(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109916
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】音楽連動広告出稿支援システム、方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20240806BHJP
【FI】
G06Q30/0241
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087173
(22)【出願日】2024-05-29
(62)【分割の表示】P 2020093267の分割
【原出願日】2020-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】500434897
【氏名又は名称】クリプトン・フューチャー・メディア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 潔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博之
(57)【要約】 (修正有)
【課題】音楽連動広告の広告効果を高めることができるシステム、方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】楽曲音源データベース、楽曲属性保存データベース、広告属性保存データベース広告・楽曲の対応付け情報データベース、広告出稿支援プログラム及び音楽広告配信プログラムを含む広告出稿支援システムであって、広告出稿支援プログラムは、楽曲音源データベースに保存された各楽曲の属性を抽出し、楽曲属性データベースに保存し、広告主に広告識別情報および楽曲音源データベースに保存された一つ以上の楽曲の識別情報を入力させ、選択させた楽曲の属性を楽曲属性データベースから読み込み、読み込まれた楽曲の属性に基づいて、楽曲属性データベースから関連楽曲を検索し、関連楽曲の識別情報と広告識別情報とを対応付けて保存することで、広告主が広告と関連性が強い楽曲を選択できるよう支援する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告に共に使用される楽曲の属性を保存するための楽曲属性保存手段と、
広告識別情報と楽曲識別情報を対応付けて保存するための広告楽曲対応付け保存手段と、
広告主に広告識別情報と基準曲の識別情報を入力させ、前記基準曲の属性を前記楽曲属性保存手段から読み込み、前記基準曲の前記読み込まれた属性に基づいて、前記基準曲と関連する1つ以上の候補曲を前記楽曲属性保存手段から読み出す候補曲検索部と、
前記広告主に選択させるために前記1つ以上の候補曲を表示する候補曲表示部と、
前記広告主に前記1つ以上の候補曲から1つ以上の広告使用曲を選択させる広告使用曲選択部と、
前記1つ以上の広告使用曲の識別情報と前記広告識別情報とを対応付け、前記広告楽曲対応付け保存手段に保存する広告情報保存部とを備える、
広告出稿支援システム。
【請求項2】
前記楽曲の属性の少なくとも一部は、該楽曲の歌詞に基づくものである、
請求項1に記載の広告出稿支援システム。
【請求項3】
前記楽曲の属性の少なくとも一部は、該楽曲のセクションごとに割り当てられたものである、
請求項1または請求項2に記載の広告出稿支援システム。
【請求項4】
広告主に広告識別情報と前記楽曲音源保存手段に保存された基準曲の識別情報を入力させる入力ステップと、
前記基準曲の属性を前記楽曲属性保存手段から読み込む読込ステップと、
前記基準曲の前記読み込まれた属性に基づいて、前記基準曲と関連する1つ以上の候補曲を前記楽曲属性保存手段から読み出す候補曲検索ステップと、
前記広告主に選択させるために、前記1つ以上の候補曲を表示する候補曲表示ステップと、
前記広告主に前記1つ以上の候補曲から1つ以上の広告使用曲を選択させる広告使用曲選択ステップと、
前記1つ以上の広告使用曲の識別情報と前記広告識別情報とを対応付けて広告楽曲対応付け保存手段に保存する広告情報保存ステップとを含む、
コンピューターにより実行される広告出稿支援方法。
【請求項5】
前記楽曲の属性の少なくとも一部は、該楽曲の歌詞に基づくものである、
請求項4に記載の広告出稿支援方法。
【請求項6】
前記楽曲の属性の少なくとも一部は、該楽曲のセクションごとに割り当てられたものである、
請求項4または請求項5に記載の広告出稿支援方法。
【請求項7】
広告主に広告識別情報と前記楽曲音源保存手段に保存された基準曲の識別情報を入力させる入力命令群と、
前記基準曲の属性を前記楽曲属性保存手段から読み込む読込命令群と、
前記基準曲の前記読み込まれた属性に基づいて、前記基準曲と関連する1つ以上の候補曲を前記楽曲属性保存手段から読み出す候補曲検索命令群と、
前記広告主に選択させるために、前記1つ以上の候補曲を表示する候補曲表示命令群と、
前記広告主に前記1つ以上の候補曲から1つ以上の広告使用曲を選択させる広告使用曲選択命令群と、
前記1つ以上の広告使用曲の識別情報と前記広告識別情報とを対応付けて広告楽曲対応付け保存手段に保存する広告情報保存命令群とをコンピューターに実行させる命令群とをコンピューターに実行させる、
広告出稿支援プログラム。
【請求項8】
前記楽曲の属性の少なくとも一部は、該楽曲の歌詞に基づくものである、
請求項7に記載の広告出稿支援プログラム。
【請求項9】
前記楽曲の属性の少なくとも一部は、該楽曲のセクションごとに割り当てられたものである、
請求項7または請求項8に記載の広告出稿支援プログラム。
【請求項10】
請求項1に記載の広告出稿支援システムを含み、
さらに、各楽曲の属性は、楽曲のビート、セクション、または、歌詞に関する情報を含み、
前記ビート、セクション、または、歌詞に関する情報に基づいてユーザー端末上の広告表示を制御する広告配信部をさらに含む広告配信システム。
【請求項11】
請求項4に記載の広告出稿支援方法を含み、
さらに、各楽曲の属性は、楽曲のビート、セクション、または、歌詞に関する情報を含み、
前記ビート、セクション、または、歌詞に関する情報に基づいてユーザー端末上の広告表示を制御する広告配信ステップを含む、
コンピューターにより実行される広告配信方法。
【請求項12】
請求項7に記載の広告出稿支援プログラムを含み、
さらに、各楽曲の属性は、楽曲のビート、セクション、または、歌詞に関する情報を含み、
前記ビート、セクション、または、歌詞に関する情報に基づいてユーザー端末上の広告表示を制御する広告配信命令群をコンピューターに実行させる、
広告配信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、音楽と共に流される広告の効果を高めるためのシステム、方法、および、プログラムに関し、特に、広告の内容と関連性が強い楽曲の選択を支援することで広告の効果を高めるためのシステム、方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会には多様な音楽があふれている。特に近年では、コンピューターによる音楽・動画コンテンツ制作技術の進歩、および、インターネットによる音楽配信技術の進歩により、大手レコード会社を通じて提供されるメジャーな楽曲に加えて、アマチュアも含めた多様なクリエイターにより作成される楽曲が、多様性のある音楽文化の創生に貢献している。一見、マイナーな作品と見なされていた楽曲が、きわめて熱烈なファンを獲得することもあるし、ネットでの口コミ等により一気にメジャー化することもある。過去とは異なり、このような多種多様な楽曲をすべてカタログ化して集中管理することが困難になっている。
【0003】
一方、音楽配信サービスにおいて、広告料収益モデルが重要なビジネスモデルとなっている。特に、ユーザーにとって無料で音楽配信を行ない、曲間あるいは曲再生中に広告を挿入することで広告料収入を得る民放テレビ局的なビジネスモデルの音楽ストリーミングサービスが台頭している。このような広告収益に依存するビジネスモデルの将来性はきわめて大きい。
【0004】
広告収益型の音楽配信サービスにおいて、楽曲と広告はランダムに選択されるのではなく、楽曲と関連性が強い広告が選択される(あるいは、広告と関連性が強い楽曲が選択される)ことが望ましい。たとえば、清涼飲料水の広告であれば、夏をイメージさせる楽曲と共に表示することで、広告の効果を高めることが期待でき、音楽配信事業者は高い広告料を設定し、収益性を向上することができる。同時に聴き手であるユーザーも楽曲のイメージと異なる広告が表示されて、音楽の視聴体験の楽しさが損なわれるような状況を避けることができる。
【0005】
しかし、上述のとおり、今日の社会にはきわめて多くの楽曲が存在するため、手作業による楽曲の分類や属性付けに依存することは非現実的である。メジャーな楽曲にフォーカスして分類しても、それ以外のロングテールに相当する楽曲がもたらすビジネス機会を失う結果になる。協調フィルタリング等の手法(たとえば、特許文献1)により、楽曲間の関連性を自動的にデータベース化することも考えられるが、協調フィルタリングはそもそもユーザーが楽曲を聴いたことがあることを前提にした相関分析であるため、聴いた人がきわめて少ないメジャーではない楽曲、あるいは、作られたばかりの楽曲の中から新たに広告にマッチする楽曲を掘り起こすという目的には不充分であった。
【0006】
このような問題を解決するための一手段として、たとえば、特許文献2では、楽曲内の情報をコンピューター・アルゴリズムにより分析し、カテゴリー化することで、特定広告と関連性が強い楽曲を選択する技術が開示されている。しかし、広告出稿主の立場から言えば、膨大な楽曲の中から、カテゴリーの指定だけで、広告と関連性が強く、広告の効果を高めることが期待される楽曲を探し出すことが困難であるという課題があった。
【0007】
また、せっかく楽曲と関連性が強く効果的な広告を選択できても、多くの利用者は音楽を「ながら聞き」するため広告に注目してくれないという課題もあった。広告の効果を高めるためには、音楽の視聴体験とより密接に結び付いた広告の表示方法が必要だが、複雑なコンテンツ作成作業なしに、それを実現する技術は存在していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許公開公報 特開2003-167901
【特許文献2】特許公開公報 特開2009-205247
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
音楽連動広告の効果を高めることができるシステム、方法、および、プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、楽曲属性保存手段と、広告属性保存手段と、広告楽曲対応付け保存手段と、楽曲音源保存手段に保存された各楽曲の属性を抽出し、前記楽曲属性保存手段に保存する属性抽出部と、広告主に広告識別情報、および、前記楽曲音源保存手段に保存された第1の楽曲の識別情報を入力させ、前記第1の楽曲の属性を前記楽曲属性保存手段から読み込み、前記第1の楽曲の前記読み込まれた属性に基づいて、前記楽曲属性保存手段から第2の楽曲を検索し、前記第2の楽曲の識別情報と前記広告識別情報とを対応付け、前記広告楽曲対応付け保存手段に保存する検索部とを備える広告出稿支援システムを提供することで上記課題を解決する。
【0011】
また、本願発明は、さらに、前記属性抽出部は、さらに、楽曲歌詞保存手段に保存された各楽曲の歌詞属性を抽出し、前記楽曲属性保存手段に保存し、前記検索部は、さらに、前記歌詞属性を加味した検索を行なう、段落0010に記載の広告出稿支援システムを提供することで上記課題を解決する。
【0012】
また、本願発明は、前記属性抽出部は、さらに、前記楽曲音源保存手段に保存された各楽曲のセクションごとの属性を抽出し、前記楽曲属性保存手段に保存し、前記検索部は、さらに、前記各楽曲のセクションごとの属性を加味した検索を行なう、段落0010または段落0011に記載の広告出稿支援システムを提供することで上記課題を解決する。
【0013】
また、本願発明は、楽曲音源保存手段に保存された各楽曲の属性を抽出し、楽曲属性保存手段に保存する楽曲属性保存ステップと、広告主に広告識別情報と前記楽曲音源保存手段に保存された第1の楽曲の識別情報を入力させる入力ステップと、前記第1の楽曲の属性を前記楽曲属性保存手段から読み込む読込ステップと、前記第1の楽曲の前記読み込まれた属性に基づいて、前記楽曲属性保存手段から第2の楽曲を検索する検索ステップと、前記第2の楽曲の識別情報と前記広告識別情報とを対応付けて広告楽曲対応付け保存手段に保存する広告情報保存ステップとを含む、コンピューターにより実行される広告出稿支援方法を提供することで上記課題を解決する。
【0014】
また、本願発明は、さらに、楽曲歌詞保存手段に保存された各楽曲の歌詞属性を抽出し、前記楽曲属性保存手段に保存する歌詞属性保存ステップを含み、前記検索ステップは、前記歌詞属性に基づいた検索を行なうステップを含む、段落0013に記載の広告出稿支援方法を提供することで上記課題を解決する。
【0015】
また、本願発明は、さらに、前記楽曲音源保存手段に保存された各楽曲のセクションごとの属性を抽出し、前記楽曲属性保存手段に保存する楽曲セクション情報保存ステップを含み、前記検索ステップは、前記各楽曲のセクションごとの属性に基づいた検索を行なうステップを含む、段落0013または段落0014に記載の広告出稿支援方法を提供することで上記課題を解決する。
【0016】
また、本願発明は、楽曲音源保存手段に保存された各楽曲の属性を抽出し、楽曲属性保存手段に保存する楽曲属性保存命令群と、広告主に広告識別情報と前記楽曲音源保存手段に保存された第1の楽曲の識別情報を入力させる入力命令群と、前記第1の楽曲の属性を前記楽曲属性保存手段から読み込む読込命令群と、前記第1の楽曲の前記読み込まれた属性に基づいて、前記楽曲属性保存手段から第2の楽曲を検索する検索命令群と、前記第2の楽曲の識別情報と前記広告識別情報とを対応付けて広告楽曲対応付け保存手段に保存する広告情報保存命令群とをコンピューターに実行させる広告出稿支援プログラムを提供することで上記課題を解決する。
【0017】
また、本願発明は、さらに、楽曲歌詞保存手段に保存された各楽曲の歌詞属性を抽出し、前記楽曲属性保存手段に保存する歌詞属性保存命令群をコンピューターに実行させ、前記検索命令群は、前記歌詞属性に基づいた検索をコンピューターに実行させる命令群を含む、段落0016に記載の広告出稿支援プログラムを提供することで上記課題を解決する。
【0018】
また、本願発明は、さらに、前記楽曲音源保存手段に保存された各楽曲のセクションごとの属性を抽出し、前記楽曲属性保存手段に保存する楽曲セクション情報保存命令群をコンピューターに実行させ、前記検索命令群は、前記各楽曲のセクションごとの属性に基づいた検索を行なう命令群を含む、段落0016または段落0017に記載の広告出稿支援プログラムを提供することで上記課題を解決する。
【0019】
また、本願発明は、段落0010に記載の広告出稿支援システムを含み、さらに、前記楽曲属性保存手段に保存された各楽曲の属性は、楽曲のビート、セクション、または、歌詞に関する情報を含み、前記ビート、セクション、または、歌詞に関する情報に基づいてユーザー端末上の広告表示を制御する広告配信部をさらに含む広告配信システムを提供することで上記課題を解決する。
【0020】
また、本願発明は、前記広告配信部が、複数のユーザー端末のそれぞれに対して、一つの広告に対応する複数の異なる広告表示の制御を行なう、段落0019に記載の広告配信システムを提供することで上記課題を解決する。
【0021】
また、本願発明は、段落0013に記載の広告出稿支援方法を含み、さらに、前記楽曲属性保存手段に保存された各楽曲の属性は、楽曲のビート、セクション、または、歌詞に関する情報を含み、前記ビート、セクション、または、歌詞に関する情報に基づいてユーザー端末上の広告表示を制御する広告配信ステップを含む、コンピューターにより実行される広告配信方法を提供することで上記課題を解決する。
【0022】
また、本願発明は、前記広告配信ステップは、複数のユーザー端末のそれぞれに対して、一つの広告に対応する複数の異なる広告表示の制御を行なうステップを含む、段落0021に記載の広告配信方法を提供することで上記課題を解決する。
【0023】
また、本願発明は、段落0016に記載の広告出稿支援プログラムを含み、さらに、前記楽曲属性保存手段に保存された各楽曲の属性は、楽曲のビート、セクション、または、歌詞に関する情報を含み、前記ビート、セクション、または、歌詞に関する情報に基づいてユーザー端末上の広告表示を制御する広告配信命令群をコンピューターに実行させる、広告配信プログラムを提供することで上記課題を解決する。
【0024】
また、本願発明は、前記広告配信命令群は、複数のユーザー端末のそれぞれに対して、一つの広告に対応する複数の異なる広告表示の制御を行なう命令群を含む、段落0023に記載の広告配信プログラムを提供することで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0025】
音楽連動広告の効果を高めることができるシステム、方法、および、プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本願発明に係る方法を実施するための情報システムの実施例の全体構成である。
【
図2】本願発明に係る広告出稿支援プログラムの実施例の画面構成である。
【
図3】本願発明に係る広告出稿支援プログラムの実施例の概要フローチャートである。
【
図4】本願発明に係る広告配信方法の実施例の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に図を参照しながら本願発明の実施例について説明する。図はすべて例示である。
【0028】
図1に本願発明を実行する情報システムの例の全体構成を示す。本図は論理的な構成を表わすものであり、図中のデータベースが物理的なデータベースと一対一に対応することを意図したものではない。また、図中のすべての構成要素が、同一の情報システムとして管理されている必要はなく、複数の情報システムに分散されて管理されていたり、クラウドなどの外部の事業者が提供するシステムとして管理されていたりしてもよい。
【0029】
楽曲属性データベース(101)は、各楽曲の属性情報を保存するための手段である。なお、本願明細書において、データベースとは、関係データベース管理システム(RDBMS)、ファイルシステム、NoSQL型データストア等、データ(レコード)を永続的に保存・管理するための技術一般を指すものとする。ここで、楽曲の属性情報は、「ジャズ」、「J-POP」、「ボサノバ」等のジャンル情報に加えて、「楽しさ」、「激しさ」、「夏らしさ」などの聴き手の感性に関する情報を含む。属性情報は、フラグ値(オンかオフかの二値情報)ではなく、連続量であることが望ましい。たとえば、楽曲Aの「楽しさ」度は80%、「夏らしさ度」は40%、「激しさ度」はマイナス20%といった形式で保存可能であることが望ましい。楽曲属性データベース(101)は、楽曲内のセクション(たとえば、Aメロ、Bメロ、サビ、間奏等)に関する情報、ビート(拍子)、メロディ、コード、楽器の種類、歌唱者の性別等に関する情報を含んでいてよい。楽曲内のセクションおよびビートの情報はタイムコードなどで表現された時間情報と対応付けて保存されていることが望ましい(たとえば、楽曲Aのサビは曲開始から1分42秒から1分56秒の間であるといった情報が属性として保存されていることが望ましい)。セクションおよびビートの情報は、予め手作業により入力されたものであってもよいが、コンピューター・アルゴリズムによる解析によって自動的に提供されたものであることが望ましい。楽曲属性データベース(101)は、楽曲ごとの属性情報に加えて(または、それに代えて)楽曲のセクションごとの属性情報(たとえば、楽曲Aのサビの「夏らしさ」は90%である)を保存してもよい。
【0030】
楽曲音源データベース(102)は、楽曲の音源の保存手段である。ここで、音源とは音楽配信サービス等で直接的に視聴可能になる音そのもの(たとえば、CD用にマスタリングされた音源)であることが望ましいが、ユーザー端末側でレンダリング処理されて音に変換されるMIDIデータ等であってもよい。楽曲音源データベース(102)の管理主体と楽曲属性データベース(101)の管理主体は異なっていてもよく、楽曲音源データベース(102)の管理主体が複数あってもよい(現実には、著作権上の制約によりこのような構成が好ましいことが多いと考えられる)。楽曲属性データベース(101)中のデータと楽曲音源データベース(102)中のデータは、楽曲名等で対応付けられていてもよいが、楽曲ID等のユニークな識別子を介して対応付けされていることが望ましい。
【0031】
歌詞情報データベース(103)は楽曲の歌詞を保存するための手段であり、歌詞に関する付属的情報も合わせて保存していてもよい。歌詞情報は予め手作業で入力されているものであってもよいが、コンピューター・アルゴリズムによる音声認識によって自動的に提供されたものであってもよい。歌詞情報はタイムコードなどで表現された時間情報と対応付けて保存され、楽曲再生時に音源との同期が可能になっていることが望ましい。コンピューター・アルゴリズムによる音声認識によって歌詞を認識する場合には、同時に同期情報の保存も行なうことが望ましい。楽曲属性データベース(101)中のデータと歌詞情報データベース(103)中のデータは、楽曲名等でもよいが、楽曲ID等のユニークな識別子を介して対応付けされていることが望ましい。
【0032】
楽曲属性分析プログラム(104)は、楽曲音源データベース(102)中の音源の内容を分析し、パラメーター化し、楽曲属性データベース(101)に保存するための一つ以上のプログラムである。コンピューター・アルゴリズムによる解析によって、個々の楽曲の雰囲気(たとえば、「ジャズぽい」、「落ち着いた」、「陰鬱」等)を抽出する技術は公知である(たとえば、Tzanetakis, G., & Cook, P. (2002). Musical genre classification of audio signals. IEEE Transactions on speech and audio processing, 10(5), 293-302.)。加えて、楽曲属性分析プログラム(104)は、歌詞情報データベース(103)中の歌詞の内容を分析し、パラメーター化し、加えて、歌詞情報とメロディ情報間の対応付け情報を生成し、楽曲属性データベース(101)に保存する処理を行なってもよい。コンピューター・アルゴリズムによる解析によって、歌詞の雰囲気(「夏」、「爽やか」、「失恋」等)を抽出する技術は公知である(たとえば、Mayer, R., Neumayer, R., & Rauber, A. (2008). Rhyme and Style Features for Musical Genre Classification by Song Lyrics. Proceedings of ISMIR 2008, pp.337-342.)。
【0033】
広告情報データベース(105)は、広告主が出稿する広告に関する情報を保存するための手段である。広告に関する情報には、広告のコピー文・画像・動画、表示形式(色、アニメーション効果等)、表示タイミング、表示対象端末(たとえば、スマートフォン、音楽プレイヤー、タブレット端末、パーソナル・コンピューター、スマートグラスやスマートウォッチなどのウェアラブル端末、カーナビゲーション機器、AR(拡張現実)ディスプレイ、VR(仮想現実)ディスプレイ、MR(複合現実)ディスプレイ、デジタル・サイネージ)などの情報、および、複数の表示端末を組み合わせて表示するための情報などが含まれる。広告情報データベース(105)の内容は、広告主が予め入力・設定しておくよう取り決めていてよい。各広告には、広告ID等のユニークな識別子が付されていることが望ましい。
【0034】
広告-楽曲対応データベース(106)は、広告と特定の楽曲の対応付けを行なった結果を保存するための手段である。広告と特定の楽曲の対応付けは、広告IDと楽曲IDを対応付けて保存することで行なってよい。広告と楽曲の対応付けには、関連性の強さを表わす重み付けデータが含まれていることが望ましい。また、広告と楽曲の特定セクション(たとえば、サビ)との対応付け、および、その重み付けデータが含まれていてもよい。
【0035】
広告出稿支援プログラム(107)は、広告主が商品の広告を出稿する際に、効果が高い楽曲を容易に選択できるよう支援するための一つ以上のコンピューター・プログラムである。広告出稿支援プログラム(107)は、広告主が広告主端末(108)から入力した情報にしたがい、広告情報データベース(105)に保存された広告に適した楽曲を、楽曲属性データベース(101)から選択し、広告-楽曲対応データベース(106)に保存する。広告出稿支援プログラム(107)の処理概要については後述する。広告主端末(108)は、パーソナル・コンピューターやスマートフォン等の任意の情報入出力手段である。
【0036】
音楽広告配信プログラム(109)は、ユーザー端末(110)に対して(通常は、ストリーミング方式による)音楽、または、音楽を伴う動画の配信と広告の提供を行なうための一つ以上のプログラムであり、楽曲属性データベース(101)の管理主体とは異なる主体により管理されていてよい。ユーザー端末(110)は、音楽(動画)配信および広告表示の対象となるスマートフォン、音楽プレイヤー、タブレット端末、パーソナル・コンピューター、(スマートグラスやスマートウォッチなどの)ウェアラブル端末、カーナビゲーション機器、AR(拡張現実)ディスプレイ、VR(仮想現実)ディスプレイ、MR(複合現実)ディスプレイ、デジタル・サイネージなどの機器である。本願発明に係るシステムでは、複数の同種の、または、異種のユーザー端末(110)を連動させて広告表示を行なってよい。音楽広告配信プログラム(109)は、広告-楽曲対応データベース(106)の内容にしたがって、楽曲と関連性が強い広告を優先的に表示する、あるいは、広告と関連性が強い楽曲を優先的に配信する。加えて、楽曲の歌詞と関連性が強い広告をその歌詞の歌唱と同タイミングで表示する、または、楽曲の特定セクションと関連性が強い広告をそのセクションと同タイミングで表示するなどの処理を行なう。楽曲をどのように選択するか、また、広告料をどのように課金するかは、音楽広告配信プログラム(109)の運営主体のビジネス上の判断により決定してよいが、どのような場合でも、楽曲属性データベース(101)の内容に基づいて、楽曲と関連性が強い広告を選択し、広告効果を増すことで本願発明の目的を達成可能である。
【0037】
図2に広告出稿支援プログラム(107)の広告主向け画面の実施例を示す。広告主が、自社製品・サービスの音楽連動型広告を出稿するに当たって、広告に適すると考える1曲以上の既知の楽曲(基準曲)を指定すると、広告出稿支援プログラム(107)は、それに類似した一つ以上の楽曲(候補曲)を選択し、表示する。単純にカテゴリー(たとえば、「ジャズ」、「夏」、「爽やか」)を指定するだけでは、膨大な楽曲の中から自社製品・サービスに合致する雰囲気の楽曲を選び出すことは困難であるが、既に知っている楽曲を基準曲として指定し、それにイメージが近い楽曲を選ぶことは容易である。候補曲の検索においては、どの基準曲のどのパラメーターに基づいた検索を行なうか、および、各パラメーターの重み付けをどの程度行なうかを自由に選択できるようになっていることが望ましい。特定のパラメーターではなく、基準曲の全体の印象に基づく検索を行なってよい。たとえば、基準曲1とリズムパターンがかなり似ており、基準曲2と楽器の選択が少し似ているといった条件指定で候補曲を検索できることが望ましい。また、歌詞において、特定のキーワードを指定できるようにしてもよい。また、歌詞に指定されたキーワードを含む楽曲を検索範囲から除外するよう指定できるようにしてもよい(こうすることにより、たとえば、失恋をテーマにした楽曲が結婚式場の広告に選択されることを防ぐことができる)。
【0038】
図2-aは広告主向け画面の第1の実施例である。広告主は対象とする広告を任意の方法で設定してこの画面に遷移したものとする。広告主は基準とする一つ以上の楽曲(基準曲)を指定し、併せて、その楽曲のどのパラメーター(たとえば、「夏らしさ」、「ビート」、「歌詞」)に基づいて検索を行なうかを指定する。基準曲の選択は別途検索画面を通じてタイトルやアーティスト名の指定に検索できるようになっていることが望ましい。一つの基準曲に対して複数の属性を設定できてよい。また、各パラメーターをどの程度重視するかの重み付け値を指定できるようにしてよい。広告主が検索ボタンをクリックすることにより(あるいは基準曲に関する情報を入力することにより自動的に)、広告出稿支援プログラム(107)は、検索処理を行ない、当該基準曲と関連する候補曲を表示する。複数の候補曲が表示されることが望ましい。また、この画面で、候補曲の試聴、および、候補曲に合わせて広告が表示される状態を示すプレビューを表示可能になっていることが望ましい。広告主が候補曲からの選択を行なわず、自動的に全候補曲を広告出稿の対象とするようなオプションが提供されていてもよい。
【0039】
図2-bは広告主向け画面の第2の実施例である。本図に示すように、入力フィールドと数値入力による選択ではなく、2次元のグラフ上に既存の楽曲を軸として検索結果の候補曲を表示し、座標の指定により求める楽曲の属性をビジュアルに指定できるようにしてもよい。たとえば、基準曲1に近い座標にプロットされた候補曲は、基準曲1(と選択されたパラメーター)により近い特性を有する。候補曲に相当する点をクリックすることで、その候補曲のタイトル等の情報、および、試聴とプレビューを行なうためのボタンが表示されることが望ましい。
【0040】
図3に広告出稿支援プログラム(107)の概要フローチャートの実施例を示す。この実施例は、
図2-aの画面の実施例に対応するものである。最初に、広告出稿支援プログラム(107)は、広告主端末(108)を介して、広告主に対して、広告ID、および、基準となる一つ以上の既知の楽曲を選択させる(S301)。次に、広告出稿支援プログラム(107)は、広告主端末(108)を介して、広告主に対して、基準となる一つ以上の既知の楽曲のそれぞれについて一つ以上のパラメーターを指定させる(S302)。この際、各パラメーターの重み付けも入力させてよい。次に、広告出稿支援プログラム(107)は、指定された既知の楽曲の属性情報を楽曲属性データベース(101)から読み込み、パラメーターと重み付けを加味して候補曲を楽曲属性データベース(101)から検索する(S303)。検索条件としては、パラメーターの選択と重み付けが反映されるのであれば、任意の計算式を使用してよい。たとえば、重み付けを加味して、各パラメーターを座標軸とするベクトル空間で距離が所定の値以下である座標に存在する楽曲を検索してよい。たとえば、3つのパラメーターの重み付けがそれぞれa, b, cであり値がx1、x2、x3である場合、パラメーター値y1、y2、y3を有する楽曲の距離を以下の数式の平方根で表現してよい。計算式ではなく、ニューラルネットにより候補曲の検索を行なうようにしてもよい。乱数により、検索結果にランダムな要素を加えるようにしてもよい。楽曲による広告の効果は、人間の感性に基づくものであり、敢えて多少ミスマッチな楽曲が選択されたことで効果を発揮する場合もあり得るからである。
【0041】
【0042】
次に、広告出稿支援プログラム(107)は、検索された一つ以上の候補楽曲を広告主端末(108)に表示し、広告と組み合わせる一つ以上の楽曲を広告主に選択させる(S304)。この画面から候補楽曲を試聴できるようになっていることが望ましい。上記において、楽曲全体ではなく、楽曲の特定のセクション(サビ等)を指定や検索の対象とできるようにしてもよい。S304のステップを省略し、検索された一つ以上の候補楽曲を広告出稿の対象とするオプションが提供されていてもよい。最後に、広告出稿支援プログラム(107)は、広告主に選択された一つ以上の楽曲の識別情報と広告IDを対応付けて広告-楽曲対応データベース(106)に保存する(S305)。また、広告端末(108)の画面から、広告料金、広告表示頻度、広告時間帯等の広告表示に関する付加的情報を入力や表示できるようにしてもよいが、図示していない。これらの情報は事前に広告情報データベース(105)に入力しておく取り決めを採用してもよい。
【0043】
ここで、今日、一般的であるスマートフォンに音楽配信を行なうシナリオにおいて、単純に画面に文字や画像を表示する広告は有効でないという課題がある。ユーザーが音楽鑑賞中に画面を眺め続けていることは少ないからである。この場合において、たとえば、広告表示のアニメーションをビートに同期させたり、画面に表示される歌詞と広告を融合させたり、楽曲の特定のセクション(たとえば、サビ)と広告表示のタイミングを合わせることで、広告を見ること自体を楽しい体験とすることで広告の効果を高めることができる。
【0044】
本願発明に係る音楽連動型広告の配信において、音楽広告配信プログラム(109)は、楽曲属性データベース(101)に保存されたビートやセクションの情報を使用して、楽曲の内容と同期した広告を表示するようにしてよい。たとえば、広告の文字表示を楽曲のビートに合わせて変化させたり、特定のセクション(たとえば、サビ)に合わせて文字表示を拡大させたりするようにしてよい。さらに、楽曲属性データベース(101)に保存された歌詞や感性に関する属性を使用してもよい。たとえば、広告主が「夏らしさ」という属性を重視した広告の出稿を指定した場合において、楽曲のサビ部分(盛り上がる部分)に「夏」という歌詞が使用されていた場合には、その歌詞が登場するタイミングと同期させて、広告のテキスト(コピー文)や商品画像等を表示するようにユーザー端末(110)の表示機能を制御してよい。
【0045】
この場合において、スマートフォン等の利用者が画面を見るタイプの端末を使用している場合には、端末の移動速度から判断してユーザーが歩行中であると推定される場合には、「歩きスマホ」を防ぐための表示を行なう、あるいは、広告の表示を行なわないなどの手段を取ってもよい。一方、スマートフォン等の端末の移動速度から判断してユーザーが電車等の交通機関で移動中であると推定される場合には、積極的に広告表示を行なうようにしてもよい。このような制御は、スマートフォン等の端末上で稼働するプログラムと音楽広告配信プログラム(109)との協調動作によって実現してよい。
【0046】
ユーザーがスマートグラスなどのウェアラブル端末を使用している場合には、視界の邪魔にならない範囲内で、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術を使用して、たとえば、ビルの壁面等に広告と歌詞を合わせて表示するなどの手法により、ユーザー体験を魅力的なものとすると共に、広告の効果を高めてもよい。
【0047】
また、音楽広告配信プログラム(109)が、1台ではなく同種または異種の複数台のユーザー端末(110)に対して、一斉に同内容のまたは関連する広告を表示してもよい。もしくは、複数台のユーザー端末(110)の各々が協調して一つの広告となるように、音楽広告配信プログラム(109)で異なる表示物を生成して、各ユーザー端末(110)に表示してもよい。この場合において、総体として一つの広告物に見えることが重要であり、個々のユーザー端末(110)の表示が必ずしも広告に見える必要はない。また、このような実施例において、各ユーザー端末(110)間の正確な同期処理を音楽広告配信プログラム(109)が担ってもよい。
【0048】
たとえば、家庭内での実施例として、リビングルームにおいて、スマートフォンから音楽を再生すると、リビングルームにある大型テレビの画面に音楽の内容に沿った広告物(ビートの点滅、音楽の主旋律をなぞるように広告テキストの表示など)が表示されるような制御を行なってよい。また、ビートに連動してスマート家電の照明を点滅させたり、家庭内ロボットを踊らせたりすることで、空間に一体感を持たせるようにしてもよい。この場合において、スマートフォン、大型テレビ、スマート家電、ロボットの各々がユーザー端末(110)に相当し、各々が音楽広告配信プログラム(109)から制御される状態にある。音楽広告配信プログラム(109)は、スマートフォンから楽曲IDを受領して(もしくはフィンガープリント技術等を通じて再生中の楽曲の音から楽曲IDを特定して)、それを手がかりに表示する広告コンテンツを生成し、各ユーザー端末(110)に配信してよい。
【0049】
図4に本願発明に係る広告配信方法の商業施設における実施例の概念図を示す。ユーザーが自分のスマートフォンから音楽を再生すると、当該ユーザーの目元に装着しているスマートグラスやMR(複合現実)ヘッドセット越しに、現実空間とそこにオーバーレイされた広告物を見ることができるような広告表示を行なってもよい。また、商業施設に設置されたデジタル・サイネージへのアクセス権がある場合は、そこにも同様に広告物を表示するようにしてもよい。いずれの広告物においても、高い広告効果を実現するために、音楽のビートやメロディに連動して広告テキストを表示したり、音楽のサビに入ると盛り上がる表示になったり、実際に聴いている音楽と連動感を持つような表示制御を行なってよい。この場合において、スマートフォン、スマートグラス、MRヘッドセット、デジタル・サイネージのそれぞれが、ユーザー端末(110)に相当し、各々が音楽広告配信プログラム(109)から制御される状態にある。音楽広告配信プログラム(109)は、スマートフォンから楽曲IDを受領して(もしくはフィンガープリント技術等を通じて再生中の楽曲の音から楽曲IDを特定して)、それを手がかりに表示する広告コンテンツを生成し、各ユーザー端末(110)に配信してよい。
【0050】
商業施設内に流すBGM(バック・グラウンド・ミュージック)に合わせた広告配信を行なってもよい。BGMは、音楽配信事業者もしくはBGM配信事業者から提供されるのが一般的である。商業施設に流れるBGMの楽曲IDを、各事業者が音楽広告配信プログラム(109)に提供し、その情報に基づいて音楽広告配信プログラム(109)が動作することが望ましいが、それが不可能な場合であってもフィンガープリント技術等を通じてBGM楽曲から楽曲IDを特定し、特定した楽曲IDを手がかりに、ユーザー端末(110)である、商業施設内の各デジタル・サイネージ向けに表示物を生成し提供してよい。この場合のユーザー端末(110)には、ネット接続機能を持つ店舗照明装置やレーザー装置も含まれるものとする。これにより商業施設のムードを音楽と共に演出することができるので、デジタル・サイネージ等に表示する広告の意図に合わせたムードを演出しながら広告内容を効果的に見せることができる。
【0051】
この実施例において、商業施設内に流れるBGM音楽と顧客である複数人のユーザーが持つ各々のスマートフォンとを連動して、商業施設内のデジタル・サイネージ等に加えて、またはそれらに代えて、当該スマートフォンの画面に音楽広告を表示することもできる。この時、各ユーザーが持つスマートフォンはユーザー端末(110)に位置づけられ、音楽広告配信プログラム(109)から制御される状態にある。各ユーザーへの音楽広告は同一であっても構わないが、ユーザーの属性に応じて広告自体を変えてもよい。
【0052】
商業施設では施設で流すBGMに代えて、その商業施設のコンセプトにマッチした一つ以上の楽曲を選曲して顧客であるユーザーのスマートフォンに当該楽曲を送り届けることで、商業施設としての広告効果を高めることもできる。この場合において、当該ユーザーの各スマートフォンはユーザー端末(110)に相当し、音楽広告配信プログラム(109)から制御可能な状態にある。各ユーザーへの選曲は同一であっても構わないが、ユーザーの属性に応じて選曲を変えてもよい。
【0053】
このような実施例により、たとえば高級ハイブランドが立ち並ぶ商業施設に十代の若者が訪れた時に、その種の商業施設で通常使用されている洗練された無名のBGMの代わりに、商業施設のイメージに合い、かつ、ユーザーに馴染みがあるアーティストの音楽をスマートフォンから流すことで、この商業施設を身近に感じさせる効果が期待できる。
【0054】
いずれの実施例においても、音楽広告は再生中の音楽に広告の表現が連動していることがポイントであるが表現手法は問わない。広告主が指定するテキストを、イントロ後に歌唱が始まるところから表示してもいいが、広告したい内容を強意する映像をイントロからサビ直前まで流しておき、サビになった瞬間に広告主が指定するテキストをアクセントのように表示することで広告の持つメッセージ性を効果的に伝えてもよい。同様に複数のユーザー端末(110)を同期制御して一つの広告表現を行なう場合も、各端末が等しく広告テキストを連呼するものである必要はない。広告テキストを表示するのはその中の1台にとどめて、他の端末からは広告メッセージを強意・補完する音楽と同期したイメージ映像を生成し表示することでもよい。
【0055】
いずれの実施例においても、音楽広告配信プログラム(109)は、広告をテキストとしてのみならず、動画、静止画、ロゴ、キャラクター、ダンスモーションなど、必要な素材を広告主から事前に取得し、適宜必要な表現に自動編集して各ユーザー端末に送り届けるものである。