異的な二価抗体である、項目1乃至118のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目130]
前記二重特異性抗体がPD-1上の2つの異なるエピトープに結合する、項目125に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目131]
前記二重特異性抗体がPD-1リガンド上の2つの異なるエピトープに結合する、項目126に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目132]
Fcドメインを含まない、項目1乃至131のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目133]
前記第1のアームもしくは第2のアーム、または両方が、1つまたは複数の免疫グロブリンFc改変を含む重鎖を含む、項目1乃至131のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目134]
前記重鎖の免疫グロブリンFcドメインが、前記第1および第2のアームのヘテロ二量体化を促進する1つまたは複数のアミノ酸突然変異を含む、項目133に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目135]
前記突然変異が前記重鎖のCH3ドメイン中に存在する、項目134に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目136]
クアドローマ細胞中で製造される、項目1乃至135のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目137]
1つまたは複数の免疫グロブリン定常領域改変を含む、項目1乃至136のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目138]
免疫グロブリン定常領域が、抗体のヘテロ二量体化を促進する1つまたは複数のアミノ酸突然変異を含む、項目1乃至137のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目139]
1つまたは複数の突然変異が1つのアームの軽鎖定常領域中に存在し、1つまたは複数の突然変異が別のアームの重鎖定常領域中に存在する、項目138に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目140]
二重特異性抗体が、二重特異性IgG、二重特異性抗体断片、二重特異性融合タンパク質、付加型IgG、および二重特異性抗体コンジュゲートからなる群から選択されるフォーマットのものである、項目119または124乃至139のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目141]
Fc領域が低減したエフェクター機能を有する、項目133乃至140のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目142]
Fc領域が前記構築物の半減期を増進する、項目133乃至141のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目143]
前記アームの少なくとも1つがPD-1について二価である、項目1乃至142のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目144]
前記アームの少なくとも1つがPD-L1について二価である、項目1乃至142のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目145]
前記アームの少なくとも1つがPD-1について二価であり、前記アームの少なくとも1つがPD-L1について二価である、項目1乃至142のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目146]
配列番号100または102のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列を含む、項目1乃至18のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目147]
配列番号101または103のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、項目1乃至18のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目148]
前記構築物が、配列番号100のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列を含み、前記構築物が、配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、項目1乃至18のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目149]
前記構築物が、配列番号102のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列を含み、前記構築物が、配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、項目1乃至18のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目150]
前記多重特異性抗原結合性構築物の結合が、前記免疫細胞によるPD-1発現の低減を引き起こす、項目1乃至149のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目151]
前記多重特異性抗原結合性構築物の結合が、前記免疫細胞からのPD-1のシェディングを誘導することによりPD-1細胞発現を低減する、項目1乃至150のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目152]
抗原結合の少なくとも2つの単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の第1の単位がPD-1に結合し、抗原結合の第2の単位がPD-1リガンドに結合する、多重特異性抗原結合性構築物。
[項目153]
抗原結合の前記第1の単位が、免疫細胞により発現されたPD-1に結合する、項目152に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目154]
抗原結合の前記第2の単位が、第2の細胞により発現されたPD-1リガンドに結合する、項目152または153に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目155]
PD-1および前記PD-1リガンドの相互作用を遮断する、項目152乃至154のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目156]
PD-1に結合する抗原結合の少なくとも2つの単位を含む、項目152乃至155のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目157]
PD-1リガンドに結合する抗原結合の少なくとも2つの単位を含む、項目152乃至156のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目158]
PD-1に結合する抗原結合の2つの単位を含む、項目152乃至157のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目159]
PD-1リガンドに結合する抗原結合の2つの単位を含む、項目152乃至158のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目160]
抗原結合の少なくとも4つの単位を含み、抗原結合の2つの単位がPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位がPD-1リガンドに結合する、項目152乃至159のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目161]
抗原結合の4つの単位を含み、抗原結合の2つの単位がPD-1に結合し、抗原結合の2つの単位がPD-1リガンドに結合する、項目152乃至160のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目162]
前記多重特異性抗原結合性構築物の結合が免疫細胞によるPD-1発現の低減を引き起こす、項目152乃至161のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目163]
前記多重特異性抗原結合性構築物の結合が、免疫細胞からのPD-1のシェディングを誘導することによりPD-1細胞発現を低減する、項目152乃至162のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目164]
前記PD-1リガンドがPD-L2である、項目152乃至163のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目165]
前記PD-1リガンドがPD-L1である、項目152乃至163のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目166]
前記免疫細胞がT細胞である、項目153に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目167]
前記T細胞がCD8+ T細胞である、項目166に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目168]
前記免疫細胞がナチュラルキラー(NK)細胞である、項目153に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目169]
前記免疫細胞がマクロファージである、項目153に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目170]
前記第2の細胞が第2の免疫細胞である、項目154に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目171]
前記第2の免疫細胞が、T細胞、B細胞、マクロファージ、骨髄由来抑制細胞、樹状細胞、または間葉間質細胞のいずれか1つまたは複数である、項目170に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目172]
前記第2の免疫細胞が制御性T細胞である、項目170に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目173]
前記第2の細胞が腫瘍細胞である、項目154に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目174]
前記腫瘍細胞が、血液がん、リンパ腫、骨髄腫、白血病、神経学的がん、黒色腫、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肺がん、頭頸部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器がん、骨がん、腎臓がん、および血管がんからなる群から選択される、項目173に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目175]
抗原結合の両方の単位が、少なくとも1×10-7M、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、または少なくとも1×10-10MのKを有する、項目152乃至174のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目176]
抗原結合の1つの単位のその標的への結合が、抗原結合の他の単位のその標的への結合を遮断しない、項目152乃至175のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目177]
抗原結合の前記第1の単位および抗原結合の前記第2の単位がそれらの各々の標的に結合し、抗原結合の両方の単位が同時に結合したままとなる、項目152乃至176のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目178]
抗原結合の前記第1の単位および抗原結合の前記第2の単位のそれらの各々の標的への結合が、免疫細胞および第2の細胞を一緒になるようにブリッジ形成させることができる、項目152乃至177のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目179]
前記免疫細胞および前記第2の細胞の前記ブリッジ形成が、フローサイトメトリーにより決定される、項目178に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目180]
抗原結合の前記第1の単位がPD-1のアンタゴニストである、項目152乃至179のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目181]
抗原結合の前記第1の単位が、
(a)(i)配列番号70(FTFXYAXであり、X=S、R、G、またはNであり、X=D、S、N、A、R、またはGであり、X=MまたはLであり、X=S、L、またはNである)を含むCDRH1、(ii)配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号72(ARGLDFIVGXTGNDYであり、X=A、Y、またはRである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
(b)(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目180に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目182]
(a)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号73(FTFSDYAMS)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含み、
(b)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号73(FTFSDYAMS)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、
(c)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号76(FTFSSYAMS)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、
(d)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号77(FTFSSYAML)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、
(e)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号78(FTFSNYALS)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、
(f)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号79(FTFSAYAMN)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、
(g)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号80(FTFRSYAMS)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、
(h)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号81(FTFGRYAMS)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、
(i)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号82(FTFNSYAMS)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号75(ARGLDFIVGYTGNDY)を含み、
(j)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号83(FTFSNYAMS)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号74(ARGLDFIVGATGNDY)を含み、
(k)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号84(FTFSGYAMS)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含み、
(l)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号86(FTFSSYAMN)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含み、または
(m)抗原結合の前記第1の単位のCDRH1が配列番号80(FTFRSYAMS)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH2が配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含み、抗原結合の前記第1の単位のCDRH3が配列番号85(ARGLDFIVGRTGNDY)を含む、項目181に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目183]
(a)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号87に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(b)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号88に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(c)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号89に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(d)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号90に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(e)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号91に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(f)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号92に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(g)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号93に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(h)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号94に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(i)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号95に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(j)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号96に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(k)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号97に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(l)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号98に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、または
(m)抗原結合の前記第1の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号99に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目181に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目184]
抗原結合の前記第1の単位の前記軽鎖可変領域が、配列番号59に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目181乃至183のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目185]
抗原結合の前記第2の単位が前記PD-1リガンドのアンタゴニストである、項目152乃至184のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目186]
抗原結合の前記第2の単位がPD-L2のアンタゴニストである、項目152乃至185のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目187]
抗原結合の前記第2の単位がPD-L1のアンタゴニストである、項目152乃至185のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目188]
抗原結合の前記第2の単位が、
a.(i)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、(ii)配列番号2(GGIIPXGXATYAであり、XはVまたはIであり、XはF、L、またはVであり、XはTまたはAである)を含むCDRH2、および(iii)配列番号3(ARLKXELKDAFDIであり、XはG、F、またはNである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
b.(i)配列番号4(RASQXISSYLNであり、XはS、W、またはQである)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号6(XQSYSTPLTであり、XはQまたはFである)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目187に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目189]
(a)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、
(b)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号7(GGIIPILGAATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(c)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(d)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、
(e)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号12(RASQWISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(f)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号13(RASQQISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(g)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(h)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、
(i)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号15(GGIIPIFGIANYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(j)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含み、
(k)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号16(GGIIPNFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号17(ARLKGELKGAGDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(l)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含み、
(m)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号18(ARLKFELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(n)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含み、
(o)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号19(ARLKGELKDAFDE)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(p)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含み、
(q)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号20(ARLKNELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(r)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含み、
(s)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号21(GGVIPFLGTANYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号22(ARLKGILKDALDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(t)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、
(u)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号29(GRIIPIFGTADYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(v)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、
(w)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号31(GGIIPILGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(x)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、
(y)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号33(GGIIPIVATANYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(z)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、
(aa)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号34(GGIIPIFGKATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号32(ARRKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(bb)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号38(FQSYSTPLT)を含み、
(cc)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号1(GTFSSYAIN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号39(QQSYSTILT)を含み、
(dd)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号14(GTFSSYAFS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(ee)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号24(GGIIPIVGIANYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、
(ff)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号24(GGIIPIVGIANYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(gg)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号25(ARLKGEFKDAFDI)を含み、
(hh)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号25(ARLKGEFKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(ii)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号26(GRIIPLFGTAHYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、
(jj)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号26(GRIIPLFGTAHYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号8(ARLKGELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(kk)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号27(GRINPILGTANYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号28(ARLKGELKDAFSI)を含み、
(ll)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号27(GRINPILGTANYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号28(ARLKGELKDAFSI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(mm)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含み、
(nn)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号23(GTFSSYAIS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号30(ARLKGELKCAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含み、
(oo)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号36(GPFRSHAVS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号37(ARLKSELKDAFDI)を含み、または
(pp)抗原結合の前記第2の単位のCDRH1が配列番号36(GPFRSHAVS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH2が配列番号11(GGIIPVFGTATYA)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRH3が配列番号37(ARLKSELKDAFDI)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL1が配列番号9(RASQSISSYLN)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL2が配列番号5(AASSLQS)を含み、抗原結合の前記第2の単位のCDRL3が配列番号10(QQSYSTPLT)を含む、項目188に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目190]
抗原結合の前記第2の単位が、配列番号35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、または58のいずれか1つに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号59、60、61、62、または63のいずれか1つに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、項目188に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目191]
(a)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号35に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(b)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号40に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(c)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号41に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(d)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号42に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(e)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号43に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(f)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号44に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(g)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号45に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(h)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号46に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(i)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号47に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(j)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号48に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(k)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号49に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(l)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号50に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(m)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号51に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(n)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号52に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(o)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号53に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(p)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号54に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(q)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号55に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(r)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号56に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(s)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号57に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、または
(t)抗原結合の前記第2の単位の前記重鎖可変領域が、配列番号58に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目188に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目192]
(a)抗原結合の前記第2の単位の前記軽鎖可変領域が、配列番号59に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(b)抗原結合の前記第2の単位の前記軽鎖可変領域が、配列番号60に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(c)抗原結合の前記第2の単位の前記軽鎖可変領域が、配列番号61に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、
(d)抗原結合の前記第2の単位の前記軽鎖可変領域が、配列番号62に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含み、または
(e)抗原結合の前記第2の単位の前記軽鎖可変領域が、配列番号63に対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、項目188に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目193]
二重特異性抗体である、項目152乃至192のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目194]
前記二重特異性抗体がPD-1およびPD-1リガンドの両方のアンタゴニストである、項目193に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目195]
共通の軽鎖を含む、項目152乃至194のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目196]
少なくとも2つの二価抗体またはその抗原結合性部分を含む、項目152乃至195のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目197]
PD-1に対して特異的な二価抗体を含む、項目152乃至196のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目198]
PD-L1に対して特異的な二価抗体を含む、項目152乃至196のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目199]
PD-1に対して特異的な二価抗体、およびPD-L1に対して特異的な二価抗体を含む、項目152乃至196のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目200]
前記二重特異性抗体がPD-1上の2つの異なるエピトープに結合する、項目193に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目201]
前記二重特異性抗体が前記PD-1リガンド上の2つの異なるエピトープに結合する、項目103に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目202]
抗原結合の前記第1の単位もしくは抗原結合の前記第2の単位、または両方が、1つまたは複数の免疫グロブリンFc改変を含む重鎖を含む、項目152乃至201のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目203]
前記重鎖の免疫グロブリンFcドメインが、抗原結合の前記第1および第2の単位のヘテロ二量体化を促進する1つまたは複数のアミノ酸突然変異を含む、項目202に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目204]
前記突然変異が前記重鎖のCH3ドメイン中に存在する、項目203に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目205]
クアドローマ細胞中で製造される、項目152乃至204のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目206]
1つまたは複数の免疫グロブリン定常領域改変を含む、項目152乃至205のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目207]
前記免疫グロブリン定常領域が、抗体のヘテロ二量体化を促進する1つまたは複数のアミノ酸突然変異または置換を含む、項目206に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目208]
前記1つまたは複数の突然変異が抗原結合の1つの単位の軽鎖定常領域中に存在し、前記1つまたは複数の突然変異が抗原結合の別の単位の重鎖定常領域中に存在する、項目207に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目209]
二重特異性抗体が、二重特異性IgG、二重特異性抗体断片、二重特異性融合タンパク質、付加型IgG、および二重特異性抗体コンジュゲートからなる群から選択されるフォーマットのものである、項目193乃至208のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目210]
低減したエフェクター機能を有するFc領域を含む、項目152乃至209のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目211]
前記構築物の半減期を増進するFc領域を含む、項目152乃至210のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目212]
配列番号100または102のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列を含む、項目152乃至211のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目213]
配列番号101または103のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、項目152乃至212のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目214]
前記構築物が、配列番号100のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列を含み、前記構築物が、配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、項目152乃至213のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目215]
前記構築物が、配列番号102のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列を含み、前記構築物が、配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、項目152乃至213のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目216]
Fcドメインを含まない、項目152乃至201のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物。
[項目217]
抗原結合の4つの単位を含む多重特異性抗原結合性構築物であって、抗原結合の第1および第2の単位がPD-1に結合し、抗原結合の第3および第4の単位がPD-L1に結合し、前記多重特異性抗原結合性構築物がPD-1およびPD-L1の相互作用を遮断し、前記構築物が、配列番号100のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の重鎖アミノ酸配列、および配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一の軽鎖アミノ酸配列を含む、多重特異性抗原結合性構築物。
[項目218]
項目1乃至217のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物をコードする核酸。
[項目219]
項目218に記載の核酸を含む発現ベクター。
[項目220]
1つまたは複数の発現制御配列をさらに含む、項目219に記載の発現ベクター。
[項目221]
項目219または220に記載の発現ベクターを含む細胞。
[項目222]
哺乳動物細胞である、項目221に記載の細胞。
[項目223]
前記哺乳動物細胞が齧歯動物細胞である、項目222に記載の細胞。
[項目224]
前記齧歯動物細胞がCHO細胞である、項目223に記載の細胞。
[項目225]
多重特異性抗原結合性構築物を製造する方法であって、項目221乃至224のいずれか1項に記載の細胞を前記細胞による前記発現ベクターからの前記多重特異性抗原結合性構築物の発現のために好適な条件下で培養することを含む、方法。
[項目226]
前記細胞または前記細胞が培養された培地から前記構築物を単離することをさらに含む、項目225に記載の方法。
[項目227]
項目1乃至217のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物を含む医薬組成物。
[項目228]
(a)項目1乃至217のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物および
(b)(a)の多重特異性抗原結合性構築物にコンジュゲート化した異種部分を含む、タンパク質コンジュゲート分子。
[項目229]
前記異種部分が、治療剤、毒素、薬物、または放射性部分である、項目228に記載のタンパク質コンジュゲート分子。
[項目230]
それを必要とする対象において増殖性障害を治療する方法であって、前記対象に治療有効量の項目1乃至217のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物、または項目227に記載の医薬組成物または項目228もしくは229に記載のタンパク質コンジュゲート分子を投与し、それにより、前記対象において前記増殖性障害を治療する工程を含む、方法。
[項目231]
それを必要とする対象においてがんを治療しもしくはその進行を遅延させまたは腫瘍成長を低減もしくは阻害する方法であって、前記対象に治療有効量の項目1乃至217のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物、または項目227に記載の医薬組成物または項目228もしくは229に記載のタンパク質コンジュゲート分子を投与し、それにより、前記対象においてがんを治療しもしくはその進行を遅延させまたは腫瘍成長を低減もしくは阻害する工程を含む、方法。
[項目232]
前記増殖性障害ががんである、項目230に記載の方法。
[項目233]
前記がんが、血液がん、神経学的がん、黒色腫、乳がん、肺がん、頭頸部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器がん、骨がん、および血管がんからなる群から選択される、項目231または232に記載の方法。
[項目234]
前記対象が、PD-L1を発現するがんを有する、項目231乃至233のいずれか1項に記載の方法。
[項目235]
それを必要とする対象において免疫応答を増進する方法であって、前記対象に治療有効量の項目1乃至217のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物、または項目227に記載の医薬組成物または項目228もしくは229に記載のタンパク質コンジュゲート分子を投与し、それにより、前記対象において前記免疫応答を増進する工程を含む、方法。
[項目236]
前記増進した免疫応答が、増進したT細胞機能、増進したNK細胞機能、または増進したマクロファージ機能のいずれか1つまたは複数を含む、項目235に記載の方法。
[項目237]
T細胞機能の前記増進が、PD-1もしくはPD-1リガンドのいずれかに結合する剤、またはPD-1に結合する剤およびPD-1リガンドに結合する剤を含むカクテルと比較して、前記多重特異性抗原結合性構築物の投与でより大きい、項目236に記載の方法。
[項目238]
前記T細胞機能が、T細胞からの増加したIFN-γ産生、増進したT細胞生存、増加したT細胞増殖、または疲弊T細胞表現型からのレスキューのいずれか1つまたは複数である、項目237に記載の方法。
[項目239]
前記増進したT細胞機能が、PD-1もしくはPD-1リガンドのいずれかに結合する剤、またはPD-1に結合する剤およびPD-1リガンドに結合する剤を含むカクテルと比較して、前記多重特異性抗原結合性構築物の投与でより大きい、項目238に記載の方法。
[項目240]
対象においてがん細胞に対する免疫応答を増進する方法であって、前記対象に有効量の項目1乃至217のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物、または項目227に記載の医薬組成物または項目228もしくは229に記載のタンパク質コンジュゲート分子を投与し、それにより、前記対象においてがん細胞に対する免疫応答を増進する工程を含む、方法。
[項目241]
前記増進した免疫応答が、増進したT細胞機能、増進したNK細胞機能、または増進したマクロファージ機能のいずれか1つまたは複数を含む、項目240に記載の方法。
[項目242]
前記がん細胞が、血液がん細胞、リンパ腫細胞、骨髄腫細胞、白血病細胞、神経学的がん細胞、乳がん細胞、前立腺がん細胞、皮膚がん細胞、肺がん細胞、膀胱がん細胞、腎臓がん細胞、頭頸部がん細胞、胃腸がん細胞、結腸直腸がん細胞、肝臓がん細胞、膵臓がん細胞、泌尿生殖器がん細胞、骨がん細胞、および血管がん細胞である、項目240または241に記載の方法。
[項目243]
前記がん細胞がPD-L1を発現する、項目240乃至242のいずれか1項に記載の方法。
[項目244]
前記多重特異性抗原結合性構築物、前記医薬組成物、または前記タンパク質コンジュゲートが、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、経口的、筋肉内、または頭蓋内に投与される、項目240乃至243のいずれか1項に記載の方法。
[項目245]
前記対象に抗がん療法を投与する工程をさらに含む、項目230乃至244のいずれか1項に記載の方法。
[項目246]
前記抗がん療法が、化学療法、免疫療法、ホルモン療法、細胞療法、サイトカイン療法、放射線療法、寒冷療法、または外科療法である、項目245に記載の方法。
[項目247]
前記抗がん療法が、前記多重特異性抗原結合性構築物または医薬組成物を用いる治療の前、それと同時、またはその後に投与される、項目245または246に記載の方法。
[項目248]
前記抗がん療法が免疫療法であり、前記対象における前記がんが、前記多重特異性抗原結合性構築物もしくは医薬組成物、または前記タンパク質コンジュゲートを用いる治療の非存在下で前記免疫療法に対して難治性である、項目245乃至247のいずれか1項に記載の方法。
[項目249]
対象における増殖性障害の治療において使用するための、項目1乃至217および227乃至229のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物、医薬組成物、またはタンパク質コンジュゲート分子。
[項目250]
対象におけるがんの治療において使用するための、項目1乃至217および227乃至229のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物、医薬組成物、またはタンパク質コンジュゲート分子。
[項目251]
それを必要とする対象におけるがんの治療もしくはその進行の遅延または腫瘍成長の低減もしくは阻害において使用するための、項目1乃至217および227乃至229のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物、医薬組成物、またはタンパク質コンジュゲート分子。
[項目252]
対象における免疫応答の増進において使用するための、項目1乃至217および227乃至229のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物、医薬組成物、またはタンパク質コンジュゲート分子。
[項目253]
対象におけるがん細胞に対する免疫応答の増進において使用するための、項目1乃至217および227乃至229のいずれか1項に記載の多重特異性抗原結合性構築物、医薬組成物、またはタンパク質コンジュゲート分子。
[項目254]
前記増殖性障害ががんである、項目249に記載の使用。
[項目255]
前記がんが、血液がん、神経学的がん、黒色腫、乳がん、肺がん、頭頸部がん、胃腸がん、肝臓がん、膵臓がん、泌尿生殖器がん、骨がん、および血管がんからなる群から選択される、項目250、251、253、および254のいずれか1項に記載の使用。
[項目256]
前記対象が、PD-L1を発現するがんを有する、項目249乃至255のいずれか1項に記載の使用。
[項目257]
前記増進した免疫応答が、増進したT細胞機能、増進したNK細胞機能、または増進したマクロファージ機能のいずれか1つまたは複数を含む、項目252または253に記載の使用。
[項目258]
T細胞機能の前記増進が、PD-1もしくはPD-1リガンドのいずれかに結合する剤、またはPD-1に結合する剤およびPD-1リガンドに結合する剤を含むカクテルと比較して、前記多重特異性抗原結合性構築物の投与でより大きい、項目257に記載の使用。
[項目259]
前記増進したT細胞機能が、T細胞からの増加したIFN-γ産生、増進したT細胞生存、増加したT細胞増殖、または疲弊T細胞表現型からのレスキューのいずれか1つまたは複数である、項目257に記載の使用。
[項目260]
前記多重特異性抗原結合性構築物または医薬組成物またはタンパク質コンジュゲート分子が、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、経口的、筋肉内または頭蓋内に投与される、項目249乃至259のいずれか1項に記載の使用。
[項目261]
前記対象に対する抗がん療法をさらに含む、項目249乃至260のいずれか1項に記載の使用。
[項目262]
前記抗がん療法が、化学療法、免疫療法、ホルモン療法、細胞療法、サイトカイン療法、放射線療法、寒冷療法、または外科療法である、項目261に記載の使用。
[項目263]
前記抗がん療法が、前記多重特異性抗原結合性構築物または医薬組成物またはタンパク質コンジュゲート分子を用いる治療の前、それと同時、またはその後に投与される、項目261または262に記載の使用。
[項目264]
前記抗がん療法が免疫療法であり、前記対象における前記がんが、前記多重特異性抗原結合性構築物または医薬組成物または前記タンパク質コンジュゲート分子を用いる治療の非存在下で前記免疫療法に対して難治性である、項目261乃至263のいずれか1項に記載の使用。
[項目265]
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片であって、
(a)(i)配列番号70(FTFXYAXであり、X=S、R、G、またはNであり、X=D、S、N、A、R、またはGであり、X=MまたはLであり、X=S、L、またはNである)を含むCDRH1、(ii)配列番号71(SAISNSGTYTYYA)を含むCDRH2、および(iii)配列番号72(ARGLDFIVGXTGNDYであり、X=A、Y、またはRである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
(b)(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片。
[項目266]
(a)(i)配列番号73、76、77、78、79、80、81、82、83、84、または86のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRH1、(ii)配列番号71のアミノ酸配列を含むCDRH2、および(iii)配列番号74、75、または85のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
(b)(i)配列番号9(RASQSISSYLN)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号10(QQSYSTPLT)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目265に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片。
[項目267]
前記重鎖可変領域が、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む、項目265または266に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片。
[項目268]
前記軽鎖可変領域が、配列番号59のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む、項目265乃至267のいずれか1項の抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片。
[項目269]
抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片であって、
a.(i)配列番号1(GTFSSYAIN)を含むCDRH1、(ii)配列番号2(GGIIPXGXATYAであり、XはVまたはIであり、XはF、L、またはVであり、XはTまたはAである)を含むCDRH2、および(iii)配列番号3(ARLKXELKDAFDIであり、XはG、F、またはNである)を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに
b.(i)配列番号4(RASQXISSYLNであり、XはS、W、またはQである)を含むCDRL1、(ii)配列番号5(AASSLQS)を含むCDRL2、および(iii)配列番号6(XQSYSTPLTであり、XはQまたはFである)を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片。
[項目270]
(a)(i)配列番号1、14、23または36のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRH1、(ii)配列番号11、15、16、21、24、26、27、29、31、33、または34のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRH2、および(iii)配列番号8、17、18、19、20、22、25、28、30、32、または37のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに(b)(i)配列番号9、12、または13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRL1、(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDRL2、および(iii)配列番号10、38または39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、項目269に記載の抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片。
[項目271]
前記重鎖可変領域が、配列番号40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、または35のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む、項目269または270に記載の抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片。
[項目272]
前記軽鎖可変領域が、配列番号59、60、61、62、または63のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む、項目269乃至271のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片。
[項目273]
前記多重特異性抗原結合性構築物が、前記対象中の同じ細胞の表面上に発現されたPD-1およびPD-L1に結合する、項目230乃至248のいずれか1項に記載の方法。
[項目274]
前記多重特異性抗原結合性構築物が、前記対象中の第1の細胞の表面上に発現されたPD-1に結合し、前記多重特異性抗原結合性構築物が、前記対象中の第2の細胞の表面上に発現されたPD-L1に結合する、項目230乃至248のいずれか1項に記載の方法。
(配列)
【0346】
【表11】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図17F
図18A
図18B
図18C
図18D
【配列表】
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